特表2018-538681(P2018-538681A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特表2018-538681超電導回路に埋め込まれたジョセフソン接合部の交差カー非線形性に基づく量子非破壊マイクロ波光子計数器、計数方法、および動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-538681(P2018-538681A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】超電導回路に埋め込まれたジョセフソン接合部の交差カー非線形性に基づく量子非破壊マイクロ波光子計数器、計数方法、および動作方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 39/22 20060101AFI20181130BHJP
   H01P 7/08 20060101ALI20181130BHJP
   H01P 5/02 20060101ALI20181130BHJP
   B82Y 10/00 20110101ALN20181130BHJP
   H01P 3/08 20060101ALN20181130BHJP
   H01P 3/00 20060101ALN20181130BHJP
【FI】
   H01L39/22 ZZAA
   H01P7/08
   H01P5/02 603E
   B82Y10/00
   H01P3/08 100
   H01P3/00 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-513516(P2018-513516)
(86)(22)【出願日】2016年8月22日
(85)【翻訳文提出日】2018年3月13日
(86)【国際出願番号】IB2016055002
(87)【国際公開番号】WO2017055946
(87)【国際公開日】20170406
(31)【優先権主張番号】14/952,133
(32)【優先日】2015年11月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/870,663
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】アブド、バレーフ
【テーマコード(参考)】
4M113
5J006
5J014
【Fターム(参考)】
4M113AC08
4M113AC22
4M113AC25
5J006HB02
5J006HB03
5J006NA08
5J014AA00
(57)【要約】
【課題】量子コンピュータにおいて用いられる、マイクロ波周波数領域で動作する超電導量子回路などのマイクロ波光子計数のためのマイクロ波デバイスを提供する。
【解決手段】ポンプ共振器が、第1のポンプ共振器端部において分散非線形要素と第1のスタブの両方に接続される。ポンプ共振器は、第2のポンプ共振器端部においてポンプ・ポートに容量結合され、第1のスタブは開回路で終端される。量子信号共振器が、第1の量子信号共振器端部において分散非線形要素と第2のスタブの両方に接続される。量子信号共振器は、第2の信号共振器端部において信号ポートに容量結合され、第2のスタブはグランドに接続される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波デバイスであって、
分散非線形要素と、
第1のポンプ共振器端部において前記分散非線形要素と第1のスタブの両方に接続され、第2のポンプ共振器端部においてポンプ・ポートに容量結合されたポンプ共振器であり、前記第1のスタブが開回路で終端されている、前記ポンプ共振器と、
第1の量子信号共振器端部において前記分散非線形要素と第2のスタブの両方に接続され、第2の信号共振器端部において信号ポートに容量結合された量子信号共振器であり、前記第2のスタブがグランドに接続されている、前記量子信号共振器と
を備える、マイクロ波デバイス。
【請求項2】
前記分散非線形要素がジョセフソン接合部を備える、請求項1に記載のマイクロ波デバイス。
【請求項3】
前記分散非線形要素がジョセフソン接合部のアレイを備える、請求項2に記載のマイクロ波デバイス。
【請求項4】
前記ポンプ共振器が、ポンプ共振周波数およびポンプ波長を有するポンプ共振モードを備え、
前記ポンプ共振器の長さが前記ポンプ波長の4分の1波長に一致し、
前記量子信号共振器が、信号共振周波数および信号波長を有する信号共振モードを備え、
前記量子信号共振器の長さが前記信号波長の4分の1波長に一致し、
前記ポンプ共振モードおよび前記信号共振モードが前記分散非線形要素に結合される、請求項1に記載のマイクロ波デバイス。
【請求項5】
前記ポンプ・ポートと前記信号ポートが空間的に分離され、前記ポンプ共振モードと前記信号共振モードが、前記ポンプ・ポートと前記信号ポートの間で直接の電力漏洩が起こらないように、前記第1および第2のスタブを介して互いに分離され、
前記ポンプ共振器および前記量子信号共振器は、前記ポンプ共振モードにより前記信号共振周波数の入力量子信号中の光子の数に応じた周波数シフトが得られるように構成される、請求項4に記載のマイクロ波デバイス。
【請求項6】
前記ポンプ共振器および前記量子信号共振器は、入力ポンプ信号に応答して交差カー非線形効果が前記分散非線形要素中に生じ、それによって、前記ポンプ共振モードと前記信号共振モードの間に非線形相互作用が生成されるように構成される、請求項5に記載のマイクロ波デバイス。
【請求項7】
前記交差カー非線形効果により、前記ポンプ共振周波数の反射ポンプ信号が前記信号共振周波数の前記入力量子信号中の前記光子の前記数に依存することになる、請求項6に記載のマイクロ波デバイス。
【請求項8】
前記交差カー非線形効果により、前記信号共振周波数の反射量子信号が前記ポンプ共振周波数の前記入力ポンプ信号中の光子の数に依存することになる、請求項6に記載のマイクロ波デバイス。
【請求項9】
前記ポンプ共振器は、前記ポンプ共振周波数の前記反射ポンプ信号が前記入力量子信号中の前記光子の有無についての情報を搬送するように構成される、請求項7に記載のマイクロ波デバイス。
【請求項10】
前記ポンプ共振器は、前記ポンプ共振周波数における周波数シフトの大きさが前記入力量子信号中の前記光子の前記数によって決まるように構成される、請求項5に記載のマイクロ波デバイス。
【請求項11】
前記ポンプ共振器、前記量子信号共振器、前記第1および第2のスタブ、ならびに前記分散非線形要素は、前記入力量子信号中の前記光子を破壊も吸収もせずに、前記ポンプ共振モードの前記周波数シフトにより前記入力量子信号中の前記光子の前記数を計数するように構成される、請求項5に記載のマイクロ波デバイス。
【請求項12】
請求項1に記載のマイクロ波デバイスによって光子を非破壊計数する方法であって、
ポンプ共振周波数のポンプ信号および信号共振周波数の量子信号に応じて、前記ポンプ共振器のポンプ共振モードおよび前記量子信号共振器の信号共振モードを前記分散非線形要素に結合するステップであり、前記ポンプ共振器の前記ポンプ共振モードが前記ポンプ共振周波数を有し、前記量子信号共振器の前記信号共振モードが前記信号共振周波数を有する、前記結合するステップと、
前記ポンプ共振モードを前記ポンプ共振周波数の前記ポンプ信号で駆動することによって、前記ポンプ信号と前記量子信号の間に非線形相互作用を生じさせるステップと、
測定される出力ポンプ信号に影響を及ぼす前記ポンプ共振周波数によって前記量子信号中の光子の有無を検出するステップと
を含む方法。
【請求項13】
前記分散非線形要素内で交差カー非線形効果を励起し、それによって、前記ポンプ信号と前記量子信号の間に前記非線形相互作用を引き起こすステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記出力ポンプ信号の前記ポンプ共振周波数が、前記交差カー非線形効果の結果としての前記量子信号中の前記光子の数に依存する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記出力ポンプ信号における位相シフトの大きさによって前記量子信号中の光子の前記数を決定するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
周波数シフトが交差カー係数の倍数である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ベースライン周波数シフトを、以前に定められた前記ベースライン周波数シフトよりも前記周波数シフトが大きく表されるように定めるステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記周波数シフトが前記量子信号中の前記光子の前記数を表し、前記ベースライン周波数シフトが、前記量子信号を受け取る前に定められる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ポンプ共振周波数における前記ベースライン周波数シフトの各倍数は、0〜N個の光子が前記ベースライン周波数シフトの0〜Mの倍数に対応するように、前記量子信号の単一光子個数を表し、ここで、Nは前記光子の最後の個数であり、Mは前記ベースライン周波数シフトの最後の倍数である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1に記載のマイクロ波デバイスを動作させる方法であって、
前記マイクロ波デバイスによってポンプ共振周波数のポンプ信号を受け取るステップであり、前記ポンプ共振周波数が前記ポンプ共振器のポンプ共振モードに対応する、前記受け取るステップと、
前記マイクロ波デバイスによって信号共振周波数の量子信号を受け取るステップであり、前記信号共振周波数が前記信号共振器の信号共振モードに対応する、前記受け取るステップと、
前記マイクロ波デバイスによって、位相シフトを有する前記ポンプ信号を前記量子信号中の光子の数に応じて出力するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波周波数領域で動作する超電導量子回路などの量子システムの測定方法に関し、より詳細には、量子コンピュータを実現するための、非破壊的に単一マイクロ波光子を検出または計数あるいはその両方をすることに関する。
【背景技術】
【0002】
光子とは、素粒子、光の量子、および他のすべての電磁放射の形態のことである。光子は、放射周波数に比例するエネルギーを保持し、静止質量がゼロである。
【0003】
単一のマイクロ波光子の検出が未解決の難題である1つの理由は、単一のマイクロ波光子のエネルギーが非常に小さいからである。たとえば範囲が1〜10ギガヘルツのマイクロ波領域の光子のエネルギーは、可視光の光子のエネルギーの少なくとも10分の1よりも小さい。
【0004】
回路量子電磁力学(cQED)は、超電導マイクロ波回路をベースとする量子コンピュータを実現するための主要なアーキテクチャの1つである。量子コンピュータは、マイクロ波共振器に分散的に結合されているキュービットと呼ばれる非線形超電導デバイス(すなわち、キュービットの周波数と共振器の周波数が離調している)で作られた人工原子を使用する。一例として、各超電導キュービットは、接合部と並列のコンデンサによって分路された1つまたは複数のジョセフソン接合部を備えることができる。キュービットは、2次元(2D)平面導波路共振器または3次元(3D)マイクロ波キャビティと容量結合される。キュービットに付随する電磁エネルギーは、ジョセフソン接合部と、キュービットを形成する容量性および誘導性の要素とに保存される。現在までは、キュービットのデコヒーレンスにより情報が失われる前に計算(すなわち、操作および読出し)を行えるようにするために、主要な焦点はキュービットの寿命を改善することにあった。
【0005】
超電導キュービットをcQEDアーキテクチャ内のマイクロ波共振器に分散的に結合することにより共振器に負荷がかかり、その共振周波数がキュービットの量子状態に依存するようになる(すなわち、共振器の共振周波数が、キュービットが基底状態にあるかそれとも励起状態にあるかによって異なる)。この特性により、光子が数個程度のマイクロ波信号をcQEDへ共振周波数近傍で送出することによって、かつキュービット状態についての情報を搬送する出力マイクロ波場の振幅または位相あるいはその両方を測定することによって、キュービット状態の量子非破壊測定を実施することが可能になる。したがって、マイクロ波領域における実用的かつ信頼できる単一光子検出器の1つの潜在的な用途は、希釈冷凍機内部のこの微弱な出力信号の測定(すなわち、キュービット状態の検出)を、このような測定をするために現在一般に使用されている高利得、低雑音、および高分離出力回路を使用する必要なしに、可能にすることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、量子コンピュータにおいて用いられる、マイクロ波周波数領域で動作する超電導量子回路などのマイクロ波光子計数のためのマイクロ波デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施形態によれば、マイクロ波デバイスが提供される。このマイクロ波デバイスは、分散非線形要素と、第1のポンプ共振器端部において分散非線形要素と第1のスタブの両方に接続されたポンプ共振器とを含む。ポンプ共振器は、第2のポンプ共振器端部においてポンプ・ポートに容量結合され、第1のスタブは開回路で終端されている。マイクロ波デバイスはまた、第1の量子信号共振器端部において分散非線形要素と第2のスタブの両方に接続された量子信号共振器も含む。量子信号共振器は、第2の信号共振器端部において信号ポートに容量結合され、第2のスタブはグランドに接続されている。
【0008】
1つの実施形態によれば、光子を非破壊計数する方法が提供される。この方法は、ポンプ共振周波数のポンプ信号および信号共振周波数の量子信号に応じて、ポンプ共振器のポンプ共振モードおよび量子信号共振器の信号共振モードを分散非線形要素に結合するステップを含む。ポンプ共振器のポンプ共振モードはポンプ共振周波数を有し、量子信号共振器の信号共振モードは信号共振周波数を有する。この方法はまた、ポンプ共振モードをポンプ共振周波数のポンプ信号で駆動することによって、ポンプ信号と量子信号の間に非線形相互作用を生成するステップと、測定される出力ポンプ信号に影響を及ぼすポンプ共振周波数によって量子信号中の光子の有無を検出するステップとを含む。
【0009】
1つの実施形態によれば、マイクロ波デバイスを動作させる方法が提供される。この方法は、マイクロ波デバイスによってポンプ共振周波数のポンプ信号を受け取るステップを含み、ポンプ共振周波数はポンプ共振器のポンプ共振モードに対応する。この方法は、マイクロ波デバイスによって信号共振周波数の量子信号を受け取るステップであって、信号共振周波数が信号共振器の信号共振モードに対応するステップと、マイクロ波デバイスによって、位相シフトを有するポンプ信号を量子信号中の光子の数に応じて出力するステップとを含む。
【0010】
さらなる特徴および利点が、本発明の技法によって実現される。本発明の他の実施形態および態様が本明細書に詳細に記載されており、特許請求される本発明の一部とみなされる。本発明がその利点および特徴と共によりよく理解されるように、本明細書および図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態によるマイクロ波デバイスの図である。
図2】ポンプ・ポートから見たマイクロ波デバイスの等価回路図である。
図3】信号ポートから見たマイクロ波デバイスの等価回路図である。
図4】共平面導波路幾何形状を使用するマイクロ波デバイスの例示的な実施態様の図である。
図5】マイクロストリップ幾何形状を使用するマイクロ波デバイスの例示的な実施態様の図である。
図6】マイクロ波デバイスを使用して光子を非破壊計数または検出あるいはその両方をするための方法の流れ図である。
図7】マイクロ波デバイスのための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
光周波数領域では、光電子増倍管、マイクロ波力学インダクタンス検出器、および超電導ナノワイヤ単一光子検出器などの、信頼できる単一光子検出器が様々な実験および用途に広く使用される。しかし、これらのデバイスの1つの不利点は、検出する光子をデバイスが破壊する(すなわち、吸収する)ことである。
【0013】
対照的に、マイクロ波領域、すなわちギガヘルツ(GHz)域では、信頼でき実際的な単一光子検出器が依然として研究開発されているところである。ジョセフソン接合部をベースとする実用的なマイクロ波光子検出器が(ジョセフソン光電子増倍管と呼ばれる)、実験的に研究されてきた。しかし、光領域における単一光子検出器と同様に、このデバイスは、それが検出する光子を吸収する。加えて、開発中のこのマイクロ波デバイスは、入ってくる信号中に存在する光子の数を計数せず、信号中の光子がゼロの場合と光子が少なくとも1つの場合とを区別することしかできない。
【0014】
本発明の諸実施形態では、マイクロ波デバイスの実際的な方式、および単一マイクロ波光子を計数するための測定方法を提供する。諸実施形態は、1)マイクロ波領域(すなわち、ギガヘルツ(GHz)域、たとえば1〜20GHz域)の特定の帯域幅内の単一光子の数を検出および計数するように、かつ2)光子の検出および計数を非破壊的に、すなわち検出または計数される光子を破壊(または吸収)せずに実施するように、構成される。
【0015】
ここで図を見ると、図1は、一実施形態によるマイクロ波デバイス100の図である。マイクロ波デバイス100は、ポンプ駆動用の1/4波長共振器102と、量子信号用の1/4波長共振器104とを含む。ポンプ共振器102の一端は結合コンデンサ106Aに接続され、この結合コンデンサ106Aはポンプ給電路108に接続している。ポンプ給電路108がポンプ・ポート111に接続されるか、またはポンプ・ポート111がポンプ給電路108上にあるか、あるいはその両方である。ポンプ給電路108は、マイクロ波ポンプ信号130(すなわち、強マイクロ波トーン)をマイクロ波発生器135(ポンプと表示)から受け取る。ポンプ共振器102の他端は、分散非線形要素、たとえばジョセフソン接合部(JJ)110にも、ポンプ周波数の半波長スタブ120Aにも接続している。ポンプ共振器102とジョセフソン接合部(JJ)110とスタブ120Aの接続部はノードAと呼ばれ得る。ノードAの反対側で、スタブ120Aは開回路(O.C.)で終端されている。結合コンデンサ106Aの反対側で、ポンプ給電路108はマイクロ波測定/分析デバイス150に接続される。マイクロ波測定/分析デバイス150は、ポンプ信号130がマイクロ波デバイス100と相互作用した後の反射でポンプ信号130を測定するように構成される。マイクロ波測定/分析デバイス150は、本明細書でさらに論じるように、ポンプ信号中の(その周波数における)位相シフトを決定するためのコンピュータを含むか、またはそれに接続されるか、あるいはその両方であり得る。マイクロ波測定/分析デバイス150は、1つまたは複数のプロセッサ、メモリ(たとえば、コンピュータ可読記憶媒体)、ディスプレイ・スクリーン、入力デバイス(たとえば、マウス、キーボード、タッチ・スクリーンなど)を含むか、またはそれに接続されるか、あるいはその両方であり得る。ポンプ135およびマイクロ波測定/分析デバイス150は、サーキュレータ180Aを介してマイクロ波デバイス100に動作可能に接続されるが、マイクロ波デバイス100の一部ではない。
【0016】
マイクロ波デバイス100において、1/4波長信号共振器104の一端は結合コンデンサ106Bに接続され、この結合コンデンサ106Bは信号給電路109に接続している。信号給電路109が信号ポート113に接続されるか、または信号ポート113が信号給電路109上にあるか、あるいはその両方である。信号給電路109は、マイクロ波量子信号140、すなわち測定/試験されるマイクロ波信号、を量子デバイス145から受け取るように構成される。量子デバイス145は、キュービット、キュービットに結合されたキャビティ、などであり得る。信号共振器104の他端は、ジョセフソン接合部(JJ)110に接続しており、またポンプ周波数の半波長スタブ120Bに接続している。ポンプ共振器102とジョセフソン接合部(JJ)110とスタブ120Bの接続部は、ノードBと呼ばれ得る。ノードBの反対側で、スタブ120Bは短絡回路で終端されている。信号給電路109は、サーキュレータ180Bを介して量子デバイス145および測定/分析デバイス144に接続され得る。測定/分析デバイス144は、別の処理に利用することができる。1つの実施態様では、デバイス144は50オーム終端器であり得る。測定/分析デバイス144に接続されたサーキュレータ180Bのポートは、反射信号が量子デバイス145へ返送されないことを確実にする。
【0017】
ポンプ共振器102は、ポンプ・モードまたはポンプ共振モードと呼ばれ得る基本モードを有する。ポンプ共振器102のポンプ・モードは、ポンプ共振周波数fと呼ばれ得る共振周波数を有する。ポンプ共振器102のポンプ・モードは波長λを有し、ここでλ=c’/fであり、c’は、ポンプ共振器102の実施態様において使用される伝送路または導波路中の光の速度である。ポンプ共振器102に加えられるポンプ信号130は、強コヒーレント共振トーンである(すなわち、その周波数はポンプ共振器102の共振周波数に一致する)。ポンプ共振器102は、ポンプ信号の波長の4分の1であるλ/4に一致する長さを有するように設計される。スタブ120Aおよび120Bはそれぞれ、ポンプ信号の波長の半分であるλ/2に一致する長さを有するように設計される。
【0018】
信号共振器104は、信号モードまたは信号共振モードと呼ばれ得る基本モードを有する。信号共振器104の信号モードは、信号共振周波数fと呼ばれ得る共振周波数を有する。信号共振器に入力される量子マイクロ波信号140は、単一光子が数個程度の弱共振トーンであり、その周波数fは信号モードの共振周波数に一致する。信号共振器104の信号モードは波長λを有し、ここでλ=c’/fであり、c’は、デバイスの実施態様において使用される伝送路または導波路中の光の速度である。信号共振器104は、量子信号の波長の4分の1であるλ/4に一致する長さを有するように設計されている。
【0019】
マイクロ波デバイス100には、ポンプ共振器102の(ポンプ)共振周波数と信号共振器104の(信号)共振周波数との間の周波数条件がある。この周波数条件とは、ポンプ共振器102のポンプ共振周波数fが、信号共振器104の信号共振周波数fの2倍に等しいことである。言い換えると、周波数条件とはf=2・fのことである。したがって、加えられる信号130は、量子信号140の周波数fの2倍である周波数fを有する。
【0020】
マイクロ波デバイス100は、反射されたポンプ信号130(たとえば、反射ポンプ信号130’として区別される)が、入力量子信号140中に存在する光子の数についての情報を搬送し、それによって、量子信号140中の光子を計数するのに利用できるように、構成される。加えて、反射された量子信号140(たとえば、反射量子信号140’として区別される)は、入力ポンプ信号130中に存在する光子の数についての情報を搬送し、それによって、ポンプ信号130中の光子を計数するのに利用できる。量子信号140中の光子の数についてのこの情報は、信号共振器104中の光子の数によって決まるポンプ共振器102の共振周波数シフトにより、ポート108からの反射ポンプ信号130’の位相シフトとして符号化される。反射ポンプ信号130’における位相シフトは、マイクロ波測定/分析デバイス150によって測定および分析される。
【0021】
マイクロ波デバイス100(またはポンプ信号130および量子信号140を介した動作あるいはその両方)は、有効ハミルトニアン(駆動部および給電路なし)
【数1】

によって記述できるように構成され、ここで
【数2】

は、ポンプ共振モード項(ポンプ共振モードのドレス共振周波数が
【数3】

である調波発振器としてモデル化)を表し、
【数4】

は、信号共振モード項(信号共振モードのドレス共振周波数が
【数5】

である調波発振器としてモデル化)を表し、
【数6】

は、デバイスの自己カー非線形性(self-Kerr nonlinearity)を表し、
【数7】

は、デバイスの交差カー非線形性(cross-Kerr nonlinearity)を表す。さらに、Kは自己カー定数(すなわち、光子あたりのカー周波数シフト)であり、K’は交差カー定数(すなわち、光子あたりの交差カー周波数シフト)である。加えて、Nはポンプ・モードの光子数演算子であり(その固有値はポンプ共振モードにおける光子の数である)、ここで
【数8】

であり、Nは信号モードの光子数演算子であり(その固有値は信号共振モードにおける光子の数である)、ここで
【数9】

および
【数10】

であり、ここでhはプランク定数である。また、aおよびaは量子演算子である(すなわち、ポンプ共振モードおよび信号共振モードと関連する対消滅演算子)。本開示では場合により、記号N、Nが、個数演算子自体ではなく個数演算子の固有値を表すのに利用され得ることに留意されたい。また、当業者であれば文脈からこの区別を容易につけることができることにも留意されたい。
【0022】
図2は、一実施形態による、ポンプ・ポート111から見たマイクロ波デバイス100の等価回路図である。ポンプ・ポート111から見えるものを明らかにすることに加えて、図2は、ポンプ共振周波数fの入ってくるポンプ信号130から見た回路を同時に示す。したがって、ポンプ・ポート111に関する議論は、入ってくるポンプ信号130に当てはまる。
【0023】
ポンプ等価回路として、図2は、結合コンデンサ106Aを介してポンプ共振器102の伝送路部分に結合されたポンプ給電路108(ポンプ・ポート111を含む)と、ジョセフソン接合部110を介してグランドに接続されたポンプ共振器の伝送路部分の他端とを示す。この等価回路を説明するために、1)インピーダンス変換器として機能するスタブ120Aが開回路で終端され、その長さがポンプ信号130の波長の半分に一致しており、それゆえに、ノードAからは開回路がポンプ周波数において見えること、ならびに、2)インピーダンス変換器として機能するスタブ120Bが短絡回路で終端され、その長さがポンプ信号130の波長の半分に一致しており、それゆえに、ノードBからは短絡回路がポンプ周波数において見えること、に留意されたい。
【0024】
このポンプ等価回路の1つの有益な結果は、ポンプ共振モードでは信号共振器104が見えないことを明らかにすることである。言い換えると、ポンプ共振器102は信号共振器104から分離されている。
【0025】
別の有益な結果は、ポンプ共振モードに伴うRF電流Iが、波腹をジョセフソン接合部110の位置に有することである。
【0026】
図3は、一実施形態による、量子信号ポート113から見たマイクロ波デバイス100の等価回路図である。信号ポート113から見えるものを明らかにすることに加えて、図3は、信号共振周波数fの入ってくる量子信号140から見た等価回路を同時に示す。したがって、信号ポート113に関する議論は、入ってくる量子信号140に当てはまる。
【0027】
信号ポートから見たマイクロ波デバイス100の等価回路として、図3は、結合コンデンサ106Bを介して信号共振器104の伝送路部分に結合された信号給電路109(信号ポート113を含む)と、ジョセフソン接合部110を介してグランドに接続された信号共振器104の伝送路部分の他端とを示す。ポンプ周波数の周波数条件がf=2・fであるので(ポンプ共振器102の基本共振モードはポンプ周波数fに対応し、信号共振器104の基本共振モードは信号周波数fに対応する)、信号ポート113(信号共振周波数fの量子信号140)から反対側のポンプ・ポート111が見える。
【0028】
この場合(すなわち、信号ポートの場合)、インピーダンス変換器として機能するスタブ120Bは短絡回路で終端され、その長さは、信号の波長の4分の1に一致し、それゆえに、ノードBから開回路が信号周波数において見える。同様に、インピーダンス変換器として機能するスタブ120Aが開回路で終端され、その長さが信号の波長の4分の1に一致しており、それゆえに、ノードAからは短絡回路が信号周波数において見える。
【0029】
このポンプ等価回路の1つの有益な結果は、ポンプ共振モードではポンプ共振器102が見えないことを明らかにすることである。言い換えると、信号共振器104はポンプ共振器102から分離されている。
【0030】
別の有益な結果は、信号共振モードに伴うRF電流Iが、波腹をジョセフソン接合部110の位置に有することである。
【0031】
図2および図3に基づいて、1)ポンプ共振器102が(結合コンデンサおよび給電路を無視して)、ポンプ周波数においてジョセフソン接合部110を介してグランドに短絡された4分の1波長伝送路から成り、2)信号共振器104が(結合コンデンサおよび給電路を無視して)、信号周波数においてジョセフソン接合部110を介してグランドに短絡された4分の1波長伝送路から成る、ということをここで明確にするのは注目に値する。
【0032】
マイクロ波デバイス100は、2つのマイクロ波共振モード(すなわち、ポンプ共振モードおよび信号共振モード)を共通分散非線形要素、すなわちジョセフソン接合部110に結合するように構成される。
【0033】
マイクロ波デバイス100は、1つのモード、すなわちポンプ共振周波数fにおけるポンプ・モードを、第2のモード、すなわち信号共振周波数fにおける量子信号モード、で存在する光子の光子数検出器として使用するように構成される。マイクロ波デバイス100では、信号モードの信号共振周波数fは、検出または計数あるいはその両方をすべきマイクロ波光子のマイクロ波周波数に一致する。
【0034】
ポンプ共振周波数fの強コヒーレントマイクロ波トーン(すなわち、ポンプ信号130)を使用して(ポンプ共振器102の)ポンプ・モードを駆動することによって、マイクロ波デバイス100は、ポンプ・モードと信号モードの間で(したがって、ポンプ共振周波数fのポンプ信号130と信号共振周波数fの量子信号140の間で)非線形相互作用をもたらす交差カー非線形効果を、ジョセフソン接合部110において生じさせるように構成される。
【0035】
この交差カー効果の結果として、マイクロ波デバイス100は、ポンプ・モードのポンプ共振周波数fが周波数fでの信号共振モードにおける光子の数に依存することになり、逆も同様になるように構成される。
【0036】
マイクロ波デバイス100は、周波数fの反射ポンプ信号130’の位相を監視することによって、測定/分析デバイス150が信号モードで信号光子の有無を量子非破壊測定により検出(すなわち、周波数fの量子信号140中の信号光子の有無を検出)できるように構成される。
【0037】
マイクロ波デバイス100は、信号モードでの光子の数が、出力ポンプ信号130’(測定/分析デバイス150によってポンプ給電路108における反射で測定)によって得られた位相シフトの大きさに基づいて推測/決定されるように構成される。したがって、マイクロ波デバイス100は、非破壊マイクロ波光子検出計数器として機能する。ポンプ・モードの共振周波数における周波数シフトを導入することによって、マイクロ波デバイス100は、量子信号140中の信号光子を吸収も破壊もしない。むしろ、量子信号は、ジョセフソン接合部110を介してデバイス100内でポンプ信号130と相互作用した後、反射され信号給電路109においてマイクロ波デバイス100を離れる。
【0038】
反射で測定される、また上記で詳細に説明されているポンプ・モードおよび信号モードに加えて、マイクロ波デバイス100はまた、ポンプ・ポートと信号ポートの間の伝送において測定できる2つの共通共振モードを有することに留意されたい。しかし、これらの共通共振モードは、上述の信号−ポンプ相互作用において役割を果たさず、周波数がポンプ共振モードおよび信号共振モードから遠く離調している(それゆえに、必要であればフィルタリング除去することができる)。たとえば、ポンプ共振周波数が約16GHzで信号共振周波数が約8GHzのデバイスの場合、デバイスの共通モードでは、約3GHzおよび13GHzで共振すると予測される。
【0039】
デバイス説明から容易に推測できるマイクロ波デバイス100の2つの有益な利点は、以下の通りである。
【0040】
1)信号光子の検出を可能にする強いポンプ駆動(すなわち、ポンプ信号130)が、検出される弱い信号(たとえば、量子信号140)とは異なるポートを通して注入される。また、
【0041】
2)ポンプ・モードと信号モードが互いに完全に分離されている(スタブを使用することにより)。これらは、それぞれの共振器を接続するJJ(または複数のJJ)を介して相互作用するだけである。したがって、設計によって、ポンプ・ポートと信号ポートの間には直接の電力漏洩が全くないはずである。
【0042】
図4は、一実施形態による共平面導波路として実現されたマイクロ波デバイス100の図である。図4で、ポンプ給電路108は、結合コンデンサ106Aによってポンプ共振器102に接続されている。ポンプ給電路108およびポンプ共振器102は、低損失誘電体基板上に形成された超電導体でできている。結合コンデンサ106Aは、ポンプ給電路108とポンプ共振器102の各導体間のギャップ・コンデンサとして実現される。ポンプ共振器102は、約λ/4に一致する長さを有する(ある特定のポンプ共振周波数に対し、この長さは、ポンプ共振器の伝送路部分を終端するジョセフソン接合部110によって付加される集中インダクタンス量に応じて変化し得る)。グランド・プレーン405は、ポンプ共振器102およびポンプ給電路108の両側に形成される。
【0043】
量子信号給電路109は、結合コンデンサ106Bによって信号共振器104に接続される。信号給電路109および信号共振器104もまた、低損失誘電体基板上に形成された超電導体でできている。同様に、結合コンデンサ106Bは、信号給電路109と信号共振器104の導体間のギャップ・コンデンサとして実現される。信号共振器104は、約λ/4に一致する長さを有する(ある特定の信号共振周波数に対し、この長さは、信号共振器の伝送路部分を終端するジョセフソン接合部110によって付加される集中インダクタンス量に応じて変化し得る)。グランド・プレーン405は、信号共振器104および信号給電路109の両側に形成される。
【0044】
ノードAで、ポンプ共振器102は、ジョセフソン接合部110およびスタブ120Aに接続される。スタブ120Aの他端は開放のままである(すなわち、開回路で終端される)。
【0045】
ノードBで、信号共振器104は、ジョセフソン接合部110およびスタブ120Bに接続される。スタブ120Bの他端は、グランド・プレーン405に接続される。スタブ120Aおよび120Bは、この実施形態において低損失誘電体基板上に共平面導波路の形で実現された超電導伝送路であり、スタブ120Aおよび120Bの中心導体はそれぞれ、λ/2に一致する長さを有する。
【0046】
ジョセフソン接合部110は分散非線形インダクタであり、バリア(たとえば、絶縁トンネル・バリア)によって分離された2つの超電導電極でできている。たとえば、ジョセフソン接合部110の一方の超電導電極はノードAに接続しており、他方の超電導電極はノードBに接続している。
【0047】
図5は、一実施形態によるマイクロストリップ幾何形状の形で実現されたマイクロ波デバイス100の図である。図5は、マイクロストリップ実施態様が、マイクロ波デバイス100に応じて低損失誘電体基板上に形成された超電導体を有するという点で図4と類似している。マイクロストリップと共平面導波路の実装態様の間の1つの主要な相違は、グランド・プレーンの位置に関連する。共平面導波路構成(図4)では、グランド・プレーンが誘電体基板の中心導体と同じ面にあるのに対し、マイクロストリップ構成(図5)では、グランド・プレーンが誘電体基板の反対面にある。
【0048】
図5で、ポンプ給電路108は、結合コンデンサ106Aによってポンプ共振器102に接続されている。ポンプ給電路108およびポンプ共振器102は、低損失誘電体基板上に形成された超電導体である。結合コンデンサ106Aは、ポンプ給電路108とポンプ共振器102の導体間のギャップ・コンデンサとして実現される。ポンプ共振器102は、λ/4に一致する長さを有する(ある特定のポンプ共振周波数に対し、この長さは、ポンプ共振器の伝送路部分を終端するジョセフソン接合部110によって付加される集中インダクタンス量に応じて変化し得る)。しかし、図4とは異なり、グランド・プレーンは、ポンプ共振器102およびポンプ給電路108の両側に形成されるのではなく、誘電体基板の別の面に形成される。
【0049】
量子信号給電路109は、結合コンデンサ106Bによって信号共振器104に接続される。信号給電路109および信号共振器104もまた、低損失誘電体基板上に形成された超電導体である。同様に、結合コンデンサ106Bは、信号給電路109と信号共振器104の導体間のギャップ・コンデンサとして実現される。信号共振器104は、λ/4に一致する長さを有する(ある特定の信号共振周波数に対し、この長さは、信号共振器の伝送路部分を終端するジョセフソン接合部110によって付加される集中インダクタンス量に応じて変化し得る)。図4とは異なり、グランド・プレーンは、信号共振器104および信号給電路109の両側に形成されるのではなく、誘電体基板の別の面に形成される。
【0050】
ノードAで、ポンプ共振器102は、ジョセフソン接合部110およびスタブ120Aに接続される。スタブ120Aの他端は開放のままである(すなわち、開回路で終端される)。
【0051】
ノードBで、信号共振器104は、ジョセフソン接合部110およびスタブ120Bに接続される。スタブ120Bの他端は、グランド・プレーン405に接続される。スタブ120Aおよび120Bは、この実施形態において低損失誘電体基板上にマイクロストリップの形で実現された超電導伝送路であり、スタブ120Aおよび120Bの中心導体はそれぞれ、λ/2に一致する長さを有する。
【0052】
本発明の実施形態の別の実施態様または変形形態が可能である。1つの実施態様では、ポンプ共振器102および信号共振器104は、集中インダクタ(たとえば、細い超電導線、または大きいジョセフソン接合部のアレイ)および集中コンデンサ(たとえば、平面コンデンサまたは交互嵌合コンデンサ)を使用して、同等に実現することができる。様々な実施態様における1つの特定の条件は、ジョセフソン接合部110の位置でポンプ・モードおよび信号モードの最大RF電流を維持することである。
【0053】
別の実施態様では、マイクロ波デバイス100の半波長スタブ120Aおよび120Bはまた、それと同等の集中要素回路をポンプ共振周波数の近傍で使用して実現することもできる。
【0054】
別の実施態様では、単一ジョセフソン接合部110を大きいジョセフソン接合部のアレイに置き換えることができる。
【0055】
さらに別の実施態様では、単一ジョセフソン接合部110は直流超電導量子干渉デバイス(DC−SQUID)(またはDC−SQUIDのアレイ)に置き換えることができ、この直流超電導量子干渉デバイスは、DC−SQUIDループ(またはDC−SQUIDのアレイのループ)を通り抜ける磁束を変化させることによって、混合要素の線形インダクタンス(すなわち、DC−SQUID内のジョセフソン接合部のインダクタンス)の原位置チューニングを可能にする。
【0056】
一実施態様では、マイクロ波デバイス100は、DC−SQUIDをデバイス共振器、スタブ、および非線形混合要素(すなわち、ジョセフソン接合部110、またはジョセフソン接合部のアレイ)に組み込むことによって、周波数チューニング可能にすることができる。
【0057】
マイクロ波デバイス100における光子計数および検出のための理論のさらなる詳細について議論する。理解を容易にするために、以下では副題が付けられている。副題は、説明が目的であり限定ではないことを理解されたい。
【0058】
I.ジョセフソン接合部のエネルギー
【0059】
ジョセフソン接合部に流れる超電導電流は、I=Isinδで与えられる電流−位相関係を満たし、ここで、Iはジョセフソン接合部の臨界電流であり、δはゲージ一定位相差(gauge-invariant phase difference)である。ジョセフソン接合部のエネルギーは、E=E(1−cosδ)と書くことができ、ここで、E=Iφはジョセフソン・エネルギーであり、
【数11】

は低減された磁束量子(eは電子電荷)である。三角関数の公式
【数12】

を用いることによって、ジョセフソン接合部のエネルギーを
【数13】

と書き直すことができる。
【0060】
ジョセフソン接合部のエネルギーの式を電流の4次まで拡張すると、
【数14】

が得られる。接合部インダクタンス
【数15】

を代入することによって、
【数16】

が得られる。ここで、第1項
【数17】

は、ポンプ共振器および信号共振器の素共振(bare resonance)周波数を修正し、第2項
【数18】

は非線形混合項を表す。
【0061】
II.量子化
【0062】
図2図3に示された、ポンプ・ポートおよび信号ポートから見たマイクロ波デバイスの等価回路に基づくと、ジョセフソン接合部に流れる高周波(RF)電流はI=I−Iであり、ここでIおよびIは、ジョセフソン接合部に流れるポンプ・マイクロ波共振モードおよび信号マイクロ波共振モードのRF電流である。
【0063】
ポンプ共振モードおよび信号共振モードと関連する対消滅演算子を表す量子演算子a、aで電流I、Iを表すと、
【数19】

【数20】

が得られ、ここで
【数21】

は、
【数22】

および
【数23】

によって与えられるゼロ点ゆらぎ(ZPF)電流振幅であり、ここでωおよびωは、ポンプ共振器および信号共振器の角共振周波数であり、ZおよびZは、対応する共振器の特性インピーダンスである。
【0064】
次の、角共振周波数
【数24】

および共振器インピーダンス
【数25】

の式を用いると、ZPF電流振幅は
【数26】

および
【数27】

と書き直すことができ、ここでL、LおよびC、Cは、ポンプ共振器および信号共振器の等価LC回路の共振時のインダクタンスおよびキャパシタンスを表す。
【0065】
III.システムの有効ハミルトニアン
【0066】
給電路、駆動部、および環境への損失を考慮に入れなければ、システムの有効ハミルトニアンは、加算
eff=Hres+E (式6)
によって与えられ、ここで
【数28】

および
【数29】

は、ポンプ・モードおよび信号モードの光子数演算子である。
【0067】
式4および式5、光子数演算子N、N、課された周波数条件ω=2ω、ならびに回転波近似を用いながら、式2および式3をEの式(すなわち、式1)に代入すると、システムの有効ハミルトニアン(式6)を
【数30】

の形で書くことができ、ここで、第1項および第2項の
【数31】

は、ジョセフソン接合部による共振器の誘導性負荷(式1の第1項によって表される)を含むポンプ・モードおよび信号モードのドレス角共振周波数であり、自己カー非線形性および交差カー非線形性を表す第3項および第4項のK、K’はそれぞれ、自己カー定数および交差カー定数に対応する。
【0068】
式7の展開ではまた、ポンプ・モードが信号モードと比較して強く駆動されること、ならびに2つのモードa、aのボゾン演算子が互いに交換可能であり、また同じモードのボゾン演算子が
【数32】

の形の通常の交換関係を満たすことも用いた。
【0069】
式7の自己カー定数は
【数33】

によって与えられ、これは、ポンプ共振器の総インダクタンスに対するJJの線形インダクタンスの関与率
【数34】

およびJJのプラズマ周波数
【数35】

によって
【数36】

と書き換えることができる。
【0070】
同様に、式7の交差カー定数は
【数37】

によって与えられ、これは、p、ω、および信号共振器の総インダクタンスに対するJJの線形インダクタンスの関与率
【数38】

によって
【数39】

と書き換えることができる。
【0071】
IV.光子あたりの共振周波数シフト
【0072】
デバイスの基本概念をよりよく理解するために、式7の各項を、システムの有効ハミルトニアンが
【数40】

と表されるように再整理する。
【0073】
この形は、カー効果が感知可能である非線形領域でデバイスを動作させることによって、自己カー非線形性および交差カー非線形性がポンプ・モードのドレス角共振周波数を、ポンプ共振モードおよび信号共振モードで存在する光子の数に依存してシフトさせることを示す。さらに、ポンプ・モードが特定の動作点において外部駆動されるので、信号共振器に入る信号光子がその数に比例するK’Nだけポンプ共振周波数をシフトし、したがって、交差カー定数K’は光子あたりの周波数シフトに対応する。
【0074】
このデバイスを使用して単一マイクロ波光子を検出(すなわち、存在することを決定)するには、交差カー非線形性(すなわち、K’)による光子あたりの周波数シフトは、動作点におけるポンプ共振モードのライン幅(すなわち、帯域幅)以上でなければならないことに留意されたい。
【0075】
V.典型的な数値を用いる設計例
【0076】
提案されたマイクロ波デバイス100の設計例では、様々なパラメータの実現可能な数値が利用される。ポンプ・モードのドレス共振周波数は
【数41】

である。信号モードのドレス共振周波数は
【数42】

である。共振器のインピーダンスは、Z=Z=50Ωである(より低い特性インピーダンスもまた実現可能であり、デバイス性能に関してより好ましいと予想されることに留意されたい)。関係
【数43】

を用いて、L=0.5ナノヘンリー(nH)、L=1nHの推定値を得る。I=1マイクロアンペア(μA)と仮定すると、L=0.3nH、および
【数44】

になる。LP,SおよびLの値を用いて、ポンプ共振器および信号共振器の関与率の推定値
【数45】

および
【数46】

を得る。これらの値を式8および式9に代入すると
【数47】

および
【数48】

が得られる。光子あたりのこれらの周波数シフトよりも小さいライン幅を有するようにポンプ共振モードを設計することによって(これは最新技術の超電導マイクロ波回路を用いて完全に達成可能である)、マイクロ波デバイス100は、測定/分析デバイス150によって測定される単一量子信号光子を検出するように構成される。
【0077】
1つの実施態様においてデバイスが適切に動作するには、デバイスは2つの追加要件を満たす必要がある。第1の要件では、両方の共振器の内部Q(internal quality factor)は、単一光子レベルで可能な限り高く>10でなければならず、また共振器と給電路の間の結合コンデンサおよびその特性インピーダンスよって定まる共振器の外部Q(external quality factor)よりも少なくとも2桁大きくなければならない。この要件は、検出される信号光子と、これらを検出するポンプ光子とが、これらが両共振器に入って出る比率よりも高い比率で共振器内の内部損失機構へ失われないようにするものである。この要件の1つの明白な結果は、両共振器の総合Q(total quality factor)が主に外部Qによって定まることである。
【0078】
第2の要件では、バイアス点におけるポンプ共振器の帯域幅が信号共振器の帯域幅以上でなければならない。言い換えると、ポンプ共振器の応答時間が信号共振器の応答時間以下でなければならない。この要件は、ポンプ光子が信号光子を、それが信号給電路を通ってデバイスから出る前に検出するための十分な時間を与えるためのものである。両方の要件が、本明細書で論じられている超電導マイクロ波回路において達成されることに留意されたい。
【0079】
1つの実施態様では、特定のポンプ駆動用の交差カー定数K’の値を(実験的に)較正する技法は、ポンプ駆動に重畳された非常に弱いプローブ(平均で1つ未満の光子)を使用して、ポンプ共振器の複素反射パラメータを入力ごとに周波数の関数として測定しながら、信号周波数で信号共振器に加えられるコヒーレント・トーンの入力を変化させることである。信号電力に対する測定ポンプ共振周波数の勾配を抽出し、かつ信号共振周波数および信号共振器帯域幅についての知識を前もって用いることによって、定数K’を計算することができる。
【0080】
1つの実施態様では、このデバイスを使用して単一信号光子を(実験的に)検出する技法は、入力信号なしで(すなわち、N=0)ポンプ共振周波数で加えられる反射ポンプ駆動の位相を監視することである。1〜3光子程度の信号光子が信号共振器に入り、JJ(すなわち、非線形分散要素)を通ってポンプ・モードと相互作用すると、ポンプ・モードの共振周波数は、信号共振器内の信号光子の数に比例するK’/2πの倍数だけ下方にシフトする。ポンプ・モードの共振周波数シフトの結果として、反射ポンプ駆動の位相はそれに応じて同様にシフトする。この位相シフトを測定することによって、デバイスに入った信号光子の数(1〜3つ程度)を推測することができる。
【0081】
多数の、たとえば3から10個の間の、入ってくる信号光子をリアル・タイムで計数するには、デバイスを用いて、より精巧な測定技法を使用することができる。たとえば、入力信号なしで(すなわち、N=0)ポンプ共振周波数より下の
【数49】

に位置する周波数でポンプ共振器に加えられる多数の、(デバイス動作を変えないようにするための)比較的弱いトーンの反射位相の連続監視を行うことができる。この方法によれば、位相シフトが、入力信号なしで(すなわち、N=0)ポンプ共振周波数より下の周波数
【数50】

で加えられる弱い反射トーン中に検出される場合、これは、入ってくる信号がN個の光子を含むことを高い確率で示す。
【0082】
数個の光子を超える多数のマイクロ波光子を測定することは、いくつかの量子適用例の場合のようには有用でないことがあり、したがってデバイスは、それに応じてチューニングすることができない。システムの有効ハミルトニアンは、ポンプ駆動に比べて非常に弱い信号の限界内で特に導出されたことにもまた留意されたい。したがって、数個の光子を超えて信号の強度をさらに増大させることによって、ハミルトニアンの導出(式10)では無視された望ましくない他の非線形項が作用し始めると予想される。著しい性能低下なしにデバイスが検出または計数できる入力信号光子の正確な数はもちろん、JJまたは複数のJJの臨界電流、関与率、共振器の帯域幅、共振器の特性インピーダンス、および共振器の特定の実施態様などのいくつかの設計パラメータにより、デバイスごとに、または実施態様ごとに異なり得る。
【0083】
ここで図6を見ると、一実施形態によるマイクロ波デバイス100を使用してマイクロ波光子の非破壊計数または検出あるいはその両方をするための方法600の流れ図が提示されている。
【0084】
ブロック605で、マイクロ波デバイス100は、ポンプ共振周波数fのポンプ信号130および信号共振周波数fの量子信号140に応じて、ポンプ共振器102のポンプ共振モード(基本共振モード)および量子信号共振器104の信号共振モード(たとえば、基本共振モード)を分散非線形要素(たとえば、ジョセフソン接合部110)に結合するように構成される。ポンプ共振器102のポンプ共振モードはポンプ共振周波数fを有し、量子信号共振器の信号共振モードは信号共振周波数を有する。
【0085】
ブロック610で、マイクロ波デバイス100は、ポンプ共振モード(すなわち、ポンプ・モード)をポンプ共振周波数fのコヒーレント・ポンプ信号130で強く駆動することによって、ポンプ信号130と量子信号140の間に非線形相互作用/混合を生成するように(すなわち、ジョセフソン接合部110を介して)構成される。
【0086】
ブロック615で、マイクロ波デバイス100は、出力ポンプ信号130’(すなわち、マイクロ波デバイス100から反射)の位相に影響を及ぼすポンプ・モードの共振周波数によって、量子信号140中の光子の有無の検出を可能にするように構成される。
【0087】
マイクロ波デバイス100は、分散非線形要素内で交差カー非線形効果を励起し、それによってポンプ信号130と量子信号140の間に非線形相互作用を引き起こすように構成される。マイクロ波デバイス100は、ポンプ・モードのポンプ共振周波数が、デバイス内で起きる交差カー非線形効果の結果としての量子信号140中の光子の数に依存するように(このことは、デバイスの入力−出力関係を考慮に入れることによって示すことができる)構成される。
【0088】
量子信号140中の光子の数は、ポンプ共振周波数における周波数シフトの大きさによって決定される。周波数シフトは、交差カー係数の倍数になる。ベースライン周波数シフトが、以前に定められたベースライン周波数シフトよりも周波数シフトが大きく表されるように定められる。この周波数シフトは量子信号中の光子の数を表し、ベースライン周波数シフトは、量子信号を受け取る前に定められる。ポンプ信号におけるベースライン周波数シフトの各倍数は、0〜N個の光子がベースライン周波数シフトの0〜Mの倍数に対応するように、量子信号の単一光子個数を表し、ここで、Nは光子の最後の個数であり、Mはベースライン周波数シフトの最後の倍数である。
【0089】
図7は、一実施形態によるマイクロ波デバイス100のための方法700の流れ図である。図1〜5を参照することができる。
【0090】
ブロック705で、マイクロ波デバイス100は、ポンプ共振周波数fの強いコヒーレント・ポンプ信号130を受け取るように構成され、このポンプ共振周波数は、ポンプ共振器102のポンプ共振(基本)モードに対応する。
【0091】
ブロック710で、マイクロ波デバイス100は、信号共振周波数fの量子信号140を受け取るように構成され、この信号共振周波数は、信号共振器104の信号共振(基本)モードに対応する。
【0092】
ブロック715で、マイクロ波デバイス100は、量子信号140中の光子の数に依存するポンプ・モードのポンプ共振周波数シフトに応じて、位相シフトを有するポンプ信号130’を出力するように構成される。
【0093】
当業者には理解されるように、様々なマイクロ電子デバイス製造方法が、本明細書で論じられた構成要素/要素を製造するために利用でき得ることに留意されたい。超電導および半導体デバイス製造においては、様々な処理ステップは、4つの一般的なカテゴリ、すなわち堆積、除去、パターニングおよび電気的特性の修正、の中に入る。
【0094】
堆積とは、材料をウェハの上に成長させる、コーティングする、またはそれとは別に移転するあらゆる処理のことである。利用可能な技術には、特に、物理気相成長法(PVD)、化学気相成長法(CVD)、電気化学堆積法(ECD)、分子ビーム・エピタキシ(MBE)、およびより最近では原子層堆積法(ALD)が含まれる。
【0095】
除去とは、ウェハから材料を除去するあらゆる処理のことであり、例としては、エッチング処理(ウェットまたはドライ)、および化学機械研磨(CMP)などが含まれる。
【0096】
パターニングとは、堆積材料を成形または変更することであり、一般にリソグラフィと呼ばれる。たとえば、従来のリソグラフィでは、ウェハは、フォトレジストと呼ばれる化学物質でコーティングされ、次に、ステッパと呼ばれる機械でマスクの焦点を合わせ、位置を合わせ、またマスクを移動させて、ウェハの選択部分を短波長光の下に露光し、この露光領域は現像液によって洗い流される。エッチングまたは他の処理の後に、残っているフォトレジストが除去される。パターニングにはまた、電子ビーム・リソグラフィも含まれる。
【0097】
電気的特性の修正には、一般に拡散またはイオン注入あるいはその両方によってトランジスタのソースおよびドレインをドーピングすることなどの、ドーピングが含まれ得る。これらのドーピング処理の後には、炉アニーリングまたは高速熱アニーリング(RTA)が続く。アニーリングには、注入ドーパントを活性化する作用がある。
【0098】
図の流れ図およびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の実現可能な実施態様のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。この点について、流れ図またはブロック図の中の各ブロックは、特定の論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を含む命令のモジュール、セグメントまたは一部分を表し得る。いくつかの代替実施態様では、ブロック中に示された機能は、図に示された順序を外れて行われ得る。たとえば、連続して示された2つのブロックが、実際には実質的に同時に実行されることがあり、あるいは各ブロックが、含まれる機能に応じて、場合により逆の順序で実行されることがある。また、ブロック図または流れ図あるいはその両方における各ブロック、ならびにブロック図または流れ図あるいはその両方におけるブロックの組合せは、特定の機能または動作を実施する、または専用ハードウェアとコンピュータ命令の組合せを実行する、専用ハードウェア・ベースのシステムによって実現できることにも留意されたい。
【0099】
本発明の様々な実施形態についての記述は、説明の目的で提示されているが、網羅的なものでも開示された実施形態に限定されるものでもない。本発明の範囲から逸脱しない多くの変更および変形が業者には明らかであろう。本明細書で使用された術語は、諸実施形態の原理、実際的な適用もしくは市場で見出される技術についての技法的改善を最善に説明するように、または他の当業者が本明細書に開示された本発明の実施形態を理解できるように、選択された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】