特表2018-538690(P2018-538690A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2018-538690ゴム変性の相変化熱伝導材料及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-538690(P2018-538690A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】ゴム変性の相変化熱伝導材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/373 20060101AFI20181130BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20181130BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20181130BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20181130BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20181130BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20181130BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20181130BHJP
   C08K 3/28 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   H01L23/36 M
   H01L23/36 D
   C08L101/00
   C08L21/00
   C08K5/13
   C08K5/54
   C08K3/08
   C08K3/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-527812(P2018-527812)
(86)(22)【出願日】2015年12月10日
(85)【翻訳文提出日】2018年5月23日
(86)【国際出願番号】CN2015096969
(87)【国際公開番号】WO2017092066
(87)【国際公開日】20170608
(31)【優先権主張番号】201510881348.0
(32)【優先日】2015年12月3日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】518181682
【氏名又は名称】深▲セン▼▲徳▼邦界面材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN DARBOND INTERFACE MATERIALS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲トン▼ 志▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】万 ▲ウェイ▼▲濤▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 田安
【テーマコード(参考)】
4J002
5F136
【Fターム(参考)】
4J002AA00W
4J002AA00Y
4J002AC00X
4J002AE05W
4J002AF02Y
4J002BA01Y
4J002BP01X
4J002DA098
4J002DE148
4J002DF018
4J002DK008
4J002EG047
4J002EJ036
4J002EJ046
4J002EW047
4J002EX007
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4J002EZ007
4J002FD076
4J002FD207
4J002FD208
4J002GQ00
4J002GQ05
5F136BC07
5F136FA02
5F136FA13
5F136FA14
5F136FA16
5F136FA51
5F136FA55
(57)【要約】
原料として、重量百分率で、ベース相変化樹脂3〜10%と、合成ゴム1〜5%と、増粘樹脂5〜10%と、酸化防止剤0〜1%と、カップリング剤0〜5%と、熱伝導粒子69〜85%とを含むゴム変性の相変化熱伝導材料及びその製造方法である。当該ゴム変性の相変化熱伝導材料は、改善された熱伝導性を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料として、重量百分率でベース相変化樹脂3〜10%と、合成ゴム1〜5%と、増粘樹脂5〜10%と、酸化防止剤0〜1%と、カップリング剤0〜5%と、熱伝導粒子69〜85%を含むことを特徴とするゴム変性の相変化熱伝導材料。
【請求項2】
前記原料の重量百分率が、ベース相変化樹脂5%、合成ゴム3%、増粘樹脂8%、酸化防止剤0.1%、カップリング剤3.4%、熱伝導粒子80.5%であることを特徴とする請求項1に記載のゴム変性の相変化熱伝導材料。
【請求項3】
前記ベース相変化樹脂が、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウのうちの1つ又は複数であり、前記合成ゴムが、SEBS、SBSの1つ又は2つであり、前記増粘樹脂が、C5石油樹脂、C9石油樹脂、ロジンのうちの1つ又は複数であり、前記酸化防止剤が、2,2’−メチレン−ジ−(4−メチル,6−t−ブチルフェノール)、酸化防止剤1076、酸化防止剤1010のうちの1つ又は複数であり、前記カップリング剤が、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤のうちの1つ又は2つであり、前記熱伝導粒子が、アルミニウム粉、アルミナ粉、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛のうちの1つ又は複数であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム変性の相変化熱伝導材料。
【請求項4】
前記シランカップリング剤が、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランのうちの1つ又は複数であり、前記チタネート系カップリング剤が、ジ(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、ホスフェートビスチタネート、イソプロピルトリオレイルチタネートのうちの1つ又は複数であることを特徴とする請求項3に記載のゴム変性の相変化熱伝導材料。
【請求項5】
(1)原料として、重量百分率でベース相変化樹脂3〜10%と、合成ゴム1〜5%と、増粘樹脂5〜10%と、酸化防止剤0〜1%と、カップリング剤0〜5%と、熱伝導粒子69〜85%を量り取り、
(2)ステップ(1)で量り取ったベース相変化樹脂、合成ゴム、増粘樹脂、酸化防止剤を均一に混合した後、70℃まで昇温し、30〜45分間撹拌し、ペースト状物を得、
(3)ステップ(1)で量り取ったカップリング剤をステップ(2)で得たペースト状物に加え、前記カップリング剤が完全に溶解するまで10分間以上撹拌し、混合物Aを得、
(4)ステップ(1)で量り取った熱伝導粒子をステップ(3)で得た混合物Aにゆっくり加え、60〜90分間撹拌し、均一に混合した後、30〜45分間真空脱泡し、前記ゴム変性の相変化熱伝導材料を得る
ステップを含むことを特徴とするゴム変性の相変化熱伝導材料の製造方法。
【請求項6】
ステップ(1)の前記原料の重量百分率は、ベース相変化樹脂5%、合成ゴム3%、増粘樹脂8%、酸化防止剤0.1%、カップリング剤3.4%、熱伝導粒子80.5%であることを特徴とする請求項5に記載のゴム変性の相変化熱伝導材料の製造方法。
【請求項7】
前記ベース相変化樹脂が、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウのうちの1つ又は複数であり、前記合成ゴムが、SEBS、SBSの1つ又は2つであり、前記増粘樹脂が、C5石油樹脂、C9石油樹脂、ロジンのうちの1つ又は複数であり、前記酸化防止剤が、2,2’−メチレン−ジ−(4−メチル,6−t−ブチルフェノール)、酸化防止剤1076、酸化防止剤1010のうちの1つ又は複数であり、前記カップリング剤が、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤のうちの1つ又は2つであり、前記熱伝導粒子が、アルミニウム粉、アルミナ粉、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛のうちの1つ又は複数であることを特徴とする請求項5又は6に記載のゴム変性の相変化熱伝導材料の製造方法。
【請求項8】
前記シランカップリング剤が、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランのうちの1つ又は複数であり、前記チタネート系カップリング剤が、ジ(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、ホスフェートビスチタネート、イソプロピルトリオレイルチタネートのうちの1つ又は複数であることを特徴とする請求項7に記載のゴム変性の相変化熱伝導材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム変性の相変化熱伝導材料及びその製造方法に関し、熱界面材料に係る技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
21世紀の電子技術の急速な発展に伴い、各種電子部品の熱密度はますます高くなっており、放熱問題が電子製品の設計においてきわめて重要な問題となっている。
【0003】
熱伝導材料の応用原理は、主として以下のとおりである。集積回路において高出力素子を用いる条件のもとで熱量が発生するため、過剰な熱を外部環境に効果的に放出することは、半導体及び電子パッケージ産業において最も重要な問題であり、集積回路の設計の小型化、機能と性能の多様化及び信頼性を制限する技術ノードでもある。熱伝導材料は、放熱器と電力部品の界面との間に応用されて、放熱器を介して過剰な熱量を大気に効果的に伝導する。
【0004】
現在の熱伝導材料は、主として熱伝導ゲル、熱伝導グリース、熱伝導ガスケット、熱伝導接着剤及び相変化熱伝導材料などがある。以下、各タイプの材料の特性についてそれぞれ略述する。
【0005】
熱伝導ゲルは、通常、架橋可能なシロキサンポリマー、例えば、ビニル基を有するシリコーンポリマー、カップリング剤及び熱伝導フィラー粒子を含む。これらの材料は、硬化前はグリースに類似した性質を有する。熱伝導率が高く、表面エネルギーが低く、実装プロセスの際に熱接触抵抗の最小化に寄与する。硬化後の熱伝導ゲルは、充填ポリマーの架橋反応が生じ、適切な凝集強度を提供することで、熱伝導シリコーングリースの長期使用によるシリコンオイル析出の問題を回避する。
【0006】
熱伝導シリコーングリースは、良好な界面濡れ性を示すとともに、熱伝導率が高く、界面熱抵抗が極めて低い。しかしながら、長期間の観察および分析によれば、熱伝導シリコーングリースは、長期間使用すると、特に温度変化が大きい外部環境において、シリコンオイル析出が起こりやすく、界面熱抵抗が大きくなり、かつ熱伝導性が悪くなる。
【0007】
熱伝導ガスケットは、一般的にある種の柔軟なシート状熱伝導材料を指し、主にシリコンゴム及び熱伝導フィラー粒子を含み、接触熱抵抗の低いものが多い。より重要なこととしては、熱伝導ガスケットの弾性を低く設計することにより、作動過程において各電子部品間に由来する応力を減少させることができる。これらの応力は、異なる材料間の熱膨張係数の差異に起因するものである。
【0008】
熱伝導接着剤は、電子素子と放熱シートとの間に用いられる接着剤であり、熱量を一方の表面から他方の表面に転移するためのものである。このような熱伝導材料は、熱伝導の機能以外に優れた接着性も提供するので、一部の応用において固定クリップやネジ締結部品の使用を減らすことができる。
【0009】
相変化熱伝導材料(PCTIM)は、応用温度の上昇に伴い固相から高温液相までの転移過程を経る材料である。これらの材料は、室温では固体状態となるが、熱電素子の作動温度では液体状態となる。液態の相変化材料は、材料表面を濡らしやすく、界面熱抵抗が低い。相変化熱伝導材料の優位性は、熱伝導ガスケットよりも大幅に高い熱抵抗を提供できるとともに、熱伝導シリコーングリースの長期間使用によるシリコンオイル析出、信頼性の低さという問題を完全に解決できることにある。
【0010】
現在、既に商業化された相変化熱伝導材料は、極めて低い熱抵抗及び優れた熱伝導性を有する。しかし、従来の相変化熱伝導材料は使用し難く、離型フィルムから剥離する時に破損などが起こりやすく、高速で効率よく生産するという使用者の要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来技術の欠点を解決し、ゴム変性の相変化熱伝導材料及びその製造方法を提供することを目的とする。本発明は、変性後の合成ゴムを添加することで、相変化熱伝導材料の剥離性を向上させ、応用および操作しやすくすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明が上記技術課題を解決する技術的解決手段は、原料として、重量百分率でベース相変化樹脂3〜10%と、合成ゴム1〜5%と、増粘樹脂5〜10%と、酸化防止剤0〜1%と、カップリング剤0〜5%と、熱伝導粒子69〜85%を含むゴム変性の相変化熱伝導材料である。
【0013】
前記技術的解決手段を基礎として、本発明はさらに次のような改善を行うことができる。
【0014】
さらに、前記原料の重量百分率は、ベース相変化樹脂5%、合成ゴム3%、増粘樹脂8%、酸化防止剤0.1%、カップリング剤3.4%、熱伝導粒子80.5%である。
【0015】
さらに、前記ベース相変化樹脂はパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウのうちの1つ又は複数であり、前記合成ゴムはSEBS、SBSの1つ又は2つであり、前記増粘樹脂はC5石油樹脂、C9石油樹脂、ロジンのうちの1つ又は複数であり、前記酸化防止剤は2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル,6−t−ブチルフェノール)、酸化防止剤1076、酸化防止剤1010のうちの1つ又は複数であり、前記カップリング剤はシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤のうちの1つ又は2つであり、前記熱伝導粒子はアルミニウム粉、アルミナ粉、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛のうちの1つ又は複数である。
【0016】
さらに、前記シランカップリング剤はγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランのうちの1つ又は複数であり、前記チタネート系カップリング剤はジ(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、ホスフェートビスチタネート、イソプロピルトリオレイルチタネートのうちの1つ又は複数である。
【0017】
ゴム変性の相変化熱伝導材料の製造方法であって、以下のステップを含む。
【0018】
(1)重量百分率でベース相変化樹脂3〜10%と、合成ゴム1〜5%と、増粘樹脂5〜10%と、酸化防止剤0〜1%と、カップリング剤0〜5%と、熱伝導粒子69〜85%を原料として量り取り、
(2)ステップ(1)で量り取ったベース相変化樹脂、合成ゴム、増粘樹脂、酸化防止剤を均一に混合した後、70℃まで昇温し、30〜45分間撹拌し、ペースト状物を得、
(3)ステップ(1)で量り取ったカップリング剤をステップ(2)で得たペースト状物に加え、前記カップリング剤が完全に溶解するまで10分間以上撹拌し、混合物Aを得、
(4)ステップ(1)で量り取った熱伝導粒子をステップ(3)で得た混合物Aにゆっくり加え、60〜90分間撹拌し、均一に混合した後、30〜45分間真空脱泡して、前記ゴム変性の相変化熱伝導材料を得る。
【0019】
前記技術的解決手段を基礎として、本発明はさらに次のような改善を行うことができる。
【0020】
さらに、ステップ(1)における前記原料の重量百分率は、ベース相変化樹脂5%、合成ゴム3%、増粘樹脂8%、酸化防止剤0.1%、カップリング剤3.4%、熱伝導粒子80.5%である。
【0021】
さらに、前記ベース相変化樹脂はパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウのうちの1つ又は複数であり、前記合成ゴムはSEBS、SBSの1つ又は2つであり、前記増粘樹脂はC5石油樹脂、C9石油樹脂、ロジンのうちの1つ又は複数であり、前記酸化防止剤は2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル,6−t−ブチルフェノール)、酸化防止剤1076、酸化防止剤1010のうちの1つ又は複数であり、前記カップリング剤はシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤のうちの1つ又は2つであり、前記熱伝導粒子はアルミニウム粉、アルミナ粉、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛のうちの1つ又は複数である。
【0022】
さらに、前記シランカップリング剤はγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランのうちの1つ又は複数であり、前記チタネート系カップリング剤はジ(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、ホスフェートビスチタネート、イソプロピルトリオレイルチタネートのうちの1つ又は複数である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。
【0024】
(1)本発明の相変化熱伝導材料は、特に、優れた熱伝導とより長い可使時間が要求される応用に対して設計され、合理的な配合の最適化及び原材料の選択により、優れた熱伝導性を満たすことができるだけでなく、より長い時間の使用有効性及び特別な使用条件における信頼性を満たすことができる。
【0025】
(2)本発明の相変化熱伝導材料は、良好な貯蔵安定性を有し、熱抵抗が低く、多くの基材に対する湿潤効果に優れ、現在の半導体部品/高出力LEDに対する放熱要求を満たす。
【0026】
(3)本発明の相変化熱伝導材料は、使用しやすく、製品方式が多様であるという特徴を有する。
【0027】
(4)本製品の製造方法は簡単であり、機械プロセス及び手作業での使用などに適用でき、ハイエンドの電子製品、例えば、PC、ゲーム機、及び高出力LEDに求められる、より高い放熱性を満足させることができ、市場の将来性が大きく、大規模生産に適合する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、具体的な実施例により本発明の原理及び特徴を説明するが、以下に示す実例は本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0029】
実施例1:
下記の重量の原料を含むゴム変性の相変化熱伝導材料である。
58号パラフィン 6.5%
LCY9552U(合成SEBSゴム) 2.4%
C8010(増粘樹脂) 5.0%
酸化防止剤1076 0.1%
球状アルミニウム粉D50=2〜3μm 83%
γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(カップリング剤) 3.0%
【0030】
ゴム変性の相変化熱伝導材料の製造方法であって、以下のステップを含む。
【0031】
(1)58号パラフィンベース相変化樹脂65g、LCY9552U合成SEBSゴム24g、C8010増粘樹脂50g、酸化防止剤10761gを量り取り、均一に混合した後、70℃まで昇温し、30〜45分間撹拌し、ペースト状物を得る。
【0032】
(2)γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(カップリング剤)カップリング剤30gを量り取り、ステップ(1)で得たペースト状物に加え、前記カップリング剤が完全に溶解するまで15分間撹拌し、混合物Aを得る。
【0033】
(3)120℃まで昇温し、D50=2〜3μmの球状アルミニウム粉熱伝導粒子830gを量り取り、ステップ(3)で得た混合物Aにゆっくり加え、60〜90分間撹拌し、均一に混合した後、30〜45分間真空脱泡し、前記ゴム変性の相変化熱伝導材料を得る。
【0034】
実施例2:
下記の重量の原料を含むゴム変性の相変化熱伝導材料である。
58号パラフィン 3.5%
ミツロウ 4.0%
LCY9552U(合成SEBSゴム) 2.4%
C8010(増粘樹脂) 5.0%
E5400(C5増粘樹脂) 3.0%
酸化防止剤1010 0.1%
球状アルミニウム粉 D50=5〜7μm 80%
イソプロピルトリオレイルチタネート 2.0%
【0035】
ゴム変性の相変化熱伝導材料の製造方法であって、以下のステップを含む。
【0036】
(1)重量で、58号のパラフィンベース相変化樹脂35g、ミツロウ40g、LY9552U変性ゴム24g、C8010増粘樹脂50g、E5400増粘樹脂30g、1010酸化防止剤1g、イソプロピルトリオレイルチタネートカップリング剤20g、球状アルミニウム粉熱伝導粒子800gを原料として量り取る。
【0037】
(2)ステップ(1)で量り取ったベース相変化樹脂、変性ゴム、増粘樹脂、酸化防止剤を70℃まで昇温し、均一に混合し、30〜45分間撹拌し、ペースト状物を得る。
【0038】
(3)ステップ(1)で量り取ったカップリング剤をステップ(2)で得たペースト状物に加え、前記カップリング剤が完全に溶解するまで10分間以上撹拌し、混合物Aを得る。
【0039】
(4)120℃まで昇温し、ステップ(1)で量り取った熱伝導粒子をステップ(3)で得た混合物Aにゆっくり加え、60〜90分間撹拌し、均一に混合した後、30〜45分間真空脱泡し、前記ゴム変性の相変化熱伝導材料を得る。
【0040】
実施例3:
下記の重量の原料を含むゴム変性の相変化熱伝導材料である。
マイクロクリスタリンワックス5788 5.5%
LCY9552U(合成SEBSゴム) 4.5%
C8010(増粘樹脂) 8.0%
酸化防止剤1010 0.1%
球状アルミニウム粉 D50=3μm 79.9%
ジ(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート 2.0%
【0041】
ゴム変性の相変化熱伝導材料の製造方法であって、以下のステップを含む。
【0042】
(1)重量で、マイクロクリスタリンワックス5788ベース相変化樹脂55g、LY9552U変性ゴム45g、C8010増粘樹脂80g、1010酸化防止剤1g、ジ(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネートカップリング剤20g、球状アルミニウム粉熱伝導粒子799gを原料として量り取る。
【0043】
(2)ステップ(1)で量り取ったベース相変化樹脂、変性ゴム、増粘樹脂、酸化防止剤を70℃まで昇温し、均一に混合し、30〜45分間撹拌し、ペースト状物を得る。
【0044】
(3)ステップ(1)で量り取ったカップリング剤をステップ(2)で得たペースト状物に加え、前記カップリング剤が完全に溶解するまで10分間以上撹拌し、混合物Aを得る。
【0045】
(4)120℃まで昇温し、ステップ(1)で量り取った熱伝導粒子をステップ(3)で得た混合物Aにゆっくり加え、60〜90分間撹拌し、均一に混合した後、30〜45分間真空脱泡し、前記ゴム変性の相変化熱伝導材料を得る。
【0046】
実施例4:
下記の重量の原料を含むゴム変性の相変化熱伝導材料である。
マイクロクリスタリンワックス5788 5.0%
LCY9552U(合成SEBSゴム) 3.0%
C8010(増粘樹脂) 8.0%
酸化防止剤1010 0.1%
球状アルミニウム粉 D50=5±2μm 80.5%
ジ(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート 3.4%
【0047】
ゴム変性の相変化熱伝導材料の製造方法であって、以下のステップを含む。
【0048】
(1)重量で、マイクロクリスタリンワックス5788ベース相変化樹脂50g、LY9552U変性ゴム30g、C8010増粘樹脂80g、1010酸化防止剤1g、ジ(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネートカップリング剤34g、球状アルミニウム粉熱伝導粒子805gを原料として量り取る。
【0049】
(2)ステップ(1)で量り取ったベース相変化樹脂、変性ゴム、増粘樹脂、酸化防止剤を70℃まで昇温し、均一に混合し、30〜45分間撹拌し、ペースト状物を得る。
【0050】
(3)ステップ(1)で量り取ったカップリング剤をステップ(2)で得たペースト状物に加え、前記カップリング剤が完全に溶解するまで10分間以上撹拌し、混合物Aを得る。
【0051】
(4)120℃まで昇温し、ステップ(1)で量り取った熱伝導粒子をステップ(3)で得た混合物Aにゆっくり加え、60〜90分間撹拌し、均一に混合した後、30〜45分間真空脱泡し、前記ゴム変性の相変化熱伝導材料を得る。
【0052】
実施例5:
下記の重量の原料を含むゴム変性の相変化熱伝導材料である。
マイクロクリスタリンワックス5788 5.0%
LCY9552U(合成SEBSゴム) 3.0%
C8010(増粘樹脂) 8.0%
酸化防止剤1010 0.1%
球状アルミニウム粉 D50=2〜3μm 80.5%
ジ(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート 3.4%
【0053】
ゴム変性の相変化熱伝導材料の製造方法であって、以下のステップを含む。
【0054】
(1)重量で、マイクロクリスタリンワックス5788ベース相変化樹脂50g、LY9552U変性ゴム30g、C8010増粘樹脂80g、1010酸化防止剤1g、ジ(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネートカップリング剤34g、球状アルミナ熱伝導粒子805gを原料として量り取る。
【0055】
(2)ステップ(1)で量り取ったベース相変化樹脂、変性ゴム、増粘樹脂、酸化防止剤を70℃まで昇温し、均一に混合し、30〜45分間撹拌し、ペースト状物を得る。
【0056】
(3)ステップ(1)で量り取ったカップリング剤をステップ(2)で得たペースト状物に加え、前記カップリング剤が完全に溶解するまで10分間以上撹拌し、混合物Aを得る。
【0057】
(4)120℃まで昇温し、ステップ(1)で量り取った熱伝導粒子をステップ(3)で得た混合物Aにゆっくり加え、60〜90分間撹拌し、均一に混合した後、30〜45分間真空脱泡し、前記ゴム変性の相変化熱伝導材料を得る。
【0058】
実施例6:
下記の重量の原料を含むゴム変性の相変化熱伝導材料である。
58号パラフィン 3.5%
マイクロクリスタリンワックス5788 5.0%
LCY9552U(合成SEBSゴム) 5.0%
C8010(増粘樹脂) 8.0%
2,2’−メチレン−ジ−(4−メチル,6−t−ブチルフェノール) 0.1%
球状アルミナ粉 D50=5μm 63.0%
窒化アルミニウム D50=10μm 10.0%
酸化亜鉛 D50=0.5μm 2.0%
ジ(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート 3.4%
【0059】
ゴム変性の相変化熱伝導材料の製造方法であって、以下のステップを含む。
【0060】
(1)重量で、58号パラフィン35g、マイクロクリスタリンワックス5788ベース相変化樹脂50g、LY9552U変性ゴム50g、C8010増粘樹脂80g、2,2’−メチレン−ジ−(4−メチル,6−t−ブチルフェノール)酸化防止剤1g、ジ(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネートカップリング剤34g、球状アルミナ熱伝導粒子630g、窒化アルミニウム粉100g、酸化亜鉛粉200gを原料として量り取る。
【0061】
(2)ステップ(1)で量り取ったベース相変化樹脂、変性ゴム、増粘樹脂、酸化防止剤を70℃まで昇温し、均一に混合し、30〜45分間撹拌し、ペースト状物を得る。
【0062】
(3)ステップ(1)で量り取ったカップリング剤をステップ(2)で得たペースト状物に加え、前記カップリング剤が完全に溶解するまで10分間以上撹拌し、混合物Aを得る。
【0063】
(4)120℃まで昇温し、ステップ(1)で量り取った熱伝導粒子をステップ(3)で得た混合物Aにゆっくり加え、60〜90分間撹拌し、均一に混合した後、30〜45分間真空脱泡し、前記ゴム変性の相変化熱伝導材料を得る。
【0064】
実施例7:
下記の重量の原料を含むゴム変性の相変化熱伝導材料である。
58号パラフィン 3.5%
マイクロクリスタリンワックス5788 5.0%
LCY9552U(合成SEBSゴム) 3.5%
C8010(増粘樹脂) 8.5%
2,2’−メチレン−ジ−(4−メチル,6−t−ブチルフェノール) 0.1%
球状アルミナ粉 D50=5μm 66.0%
窒化ホウ素 D50=20μm 10.0%
ジ(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート 3.4%
【0065】
ゴム変性の相変化熱伝導材料の製造方法であって、以下のステップを含む。
【0066】
(1)重量で、58号パラフィン35g、マイクロクリスタリンワックス5788ベース相変化樹脂50g、LY9552U変性ゴム35g、C8010増粘樹脂85g、2,2’−メチレン−ジ−(4−メチル,6−t−ブチルフェノール)酸化防止剤1g、ジ(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネートカップリング剤34g、球状アルミナ熱伝導粒子660g、窒化ホウ素粉100gを原料として量り取る。
【0067】
(2)ステップ(1)で量り取ったベース相変化樹脂、変性ゴム、増粘樹脂、酸化防止剤を70℃まで昇温し、均一に混合し、30〜45分間撹拌し、ペースト状物を得る。
【0068】
(3)ステップ(1)で量り取ったカップリング剤をステップ(2)で得たペースト状物に加え、前記カップリング剤が完全に溶解するまで10分間以上撹拌し、混合物Aを得る。
【0069】
(4)120℃まで昇温し、ステップ(1)で量り取った熱伝導粒子をステップ(3)で得た混合物Aにゆっくり加え、60〜90分間撹拌し、均一に混合した後、30〜45分間真空脱泡し、前記ゴム変性の相変化熱伝導材料を得る。
【0070】
実施例1〜7の相変化熱伝導材料試料の熱抵抗及び熱伝導率の測定データは、表1に示すとおりである。
【0071】
【表1】
【0072】
表1の実験で得られた各指標から、後述する結論を得ることができる。
【0073】
(1)本発明が提供する相変化熱伝導材料は、優れた熱伝導性を示す。ベース相変化樹脂3〜10%、合成ゴム1〜5%、増粘樹脂5〜10%、酸化防止剤0〜1%、カップリング剤0〜5%及び熱伝導粒子69〜85%の範囲で配合を調整して使用することにより、均一に混合して製造された相変化熱伝導材料が、優れた熱伝導性を示し、熱抵抗値が0.025℃・in/Wと低かった。同時に、50〜70℃の温度範囲内では明らかな相変化過程が現われた。
【0074】
(2)本発明が提供する相変化熱伝導材料は、PET離型フィルムから容易に剥離可能であり、使用しやすい。かつ、当該相変化熱伝導シートは外観が平滑であり、現われる気泡は1%体積分率未満である。
【0075】
(3)配合において適当な質量分率の合成ゴムを加えて最適化することで、本発明が提供する相変化熱伝導材料の凝集力及び他の界面側との接着性を向上させることができる。
【0076】
(4)本発明が提供する相変化熱伝導材料の本体熱伝導率は、1.50〜3.00W/m・Kである。
【0077】
以上の記述は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するためのものではない。本発明の精神及び原則内において行われるいかなる修正、等価代替、改善なども、全て本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【国際調査報告】