特表2018-538343(P2018-538343A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-538343赤血球を用いる治療方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-538343(P2018-538343A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】赤血球を用いる治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/18 20150101AFI20181130BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20181130BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20181130BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20181130BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20181130BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20181130BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20181130BHJP
   C12N 5/078 20100101ALN20181130BHJP
【FI】
   A61K35/18 Z
   A61P35/00
   A61P31/00
   A61P43/00 101
   A61P37/06
   A61P29/00
   A61P37/02
   A61P43/00 111
   A61P43/00 105
   C12N5/078
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】126
(21)【出願番号】特願2018-532777(P2018-532777)
(86)(22)【出願日】2016年12月22日
(85)【翻訳文提出日】2018年8月20日
(86)【国際出願番号】AU2016000404
(87)【国際公開番号】WO2017106899
(87)【国際公開日】20170629
(31)【優先権主張番号】2015905309
(32)【優先日】2015年12月22日
(33)【優先権主張国】AU
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】518120083
【氏名又は名称】サングイ バイオ ピーティーワイ. エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス カーステン
(72)【発明者】
【氏名】ベン ハーバート
(72)【発明者】
【氏名】アラン リドル
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン ヒル
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AC14
4B065BA30
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4B065BD39
4B065BD44
4B065BD50
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4C087AA01
4C087AA02
4C087BB36
4C087DA31
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4C087MA56
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4C087NA14
4C087ZB07
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4C087ZB21
4C087ZB26
4C087ZB32
4C087ZC02
4C087ZC51
(57)【要約】
本件開示は、赤血球に関連するタンパク質のレベルを調節する様々な薬剤又は条件で赤血球を刺激することにより、対象又は標的細胞におけるタンパク質のレベルを調節する方法、及び対象に刺激された赤血球を投与する方法に関する。開示された方法は、刺激されていくつかのタンパク質を発現する赤血球の、多くの疾患又は障害のための細胞療法としての新規使用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における少なくとも1つのタンパク質のレベルを調節するための方法であって:
a.) 赤血球を、1以上の赤血球タンパク質のレベルを調節する少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させることにより、刺激された赤血球を作製すること;並びに
b.) 該対象に:
(i) 該刺激された赤血球;
(ii) 該刺激された赤血球のインキュベーション又は培養物から取得した上清;
(iii) 該刺激された赤血球から取得した溶解物;
(iv) 該刺激された赤血球から取得した膜;及び
(v) 該刺激された赤血球から作製した赤血球ゴースト、からなる群から選択される、1以上の刺激された赤血球構成要素を投与すること、を含み、ここで該対象に該1以上の刺激された赤血球構成要素を投与することにより、該対象における少なくとも1つのタンパク質のレベルが調節される、前記方法。
【請求項2】
前記赤血球を、前記対象から取得する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記赤血球を、前記対象からは取得しない、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの薬剤が、タンパク質、酵素、核酸、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、RNA安定化剤、抗凝固剤、及び細胞からなる群から選択される1以上の薬剤である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの条件が、剪断応力、低酸素、又は酸素過剰である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記対象が、ヒト又は非ヒト哺乳動物である、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記1以上の刺激された赤血球構成要素を、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、くも膜下腔内、及び腹腔内からなる群から選択される1以上の方法を通じて前記対象に投与する、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記1以上の赤血球タンパク質が、サイトカイン、ケモカイン、又は成長因子である、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
標的細胞の活動を調節する方法であって:
a.) 赤血球を、1以上の赤血球タンパク質のレベルを調節する少なくとも1つの薬剤又は条件と接触させることにより、刺激された赤血球を作製すること;並びに
b.) 該標的細胞を:
(i) 該刺激された赤血球;
(ii) 該刺激された赤血球をインキュベートし、又は培養することから取得した上清;
(iii) 該刺激された赤血球から取得した溶解物;
(iv) 該刺激された赤血球から取得した膜;及び
(v) 該刺激された赤血球から作製した赤血球ゴースト、からなる群から選択される、1以上の刺激された赤血球構成要素と混合すること、を含み、ここで該標的細胞を該1以上の刺激された赤血球構成要素と混合することにより、該標的細胞の活動が調節される、前記方法。
【請求項10】
前記刺激された赤血球により、細胞シグナル伝達、免疫反応、細胞発達、細胞成長、細胞死、細胞成長阻害、及び細胞修復からなる群から選択される、前記標的細胞の1以上の活動が調節される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記標的細胞が、免疫細胞、不死化細胞、癌細胞、幹細胞、内皮細胞、線維芽細胞、及び滑液細胞からなる群から選択されるものの1以上である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記標的細胞が対象由来である、請求項9〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記標的細胞が、対象の内にある、請求項9〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
前記標的細胞を対象に投与する、請求項9〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
標的細胞、標的細胞ゴースト、標的細胞膜、標的細胞溶解物、標的細胞画分、及び標的細胞をインキュベートし、又は培養することにより作製した上清からなる群から選択される、1以上の標的細胞構成要素を対象に投与する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記刺激された赤血球、刺激された赤血球構成要素、標的細胞、又は標的細胞構成要素のうちの1以上を、前記対象に、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、くも膜下腔内、及び腹腔内からなる群から選択される1以上の経路により投与する、請求項9〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記対象が疾患又は障害を有する、請求項9〜15のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
疾患又は障害を予防し、治療し、又は改善する方法であって、それを必要とする対象に請求項1〜17のうちの1以上に従って作製した赤血球及び/又は標的細胞を投与することを含む、前記方法。
【請求項19】
前記赤血球及び/又は標的細胞を前記対象に、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、くも膜下腔内、及び腹腔内からなる群から選択される1以上の経路によって投与する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記対象が、ヒト又は非ヒト哺乳動物である、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記疾患又は障害が、癌、感染症、臓器不全、自己免疫性疾患、自己免疫性障害、炎症、及び免疫不全からなる群から選択される、請求項18記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本件開示は一般に、血液学の分野に関する。より具体的には、本件開示は、改変された赤血球(red blood cells)(RBC)/赤血球(erythrocytes)及びそれらを利用する細胞療法に関する。
【0002】
(相互参照)
本件出願は、2015年12月22日に出願された、「赤血球を用いる治療方法(Therapeutic Methods Using Erythrocytes)」という名称のオーストラリア出願第2015905309号に対する優先権を主張し、かつ該出願に関する。この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。さらに、本件開示において参照される他の参考文献又は刊行物も、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
(背景)
細胞療法は、癌、感染症、移植、自己免疫性障害、感染症、炎症、及び免疫不全を含む多くの疾患及び状態の有望な治療形態として登場した。また、そのような治療は標準的な治療の補助として使用されている。
【0004】
多くの場合、細胞療法では患者自身の免疫系の要素を調節して、問題とする疾患又は状態を軽減することが模索される。免疫系は、例えばT-リンパ球、B-リンパ球、NK細胞、単球/マクロファージ、及びサイトカインなどの組織、臓器、及び細胞のネットワークからなる。細胞療法は、免疫、炎症、及び造血を含む多くのプロセスを仲介する/調節する、サイトカインとして知られるシグナル伝達分子の活性を変化させることができる。
【0005】
RBCは血液の体積の40%〜50%を占める血液の豊富に存在する細胞成分である。それにもかかわらず、RBCが直接関与する疾患及び状態の治療を意図する治療アプローチを除いて、RBCが治療アプローチの設計において十分に検討されることはない。従来、RBCは免疫反応の発生、又は細胞の発達、成長、及び修復への関与があったとしてもごくわずかであると考えられている。そのためRBCがこれらのプロセスを操作する潜在的な手段であることは、見落とされてきた。例えば、サイトカイン環境を調節するためのRBCの使用は、検討も、実証もされていない。
【0006】
現在に至るまで、いくつかの細胞療法から生じたいくつかの希望を与える結果が存在するが、既存の及び将来の治療の有効性を増加させるためには改善が必要とされている。RBCが血液中の豊富に存在する細胞種であることを考慮すると、これらの治療の改善は少なくとも部分的に、RBCの利用に依存する可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
(概要)
本発明者らは、驚くべきことにRBCが様々なタンパク質、例えばサイトカイン、ケモカイン、及び成長因子の分泌及び/又は隔離によってサイトカイン環境の調節における重要な役割を果たすことを突き止めた。
【0008】
理論に束縛されるものではないが、RBCは様々な条件下で放出され得る様々なタンパク質の貯蔵器官として振る舞う可能性があると仮定される。本明細書で示すように、RBCはこれらのタンパク質を隔離し、又は放出するように誘導され、従って他の細胞種及び生物学的プロセスを調節する手段を提供し得る。これにより、ひいては改善された治療アプローチの設計が容易になる。
【0009】
本件開示の非限定的な実施態様を、以下に列記する。
【0010】
ある実施態様は、対象における少なくとも1つのタンパク質のレベルを調節するための方法であって、赤血球を、1以上の赤血球タンパク質のレベルを調節する少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させることにより、刺激された赤血球(primed red blood cell)を作製すること、並びに該対象に、該刺激された赤血球、該刺激された赤血球のインキュベーション又は培養物から取得した上清、該刺激された赤血球から取得した溶解物、該刺激された赤血球から取得した膜、及び該刺激された赤血球から作製した赤血球ゴースト又は膜からなる群から選択される1以上の刺激された赤血球構成要素を投与すること、を含み、ここで該対象に1以上の刺激された赤血球構成要素を投与することにより、該対象における少なくとも1つのタンパク質のレベルが調節される、前記方法に対するものである。いくつかの実施態様において、1以上の刺激された赤血球構成要素は赤血球の刺激(priming)の間、及び/又は赤血球の刺激後に取得する。他の実施態様において、赤血球を、該対象から取得する。さらに他の実施態様において、該赤血球を、該対象からは取得しない。他の実施態様において、投与する1以上の刺激された赤血球構成要素は、刺激された赤血球のインキュベーション又は培養物から取得した上清である。
【0011】
いくつかの他の実施態様において、該少なくとも1つの薬剤は、タンパク質、酵素、核酸、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、RNA安定化剤、抗凝固剤、及び細胞からなる群から選択される1以上の薬剤である。他の実施態様において、少なくとも1つの薬剤は、プロテアーゼ阻害剤、抗凝固剤、癌細胞、幹細胞、及び免疫細胞からなる群から選択される。さらに他の実施態様において、少なくとも1つの条件は、剪断応力、低酸素、又は酸素過剰である。他の実施態様において、赤血球は少なくとも1つの対象、少なくとも1つの細胞バンク、及び少なくとも1つの細胞株からなる群から選択される1以上の供給源から取得する。さらに他の実施態様において、該対象は、ヒト又は非ヒト哺乳動物である。ある実施態様において、該1以上の刺激された赤血球構成要素は、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、くも膜下腔内、及び腹腔内からなる群から選択される1以上の方法を通じて該対象に投与する。
【0012】
さらに他の実施態様において、1以上の赤血球タンパク質は、ケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、細胞内シグナル伝達物質、ホルモン、核内転写調節因子、神経伝達物質、細胞外マトリックス構成要素、及び酵素からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、該1以上の赤血球タンパク質は、サイトカイン、ケモカイン、又は成長因子である。
【0013】
ある実施態様は、標的細胞の活動を調節する方法であって、赤血球を、1以上の赤血球タンパク質のレベルを調節する少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させることにより、刺激された赤血球を作製すること、並びに該標的細胞を該刺激された赤血球、該刺激された赤血球をインキュベートし、又は培養することから取得した上清、該刺激された赤血球から取得した溶解物、該刺激された赤血球から取得した膜、及び該刺激された赤血球から作製した赤血球ゴースト又は膜からなる群から選択される、1以上の刺激された赤血球構成要素と混合すること、を含み、ここで該標的細胞を該1以上の刺激された赤血球構成要素と混合することにより、該標的細胞の活動が調節される、前記方法に対するものである。いくつかの実施態様において、該刺激された赤血球により、細胞シグナル伝達、免疫反応、細胞発達、細胞成長、細胞成長阻害、細胞死、及び細胞修復からなる群から選択される、前記標的細胞の1以上の活動が調節される。他の実施態様において、前記標的細胞は、免疫細胞、不死化細胞、癌細胞、幹細胞、内皮細胞、線維芽細胞、及び滑液細胞からなる群から選択されるものの1以上である。さらに他の実施態様において、免疫細胞は、T-リンパ球、B-リンパ球、単球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、好酸球、及び好塩基球からなる群から選択されるものの1以上である。さらに他の実施態様において、癌細胞は、腫瘍細胞、固形腫瘍細胞、播種性腫瘍細胞、及び/又は癌性血液細胞からなる群から選択されるものの1以上である。さらに他の実施態様において、幹細胞は、全能性幹細胞、多能性幹細胞、複能性幹細胞、組織幹細胞、胚性幹細胞、ヒト胚性幹細胞(HeSC)、体性幹細胞、造血幹細胞(例えば、臍帯血、骨髄からのもの)、骨髄間質幹細胞(骨格幹細胞(skeletal stem cells))、人工多能性幹細胞(IPSO)、表皮幹細胞、上皮性幹細胞、間葉性幹細胞、神経幹細胞、及び間葉性幹細胞からなる群から選択されるものの1以上である。
【0014】
ある実施態様において、混合することは、標的細胞を刺激された赤血球とインキュベートすること、培養すること、共培養すること、及び合わせることからなる群から選択されるプロセスを含む。他の実施態様において、該標的細胞は、対象由来である。さらに他の実施態様において、該標的細胞は、対象の内にある。
【0015】
さらに他の実施態様において、該標的細胞は、対象に投与する。さらに他の実施態様において、標的細胞、標的細胞ゴースト、標的細胞膜、標的細胞溶解物、標的細胞画分、及び標的細胞をインキュベートし、又は培養することにより作製した上清からなる群から選択される、1以上の標的細胞構成要素を対象に投与する。いくつかの実施態様において、1以上の刺激された赤血球、刺激された赤血球構成要素、標的細胞、及び標的細胞構成要素は、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、くも膜下腔内、及び腹腔内からなる群から選択される1以上の経路によって対象に投与する。
【0016】
ある他の実施態様において、該対象は疾患又は障害を有する。
【0017】
ある実施態様は、疾患又は障害を予防し、治療し、又は改善する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書で提供する1以上の方法に従って作製した赤血球及び/又は標的細胞を投与することを含む、前記方法に対するものである。いくつかの実施態様において、該赤血球及び/又は標的細胞は、該対象に、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、くも膜下腔内、及び腹腔内からなる群から選択される1以上の経路により投与する。他の実施態様において、該対象は、ヒト又は非ヒト哺乳動物である。さらに他の実施態様において、該疾患又は障害は、癌、感染症、臓器不全、自己免疫性疾患、自己免疫性障害、炎症、及び免疫不全からなる群から選択される。
【0018】
いくつかの実施態様において、赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルが増加及び/又は低下する。他の実施態様において、赤血球に関連する1以上のタンパク質の少なくとも1つのレベルが増加及び/又は低下する。ある他の実施態様において、赤血球に関連する1以上のタンパク質の少なくとも1つのレベルが増加する。さらに他の実施態様において、赤血球に関連する1以上のタンパク質の少なくとも1つのレベルが低下する。
【0019】
さらに他の実施態様において、赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルは、1以上の抗体を使用して測定する。いくつかの他の実施態様において、1以上のタンパク質は、ケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、細胞内シグナル伝達物質、ホルモン、核内転写調節因子、神経伝達物質、細胞外マトリックス構成要素、及び酵素からなる群から選択される。さらに他の実施態様において、1以上のタンパク質は、ケモカイン、サイトカイン、及び成長因子からなる群から選択される。
【0020】
他の実施態様において、少なくとも1つの薬剤は、タンパク質、酵素、核酸、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、RNA安定化剤、抗凝固剤、及び細胞からなる群から選択される1以上の薬剤である。いくつかの実施態様において、少なくとも1つの条件は、剪断応力、低酸素、又は酸素過剰である。さらに他の実施態様において、刺激された赤血球は、1以上の標的細胞の活動を調節する。さらに他の実施態様において、刺激された赤血球を、対象に投与する。
【0021】
ある実施態様は、赤血球を刺激する方法であって、赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルを測定すること、赤血球を少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させること、赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルを測定すること、及び少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させる前の赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルを、少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させた後の赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルと比較すること、を含み、ここで赤血球に関連する1以上のタンパク質の少なくとも1つのレベルの差が、赤血球が刺激されたことを示す、前記方法に対するものである。いくつかの実施態様において、赤血球に関連する1以上のタンパク質、2以上のタンパク質、3以上のタンパク質、4以上のタンパク質、5以上のタンパク質、6以上のタンパク質、7以上のタンパク質、8以上のタンパク質、9以上のタンパク質、10以上のタンパク質、11以上のタンパク質、12以上のタンパク質、13以上のタンパク質、14以上のタンパク質、又は15以上のタンパク質のレベルを測定する。他の実施態様において、赤血球に関連する3以上のタンパク質のレベルを測定する。さらに他の実施態様において、赤血球に関連する1以上のタンパク質のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、又は少なくとも15個のレベルに差がある。さらに他の実施態様において、赤血球に関連する少なくとも3つのタンパク質のレベルに差がある。ある他の実施態様において、少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させる前の赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルを、少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させた後の赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルと比較した差は、スチューデントのT検定、ANOVA検定、混合効果モデル、マン-ホイットニー検定、ウィルコクソンの順位和、及びスピアマンの順位相関からなる群から選択される統計解析によって決定する。
【0022】
ある実施態様は、対象の細胞表面又は内部の標的タンパク質のレベルを増加させるか、又は低下させるための方法であって、赤血球(RBC)をRBCの内部に存在する、及び/又はRBCの表面に結合している標的タンパク質のレベルを増加させるか、又は低下させるために処理すること、並びに対象に、それによって細胞表面又は内部の標的タンパク質のレベルを増加させるか、又は低下させるための、(i) 前記処理後のRBC、(ii) 前記処理の間及び/又は後のRBCの溶解から取得したRBC溶解物、RBC膜、及び/又はRBCゴースト、(iii) 前記処理の間及び/又は後のRBCの洗浄から取得した細胞洗浄液、(iv) 前記処理の間及び/又は後に生成されたRBCの培養物から取得した培養上清、(v) (i)〜(iv)の組合わせ、の1以上を投与することを含む、前記方法に対するものである。いくつかの実施態様において、処理に供するRBCは、対象から取得する。別の実施態様において、前記処理に供するRBCは、対象からは取得しない。
【0023】
ある実施態様において、対象に投与するRBCは、RBCゴーストである。ある他の実施態様において、標的タンパク質のレベルの増加又は低下により、細胞シグナル伝達、免疫反応、細胞発達、細胞成長、細胞成長阻害、細胞死、及び/又は細胞修復が誘導されるか、又は調節される。他の実施態様において、標的タンパク質のレベルの増加又は低下により、対象における免疫反応が誘導されるか、又は調節される。ある他の実施態様において、(i) RBC、(ii) RBC溶解物、RBC膜、及び/若しくはRBCゴースト、(iii) 細胞洗浄液、(iv) 培養上清、又は(v) (i)〜(iv)の組合わせは、対象に、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、くも膜下腔内、及び/又は腹腔内に投与する。いくつかの他の実施態様において、対象は、哺乳動物対象、ヒト対象、又は両方である。
【0024】
ある実施態様は、標的細胞の機能を誘導又は調節するための方法であって、RBCをRBCの内部に存在する、又はRBCの表面に結合している標的タンパク質のレベルを増加させるか、又は低下させるために処理すること、並びに標的細胞を、それによって標的細胞の機能を誘導するか、又は調節するための、(i) 前記処理後のRBC、(ii) 前記処理の間及び/又は後のRBCの溶解から取得したRBC溶解物、RBC膜、及び/又はRBCゴースト、(iii) 前記処理の間及び/又は後のRBCの洗浄から取得した細胞洗浄液、(iv) 前記処理の間及び/又は後に生成されたRBCの培養物から取得した培養上清、(v) (i)〜(iv)の組合わせの1以上を混合することを含む、前記方法に対するものである。いくつかの実施態様において、標的細胞は免疫細胞、癌細胞、幹細胞、内皮細胞、線維芽細胞、滑液細胞、及び/又は骨髄細胞の1以上である。さらに他の実施態様において、免疫細胞は、T-リンパ球、B-リンパ球、単球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、好酸球、及び/又は好塩基球の1以上である。いくつかの他の実施態様において、癌細胞は、腫瘍細胞、固形腫瘍細胞、播種性腫瘍細胞、及び/又は癌性血液細胞の1以上である。さらに他の実施態様において、幹細胞は:全能性幹細胞、多能性幹細胞、複能性幹細胞、組織幹細胞、胚性幹細胞、ヒト胚性幹細胞(HeSC)、体性幹細胞、造血幹細胞(例えば、臍帯血、骨髄からのもの)、骨髄間質幹細胞(骨格幹細胞)、人工多能性幹細胞(IPSO)、表皮幹細胞、上皮性幹細胞、間葉性幹細胞、神経幹細胞、間葉性幹細胞、又はそれらの組合わせの1以上である。
【0025】
ある実施態様において、標的細胞は、幹細胞であり、混合することにより、幹細胞は刺激されて特定の細胞系譜へと向かう。ある他の実施態様において、方法は、所与の疾患又は障害に罹患する、又はそれを発症しやすい対象に、(i) 前記混合後の標的細胞、(ii) 前記処理の間及び/若しくは後の標的細胞の溶解から取得した、標的細胞溶解物、標的細胞膜、及び/若しくは標的細胞ゴースト、(iii) 前記処理の間及び/若しくは後の標的細胞の洗浄から取得した、細胞洗浄液、(iv) 前記処理の間及び/若しくは後に生成された標的細胞の培養物から取得した、培養上清、又は(v) (i)〜(iv)の組合わせを投与することをさらに含む。他の実施態様において、(i) 標的細胞、(ii) 標的細胞溶解物、標的細胞膜、及び/若しくは標的細胞ゴースト、(iii) 標的細胞洗浄液、(iv) 標的細胞培養上清、又は(v) (i)〜(iv)の組合わせを、対象に、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、くも膜下腔内、及び/又は腹腔内に投与する。
【0026】
ある実施態様において、方法は、対象に:(i) RBC、(ii) RBC溶解物、RBC膜、及び/若しくはRBCゴースト、(iii) 細胞洗浄液、(iv) 培養上清、又は(v) (i)〜(iv)の組合わせを投与することをさらに含む。いくつかの実施態様において、(i) RBC、(ii) RBC溶解物、RBC 膜、及び/若しくはRBCゴースト、(iii) 細胞洗浄液、(iv) 培養上清、又は(v) (i)〜(iv)の組合わせを対象に、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、くも膜下腔内、及び/又は腹腔内に投与する。ある他の態様において、(i) 標的細胞、(ii) 標的細胞溶解物、標的細胞膜、及び/若しくは標的細胞ゴースト、(iii) 標的細胞洗浄液、(iv) 標的細胞培養上清、又は(v) (i)〜(iv)の組合わせを対象に局所に投与し、かつ(i) RBC、(ii) RBC溶解物、RBC膜、及び/若しくはRBCゴースト、(iii) 細胞洗浄液、(iv) 培養上清、又は(v) (i)〜(v)の組合わせを対象に全身又は局所に投与する。
【0027】
ある実施態様において、対象は哺乳動物対象、ヒト対象、又は両方である。ある他の実施態様において、対象は、組織損傷、癌、炎症性疾患若しくは状態、又は免疫障害に罹患している。いくつかの他の実施態様において、RBC及び/又は標的細胞は対象から取得する。さらに他の実施態様において、RBC及び/又は標的細胞は対象からは取得しない。
【0028】
ある他の実施態様において、処理は:赤血球をプロテアーゼ阻害剤と接触させること、赤血球を抗凝固剤と接触させること、赤血球を溶解させること、赤血球を剪断応力にさらすこと、赤血球を酸素で処理すること、及び/又は赤血球から酸素を奪うことの1以上を含む。他の実施態様において、プロテアーゼ阻害剤は:アプロチニン、ロイペプチン、α2-マクログロブリン、アンチパイン二塩酸塩、カルパイン阻害因子I、カルパイン阻害因子II、キモスタチン、TLCK(CAS 131918-97-3)、トリプシン阻害因子、Pefabloc SC(Roche)、PMSF(C6H5CH2SO2F - Thermo Fisher Scientific)、cOmpleteプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)、又はそれらの組合わせからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、抗凝固剤は、群から選択される。
【0029】
ある他の実施態様において、標的タンパク質は、サイトカイン、ケモカイン、又は成長因子の1以上である。さらに他の実施態様において、標的タンパク質は、炎症性サイトカイン又は炎症性ケモカインである。ある実施態様において、標的タンパク質のレベルは、増加する。他の実施態様において、標的タンパク質は:CTACK、GRO-α、βFGF、G-CSF、CM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN-γ、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2rα、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12-40、IL-12p70、IL-13、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IP-10、LIF、MCP-1、M-CSF、MIF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、β-NGF、PDGF-bb、RANTES、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、又はそれらの組合わせからなる群から選択される。ある他の実施態様において、標的タンパク質のレベルは、低下する。いくつかの実施態様において、標的タンパク質は:IFN-α2、IFN-γ、IL-1β、IL-8、IL-9、IL-12p70、IL-16、IL-17、IL-18、MIF、TNF-α、IL-2rα、IL-4、CTACK、GRO-α、IL-18、MCP-1、MIP-1 GRO-α、MIP-1β、RANTES、SDF-1α、βFGF、G-CSF、GM-CSF、HGF、IL-3、IP-10、M-CSF、PDFG-bb、VEGF、IL-2、IL-6、IL-12p40、及びそれらの組合わせからなる群から選択される。
【0030】
ある実施態様において、方法は、補助療法として使用する。他の実施態様において、方法は、組織損傷、癌、炎症性疾患若しくは状態、及び/又は免疫障害の治療の補助療法として使用する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
(図面の簡単な説明)
ここで本件開示の例示的な実施態様を、添付の図面を参照して例のみとして説明することにする。
【0032】
図1図1 様々な濃度のヘパリン及びEDTAと共にインキュベートし、又は培養したRBC又はゴーストを含む血漿中のマクロファージ遊走阻害因子(MIF)濃度(n=1)。
図2図2 様々な濃度のヘパリン及びEDTAを含む血漿中でインキュベートし、又は培養した後のRBC溶解物及びゴースト「溶解物」のMIF濃度(n=1)。
図3図3 ヘパリン、EDTA、クエン酸塩中で、又は抗凝固剤なしで収集し、かつrMIFと共に、又はこれを伴わないでPBS中24時間培養した、RBC(n=1)。
図4図4A図4O BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりRBCからプロテアーゼ阻害剤及びBioPlex標準を含むPBS及びこれらを含まないPBS中へと放出され、又は分泌された炎症促進性タンパク質の概要(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示し、*はp<0.05の有意差を示す(27プレックスについてn=3、21プレックスについてn=5)。
図5図5A図5Eは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりRBCからプロテアーゼ阻害剤及びBioPlex標準を含むPBS及びこれらを含まないPBS中へと放出され、又は分泌された抗炎症性タンパク質の濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示し、*はp<0.05の有意差を示す(27プレックスについてn=3、21プレックスについてn=5)。
図6図6A図6Kは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりRBCからプロテアーゼ阻害剤及びBioPlex標準を含むPBS及びこれらを含まないPBS中へと放出され、又は分泌されたケモカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示し、*はp<0.05の有意差を示す(27プレックスについてn=3、21プレックスについてn=5)。
図7図7A図7Mは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりRBCからプロテアーゼ阻害剤及びBioPlex標準を含むPBS及びこれらを含まないPBS中へと放出され、又は分泌された成長因子の濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示し、*はp<0.05の有意差を示す(27プレックスについてn=3、21プレックスについてn=5)。
図8図8A図8Dは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりRBCからプロテアーゼ阻害剤及びBioPlex標準を含むPBS及びこれらを含まないPBS中へと放出され、又は分泌された多機能タンパク質の濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示し、*はp<0.05の有意差を示す(27プレックスについてn=3、21プレックスについてn=5)。
図9図9A図9Oは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりプロテアーゼ阻害剤及びBioPlex標準を含むPBS及びこれらを含まないPBS中でインキュベートした後のRBCの溶解物中の炎症促進性サイトカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示し、*はp<0.05の有意差を示す(27プレックスについてn=3、21プレックスについてn=5)。
図10図10A図10Eは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりプロテアーゼ阻害剤及びBioPlex標準を含むPBS及びこれらを含まないPBS中でインキュベートした後のRBCの溶解物中の抗炎症性サイトカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示し、*はp<0.05の有意差を示す(27プレックスについてn=3、21プレックスについてn=5)。
図11図11A図11Kは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりプロテアーゼ阻害剤及びBioPlex標準を含むPBS及びこれらを含まないPBS中でインキュベートした後のRBCの溶解物中のケモカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示し、*はp<0.05の有意差を示す(27プレックスについてn=3、21プレックスについてn=5)。
図12図12A図12Mは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりプロテアーゼ阻害剤及びBioPlex標準を含むPBS及びこれらを含まないPBS中でインキュベートした後のRBCの溶解物中の成長因子の濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示し、*はp<0.05の有意差を示す(27プレックスについてn=3、21プレックスについてn=5)。
図13図13A図13Dは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりプロテアーゼ阻害剤及びBioPlex標準を含むPBS及びこれらを含まないPBS中でインキュベートした後のRBCの溶解物中の多因子サイトカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示し、*はp<0.05の有意差を示す(27プレックスについてn=3、21プレックスについてn=5)。
図14図14A図14Oは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりプロテアーゼ阻害剤及びBioPlex標準を含むPBS及びこれらを含まないPBS中でインキュベートした後のRBCの分泌物、溶解物、及び組換えタンパク質添加物中の炎症促進性サイトカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示し、*はp<0.05の有意差を示す(27プレックスについてn=3、21プレックスについてn=5)。
図15図15A図15Eは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりプロテアーゼ阻害剤及びBioPlex標準を含むPBS及びこれらを含まないPBS中でインキュベートした後のRBCの分泌物、溶解物、及び組換えタンパク質添加物中の抗炎症性サイトカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示し、*はp<0.05の有意差を示す(27プレックスについてn=3、21プレックスについてn=5)。
図16図16A図16Kは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりプロテアーゼ阻害剤及びBioPlex標準を含むPBS及びこれらを含まないPBS中でインキュベートした後のRBCの分泌物、溶解物、及び組換えタンパク質添加物中のケモカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示し、*はp<0.05の有意差を示す(27プレックスについてn=3、21プレックスについてn=5)。
図17図17A図17Mは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりプロテアーゼ阻害剤及びBioPlex標準を含むPBS及びこれらを含まないPBS中でインキュベートした後のRBCの分泌物、溶解物、及び組換えタンパク質添加物中の成長因子の濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示し、*はp<0.05の有意差を示す(27プレックスについてn=3、21プレックスについてn=5)。
図18図18A図18Dは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりプロテアーゼ阻害剤及びBioPlex標準を含むPBS及びこれらを含まないPBS中でインキュベートした後のRBCの分泌物、溶解物、及び組換えタンパク質添加物中の多機能サイトカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示し、*はp<0.05の有意差を示す(27プレックスについてn=3、21プレックスについてn=5)。
図19図19A図19Oは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃でMSCとのインキュベーション前後のRBCの溶解物並びに72時間後のMSC及び/又はRBCの分泌物中の炎症促進性サイトカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示する(n=1)。
図20図20A図20Eは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃でMSCとのインキュベーション前後のRBCの溶解物並びに72時間後のMSC及び/又はRBCの分泌物中の抗炎症性サイトカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示する(n=1)。
図21図21A図21Kは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃でMSCとのインキュベーション前後のRBCの溶解物並びに72時間後のMSC及び/又はRBCの分泌物中のケモカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示する(n=1)。
図22図22A図22Mは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃でMSCとのインキュベーション前後のRBCの溶解物並びに72時間後のMSC及び/又はRBCの分泌物中の成長因子の濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示する(n=1)。
図23図23A図23Dは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃でMSCとのインキュベーション前後のRBCの溶解物並びに72時間後のMSC及び/又はRBCの分泌物中の多機能タンパク質の濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示する(n=1)。
図24図24は、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりRBCからPBS中に放出され、又は分泌されたタンパク質の濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示する(n=3)。
図25図25は、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりRBCからPBS中に放出され、又は分泌されたタンパク質の濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示する(n=3)。
図26図26は、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりRBCからPBS中に放出され、又は分泌されたタンパク質の濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示する(n=3)。
図27図27は、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、37℃で24時間にわたりRBCからPBS中に放出され、又は分泌されたタンパク質の濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データは平均±SDとして提示する(n=3)。
図28図28A図28Oは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、プロテアーゼ阻害剤(PI)を含み、又は含まずに37℃で24時間にわたりRBCからPBS中に放出され、又は分泌された、及び対応するRBC溶解物中の炎症促進性サイトカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データはPI±95% CIの追加後の倍数変化として提示し、ここで●はPIなしと比較したPIの追加を伴う分泌物中の倍数変化を表し、かつ■は、PIなし対照と比較したPIの追加を伴う溶解物中の濃度の倍数変化を表す(n=7)。
図29図29A図29Eは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、プロテアーゼ阻害剤(PI)を含み、又は含まずに37℃で24時間にわたりRBCからPBS中に放出され、又は分泌された、及び対応するRBC溶解物中の抗炎症性サイトカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データはPI±95% CIの追加後の倍数変化として提示し、ここで●はPIなしと比較したPIの追加を伴う分泌物中の倍数変化を表し、かつ■は、PIなし対照と比較したPIの追加を伴う溶解物中の濃度の倍数変化を表す(n=7)。
図30図30A図30Kは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、プロテアーゼ阻害剤(PI)を含み、又は含まずに37℃で24時間にわたりRBCからPBS中に放出され、又は分泌された、及び対応するRBC溶解物中のケモカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データはPI±95% CIの追加後の倍数変化として提示し、ここで●はPIなしと比較したPIの追加を伴う分泌物中の倍数変化を表し、かつ■は、PIなし対照と比較したPIの追加を伴う溶解物中の濃度の倍数変化を表す(n=7)。
図31図31A図31Mは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、プロテアーゼ阻害剤(PI)を含み、又は含まずに37℃で24時間にわたりRBCからPBS中に放出され、又は分泌された、及び対応するRBC溶解物中の成長因子の濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データはPI±95% CIの追加後の倍数変化として提示し、ここで●はPIなしと比較したPIの追加を伴う分泌物中の倍数変化を表し、かつ■は、PIなし対照と比較したPIの追加を伴う溶解物中の濃度の倍数変化を表す(n=7)。
図32図32A図32Dは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、プロテアーゼ阻害剤(PI)を含み、又は含まずに37℃で24時間にわたりRBCからPBS中に放出され、又は分泌された、及び対応するRBC溶解物中の多機能サイトカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。データはPI±95% CIの追加後の倍数変化として提示し、ここで●はPIなしと比較したPIの追加を伴う分泌物中の倍数変化を表し、かつ■は、PIなし対照と比較したPIの追加を伴う溶解物中の濃度の倍数変化を表す(n=7)。
図33図33A図33Oは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、プロテアーゼ阻害剤(PI)を含み、又は含まずに37℃で48時間にわたりRBCからPBS中に放出され、又は分泌された、及び対応するRBC溶解物中の炎症促進性サイトカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。細胞を24時間後にPBSで洗浄し、プロテアーゼ阻害剤を含む、又は含まないPBS中に再度懸濁させた。データは平均±SDとして提示する(n=3)。
図34図34A図34Eは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、プロテアーゼ阻害剤(PI)を含み、又は含まずに37℃で48時間にわたりRBCからPBS中に放出され、又は分泌された、及び対応するRBC溶解物中の抗炎症性サイトカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。細胞を24時間後にPBSで洗浄し、プロテアーゼ阻害剤を含む、又は含まないPBS中に再度懸濁させた。データは平均±SDとして提示する(n=3)。
図35図35A図35Kは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、プロテアーゼ阻害剤(PI)を含み、又は含まずに37℃で48時間にわたりRBCからPBS中に放出され、又は分泌された、及び対応するRBC溶解物中のケモカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。細胞を24時間後にPBSで洗浄し、プロテアーゼ阻害剤を含む、又は含まないPBS中に再度懸濁させた。データは平均±SDとして提示する(n=3)。
図36図36A図36Hは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、プロテアーゼ阻害剤(PI)を含み、又は含まずに37℃で48時間にわたりRBCからPBS中に放出され、又は分泌された、及び対応するRBC溶解物中の成長因子の濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。細胞を24時間後にPBSで洗浄し、プロテアーゼ阻害剤を含む、又は含まないPBS中に再度懸濁させた。データは平均±SDとして提示する(n=3)。
図37図37A図37Dは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、プロテアーゼ阻害剤(PI)を含み、又は含まずに37℃で48時間にわたりRBCからPBS中に放出され、又は分泌された、及び対応するRBC溶解物中の多因子サイトカインの濃度を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。細胞を24時間後にPBSで洗浄し、プロテアーゼ阻害剤を含む、又は含まないPBS中に再度懸濁させた。データは平均±SDとして提示する(n=3)。
図38図38A図38Oは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、プロテアーゼ阻害剤(PI)を含み、又は含まずに37℃で48時間インキュベートした後にRBCから放出され、又は分泌された、及び該RBCの溶解物中の測定された炎症促進性サイトカインの合計量を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。細胞を24時間後にPBSで洗浄し、プロテアーゼ阻害剤を含む、又は含まないPBS中に再度懸濁させた。データは平均±SDとして提示する(n=3)。合計のタンパク質濃度(分泌物+溶解物)。
図39図39A図39Eは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、プロテアーゼ阻害剤(PI)を含み、又は含まずに37℃で48時間インキュベートした後にRBCから放出され、又は分泌された、及び該RBCの溶解物中の測定された抗炎症性サイトカインの合計量を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。細胞を24時間後にPBSで洗浄し、プロテアーゼ阻害剤を含む、又は含まないPBS中に再度懸濁させた。データは平均±SDとして提示する(n=3)。
図40図40A図40Kは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、プロテアーゼ阻害剤(PI)を含み、又は含まずに37℃で48時間インキュベートした後にRBCから放出され、又は分泌された、及び該RBCの溶解物中の測定されたケモカインの合計量を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。細胞を24時間後にPBSで洗浄し、プロテアーゼ阻害剤を含む、又は含まないPBS中に再度懸濁させた。データは平均±SDとして提示する(n=3)。
図41図41A図41Hは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、プロテアーゼ阻害剤(PI)を含み、又は含まずに37℃で48時間インキュベートした後にRBCから放出され、又は分泌された、及び該RBCの溶解物中の測定された成長因子の合計量を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。細胞を24時間後にPBSで洗浄し、プロテアーゼ阻害剤を含む、又は含まないPBS中に再度懸濁させた。データは平均±SDとして提示する(n=3)。
図42図42A図42Dは、BioPlexによって測定し、pg/mL単位で報告した、プロテアーゼ阻害剤(PI)を含み、又は含まずに37℃で48時間インキュベートした後にRBCから放出され、又は分泌された、及び該RBCの溶解物中の測定された多機能サイトカインの合計量を示す一連のグラフである(100 uLのPBS中に2000万個のRBC)。細胞を24時間後にPBSで洗浄し、プロテアーゼ阻害剤を含む、又は含まないPBS中に再度懸濁させた。データは平均±SDとして提示する(n=3)。
図43図43A〜43VVは、代表的な細胞株と共に(刺激されたRBC)、又は該細胞株を伴わずに(刺激されていないRBC)3日間共培養した後の赤血球から放出されたタンパク質の濃度を示す一連のグラフである。
図44図44A〜44VVは、Tリンパ球細胞株由来の細胞(Jurkat)と共に(刺激された)、又は該細胞を伴わずに(刺激されていない)3日間共培養した後の赤血球から放出され、又は分泌されたタンパク質の濃度を示す一連のグラフである。
図45図45A〜45VVは、間葉性幹細胞(MSC)と共に(刺激された)、又は該細胞を伴わずに(刺激されていない)3日間共培養した後の赤血球膜中のタンパク質の濃度を示す一連のグラフである。有意差(p<0.05)をスチューデントのT検定を使用して決定した。
図46図46A〜46VVは、間葉性幹細胞(MSC)と共に(刺激された)、又は該細胞を伴わずに(刺激されていない)3日間共培養した後の赤血球膜によって放出されたタンパク質の濃度を示す一連のグラフである。有意差(p<0.05)をスチューデントのT検定を使用して決定した。
図47図47A〜47VVは、間葉性幹細胞(MSC)と共に(刺激された)、又は該細胞を伴わずに(刺激されていない)3日間共培養した後の赤血球中のタンパク質の濃度を示す一連のグラフである。有意差(p<0.05)をスチューデントのT検定を使用して決定した。
図48図48A〜48VVは、間葉性幹細胞(MSC)と共に(刺激された)、又は該細胞を伴わずに(刺激されていない)3日間共培養した後の赤血球からのタンパク質の濃度を示す一連のグラフである。有意差(p<0.05)をスチューデントのT検定を使用して決定した。
図49図49A〜49VVは、乳癌細胞株細胞(MCF-7細胞)と共に(刺激された)、又は該細胞を伴わずに(刺激されていない)3日間共培養した後の赤血球膜中のタンパク質の濃度を示す一連のグラフである。有意差(p<0.05)をスチューデントのT検定を使用して決定した。
図50図50A〜50VVは、乳癌細胞株細胞(MCF-7細胞)と共に、又は該細胞を伴わずに(刺激された又は刺激されていない)3日間共培養した後の赤血球膜によって放出されたタンパク質の濃度を示す一連のグラフである。有意差(p<0.05)をスチューデントのT検定を使用して決定した。
図51図51A〜51VVは、乳癌細胞株細胞(MCF-7細胞)と共に(刺激された)、又は該細胞を伴わずに(刺激されていない)3日間共培養した後の赤血球中のタンパク質の濃度を示す一連のグラフである。有意差(p<0.05)をスチューデントのT検定を使用して決定した。
図52図52A〜52VVは、乳癌細胞株細胞(MCF-7細胞)と共に(刺激された)、又は該細胞を伴わずに(刺激されていない)3日間共培養した後の赤血球から放出され、又は分泌されたタンパク質の濃度を示す一連のグラフである。有意差(p<0.05)をスチューデントのT検定を使用して決定した。
図53図53A〜53UUは、肺癌細胞株(A549細胞)と共に(刺激された)、又は該細胞を伴わずに(刺激されていない)3日間共培養した後の赤血球中のタンパク質の濃度を示す一連のグラフである。有意差(p<0.05)をスチューデントのT検定を使用して決定した。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(定義)
本件出願において使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「該」は、別途文脈によって明らかに指示されない限り、複数の指示物を含む。例えば、用語「細胞溶解物」は、複数の細胞溶解物を含む。
【0034】
本明細書で使用される用語「含んでいる(comprising)」は、「含んでいる(including)」という意味である。単語「含んでいる(comprising)」の変形、例えば「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」は、対応して異なる意味を有する。従って、例えば工程「A」及び「B」を「含んでいる(comprising)」方法は、排他的に工程「A」及び「B」からなり得るか、又は1以上の追加の工程を含み得る(例えば、工程「A」、「B」、及び「C」)。
【0035】
本明細書で使用される用語「赤血球(red blood cells)」、「RBC」、及び「赤血球(erythrocytes)」は、1以上の赤血球を単離し、又は精製する技術(例えば、白血球除去、赤血球除去、血小板除去など)によって達成される99.5%超、99.6%超、99.7%超、99.75%超、99.8%超、99.85%超、99.9%超、99.5%超、およそ100%の赤血球、又は100%の赤血球を含み得る細胞集団を指す。RBCは、完全RBC、RBCゴースト、RBC膜、RBC溶解物、RBC画分、RBCから単離された糖脂質受容体、及びそれらの組合わせを包含することが理解されよう。
【0036】
本明細書で使用される用語「赤血球構成要素」、「赤血球生産物」、又は「RBC生産物」は、完全RBC、RBCゴースト、RBC膜、RBC溶解物、RBC画分、RBCから単離された糖脂質受容体、及び例えば培地(複数可)中で赤血球をインキュベートし、又は培養することによって作製した上清を含む赤血球の一部又は該赤血球に関連するものを指す。
【0037】
本明細書で使用される用語「RBCゴースト」は、一部の(例えば:10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%超)細胞質タンパク質をそこから除去したRBCを指すことが理解されよう。細胞質タンパク質は、例えばRBCの溶解及び洗浄により、除去することができる。
【0038】
本明細書で使用される用語「タンパク質」は、ペプチド結合によって一緒に結合した、アミノ酸から構成されるポリマーを指す。
【0039】
本明細書で使用される用語「赤血球タンパク質」又は「赤血球関連タンパク質」は、細胞内に(例えば、赤血球内、又は赤血球溶解物内に認められる)、赤血球の表面に部分的に、若しくは完全に(例えば、赤血球膜中に)局在するタンパク質、又は赤血球から外部環境(例えば、培地又は血漿/血清)中に放出され、又は分泌されるタンパク質を含む、赤血球に関連する、又は該赤血球の近傍にあるタンパク質を指す。赤血球タンパク質は、例えば、赤血球により内在化され、若しくは外在化される、又は特異的に、若しくは非特異的に赤血球の表面に結合する、外的に付加されたタンパク質(例えば、精製、組換え、及び/又はプラスミド/ベクターによって発現されるタンパク質)を含む。
【0040】
本明細書で使用される用語、赤血球タンパク質の「放出又は分泌」、あるいはタンパク質が赤血球により「放出され、又は分泌される」は、タンパク質が(i) 細胞内領域若しくはRBCの内部からRBCの表面及び/又は細胞外若しくは外部領域(例えば、血漿、血清、又は培地)へ能動的又は非能動的機構によって移動したこと、あるいは(ii) RBCの細胞外又は外部領域から(例えば、血漿、血清、又は培地から)RBCの表面及び/又は細胞外領域若しくは外部へと移動したことを指す。タンパク質は、当技術分野で公知の細胞表面タンパク質結合相互作用(例えば、受容体、共有結合、非共有結合、接着)によって赤血球の表面に結合することができる。表面結合タンパク質は、放出されてRBCの細胞外又は外部領域(例えば、血漿、血清、又は培地)へと戻ることができる。
【0041】
本明細書で使用される用語「薬剤」は、細胞(例えば、赤血球又は標的細胞)への作用(例えば、細胞活動及び/又はタンパク質レベルへの作用)を有する1以上の物質を指し、例えばタンパク質(例えば、合成、精製、組換え、又はベクターにより発現させたタンパク質)、酵素(例えば、化学反応、例えばタンパク質反応を加速させる、又は触媒する物質)、核酸(例えば、RNA、DNA、又は合成核酸)、プロテアーゼ阻害剤(例えば、特異的又は非特異的プロテアーゼ阻害剤)、タンパク質変性剤(例えば、酸化又は還元試薬)、RNA安定化剤(例えば、化学(例えば、RNアーゼ不活化薬剤)、低分子、又は生物学的(例えば、アミノグリコシド)物質)、抗凝固剤(例えば、クマリン、ヘパリン、キレート剤(例えば、EDTA、EGTA))、化学物質(例えば、合成又は天然の化学化合物)、及び例えば、免疫細胞、幹細胞、内皮細胞、線維芽細胞、及び滑液細胞を含む細胞(例えば、対象由来の初代細胞又は他の健常/正常細胞、癌細胞、不死化細胞、又は細胞株(例えば、対象(例えば、ヒト)に由来する細胞株)を含む。
【0042】
本明細書で使用される用語「刺激された」又は「処理された」赤血球又はRBCは、赤血球が薬剤(複数可)と接触し(例えば、該薬剤とインキュベートされ、培養され、又は合わされて)、又は特定の条件(複数可)(例えば、剪断応力、低酸素、酸素過剰)に曝露された後、赤血球タンパク質の存在又はレベルが増加し、又は低下することを指す。
【0043】
本明細書で使用される用語「刺激された赤血球構成要素」は、薬剤(複数可)又は条件(複数可)により刺激され、又は処理された赤血球に由来する赤血球構成要素を指す。
【0044】
本明細書で使用される用語「標的細胞」は、刺激された赤血球又は刺激された赤血球構成要素と接触させるべき1以上の細胞を指し、対象由来の初代細胞又は他の健常/正常細胞、癌細胞、不死化細胞、又は細胞株(例えば、対象(例えば、ヒト)由来の細胞株)を含み得る。いくつかの実施態様において、標的細胞は、免疫細胞、幹細胞、内皮細胞、線維芽細胞、又は滑液細胞を含む。
【0045】
本明細書で使用される用語「標的細胞構成要素」又は「標的細胞生産物」は、標的細胞の一部又はこれらに関連するものを指し、これには完全な細胞、標的細胞ゴースト、標的細胞膜、標的細胞溶解物、標的細胞画分、標的細胞から単離された糖脂質受容体、及び例えば、培地(複数可)中で標的細胞をインキュベートし、又は培養することにより作製した上清がある。
【0046】
本明細書で使用される「培地(media)」又は「培地(medium)」は、細胞又は細胞構成要素の生存可能性を維持する能力を有する組成物を指す。培地は、細胞の成長及び増殖を刺激し(例えば、細胞培養培地)、又は特定の及び/若しくは既存の成長状態に細胞を維持する(例えば、細胞インキュベーション培地)ことができる。培地の非限定的な例には、等張塩溶液、平衡塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)、アール平衡塩溶液(EBSS)、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改良最小必須培地(IMEM)、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及びイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)がある。
【0047】
本明細書で使用される「細胞上清」は、所与の温度、又は所与の温度範囲で、所与の期間、例えば:5分、10分、20分、30分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、又は120時間超細胞集団をインキュベートし、又は培養するために使用された細胞インキュベーション又は培養培地を意味することが理解されよう。
【0048】
本明細書で使用される「細胞洗浄液」は、細胞集団をすすぐのに使用され、細胞洗浄液が細胞培養用の培地としても使用されない限り、先に規定した細胞上清とは異なる液体を意味することが理解されよう。従って、「細胞洗浄液」を作製するために使用される流体は:30分、20分、15分、10分、5分、4分、3分、2分、1分、又は30秒未満の期間細胞集団と混合することができる。
【0049】
本明細書で使用される用語「プロテアーゼ阻害剤」は、プロテアーゼ酵素の触媒(例えば、タンパク質分解)活性を遮断し、又は低下させる物質(例えば、タンパク質又は化学物質)を指す。プロテアーゼ阻害剤は、典型的にはプロテアーゼの活性部位を遮断し、かつその基質へのアクセスを妨害することにより、プロテアーゼが所与のタンパク質のペプチド結合を切断する能力を阻止することができる。非限定的な例として、プロテアーゼ阻害剤には、非特異的プロテアーゼ阻害剤(例えば、特定のタンパク質又はタンパク質クラスに対し特異的ではないプロテアーゼ阻害剤)、特異的プロテアーゼ阻害剤(例えば、特定のタンパク質又は基質に特異的なプロテアーゼ阻害剤、例えば、セリンプロテアーゼ阻害剤、システインプロテアーゼ阻害剤、メタロプロテアーゼ阻害剤、及びアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤)、又は二重特異性、多重特異性、又は汎特異性プロテアーゼ阻害剤(例えば1以上のタンパク質又は1以上のタンパク質クラスに特異的なプロテアーゼ阻害剤、例えばセリン及びシステインプロテアーゼ阻害剤)を挙げることができる。
【0050】
本明細書で使用される用語「剪断応力」は、面積に対する力の比を指す。
【0051】
本明細書で使用される用語「対象」には、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、霊長類、鳥類、及びげっ歯類種を含む1以上の動物がある。対象は、その血液が赤血球を含む動物(例えば、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類、又は両生類)とし得る。いくつかの実施態様において、対象は、例えばヒト又は非ヒト哺乳動物などの哺乳動物とし得る。別の実施態様において、対象は、マウス、ラット、ハムスター、フェレット、スナネズミ、ウサギ、サル、チンパンジー、ウマ、ポニー、ロバ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、ヤギ、ネコ、又はイヌとし得る。
【0052】
本明細書で使用される用語「治療」又は「治療法」は、疾患、障害、若しくは状態、及び/又はそれらに関係する症状の1以上の症状の予防、軽減、又は改善におけるものを含む疾患、障害、又は状態を予防し、管理し、軽減し、又は改善することにおいて使用することができる1以上のプロトコル、方法、及び/又は薬剤を指す。ある実施態様において、用語「治療(treatment)」及び「治療(treatments)」は、当業者、例えば医療従事者に公知の生物学的治療法、支持療法、及び/又は疾患、障害、又は状態の予防、管理、軽減、及び/又は改善に有用な他の治療法を指す。
【0053】
本明細書で使用される用語「補助療法」は、一次治療、主治療、又は最初の治療の有効性を最大化するために一次治療、主治療、又は最初の治療に加えて施される治療法を意味することが理解されよう。補助療法は、最初の治療と同じ経路により、又は異なる経路により、施すことができる。任意の補助療法は、一次治療と同時に、又は異なる時に施すこともできる。
【0054】
本明細書における先行技術文書の記載、又はそれらの文書から演繹された、若しくは該文書に基づく本明細書における陳述は、該文書又は演繹された陳述が、関連技術分野の共通の一般的知識の一部であることを承認するものではない。
【0055】
説明を目的として、本明細書中で言及される全ての文書は、別途言明されない限り、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
詳細な説明において使用される件名標目は、参照を容易にするために、又は読者のために含められており、本件開示又は特許請求の範囲の全体を通じて認められる主題事項を限定するために使用されるべきではない。件名標目は、特許請求の範囲の範囲、又は特許請求の範囲の限定の解釈において使用されるべきではない。
【0057】
(詳細な説明)
体内の他の細胞の活動を調節するタンパク質、例えばサイトカイン及びケモカインの利用可能性に影響を与えることによる、免疫反応の調節におけるRBCの役割は、一般に認知されていない。本発明者らは、RBCが様々な条件下で、サイトカイン、ケモカイン、及び成長因子を含む広範なタンパク質を隔離し、又は放出することができることを確認した。従って、過去認知されていなかったものの、RBCは細胞シグナル伝達、免疫反応、細胞発達、細胞成長、細胞成長阻害、細胞死、及び細胞修復への影響を有する様々な因子の利用可能性の調節において重要な役割を果たすようである。
【0058】
以下の説明は、本件開示の例示的な実施態様を十分な詳細さで伝達し、当業者がそれを実践することを可能にする。記載された様々な実施態様の特徴又は限定は、必ずしも本件開示の他の実施態様又は本件開示を全体として、限定するものではない。従って、以下の詳細な説明は、特許請求の範囲によってのみ規定される本件開示の範囲を限定はしない。
【0059】
(赤血球)
本件開示の方法において使用するための赤血球(RBC)は、対象(例えば、血液試料中)、既存の血液保存機関/貯蔵所(例えば、血液バンク)、他の商業的供給源(例えば、赤血球供給業者)などを含む好適な供給源から取得することができる。いくつかの実施態様において、赤血球を刺激された赤血球構成要素又は標的細胞構成要素を投与することができる対象(例えば、治療又は治療法を必要とする対象)から取得する。他の実施態様において、赤血球を別の/異なる対象(例えば、血液型の適合したドナー(例えば、家族の成員))から取得することができる。
【0060】
血液の収集及びRBCの分離又は単離のための例示的方法は、当業者に公知であり、例えば、遠心分離、磁気ビーズ技術、蛍光活性化細胞選別、デキストラン沈降法、密度勾配分離、白血球減少濾過などがある。好適な方法論は、例えば以下の参考文献に開示されている:デキストラン沈降法―Tenczar FJ.の文献、「白血球に乏しい赤血球の調製における逆転遠心分離、生理食塩水洗浄、及びデキストラン沈降法の比較(Comparison of inverted centrifugation, saline washing, and dextran sedimentation in the preparation of leukocyte-poor red cells.)」 Transfusion, 13(4) 1973; 密度勾配分離―Vettore L, De Matteis MC, Zampini P.の文献、「ヒト赤血球の分離のための新規密度勾配システム(A new density gradient system for the separation of human red blood cells.)」 American Journal of Hematology, 8(3) 1980; 白血球減少濾過―AuBuchon JP, Elfath MD, Popovsky MA, Stromberg RR, Pickard C, Herschel L, Whitley P, McNeil D, Arnold N, O’Conner JL.の文献、「赤血球単位のための新規保存前白血球減少フィルターの評価(Evaluation of a new prestorage leukoreduction filter for red blood cell units.)」 Vox Sanguinis, 72(2) 1997。
【0061】
いくつかの実施態様において、タンパク質の放出、保持、又は隔離を誘導し、又は誘発するために刺激された、又は処理されたRBCは、RBCゴーストを含み、又は該ゴーストからなってもよい。RBCゴーストは、例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%; 99%、若しくは99.5%超、又は全ての細胞質タンパク質が除去され得る。RBCゴーストは、例えば、低張溶血などの公知の技術を使用して作製することができる(例えば、Bramley TA, Coleman R, Finean JB.の文献、「異なる浸透圧モル濃度の媒体中での低張溶解によって調製されたヒト赤血球ゴーストの化学的、酵素的、及び透過性特性(Chemical, enzymological and permeability properties of human erythrocyte ghosts prepared by hypotonic lysis in media of different osmolarities.)」 Biochimica et Biophysica Acta - Biomembranes, 241(3) 1971を参照されたい)。
【0062】
他の実施態様において、刺激されてタンパク質の放出、保持、又は隔離を誘導されたRBCは、RBC膜又はRBC膜断片を含むか、又はこれらからなる場合がある。これらは、例えば、低張溶血及び溶解物の凍結解凍などの公知の技術を使用して作製することができる。
【0063】
いくつかの実施態様において、RBCを洗浄して、他の膜関連タンパク質を除去することができる。細胞の洗浄を、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、等張塩溶液、成長培地、培養培地、又はそれらの組合わせなどの好適な媒体を使用して実施することができる。本件開示の方法における細胞洗浄液及び/又は細胞培養培地としての使用のための好適な媒体の非限定的な例には、以下:等張塩溶液、平衡塩溶液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)、アール平衡塩溶液(EBSS)、ロズウェルパーク記念研究所培地(RPMI)、最小必須培地(MEM)、改良最小必須培地(IMEM)、イーグル最小必須培地(EMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、又はそれらの組合わせの1以上がある。
【0064】
他の実施態様において、RBCは溶解することができ、溶解物及び/又はRBC膜を単離することができる。RBC膜を洗浄して、関連タンパク質を除去することができる。さらに、あるいは、RBC膜を処理して、所望の標的タンパク質と直接的又は間接的に結合させることができる。
【0065】
(赤血球タンパク質)
本件開示は、少なくとも部分的に、RBCが様々なタンパク質(例えば、サイトカイン及びケモカイン)の貯蔵器官として振る舞うことができることを本発明者らが確認したことに依存する。本明細書で実証されるように、RBCはこれらのタンパク質を内部に、及び/又はその外膜表面に、多くの場合顕著な量で含む。本発明者らは、RBCがこれらのタンパク質(例えば、サイトカイン、ケモカイン、及び成長因子)を隔離し、保持し、又は放出するように操作することができることを示した。これにより、細胞成長、細胞死、細胞分化、及び/又は免疫反応を含むプロセスに影響を及ぼす手段が提供される。
【0066】
いくつかの実施態様において、RBCによって隔離され、又は保持されるタンパク質は、内部に局在する。従って、外部タンパク質は、RBCによって内在化され得る。RBCによって放出され、又は分泌されるタンパク質は、細胞内部から細胞膜を横断して外部環境へと移動し、又は輸送され得る。
【0067】
他の実施態様において、RBCによって隔離され、保持され、放出され、又は分泌されるタンパク質は、細胞表面に局在する。タンパク質は、RBC外膜に直接結合するか、又は1以上のRBC膜タンパク質及び/若しくは分子を介して間接的に外膜に結合し得る。
【0068】
いくつかのタンパク質は、本件開示の方法により調節され得るものであり、非限定的な例には、シグナル伝達分子、例えばケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、細胞内シグナル伝達物質、ホルモン、核内転写調節因子、神経伝達物質、及び細胞外マトリックス構成要素、及び酵素がある。例えば、成長因子としては、例えば、皮膚細胞(例えば、上皮増殖因子(EGF)、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、遊走刺激因子(MSF))、神経細胞/神経系(例えば、ニューレグリン(例えば、ニューレグリン1〜4)、及びニューロトロフィン(例えば、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3(NT-3)、ニューロトロフィン-4(NT-4)))、結合組織及び間葉系細胞(例えば、線維芽細胞増殖因子(FGF))、血管細胞(例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、胎盤増殖因子(PGF)、血管内皮増殖因子(VEGF))、血液細胞(例えば、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF))、及び多面発現性成長因子(pleitropic growth factors)(例えば、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-α)、腫瘍壊死因子(TNF))を伴う細胞増殖(例えば、インスリン様増殖因子(IGF-1)、インスリン様増殖因子-2(IGF-2))の成長、増殖、回復、又は分化を刺激する成長因子を挙げることができる。
【0069】
受容体としては、細胞内受容体(例えば、核内(例えば、転写調節因子)、細胞質(例えば、ステロイド)、及び小胞体(endoplasmic recticulum)(例えば、IP3)受容体、又は細胞表面受容体(例えば、イオンチャネル結合、Gタンパク質結合、酵素結合、tollゲート、リガンド開口型受容体、インテグリン)を挙げることができる。ホルモンとしては、脂質由来(例えば、プロスタグランジン、ロイコトリエン、プロスタサイクリン(prostacylins)、トロンボキサン);アミノ酸由来(例えば、エピネフリン、メラトニン、チロキシン);ペプチド(例えば、アミリン、アディポネクチン(adiponenctin)、アンジオテンシノーゲン、カルシトニン、脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、エリスロポエチン、濾胞刺激ホルモン(FSH)、グレリン、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、インスリン、インスリン様増殖因子(IGF)など);及びステロイド(例えば、アンドロゲン、エストロゲン、グルココルチコイド、プロゲストーゲン、セコステロイドなど)を挙げることができる。細胞内シグナル伝達物質又はトランスデューサ―としては、タンパク質ファミリー及びタンパク質キナーゼ(例えば、Ras及びSrcファミリー)、及びWntシグナル伝達ファミリータンパク質を挙げることができる。神経伝達物質としては、アミノ酸、ペプチド(例えば、β-エンドルフィン、オピオイド)、モノアミン、微量アミン、プリン、及びガス状伝達物質を挙げることができる。核内転写調節因子としては、DNA転写の調節因子(例えば、fos、myc、N-myc)及びmRNA転写の調節因子、及び細胞分裂の抑制因子(例えば、p53、pRb)を挙げることができる。酵素としては、酸化還元酵素(例えば、アルコール、アルデヒド、アミノ酸、硫黄、ジフェノール、ペルオキシド(peroxidises)など)、NADH、NADPH、ヌクレアーゼ、プロテアーゼ、キナーゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、及びリガーゼを挙げることができる。
【0070】
本件開示に従うRBCによって隔離され、保持され、かつ/又は放出され得るタンパク質の種類(複数可)に特定の限定を与えるものではないが、非限定的な例には、ケモカイン、サイトカイン、及び成長因子がある。
【0071】
ある実施態様において、かつやはり特定の限定を伴うことなく、RBCによって隔離され、保持され、かつ/又は放出され得るタンパク質には、表1に記載の1以上のタンパク質がある。
【0072】
表1:本件開示に従いRBCによって隔離され、かつ/又は放出され得る個別のタンパク質の非限定的な例
【表1】
[この文献は図面を表示できません]
【0073】
ある実施態様において、少なくとも1つのタンパク質のレベルは、本明細書で提供する方法によって、対象において調節される。他の実施態様において、少なくとも1つのタンパク質、少なくとも2つのタンパク質、少なくとも3つのタンパク質、少なくとも4つのタンパク質、少なくとも5つのタンパク質、少なくとも6つのタンパク質、少なくとも7つのタンパク質、少なくとも8つのタンパク質、少なくとも9つのタンパク質、少なくとも10個のタンパク質、少なくとも11個のタンパク質、少なくとも12個のタンパク質、少なくとも13個のタンパク質、少なくとも14個のタンパク質、少なくとも15個のタンパク質、少なくとも16個のタンパク質、少なくとも17個のタンパク質、少なくとも18個のタンパク質、少なくとも19個のタンパク質、少なくとも20個のタンパク質、少なくとも21個のタンパク質、少なくとも22個のタンパク質、少なくとも23個のタンパク質、少なくとも24個のタンパク質、少なくとも25個のタンパク質、少なくとも26個のタンパク質、少なくとも27個のタンパク質、少なくとも28個のタンパク質、少なくとも29個のタンパク質、又は少なくとも30個のタンパク質のレベルは、対象において調節される。いくつかの実施態様において、少なくとも2つのタンパク質のレベルは、対象において調節される。他の実施態様において、少なくとも3つのタンパク質のレベルは、対象において調節される。さらに他の実施態様において、少なくとも4つのタンパク質のレベルは、対象において調節される。他の実施態様において、少なくとも5つのタンパク質のレベルは、対象において調節される。別の実施態様において、少なくとも6つのタンパク質のレベルは、対象において調節される。いくつかの他の実施態様において、少なくとも7つのタンパク質のレベルは、対象において調節される。別の実施態様において、少なくとも8つのタンパク質のレベルは、対象において調節される。さらに他の実施態様において、少なくとも9つのタンパク質のレベルは、対象において調節される。さらに他の実施態様において、少なくとも10個のタンパク質のレベルは、対象において調節される。
【0074】
ある実施態様において、赤血球を薬剤(複数可)と接触させることにより、1以上の赤血球タンパク質、2以上の赤血球タンパク質、3以上の赤血球タンパク質、4以上の赤血球タンパク質、5以上の赤血球タンパク質、6以上の赤血球タンパク質、7以上の赤血球タンパク質、8以上の赤血球タンパク質、9以上の赤血球タンパク質、10以上の赤血球タンパク質、11以上の赤血球タンパク質、12以上の赤血球タンパク質、13以上の赤血球タンパク質、14以上の赤血球タンパク質、15以上の赤血球タンパク質、16以上の赤血球タンパク質、17以上の赤血球タンパク質、18以上の赤血球タンパク質、19以上の赤血球タンパク質、20以上の赤血球タンパク質、21以上の赤血球タンパク質、22以上の赤血球タンパク質、23以上の赤血球タンパク質、24以上の赤血球タンパク質、25以上の赤血球タンパク質、26以上の赤血球タンパク質、27以上の赤血球タンパク質、28以上の赤血球タンパク質、29以上の赤血球タンパク質、又は30以上の赤血球タンパク質のレベルが調節される。いくつかの実施態様において、薬剤(複数可)により、2以上の赤血球タンパク質のレベルが調節される。他の実施態様において、薬剤(複数可)により、3以上の赤血球タンパク質のレベルが調節される。さらに他の実施態様において、薬剤(複数可)により、4以上の赤血球タンパク質のレベルが調節される。いくつかの他の実施態様において、薬剤(複数可)により、5以上の赤血球タンパク質のレベルが調節される。他の実施態様において、薬剤(複数可)により、6以上の赤血球タンパク質のレベルが調節される。さらに他の実施態様において、薬剤(複数可)により、7以上の赤血球タンパク質のレベルが調節される。さらに他の実施態様において、薬剤(複数可)により、8以上の赤血球タンパク質のレベルが調節される。いくつかの他の実施態様において、薬剤(複数可)により、9以上の赤血球タンパク質のレベルが調節される。他の実施態様において、薬剤(複数可)により、10以上の赤血球タンパク質のレベルが調節される。
【0075】
(赤血球の刺激)
本件開示の方法に従って、RBCは様々な薬剤又は様々な環境条件により刺激され、又は処理されて、赤血球タンパク質のレベルを調節することができる。ある実施態様において、赤血球を薬剤又は条件と接触させる前後の、1以上の赤血球タンパク質のレベルの差を測定することにより、赤血球を刺激するための方法を提供する。
【0076】
ある実施態様において、1以上の赤血球関連タンパク質、2以上の赤血球関連タンパク質、3以上の赤血球関連タンパク質、4以上の赤血球関連タンパク質、5以上の赤血球関連タンパク質、6以上の赤血球関連タンパク質、7以上の赤血球関連タンパク質、8以上の赤血球関連タンパク質、9以上の赤血球関連タンパク質、10以上の赤血球関連タンパク質、11以上の赤血球関連タンパク質、12以上の赤血球関連タンパク質、13以上の赤血球関連タンパク質、14以上の赤血球関連タンパク質、15以上の赤血球関連タンパク質、16以上の赤血球関連タンパク質、17以上の赤血球関連タンパク質、18以上の赤血球関連タンパク質、19以上の赤血球関連タンパク質、又は20以上の赤血球関連タンパク質のレベルを測定する。いくつかの実施態様において、2以上の赤血球関連タンパク質のレベルを測定する。他の実施態様において、3以上の赤血球関連タンパク質のレベルを測定する。さらに他の実施態様において、4以上の赤血球関連タンパク質のレベルを測定する。いくつかの他の実施態様において、5以上の赤血球関連タンパク質のレベルを測定する。他の実施態様において、6以上の赤血球関連タンパク質のレベルを測定する。さらに他の実施態様において、7以上の赤血球関連タンパク質のレベルを測定する。さらに他の実施態様において、8以上の赤血球関連タンパク質のレベルを測定する。いくつかの他の実施態様において、9以上の赤血球関連タンパク質のレベルを測定する。他の実施態様において、10以上の赤血球関連タンパク質のレベルを測定する。
【0077】
ある実施態様において、赤血球関連タンパク質(複数可)のレベルの変化は、異なっているか、実質的に異なっている。1以上のタンパク質の異なる又は実質的に異なるレベルは、例えば、異なるタンパク質レベル(例えば、当業者が決定した適切な統計解析の範囲内にない)から、当業者が、例えば統計解析又は閾値倍数差によって同等であると決定したタンパク質レベルを上回るタンパク質レベル(例えば、2倍差を上回るタンパク質レベル)にいたるまで、変動し得る。いくつかの実施態様において、薬剤(複数可)又は条件(複数可)と接触させる前後の1以上の赤血球関連タンパク質のレベルは、異なっている。さらに他の実施態様において、薬剤(複数可)又は条件(複数可)と接触させる前後の1以上の赤血球関連タンパク質のレベルは、実質的に異なっている。他の実施態様において、薬剤(複数可)又は条件(複数可)と接触させる前後の1以上の赤血球関連タンパク質のレベルの差は、当業者に利用可能な統計法(例えば、0.05以上のp-値を有するスチューデントのT検定)によって決定して、実質的に異なっている。例えばスチューデントのT検定、ANOVA検定、混合効果モデル、マン-ホイットニー検定、ウィルコクソンの順位和、又はスピアマンの順位相関を含むいくつかの統計解析法は、薬剤(複数可)又は条件(複数可)と接触させる前後の赤血球関連タンパク質のレベルの差を決定するのに適切である。赤血球関連タンパク質(複数可)のレベルの差は、いくつかの実施態様において、1以上のタンパク質のレベルの増加に;他の実施態様において、1以上のタンパク質のレベルの低下に;又はさらに他の実施態様において、1以上のタンパク質のレベルの増加及び低下の両方に起因し得る。
【0078】
ある実施態様において、薬剤又は条件により、タンパク質の放出が誘導され、又は誘発される。タンパク質は細胞内部から細胞膜を横断して外部環境へと輸送され得、あるいはタンパク質は、RBCの外膜表面から放出され得る。さらに、あるいは、RBCは刺激され、又は処理されて外部タンパク質の隔離を誘導し得る。タンパク質は細胞内部へと、及び/又はRBCの外膜表面上に隔離され得る。さらに、あるいは、RBCは刺激され、又は処理されて、RBC内部に、及び/又はRBCの表面又は膜上に局在するタンパク質の保持を促進し得る。
【0079】
以下は、本件開示に従ってRBCに適用し得る具体的な薬剤/処理、又は条件の非限定的な例である。いくつかの実施態様において、RBCは薬剤により刺激され、又は処理されてタンパク質の放出、保持、又は隔離を誘導し得る。例示的な薬剤は、以下:タンパク質、酵素、核酸、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、RNA安定化剤、抗凝固剤、細胞、又はそれらの組合わせの1以上とすることができる。特に、RBCは1以上のタンパク質(例えば、合成、精製、組換え、及び/又はベクターで発現させたタンパク質)、酵素(例えば、化学反応、例えばタンパク質反応を加速させ、又は触媒する物質)、核酸(例えば、RNA、DNA、又は合成核酸)、プロテアーゼ阻害剤(例えば、特異的又は非特異的プロテアーゼ阻害剤)、タンパク質変性剤(例えば、酸化又は還元試薬)、RNA安定化剤(例えば、化学的(例えば、RNアーゼ不活化薬)、低分子、又は生物学的(例えば、アミノグリコシド)物質)、抗凝固剤(例えば、クマリン、ヘパリン、キレート剤(例えば、EDTA、EGTA))、化学物質(例えば、合成の又は天然の化学化合物)、及び細胞(例えば、対象由来の初代細胞又は他の健常/正常細胞、癌細胞、不死化細胞、細胞株(例えば、対象由来の細胞株))により刺激することができる。
【0080】
いくつかの実施態様において、プロテアーゼ阻害剤は、例えばアプロチニン、ロイペプチン、α2-マクログロブリン、アンチパイン二塩酸塩、カルパイン阻害因子I、カルパイン阻害因子II、キモスタチン、TLCK(CAS 131918-97-3)、トリプシン阻害因子、Pefabloc SC(Roche)、PMSF(C6H5CH2SO2F - Thermo Fisher Scientific)、cOmpleteプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)、又はそれらの組合わせから選択され得る。
【0081】
他の実施態様において、抗凝固剤は、例えば、ヘパリン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA二ナトリウム塩、EDTA四ナトリウム塩、EDTA二カリウム塩、EDTA二アンモニウム塩、エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)四酢酸(EGTA)、EDTA三ナトリウム塩、EDTA三カリウム塩、エチレングリコール-O,O-ビス(2-アミノエチル)-N,N,N,N-四酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N,N,N-三酢酸三ナトリウム塩、クエン酸塩、酸性クエン酸デキストロース、クエン酸水素二アンモニウム、酒石酸二アンモニウム、ワルファリン、N-(2-ビス(カルボキシメチル)アミノエチル)-N-(2-ヒドロキシエチル)グリシン塩二水和物、クエン酸、クエン酸一ナトリウム塩、クエン酸二ナトリウム塩、クエン酸三ナトリウム塩、クエン酸一カリウム塩、クエン酸三カリウム塩、タンパク質C/タンパク質S、ニトリロ三酢酸、酒石酸カリウムナトリウム、D-酒石酸水素カリウム、L-酒石酸一ナトリウム塩、L-酒石酸二ナトリウム塩、L-酒石酸二カリウム塩、ストレプトキナーゼ、硫酸プロタミン、トリス(カルボキシメチル)アミン、抗トロンビンIII、フェンプロクモン、ヒルジン、ニクマロン、クマジン、グリコサミノグリカン、イブプロフェン、アセチルサリチル酸、インドメタシン、プロスタグランジン、スルフィンピラゾン、ウロキナーゼ、ヒルログ、組織プラスミノーゲン活性化因子、クマリン、及びそれらの組合わせから選択することができる。
【0082】
従って、いくつかの実施態様において、RBCをプロテアーゼ阻害剤(例えば、cOmpleteプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche))によって刺激し、以下のタンパク質:IFN-α2、IFN-γ、IL-1β、IL-8、IL-9、IL-12p70、IL-16、IL17、IL-18、MIF、TNF-α、IL-2rα、IL-4、CTACK、GRO-α、IL-18、MCP-1、MIP-1 GRO-α、MIP-1β、RANTES、SDF-1α、βFGF、G-CSF、GM-CSF、HGF、IL-3、IP-10、M-CSF、PDFG-bb、VEGF、IL-2、IL-6、IL-12p40の1以上を分泌/放出するように誘導する。他の実施態様において、RBCをプロテアーゼ阻害剤で刺激し、又は処理して、以下のタンパク質:CTACK、GRO-α、βFGF、G-CSF、CM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN-γ、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2rα、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12-40、IL-12p70、IL-13、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IP-10、LIF、MCP-1、M-CSF、MIF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、β-NGF、PDGF-bb、RANTES、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、及びVEGFの1以上を保持し、かつ/又は隔離するように誘導する。
【0083】
さらなる実施態様において、RBCを抗凝固剤(例えば、クマリン、ヘパリン、及び/又はEDTA)で刺激し、かつ1以上のタンパク質(例えば、MIF)を分泌/放出するように誘導する。
【0084】
他の実施態様において、RBCをホルムアミド、グアニジン(イソチオシアネート、チオシアネート、HCl)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、又は尿素を含み得るタンパク質変性剤(例えば、化学物質)で刺激する。
【0085】
さらに他の実施態様において、RBCをRNA、DNA、又は人工核酸のような核酸で刺激する。RBCを核酸で直接的に(例えば、形質転換、トランスフェクション、形質導入、又は注入)、又は例えば、ビヒクル(例えば、ウイルス又はポリマー)を通じて間接的に刺激することができる。
【0086】
別の実施態様において、RBCを、RNA安定化剤(例えば、RNアーゼ、又はアミノグリコシド)で刺激する。
【0087】
さらに他の実施態様において、RBCを1つの細胞種及び/若しくは細胞株、又はいくつかの細胞種及び/若しくは細胞株を含む細胞で刺激する。いくつかの実施態様において、細胞は、免疫細胞、癌細胞、幹細胞、内皮細胞、線維芽細胞、滑液細胞、及び骨髄細胞である。免疫細胞は、例えば、以下のもの:T-リンパ球、B-リンパ球、単球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、好酸球、又は好塩基球の1以上であり得る。癌細胞は、例えば、腫瘍細胞、固形腫瘍細胞、播種性腫瘍細胞、癌性血液細胞の1以上であり得る。幹細胞は、例えば以下のもの:全能性幹細胞、多能性幹細胞、複能性幹細胞、組織幹細胞、胚性幹細胞、ヒト胚性幹細胞(HeSC)、体性幹細胞、造血幹細胞(例えば、臍帯血、骨髄からのもの)、骨髄間質性幹細胞(骨格幹細胞)、人工多能性幹細胞(IPSO)、表皮幹細胞、上皮性幹細胞、間葉性幹細胞、神経幹細胞、間葉性幹細胞、又はそれらの組合わせの1以上であり得る。さらに他の実施態様において、細胞は、例えばHUVEC、HEK-293、HT-29、MEWO、Jurkat、MCF-7、又はA549細胞、などを含む当業者に公知の多くの細胞株の細胞であり得る。
【0088】
本件開示のある態様において、RBCをある条件にさらしてRBCを刺激することができる。いくつかの実施態様において、RBCを剪断応力にさらしてタンパク質の放出、保持、又は隔離を誘導することができる。RBCは静脈循環から毛細血管床へと移行する際に、絶えずインビボ剪断力にさらされる。これは、例えばRBCを狭いゲージの針を介して押し出すなどの好適な手段に匹敵し得る。剪断力により、RBCには所与の個体において例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5倍、又は5倍超の標準血圧を上回る圧力が付与され得る。
【0089】
さらに他の実施態様において、RBCを過剰な酸素で刺激又は処理して、あるいは酸素不足にして、タンパク質の放出、保持、又は隔離を誘導することができる。例えば、RBCが高度に酸素供給されるように、好適な期間にわたる培養においてRBCを過剰な酸素で刺激又は処理(例えば、過酸素条件)することができる。さらに他の実施態様において、RBCが脱酸素化されるように、好適な期間にわたり低酸素培地(例えば、低酸素PBS)でRBCを刺激し、又は処理し、密封し、かつ培養することができる。
【0090】
(対象)
本明細書で提供する方法によるある実施態様は、対象に関する。対象は、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、霊長類、鳥類、又はげっ歯類種を含む動物とすることができる。対象は、その血液が赤血球を含む動物(例えば、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類、又は両生類)とすることができる。いくつかの実施態様において、対象は、例えば、ヒト又は非ヒト哺乳動物などの哺乳動物とすることができる。別の実施態様において、対象はマウス、ラット、ハムスター、フェレット、スナネズミ、ウサギ、サル、チンパンジー、ウマ、ポニー、ロバ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、ヤギ、ネコ、又はイヌとすることができる。対象は、疾患又は状態、例えば組織損傷、癌、炎症性疾患又は状態、及び/又は免疫障害などに罹患し得る。対象は疾患又は状態の一次治療を受けていてもよく、本件開示の方法を補助療法として使用してもよい。あるいは、本件開示の方法を対象への一次治療として使用し、別の治療法を補助療法として使用してもよい。いくつかの実施態様において、補助療法(例えば、刺激された赤血球及び/又は標的細胞)を、一次治療と同じ経路で、又は一次治療と異なる経路で対象に施してもよい。他の実施態様において、補助療法を一次治療と異なる時に(例えば、投与スケジュール)、又は一次治療と同時に対象に施してもよい。
【0091】
(細胞療法)
本明細書の実施例において提供する実験データより、RBCを刺激し、又は処理してタンパク質(例えば、サイトカイン、ケモカイン、及び/又は成長因子)を隔離し、保持し、又は放出することができることが実証される。
【0092】
本件開示は対象の細胞表面の、該細胞内の、又は該細胞の周囲の標的タンパク質のレベルを増加させ、又は低下させるための方法を提供する。また、本件開示は標的細胞種及び細胞集団の活動を(インビトロで、エクスビボで、又はインビボで)誘導し、又は調節するための方法を提供する。
【0093】
ある実施態様では、RBCを刺激し、又は処理してRBCの内部に存在する及び/又はRBCの表面に結合した1以上のタンパク質(例えば、標的タンパク質)のレベルを増加させ、又は低下させることを含む方法を対象とする。例えば、プロテアーゼ阻害剤により刺激し、又は処理することにより、抗凝固剤により刺激し、又は処理することにより、RBCを溶解させることにより、及びRBC膜を任意に単離することにより、RBCを洗浄することにより、RBCを剪断応力にさらすことにより、酸素によりRBCを刺激し、又は処理することにより、酸素をRBCから奪うことにより、及び/又はそれらの組合わせなどにより、対象に投与する前に、又は標的細胞と混合する前に、RBCを刺激し、又は処理することができる。
【0094】
いくつかの実施態様において、刺激され、又は処理されたRBC及び/又は刺激され、又は処理されたRBCの構成要素、又は生産物(例えば、RBC膜、RBC溶解物、RBC洗浄液、RBC培養上清、RBCゴースト)を対象に投与して、インビボで標的細胞集団(複数可)の活性/機能を調節することができる。以下のもの:完全RBC、溶解RBC、RBCゴースト、単離RBC膜、洗浄RBC、洗浄RBCからの洗浄液、培養RBCからのRBC上清、剪断応力にさらされたRBC、酸素により刺激され、処理されたRBC、酸素不足にされたRBC、又はそれらの組合わせの1以上を対象に投与することができる。溶解RBC、単離RBC膜、及び洗浄RBCを、プロテアーゼ阻害剤、抗凝固剤、細胞、又はそれらの組合わせにより刺激し、又は処理することができ、又はプロテアーゼ阻害剤、抗凝固剤、細胞、又はそれらの組合わせによって刺激され、又は処理された完全RBCから作製することができる。また、剪断応力にさらされたRBC、酸素により刺激され、又は処理されたRBC、及び酸素不足にされたRBCをプロテアーゼ阻害剤、抗凝固剤、細胞、又はそれらの組合わせにより前処理し、若しくは後処理し、又は刺激することができる。
【0095】
刺激され、若しくは処理されたRBC、及び/又は刺激され、若しくは処理されたRBCの構成要素若しくは生産物を、対象に局所に、又は全身に投与することができる。例えば、RBC/RBCの構成要素又は生産物を、静脈内、経皮、皮下、関節内、粘膜を介して(例えば、吸入、直腸)、筋肉内、大脳内、くも膜下腔内、及び/又は腹腔内に投与することができる。いくつかの実施態様において、RBCの対象への投与により、対象における1以上の免疫反応が誘導され、かつ/又は調節され得る。さらに、あるいは、RBCの対象への投与により、細胞発達が誘導され、かつ/又は調節され得る。さらに、あるいは、RBCの対象への投与により、細胞成長が誘導され、かつ/又は調節され得る。さらに、あるいは、RBCの対象への投与により、細胞死が誘導され、かつ/又は調節され得る。さらに、あるいは、RBCの対象への投与により、細胞修復が誘導され、かつ/又は調節され得る。
【0096】
いくつかの実施態様において、刺激され、若しくは処理されたRBC、及び/又は刺激され、若しくは処理されたRBCの構成要素若しくは生産物(例えば、RBC膜、RBC溶解物、RBC洗浄液、RBC培養上清、RBCゴースト)を標的細胞とインビトロ又はエクスビボで混合し、混合物(例えば、細胞培養物)を形成することができる。RBC及び標的細胞を混合することは、例えば、基板(例えば、細胞培養プレート又はフラスコ)上で、又は懸濁液中で(例えば、チューブ又はフラスコ内で)細胞を合わせ、インキュベートし、培養し、かつ/又は共培養することを含み得る。好適な標的細胞の非限定的な例には、これらに限定はされないが、免疫細胞、幹細胞、内皮細胞、線維芽細胞、滑液細胞、及び/又は骨髄細胞がある。所望の場合、混合物は、細胞活動(例えば、標的細胞活動、及び/又は存在する場合、RBCの活動)の修正、及び/又は標的タンパク質(複数可)の隔離、及び/又は混合物中の細胞からの標的タンパク質の放出(例えば、標的細胞活動、及び/又は存在する場合、RBCの活動)を達成するために好適な期間にわたって維持することができる。標的細胞及び/又は標的細胞生産物(複数可)(例えば、標的細胞膜、標的細胞溶解物、標的細胞洗浄液、標的細胞ゴースト)を対象に投与することができる。標的細胞及び/又は標的細胞生産物(複数可)を、混合物からの他の構成要素、例えば、混合物からの上清、及び/又は混合物からのRBC、及び/又は混合物からのRBCの構成要素若しくは生産物(例えば、RBC膜、RBC溶解物、RBC洗浄液、RBCゴースト)などを伴って、又は伴わないで、対象に投与することができる。混合物の1以上の構成要素を、対象に局所に(例えば、外用)又は全身に(例えば、経腸、非経口)投与することができる。例えば、構成要素(複数可)を静脈内、経皮、皮下、関節内、粘膜を介して(例えば、吸入、直腸)、筋肉内、大脳内、くも膜下腔内、及び/又は腹腔内投与することができる。いくつかの実施態様において、混合物からの標的細胞及び/又は標的細胞生産物(複数可)を、対象に局所に、又は全身に投与することができる。再度非限定的な例として、混合物からの標的細胞及び/又は標的細胞生産物(複数可)を対象に局所投与することができ、かつRBC及び/又はRBCの構成要素又は生産物を、対象に全身投与することができる。さらに、あるいは、混合物からの標的細胞及び/又は標的細胞生産物(複数可)を対象に全身投与することができ、かつRBC及び/又はRBCの構成要素若しくは生産物を対象に全身投与することができる。対象への1以上の構成要素(例えば、混合物の上清、標的細胞、標的細胞生産物(複数可)、RBC、及び/又はRBC生産物(複数可))の投与により、以下のもの:インビボでの細胞シグナル伝達、免疫反応、細胞発達、細胞成長、細胞成長阻害、細胞死、及び細胞修復の1以上を誘導し、かつ/又は調節することができる。
【0097】
本件開示の方法において使用するRBC、RBCの構成要素又は生産物、標的細胞、及び標的細胞の構成要素又は生産物は、それらを投与する対象の種(すなわち、同種異系)とは異なる1以上の種の個体(複数可)から取得し、又はそれに由来することができる。個体(複数可)及び対象は、哺乳動物とすることができる。
【0098】
本件開示の方法において使用するRBC、RBCの構成要素又は生産物、標的細胞、及び標的細胞の構成要素又は生産物は、それらを投与する対象の種と同じである種の個体(複数可)から取得し、又はそれに由来することができる(すなわち、同種異系)。個体(複数可)は対象と同じ血液型を有するか、又は対象の血液型と比較して異なる血液型を有し得る。個体(複数可)及び対象は哺乳動物(例えば、ヒト)とすることができる。
【0099】
本件開示の方法において使用するRBC、RBCの構成要素又は生産物、標的細胞、及び標的細胞の構成要素又は生産物は、それらを投与する対象から取得し、又はそれに由来することができる(すなわち、自己)。対象は、哺乳動物(例えば、ヒト)とすることができる。
【0100】
RBC、RBCの構成要素又は生産物、標的細胞、及び標的細胞の構成要素又は生産物が対象ではない個体(複数可)から取得され、又はそれに由来する実施態様において、細胞を収集し、分離するための標準的な方法は、当業者に公知のように使用され得る(例えば、遠心分離、磁気ビーズ技術、蛍光活性化細胞選別、デキストラン沈降法、密度勾配分離、白血球減少濾過など)。
【0101】
対象への処置及び再投与のために対象からRBCを取得する実施態様において、血液の収集及びRBCの分離のための方法は、当業者に公知のように使用することができる(例えば、血漿交換/赤血球フェレーシス、遠心分離、磁気ビーズ技術、蛍光活性化細胞選別、デキストラン沈降法、密度勾配分離、白血球減少濾過など)。
【0102】
本件開示の方法に従う対象へのRBC、RBCの構成要素若しくは生産物、標的細胞、及び/又は標的細胞の構成要素若しくは生産物の投与は、疾患及び状態の予防及び/又は治療に好都合な結果を提供し得る。
【0103】
非限定的な例として、RBCを薬剤又は条件で処理することにより、それらは刺激され、いったん対象に投与すると特定の標的タンパク質を隔離することができる。さらに、あるいは、RBCを刺激して、いったん標的細胞と混合し、かつ/又は対象に投与すると、1以上の標的タンパク質(すなわち、1以上の標的タンパク質種)を放出させることができる。特定の制限を付与することなく、標的タンパク質(複数可)は、ケモカイン(複数可)、サイトカイン(複数可)、及び/又は成長因子(複数可)であり得る。好適なタンパク質の非限定的な例は、上記表1に列記されている。
【0104】
刺激され、又は処理されたRBCの投与に際して誘導又は調節され得る対象中の標的細胞の非限定的な例には、これらに限定はされないが、免疫細胞、癌細胞、幹細胞、内皮細胞、線維芽細胞、滑液細胞、及び骨髄細胞がある。例えば、免疫細胞は、以下のもの:T-リンパ球、B-リンパ球、単球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、好酸球、好塩基球の1以上であり得る。例えば、癌細胞は、腫瘍細胞、固形腫瘍細胞、播種性腫瘍細胞、癌性血液細胞の1以上であり得る。例えば、幹細胞は、以下のもの:全能性幹細胞、多能性幹細胞、複能性幹細胞、組織幹細胞、胚性幹細胞、ヒト胚性幹細胞(HeSC)、体性幹細胞、造血幹細胞(例えば、臍帯血、骨髄からのもの)、骨髄間質幹細胞(骨格幹細胞)、人工多能性幹細胞(IPSO)、表皮幹細胞、上皮性幹細胞、間葉性幹細胞、神経幹細胞、間葉性幹細胞、又はそれらの組合わせの1以上であり得る。
【0105】
刺激され、又は処理されたRBC/刺激され、又は処理されたRBCの構成要素又は生産物と混合した後、対象に投与する標的細胞(例えば、免疫細胞、幹細胞、内皮細胞、線維芽細胞、滑液細胞、及び/又は骨髄細胞)及び標的細胞の構成要素又は生産物は、これらに限定はされないが、細胞発達、細胞成長、細胞死、細胞修復、及び/又は免疫反応の誘導及び/又は調節を含む多くの生物学的効果を有し得る。
【0106】
例えば、幹細胞の活動の調節には、以下のもの:系統の変化、サイトカイン分泌プロファイルの変化、幹細胞ホーミングの変化、移植可能性の変化、増殖可能性の増加又は低下、又はそれらの組合わせの1以上を含み得る。
【0107】
対象に投与する標的細胞は、それらを例えばRBCと混合した他の構成要素から単離/精製することができ、あるいは他の構成要素(複数可)(例えば、RBC構成要素)と一緒に対象に投与することができる。
【0108】
(医薬)
本件開示では、本件開示の方法を実施するための医薬を提供する。
【0109】
いくつかの実施態様において、医薬は、RBC内部に存在する、及び/又はRBCの表面に結合している1以上のタンパク質又は標的タンパク質のレベルを増加させ、又は低下させるために、本件開示に従って刺激又は処理されたRBCを含む。
【0110】
医薬は、医薬を投与する予定の対象から取得した、刺激され、又は処理されたRBCを含み得る。さらに、あるいは、医薬は、医薬を投与する予定の対象と同じ種の個体から取得した、刺激され、又は処理されたRBを含み得る。同じ種の個体は、対象と同じ血液型を有していてもよいし、いなくてもよい。さらに、あるいは、医薬は、医薬を投与する予定の対象と異なる種の個体から取得した、刺激され、又は処理されたRBCを含み得る。
【0111】
他の実施態様において、医薬は、本件開示に従って刺激され、又は処理されたRBC/RBCの構成要素又は生産物と混合した(例えば、培養した)標的細胞を含む。非限定的な例として、標的細胞は、免疫細胞、幹細胞、内皮細胞、線維芽細胞、滑液細胞、及び/又は骨髄細胞であり得る。例えば、免疫細胞は、T-リンパ球、B-リンパ球、単球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、好酸球、及び/又は好塩基球の1以上であり得る。癌細胞は、例えば、以下のもの:腫瘍細胞、固形腫瘍細胞、播種性腫瘍細胞、癌性血液細胞の1以上であり得る。幹細胞は、例えば、全能性幹細胞、多能性幹細胞、複能性幹細胞、組織幹細胞、胚性幹細胞、ヒト胚性幹細胞(HeSC)、体性幹細胞、造血幹細胞(例えば、臍帯血、骨髄からのもの)、骨髄間質幹細胞(骨格幹細胞)、人工多能性幹細胞(IPSO)、表皮幹細胞、上皮性幹細胞、間葉性幹細胞、神経幹細胞、間葉性幹細胞、又はそれらの組合わせの1以上であり得る。これらの医薬は、混合物の他の追加の構成要素(複数可)、例えばRBC及び/又はRBCの構成要素又は生産物などをさらに含み得る。
【0112】
いくつかの実施態様において、本件開示は対象における細胞シグナル伝達、免疫反応(複数可)、細胞発達、細胞成長、細胞成長阻害、細胞死、及び/又は細胞修復の1以上を誘導し、又は調節するための医薬の調製における、RBCの内部に存在する、及び/若しくはRBCの表面に結合している1以上のタンパク質又は標的タンパク質、並びに/又は溶解物、膜調製物、ゴースト、洗浄液、及び/若しくは培養上清の1以上から選択された刺激され、又は処理されたRBCの生産物又は構成要素のレベルを増加させ、又は低下させるために刺激され、又は処理されたRBCの使用を提供する。
【0113】
他の実施態様において、本件開示は、対象における細胞シグナル伝達、免疫反応(複数可)、細胞発達、細胞成長、細胞成長阻害、細胞死、及び/又は細胞修復の1以上を誘導し、又は調節する際に使用するための、RBCの内部に存在し、及び/若しくはRBCの表面に結合している標的タンパク質、及び/又は溶解物、膜調製物、ゴースト、洗浄液、及び培養上清の1以上から選択される刺激され、又は処理されたRBCの生産物のレベルを増加させ、又は低下させるために刺激され、又は処理されたRBCを提供する。
【0114】
いくつかの実施態様において、本件開示では、疾患又は状態を予防し、又は治療するための医薬の調製における標的細胞の使用であって、標的細胞がRBCの内部に存在し、及び/若しくはRBCの表面に結合している1以上のタンパク質又は標的タンパク質、並びに/又は溶解物、膜調製物、ゴースト、洗浄液、及び培養上清の1以上から選択される刺激され、又は処理されたRBCの生産物若しくは構成要素のレベルを増加させ、又は低下させるために刺激され、又は処理されたRBCと混合されている、前記使用を提供する。
【0115】
他の実施態様において、本件開示では、疾患又は状態の予防又は治療において使用するための標的細胞であって、RBCの内部に存在し、及び/若しくはRBCの表面に結合している1以上のタンパク質若しくは標的タンパク質、並びに/又は溶解物、膜調製物、ゴースト、洗浄液、及び培養上清の1以上から選択される刺激され、若しくは処理されたRBCの生産物のレベルを増加させ、又は低下させるために刺激され、又は処理されたRBCと混合されている、前記標的細胞を提供する。
【0116】
本明細書に記載の1以上の実施態様に従って、RBCを、本明細書で提供する方法によって、薬剤と接触させることができる。標的タンパク質(複数可)は、IFN-α2、IFN-γ、IL-1β、IL-8、IL-9、IL-12p70、IL-16、IL17、IL-18、MIF、TNF-α、IL-2rα、IL-4、CTACK、GRO-α、IL-18、MCP-1、MIP-1 GRO-α、MIP-1β、RANTES、SDF-1α、βFGF、G-CSF、GM-CSF、HGF、IL-3、IP-10、M-CSF、PDFG-bb、VEGF、IL-2、IL-6、IL-12p40、CTACK、GRO-α、βFGF、G-CSF、CM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN-γ、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2rα、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12-40、IL-12p70、IL-13、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IP-10、LIF、MCP-1、M-CSF、MIF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、β-NGF、PDGF-bb、RANTES、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGFの1以上であり得る。標的細胞は、先に記載された細胞の1以上であり得る。対象は、哺乳動物(例えば、ヒト)とすることができる。対象は、疾患又は状態(例えば、組織損傷、癌、炎症性疾患又は状態、免疫障害)に罹患し得る。
【0117】
本件開示による医薬は、医薬として許容し得る担体、賦形剤、希釈剤、及び/又はアジュバントを含み得る。本明細書で予期される「医薬として許容し得る」担体、賦形剤、希釈剤、及び/又はアジュバントは、特定の受容者、例えばヒト又は非ヒト動物に投与される際に有害反応(複数可)を生じない物質である。医薬として許容し得る担体、賦形剤、希釈剤、及びアジュバントはまた、一般に医薬の他の成分、例えば、RBC、RBCの構成要素若しくは生産物、標的細胞、又は標的細胞の構成要素若しくは生産物などと相溶性である。好適な賦形剤、希釈剤、及び担体の非限定的な例は、「薬学的賦形剤の手引き(Handbook of Pharmaceutical Excipients)」、第4版, (2003) Roweら(編), The Pharmaceutical Press, London, American Pharmaceutical Association, Washingtonに認めることができる。
【0118】
アジュバント(複数可)は、本件開示の医薬に含めることができる。好適なアジュバントを含めることができる。一般に、医薬の構成におけるアジュバントの活性には、これに限定はされないが、医薬中の免疫原性成分(例えば、RBC、RBCの構成要素又は生産物、標的細胞、標的細胞の構成要素又は生産物)によって誘導される免疫反応を増強する(定量的に又は定性的に)能力がある。このことは、免疫反応を発生させるのに要求される免疫原性成分の用量又はレベルを低下させ、かつ/又は所望の免疫反応を発生させるのに要求される投薬の回数又は頻度を低下させ得る。
【0119】
アジュバントは医薬成分(複数可)によって誘導され、かつ/又は増強される免疫反応を増強して、それにより治療的転帰を改善し得る。アジュバントは、より低い用量の他の活性成分(複数可)(例えば、RBC、RBCの構成要素又は生産物、標的細胞、標的細胞の構成要素又は生産物)を利用した免疫の誘導を可能にし得る。
【0120】
医薬中に含めるのに好適なアジュバントの非限定的な例、及びそれらの調製方法には、あるものを含む。
【0121】
本件開示に従う典型的な医薬は、局所に、又は全身に投与することができる。例えば、医薬は、静脈内、経皮、皮下、関節内、粘膜を介して(例えば、吸入、直腸)、筋肉内、大脳内、くも膜下腔内、及び/又は腹腔内に、投与することができる。いくつかの実施態様において、医薬は、一緒には投与されない別個の構成要素を含むことができる。例えば、医薬は刺激され、若しくは処理されたRBC、及び/又はRBCの構成要素若しくは生産物である第1の成分、並びに刺激され、若しくは処理されたRBC/RBCの構成要素若しくは生産物と混合された標的細胞及び/又は標的細胞の構成要素若しくは生産物である第2の成分を含み得る。RBC及び/又はRBCの構成要素若しくは生産物を、第1の投与経路(例えば、全身経路)によって投与することができ、標的細胞及び/又は標的細胞の構成要素若しくは生産物を、第2の別の経路(例えば、局所経路)によって投与することができ、あるいはその逆も可能である。
【0122】
一般に、医薬は投与経路及び受容者の身体的特性(健康状態を含む)に適合する様式で、かつ医薬が所望の効果(複数可)(すなわち、治療上有効であり、免疫原性であり、かつ/又は保護的である)を引き出すやり方で、投与する。
【0123】
例えば、所与の医薬の適切な投薬量は、これらに限定はされないが、対象の身体的特性(例えば、年齢、体重、性別)、医薬が、単一薬剤又はアジュバント療法のいずれとして使用されているかということ、所与の疾患状態の進行、及び当業者によって認識され得る他の因子を含む様々な因子に応じて決定することができる。本件開示の所与の医薬の適切な投薬量を決定する際に考慮され得る様々な一般的要件は、例えば、Gennaroら(編), (1990), 「レミントン薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania, USA; 及びGilmanら(編), (1990), 「Goodman及びGilman:治療学の薬理学的基盤(Goodman And Gilman's: The Pharmacological Bases of Therapeutics)」, Pergamon Pressに記載されている。
【0124】
一般に、本件開示の医薬は、活性成分(複数可)(例えば、RBC、RBCの構成要素又は生産物、標的細胞、標的細胞の構成要素又は生産物)を約50マイクログラム〜約5 mgの量で対象に投与し得る。いくつかの実施態様において、投薬量は、約50マイクログラム〜約500マイクログラムの量である。
【0125】
当業者であれば、定例的な実験により、所望の治療的転帰のために本件開示の医薬に含める、有効で毒性のないRBC及び/又はその幹細胞の量を決定することができるであろう。
【0126】
一般に、有効投薬量は活性成分(複数可)(例えば、RBC、RBCの構成要素又は生産物、標的細胞、標的細胞の構成要素又は生産物)が24時間につき体重1 kg当たり約0.0001 mg〜約1000 mg;典型的に、24時間につき体重1 kg当たり約0.001 mg〜約750 mg; 24時間につき体重1 kg当たり約0.01 mg〜約500 mg; 24時間につき体重1 kg当たり約0.1 mg〜約500 mg; 24時間につき体重1 kg当たり約0.1 mg〜約250 mg; 24時間につき体重1 kg当たり約1.0 mg〜約250 mgの範囲にあると期待される。より典型的には、有効用量範囲は、24時間につき体重1 kg当たり約1.0 mg〜約200 mg; 24時間につき体重1 kg当たり約1.0 mg〜約100 mg; 24時間につき体重1 kg当たり約1.0 mg〜約50 mg; 24時間につき体重1 kg当たり約1.0 mg〜約25 mg; 24時間につき体重1 kg当たり約5.0 mg〜約50 mg; 24時間につき体重1 kg当たり約5.0 mg〜約20 mg; 24時間につき体重1 kg当たり約5.0 mg〜約15 mgの範囲にあると期待される。
【0127】
あるいは、有効投薬量は、活性成分(複数可)(例えば、RBC、RBCの構成要素又は生産物、標的細胞、標的細胞の構成要素又は生産物)を最大約500 mg/m2とすることができる。一般に、有効投薬量は、約25〜約500 mg/m2、約25〜約350 mg/m2、約25〜約300 mg/m2、約25〜約250 mg/m2、約50〜約250 mg/m2、及び約75〜約150 mg/m2の範囲にあると期待される。
【0128】
典型的に、治療適用において、治療は感染、疾患状態又は状態の持続期間にわたるものである。さらに、当業者であれば、個別の投薬の最適な量及び間隔は、治療する感染、疾患状態、又は状態の性質及び程度、投与の形態、経路、及び部位、並びに治療される特定の個体の性質によって決定され得ることが、明らかであろう。また、そのような最適な状態は、公知の技術によって決定することができる。
【0129】
多くの事例において、本件開示の医薬のいくつかの又は複数回の投与を受けることが、望ましい場合がある。例えば、本件開示の医薬は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回、又はそれ以上の回数投与され得る。投与は約1〜約12週間の間隔とし、かつある実施態様において約1〜約4週間の間隔とすることができる。本件開示の医薬によって標的化される特定の病原体に再度曝露される場合、周期的再投与が望ましい場合がある。
【0130】
本件開示に従う医薬は、疾患又は状態の一次治療への補助として投与し得る。従って、本件開示に従う医薬は、「補助医薬」とすることができる。
【0131】
また、当業者であれば、最適な治療経過を、従来の治療経過決定検査を使用して確認することができることは明らかであろう。
【0132】
当業者であれば、広範に記載された本件開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本明細書で提供する実施態様において開示する本件開示に、多くの変形及び/又は修正を加えることができることを認識するであろう。従って、本実施態様は、限定的なものとしてではなく、例示的なものとして考慮されるべきである。
【実施例】
【0133】
(実施例)
ここで、本件開示を具体例を参照して説明することとするが、これはいかなる限定的な方法としても解釈されるべきではない。
【0134】
(実施例1.最大18時間の培養の間のRBC及びRBCゴーストの取り込みに対する異なる抗凝固剤(ヘパリン及びEDTA)の影響)
抗凝固剤の存在が赤血球へのタンパク質の結合能を変化させるかどうか決定するため、ヘパリン又はEDTAを含む、又は含まない血漿中でこれらの細胞をインキュベートした。健常ボランティアからの全血をEDTAヴァキュテナーに収集した(3 mg/mL)。ヘパリン-クエン酸ヴァキュテナー中に収集した血液から血漿を収集した。デキストラン沈降法(6%デキストラン、1時間、室温)を使用して抗凝固処理した全血からRBCを単離し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した。プロテアーゼ阻害剤(Roche cOmpleteプロテアーゼ阻害剤カクテル)を含む高張水中で5分間RBCを溶解させることにより、RBCゴーストを単離した。続いてゴーストを遠心分離(16,000 g、20分)により単離して、PBS中に再度懸濁させた。単離に続き、1000万個のRBC(又は1000万個のRBCのゴースト)をヘパリン(17 IU/mL又は1700 IU/mL)又はEDTA(30 mg/mL)を追加したPBS又は血漿のいずれかに再度懸濁した。続いて赤血球又はゴーストを、37℃で0、1、又は18時間培養した。対照として、ヘパリン又はEDTAを含むEDTA血漿を、同じ条件で培養した。インキュベートした後、無細胞上清を収集して-80℃で保存した。分析前に、試料を3回の凍結解凍サイクルに供した。試料のMIF濃度をMIF ELISAを使用して定量化した。18時間の培養の後、血漿単独におけるMIFのレベルはおよそ50%増加しており、かつ赤血球を含む赤血球試料の血漿中のMIFのレベルは低下していた(図1)。このことから、MIFは無傷な細胞に結合していたことが示された。また、RBCゴーストはMIFと結合することができた(図1)。従って、この結合活性には必ずしも無傷な細胞である必要はないことが示された。細胞懸濁物にEDTAを追加すると、ヘパリン処理よりもRBC溶解物及びゴースト「溶解物」中のMIFが実質的に低くなった(図2)。これらの結果は、赤血球培養物への抗凝固剤の追加が、細胞中のタンパク質量及びより多くのタンパク質と結合する可能性に影響を及ぼし得ることを示している。
【0135】
(実施例2.赤血球の結合能に対する血液収集時の異なる抗凝固剤(ヘパリン、EDTA、及びクエン酸)の影響)
血液収集時に使用された抗凝固剤によって赤血球へのタンパク質の結合能が変化するかどうかを決定するため、全血を抗凝固剤を含む様々な収集チューブ中に収集した。健常ボランティアからの全血をヘパリンヴァキュテナー、EDTAヴァキュテナー、又はクエン酸ナトリウムヴァキュテナーのいずれかに収集した。いかなる抗凝固剤も含まない血液のアリコートを収集し、PBS中への素早い希釈及び細胞洗浄により凝固を防止した。収集後、RBCをデキストラン沈降法(6%デキストラン、1時間、室温)を使用して全血から単離し、PBSで2回洗浄した。続いてこれらのRBCをPBS中、組換えMIF(検査当たり5 ng)の存在下又は非存在下で再度懸濁させた(1億細胞/mL)。この細胞懸濁物を最大24時間インキュベートした(37℃、5% CO2)。インキュベートした後、無細胞上清を収集し、-80℃で保存した。分析前に、試料を2回の凍結解凍サイクルに供した。試料のMIF濃度をMIF ELISAを使用して定量化した。細胞懸濁物への組換えMIF(rMIF)の追加により、24時間後の上清中のMIFの最終濃度が変化した。ヘパリンで処理したRBCを除く全てにおいて、rMIFをインキュベートした後のMIFの最終濃度は、対照よりも低くなった(図3)。このことは、rMIFの追加により内在のMIFの全分泌が遅くなったか、又はrMIFの追加によりMIFの取り込み速度が増加したか、又はrMIFがプロテアーゼ活性を加速させ、従ってMIFの分解が加速したかのいずれかであることを実証する。抗凝固剤はRBCによって隔離されていたMIFの量に対し、明らかな影響を有していた。
【0136】
(実施例3.組換えタンパク質の存在下でのRBCの培養の影響(BioPlex標準))
培養物中のRBCに組換えMIFを追加すると、セクレトーム中のMIFの収量が期待よりもずっと低くなる。同じことが他の組換えタンパク質の追加により観察される(BioPlex標準の形で)かどうか調べるため、RBCを組換えタンパク質のカクテルの存在下でインキュベートした。全血を健常ボランティアから収集し、EDTAヴァキュテナー中に取った。RBCをデキストラン沈降法(6%デキストラン、1時間、室温)を使用して単離した。沈降後、RBCをPBSで1回洗浄し、続いて2000万個のRBCを組換えサイトカイン(BioPlex標準、25 μL、標準3)を追加して、又は追加せずに、100 μLのPBS又はプロテアーゼ阻害剤を含む100 μLのPBS中に再度懸濁した。続いて、これらの細胞懸濁物を24時間インキュベートした(37℃、5% CO2)。インキュベートした後、上清及び細胞を遠心分離により分離し、各構成要素を-80℃で処理した。
【0137】
試料を3回の凍結解凍サイクルに供し、細胞の溶解を確実に完了させた。溶解後、赤血球溶解物をPBSで希釈して、4億細胞/mL相当量とした。続いてこれらの溶解物をマルチプレックスサイトカインアッセイにより分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。1つ目は、塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネルとし、2つ目は、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネルとした(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0138】
PBS中で24時間37℃で培養されたRBCからいくつかのタンパク質が放出された。抗炎症性、炎症促進性、ケモカイン、又は成長因子としてのタンパク質の分類については、図4A図8Dを参照されたい。RBC溶解物中のいくつかのサイトカインの濃度は、IL-1α、IL-12p70、及びTRAILを含む組換えタンパク質とともにインキュベートした後、有意に増加した(p<0.05)。また、プロテアーゼ阻害剤の追加は、赤血球と結合するタンパク質、特にIL-18、CTACK、及びSDF-1αの量に影響を及ぼした(図9A図13D)。無細胞上清及び細胞溶解物の両方についての測定されたサイトカインの合計量を図14A図18Dに概説する。サイトカインの合計濃度は、いくつかのタンパク質、例えばIL-8、IL-10、及びGRO-αについて、プロテアーゼ阻害剤を含めることにより低下した(図14A図18D)。プロテアーゼ阻害剤は、RBCの分泌プロファイルに影響を及ぼす。多くの事例において、プロテアーゼ阻害剤の使用により、標準偏差が小さくなる。プロテアーゼ阻害剤は、特定の細胞種又はRBC集団(すなわち、比較的古いRBC)を標的化し、従って試料中の多様性を低下させる可能性がある。
【0139】
(実施例4.RBC又はRBCの派生物の存在下でのMSC培養の影響)
RBC(及びRBCの派生物)は、高濃度のサイトカインを含む。インビボでのRBC及び間葉性幹細胞(MSC)はしばしば、特に創傷治癒のような、多数の細胞が存在し、シグナル伝達している状況で接触している。このRBC(及びRBCの派生物)の単純化されたモデルをMSCとともにインキュベートし、分泌プロファイルを評価した。初代MSCを2継代目にコンフルエントまで培養し、トリプシン処理し、培養培地(DMEM+10% FBS)中T25フラスコへと播種した(1 mL当たり10,000細胞)。これらの細胞を3日間インキュベートし(37℃、5% CO2)、その後培地を交換し、RBC、洗浄したRBC、又はRBCゴースト(条件当たり5億細胞)を適当なフラスコに加えた。赤血球を調製するため、全血をEDTAヴァキュテナー中に収集した。RBCをデキストラン沈降法(6%デキストラン、60分、室温)により単離した。沈降に続き、RBCをPBSで1回洗浄した。「洗浄RBC」を作製するため、単離したRBCを、細胞懸濁物を過度に振盪して細胞を遠心分離することにより、PBSでさらに2回洗浄した。RBCゴーストを、低張水中で5分間RBCを静置することにより単離した。続いて、ゴーストを遠心分離(16,000 g、20分)によって単離し、PBSに再度懸濁させた。
【0140】
MSCを何も加えない、無傷のRBC、洗浄RBC、又はRBCゴーストのいずれかで刺激し、又は処理した。続いてこれらを72時間インキュベートした(37℃、5% CO2)。インキュベートした後、馴化培地及びRBC又はRBCゴーストを遠心分離により分離した。MSCをトリプシン処理し、MSC及びRBCをそれぞれフローサイトメトリー及び血液分析器を使用して計数した。馴化培地及びRBCを-80℃で凍結し、試料を3回の凍結/解凍サイクルに供して全ての細胞を溶解させた。
【0141】
試料を3回の凍結解凍サイクルに供し、細胞の溶解を確実に完了させた。溶解後、赤血球溶解物をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量とした。これらの溶解物を続いてマルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。1つ目は、塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネルとし、2つ目は、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネルとした(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0142】
MSCの分泌プロファイルはRBCの追加により著しく変化した。より小さな変化が洗浄RBC及びゴーストについて観察された。いくつかのサイトカインの濃度は培養後のRBC溶解物中で増加し、このことから細胞がいくつかの細胞外サイトカイン、特にIL-8及びIL-6と結合していたことが示された(図19A図23D)。細胞数は培養条件により異なっていた。RBCとともに培養したMSCは、培養後のMSCの収量が最も高かった。同様に、培養後、RBCの収量は洗浄RBCよりも高かった(表2)。無傷のRBCとのインキュベーションはMSCの分泌プロファイル及び増殖に大きな影響を及ぼし、RBCはある一部のサイトカイン(すなわち、IL-8)を隔離した。これは、RBCによるサイトカイン緩衝システムの一部である可能性がある。
【0143】
表2. MSCについてはフローサイトメトリーにより、及びRBCについては血液分析器により測定した(n=1)、RBC(又はRBCの派生物)を伴って、又は伴わずに培養した後のMSCの細胞数及び生存能
【表2】
[この文献は図面を表示できません]
【0144】
(実施例5. RBCへの剪断力の影響)
RBCはインビボで静脈循環から毛細血管床に移動する際に、絶えず剪断力にさらされている。機械的ストレスに応答するRBC又は全血(WB)からのタンパク質の放出を調べた。全血を健常ボランティアから収集し、EDTAヴァキュテナーに取った。続いて、RBCをデキストラン沈降法(6%デキストラン、1時間、室温)によって単離した。沈降後、単離したRBCをPBSで1回洗浄し、PBSに再度懸濁させて40%ヘマトクリットを達成した。続いてWB又はRBCのアリコートを500 μLの血液試料を29ゲージ針を用いて1 mLインスリンシリンジに加えることにより、機械的ストレスにさらした。おもりを使用して、血液をゆっくりと針の外に押し出し、底部で収集した。WB又はRBCをすぐに分析するか(新鮮)、室温で1時間置いた後に分析するか(新鮮+1時間)、又は分析前に凍結解凍して全ての細胞を溶解するか(凍結)のいずれかを行った。全ての血液試料は製造業者の説明書に従い、hsCRPキットを用いてiChroma機器上で実行した。
【0145】
機械的ストレスは実にCRPの全体レベルに対し影響を及ぼし(表3)、このことからCRPは結合していないか、ストレス後すぐに生産されることが示唆された。注目すべきことに、機械的ストレスから1時間後、WB試料中のCRPのレベルは0.95 mg/Lから0.21 mg/Lへと低下したが、対照(ストレスを受けていない)試料では変化しなかった。このことから、この酵素が活性化され、CRPの分解を引き起こし得たことが示唆される。針を通して押し出した後にRBCの溶解が生じているようには思われなかった。
【0146】
この例において、RBCがWB中のCRPへの主要な寄与因子であるようには思われない。血液中のCRPの分布は、日によって変化するようである。CRPのレベルは機械的ストレスの後、直ちに増加した。このことから、CRPは結合されておらず、又は直ちに生産され、抗体による検出が可能となったことが示唆される。
【0147】
表3. 機械的ストレス刺激(針)を加えたとき、及び加えないときの全血(WB)及び赤血球(RBC)中のCRPレベル(mg/L)。CRPレベルをiChroma装置上でhsCRPキットを使用して測定した。
【表3】
[この文献は図面を表示できません]
【0148】
(実施例6. RBC及びRBCゴーストの活動への低酸素の影響)
血液は高度に酸素供給された環境であり、酸素含有量の変化はタンパク質含有量に二次的影響を及ぼす可能性が高い。RBCのMIF濃度が酸素条件の変化によって影響を受けるかどうかを試験するため、RBCを低酸素PBS中にインキュベートした。低酸素PBSは、PBSを窒素チャンバー(5% CO2、3% O2、92% N2)中で18時間以上インキュベートすることにより作製した。全血を健常ボランティアから収集し、EDTAヴァキュテナー中に取った。続いて、RBCをデキストラン沈降法(6%デキストラン、1時間、室温)によって単離した。沈降後、単離したRBCをPBSで2回洗浄した。RBCゴーストを、RBCを低張水中で5分間溶解させることにより単離した。続いて、ゴーストを遠心分離(16,000 g、20分)によって単離した。無傷のRBC又はRBCゴースト(1000万個)を17 IU/mLのヘパリンを含むエッペンドルフチューブ中の低酸素PBS又は正常酸素PBS(100 μL)に加えた。続いて、これらのチューブを完全に密封して細胞懸濁物を1時間又は18時間にわたりインキュベートした(37℃)。インキュベートした後、馴化PBSを収集して-80℃で保存し、3回の凍結解凍サイクルに供した。続いて低酸素条件下で「刺激」されたRBC又はRBCゴーストに自己血漿を追加し、続いてさらに1時間又は18時間にわたりインキュベートした(37℃)。このインキュベーションの後、上清(馴化血漿)を収集し、-80℃で保存して、3回の凍結解凍サイクルに供した。
【0149】
低酸素により、RBCからのMIFの放出は顕著に低下したが、RBCゴーストからのMIFの放出に影響を及ぼすようには思われなかった(表4)。このことは、タンパク質の放出がいくぶん酸素含有量に関連していることを裏付けている。低酸素条件下でインキュベートしたRBC溶解物中のMIF濃度は、RBC対照(0時間)よりずっと低かった。タンパク質の分解が、培養中に起こった可能性が高い(表5)。
【0150】
低酸素は、RBCから放出されたMIFのレベル及び細胞内MIF濃度に影響を及ぼした。タンパク質の分解は、低酸素環境の結果として生じた可能性がある(表5)。反対のこと(酸素過剰環境)も言えるならば、それはタンパク質のレベル及びRBCへの結合を調節する1つの方法となり得る。
【0151】
表4. ヘパリン(17 IU/mL)とともにPBS又は低酸素PBS中で18時間インキュベートされたRBC及びゴーストから放出されたMIF(n=1)
【表4】
[この文献は図面を表示できません]
【0152】
表5. ヘパリン(17 IU/mL)とともにPBS又は低酸素PBS中で18時間インキュベートされたRBC溶解物及びRBCゴースト「溶解物」(n=1)
【表5】
[この文献は図面を表示できません]
【0153】
(実施例7. RBCから経時的に放出され、又は分泌されたタンパク質の同定)
いくつかのタンパク質がRBC溶解物において同定されている。RBCもまたこれらのタンパク質を分泌し得るかどうかを調べるため、RBCをPBS中で一晩インキュベートし、馴化培地を分析した。セクレトームを分析することにより、RBC溶解物中に存在するヘモグロビンについての潜在的な問題は否定される。全血を健常ボランティアから収集して、EDTAヴァキュテナー中に取った。続いて、RBCをデキストラン沈降法(6%デキストラン、1時間、室温)により単離した。沈降後、単離したRBCをPBSで2回洗浄した。単離したRBCをプロテアーゼ阻害剤を含む、又は含まない100 μL PBS中の2000万細胞へと分注した。続いて、これらの細胞懸濁物を24時間インキュベートした(37℃、5% CO2)。インキュベートした後、馴化培地及び細胞を遠心分離により分離した。続いて、これらの試料を-80℃で凍結させ、試料を3回の凍結/解凍サイクルに供し、細胞の溶解を確実に完了させた。溶解後、赤血球溶解物及び馴化培地試料をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量とした。続いて、これらの試料をマルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。1つ目は、塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネルとし、2つ目は、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネルとした(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0154】
RBCをPBS中で24時間インキュベートした後、いくつかのタンパク質が放出され、又は分泌された(図24A図27)。図24A図27は、各タンパク質の平均検出濃度に従って分けられている。また、RBCの培養中にプロテアーゼ阻害剤を追加すると、タンパク質の放出が変化した。細胞懸濁物中にプロテアーゼ阻害剤を含めると、典型的に馴化培地及び細胞溶解物の両方における検出可能な濃度は低下したが、MIP-1βのような例外もいくつかあった(図28A図42D)。また、プロテアーゼ阻害剤を含めると、サイトカイン濃度の生物学的レプリケート間の生物学的変動が低下する。
【0155】
(実施例8. プロテアーゼ阻害剤の影響の調節)
37℃での保存の間に血液試料にプロテアーゼ阻害剤を含めると、RBCの分泌プロファイルが変化する。この活性が不可逆であるかどうかを試験するために、24時間インキュベートした後にRBCからプロテアーゼ阻害剤を洗い流し、細胞をさらに24時間インキュベートして結果として得られる馴化培地のサイトカインプロファイルの差異をモニタリングした。全血を健常ボランティアから収集し、EDTAヴァキュテナー中に取った。RBCをデキストラン沈降法(6%デキストラン、1時間、室温)により単離した。沈降後、単離したRBCをPBSで2回洗浄した。表5に概説されているように、単離したRBCはPBS又はプロテアーゼ阻害剤を含むPBS(100 μL)中2000万細胞のアリコートとした。続いて、細胞懸濁物を24時間インキュベートした(37℃、5 % CO2)。インキュベートした後、上清及び細胞を遠心分離によって分離して、上清を収集して-80℃で凍結させた。残存する細胞をPBSで2回洗浄し、続いて表5に概説されているように、新鮮なPBS又はプロテアーゼ阻害剤を含むPBSのアリコート(100 μL)中に再度懸濁させた。続いてこれらの細胞懸濁物をさらに24時間インキュベートした(37℃、5 % CO2)。インキュベートした後、細胞及び上清を遠心分離により分離して、これらの試料を-80℃で凍結し、3回の凍結/解凍サイクルに供し、溶解を確実に完了させた。
【0156】
続いて試料をマルチプレックスサイトカインアッセイにより分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。1つ目は、塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネルとし、2つ目は、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネルとした(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0157】
(実施例9. 様々な細胞種による刺激後の赤血球の分泌)
全血を健常ボランティアから収集した(n=1)。血液を各ボランティアから静脈穿刺により収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k2EDTAヴァキュテナー、BD Biosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0158】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(1500 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)、続いて刺激実験に使用した。
【0159】
内皮(HUVEC)、初代線維芽細胞、腎細胞(HEK-293)などの中立な組織を代表する細胞を腸癌(HT-29)及び黒色腫(MEWO)由来の代表的な癌細胞株とともに選択した。細胞株を37℃、5% CO2で10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含むDMEMからなる培養培地中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフルエントに達した時に継代した。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0160】
共培養実験について、細胞をT75フラスコ中に培養培地1 mL当たり0.1×106細胞の濃度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5% CO2)。インキュベートした後、表6に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使用して準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18 mLとした。
【0161】
表6. 1:100の比の、全ての代表的な細胞株及び赤血球(RBC)の共培養条件(37℃、5% CO2、72時間)
【表6】
[この文献は図面を表示できません]
【0162】
続いて、細胞を37℃、5% CO2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球を遠心分離(500 g、10分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存するあらゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存した。赤血球をPBSで1回洗浄し、血液分析器(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)を使用して計数した。
【0163】
続いて赤血球をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量とした。次に、赤血球をPBS中、37℃、5% CO2で24時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球を遠心分離(500 g、10分)によって除去し、赤血球分泌物を含む上清を保持し、分析した。2つのマルチプレックスアッセイ:塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネル、並びにIL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネル(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)を利用した。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0164】
図43A〜43VVに示されているように、赤血球によって放出され、又は分泌されるサイトカインは、この例において、いくつかの異なる細胞株との共培養である「刺激」プロセスによって変化した。赤血球の分泌プロファイルは、刺激後に変化しただけでなく、各細胞種は赤血球を異なる形で刺激し、サイトカイン濃度は異なっていた。例えばHEK細胞でRBCを刺激すると、IP-10、VEGF、塩基性FGF、MCP-1、及びCTACKなどのサイトカインのかなりの増加が生じる。対照的に、初代線維芽細胞でRBCを刺激すると、GROa及びMCP-3が大きく増加する。これらの結果から、赤血球のサイトカイン分泌プロファイルは、その環境に依存して変化を受けやすいことが実証された。さらに、このデータから、異なる細胞種を用いると、顕著に異なるサイトカインプロファイルを有する刺激された赤血球を作製することができることが示された。
【0165】
(実施例10. 懸濁物中の不死化ヒトTリンパ球(Jurkat細胞)による刺激後の赤血球の分泌)
全血を健常ボランティアから収集した(n=1)。血液を各ボランティアから静脈穿刺により収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k2EDTAヴァキュテナー、BD Biosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0166】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(1500 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)、続いて刺激実験に使用した。
【0167】
Jurkat細胞を37℃、5% CO2で培養培地(10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含むRPMI)中で増殖させた。細胞を週に2回継代し、血球計算器を使用して計数した;生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0168】
共培養実験について、Jurkat細胞をT75フラスコ中に培養培地1 mL当たり0.1×106細胞の濃度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5% CO2)。インキュベートした後、表7に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使用して準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18 mLとした。
【0169】
表7. 1:100の比の、Jurkat細胞及び赤血球(RBC)の共培養条件(37℃、5% CO2、72時間)
【表7】
[この文献は図面を表示できません]
【0170】
続いて、細胞を37℃、5% CO2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球を遠心分離(500 g、10分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存するあらゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存した。製造業者の説明書に従って、フィコール密度分離を使用して赤血球をJurkat細胞から分離した。赤血球画分をPBSで1回洗浄し、血液分析器(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)を使用して計数した。
【0171】
続いて赤血球をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量とした。続いて、赤血球をPBS中、37℃、5% CO2で24時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球を遠心分離(500 g、10分)によって除去し、赤血球分泌物を含む上清を保持し、分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネル、並びにIL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネル(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0172】
図44A〜44Vに示されているように、赤血球によって放出され、又は分泌されるサイトカインは、この例において、Jurkat細胞(不死化Tリンパ球細胞株)との共培養である「刺激」プロセスによって変化した。赤血球の分泌するタンパク質、例えばIFN-a2、MIF、SCGF-bの濃度は、全て共培養刺激後に顕著に増加した。一方、GROa、CTACK、IL-8、TNF-a、RANTES、及びIL6などのタンパク質のレベルは、全て共培養刺激後に著しく低下した。これらの結果から、この刺激効果が、様々な培養条件で、非接着細胞によって生じ得ることが実証された。
【0173】
(実施例11. 間葉性幹細胞(MSC)による刺激後の赤血球)
(11.1. RBC膜)
全血を健常ボランティアから収集した(n≧3)。血液を各ボランティアから静脈穿刺により収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k2EDTAヴァキュテナー、BD Biosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0174】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(1500 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)、続いてddH2Oに懸濁させて細胞を溶解した。この溶液をボルテックスにかけ、続いて遠心分離(15000 g、20分)して膜をペレット化した。このプロセスを繰り返し、結果として得られたペレットをPBSで再度懸濁し、刺激実験に使用した。
【0175】
MSCを37℃、5% CO2で培養培地(10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含むDMEM)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフルエントに達した時に継代した。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0176】
共培養実験について、MSCをT75フラスコ中に培養培地1 mL当たり0.1×106細胞の濃度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5% CO2)。インキュベートした後、表8に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使用して準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18 mLとした。
【0177】
表8. 1:100の比の、MSC及び赤血球膜の共培養条件(37℃、5% CO2、72時間)
【表8】
[この文献は図面を表示できません]
【0178】
続いて、細胞を37℃、5% CO2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球膜を遠心分離(15000 g、20分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存するあらゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存した。赤血球膜をPBSで1回洗浄した(15000 g、20分)。
【0179】
続いて、赤血球膜をPBSで希釈し(使用した元の赤血球の数に基づいて)4億細胞/mLからの膜の相当量とした。刺激された、及び刺激されていない赤血球膜を3回の凍結解凍サイクルに供し、溶解を確実に完了させた。これらの溶解物を続いてマルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。1つ目は、塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネルとし、2つ目は、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネルとした(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0180】
図45A〜45VVに示すように、赤血球膜のサイトカインプロファイルは、この例では間葉性幹細胞(MSC)との共培養である「刺激」プロセスによって変化した。IL-8の赤血球膜濃度は、共培養刺激後、有意に増加した。一方、塩基性FGF及びSDF-1aなどの少数のタンパク質のレベルは、共培養刺激後に有意に低下した。この結果から、赤血球膜のサイトカインプロファイルは、その環境に応じて変化を受けやすいことが実証された。いずれのサイトカインも完全赤血球溶解実験における刺激後には有意に差を示さず、このことから膜が完全な赤血球に対し異なるサイトカイン結合特性を有することが示された。
【0181】
(11.2 RBC膜の分泌)
全血を健常ボランティアから収集した(n+3)。血液を各ボランティアから静脈穿刺により収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k2EDTAヴァキュテナー、BD Biosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0182】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(1500 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)、続いてddH2Oに懸濁させて細胞を溶解した。この溶液をボルテックスにかけ、続いて遠心分離(15000 g、20分)して膜をペレット化した。このプロセスを繰り返し、結果として得られたペレットをPBSで懸濁し、刺激実験に使用した。
【0183】
間葉性幹細胞(MSC)を脂肪組織から単離し、37℃、5% CO2で培養培地(10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含むDMEM)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフルエントに達した時に継代した。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0184】
共培養実験について、MSCをT75フラスコ中にADSC培養培地1 mL当たり0.1×106細胞の濃度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5% CO2)。インキュベートした後、表9に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使用して準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18 mLとした。
【0185】
表9. 1:100の比の、MSC及び赤血球(RBC)の共培養条件(37℃、5% CO2、72時間)
【表9】
[この文献は図面を表示できません]
【0186】
続いて、細胞を37℃、5% CO2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球膜を遠心分離(15000 g、20分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存するあらゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存した。赤血球膜をPBSで1回洗浄した(15000 g、20分)。
【0187】
続いて、赤血球膜をPBSで希釈し(使用した元の赤血球の数に基づいて)4億細胞/mLからの膜の相当量とした。続いて、膜をPBS中、37℃、5% CO2で24時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球膜を遠心分離(15000 g、20分)によって除去し、膜分泌物を含む上清を保持し、分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネル、並びにIL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネル(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0188】
図46A〜46VVに示すように、赤血球膜のサイトカインプロファイルは、この例ではMSC(間葉性幹細胞)との共培養である「刺激」プロセスによってごくわずかだけ変化した。GRO-aの赤血球膜分泌濃度は、共培養刺激後、有意に増加した。一方、共培養刺激後に有意に低下した検体はなかった。これらの結果から、MSCによる刺激後の赤血球の分泌プロファイルの変化は、赤血球が無傷であることに大きく依存していることが示される。
【0189】
(11.3. RBC溶解物)
全血を健常ボランティアから収集した(n≧3)。血液を各ボランティアから静脈穿刺により収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k2EDTAヴァキュテナー、BD Biosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0190】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(1500 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)、続いて刺激実験に使用した。
【0191】
間葉性幹細胞(MSC)を脂肪組織から単離し、37℃、5% CO2で培養培地(10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含むDMEM)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフルエントに達した時に継代した。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0192】
共培養実験について、MSCをT75フラスコ中に培養培地1 mL当たり0.1×106細胞の濃度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5% CO2)。インキュベートした後、表10に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使用して準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18 mLとした。
【0193】
表10. 1:100の比の、MSC及び赤血球(RBC)の共培養条件(37℃、5% CO2、72時間)
【表10】
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【0194】
続いて、細胞を37℃、5% CO2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球を遠心分離(500 g、10分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存するあらゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存した。赤血球をPBSで1回洗浄し、血液分析器(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)を使用して計数した。
【0195】
刺激された赤血球及び刺激されていない赤血球を3回の凍結解凍サイクルに供し、細胞の溶解を確実に完了させた。溶解後、赤血球溶解物をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量とした。続いて、これらの溶解物をマルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。1つ目は、塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネルとし、2つ目は、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネルとした(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0196】
図47A〜47VVに示すように、赤血球のサイトカインプロファイルは、この例では間葉性幹細胞(MSC)との共培養である「刺激」プロセスによって変化した。CTACK及びGROaなどの検体の赤血球濃度は、共培養刺激後、有意に増加した。一方、IL-1aのレベルは、共培養刺激後に有意に低下した。この結果から、赤血球のサイトカインプロファイルは、その環境に応じて変化を受けやすいことが実証された。これらの結果の、刺激後の赤血球により放出され、又は分泌されたサイトカインの分析との比較から、分泌プロファイルを生じるためにRBCのPBS中でのインキュベーションを延長することにより、溶解手順よりも再現性が有意に高くなることが示された。
【0197】
(11.4. RBC分泌物)
全血を健常ボランティアから収集した(n=3)。血液を各ボランティアから静脈穿刺により収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k2EDTAヴァキュテナー、BD Biosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0198】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(1500 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)、続いて刺激実験に使用した。
【0199】
間葉性幹細胞(MSC)を脂肪組織から単離し、37℃、5% CO2で培養培地(10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含むDMEM)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフルエントに達した時に継代した。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0200】
共培養実験について、MSCをT75フラスコ中に培養培地1 mL当たり0.1×106細胞の濃度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5% CO2)。インキュベートした後、表11に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使用して準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18 mLとした。
【0201】
表11. 1:100の比の、MSC及び赤血球(RBC)の共培養条件(37℃、5% CO2、72時間)
【表11】
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【0202】
続いて、細胞を37℃、5% CO2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球を遠心分離(500 g、10分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存するあらゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存した。赤血球をPBSで1回洗浄し、血液分析器(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)を使用して計数した。
【0203】
続いて赤血球をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量とした。続いて、赤血球をPBS中、37℃、5% CO2で24時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球を遠心分離(500 g、10分)によって除去し、赤血球分泌物を含む上清を保持し、分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネル、並びにIL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネル(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0204】
図48A〜48VVに示すように、赤血球によって放出され、又は分泌されたサイトカインは、この例ではMSC(間葉性幹細胞)との共培養である「刺激」プロセスによって変化した。Gro-a、MCP-3、IL-2ra、SDF-1a、HGF、bNGF、SCF、SCGF-b、IL-8、Il-4、IL-10、MCP-1、MIP-1a、MIP-1b、VEGF、及びIL-6などの赤血球分泌タンパク質の濃度は、共培養刺激後、全て有意に増加した。一方、IL-1a、MIF、IL-12(p40)、IL-15、GM-CSFなどの少数のタンパク質のレベルは、共培養刺激後に全て有意に低下した。この結果から、赤血球のサイトカイン分泌プロファイルは、その環境に応じて変化を受けやすいことが実証された。赤血球をタンパク質に富む環境でインキュベートすることにより、細胞は多岐にわたるサイトカインと結合し、これらを放出することができた。
【0205】
(実施例12. MCF-7乳癌細胞による刺激後の赤血球)
(12.1 RBC膜)
全血を健常ボランティアから収集した(n≧3)。血液を各ボランティアから静脈穿刺により収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k2EDTAヴァキュテナー、BD Biosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0206】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(1500 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)、続いてddH2Oに懸濁させて細胞を溶解した。この溶液をボルテックスにかけ、続いて遠心分離(15000 g、20分)して膜をペレット化した。このプロセスを繰り返し、結果として得られたペレットをPBSで懸濁し、刺激実験に使用した。
【0207】
MCF-7細胞を37℃、5% CO2で培養培地(10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含むDMEM)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフルエントに達した時に継代した。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0208】
共培養実験について、MCF-7細胞をT75フラスコ中に培養培地1 mL当たり0.1×106細胞の濃度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5% CO2)。インキュベートした後、表12に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使用して準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18 mLとした。
【0209】
表12. 1:100の比の、MCF-7細胞及び赤血球膜の共培養条件(37℃、5% CO2、72時間)
【表12】
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【0210】
続いて、細胞を37℃、5% CO2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球膜を遠心分離(15000 g、20分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存する微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存した。赤血球膜をPBSで1回洗浄した(15000 g、20分)。
【0211】
続いて、赤血球膜をPBSで希釈し(使用した元の赤血球の数に基づいて)4億細胞/mLからの膜の相当量とした。刺激された、及び刺激されていない赤血球膜を3回の凍結解凍サイクルに供し、細胞溶解を確実に完了させた。続いてこれらの溶解物をマルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。1つ目は、塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネルとし、2つ目は、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネルとした(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0212】
図49A〜49VVに示すように、赤血球膜のサイトカインプロファイルは、この例ではMCF-7細胞(乳癌細胞株)との共培養である「刺激」プロセスによって変化した。IL-3及びIL-8などの赤血球タンパク質の濃度は、共培養刺激後、有意に増加した。一方、IL-2raのレベルは、共培養刺激後に有意に低下した。この結果から、赤血球膜のサイトカインプロファイルは、その環境に応じて変化を受けやすいことが実証された。IL-3はそのレベルも完全赤血球溶解実験における刺激後に有意に変化する唯一のサイトカインであり、このことから膜が完全な赤血球とは異なるサイトカイン結合特性を有することが示された。
【0213】
(12.2 赤血球膜の分泌)
全血を健常ボランティアから収集した(n=3)。血液を各ボランティアから静脈穿刺により収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k2EDTAヴァキュテナー、BD Biosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0214】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(1500 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)、続いてddH2Oに懸濁させて細胞を溶解した。この溶液をボルテックスにかけ、続いて遠心分離(15000 g、20分)して膜をペレット化した。このプロセスを繰り返し、結果として得られたペレットをPBSで懸濁し、刺激実験に使用した。
【0215】
MCF-7細胞を37℃、5% CO2で培養培地(10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含むDMEM)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフルエントに達した時に継代した。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0216】
共培養実験について、MCF-7細胞をT75フラスコ中に培養培地1 mL当たり0.1×106細胞の濃度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5% CO2)。インキュベートした後、表13に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使用して準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18 mLとした。
【0217】
表13. 1:100の比の、MCF-7細胞及び赤血球(RBC)からの相当量の膜の共培養条件(37℃、5% CO2、72時間)
【表13】
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【0218】
続いて、細胞及び膜を37℃、5% CO2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球膜を遠心分離(15000 g、20分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存するあらゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存した。赤血球膜をPBSで1回洗浄した(15000 g、20分)。
【0219】
続いて、赤血球膜をPBSで希釈し(使用した元の赤血球の数に基づいて)4億細胞/mLからの膜の相当量とした。続いて、膜をPBS中、37℃、5% CO2で24時間インキュベートした。インキュベートした後、膜を遠心分離(15000 g、20分)によって除去し、赤血球膜分泌物を含む上清を保持し、分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネル、並びにIL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネル(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0220】
図50A〜50VVに示すように、赤血球膜のサイトカイン分泌プロファイルは、この例ではMCF-7細胞(乳癌細胞株)との共培養である「刺激」プロセスによって変化した。IFN-a2、IL-18、MIF、TNF-b、IL-2ra、CTACK、GRO-a、MIG、SDF-1a、IL-16、IL-3、LIF、IL-8、IL-9、TNF-a、IL-1ra、IL-4、MCP-1、RANTES、IL-7、IP-10、PDGF-bb、及びVEGFなどの赤血球分泌タンパク質の濃度は全て、共培養刺激後、有意に増加した。一方、エオタキシン及び塩基性FGFのレベルは、共培養刺激後に有意に低下した。これらの結果から、赤血球膜はMCF-7細胞により刺激された場合に、赤血球のサイトカイン分泌プロファイルの変化に大きく寄与することが実証された。
【0221】
(12.3 RBC分解物)
全血を健常ボランティアから収集した(n≧3)。血液を各ボランティアから静脈穿刺により収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k2EDTAヴァキュテナー、BD Biosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0222】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(1500 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)、続いて刺激実験に使用した。
【0223】
MCF-7細胞を37℃、5% CO2で培養培地(10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含むDMEM)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフルエントに達した時に継代した。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0224】
共培養実験について、MCF-7細胞をT75フラスコ中にADSC培養培地1 mL当たり0.1×106細胞の濃度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5% CO2)。インキュベートした後、表14に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使用して準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18 mLとした。
【0225】
表14. 1:100の比の、MCF-7細胞及び赤血球(RBC)の共培養条件(37℃、5% CO2、72時間)
【表14】
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【0226】
続いて、細胞を37℃、5% CO2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球を遠心分離(500 g、10分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存するあらゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存した。赤血球をPBSで1回洗浄し、血液分析器(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)を使用して計数した。
【0227】
刺激された赤血球及び刺激されていない赤血球を3回の凍結解凍サイクルに供し、細胞の溶解を確実に完了させた。溶解後、赤血球溶解物をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量とした。続いて、これらの溶解物をマルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。1つ目は、塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネルとし、2つ目は、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネルとした(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0228】
図51A〜51VVに示すように、赤血球のサイトカインプロファイルは、この例ではMCF-7(乳癌細胞株)との共培養である「刺激」プロセスによって変化した。IL-1a、CTACK、IL3、及びIL-12p40などの赤血球タンパク質の濃度は、共培養刺激後、有意に増加した。一方、IL-18のレベルは、共培養刺激後に有意に低下した。この結果から、赤血球のサイトカインプロファイルはその環境に応じて変化を受けやすいことが実証された。タンパク質に富む環境中で赤血球をインキュベートすることにより、細胞はタンパク質と結合し、これらを放出することができた。これらの結果の刺激後に赤血球によって放出され、又は分泌されるサイトカインの分析との比較から、分泌プロファイルを作成するためにPBS中でのRBCのインキュベーションを延長することにより、溶解物手順よりも有意に再現性が高くなることが示された。
【0229】
(12.4. RBC分泌物)
全血を健常ボランティアから収集した(n=3)。血液を各ボランティアから静脈穿刺により収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k2EDTAヴァキュテナー、BD Biosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。
【0230】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(1500 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)、続いて刺激実験に使用した。
【0231】
MCF-7細胞を37℃、5% CO2で培養培地(10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含むDMEM)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフルエントに達した時に継代した。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0232】
共培養実験について、MCF-7細胞をT75フラスコ中にADSC培養培地1 mL当たり0.1×106細胞の濃度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5% CO2)。インキュベートした後、表15に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使用して準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18 mLとした。
【0233】
表15. 1:100の比の、MCF-7細胞及び赤血球(RBC)の共培養条件(37℃、5% CO2、72時間)
【表15】
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【0234】
続いて、細胞を37℃、5% CO2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球を遠心分離(500 g、10分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存するあらゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存した。赤血球をPBSで1回洗浄し、血液分析器(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)を使用して計数した。
【0235】
続いて赤血球をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量とした。続いて、赤血球をPBS中、37℃、5% CO2で24時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球を遠心分離(500 g、10分)によって除去し、赤血球分泌物を含む上清を保持し、分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネル、並びにIL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネル(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0236】
図52A〜52VVに示すように、赤血球のサイトカイン分泌プロファイルは、この例ではMCF-7細胞(乳癌細胞株)との共培養である「刺激」プロセスによって変化した。IL-1a、MIF、TRAIL、IL-2ra、GRO-a、IL-16、IL-3、SCF、IL-12p40、LIF、IL-8、IL-9、IL-12p70、IL-17、TNF-a、IL-1ra、IL-4、IL-13、MCP-1、RANTES、G-CSF、IL-7、IP-10、PDGF-bb、VEGF、IL-2、及びIL-6などの赤血球分泌タンパク質の濃度は全て、共培養刺激後、有意に増加した。一方、IFN-a2のレベルだけは、共培養刺激後に有意に低下した。これらの結果から、赤血球のサイトカイン分泌プロファイルは、その環境に応じて変化を受けやすいことが実証された。タンパク質に富む環境中で赤血球をインキュベートすることにより、細胞はタンパク質と結合し、これらを放出することができた。
【0237】
(実施例13. A549肺癌細胞による刺激後の赤血球)
全血を健常ボランティアから収集した(n≧1)。血液を各ボランティアから静脈穿刺により収集し(n≧3)、直接EDTAヴァキュテナー中に取った(k2EDTAヴァキュテナー、BD Biosciences)。全ての血液画分を収集し、収集から4時間以内に室温で処理した。マルチプレックス分析(BioPlex分析)のために、全ての試料を-80℃で保存し、-80℃で3回の凍結解凍サイクルに供して分析前に細胞の溶解を確実に完了させた。
【0238】
赤血球を以下のようにデキストラン沈降法を使用して単離した。全血を遠心分離し(1500 g、10分)、上層の血漿を廃棄した。残存する細胞ペレットを等分量の塩化ナトリウム(0.15 M)中に再度懸濁させた。続いてデキストラン(0.15 M塩化ナトリウム中6% w/v)をこの細胞懸濁物に1:4の比(デキストラン:細胞懸濁物)で加えた。この溶液を、チューブの底に赤血球を沈降させるために室温で30分間静置した。この時間の後、白血球に富む上層を廃棄し、下部の赤血球画分を単離した。赤血球画分をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し(500 g、5分)、残存する赤血球ペレットを計数し(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)、続いて刺激実験に使用した。
【0239】
A549細胞を37℃、5% CO2でA549培養培地(10% FBS及び1%抗生物質-抗真菌薬、v/vを含むDMEM)中で増殖させた。細胞を週に2回、細胞がコンフルエントに達した時に継代した。細胞を血球計算器を使用して計数し、生存性をトリパンブルー染色を用いて決定した。
【0240】
共培養実験について、A549細胞をT75フラスコ中にADSC培養培地1 mL当たり0.1×106細胞の濃度で播種し、確実にプレートに接着させるために24時間インキュベートした(37℃、5% CO2)。インキュベートした後、表16に概説された条件を、直前に単離した赤血球を使用して準備した。赤血球との共培養について、T75フラスコ中の培養培地の総容量は、18 mLとした。
【0241】
表16. 1:100の比の、A549細胞及び赤血球(RBC)の共培養条件(37℃、5% CO2、72時間)
【表16】
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【0242】
続いて、細胞を37℃、5% CO2で72時間インキュベートした。インキュベートした後、赤血球を遠心分離(500 g、10分)により馴化培地から単離した。馴化培地に残存するあらゆる微粒子を遠心分離(2000 g、10分)によって除去し、その後それを-80℃で保存した。赤血球をPBSで1回洗浄し、血液分析器(Coulter Act Diff, Beckman Coulter)を使用して計数した。続いて赤血球を-80℃で凍結し、溶解物を作製した。
【0243】
刺激された赤血球及び刺激されていない赤血球を3回の凍結解凍サイクルに供し、細胞の溶解を確実に完了させた。溶解後、赤血球溶解物をPBSで希釈し、4億細胞/mL相当量とした。続いて、これらの溶解物をマルチプレックスサイトカインアッセイで分析した。2つのマルチプレックスアッセイを利用した。1つ目は、塩基性FGF、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、IL-1β、IL-1ra、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17、IP-10、MCP-1、MIP-1α、MIP-1β、PDGF-BB、RANTES、TNF-α、及びVEGFについてアッセイする27プレックスヒトサイトカインパネルとし、2つ目は、IL-1α、IL-2Ra、IL-3、IL-12、IL-16、IL-18、CTACK、GRO-α、HGF、IFN-α2、LIF、MCP-3、M-CSF、MIF、MIG、β-NGF、SCF、SCGF-β、SDF-1α、TNF-β、TRAILについてアッセイする21プレックスヒトサイトカインパネルとした(Bio-Plex Pro 27-plex及び21-plex, Bio-Rad)。アッセイを製造業者の説明書に従い、洗浄工程については自動化された磁気洗浄ステーション(BioPlex Pro II, Bio-Rad)を使用して実施した。アッセイをLuminex(登録商標)200(商標)システム(Bio-Rad)上で実行し、蛍光値を収集した。各サイトカインについての較正曲線を、BioPlexマネージャソフトウェア(ver. 5.0, Bio-Rad, USA)を使用した5パラメータロジスティック曲線回帰により分析した。
【0244】
図53A〜53UUに示すように、赤血球のサイトカインプロファイルは、この例ではA549細胞(肺癌細胞株)との共培養である「刺激」プロセスによって変化した。IL-8、IL-10、及びM-CSFなどの検体の赤血球濃度は、共培養刺激後、有意に増加した。一方、IL-1a及びIL-12(p40)などの少数の検体のレベルは、共培養刺激後に有意に低下した。これらの結果から、赤血球のサイトカインプロファイルは、その環境に応じて変化を受けやすいことが実証された。タンパク質に富む環境中で赤血球をインキュベートすることにより、細胞は検体と結合し、これらを放出することができた。また、赤血球のサイトカインプロファイルは間葉性幹細胞とともにインキュベートした後に、調節された(すなわち、刺激された)(データは既に最初の特許中にある)。
【0245】
(実施例14. 他の例示的な非限定的実施態様)
特許請求の範囲に記載の主題のさらなる利点は、特許請求の範囲に記載の主題のある実施態様を説明する以下の例から明らかとなるであろう。
【0246】
1. 対象における少なくとも1つのタンパク質のレベルを調節するための方法であって:
a.) 赤血球を、1以上の赤血球タンパク質のレベルを調節する少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させることにより、刺激された赤血球を作製すること;並びに
b.) 該対象に:
(i) 該刺激された赤血球;
(ii) 該刺激された赤血球のインキュベーション又は培養物から取得した上清;
(iii) 該刺激された赤血球から取得した溶解物;
(iv) 該刺激された赤血球から取得した膜;及び
(v) 該刺激された赤血球から作製した赤血球ゴースト又は膜、からなる群から選択される、1以上の刺激された赤血球構成要素を投与すること、を含み、ここで該対象に該1以上の刺激された赤血球構成要素を投与することにより、該対象における少なくとも1つのタンパク質のレベルが調節される、前記方法。
【0247】
2. 前記1以上の刺激された赤血球構成要素を、前記赤血球を刺激している間、及び/又は該赤血球を刺激した後に取得する、例1記載の方法。
【0248】
3. 前記赤血球を前記対象から取得する、例2記載の方法。
【0249】
4. 前記赤血球を前記対象からは取得しない、例2記載の方法。
【0250】
5. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球である、例1〜4の1以上記載の方法。
【0251】
6. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球のインキュベーション又は培養物から取得した上清である、例1〜4の1以上記載の方法。
【0252】
7. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球から取得した溶解物である、例1〜4の1以上記載の方法。
【0253】
8. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球から取得した膜である、例1〜4の1以上記載の方法。
【0254】
9. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球から作製した赤血球ゴーストである、例1〜4の1以上記載の方法。
【0255】
10. 前記少なくとも1つの薬剤が、タンパク質、酵素、核酸、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、RNA安定化剤、抗凝固剤、及び細胞からなる群から選択される1以上の薬剤である、例1記載の方法。
【0256】
11. 前記少なくとも1つの薬剤が、プロテアーゼ阻害剤、抗凝固剤、癌細胞、幹細胞、及び免疫細胞からなる群から選択される、例10記載の方法。
【0257】
12. 前記少なくとも1つの条件が、剪断応力、低酸素、又は酸素過剰である、例1記載の方法。
【0258】
13. 前記赤血球を少なくとも1つの対象、少なくとも1つの細胞バンク、及び少なくとも1つの細胞株からなる群から選択される1以上の供給源から取得する、例1〜12の1以上記載の方法。
【0259】
14. 前記対象が、ヒト又は非ヒト哺乳動物である、例1〜12の1以上記載の方法。
【0260】
15. 前記1以上の刺激された赤血球構成要素を、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、くも膜下腔内、及び腹腔内からなる群から選択される1以上の方法を通じて前記対象に投与する、例1〜12の1以上記載の方法。
【0261】
16. 前記1以上の赤血球タンパク質が、ケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、細胞内シグナル伝達物質、ホルモン、核内転写調節因子、神経伝達物質、細胞外マトリックス構成要素、及び酵素からなる群から選択される、例1〜12の1以上記載の方法。
【0262】
17. 前記1以上の赤血球タンパク質が、サイトカイン、ケモカイン、又は成長因子である、例16記載の方法。
【0263】
18. 標的細胞の活動を調節する方法であって:
a.) 赤血球を、1以上の赤血球タンパク質のレベルを調節する少なくとも1つの薬剤又は条件と接触させることにより、刺激された赤血球を作製すること;並びに
b.) 該標的細胞を:
(i) 該刺激された赤血球;
(ii) 該刺激された赤血球をインキュベートし、又は培養することから取得した上清;
(iii) 該刺激された赤血球から取得した溶解物;
(iv) 該刺激された赤血球から取得した膜;及び
(v) 該刺激された赤血球から作製した赤血球ゴースト又は膜、からなる群から選択される、1以上の刺激された赤血球構成要素と混合すること、を含み、ここで該標的細胞を該1以上の刺激された赤血球構成要素と混合することにより、該標的細胞の活動が調節される、前記方法。
【0264】
19. 前記刺激された赤血球により、細胞シグナル伝達、免疫反応、細胞発達、細胞成長、細胞成長阻害、細胞死、及び細胞修復からなる群から選択される、前記標的細胞の1以上の活動が調節される、例18記載の方法。
【0265】
20. 前記標的細胞が、免疫細胞、不死化細胞、癌細胞、幹細胞、内皮細胞、線維芽細胞、及び滑液細胞からなる群から選択されるものの1以上である、例18記載の方法。
【0266】
21. 前記免疫細胞が、T-リンパ球、B-リンパ球、単球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、好酸球、及び好塩基球からなる群から選択されるものの1以上である、例20記載の方法。
【0267】
22. 前記癌細胞が、腫瘍細胞、固形腫瘍細胞、播種性腫瘍細胞、及び/又は癌性血液細胞からなる群から選択されるものの1以上である、例20記載の方法。
【0268】
23. 前記幹細胞が、全能性幹細胞、多能性幹細胞、複能性幹細胞、組織幹細胞、胚性幹細胞、ヒト胚性幹細胞(HeSC)、体性幹細胞、造血幹細胞(例えば、臍帯血、骨髄からのもの)、骨髄間質幹細胞(骨格幹細胞)、人工多能性幹細胞(IPSO)、表皮幹細胞、上皮性幹細胞、間葉性幹細胞、神経幹細胞、及び間葉性幹細胞からなる群から選択されるものの1以上である、例20記載の方法。
【0269】
24. 前記混合することが、前記標的細胞を前記刺激された赤血球とインキュベートすること、培養すること、共培養すること、及び合わせることからなる群から選択されるプロセスである、例18〜23の1以上記載の方法。
【0270】
25. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球である、例18〜23の1以上記載の方法。
【0271】
26. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球のインキュベーション又は培養物から取得した上清である、例18〜23の1以上記載の方法。
【0272】
27. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球から取得した溶解物である、例18〜23の1以上記載の方法。
【0273】
28. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球から取得した膜である、例15〜20の1以上記載の方法。
【0274】
29. 投与された前記1以上の刺激された赤血球構成要素が、前記刺激された赤血球から作製した赤血球ゴーストである、例18〜23の1以上記載の方法。
【0275】
30. 前記標的細胞が対象由来である、例24記載の方法。
【0276】
31. 前記標的細胞が対象の内にある、例24記載の方法。
【0277】
32. 前記標的細胞を対象に投与する、例18〜30の1以上記載の方法。
【0278】
33. 標的細胞、標的細胞ゴースト、標的細胞膜、標的細胞溶解物、標的細胞画分、及び標的細胞をインキュベートし、又は培養することにより作製した上清からなる群から選択される、1以上の標的細胞構成要素を対象に投与する、例18〜30の1以上記載の方法。
【0279】
34. 刺激された赤血球、刺激された赤血球構成要素、標的細胞、及び標的細胞構成要素の1以上を前記対象に投与する、例18〜30の1以上記載の方法。
【0280】
35. 前記刺激された赤血球、刺激された赤血球構成要素、標的細胞、又は標的細胞構成要素の1以上を全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、くも膜下腔内、及び腹腔内からなる群から選択される1以上の経路により前記対象に投与する、例18〜30の1以上記載の方法。
【0281】
36. 前記対象が疾患又は障害を有する、例18〜35の1以上記載の方法。
【0282】
37. 疾患又は障害を予防し、治療し、又は改善する方法であって、それを必要とする対象に例1〜36の1以上に従って作製された赤血球又は標的細胞を投与することを含む、前記方法。
【0283】
38. 前記赤血球又は標的細胞を、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、くも膜下腔内、及び腹腔内からなる群から選択される1以上の経路によって前記対象に投与する、例37記載の方法。
【0284】
39. 前記対象が、ヒト又は非ヒト哺乳動物である、例37記載の方法。
【0285】
40. 前記対象が、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類、又は両生類である、例37記載の方法。
【0286】
41. 前記対象が、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、フェレット、スナネズミ、ウサギ、サル、チンパンジー、ウマ、ポニー、ロバ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、ヤギ、ネコ、又はイヌである、例37記載の方法。
【0287】
42. 前記疾患又は障害が、癌、感染症、臓器不全、自己免疫性疾患、自己免疫性障害、炎症、及び免疫不全からなる群から選択される、例37記載の方法。
【0288】
43. 赤血球を刺激する方法であって:
a.) 該赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルを測定すること;
b.) 該赤血球を少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させること;
c.) 該赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルを測定すること;及び
d.) 該少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させる前の該赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルを、該少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させた後の該赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルと比較すること、を含み、ここで該赤血球に関連する1以上のタンパク質の少なくとも1つのレベルの差が、該赤血球が刺激されたことを示す、前記方法。
【0289】
44. 赤血球に関連する1以上のタンパク質、2以上のタンパク質、3以上のタンパク質、4以上のタンパク質、5以上のタンパク質、6以上のタンパク質、7以上のタンパク質、8以上のタンパク質、9以上のタンパク質、10以上のタンパク質、11以上のタンパク質、12以上のタンパク質、13以上のタンパク質、14以上のタンパク質、又は15以上のタンパク質のレベルを測定する、例43記載の方法。
【0290】
45. 赤血球に関連する3以上のタンパク質のレベルを測定する、例44記載の方法。
【0291】
46. 前記赤血球に関連する1以上のタンパク質のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、又は少なくとも15個のレベルに差がある、例43〜48の1以上記載の方法。
【0292】
47. 前記赤血球に関連する少なくとも3つのタンパク質のレベルに差がある、例46記載の方法。
【0293】
48. 少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させる前の赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルを、少なくとも1つの薬剤又は少なくとも1つの条件と接触させた後の赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルと比較した差を、スチューデントのT検定、ANOVA検定、混合効果モデル、マン-ホイットニー検定、ウィルコクソンの順位和、及びスピアマンの順位相関からなる群から選択される統計解析によって決定する、例43〜47の1以上記載の方法。
【0294】
49. 赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルが増加及び/又は低下する、例43〜48の1以上記載の方法。
【0295】
50. 前記赤血球に関連する1以上のタンパク質の少なくとも1つのレベルが増加及び/又は低下する、例43〜48の1以上記載の方法。
【0296】
51. 前記赤血球に関連する1以上のタンパク質の少なくとも1つのレベルが増加する、例43〜48の1以上記載の方法。
【0297】
52. 前記赤血球に関連する1以上のタンパク質の少なくとも1つのレベルが低下する、例43〜48の1以上記載の方法。
【0298】
53. 赤血球に関連する1以上のタンパク質のレベルを、1以上の抗体を使用して測定する、例43〜48の1以上記載の方法。
【0299】
54. 前記1以上のタンパク質が、ケモカイン、サイトカイン、成長因子、受容体、細胞内シグナル伝達物質、ホルモン、核内転写調節因子、神経伝達物質、細胞外マトリックス構成要素、及び酵素からなる群から選択される、例43〜48の1以上記載の方法。
【0300】
55. 前記1以上のタンパク質が、ケモカイン、サイトカイン、及び成長因子からなる群から選択される、例54記載の方法。
【0301】
56. 前記少なくとも1つの薬剤が、タンパク質、酵素、核酸、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、RNA安定化剤、抗凝固剤、及び細胞からなる群から選択される1以上の薬剤である、例43〜49の1以上記載の方法。
【0302】
57. 前記少なくとも1つの条件が、剪断応力、低酸素、又は酸素過剰である、例43〜49の1以上記載の方法。
【0303】
58. 前記刺激された赤血球により、1以上の標的細胞の活動が調節される、例43〜57の1以上記載の方法。
【0304】
59. 前記刺激された赤血球を対象に投与する、例43〜58の1以上記載の方法。
【0305】
60. 対象の細胞表面又は内部の標的タンパク質のレベルを増加させるか、又は低下させるための方法であって、赤血球(RBC)を該RBCの内部に存在する、及び/又は該RBCの表面に結合している標的タンパク質のレベルを増加させるか、又は低下させるために処理すること、並びに
該対象に、それによって細胞表面又は内部の該標的タンパク質のレベルを増加させるか、又は低下させるための:
(i) 前記処理後のRBC、
(ii) 前記処理の間及び/又は後の該RBCの溶解から取得したRBC溶解物、RBC膜、及び/又はRBCゴースト、
(iii) 前記処理の間及び/又は後の該RBCの洗浄から取得した細胞洗浄液、
(iv) 前記処理の間及び/又は後に生成された該RBCの培養物から取得した培養上清、
(v) (i)〜(iv)の組合わせ、の1以上を投与することを含む、前記方法。
【0306】
61. 前記処理に供した前記RBCを、前記対象から取得する、例60記載の方法。
【0307】
62. 前記処理に供した前記RBCを、前記対象からは取得しない、例60記載の方法。
【0308】
63. 前記対象に投与された前記RBCが、RBCゴーストである、例60〜62の1以上記載の方法。
【0309】
64. 前記標的タンパク質のレベルを増加させ、又は低下させることにより:前記対象における免疫反応、細胞発達、細胞成長、及び/又は細胞修復が誘導され、又は調節される、例60〜63の1以上記載の方法。
【0310】
65. 前記標的タンパク質のレベルを増加させ、又は低下させることにより、前記対象における免疫反応が誘導され、又は調節される、例64記載の方法。
【0311】
66. (i) 前記RBC、
(ii) 前記RBC溶解物、RBC膜、及び/若しくはRBCゴースト、
(iii) 前記細胞洗浄液、
(iv) 前記培養上清、又は
(v) (i)〜(iv)の組合わせ、を前記対象に、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、くも膜下腔内、及び/又は腹腔内に投与する、例60〜65の1以上記載の方法。
【0312】
67. 前記対象が哺乳動物対象、ヒト対象、又は両方である、例60〜66の1以上記載の方法。
【0313】
68. 標的細胞の機能を誘導又は調節するための方法であって:
RBCを該RBCの内部に存在する、又は該RBCの表面に結合している標的タンパク質のレベルを増加させるか、又は低下させるために処理すること;並びに
該標的細胞を、それによって該標的細胞の機能を誘導するか、又は調節するための、
(i) 前記処理後のRBC、
(ii) 前記処理の間及び/又は後の該RBCの溶解から取得したRBC溶解物、RBC膜、及び/又はRBCゴースト、
(iii) 前記処理の間及び/又は後の該RBCの洗浄から取得した細胞洗浄液、
(iv) 前記処理の間及び/又は後に生成された該RBCの培養物から取得した培養上清、
(v) (i)〜(iv)の組合わせ、の1以上と混合することを含む、前記方法。
【0314】
69. 前記標的細胞が、免疫細胞、癌細胞、幹細胞、内皮細胞、線維芽細胞、滑液細胞、及び/又は骨髄細胞の1以上である、例68記載の方法。
【0315】
70. 前記免疫細胞が、Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、好酸球、及び/又は好塩基球の1以上である、例69記載の方法。
【0316】
71. 前記癌細胞が、腫瘍細胞、固形腫瘍細胞、播種性腫瘍細胞、及び/又は癌性血液細胞の1以上である、例69記載の方法。
【0317】
72. 前記幹細胞が:全能性幹細胞、多能性幹細胞、複能性幹細胞、組織幹細胞、胚性幹細胞、ヒト胚性幹細胞(HeSC)、体性幹細胞、造血幹細胞(例えば、臍帯血、骨髄からのもの)、骨髄間質幹細胞(骨格幹細胞)、人工多能性幹細胞(IPSO)、表皮幹細胞、上皮性幹細胞、間葉性幹細胞、神経幹細胞、間葉性幹細胞、及び/又はそれらの組合わせの1以上である、例69記載の方法。
【0318】
73. 前記標的細胞が、幹細胞であり、前記混合することにより、該幹細胞が刺激されて特定の細胞系譜へと向かう、例69又は72記載の方法。
【0319】
74. 所与の疾患又は障害に罹患する、又はそれを発症しやすい対象に:
(i) 前記混合後の標的細胞、
(ii) 前記処理の間及び/若しくは後の該標的細胞の溶解から取得した、標的細胞溶解物、標的細胞膜、及び/若しくは標的細胞ゴースト、
(i) 前記処理の間及び/若しくは後の該標的細胞の洗浄から取得した、細胞洗浄液、
(ii) 前記処理の間及び/若しくは後に生成された該標的細胞の培養物から取得した、培養上清、
(iii) (i)〜(iv)の組合わせ、を投与することをさらに含む、例68〜73の1以上記載の方法。
【0320】
75. (i) 前記標的細胞、
(ii) 前記標的細胞溶解物、標的細胞膜、及び/若しくは標的細胞ゴースト、
(iii) 前記標的細胞洗浄液、
(iv) 前記標的細胞培養上清、又は
(v) (i)〜(iv)の組合わせ、を前記対象に、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、くも膜下腔内、及び/又は腹腔内に投与する、例74に記載の方法。
【0321】
76. 前記対象に:
(i) 前記RBC、
(ii) 前記RBC溶解物、RBC膜、及び/若しくはRBCゴースト、
(iii) 前記細胞洗浄液、
(iv) 前記培養上清、又は
(v) (i)〜(iv)の組合わせ、を投与することをさらに含む、例74又は75記載の方法。
【0322】
77. 18. (i) 前記RBC、
(ii) 前記RBC溶解物、RBC膜、及び/若しくはRBCゴースト、
(iii) 前記細胞洗浄液、
(iv) 前記培養上清、又は
(v) (i)〜(iv)の組合わせ、を前記対象に、全身、局所、静脈内、皮下、関節内、筋肉内、くも膜下腔内、及び/又は腹腔内に投与する、例76記載の方法。
【0323】
78. (i) 前記標的細胞、
(ii) 前記標的細胞溶解物、標的細胞膜、及び/若しくは標的細胞ゴースト、
(iii) 前記標的細胞洗浄液、
(iv) 前記標的細胞培養上清、又は
(v) (i)〜(iv)の組合わせ、を前記対象に局所に投与し、かつ
(i) 前記RBC、
(ii) 前記RBC溶解物、RBC膜、及び/又はRBCゴースト、
(iii) 前記細胞洗浄液、
(iv) 前記培養上清、又は
(v) (i)〜(v)の組合わせ、を該対象に全身又は局所に投与する、例76又は77記載の方法。
【0324】
79. 前記対象が、哺乳動物対象、ヒト対象、又は両方である、例74〜78の1以上記載の方法。
【0325】
80. 前記対象が、組織損傷、癌、炎症性疾患若しくは状態、又は免疫障害に罹患している、例74〜80の1以上記載の方法。
【0326】
81. 前記RBC及び/又は前記標的細胞を、前記対象から取得する、例68〜80の1以上記載の方法。
【0327】
82. 前記RBC及び/又は前記標的細胞を、前記対象からは取得しない、例68〜80の1以上記載の方法。
【0328】
83. 前記処理が:
前記赤血球をプロテアーゼ阻害剤と接触させること、
該赤血球を抗凝固剤と接触させること、
該赤血球を溶解させること、
該赤血球を剪断応力にさらすこと、
該赤血球を酸素で処理すること、
該赤血球から酸素を奪うこと、の1以上を含む、例60〜82の1以上記載の方法。
【0329】
84. 前記プロテアーゼ阻害剤が:アプロチニン、ロイペプチン、α2-マクログロブリン、アンチパイン二塩酸塩、カルパイン阻害因子I、カルパイン阻害因子II、キモスタチン、TLCK(CAS 131918-97-3)、トリプシン阻害因子、Pefabloc SC(Roche)、PMSF(C6H5CH2SO2F - Thermo Fisher Scientific)、cOmpleteプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)、又はそれらの組合わせからなる群から選択される、例83記載の方法。
【0330】
85. 前記抗凝固剤が:ヘパリン、クエン酸塩、酸性クエン酸デキストロース、EDTA、及びそれらの組合わせからなる群から選択される、例83記載の方法。
【0331】
86. 前記標的タンパク質が:サイトカイン、ケモカイン、又は成長因子の1以上である、例60〜85の1以上記載の方法。
【0332】
87. 前記標的タンパク質が、炎症性サイトカイン又は炎症性ケモカインである、例60〜86の1以上記載の方法。
【0333】
88. 前記標的タンパク質のレベルが増加する、例60〜87の1以上記載の方法。
【0334】
89. 前記標的タンパク質が:CTACK、GRO-α、βFGF、G-CSF、CM-CSF、HGF、IFN-α2、IFN-γ、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-2rα、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12-40、IL-12p70、IL-13、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IP-10、LIF、MCP-1、M-CSF、MIF、MIG、MIP-1α、MIP-1β、β-NGF、PDGF-bb、RANTES、SDF-1α、TNF-α、TNF-β、TRAIL、VEGF、及びそれらの組合わせからなる群から選択される、例88記載の方法。
【0335】
90. 前記標的タンパク質のレベルが低下する、例60〜87の1以上記載の方法。
【0336】
91. 前記標的タンパク質が:IFN-α2、IFN-γ、IL-1β、IL-8、IL-9、IL-12p70、IL-16、IL-17、IL-18、MIF、TNF-α、IL-2rα、IL-4、CTACK、GRO-α、IL-18、MCP-1、MIP-1 GRO-α、MIP-1β、RANTES、SDF-1α、βFGF、G-CSF、GM-CSF、HGF、IL-3、IP-10、M-CSF、PDFG-bb、VEGF、IL-2、IL-6、IL-12p40、及びそれらの組合わせからなる群から選択される、例90記載の方法。
【0337】
92. 前記方法を補助療法として使用する、例60〜91の1以上記載の方法。
【0338】
93. 前記方法を、組織損傷、癌、炎症性疾患若しくは状態、及び/又は免疫障害の治療の補助療法として使用する、例92記載の方法。
図1
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図2
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図3
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【国際調査報告】
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