【0056】
本発明の技術的な解決は、以下の段落[1]〜[20]により説明される:
[1]式I:
【化4】
で示される化合物のトリフルオロ酢酸塩。
[2]式Iで示される化合物対トリフルオロ酢酸のモル比が、1:0.5〜2、好ましくは1:1であることを特徴とする、段落[1]に記載の式Iで示される化合物のトリフルオロ酢酸塩。
[3]有効量の段落[1]又は[2]に記載の式Iで示される化合物のトリフルオロ酢酸塩を含む、医薬組成物。
[4]Toll様受容体7関連疾患を処置するための医薬を製造するための、段落[1]若しくは[2]に記載の式Iで示される化合物のトリフルオロ酢酸塩又は段落[3]に記載の医薬組成物の使用。
[5]疾患が、ウイルス感染症であり;好ましくは、ウイルス感染症が、肝炎ウイルス感染症(特に、B型肝炎又はC型肝炎ウイルス感染症)であることを特徴とする、段落[4]に記載の使用。
[6]X線粉末回折パターンにおいて、2θ=7.0°±0.2°、10.2°±0.2°、11.7°±0.2°、14.0°±0.2°、18.6°±0.2°、19.1°±0.2°、20.2°±0.2°、22.2°±0.2°、23.5°±0.2°に回折ピークを有することを特徴とする、式Iで示される化合物のトリフルオロ酢酸塩の結晶形B。
[7]X線粉末回折パターンにおいて、2θ=7.0°±0.2°、10.2°±0.2°、11.7°±0.2°、12.4°±0.2°、14.0°±0.2°、14.9°±0.2°、16.1°±0.2°、16.6°±0.2°、18.6°±0.2°、19.1°±0.2°、20.2°±0.2°、21.1°±0.2°、21.8°±0.2°、22.2°±0.2°、23.5°±0.2°に回折ピークを有することを特徴とする、段落[6]に記載の結晶形B。
[8]X線粉末回折パターンにおいて、2θ=7.0°±0.2°、10.2°±0.2°、11.7°±0.2°、12.4°±0.2°、13.3°±0.2°、14.0°±0.2°、14.9°±0.2°、16.1°±0.2°、16.6°±0.2°、17.3°±0.2°、18.6°±0.2°、19.1°±0.2°、20.2°±0.2°、21.1°±0.2°、21.8°±0.2°、22.2°±0.2°、23.1°±0.2°、23.5°±0.2°、24.4°±0.2°、24.7°±0.2°、26.1°±0.2°、28.2°±0.2°に回折ピークを有することを特徴とする、段落[7]に記載の結晶形B。
[9]実質的に
図1に示されるX線粉末回折パターンを有することを特徴とする、段落[6]〜[8]のいずれか一つに記載の結晶形B。
[10]DSCにより特徴付けられる場合、初期温度が171.4℃±5℃であり、かつピーク温度が173.4℃±5℃であることを特徴とする、段落[6]〜[9]のいずれか一つに記載の結晶形B。
[11]以下の工程:
1)結晶化溶媒に式Iで示される化合物のトリフルオロ酢酸塩を溶解する(好ましくは、溶解を促進するために加熱する)こと;
2)結晶化のために冷却して、洗浄し、乾燥して、結晶形Bを得ること
を含む、段落[6]〜[10]のいずれか一つに記載の結晶形Bを調製するためのプロセス。
[12]工程1)における結晶化溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール、アセトン、酢酸エチル及びそれらの混合溶媒からなる群より選択されるか、又は水であることを特徴とする、段落[11]に記載の調製プロセス。
[13]結晶化溶媒が、エタノールであることを特徴とする、段落[12]に記載の調製プロセス。
[14]工程1)において、式Iで示される化合物のトリフルオロ酢酸塩 1g当たりに添加される結晶化溶媒の量が、1〜5mLであることを特徴とする、段落[11]〜[13]のいずれか一つに記載の調製プロセス。
[15]式Iで示される化合物のトリフルオロ酢酸塩 1g当たりに添加される結晶化溶媒の量が、2〜3mLであることを特徴とする、段落[14]に記載の調製プロセス。
[16]工程1)において、式Iで示される化合物のトリフルオロ酢酸塩と結晶化溶媒との均一系を形成するために加熱が利用されることを特徴とする、段落[11]〜[16]のいずれか一つに記載の調製プロセス。
[17]結晶組成物であって、該結晶組成物の重量に基づいて、段落[6]〜[10]のいずれか一つに記載の結晶形Bが、50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、そして、最も好ましくは95%以上であることを特徴とする、結晶組成物。
[18]有効量の、段落[6]〜[10]のいずれか一つに記載の結晶形B又は段落[21]に記載の結晶組成物を含む、医薬組成物。
[19]Toll様受容体7関連疾患を処置するための医薬を製造するための、段落[6]〜[10]のいずれか一つに記載の結晶形B若しくは段落[17]に記載の結晶組成物又は段落[18]に記載の医薬組成物の使用。
[20]疾患が、ウイルス感染症であり;好ましくは、ウイルス感染症が、肝炎ウイルス感染症(特に、B型肝炎又はC型肝炎ウイルス感染症)であることを特徴とする、段落[19]に記載の使用。
【実施例】
【0057】
本明細書中で使用される溶媒は、市販されており、更に精製することなく使用することができる。調製例における合成反応は、一般的に、不活性窒素雰囲気下、無水溶媒中で行われる。
【0058】
プロトン磁気共鳴のデータは、Bruker Avance III 400(400MHz)分光計で記録され、化学シフトは、テトラメチルシラン低磁場で(ppm)として示される。質量分析は、Agilent 1200 plus 6110(&1956A)で決定される。LC/MS又はShimadzu MSには、DAD:SPD−M20A(LC)及びShimadzu Micromass 2020検出器が含まれる。質量分析計は、正又は負モードで操作されるエレクトロスプレーイオン化(ESI)を備えている。
【0059】
調製例1:
2−ブトキシ−7−(4−(ピロリジン−1−イルメチル)ベンジル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−4−アミン トリフルオロ酢酸塩の調製
【0060】
式III:
2,4−ジクロロ−5−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン
【化5】
【0061】
式IIで示される化合物(2,4−ジクロロ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン)(4.00kg、21.28mol)をDMF(20.00L)中に溶解し、DIPEA(2.58kg、20.00mol)を室温(25℃)で何回かに分けて添加し、続いて、30分間撹拌した。反応液を氷浴で0℃まで冷却し、次に、SEM−Cl(4.00kg、24.00mol)を1秒当たり1〜2滴の滴下速度で5時間かけてゆっくり滴下した。添加後、反応液を0℃で4時間撹拌した。反応をHPLCによりモニターした。完了後、反応液をクエンチし、水(70L)で希釈して、次に、酢酸エチル(15L×3)で抽出した。合わせた有機相を1M 塩酸水溶液(5L×2)及びブライン(7L×2)で連続して洗浄し、溶媒を減圧下での蒸留により除去して、式IIIで示される化合物(6.40kg、20.11mol、収率 94.50%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 8.24 - 8.35 (m, 1 H), 6.70 - 6.85 (m, 1 H), 5.77 (s, 2 H), 3.45 - 3.57 (m, 2 H), 0.74 - 0.86 (m, 2 H), 0.00 (s, 9 H).
【0062】
式IV:
2−クロロ−5−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−4−アミン
【化6】
【0063】
式IIIで示される化合物(1.60kg、5.03mol)を10Lオートクレーブ内のイソプロパノール(1.60L)中に溶解した。アンモニア水(4L)を室温(25℃)で一度に添加して、反応混合物を95℃で7時間撹拌した。反応をHPLCによりモニターした。完了後、反応混合物を室温まで放冷し、ブフナーロートに通して濾過し、暗褐色の固体を得た。固体を酢酸エチル/n−ヘプタン(1/1、5L×2)及び酢酸エチル(4L)で連続してスラリー化して、褐色の固体として式IVで示される化合物(1.25kg、4.18mol、収率 83.1%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.61 - 7.77 (m, 1 H), 6.97 - 7.19 (m, 2 H), 6.28 - 6.38 (m, 1 H), 5.54 - 5.67 (m, 2 H), 3.43 - 3.53 (m, 2 H), 0.76 - 0.91 (m, 2 H), 0.07 (s, 9 H).
【0064】
式V:
2−ブトキシ−5−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−4−アミン
【化7】
【0065】
n−BuOH(17.0L)に、窒素下で金属ナトリウム(525.05g、22.84mol)を何回かに分けてゆっくり添加した。添加後、系の温度を60℃まで上昇させ、金属ナトリウムが完全に溶解するまで該温度で撹拌を継続的に行った。次に、系を25℃まで冷却して、式IVで示される化合物(1.95kg、6.53mol)を何回かに分けて添加した。撹拌しながら均質に混合後、反応混合物を90℃で8時間、継続的に撹拌した。反応をHPLCによりモニターした。完了後、反応混合物を、25℃まで自然に放冷し、飽和塩化アンモニウム水溶液(30L)中にゆっくり注いだ。次に、反応混合物を酢酸エチル(15L×3)で抽出して、合わせた有機相をブライン(20L×2)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥して、濾過した。溶媒を減圧下で留去後、残渣をn−ヘプタン(4L)中でスラリー化した。固体を濾過により分離し、酢酸エチル(5L)中でスラリー化して、黄白色の固体として式Vで示される化合物(1.53kg、4.55mol、69.7%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.49 - 7.54 (m, 1 H), 6.54 - 6.62 (m, 2 H) , 6.15 - 6.20 (m, 1 H) , 5.54 (s, 2 H) , 4.10 - 4.22 (m, 2 H) , 3.42 - 3.55 (m, 2 H) , 1.58 - 1.73 (m, 2 H) , 1.35 - 1.47 (m, 2 H) , 0.90 - 0.96 (m, 3 H) , 0.83 - 0.89 (m, 2 H) , 0.05 (s, 9 H).
【0066】
式VI:2−ブトキシ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−4−アミン
【化8】
【0067】
式Vで示される化合物(1.10kg、3.27mol)をTFA(5.50L)中に溶解して、反応液を25℃で16時間撹拌した。反応をHPLCによりモニターした。完了後、TFAを減圧下で蒸留により除去して、残渣をメタノール(1.2L)及び氷水(1.2L)中に溶解した。均一な撹拌下で、濃アンモニア水により系のpHを12に調整した。混合物を2時間撹拌して、沈殿物を溶液から継続的に沈殿させた。濾過後、白色固体としての濾滓(filter cake)を15%アンモニア水(1.2L×3)及び酢酸エチル(4L)で連続してスラリー化して、白色固体として式VIで示される化合物(550.00g、2.67mol、81.7%)を得た。
1H NMR (400 MHz, メタノール-d
4) δ 7.37 (d, J=2.89 Hz, 1 H), 6.29 (d, J=3.01 Hz, 1 H), 4.27 (t, J=6.53 Hz, 2 H), 1.75 (d, J=7.91 Hz, 2 H), 1.44 - 1.61 (m, 2 H), 1.00 (t, J=7.40 Hz, 3 H).
【0068】
式VII:
4−((4−アミノ−2−ブトキシ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)−ヒドロキシメチル)ベンズアルデヒド
【化9】
【0069】
3口フラスコに、テレフタルアルデヒド(790.64mg、5.82mmol)及びイソプロパノール(10mL)を添加し、2−ブトキシ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−4−アミン(1.00g、4.85mmol)を撹拌しながら添加し、系を0℃まで冷却して、更に10分間撹拌した。精製水(10mL)及び炭酸カリウム(804.17mg、5.82mmol)を添加し、LCMSによるモニターをしながら、原料が枯渇するまで25℃で16時間反応させた。反応が完了した後に固体が析出した。濾過後、得られた固体を精製水(20mL)及び(酢酸エチル/n−ヘプタン=1/20)(30mL)でスラリー化し、濾過し、乾燥して、黄色の固体として式VIIで示される化合物(1.50g、4.41mmol、収率 90.9%)を得た。
1H NMR (400 MHz, メタノール-d
4) δ 9.94 (s, 1 H), 7.86 (d, J = 8.16 Hz, 2 H), 7.72 (d, J = 8.16 Hz, 2 H), 7.12 - 7.17 (m, 1 H), 6.19 (s, 1 H), 4.28 (t, J=6.53 Hz, 2 H), 1.68 - 1.77 (m, 2 H), 1.44 - 1.54 (m, 2 H), 0.97 (t, J=7.34 Hz, 3 H).
【0070】
式VIII:
(4−アミノ−2−ブトキシ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)(4−(ピロリジン−1−イルメチル)フェニル)メタノール
【化10】
【0071】
30Lクレーブに、式VIIで示される化合物(450.0g、1.32mol)及びイソプロパノール(4.5L)を添加して、混合物を5分間撹拌した。次に、氷酢酸(119.0g、1.98mol)を添加して、撹拌しながら温度を0〜10℃まで下げた。ピロリジン(112.4g、1.58mol)を10℃未満の温度で滴下した。添加後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(420.0g、1.98mol)を何回かに分けて添加して、液体クロマトグラフィーによるモニターをしながら、原料が枯渇するまで10〜20℃で3時間反応させた。反応完了後、精製水(5L)を添加し、溶液の温度を約−10℃まで下げ、添加中の溶液温度を0℃未満にしながら15%アンモニア水(12L)を溶液に添加した。撹拌下で固体が析出した。濾過を行い、得られた濾滓を水(2L)及び酢酸エチル(2L×2)でスラリー化した。濾過を行い、減圧下、40℃で12時間乾燥を行い、黄色固体として式VIIIで示される化合物(465.0g、1.18mol、収率 89.4%、水分 0.9%)を得た。
1H NMR (400 MHz, メタノール-d
4) δ 7.46 (d, J=7.91 Hz, 1 H), 7.29 (d, J = 8.03 Hz, 1 H), 7.09 (s, 1 H), 6.12 (s, 1 H), 4.29 (t, J = 6.53 Hz, 2 H), 3.60 (s, 2 H), 2.52 (br. s., 4 H), 1.66 - 1.83 (m, 6 H), 1.49 (d, J = 7.53 Hz, 2 H), 0.98 (t, J = 7.40 Hz, 3 H).
【0072】
式I:
2−ブトキシ−7−(4−(ピロリジン−1−イルメチル)ベンジル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−4−アミン
【化11】
【0073】
20Lクレーブに、式VIIIで示される化合物(440.0g、1.11mol)及びジクロロメタン(7.0L)を添加して、撹拌しながら系の温度を−15℃未満まで下げた。トリエチルシラン(880mL、5.55mol)を滴下後、添加中の温度を−10℃未満に維持しながらトリフルオロ酢酸(880mL)を滴下した。添加後、反応を0℃で2時間行い、原料点(raw material point)が消失するまで液体クロマトグラフィーによりモニターした。反応完了後、反応液を濃縮乾固して、酢酸エチル(2.2L)を溶液に添加した。撹拌を行って温度を0℃未満まで下げた。次に、飽和炭酸ナトリウム溶液を添加してpH9〜10に溶液を調整し、その間、系の温度を10℃未満に維持した。濾過を行い、得られた濾滓を水(2.2L)でスラリー化した。濾過を行い、減圧下で乾燥を行い、白色固体として式Iで示される化合物のトリフルオロ酢酸塩(550g)を得、ここで、式Iで示される化合物対トリフルオロ酢酸のモル比は1:1であった。
1H NMR (400 MHz, メタノール-d
4) δ 7.27 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.22 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.04 (s, 1H), 4.32 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 3.99 (s, 2H), 3.60 (s, 2H), 2.55 - 2.52 (m, 4H), 1.85 - 1.71 (m, 6H), 1.55-1.48 (m, 2H), 1.00 (t, J = 7.4 Hz, 3H).
【0074】
実施例1:2−ブトキシ−7−(4−(ピロリジン−1−イルメチル)ベンジル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−4−アミンのトリフルオロ酢酸塩の結晶形Bの調製
調製例1で得られた白色固体(550g)及びエタノール(1.4L)を撹拌し、固体が完全に溶解するまで加熱還流した。濾過後、結晶化させるために濾液を撹拌し、白色固体を得た。上記のプロセスを繰り返して、再結晶を1回行い、帯白色固体、即ち、式Iで示される化合物のトリフルオロ酢酸塩の結晶形B(210.0g)を得、ここで、式Iで示される化合物対トリフルオロ酢酸のモル比は1:1である。
得られた結晶形は、実質的に
図1に示されるとおりの回折ピークを有していた。
【0075】
実施例2:高温安定性試験
実施例1で調製された結晶形Bを、「医薬品成分及び医薬品の安定性試験ガイドライン(Guidelines for the Stability Test of Pharmaceutical Ingredients and Pharmaceutical Preparations)」(Chinese Pharmacopoeia 2010 Appendix XIXC)により、高温条件下での加速試験において安定性について試験した。
【0076】
結晶形Bを、60℃の開口している清潔な容器に入れた。試料は、それぞれ10日目、20日目及び30日目に試験のために採取した。結果を0日目の初期試験結果と比較した。
【0077】
実施例3:高湿度安定性試験
実施例1で調製された結晶形Bを、「医薬品成分及び医薬品の安定性試験ガイドライン」(Chinese Pharmacopoeia 2010 Appendix XIXC)により、高湿度条件下での加速試験において安定性について試験した。
【0078】
結晶形Bを、40℃/75%湿度(開放)の条件下、恒温恒湿槽中で加速試験に付した。試料は、それぞれ30日目、60日目及び90日目に試験のために採取した。結果を0日目の初期試験結果と比較した。
【0079】
実施例4:光安定性
光条件下、実施例1で調製された結晶形Bを、「医薬品成分及び医薬品の安定性試験ガイドライン」(Chinese Pharmacopoeia 2010 Appendix XIXC)により、安定性について試験した。
【0080】
結晶形Bを、5000Lx±500Lxの照明環境に置いた。試料は、5日目、10日目及び30日目に採取した。試験結果を0日目の初期試験結果と比較した。
【0081】
医薬活性の実施例
効能実施例1:Toll様受容体7及びToll様受容体8のインビトロ受容体結合活性スクリーニング
【0082】
試薬:
HEK−Blue hTLR7細胞及びHEK−Blue hTLR8細胞(InvivoGenから入手可能)
DMEM培地
熱非働化ウシ胎児血清
抗マイコプラズマ試薬 Normocin(商標)
ブレオマイシン
ブラストサイジン
【0083】
使用されたGS−9620及びR848の構造は以下のとおりであるが、GS−9620の調製は、米国特許出願公開第2010/0143301号明細書に開示されたプロセスを参照することができ;R848は、ABGENT(IMG−2208、仕様:0.5mg)から市販されていた。
【化12】
【0084】
スキーム:
1.96ウェル化合物プレートの調製:
10mmol/Lの濃度で開始して、液体ワークステーションPODを用いて化合物をDMSOで3倍に勾配希釈し、10点希釈した(第2カラム〜第11カラム、各点はデュプリケイト)。第12カラムでは、5mg/mL 陽性化合物R848(1μL)を陽性対照として添加した;そして、第1カラムでは、DMSO(1μL)を陰性対照として添加した。各ウェルは、DMSO(1μL)を含有していた。
2.培養フラスコ中の細胞を収集し、細胞密度を250,000細胞/mLに希釈した。
3.調製した化合物プレートに細胞懸濁液(50,000細胞/ウェル)(200μL)を添加し、各ウェル中のDMSOの最終濃度を0.5%とした。
4.細胞及び化合物を含有する培養プレートを、CO
2インキュベーター中、37℃、5% CO
2で24時間インキュベートした。
5.24時間のインキュベーション後、上清(20μL)を各ウェルから96ウェル透明アッセイプレートへと取り出した。アッセイプレートの各ウェルにQuanti−Blue試薬(180μL)を添加して、プレートをインキュベーター中、37℃、5% CO
2で1時間インキュベートした。
6.1時間後、Microplate Reader OD650を用いて上清(20μL)中のアルカリホスファターゼの含量を測定した。
7.Prismソフトウェアを用いて各化合物のEC
50を得た。
結果を表1に示した:
【0085】
【表2】
【0086】
本発明による式Iで示される化合物は、対照(Toll様受容体7アゴニスト GS−9620)よりも高いToll様受容体7に対するインビトロ受容体結合活性、及び対照(Toll様受容体7アゴニスト GS−9620)よりも低いToll様受容体8に対するインビトロ受容体結合活性を示した。本発明の化合物は、様々な受容体に関して選択性の明白な差を有しており、その効果は先行技術より優れている。
【0087】
効能実施例2:末梢血単核球試験スキーム
この実施例の目的は、式Iで示される化合物でヒト末梢血単核球(PBMC)を刺激した24時間後のサイトカインの発現レベルを測定することである。
【0088】
細胞上清を希釈せずにアッセイし、IFN−αのレベルを直接測定した。式で示される化合物を最初に20mM DMSOストック溶液中に調合して、細胞培地で10倍に勾配希釈して総数11の希釈点とした。9希釈点の化合物(最高濃度は200μmol/Lであった)を各ウェルに50μLで96ウェルプレートに添加した。新鮮なヒト末梢血単核球を各ウェルに150μLで播種して450,000細胞を含むようにした。細胞培養プレートをインキュベーター中、37℃、5% CO
2で24時間インキュベートした。インキュベーション後、培養プレートを1200rpmで5分間遠心分離して上清を収集し、そして、測定のために−20℃で保存した。サイトカインの測定は、フローサイトメーター上でBD−PharmingenのCytometric Bead Array(CBA)を用いて実行した。上記の測定法を用いて、30pg/mLのIFN-αの産生を刺激する最低薬物濃度を、サイトカイン刺激試験におけるMEC値とした。結果を表2に示した。
【0089】
【表3】
【0090】
対照(GS−9620)と比較して、本発明の式Iで示される化合物は、より良好なPBMCのインビトロ IFN−α誘導活性と、同等のTNF−α誘導活性を示した。