特表2019-504483(P2019-504483A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-504483高温化学薬品及び超音波装置を用いた基板の洗浄方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-504483(P2019-504483A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(54)【発明の名称】高温化学薬品及び超音波装置を用いた基板の洗浄方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20190118BHJP
【FI】
   H01L21/304 648H
   H01L21/304 648K
   H01L21/304 643A
   H01L21/304 643D
   H01L21/304 651B
   H01L21/304 647Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-529555(P2018-529555)
(86)(22)【出願日】2015年12月9日
(85)【翻訳文提出日】2018年7月12日
(86)【国際出願番号】CN2015096788
(87)【国際公開番号】WO2017096553
(87)【国際公開日】20170615
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン フーピン
(72)【発明者】
【氏名】ワン フイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン シー
(72)【発明者】
【氏名】ジャ シェナー
(72)【発明者】
【氏名】ワン ダンイン
(72)【発明者】
【氏名】ジァン チャオウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ダイ インウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジェン
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA96
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157BB11
5F157BB66
5F157BB73
5F157BC12
5F157BC54
5F157BE23
5F157BE33
5F157CB03
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5F157CE10
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5F157CE31
5F157CE36
5F157CE38
5F157CE41
5F157CF04
5F157CF10
5F157CF14
5F157CF16
5F157CF34
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF74
5F157CF99
5F157DA31
5F157DB02
5F157DB03
5F157DB18
(57)【要約】
本発明によれば、基板洗浄用の高温化学溶液供給システムが提供される。高温化学溶液供給システムは、溶液タンクと、バッファタンクと、第1のポンプと、第2のポンプとを含む。溶液タンクには高温化学溶液が入っている。バッファタンクは、タンク本体と、通気管路と、ニードル弁とを有する。タンク本体には、前記高温化学溶液が入っている。通気管路の一端はタンク本体に接続されており、通気管路の他端は溶液タンクに接続されている。ニードル弁は通気管路に取り付けられており、ニードル弁を調節することにより高温化学溶液内の気泡が通気管路を介してバッファタンクから排出されるように流量を調整する。第1のポンプの吸込口は溶液タンクに接続されており、第1のポンプの送出口はバッファタンクに接続されている。第2のポンプの吸込口はバッファタンクに接続されており、第2のポンプの送出口は基板が洗浄される洗浄室に接続されている。本発明によれば、基板洗浄用の高温化学溶液供給システム及び超音波または高周波超音波装置を有する装置も提供される。また、本発明によれば基板を洗浄する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温化学溶液を含む溶液タンクと、
タンク本体と、通気管路と、ニードル弁とを有するバッファタンクであって、前記タンク本体には前記高温化学溶液が含まれており、前記通気管路の一端が前記タンク本体に接続されており、前記通気管路の他端が前記溶液タンクに接続されており、前記ニードル弁が前記通気管路に取り付けられており、前記ニードル弁を調節することにより前記高温化学溶液内の気泡が前記通気管路を介して前記バッファタンクから排出されるように流量を調整する前記タンク本体と、
吸込口が前記溶液タンクに接続され、送出口が前記バッファタンクに接続されている第1のポンプと、
吸込口が前記バッファタンクに接続され、送出口が基板の洗浄が行われる洗浄室に接続されている第2のポンプとを備えることを特徴とする基板洗浄用高温化学溶液供給システム。
【請求項2】
第3のポンプと、ヒータとをさらに備え、前記第3のポンプが前記溶液タンクと前記ヒータに接続され、前記ヒータが前記溶液タンクに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄用高温化学溶液供給システム。
【請求項3】
温度計と制御装置とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄用高温化学溶液供給システム。
【請求項4】
前記溶液タンクは、脱イオン水が供給される第1の吸込口と、第1の化学物質が供給される第2の吸込口と、第2の化学物質が供給される第3の吸気口とを備えることを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄用高温化学溶液供給システム。
【請求項5】
前記第1の化学物質はHであり、前記第2の化学物質はNHOHであることを特徴とする請求項4に記載の基板洗浄用高温化学溶液供給システム。
【請求項6】
前記バッファタンクは、流入管と排出管とを更に備え、前記流入管と前記排出管とは、前記タンク本体の前記底部近傍の位置まで挿入され、前記通気管路は前記バッファタンクの上部に取り付けられ、前記高温化学溶液内の気泡が上昇して前記バッファタンクから前記通気管路を介して排出されることを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄用高温化学溶液供給システム。
【請求項7】
前記バッファタンクは、前記流入管から出た気泡が前記排出管に流入することを防ぐ気泡仕切部をさらに備えていることを特徴とする請求項6に記載の基板洗浄用高温化学溶液供給システム。
【請求項8】
前記バッファタンクは、流入管と、排出管と、粒子フィルタとを更に備え、前記流入管は、前記タンク本体の前記底部近傍であって前記粒子フィルタの吸込口の位置まで挿入されており、前記排出管は前記バッファタンクの上部であって前記粒子フィルタの排出口の位置に取り付けられており、前記通気管路は前記バッファタンク上部であって前記粒子フィルタの吸込口の位置に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄用高温化学溶液供給システム。
【請求項9】
前記第2のポンプの前記送出口と前記洗浄室との間に設置された、少なくとも1つの第2のバッファタンクと少なくとも1つの第4のポンプとをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄用高温化学溶液供給システム。
【請求項10】
前記溶液タンクの外面が断熱材で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄用高温化学溶液供給システム。
【請求項11】
高温化学溶液を含む溶液タンクと、
タンク本体と、通気管路と、ニードル弁とを有するバッファタンクであって、前記タンク本体には前記高温化学溶液が含まれており、前記通気管路の一端が前記タンク本体に接続されており、前記通気管路の他端が前記溶液タンクに接続されており、前記ニードル弁が前記通気管路に取り付けられており、前記ニードル弁を調節することにより前記高温化学溶液内の気泡が前記通気管路を介して前記バッファタンクから排出されるように流量を調整する前記タンク本体と、
吸込口が前記溶液タンクに接続され、送出口が前記バッファタンクに接続されている第1のポンプと、
吸込口が前記バッファタンクに接続され、送出口が基板の洗浄が行われる洗浄室に接続されている第2のポンプと、
前記基板を把持する基板チャックと、
前記基板チャックに接続され、前記基板チャックを回転させる回転駆動機構と、
前記基板の表面に前記高温化学溶液又は脱イオン水を供給するノズルと、
前記基板から隙間を空けて、前記基板に隣接して配置される超音波/高周波超音波装置と、
前記超音波/高周波超音波装置を昇降させ、前記基板と前記超音波/高周波超音波装置との間の前記隙間を変化させる垂直アクチュエータとを備えることを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項12】
基板を回転させるステップと、
前記基板の表面を濡らすために、前記基板の表面に脱イオン水を供給するステップと、
前記基板表面を洗浄するために、前記基板表面に高温化学溶液を供給するステップと、
前記基板の回転速度を低回転速度に変更し、超音波/高周波超音波装置と前記基板との間に、高温化学溶液で満たされる隙間dが形成されるように前記超音波/高周波超音波装置を前記基板表面近傍に移動させるステップと、
前記超音波/高周波超音波装置をオンにし、一定又は第1の洗浄サイクルでパルス状の作動電力を供給するステップと、
前記超音波/高周波超音波装置をオフにし、基板の表面上での気泡の合体を防ぐために、前記超音波/高周波超音波装置によって生成された気泡をリリースするための高温化学溶液又は前記脱イオン水を前記基板の表面に供給するステップと、
前記超音波/高周波超音波装置をオンにし、一定又は第2の洗浄サイクルでパルス状の作動電力を供給するステップと、
前記超音波/高周波超音波装置をオフにして、前記基板の表面に洗浄用化学溶液又は前記脱イオン水を供給するステップと、
前記基板を乾燥させるステップとを備えることを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項13】
前記高温化学溶液は高温のSC1であることを特徴とする請求項12に記載の基板洗浄方法。
【請求項14】
前記超音波/高周波超音波装置をオンにし、一定又は前記第1の洗浄サイクルでパルス状の作動電力を供給するステップにおいて、前記隙間dは垂直アクチュエータによって制御され、前記超音波/高周波電力の波形はプログラム可能であり予め設定されており、前記隙間dの変化プロファイルはプログラム可能であり予め設定されていることを特徴とする請求項12に記載の基板洗浄方法。
【請求項15】
前記気泡をリリースするステップにおいて、供給される前記化学溶液は前記洗浄用化学溶液と同一の種類又は前記洗浄用化学溶液とは異なる種類であることを特徴とする請求項12に記載の基板洗浄方法。
【請求項16】
前記第1の洗浄サイクル及び前記第2の洗浄サイクルは複数回繰り返し行われ、洗浄サイクルを2回行う毎に前記気泡をリリースするステップが1回行われることを特徴とする請求項12に記載の基板洗浄方法。
【請求項17】
前記第1の洗浄サイクル及び前記第2の洗浄サイクルは同じであることを特徴とする請求項16に記載の基板洗浄方法。
【請求項18】
前記第1の洗浄サイクル及び前記第2の洗浄サイクルは異なることを特徴とする請求項16に記載の基板洗浄方法。
【請求項19】
基板を回転させるステップと、
前記基板の表面を濡らすために、前記基板の表面に脱イオン水を供給するステップと、
前記基板表面を洗浄するために、前記基板表面に高温化学溶液を供給するステップと、
前記基板の回転速度を低回転速度に変更し、超音波/高周波超音波装置と前記基板との間に、高温化学溶液で満たされる隙間dが形成されるように前記超音波/高周波超音波装置を前記基板表面近傍に移動させるステップと、
前記超音波/高周波超音波装置をオンにし、一定又は第1の洗浄サイクルでパルス状の作動電力を供給するステップと、
前記超音波/高周波超音波装置をオフにして、前記超音波/高周波超音波装置の下又は周囲の合体した気泡をリリースするために、前記超音波/高周波超音波装置を高温化学溶液の液面から上昇させるステップと、
前記超音波/高周波超音波装置と前記基板の表面との間に前記隙間dが形成されるように、前記超音波/高周波超音波装置を下降させ、その後前記超音波/高周波超音波装置をオンにし、一定又は第2の洗浄サイクルでパルス状の作動電力を供給するステップと、
前記超音波/高周波超音波装置をオフにして、前記基板の表面に洗浄用化学溶液又は前記脱イオン水を供給するステップと、
前記基板を乾燥させるステップとを備えることを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項20】
超音波/高周波超音波装置を上昇させ、前記超音波/高周波超音波装置と前記基板の表面との間の前記隙間dが、前記超音波/高周波超音波装置の作業面を前記洗浄用化学溶液に浸漬させないように制御されることを特徴とする請求項19に記載の基板洗浄方法。
【請求項21】
前記第1の洗浄サイクル及び前記第2の洗浄サイクルは複数回繰り返し行われ、洗浄サイクルを2回行う毎に前記気泡をリリースするステップが1回行われることを特徴とする請求項19に記載の基板洗浄方法。
【請求項22】
前記第1の洗浄サイクル及び前記第2の洗浄サイクルは同じであることを特徴とする請求項21に記載の基板洗浄方法。
【請求項23】
前記第1の洗浄サイクル及び前記第2の洗浄サイクルは異なることを特徴とする請求項21に記載の基板洗浄方法。
【請求項24】
基板を回転させるステップと、
前記基板の表面を濡らすために、前記基板の表面に脱イオン水を供給するステップと、
前記基板表面を洗浄するために、前記基板表面に一種の高温化学溶液又は前記脱イオン水を供給するステップと、
前記基板の表面を洗浄するために、前記基板の表面に中温化学溶液又は前記脱イオン水を供給するステップと、
前記基板の回転速度を低回転速度に変更し、超音波/高周波超音波装置と前記基板との間に、洗浄溶液で満たされる隙間dが形成されるように前記超音波/高周波超音波装置を前記基板の表面近傍に移動させて、中温化学溶液と共働させるステップと、
前記超音波/高周波超音波装置をオンにし、一定又は第1の洗浄サイクルでパルス状の作動電力を供給するステップと、
基板表面上での気泡の合体を防ぐために、中温化学溶液によって生成された気泡をリリースするための中温化学溶液又は脱イオン水を前記基板の表面上に供給するステップと、
前記超音波/高周波超音波装置をオンにし、一定又は第2の洗浄サイクルでパルス状の作動電力を供給するステップと、
前記超音波/高周波超音波装置をオフにして、前記基板の表面に洗浄用化学溶液又は前記脱イオン水を供給するステップと、
前記基板を乾燥させるステップとを備えることを特徴とする基板洗浄方法。
【請求項25】
前記中温の化学溶液は、前記高温化学溶液と同一の種類又は前記高温化学溶液とは異なる種類のものであることを特徴とする請求項24に記載の基板洗浄方法。
【請求項26】
前記気泡をリリースするステップにおいて、供給される前記化学溶液は前記洗浄用化学溶液と同一の種類又は前記洗浄用化学溶液とは異なる種類であることを特徴とする請求項24に記載の基板洗浄方法。
【請求項27】
前記第1の洗浄サイクル及び前記第2の洗浄サイクルは複数回繰り返し行われ、洗浄サイクルを2回行う毎に前記気泡をリリースするステップが1回行われることを特徴とする請求項24に記載の基板洗浄方法。
【請求項28】
前記第1の洗浄サイクル及び前記第2の洗浄サイクルは同じであることを特徴とする請求項27に記載の基板洗浄方法。
【請求項29】
前記第1の洗浄サイクル及び前記第2の洗浄サイクルは異なることを特徴とする請求項27に記載の基板洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の洗浄方法及び装置全般に関し、特に、SC1等の高温化学溶液内部の気泡や、洗浄工程において基板洗浄用の超音波装置を有する単一の基板洗浄装置に高温化学溶液を供給する際に発生または癒合する気泡を低減することに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、基板表面上の粒子は次のステップへ進む前に除去又は洗浄する必要がある。基板の表面上の、ポストCMP(chemical−mechanical planarization)等のスラリーや残留物は除去が困難である。このような粒子を除去するために、高温の硫酸(SMP)が用いられる。しかし、硫酸は安全に取り扱うことが困難であるだけでなく、硫酸の廃棄物の処理も高くつく。高温SC1(過酸化水素、水酸化アンモニア、及び、水を含む)は、高温の硫酸の非常に良好な代替候補である。しかし、これら粒子を効果的に除去するには、SC1の温度を80℃より高温に加熱する必要がある。
【0003】
SC1がこのような高温になる場合、SC1化学物質が低圧吸引、機械撹拌、及び、加熱工程を通過すると、SC1内のHやNHOHといった化学物質が、酸素とアンモニアガスの気泡として解離しやすくなる。このように気泡が混じったSC1は洗浄工程において、ポンプ、ヒーター、流量計、超音波装置の誤作動の原因となる。
【0004】
従って、混合、加熱、供給、及び、基板に同時に超音波エネルギーが加えられる洗浄工程において、高温化学溶液内の気泡を制御するより良い方法が必要となる。
【発明の概要】
【0005】
本発明によれば、基板洗浄用の高温化学溶液供給システムが提供される。前記高温化学溶液供給システムは、溶液タンクと、バッファタンクと、第1のポンプと、第2のポンプとを含む。前記溶液タンクには高温化学溶液が入っている。前記バッファタンクは、タンク本体と、通気管路と、ニードル弁とを有する。前記タンク本体には、前記高温化学溶液が入っている。前記通気管路の一端はタンク本体に接続されており、前記通気管路の他端は前記溶液タンクに接続されている。前記ニードル弁は前記通気管路に取り付けられており、高温化学溶液内の気泡が前記通気管路を介して前記バッファタンクから排出される流量に達するように前記ニードル弁が調整される。前記第1のポンプの吸込口は前記溶液タンクに接続されており、前記第1のポンプの送出口は前記バッファタンクに接続されている。前記第2のポンプの吸込口は前記バッファタンクに接続されており、前記第2のポンプの送出口は基板が洗浄される洗浄室に接続されている。
【0006】
また、本発明によれば基板を洗浄する装置も提供される。前記装置は、溶液タンクと、バッファタンクと、第1のポンプと、第2のポンプと、基板チャックと、回転駆動機構と、ノズルと、超音波/高周波超音波装置と、垂直アクチュエータとを備えている。前記溶液タンクには高温化学溶液が入っている。前記バッファタンクは、タンク本体と、通気管路と、ニードル弁とを有する。前記タンク本体には、前記高温化学溶液が入っている。前記通気管路の一端はタンク本体に接続されており、前記通気管路の他端は前記溶液タンクに接続されている。前記ニードル弁は前記通気管路に取り付けられており、高温化学溶液内の気泡が前記通気管路を介して前記バッファタンクから排出される流量に達するように前記ニードル弁が調整される。前記第1のポンプの吸込口は前記溶液タンクに接続されており、前記第1のポンプの送出口は前記バッファタンクに接続されている。前記第2のポンプの吸込口は前記バッファタンクに接続されており、前記第2のポンプの送出口は基板が洗浄される洗浄室に接続されている。前記基板チャックは基板を保持する。前記回転駆動機構は、前記基板チャックに接続され、前記基板チャックを回転させる。前記ノズルは、基板の表面に高温化学溶液又は脱イオン水を供給する。前記超音波/高周波超音波装置は、基板に隣接して配置され、基板と前記超音波/高周波超音波装置との間には隙間が設けられる。前記垂直アクチュエータは、前記超音波/高周波超音波装置を昇降させて、基板と前記超音波/高周波超音波装置との間の隙間を変化させる。
【0007】
本発明によって提供される基板の洗浄方法は、基板を回転させるステップと、前記基板の表面を濡らすために、前記基板の表面に脱イオン水を供給するステップと、前記基板表面を洗浄するために、前記基板表面に高温化学溶液を供給するステップと、前記基板の回転速度を低回転速度に変更するステップと、超音波/高周波超音波装置と前記基板との間に、高温化学溶液で満たされる隙間dが形成されるように前記超音波/高周波超音波装置を前記基板の表面近傍に移動させるステップと、前記超音波/高周波超音波装置をオンにし、一定又は第1の洗浄サイクルでパルス状の作動電力を供給するステップと、前記超音波/高周波超音波装置をオフにし、基板の表面上での気泡の合体を防ぐために、前記超音波/高周波超音波装置によって生成された気泡をリリースするための高温化学溶液又は前記脱イオン水を前記基板の表面に供給するステップと、前記超音波/高周波超音波装置をオンにし、一定又は第2の洗浄サイクルでパルス状の作動電力を供給するステップと、前記超音波/高周波超音波装置をオフにして、前記基板の表面に洗浄用化学溶液又は脱イオン水を供給するステップと、前記基板を乾燥させるステップとを備える。
【0008】
本発明によって提供される基板の洗浄方法は、基板を回転させるステップと、前記基板の表面を濡らすために、前記基板の表面に脱イオン水を供給するステップと、前記基板表面を洗浄するために、前記基板表面に高温化学溶液を供給するステップと、前記基板の回転速度を低回転速度に変更し、超音波/高周波超音波装置と前記基板との間に、高温化学溶液で満たされる隙間dが形成されるように前記超音波/高周波超音波装置を前記基板表面近傍に移動させるステップと、前記超音波/高周波超音波装置をオンにし、一定又は第1の洗浄サイクルでパルス状の作動電力を供給するステップと、前記超音波/高周波超音波装置をオフにして、前記超音波/高周波超音波装置の下又は周囲の合体した気泡をリリースするために、前記超音波/高周波超音波装置を高温化学溶液の液面から上昇させるステップと、前記超音波/高周波超音波装置と前記基板の表面との間に前記隙間dが形成されるように、前記超音波/高周波超音波装置を下降させ、その後前記超音波/高周波超音波装置をオンにし、一定又は第2の洗浄サイクルでパルス状の作動電力を供給するステップと、前記超音波/高周波超音波装置をオフにして、前記基板の表面に洗浄用化学溶液又は前記脱イオン水を供給するステップと、前記基板を乾燥させるステップとを備える。
【0009】
本発明によって提供される基板の洗浄方法は、基板を回転させるステップと、前記基板の表面を濡らすために、前記基板の表面に脱イオン水を供給するステップと、前記基板表面を洗浄するために、前記基板表面に一種の高温化学溶液又は前記脱イオン水を供給するステップと、前記基板の表面を洗浄するために、前記基板の表面に中温化学溶液又は前記脱イオン水を供給するステップと、前記基板の回転速度を低回転速度に変更し、超音波/高周波超音波装置と前記基板との間に、洗浄溶液で満たされる隙間dが形成されるように前記超音波/高周波超音波装置を前記基板の表面近傍に移動させて、中温化学溶液と共働させるステップと、前記超音波/高周波超音波装置をオンにし、一定又は第1の洗浄サイクルでパルス状の作動電力を供給するステップと、基板表面上での気泡の合体を防ぐために、中温化学溶液によって生成された気泡をリリースするための中温化学溶液又は脱イオン水を前記基板の表面上に供給するステップと、前記超音波/高周波超音波装置をオンにし、一定又は第2の洗浄サイクルでパルス状の作動電力を供給するステップと、前記超音波/高周波超音波装置をオフにして、前記基板の表面に洗浄用化学溶液又は前記脱イオン水を供給するステップと、前記基板を乾燥させるステップとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】蛇腹ポンプの作動過程の一例を示す図である。
図1B】蛇腹ポンプの作動過程の一例を示す図である。
図2A】バッファタンクを伴う2ポンプシステムの例を示す図である。
図2B】バッファタンクを伴う2ポンプシステムの例を示す図である。
図2C】バッファタンクを伴う2ポンプシステムの例を示す図である。
図2D】バッファタンクを伴う2ポンプシステムの例を示す図である。
図3】バッファタンクを伴う3ポンプシステムの例を示す図である。
図4】高温の化学物質を、混合、加熱、供給するシステムの一例を示す図である。
図5A】基板洗浄用の超音波または高周波超音波装置を備える基板洗浄装置の一例を示す図である。
図5B】基板洗浄用の超音波または高周波超音波装置を備える基板洗浄装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によれば、基板洗浄用の高温化学溶液供給システムが提供される。前記高温化学溶液供給システムは、溶液タンクと、バッファタンクと、第1のポンプと、第2のポンプとを含む。前記溶液タンクには高温化学溶液が入っている。前記バッファタンクは、タンク本体と、通気管路と、ニードル弁とを有する。前記タンク本体には、前記高温化学溶液が入っている。前記通気管路の一端はタンク本体に接続されており、前記通気管路の他端は前記溶液タンクに接続されている。前記ニードル弁は前記通気管路に取り付けられており、高温化学溶液内の気泡が前記通気管路を介して前記バッファタンクから排出される流量に達するように前記ニードル弁が調整される。前記第1のポンプの吸込口は前記溶液タンクに接続されており、前記第1のポンプの送出口は前記バッファタンクに接続されている。前記第2のポンプの吸込口は前記バッファタンクに接続されており、前記第2のポンプの送出口は基板が洗浄される洗浄室に接続されている。
【0012】
また、本発明によれば基板を洗浄する装置も提供される。前記装置は、溶液タンクと、バッファタンクと、第1のポンプと、第2のポンプと、基板チャックと、回転駆動機構と、ノズルと、超音波/高周波超音波装置と、垂直アクチュエータとを備えている。前記溶液タンクには高温化学溶液が入っている。前記バッファタンクは、タンク本体と、通気管路と、ニードル弁とを有する。前記タンク本体には、前記高温化学溶液が入っている。前記通気管路の一端はタンク本体に接続されており、前記通気管路の他端は前記溶液タンクに接続されている。前記ニードル弁は前記通気管路に取り付けられており、高温化学溶液内の気泡が前記通気管路を介して前記バッファタンクから排出される流量に達するように前記ニードル弁が調整される。前記第1のポンプの吸込口は前記溶液タンクに接続されており、前記第1のポンプの送出口は前記バッファタンクに接続されている。前記第2のポンプの吸込口は前記バッファタンクに接続されており、前記第2のポンプの送出口は基板が洗浄される洗浄室に接続されている。前記基板チャックは基板を保持する。前記回転駆動機構は、前記基板チャックに接続され、前記基板チャックを回転させる。前記ノズルは、基板の表面に高温化学溶液又は脱イオン水を供給する。前記超音波/高周波超音波装置は、基板に隣接して配置され、基板と前記超音波/高周波超音波装置との間には隙間が設けられる。前記垂直アクチュエータは、前記超音波/高周波超音波装置を昇降させて、基板と前記超音波/高周波超音波装置との間の隙間を変化させる。
【0013】
図1A〜1Bには、従来の蛇腹ポンプの構成が示されている。蛇腹ポンプ1003は、左蛇腹室1033と右蛇腹室1035とを有する。図1Aに示されるように、空気が排出されると、左蛇腹室1033が液体を吸入する。液体が70℃を超える温度のSC1等の高温の化学物質である場合、この吸入時に気泡1037(主にH2O2やNH4OHから解離した酸素やアンモニアガス)が生成される。また図1Bに示されるように、次のポンプサイクルにおいて、空気が供給されると、左蛇腹室1033内の化学溶液と混合された気泡1037が左蛇腹室1033から押し出される。気泡1037はより小さい体積に圧縮される。したがって、ポンプ1003の送出口における液体の圧力が著しく低下する。また、このように気泡1037の混ざった化学溶液は洗浄工程において、流量計、ヒータ、超音波装置の誤作動の原因となる。
【0014】
図2A〜2Dには、本発明によるポンプシステムの一実施形態が示されている。図2Aに示すように、ポンプシステムは、第1のポンプ2019と、バッファタンク2021と、第2のポンプ2023と、ニードル弁2029と、通気管路2030とを備えている。第1のポンプ2019から汲み出された化学溶液には、上述した気泡が含まれている。化学溶液と混合された気泡は、バッファタンク2021に注入される。バッファタンク2021において、気泡がバッファタンク2021の上部まで上昇し、その後ニードル弁2029と通気管路2030とを介して排出される。ニードル弁2029は、気泡の殆どが排出され、同時に、バッファタンク2021内の圧力を開放しすぎない程度に調節される必要がある。バッファタンク2021内の圧力は、第1のポンプ2019の出力圧力を調整することによって、5psi〜20psiの範囲、好ましくは10psiとなる。その後、バッファタンク2021内の気泡が大幅に減少した化学溶液が、第2ポンプ2023の吸込口に押し流される。第2のポンプ2023の吸込口に押し流された化学溶液は一定の圧力(上記設定により10psi程度)を有しており、第2のポンプ2023の吸入工程において生成される気泡は少ないか殆どない。したがって、第2のポンプ2023の送出口における圧力を高い値に維持することが可能となる。第2のポンプ2023の送出口における圧力は、20〜50psiと高く設定することが可能となる。一般的に、第1のポンプ2019は、遠心型ポンプ又は蛇腹型ポンプの何れかを選択することができる。第2のポンプ2023には、より高い圧力の出力を得るために蛇腹型ポンプを用いることが好ましい。
【0015】
図2Bには、本発明によるバッファタンクの一実施形態が示されている。前記バッファタンクは、タンク本体2022と、流入管2028と、ニードル弁2029と、通気管路2030と、排出管2032とを備えている。流入管2028と排出管2032とは、タンク本体2022の底部近傍の位置まで挿入され、通気管路2030は、バッファタンク2021の上部に取り付けられている。化学溶液の気泡2037は上昇してバッファタンク2021から通気管路2030を介して排出される。
【0016】
図2Cには、本発明によるバッファタンクの別の実施形態が示されている。バッファタンク2021は気泡仕切部2034をさらに備えていること以外は図2Bに示すバッファタンクと類似する。気泡仕切部2034は、流入管2028から出た気泡2037が排出管2032に流入することを防ぐ機能を有する。気泡仕切部2034の高さは、バッファタンクの高さの50%〜80%の範囲であり、好ましくは70%である。
【0017】
図2Dには、本発明によるバッファタンクの別の実施形態が示されている。バッファタンク2021は、粒子フィルタ2036をさらに備え、排出管2032がバッファタンク2021上部であって粒子フィルタ2036の排出口の位置に取り付けられていること以外は図2Bに示されるバッファタンクと類似する。流入管2028は、タンク本体2022の底部近傍であって粒子フィルタ2036の吸込口の位置まで挿入されている。排出管2032は、バッファタンク2021の上部であって粒子フィルタ2036の排出口の位置に取り付けられている。通気管路2030は、バッファタンク2021の上部であって粒子フィルタ2036の吸込口の位置に取り付けられている。粒子フィルタ2036は、フィルタ膜によって、気泡2037が直接排出管2032に流入することを防ぐ機能を有する。フィルタ膜によって止められた気泡2037は、通気管路2030とニードル弁2029を介して排出される。
【0018】
図3には、本発明によるポンプシステムの別の実施形態が示されている。ポンプシステムは第2のバッファタンク3050と、第3のポンプ3053とをさらに備えていることを除いて図2Aに示されるポンプシステムと類似する。3ポンプシステムは、2ポンプシステムよりも高温域において、化学物質のより高い圧力と流量を達成することができる。さらにポンプやバッファタンクを組み合わせることにより、さらに高い圧力と高い流量に達することは明らかである。
【0019】
図4には、本発明による化学溶液供給システムの一実施形態が示されている。本実施形態は、溶液タンク4001と、第1のポンプ4019と、バッファタンク4021、第2のポンプ4023と、第3のポンプ4003と、ヒーター4013と、温度計4005と、制御装置4008とを備える。溶液タンク4001は、水が供給される第1の吸込口4017と、H2O2等の第1の化学物質が供給される第2の吸込口4015と、NH4OH等の第2の化学物質が供給される第3の吸込口4009とを有する。また、溶液タンク4001には、溶液タンク4001から化学溶液を排出するための排液ライン4007が設けられている。溶液タンク4001の外面は、保温用にゴムやプラスチック等の断熱材で覆われている。溶液タンク4001と、第1のポンプ4019と、バッファタンク4021と、第2のポンプ4023と、第3のポンプ4003と、ヒーター4013との間を接続する液体管又はラインもまた同様の断熱材料で覆われている。化学溶液供給システムは以下のように稼働する。
【0020】
ステップ1:溶液タンク4001に必要量の水(脱イオン水)を充填する。加熱時間を短縮するために、最終的に混合した化学溶液の温度を60℃以上にする必要がある場合、60℃に温度設定したお湯を充填してもよい。
【0021】
ステップ2:必要となる濃度のH等の第1の化学物質を充填する。
【0022】
ステップ3:必要となる濃度のNHOH等の第2の化学物質を充填する。
【0023】
ステップ4:空気圧を20〜60psi、好ましくは40psiに設定した状態で、第3のポンプ4003をオンにする。
【0024】
ステップ5:温度を必要となるT0に設定した状態でヒーター4013をオンにする。ここで温度は35℃〜95℃の範囲に設定されていればよい。
【0025】
ステップ6:溶液タンク4001内での化学溶液の温度が、温度計4005上で設定温度T0に達すれば、出力圧力をP1に設定した状態の第1のポンプ4019をオンにする。ここで、出力圧力は5〜30psiの範囲、好ましくは15psiに設定されている。
【0026】
ステップ7:気泡を排出するのに充分な流量に達するようにニードル弁4029を調整する。排出されたSC1等の化学溶液の気泡は、化学物質を節約するために通気管路4030を介して溶液タンク4001に戻される。
【0027】
ステップ8:出力圧力をP2に設定した状態で、第2のポンプ4023をオンにする。ここでP2は、10〜80psiの範囲であり、P1より高く設定する必要がある。
【0028】
ステップ9:第2のポンプ4023をオンにしたことによる圧力P1の変化が通気管路4030の流量に影響し得るため、気泡の排出のみに充分な一定の流量に達するようにニードル弁4029を再調整する。
【0029】
図5A〜5Bには、基板洗浄用の超音波または高周波超音波装置を備える基板洗浄装置の一例が示されている基板洗浄装置は、基板5010と、回転駆動機構5016によって回転させられる基板チャック5014と、化学溶液又は脱イオン水5032を供給するノズル5012と、超音波または高周波超音波(MHz周波数の超音波)装置5003とを備えている。超音波または高周波超音波装置5003は、さらに共振器5008に音響的に結合された圧電トランスデューサ5004を備えている。圧電トランスデューサ5004は、振動するように電気的に励起され、共振器5008は化学溶液又は脱イオン水5032に高周波音響エネルギーを伝達する。高周波超音波エネルギによって生成された気泡の撹拌により、基板5010上の粒子がほぐされる。これにより異物はウエハ5010の表面から振動により隔離され、ノズル5012によって供給される化学溶液又は脱イオン水5032の流れを介して基板5010の表面から除去される。
【0030】
基板洗浄装置は、さらに支持ビーム5007と、リードスクリュー5005と、垂直アクチュエータ5006とを備えている。洗浄工程における基板チャック5014の回転に伴い、リードスクリュー5005と垂直アクチュエータ5006によって、超音波または高周波超音波装置5003と基板5010との間の隙間dが増減する。制御ユニット5088は、回転駆動機構5016の速度に基づいて垂直アクチュエータ5006の速度を制御するものである。
【0031】
一実施形態において、隙間dは、超音波または高周波超音波装置5003の下又は周囲で合体した気泡をリリースするために制御される。超音波または高周波超音波装置5003と基板5010の表面との間の隙間dは、超音波または高周波超音波装置5003の作業面を洗浄用化学溶液5032に浸漬させないのに十分なほどには大きい。
【0032】
基板5010と超音波または高周波超音波装置5003との間の隙間に超音波または高周波超音波を供給することにより、温度が約70℃よりも高いSC1等の高温化学溶液が気泡を発生させ、これによって超音波または高周波超音波装置への反射パワーが増加し、超音波または高周波超音波のパワー遮断を引き起こす。そのため、隙間における超音波または高周波超音波のパワーが不充分になって、基板5010上での洗浄効果が低下する。また、基板5010の表面上にとどまっている気泡は、化学溶液や超音波または高周波超音波の基板5010への到達の妨げとなり、基板5010上の洗浄箇所又は不具合が見いだせなくなる。
【0033】
超音波または高周波超音波を用いた洗浄工程において気泡の発生を抑制するために、洗浄工程をいくつかのフェーズに分割して気泡を削減する。本発明による方法の詳細は以下の通りである。
【0034】
ステップ1:基板5010を基板チャック5014によって、300〜1200rpmの範囲、好ましくは500rpmに設定された回転速度で回転させる。
【0035】
ステップ2:ノズル5012を介して、基板5010の表面に脱イオン水が供給され、基板5010の表面が予備的に濡らされる。
【0036】
ステップ3:高温(70℃より高温)のSC1等の化学溶液が、ノズル5012によって基板5010の表面に供給され、基板5010の表面が洗浄される。
【0037】
ステップ4:基板の回転速度が低速度(10〜200rpm)に変更され、超音波または高周波超音波装置5003と基板5010の表面との間に隙間dが形成されるように超音波または高周波超音波装置を基板5010の表面に近づける。超音波または高周波超音波装置5003と基板5010の表面との間の隙間dに化学溶液が充填される。この場合、超音波または高周波超音波装置5003の作業面は化学溶液に浸漬される。
【0038】
ステップ5:超音波または高周波超音波装置5003をオンにし、本ステップ中において垂直アクチュエータ5006によって隙間dを制御しつつ、一定の又は第1の洗浄サイクルでパルス状の電力を供給する。
【0039】
超音波または高周波超音波電力の波形は、所定の手段によってプログラム可能であり予め設定されており、隙間dの変化プロファイル(時間変化線)は所定の手段によってプログラム可能であり予め設定されている。
【0040】
ステップ6:超音波または高周波超音波装置をオフにする。ステップ5において基板の表面上での気泡の合体を防ぐために、超音波または高周波超音波装置によって生成された気泡をリリースするための高温化学溶液又は脱イオン水を前記基板5010の表面上に供給する。
【0041】
この気泡リリースステップにおいて、供給される化学溶液は、洗浄用化学溶液と同一の種類であってもよく、洗浄用化学溶液とは異なる種類のものであってもよい。
【0042】
超音波または高周波超音波装置と基板の表面との間の隙間dが、供給される化学溶液によって完全に満たされる。この場合、超音波または高周波超音波装置の作業面は洗浄用化学溶液に浸漬される。
【0043】
より良好に気泡をリリースするために、基板の回転速度をより高い値に設定してもよい。
【0044】
より良好に気泡をするために、隙間dをより大きな値に設定してもよい。
【0045】
より良好に気泡をリリースするために、超音波または高周波超音波装置に供給される電力は低い値に設定してもよく完全にオフにしてもよい。
【0046】
上述の気泡リリースステップの時間は、スループットを考慮して数秒に設定してもよい。
【0047】
ステップ7:超音波または高周波超音波装置5003をオンにし、本ステップ中において垂直アクチュエータによって隙間dを制御しつつ、一定の又は第2の洗浄サイクルでパルス状の電力を供給する。
【0048】
超音波または高周波超音波電力の波形は、所定の手段によってプログラム可能であり予め設定されており、隙間dの変化プロファイル(時間変化線)は所定の手段によってプログラム可能であり予め設定されている。
【0049】
洗浄性能を高めるため、ステップ6〜ステップ7が複数サイクル連続的に行われてよい。
【0050】
第1の洗浄サイクル及び第2の洗浄サイクルは複数回繰り返し行われ、洗浄サイクルを2回行う毎に前記気泡をリリースするステップが1回行われる。第1の洗浄サイクル及び第2の洗浄サイクルは同じであってもよく異なっていてもよい。
【0051】
ステップ8:超音波または高周波超音波装置5003をオフにし、ノズル5012を介してすすぎ洗い用の化学溶液又は脱イオン水を基板5010に供給する。
【0052】
ステップ9:基板5010を乾燥させる。
【0053】
本発明による、超音波または高周波超音波を用いた洗浄工程での気泡の発生を防ぐ別の方法を以下に説明する。
【0054】
ステップ1:基板5010を基板チャック5014によって、300〜1200rpmの範囲、好ましくは500rpmに設定された回転速度で回転させる。
【0055】
ステップ2:ノズル5012を介して、基板5010の表面に脱イオン水が供給され、基板5010の表面が予備的に濡らされる。
【0056】
ステップ3:高温(70℃より高温)のSC1等の化学溶液が、ノズル5012によって基板5010の表面に供給され、基板5010の表面が洗浄される。
【0057】
ステップ4:基板の回転速度が低速度(10〜200rpm)に変更され、超音波または高周波超音波装置と基板の表面との間に隙間dが形成されるように超音波または高周波超音波装置5003を基板5010の表面に近づける。超音波または高周波超音波装置5003と基板5010の表面との間の隙間dに化学溶液が充填される。この場合、超音波または高周波超音波装置の作業面は化学溶液に浸漬される。
【0058】
ステップ5:超音波または高周波超音波装置5003をオンにし、本ステップにおいて垂直アクチュエータ5006によって隙間dを制御しつつ、第1の洗浄サイクルで一定の又はパルス状の電力を供給する。
【0059】
超音波または高周波超音波電力の波形は、所定の手段によってプログラム可能であり予め設定されており、隙間dの変化プロファイル(時間変化線)は所定の手段によってプログラム可能であり予め設定されている。
【0060】
ステップ6:超音波または高周波超音波装置をオフにして、超音波または高周波超音波装置の下又は周囲の合体した気泡をリリースするために、前記超音波または高周波超音波装置を高温化学溶液の液面から上昇させる。
【0061】
この気泡リリースステップにおいて、供給される化学溶液は、洗浄用化学溶液と同一の種類であってもよく、洗浄用化学溶液とは異なる種類のものであってもよい。
【0062】
超音波または高周波超音波装置と基板の表面との間の隙間dが、超音波または高周波超音波装置の作業面を洗浄用化学溶液に浸漬させないのに十分なほどに大きくなるように、超音波または高周波超音波装置を上昇させる。
【0063】
より良好に気泡をリリースするために、基板の回転速度をより高い値に設定してもよい。
【0064】
より良好に気泡をリリースするために、超音波または高周波超音波装置に供給される電力は低い値に設定してもよくオフにしてもよい。
【0065】
上述の気泡リリースステップの時間は、スループットを考慮して数秒に設定してもよい。
【0066】
ステップ7:基板5010との隙間dを空けて超音波または高周波超音波装置5003を下降させてから、超音波または高周波超音波装置5003をオンにし、本ステップ中において垂直アクチュエータ5006によって隙間dを制御しつつ、一定の又は第2の洗浄サイクルでパルス状の電力を供給する。
【0067】
超音波または高周波超音波電力の波形は、所定の手段によってプログラム可能であり予め設定されており、隙間dの変化プロファイル(時間変化線)は所定の手段によってプログラム可能であり予め設定されている。
【0068】
洗浄性能を高めるため、ステップ6〜ステップ7が複数サイクル連続的に行われてよい。
【0069】
第1の洗浄サイクル及び第2の洗浄サイクルは複数回繰り返し行われ、洗浄サイクルを2回行う毎に前記気泡をリリースするステップが1回行われる。第1の洗浄サイクル及び第2の洗浄サイクルは同じであってもよく異なっていてもよい。
【0070】
ステップ8:超音波または高周波超音波装置5003をオフにし、すすぎ洗い用の化学溶液又は脱イオン水を基板5010に供給する。
【0071】
ステップ9:基板5010を乾燥させる。
【0072】
本発明による、超音波または高周波超音波を用いた洗浄工程での気泡の発生を防ぐ別のさらに別の方法を以下に説明する。
【0073】
ステップ1:基板5010を基板チャック5014によって、300〜1200rpmの範囲、好ましくは500rpmに設定された回転速度で回転させる。
【0074】
ステップ2:ノズル5012を介して、基板5010の表面に脱イオン水が供給され、基板5010の表面が予備的に濡らされる。
【0075】
ステップ3:基板5010の表面を洗浄するために、走査ノズルによって基板5010の表面に一種の高温化学溶液又は脱イオン水を供給する。走査される側面は所定の方法によってプログラム可能であり設定可能である。
【0076】
ステップ4:基板5010の表面を洗浄するために、基板5010の表面に中温(25℃〜70℃)の化学溶液又は脱イオン水を供給する。
【0077】
中温の化学溶液は、高温の化学溶液と同じ種類のものであってもよく高温化学溶液とは異なる種類のものであってもよい。
【0078】
ステップ5:基板の回転速度が低RPM(10〜500rpm)に変更され、超音波または高周波超音波装置と基板の表面との間に隙間dが形成されるように、超音波または高周波超音波装置が基板の表面に移動させて、中温化学溶液と共働させる。超音波または高周波超音波装置と基板の表面との間の隙間dが、洗浄用化学溶液によって完全に満たされる。この場合、超音波または高周波超音波装置の作業面は洗浄用化学溶液に浸漬される。
【0079】
ステップ6:超音波または高周波超音波装置をオンにし、本ステップ中において垂直アクチュエータによって隙間dを制御しつつ、一定の又は第1の洗浄サイクルでパルス状の電力を供給する。
【0080】
超音波または高周波超音波電力の波形は、所定の手段によってプログラム可能であり予め設定されており、隙間dの変化プロファイル(時間変化線)は所定の手段によってプログラム可能であり予め設定されている。
【0081】
ステップ7:基板の表面上での気泡の合体を防ぐために、中温化学溶液によって生成された気泡をリリースするための中温化学溶液又は脱イオン水を基板の表面上に供給する。
【0082】
この気泡リリースステップにおいて、供給される化学溶液は、洗浄用化学溶液と同一の種類であってもよく、洗浄用化学溶液とは異なる種類のものであってもよい。
【0083】
より良好に気泡をリリースするために、基板の回転速度をより高い値に設定してもよい。
【0084】
より良好に気泡をするために、隙間dをより大きな値に設定してもよい。
【0085】
より良好に気泡をリリースするために、超音波または高周波超音波装置に供給される電力は低い値に設定してもよくオフにしてもよい。
【0086】
上述の気泡リリースステップの時間は、スループットを考慮して数秒に設定してもよい。
【0087】
ステップ8:超音波または高周波超音波装置をオンにし、本ステップ中において垂直アクチュエータによって隙間dを制御しつつ、一定の又は第2の洗浄サイクルでパルス状の電力を供給する。
【0088】
超音波または高周波超音波電力の波形は、所定の手段によってプログラム可能であり予め設定されており、隙間dの変化プロファイル(時間変化線)は所定の手段によってプログラム可能であり予め設定されている。
【0089】
洗浄性能を高めるため、ステップ7〜ステップ8が複数サイクル連続的に行われてよい。
【0090】
第1の洗浄サイクル及び第2の洗浄サイクルは複数回繰り返し行われ、洗浄サイクルを2回行う毎に前記気泡をリリースするステップが1回行われる。第1の洗浄サイクル及び第2の洗浄サイクルは同じであってもよく異なっていてもよい。
【0091】
ステップ9:超音波または高周波超音波装置をオフにし、すすぎ洗い用の化学溶液又は脱イオン水を基板に供給する。
【0092】
ステップ10:基板を乾燥させる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】