特表2018-538708(P2018-538708A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特表2018-538708マイクロ波装置、およびマイクロ波装置を構成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2018-538708(P2018-538708A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】マイクロ波装置、およびマイクロ波装置を構成する方法
(51)【国際特許分類】
   H03D 9/06 20060101AFI20181130BHJP
   H03F 7/00 20060101ALI20181130BHJP
   H01P 7/08 20060101ALI20181130BHJP
   H01L 39/22 20060101ALI20181130BHJP
【FI】
   H03D9/06 K
   H03F7/00ZAA
   H01P7/08
   H01L39/22 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-512612(P2018-512612)
(86)(22)【出願日】2016年9月26日
(85)【翻訳文提出日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】IB2016055742
(87)【国際公開番号】WO2017055989
(87)【国際公開日】20170406
(31)【優先権主張番号】14/871,477
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】アブド、バレーフ
【テーマコード(参考)】
4M113
5J006
【Fターム(参考)】
4M113AD16
5J006HB03
5J006LA01
5J006NA04
5J006PB01
(57)【要約】
【課題】固体量子情報処理の量子マイクロ波デバイスに、マルチモードJosephsonパラメトリック・コンバータを含むマイクロ波装置を提供する。
【解決手段】マイクロ波デバイスは、Josephsonリング変調器と、Josephsonリング変調器に接続される第1のマルチモード共振器であって、第1の左手系伝送線路で作製される、第1のマルチモード共振器と、Josephsonリング変調器に接続される第2のマルチモード共振器であって、第2の左手系伝送線路で作製される、第2のマルチモード共振器とを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波装置であって、
Josephsonリング変調器と、
前記Josephsonリング変調器に接続される第1のマルチモード共振器であって、第1の左手系伝送線路で作製される、前記第1のマルチモード共振器と、
前記Josephsonリング変調器に接続される第2のマルチモード共振器であって、第2の左手系伝送線路で作製される、前記第2のマルチモード共振器と
を備える、マイクロ波装置。
【請求項2】
前記第1のマルチモード共振器は、所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、複数の第1の共振モードを含み、
前記第2のマルチモード共振器は、前記所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、複数の第2の共振モードを含む、請求項1に記載のマイクロ波装置。
【請求項3】
所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、前記第1のマルチモード共振器内の複数の第1の共振モードの数は、前記所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、前記第2のマルチモード共振器内の複数の第2の共振モードの数に等しい、または、
所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、前記第1のマルチモード共振器内の前記複数の第1の共振モードの前記数は、前記所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、前記第2のマルチモード共振器内の前記複数の第2の共振モードの前記数に等しくない、請求項1に記載のマイクロ波装置。
【請求項4】
前記第1のマルチモード共振器は、N個の総数の第1のユニット・セルを備え、
前記第2のマルチモード共振器は、M個の総数の第2のユニット・セルを備え、
NもMもゼロに等しくない、請求項1に記載のマイクロ波装置。
【請求項5】
前記第1のユニット・セルの各々、および、前記第2のユニット・セルの各々は、インダクタの1つの端部に接続されるコンデンサを備え、これに対し、前記インダクタの別の端部は、接地面または導電面に接続される、請求項4に記載のマイクロ波装置。
【請求項6】
前記Josephsonリング変調器は、互いに対向するノードの第1の対と、互いに対向するノードの第2の対とを備え、
前記第1のマルチモード共振器は、ノードの前記第1の対に接続され、
前記第2のマルチモード共振器は、ノードの前記第2の対に接続される、請求項5に記載のマイクロ波装置。
【請求項7】
前記第1のユニット・セルの各々、および、前記第2のユニット・セルの各々は、第1のインダクタと、第2のインダクタと、コンデンサとを備え、
前記第1のインダクタ、および、前記第2のインダクタの、第1の端部は、一体に接続され、これに対し、前記第1のインダクタ、および、前記第2のインダクタの、第2の端部は、接地に接続され、
前記コンデンサは、前記第1の端部に接続される、請求項4に記載のマイクロ波装置。
【請求項8】
NはMに等しい、請求項4に記載のマイクロ波装置。
【請求項9】
NはMに等しくない、請求項4に記載のマイクロ波装置。
【請求項10】
前記第1のユニット・セルは、互いに直列に接続され、
前記第2のユニット・セルは、互いに直列に接続される、請求項4に記載のマイクロ波装置。
【請求項11】
前記第1のマルチモード共振器での静電容量およびインダクタンスは、前記第1のユニット・セルで、ユニット・セルごとに変動し、そのことにより、前記第1のマルチモード共振器の所定の固有モードの間の周波数間隔を変え、
前記第2のマルチモード共振器での静電容量およびインダクタンスは、前記第2のユニット・セルで、ユニット・セルごとに変動し、そのことにより、前記第2のマルチモード共振器の所定の固有モードの間の周波数間隔を変える、請求項4に記載のマイクロ波装置。
【請求項12】
前記第1のユニット・セルの各々での静電容量およびインダクタンスは、前記第2のユニット・セルの各々での静電容量およびインダクタンスと異なる、請求項4に記載のマイクロ波装置。
【請求項13】
前記第1のユニット・セルの各々での静電容量およびインダクタンスは、前記第2のユニット・セルの各々での静電容量およびインダクタンスと整合する、請求項4に記載のマイクロ波装置。
【請求項14】
マイクロ波装置を構成する方法であって、
第1のマルチモード共振器をJosephsonリング変調器に接続するステップであって、前記第1のマルチモード共振器は、第1の左手系伝送線路で作製される、前記接続するステップと、
第2のマルチモード共振器を前記Josephsonリング変調器に接続するステップであって、前記第2のマルチモード共振器は、第2の左手系伝送線路で作製される、前記接続するステップと
を含む、方法。
【請求項15】
前記第1のマルチモード共振器は、所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、複数の第1の共振モードを含み、
前記第2のマルチモード共振器は、前記所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、複数の第2の共振モードを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、前記第1のマルチモード共振器内の複数の第1の共振モードの数は、前記所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、前記第2のマルチモード共振器内の複数の第2の共振モードの数に等しい、または、
所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、前記第1のマルチモード共振器内の前記複数の第1の共振モードの前記数は、前記所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、前記第2のマルチモード共振器内の前記複数の第2の共振モードの前記数に等しくない、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のマルチモード共振器は、N個の総数の第1のユニット・セルを備え、
前記第2のマルチモード共振器は、M個の総数の第2のユニット・セルを備え、
NもMもゼロに等しくない、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のユニット・セルの各々、および、前記第2のユニット・セルの各々は、インダクタの1つの端部に接続されるコンデンサを備え、これに対し、前記インダクタの別の端部は、接地面または導電面に接続される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記Josephsonリング変調器は、互いに対向するノードの第1の対と、互いに対向するノードの第2の対とを備え、
前記第1のマルチモード共振器の集中素子側は、ノードの前記第1の対の1つに接続され、導電面が、ノードの前記第1の対の別の1つに接続され、
前記第2のマルチモード共振器の集中素子側は、ノードの前記第2の対の1つに接続され、導電面が、ノードの前記第2の対の別の1つに接続される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のユニット・セルの各々、および、前記第2のユニット・セルの各々は、第1のインダクタと、第2のインダクタと、コンデンサとを備え、
前記第1のインダクタ、および、前記第2のインダクタの、第1の端部は、一体に接続され、これに対し、前記第1のインダクタ、および、前記第2のインダクタの、第2の端部は、接地に接続され、
前記コンデンサは、前記第1の端部に接続される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記Josephsonリング変調器は、互いに対向するノードの第1の対と、互いに対向するノードの第2の対とを備え、
前記第1のマルチモード共振器は、ノードの前記第1の対に接続され、
前記第2のマルチモード共振器は、ノードの前記第2の対に接続される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
NはMに等しい、または、NはMに等しくない、のいずれかであり、
前記第1のユニット・セルは、互いに直列に接続され、
前記第2のユニット・セルは、互いに直列に接続される、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のユニット・セルの各々での静電容量およびインダクタンスは、前記第2のユニット・セルの各々での静電容量およびインダクタンスと異なる、または、
前記第1のユニット・セルの各々での前記静電容量および前記インダクタンスは、前記第2のユニット・セルの各々での前記静電容量および前記インダクタンスと整合する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記Josephsonリング変調器は、Wheatstoneブリッジ構成でのものであり、前記Josephsonリング変調器は、互いに対向するノードの第1の対と、互いに対向するノードの第2の対とを備え、
前記第1のマルチモード共振器は、ノードの前記第1の対に接続され、前記第1のマルチモード共振器は、第1のユニット・セルを備え、
前記第2のマルチモード共振器は、ノードの前記第2の対に接続され、前記第2のマルチモード共振器は、第2のユニット・セルを備え、前記装置は、
それぞれ前記第1のユニット・セルおよび前記第2のユニット・セル内のインダクタに接続される接地面であって、コンデンサが、それぞれ前記第1のユニット・セルおよび前記第2のユニット・セル内の前記インダクタの別の端部に接続される、前記接地面
をさらに備える、
請求項1に記載のマイクロ波装置。
【請求項25】
前記Josephsonリング変調器は、Wheatstoneブリッジ構成でのものであり、前記Josephsonリング変調器は、互いに対向するノードの第1の対と、互いに対向するノードの第2の対とを備え、
前記第1のマルチモード共振器の集中素子側は、ノードの前記第1の対内の1つのノードに接続され、導電面が、ノードの前記第1の対のうちの別のノードに接続され、前記第1のマルチモード共振器は、第1のユニット・セルを備え、
前記第2のマルチモード共振器の集中素子側は、ノードの前記第2の対のうちの1つのノードに接続され、導電面が、ノードの前記第2の対のうちの別のノードに接続され、前記第2のマルチモード共振器は、第2のユニット・セルを備える、
請求項1に記載のマイクロ波装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体量子情報処理の量子マイクロ波デバイスにマルチモードJosephsonパラメトリック・コンバータを適用することに関する。
【背景技術】
【0002】
固体量子情報処理での最近の進歩は、マイクロ波領域での量子限界性能を伴う増幅器および周波数コンバータの探究を刺激してきた。電磁場の単一の空間および時間モードの直交位相に適用される利得に依存して、線形増幅器は、基本的に異なるノイズ特性を伴う2つのカテゴリ(位相感応および位相保存)に分類され得る。位相感応増幅器は、入力ノイズおよび信号を、マイクロ波場の一方の直交位相でスクイーズすることを、他方の直交位相でのノイズおよび信号が増幅することを代償として、それらの増幅器自体のノイズを処理される信号に付加することなく行うが、量子情報がマイクロ波場の1つの直交位相で符号化される事例でのみ有用である。片や位相保存増幅器は、入力ノイズおよび信号の、両方の直交位相を増幅させることを、少なくとも、信号周波数での半分の入力光子と同等のノイズが付加されることを代償として行う。そのような増幅器は、キュービット読み出しを含む、多くの量子用途で有用であることになる。非縮退の、内因的に位相保存の超電導パラメトリック増幅器の、1つの成功裏の実現は、Wheatstoneブリッジ構成での4つのJosephson接合からなるJosephsonリング変調器に基づく。デバイス対称性は、増幅プロセスの純粋さを増強し、すなわち、所定の所望されない非線形プロセスを不要にし、または最小限に抑え、さらには、その増幅プロセスの動作、および、その増幅プロセスの分析の両方を単純化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、固体量子情報処理においてマルチモードJosephsonパラメトリック・コンバータを適用するマイクロ波装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様によれば、マイクロ波装置が提供される。マイクロ波装置は、Josephsonリング変調器と、Josephsonリング変調器に接続される第1のマルチモード共振器であって、第1の左手系伝送線路で作製される、第1のマルチモード共振器と、Josephsonリング変調器に接続される第2のマルチモード共振器であって、第2の左手系伝送線路で作製される、第2のマルチモード共振器とを含む。
【0005】
別の態様によれば、マイクロ波装置を構成する方法が提供される。方法は、第1のマルチモード共振器をJosephsonリング変調器に接続するステップであって、第1のマルチモード共振器は、第1の左手系伝送線路で作製される、接続するステップと、第2のマルチモード共振器をJosephsonリング変調器に接続するステップであって、第2のマルチモード共振器は、第2の左手系伝送線路で作製される、接続するステップとを含む。
【0006】
1つの実施形態による、Wheatstoneブリッジ構成でのものとしてのJosephsonリング変調器であって、Josephsonリング変調器は、互いに対向するノードの第1の対と、互いに対向するノードの第2の対とを含み、第1のマルチモード共振器は、ノードの第1の対に接続され、第1のマルチモード共振器は、第1のユニット・セルを含み、第2のマルチモード共振器は、ノードの第2の対に接続され、第2のマルチモード共振器は、第2のユニット・セルを含む、Josephsonリング変調器。接地面が、それぞれ第1のユニット・セルおよび第2のユニット・セル内のインダクタに接続され、コンデンサが、それぞれ第1のユニット・セルおよび第2のユニット・セル内のインダクタの別の端部に接続される。
【0007】
別の実施形態によれば、Josephsonリング変調器は、互いに対向するノードの第1の対と、互いに対向するノードの第2の対とを含み、第1のマルチモード共振器の集中素子側は、ノードの第1の対のうちの1つのノードに接続され、導電面が、ノードの第1の対のうちの別のノードに接続される。第1のマルチモード共振器は、第1のユニット・セルを含む。さらには、第2のマルチモード共振器の集中素子側は、ノードの第2の対のうちの1つのノードに接続され、導電面が、ノードの第2の対のうちの別のノードに接続される。第2のマルチモード共振器は、第2のユニット・セルを含む。
【0008】
本発明の実施形態が今から、単に例として、付随する図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態による、量子マイクロ波デバイスの高レベル概略図である。
図2】実施形態による、マルチモードJosephsonパラメトリック・コンバータのマルチモード・マイクロ波共振器で利用される、半無限無損失左手系伝送線路の回路表現の図である。
図3】実施形態による、マルチモードJosephsonパラメトリック・コンバータの概略図である。
図4】実施形態による、マルチモードJosephsonパラメトリック・コンバータのコプレーナ導波路実装形態の図である。
図5】実施形態による、マルチモードJosephsonパラメトリック・コンバータの準コプレーナ・ストリップ線路実装形態の図である。
図6】実施形態による、マイクロ波装置を構成する方法の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態は、量子情報処理に適した、Josephsonリング変調器に基づく量子デバイスを開示する。量子デバイスは、メタマテリアル/左手系伝送線路を使用して実装されるマルチモード共振器に結合されるJosephsonリング変調器を含み、そのことにより、マルチモードJosephsonパラメトリック・コンバータを形成する。
【0011】
図1は、実施形態による、量子マイクロ波デバイス100の高レベル概略図である。量子マイクロ波デバイス100は、マルチモードJosephsonリング変調器(JRM)105を含み、そのJRM105は、Josephsonトンネル接合102A、102B、102C、および102Dに基づく非線形分散素子であり、それらのJosephsonトンネル接合102A〜102Dは、量子限界でマイクロ波信号の3波混合を遂行し得るものである。JRM105は、Wheatstoneブリッジ構成で配置構成される、4つの公称的に同一のJosephsonトンネル接合102A〜102Dからなる。量子限界でマイクロ波信号を増幅させる、または混合する、あるいはその両方を行う能力がある、マルチモードJosephsonパラメトリック・コンバータ(JPC)130である、非縮退パラメトリック・デバイスを構築するために、JRM105は、2つのマルチモード・マイクロ波共振器内に、それらの共振器の固有モードの倍数の無線周波数(RF)電流波腹点で組み込まれる。
【0012】
マルチモード・マイクロ波共振器の一方は、第1のマルチモード共振器_a 115Aであり、他方は、第2のマルチモード共振器_b 115Bである。下記でさらに論考されるように、第1のマルチモード共振器_a 115Aは、N個のユニット・セルを伴う左手系伝送線路であり、第2のマルチモード共振器_b 115Bは、M個のユニット・セルを伴う左手系伝送線路である。結合コンデンサ110Aは、第1のマルチモード共振器_a 115Aをポート_a 120Aに接続し、これに対し、結合コンデンサ110Bは、第2のマルチモード共振器_b 115Bをポート_b 120Bに接続する。マルチモードJPC130は、第1のマルチモード共振器_a 115A、および、第2のマルチモード共振器_b 115Bの両方を、JRM105とともに含む。
【0013】
マルチモードJPC130の性能(すなわち、パワー利得G、動的帯域幅γ、および最大入力パワーPmax)は、JRM105のJosephsonトンネル接合102A〜102Dの臨界電流I、電磁環境(すなわち、マイクロ波の第1のマルチモード共振器_a 115A、および、マイクロ波の第2のマルチモード共振器_b 115B)の具体的な実現、JRM105と、第1のマルチモード共振器_a 115A、および、第2のマルチモード共振器_b 115Bとの間の結合、ならびに、マルチモード共振器からフィードラインまでの間の結合に強く依存する。
【0014】
ポート_a 120A、または、ポート_b 120B、あるいはその両方は、マイクロ波同軸線路または導波路であり得る。示されないが、量子マイクロ波デバイス100に接続される他のデバイスは、ハイブリッド、減衰器、サーキュレータ、アイソレータ、ローパス・マイクロ波フィルタ、バンドパス・マイクロ波フィルタ、赤外フィルタ、およびキュービット・キャビティ・システムを含み得る。
【0015】
図2は、実施形態による、マイクロ波の第1のマルチモード共振器_a 115A、および、マイクロ波の第2のマルチモード共振器_b 115Bの構築で利用され得る、半無限無損失左手系伝送線路の回路である。ユニット・セル、例えば、マイクロ波の第1のマルチモード共振器_a 115Aに対する第1のユニット・セル205A、および、マイクロ波の第2のマルチモード共振器_b 115Bに対する第2のユニット・セル205Bは、インダクタLに接続されるコンデンサCを含み、ここで「l」は、左手系伝送線路を表す。インダクタLの他方の端部は、接地に接続される。第1のユニット・セル205A、第2のユニット・セル205Bは、別のユニット・セルに接続されるものであり、その別のユニット・セルは、別のユニット・セルに接続されるものであり、等々である。下記でさらに示されるように、第1のユニット・セル205Aは、N個の総数の回数、第1のマルチモード共振器_a 115Aに対して反復され、第2のユニット・セル205Bは、M個の総数の回数、第2のマルチモード共振器_b 115Bに対して反復される。
【0016】
左手系伝送線路の分散関係は、
【数1】

と解されるものであり、ここでΔxはユニット・セルのサイズであり、kは波数ベクトルである。
【0017】
左手系伝送線路の位相速度および群速度は、反対の向きを有する。
【0018】
【数2】

であり、ここでkはkである。この関係の1つの帰結は、左手系伝送線路では、低周波数は、短波長に対応するということである。対照的に、分散関係が波数ベクトルとともに増大する右手系伝送線路では、低周波数は、長波長に対応する。
【0019】
左手系伝送線路の特性インピーダンスは、
【数3】

である。
【0020】
左手系伝送線路の低周波数境界は、
【数4】

である。
【0021】
図3は、実施形態による、マルチモードJPC130の概略図である。図3では、180°ハイブリッド結合器305Aが、ポート_a 120Aに接続され得るものであり、180°ハイブリッド結合器305Bが、ポート_b 120Bに接続され得る。
【0022】
180°ハイブリッドは、相互的である、整合されている、および、理想的には無損失である、4ポート・マイクロ波デバイスである。180°ハイブリッドは、入力信号を2つの等しい振幅出力に分ける。その180°ハイブリッドの和ポート(Σ)からフィードされる時、180°ハイブリッドによって、2つの等しい振幅の、同位相の出力信号が提供され、その180°ハイブリッドの差ポート(Δ)からフィードされる時、その180°ハイブリッドによって、2つの等しい振幅の、180°位相を異にする出力信号が提供される。
【0023】
1つのシナリオでは、信号(S)トーンが存し、その信号(S)トーンは、JRMに強結合するマルチモード・マイクロ波共振器_aの共振モードの1つの帯域幅の中にあり、180°ハイブリッド結合器305AのΔポートを通して入力され、50オーム(Ω)終端が、180°ハイブリッド結合器305AのΣポートに接続されるということを想定する。そのシナリオではさらには、アイドラ(I)トーンが存し、そのアイドラ(I)トーンは、JRMに強結合するマルチモード・マイクロ波共振器_bの共振モードの1つの帯域幅の中にあり、180°ハイブリッド結合器305BのΔポートを通して入力され、ポンプ(P)トーンが、180°ハイブリッド結合器305BのΣポート内に入力されるということを想定する。異なる周波数での多重ポンプ・トーンが、デバイスにフィードするために利用され得るということに注目されたい。
【0024】
デバイスの2つの主な動作モードは、適用されるポンプ周波数fが関係f=f+fを満たし、
【0025】
ここでfおよびfが、それぞれ信号(S)トーンおよびアイドラ(I)トーンの周波数である、増幅モード(光子利得を伴う)、ならびに、適用されるポンプ周波数fが関係f=|f−f|を満たす、ユニタリ周波数コンバージョン・モード(光子利得を伴わない)である。
【0026】
マルチモードJPC130を伴う量子デバイスの、異なる実装形態が、本明細書で、実施形態に従って論考される。
【0027】
JRMが、関心のある周波数帯域、例えば5〜15GHzの中の、デバイスの2つの物理共振器の2つの基本共振モードに強結合する、右手系伝送線路、例えばマイクロストリップ共振器で作製される、二重差動モード(標準的な非縮退)現状技術Josephsonパラメトリック・コンバータと対照的に、メタマテリアル/左手系伝送線路を使用して実施形態で実現される、マルチモードJPC130の2つのマルチモード共振器(すなわち、第1のマルチモード共振器_a 115A、および、第2のマルチモード共振器_b 115B)は、JRM105が関心のある周波数帯域の中の多重差動モードに強結合するように、設計およびエンジニアリングされ得る。すなわち、各々の第1のマルチモード共振器_a 115A、および、第2のマルチモード共振器_b 115Bは、現状技術JPCであって、JRMに強結合する、関心のある帯域の中の、そのJPCの共振器に対する2つの基本差動共振モード(のみ)を有する、現状技術JPCと対比されるものとして、関心のある周波数帯域、例えば5〜15GHzの中の、多重共振モードであって、それらのモードの多くがJRM105に強結合する、多重共振モードを有する。
【0028】
マルチモードは、関心のある所定の周波数帯域、例えば5〜15GHzの中で、第1のマルチモード共振器_a 115Aが多重共振モードを有するということ、および、第2のマルチモード共振器_b 115Bが多重共振モードを有するということを意味する。このことは、第1のマルチモード共振器_a 115Aは、数百もの共振周波数を含み得る、関心のある所定の周波数帯域の中の、第1の共振周波数から最後の共振周波数まで、多重共振周波数で共振するように構成されるということを意味する。同様に、第2のマルチモード共振器_b 115Bは、数百個もの共振周波数を含み得る、関心のある所定の周波数帯域、例えば5〜15GHzの中の、第1の共振周波数から最後の共振周波数まで、多重共振周波数で共振するように構成される。
【0029】
左手系伝送線路/共振器(それぞれ、第1のマルチモード共振器_a 115A、および、第2のマルチモード共振器_b 115Bとして実装される)の、1つの注目すべき性質は、それらの左手系伝送線路/共振器は、それらの低周波数境界ωIRの近くで、モードの大きな密度(すなわち、共振モードの密度)を有し、そのことが、それらの左手系伝送線路/共振器を、関心のある周波数帯域でのマルチモード共振器にするということである。超電導デバイスでの量子測定に対して、関心のある帯域は、おおよそ5〜15ギガヘルツ(GHz)のマイクロ波帯域(普通は、キュービット読み出しおよび測定に対して使用される)である。第1のマルチモード共振器_a 115A、および、第2のマルチモード共振器_b 115Bは各々、おおよそ5〜15GHzの間に、共振モード(すなわち、高調波または共振周波数)の高い密度を有し得るものであり、そのことは、量子測定に対して有益である。対照的に、現状技術では、右手系伝送線路(共振器として)は、約10GHzでの1つの高調波(1つの周波数共振モード)のみを有し得るものであり、次の高調波は、約20GHz(関心のある5〜15GHzマイクロ波帯域の外側である)であり得る。関心のある5〜15GHzマイクロ波帯域の外側の周波数共振モードは、量子情報を搬送するためには利用されない(主な理由は、大部分の超電導キュービット周波数が、この範囲の中に属し(すなわち、関心のある帯域の中に属し)、多くのマイクロ波発生器、測定デバイス、およびマイクロ波構成要素は、この範囲内で、市販で入手可能であるからである)ものであり、それゆえに、実施形態での第1のマルチモード共振器_a 115A、および、第2のマルチモード共振器_b 115Bは各々、マルチモードJPC130を使用して量子情報を処理するために利用され得る、5〜15GHzの間の、数十個または数百個の周波数共振モード(すなわち、モードの高い密度)を有し得る。
【0030】
一般的に、所与の角共振周波数ωでの左手系伝送線路共振器のモードの密度は、共振器内のユニット・セルの数に比例し、低周波数境界ωIRに反比例する。
【0031】
関心のある所定の帯域、例えば5〜15GHzの中に属する、マルチモード共振器_aモードおよびマルチモード共振器_bモードの、多重共振モードのすべてが、中心でJRMに強結合する、すなわち、JRMの場所でのRF電流波腹点を有するとは限らないということが注目されることになる。ゆえに、JRMに強結合する共振モードは、関心のある帯域の中の利用可能な共振モードのサブセット(おおよそ半分)である。結果的に、関心のある帯域の中に属する、マルチモード共振器_aおよびマルチモード共振器_bの共振モードのすべてが、このマルチモード・デバイスにより可能にされる様々な量子情報処理動作に対する基礎を形成する3波混合を遂行するために利用され得るとは限らない。換言すれば、本開示で使用される、マルチモード共振器_aおよびマルチモード共振器_bの多重モードという用語は、主に、関心のある帯域の中でJRMに強結合するものを指す。
【0032】
1つの実装形態では、第1のマルチモード共振器_a 115A、および、第2のマルチモード共振器_b 115Bは各々、JRMに強結合する、範囲5〜10GHz内の、5から20個の間の周波数共振モードを有し得る。別の実装形態では、第1のマルチモード共振器_a 115A、および、第2のマルチモード共振器_b 115Bは各々、JRMに強結合する、範囲5〜10GHz内の、20〜50個の間の周波数共振モードを有し得る。さらに別の実装形態では、第1のマルチモード共振器_a 115A、および、第2のマルチモード共振器_b 115Bは各々、JRMに強結合する、範囲5〜10GHz内の、50〜100個の周波数共振モードを有し得る。
【0033】
第1のマルチモード共振器_a 115A、および、第2のマルチモード共振器_b 115Bは各々、範囲5〜10GHz内でJRMに強結合する多重共振モード(例えば、5〜100個の周波数共振モード)を有し得るので、このことは、マルチモードJPC130が、多重キュービットの間の遠隔エンタングルメントの生成、エンタングルされる光子の多重対の発生、量子限界での多重マイクロ波信号の増幅、および、異なる周波数での多重の伝搬するマイクロ波信号の間のユニタリ周波数コンバージョンを遂行することなど、標準的な二重差動モードJPCの能力を超える、量子情報処理の方面での様々な興味深い用途で有用であることを可能とする。
【0034】
図4は、実施形態による、マルチモードJPC130の例示的なコプレーナ導波路実装形態である。
【0035】
マルチモードJPC130は、集中素子インダクタL(インダクタLとして)と、集中素子コンデンサC(コンデンサCとして)とを備える、第1のマルチモード共振器_a 115A(左手系伝送線路)を含む。同様にマルチモードJPC130は、集中素子インダクタL(インダクタLとして)と、集中素子コンデンサC(コンデンサCとして)とを備える、第2のマルチモード共振器_b 115B(左手系伝送線路)を含む。
【0036】
第1のマルチモード共振器_a 115A(左手系伝送線路)は、JRM105の左ノードおよび右ノードに接続される。第1のマルチモード共振器_a 115Aは、ポート_a 120Aに接続する。第1のマルチモード共振器_a 115A内で、第1のユニット・セル205Aは、集中素子コンデンサCに接続される2つの集中素子インダクタLを含む。2つの集中素子インダクタLの一方の端部は、互いに、および集中素子コンデンサCに接続され、これに対し、集中素子インダクタLの他方の端部は、接地面405に接続される。第1のユニット・セル205Aのこの構成は、図4で示されるように、N個の総数の回数、第1のマルチモード共振器_a 115A内で反復する。各々のユニット・セルでの2つのインダクタの使用は、主に、デバイスを接地への接続に関して対称に保つ目的のためのものであるということが注目されるべきである。しかしながら、接地に接続される1つのインダクタの使用が、さらには、1つの実装形態で企図される。
【0037】
第2のマルチモード共振器_b 115B(左手系伝送線路)は、JRM105の上ノードおよび下ノードに接続される。第2のマルチモード共振器_b 115Bは、ポート_b 120Bに接続する。第2のマルチモード共振器_b 115B内で、第2のユニット・セル205Bは、集中素子コンデンサCに接続される2つの集中素子インダクタLを含む。2つの集中素子インダクタLの一方の端部は、互いに、および集中素子コンデンサCに接続され、これに対し、集中素子インダクタLの他方の端部は、接地面405に接続される。第2のマルチモード共振器_b 115B内で、第2のユニット・セル205Bのこの構成は、図4で示されるように、M個の総数の回数、第2のマルチモード共振器_b 115B内で反復する。各々のユニット・セルでの2つのインダクタの使用は、主に、デバイスを接地への接続に関して対称に保つ目的のためのものであるということが注目されるべきである。しかしながら、接地に接続される1つのインダクタの使用が、さらには、実装形態で企図される。
【0038】
図3で論考されるように、ポート_a 120A、および、ポート_b 120Bは、180°ハイブリッド結合器305Aおよび305B(図4で示されない)を使用してフィードされ得る。ポート_a 120A、および、ポート_b 120Bは、同軸ケーブルもしくはコプレーナ導波路であり得るものであり、または、マイクロストリップもしくはストリップ線路であり得るものであり、中心導体および外側導体は、誘電材料により分離される。ポート_a 120Aに対しては、中心導体が、第1のマルチモード共振器_a 115Aの左側および右側に、結合コンデンサ110Aを通して接続され、これに対し、外側導体は、接地面405に接続される。ポート_b 120Bに対しては、中心導体が、第2のマルチモード共振器_b 115Bの上側および下側に、結合コンデンサ110Bを通して接続され、これに対し、外側導体は、接地面405に接続される。
【0039】
図5は、実施形態による、マルチモードJPC130の例示的な準コプレーナ・ストリップ線路実装形態である。
【0040】
マルチモードJPC130は、集中素子インダクタL(インダクタLとして)と、集中素子コンデンサC(コンデンサCとして)とを備える、第1のマルチモード共振器_a 115A(左手系伝送線路)を含む。同様にマルチモードJPC130は、集中素子インダクタL(インダクタLとして)と、集中素子コンデンサC(コンデンサCとして)とを備える、第2のマルチモード共振器_b 115B(左手系伝送線路)を含む。
【0041】
第1のマルチモード共振器_a 115Aの集中素子側は、JRM105の左ノードに接続され、これに対し、右ノードは、導電面406に接続される。第1のマルチモード共振器_a 115Aの集中素子側、および、導電面406は、180°ハイブリッド結合器305Aに接続する。第1のマルチモード共振器_a 115A内で、第1のユニット・セル205Aは、集中素子コンデンサCに接続される集中素子インダクタLを含む。集中素子インダクタLの一方の端部は、集中素子コンデンサCに接続され、これに対し、集中素子インダクタLの他方の端部は、導電面406に接続される。第1のユニット・セル205Aのこの構成は、図5で示されるように、N個の総数の回数、第1のマルチモード共振器_a 115A内で反復する。図5は、第1のマルチモード共振器_a 115Aの集中素子側に接続される左ノード、および、導電面406に接続される右ノードを例解するが、この構成は、第1のマルチモード共振器_a 115Aの集中素子側が右ノードに接続され、導電面406が左ノードに接続されるように、置き換えられ得る。
【0042】
第2のマルチモード共振器_b 115Bの集中素子側は、JRM105の上ノードに接続され、これに対し、下ノードは、導電面407に接続される。第2のマルチモード共振器_b 115Bの集中素子側、および、導電面407は、ポート_b 120Bに接続する。第2のマルチモード共振器_b 115B内で、第2のユニット・セル205Bは、集中素子コンデンサCに接続される集中素子インダクタLを含む。集中素子インダクタLの一方の端部は、集中素子コンデンサCに接続され、これに対し、集中素子インダクタLの他方の端部は、導電面407に接続される。第2のユニット・セル205Bのこの構成は、図5で示されるように、M個の総数の回数、第2のマルチモード共振器_b 115B内で反復する。図5は、第2のマルチモード共振器_b 115Bの集中素子側に接続される上ノード、および、導電面407に接続される下ノードを例解するが、この構成は、第2のマルチモード共振器_b 115Bの集中素子側が下ノードに接続され、導電面407が上ノードに接続されるように、置き換えられ得る。
【0043】
図6は、実施形態による、マイクロ波装置(マルチモードJPC130など)を構成する方法である。参照が、図1〜5に対して行われ得る。
【0044】
ブロック605で、第1のマルチモード共振器(すなわち、第1のマルチモード共振器_a 115A)が、JRM105に接続され、第1のマルチモード共振器は、第1の左手系伝送線路で作製される。
【0045】
ブロック610で、第2のマルチモード共振器(すなわち、第2のマルチモード共振器_b 115B)が、JRM105に接続され、第2のマルチモード共振器は、第2の左手系伝送線路で作製される。
【0046】
第1のマルチモード共振器(すなわち、第1のマルチモード共振器_a 115A)は、関心のある所定の周波数帯域の中の、JRMに強結合する、複数の第1の共振モードを含み、第2のマルチモード共振器(すなわち、第2のマルチモード共振器_b 115B)は、関心のある同じ周波数帯域の中の、JRMに強結合する、複数の第2の共振モードを含む。
【0047】
関心のある所定の周波数帯域の中の、JRMに強結合する、第1のマルチモード共振器内の複数の第1の共振モードの数は、関心のある同じ周波数帯域の中の、JRMに強結合する、第2のマルチモード共振器内の複数の第2の共振モードの数に等しい。例えば、関心のある所定の周波数帯域の中の、JRMに強結合する、周波数共振モードの数は、第1のマルチモード共振器_a 115A、および、第2のマルチモード共振器_b 115B内で等しい。
【0048】
関心のある所定の周波数帯域の中の、JRMに強結合する、第1のマルチモード共振器内の複数の第1の共振モードの数は、関心のある同じ周波数帯域の中の、JRMに強結合する、第2のマルチモード共振器内の複数の第2の共振モードの数に等しくない。例えば、第1のマルチモード共振器_a 115A、または、第2のマルチモード共振器_b 115Bは、関心のある所定の周波数帯域の中で、他方より多くの、JRMに強結合する、周波数共振モードを有し得る。
【0049】
第1のマルチモード共振器_a 115Aは、N個の総数の第1のユニット・セル205Aを備え、第2のマルチモード共振器_b 115Bは、M個の総数の第2のユニット・セル205Bを備える。NもMもゼロに等しくない。1つの実装形態では、NはMに等しく、別の実装形態では、NはMに等しくない。
【0050】
図2、4、および5で図示されるように、第1のユニット・セル205Aの各々、および、第2のユニット・セル205Bの各々はそれぞれ、集中素子インダクタ(L、L)の1つの端部に接続される集中素子コンデンサ(C、C)を備え、これに対し、集中素子インダクタ(L、L)の別の端部は、接地面405または導電面406、407に接続される。
【0051】
JRM105は、互いに対向するノードの第1の対(例えば、JRM105の左ノードおよび右ノード)と、互いに対向するノードの第2の対(例えば、JRM105の上ノードおよび下ノード)とを備える。第1のマルチモード共振器_a 115Aは、ノードの第1の対に接続される。図5で図示されるように、ノードの第1の対の1つは、共振器の集中素子側に接続され、導電面406は、ノードの第1の対の別の1つに接続される。第2のマルチモード共振器_b 115Bは、ノードの第2の対に接続される。図5で図示されるように、ノードの第2の対の1つは、共振器の集中素子側に接続され、導電面407は、ノードの第2の対の別の1つに接続される。
【0052】
第1のユニット・セル205Aの各々、および、第2のユニット・セル205Bの各々はそれぞれ、図4で図示されるように、第1の集中素子インダクタ(第1のL、第1のL)と、第2の集中素子インダクタ(第2のL、第2のL)と、集中素子コンデンサ(C、C)とを備える。図4で図示されるように、第1のインダクタ、および、第2のインダクタの、第1の端部は、一体に接続され、これに対し、第1のインダクタ、および、第2のインダクタの、第2の端部は、接地に接続され、コンデンサは、第1の端部に接続される。
【0053】
JRM105は、互いに対向するノードの第1の対と、互いに対向するノードの第2の対とを、Wheatstoneブリッジで備える。第1のマルチモード共振器_a 115Aは、ノードの第1の対に接続され、第2のマルチモード共振器_b 115Bは、ノードの第2の対に接続される。
【0054】
第1のユニット・セルは、互いに直列に接続され、第2のユニット・セルは、互いに直列に接続される。
【0055】
1つの実装形態では、第1のユニット・セル205A(第1のマルチモード共振器_a 115A内)の各々での静電容量およびインダクタンスは、第2のユニット・セル(第2のマルチモード共振器_b 115B内)の各々での静電容量およびインダクタンスと異なる。第1のマルチモード共振器_a 115A内の第1のユニット・セル205Aは、第2のマルチモード共振器_b 115B内の第2のユニット・セル205Bと異なるので、第1のマルチモード共振器_a 115Aは、第2のマルチモード共振器_b 115Bと異なる共振モードおよび共振周波数を有する。
【0056】
別の実装形態では、第1のユニット・セル(第1のマルチモード共振器_a 115A内)の各々での静電容量およびインダクタンスは、第2のユニット・セル(第2のマルチモード共振器_b 115B内)の各々での静電容量およびインダクタンスと整合する。
【0057】
各々のマルチモード共振器で使用される集中素子インダクタンスおよび静電容量は、ユニット・セルごとに変動し得る。マルチモード共振器の周期的構造に対するそのような摂動は、マルチモード共振器の所定の固有モードの間の周波数間隔を変えるために使用され得る。
【0058】
マルチモード共振器の左手系伝送線路の設計で使用される集中素子インダクタンス、例えばLおよびLは、蛇行構成での細い超電導線を使用して実装され得る。超電導線の総インダクタンスは、幾何学的インダクタンスおよびカイネティック・インダクタンスの組み合わせであり得る。マルチモード共振器の左手系伝送線路の設計で使用される集中素子インダクタンスは、さらには、大Josephson接合のアレイとして実装され得る。
【0059】
マルチモード共振器の左手系伝送線路の設計で使用される集中素子静電容量、例えばCおよびCは、誘電層が2つの電極の間に、左手系伝送線路の中心導体に沿って堆積させられる、くし型コンデンサまたは平板コンデンサとして実装され得る。
【0060】
様々なマイクロエレクトロニック・デバイス製作方法が、当業者により理解されるように、本明細書で論考される構成要素/素子を製作するために利用され得るということが注目されよう。超電導および半導体デバイス製作では、様々な処理ステップは、4つの一般的なカテゴリ、すなわち、堆積、除去、パターニング、および、電気特性の変更に属する。
【0061】
堆積は、材料をウェハ上に、成長させる、コーティングする、または、他の形では移す任意のプロセスである。利用可能な技術は、中でもとりわけ、物理蒸着(PVD)、化学気相成長(CVD)、電気化学堆積(ECD)、分子線エピタキシ(MBE)、および、より最近では、原子層堆積(ALD)を含む。
【0062】
除去は、材料をウェハから除去する任意のプロセスであり、例は、エッチ・プロセス(ウェットまたはドライのいずれか)、および化学機械平坦化(CMP)、その他を含む。
【0063】
パターニングは、堆積させた材料の形状設定または変造であり、一般的にはリソグラフィと呼称される。例えば、従来のリソグラフィでは、ウェハは、フォトレジストと呼ばれる化学物質でコーティングされ、次いで、ステッパと呼ばれる機械が、マスクの焦点合わせ、位置合わせ、および移動を行って、下方のウェハの選択部分を短波長光で露光し、露光した区域は、現像剤溶液により洗い流される。エッチングまたは他の処理の後、残存するフォトレジストが除去される。パターニングはさらには、電子線リソグラフィを含む。
【0064】
電気特性の変更は、一般的には、拡散による、またはイオン打ち込みによる、あるいはその両方による、トランジスタのソースおよびドレインへのドーピングなどのドーピングを含み得る。これらのドーピング・プロセスは、炉アニーリング、または、急速熱アニーリング(RTA)が後に続く。アニーリングは、打ち込まれたドーパントを活性化させる働きをする。
【0065】
図でのフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態による、システム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装形態の、アーキテクチャ、機能性、および動作を例解する。この点に関して、フローチャートまたはブロック図での各々のブロックは、指定される論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を含む、命令の、モジュール、セグメント、または部分を表し得る。一部の代替的実装形態では、ブロックで記される機能は、図で記される順序から外れて生じることがある。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時的に実行されることがあり、または、ブロックは時には、必然的に含まれる機能性に依存して、逆の順序で実行されることがある。ブロック図またはフローチャート例解あるいはその両方の各々のブロック、および、ブロック図またはフローチャート例解あるいはその両方でのブロックの組み合わせは、指定される機能もしくは行為を遂行する、または、専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせ動作を行うもしく履行する、専用ハードウェア・ベースのシステムにより実装され得るということが、さらには注目されよう。
【0066】
本発明の様々な実施形態の説明は、例解の目的のために提示されているが、網羅的であること、または、開示される実施形態に限定されることは意図されない。多くの変更および変形が、当業者には、説明される実施形態の範囲および思想から逸脱することなく明らかとなろう。本明細書で使用される専門用語は、市場で見出される技術に勝る、実施形態の原理、実用的用途、もしくは技術的改善を最良に解説するために、または、当業者の他の者が、本明細書で開示される実施形態を理解することを可能にするために選定されたものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2018年4月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波装置であって、
Josephsonリング変調器と、
前記Josephsonリング変調器に接続される第1のマルチモード共振器であって、第1の左手系伝送線路で作製される、前記第1のマルチモード共振器と、
前記Josephsonリング変調器に接続される第2のマルチモード共振器であって、第2の左手系伝送線路で作製される、前記第2のマルチモード共振器と
を備える、マイクロ波装置。
【請求項2】
前記第1のマルチモード共振器は、所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、複数の第1の共振モードを含み、
前記第2のマルチモード共振器は、前記所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、複数の第2の共振モードを含む、請求項1に記載のマイクロ波装置。
【請求項3】
所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、前記第1のマルチモード共振器内の複数の第1の共振モードの数は、前記所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、前記第2のマルチモード共振器内の複数の第2の共振モードの数に等しい、または、
所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、前記第1のマルチモード共振器内の前記複数の第1の共振モードの前記数は、前記所定の周波数帯域の中の、前記Josephsonリング変調器に結合する、前記第2のマルチモード共振器内の前記複数の第2の共振モードの前記数に等しくない、請求項1に記載のマイクロ波装置。
【請求項4】
前記第1のマルチモード共振器は、N個の総数の第1のユニット・セルを備え、
前記第2のマルチモード共振器は、M個の総数の第2のユニット・セルを備え、
NもMもゼロに等しくない、請求項1に記載のマイクロ波装置。
【請求項5】
前記第1のユニット・セルの各々、および、前記第2のユニット・セルの各々は、インダクタの1つの端部に接続されるコンデンサを備え、これに対し、前記インダクタの別の端部は、接地面または導電面に接続される、請求項4に記載のマイクロ波装置。
【請求項6】
前記Josephsonリング変調器は、互いに対向するノードの第1の対と、互いに対向するノードの第2の対とを備え、
前記第1のマルチモード共振器は、ノードの前記第1の対に接続され、
前記第2のマルチモード共振器は、ノードの前記第2の対に接続される、請求項5に記載のマイクロ波装置。
【請求項7】
前記第1のユニット・セルの各々、および、前記第2のユニット・セルの各々は、第1のインダクタと、第2のインダクタと、コンデンサとを備え、
前記第1のインダクタ、および、前記第2のインダクタの、第1の端部は、一体に接続され、これに対し、前記第1のインダクタ、および、前記第2のインダクタの、第2の端部は、接地に接続され、
前記コンデンサは、前記第1の端部に接続される、請求項4に記載のマイクロ波装置。
【請求項8】
NはMに等しい、請求項4に記載のマイクロ波装置。
【請求項9】
NはMに等しくない、請求項4に記載のマイクロ波装置。
【請求項10】
前記第1のユニット・セルは、互いに直列に接続され、
前記第2のユニット・セルは、互いに直列に接続される、請求項4に記載のマイクロ波装置。
【請求項11】
前記第1のマルチモード共振器での静電容量およびインダクタンスは、前記第1のユニット・セルで、ユニット・セルごとに変動し、そのことにより、前記第1のマルチモード共振器の所定の固有モードの間の周波数間隔を変え、
前記第2のマルチモード共振器での静電容量およびインダクタンスは、前記第2のユニット・セルで、ユニット・セルごとに変動し、そのことにより、前記第2のマルチモード共振器の所定の固有モードの間の周波数間隔を変える、請求項4に記載のマイクロ波装置。
【請求項12】
前記第1のユニット・セルの各々での静電容量およびインダクタンスは、前記第2のユニット・セルの各々での静電容量およびインダクタンスと異なる、請求項4に記載のマイクロ波装置。
【請求項13】
前記第1のユニット・セルの各々での静電容量およびインダクタンスは、前記第2のユニット・セルの各々での静電容量およびインダクタンスと整合する、請求項4に記載のマイクロ波装置。
【請求項14】
マイクロ波装置を構成する方法であって、
第1のマルチモード共振器をJosephsonリング変調器に接続するステップであって、前記第1のマルチモード共振器は、第1の左手系伝送線路で作製される、前記接続するステップと、
第2のマルチモード共振器を前記Josephsonリング変調器に接続するステップであって、前記第2のマルチモード共振器は、第2の左手系伝送線路で作製される、前記接続するステップと
を含む、方法。
【請求項15】
前記Josephsonリング変調器は、Wheatstoneブリッジ構成でのものであり、前記Josephsonリング変調器は、互いに対向するノードの第1の対と、互いに対向するノードの第2の対とを備え、
前記第1のマルチモード共振器は、ノードの前記第1の対に接続され、前記第1のマルチモード共振器は、第1のユニット・セルを備え、
前記第2のマルチモード共振器は、ノードの前記第2の対に接続され、前記第2のマルチモード共振器は、第2のユニット・セルを備え、前記装置は、
それぞれ前記第1のユニット・セルおよび前記第2のユニット・セル内のインダクタに接続される接地面であって、コンデンサが、それぞれ前記第1のユニット・セルおよび前記第2のユニット・セル内の前記インダクタの別の端部に接続される、前記接地面
をさらに備える、
請求項1に記載のマイクロ波装置。
【請求項16】
前記Josephsonリング変調器は、Wheatstoneブリッジ構成でのものであり、前記Josephsonリング変調器は、互いに対向するノードの第1の対と、互いに対向するノードの第2の対とを備え、
前記第1のマルチモード共振器の集中素子側は、ノードの前記第1の対内の1つのノードに接続され、導電面が、ノードの前記第1の対のうちの別のノードに接続され、前記第1のマルチモード共振器は、第1のユニット・セルを備え、
前記第2のマルチモード共振器の集中素子側は、ノードの前記第2の対のうちの1つのノードに接続され、導電面が、ノードの前記第2の対のうちの別のノードに接続され、前記第2のマルチモード共振器は、第2のユニット・セルを備える、
請求項1に記載のマイクロ波装置。
【国際調査報告】