特表2019-501317(P2019-501317A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-501317表面に基づくコスト関数およびノイズ値に基づく器具制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-501317(P2019-501317A)
(43)【公表日】2019年1月17日
(54)【発明の名称】表面に基づくコスト関数およびノイズ値に基づく器具制御
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/84 20060101AFI20181214BHJP
【FI】
   E02F3/84 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-533046(P2018-533046)
(86)(22)【出願日】2016年12月16日
(85)【翻訳文提出日】2018年8月22日
(86)【国際出願番号】US2016067109
(87)【国際公開番号】WO2017112534
(87)【国際公開日】20170629
(31)【優先権主張番号】14/978,628
(32)【優先日】2015年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】506196063
【氏名又は名称】キャタピラー トリンブル コントロール テクノロジーズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン,イエンチャイ
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,フランシスコ アール
(72)【発明者】
【氏名】レイ,アルバート エー
(72)【発明者】
【氏名】チャン,インス
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AA02
2D003AB01
2D003AC01
2D003AC06
2D003BA02
2D003BB02
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA04
2D003DB05
2D003DB08
2D003FA02
(57)【要約】
土砂移動機は、センサ、器具、および、制御部を含む制御アーキテクチャ部を含み、測定した器具の位置を示す信号、および、器具速度に関連したゲイン値を含む器具制御値に応じた移動を容易にするように構成される。制御部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、信号に基づいて、表面に基づくコスト関数(SBCF)値を生成し、SBCF値がゲイン値を固定するのに容認可能かを決定し、更に、SBCF値が容認不可能な場合には、その信号と目標信号との誤差に基づくノイズ値を生成し、ノイズ値がゲイン値を固定するのに容認可能かを決定し、ノイズ値が容認不可能な場合には、SBCF値またはノイズ値が容認可能になるまで、ゲイン値を調節して器具速度を制御し、機械を固定したゲイン値で動作させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂移動機において、
機械シャーシと、
連動機構と、
前記機械シャーシに前記連動機構を介して連結された土砂移動器具と、
適応環境センサと、
少なくとも部分的には器具制御値および適応信号に応じて、1以上の自由度での前記土砂移動器具、前記機械シャーシ、および、前記連動機構の移動を容易にするように構成された制御アーキテクチャ部と、
を含み、
前記器具制御値は、前記土砂移動器具の前記移動の制御を表し、そのパラメータとして、ゲイン値を含み、
前記器具制御ゲイン値は、前記土砂移動器具の移動速度に関連したものであり、
前記適応信号は、前記適応環境センサによって生成されて、所定の動作地形に対する前記土砂移動器具の測定された位置を示すものであり、
前記制御アーキテクチャ部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされた機械制御部を含み、
前記機械制御部は、
前記適応信号、または、該適応信号を前記土砂移動器具の目標位置を示す目標位置信号と比較した結果に基づいて、表面に基づくコスト関数値を生成し、
前記表面に基づくコスト関数値が、容認可能なレベルか、または、容認不可能なレベルかを決定し、
前記表面に基づくコスト関数値が前記容認可能なレベルの場合には、前記器具制御ゲイン値を固定し、
前記表面に基づくコスト関数値が前記容認不可能なレベルの場合には、前記適応信号と前記目標位置信号の間の誤差に基づくノイズ値を生成し、
前記ノイズ値が、容認可能なノイズレベルか、または、容認不可能なノイズレベルかを決定し、
前記ノイズ値が前記容認可能なノイズレベルの場合には、前記器具制御ゲイン値を固定し、
前記ノイズ値が前記容認不可能なノイズレベルの場合には、前記表面に基づくコスト関数値が前記容認可能なレベルになるか、または、該ノイズ値が前記容認可能なノイズレベルになるまで、前記器具制御ゲイン値を調節して前記器具速度を制御し、次に、該器具制御ゲイン値を固定し、
前記土砂移動機を、前記固定した器具制御ゲイン値に基づいて動作させるものである土砂移動機。
【請求項2】
前記表面に基づくコスト関数値は、前記所定の動作地形に亘る空間に対する、前記土砂移動器具の推定位置に基づくものである、請求項1に記載の土砂移動機。
【請求項3】
前記土砂移動器具の前記推定位置は、該土砂移動器具の角度ピッチ読取値、および、前記所定の動作地形に対する所定の高さに基づくものである、請求項2に記載の土砂移動機。
【請求項4】
前記表面に基づくコスト関数値は、
前記土砂移動器具の前記測定された位置に関連した二乗平均平方根(RMS)誤差値と、
前記適応信号を前記目標位置信号と比較した結果と、
に基づくものである、請求項1に記載の土砂移動機。
【請求項5】
前記表面に基づくコスト関数値は、地形表面プロファイルを示す波度数であり、
前記波度数は、国際ラフネス指数(IRI)値、および、RMS誤差値に基づき、
前記RMS誤差値は、前記適応信号を前記目標位置信号と比較した結果、得られたものである、請求項1に記載の土砂移動機。
【請求項6】
前記表面に基づくコスト関数値は、前記所定の動作地形を示す波度数であり、
前記波度数は、国際ラフネス指数(IRI)値、および、前記適応信号と前記目標位置信号の間の誤差範囲の最大差異に基づくものである、請求項1に記載の土砂移動機。
【請求項7】
前記機械制御部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、更に、
前記表面に基づくコスト関数値が前記容認不可能なレベルの場合には、前記所定の動作地形に対する前記土砂移動器具の前記測定された位置のRMS誤差値を、前記適応信号を前記目標位置信号と比較した結果に基づいて生成し、
前記RMS誤差値が、容認可能なRMSレベルか、または、容認不可能なRMSレベルかを決定し、
前記RMS誤差値が容認可能なRMSレベルの場合には、前記器具制御ゲイン値を固定し、
前記RMS誤差値が容認不可能なRMSレベルの場合には、該RMS誤差値を、前記ノイズ値として設定するものである、請求項1に記載の土砂移動機。
【請求項8】
前記機械制御部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、
前記ノイズ値がノイズ閾値より大きい場合には、前記器具速度を低下させ、
前記ノイズ値がノイズ閾値未満の場合には、前記器具速度を上昇させるものである、請求項7に記載の土砂移動機。
【請求項9】
前記機械制御部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、更に、
前記表面に基づくコスト関数値が前記容認不可能なレベルの場合には、前記所定の動作地形に対する前記土砂移動器具の前記測定された位置のRMS誤差値を、前記適応信号を前記目標位置信号と比較した結果に基づいて生成し、
前記RMS誤差値が、容認可能なRMSレベルか、または、容認不可能なRMSレベルかを決定し、
前記RMS誤差値が容認可能なRMSレベルの場合には、前記器具制御ゲイン値を固定し、
前記RMS誤差値が容認不可能なRMSレベルの場合には、前記ノイズ値を生成するものである、請求項1に記載の土砂移動機。
【請求項10】
前記RMS誤差値が、前記容認可能なRMSレベルか、または、前記容認不可能なRMSレベルかの前記決定は、前記RMS誤差値をRMS誤差値閾値と比較した結果に基づくものであり、
前記RMS誤差値は、複数の誤差範囲の平均に基づくものであり、
前記複数の各誤差範囲は、前記所定の動作地形に関すると共に距離ウインドウに亘って測定した前記土砂移動器具の予想および実際の位置測定値を各々が表す一対のデータ点同士の差を表すものであり、
前記距離ウインドウは、前記土砂移動機の長さより大きいものである、請求項9に記載の土砂移動機。
【請求項11】
前記ノイズ値が、前記容認可能なノイズレベルか、または、前記容認不可能なノイズレベルかの前記決定は、前記ノイズ値をノイズ閾値と比較した結果に基づくものであり、
前記ノイズ閾値は、時間領域内の距離を表す単位で測定されるものである、請求項1に記載の土砂移動機。
【請求項12】
前記機械制御部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、
前記ノイズ値が前記ノイズ閾値より大きい場合には、前記器具速度を上昇させるものである、請求項11に記載の土砂移動機。
【請求項13】
前記機械制御部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、
前記ノイズ値が前記ノイズ閾値未満の場合には、前記器具速度を低下させるものである、請求項11に記載の土砂移動機。
【請求項14】
前記機械制御部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、
前記ノイズ値が前記ノイズ閾値より大きい場合には、前記器具速度を上昇させ、
前記ノイズ値が前記ノイズ閾値未満の場合には、前記器具速度を低下させるものである、請求項11に記載の土砂移動機。
【請求項15】
高速フ―リエ変換(FFT)演算を前記ノイズ値に適用して、該ノイズ値を時間領域から周波数領域に変換して、周波数に基づくノイズ値を生成し、
前記周波数に基づくノイズ値を、周波数に基づくノイズ閾値と比較して、前記ノイズ値が、前記容認可能なノイズレベルか、または、容認不可能なノイズレベルかを決定する、請求項1に記載の土砂移動機。
【請求項16】
前記機械制御部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、
前記ノイズ値がノイズ閾値より大きい場合には、前記器具速度を低下させ、
前記ノイズ値が前記ノイズ閾値未満の場合には、前記器具速度を上昇させるものである、請求項15に記載の土砂移動機。
【請求項17】
低域フィルタ、高域フィルタ、帯域フィルタ、または、それらの組合せを、前記周波数に基づくノイズ値、前記周波数に基づくノイズ閾値、または、それらの両方に適用して、該周波数に基づくノイズ値を、最小化した関連するノイズと置き換えるフィルタ装置を、
更に含む、請求項15に記載の土砂移動機。
【請求項18】
前記ノイズ値は、少なくとも部分的には、機械進行速度値を地形隆起部カウント周波数値で割ることによって生成され、
前記機械制御部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、前記機械進行速度値を、前記機械が時間領域で距離ウインドウに亘って進行する距離に基づいて生成し、前記地形隆起部カウント周波数値を、前記所定の動作地形に亘って時間領域に亘り測定した前記適応信号から生成した仮想ノイズに基づいて生成するものである、請求項1に記載の土砂移動機。
【請求項19】
前記地形隆起部カウント周波数値は、単位時間当たりの仮想ノイズの周期の測定値に基づくものであり、
前記仮想ノイズは、前記所定の動作地形内で仮想的に検出した隆起部のカウントを表し、
前記仮想的に検出した隆起部のカウントは、前記所定の動作領域に亘って測定した前記適応信号から生成されて、測定された時間で割ったものである、請求項18に記載の土砂移動機。
【請求項20】
前記機械制御部は、1つの制御部、または、複数の独立した制御部を含むものである、請求項1に記載の土砂移動機。
【請求項21】
前記機械制御部は、比例積分(PI)制御部を含み、
前記ゲイン値は、前記PI制御部のチューニングパラメータを反映し、
前記機械制御部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、前記PI制御部に関連した比例項係数(K)を調節して、前記チューニングパラメータを調節するものである、請求項1に記載の土砂移動機。
【請求項22】
前記機械制御部は、比例積分微分(PID)制御部を含み、
前記ゲイン値は、前記PID制御部のチューニングパラメータを反映し、
前記機械制御部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、前記PID制御部に関連した比例項係数(K)、該PID制御部に関連した微分項係数(K)、または、それらの両方を調節して、前記チューニングパラメータを調節するものである、請求項1に記載の土砂移動機。
【請求項23】
前記機械制御部は、L適応制御部を含み、
前記ゲイン値は、前記L適応制御部のチューニングパラメータを反映し、
前記機械制御部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、前記L適応制御部に関連した係数(a)を調節して、前記チューニングパラメータを調節するものである、請求項1に記載の土砂移動機。
【請求項24】
前記機械制御部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、前記目標位置信号を、ベンチング動作に基づいて、または確立し、
前記ベンチング動作は、前記土砂移動器具を、前記所定の動作地形に対して望ましい位置に移動する工程と、前記望ましい位置に関連した信号を、前記目標位置信号として、固定する工程とを含むものである、請求項1に記載の土砂移動機。
【請求項25】
前記機械制御部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、前記目標位置信号を、所定の仮想三次元用地計画の前記所定の動作地形に対して望ましい位置に関連した信号に基づいて、確立し、
前記信号は、前記適応環境センサ、前記機械制御部、または、それらの両方によって生成されるものである、請求項1に記載の土砂移動機。
【請求項26】
土砂移動機において、
機械シャーシと、
連動機構と、
前記機械シャーシに前記連動機構を介して連結された土砂移動器具と、
適応環境センサと、
少なくとも部分的には器具制御値および適応信号に応じて、1以上の自由度での前記土砂移動器具、前記機械シャーシ、および、前記連動機構の移動を容易にするように構成された制御アーキテクチャ部と、
を含み、
前記器具制御値は、前記土砂移動器具の前記移動の制御を表し、そのパラメータとして、ゲイン値を含み、
前記器具制御ゲイン値は、前記土砂移動器具の移動速度に関連したものであり、
前記適応信号は、前記適応環境センサによって生成されて、所定の動作地形に対する前記土砂移動器具の測定された位置を示すものであり、
前記制御アーキテクチャ部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされた機械制御部を含み、
前記機械制御部は、
前記適応信号、または、該適応信号を前記土砂移動器具の目標位置を示す目標位置信号と比較した結果に基づいて、表面に基づくコスト関数値を生成し、
前記表面に基づくコスト関数値が、容認可能なレベルか、または、容認不可能なレベルかを決定し、
前記表面に基づくコスト関数値が前記容認可能なレベルの場合には、前記器具制御ゲイン値を固定し、
前記表面に基づくコスト関数値が前記容認不可能なレベルの場合には、前記適応信号と前記目標位置信号の間の誤差に基づくと共に、少なくとも部分的には、機械進行速度値を地形隆起部カウント周波数値で割ることによって生成された、ノイズ値を生成し、
前記ノイズ値が、容認可能なノイズレベルか、または、容認不可能なノイズレベルかを、高速フ―リエ変換(FFT)演算を前記ノイズ値に適用して該ノイズ値を時間領域から周波数領域に変換して、周波数に基づくノイズ値を生成する工程と、前記周波数に基づくノイズ値を周波数に基づくノイズ閾値と比較する工程とによって、決定し、
前記ノイズ値が前記容認可能なノイズレベルの場合には、前記器具制御ゲイン値を固定し、
前記ノイズ値が前記ノイズ閾値より大きい場合には、前記器具速度を低下させ、該ノイズ値が該ノイズ閾値未満の場合には、前記表面に基づくコスト関数が前記容認可能なレベルになるか、または、該ノイズ値が前記容認可能なノイズレベルになるまで、該器具速度を上昇させて、次に、前記器具制御ゲイン値を固定し、
前記土砂移動機を、前記固定した器具制御ゲイン値に基づいて動作させるものである土砂移動機。
【請求項27】
土砂移動機の動作方法において、
機械シャーシ、連動機構、前記機械シャーシに前記連動機構を介して連結された土砂移動器具、適応環境センサ、および、機械制御部を有する制御アーキテクチャ部を含む前記土砂移動機を、所定の動作地形に配置する工程と、
前記制御アーキテクチャ部を用いて、前記土砂移動器具の前記移動の制御を表すと共に、そのパラメータとして、該土砂移動器具の移動速度に関連したゲイン値を含む器具制御値、および、前記適応環境センサによって生成されて、前記所定の動作地形に対する該土砂移動器具の測定された位置を示す適応信号に、少なくとも部分的には応じて、1以上の自由度での前記土砂移動器具、前記機械シャーシ、および、前記連動機構の移動を容易にする工程と、
前記適応信号、または、該適応信号を前記土砂移動器具の目標位置を示す目標位置信号と比較した結果に基づいて、表面に基づくコスト関数値を、前記機械制御部によって、生成する工程と、
前記表面に基づくコスト関数値が、容認可能なレベルか、または、容認不可能なレベルかを決定する工程と、
前記表面に基づくコスト関数値が前記容認可能なレベルの場合には、前記器具制御ゲイン値を固定する工程と、
前記表面に基づくコスト関数値が前記容認不可能なレベルの場合には、前記適応信号と前記目標位置信号の間の誤差に基づくノイズ値を、前記機械制御部によって、生成する工程と、
前記ノイズ値が、容認可能なノイズレベルか、または、容認不可能なノイズレベルかを決定する工程と、
前記ノイズ値が前記容認可能なノイズレベルの場合には、前記器具制御ゲイン値を固定する工程と、
前記ノイズ値が前記容認不可能なノイズレベルの場合には、前記表面に基づくコスト関数値が前記容認可能なレベルになるか、または、該ノイズ値が前記容認可能なノイズレベルになるまで、前記器具制御ゲイン値を、前記機械制御部によって調節して、前記土砂移動器具の前記器具速度を制御し、次に、該器具制御ゲイン値を固定する工程と、
前記土砂移動機を、前記固定した器具制御ゲイン値に基づいて動作させる工程と、
を含む土砂移動機の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、「表面に基づくコスト関数およびノイズ値に基づく器具制御」という名称(整理番号CTCT0264PA)で、2015年12月22日に出願された米国特許出願第14/978,628号の優先権の利益を主張し、その内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、土砂移動機、特に、土砂移動器具を適応制御する土砂移動機に関する。
【背景技術】
【0003】
例であって限定するものではないが、ブルドーザ、舗装機、掘削機、積載機、スクレーパなど、地形に基づく多数のタイプの土砂移動機は、典型的には、機械のオペレータ制御ステーション内のジョイスティックまたは他の手段で操作可能な油圧制御土砂移動器具を有し、その器具は、部分的または完全に自動適応制御もされる。例えば、機械のユーザは、器具の引上げ、傾け、角度、および、ピッチを制御しうる。更に、これらの変動の1つ以上は、その機械の適応環境センサが感知または受信した情報に基づいて、部分的または完全に自動制御もされうる。例であって限定するものではないが、本開示の態様は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および、特許文献4の開示に示されたものと同様の技術に応用しうることを企図しており、特許文献1は、Caterpillar Trimble Control Technologies LLCに譲渡され、センサに基づく掘削機の自動制御方法を開示し、特許文献2は、Caterpillar Trimble Control Technologies LLCに譲渡され、土地を望ましい形状に仕上げるためのブルドーザを組み込んだタイプの自動土砂移動システムを開示し、特許文献3は、Caterpillar Trimble Control Technologies LLCに譲渡され、舗装機の自動制御に関し、特許文献4は、Caterpillar Trimble Control Technologies LLCに譲渡され、センサに基づく積載機の自動制御に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8,689,471号明細書
【特許文献2】米国特許第8,634,991号明細書
【特許文献3】米国特許第8,371,769号明細書
【特許文献4】米国特許第8,082,084号明細書
【発明の概要】
【0005】
本開示の一実施形態によれば、機械シャーシと、連動機構と、土砂移動器具と、適応環境センサと、制御アーキテクチャ部とを含む土砂移動機を提供する。土砂移動器具は、機械シャーシに連動機構を介して連結されている。制御アーキテクチャ部は、少なくとも部分的には器具制御値および適応信号に応じて、1以上の自由度での土砂移動器具、機械シャーシ、および、連動機構の移動を容易にするように構成される。器具制御値は、土砂移動器具の移動の制御を表し、そのパラメータとして、ゲイン値を含む。器具制御ゲイン値は、土砂移動器具の移動速度に関連したものである。適応信号は、適応環境センサによって生成されて、所定の動作地形に対する土砂移動器具の測定された位置を示す。制御アーキテクチャ部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされた機械制御部を含み、適応信号、または、適応信号を土砂移動器具の目標位置を示す目標位置信号と比較した結果に基づいて、表面に基づくコスト関数値を生成し、表面に基づくコスト関数値が、容認可能なレベルか、または、容認不可能なレベルかを決定し、表面に基づくコスト関数値が容認可能なレベルの場合には、器具制御ゲイン値を固定し、表面に基づくコスト関数値が容認不可能なレベルの場合には、適応信号と目標位置信号の間の誤差に基づくノイズ値を生成する。機械制御部は、機械読み取り可能な命令を実行するように更にプログラムされて、ノイズ値が、容認可能なノイズレベルか、または、容認不可能なノイズレベルかを決定し、ノイズ値が容認可能なノイズレベルの場合には、器具制御ゲイン値を固定し、ノイズ値が容認不可能なノイズレベルの場合には、表面に基づくコスト関数値が容認可能なレベルになるか、または、ノイズ値が容認可能なノイズレベルになるまで、器具制御ゲイン値を調節して器具速度を制御し、次に、器具制御ゲイン値を固定し、土砂移動機を、固定した器具制御ゲイン値に基づいて動作させる。
【0006】
本開示の他の実施形態によれば、機械シャーシと、連動機構と、土砂移動器具と、適応環境センサと、制御アーキテクチャ部を含む土砂移動機を提供する。土砂移動器具は、機械シャーシに連動機構を介して連結されている。制御アーキテクチャ部は、少なくとも部分的には器具制御値および適応信号に応じて、1以上の自由度での土砂移動器具、機械シャーシ、および、連動機構の移動を容易にするように構成される。器具制御値は、土砂移動器具の移動の制御を表し、そのパラメータとして、ゲイン値を含む。器具制御ゲイン値は、土砂移動器具の移動速度に関連したものである。適応信号は、適応環境センサによって生成されて、所定の動作地形に対する土砂移動器具の測定された位置を示す。制御アーキテクチャ部は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされた機械制御部を含み、適応信号、または、適応信号を土砂移動器具の目標位置を示す目標位置信号と比較した結果に基づいて、表面に基づくコスト関数値を生成し、表面に基づくコスト関数値が、容認可能なレベルか、または、容認不可能なレベルかを決定し、表面に基づくコスト関数値が容認可能なレベルの場合には、器具制御ゲイン値を固定し、表面に基づくコスト関数値が容認不可能なレベルの場合には、適応信号と目標位置信号の間の誤差に基づくと共に、少なくとも部分的には、機械進行速度値を地形隆起部カウント周波数値で割ることによって生成された、ノイズ値を生成する。機械制御部は、機械読み取り可能な命令を実行するように更にプログラムされて、ノイズ値が、容認可能なノイズレベルか、または、容認不可能なノイズレベルかを、高速フ―リエ変換(FFT)演算をノイズ値に適用してノイズ値を時間領域から周波数領域に変換して、周波数に基づくノイズ値を生成する工程と、周波数に基づくノイズ値を周波数に基づくノイズ閾値と比較する工程とによって、決定し、ノイズ値が容認可能なノイズレベルの場合には、器具制御ゲイン値を固定し、ノイズ値がノイズ閾値より大きい場合には、器具速度を低下させ、ノイズ値がノイズ閾値未満の場合には、表面に基づくコスト関数が容認可能なレベルになるか、または、ノイズ値が容認可能なノイズレベルになるまで、器具速度を上昇させて、次に、器具制御ゲイン値を固定し、土砂移動機を、固定した器具制御ゲイン値に基づいて動作させる。
【0007】
本開示の他の実施形態によれば、土砂移動機の動作方法を提供し、方法は、機械シャーシ、連動機構、機械シャーシに連動機構を介して連結された土砂移動器具、適応環境センサ、および、機械制御部を有する制御アーキテクチャ部を含む土砂移動機を、所定の動作地形に配置する工程を含む。更に、方法は、制御アーキテクチャ部を用いて、土砂移動器具の移動の制御を表すと共に、そのパラメータとして、土砂移動器具の移動速度に関連したゲイン値を含む器具制御値、および、適応環境センサによって生成されて、所定の動作地形に対する土砂移動器具の測定された位置を示す適応信号に、少なくとも部分的には応じて、1以上の自由度での土砂移動器具、機械シャーシ、および、連動機構の移動を容易にする工程を含む。更に、方法は、適応信号、または、適応信号を土砂移動器具の目標位置を示す目標位置信号と比較した結果に基づいて、表面に基づくコスト関数値を、機械制御部によって、生成する工程と、表面に基づくコスト関数値が、容認可能なレベルか、または、容認不可能なレベルかを決定する工程と、表面に基づくコスト関数値が容認可能なレベルの場合には、器具制御ゲイン値を固定する工程と、表面に基づくコスト関数値が容認不可能なレベルの場合には、適応信号と目標位置信号の間の誤差に基づくノイズ値を、機械制御部によって、生成する工程と、ノイズ値が、容認可能なノイズレベルか、または、容認不可能なノイズレベルかを決定する工程と、ノイズ値が容認可能なノイズレベルの場合には、器具制御ゲイン値を固定する工程と、ノイズ値が容認不可能なノイズレベルの場合には、表面に基づくコスト関数値が容認可能なレベルになるか、または、ノイズ値が容認可能なノイズレベルになるまで、器具制御ゲイン値を、機械制御部によって調節して、土砂移動器具の器具速度を制御し、次に、器具制御ゲイン値を固定する工程と、土砂移動機を、固定した器具制御ゲイン値に基づいて動作させる工程とを含む。
【0008】
本明細書において、本開示の概念を、主にブルドーザ、舗装機、掘削機、および、積載機を参照して記載するが、その概念は、その上に配置された、それによって支持された、または、地面の一部を形成する物を移動するように構成された、任意の地形に基づく機械に適用しうることを企図している。例であって限定するものではないが、企図した土砂移動機は、土砂移動器具がブルドーザブレードを含むものであるドーザ(つまり、ブルドーザ)、土砂移動器具がグレーダブレードを含むものであるグレーダ(つまり、モータグレーダ)、土砂移動器具が舗装機ブレード(各々、アスファルトの高さを設定するスクリード、または、コンクリートの高さを設定するパンなど)を含むものである舗装機(アスファルト舗装機またはコンクリート舗装機など)、土砂移動器具が切断縁部ブレードを有するバケットを含むものである掘削機、土砂移動器具が材料を研削するドラムを含むものであるコールドプレーナ/ミル、または、土砂移動器具が、切断縁部ブレードを有するホッパーを含むものであるスクレーパを含む。
【0009】
以下の本開示の具体的な実施形態の詳細な記載は、類似の構造物を類似の参照番号で示した添付の図面と合わせて読むことで、最もよく理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ブルドーザの形態で本開示の態様を組み込んだ土砂移動機を示す。
図2】掘削機の形態で本開示の態様を組み込んだ土砂移動機を示す。
図3】本開示の様々な概念による制御アーキテクチャによって実行される命令を示すフローチャートである。
図4】本開示の様々な概念による制御アーキテクチャによって実行される命令を示すフローチャートである。
図5】本開示の様々な概念による制御アーキテクチャによって実行される命令を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、ブルドーザの形態の土砂移動機100を示す図1を参照すると、本開示による土砂移動機は、典型的に、機械シャーシ10、連動機構20、例えばブルドーザブレードなどの土砂移動器具30、1つ以上の適応環境センサ40、45、および、適切な制御アーキテクチャ部を含むことが分かる。同様に、掘削機の形態の土砂移動機100’を示す図2を参照すると、掘削機は、典型的に、機械シャーシ10’、連動機構20’、例えば切断縁部ブレードを含むバケットなどの土砂移動器具30’、1つ以上の適応環境センサ40’、45’、および、適切な制御アーキテクチャ部を含むことになる。
【0012】
本開示の概念を実施すれば分かるように、企図した土砂移動機は、1つ以上の様々な従来の、または、これから開発される適応環境センサを採用しうる。例であって限定するものではないが、現在、企図されているセンサは、全地球測位システム(GPS)センサ、全地球航法衛星システム(GNSS)受信機、レーザスキャナ、レーザ受信機、慣性計測ユニット(IMU)、傾斜計、加速度計、ジャイロスコープ、または、それらの組合せを含む。更に、適応環境センサ40、45、40’、45’を、土砂移動器具30、30’(または、図1の土砂移動器具30に付随した棒状部)上に位置するものとして示しているが、そのような適応環境センサ40、45、40’、45’を、連動機構20、20’、および/または、土砂移動機100、100’のプラットフォームなど、土砂移動機100、100’の他の位置に配置してもよいことを企図している。そのような適応環境センサ40、45、40’、45’を用いて、切断縁部または縁部の歯状部などの土砂移動器具30、30’の縁部の高さを計算しうる。
【0013】
図1および2に示すように、土砂移動器具30、30’は、機械シャーシ10、10’に、連動機構20、20’を介して連結しうる。制御アーキテクチャ部は、例えば、機械制御部90、90’、および、1つ以上のアクチュエータを含んで、土砂移動器具30、30’、機械シャーシ10、10’、および、連動機構20、20’の移動を容易にしうる。以下、容易に参照するために、機械シャーシ10、連動機構20、土砂移動器具30、センサ40、45、機械制御部90、および、土砂移動機100について、図1で付与した番号で参照するが、本明細書で、そのように構成要素を参照した場合には、図2の実施形態および他の地形に基づく機械の実施形態を含むものであると理解すべきである。企図したアクチュエータは、任意の従来の、または、これから開発される土砂移動機のアクチュエータを含み、それは、例えば、油圧シリンダーアクチュエータ、空気圧シリンダーアクチュエータ、電気式アクチュエータ、機械式アクチュエータ、または、それらの組合せを含む。
【0014】
いかなる場合でも、制御アーキテクチャ部は、1以上の自由度での土砂移動器具30、機械シャーシ10、および、連動機構20の移動を容易にするように構成される。この移動は、典型的には、少なくとも部分的には適応信号および器具制御値に応じたものである。適応信号は、その例が、土砂移動機における自動適応制御に関する上記特許文献に記載されており、適応環境センサによって生成され、所定の動作地形に対する土砂移動器具30の測定された位置を示す。器具制御値は、土砂移動器具30の移動の制御を表し、そのパラメータとして、ゲイン値を含む。このゲイン値は、土砂移動器具30の移動速度に関連しうる。本発明を規定および記載する目的で、土砂移動器具の移動速度は、土砂移動器具30が、所定の動作地形に対して、器具制御ゲイン値に基づいて、自動で移動または調節される速度のことを称すると、理解すべきである。
【0015】
典型的には、機械制御部90は、器具制御値に基づく指令電流を生成するように構成される。例であって限定するものではないが、指令電流は、土砂移動器具30、および/または、連動機構20に関連したアクチュエータを移動させて、土砂移動器具30、および/または、連動機構20を移動させるように構成しうる。この電流は、例えば、アクチュエータのバルブに関連した信号を表し、例えば、アナログ、デジタル、または、パルス幅変調信号でありうる。
【0016】
図3の動作フローチャートに示すように、工程300で、オペレータなどのユーザは、機械の動作を開始または継続しうる。工程302で、適応信号が入力される。工程304で、土砂移動器具30の目標位置を示す目標位置信号が入力される。本開示の一実施形態において、制御アーキテクチャ部は、適応信号および目標位置信号が与えられると、工程306で、機械読み取り可能な命令を実行して表面に基づくコスト関数(SBCF)値を生成するようにプログラムされた、機械制御部90を含む。SBCF値は、適応信号、または、適応信号を目標位置信号と比較した結果に基づいている。
【0017】
図3の制御スキームにおいて、次に、工程308において、機械制御部90は、SBCF値が、容認可能なレベルか、または、容認不可能なレベルかを決定し、SBCF値が容認可能なレベルの場合には、器具制御ゲイン値を固定する(工程311、312を参照)。一方、SBCF値が容認不可能なレベルの場合には、機械制御部90は、工程314で、計算または他の方法で、適応信号と目標位置信号の間の誤差に基づくノイズ値を生成する。
【0018】
工程316において、機械制御部90は、ノイズ値が、容認可能なノイズレベルか、または、容認不可能なノイズレベルかを決定する。上記ノイズ値が容認可能なノイズレベルの場合には、器具制御ゲイン値を固定する(工程311、312を参照)。ノイズ値が容認不可能なノイズレベルの場合には、機械制御部90は、器具制御ゲイン値を調節して、SBCF値が容認可能なレベルになるまで(工程302〜311の順序で)、または、ノイズ値が容認可能なノイズレベルになるまで(工程302〜308、314〜316、311の順序で)、器具速度を制御する(工程318)。この時点で、器具制御ゲイン値を固定し(工程312)、土砂移動機を、固定した器具制御ゲイン値に基づいて動作させうる(工程300)。このように、図3の動作フロー、および、その等価物は、機械制御部90の動的自動チューニングを提供し、より詳しくは、器具制御ゲイン値の動的校正を提供する。
【0019】
SBCF値は、例えば、GPSセンサ、または、他のタイプの位置センサから得たような、所定の動作地形に亘る空間に対する土砂移動器具30の位置の推定結果に基づきうる。器具ピッチが機械制御される場合には、土砂移動器具30の位置の推定は、IMUによって生成されたような器具の角度ピッチ読取値、および、例えば、所定の動作地形に対する器具30の所定の高さに基づきうることも更に企図している。
【0020】
工程308について、SBCF値をコスト関数閾値と比較して、SBCF値が、容認可能なレベルか、または、容認不可能なレベルかの決定を助けうることを企図している。この閾値は、離散値であるか、若しくは、閾値の許容分散、および/または、SBCF値が修正作用を生じずに閾値から逸脱しうる許容度となるように調整した値の範囲でありうる。
【0021】
図3のフローチャートから類似の工程を引き継いだ図4の動作フローチャートを参照すると、SBCF値は、土砂移動器具の測定された位置、および、適応信号を目標位置信号と比較した結果に関連した二乗平均平方根(RMS)誤差値(工程305を参照)に基づきうることを企図している。より具体的には、SBCF値は、地形表面プロファイルを示す波度数でありうる。この波度数は、例えば、国際ラフネス指数(IRI)値、および、RMS誤差値に基づいてもよい。一方、RMS誤差値は、適応信号を目標信号と比較した結果、得られたものであってもよい。
【0022】
他の企図した実施形態において、波度数は、IRI値、および、適応信号と目標信号の間の誤差範囲の最大差異に基づいていてもよい。より具体的には、誤差範囲の最大差異は、所定の進行距離ウインドウに亘る複数の誤差範囲の最大誤差範囲と最小誤差範囲の差に基づいていてもよい。これらの誤差範囲は、所定の動作地形に関すると共に進行距離ウインドウに亘って測定した、土砂移動器具30の予想および実際の位置測定値を各々が表す一対のデータ点同士の差を表しうる。
【0023】
本明細書でIRI値を参照するが、この値は、例えば、Sayers et al.,“The Little Book of Profiling”,the Regent of the University of Michigan発行,September,1998を含むプロファイリングの文献に十分に示されている。本明細書において、コンピュータによる仮想応答タイプのシステムを用いて、IRI値を生成し、距離ウインドウに亘る所定の動作地形の地形表面プロファイルのラフネス指数として、傾斜の単位を有する指標値を提供しうることを企図している。例であって限定するものではないが、IRI値は、土砂移動機100の模擬サスペンション動作を累積し、それを土砂移動機100が進行した距離で割った値に基づいていてもよい。この進行距離を、所定の動作地形に亘って土砂移動機100が進行する所定の距離を示す距離ウインドウに亘って測定してもよい。傾斜の単位は、例えば、m/km、または、in/miとして測定しうる。
【0024】
図3のフローチャートから類似の工程を引き継いだ、代わりの図5の動作フローチャートによれば、機械制御部90は、SBCF値が容認不可能なレベルの場合には(工程308を参照)、RMS誤差値を生成するようにプログラムされている(工程309)。工程310において、機械制御部90は、RMS誤差値が、容認可能なRMSレベルか、または、容認不可能なRMSレベルかを決定する。RMS誤差値が容認可能なRMSレベルの場合には、機械制御部90は、器具制御ゲイン値を固定する(工程311および312を参照)。
【0025】
実施形態において、RMS誤差値が容認不可能なRMSレベルの場合には、機械制御部90は、工程314において、RMS誤差値を上記ノイズ値として設定し、次に、図3を参照して記載したように進む。動作において、機械制御部90は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、ノイズ値がノイズ閾値より大きい場合には、器具速度を低下させ、ノイズ値がノイズ閾値より小さい場合には、器具速度を上昇させうる。
【0026】
代わりの実施形態において、RMS誤差値が容認不可能なRMSレベルの場合には、機械制御部90は、上記ノイズ値を工程314で生成し、次に、図3を参照して記載したように進む。
【0027】
RMS誤差値をRMS誤差値閾値と比較して、それが、容認可能または容認不可能なレベルかを決定する。この閾値は、離散値であるか、若しくは、閾値の許容分散、および/または、RMS誤差値が修正作用を生じずに閾値から逸脱しうる許容度となるように調整した値の範囲でありうる。RMS誤差値、および、誤差値閾値を、長さの単位で測定してもよく、適応信号の2乗と目標信号の2乗の間の複数の誤差範囲の平均の平方根に基づいていてもよい。誤差範囲を採用した場合には、各誤差範囲は、所定の距離ウインドウに亘る所定の動作地形に関する、土砂移動器具30の予想および実際の位置測定値を各々が表す一対のデータ点同士の差を表しうる。特定の実施形態において、距離ウインドウは、土砂移動機の長さより大きく、例えば、約30mから約50mの範囲に設定してもよい。本明細書に記載した値を計算するのに、全距離ウインドウを用いてよいが、その代わりに、距離ウインドウより短いウインドウか、または、それらの組合せを用いてもよく、ウインドウ、または、それらの組合せも、本開示の範囲であることを企図している。
【0028】
図3〜5の動作フローチャートに示したノイズ値分析は、時間領域内の距離を表す単位で測定したノイズ値のノイズ閾値との比較に基づいてもよい。このノイズ閾値は、離散値であるか、若しくは、ノイズ閾値の許容分散、および/または、ノイズ値が修正作用を生じずに閾値から逸脱しうる許容度となるように調整した値の範囲でありうる。動作において、機械制御部90は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、ノイズ値がノイズ閾値より大きい場合には、器具速度を上昇させ、ノイズ値がノイズ閾値未満の場合には、器具速度を低下させうる。典型的には、ノイズ閾値を長さの単位で測定し、時間領域を秒で測定する。
【0029】
本開示の一態様によれば、高速フ―リエ変換(FFT)演算をノイズ値に適用して、ノイズ値を時間領域から周波数領域に変換して、周波数に基づくノイズ値を生成してもよいことを企図している。この周波数に基づくノイズ値を、周波数に基づくノイズ閾値と比較して、ノイズ値が、容認可能なノイズレベルか、または、容認不可能なノイズレベルかを決定してもよい。このために、土砂移動機100は、低域フィルタ、高域フィルタ、帯域フィルタ、または、それらの組合せを、周波数に基づくノイズ値、周波数に基づくノイズ閾値、または、それらの両方に適用して、周波数に基づくノイズ値を、最小化した関連するノイズと置き換えるフィルタ装置を、含んでもよい。更に、動作において、機械制御部90は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、ノイズ値がノイズ閾値より大きい場合には、器具速度を低下させ、ノイズ値がノイズ閾値未満の場合には、器具速度を上昇させうる。
【0030】
更に、ノイズ値は、少なくとも部分的には、機械進行速度値を地形隆起部カウント周波数値で割ることによって生成されてもよいことも企図している。この場合、機械制御部90は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、機械進行速度値を、機械が時間領域で距離ウインドウに亘って進行する距離に基づいて、つまり、進行した距離を測定した時間で割って、生成しうる。地形隆起部カウント周波数値を、所定の動作地形に亘って時間領域に亘り測定した適応信号から生成した仮想ノイズに基づいて、生成しうる。地形隆起部カウント周波数値は、単位時間当たりの仮想ノイズの周期の測定値に基づきうる。仮想ノイズは、所定の動作地形内で仮想的に検出した隆起部のカウントを表し、仮想的に検出した隆起部のカウントは、所定の動作領域に亘って測定した適応信号から生成されて、測定された時間で割ったものである。
【0031】
機械制御部90は、1つの制御部、または、複数の独立した制御部を含みうる。例であって限定するものではないが、機械制御部90は、比例積分(PI)制御部、比例積分微分(PID)制御部、適応制御部、または、それらの組合せを含みうることを企図している。一実施形態において、機械制御部90は、比例積分(PI)制御部を含み、ゲイン値は、PI制御部のチューニングパラメータを反映し、機械制御部90は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、PI制御部に関連した比例項係数(K)を調節して、チューニングパラメータを調節する。他の実施形態において、機械制御部90は、比例積分微分(PID)制御部を含み、ゲイン値は、PID制御部のチューニングパラメータを反映し、機械制御部90は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、PID制御部に関連した比例項係数(K)、PID制御部に関連した微分項係数(K)、または、それらの両方を調節して、チューニングパラメータを調節する。更に他の実施形態において、機械制御部90は、L適応制御部を含み、ゲイン値は、L制御部のチューニングパラメータを反映し、機械制御部90は、機械読み取り可能な命令を実行するようにプログラムされて、L適応制御部に関連した係数(a)を調節して、チューニングパラメータを調節する。
【0032】
機械制御部90によって用いられる目標位置信号は、ベンチング動作に基づいて確立されてもよく、ベンチング動作は、土砂移動器具30を、所定の動作地形に対して望ましい位置に移動し、望ましい位置に関連した信号を、位置信号として、固定するものである。その代わりに、目標信号を、所定の仮想三次元用地計画の望ましい位置に関連した信号に基づいて確立してもよく、信号は、適応環境センサ、機械制御部90、または、それらの両方によって生成される。
【0033】
本発明を記載および規定するために、本明細書において本開示の主題の特徴をパラメータ、変数、または、他の特性「の関数で」または「に基づいて」記載しているが、排他的に、その特徴が、挙げられたパラメータ、変数、または、特性の関数であるか、または、特性に基づいていると示すことを意図していない。むしろ、本明細書において、挙げられたパラメータ、変数など「の関数で」または「に基づいて」記載した場合には、非限定的であり、特徴は、1つのパラメータ、変数などの関数、または、複数のパラメータ、変数などの関数であってもよいことを意図する。
【0034】
本明細書において、本開示の構成要素を特定の仕方で「構成」または「プログラム」して、特定の特性を具体化するか、または、特定の態様で機能させると記載しているが、意図した用途の記載ではなく構造的記載である。より具体的には、本明細書において、構成要素を「構成」または「プログラム」する態様を記載した場合には、その構成要素の既存の物理的状態を示し、したがって、その構成要素の構造的特徴の明確な記載と捉えるべきである。
【0035】
「好ましくは」、「一般に」、および、「典型的に」のような用語を本明細書で用いた場合には、請求した発明の範囲を限定することも、ある特徴が、請求した発明の構造または機能に、重大、不可欠、または、重要であるとさえ、意味するのに用いていない。むしろ、これらの用語は、単に、本開示の実施形態の特定の態様を特定するか、若しくは、本開示の特定の実施形態において用いるか、または、用いなくてもよい、代わりの、または、更なる特徴を強調することを意図する。
【0036】
本開示の主題を、詳細に、かつ、具体的な実施形態を参照して記載したが、特定の要素が本明細書に添付された各図面に示された場合でさえ、本明細書に開示した様々な詳細事項が、これらの詳細事項が本明細書に記載した様々な実施形態の不可欠な構成要素である要素に関係することを意味すると、捉えるべきではない。更に、添付の請求項に規定された実施形態を含むが、それに限定されない本開示の範囲から逸脱することなく、変更および変形が可能なことが明らかだろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様を、本明細書において、好ましい、または、特に有利であると特定しているが、本開示が、これらの態様に限定される必要はないことを企図している。
【0037】
以下の請求項の1つ以上は、原文の英語で、“wherein”という用語を移行句として用いている。本発明を規定するために、この語句を請求項に導入して、一連の構造特徴物の記載を導入するのに非限定的な移行句として用いており、より一般的に用いられる非限定的なプリアンブルの用語“comprising”と同様に解釈すべである。
【符号の説明】
【0038】
10、10’ 機械シャーシ
20、20’ 連動機構
30、30’ 土砂移動器具
40、40’、45、45’ 適応環境センサ
90、90’ 機械制御部
10、10’ 土砂移動機
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】