【実施例】
【0196】
本明細書に開示した態様を以下の非限定的実施例によって更に記述する。
【0197】
一般的方法及び注記
別段の記載がない限り、NMRスペクトルをBruker Avance300、Xwin−NMRバージョン3.5、DPX300Aで記録した。
【0198】
別段の記載がない限り、質量スペクトルをエレクトロスプレーイオン化プローブ(ESI:electrospray ionization probe)を用いたMass Spectrometer Waters Micromass ZMDによって、Water Mass Lynx NTソフトウェアを用いて記録した。
【0199】
別段の記載がない限り、フラッシュカラムクロマトグラフィをシリカゲル60F245(E.Merck)上で行った。
【0200】
薄層クロマトグラフィ(TLC:Thin Layer Chromatography)をシリカゲルプレコートプレート(E.Merck)上で行った。
【0201】
別段の記載がない限り、高速液体クロマトグラフィ(HPLC:high−performance liquid chromatography)をWaters Alliance 2690分離モジュールによって、Waters二波長2487UV検出器及びWaters Millennium 32ソフトウェアを用いて行った。
【0202】
実験動物の規定の一般的手順
実験動物を利用する関連実験の倫理規定を、対応する施設/大学のInstitutional Animal Care and Use Committeeの認可に従って実施した。
【0203】
プラーク減少アッセイの一般的手順
MDCK細胞を6ウェル組織培養プレートに播き、標準方法によってコンフルエントになるまで増殖させた。インフルエンザウイルスを0.2%BSAを補充した最小量のリン酸緩衝食塩水(PBS:phosphate−buffered saline)で希釈して、推定力価50〜100PFU/ウェルにした。MDCK細胞上に1時間37℃で5%CO
2雰囲気中で吸収後、ウイルス接種材料を吸引し、培地を室温でゲル化させるのに十分な量(一般に1〜2%)の寒天又はアガロースを含むウイルス増殖培地(BSA、トリプシン及びインスリン−トランスフェリン−セレンを補充した最少イーグル培地)で置換した。プラークが発生するまで(一般に2〜4日間)プレートを37℃でCO
2雰囲気中でインキュベートした。プラークをカウントする前に適切な染料(例えば、ホルマリン生理食塩水中の0.4%クリスタルバイオレット)で可視化した。抗ウイルス効力(EC
50)を、未処置対照の値の50%にプラーク数を減少させる、培地中の化合物の濃度として求めた。
【0204】
CPEアッセイの材料及び一般的手順
試験化合物を滅菌水に溶解し、−20℃で貯蔵した。化合物を続いてアッセイ培地(MEM+トリプシン)で所望の濃度に希釈した。
【0205】
アッセイ培地は、1mM MEM非必須アミノ酸、50U−ペニシリン50μg/mLストレプトマイシン、1mMピルビン酸ナトリウムを補充したGibco1MEM(500mL)を含む。アッセイを行う前に、トリプシン(TPCK処理)を培地に最終濃度1μg/mlまで添加した。
【0206】
1mM MEM非必須アミノ酸、50U−ペニシリン−50μg/mLストレプトマイシン、1mMピルビン酸ナトリウム及び10%FBSを補充した増殖培地Gibco1×MEM(500mL)中でMDCK細胞(ATCC)を増殖させた。
【0207】
ウイルスストックをPBSで希釈した。
【0208】
アッセイをCellTitre96Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay(Promega)によって行った。
【0209】
別段の記載がない限り、以下の一般的方法をCPEアッセイに利用した。
i)MDCK細胞を96ウェルトレイ中の増殖培地中でコンフルエントになるまで増殖させた。
ii)培地を除去した。
iii)模擬感染ウェルを含めて、1ウェル当たり46μLの希釈ウイルスを添加した。
iv)プレートを37℃で1.5時間インキュベートした。この間に試験化合物を調製した。
v)1.5時間後、ウイルス接種材料を除去した。
vi)化合物を上記プレート上で1:3段階希釈して、試験化合物を調製した。
a)アッセイ培地100μLを列3〜11に添加した。
b)化合物150μLを列2に添加した。
c)列2〜10から50μLを滴定し、次いで50μLを列10から廃棄した。
d)列11を正及び負の対照とした。
vii)細胞を37℃で48〜96時間インキュベートした。
viii)感染後48〜96時間で培地を除去した。
ix)培地をトリプシンを含まないアッセイ培地100μLと交換した。
x)検出溶液20μL/ウェルを添加した。
xi)プレートを37℃で更に1時間インキュベートした。
xii)プレートの吸光度を490nmで測定した。
【0210】
実施例1:MDCK細胞の感染前の試験化合物によるウイルスの前処理
式(I)の代表的化合物を利用して、MDCK細胞の感染前に抗ウイルス活性を評価した。MD345[(PK2TCA(Z
0)
2−[D−Cya−SO
3H)
7−OH]、MD345[(PK2TCA(Z
0)
2−(Cya)
7−OH]、MD348[(CHTCA(Z
0)
2−D−Asp−(D−Cya)−D−Asp−(D−Cya)−D−Asp−(D−Cya)−OH]及びMD348[(CHTCA(Z
0)
2−D−Asp−(D−Cya−SO
3H)−D−Asp−(D−Cya−SO
3H)−D−Asp−(D−Cya−SO
3H)−OH]を式(I)の代表的化合物として試験した。2種のウイルス株A/Sydney/250/99(H1N1)及びA/Sydney/5/97(H3N2)に対する活性を試験した。ザナミビルを対照として利用した。
【0211】
条件を表1に詳述し、概略を
図1に示した。
【0212】
【表7】
【0213】
A/Sydney/250/99に対する結果を表2並びに
図2A、2B及び2Cに要約する。A/Sydney/5/97に対する結果を表3並びに
図3A、3B及び3Cに要約する。
【0214】
結果の示すところによれば、式(I)の化合物、MD345及びMD348は、ウイルスA/Sydney/25/99(H1N1)及びA/Sydney/5/97(H3N2)を細胞外で中和した。ザナミビルによるウイルスの前処理は、ウイルスの感染力に影響しなかった。
【0215】
A/Sydney/250/99に対するMD345−2とザナミビルのその後の経時比較によれば、MD345−2は、両方のウイルスを1分未満に中和した。A/Sydney/250/99に対する結果を表2並びに
図2A、2B及び2Cに要約する。A/Sydney/5/97に対する結果を表4及び
図4に要約する。
【0216】
【表8-1】
【0217】
【表8-2】
【0218】
注記:化合物をH
2Oに50μg/mLまで溶解した。更に1×PBSで5μg/mLに希釈した。1μg/mLトリプシンを含む培地中で細胞を維持した。感染後72時間において分析した。(1000 140711)0.5×10
−4個のウイルスを前もって1時間吸着し、ウイルスを除去し、細胞を1回洗浄し、新しい培地を添加し、72時間インキュベートした。
【0219】
【表9-1】
【0220】
【表9-2】
【0221】
注記:化合物をH
2Oに50μg/mLまで溶解した。更に1×PBSで5μg/mLに希釈した。1μg/mLトリプシンを含む培地中で細胞を維持した。感染後72時間において分析した。(2000 271011)1×10
−4個のウイルスを前もって1時間吸着し、ウイルスを除去し、細胞を1回洗浄し、新しい培地を添加し、72時間インキュベートした。
【0222】
【表10】
【0223】
注記:化合物をH
2Oに50μg/mLまで溶解した。更に1×PBSで0.5μg/mLに希釈した。1μg/mlトリプシンを含む培地中で細胞を維持した。感染後72時間において分析した。(1000 140711)1×10
−4個のウイルスを前もって1時間吸着し、ウイルスを除去し、細胞を1回洗浄し、新しい培地を添加し、72時間インキュベートした。
【0224】
実施例2:試験化合物の抗ウイルス活性に関する種々の酸性/アニオン基の比較
式(I)の代表的化合物を利用して、抗ウイルス活性に対する酸性/アニオン基の効果を比較した。以下の化合物を式(I)の代表的化合物として試験した。
・MD314−1:3個のスルホン酸及び4個のカルボン酸を含む(CHTCA(Z
0)
2−L−Asp−(1−Cyst−SO
3H)−Asp−(1−Cyst−SO
3H)−L−Asp−(1−Cyst−SO
3H)−OH、
・MD021−7:2個のカルボン酸を含むCHTGA(Z)
2−L−Asp、及び
・MD051−3:3個のカルボン酸を含むPK2TCA(Z)
2−L−Asp−L−Asp。
【0225】
3種のウイルス株A/Sydney/250/99(H1N1)、A/Mississippi/03/01(H1N1)野生型、及びA/Mississippi/03/01(H1N1)H274Y(オセルタミビル耐性)に対する活性を試験した。
【0226】
A/Sydney/5/97(H3N2)の結果を表5及び
図5に要約する。A/Mississippi/03/01(H1N1)野生型の結果を表5並びに
図6及び7に要約する。A/Mississippi/03/01(H1N1)H274Y(オセルタミビル耐性)の結果を表5並びに
図8及び9に要約する。
【0227】
【表11】
【0228】
結果の示すところによれば、化合物の抗ウイルス活性は、酸性/アニオン基の数に比例した。
【0229】
実施例3:肺及び鼻甲介におけるウイルス排除速度の変更
マウスの肺及び鼻甲介におけるウイルス排除速度に対する式(I)の代表的化合物の効果を評価した。MD021(CHTCA(Z)
2−L−Asp)を式(I)の代表的化合物として試験した。ザナミビル及びPBSを対照として利用した。
【0230】
1群当たり20匹のマウスを麻酔下でMD021 2μg、ザナミビル2μg又はPBSで−1、+1、+2、+3、+4及び+5日目に鼻腔内処置し、0日目に致死量以下の50pfuのPR8インフルエンザウイルスに感染させた。マウスを毎日計量した。1つの処置群当たり5匹のマウスを感染後1、3、5及び7日目に屠殺し、それらの肺及び鼻甲介を収集した。肺のウイルス量を分析した。鼻甲介を分析まで−80℃で貯蔵した。
【0231】
マウスのすべての処置、感染及び死滅を、前日の介入から24時間後に2時間内に行った。屠殺した日にはマウスを処置しなかった。処置、感染及び臓器摘出のタイミングを
図10に要約した。
【0232】
結果を表6及び
図11〜14に詳述する。すべての時点で、MD021処置マウスにおける肺ウイルス量(log
10として表される)は、PBS処置マウスよりもかなり低かった。感染後3及び7日目に、肺ウイルス量MD021処置マウスは、ザナミビル処置マウスよりもかなり低かった。結果を一元配置ANOVAによって1、3及び5日目のデータについてはTukey事後検定で、7日目のデータについてはMann Witney t検定で評価した。アッセイの閾値は10
1.07であった。陰性試料に10
1の値を割り当てた。未処置マウス(PBS対照処置)は、低用量のウイルスを投与したにもかかわらず7日目まで生存しなかった。
【0233】
感染後7日目まで屠殺されなかったマウスの群の体重減少を評価した。結果の示すところによれば、MD021処置後の体重減少は最小であり、更に後の時点でザナミビル投与で認められた体重減少よりもかなり少ない。
【0234】
【表12】
【0235】
2元配置反復測定ANOVAによる体重減少曲線の統計解析は、処置曲線における極めて有意な差を示した(p<0.0001)。注記、PBS群は早死のために6及び7日目の完全なデータがないので、2元配置反復測定ANOVAは、感染後5日目までに取得されたデータでのみ完結した。ボンフェローニ事後検定によれば、ザナミビルとMD021の両方は、3、4及び5日目にPBSと有意差があった(p<0.001)。MD021及びザナミビルの完全な体重減少曲線に対して行われた同じ分析では、2つの体重減少曲線でしか全体の統計的有意差が示されず(p=0.0443)、ボンフェローニ事後検定では有意差が6日目(p<0.01)及び7日目(p<0.001)に生じた。
【0236】
結果の示すところによれば、2μgの化合物MD021を用いた毎日複数回の処置によって、感染後1、3及び5日目においてPBSで同様に処置されたマウス、また、感染後3及び7日目にザナミビル2μgで処置されたマウスに比べて、肺ウイルス量を有意に減少させることができた。ウイルス量の有意な減少は、マウスの体重減少も少なく、重症度の実質的な減少に等しいと予想される。疾病経過全体を通したMD021による最小の体重減少は、更に後の時点においてザナミビルよりも顕著でかなり良好であった。
【0237】
通常の状況においては致死量以下の用量のPR8ウイルスをマウスに与えたが、PBS対照処置を受けたすべてのマウスが体重を減らし、感染後7日目前に屠殺した。予想外の早死は、毎日の麻酔薬及び液体50μLの鼻腔内投与の有害作用に関連するかもしれない。しかし、MD021及びザナミビル群において、処置は有害作用にまさった。
【0238】
実施例4:CPEアッセイ選別
上で概説したCPEアッセイの一般的手順に従って式(I)の代表的化合物のCPEアッセイ選別を行った。結果を表7及び8に詳述する。インフルエンザA H7N9 A/Anhui/1/2003(表9)、インフルエンザA H5N1 Hong Kong/213/2003(表10)、インフルエンザA H3N2 Perth/16/2009(表11)、インフルエンザA H7N9 A/Anhui/1/2003(表12)、インフルエンザA H1N1 California 07/2009(表13)、インフルエンザA H5N1 Duck/MN/1525/81(表14)、インフルエンザA H5N1 Thailand/16/2004(表15)、A型インフルエンザウイルスH1N1、A/Mississippi/3/2001 H275Y、オセルタミビル耐性(表16)、A型インフルエンザウイルスH5N1 Duck/MN/1525/81(表17)、B型インフルエンザウイルス、B/Brisbane/60/2008(表18)、B型インフルエンザウイルス、B/Florida/4/2006(表19)及びA/Sydney/250/99(H1N1)(表20)を含めて、ある範囲のウイルス株に対しても特異的インビトロ抗ウイルス選別を行った。
【0239】
抗インフルエンザ活性データによれば、式(I)の化合物における酸性基が多いほど抗ウイルス活性が高い。
【0240】
式(I)の代表的化合物の抗インフルエンザ活性を、後続のCPEアッセイ(表38)及び異なるウイルス力価(表39)で更に評価した。
【0241】
実施例5:オセルタミビル耐性株に対する抗インフルエンザウイルス活性
オセルタミビル耐性株に対する式(I)の代表的化合物の抗インフルエンザウイルス活性を評価した。プラークサイズ及びプラーク数の阻害を記録した。オセルタミビルを対照として利用した。結果を表21に詳述する。
【0242】
実施例6:ウイルスプラーク減少アッセイ
CA/07/2009ウイルスH1N1及びA/PR/8ウイルスH1N1の各々に対するウイルスプラーク減少に関して式(I)の代表的化合物を評価した。ザナミビルを対照として利用した。結果をそれぞれ表22及び23に詳述する。
【0243】
実施例7:式(I)の代表的化合物の生体内マウス有効性データ
マウスにおけるある範囲のウイルス感染症に対する式(I)の代表的化合物の生体内有効性を評価した。
【0244】
表24に、A/California/04/2009(H1N1)A/Victoria/3/75(H3N2)、A/Mississippi/3/01 H275Y、オセルタミビル耐性ウイルス(H1N1)、A/Duck/MN/1525/81(H5N1)又はB/Sichuan/379/99(FluB)の1種によるウイルス感染、及び式(I)の代表的化合物を用いた様々な投与量における単一化合物処置後のマウス生存を詳述する。
【0245】
表25に、A/PR/8ウイルス(500pfu/マウス)による鼻腔内ウイルス感染、並びに式(I)の代表的化合物を用いた様々な投与量及び時間における単一化合物処置後のマウス生存を詳述する。
【0246】
表26に、マウスにおけるインフルエンザA/California/04/2009(H1N1pdm)ウイルス感染からの生存に対する、式(I)の代表的化合物を感染後様々な投与量で投与したときの単一鼻腔内処置の効果を詳述する。ザナミビルを対照として使用し、食塩水をプラセボとして使用した。
【0247】
表27に、マウスにおけるインフルエンザA/PR/8(H1N1)ウイルス感染からの生存に対する、式(I)の代表的化合物を感染から48時間後に様々な投与量で投与したときの単一鼻腔内処置の効果を詳述する。ザナミビルを対照として使用し、食塩水をプラセボとして使用した。
【0248】
表28に、マウスにおけるインフルエンザA/PR/8(H1N1)ウイルス感染からの生存に対する、式(I)の代表的化合物を用いて感染から48時間後に投与したときの単一鼻腔内処置の効果を詳述する。ザナミビルを対照として使用し、食塩水をプラセボとして使用した。
【0249】
表29に、マウスにおけるインフルエンザA/PR/8(H1N1)ウイルス(500pfu/マウス)感染からの生存に対する、式(I)の代表的化合物を感染から48時間後に様々な投与量で投与したときの単一鼻腔内処置の効果を詳述する。ザナミビルを対照として使用し、食塩水をプラセボとして使用した。
【0250】
表30に、マウスにおけるインフルエンザA/PR/8(H1N1)ウイルス(500pfu/マウス)感染からの生存に対する、式(I)の代表的化合物を感染から60時間後に様々な投与量で投与したときの単一鼻腔内処置の効果を詳述する。ザナミビルを対照として使用し、食塩水をプラセボとして使用した。ザナミビルを対照として使用し、食塩水をプラセボとして使用した。
【0251】
表31に、マウスにおけるインフルエンザA/PR/8(H1N1)ウイルス(500pfu/マウス)感染からの生存に対する、式(I)の代表的化合物を感染から60時間後に投与したときの単一鼻腔内処置の効果を詳述する。ザナミビルを対照として使用し、食塩水をプラセボとして使用した。
【0252】
表32に、マウスにおけるインフルエンザA/PR/8(H1N1)ウイルス(500pfu/マウス)感染からの生存に対する、式(I)の代表的化合物を感染から72時間後に投与したときの単一鼻腔内処置の効果を詳述する。
【0253】
表33に、マウスにおけるインフルエンザA/PR/8(H1N1)ウイルス(500pfu/マウス)感染からの生存に対する、式(I)の代表的化合物を感染から72時間後に投与したときの単一鼻腔内処置の効果を詳述する。
【0254】
表34に、式(I)の代表的化合物をインフルエンザA/PR/8(H1N1)ウイルス(500pfu/マウス)の致死的攻撃の1時間前に腹腔内投与したときのマウスに対する単一処置の効果を詳述する。
【0255】
表35に、マウスにおけるインフルエンザA/PR/8(H1N1)ウイルス(500pfu/マウス)感染からの生存に対する、式(I)の代表的化合物を感染(20μg/マウス/日×5日間)から4時間後に腹腔内投与したときの処置の効果を詳述する。
【0256】
表34及び35に示した結果によれば、式(I)の化合物を感染の全身的処置に使用することができる。
【0257】
表36に、マウスにおけるインフルエンザA/PR/8(H1N1)ウイルス(500pfu/マウス)感染からの生存に対する、式(I)の代表的化合物を感染から60時間後に鼻腔内投与したときの処置の効果を詳述する。
【0258】
表37に、マウスにおけるインフルエンザA/PR/8(H1N1)ウイルス(500pfu/マウス)感染からの生存に対する、式(I)の代表的化合物を感染から60時間後に鼻腔内投与したときの処置の効果を詳述する。
【0259】
表38に、式(I)の代表的化合物をインフルエンザA/PR/8(H1N1)ウイルス(500pfu/マウス)の致死的攻撃の1時間前に腹腔内投与したときのマウスに対する処置の効果を詳述する。
【0260】
インビトロ及び生体内試験の結果によれば、式(I)の化合物は、インフルエンザA、B、トリインフルエンザ及び薬剤耐性株を含めて、幾つかのインフルエンザ株に対して効力がある。さらに、結果の示すところによれば、式(I)の化合物は、細胞傷害性を示さなかった。
【0261】
マウスの研究に関して、感染マウスは、一般に、式(I)の化合物で処理すると、食塩水プラセボ及び/又は対照(すなわちザナミビル)と比較して体重の減少が少なく、及び/又はより速く回復することが判明した。さらに、式(I)の化合物は、マウスの鼻腔に11日間を超えて投与後に有効であることが判明した。
【0262】
生体内有効性データによれば、式(I)の化合物は、ザナミビル対照よりも(重量投与量で)少なくとも75倍又は(モル投与量で)>400倍活性であった。
【0263】
ウイルスFlu A PR8(500pfu/マウス)に感染したマウスの生体内有効性データに関して、感染後48時間、60時間又は72時間における本発明の代表的化合物の比較上の時間ベースの鼻腔内投与は、マウスの大部分が生存し、最大体重減少<15%(3匹のマウスのみ体重減少20〜25%)という結果になった。
【0264】
ウイルスインフルエンザA/PR/8ウイルス(500pfu/マウス)に感染したマウスの生体内有効性データに関して、本発明の代表的化合物の腹腔内投与は、すべてのマウスが生存する結果になり、本発明の化合物が感染の全身的処置に使用できることを示した。
【0265】
式(I)の2種類の代表的化合物MD185及びMD317をhERG IC
50(hERG−CHO、自動化パッチクランプ)アッセイで試験した。両方の結果の示すところによれば、2種類の化合物は、心毒性に関して安全であった。さらに、MD185及びMD317をKinome scanで試験し、100nMにおける化合物とキナーゼの有意な相互作用はなかった。
【0266】
【表13-1】
【0267】
【表13-2】
【0268】
【表14】
【0269】
【表15】
【0270】
【表16】
【0271】
【表17】
【0272】
【表18】
【0273】
【表19】
【0274】
【表20】
【0275】
【表21】
【0276】
【表22】
【0277】
【表23】
【0278】
【表24】
【0279】
【表25】
【0280】
【表26】
【0281】
【表27】
【0282】
【表28】
【0283】
【表29】
【0284】
【表30】
【0285】
【表31】
【0286】
【表32】
【0287】
【表33】
【0288】
【表34】
【0289】
【表35】
【0290】
【表36】
【0291】
【表37】
【0292】
【表38】
【0293】
実施例8:式(I)の代表的化合物のADME毒物学
式(I)の2種の化合物MD185及びMD317をhERG IC
50(hERG−CHO、自動化パッチクランプ)アッセイで試験した。MD185のIC
50値は、計算できなかった。MD317の濃度−反応曲線は、最高有効試験濃度、すなわちIC
50>100nMで25%未満の効果を示した。
【0294】
結果の示すところによれば、MD185及びMD317は、心毒性に関して安全であった。
【0295】
実施例9:式(I)の代表的化合物のKINOME scanプロファイリング
式(I)の2種の化合物MD185及びMD317を、以下のキナーゼアッセイ手順に従って試験した。
【0296】
大部分のアッセイでは、キナーゼ標識T7ファージ株を、24ウェルブロック中のBL21株由来の大腸菌(E.coli)宿主中で並行して増殖させた。大腸菌を対数期まで増殖させ、凍結ストックからのT7ファージ(phase)に感染させ(感染多重度=0.4)、32℃で溶解するまで(90〜150分間)振盪しながらインキュベートした。溶解物を遠心分離し(6,000×g)、濾過して(0.2μm)、細胞片を除去した。残りのキナーゼをHEK−293細胞中で産生し、続いてqPCR検出用のDNAで標識した。ストレプトアビジン被覆磁気ビーズをビオチン化小分子リガンドで30分間室温で処理して、キナーゼアッセイ用の親和性樹脂を生成した。リガンド結合ビーズを過剰のビオチンでブロックし、ブロッキング緩衝剤(SeaBlock(pierce)、1%BSA、0.05%Tween20、1mMDTT)で洗浄して、非結合リガンドを除去し、非特異的ファージ結合を減少させた。キナーゼ、リガンド結合親和性ビーズ及び試験化合物を1×結合緩衝剤(20%SeaBlock、0.17×PBS、0.05%Tween20、6mMDTT)中で混合して、結合反応を組み立てた。試験化合物を100%DMSO中で40×ストックとして調製し、直接希釈して、分析物にした。全反応をポリプロピレン384ウェルプレート中で最終体積0.04mlで行った。アッセイプレートを室温で振盪しながら1時間インキュベートし、親和性ビーズを緩衝剤(1×PBS、0.05%Tween20)で洗浄した。次いで、ビーズを溶出緩衝剤(1×PBS、0.05%Tween20、0.5μM非ビオチン化親和性リガンド)に再懸濁し、室温で振盪しながら30分間インキュベートした。溶出物のキナーゼ濃度をqPCRによって測定した。
【0297】
100nMにおける化合物とキナーゼの有意な相互作用はなかった。結果を表41に要約する。
【0298】
【表39】
【0299】
本発明の代表的化合物の調製
便宜上、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル(nPr)、イソプロピル(iPr)、n−ブチル(nBu)、tert−ブチル(tBu)、n−ヘキシル(nHex)、シクロヘキシル(cHex)、フェニル(Ph)、メトキシ(MeO)、エトキシ(EtO)、トリメチルシリル(TMS)、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)及びアセチル(Ac)を含めて、ただしそれらに限定されない多数の化学成分を周知の略語を用いて表す。
【0300】
便宜上、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、ジエチルエーテル(Et2O)、酢酸エチル(EtOAc)、トリエチルアミン(TEA)、ジクロロメタン(塩化メチレン、DCM、CH
2Cl
2)、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリフルオロエタノール(TFE)、ジメチルホルムアミド(DMF)、硫酸ナトリウム(Na
2SO
4)、テトラヒドロフラン(THF)、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)、ヘキサメチルジシラザンナトリウム塩(NaHMDS)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−ビス(テトラメチレン)ウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、硫酸マグネシウム(MgSO
4)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)、tert−ブタノール(t−BuOH)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCl.HCl)、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、トランス−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(PdCl
2(PPh
3)
2)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh
3)
4)トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd
2(dba)
3)、トリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(t−Bu
3PH.BF
4)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(キサントホス)、トリフェニルホスフィン(PPh
3)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、ボランジメチルスルフィド(BMS)、チタンイソプロポキシド(TiOiPr
4)、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH(OAc)
3)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBH
3(CN))、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH
4)、塩化アンモニウム(NH
4Cl)、クロロホルム(CHCl
3)、二酸化マンガン(MnO
2)、炭酸カリウム(K
2CO
3)、1,2−ジクロロエタン(DCE)、アジ化ナトリウム(NaN
3)、亜硝酸ナトリウム(NaNO
2)ジ−tert−ブチルジカルボナート(Boc
2O)、及びS−アセトアミドメチル(Acm)を含めて、ただしそれらに限定されない多数の化合物を周知の略語を用いて表す。
【0301】
式(I)の化合物の一般的な合成を下記スキーム1に要約する:
スキーム1:式(I)の化合物の一般的な合成
【0302】
【化16】
【0303】
実施例10:N−Boc−1,9−ジアミノノナンの調製
1,9−ジアミノノナン(1g、6.329mmol)をエタノール50mlと水50mlの混合物に溶解し、次いでジ−t−ブチルジカルボナート(1.38g、6.329mmol)を室温で添加した。混合物全体を室温で16時間撹拌して、白色懸濁液を得た。この懸濁液を濾別した。固体は、風乾後にジ−Boc−1,9−ジアミノノナン488mg(1.36mmol、収率21.53%)であった。濾液をジクロロメタン(150ml、100ml)で抽出した。未反応1,9−ジアミノノナン(289mg、1.83mmol)を含む水層を次の調製バッチに再利用することができる。有機抽出物を混合し、水50mlで洗浄し、次いで無水Na
2SO
4 10gと一緒に室温で終夜撹拌した。有機懸濁液を濾過した。濾液を減圧濃縮乾固して、N−Boc−1,9−ジアミノノナン809mg(収率49.5%)を無色固体として得た。MS295(M+1)。
【0304】
実施例11:アンカー化合物Zn’の調製
合成を下記スキーム2に詳述した。以下の化合物参照番号及び合成ステップ参照は、スキーム2に関する。
【0305】
ステップA)シアル酸(1)(5g、16.18mmol)及びDowex50×8(H
+)樹脂(10g)を無水メタノール(400mL)中で60〜62℃で48時間撹拌した。混合物を濾別した。濾液を減圧濃縮乾固して、化合物(2)を白色固体4.5g(13.25mmol、収率82.5%)として得た。MS338(M+1)。
【0306】
ステップB)化合物(2)(4g、11.87mmol)を無水酢酸(40mL、d1.08、MW102.29、423mmol)及び硫酸(2mL)と一緒に撹拌した。次いで、混合物を32〜35℃で72時間油浴中で撹拌した。反応混合物をNa
2CO
3(51g)の水(280mL)溶液と酢酸エチル(14mL)の撹拌混合物に氷浴で滴下した。その後、混合物を更に1.5時間氷浴中で撹拌し、続いて酢酸エチル(400mL、270mL)で抽出した。酢酸エチル抽出物を混合し、10%NaHCO
3溶液(270mL×2)、飽和NaCl溶液(270mL×2)で洗浄し、無水Na
2SO
4を用いて終夜脱水した。濾別し、濾液を減圧濃縮乾固して、化合物(3)4.78g(11.57mmol、収率97.5%)を得た。MS414(M+1)。油性残留物は、デシケータ中のP
2O
5上で3日間貯蔵後にオフホワイト固体になった。
【0307】
ステップC)化合物(3)(3.47g、8.4mmol)をtert−BuOH(25mL)に溶解した。この溶液にアジドトリメチルシラン(1.81mL、13.63mmol)を添加した。混合物全体を80〜82℃でアルゴン下24時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、次いで水25mL中のNaNO
2 0.9gと一緒に撹拌し、5N HClを用いて1時間室温でpH2に調節した。二相混合物を分離し、水層を酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機抽出物を混合し、水(25mL×2)、6%NaHCO
3溶液(25mL)、水(25mL×3)で連続洗浄し、次いでNa
2SO
4を用いて脱水した。濾液を減圧濃縮乾固して、化合物(4)3.17g(6.95mmol、収率82.7%)を油性物質として得た。MS457(M+1)、479(M+Na)、925(2M+Na)。
【0308】
ステップD)化合物(4)(3.15g、6.91mmol)をメタノール(100mL)及びトルエン(70mL)に溶解した。溶液を減圧下に置いて、空気(酸素)を除去し、次いでアルゴンを充填した。この混合物にPd/C(10%)(616mg)を添加し、次いで減圧下に置いて、アルゴンを抜き、続いて水素(H
2)で置換した。水素化を室温で2時間行い、続いて触媒を濾過除去した。濾液を減圧濃縮乾固して、化合物(5)2.82g(6.55mmol、収率94.7%)をオフホワイト固体として得た。MS431(M+1)。
【0309】
ステップE)化合物(5)(2.80g、6.51mmol)を無水アセトニトリル(15mL)に溶解した。この溶液にN,N’−ジ−Boc−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン[ビス(Boc)PCH](3.03g、9.76mmol)を添加した。混合物全体をアルゴン下で室温で40時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮乾固した。残留物を酢酸エチル(4mL)に溶解し、次いでヘキサン(4mL)で希釈し、フラッシュカラムクロマトグラフィにかけ、ヘキサン(150mL)、次いで溶媒(酢酸エチル:ヘキサン1:1)(150mL)で洗浄し、最後に溶媒(酢酸エチル:ヘキサン1:1)で溶出させた。収集画分を減圧濃縮して、生成物の化合物(6)、3.23g(4.8mmol、収率73.7%)を白色固体として得た。MS673(M+1)。
【0310】
ステップF)化合物(6)(2.8715g、4.273mmol)を無水メタノール(22mL)に溶解した。この溶液にNaOCH
3(4.9134mg、0.2136mmol)をアルゴン下で添加した。混合物全体をアルゴン下で室温で2.5時間撹拌し、次いでDowex50×8(H
+)樹脂を用いてpH6.5に調節し、続いてDowex50×8(H
+)樹脂を濾過除去した。濾液を減圧濃縮乾固して、化合物(7)2.2024g(4.0337mmol、収率94.4%)を白色固体として得た。MS547(M+1)。
【0311】
ステップG)化合物(7)(2g、3.66mmol)を無水アセトニトリルに溶解した。この溶液に1,1’−カルボニルジイミダゾール(714mg、4.403mmol)を添加した。混合物全体をアルゴン下で20〜30℃で18時間撹拌した。それを減圧濃縮乾固し、次いで残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィに供し、最初にヘキサン(150mL)で洗浄し、次いで溶媒(酢酸エチル:ヘキサン2:1)で展開した。R
f値0.5(酢酸エチル:ヘキサン2:1)の画分を混合し、減圧濃縮乾固して、化合物(8)1.35g(2.36mmol、収率64.5%)を白色固体として得た。MS573(M+1)。
【0312】
ステップH)化合物(8)(1.3g、2.27mmol)を無水ピリジン(12.5mL)に溶解した。この溶液にクロロギ酸p−ニトロフェニル(503.3mg、2.497mmol)、4−ジメチルアミノ−ピリジン(808.5mg、6.62mmol)を添加した。混合物全体を30℃でアルゴン下で7時間撹拌した。この反応混合物にN−Boc−1,9−ジアミノノナン(690mg、2.67mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(166mg、1.36mmol)の無水ピリジン(4mL)溶液を添加した。反応混合物をアルゴン下で30℃で16時間撹拌し、次いで減圧濃縮してピリジンを除去した。残留物を酢酸エチル(300mL)と5N HCl2.45mL含有水(50mL)に分配し、水(50mL×2)、2%NaHCO
3溶液(50mL×6)、水(50mL×2)で連続洗浄し、無水Na
2SO
4を用いて脱水し、濾過した。濾液を減圧濃縮乾固して、油性物質2.25gを得た。それをフラッシュカラムクロマトグラフィに供した(溶離剤として酢酸エチル:ヘキサン1.5:1)。画分(R
f値0.27TLC、展開溶媒として酢酸エチル:ヘキサン1.5:1)を混合し、減圧濃縮乾固して、化合物(9)1.057g(1.234mmol、収率54.4%)を白色固体として得た。MS857(M+1)、879(M+Na)。
1H−NMR(DMSO−d
6)δ(ppm)11.42(1H、s、グアニジンNHBoc)、8.25(1H、d、NH−4)、7.95(1H、d、AcNH)、7.16(1H、t、OCONH)、6.75(1H、t、ノニルNHBoc)、5.80(1H、s、H−3)、4.92(2H、m,H−7、H−8)、4.75(1H、m、H−4)、4.31〜4.62(4H、m、H−5、H−6、H−9、H−9’)、3.74(3H、s、COOCH
3)、2.90(4H、m、NHCH
2(CH
2)
7CH
2NH)、1.86(3H、s、NHCOCH
3)、1.49(9H、s、Boc)、1.38(18H、s、Boc)、1.2〜1.6(14H、m、NHCH
2(CH
2)
7CH
2NH)。
【0313】
ステップI)化合物(9)(1g、1.168mmol)をトリフルオロ酢酸(TFA)(36ml)とメチルフェニルエーテル(アニソール)(3.9ml)の混合物のジクロロメタン(CH
2Cl
2)(36ml)溶液に溶解した。混合物全体を25℃で2時間40分撹拌し、次いでそれを35℃で2時間減圧濃縮した。残留物をヘキサン(100ml)中で室温で終夜撹拌し、ヘキサンをデカントし、新しいヘキサン(60ml)を添加し、撹拌を4時間室温で続けた。次いで、ヘキサンを除去した。残留物をCH
2Cl
2(10ml)に溶解し、35〜40℃で濃縮乾固した。残留物を水(25ml)に溶解した。水溶液を凍結乾燥して、化合物(10)1.026g(1.143mmol、収率97.8%)をTFA
3Z
n’塩の白色発泡体として得た。MS557(M+1)[Z
n’のMW=556、TFA
3Z
n’のMW=898]。
【0314】
スキーム2:アンカー化合物Zn’の調製
【0315】
【化17】
【0316】
実施例12:アンカー骨格化合物PYR(Z
n’)
2の調製
合成を下記スキーム3に詳述した。以下の化合物参照番号は、スキーム3に関する。
【0317】
二無水ピロメリット酸(11)(27.25mg、0.125mmol)の無水DMF(2ml)溶液にZ
n’(10)(224.5mg.0.25mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(130.64μl、0.75mmol)を室温で添加した。反応混合物全体をアルゴン下で25℃で36時間撹拌し、次いでエーテル:石油エーテル1:1(100ml)で処理した。沈殿を濾過し、エーテルで洗浄し、風乾して、オフホワイト固体(197mg)を得た。次いで、それをHPLC分離及び精製に供した。
【0318】
HPLC分析:pepl勾配
カラム:Gemini C18カラム100A 5μm 150×3.00mm。波長:220/280nm。流量:0.7ml/min。溶媒A=0.1%トリフルオロ酢酸。溶媒B=100%アセトニトリル。温度:30℃。勾配:0〜50%B、15分。保持時間:PK1PYR(Z
n’)
2(12)14.35分、PK2PYR(Z
n’)
2(13)14.53分。
【0319】
HPLC分取:
カラム:Water Xterra C18 prep MSカラム19×50mm、5μm。波長:220/280nm。流量:8ml/min。溶媒A=0.1%トリフルオロ酢酸。溶媒B=100%アセトニトリル。温度:30℃。勾配:10〜100%B、80分。PK1PYR(Z
n’)
2及びPK2PYR(Z
n’)
2(13)の純粋画分を収集し、別々に凍結乾燥して、それぞれPK1PYR(Z
n’)
2(12)49mg及びPK2PYR(Z
n’)
2(13)42mgを得た。
【0320】
PK1PYR(Z
n’)
2(12)MSは、ESI+ve10V 1331.5イオンを示した。
1H−NMR(D
2O)δ(ppm):8.00(2H、s、芳香族パラH×2)、6.00(2H、d、H−3×2)、5.20〜5.50(4H、m、H−7×2、H−8×2)、4.35〜4.90(8H、m、H−4×2、H−5×2、H−6×2、H−9×2)、4.15(2H、dd、H−9’×2)、3.80(6H、s、COOCH
3×2)、3.25〜3.45(4H、m、OCONHCH
2×2)、2.90〜3.20(4H、m、NHCH
2×2)、1.95(6H、s、CH
3CO×2)、1.20〜1.70(28H、m、(CH
2)
7×2)。
【0321】
PK2PYR(Z
n’)
2(13)MSは、ESI+ve10V 1331.5イオンを示した。
1H−NMR(D
2O)δ(ppm)8.35(1H、s、芳香族H×1)、7.50(1H、s、芳香族H×1)、6.00(2H、d、H−3×2)、5.20〜5.50(4H、m、H−7×2、H−8×2)、4.35〜4.90(8H、m、H−4×2、H−5×2、H−6×2、H−9×2)、4.15(2H、dd、H−9’×2)、3.80(6H、s、COOCH
3×2),3.25〜3.45(4H、m、OCONHCH
2×2)、2.90〜3.20(4H、m、NHCH
2×2)、1.95(6H、CH
3CO×2)、1.20〜1.70(28H、m、(CH
2)
7×2)。
【0322】
スキーム3:アンカー骨格化合物PYR(Z
n’)
2の調製
【0323】
【化18】
【0324】
実施例13:酸性/アニオン基D−Asp(NHCH
2SO
3H)
2の調製
合成を下記スキーム4に詳述した。以下の化合物参照番号は、スキーム4に関する。
【0325】
Boc−D−アスパラギン酸(14)(233mg、1mmol)及びHBTU[O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−ビス(テトラメチレン)ウロニウムヘキサフルオロホスファート](758mg、2mmol)をDMF(10ml)に溶解した。この溶液にDIPEA(ジイソプロピルエチルアミン)(349μl、2mmol)を添加した。溶液を室温で10分間撹拌し、次いでナトリウムアミノメタンスルホナート(332mg、2.5mmol)のDMF(3ml)溶液と混合した。生成溶液を室温で終夜撹拌した。反応混合物を減圧濃縮して、淡オレンジ色固体を得た。それを水(20ml)に溶解し、酢酸エチル(20ml×3)で洗浄し、水相を減圧濃縮して有機溶媒を除去し、次いで凍結乾燥して、粗生成物(15)310mgを白色固体として得た。それをHPLC分離及び精製に供した。
【0326】
HPLC分析:pep1勾配
カラム:Gemini C18カラム100A 5μm 150×30min。波長:220nm。流量:0.7ml/min。溶媒A=0.1%トリフルオロ酢酸。溶媒B=100%アセトニトリル。温度:30℃。勾配:0〜50%B、15分。保持時間:遊離酸としての化合物(15)4.669分 MS ESI −ve 418(M−1)、溶媒ピーク1.658分、アミノメタンスルホン酸2.722分、HBTU物質5.520分、モノBoc−D−Asp−NHCH
2SO
3H5.802分。
【0327】
HPLC分取
カラム:Germini AXIA C18カラム、5μm 50×21.2mm 波長:220min。流量:8ml/min;溶媒A=0.1%トリフルオロ酢酸;溶媒B=100%アセトニトリル;温度:30℃。勾配:0〜100%B、100分。
【0328】
(15)を含む画分を収集し、一緒に貯蔵し、次いで凍結乾燥して、純粋な生成物(15)を遊離酸として得た。MS ESI −ve 418(M−1)。遊離酸としての化合物(15)(200mg、0.477mmol)をアニソール(1ml)を含むトリフルオロ酢酸(10ml)に溶解した。溶液を室温で1時間撹拌し、次いで減圧濃縮乾固した。残留物をエーテル(20ml×2)中ですりつぶし、濾別した。固体を風乾し、次いで水に再溶解し、凍結乾燥して、生成物(16)106mgを白色固体として得た。MS ESI −ve 318(M−1)。生成物を水(10ml)に溶解し、次いで2当量の水酸化ナトリウムで中和し、凍結乾燥して、(16)の二ナトリウム塩を白色固体として得た。
【0329】
スキーム4:酸性/アニオン基D−Asp(NHCH
2SO
3H)
2の調製
【0330】
【化19】
【0331】
実施例14:化合物MD185、PK2PYR(Z
n)
2[(D−Asp)(NHCH
2SO
3)
2]
2の調製
合成を下記スキーム5に詳述した。以下の化合物参照番号は、スキーム5に関する。
【0332】
PK2PYR(Z
n’)
2(13)(30mg、22.56μmol)の無水DMF(5ml)溶液にHATU[O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−ビス(テトラメチレン)ウロニウムヘキサフルオロホスファート](17.14mg、45.11μmol)及びDIPEA(7.9μl、45.31μmol)を添加した。生成溶液を室温で10分間撹拌し、次いで(16)の二ナトリウム塩[D−Asp(NHCH
2SO
3Na)
2](33mg、91.16μmol)のDMF(5ml)溶液を添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌し、次いでそれをHPLC分離及び精製に供した。
【0333】
HPLC分析:pep1勾配
カラム:Gemini C18カラム100A 5μm 150×3.00mm;波長:220/280nm;流量:0.7ml/min;溶媒A=0.1%トリフルオロ酢酸;溶媒B=100%アセトニトリル;温度:30℃;勾配:0〜50%B、15分;保持時間:遊離酸としての生成物(17)14.270分。MS ESI+ve+30V 967.5、MS ESI −ve、−25v 965.4。他のピークは以下のとおりであった:出発材料PK2PYR(Z
n’)(13)11.7分、PK2PYR(Z
n’)
2−D−Asp(NHCH
2SO
3H)
2 13.6分。
【0334】
HPLC分取
カラム:Water Xterra prep MS C18カラム19×50mm 5μm;波長:220/280nm;流量:8ml/min;溶媒A=0.1%トリフルオロ酢酸;溶媒B=100%アセトニトリル;温度:30℃;勾配:0〜100%B 100分
【0335】
生成物は、逆プロファイルでGemini分析に溶出する。25〜35%アセトニトリル間の溶出プロファイル。採取画分及び純度90%を超えるチューブを貯蔵し、別の材料をGemini AXIAカラム上で分離した。
【0336】
生成物(17)を凍結乾燥して、白色綿毛状粉体を得た。MS ESI −ve −25v 965.4は、MW1932を示した。化合物(17)PK2PYR(Z
n’)
2[D−Asp(NHCH
2SO
3H)
2]
2(8mg、4.14μmol)を50%メタノール水溶液(2ml)に溶解し、次いでトリエチルアミン(40μl、287.5μmol)を添加した。生成溶液を室温で撹拌した。反応を分析HPLCによって10.848分のピークについてモニターした。2時間後、反応混合物を酢酸(60μl、1049μmol)で酸性化し、水で10mlに希釈した。溶液をKinetexカラムで精製した。純粋画分を混合し、凍結乾燥して、生成物(18)PK2PYR(Z
n)
2[D−Asp(NHCH
2SO
3H)
2]
2 6mgを白色粉末として得た。
【0337】
HPLC保持時間10.695min。MS ESI −ve −30V 925.6。
【0338】
化合物中のTFAの残留物を除去するために、純粋な材料を4mM HCl60mlに溶解し、凍結乾燥し、次いで1mM HCl60mlに溶解し、凍結乾燥し、最後に水60mlから凍結乾燥した。収率5.6mg(18)MD185 MW1852。
【0339】
スキーム5:化合物MD185、PK2PYR(Z
n)
2[(D−Asp)(NHCH
2SO
3)
2]
2の調製
【0340】
【化20】
【0341】
実施例15:アンカー化合物Z
0’の調製
合成を下記スキーム6に詳述した。以下の化合物参照番号及び合成ステップ参照は、スキーム6に関する。
【0342】
実施例11に記述した手順(H)及び(I)に従って、化合物(8)とクロロギ酸p−ニトロフェニル、次いでN−Boc−1,8−ジアミノオクタンとの反応によって、クロマトグラフィ後に、化合物(19)を白色固体として得た。MS843(M+1)化合物(19)をトリフルオロ酢酸(TFA)で処理し、後処理後に化合物(20)Z
0’をTFA
3Z
0’塩の白色発泡体として得た。MS543(M+1)[Z
0’のMW=542、TFA
3Z
0’のMW=884]。
【0343】
スキーム6:アンカー化合物Z
0’の調製
【0344】
【化21】
【0345】
実施例16:アンカー骨格化合物PK1TCA(Z
0’)
2及びPK2TCA(Z
0’)
2の調製
合成を下記スキーム7に詳述した。以下の化合物参照番号は、スキーム7に関する。
【0346】
TCA(21)(3.085mg、17.52μmol)のDMF(309μl)溶液にHATU(13.32mg、35.03μmol)及びDIPEA(6.5μl、37.32μmol)を添加した。混合物全体を室温で10分間撹拌し、次いでZ
0’、(20)(30.97mg、35.03μmol)及びDIPEA(18.44μl、105.9μmol)のDMF(600μl)溶液を滴下した。反応混合物を終夜室温で撹拌した。生成混合物をHPLC分離及び精製に供した。
【0347】
HPLC分析:pepl勾配
カラム:Phenomenex C18 5μl 110A 150×3mm 波長:220/280nm;流量:0.7ml/min;溶媒A=0.1%トリフルオロ酢酸;溶媒B=100%アセトニトリル;温度:30℃;勾配:100〜50%B 15分 保持時間:PK1TCA(Z
0’)
2(22)11.100分及びPK2TCA(Z
0’)
2(23)11.156分。
【0348】
PK1TCA(Z
0’)
2(22)
1H−NMR(D
2O)δppm 2.5ppm(AB対称dd、4H、C
aH
2=C
bH
2)は、その対称な構造を示した。MS1225.4(MW1224)。
【0349】
PK2TCA(Z
0’)
2(23)
1H−NMR(D
2O)δppm 2.35〜2.75ppm(非対称、dd、4H、(C
aH
2≠C
bH
2)は、その非対称構造を示した。MS1225.4(MW1224)。
【0350】
分取HPLC
溶液を少量の1M酢酸で酸性化し、水で25mlに希釈した。これを0.45μmシリンジフィルタで濾過し、Water Xterra prep MS C18カラム19×50mmに20%〜80%緩衝剤Aでポンプ輸送した。流量8ml/min 勾配0〜100%B 100分、波長210/280nm。溶出プロファイル空隙DMF/DIPEA/HATU
【0351】
PK1TCA(Z
0’)
2及びPK2TCA(Z
0’)
2を、Phenomenex Gemini 5μm C18 110A Axia50×21.2mmカラム上の0.1%TFA緩衝剤中で更に精製し、分離した。
【0352】
PK1/PK2比は約1:2であり、どちらもMS ESI +30V 1225.4。
【0353】
スキーム7:アンカー骨格化合物PK1TCA(Z
0’)
2及びPK2TCA(Z
0’)
2の調製
【0354】
【化22】
【0355】
実施例17:酸性/アニオン基[D−Cya−SO
3H]
7OHの調製
合成を下記スキーム8に詳述した。以下の化合物参照番号は、スキーム8に関する。
【0356】
スキーム8に詳述するように、固相合成によって[D−Cys−SH]
7−OH(33)を調製し、次いでポリシステイン(33)を酸化して[D−CyaSO
3H]
7−OH(34)を得た。
【0357】
Fmoc−D−Cys(Trt)−OH(24)(2.93g、5mmol)を50mlFalconチューブ中で無水ジクロロメタン(DCM)(35ml)に溶解し、次いで2−クロロトリチルクロリド樹脂(25)(5g)を添加し、激しく振盪し、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(3.5ml、20mmol)を添加した。5分後、追加のDIPEA(1.3ml、7.5mmol)を添加した。混合物全体を更に4時間振盪した。残りの反応性2−クロロトリチルクロリドをエンドキャップするために、メタノールを添加した(4ml)。混合物を更に30分間振盪した。樹脂をDMF(20ml×3)、DCM(20ml×3)、メタノール(20ml×3)で連続洗浄し、次いで終夜減圧乾燥した。収率は、0.57mM/g(26)の量を示した。
【0358】
Fmoc基を樹脂から除去するために、樹脂(26)をDCM(35ml)で前もって膨潤させ、次いで50%ピペリジンのDMF(30ml)溶液を添加した。混合物全体を回転装置上に30分間置いた。これを新しい50%ピペリジンDMF(30ml)溶液で60分間繰り返した。次いで、樹脂をDMF(20ml×2)、DCM(20ml×2)、DMF(20ml×3)で連続洗浄した。ポジティブなニンヒドリン試験を示した。樹脂(27)は、カップリングの用意ができた。
【0359】
Fmoc−D−Cys(Trt)−OH(24)(1758mg、3mmol)のDMF(6ml)溶液にHBTU[O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−ビス(テトラメチレン)ウロニウムヘキサフルオロホスファート](1140mg、3mmol)及びDIPEA(523μl、3mmol)を添加した。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで樹脂(27)(2.5g、0.57mM/g、1.5mmol)を添加した。反応混合物を24時間撹拌した。ニンヒドリン試験はネガティブであり、樹脂をDMF(20ml×3)で洗浄し、次いで5%無水酢酸、1%DIPEAのDMF(20ml)溶液で30分間処理した。次いで、樹脂(28)をDMF(20ml×3)、DCM(20ml×3)、メタノール(20ml×3)で洗浄した。樹脂(28)をDCMで前もって膨潤させ、30%ピペリジン/N−メチルピロリドンのDMF(20ml)溶液を添加した。混合物全体を回転装置上に30分間置き、次いで30%ピペリジン及びN−メチルピロリドンの新しい溶液で更に60分間、DMF(20ml×2)、DCM(20ml×2)、DMF(20ml×2)で洗浄後、樹脂(29)を得た。
【0360】
HBTU(1140mg、3mmol)及びDIPEA(523μl、3mmol)で10分間前もって活性化された(24)(1758mg、3mmol)のDMF(6ml)溶液と樹脂(29)を更に24時間結合させ、後処理後に樹脂(30)を得た。次いで、その半分を、手順に従い、ピペリジン/メチルピロリドンによって脱保護し、HBTU/DIPEAで前もって活性化された(24)と再結合させ、この手順を4回繰り返して、樹脂(31)を生成した。
【0361】
樹脂(31)をDCM(20ml×5)で洗浄し、次いで50mlFalconチューブに入れ、40%酢酸のDCM(35ml)溶液を添加し、回転装置上で室温で6時間振盪した。樹脂懸濁液を濾過し、濾液を減圧濃縮して、淡黄色の発泡体を得た。残留物を水で洗浄し(100ml×3)、乾燥後、白色固体(32)[D−Cys(Trt)]
7−OHを得た。
【0362】
(32)をTFA(20ml)、トリイソプロピルシラン(1ml)及び水(0.5ml)の溶液中で3時間撹拌した。生成懸濁液を濾過した。濾液を濃縮して、油性物質を得た。次いで、それをエーテル(20ml×4)を用いてすりつぶして、白色固体を得た。それを50%アセトニトリル水溶液(100ml)中で撹拌した。材料を超音波処理して白色懸濁液を形成し、それを凍結乾燥して、(33)[D−Cys−SH]
7−OHの粗生成物(380mg)を得た。
【0363】
HPLC分析
カラム:Phenomenex Gemini 5μm C18 110A 150×3.00mm 溶媒A=0.1%トリフルオロ酢酸、溶媒B=100%アセトニトリル、流量:0.7ml/min、波長:210/280nm、温度:30℃、勾配:0〜50%B 15分、保持時間:9.356分。
【0364】
MS cone+25V主要ピーク740 cone−25V主要ピーク738 (33)の図示MWは739[D−Cys−SH]
7−OHである。
【0365】
化合物(33)(10mg、13.53μmol)を、氷塩浴中で前もって冷却した過ギ酸溶液(1ml)に添加した。混合物全体を氷浴中で1時間撹拌し、次いで冷水100mlで希釈し、凍結乾燥して、淡黄色形態(34)を得た。この材料をPhenomenex Kinetex 5μm XB−C18 100Aカラム上で無勾配0.1%TFAを溶離剤として用いて精製して、化合物(34)[D−Cyst−SO
3H]
7−OH MW1075、MS cone+50V 1076(M+1)を無色粉体として得た。
【0366】
ギ酸(8.74ml)、水(0.96ml)及び30%過酸化水素(1ml)を混合し、混合物を栓をしたフラスコ中で室温で30分間静置することによって、過ギ酸を調製した。この過酸化物は、使用前に新たに調製すべきである。
【0367】
スキーム8:酸性/アニオン基[D−Cyst−SO
3H]
7OHの調製
【0368】
【化23-1】
【0369】
【化23-2】
【0370】
実施例18:化合物MD345、PK2TCA(Z
0)
2−[D−Cyst−SO
3H]
7−OHの調製
合成を下記スキーム9に詳述した。以下の化合物参照番号は、スキーム9に関する。
【0371】
PK2TCA(Z
0’)
2(23)(4mg、3.268μmol)の無水DMF(2ml)溶液にHATU(1.242mg、3.268μmol)及び2%DIPEAのDMF(30μl、3.44μmol)溶液を添加した。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで(34)、[D−Cyst−SO
3H]
7−OH(7.03mg、6.54μmol)及びDIPEA(9.11μl、52.32μmol)のDMF(3ml)溶液と混合した。反応混合物全体を室温で終夜撹拌した。混合物を水/メタノール1/1で15mlに希釈し、次いでHPLC分離及び精製に供した。
【0372】
HPLC分取:
カラム:Phenomenex Kinetex 5μm XB−C18 50×21.2mm;波長:220/280nm;流量:8ml/min;溶媒A=0.1%トリフルオロ酢酸(TFA);溶媒B=100%アセトニトリル;温度:30℃;勾配:0〜100%B、80分。(35)遊離酸(B=H)を含む画分を混合し、凍結乾燥して、化合物(35)遊離酸(B=H)4mgを白色粉末として得た。MS ESI+ve cone35V 1142.1 2+イオン。
【0373】
化合物(35)遊離酸(B=H)、PK2TCA(Z
0’)
2−[D−Cyst−SO
3H]
7−OH(4mg、1.754μmol)を、トリエチルアミン(TEA)(20μl、146μmol)を含む50%メタノール水溶液(800μl)に溶解した。混合物を室温で撹拌し、HPLCでモニターした。それを3時間後に処理した。溶液をKinetexカラムで精製した。保持時間11.254分の純粋画分を混合し、凍結乾燥して、化合物(36)2mgを白色粉末として得た。MS ESI+ve cone40V 1102.2 2+イオン。
【0374】
化合物中のTFAの残留物を除去するために、化合物(36)を4mM HCl(30ml)に溶解し、凍結乾燥した。次いで、それを1mM HCl(30ml)に溶解し、凍結乾燥した。最後に、それを水(30ml)から凍結乾燥して、生成物(36)1.1mg、MD345 PK2TCA(Z
0)
2[D−Cyst−SO
3H]
7−OH MW2201[MS2202(M+1)]を得た。
【0375】
スキーム9:化合物MD345、PK2TCA(Z
0)
2−[D−Cyst−SO
3H]
7−OH MW2201の調製
【0376】
【化24】
【0377】
実施例19:アンカー化合物Z’の調製
合成を下記スキーム10に詳述した。以下の化合物参照番号及び合成ステップ参照は、スキーム10に関する。
【0378】
実施例11に記述した手順(H)及び(I)に従って、化合物(8)とクロロギ酸p−ニトロフェニル、次いでN−Boc−1,6−ジアミノヘキサンとの反応によって、クロマトグラフィ後に、化合物(37)を白色固体、MS815(M+1)として得た。化合物(37)をトリフルオロ酢酸(TFA)及びアニソールで処理し、後処理後に化合物(38)Z’を白色形態のTFA塩として得た。MS515(M+1)。[Z’のMW=514、TFA
3Z’のMW=856]。
【0379】
スキーム10:アンカー化合物Z’の調製
【0380】
【化25】
【0381】
実施例20:アンカー骨格化合物CHTCA(Z’)
2の調製
合成を下記スキーム11に詳述した。以下の化合物参照番号は、スキーム11に関する。
【0382】
CHTCA(39)(4.4mg、20μmol)のDMF(300μl)溶液にHATU(15.2mg、40μmol)及びDIPEA(7.4μl、42.4μmol)を添加した。混合物全体を室温で10分間撹拌し、次いでZ’(38)(34.24mg、40μmol)及びDIPEA(21.06μl、120.9μmol)のDMF(700μl)溶液を滴下した。反応混合物を終夜室温で撹拌した。生成混合物を1M HAc(50μl)及び水(25ml)で希釈した。これを0.45μmシリンジフィルタで濾過した。濾液をHPLC分離及び精製に供した。
【0383】
カラム:Water Xterra prep MS C18カラム19×50mm;波長:210/280nm;流量:8ml/min、溶媒A=0.1%TFA 溶媒B=100%アセトニトリル;温度:30℃;勾配:0〜100%B 100分;溶出プロファイル空隙DMF/DIPEA/HATU。
【0384】
化合物(40)を含む画分をPhenomenex Gemini 5μm C18 110A AXIA 50×21.2mmカラム上で0.1%TFA緩衝剤中で更に精製した。画分を凍結乾燥して、化合物(40)CHTCA(Z’)
2、15mgを白色発泡体として得た。MS ESI+ve、+30v、1209は、MW1208を示した。
【0385】
スキーム11:アンカー骨格化合物CHTCA(Z’)
2の調製
【0386】
【化26】
【0387】
実施例20:アンカー化合物S
6の調製
合成を下記スキーム12に詳述した。以下の化合物参照番号及び合成ステップ参照は、スキーム12に関する。
【0388】
ステップA)化合物(1)を無水メタノール(100ml)中で室温で48時間撹拌し、混合物を濾別した。濾液を減圧濃縮乾固して、化合物(41)、1.25g(6.037mmol、収率93%)を白色固体として得た。MS324(M+1)。
【0389】
ステップB)化合物(41)(1.95g、6.037mmol)を塩化アセチル(20ml、281mmol)中で室温で3日間撹拌し、次いで減圧濃縮乾固して、化合物(42)3.06g(6.01mmol、収率99%)を得た。MS510.5(M+1)。
【0390】
ステップC)残留物(42)(3.06g、6.01mmol)をジクロロメタン(DCM)(35ml)中で撹拌し、次いでKSAc(3.57g、31.26mmol)を添加した。反応混合物をアルゴン下で室温で40時間撹拌し、ジクロロメタン(50ml)で希釈し、次いでジクロロメタンと水(50ml)に分配した。有機層を5%NaCl溶液(22ml×2)で洗浄し、無水Na
2SO
4を用いて終夜脱水し、濾別した。濾液を濃縮乾固して、(43)2.93g(5.34mmol、収率88.8%)をオフホワイト発泡体として得た。MS550(M+1)。
【0391】
ステップD)化合物(43)(200mg、0.364mmol)及び臭化Boc−アミノヘキサン(107.4mg、0.385mmol)をDMF(2ml)中で撹拌し、その中にジエチルアミン(0.81ml、7.83mmol)を添加した。混合物全体をアルゴン下で25℃で2.5時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル(EA)(80ml)と飽和NaCl溶液に分配した。有機層を飽和NaCl溶液(15ml×3)、水(10ml×3)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4を用いて脱水し、濾過し、濾液を減圧濃縮乾固した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(トルエン:アセトン=2:1)に供した。化合物(44)を含む画分を混合し、減圧濃縮乾固して、化合物(44)98mg(0.139mmol、収率38%)を白色発泡体として得た。MS706(M+1)。
【0392】
ステップE)化合物(44)(95mg、0.135mmol)を無水メタノール(1ml)に溶解した。この溶液にナトリウムメトキシド(0.16mg、6.94μmol)をアルゴン下で添加し、反応混合物を室温で2.5時間撹拌し、次いでDowex50×8(H
+)樹脂でpH6.0〜6.5に調節し、濾別した。濾液を減圧濃縮乾固して、化合物(45)71mg(0.132mmol、収率97.9%)を白色発泡体として得た。MS538(M+1)
【0393】
ステップF)化合物(45)(60mg、0.109mmol)をアルゴン下で0.2N NaOH(2ml、0.4mmol)中で室温で2.5時間撹拌した。溶液をDowex50×8(H
+)樹脂でpH3〜4に調節し、濾別した。濾液を凍結乾燥して、化合物(46)56mg(0.107mmol、収率98%)を白色発泡体として得た。MS524(M+1)。
【0394】
ステップG)化合物(46)(50mg、0.0956mmol)をトリフルオロ酢酸(TFA)(2ml、25.96mmol)とメチルフェニルエーテル(アニソール)(0.2ml、1.84mmol)の混合物のジクロロメタン(2ml)溶液に溶解した。混合物全体を25℃で2.5時間撹拌し、次いでそれを35℃で2時間減圧濃縮した。残留物をヘキサン(10ml×2)で室温で終夜洗浄し、ヘキサンをデカントした。残留物をエーテル(10ml×2)中で室温で撹拌し、次いでエーテルを除去した。残留物を水(1ml)に溶解し、凍結乾燥して、化合物(47)をS
6・TFA塩の白色発泡体51mg(0.0949mmol、収率99%)として得た。MS424(M+I)[S
6のMW=423、S
6・TFA塩のMW=537]。
【0395】
スキーム12:アンカー化合物S
6の調製
【0396】
【化27】
【0397】
実施例21:化合物MD012、CHTCA(Z)
2(S
6)の調製
合成を下記スキーム13に詳述した。以下の化合物参照番号及び合成ステップ参照は、スキーム13に関する。
【0398】
CHTCA(Z’)
2(40)(4mg、3.3μmol)のDMF(100μl)溶液にHATU(1.254mg、3.3μmol)及びDIPEA(0.6μl、3.44μmol)を添加した。混合物を室温で10分間撹拌し、次いでS
6・TFA塩(47)(1.8mg、3.35μmol)及びDIPEA(1.20μl、6.89μmol)のDMF(100μl)溶液を添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌した。生成混合物を1M HAc(5μl)及び水(2ml)で希釈し、次いでそれを0.45μmシリンジフィルタで濾過した。濾液をHPLC分離及び精製に供した。
【0399】
カラム:Phenomenex Gemini AXIA 5μm、C18 110A 50×21.2mm;波長:210/280nm;流量:8ml/min;溶媒A=0.1%トリフルオロ酢酸のMilliq水溶液;溶媒B=100%アセトニトリル;勾配:0〜100%B、100分、線形;温度:30℃。
【0400】
化合物(48)を含む画分を収集し、凍結乾燥して、化合物(48)CHTCA(Z’)
2(S
6)2.4mgを白色発泡体として得た。MS ESI+30v 1615は、MW1614を示した。
【0401】
化合物(48)(2.4mg、1.486μmol)をトリエチルアミン(6.6μl)を含む50%メタノール水溶液(90μl)中で室温で5時間撹拌し、次いで減圧濃縮乾固した。残留物を水(100μl)に再溶解し、凍結乾燥して、生成物(49)CHTCA(Z)
2(S
6)、2mg(1.303mmol 収率87.7%)を白色発泡体として得た。MS ESI+30v 1535.7は、MW1534.7を示した。
【0402】
スキーム13:化合物MD012、CHTCA(Z)
2(S
6)の調製
【0403】
【化28】
【0404】
実施例22:アンカー骨格化合物CHTCA(Z
0’)
2の調製
合成を下記スキーム14に詳述した。以下の化合物参照番号は、スキーム14に関する。
【0405】
アンカー化合物(20)Z
0’の調製を実施例15に詳述する。アンカー骨格化合物(50)CHTCA(Z
0’)
2を実施例20に詳述した手順に従って調製した。アンカー骨格化合物(50)CHTCA(Z
0’)
2を白色固体として得た。MS ESI+ve、+30v 1265は、MW1264を示した。
【0406】
スキーム14:アンカー骨格化合物CHTCA(Z
0’)
2の調製
【0407】
【化29】
【0408】
実施例23:酸性/アニオン基D−Asp(D−Cya)−D−Asp(D−Cya)−D−Asp(D−Cya)−OHの調製
合成を下記スキーム15に詳述した。以下の化合物参照番号(A)〜(I)及び合成ステップ参照は、スキーム15に関する。
【0409】
Boc−D−システイン(Acm)メチルエステル、[Boc−D−Cys(Acm)−OMe](1.532g、5mmol)をアニソール(1ml)を含むトリフルオロ酢酸(TFA)(10ml)に溶解し、室温で30分間撹拌した。次いで、反応混合物を減圧濃縮してTFAを除去して、油性物質を得た。それをエーテル(100ml×2)中ですりつぶし、次いで20%アセトニトリル水溶液(100ml)に再溶解し、72時間凍結乾燥して、化合物TFA・D−Cys(Acm)−OMe、1.60gを得た。HPLC/MSは、MW206.35(遊離塩基として)を示した。
【0410】
Fmoc−D−アスパラギン−α−酸−β−O−t−ブチルエステル、[Fmoc−D−Asp−Obut]、(1.646g、4mmol)をHBTU(MW379.25)(1.517g、4mmol)及びDIPEA(MW129.25)(0.517g、4mmol)のDMF(20ml)溶液で室温で10分間活性化し、次いでTFA・D−Cys(Acm)−OMe(1.47g、4.2mmol)及びDIPEA(0.542g、4.2mmol)のDMF(10ml)溶液と混合した。反応混合物全体を16時間室温で撹拌した。反応をHPLCによってモニターした。混合物を減圧濃縮して、DMFを除去した。次いで、水(5×70ml)を残留物に添加して、残留DMF及びD−Cys(Acm)OMeを洗い流して、オフホワイト固体を得た。次いで、それを減圧乾燥して、化合物(A)、Fmoc−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−O−Butを白色固体として得た。HPLC/MSは、MW599.7を示した。
【0411】
化合物(A)(1.2g、2mmol)を20%ピペリジンのアセトニトリル(20ml)溶液で30分間室温で処理し、次いで濾別した。濾液を減圧濃縮して、化合物(B)、D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−OButを得た。HPLC/MSは、MW377.4を示した。
【0412】
化合物(A)(599.7mg、1mmol)をTFA(6ml)で1時間室温で処理した。次いで、それを減圧濃縮乾固した。残留物をエーテル(50ml×3)中ですりつぶし、次いで30%アセトニトリル水溶液(100ml)に溶解し、凍結乾燥して、化合物(C)、Fmoc−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−OHを白色固体として得た。HPLC/MSは、MW542.7を示した。
【0413】
化合物(C)、Fmoc−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−OH(434mg、0.8mmol)をHBTU(303.4mg、0.8mmol)及びDIPEA(103.4mg、0.8mmol)のDMF(8ml)溶液で室温で10分間活性化し、次いでそれに化合物(B)、D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−OBut(9332mg、0.88mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。DMFを減圧蒸発させ、白色固体材料を水で慎重に洗浄することによって残留DMFを除去した。次いで、白色固体を減圧下で24時間乾燥して、化合物(D)、Fmoc−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−OButを白色固体として得た。HPLC/MSは、MW902.19を示した。化合物(D)をTFA(16ml)で室温で1時間処理して、t−ブチルエステルを除去した。TFAを減圧蒸発乾固した。残留物を水で洗浄して、残留TFAを除去し、固体を72時間減圧乾燥して、Fmoc−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−OHを得た。HPLC/MSは、MW846を示した。
【0414】
Fmoc−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−OH(423mg、0.5mmol)をHBTU(189.5mg、0.5mmol)及びDIPEA(64.63mg、0.5mmol)のDMF(5ml)溶液で室温で10分間活性化し、次いで化合物(B)、D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−OBut(317mg、0.84mmol)を添加した。混合物全体を室温で16時間撹拌した。反応の完了をHPLCでチェックし、DMFを減圧下で除去した。得られた白色固体を冷水で慎重に洗浄し、次いで減圧下で48時間乾燥して、化合物(E)、Fmoc−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−OBut、MW1206を得た。それを更にHPLCによって精製した。
【0415】
この材料の分析HPLCは、純度70%を示した。材料を50%メタノール/水に溶解し、分取HPLC用0.2μmフィルタで濾過した。
【0416】
分取HPLC
カラム:40mgのバッチにおけるWater Xterra C18カラム5μm 19×50mm;波長:220/280nm;流量:8ml/min;溶媒A=0.1%トリフルオロ酢酸;溶媒B=100%アセトニトリル;勾配:10〜100%B、100分;温度:30℃。
【0417】
次いで、化合物(E)、Fmoc−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−OButをTFA(10ml)で1時間室温で処理し、減圧濃縮乾固した。残留物を40%アセトニトリル水溶液(100ml)に溶解し、凍結乾燥して、化合物(F)、Fmoc−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−OHを白色固体として得た。HPLC/MSは、MW1150.27を示した。
【0418】
化合物(F)、Fmoc−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−D−Asp[D−Cys(Acm)−OMe]−OH(200mg、0.1738mmol)を20%ピペリジンのアセトニトリル(10ml)溶液で30分間撹拌しながら室温で処理し、続いてを濾別した。濾液を減圧濃縮した。残留物をトリエチルアミン(500μl)を含む50%水/メタノール(20ml)中で室温で6時間撹拌し、反応の完了をHPLCによってモニターした。この混合物を減圧濃縮乾固して、化合物(G)、D−Asp[D−Cys(Acm)−OH]−D−Asp[D−Cys(Acm)−OH]−D−Asp[D−Cys(Acm)−OH]−OHを得た。HPLC/MSは、MW885.9を示した。
【0419】
分析HPLCは、50%純度を示した。
【0420】
化合物(G)を更に分取HPLCによって精製した。
【0421】
カラム:Phenomenex Gemini Axia 110A 5μm 50×21.2mm C18 HPLCカラム波長:210/280nm;流量:8ml/min;溶媒A=0.1%TFA;溶媒B=100%アセトニトリル;勾配:0〜100%B、100分;温度:30℃
【0422】
試料(100mg)を10%メタノール水溶液に溶解し、超音波処理し、0.2μmフィルタで濾過した。20mg/バッチをカラムに勾配を付けてポンプ輸送した。画分をPhenomenex Gemini C18 5μmカラムを用いた分析RF−HPLCによってモニターした。流量0.7ml/min;波長210/280nm;勾配0〜50%B15分;溶媒A=0.1%TFA;溶媒B=100%アセトニトリル。
【0423】
90%純度を超える正しいMSの画分を貯蔵し、凍結乾燥して、精製化合物(G)を得た。
【0424】
化合物(G)、D−Asp[D−Cys(Acm)−OH]−D−Asp−[D−Cys(Acm)−OH]−D−Asp[D−Cys(Acm)−OH]−OH、(21.8mg、0.0246mmol)をアニソール(200μl)を含むTFA(10ml)に溶解し、次いでトリフルオロメタンスルホン酸銀(504mg、1.96mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、それを減圧濃縮乾固した。残留物をエーテル(40ml×2)中ですりつぶし、エーテル洗液をデカントした。残留物をジチオトレイトール(403mg、2.62mmol)を含む1M酢酸(20ml)中で25℃で3時間撹拌した。懸濁液を50ml Falconチューブ中で10分間4000rpmで遠心分離した。上清を慎重に収集し、次いでHPLCによって精製し、凍結乾燥して、化合物(H)、D−Asp(D−Cys−SH、−OH)−D−Asp(D−Cys−SH、−OH)−D−Asp(D−Cys−SH、−OH)−OHを得た。HPLC/MSは、MW672.3を示した。
【0425】
95%ギ酸(7.36ml)、30%H
2O
2(0.8ml)及びH
2O(0.368ml)の混合物を室温で30分間放置し、次いで−5℃氷浴において撹拌し、それに化合物(H)(8mg、0.0119mmol)を添加し、1時間撹拌し、次いで減圧下で10分間撹拌した。次いで、残りの溶液を水で200mlに希釈し、凍結乾燥して、化合物(I)9.5mg、D−Asp[D−Cya−SO
3H、−OH]−D−Asp[D−Cya−SO
3H、−OH]−D−Asp[D−Cya−SO
3H、−OH]−OHを白色固体として得た。HPLC/MSは、MW816.78を示した。
【0426】
この化合物を以下の条件下で脱塩によって精製した。
【0427】
カラム:Phenomenex Gemini Axia 110A 5μm 50×21.2mm C18 HPLCカラム;波長:210/280nm;流量:8ml/min;溶媒A=0.1%TFA;溶媒B=100%アセトニトリル;勾配:0〜100%B、100分 温度:30℃。化合物(I)は、空隙近くで溶出する。
【0428】
次いで、この材料を凍結乾燥して、白色粉末を純粋な化合物(I)として生成した。化合物(I)をトリエチルアミン(TEA)で中和して、以下のTEA塩(51)を形成した。
【0429】
【化30】
【0430】
*HBTU:O−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウラニウムヘキサフルオロホスファート MW379.24
TFA:トリフルオロ酢酸 MW114.02
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン MW129.25
TEA;トリエチルアミン MW101.19
Acm:チオ保護基としてのS−アセトアミドメチル
OBut:t−ブチルエステル
【0431】
スキーム15:酸性/アニオン基D−Asp(D−Cyst)−D−Asp(D−Cyst)−D−Asp(D−Cyst)−OHの調製
【0432】
【化31-1】
【0433】
【化31-2】
【0434】
実施例24:化合物MD348、CHTCA(Z
0)
2−[D−Asp(D−Cyst)−D−Asp(D−Cyst)−D−Asp(D−Cyst)]−OHの調製
合成を下記スキーム16に詳述した。以下の化合物参照番号は、スキーム16に関する。
【0435】
実施例22の化合物(50)、CHTCA(Z
0’)
2(10.744mg、8.5μmol)をHATU(3.23mg、8.5μmol)及びDIPEA(1.496μl、8.56μmol)のDMF(5ml)溶液と一緒に室温で10分間撹拌し、次いでそれを実施例23の化合物(51)、D−Asp(D−Cya−SO
3B、−OB)−D−Asp−(D−Cya−SO
3B、−OB)−D−Asp(D−Cya−SO
3B、−OB)−OB、(13.2mg、8.67μmol)のDMF(5ml)溶液と混合した。混合物全体を室温で16時間撹拌した。生成混合物を分析HPLC/MSによって保持時間ピーク1、12.903minにおいてモニターした。44%MS ESI+ve、+20v 1032.3 2+イオン、ESI −ve、−40v 1030.7 2+イオンは、MW2062を塩基のない化合物(52)、すなわち、CHTCA(Z
0)
2[D−Asp(D−Cya−SO
3H、−OH)−D−Asp(D−Cya−SO
3H、−OH)−D−Asp−(D−Cyst−SO
3H、−OH)]−OHとして示した。
【0436】
分析HPLC:
カラム:Phenomenex Kinetex EVO 5μm C18 100A 150×4.6mm;波長:210/280nm;流量:0.7ml/min;溶媒A=0.1%TFA;溶媒B=100%アセトニトリル;勾配:0〜50%B、15分、線形;温度:30℃。
【0437】
生成混合物をクエン酸で酸性化し、水で20mlに希釈し、0.2μmフィルタで濾過し、次いで分取HPLCに供して、分離及び精製した。
【0438】
分取HPLC
カラム:Phenomenex Gemini AXIA 5μm C18 110A 50×21.2mm;波長:210/280nm;流量:8ml/min;溶媒A=0.1TFA;溶媒B=100%アセトニトリル;勾配:0〜100%B、100分、線形;温度:30℃。
【0439】
保持時間31.087分の主要ピークが生成物(52)であった。生成物を含む画分を収集し、以下のように更なるHPLCによって再精製した。
【0440】
カラム:Phenomenex Kinetex xB 5μm C18 100A 50×21.2mm;波長:210/280nm;流量:8ml/min;溶媒A=0.1TFA;溶媒B=100%アセトニトリル;勾配:5%〜100%B、80分、線形;温度30℃。
【0441】
保持時間19.597分の精製化合物(52)を保持時間21.714分の出発材料から完全に分離した。
【0442】
化合物(52)(3.5mg、1.697μmol)をトリエチルアミン(TEA)(18μl、129μmol)を含む50%メタノール/水(5ml)に溶解した。それを室温で3時間撹拌した。HPLCは反応が終了していないことを示したので、追加のTEA11μlを添加した。混合物を更に60分間撹拌し、それまでにHPLCは反応の完了を示した。次いで、反応溶液を1M酢酸でpH6に中和した。次いで、溶液を水で20mlに希釈した。混合物をHPLCに供した。
【0443】
分析HPLC
カラム:Phenomenex Kinetex Evo 5μm C18 100A 150×3mm;波長:210/280nm 流量:0.7ml/min;溶媒A=20mM NaHPO
4 pH7.0緩衝剤;溶媒B=10mM NaHPO
4 pH7.0緩衝剤+50%アセトニトリル;勾配:0〜100%B、30分、線形;温度:30℃
【0444】
分取HPLC
カラム:Phenomenex Kinetex XB 5μm C18 100A 50×21.2mm;波長:210/280nm 流量:8ml/min;溶媒A=0.1%TFA 溶媒B=100%アセトニトリル 勾配:0〜100%B、80min、線形;温度:30℃。
【0445】
生成物(53)は、保持時間16.431分で溶出した。
【0446】
純粋画分を混合し、凍結乾燥し、次いでHCl交換によって残留TFAを除去した。凍結乾燥して、生成物(53)CHTCA(Z
0)
2[D−Asp(D−Cya)−D−Asp(D−Cya)−D−Asp(D−Cya]−OHを純度>99%で白色固体として得た。MS ESI cone−20v、990.5 2+イオンは、MW1982を示した。
スキーム16:化合物MD348、CHTCA(Z
0)
2−[D−Asp(D−Cyst)−D−Asp(D−Cyst)−D−Asp(D−Cyst)]−OHの調製
【0447】
【化32】
【0448】
参考文献
【0449】
【表40-1】
【0450】
【表40-2】
【0451】
【表40-3】
【0452】
【表40-4】
【0453】
【表40-5】