特表2019-501586(P2019-501586A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-501586(P2019-501586A)
(43)【公表日】2019年1月17日
(54)【発明の名称】海底光ケーブルの陸上陸揚装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/03 20130101AFI20181214BHJP
   H04B 3/44 20060101ALI20181214BHJP
【FI】
   H04B10/03
   H04B3/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-529011(P2018-529011)
(86)(22)【出願日】2016年12月2日
(85)【翻訳文提出日】2018年8月6日
(86)【国際出願番号】GB2016053802
(87)【国際公開番号】WO2017093753
(87)【国際公開日】20170608
(31)【優先権主張番号】1521459.6
(32)【優先日】2015年12月4日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】518141365
【氏名又は名称】ネプチューン サブシー アイピー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】デスブルスライス ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ヒル アリステア
【テーマコード(参考)】
5K046
5K102
【Fターム(参考)】
5K046AA08
5K046CC02
5K046CC15
5K046CC17
5K046ZZ11
5K046ZZ15
5K102AA34
5K102AB06
5K102AN02
5K102RB12
(57)【要約】
光通信装置(100)は、海底ケーブル(105)と、第1陸揚局及び第2陸揚局(151,152)と、海底ケーブル(105)の一端に接続されている分配器/結合器ユニット(110)と、分配器/結合器ユニット(110)を第1陸揚局及び第2陸揚局(151,152)それぞれに接続する第1脚部及び第2脚部(101,102)と、を備える。海底ケーブル(105)、並びに第1脚部及び第2脚部(101,102)は各々が、光通信を伝送する光ファイバーと、電力を送電する導電線とを備える。分配器/結合器ユニット(110)は、第1脚部及び第2脚部(101,102)の両方において海底ケーブル(105)によって伝送された光信号を複製するように動作可能である。第1脚部(101)及び第2脚部(102)は、分配器/結合器ユニット(110)を介した、海底ケーブル(105)への電力接続を冗長化するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通信装置であって、
海底ケーブルと、第1陸揚局及び第2陸揚局と、前記海底ケーブルの一端に接続されている分配器/結合器ユニットと、前記分配器/結合器ユニットを前記第1陸揚局と前記第2陸揚局とにそれぞれ接続する第1脚部及び第2脚部と、を備え、
前記海底ケーブル、前記第1脚部、及び前記第2脚部は各々が、光通信を伝送する光ファイバーと、電力を送電する導電線とを備え、
前記分配器/結合器ユニットは、前記第1脚部及び前記第2脚部の両方において前記海底ケーブルによって伝送された光信号を複製するように動作可能であり、
前記第1脚部及び前記第2脚部は、前記分配器/結合器ユニットを介した、前記海底ケーブルへの電力接続を冗長化するように構成されている、装置。
【請求項2】
前記分配器/結合器ユニットは、少なくとも水深50m以上、及び/または少なくとも沖合5km以上である水中に設置されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記分配器/結合器は、前記海底ケーブルの各光ファイバーを、前記第1脚部のファイバー及び前記第2脚部のファイバーに接続する連結器を備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
各連結器は3dB連結器である、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記分配器/結合器ユニットは、前記第1脚部の前記導電線か前記第2脚部の前記導電線のいずれかを、前記海底ケーブルの前記導電線に接続するように動作可能なスイッチを備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記分配器/結合器ユニットは、前記第1脚部の前記導電線か前記第2脚部の前記導電線のいずれかを、前記海底ケーブルの前記導電線に接続するように構成されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1陸揚局と前記第2陸揚局との間に、ネットワーク通信リンクをさらに備えている、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1脚部及び/または前記第2脚部の前記導電線に給電する給電機器をさらに備えている、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記給電機器は、前記第1脚部及び前記第2脚部のうちのいずれかにおけるシャント故障を検出するように構成されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記給電機器は、前記第1脚部が前記海底ケーブルに給電している時には、前記第2脚部内でのシャント故障から生じている漏れ電流を検出するように、また、前記第2脚部が前記海底ケーブルに給電している時には、前記第1脚部内でのシャント故障から生じている漏れ電流を検出するように構成されている、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記給電機器が前記海底ケーブルへの給電に前記第1脚部を使用していない時に、前記給電機器は、前記第1脚部に試験電圧を供給して、前記第1脚部内でのシャント故障のせいで前記試験電圧から生じている漏れ電流を検出するように構成され、
前記給電機器が前記海底ケーブルへの給電に前記第2脚部を使用していない時に、前記給電機器は、前記第2脚部に試験電圧を供給して、前記第2脚部内でのシャント故障のせいで前記試験電圧から生じている漏れ電流を検出するように構成されている、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記給電機器は、前記第1脚部及び第2脚部のうちの一方におけるシャント故障に対して、前記第1脚部及び第2脚部のうちのもう一方を介して前記海底ケーブルに給電するように再構成を行うことによって対処するように構成されている、請求項9から11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記分配器/結合器ユニットは、前記第1脚部の前記導電線か前記第2脚部の前記導電線のいずれかを、前記海底ケーブルの前記導電線に接続するように動作可能なスイッチを備えており、再構成とは前記スイッチを動作させることである、請求項12記載の装置。
【請求項14】
再構成とは、前記第1脚部及び前記第2脚部のうちのどちらに前記給電機器が給電するかを変更することである、請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
さらに、前記第1陸揚局に接続されている第1陸上ケーブルと、前記第2陸揚局に接続されている第2陸上ケーブルとを備えており、前記第1陸上ケーブル及び前記第2陸上ケーブルは、少なくとも1つの陸上ネットワークノードへのデータ接続を二重冗長化するように構成されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
3つ以上の陸揚局を備えており、前記海底ケーブルは少なくとも2つの分岐を備えている、前記装置であって、
少なくとも1つの分配器/結合器ユニットが設けられ、
各分配器/結合器ユニットに対して第1脚部及び第2脚部が設けられ、第1脚部及び第2脚部は各々が、光通信を伝送する光ファイバーと電力を送電する導電線とを備え、
各分配器/結合器ユニットは、前記第1脚部及び前記第2脚部のそれぞれにおいて前記ユニットが接続されている前記分岐によって伝送された光信号を複製するように動作可能であり、
前記第1脚部及び前記第2脚部は各々が、それぞれの分配器/結合器ユニットを介した、対応する分岐への電力接続を冗長化するように構成されている、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
先行する請求項のいずれか1項に記載の第1装置と、先行する請求項のいずれか1項に記載の第2装置とを備えている光学系であって、前記第1装置の前記海底ケーブルは前記第2装置の前記海底ケーブルであり、前記第1装置の前記分配器/結合器ユニットは前記海底ケーブルの第1端にあり、前記分配器/結合器装置は前記海底ケーブルの第2端にある、光学系。
【請求項18】
前記第1装置の前記給電機器は正の電圧極性を供給するように構成されていて、前記第2装置の前記給電機器は負の電圧極性を供給するように構成されている、請求項8の対象を含む、請求項14記載の光学系。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、海底光ケーブルの陸揚装置に関する。
海底光ケーブルは、広帯域幅データ接続を長距離にわたって行うために用いられている。海底光ケーブルが電力を供給することが必要であることが多く、例えば、ケーブルに沿って位置する、ケーブルが伝送する光信号を維持させる各中継器に、電力を供給することが必要である。光ケーブルへの給電には、給電機器(power feed equipment:PFE)を用いることができる。電力は直流として供給してもよく、その理由は、より効率的な長距離送電方法だからである。
【0002】
海底ケーブルの導電線の最大電位は、通常は導電線と、隣接する海水との間にある絶縁体の絶電破壊電圧によって制限されている(例えば12kVまたは15kV)。よって、このようなケーブルでの電力操作の許容量は、ケーブルの一端には正電圧が、他端には負電圧が印加されている場合に最大となる。
【0003】
ケーブルの導電線とその周囲の海水との間に導電路を生じさせてしまうシャント故障が起こることがある。このようなシャント故障は、ケーブルの片方の端部で電位を変化させて故障領域の電圧を低下させることによって抑制できることもあるが、これにより、故障領域でのケーブルと周囲の海水との間の電圧差は最小になる。ケーブルの片方の端部で電圧を変化させるというこの要件は、電力操作の最大化を可能にすることとは対立してしまう。電力操作の最大化には、一端には正電圧(好ましくは絶電破壊電圧付近)が、他端には負電圧(好ましくは絶電破壊電圧付近)が供給されている、両端給電が必要である。シャント故障に対応するには、故障領域での電圧を最小にできるように、ケーブルの片方の端部において十分な電圧のヘッドルームが必要になる。
【0004】
これらの対立する要件のせいで、信頼性が高く、かつ電力操作を最大にする(よってシステムのデータ容量の増大を可能にする)対処法を設計することが難しくなってしまう。これらの問題の少なくともいくつかへの解決法が所望されている。
【0005】
本発明の第1態様によれば、海底ケーブルと、第1陸揚局及び第2陸揚局と、海底ケーブルの一端に接続されている分配器/結合器ユニット(splitter/combiner unit:SCU)と、分配器/結合器ユニットを第1陸揚局と第2陸揚局とにそれぞれ接続する第1脚部及び第2脚部と、を備えている、光通信装置が提供されている。海底ケーブル、第1脚部、及び第2脚部は各々が、光通信を伝送する光ファイバーと、電力を送電する導電線とを備えている。分配器/結合器ユニットは、第1脚部及び第2脚部の両方において海底ケーブルによって伝送された光信号を複製するように動作可能である。第1脚部及び第2脚部は、分配器/結合器ユニットを介した、海底ケーブルへの電力接続を冗長化するように構成されている。
【0006】
海底ケーブルは、中継ケーブルであっても分岐ケーブルであってもよい。
分配器/結合器ユニットは、少なくとも水深20m,30m,40m,50m,80m,100m,または200mである水中に設置されていてもよい。分配器/結合器ユニットは、少なくとも沖合1km,2km,5km,10km,または20kmに設置されていてもよい。最も好ましくは、結合器ユニットは、少なくとも水深50m以上(陸からの距離は不問)、及び、最も好ましくは少なくとも沖合5km以上(水深は不問)である水中に設置されていてもよい。
【0007】
分配器/結合器は、海底ケーブルの各光ファイバーを、第1脚部のファイバー及び第2脚部のファイバーに接続する連結器を備えていてもよい。
各連結器は3dB連結器であってもよい。
【0008】
分配器/結合器ユニットは、第1脚部の導電線か第2脚部の導電線のいずれかを、海底ケーブルの導電線に接続するように動作可能なスイッチを備えていてもよい。
分配器/結合器ユニットは、第1脚部の導電線か第2脚部の導電線のいずれかを、海底ケーブルの導電線に接続するように構成されていてもよい。
【0009】
本装置は、第1陸揚局と第2陸揚局との間に、ネットワーク通信リンクをさらに備えていてもよい。
本装置は、第1脚部及び/または第2脚部の導電線に給電する給電機器をさらに備えていてもよい。
【0010】
給電機器は、第1脚部と第2脚部のうちのいずれかにおけるシャント故障を検出するように構成されていてもよい。
給電機器は、第1脚部が海底ケーブルに給電している時には、第2脚部内でのシャント故障から生じている漏れ電流を検出するように、また、第2脚部が海底ケーブルに給電している時には、第1脚部内でのシャント故障から生じている漏れ電流を検出するように構成されていてもよい。
【0011】
給電機器が海底ケーブルへの給電に第1脚部を使用していない時に、給電機器は、第1脚部に試験電圧を供給して、第1脚部内でのシャント故障のせいで試験電圧から生じている漏れ電流を検出するように構成されていてもよい。給電機器が海底ケーブルへの給電に第2脚部を使用していない時に、給電機器は、第2脚部に試験電圧を供給して、第2脚部内でのシャント故障のせいで試験電圧から生じている漏れ電流を検出するように構成されていてもよい。
【0012】
給電機器は、第1脚部及び第2脚部のうちの一方におけるシャント故障に対して、第1脚部及び第2脚部のうちのもう一方を介して海底ケーブルに給電するように再構成を行うことによって対処するように構成されていてもよい。
【0013】
分配器/結合器ユニットは、第1脚部の導電線か第2脚部の導電線のいずれかを、海底ケーブルの導電線に接続するように動作可能なスイッチを備えていてもよく、また、再構成とはスイッチを動作させることであってもよい。
【0014】
再構成とは、第1脚部及び第2脚部のうちのどちらに給電機器が給電するかを変更することであってもよい。
本装置はさらに、第1陸揚局に接続されている第1陸上ケーブルと、第2陸揚局に接続されている第2陸上ケーブルとを備えていてもよい。第1陸上ケーブル及び第2陸上ケーブルは、少なくとも1つの陸上ネットワークノードへのデータ接続を二重冗長化するように構成されていてもよい。
【0015】
第2態様によれば、第1態様に係る装置であって、3つ以上の陸揚局を備えており、海底ケーブルは少なくとも2つの分岐を備えている、装置であり、少なくとも1つの分配器/結合器ユニットが設けられていて、各分配器/結合器ユニットに対して第1脚部及び第2脚部が設けられていて、第1脚部及び第2脚部は各々が、光通信を伝送する光ファイバーと電力を送電する導電線とを備えており、各分配器/結合器ユニットは、第1脚部及び第2脚部のそれぞれにおいてユニットが接続されている分岐によって伝送された光信号を複製するように動作可能であり、第1脚部及び第2脚部は各々が、それぞれの分配器/結合器ユニットを介した、対応する分岐への電力接続を冗長化するように構成されている、装置が提供されている。
【0016】
本装置が複数の分岐を備えている場合、分岐の陸揚点のうちの1つ以上に対して、分配器/結合器ユニットと、二重冗長である各脚部とが設けられていてもよい。
第2態様によれば、第1態様に係る第1装置と、第1態様に係る第2装置とを備えている光学系が提供されている。第1装置の海底ケーブルは第2装置の海底ケーブルである。第1装置の分配器/結合器ユニットは海底ケーブルの第1端にある。分配器/結合器装置は海底ケーブルの第2端にある。
【0017】
第1装置の給電機器は正の電圧極性を供給するように構成されていてもよく、第2装置の給電機器は負の電圧極性を供給するように構成されていてもよい。
当業者であれば理解されるように、通信用ファイバーは、双方向通信を行うために対になっている。このことに対応して、「1本のファイバー(a fibre)」という用語は、本発明のいくつかの実施形態では「1つのファイバー対(a fibre pair)」に置き換えてもよい。
【0018】
分配器/結合器ユニットは、海底ケーブルへ接続する第1ポートと、第1脚部と第2脚部とにそれぞれ接続する第2ポート及び第3ポートとを備えていてもよい。第1ポート、第2ポート、及び第3ポートの各々において、分配器/結合器ユニットに接続されている同数のファイバー(またはファイバー対)が存在していてもよい。
【0019】
本装置は、いかなる時間においても、第1ポート、第2ポート、及び第3ポートのうちの2つのみに給電されているように構成されていてもよい。
次に、本発明の各実施形態を添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、ある実施形態に係る光学系の概略図である。
図2図2は、ある実施形態に係る迂回ネットワークを有する光学系の概略図である。
図3図3は、ある実施形態に係る、1つのファイバー対における連結器/分配器の構造の概略図である。
図4図4は、ある実施形態に従って切り替えを行う給電機器を有するシステムの概略図であり、冗長である2つの脚部のうちの一方のみに給電していることを示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照すると、光学装置100が示されている。光学装置100は、ケーブル領域170を備えており、ケーブル領域170は海底ケーブル105を備えている。海底ケーブルは、通信信号を伝送する複数の光ファイバーを有しているケーブルを備えている。ケーブル105に沿って、中継器120が間隔をあけて設けられており、光ファイバー内で信号の出力と品質を維持している。
【0022】
装置100はさらに、ケーブル105の第1端と第2端とに、2つの終端領域160を備えている。2つの終端領域160に備わっている一連の機能は同じで、同等に構成されている。各終端領域160は、分配器/結合器110と、第1脚部101及び第2脚部102と、第1陸揚局151及び第2陸揚局152とを備えている。第1陸揚局151と第2陸揚局152との間には通信リンクが設けられていてもよく、これにより、一方の陸揚局で通信を受信する際のいかなる問題も、もう一方の陸揚局に通信される。通信リンクは、(ケーブルからの)通信を、1つの陸揚局から別の陸揚局へと迂回させるのに適している場合もある。
【0023】
分配器/結合器110は、ケーブル105を、第1脚部101及び第2脚部102の各々に接続している。第1脚部101は分配器/結合器110を第1陸揚局151に、第2脚部102は分配器/結合器110を第2陸揚局152に、それぞれ接続している。上陸地点を130で示している。
【0024】
第1脚部101及び第2脚部102は各々が、複数の光ファイバーを有するケーブルを備えていて、分配器/結合器110は、ケーブル105の各光ファイバーからの光信号を、第1脚部101及び第2脚部102の各々内にある対応する光ファイバーに連結するように構成されている。よって、第1脚部101及び第2脚部102は、海底ケーブル105から陸揚終端点151,152への光通信路を二重冗長化している。
【0025】
中継器120は、適宜、例えば第1脚部101及び/または第2脚部102が長い場合に、第1脚部101及び/または第2脚部102内に設けられていてもよい。
さらに、第1脚部101及び第2脚部102は各々が、ケーブル105に給電するのに適した導電線を備えている。給電機器140は、第1脚部101と第2脚部102のうちのいずれかを介して、電力をケーブル105に供給するために設けられている。よって、第1脚部101及び第2脚部102は、海底ケーブル105への給電を二重冗長化している。
【0026】
分配器/結合器110は、比較的深海域、及び/または比較的離れた沖合(例えば水深50m以上、及び/または沖合8km以上)に設置されていてもよい。分配器/結合器110は、トロール船やアンカーとの衝突の可能性のある場所から離れた位置に設置されていてもよい。これにより、分配器/結合器110及びケーブル105のうちのいずれかが損傷する可能性は最小になるであろう。統計では、海底通信ケーブルの損傷の80%が浅海域で(例えば漁労やアンカーの引きずりの結果として)発生していることが判明している。
【0027】
本発明の各実施形態により冗長化されているので、万一、第1脚部101及び第2脚部101,102のどちらかに故障が発生した場合、海底ケーブル105はもう一方の脚部101,102から受電し続けており、陸側への通信のいかなる中断も最小限となる。
【0028】
海底通信システムは、利用可能な電力によって制約を受けることが多い。したがって、海底通信システムの容量は、利用可能な電力に比例し得る。導電線によって送出される電力は、導電線を通る電流を駆動する電位差の2乗に比例する。上述したように、最大電圧(接地に対する)は、導電線を取り囲む絶縁体の絶電破壊電圧によって印加される。したがって、海底通信システムの分野では、海底ケーブルを流れる電流を、一端には(接地に対する)正電圧を他端には(接地に対する)負電圧を与えることによって供給することは極めて効果的である。これを「両端給電」と呼ぶこともできる。
【0029】
本発明の各実施形態により、シャント故障に対処するシステムも実現しながら、両端給電が可能になる。
万一、第1脚部101及び第2脚部102のうちのいずれかでシャント故障が発生した(その結果、導電線と海水との間で電流短絡が起こった)場合、本システムは、もう一方の脚部101,102を用いて給電するように再構成を行うことができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1脚部101は、正常動作(故障前)時にケーブル105に(分配器/結合器110を介して)給電する主脚部であってもよい。第1脚部101に故障が起こった場合には、給電機器140は故障を検出してもよい。給電機器140は、第1脚部101に印加される給電電圧を除去または低下させ、その代わりに第2脚部102を介して給電するように構成されていてもよい。このような構造において、給電機器140は、いかなる時間においても第1脚部101及び第2脚部102のうちの一方のみが確実に送電するように構成されていてもよい。この手法によって、第1脚部101及び第2脚部102の導電線が、ケーブル105の導電線と一定の電気的接続があることが可能になる。このような一定の電気的接続により、分配器/結合器110内に高電圧の開閉器を有する必要がなくなり、信頼性の向上やコスト削減につながる。さらに、3つの電力ケーブルの間にある接合部では問題となり得る、分配器/結合器での水素発生の危険性が、(いかなる時間においても一方の脚部のみに給電することのみによって)かなり低減され得る。
【0031】
給電機器140は、非通電脚部内で故障を検出するように構成されていてもよい。給電機器140は、非通電脚部に試験電圧を供給するように構成されていてもよい。試験電圧は、ケーブルに給電するのに必要な電圧よりも低くてもよく、例えば1000V,500V,400V,200V,あるいは100V,50V,20V,または10V未満であってもよい。給電機器140は、非通電脚部内でのシャント破損に起因する漏れ電流を検出するように構成されていてもよい。これは有益であり得るが、その理由は、このような破損は、(例えば通電している脚部内での破損のせいで)非通電脚部が必要にならない限り検出されないからである。
【0032】
図4を参照して、いくつかの実施形態では、分配器/結合器ユニット110は、第1脚部101及び第2脚部102のうちのどちらをケーブル105に電気的に接続するかを制御する電気スイッチ115を備えていてもよい。図4の例では、第1脚部101は第1中継器121を、第2脚部102は第2中継器122を、それぞれ備えている。給電機器は、第1脚部101及び第2脚部102のそれぞれに関連している給電機器ユニット140を備えている。
【0033】
本例において、第1脚部101は主脚部であってもよい。つまり、スイッチ115は正常時は図4に示されている位置にあってもよい。給電機器によって第1脚部101内で故障が検出されたら、給電機器ユニット140は、スイッチ115を切り替えてケーブル101に第2脚部102を接続するのと同時に、第1脚部101への給電を停止して、第2脚部102への給電を開始してもよい。
【0034】
ケーブル105は、ケーブル101への電気供給によって電源供給される第1中継器123と第2中継器124とを備えていてもよい(及び、図示されていない、さらなる中継器を備えていてもよい)。
【0035】
図3は、1対のケーブル側光ファイバー201によって第1脚部202及び第2脚部203の各光ファイバー内へと伝送される光信号を結合するのに適した光連結器の構成を示している。第1の3dB連結器211は、第1脚部及び第2脚部からケーブルに向かって伝播する光信号を連結するような構造になっていて、第2の3dB連結器は、ケーブルから第1脚部及び第2脚部に向かって伝播する光信号を分配するような構造になっている。技術的に周知されているように、3dB連結器は、入力ポートからの電力を2つの出力ポートの間で等しく分配するもの、もしくは、2つの入力ポートから等しく供給された電力を出力ポートで結合するものである。
【0036】
連結器を用いた構成によって、分配器/結合器内で光の切り替えを行う必要がなくなり、コスト削減や信頼性の向上につながる。
この二重冗長化された通信の構造設計は、図2に示されているように、陸上のネットワークノードを含むように拡張されていてもよい。この例示的実施形態は図1の実施形態の一端を含んでおり、さらに陸上ノード156,157を備えている。二重冗長データ接続は、第1脚部101または第2脚部102を介して各陸上ノード156,157まで設けられていてもよく、これにより、陸揚局151,152と陸上ノード156,157との間の通信リンク内での故障が起こっても、通信の中断をもたらすことがない。例えば、第1脚部101に付随する第1陸上ノード156と陸揚局151との間のリンクが破損した場合、第1陸上ノード156は、第2陸上ノード157へのネットワーク接続を介して、通信を受信し続けてもよい。
【0037】
本発明の各実施形態により、単一点でのシャント破損がネットワーク全体での障害を招く可能性を同時に生じさせることのない両端給電を行いやすくすることによって、海底ネットワーク内の容量の増大に役立っている。浅海域/陸上近辺での単一点障害は、本発明の各実施形態により、かなりの通信中断を許容することができる。海底ネットワークの容量はシステム両端への給電によって印加される電位差の2乗とともに増大するので、各実施形態では、本来ならば信頼性が優先される状況下で両端給電を行いやすくすることで、ネットワーク容量を4倍にすることが可能になる。
【0038】
いくつかの実施形態では、本システムは3つ以上の陸揚局を備えていてもよい。例えば、1つの海底ケーブルの少なくとも数本の光ファイバーを、複数個ある別々の分岐を介して異なる陸揚局で陸揚げする、少なくとも1つの分岐ユニットを備えていてもよい。少なくとも1つの分配器/結合器ユニットが設けられていてもよい。各分配器/結合器ユニットに対して第1脚部及び第2脚部が設けられていてもよい。第1脚部及び第2脚部は各々が、光通信を伝送する光ファイバーと、電力を送電する導電線とを備えていてもよい。各分配器/結合器ユニットは、第1脚部及び第2脚部のそれぞれにおいてユニットが接続されている分岐によって伝送された光信号を複製するように動作可能であってもよい。第1脚部及び第2脚部は各々が、それぞれの分配器/結合器ユニットを介した、対応する分岐への電力接続を冗長化するように構成されていてもよい。
【0039】
多数の例示的実施形態を説明してきたが、添付請求項の範囲の範疇にあることが意図されている、多数の変形例や修正例が明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】