特表2019-502494(P2019-502494A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-502494音楽または口述された物語を再生するための玩具用の識別子担体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-502494(P2019-502494A)
(43)【公表日】2019年1月31日
(54)【発明の名称】音楽または口述された物語を再生するための玩具用の識別子担体
(51)【国際特許分類】
   A63H 3/28 20060101AFI20190104BHJP
   A63H 5/00 20060101ALI20190104BHJP
   A63H 33/26 20060101ALI20190104BHJP
【FI】
   A63H3/28
   A63H5/00 A
   A63H33/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2018-538544(P2018-538544)
(86)(22)【出願日】2017年1月17日
(85)【翻訳文提出日】2018年9月21日
(86)【国際出願番号】EP2017000045
(87)【国際公開番号】WO2017129348
(87)【国際公開日】20170803
(31)【優先権主張番号】102016000631.5
(32)【優先日】2016年1月25日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】516206082
【氏名又は名称】ボクシーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Boxine GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】パトリク ファスベンダー
(72)【発明者】
【氏名】マークス シュタール
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ヴィルマンス
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA01
2C150CA02
2C150DF02
2C150DF33
2C150EB43
2C150EF16
2C150EF36
(57)【要約】
本発明は、音楽または口述された物語を再生するための玩具用の識別子担体に関する。この識別子担体は、起立面と、磁石と、識別子とを有しており、識別子は、外部磁界内に入ったときに外部磁界の特性を変化させ、磁石は、識別子よりも、起立面の近くに配置されており、かつ/または起立面に対する少なくとも1つの面法線は、磁石だけ、または識別子だけを通る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音楽または口述された物語を再生するための玩具用の識別子担体であって、前記識別子担体は、
・起立面と、
・磁石と、
・識別子と、
を有しており、
前記識別子は、外部磁界内に入ったときに前記外部磁界の特性を変化させ、
前記磁石は、前記識別子よりも、前記起立面の近くに配置されており、かつ/または、前記起立面に対する少なくとも1つの面法線は、前記磁石だけまたは前記識別子だけを通る、
識別子担体。
【請求項2】
前記起立面は、1つの平面内に位置する、
請求項1記載の識別子担体。
【請求項3】
前記起立面は、複数の、相互に移行しない部分面から成る、
請求項1または2記載の識別子担体。
【請求項4】
前記識別子は、変調された電磁波のためのアンテナおよび/または受信機および/または送信機、特にRFIDトランスポンダを有している、
請求項1から3までのいずれか1項記載の識別子担体。
【請求項5】
前記磁石は、円板状磁石または棒磁石である、
請求項1から4までのいずれか1項記載の識別子担体。
【請求項6】
自身の外観の表象的な形状を有している、
請求項1から5までのいずれか1項記載の識別子担体。
【請求項7】
音楽または口述された物語を再生するための玩具用の識別子担体であって、
・基体と、
・前記基体内に配置されている磁石と、
・前記基体内に配置されている識別子と、
を有しており、
前記基体は、少なくとも第1の部分と第2の部分とから成る、
識別子担体。
【請求項8】
前記磁石は、前記基体の前記第1の部分内に配置されており、前記識別子は、前記基体の前記第2の部分内に配置されている、
請求項7記載の識別子担体。
【請求項9】
内部に磁石と識別子とが配置されている基体を有しており、前記基体は、少なくとも第1の部分と第2の部分とから成る、
請求項1から6までのいずれか1項記載の識別子担体。
【請求項10】
請求項8または9記載の識別子担体。
【請求項11】
音楽または口述された物語を再生するための玩具用の識別子担体であって、
・基体と、
・前記基体内に配置されている磁石と、
・前記基体内に配置されている識別子と、
を有しており、
前記基体は、少なくとも、少なくとも50%生物学的に分解可能である材料を有している、
識別子担体。
【請求項12】
音楽または口述された物語を再生するための玩具用の識別子担体であって、
・基体と、
・前記基体内に配置されている磁石と、
・前記基体内に配置されている識別子と、
を有しており、
前記基体は、少なくとも、再生する原料から生産された材料を有している、
識別子担体。
【請求項13】
音楽または口述された物語を再生するための玩具用の識別子担体であって、前記識別子担体は、
・起立面と、
・第1の識別子と、
・第2の識別子と、
を有しており、
前記第1の識別子は、外部磁界内に入ったときに前記外部磁界の特性を変化させることができ、
前記第2の識別子は、外部磁界内に入ったときに前記外部磁界の特性を変化させ、
前記第1の識別子は、前記第2の識別子よりも、前記起立面の近くに配置されている、識別子担体。
【請求項14】
請求項1から13までの少なくとも2つの請求項のいずれかの組み合わせによる識別子担体。
【請求項15】
識別子担体であって、
請求項1から6までのいずれか1項および請求項11記載の識別子担体、および/または、
請求項7または8または9および請求項11記載の識別子担体、および/または、
請求項1から6までのいずれか1項および請求項12記載の識別子担体、および/または、
請求項7または8または9および請求項12記載の識別子担体。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項記載の識別子担体と、音楽または口述された物語を再生するための玩具と、自身の周辺領域内で、自身の周辺領域内で作用する磁界の特性または特性の変化を検出することができるセンサと、コントロールユニットと、から成るシステムであって、
前記玩具は、スピーカーまたはスピーカー端子を有しており、
前記センサが、自身の周辺領域内で、自身の周辺領域内で作用する磁界の特定の特性または特性の特定の変化を検出した場合、または、前記センサによって検出された特性の特定の変化を前記コントロールユニットが検出した場合、前記コントロールユニットは、音楽または口述された物語を再生するように前記スピーカーまたは前記スピーカー端子を駆動制御することができる、
システム。
【請求項17】
音楽または口述された物語を再生するための玩具用の識別子担体と、音楽または口述された物語を再生するための玩具と、から成るシステムであって、前記識別子担体は、
・起立面と、
・磁石と、
・識別子と、
を有しており、
前記識別子は、外部磁界内に入ったときに前記外部磁界の特性を変化させ、前記磁石は、前記起立面の近くに配置されており、
前記玩具は、
・スピーカーまたはスピーカー端子と、
・自身の周辺領域内で、自身の周辺領域内で作用する磁界の特性または特性の変化を検出することができるセンサと、
・コントロールユニットと、
・設置面と、
を有しており、
前記コントロールユニットは、前記センサが、自身の周辺領域内で、自身の周辺領域内で作用する磁界の特定の特性または特性の特定の変化を検出した場合、または、前記センサによって検出された特性の特定の変化を前記コントロールユニットが検出した場合、音楽または口述された物語を再生するように前記スピーカーまたは前記スピーカー端子を駆動制御することができ、
前記識別子担体が自身の起立面で、前記設置面上に立っているときに、前記識別子担体の前記磁石は、前記識別子を、前記玩具のセンサから前記識別子へと通じる線に沿った視線方向において、100%より少なく覆い隠す、
システム。
【請求項18】
請求項1から15までのいずれか1項記載の識別子担体を有している、
請求項17記載のシステム。
【請求項19】
請求項16から18までのいずれか1項記載のシステムによって、音楽または口述された物語を再生するための方法であって、
前記識別子担体が前記センサの周辺領域内に動かされ、前記周辺領域において前記センサは、自身の周辺領域において作用する磁界の特性または特性の変化を検出し、
前記コントロールユニットは、前記スピーカーまたは前記スピーカー端子を、音楽または口述された物語を再生するように駆動制御する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽または口述された物語を再生するための玩具用の識別子担体と、このような識別子担体と音楽または口述された物語を再生するための玩具とから成るシステムとに関する。さらに本発明は、このようなシステムを用いて、音楽または口述された物語を再生するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2015/104222号(WO 2015/104222 A1)から、音楽または口述された物語を再生するための玩具が公知である。この玩具は、スピーカーまたはスピーカー端子と、自身の周辺領域内で、この周辺の特性または特性の変化を検出することができるセンサと、コントロールユニットとを有しており、センサが、周辺領域内で、この周辺の特定の特性または特性の特定の変化を検出した場合、またはコントロールユニットがセンサによって検出された特性の特定の変化を検出した場合、コントロールユニットが、音楽または口述された物語を再生するようにスピーカーまたはスピーカー端子を駆動制御することができる。さらに、国際公開第2015/104222号(WO 2015/104222 A1)から、このような玩具を、識別子担体と組み合わせ、システムを作成することが公知である。ここでは、識別子担体は、識別子担体がセンサの周辺領域内に位置する場合、またはセンサが自身の周辺領域内で検出することができる、センサ周辺の特性を識別子担体が変える場合に、センサが検出することができる特性を有している。有利な実施例として、国際公開第2015/104222号(WO 2015/104222 A1)から、識別子担体がRFIDトランスポンダを有していること、またはアンテナを有していること、および変調された波を放射および/または受信することができることが公知である。さらにこの文献から、センサが、受動的なRFIDトランスポンダと通信するため、かつ/または能動的なRFIDトランスポンダと通信するための読み取り機器であることが公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、玩具のセンサによって良好に識別可能な、音楽または口述された物語を再生するための玩具用の識別子担体を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の課題は、請求項1、7、11、12および/または13に記載されている識別子担体と、請求項16に記載されているシステムと、請求項17に記載されているシステムと、請求項19に記載されている方法によって解決される。有利な実施形態は従属請求項および以降の明細書で詳細に説明される。
【0005】
本発明の基本的な着想は、識別子担体を起立面と磁石とから形成し、これらによって、識別子担体を面の上に設置することが可能になり、これらの面もしくはこれらの面に隣接する要素の相応の設計時に、付加的にこれらの面で識別子担体を保持する相互作用を、識別子担体の磁石と、これらの面もしくはこれらの面に隣接する要素との間に生じさせる、ということである。ここで、次のことが判明している。すなわち、識別子担体をこのように設計するとき、および外部磁界内に入ったときに外部磁界の特性を変化させる識別子を識別子担体内で使用するときには、磁石が、識別子よりも、起立面の近くに配置されている場合、かつ/または起立面に対する面法線が磁石も識別子も通る場合には、識別子の識別確率が低減してしまうことが判明している。このような識別子担体が、音楽または口述された物語を再生するための玩具を有するシステムにおいて、自身の周辺領域において、自身の周辺領域において作用する磁界の特性と特性の変化とを検出することができるセンサとともに使用される場合、識別子の識別は、識別子が磁界内に入った場合に、識別子担体内の付加的な磁石の存在によって妨害されてしまうことがある。磁石が、識別子よりも、起立面の近くに配置されている場合、かつ/または起立面に対する少なくとも1つの面法線が、磁石だけまたは識別子だけを通る場合には、このような妨害がそれほど作用しない、またはむしろ完全に無くなることが判明している。
【0006】
有利な実施形態では、磁石と識別子は、実質的に同じだけ、起立面から離れて配置されている。ここでは起立面に対する少なくとも1つの面法線が、磁石だけまたは識別子だけを通る。これによって、磁石と識別子が、起立面のできるだけ近くに配置される。
【0007】
有利な実施形態では、識別子は、磁石よりも、起立面の近くに配置されている。これによって、センサが、その上に識別子が自身の起立面で設置されている設置面の領域に配置されている場合に、識別子をセンサにより近づけることができる。
【0008】
識別子担体の起立面として、識別子担体がその上に立つことができる面が理解される。特に有利には、起立面は次のように配置されている、もしくは有利な実施形態に相応に、起立面を形成している、複数の、相互に移行しない部分面は次のように構成されている。すなわち、識別子担体の質量重心点が、起立面もしくは部分面を包囲しているエンベロープから位置している面の上方に位置するように配置されている、もしくは構成されている。本発明に相応して、識別子および磁石は、起立面に対して相対的に次のように配置されている。すなわち、磁石が、識別子よりも、起立面の近くに位置するように配置されている。これは特に次のようなことであると理解される。すなわち、起立面上のある点と磁石との最も短い間隔が、起立面上のある点と識別子との最も短い間隔よりも短いことであると理解される。ここでこれら2つの点は、必ずしも同じ点である必要はない。有利な実施形態では、起立面上のある点と磁石の各部分との最も短い間隔が、起立面上のある点と識別子の各部分との最も短い間隔よりも短い。しかし本発明の利点は、起立面上のある点と磁石の質量重心点との最も短い間隔が、起立面上のある点と識別子の質量重心点との最も短い間隔よりも短い場合に、既に得られる。同様に本発明の利点は、起立面上のある点と磁石の体積重心点との最も短い間隔が、起立面上のある点と識別子の体積重心点との最も短い間隔よりも短い場合に、既に得られる。
【0009】
本発明は、起立面に対する少なくとも1つの面法線が磁石だけを通る、または識別子だけを通る、ということを提示する。識別子が、磁石に対してずれて配置され、磁石によって覆い隠されない、または一部だけ覆い隠されることが望ましい。特別に有利な実施形態では、起立面に対する面法線は、磁石および識別子を通らない。この有利な実施形態ではしたがって、起立面に対する次のような面法線だけが存在する。すなわち、磁石を全く通らず、かつ識別子を全く通らない面法線、または磁石の一部だけを通るが、識別子の一部は通らない面法線、または識別子の一部だけを通るが、磁石の一部は通らない面法線だけが存在する。ここで本発明の利点は、起立面に対する面法線が磁石の一部を通り、かつ識別子の一部を通るが、外部磁界の特性を変える、識別子の一部は通らない場合に、既に得られる。有利な実施形態では、識別子として例えば能動的なRFIDトランスポンダが使用される。このようなトランスポンダは通常、マイクロチップとアンテナとエネルギー源とを有している。ここでこれらは、物理的に区別可能なコンポーネントによっても形成される。本発明の利点は、このような実施形態では、起立面に対する面法線が、磁石の一部および能動的なRFIDトランスポンダのアンテナの一部を通らない場合に、既に得られる。このような設計時には、起立面に対する面法線が、磁石の一部を通ること、およびマイクロチップの一部を通ること、またはエネルギー源の一部を通ることは無害である。
【0010】
しかし本発明の利点は、起立面に対する面法線が磁石の質量重心点を通らない場合、および磁界の特性の変化をもたらす、識別子の一部の質量重心点を通らない場合にも、既に得られる。同様に本発明の利点は、起立面に対する面法線が磁石の体積重心点を通らない場合、および外部磁界内に入ったときに外部磁界の特性の変化をもたらす、識別子の一部の体積重心点を通らない場合に、既に得られる。
【0011】
本発明の利点は、同様に、次のような場合に得られる。すなわち、外部磁界内に入ったときに外部磁界の特性の変化をもたらす、識別子の一部を通るが、磁石の一部を通らない、起立面に対する少なくとも1つの面法線が存在する場合に得られる。
【0012】
本発明の利点は、同様に、次のような場合に得られる。すなわち、起立面に対して平行な面における、磁石の面積的に最も大きい交差面のエンベロープが、100%よりも少なく、起立面に対する面法線の視線方向において、起立面に対して平行な面における識別子の最も大きい交差面のエンベロープと重畳している場合に得られ、特に有利には、外部磁界に入ったときに外部磁界の特性の変化をもたらす、識別子の一部の、起立面に対して平行な面における最も大きい交差面のエンベロープと重畳している場合に得られる。特に有利には、この重畳は80%よりも低く、特に有利には60%よりも低く、特に有利には50%よりも低く、特に有利には40%よりも低く、特に有利には30%よりも低く、特に有利には20%よりも低い。
【0013】
外部磁界内に入ったときに外部磁界の特性を変化させる、識別子の一部として、RFIDトランスポンダである識別子の有利な実施形態では、特に有利には、このようなRFIDトランスポンダのアンテナが理解され、例えば受動的なRFIDトランスポンダのアンテナも、能動的なRFIDトランスポンダのアンテナも理解される。
【0014】
有利な実施形態では、起立面もしくは有利な実施形態において設けられている、複数の、起立面をともに形成する、相互に移行しない部分面は1つの平面内に位置している。これによって、この種の識別子担体は、良好に、音楽または口述された物語を再生するための玩具の平らな面上に立つことができる。しかし、起立面が1つの平面内に位置しない実施形態も可能である。この種の実施形態は特に、識別子担体および音楽または口述された物語を再生するための玩具が次のように構成されるべき場合に使用される。すなわち、識別子担体が特定の箇所および特定の配向で、音楽または口述された物語を再生するための玩具に配置されるべき場合である。ここでは識別子担体の起立面を、玩具の平らでない、特定の表面設計に合わせることが有利であり得る。例えば、識別子担体の起立面を球台または球状層の表面として構成することが可能であり、音楽または口述された物語を再生するための玩具は、相応する凹部を有する。球台状の、識別子担体の起立面もしくは球状層状の、識別子担体の起立面はこの場合、音楽または口述された物語を再生するために、この収容部内に配置されるべきである。比肩可能な実施形態は、円錐状または円錐台状の起立面を有している、またはこれらの実施形態に対する幾何学形状的な反転形状、すなわち、例えば音楽または口述された物語を再生するための玩具および識別子担体の起立面での球台に対する幾何学形状的な反転形状を有しており、ここでこれは、識別子担体の球状の凹部を画定する。識別子担体の起立面と、音楽または口述された物語を再生するための玩具の対応する表面設計との間のこのような鍵−錠前相互作用に対する別の幾何学形状的な形状が考えられる。このような実施形態では、本発明の利点は次のような場合にも得られる。すなわち、識別子担体の起立面が1つの平面内に位置しない場合にも得られる。本発明の利点は、この種の実施形態において、特に次の場合に得られる。すなわち、このように形成された起立面上のある点から、中心の面法線に対して平行な方向において延在する少なくとも1つの直線が、磁石だけを通る、または識別子だけを通る場合である。ここでは、中心の面法線の方向として、起立面の全ての面法線の方向の中心値を形成する際に生じる方向が理解される。
【0015】
有利な実施形態では、起立面は、複数の、相互に移行しない部分面から成る。特別に有利な実施形態では、本発明の識別子担体は、自身の外観の表象的な形状を有している。フィギュア、例えば足を有している人間のフィギュアまたは動物のフィギュアは、この足の下に複数の面を有しており、これらの面は、このフィギュアが、相互に間隔が空けられている足を伴って形成されている場合には、相互に移行しない。このようなフィギュアの起立面は、これらの部分面から成る。フィギュアが、部分面として起立面に寄与することができる面を形成するさらなる要素を有していることも可能である。これは例えば、フィギュアが自身の手の中に要素を保持している場合である。この要素上に、フィギュアが付加的に支持されている。これは例えば棒または楽器である。
【0016】
有利な実施形態では、識別子は、変調された電磁波のためのアンテナおよび/または受信機および/または送信機を有している。特に有利には、識別子担体はRFIDトランスポンダを有している。特に有利にはRFIDトランスポンダは、コイル、有利には、フェライトコアを備える銅コイルを有している。
【0017】
有利な実施形態では、識別子担体は、RFIDトランスポンダまたはアンテナを有している。このアンテナによって、変調された波が放射および/または受信可能である。これによって、本発明の識別子担体は例えば次のように設計可能である。すなわち、これが玩具と、Bluetooth(R)規格、NFC規格または別の無線規格を介して通信可能であるように設計可能である。特にこのような技術を使用することによって、識別子担体と玩具との間の多様な通信が可能になる。特にこのような技術を使用することによって、多数の識別子の識別が可能になる。これによって、本発明のシステムに対して、多数のオーディオ情報から、再生されるべきオーディオ情報を選択することが可能になる。これは例えば、再生されるべき各オーディオ情報が、例えば本発明のシステム内に、またはサーバー上に格納されている割り当てテーブルにおいて、割り当てられた自身の固有の識別子を得ている場合である。
【0018】
択一的に、識別子担体が例えば、特定の強度の磁界を形成する磁石を有していることが可能である。これは、識別子担体が、玩具のセンサの周辺領域に動かされる場合である。同様に、磁石は、優先方向からずれた磁界方向を有する磁界を生成するために使用可能である。
【0019】
有利な実施形態では、磁石は円板状磁石または棒磁石である。特に有利には磁石は、環状磁石である。識別子担体の磁石は特に、次のような利点を提供する。すなわち、識別子担体が、磁石によって、相応に設計された玩具に付着することができる、という利点を提供する。これによって、識別子担体が、玩具に対する特定の相対位置を失うことなく、識別子担体が載置された玩具を動かすこともできる。識別子担体の一部として磁石を設けることによって、利点が生じるが、識別子の識別精度が低下するというリスクも生じる。したがって、磁石が小さい体積を有しているのは特に有利であり、これは、環状磁石と比べて、円板状磁石または棒磁石によって実現される。
【0020】
識別子担体の識別子の識別を妨害する、識別子担体の磁石の影響は、付加的に、識別子担体が、識別子よりも、起立面の近くに配置されている場合に低減される。特に有利には、識別子に対する識別子担体の間隔は、識別子に対する磁石の間隔の二倍の大きさであり、特に有利には三倍の大きさであり、特に有利には四倍の大きさであり、特に有利には十倍の大きさである。ここで有利な実施形態では、特に、磁石の質量重心点もしくは体積重心点と、外部磁界内に入ったときに外部磁界の特性の変化をもたらす、識別子の一部との間隔に合わせられる。
【0021】
有利な実施形態では、識別子担体は、複数の磁石を有している。磁石および識別子もしくは外部磁界内に入ったときに外部磁界の特性の変化をもたらす、識別子の一部の配置に対する上述したレイアウト規則は、有利な実施形態において、識別子担体の各磁石に対して有効である。しかし本発明の利点は、複数の磁石を有する識別子担体の場合には、既に次のような場合に得られる。すなわち、上述したレイアウト規則が、識別子担体の複数の磁石のうちの1つの磁石においてだけ満たされている場合である。特に、有利な実施形態に即して、複数の、相互に移行しない部分面から成る起立面を有している識別子担体の場合には、複数の磁石を設けること、すなわち1つの部分面に割り当てられるそれぞれ1つの磁石を設けることが有利であり得る。
【0022】
付加的にまたは択一的に、音楽または口述された物語を再生するための玩具用の識別子担体が提案され、これは、起立面と、第1の識別子と、第2の識別子を有しており、ここで第1の識別子は、外部磁界内に入ったときに外部磁界の特性を変化させることができ、第2の識別子は、外部磁界内に入ったときに外部磁界の特性を変化させる。ここで、第1の識別子は、第2の識別子よりも、起立面の近くに配置されている。2つの識別子の使用は、外部磁界に様々に影響を与えることを可能にする。このような様々な影響は、例えば、操作コンセプトに利用可能である。
【0023】
有利な実施形態では、識別子担体は2つの起立面を有しており、これらの起立面は相互に離れており、かつ好ましくは、相違する面法線を伴って配向されている。有利な実施形態では、一方の識別子は、一方の起立面の近くに配置されており、他方の識別子は、他方の識別子の近くに配置されている。
【0024】
このような識別子が、設置面と、設置面の近くに配置されているセンサとを有するシステムにおいて使用される場合、一方の識別子が一方の起立面で設置面上に設置される場合には、この一方の識別子がセンサにより近く配置され得る。また、他方の識別子が他方の起立面で設置面上に設置される場合には、この他方の識別子がセンサにより近く配置され得る。このようなシステムでは、自身の周辺領域内で、自身の周辺領域において作用する磁界の特定の特性または特性の特定の変化を検出することができるセンサを使用することができる。このような実施形態では、識別子が一方の起立面で設置面上に立っている場合に、第1のオーディオ情報、例えば問題が再生され、識別子が他方の起立面で設置面上に立っている場合に、別のオーディオ情報、例えば回答が再生される操作コンセプトが実現可能である。
【0025】
有利な実施形態では、2つの識別子を有するこのような実施形態は、1つの磁石を有する。有利な実施形態では、識別子は唯一の磁石を有している。択一的な実施形態では、識別子は少なくとも2つの磁石を有している。すなわち、一方の起立面の近くに配置されている磁石と、他方の起立面の近くに配置されている磁石を有している。
【0026】
有利な実施形態では識別子担体は、自身の外観の表象的な形状を有している。このフィギュアは、例えば動物のフィギュア、人間、または空想上のフィギュアであり得る。
【0027】
付加的にまたは択一的に、音楽または口述された物語を再生するための玩具用の識別子担体が提案され、これは、基体と、基体内に配置されている磁石と、基体内に配置されている識別子とを有している。ここでこの基体は、少なくとも第1の部分と第2の部分とから成る。有利な実施形態では、磁石と識別子は同じ部分内に配置されていてよい。しかし特に有利には、磁石は、基体の第1の部分内に配置されており、識別子は基体の第2の部分内に配置されている。この種の実施形態では、特に、上述した教示が特別に良好に実行される。
【0028】
有利な実施形態では、一方の部分は突出部を有しており、この突出部は、他方の部分の凹部に係合する。有利な実施形態では、第1の部分が突出部を有しており、この突出部が、第2の部分の凹部に係合し、また、第2の部分が突出部を有しており、この突出部が第1の部分の凹部に係合する。
【0029】
有利な実施形態では、第1の部分は、第2の部分と接続されている。このような接続は材料接続であってよく、例えば、接着剤の使用によって行われてよい。付加的にまたは択一的に、この接続が摩擦接続によって行われてよく、特に、一方の部分の突出部が、狭い嵌合によって、他方の部分の凹部に係合することによって行われてよい。
【0030】
本発明の説明の範囲では、幾何学形状的基体として、立方体、平行六面体、傾いた平行六面体、角錐、角錐台、円柱、中空円柱、円錐、円錐台、球、球状層、球台、球面扇形、円柱状に貫通された球、円錐状に貫通された球、円錐環、傾いて切り取られた円柱、円柱ひずめ状部分、樽または楕円の形状を有している基体が理解される。有利な実施形態では、基体の第1の部分は、全体で、幾何学形状的基体に相応しない三次元の形状を有している。これは、自身の全体の三次元の形状が複数の幾何学形状的基体から成っていることがある場合、または複数の幾何学形状的基体を含んでいることがある場合にも当てはまる。付加的なまたは択一的な有利な実施形態では、基体の第2の部分は全体で、幾何学形状的基体に相応しない三次元の形状を有している。これは、自身の全体の三次元の形状が複数の幾何学形状的基体から成っていることがある場合、または複数の幾何学形状的基体を含んでいることがある場合にも当てはまる。特別に有利な実施形態では、これらの部分のうちの1つが突出部を有しており、この突出部は、幾何学形状的基体に相応する、または少なくとも、自身の延在の一部に関して、幾何学形状的基体に相当する三次元の形状を有している。例えば、基体の一部は、円柱状、円錐状、または円錐台状の突出部を有していてよい。有利な実施形態では、他方の部分が凹部を有しており、この凹部の三次元の形状は、少なくとも近似的に、一方の部分の突出部の幾何学形状的な反転形状に相当し、例えば円柱状の凹部である。ここでは、特に次のことに留意されたい。すなわち、突出部の挿入を容易にするためのすきまばめが設けられていてよい、ということに留意されたい。択一的に、突出部と、凹部を包囲している壁部との間に摩擦接続を形成するためのプレスばめが設けられていてよい。
【0031】
有利な実施形態では、磁石は、基体の第1の部分に配置されており、ここでこれは有利な実施形態に即して、この第1の部分の凹部の底面の近傍に、または底面内に配置されている。有利な実施形態では、第2の部分は突出部を有しており、この突出部は、第1の部分と第2の部分とが合成される際に、第1の部分の凹部に係合する。有利な実施形態では、突出部の延在は、陥入部の長さと、陥入部の底面に位置する磁石の大きさとに関係して、次のように選択される。すなわち、この突出部が磁石を、かたかた鳴る音無く、凹部の底面の近傍に、または底面内に保持する、または有利な実施形態にしたがって、むしろ過剰に磁石を、陥入部の底面において押圧するように選択される。
【0032】
有利な実施形態では、識別子は、基体の第2の部分に配置されており、ここでこれは有利な実施形態に即して、この第2の部分の凹部の底面の近傍に、または底面内に配置されている。有利な実施形態では、第1の部分は突出部を有しており、この突出部は、第1の部分と第2の部分とが合成される際に、第2の部分の凹部に係合する。有利な実施形態では、突出部の延在は、陥入部の長さと、陥入部の底面に位置する識別子の大きさとに関係して、次のように選択される。すなわち、この突出部が識別子を、かたかた鳴る音無く、凹部の底面の近傍に、または底面内に保持する、または有利な実施形態にしたがって、むしろ過剰に識別子を、陥入部の底面において押圧するように選択される。
【0033】
付加的にかつ択一的に、音楽または口述された物語を再生するための玩具用の識別子担体が提案され、これは、基体と、基体内に配置されている磁石と、基体内に配置されている識別子とを有している。ここでこの基体は、少なくとも次のような材料を有している。すなわち、少なくとも50%生物学的に分解可能である材料を有している。特に有利には基体は少なくとも、100%生物学的に分解可能である材料を有している。ここで、生物学的に分解可能として、生物学的な分解のための材料の能力、すなわち、生物もしくはその酵素によるその分解のための材料の能力が理解される。識別子担体の基体が、複数の材料の混合から製造されることが可能である。本発明のこの態様では、このような混合の材料のうちの少なくとも1つが、少なくとも50%生物学的に分解可能である。有利な実施形態では基体は、射出成形方法または3Dプリント方法によって製造される。射出成形もしくは3Dプリントに使用される材料それ自体は、有利な実施形態では、少なくとも50%分解可能であり、特に有利には100%生物学的に分解可能であってよい。しかし本発明の利点は、射出成形もしくは3Dプリントに使用される材料が、複数の材料の混合から成り、この混合のうちの少なくとも1つが、少なくとも50%、特に有利には100%生物学的に分解可能である場合に、既に得られる。
【0034】
付加的かつ択一的に、音楽または口述された物語を再生するための玩具用の識別子担体が提案され、これは、基体と、基体内に配置されている磁石と、基体内に配置されている識別子とを有している。ここでこの基体は、少なくとも次のような材料を有している。すなわち、再生する原料から生産された材料を有している。識別子担体の基体が、複数の材料の混合から製造されることが可能である。本発明のこの態様では、このような混合の材料のうちの少なくとも1つが、再生する原料から生産されている。有利な実施形態では基体は、射出成形方法または3Dプリント方法によって製造される。射出成形もしくは3Dプリントに使用される材料それ自体は、有利な実施形態では、完全に、再生する原料から生産されてよい。しかし本発明の利点は、射出成形もしくは3Dプリントに使用される材料が、複数の材料の混合から成り、この混合のうちの少なくとも1つが、再生する原料から生産されている場合に、既に得られる。
【0035】
基体上に付加的に、材料層、特にインクまたはラッカーが塗布されている実施形態が可能である。
【0036】
有利な実施形態では、基体は、独国特許出願公開第102010052878号明細書(DE102010052878A1)および/または国際公開第2012/110237号(WO2012/110237A1)に記載されているような少なくとも1つの材料を有しており、ポリマー成形部分を製造するための材料に関するこれらの文献の完全な開示内容は、参照によって、本出願に取り込まれており、本発明の明細書の一部である。
【0037】
本発明のシステムは、本発明の識別子担体と、音楽または口述された物語を再生するための玩具と、自身の周辺領域内で、自身の周辺領域内で作用する磁界の特性および、その特性の変化を検出することができるセンサとを有しており、この玩具は、スピーカーまたはスピーカー端子を有している。このシステムはさらにコントロールユニットを有しており、センサが、自身の周辺領域内で、自身の周辺領域内で作用する磁界の特定の特性または特性の特定の変化を検出した場合、またはセンサによって検出された特性の特定の変化をコントロールユニットが検出した場合、コントロールユニットは、音楽または口述された物語を再生するようにスピーカーまたはスピーカー端子を駆動制御することができる。
【0038】
本発明のシステムは、本発明の識別子担体と、画像情報、ビデオ情報または3D情報を再生するための装置と、自身の周辺領域内で、自身の周辺領域内で作用する磁界の特性および、その特性の変化を検出することができるセンサとを有しており、この装置は、画像情報、ビデオ情報または3D情報のためのディスプレイまたはこの種のディスプレイ用の端子を有している。このシステムは、さらに、コントロールユニットを有しており、センサが、自身の周辺領域内で、自身の周辺領域内で作用する磁界の特定の特性または特性の特定の変化を検出した場合、またはセンサによって検出された特性の特定の変化をコントロールユニットが検出した場合、コントロールユニットは、画像情報、ビデオ情報または3D情報のためのディスプレイまたはこのようなディスプレイ用の端子を駆動制御することができる。
【0039】
本発明のシステムは、本発明の識別子担体と、ソフトウェアを実行するための装置とを有しており、この装置は、プロセッサを有しており、このプロセッサは、ソフトウェアを実行することができる。本発明のシステムはさらに、センサを有しており、このセンサは、自身の周辺領域内で、自身の周辺領域内で作用する磁界の特性および、その特性の変化を検出することができる。このシステムは、さらに、コントロールユニットを有しており、このコントロールユニットは、センサが、自身の周辺領域内で、自身の周辺領域内で作用する磁界の特定の特性または特性の特定の変化を検出した場合、またはコントロールユニットがセンサによって検出された特性の特定の変化を検出した場合に、ソフトウェアを実行するように、プロセッサを駆動制御することができる。
【0040】
択一的な本発明のシステムは、音楽または口述された物語を再生するための玩具用の識別子担体を有しており、この識別子担体は、
・起立面と、
・磁石と、
・識別子と、
を有しており、
ここで識別子は、外部磁界内に入ったときに外部磁界の特性を変化させ、ここで磁石は、起立面の近くに配置されており、
このシステムは、音楽または口述された物語を再生するための玩具を有しており、この玩具は、
・スピーカーまたはスピーカー端子と、
・自身の周辺領域内で、自身の周辺領域内で作用する磁界の特性または特性の変化を検出することができるセンサと、
・コントロールユニットと、
・設置面と、
を有しており、
ここで、センサが、自身の周辺領域内で、自身の周辺領域内で作用する磁界の特定の特性または特性の特定の変化を検出した場合、またはセンサによって検出された特性の特定の変化をコントロールユニットが検出した場合、コントロールユニットは、音楽または口述された物語を再生するようにスピーカーまたはスピーカー端子を駆動制御することができ、
ここで識別子担体は自身の起立面で、識別子担体の磁石が、識別子を、玩具のセンサから識別子へと通じる線に沿った視線方向において、100%より少なく覆い隠すように、設置面上に配置可能である。
【0041】
特に有利な実施形態では、識別子担体が自身の起立面で設置面上に立っている場合に、識別子担体の磁石が識別子を、玩具のセンサから識別子へと通じる線に沿った視線方向において、90%よりも少なく、特に有利には70%よりも少なく、特に有利には60%よりも少なく、特に有利には50%よりも少なく、特に有利には40%よりも少なく、特に有利には30%よりも少なく、特に有利には20%よりも少なく覆い隠す。本発明の利点は、既に、次のような場合に得られる。すなわち、識別子担体が自身の起立面で設置面上に立っている場合に、識別子担体の磁石が、外部磁界内に入ったときに外部磁界の特性の変化をもたらす、識別子の一部を、玩具のセンサから識別子へと通じる線に沿った視線方向において、100%よりも少なく、特に90%よりも少なく、特に有利には70%よりも少なく、特に有利には60%よりも少なく、特に有利には50%よりも少なく、特に有利には40%よりも少なく、特に有利には30%よりも少なく、特に有利には20%よりも少なく覆い隠す場合に得られる。玩具のセンサから識別子へと通じる線として、特に次のような線が理解される。すなわち、センサの質量重心点を、識別子の質量重心点と結び付ける線、またはセンサの体積重心点を、識別子の体積重心点と結び付ける線が理解される。
【0042】
以降では装置とも称される玩具の一部としてセンサが使用される。ここでこのセンサは、自身の周辺領域内で、特性またはこの周辺の特性の変化を検出することができる。さらに、コントロールユニットが設けられる。このコントロールユニットは、センサが自身の周辺領域内で、特定の特性またはこの周辺の特性の特定の変化を検出すると、所望の駆動制御を行うことができる。このようなセンサとこのようなコントロールユニットとを有している装置、ならびに上述のセンサおよび上述のコントロールユニットを使用する方法によって、特に容易な操作が可能になる。所望の情報を再生するために、もしくはソフトウェアを実行するために、本発明では、この周辺に、センサによって検出可能な特定の特性を与える、もしくはセンサによって検出可能な、この周辺の特性の変更を実行すればよい。これによって、本発明の特に有利な実施形態では、直接的に、所望の情報の再生もしくはソフトウェアの実行が生起される。
【0043】
本発明によって提供される、容易な操作コンセプトは、特に良好に、音楽または口述された物語を再生するための玩具において実行される。しかし、この容易な操作コンセプトが、概ね、オーディオ情報を再生するための装置においても、むしろ、画像情報、ビデオ情報または3D情報を再生するための装置においても、またはソフトウェアを実行するための装置においても利点を供することが判明している。画像情報、ビデオ情報または3D情報の再生またはソフトウェアの実行の特殊性が明記されていない限り、またはオーディオ情報の再生時にのみ関連する特殊性が明記されていない限り、後続の説明では本発明を、玩具としての使用の幅広い使用領域を代表して、画像情報、ビデオ情報または3D情報の再生、またはソフトウェアの実行の代わりに、オーディオ情報の再生の有利な使用領域に基づいて説明する。画像情報、ビデオ情報または3D情報の再生の使用領域に対しては、後続の説明においてスピーカーまたはスピーカー端子の駆動制御が記載されている場合には、これによって、画像情報、ビデオ情報または3D情報を再生するためのディスプレイまたはディスプレイ用端子の駆動制御も意図されている。ソフトウェアの実行の使用領域に対しては、後続の説明においてスピーカーまたはスピーカー端子の駆動制御が記載されている場合には、これによって、ソフトウェアを実行するためのプロセッサの駆動制御も意図されている。玩具は、特に再生されるべきオーディオ情報が音楽または口述された物語であるということによって具体化される、オーディオ情報を再生するための装置の有利な実施形態である。
【0044】
本発明の装置および本発明の方法は、従来の様式のMP3プレーヤーと比較可能であるように、MP3プレーヤーに記憶された情報に基づく、オーディオ情報の再生のために使用可能である。これによって、CDの使用が回避される。これと同時に本発明は、従来のMP3プレーヤーの操作コンセプトを簡易化する。センサ周辺の特定の特性の発生もしくは特性の特定の変更の発生によって既に、本発明の有利な実施形態では、オーディオ情報が迅速に再生される。これによって、従来のMP3プレーヤーにおいてしばしば、特に子供にとって煩雑であった操作コンセプトが省かれる。したがって本発明の装置および本発明の方法は特に良好に、子供用玩具での使用に適している。しかし簡易化されたこの操作コンセプトは、大人にとってもオーディオ情報を特に容易に再生することを可能にする。
【0045】
本発明の使用領域は、オーディオ情報、特に曲、口述されたテキストまたは曲と口述されたテキストとが組み合わされたものの再生である。このようなオーディオ情報の再生持続時間は、特に、有利には少なくとも10秒であり、好ましくは15秒を超え、特に有利には20秒を超え、特別に有利には25秒を超える。むしろ、特に有利な実施形態では、オーディオ情報の再生持続時間は少なくとも30秒続き、特別に有利には1分を超えて続き得る。例えば、特に有利には本発明によって再生されるべき放送劇は、しばしば、5分を超える長さを有しており、場合によっては30分以上にもなる。本発明によって再生されるべきオーディオ情報は、特に、確認信号ではない。特に、本発明によって再生されるべきオーディオ情報は、例えば第1の対象物が第2の対象物に対して正しく配向されたときに出力され得る確認応答音ではない。同様に、オーディオ情報は、特別に有利には、第1の対象物が第2の対象物に近づいた時に、または事前に定められた、第2の対象物に対して相対的な特定の位置に来たときに演奏されるジングルではない。本発明は、曲または口述されたテキストの場合のように、再生持続時間が比較的長いオーディオ情報に関する。オーディオ情報は特に有利には、その再生時に異なる音色が非周期的な順番で再生されるようなオーディオ情報である。
【0046】
本発明の装置のスピーカーは、特に有利には、電気信号を機械的な振動(音)に変換する変換器である。
【0047】
本発明の装置が、スピーカーの代わりに、スピーカー端子を有していてもよい。これは例えば、スピコン端子、XLR端子または例えば6.35mmのジャックソケットである。コントロールユニットがスピーカー端子を駆動制御するので、コントロールユニットは、スピーカー端子にスピーカーが接続されている場合に、このスピーカーも駆動制御することができる。スピーカー端子が送信ユニットであってもよい。この送信ユニットは、無線で、例えばBluetooth(R)を介して、またはWLAN無線網を介して、スピーカーと通信することができる。しかし、特に有利には、この送信ユニットは、WLAN無線網を用いてスピーカーと通信するのではなく、例えば、Bluetooth(R)を介してスピーカーと通信する。同様に、この装置は、スピーカー端子として、または画像情報、ビデオ情報または3D情報を再生するためのディスプレイ用の端子として、スマートフォンのドッキングステーションとコンパチブルな端子を有することができる。さらに、スマートフォン用のドッキングステーションが、スマートフォンの駆動制御命令に基づいて、スピーカー、または画像情報、ビデオ情報または3D情報を再生するためのディスプレイを駆動制御するのに使用されてよい。本発明の装置が、このようなドッキングステーションとコンパチブルな端子を有しており、スマートフォンの代わりに、このドッキングステーションと接続されることによって、本発明の装置のコントロールユニットは、このドッキングステーションと接続されているスピーカーまたはこのドッキングステーションと接続されている、画像情報、ビデオ情報または3D情報を再生するためのディスプレイを駆動制御することができる。ドッキングステーションは、ケーブルによって、スピーカーまたは画像情報、ビデオ情報または3D情報を再生するためのディスプレイと接続されていてよい。しかしドッキングステーションがケーブルを用いずに、例えば無線網を介して、スピーカーまたは画像情報、ビデオ情報または3D情報を再生するためのディスプレイと接続されていてもよい。スピーカー端子または画像情報、ビデオ情報または3D情報を再生するためのディスプレイ用の端子の駆動制御の特殊性が明記されていない限り、後続の説明では、本発明は、スピーカー端子または画像情報、ビデオ情報または3D情報を再生するためのディスプレイ用の端子の駆動制御のさらなる可能性を代表して、スピーカーの駆動制御の有利な使用領域に基づいて説明されている。スピーカー端子または画像情報、ビデオ情報または3D情報を再生するためのディスプレイ用の端子の駆動制御の使用領域に対しては、後続の説明においてスピーカーまたは画像情報、ビデオ情報または3D情報を再生するためのディスプレイの駆動制御が記載されている場合には、これによって、スピーカー端子または画像情報、ビデオ情報または3D情報を再生するためのディスプレイ用の端子の駆動制御も意図されている。
【0048】
有利な実施形態では、本発明の装置は、少なくとも2つのスピーカーを有している。したがって、オーディオ情報をステレオで再生することが可能になる。
【0049】
本発明の装置では、自身の周辺領域内で特性を検出することができるセンサが使用される。同様に、自身の周辺領域内で、この周辺の特性の変化を検出することができるセンサも使用可能である。同様に、自身の周辺領域内での特性の検出も、自身の周辺領域内での、この周辺の特性の変化の検出も行うことができるセンサが使用可能である。
【0050】
本発明の識別子担体の識別子は、外部磁界内に入ったときに外部磁界の特性を変化させる。有利な実施形態では、識別子は、外部磁界内に入ったときに、存在している外部磁界の強度および/または配向を変化させる。ここで、地球磁界も、地球磁界と磁界を生成させる要素の存在によって生成される磁界との重畳によって生じる磁界も、外部磁界として理解される。識別子を磁界内に搬入することによって生じる、磁界の特性の変化は、電磁波に影響を与える要素を搬入することによっても生起される。例えば、本発明では、RFIDトランスポンダを搬入することによって生じる、送信機として形成されているセンサによって放射された電磁波の変化も、外部磁界の特性の変化として理解される。
【0051】
有利な実施形態では、センサは、例えば、磁界の強度を、自身の周辺の特定の領域において検出し、コントロールユニットに供給される信号を生成することができる。この信号は、この磁界の強度に依存している。コントロールユニットが、この信号が、特定の所定の値に達していることを識別すると、コントロールユニットは、センサが自身の周辺領域内で特定の特性、すなわち磁界の特定の強度を検出したことを識別する。これにしたがって、コントロールユニットは、オーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御することができる。
【0052】
付加的な、または択一的な実施例では、センサは、磁界強度の変化を、自身の周辺領域内で検出し、例えば、コントロールユニットに供給される信号を生成することができる。この信号は、磁界強度の変化速度または磁界強度の方向(磁界が強まっているかまたは弱まっているか)に依存している。この信号が供給されたコントロールユニットが、この変化が所定の値に達したことを識別すると、コントロールユニットは、オーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御することができる。
【0053】
付加的な、または択一的な実施形態では、センサは、自身の周辺の特定の領域において、磁界が優先方向に対して相対的な特定の磁界方向を有することを検出することができる。特に有利にはセンサは、磁界が優先方向を有していないことを検出することができる。特別に有利には、センサはむしろ、磁界の磁界方向が、優先方向に対して相対的にどのような角度で位置しているのかを検出することができる。この実施形態では、センサは、コントロールユニットに、信号によって、次のことを伝達する。すなわち、磁界の磁界方向が、優先方向に相当していないということを伝達する。この信号に基づいて既に、コントロールユニットは、オーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御することができる。択一的な実施形態では、むしろセンサはコントロールユニットに、信号を介して、磁界の磁界方向が優先方向に対してどのような角度で位置しているのかを伝達することができる。ここでは、磁界の磁界方向が優先方向に対して所定の角度で位置している場合に、コントロールユニットが、オーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御するように、設定が可能である。
【0054】
同様に、コントロールユニットがセンサの信号を評価する実施例が可能である。この信号は、優先方向に対して相対的な磁界の磁界方向の角度に依存しており、磁界の磁界方向が特定の様式で優先方向に対して変化すると、コントロールユニットはオーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御する。これは例えば、優先方向に対して相対的に特定の方向で変化した場合、または例えば、優先方向に対して相対的に所定の速度で変化した場合、または所定の時間を介した、優先方向に対して相対的な変化プロファイルを有する場合でもある。ここで変化プロファイルは、特に、磁界の磁界方向が優先方向に対して成す種々の角度の時間的なシーケンスである。
【0055】
センサによって検出されるべき、自身の周辺領域の特性は、本発明では、好ましくはその特性に関して時間的に不変の、センサの周辺領域における電磁波の存在、または存在している電磁波に影響を与える金属構造体等の存在でもある。センサが特定の電磁波の存在を検出することができるように構成されている実施例が可能である。これは、例えば、特定の速度、特定の強度、特定の波動インピーダンス、特定の波長および/または特定の周波数を有する電磁波の存在を識別することができる。センサが、次のように構成されていてもよい。すなわち、センサが、特定の電磁波、例えば、特定の速度、特定の強度、特定の波動インピーダンス、特定の波長および/または特定の周波数を有する電磁波に影響を与えることができる構造体を検出することができるように構成されていてもよい。センサがこのような電磁波またはこのような構造体を識別すると、センサは、このことを、信号を介してコントロールユニットに伝達することができる。付加的にまたは択一的に、センサを次のように構成することができる。すなわち、センサが、速度、強度、波動インピーダンス、波長および/または周波数を測定することができ、コントロールユニットに、信号を介して、識別された変数の各値および/または識別された各変数の変化を伝達することができるように、センサを構成することができる。センサによって識別される電磁波は、特に有利には、人間の眼に可視のスペクトルにある波長もしくは周波数を有する電磁波ではない、かつ/または赤外スペクトルからの波長もしくは周波数を有する電磁波ではない。センサによって識別される、構造体による影響は、特に有利には、人間の眼に可視のスペクトルにある波長もしくは周波数を有する電磁波に関連していない、かつ/または赤外スペクトルからの波長もしくは周波数を有する電磁波に関連していない。センサによって識別される電磁波は特に有利には、WLAN無線網の電磁波ではなく、特に、IEEE−802.11系の規格に従った無線網の電磁波ではない。センサによって識別される、構造体による影響は、特に有利には、WLAN無線網の電磁波に関するものではなく、特に、IEEE−802.11系の規格に従った無線網の電磁波に関するものではない。
【0056】
センサによって検出されるべき、自身の周辺領域の特性の変化は、特に有利には、電磁波の特性の変化である。上述した部分においては、特定の、好ましくはその特性に関して時間的に不変の電磁波の存在が、センサによって検出されるべき、自身の周辺領域の特性として記載されたが、以降では、次のような可能性が説明される。すなわち、存在している電磁波を整合させることができ、これによって、自身の周辺領域の特性の、センサによって検出されるべき変化がもたらされ、これに基づいて、コントロールユニットが、オーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御することができる、という可能性である。電磁波は例えば、受動的なRFIDトランスポンダと通信する読み取り機器によって生成され、受動的なRFIDトランスポンダが読み取り機器の周辺領域内に搬入され、ここでその存在が電磁波を変えることによって、電磁波が変えられる。RFIDトランスポンダのこの搬入によってもたらされる、電磁波の変化は、センサによって、自身の周辺領域の特性の変化として識別される。電磁波の変化を識別することが可能であることによって、スピーカーの駆動制御に必要な本発明は、センサの周辺領域の特性の特定の変化を、無線信号もしくは変調された波を介してもたらすことができる。特に有利には、変化が識別される電磁波は、WLAN無線網の電磁波ではなく、特に、IEEE−802.11系の規格に従った無線網の電磁波ではない。
【0057】
有利な実施形態では、センサは、自身の周辺領域内の特性もしくは自身の周辺領域内の特性の変化を、この特性もしくはこの変化を生じさせる素子と直接的に電気的に接触することなく検出する。付加的なまたは択一的な実施形態では、センサは、自身の周辺領域内の特性もしくは自身の周辺領域内の特性の変化を、この特性もしくはこの変化を生じさせる素子と直接的に機械的に接触することなく検出する。これは、本発明の装置に、次のような利点を与える。すなわち、操作者が装置の比較的近い周辺における特性を所定の様式で設定しただけ、もしくはこれを所定の様式で変更しただけで、既にオーディオ情報の再生を行うことができる、という利点である。これによって、オーディオ情報を再生するために、対象物を特定の方法で、オーディオ情報を再生するための本発明の装置と接触させる必要性、キー部材等を装置内に設けられている収容部に入れる必要性、またはUSBメモリスティック等を従来技術から公知の方法でUSB収容ソケットに差し込む必要性が無くなる。センサの周辺領域の特性の無接触検出、もしくはセンサの周辺領域の特性の変化の無接触検出に対して、特にアンテナ、誘導型センサ、磁界センサまたは赤外スペクトルにあるビームを検出することができる温度センサが適している。しかし、センサが容量型センサ、圧電式センサ、超音波変換器または電気化学式センサであってもよい。
【0058】
択一的な実施形態では、センサは、赤外スペクトルにあるビームを検出することができる温度センサとして構成されていない。択一的な実施形態では、センサは、アンテナとして構成されていない。択一的な実施形態では、センサは容量型センサとして構成されていない。択一的な実施形態では、センサは圧電式センサとして構成されていない。択一的な実施形態では、センサは超音波変換器として構成されていない。択一的な実施形態では、センサは、電気化学式センサとして構成されていない。択一的な実施形態では、センサは、光電子工学式センサとして構成されていない。
【0059】
本発明の装置および本発明の方法は、その操作コンセプトにおいて、次のことに基づいていてよい。すなわち、センサが特定の、具体的な特性またはこの特性の特定の変化を検出するということに基づいていてよい、もしくはコントロールユニットがセンサから自身に供給された測定信号から、センサの周辺領域内に特定の特性が存在していること、もしくは特性の所定の変化が存在していることを識別するということに基づいていてよい。例えば、本発明の装置および本発明の方法は次のことに基づいていてよい。すなわち、磁界が、センサの周辺領域において、磁界強度の特定の絶対値を有している、または磁界の磁界方向が、優先方向に対して特定の角度を有しているということに基づいていてよい。しかし有利な実施形態では、本発明の装置および本発明の方法は、多数の種々のオーディオ情報を再生するために使用されるべきであり、再生されるべきオーディオ情報の選択は、センサの周辺領域における各具体的な特性の存在もしくは各具体的な、特性の変化の存在に依存すべきであるので、この実施形態では、次のような制限が生じる。すなわち制限された数のオーディオ情報だけが、再生可能である、という制限である。本発明の装置が例えば、磁界の強度がセンサの周辺領域において第1の値である場合に第1の曲が再生され、磁界がセンサの周辺領域において第2の強度を有している場合に第2の曲が再生されるように構成されている場合、装置によって再生可能なオーディオ情報の数は、次のことに依存する。すなわち、センサの、どのような最大磁界強度値およびどのような最小磁界強度値が検出可能であり、かつセンサが検出することができるインクリメントがどの程度に細かいのかに依存する。したがって、周辺の特性もしくは周辺の特性の変化は、特に、変調された波、特に電磁波、特に無線周波数領域における電磁波でもある。しかし特に、有利には、WLAN無線網の電磁波、特に、IEEE−802.11系の規格に従った無線網の波ではない。これによって、本発明の装置にとって、次のことが可能になる。すなわち、センサ周辺の特定の領域における受動的なRFIDトランスポンダの存在を検出し、オーディオ情報の再生を例えば、RFIDトランスポンダがおおよそセンサの周辺領域内に存在している場合に行う、もしくはオーディオ情報の再生を、特定のRFIDトランスポンダが、センサの周辺領域において検出された場合に行うことが可能になる。同様に、有利な実施形態では、自身の周辺領域における、センサによって検出されるべき特性、もしくは自身の周辺領域の、センサによって検出されるべき、この特性の変化が、能動的なRFIDトランスポンダによってもたらされる。同様に、特性として、電磁波の存在が、Bluetooth(R)規格にしたがって検出される、または電磁波の存在が、近距離通信(NFC)規格にしたがって検出されることが可能である。同様に、センサの周辺領域の特性の、検出されるべき変化が、Bluetooth(R)規格またはNFC規格に従った電磁波によって提供され、センサによって検出されてもよい。しかし、有利な実施形態では、センサは、次のように構成されている。すなわち、センサが、Bluetooth(R)規格に従った電磁波の存在または近距離通信(NFC)規格に従った電磁波の存在を検出することができず、かつ/またはセンサが、Bluetooth(R)規格またはNFC規格に従った電磁波の変化を検出することができないように構成されている。
【0060】
特に有利には、電磁波を介して識別子が伝送される。この識別子によって、コントロールユニットは、本発明の装置の記憶装置またはサーバーに格納されているデータセットを識別することができ、このデータセットに基づいて、オーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御することができる。特に有利には電磁波は、機能する、かつスピーカーの駆動制御に適しているオーディオフォーマット、例えばMP3またはWAVにコントロールユニットによって変換可能であるデータを伝送しない。有利な実施形態では、目的は、電磁波がデータセットを識別可能にすることである。これは例えば、識別子の伝送によって行われる。しかしデータセット自体は伝送されない。択一的な実施形態では、電磁波はオーディオ情報の全データを伝送する。これによって、この装置は、センサによる相応の検出の前に装置に記憶されていなかった、オーディオ情報を再生することができる。択一的に、電磁波は、データの一部を伝送する。これは、例えば、オーディオ情報の最初の数秒または最初の数分の再生に必要なデータである。また、さらなるオーディオ情報の再生に必要なデータが、本発明の装置の記憶装置またはサーバーに格納され、識別子を介して識別される。しかしこの択一的な実施形態の有利な実施形態では、電磁波は、オーディオ情報の最初の1分、特に有利には最初の30秒、特別に有利には最初の10秒を再生するのに必要なデータの一部のみを伝送する。また、さらなるオーディオ情報の再生に必要なデータは本発明の装置の記憶装置内に、またはサーバーに格納され、識別子を介して識別される。
【0061】
したがって、有利な実施形態では、センサは、受動的なRFIDトランスポンダと通信する、かつ/または能動的なRFIDトランスポンダと通信する読み取り機器である。択一的な実施形態では、センサはアンテナを有している。このアンテナは、変調された波を放射する、かつ/または受信することができる。この波は特に、Bluetooth(R)規格またはNFC規格に従った波である。
【0062】
この装置は載置部(設置面)を有しており、この載置部の上に、対象物が継続的に配置される。ここでこのセンサは少なくとも、載置部の上方の領域において、特性またはこの領域の特性の変化を検出することができる、かつ/またはこの装置は固定部を有しており、この固定部に、対象物が継続的に固定される。ここでこのセンサは少なくとも、この固定部の隣の領域において、この領域の特性または特性の変化を検出することができる。したがって、対象物、例えば本発明の識別子担体を次のように配置することができる。すなわち、センサがこの領域の特性または特性の変化を検出することができる、センサの検出領域内に対象物が位置するように、対象物を配置することができる。これは、次のような利点を有している。すなわち、対象物または装置をユーザーが継続的に引き留めておかなくても、対象物が検出領域内に留まることができるという利点である。この固定部は、例えば、つり下げ機構、クリック機構、磁石機構、回転機構等によって実現可能である。
【0063】
本発明の装置のコントロールユニットは、センサが自身の周辺領域内で、この周辺の特定の特性または特性の特定の変化を検出すると、またはコントロールユニットが、センサによって検出されたこの特性の特定の変化を検出すると、オーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御することができる。有利な実施形態では、センサは、自身の周辺領域内で特定の特性または特性の特定の変化を検出すると、コントロールユニットによって検出可能な値を有する信号を形成する。例えば、センサが、次のような場合にのみ、コントロールユニットに供給される信号を形成してもよい。すなわち、センサが自身の周辺領域内で、この周辺の特定の特性または特性の特定の変化を検出する場合である。このような実施形態は、次のことを生じさせる。すなわちセンサが既に評価を行い、センサが周辺の特定の特性または特性の特定の変化を検出する場合にのみコントロールユニットに信号を供給するか、またはコントロールユニットに、特定の値を有する継続的な信号を供給する、ということを生じさせる。この信号は、センサが自身の周辺領域内で、この周辺の特定の特性または特性の特定の変化を検出すると、特定の、他の、コントロールユニットによって検出可能な値に変えられる。付加的にまたは択一的に、コントロールユニットが評価を行うことが可能である。このような実施形態では、センサは、コントロールユニットに継続的に測定信号を供給する。コントロールユニットは次のように構成されている。すなわち、例えば、値テーブルを格納することによって、センサから自身に供給された測定信号から、このセンサの周辺領域内に、特定の特性または特性の特定の変化が存在しているか否かを識別するように構成されている。ここで、センサ周辺の特性の変化は、特定の変化の一度の発生、例えば、特定の方向におけるセンサ周辺の磁界の磁界方向の変化の一度の発生だけではなく、センサの周辺領域における特性の時間的なシーケンスもしくはセンサ周辺の特性の変化の特定のシーケンスも、特性の変化である。これは例えば、変調された波を読み出す場合または電磁波を評価する場合である。
【0064】
有利な実施形態では、センサが自身の周辺領域内で、この周辺の特性の特定の変化を、この特性の変化の特定のシーケンスの形態で検出した場合にのみ、もしくはコントロールユニットがセンサによって検出されたこの特性の特定の変化を、この特性の変化の特定のシーケンスの形態で検出した場合にのみ、コントロールユニットは、オーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御する。変化のこのようなシーケンスは、文字列(ストリング)の様式で構成され得る。このような文字列(このようなストリング)は、例えば特定の箇所で、再生されるべきオーディオ情報に関する情報を含んでおり、別の特定の箇所で、コピーガードとしてまたは認証のために機能し得る識別ワードを含み得る。文字列の様式の変化のシーケンスが、再生されるべきオーディオ情報に関する情報は含んでいるが、この識別ワードは含んでいない場合、コントロールユニットは、スピーカーを駆動制御しない。識別ワードに対して択一的に、文字列は、コントロール装置によって、検証のために実行可能な、プログラム(ソフトウェア)の命令シーケンスであってもよい。
【0065】
ある実施形態では、センサが自身の周辺領域内で、この周辺の特定の特性または特性の特定の変化を検出した場合、またはコントロールユニットがセンサによって検出されたこの特性の特定の変化を検出した場合、コントロールユニットは、オーディオ情報を再生するためのスピーカーの駆動制御に対して付加的に、オーディオ情報の再生の様式も変えることができる。これは例えば、再生音量である。したがって、コントロールユニットは、スピーカーを、識別子担体がセンサに対して相対的に位置する角度に依存して駆動制御することができる。例えば、角度を変えることによって、再生音量を調整することができる。
【0066】
有利な実施形態では、装置は、記憶装置を有しており、この記憶装置内にデータが格納され、このデータに基づいて、コントロールユニットはオーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御することができる。このデータは特に、有利には、特定のデータフォーマット、例えばMP3フォーマットまたはWAVフォーマットのオーディオ情報を含んでいる。記憶装置が1つのオーディオ情報のデータしか有していない実施形態が可能である。本発明の装置は、このような実施形態では、次のことのために用いられる。すなわち、センサの周辺領域の特性の相応する発生時もしくはセンサの周辺領域のこの特性の変化の相応する発生時に、唯一のオーディオ情報を再生するために用いられる。このオーディオ情報の再生持続時間は特に有利には、少なくとも10秒である。有利な実施形態では、記憶装置内に、種々のオーディオ情報のデータが格納されている。特に有利には、このような実施形態では、コントロールユニットは次のように構成されている。すなわち、センサが自身の周辺領域内で、この周辺の特定の第1の特性または特性の特定の第1の変化を検出した場合、またはコントロールユニットがセンサによって検出された特性の特定の第1の変化を検出した場合に、コントロールユニットが、第1のオーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御するように構成されている。その再生は特に有利には、少なくとも10秒続く。また、センサが自身の周辺領域内で、この周辺の特定の第2の特性または特性の特定の第2の変化を検出した場合、またはコントロールユニットがセンサによって検出されたこの特性の特定の第2の変化を検出した場合に、コントロールユニットは、第2のオーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御する。その再生は特に有利には、少なくとも10秒続く。このようにして、センサの周辺領域の特性に特定の影響を与えることによって、またはセンサのこの周辺の特性の変化に特定の影響を与えることによって、装置が、多数のオーディオ情報のうちのどのオーディオ情報を再生するかを設定することが可能になる。例えば、装置は、センサの周辺領域において第1のRFIDトランスポンダの存在が検出されると、特定の第1のオーディオ情報を再生し、センサの周辺領域において第2のRFIDトランスポンダの存在が検出されると、第2のオーディオ情報を再生することができる。
【0067】
有利な実施形態では、例えばオーディオブックを個々の章の形態で再生するために、もしくはオーディオブックの個々の章を駆動制御可能にするために、オーディオ情報のデータは、別個に読み出し可能なデータシーケンスを有するデータセットとして格納されている。データセットの各データシーケンスは、有利な実施形態では、別個に読み出され、スピーカーの駆動制御に使用される。
【0068】
有利な実施形態では、この装置は、データをインターネットから受信する、かつ/またはデータをインターネットへ送信するユニットを有している。これは特に有利には、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、モバイルデータ無線技術、例えばLTE、UMTSまたはその先行物または後継物のためのアンテナ、またはインターネットアクセスも有しているローカルネットワークのケーブルの端子用の接続ソケット、例えば、イーサーネットケーブル用の接続ソケットである。データをインターネットから受信するユニットが存在することによって、コントロールユニットが、特定のデータフォーマットを有している、再生されるべきオーディオ情報を含んでいるデータを、インターネットからダウンロードすることが可能になる。このようにして、装置は、センサが自身の周辺領域内で、この周辺の特定の特性または特性の特定の変化を検出する以前に、またはコントロールユニットがセンサによって検出されたこの特性の特定の変化を検出する以前に、装置内に格納されていなかったオーディオ情報を再生することができる。ここでこのコントロールユニットは次のように構成可能である。すなわち、コントロールユニットがデータをインターネットから受信し、記憶装置内に継続的に格納し、この記憶装置内に格納されているデータに基づいてオーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御するように構成可能である。付加的にまたは択一的に、コントロールユニットが、インターネットから受信したデータを直接的に、オーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御するために使用することが可能である(いわゆるストリーミング)。ここでこの実施形態は、インターネットから受信したデータの、緩衝記憶装置内での一時的な緩衝記憶も含み得る。
【0069】
特定のデータフォーマットを有するオーディオ情報を含んでいるデータをインターネットから受信する実施形態では、例えば、コントロールユニットが、記憶装置内に、インターネットと接続されているサーバーの、特定のサーバーアドレスを保持し、各特定の特性または特性の各特定の変化が各識別番号に割り当てられているテーブルを記憶装置内に保持することが可能である。コントロールユニットは、このような実施形態では次のことのために構成されている。すなわち、特定の特性の識別時もしくは特性の特定の変化の識別時に具体的なサーバーと通信するため、かつ特定の特性もしくはこの特性の特定の変化に割り当てられている、識別番号を用いて、サーバーから、特定のデータセットをダウンロードするため、かつこのデータから得られるオーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御するために使用するために構成されている。例えば、サーバー上には、曲のタイトルが、特定のデータフォーマットを有するデータとして格納され得る。ここで各曲のタイトルもしくはこの曲のタイトルを含んでいるデータは、サーバー上に、特定の識別コードが付けられて格納されている。有利な実施形態では、本発明の装置は既に、割り当てテーブルを含んでいる。この割り当てテーブルは、センサの周辺領域の特定の特性もしくはこの特性の変化を、幾つかの、または多数の、またはむしろ有利な実施形態では全ての識別番号に割り当てる。これらは、サーバーのデータバンク上でも使用される。これによって、コントロールユニットは、所期のように、データセットをサーバーからダウンロードすることができるようになる。択一的に、コントロールユニットが、検出された特定の特性もしくはこの特性の、検出された特定の変化を含んでいる情報を特定のサーバーに伝送するように構成されることが可能である。このサーバーは、インターネットと接続されている。この場合には、識別された特定の特性もしくは識別された、この特性の特定の変化の、特定のオーディオ情報への割り当てをサーバー上で行うことができる。コントロールユニットはこの場合には、再生されるべきオーディオ情報を含んでいるデータをサーバーから受信するように構成されている。サーバーはこのデータを本発明の装置に伝送する。サーバーは、このデータを、コントロールユニットから自身に伝達された特定の特性、もしくはコントロールユニットから自身に伝達された、この特性の特定の変化に割り当てている。この実施形態は、本発明の装置内での割り当てテーブルの保持の必要性を回避し、これによって、センサの周辺領域の特定の検出された特性もしくは特性の特定の検出された変化に基づく、オーディオ情報を含んでいる特定のデータの受信の柔軟性が高まる。このような実施形態によって、例えば、サーバーに供給されるデータセットの数を増大させることができる。ここでは、割り当てテーブルを本発明の装置のコントロールユニットにおいて調整する必要はない。同様に、このようにして、安全コンセプトを容易に実装することができ、これによって例えば、特定のデータセットが、例えばこの特定のデータセットに対して権利が生じていないために、伝送されることが阻止され得る。
【0070】
有利な実施形態では、コントロールユニットは、オーディオ情報を再生するようにスピーカーを直接的に駆動制御するように構成されている。特に有利には、コントロールユニットに、オーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御するために、さらなる開始信号が供給される必要はない。しかしここでは、コントロールユニットがオーディオ情報を再生するためのスピーカーの駆動制御を、遅延素子によって遅らせることが可能である。
【0071】
有利な実施形態では、本発明の装置は、センサが自身の周辺領域内で、この周辺の特定の特性または特性の特定の変化を検出した時、またはセンサによって検出されたこの特性の特定の変化をコントロールユニットが検出した時に、コントロールユニットによるオーディオ情報を再生するためのスピーカーの駆動制御に操作者が影響を与えることができる操作部材を有していない。このような実施形態では、コントロールユニットに、オーディオ情報を再生するためのスピーカーの最初の駆動制御のための命令とは異なる、別の命令を供給するために操作部材が設けられることが可能である。これは例えば、スピーカーを介したオーディオ情報の再生音量を調節するための操作部材である。
【0072】
同様に、別個に読み出し可能なデータシーケンスを伴うデータセットのデータに基づいている、オーディオ情報の再生時に、最初の章から次の章へと跳ぶために、操作部材が設けられていてよい。このような実施形態でも、操作者が、コントロールユニットによるオーディオ情報を再生するためのスピーカーの最初の駆動制御後に、この再生を中断することを可能にする操作部材が設けられていてよい。したがって、有利な実施形態では操作部材が設けられているが、コントロールユニットは、このような実施形態において、オーディオ情報を再生するように、スピーカーを単独で、次のことによって駆動制御することができる。すなわち、センサが自身の周辺領域内で、この周辺の特定の特性または特性の特定の変化を検出することによって駆動制御することができる。ここで、操作者は操作部材を操作することはない。
【0073】
択一的な実施形態では、この装置は操作部材を有しており、コントロールユニットは次のように構成されている。すなわち、コントロールユニットが所定の信号をこの操作部材から受け取ったときにはじめて、コントロールユニットがオーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御するように構成されている。例えばこの操作部材は、オーディオ情報を再生するためのスピーカーの駆動制御に対する開始命令を与えることができる。しかし、特別に有利な実施形態では、この開始命令は、オーディオ情報を再生するためのスピーカーの駆動制御の開始に必要な唯一の開始命令である。特に有利には、この実施形態では、次のことは設定されていない。すなわち、この操作部材または他の操作部材によって、コントロールユニットがオーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御する前にコントロールユニットに供給されなければならないさらなる命令信号が形成されることは設定されていない。特に有利には、装置の記憶装置内に格納されている、オーディオ情報用の多数のデータから、再生のためのデータセットを選択するための操作部材は設けられていない。特に有利にはこの実施形態では、再生されるべきデータセットは単独で、センサによって検出された特定の特性に基づいて、もしくはセンサの周辺領域の、センサによって検出された、この特性の特定の変化に基づいて、もしくはコントロールユニットによって検出された、センサによって検出された特性の特定の変化に基づいて選択される。このような実施形態は、特に、従来技術から公知のMP3プレーヤーと比べて、操作を簡易化する。MP3プレーヤーでは、特定のオーディオ情報を再生するために、まずは、オーディオ情報が、リストから選択されなければならない。
【0074】
有利な実施形態では、コントロールユニットは次のように構成され得る。すなわち、センサが自身の周辺領域内で特定の特性またはこの特性の特定の変化を検出しなくなるとすぐに、もしくはコントロールユニットがセンサによって検出されたこの特性の特定の変化を検出しなくなるとすぐに、コントロールユニットが、オーディオ情報を再生するためのスピーカーの駆動制御を中断するように、コントロールユニットは構成され得る。この中断は特に有利には迅速に、または遅らされて、または音量の漸次の低減によって引き起こされる。これによって、例えば、有利な実施形態において使用されているRFIDトランスポンダがセンサの周辺領域から離れた場合に、オーディオ情報の再生が中断される。択一的に、コントロールユニットを次のように構成することが可能である。すなわち、センサが自身の周辺領域内で、特定の特性またはこの特性の特定の変化を検出しなくなった場合でも、もしくはコントロールユニットが、センサによって検出された特性の特定の変化を検出しなくなった場合でも、オーディオ情報の再生が継続されるように、コントロールユニットを構成することが可能である。
【0075】
有利な実施形態では、この装置は、オフ可能な、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)用のアンテナを有している。特に、オーディオ情報を再生するための本発明の装置が子供によって使用されるべき場合には、子供の周囲で生成される電磁波を低減することに関心が寄せられるだろう。このために、WLANアンテナをオフするのは有利であり得る。
【0076】
有利な実施形態では、本発明の装置は立方体状に形成されている。本発明の装置が、他の形状、例えば球状であっても、または例えば、子供に特に好まれる、大きい対象物の形状を有していてもよい。これは例えば、船、機関車、家または象等の動物の形状である。
【0077】
有利な実施形態では、この装置は、識別子担体用の収容部を有している。これは、光学的に、触感的に、かつ/または表面での凹部、例えば、窪みまたは隆起によって、見分けが付くようにされている。有利な実施形態において、この装置では、識別子担体は機械的にまたは磁気的に取り外し可能に固定されている。以降で、本発明のシステムに関連して詳細に説明されるように、本発明の装置は特に有利には、システムの一部として使用される。ここでは、この装置は、識別子担体と協働する。ここではこの識別子担体は、識別子担体がセンサの周辺領域内にある場合、または識別子担体がセンサ周辺の特性を変える場合、およびセンサがこの変化を検出することができる場合に、センサが検出することができる特性を有している。本発明の装置に、見分けが付くようにされている収容部が形成されている場合、識別子担体をこの収容部内に位置付けることが可能である。収容部を設けることによってさらに、中にセンサが構成されている領域を区切ることができ、センサのこのような周辺領域内で、特定の特性または特性の特定の変化が検出される。収容部を設けることによって本発明の装置を、有利な実施形態において次のように構成することができる。すなわち、センサが自身の周辺の特性を、収容部のこの領域においてのみ検出することができる、もしくはこの周辺の特性の変化を、収容部のこの領域においてのみ検出することができるように構成することができる。これによって、不所望な誤操作が無くなる。以降で詳細に説明される本発明のシステムでは、センサはむしろ、識別子担体がこの収容部内に配置されている場合にのみ、コントロールユニットが、オーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御するように構成されている。
【0078】
有利な実施形態では、この装置は、ロッカスイッチの形状の操作部材を有しており、この操作部材によって、オーディオ情報の再生音量に影響を与えることができる。これはこのロッカスイッチが第1の位置で第1の信号、例えばオーディオ情報の再生音量を上げるための信号をコントロールユニットに送出し、ロッカスイッチが第2の位置で、第2の信号、例えばオーディオ情報の再生音量を下げるための信号をコントロールユニットに送出することによって行われる。さらにこのようなロッカスイッチは、中立な中間位置を有していよく、この中間位置では、音量に影響を与える信号が、コントロールユニットに送出されない。択一的に、この装置が、オーディオ情報の再生音量を上げるための信号をコントロールユニットに伝送するための第1の操作部材を有し、さらに、この装置が、オーディオ情報の再生音量を下げるための信号をコントロールユニットに送出するための第2の操作部材を有していてよい。特別に有利な実施形態では、音量の増大に影響を与える操作部材は、オーディオ情報の再生音量の低減に影響を与える操作部材よりも大きく形成されている。特別に有利な実施形態では、これら2つの操作部材は、装置の基体のハウジングに取り付けられている耳の形状を有しており、例えばハウジングから突出している。これらの耳の形状の操作部材は、自身によって形成されるべき、オーディオ情報の再生音量に影響を与えるための信号を、押圧運動または曲げ運動の実行の際に、出力することができる。これは、次のような利点を有している。すなわち、ユーザーが、言語知識に頼ることなく、操作部材の機能を識別することができるという利点である。
【0079】
有利な実施形態では、本発明の装置はディスプレイを有している。このディスプレイは、特にE−Inkディスプレイであってよい。このディスプレイは、接触感応式ディスプレイであってもよい。付加的にまたは択一的に、この装置が、LEDまたはLEDシーケンスを有していてもよい。
【0080】
有利な実施形態では、この装置は、近接センサ、運動センサ(加速度センサ)、周辺光センサ、湿度センサ、傾斜センサ、GPSセンサおよび/またはジャイロセンサを有している。このようなセンサによって、コントロールユニットに対するさらなる操作命令を形成することができる。例えば、このように構成された装置は、揺さぶりを識別することができ、ここから、コントロールユニットに対する操作信号を形成する。例えば、装置の揺さぶりは、種々異なるオーディオ情報のデータをランダムな順番で再生するために用いられる。同様に、このように構成された装置は、装置に軽い打撃が左側から加えられたのか、または右側から加えられたのかを識別することができる。これは例えば、データセット内で、次の章に跳ぶまたは前の章に跳ぶために使用される。同様に、このように構成された装置は、これが投げられたか否かを識別することができる。ここからも操作信号が形成され得る。
【0081】
有利な実施形態では、この装置はセンサを有しており、このセンサは、収容部の領域内に配置されている対象物と、この収容部との間の距離に依存した信号を形成することができる。これは、例えば超音波センサである。これによって、この装置の有利な実施形態において、スピーカーの駆動制御を信号に依存させることができ、例えば、対象物が収容部に接触しているか、またはほぼ接触しているかに依存させることができる。さらに、これによって、付加的または択一的な実施形態において、この距離の変化に応じて、さらなる操作命令を形成することが可能である。例えば、対象物の短時間の除去および再度の据え付けを、データセット内で、次の章に跳ぶために使用することができる。
【0082】
このように配向された装置は、これが垂直方向に傾けられているか、または水平方向に傾けられているかを識別することができる。この信号も、コントロールユニットに対する操作信号の形成に用いることができる。例えば、垂直方向の傾けは再生リスト内の誘導に用いられ、水平方向の傾けはアプリケーション間の切り替えを可能にする。
【0083】
有利な実施形態では、本発明の装置は、データ端子、例えばUSB端子を有している。このような端子を介して、例えば、有利な実施形態において、装置の一部として設けられている記憶装置に、オーディオ情報を含んでいるデータが与えられる。同様に、本発明の装置をこのような端子を介して、例えば、装置のソフトウェアを構成するために、コンピューターと接続することが可能である。
【0084】
有利な実施形態では、装置は、発泡材または他の弾性材料によって包囲されている。特に有利には、本発明の装置は、完全に、発泡材または他の弾性材料によって包囲されている、もしくはディスプレイを伴う実施形態では、このディスプレイの領域においてのみ、発泡材または弾性材料によって包囲されていない。一方では、この包囲によって、装置のさらなる構造部材が保護され、他方では、この包囲によって、子供が怪我から保護される。
【0085】
有利な実施形態では、本発明の装置は、エネルギー蓄積器、特にバッテリー、特に有利には再充電可能なバッテリーを有している。有利な実施形態では、本発明の装置は次のように構成されている。すなわち、バッテリーが無線で、例えば誘導式のエネルギー伝送によって充電可能であるように構成されている。これによって、充電ステーションを子供向けに形成することができる、という利点が得られる。充電ステーションは、例えば、充電のために本発明の装置をその中に置けばよいだけの充電スタンドの形態で形成される。これによって、本発明の装置のバッテリーを充電するために、子供が電気ケーブルを操作する必要が無くなる。
【0086】
有利な実施形態では、本発明の装置は、例えば常夜灯として機能するために、光を生じさせることができる。
【0087】
有利な実施形態では、本発明の装置は、ハウジングを有している。このハウジング内に、センサが次のように配置されている。すなわち、センサがこの周辺の特性または特性の変化を検出することができるセンサの周辺領域が1mより多く、ハウジングの表面を超えて延在しないように、特に有利には150mmより多く、ハウジングの表面を超えて延在しないように、特に有利には100mmより多く、ハウジングの表面を超えて延在しないように、特に有利には50mmより多く、ハウジングの表面を超えて延在しないように、特に有利には10mmより多く、ハウジングの表面を超えて延在しないように、特に有利には5mmより多く、ハウジングの表面を超えて延在しないように配置されている。これは、次のような利点を提供する。すなわち、コントロールユニットがオーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御するためにセンサが検出すべきである特性もしくは特性の変化が、装置のハウジングを中心にした狭い領域内でのみ識別されるという利点である。これによって誤操作が回避される。
【0088】
有利な実施形態では、この装置は、不燃性材料または難燃性材料から製造されている。
【0089】
有利な実施形態では、この装置はマイクまたは例えばマイクから到来するオーディオ信号のための接続手段を有している。これによってこの装置を音声で制御することが可能になる、またはこの装置はレコーディング可能になる。
【0090】
特に有利にはこの装置はWLANアンテナを介して無線ローカルエリアネットワークに組み込まれ、さらに、WLANアンテナを介して制御命令を受信することができ、例えばスマートフォンまたはPCを介して制御可能である。この制御命令は、有利な実施形態では、ユーザーがオーディオ情報の再生の開始に影響を与えることができる制御命令ではない。同様に本発明の装置を、遠隔操作を介して操作されるように構成することができる。
【0091】
有利な実施形態では、本発明の装置はカメラを有している。本発明の装置が例えば、常夜灯として形成される場合には、このカメラは、この装置の隣にいる子供に対する監視機能を担うことができる。これはこのカメラが例えば、スマートフォンから駆動制御可能であること、およびこのカメラによって撮影された画像が、ディスプレイ、例えばテレビ、スマートフォン、または他のモバイルディスプレイに再生可能であることによって行われる。付加的にまたは択一的に、マイクによって採取された、もしくは接続手段を通じて供給されたオーディオ情報を、このような方法で、スピーカーまたはスマートフォンで再生することが可能である。
【0092】
同様に、WLANアンテナを介して、無線ローカルエリアネットワークに組み込まれた装置は、再生されるべきオーディオ情報を、ネットワークの他の加入者に伝送することができる。これは例えば、テレビまたは他のスピーカーへの伝送である。
【0093】
有利な実施形態では、コントロールユニットのオペレーティングシステムはFirefox OSである。有利な実施形態では、コントロールユニットのこのオペレーティングシステムを、アップデートによって更新することができる。
【0094】
有利な実施形態では、コントロールユニットは、スピーカーの駆動制御に関する情報を求め、ドキュメント化するように構成されている。この情報は、例えば、特定のオーディオ情報が再生された頻度、または特定のオーディオ情報が再生された順番である。特に有利には、この装置は、このような情報をサーバーに伝達するように構成されている。
【0095】
有利な実施形態では、装置は、有利には電気的なコンタクトを用いずに、例えば誘電によって、後述する識別子担体に電流を供給するための手段を有している。
【0096】
本発明のシステムは、本発明の装置および識別子担体を有している。ここでこの識別子担体は、識別子担体がセンサの周辺領域内に位置している場合、または識別子担体がセンサ周辺の特性を変える場合に、センサが検出することができる特性を有している。本発明のシステムの基本的な考えは、特定の識別子担体が、センサが特性もしくは特性の変化を検出することができるセンサの周辺領域内にもたらされると、コントロールユニットが、オーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御するというものである。しかし、ここで、特別に有利な実施形態では、この領域内への識別子担体の搬入によって既に、オーディオ情報を再生するためのスピーカーの駆動制御がトリガされるべきである。ここでは、さらなる操作命令が形成される必要はない。
【0097】
本発明のシステムのこのような基本的なコンセプトは、オーディオ情報を再生するための装置の操作を著しく容易にする。ここでは、従来技術から公知のCDプレーヤーで必要であるような、傷が付く恐れのあるCDを操作する必要はもはやない、または従来技術から公知のMP3プレーヤーにおいて、オーディオ情報を再生するためのスピーカーの駆動制御に必要な、操作部材の複雑な一連の操作を学習する必要はもはやない。本発明の最も簡易化された実施形態では、識別子担体を、センサが特性または特性の変化を検出することができるセンサ周辺領域内に搬入するだけでよく、これによって、自動的に、オーディオ情報を再生するためのスピーカーの駆動制御がコントロールユニットによってトリガされる。
【0098】
有利な実施形態では、識別子担体は、フィギュア、殊に人間のフィギュアまたは動物のフィギュアまたは空想上のフィギュアの形状を有している。特に有利には、識別子担体は、足を有するフィギュアの形状を有している。特に有利には、識別子担体が足を有するフィギュアの形状である場合には、磁石が、このフィギュアの足の中に配置されている。したがって、このフィギュアは本発明の装置上に立つことができる。
【0099】
有利な実施形態では、識別子担体はフィギュアの様式で形成されているが、その上にフィギュアが立つ台座を有していない。
【0100】
有利な実施形態では、識別子担体は、装置と機械的に固定可能ではない。特に有利には、この装置および識別子担体は、識別子担体を装置と接続することができるプラグとソケットとから成るシステムを有していない。
【0101】
有利な実施形態では、操作者が、識別子担体を、その形状、彩色、表面構造および/またはその材料に基づいて、特定のオーディオ情報と関連付けすることができるように識別子担体が構成されており、センサがこの周辺の特性または特性の変化を検出することができるセンサ周辺領域内に識別子担体がもたらされると、オーディオ情報を再生するためのスピーカーの駆動制御がトリガされる。このオーディオ情報は内容的に、ユーザーの上記の関連付けと関連している。これは例えば、フィギュアの様式で形成可能であり、フィギュアの形状と関連しているオーディオ情報の再生をトリガすることができる。例えば、このフィギュアは、Benjamin Bluemchen(R)の形状を有し、再生されるオーディオ情報は、Benjamin Bluemchen(R)が主人公のオーディオストーリであってよい。同様に、識別子担体を個々に整合させることができる。例えば、識別子担体を、ある別の人物の比較的近い環境の人物の形状を模したフィギュアとして形成することができ、再生されるオーディオ情報がこの人物によって以前に録音されたオーディオ情報であってよい。同様に、識別子担体が、科学者を模したフィギュアの形状を有しており、オーディオ情報がこの科学者による発見の内容を有していてもよい。さらに、フィギュアが作曲家または演奏家を模しており、オーディオ情報がこの作曲家または演奏家のコンテンツを含んでいてよい。識別子担体が、曲、楽曲集(アルバム)またはプレイリストに対するオーディオ情報をトリガすることが可能である。
【0102】
有利な実施形態では、識別子担体は、自身に記憶されたデータが変更可能であるように構成されている。別の有利な実施形態では、識別子担体は、自身に記憶されたデータが変更不可能であるように構成されている。別の有利な実施形態では、識別子担体は、次のように構成されている。すなわち、自身に記憶されたデータが一度だけ変更可能であり、その後は変更不可能であるように構成されている。有利な実施形態では、初めのうちは変更可能な識別子担体は、この識別子担体が特定の処理によって、変更不可能な識別子担体になることができるように構成されており、有利には、識別子担体を、再び、変更可能な識別子担体に戻すことはできない。この処理は、有利には、機械的な様式であってよく、例えば、特定の電気的な線路の切断または接続である。付加的なまたは択一的な実施形態では、この処理は可視光によって、不可視の電磁波(例えば無線信号、紫外光)、磁気的、電気的かつ/または熱的なパルスによって行われてよい。有利な実施形態では、識別子担体は、クリック機構によって、他の対象物、例えばフィギュア内にまたは他の対象物、例えばフィギュアの表面に固定されるように構成されている。この過程の後、対象物を全体的に、識別子担体として見なすことができる。特別に有利な実施形態では、識別子担体は、機械的な処理によって、変更不可能になることができるように構成されている。これを、識別子担体を対象物と結合するためのクリック機構の操作のための運動と組み合わせることが可能である。したがって例えば、この処理は、対象物内へのクリックと同時に行われ得る。
【0103】
有利な実施形態では、識別子担体は、これが、誘導によって、能動的な電子部品を動かすために電流供給されるように構成されている。有利な実施形態では、識別子担体は、データメモリを提供する能動的な電子部品を含んでいるように構成されている。このようなデータメモリは、有利には不揮発性である。有利な実施形態では、データメモリは、周辺の特性の変化に対する基礎となり得る識別子および/またはオーディオ情報を提供することができるように構成されている。識別子担体に記憶されているオーディオ情報が装置に伝送されることによって、この装置は、センサが自身の周辺領域内でこの周辺の特定の特性または特性の特定の変化を検出する以前に、またはコントロールユニットが、センサによって検出されたこの特性の特定の変化を検出する以前に、装置に記憶されていなかったオーディオ情報を再生することができる。有利な実施形態では、識別子担体は、センサおよびコントロールユニットによって再びデータに変換可能である、周辺の特性の変更に適している能動的な電子部品を有している。有利な実施形態では、識別子担体は、プロセッサを有している。有利な実施形態では、識別子担体はデータ受信ユニットも有している。
【0104】
識別子担体は、オーディオ情報を再生するという目的と無関係でも、有利である。データの記憶および転送のために、一般的に、ある実施形態は、以下のものを有するように構成され得る。すなわち、
・電磁波用のアンテナと、
・少なくとも1メガバイトの記憶容量を有している不揮発性データメモリを含んでいる能動的な電気部品と、
・データを不揮発性データメモリからアンテナを介して送信することができるように構成されている送信ユニットと、
・アンテナとは異なる、エネルギーを受け取り、データメモリおよび送信ユニットに給電するために充分な電流に変換して、データ送信過程に対する継続的なエネルギー蓄積器を不必要にするエネルギー受信ユニットと、
・データを、データメモリから読み出し、送信ユニットを介してこのデータを送信する準備ができている制御ユニットと、
を有するように構成され得る。特に有利には、制御ユニットは、エネルギー受信ユニットがそれに対して充分なエネルギーを供給するとすぐに無接触にデータを読み出すように準備ができており、無接触の要求に応じて、データメモリからのデータを、完全にまたは部分的に送信ユニットを介して伝送する。識別子担体の個々の実施形態の上述した態様および後述する態様は、このような一般的に使用可能な識別子担体にも転用可能である。ここで、スピーカーの駆動制御はそれぞれ、識別子担体に記憶されているデータの処理または表示に置換される。有利な実施形態では、データメモリは、少なくとも500メガバイト、1ギガバイトまたは4ギガバイトの記憶容量を有している。
【0105】
有利な実施形態では、識別子担体は次のように構成されている。すなわち、識別子担体が、センサの周辺領域内で、この周辺の1つの特定の特性だけ、または特性の1つの特定の変化だけを形成し、これによって、コントロールユニットが特定のオーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御することだけが引き起こされるように構成されている。システムのこのような実施形態では、付加的なオーディオ情報を再生するために付加的な識別子担体が調達もしくは保持されなければならない。これによって、このような実施形態において、本発明は、従来技術のMP3プレーヤーでしばしば見られる、できるだけ多くの機能もしくはできるだけ多くのオーディオ情報を、それぞれ特定の操作シーケンスを介して、しかし、さらなる装置を加えることなく呼び出し可能であるように1つの機器内に統合するという原則から解放される。このようなMP3プレーヤーと比べて、本発明のシステムの構成では、本願に記載した実施形態において、より多くのコストがかかる。なぜなら、種々のオーディオ情報を再生するために、多数の識別子担体が保持されなければならないからである。しかし、簡易化された操作コンセプトへの需要が存在することが判明している。ここでは、識別子担体に割り当てられている1つのオーディオ情報の容易な再生のために、保持されるべき識別子担体の数は多い。例えば、この実施形態によって、玩具システムを構築することが可能になる。ここでは、フィギュア状に形成された識別子担体はそれぞれ、特定の、自身に割り当てられた曲、または特定の、自身に割り当てられた口述された物語を識別するためだけに適している。これは、玩具のスピーカーを駆動制御することによって再生される。しかし子供は、フィギュアを選択することによって、および簡易化された操作コンセプトに基づいて、自身で、どの曲もしくはどの口述された物語が再生されるべきかを選択することができる。この操作コンセプトでは、有利な実施形態において、識別子担体がセンサの周辺領域内で、この周辺の相応する1つの特性または特性の相応する1つの変化を形成するとすぐに、曲もしくは口述された物語が迅速に再生される。この周辺の1つの相応する特性または特性の1つの相応する変化を形成することによって、オーディオ情報の再生のために、別個に読み出し可能なデータシーケンスを有するデータセットが識別される。これによって、例えば、この1つの識別子担体によって、オーディオブックを、個々の章の形態で識別することができ、さらに、オーディオブックの個々の章を駆動制御可能にすることができ、もしくは連続した物語またはシリーズの個々のシーケンスを識別することができる。
【0106】
特に有利には、識別子担体は、識別子担体がセンサの周辺領域内で、この周辺の特性または特性の変化だけを形成する様式に影響を与える操作部材を有していない。センサの周辺領域内でこの周辺の1つの特定の特性のみ、または特性の1つの特定の変化のみを形成することができるように識別子担体が構成されており、したがって、コントロールユニットが特定のオーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御することだけが引き起こされる使用ケースに、この実施形態は特に良好に適している。付加的または択一的に、識別子担体は、次のような操作部材を有している。すなわち、それによって、センサの周辺領域内で、センサによって検出される、この周辺の1つの特定の特性だけが形成されるのではなく、複数の特定の特性または特性の特定の変化が形成され、かつそれによって、コントロールユニットがオーディオ情報の再生の様式を変えることができる操作部材を有している。この再生の様式は、例えば再生音量、または次のまたは前の章または曲を選択するための制御命令である。したがって、識別子担体の操作部材を操作すること、例えばフィギュアとして形成されている識別子担体の腕または頭を回転させることによって、オーディオ情報の再生の様式、例えば再生音量を変えることができる。
【0107】
有利な実施形態では、識別子担体はエネルギー蓄積器を有しておらず、特に有利には、バッテリー等の継続的なエネルギー蓄積器を有していない。特に有利には、識別子担体はコンデンサを除いてエネルギー蓄積器を有していない。
【0108】
オーディオ情報を再生するための本発明の別の方法は、
・スピーカーまたはスピーカー端子と、
・自身の周辺領域内で、この周辺の特性または特性の変化を検出することができるセンサと、
・その上に対象物を継続的に配置することができる載置部、および/またはそこに対象物を継続的に固定することができる固定部と、
・コントロールユニットと
を有する装置によって実行される。ここでセンサは少なくとも載置部の上方の領域において、この領域の特性または特性の変化を検出することができる。センサは少なくとも、固定部の隣の領域において、この領域の特性または特性の変化を検出することができる。ここでコントロールユニットは、センサが自身の周辺領域内で、この周辺の特定の特性または特性の特定の変化を検出した場合、またはコントロールユニットが、センサによって検出されたこの特性の特定の変化を検出した場合に、オーディオ情報を再生するようにスピーカーまたはスピーカー端子を駆動制御する。このオーディオ情報の再生は、特に有利には少なくとも10秒続く。
【0109】
画像情報、ビデオ情報、または3D情報を再生する本発明の別の方法は、
・画像情報、ビデオ情報、または3D情報のためのディスプレイまたはこのようなディスプレイ用の端子と、
・自身の周辺領域内で、この周辺の特性または特性の変化を検出することができるセンサと、
・その上に対象物を継続的に配置することができる載置部、および/またはそこに対象物を継続的に固定することができる固定部と、
・コントロールユニットと
を有する装置によって実行される。ここでセンサは少なくとも、載置部の上方の領域において、この領域の特性または特性の変化を検出することができる。センサは少なくとも、固定部の隣の領域において、この領域の特性または特性の変化を検出することができる。ここでコントロールユニットは、センサが自身の周辺領域内で、この周辺の特定の特性または特性の特定の変化を検出した場合、またはコントロールユニットが、センサによって検出されたこの特性の特定の変化を検出した場合に、画像情報、ビデオ情報、または3D情報を再生するようにディスプレイまたはディスプレイ用の端子を駆動制御する。
【0110】
ソフトウェアを実行するための本発明の別の方法は、
・ソフトウェアを実行することができるプロセッサと、
・自身の周辺領域内で、この周辺の特性または特性の変化を検出することができるセンサと、
・コントロールユニットと、
を有する装置によって実行される。ここでコントロールユニットは、センサが自身の周辺領域内で、この周辺の特定の特性または特性の特定の変化を検出した場合、またはコントロールユニットが、センサによって検出されたこの特性の特定の変化を検出した場合に、ソフトウェアを実行するようにプロセッサを駆動制御する。
【0111】
本発明の識別子担体は、本発明の装置とともに、本発明のシステム内に、または本発明の方法内に組み込まれるのに適している。本発明の方法は、特に有利には、本発明のシステムによって実行される。
【0112】
以降で、本発明を、本発明の単なる実施形態を表している図面に基づいて、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0113】
図1】オーディオ情報を再生するための本発明の装置の斜視図
図2図1に示された本発明の装置と識別子担体とから成る本発明のシステムの正面図
図3】本発明の識別子担体の正面図
図4】択一的な実施形態における本発明の識別子担体の斜視図
図5】択一的な実施形態における本発明の識別子担体の正面図
【発明を実施するための形態】
【0114】
図1は、オーディオ情報を再生するための本発明の装置を示している。装置1は、図1の斜視図に詳細に示されていないスピーカーを有している。さらに、装置1は、自身の上面2に窪み3を有している。装置1の内部、すなわち、窪み3の下方には、(詳細に図示されていない)センサが配置されている。このセンサは、窪み3の領域内で、この周辺の特性または特性の変化を検出することができ、すなわち受動的なRFIDトランスポンダ(図2を参照)を読み出すことができる。さらに、この装置は、(詳細に図示されていない)コントロールユニットを有している。このコントロールユニットは、センサが自身の周辺領域内で、この周辺の特定の特性または特性の特定の変化を検出した場合、またはコントロールユニットが、センサによって検出されたこの特性の特定の変化を検出した場合に、オーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御することができる。
【0115】
センサは、次のように装置1のハウジング内に配置されている。すなわち、センサがこの周辺の特性または特性の変化を検出することができるセンサ周辺領域が、窪み3の底面4から上方へ100mmを超えて延在しないように、配置されている。
【0116】
本発明の装置は、耳の形状を有する第1の操作部材5と、同様に耳の形状を有する第2の操作部材6と、を有している。操作部材5は、操作部材6よりも大きく形成されている。操作部材5も操作部材6も、装置1の残りのハウジングに対して相対的に傾斜可能であり、かつ図1に示された基本姿勢に戻ることができる。
【0117】
さらに、装置1はディスプレイ7を有している。
【0118】
図2に示されたシステムは、図1に示された装置の他に、フィギュアの形状に形成された識別子担体8を有している。フィギュアとして形成されたこの識別子担体8は、脚9と足(くるぶしから下)とを有しており、足9が固定的に接続されるであろう台座を有していない。フィギュアとして形成された識別子担体8の足内には、(詳細には図示されていない)磁石が設けられている。この磁石は、窪み3の底面4のすぐ下に配置されている磁石または金属製の対象物と協働することができ、これによって、識別子担体8は、窪み3の底面4上に、取り外し可能に固定される。
【0119】
本発明のシステムの操作は以下のように行われる。
【0120】
図1は、基本状態にある本発明の装置を示している。この基本状態では、この装置は、ここに示されている実施形態では、オーディオ情報を再生しない。センサは、継続的または周期的に、窪み3の領域を次のことに関して監視する。すなわち、この領域が、特定の特性または特性の特定の変化を有しているか否かに関して監視する。ここに示された実施形態では、センサは、特定のRFIDトランスポンダが、窪みのこの領域内に搬入されたか否かに関して、窪み3のこの領域を監視する。図1に示された動作状況は、このようなケースではなく、装置1はオーディオ情報を再生しない。
【0121】
図2は、識別子担体8を加えることによって本発明のシステムが完全なものにされた動作状況を示している。識別子担体8は、窪み3の底面4上に置かれ、識別子担体8の足内に設けられた磁石によって、ここに付着する。識別子担体8は、(詳細に図示されていない)RFIDトランスポンダを有している。ここでは識別子担体8が、センサ周辺の、センサによって監視されている領域内に搬入されているので、これはここでは、特定の、センサによって検出可能な特性を有している。センサは、識別子担体8内のRFIDトランスポンダの存在を識別し、このことを、(詳細に図示されていない)コントロールユニットに、信号によって伝達する。これに基づいて、コントロールユニットは、オーディオ情報を再生するようにスピーカーを駆動制御する。ここでは、さらなる操作部材の操作は必要ない。
【0122】
センサは、識別子担体8のRFIDトランスポンダから識別子を読み出し、コントロールユニットにこの識別子を伝達する。コントロールユニット内に格納されている割り当てテーブルに基づいて、コントロールユニットは、センサによって読み出された識別子を、装置1の(詳細に図示されていない)記憶装置内の、特定のオーディオ情報を含んでいる特定のデータセットに割り当てる。コントロールユニットは、これに基づいて、スピーカーを駆動制御し、コントロールユニットによって記憶装置から読み出された特定のデータ内に再び含まれているオーディオ情報が再生される。このようなオーディオ情報は、その再生が少なくとも10秒は続く曲である。
【0123】
図3は、本発明の識別子担体8の正面図である。フィギュアとして形成されたこの識別子担体8は、脚9と足(くるぶしから下)とを有しており、足が固定的に接続されるであろう台座を有していない。フィギュアとして形成された識別子担体8の足内には、磁石10が設けられている。足は、識別子担体8の起立面の相互に移行しない部分面11および12を形成する。識別子担体はさらに、RFIDトランスポンダとして形成されている識別子13を有している。磁石10は、識別子13よりも、起立面(部分面11および12)の近くに配置されている。図3において記号N1を有する矢印によって示されているように、起立面に対する少なくとも1つの面法線N1が存在し、これは磁石10も識別子13も通らない。同様に、磁石10だけを通り、識別子13は通らない、起立面に対する少なくとも1つの面法線N2が存在する。
【0124】
起立面は1つの平面E内に位置する。
【0125】
図4は本発明の識別子担体108の択一的な実施形態の斜視図を示している。フィギュアとして形成されている識別子担体は、第1の部分101と第2の部分102とを備える基体を有している。第2の部分102は、円柱状の袋穴の形態の第1の凹部103を有しており、この袋穴の底面には、磁石110が位置している。第2の部分102は、円柱状の袋穴の形態の第2の凹部104を有しており、この袋穴の底面には、RFIDトランスポンダまたはNFCタグとして形成されている識別子113が位置している。識別子担体108はフィギュアとして形成されており、これは脚109および足(くるぶしから下)を有しており、かつ足が固定的に接続されるであろう台座を有していない。さらにこのフィギュアは、フィギュアの足の隣に位置している袋を有している。これらの足と袋の底面は、識別子担体108の起立面の相互に移行しない部分面111、112、114を形成している。磁石110は、識別子113よりも、起立面の近くに配置されている。図4において記号N1を有する矢印によって示されているように、磁石110も識別子113も通らない、起立面に対する少なくとも1つの面法線N1が存在している。同様に、磁石110だけを通り、識別子113は通らない、起立面に対する少なくとも1つの面法線N2が存在している。
【0126】
基体の第1の部分101は自由形状であり、全体で、幾何学形状的基体に相応しない三次元の形状を有している。これは、自身の全体の三次元の形状が複数の幾何学形状的基体から成っていることがある場合、または複数の幾何学形状的基体を含んでいることがある場合にも当てはまる。これは例えば、円柱状の突出部115およびその円錐台状の終端部116である。基体の第2の部分102も自由形状であり、全体で、幾何学形状的基体に相応しない三次元の形状を有している。これは、自身の全体の三次元の形状が幾何学形状的基体から成っていることがある場合、または幾何学形状的基体を含んでいることがある場合にも当てはまる。これは例えば、フィギュアの円柱状の脚である。突出部115は、凹部103内に係合し、その底面内に配置されている磁石110を固定するために設けられている。
【0127】
起立面は1つの平面E内に位置する。
【0128】
図5は、本発明の識別子担体208の別の択一的な実施形態の斜視図を示している。フィギュアとして形成されている識別子担体は基体を有しており、この基体は、第1の部分201と第2の部分202とを有しており、第2の部分202は、製造プロセスにおいては第1の部分201から分離されており、接合方法によって第1の部分201に接続されている。第1の部分は2つの磁石210と1つの識別子213とを有している。第2の部分202は2つの磁石220と1つの識別子223とを有している。識別子担体208は脚209と足(くるぶしから下)とを有しており、足が固定的に接続されるであろう台座を有していないフィギュアとして形成されている。さらにこのフィギュアは、手を備えた腕219を有している。足は相互に移行しない、識別子担体208の第1の起立面の部分面211、212を形成している。手は、識別子担体208の第2の起立面の相互に移行しない部分面221、222を形成している。
【0129】
図5に示されている動作状況では、識別子担体208は、足によって形成された起立面で、設置面204上に立っている。ここでこの設置面は、例えば、図1に示されている装置1の底面4であってよい。この動作状況では、識別子223は、識別子213よりも、設置面204の近くにある。識別子担体208がこの配向において設置面204上に設置されている場合に、設置面の下方に配置されており、詳細に図示されていないセンサは、自身の周辺領域内で、自身の周辺領域内で作用する磁界の第1の特性または特性の第1の変化を検出することができる。識別子担体208が、手によって形成されている、別の起立面で、設置面204上に設置されている場合には、詳細に図示されていないセンサが、自身の周辺領域内で、自身の周辺領域において作用する磁界の第2の特性または特性の第2の変化を検出することができる。これは、例えば、第1の特性もしくは第1の変化の識別時に、スピーカーを介して問題を出力し、第2の特性または第2の変化の識別時に、スピーカーを介して回答を出力するために、操作コンセプトに利用可能である。
【0130】
これらの起立面はそれぞれ平面内に位置する。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】