【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、マルチモーダル療法に関連する組成物および方法を含む。この療法は、例えば、がんを治療するために有用である。本明細書に記載のマルチモーダル治療は、例えば、がんを有する対象などのそれを必要とする対象に治療効果を提供するために、協調様式で機能する複数の薬剤を提供および/または投与する。一般に、本明細書に記載のマルチモーダル療法は、協調様式(例えば、薬剤相加的、薬剤相乗的、乗法的、独立機能、局在ベース、近接依存性、スキャフォールドベース、多量体ベース、または代償性)で機能する、複数の作用剤(例えば、ポリペプチド)(例えば、発現しまたはそれを含有する)を含む、例えば、除核赤血球などの遺伝子操作赤血球製剤の対象への投与を含む。
【0005】
いくつかの態様では、本開示は、例えば、第1の外因性ポリペプチド、第2の外因性ポリペプチド、および第3の外因性ポリペプチドなどの複数のポリペプチド(例えば、外因性ポリペプチド)などの複数の薬剤を含む、例えば、網状赤血球などの除核赤血球を提供する。
【0006】
いくつかの態様では、本開示は、複数の外因性ポリペプチドを含む、例えば、網状赤血球などの除核赤血球を提供し、複数の第1および第2の外因性ポリペプチドは、薬剤相加的、薬剤相乗的、乗法的、独立機能、局在ベース、近接依存性、スキャフォールドベース、多量体ベース、または代償性の活性を有する。
【0007】
いくつかの態様では、本開示は、第1の外因性ポリペプチドおよび第2の外因性ポリペプチドを含む、例えば、網状赤血球などの除核赤血球を提供し、
a)第1および第2の外因性ポリペプチドは同一標的に作用し、任意選択的に、標的は細胞表面受容体および/または内因性ヒトタンパク質であり;
b)第1の外因性ポリペプチドは第1の内因性ヒトタンパク質に、第2の外因性ポリペプチドは第2の内因性ヒト標的タンパク質に、例えば、500、200、100、50、20、10、5、2、または1nM未満のKdで結合し;
c)第1の外因性ポリペプチドは第1の標的に作用し(例えば、結合し)、第2の外因性ポリペプチドは第2の標的に作用し(例えば、結合し)、第1および第2の標的は同一生物学的経路の構成要素であり、任意選択的に、標的は、細胞表面受容体、内因性ヒトタンパク質、またはその双方であり;
d)第1の外因性ポリペプチドは第1のアポトーシス促進ポリペプチドを含み、第2の外因性ポリペプチドは第2のアポトーシス促進ポリペプチド、例えば、TRAIL受容体リガンド、例えば、TRAILポリペプチドを含み;
e)第1および第2の外因性ポリペプチドは互いに近接しており、少なくとも1、2、5、10、30、または60秒間;1、2、5、10、30、または60分間、または1、2、3、6、12、または14時間にわたり、例えば、10、7、5、4、3、2、1、0.5、0.2、または0.1nm未満の間隔であり;
f)第1および第2の外因性ポリペプチドは、互いに500、200、100、50、20、10、5、2、または1nM未満のKdを有し;
g)第1の外因性ポリペプチドは、例えば、MHCクラスII分子などのMHC分子である抗原提示ポリペプチドを含み、第2の外因性ポリペプチドは、抗原、例えば、がん抗原を含み;
h)第1および第2の外因性ポリペプチドは異なる標的に作用し、任意選択的に、標的の少なくとも1つは、細胞表面受容体および/または内因性ヒトタンパク質であり、例えば、がん細胞などの第1の細胞型に結合する第1の外因性ポリペプチド、および例えば、T細胞などの免疫エフェクター細胞などの第2の細胞型に結合する第2の外因性ポリペプチドであり;
i)第1の外因性ポリペプチドおよび第2の外因性ポリペプチドは、重量基準またはコピー数基準で、約1:1、約2:1〜1:2、約5:1〜1:5、約10:1〜1:10、約20:1〜1:20、約50:1〜1:50、約100:1〜1:100の存在比を有し;
j)第1の外因性ポリペプチドおよび第2の外因性ポリペプチドは、それぞれ、約1:1、約2:1〜1:2、約5:1〜1:5、約10:1〜1:10、約20:1〜1:20、約50:1〜1:50、約100:1〜1:100の比率で、第1の標的および第2の標的に対するKdを有し;
k)第1の外因性ポリペプチドは第1の標的に対する第1の活性(例えば、結合)を有し、第2の外因性ポリペプチドは第1の標的に対する第2の活性(例えば、結合)を有し、例えば、第1および第2の外因性ポリペプチドは単一標的に結合し;
l)第1の外因性ポリペプチドは第1の標的に作用し(例えば、結合し)、第2の外因性ポリペプチドは第2の標的に作用し(例えば、結合し)、第1および第2の標的は同一経路の部分であり、任意選択的に、第1の外因性ポリペプチドは第1の標的に作用し、同時に第2の外因性ポリペプチドは第2の標的に作用し;
m)第1の外因性ポリペプチドは第1の標的に作用し(例えば、結合し)、第2の外因性ポリペプチドは第2の標的に作用し(例えば、結合し)、第1および第2の標的は異なる経路の部分であり、任意選択的に、第1および第2の経路はどちらも所与の細胞性応答を促進するように作用し;
n)第1の外因性ポリペプチドは、除核赤血球を例えば、ヒト細胞などの所望の部位に局在させ、第2の外因性ポリペプチドは、例えば、T細胞活性化活性または抗原提示活性などの免疫調節活性などの治療活性を有し(例えば、がんワクチン);
o)第1の外因性ポリペプチドは第1の標的、例えば、第1の細胞、例えば、がん細胞に結合し、第2の外因性ポリペプチドは第2の標的、例えば、第2の細胞、例えば、第2の細胞型、例えば、免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞に結合し;
p)第1の外因性ポリペプチドおよび第2の外因性ポリペプチドは、非ヒトタンパク質であり;
q)第1の外因性ポリペプチドおよび第2の外因性ポリペプチドはどちらも、例えば、生合成酵素などの酵素であり;
r)第1の外因性ポリペプチドは中間分子の形成を促進し、第2の外因性ポリペプチドは中間分子に作用し;または
s)第1の外因性ポリペプチドおよび第2の外因性ポリペプチドは、経路の連続的段階に作用する。
【0008】
本明細書の態様のいずれでも、例えば、上記の態様は、本明細書の1つまたは複数の実施形態、例えば、以下の実施形態によって特徴付けられ得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、外因性ポリペプチドは相乗的活性を有する。いくつかの実施形態では、外因性ポリペプチドは相加的活性を有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、外因性ポリペプチドは近接依存性活性を有する。標的部分または部分群との相互作用の前、最中または後において、複数のポリペプチド間の近接性は、生体内または生体外で、そのような近接性の非存在下では見られない特性または結果を与えてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、標的細胞(例えば、T細胞などの免疫エフェクター細胞)上の例えば、第1の標的細胞ポリペプチドなどの第1の標的部分と相互作用し、例えば、結合し、第2の外因性ポリペプチドは、標的細胞上の例えば、第2の標的細胞ポリペプチドなどの第2の標的部分と相互作用する(例えば、第1および第2の標的細胞ポリペプチドの結合が、標的細胞の生物学的特性を変化させる)。一実施形態では、第1および第2の標的は、標的細胞上の多量体複合体のサブユニットである。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、赤血球と標的細胞との融合を促進し、第2の外因性ポリペプチドは、表1、表2、または表3のいずれかのポリペプチドである(例えば、表1、表2、表3、または表4のいずれかのヒトポリペプチド、例えば、ヒト野生型ポリペプチドのアミノ酸配列を有するポリペプチド)。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1および第2の外因性ポリペプチドは、相互に作用し、例えば、第1のものは、例えば、切断またはリン酸化によって第2のものを修飾し、または第1および第2のものは、二量体もしくは多量体タンパク質を形成する。
【0014】
いくつかの実施形態では、除核赤血球は、3、4、5、6、7、8、9、または10の異なる外因性ポリペプチドを含む。一実施形態では、異なる外因性ポリペプチドの複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10)または全部は、例えば、互いに少なくとも40、50、60、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、または99.5%の配列同一性など、互いに予め選択された相同性レベルを有する。一実施形態では、異なる外因性ポリペプチドの複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10)または全部は、例えば、参照配列(ポリペプチド配列全体または例えば、予め選択されたドメインなどのその一部を含む参照配列)との少なくとも40、50、60、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、99.5%、または100%の配列同一性など、参照配列と予め選択された相同性レベルを有し、例えば、異なる外因性ポリペプチドの複数または全部は、抗体または抗体分子である。いくつかの実施形態では、参照配列は、抗体配列またはその断片である。いくつかの実施形態では、参照配列は、重鎖定常領域またはその一部、軽鎖定常領域またはその断片、重鎖可変領域またはその一部、軽鎖可変領域またはその断片、または前述の任意の組み合わせを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、除核赤血球は、少なくとも2つであるが、5、6、7、8、9、または10以下の異なる外因性ポリペプチド、例えば、除核赤血球によって保持されない1つまたは複数の外因性核酸によってコードされる外因性ポリペプチドを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、外因性ポリペプチドは、除核赤血球によって保持されない1つまたは複数の外因性核酸によってコードされる。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1、第2、および任意選択的に第3の外因性ポリペプチドの1つまたは複数(例えば、2つまたは3つ)は、膜貫通ポリペプチドまたは表面アンカー型ポリペプチドである。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは標的細胞上の部分と相互作用し、例えば、結合し、第2の外因性ポリペプチドは、標的細胞の特性を変化させ、例えば、標的細胞を、殺滅または活性化する。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の外因性ポリペプチドおよび第2の外因性ポリペプチドは、重量基準またはコピー数基準で、約1:1、約2:1〜1:2、約5:1〜1:5、約10:1〜1:10、約20:1〜1:20、約50:1〜1:50、約100:1〜1:100の存在比を有する。いくつかの実施形態では、第1および第2のポリペプチドは、どちらも化学量論的作用様式を有するか、またはどちらも触媒作用機序を有し、どちらも例えば、約1:1または約2:1〜1:2などの類似存在量で存在する。いくつかの実施形態では、重量またはコピー数基準で、第1の外因性ポリペプチドは、第2の外因性ポリペプチドより、少なくとも約10%、20%、30%、50%、または2、3、4、5、10、20、50、または100倍豊富である(任意選択的に、10倍または100倍に至る)。いくつかの実施形態では、重量またはコピー数基準で、第2の外因性ポリペプチドは、第1の外因性ポリペプチドより、少なくとも約10%、20%、30%、50%、または2、3、4、5、10、20、50、または100倍豊富である(任意選択的に、10倍または100倍に至る)。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは化学量論的作用機序を有し、第2のポリペプチドは触媒作用機序を有し、第1のポリペプチドは第2のポリペプチドよりも豊富である。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドは化学量論的作用機序を有し、第1のポリペプチドは触媒作用機序を有し、第2のポリペプチドは第1のポリペプチドよりも豊富である。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、標的化部分を含む
【0021】
いくつかの実施形態では、除核赤血球は、以下の特徴の1つ以上を有する:
a)0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、または0.5%のNaClでの50%未満の細胞溶解の浸透圧脆性;
b)約10〜200fLの細胞容積、または約1ミクロン〜約20ミクロン、約2ミクロン〜約20ミクロン、約3ミクロン〜約20ミクロン、約4ミクロン〜約20ミクロン、約5ミクロン〜約20ミクロン、約6ミクロンおよび〜約20ミクロン、約5ミクロン〜約15ミクロン、または約10ミクロン〜約30ミクロンの細胞の直径;
c)1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%または10%を超える胎児ヘモグロビン;または少なくとも約20、25、または30pg/細胞のヘモグロビン;または
d)アネキシンV染色による測定で、30%、25%、20%、15%、10%、または5%未満の細胞表面側のホスファチジルセリン含有量。
【0022】
いくつかの実施形態では、複数の外因性ポリペプチドの少なくとも1つ、例えば、全部がグリコシル化される。いくつかの実施形態では、複数の外因性ポリペプチドの少なくとも1つ、例えば、全部がリン酸化される。
【0023】
いくつかの実施形態では、除核赤血球は網状赤血球である。
【0024】
いくつかの実施形態では、外因性ポリペプチドまたはポリペプチド群は、LPXTG(配列番号17)などのソルターゼ転写(すなわち、ソルターゼ反応によって生じ得る配列)を欠く。
【0025】
いくつかの態様では、本開示は、例えば、本明細書に記載の網状赤血球などの除核赤血球を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、本明細書に記載の疾患または病状を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、疾患または状態は、がん、例えば、本明細書に記載されるがんである。
【0026】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の網赤血球などの赤核赤血球を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、例えば、膜貫通受容体などの第1および第2の細胞表面部分を接近させる方法を提供する。
【0027】
いくつかの態様では、本開示は、例えば、本明細書に記載の網状赤血球などの赤核細胞を提供するステップを含む、複数の近接依存性分子を送達、提示、または発現させる方法を提供する。
【0028】
いくつかの態様では、本開示は、赤血球前駆体と、外因性ポリペプチドをコードする1つまたは複数の核酸とを接触させて、核除去ができる条件に細胞を置くことを提供する、例えば、本明細書に記載の網状赤血球などの除核赤血球を生産する方法を提供する。
【0029】
いくつかの態様では、本開示は、例えば、少なくとも10
8、10
9、10
10、10
11、または10
12個で、例えば、本明細書に記載の網状赤血球などの複数の除核赤血球を含む、例えば、医薬品などの調製品を提供する。
【0030】
いくつかの態様では、本開示は、例えば、網状赤血球などの除核赤血球である遺伝子操作された赤血球(RBC)と、例えば、生体外または生体内複合体である標的細胞との細胞複合体を提供し、複合体形成は、外因性ポリペプチドの1つによって媒介される。いくつかの実施形態では、細胞複合体は、少なくとも2、3、4、5、10、20、50、または100個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞複合体は、遺伝子操作されたRBCに加えて、例えば、がん細胞および免疫エフェクター細胞などの少なくとも2つの細胞型を含む。
【0031】
いくつかの態様では、本開示は、例えば、網状赤血球などの除核赤血球などの遺伝子操作されたRBCと、例えば、本明細書に記載のマルチモーダル対をコードする、1つまたは複数の核酸分子などの核酸とを含む、反応混合物を立証する。いくつかの実施形態では、核酸は、赤血球中で活性である少なくとも1つのプロモーターを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、本明細書に記載の(例えば、表1、表2、および表3の)少なくとも2つのタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、核酸は、第3の外因性ポリペプチドをコードする。
【0032】
いくつかの態様では、本開示は、標的細胞または対象に関する情報を提供する、例えば、受信するステップと、その情報に応答して複数の外因性ポリペプチドを選択するステップと、外因性ポリペプチドをコードする核酸をRBCまたはRBC前駆体に導入するステップとを含む、本明細書に記載の遺伝子操作されたRBC(例えば、網状赤血球などの赤血球)を生産する方法を含む。
【0033】
いくつかの局面では、本発明は、候補赤血球系細胞、例えば、RBCを提供するステップと、例えば、外因性ポリペプチドのマルチモーダル対などの複数の外因性ポリペプチドをコードする核酸が、存在するかどうかを判定するステップとを含む、遺伝子操作された赤血球系細胞、例えば、RBC(例えば、網状赤血球などの除核RBC)を評価する方法を提供する。
【0034】
いくつかの態様では、本発明は、例えば、RBCなどの候補赤血球系細胞を提供するステップと、例えば、タンパク質検出によって、例えば、外因性ポリペプチドのマルチモーダル対などの複数の外因性ポリペプチドが存在するかどうかを判定するステップとを含んでなる、例えば、RBC(例えば、網状赤血球などの除核RBC)などの遺伝子操作された赤血球系細胞を評価する方法を含んでなる。
【0035】
本開示は、いくつかの態様では、
標的と相互作用する第1の外因性ポリペプチドと、
標的を修飾する第2の外因性ポリペプチドと
を含む除核赤血球系細胞を提供し、
(a)第2の外因性ポリペプチドは、例えば、IdeSポリペプチドなどであり、例えば、ヒンジ領域で、CH2領域で、またはヒンジとCH2領域との間で抗体を切断する部分を含み;
(b)第2の外因性ポリペプチドは、標的上の部位を修飾し、例えば、それに特異的であり、例えば、それに結合し、(例えば、特異的に)結合して修飾し、例えば、共有結合的に修飾し、例えば、部分を切断または除去しまたはそれを標的に付着させる、酵素(例えば、プロテアーゼ)を含み、;
(c)第2の外因性ポリペプチドは、ポリペプチド、例えば、酵素、例えば、標的の二次、三次、または四次構造を修飾するプロテアーゼを含み、いくつかの実施形態では、標的が、例えば、第1の外因性ポリペプチドまたは第1の外因性ポリペプチド以外の分子などの別の分子と相互作用する能力を変化させ、例えば、減少または増加させ、任意選択的に、標的は抗体または補体因子を含み;
(d)第2の外因性ポリペプチドは、例えば、ポリペプチドなどの標的を、例えば、第1の基質に結合する第1の標的ドメインおよび第2の基質に結合する第2の標的ドメインなどの、第1の標的ドメインおよび第2の標的ドメインの間で切断する、酵素(例えば、プロテアーゼ)などのポリペプチドを含み;
(e)標的は、ポリペプチド;炭水化物(例えば、グリカン)、脂質(例えば、リン脂質)、または核酸(例えば、DNAまたはRNA)であり;
(f)第1の外因性ポリペプチドは、例えば、抗体などの標的と結合するが切断せず、第2の外因性ポリペプチドは、例えば、抗体中の共有結合などの共有結合などの結合を切断し;
(g)標的は抗体(例えば、抗薬物抗体)を含み、第1の外因性ポリペプチドは抗体標的の可変領域に結合し;
(h)標的は抗体(例えば、抗薬物抗体)を含み、第1の外因性ポリペプチドは抗体標的の定常領域に結合し;
(i)第1の外因性ポリペプチドは、約1〜2pM、2〜5pM、5〜10pM、10〜20pM、20〜50pM、50〜100pM、100〜200pM、200〜500pM、500〜1000pM、1〜2nM、2〜5nM、5〜10nM、10〜20nM、20〜50nM、50〜100nM、100〜200nM、200〜500nM、500〜1000nM、1〜2μM、2〜5μM、5〜10μM、10〜20μM、20〜50μM、または50〜100μMの標的親和性を有し;
(j)第2の外因性ポリペプチドは、約10
−1〜10
−7M、10
−1〜10
−2M、10
−2〜10
−3M、10
−3〜10
−4M、10
−4〜10
−5M、10
−5〜10
−6M、または10
−6〜10
−7MのK
Mを有し;
(k)標的に対する第2の外因性ポリペプチドのK
M(M単位で測定)で除した、標的に対する第1の外因性ポリペプチドのK
d(M単位で測定)の比率は、約1×10
−9〜2×10
−9、2×10
−9〜5×10
−9、5×10
−9〜1×10
−8、1×10
−8〜2×10
−8、2×10
−8〜5×10
−8、5×10
−8〜1×10
−7、1×10
−7〜2×10
−7、2×10
−7〜5×10
−7、5×10
−7〜1×10
−6、1×10
−6〜2×10
−6、2×10
−6〜5×10
−6、5×10
−6〜1×10
−5、1×10
−5〜2×10
−5、2×10
−5〜5×10
−5、5×10
−5〜1×10
−4、1×10
−4〜2×10
−4、2×10
−4〜5×10
−4、5×10
−4〜1×10
−3、1×10
−3〜2×10
−3、2×10
−3〜5×10
−3、5×10
−3〜1×10
−2、1×10
−2〜2×10
−2、2×10
−2〜5×10
−2、5×10
−2〜1×10
−1、1×10
−1〜2×10
−1、2×10
−1〜5×10
−1、または5×10
−1〜1であり;
(l)標的を修飾する第2の外因性ポリペプチドの観察された反応速度は、その他の点では類似した反応条件下において、類似しているが第1の外因性ポリペプチドを欠く除核細胞の反応速度より高く;
(m)赤血球系細胞上の第2の外因性ポリペプチドの平均数に対する、赤血球系細胞上の第1の外因性ポリペプチドの平均数の比率は、約50:1、20:1、10:1、8:1、6:1、4:1、2:1、1:1、1:2、1:4、1:6、1:8、1:10、1:20、または1:50であり;
(n)標的に対する第1の外因性ポリペプチドの親和性は、修飾された(例えば、切断された)標的に対する第1の外因性ポリペプチドの親和性より高く;
(o)除核赤血球系細胞の治療有効用量は、投与時における対象の末梢血中の標的の量に対する化学量論比より少なく(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%、または99.99%少なく);
(p)有効用量中の除核赤血球系細胞数は、例えば、投与時における対象の末梢血中の標的分子などの標的数より少なく(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%、または99.99%少なく);
(q)第2の外因性ポリペプチドの数は、例えば、除核赤血球系細胞の有効用量または生体外有効量などの予め選択された除核赤血球系細胞の量で構成され、標的に対する基準値より少なく(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%、または99.99%少なく)、例えば、投与時における対象の末梢血中の標的の数より少なく;
(r)第1の外因性ポリペプチドの数は、例えば、除核赤血球系細胞の有効用量または生体外有効量などの予め選択された除核赤血球系細胞の量で構成され、標的に対する基準値より少なく(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%、または99.99%少なく)、例えば、投与時における対象の末梢血中の標的の数より少なく;
(s)第1の外因性ポリペプチドの数および第2の外因性ポリペプチドの数は、例えば、有効用量などの予め選択された除核赤血球系細胞の量で構成され、除核赤血球系細胞は、それぞれ標的に対する基準値より少なく、例えば、投与時における対象の末梢血中の標的の数より少なく;
(t)第2の外因性ポリペプチドは、少なくとも10
−1M、10
−2M、10
−3M、10
−4M、10
−5M、10
−6M、または10
−7MのK
Mで標的を修飾し(例えば、切断し;
(u)第2の外因性ポリペプチドは、シャペロンを含み;
(v)第1の外因性ポリペプチドは表面露出部分を含み、第2の外因性ポリペプチドは表面露出部分を含み;または
(w)除核赤血球系細胞の有効量は、第2の外因性ポリペプチドを欠くその他の点では類似した除核赤血球系細胞の有効量より少ない(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%、または99.99%少ない)
の1つまたは複数である。
【0036】
いくつかの実施形態では、(b)第2の外因性ポリペプチドは、標的上の部位を修飾し、例えば、それに特異的であり、例えば、それに結合し、(例えば、特異的に)結合して修飾し、例えば、共有結合的に修飾し、例えば、部分を切断または除去しまたはそれを標的に付着させる、酵素(例えば、プロテアーゼ)を含み、標的は任意選択的に、抗体、例えば、抗薬物抗体である。いくつかの実施形態では、修飾は、例えば、第1の外因性ポリペプチドまたは第1の外因性ポリペプチド以外の分子である別の分子と相互作用する標的の能力を変化させ、例えば、増大または低下させる。
【0037】
いくつかの実施形態では、(d)第2の外因性ポリペプチドは、例えば、ポリペプチドなどの標的を、例えば、第1の基質に結合する第1の標的ドメインおよび第2の基質に結合する第2の標的ドメインなどの、第1の標的ドメインおよび第2の標的ドメインの間で切断する、例えば、酵素(例えば、プロテアーゼ)などのポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、第1の標的ドメインは、第2の標的ドメインから放出される。いくつかの実施形態では、切断は、第1の基質に対する第1の標的ドメインの親和性、および第2の基質に対する第2の標的ドメインの片方または双方を変化させる。一実施形態では、標的は抗体を含み、第1の標的ドメインは1つ以上のCDRを含み、第2の標的ドメインは例えば、Fc領域である定常領域の一部を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、(a)〜(w)の少なくとも2つ(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(a)および(e)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(a)および(i)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(a)および(j)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(a)および(m)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(a)および(q)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(a)および(r)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(a)および(s)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(e)および(i)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(e)および(j)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(e)および(m)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(e)および(q)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(e)および(r)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(e)および(s)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(i)および(j)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(i)および(m)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(i)および(q)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(i)および(r)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(i)および(s)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(j)および(m)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(j)および(q)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(j)および(r)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(j)および(s)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(m)および(q)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(m)および(r)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(m)および(s)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(q)および(r)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(q)および(s)が存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも(r)および(s)が存在する。
【0039】
いくつかの実施形態では、少なくとも、
(a)および(b)、(a)および(c)、(a)および(d)、(a)および(e)、(a)および(f)、(a)および(g)、(a)および(h)、(a)および(i)、(a)および(j)、(a)および(k)、(a)および(l)、(a)および(m)、(a)および(n)、(a)および(o)、(a)および(p)、(a)および(q)、(a)および(r)、(a)および(s)、(a)および(t)、(a)および(u)、(a)および(v)、(a)および(w)、
(b)および(c)、(b)および(d)、(b)および(e)、(b)および(f)、(b)および(g)、(b)および(h)、(b)および(i)、(b)および(j)、(b)および(k)、(b)および(l)、(b)および(m)、(b)および(n)、(b)および(o)、(b)および(p)、(b)および(q)、(b)および(r)、(b)および(s)、(b)および(t)、(b)および(u)、(b)および(v)、(b)および(w)、
(c)および(d)、(c)および(e)、(c)および(f)、(c)および(g)、(c)および(h)、(c)および(i)、(c)および(j)、(c)および(k)、(c)および(l)、(c)および(m)、(c)および(n)、(c)および(o)、(c)および(p)、(c)および(q)、(c)および(r)、(c)および(s)、(c)および(t)、(c)および(u)、(c)および(v)、(c)および(w)、
(d)および(e)、(d)および(f)、(d)および(g)、(d)および(h)、(d)および(i)、(d)および(j)、(d)および(k)、(d)および(l)、(d)および(m)、(d)および(n)、(d)および(o)、(d)および(p)、(d)および(q)、(d)および(r)、(d)および(s)、(d)および(t)、(d)および(u)、(d)および(v)、(d)および(w)、
(e)および(f)、(e)および(g)、(e)および(h)、(e)および(i)、(e)および(j)、(e)および(k)、(e)および(l)、(e)および(m)、(e)および(n)、(e)および(o)、(e)および(p)、(e)および(q)、(e)および(r)、(e)および(s)、(e)および(t)、(e)および(u)、(e)および(v)、(e)および(w)、
(f)および(g)、(f)および(h)、(f)および(i)、(f)および(j)、(f)および(k)、(f)および(l)、(f)および(m)、(f)および(n)、(f)および(o)、(f)および(p)、(f)および(q)、(f)および(r)、(f)および(s)、(f)および(t)、(f)および(u)、(f)および(v)、(f)および(w)、
(g)および(h)、(g)および(i)、(g)および(j)、(g)および(k)、(g)および(l)、(g)および(m)、(g)および(n)、(g)および(o)、(g)および(p)、(g)および(q)、(g)および(r)、(g)および(s)、(g)および(t)、(g)および(u)、(g)および(v)、(g)および(w)、
(h)および(i)、(h)および(j)、(h)および(k)、(h)および(l)、(h)および(m)、(h)および(n)、(h)および(o)、(h)および(p)、(h)および(q)、(h)および(r)、(h)および(s)、(h)および(t)、(h)および(u)、(h)および(v)、(h)および(w)、
(i)および(j)、(i)および(k)、(i)および(l)、(i)および(m)、(i)および(n)、(i)および(o)、(i)および(p)、(i)および(q)、(i)および(r)、(i)および(s)、(i)および(t)、(i)および(u)、(i)および(v)、(i)および(w)、
(j)および(k)、(j)および(l)、(j)および(m)、(j)および(n)、(j)および(o)、(j)および(p)、(j)および(q)、(j)および(r)、(j)および(s)、(j)および(t)、(j)および(u)、(j)および(v)、(j)および(w)、
(k)および(l)、(k)および(m)、(k)および(n)、(k)および(o)、(k)および(p)、(k)および(q)、(k)および(r)、(k)および(s)、(k)および(t)、(k)および(u)、(k)および(v)、(k)および(w)、
(l)および(m)、(l)および(n)、(l)および(o)、(l)および(p)、(l)および(q)、(l)および(r)、(l)および(s)、(l)および(t)、(l)および(u)、(l)および(v)、(l)および(w)、
(m)および(n)、(m)および(o)、(m)および(p)、(m)および(q)、(m)および(r)、(m)および(s)、(m)および(t)、(m)および(u)、(m)および(v)、(m)および(w)、
(n)および(o)、(n)および(p)、(n)および(q)、(n)および(r)、(n)および(s)、(n)および(t)、(n)および(u)、(n)および(v)、(n)および(w)、
(o)および(p)、(o)および(q)、(o)および(r)、(o)および(s)、(o)および(t)、(o)および(u)、(o)および(v)、(o)および(w)、
(p)および(q)、(p)および(r)、(p)および(s)、(p)および(t)、(p)および(u)、(p)および(v)、(p)および(w)、
(q)および(r)、(q)および(s)、(q)および(t)、(q)および(u)、(q)および(v)、(q)および(w)、
(r)および(s)、(r)および(t)、(r)および(u)、(r)および(v)、(r)および(w)、
(s)および(t)、(s)および(u)、(s)および(v)、(s)および(w)、
(tおよび(u)、(t)および(v)、(t)および(w)、
(u)および(v)、(u)および(w)、または
(v)および(w)
が存在する。
【0040】
いくつかの実施形態では、標的は、例えば、細菌成分、ウイルス成分、真菌成分、または寄生成分などの感染成分以外のものである。いくつかの実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、標的結合ドメインを含んでなる。いくつかの実施形態では、第1の外因性ポリペプチドの表面露出部分は、標的に結合する。いくつかの実施形態では、第2の外因性ポリペプチドの表面露出部分は、例えば、プロテアーゼ活性などの酵素活性を含んでなる。いくつかの実施形態では、第2の外因性ポリペプチドの表面露出部分は、標的を酵素的に修飾し、例えば、切断する。いくつかの実施形態では、標的は、抗薬物抗体と、抗薬物抗体がそれに結合するポリペプチドを含んでなる第1の外因性ポリペプチドと、抗薬物抗体を切断してFab部分およびFc部分を生じるプロテアーゼを含んでなる第2の外因性ポリペプチドとを含んでなる。いくつかの実施形態では、除核赤血球は、第2の外因性ポリペプチドを欠くその他の点では類似した除核赤血球より、迅速な速度で対象の身体から標的を排除できる。いくつかの実施形態では、除核赤血球は、標的と、または例えば、切断中に標的に作用する第2の外因性タンパク質の反応生成物と、複合体形成する。
【0041】
本開示はまた、特定の態様では、膜貫通ドメインと、抗薬物抗体に結合できる表面露出ポリペプチドとを含む第1の外因性ポリペプチド、および
膜貫通ドメインと、表面露出IdeSポリペプチドとを含む第2の外因性ポリペプチド
を含む除核赤血球系細胞を提供する。
【0042】
本開示はまた、いくつかの態様では、例えば、IdeSポリペプチドなどの抗体を切断し得るプロテアーゼと、例えば、I型またはII型赤血球膜貫通ドメインなどの膜貫通ドメインなどの膜アンカードメインとを含む、ポリペプチドも提供する。本開示はまた、前記ポリペプチドをコードする核酸も提供する。
【0043】
本開示はまた、いくつかの態様では、例えば、IdeSポリペプチドなどの抗体を切断し得るプロテアーゼをコードする第1の配列、
例えば、膜貫通ドメインなどの膜アンカードメインをコードする第2の配列、および
任意選択的に、赤血球系細胞において活性なプロモーター配列
を含む核酸も提供し、
第1および第2の配列は作動可能に連結されて融合タンパク質を形成する。
【0044】
本開示はまた、いくつかの態様では、
例えば、本明細書に記載の第1の外因性ポリペプチドなどの、標的と相互作用する第1の外因性ポリペプチドをコードする第1の核酸配列、
例えば、本明細書に記載の第2の核酸配列などの、標的を修飾する第2の外因性ポリペプチドをコードする第2の核酸配列、および
任意選択的に、赤血球系細胞において活性なプロモーター配列
を含む核酸組成物も提供する。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1の核酸配列および第2の核酸配列は連続しているか、または別個の分子(例えば、混合分子または別個の容器内)である。いくつかの実施形態では、第1の核酸配列および第2の核酸配列は、同一オープンリーディングフレームの一部であり、それらの間に位置するプロテアーゼ切断部位を有する。いくつかの実施形態では、第1の核酸は第1のプロモーターと作動可能に連結され、第2の核酸は第2のプロモーターと作動可能に連結される。
【0046】
本開示は、いくつかの態様では、
(A)(A−ii)例えば、膜貫通ドメインなどの膜アンカードメインに融合された、(A−i)複数の結合部分(例えば、抗体分子、例えば、scFvドメイン)をコードする核酸、および
(B)任意選択的に、(B−ii)例えば、膜貫通ドメインなどの膜アンカードメインに融合された、(B−i)複数の酵素(例えば、プロテアーゼ)をコードする核酸
を含むキットを提供し、
(A−i)および(A−ii)は、赤血球系細胞における発現を誘導する核酸と作動可能に連結され、(Bi)および(B−ii)は、赤血球系細胞において発現を誘導する核酸と作動可能に連結される。
【0047】
本開示は、いくつかの態様では、標的ポリペプチドを本明細書に記載の赤血球系細胞に接触させるステップを含む、例えば、標的ポリペプチドなどの標的の断片を生産する方法、例えば、第1の標的ドメインを含む標的の断片を生産する方法、例えば、可変領域断片を生産する方法、または定常領域含有断片を生産する方法を提供する。いくつかの実施形態では、第2の外因性ポリペプチドは標的を切断して断片を提供する。いくつかの実施形態では、標的ポリペプチドは例えば、抗薬物抗体などの抗体である。いくつかの実施形態では、標的ポリペプチドの断片は、免疫応答および/または炎症を活性化しない。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、赤血球系細胞を、標的ポリペプチドを含む対象に投与するステップを含む。
【0048】
本開示はまた、特定の態様では、例えば、阻害剤(標的)の前駆体を本明細書に記載の赤血球系細胞に接触させるステップを含む、例えば、競合阻害剤などの阻害剤を生産する方法も提供する。いくつかの実施形態では、第2の外因性ポリペプチドは、標的と相互作用し、例えば、標的を切断する。いくつかの実施形態では、阻害剤は、抗体断片(例えば、Fab断片)である。いくつかの実施形態では、標的は抗体であり、それは切断されて、例えば、Fab断片である抗体断片である阻害剤が生じる。いくつかの実施形態では、阻害剤は、免疫応答および/または炎症を活性化しない。いくつかの実施形態では、阻害剤の前駆体は、例えば、抗薬物抗体などの抗体である。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、赤血球系細胞を阻害剤の前駆体を含む対象に投与するステップを含む。
【0049】
本開示はまた、いくつかの態様では、ポリペプチドを本明細書に記載の赤血球系細胞に接触させるステップを含む、例えば、プロドラッグを薬物に変換するなど、例えば、ポリペプチドなどの標的を変換しまたは活性化する方法も提供する。いくつかの実施形態では、第2の外因性ポリペプチドは、標的(例えば、プロドラッグ)と相互作用し、例えば、標的を切断する。いくつかの実施形態では、プロドラッグは、例えば、抗薬物抗体などの抗体である。いくつかの実施形態では、薬物は、例えば、Fab断片などの抗体断片である。いくつかの実施形態では、薬物は、免疫応答および/または炎症を活性化しない。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、赤血球系細胞を例えば、プロドラッグなどのポリペプチドを含む対象に投与するステップを含む。
【0050】
本開示はまた、いくつかの態様では、内因性ポリペプチドを本明細書に記載の赤血球系細胞に接触させるステップを含む、第1の活性状態から第2の活性状態に(例えば、不活性状態から活性状態に、または活性状態から不活性状態に)、内因性ポリペプチドを変換する方法も提供する。いくつかの実施形態では、第2の外因性ポリペプチドは標的と相互作用し、例えば、共有結合的に修飾し、例えば、標的を切断し、またはそれが別の分子と相互作用する能力、例えば、結合する能力を変化させる。いくつかの実施形態では、内因性ポリペプチドは、例えば、抗薬物抗体などの抗体である。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、赤血球系細胞を、内因性ポリペプチドを含む対象に投与するステップを含む。
【0051】
本開示は、いくつかの態様では、本明細書に記載の赤血球系細胞を対象に投与するステップを含む、対象において標的(例えば、抗体、例えば、抗薬物抗体)のレベルを低下させる方法を提供する。いくつかの実施形態では、第2の外因性ポリペプチドは標的と相互作用し、例えば、共有結合的に修飾し、例えば、標的を切断し、またはそれが別の分子と相互作用する能力、例えば、結合する能力を変化させる。本開示はまた、特定の態様では、本明細書に記載の赤血球細胞を対象に投与するステップを含む、対象において抗体の阻害性断片(例えば、Fab断片)を生成する方法も提供する。本開示は、本明細書に記載の赤血球系細胞を対象に投与するステップを含む、対象において例えばがんなどの疾患を治療する方法をさらに提供する。
【0052】
例えば、上述の方法のいずれかの実施形態などのいくつかの実施形態では、赤血球系細胞は、
標的と相互作用する第1の外因性ポリペプチド、および
標的を修飾する第2の外因性ポリペプチドを含み、
(a)第2の外因性ポリペプチドは、例えば、IdeSポリペプチドなどであり、例えば、ヒンジ領域で、CH2領域で、またはヒンジとCH2領域との間で抗体を切断する部分を含み;
(b)第2の外因性ポリペプチドは、標的上の部位を修飾し、例えば、それに特異的であり、例えば、それに結合し、(例えば、特異的に)結合して修飾し、例えば、共有結合的に修飾し、例えば、部分を切断または除去しまたはそれを標的に付着させる、酵素(例えば、プロテアーゼ)を含み、標的は任意選択的に、抗体であり;
(c)第2の外因性ポリペプチドは、ポリペプチド、例えば、酵素、例えば、標的の二次、三次、または四次構造を修飾するプロテアーゼを含み、いくつかの実施形態では、標的が、例えば、第1の外因性ポリペプチドまたは第1の外因性ポリペプチド以外の分子などの別の分子と相互作用する能力を変化させ、例えば、減少または増加させ、任意選択的に、標的は抗体または補体因子を含み;
(d)第2の外因性ポリペプチドは、例えば、ポリペプチドなどの標的を、例えば、第1の基質に結合する第1の標的ドメインおよび第2の基質に結合する第2の標的ドメインなどの、第1の標的ドメインおよび第2の標的ドメインの間で切断する、酵素(例えば、プロテアーゼ)などのポリペプチドを含み;
(e)標的は、ポリペプチド;炭水化物(例えば、グリカン)、脂質(例えば、リン脂質)、または核酸(例えば、DNA、またはRNA)であり;
(f)第1の外因性ポリペプチドは、例えば、抗体などの標的と結合するが切断せず、第2の外因性ポリペプチドは、例えば、抗体中の共有結合などの共有結合などの結合を切断し;
(g)標的は抗体を含み、第1の外因性ポリペプチドは抗体標的の可変領域に結合し;
(h)標的は抗体を含み、第1の外因性ポリペプチドは抗体標的の定常領域に結合し;
(i)第1の外因性ポリペプチドは、約1〜2pM、2〜5pM、5〜10pM、10〜20pM、20〜50pM、50〜100pM、100〜200pM、200〜500pM、500〜1000pM、1〜2nM、2〜5nM、5〜10nM、10〜20nM、20〜50nM、50〜100nM、100〜200nM、200〜500nM、500〜1000nM、1〜2μM、2〜5μM、5〜10μM、10〜20μM、20〜50μM、または50〜7μMの標的親和性を有し;
(j)第2の外因性ポリペプチドは、約10
−1〜10
−7M、10
−1〜10
−2M、10
−2〜10
−3M、10
−3〜10
−4M、10
−4〜10
−5M、10
−5〜10
−6M、または10
−6〜10
−7MのK
Mを有し;
(k)標的に対する第2の外因性ポリペプチドのK
M(M単位で測定)で除した、標的に対する第1の外因性ポリペプチドのK
d(M単位で測定)の比率は、約1×10
−9〜2×10
−9、2×10
−9〜5×10
−9、5×10
−9〜1×10
−8、1×10
−8〜2×10
−8、2×10
−8〜5×10
−8、5×10
−8〜1×10
−7、1×10
−7〜2×10
−7、2×10
−7〜5×10
−7、5×10
−7〜1×10
−6、1×10
−6〜2×10
−6、2×10
−6〜5×10
−6、5×10
−6〜1×10
−5、1×10
−5〜2×10
−5、2×10
−5〜5×10
−5、5×10
−5〜1×10
−4、1×10
−4〜2×10
−4、2×10
−4〜5×10
−4、5×10
−4〜1×10
−3、1×10
−3〜2×10
−3、2×10
−3〜5×10
−3、5×10
−3〜1×10
−2、1×10
−2〜2×10
−2、2×10
−2〜5×10
−2、5×10
−2〜1×10
−1、1×10
−1〜2×10
−1、2×10
−1〜5×10
−1、または5×10
−1〜1であり;
(l)標的を修飾する第2の外因性ポリペプチドの観察された反応速度は、その他の点では類似した反応条件下において、類似しているが第1の外因性ポリペプチドを欠く除核細胞の反応速度より高く;
(m)赤血球系細胞上の第2の外因性ポリペプチドの平均数に対する、赤血球系細胞上の第1の外因性ポリペプチドの平均数の比率は、約50:1、20:1、10:1、8:1、6:1、4:1、2:1、1:1、1:2、1:4、1:6、1:8、1:10、1:20、または1:50であり;
(n)標的に対する第1の外因性ポリペプチドの親和性は、修飾された(例えば、切断された)標的に対する第1の外因性ポリペプチドの親和性より高く;
(o)除核赤血球系細胞の治療有効用量は、投与時における対象の末梢血中の標的の量に対する化学量論比より少なく(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%、または99.99%少なく);
(p)有効用量中の除核赤血球系細胞数は、例えば、投与時における対象の末梢血中の標的分子などの標的数より少なく(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%、または99.99%少なく);
(q)第2の外因性ポリペプチドの数は、例えば、除核赤血球系細胞の有効用量などの予め選択された除核赤血球系細胞の量で構成され、標的に対する基準値より少なく(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%、または99.99%少なく)、例えば、投与時における対象の末梢血中の標的の数より少なく;
(r)第1の外因性ポリペプチドの数は、例えば、除核赤血球系細胞の有効用量などの予め選択された除核赤血球系細胞の量で構成され、標的に対する基準値より少なく(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%、または99.99%少なく)、例えば、投与時における対象の末梢血中の標的の数より少なく;
(s)第1の外因性ポリペプチドの数および第2の外因性ポリペプチドの数は、例えば、除核赤血球系細胞の有効用量などの予め選択された除核赤血球系細胞の量で構成され、それぞれ標的に対する基準値より少なく(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%、または99.99%少なく)、例えば、投与時における対象の末梢血中の標的の数より少なく;
(t)第2の外因性ポリペプチドは、少なくとも10
−1M、10
−2M、10
−3M、10
−4M、10
−5M、10
−6M、または10
−7MのK
Mで標的を修飾し(例えば、切断し);
(u)第2の外因性ポリペプチドは、シャペロンを含み;
(v)第1の外因性ポリペプチドは表面露出部分を含み、第2の外因性ポリペプチドは表面露出部分を含み;または
(w)除核赤血球系細胞の有効量は、第2の外因性ポリペプチドを欠くその他の点では類似した除核赤血球系細胞の有効量より少ない(例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.9%、または99.99%少ない)
の1つまたは複数である。
【0053】
例えば、融合タンパク質などの外因性ポリペプチドが関与する、本明細書に記載の組成物および方法のいずれかのいくつかの実施形態では、
i)赤血球系細胞表面の融合タンパク質の少なくとも50、60、70、80、90、95、または99%が、同一配列を有し;
ii)融合タンパク質の少なくとも50、60、70、80、90、95、または99%が、同一膜貫通領域であり;
iii)融合タンパク質は完全長内因性膜タンパク質を含まず、例えば、完全長内因性膜タンパク質のセグメントを含み、このセグメントは、完全長内因性膜タンパク質の少なくとも1、2、3、4、5、10、20、50、100、200、または500個のアミノ酸を欠き;
iv)融合タンパク質の少なくとも50、60、70、80、90、95、または99%は、1、2、3、4、5、10、20、または50個のアミノ酸を超えて互いに異ならず;
v)外因性ポリペプチドは、ソルターゼ移入シグネチャを欠き;
vi)外因性ポリペプチドは、1、2、3、4、または5個未満の配列の異なる融合ポリペプチド上に存在する部分を含み;
vii)外因性ポリペプチドは、単一の融合ポリペプチドとして存在し;
viii)融合タンパク質は、内因性膜貫通タンパク質と部分との接合部にGly−Glyを含有せず;
ix)融合タンパク質はGly−Glyを含有せず、または融合タンパク質はGly−Glyを含有せず、または細胞外領域にGly−Glyを含有せず、膜貫通部分の1、2、3、4、5、10、20、50、または100個のアミノ酸内の細胞外領域にGly−Glyを含有せず;またはそれらの組み合わせである。
【0054】
本明細書に記載の細胞系は、細胞系の一部ではない別の(1つまたは複数の)抗増殖性、抗新生物性または抗腫瘍性の薬物または治療と組み合わせて使用されてもよい。このような薬物または治療としては、例えば、細胞毒性薬(例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、有糸分裂阻害剤、コルチコステロイド)などの化学療法薬;チロシンキナーゼ阻害剤およびプロテアソーム阻害剤などのがん増殖遮断薬;T細胞療法(例えば、CAR−T細胞療法)(例えば、PMID:26611350を参照されたい)、ナチュラルキラー(NK)細胞免疫調節(例えば、PMID:26697006を参照されたい);およびがんワクチン(PMID:26579225);L−アスパラギナーゼおよびボルテゾミブ(Velcade(登録商標))などのその他の化学薬品が挙げられる。例えば、ホルモン感受性がんのために、ホルモン療法(または抗ホルモン療法)が使用され得る。
【0055】
本明細書に記載の細胞系は、外科手術、放射線療法、または寒冷療法などのがんのための非薬物治療と組み合わせて使用されてもよい。場合によっては、本発明の治療方法は、2つまたはそれ以上のその他の治療法または薬物と組み合わされた本明細書に記載の細胞系を含んでもよく、例えば、乳がんは、外科手術または放射線療法と組み合わせた本明細書に記載の細胞系と、化学療法カクテルまたは生物学的製剤(例えば、抗HER2抗体)との組み合わせで治療されてもよい。
【0056】
本開示は、前述の態様および/または実施形態の任意の1つまたは複数の全ての組み合わせ、ならびに詳細な説明および実施例に記載される実施形態の任意の1つまたは複数との組み合わせを検討する。
【0057】
本明細書に記載されるものと同様のまたは同等の方法および材料が、本発明でまたは本発明の試験で用いられ得るが、適切な方法および材料は下述のとおりである。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献(例えば、配列データベース参照番号)は、その全体が参照により援用される。例えば、本明細書において、例えば、本明細書中の任意の表において参照される全てのGenBank、Unigene、およびEntrez配列は、参照により援用される。別段の指定がない限り、本明細書中の任意の表を含む本明細書で特定される配列受入番号は、2016年1月11日現在のデータベース入力項目を参照する。1つの遺伝子またはタンパク質が複数の配列受入番号を参照する場合、配列変異型の全てが包含される。