特表2019-505510(P2019-505510A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-505510苦味物質および少なくとも1種のソホロ脂質を含有する組成物、ならびに食用組成物中の苦味物質に起因する苦味を軽減する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-505510(P2019-505510A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(54)【発明の名称】苦味物質および少なくとも1種のソホロ脂質を含有する組成物、ならびに食用組成物中の苦味物質に起因する苦味を軽減する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/26 20060101AFI20190201BHJP
   A23L 27/00 20160101ALI20190201BHJP
   A23L 33/20 20160101ALI20190201BHJP
【FI】
   A61K47/26
   A23L27/00 Z
   A23L33/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2018-534726(P2018-534726)
(86)(22)【出願日】2016年12月23日
(85)【翻訳文提出日】2018年8月28日
(86)【国際出願番号】US2016068506
(87)【国際公開番号】WO2017117049
(87)【国際公開日】20170706
(31)【優先権主張番号】62/272,292
(32)【優先日】2015年12月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/388,615
(32)【優先日】2016年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】515257782
【氏名又は名称】ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ レプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー オブ アグリカルチャー
(71)【出願人】
【識別番号】599150263
【氏名又は名称】モネル ケミカル センシズ センター
【氏名又は名称原語表記】Monell Chemical Senses Center
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ソライマン、 ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】アシュビー、 リチャード ディー.
(72)【発明者】
【氏名】オズデネール、 メフメット ハーカン
(72)【発明者】
【氏名】バフマノフ、 アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4B018
4B047
4C076
【Fターム(参考)】
4B018MD42
4B018ME01
4B047LB02
4B047LB08
4B047LG31
4C076BB01
4C076BB22
4C076DD69T
4C076FF52
(57)【要約】
苦味物質および少なくとも1種のソホロ脂質、ならびに場合により担体を含む組成物であって、食用であり、前記苦味物質の苦味が軽減される、組成物。食用組成物中の苦味物質に起因する苦味を軽減する方法であって、苦味物質により誘導される苦味が軽減されるよう、前記食用組成物に、有効量の少なくとも1種のソホロ脂質および場合により担体を添加することを含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のソホロ脂質および場合により担体を含む、組成物。
【請求項2】
前記担体が、食品、消費者製品および医薬組成物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
苦味物質および少なくとも1種のソホロ脂質、ならびに場合により担体を含む組成物であって、食用であり、前記苦味物質の苦味が軽減される、組成物。
【請求項4】
前記苦味物質が、食品、消費者製品および医薬組成物からなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記担体が、食品、消費者製品および医薬組成物からなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物および場合により苦味物質を含む、医薬組成物。
【請求項7】
苦味のある薬学的活性成分および少なくとも1種のソホロ脂質、ならびに場合により担体を含む、医薬組成物。
【請求項8】
薬学的活性成分、苦味物質、少なくとも1種のソホロ脂質、および場合により担体を含む、医薬組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物および場合により苦味物質を含む、消費者製品。
【請求項10】
苦味のある成分および少なくとも1種のソホロ脂質、ならびに場合により担体を含む、消費者製品。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物および場合により苦味物質を含む、食品。
【請求項13】
苦味のある成分および少なくとも1種のソホロ脂質、ならびに場合により担体を含む、食品。
【請求項14】
苦味物質による苦味を阻害または軽減する方法であって、対象の口腔に請求項1および3のいずれか一項に記載の食用組成物を配置することを含む、方法。
【請求項15】
食用組成物中の苦味物質に起因する苦味を軽減する方法であって、苦味物質により誘導される苦味が軽減されるよう、前記食用組成物に、有効量の少なくとも1種のソホロ脂質および場合により担体を添加することを含む、方法。
【請求項16】
対象において苦味を阻害する、軽減する、またはなくす方法であって、対象の口腔に、有効量の少なくとも1種のソホロ脂質および場合により担体を配置することを含む、方法。
【請求項17】
苦味受容体を阻害する方法であって、苦味受容体を、有効量の少なくとも1種のソホロ脂質および場合により担体の組成物に接触させることを含む、方法。
【請求項18】
食用組成物中の糖の量を低減する方法であって、食用組成物の調製に使用されるある量の糖を、有効量の少なくとも1種のソホロ脂質および場合により担体に置き換えることを含む、方法。
【請求項19】
対象の糖摂取量を低減する方法であって、食用組成物の調製に使用されるある量の糖を、有効量の少なくとも1種のソホロ脂質および場合により担体に置き換えることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2015年12月29日出願の、米国仮特許出願第62/272,292号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
ソホロ脂質(SL)は、その化学構造が天然の界面活性をもたらす、微生物糖脂質のファミリーに属する。ソホロ脂質は通常、再生可能な基質から発酵によって生成され、生体適合性および生分解性を合わせた利点をもたらす(Develter, D.W.G.およびL.M.L. Lauryssen, Eur. J. Lipid Sci. Technol.,112: 628-638 (2010))。ソホロ脂質は、通常、グリコシド結合を介してヒドロキシ脂肪酸に結合している、二糖類(ソホロース;2−O−β−D−グルコピラノシル−β−Dグルコピラノース)で構成されている(図1)。それらの化学結合の具体的な位置は、SLを生成するために使用される微生物株に依存する。最も周知のSLは、酵母である、Candida bombicolaにより高収率で、天然で合成されており(Ashby, R.D.ら, Biotechnol. Lett., 30: 1093-1100 (2008))、グリコシド結合は一般に、ソホロース糖の1’ヒドロキシ基と脂肪酸のωまたはω−1炭素との間で起こる。これらのSLでは、ソホロースの6’および6’’ヒドロキシ基は、潜在的なアセチル化部位であり、脂肪酸の鎖長は、16(C−16)炭素から18(C−18)炭素の間で様々であり、飽和でもよくまたは不飽和でもよい。研究により、グルコース、およびパルミチン酸(SL−p)、オレイン酸(SL−o)またはステアリン酸(SL−s)に由来する、C.bombicolaにより生成されるSLの好ましい立体構造は、脂肪酸のカルボン酸基が炭素4’’において二糖の環にエステル化している、ラクトンとして存在することであることが示されている(Nunez, A.ら, Chromatographia, 53: 673-677 (2001))。C.apicola(Hommel, R.K., およびK. Huse, Biotechnol. Lett., 33: 853-858 (1993))およびC.batiste(Konishi, M.ら, J. Oleo. Sci., 57: 359-369 (2008))などのカンジダ属の他の株が、SLを合成することが立証されており、最近、カンジダ属の3つの新規株(C.riodocensis、C.stellataおよびカンジダ属種(Candida sp.)のY−27208)が、ラクトン形態がほとんどないSLを生成することが発見された(Kurtzman, C.P.ら, FEMS Microbiol. Lett., 311: 140-146 (2010))。別のそれほど周知ではないSL生成体は、酵母であるRhodotorula bogoriensisであり、これは一般に、全体として遊離酸立体構造で存在している13−ヒドロキシドコサン酸(C−22)を脂肪酸部分として含有するSLを生成する(Nunez, A.ら, Biotechnol. Lett., 26: 1087-1093 (2004);Cutler, A.J.およびR.J. Light, J. Biol. Chem., 254: 1944-1950 (1979);Cutler, A.J.およびR.J. Light, Can. J. Microbiol., 28: 223-230 (1982))。
【0003】
C.bombicolaの大きい生成能(報告によれば、基質としてホエイおよびナタネ油を使用する場合、422g/Lと高い(Daniel, H.-J.ら, Biotechnol. Lett., 20: 1153-1156 (1998)))により、SLの応用に対する意識が高まっている(Solaiman, D.K.Y.ら, Inform, 15: 270-272 (2004))。アセチル化ラクトンは、シャンプー、ボディウオッシュおよび洗剤中の添加物として(Hall,P.ら、米国特許第5,417,879号;Inoue,S.ら、米国特許第4,215,213号)、およびスキンケア製品の乳化剤として(Mager,H.ら、欧州特許第0,209,783号)、および構造脂質エマルションとして(Xue, C.-L.ら, J. Am. Oil Chem. Soc., 90: 123-132 (2013))効果があることが証明されている。さらに、アセチル化ラクトンは、食品封入材としての用途(Allingham,R.、米国特許第3,622,344号)、脱脂剤としての用途(Hallら、1995年)を有すること、ならびに土壌のバイオレメディエーションおよび廃水処理を促進する(Makkar, R.およびR. Cameotra, Appl. Microbiol. Biotechnol., 58: 428-434 (2002);Mulligan, C.ら, J. Hazard. Mater., 85: 111-125 (2001))ことが報告されている。また、研究により、ソホロ脂質のラクトン形態は、抗微生物特性を有すること(Ashby, R.D.ら, New Biotechnol., 28: 24-30 (2011);Solaiman, D.K.Y.ら, Biocatal. Agric. Biotechnol., 4: 342-348 (2015))、ならびに静菌剤として(Magerら、1987年)、殺精子剤および殺ウイルス剤として(Shah, V.ら, Antimicrob. Agents Chemother., 49: 4093-4100 (2005))、敗血症性ショックアンタゴニストとして(Bluth, M.H.ら, Crit. Care Med., 34: 188-195 (2006);Hardin, R.ら, J. Surg. Res., 142: 314-319 (2007))、抗がん剤として(Chen, J.ら, Enz. Microb. Technol., 39: 501-506 (2006);Fu, S.L.ら, J. Surg. Res., 148: 77-82 (2008))、皮膚線維芽細胞代謝のための刺激剤として(Borzeix,C.、米国特許第6,596,265号)、および皮膚疾患の処置剤として(Maingault,M.、カナダ特許第126,242,874号)利用できることも示されている。対照的に、SLの酸性形態は、特に、線維素溶解作用(ヒーリングを促進する)、剥離、色素除去、マクロファージ活性化(Maingault,M.、米国特許第5,981,497号)の作用剤として、および保湿剤として(Abe,Y.ら、米国特許第4,297,340号;Tsutsumi,H.ら、米国特許第4,305,961号)、皮膚処置のための治療活性があることが示されている。こうした特徴は、SLの商業的利用の進歩の追い風となり、その結果、ソホロ脂質は現在順調に開発されており、Sophoron(商標)という商標名でSaraya Co.、Ltd.により食器用洗剤に、ならびに洗濯用および食器用洗剤、業務用クリーナー、手洗い用石鹸および薬用化粧品における用途向けにEcoverおよびSolianceにより使用されている。さらに、特異なソホロ脂質(SL)構造は、真菌性セルラーゼ酵素の公知の誘導物質であるソホロースなどの特殊化学品(Sternberg, D.およびG. Mandels, J. Bacteriol., 144: 1197-1199 (1980))、モノヒドロキシ脂肪酸(Rau, U.ら, Ind. Crop Prod., 13: 85-92 (2001))、および他の誘導体(Zerkowski, J.およびD. Solaiman, J. Am. Oil Chem. Soc., 83: 621-628 (2006);Zerkowski, J.およびD. Solaiman, J. Am. Oil Chem. Soc., 84: 463-471 (2007);Zerkowski, J.ら, J. Am. Oil Chem. Soc., 85: 277-284 (2008))の製造のための前駆体として、その使用への関心が高まっている。限定的に、構造の変更(したがって、物理的特性の制御)は、疎水性炭素源を変更することで、ソホロ脂質の脂肪酸含量を変えることによって実現できる。
【0004】
糖および甘味剤は、ヒトの食事において重要な役割を有しており、それらの使用は、その経済性および入手性、ならびに特定の食事における適性により決まることが多い。ノンカロリー甘味剤は、30年間を超えて、消費者により使用されてきた。ノンカロリー甘味剤によって、ノンカロリー人工甘味剤に対する消費者の需要は促進されたが、消費者の多くは、さらなる製品、とりわけ天然のノンカロリー甘味剤を含有する製品に対する興味を表している。効力の高い天然の甘味剤への消費者の関心は、食物中の人工添加物の使用に関する懸念によって煽られ、近年、劇的に高まっている。
【0005】
味は、味物質による味覚受容体の化学的刺激に対する感覚応答である。5種の基本的な味が、特定されている。塩味、甘味、酸味、苦味およびうま味である。味覚受容体細胞は、口腔からの化学的刺激を伝達して、神経系に情報を中継することを担っている。甘味刺激は、ホスホリパーゼC(PLC)シグナル伝達経路を活性化するGタンパク質共役型受容体を利用している。T1R3受容体サブユニットは、そのパートナーであるT1R2と結合して甘味受容体として作用する。甘味受容体は、T1R2+T1R3甘味受容体のある領域と具体的に相互作用する、膨大なレパトリーの化学的に異なる分子によって活性化される(Bachmanov, A.A.およびG.K. Beauchamp, Annu. Rev. Nutr., 27: 389-414 (2007);Bachmanov, A.A.ら, Curr. Pharm. Design., 20(16): 2669-83 (2014))。
【0006】
甘味は、ヒトにおいては、主な魅力的な味覚様式である。しかし、食物中の糖の量が増加するにつれて、その健康への影響に関する懸念が高まっている。過去数十年にわたって、食事の糖の毎日の消費量が定常的に増加していることが、多数の国で観察されている、肥満の蔓延および二型糖尿病の早期発症の一因になっている可能性がある(Malik, V.S.ら, Diabetes Care., 33(11): 2477-8 (2010))。糖尿病、肥満、高血圧および心臓疾患に罹患している人の数は、毎年、増加している。今日、糖尿病管理の主な目標は、血糖の制御である。身体内で代謝されると、カロリーを生じる糖への代替物として、人工甘味剤がさらに多くの関心を集めている。しかし、糖は、バルク、品質、甘味の強度および物理特徴という要因により、強力な甘味剤によって単に置き換えることはできない。人工甘味剤は、その望ましくない/予測しない/心地よくない味覚、および安全性の問題により、評判が悪い。人工甘味剤のこのような特徴により、希少糖が、低カロリーおよびバルク甘味剤にとって望ましい。これらの糖は、望ましい甘味を有する傾向があるが、ヒトの身体では代謝されず、したがって、カロリーの摂取をもたらさない。したがって、望ましい甘味の質を有し、カロリー値が低く、観察される生理学的影響が最小限である天然糖を得ることへの高い需要/ニーズが存在する。植物由来の天然甘味剤に加えて、次世代の天然甘味分子が、再利用油および糖源を使用することにより微生物から生成される。Debaryomyces hanseniiを使用して生成される、キシリトールの立体異性体である糖アルコールであるアラビトールは、糖尿病患者の甘味剤および虫歯の低減物としての用途に可能性を有する(Koganti, S.およびL.-K. Ju, Biochem. Engineer J., 79: 112-119 (2013))。
【0007】
主要な味覚の質の別のものは苦味であり、この感覚は、特定の化学品が舌における専用の受容体により検知されると生じる。苦味は、毒物の摂取に対する抑制物として進化したと考えられ、このことは、多数の薬物の味がなぜ苦いか説明することができる。味覚受容体のT2Rファミリーは、苦味受容体として機能する(BachmanovおよびBeauchamp 2007; Bachmanovら. 2014)。研究されたT2Rの大部分は、いくつかの異なる苦味リガンドが関与する結合プロファイルを有する。医薬および市販(OTC)調製物における、多数の活性医薬成分および/または不活性成分は、味が苦いため、子供および多数の大人に敬遠される(Mennella ,J.A.ら, Clin. Ther., 35(8): 1225-46 (2013))。咳および風邪用シロップなどのOTC調製物に関すると、調製物の苦味は、患者のコンプライアンスの欠如につながる。甘味剤、アミノ酸および着香剤の使用などの従来の味覚マスキング法は、単独では、非常に苦い薬物の味のマスキングには不十分であることが多い。別の手法は、追加的な風味によって苦味をマスクする代わりに、苦味をなくす苦味遮断剤を使用することである。したがって、苦味物質を含む、または苦味を有する食品、消費者製品および医薬品に添加して、苦味物質もしくは苦味の知覚をなくす、調節するまたは軽減する、あるいは苦味受容体(例えば、口腔および/または胃腸管において)の対応する活性化を低減することができる、化合物を提供することが望ましい。同様に、そのような化合物を含む食品、消費者製品および医薬組成物を提供することが望ましい。
【0008】
本発明者らは、ソホロ脂質が、甘味および苦味遮断特性の両方を有することを見いだした。
【発明の概要】
【0009】
苦味を調節する化合物(例えば、ソホロ脂質)、そのような化合物を含む食用組成物、およびこのような食用組成物を調製する方法が、本明細書において開示されている。本発明はまた、食用組成物中の糖の量を低減する方法を提供する。本発明はまた、食用組成物中の苦味を軽減する方法を提供する。本発明は、対象における、食品、消費者製品もしくは医薬製品の苦味を軽減する、調節するまたはなくす方法をさらに提供する。本発明はまた、苦味受容体の活性化を調節する、特に低減する方法を提供する。
【0010】
食用組成物。本発明の一態様は、苦味物質の苦味を軽減するための食用組成物を提供する。一部の実施形態では、食用組成物は、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む。
【0011】
一部の実施形態では、食用組成物は、(a)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質、および(b)苦味物質を含む。
【0012】
本発明によれば、苦味物質は、例えば、食品(コーヒーまたはチョコレートなど)において固有のものとすることができるか、または食用組成物の構成成分(苦味のある保存剤など)とすることができる。一部の実施形態では、食用組成物中に存在している苦味物質は、苦味塩(例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウムおよび塩化セシウム)である。一部の実施形態では、食用組成物中に存在している苦味物質は、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩である。一部の実施形態では、苦味物質はカリウム塩である。一部の実施形態では、食用組成物中に存在している苦味物質はKClである。他の実施形態では、食用組成物中に存在している苦味物質は乳酸カリウムである。
【0013】
一部の実施形態では、食用組成物はナトリウム塩をさらに含む。一部の実施形態では、食用組成物はNaClをさらに含む。他の実施形態では、食用組成物は、乳酸ナトリウムをさらに含む。一部の実施形態では、食用組成物は、糖をさらに含む。
【0014】
本発明の別の態様では、食用組成物は、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む食品である。
【0015】
本発明の別の態様では、食用組成物は、苦味のある薬学的活性成分または不活性成分、および本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む医薬組成物である。
【0016】
さらに他の実施形態では、食用組成物は、薬学的活性成分、苦味物質および本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む、医薬組成物(例えば、医薬)である。
【0017】
本発明の別の態様では、食用組成物は、苦味物質および本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む、消費者製品である。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態は、苦味物質の苦味を軽減するための消費者製品であって、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む、消費者製品を提供する。
【0019】
さらなる態様では、本発明は、(a)許容される担体(例えば、食料品として許容される担体)を用意すること、および(b)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を許容される担体に添加することを含む、食用組成物を調製する方法を提供する。
【0020】
別の実施形態では、食用組成物を調製する方法は、(a)食料品として許容される担体を用意すること、および(b)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を食料品として許容される担体に添加することを含む。
【0021】
一部の実施形態では、食用組成物は、食品、消費者製品または医薬組成物である。一部の実施形態では、許容される担体(例えば、食料品として許容される担体)は、食材、食品または薬学的に許容される担体である。
【0022】
一部の実施形態では、(a)において、許容される担体(例えば、食料品として許容される担体)は、本来、苦い。このような実施形態では、許容される担体は、苦味物質を、本来含有していることがある(すなわち、許容される担体は、苦味物質を添加しなくても苦い)。一部の実施形態では、本来の苦味物質は苦味塩である。一部の実施形態では、本来の苦い食材は、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩を含む。一部の実施形態では、本来の苦い食材は、KClなどのカリウム塩を含む。
【0023】
他の実施形態では、食用組成物を調製する方法は、(c)苦味物質を添加することをさらに含む。一部の実施形態では、食用組成物を調製する方法に使用される苦味物質は、苦味塩である。一部の実施形態では、食用組成物を調製する方法に使用される苦味物質は、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩である。一部の実施形態では、食用組成物を調製する方法に使用される苦味物質は、カリウム塩である。一部の実施形態では、食用組成物を調製する方法に使用される苦味物質は、KClである。他の実施形態では、食用組成物を調製する方法に使用される苦味物質は、乳酸カリウムである。
【0024】
一部の実施形態では、食用組成物はナトリウム塩をさらに含む。一部の実施形態では、食用組成物はNaClをさらに含む。一部の実施形態では、食用組成物は、乳酸ナトリウム(苦い味がすることがある)をさらに含む。一部の実施形態では、食用組成物は、糖をさらに含む。
【0025】
本発明はまた、食用組成物中の苦味物質に起因する苦味を軽減する方法であって、有効量の本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を添加することを含む、方法を提供する。
【0026】
本発明は、食用組成物中の苦味物質に起因する苦味を軽減する方法であって、苦味物質により誘導される苦味が軽減されるよう、食用組成物の前に、それと一緒に、またはその後に、有効量の本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を摂取することを含む、方法をさらに提供する。
【0027】
一部の実施形態では、食用組成物は、食品、消費者製品または医薬組成物である。
【0028】
一部の実施形態では、前記方法は、苦味物質により誘導される苦味を最大25%軽減する。一部の実施形態では、前記方法は、苦味物質により誘導される苦味を最大50%軽減する。他の実施形態では、苦味物質によって誘導される苦味は、最大75%軽減される。さらに他の実施形態では、苦味物質によって誘導される苦味は、最大100%軽減される。一部の実施形態では、苦味は、最大1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%軽減される。これらの量は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。
【0029】
一部の実施形態では、食用組成物中に存在している苦味物質は苦味塩である。一部の実施形態では、食用組成物中に存在している苦味物質は、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩である。一部の実施形態では、食用組成物中に存在している苦味物質はKClである。
【0030】
本発明はまた、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質含む食用組成物を利用する、対象において、苦味を軽減するまたはなくす方法を提供する。
【0031】
一部の実施形態では、苦味は元々存在している。一部の実施形態では、苦味は苦味塩によるものである。一部の実施形態では、苦味は、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩によるものである。一部の実施形態では、苦味はKClによるものである。他の実施形態では、苦味は乳酸カリウムによるものである。
【0032】
本発明はまた、苦味受容体(例えば、舌および身体の一部、組織、臓器、細胞に見いだされる)の活性化および/またはシグナル伝達を阻害または低減する方法であって、苦味受容体を本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質に接触させることを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、苦味受容体は口腔に存在する。他の実施形態では、苦味受容体は、胃腸管、例えば胃の中に存在する。他の実施形態では、苦味受容体はインビトロでのアッセイ中に存在している。
【0033】
別の実施形態では、本発明は、食用組成物中の糖の量を低減する方法であって、食用組成物の調製に使用されるある量の糖を、ある量の本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質に置き換えることを含む、方法を提供する。
【0034】
一部の実施形態では、食用組成物は、食品、消費者製品または医薬組成物である。
【0035】
本発明の一部の実施形態では、食用組成物中の糖の量を低減する方法は、食用組成物中に存在している糖の最大25%を本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質により置き換えることが可能なほど十分な、有効量の本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を食用組成物に組み込むことを含む。他の実施形態では、食用組成物に組み込まれた本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質の量は、食用組成物中に存在している糖の最大50%を本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質により置き換えることを可能にするのに十分である。さらに他の実施形態では、食用組成物に組み込まれた本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質の量は、食用組成物中に存在している糖の最大75%を本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質により置き換えることを可能にするのに十分である。他の実施形態では、食用組成物に組み込まれた本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質の量は、食用組成物中に存在している糖の最大100%を本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質により置き換えることを可能にするのに十分である。一部の実施形態では、食用組成物は甘い風味を維持する。一部の実施形態では、糖の量は、最大1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%低減される。これらの量は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。
【0036】
本発明はまた、食用組成物の調製に使用されるある量の糖を、有効量の本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質に置き換えることを含む、対象の糖摂取量を低減する方法を提供する。
【0037】
一部の実施形態では、食用組成物は、食品、消費者製品または医薬組成物である。
【0038】
本発明の一部の実施形態では、対象の糖摂取量を低減する方法は、それを必要とする対象を特定することをさらに含む。
【0039】
一部の実施形態では、対象の糖摂取量を低減する方法は、ソホロ脂質置換を使用して、糖摂取量を最大25%低減するのに十分な、ソホロ脂質の量を食用組成物に組み込むことを含む。他の実施形態では、添加されるソホロ脂質の量は、ソホロ脂質置換を使用して、糖摂取量を最大50%、低減するのに十分である。さらに他の実施形態では、添加されるソホロ脂質の量は、ソホロ脂質置換を使用して、糖摂取量を最大75%、低減するのに十分である。他の実施形態では、添加されるソホロ脂質の量は、ソホロ脂質置換を使用して、糖摂取量を最大100%、低減するのに十分である。一部の実施形態では、添加されるソホロ脂質の量は、最大1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%、糖摂取量を低減するのに十分である。これらの量は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。
【0040】
一部の実施形態では、食用組成物は甘い風味を維持する。一部の実施形態では、糖の量は、最大1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%低減される。これらの量は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。
【0041】
本発明の一部の実施形態では、対象の糖摂取量を低減する方法は、それを必要とする対象を特定することをさらに含む。一部の実施形態では、対象の糖摂取量を低減する方法は、ソホロ脂質置換を使用して、糖摂取量を最大25%低減するのに十分な、ソホロ脂質の量を食用組成物に組み込むことを含む。他の実施形態では、添加されるソホロ脂質の量は、ソホロ脂質置換を使用して、糖摂取量を最大50%、低減するのに十分である。さらに他の実施形態では、添加されるソホロ脂質の量は、ソホロ脂質置換を使用して、糖摂取量を最大75%、低減するのに十分である。他の実施形態では、添加されるソホロ脂質の量は、ソホロ脂質置換を使用して、糖摂取量を最大100%、低減するのに十分である。さらに他の実施形態では、添加されるソホロ脂質の量は、最大1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%、糖摂取量を低減するのに十分である。これらの量は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。
【0042】
一部の実施形態では、食用組成物は甘い風味を維持する。一部の実施形態では、糖の量は、最大1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%低減される。これらの量は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。本明細書において開示されているソホロ脂質はまた、甘味剤組成物およびそれから製造される甘味剤組成物の甘味を増強することが可能な甘味増強剤の役割も有する。
【0043】
本発明の特定の実施形態は、以下の段落に説明されている:
【0044】
本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質および担体を含む組成物であって、食用であり、苦味物質の苦味を軽減することができる、組成物。
【0045】
本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質および(b)苦味物質を含む、食用である、組成物。苦味物質が食材である、組成物。苦味物質が苦味塩である、組成物。苦味塩が、マグネシウム塩、カルシウム塩またはカリウム塩である、組成物。カリウム含有塩が、KClまたは乳酸カリウムである、組成物。NaCl、乳酸ナトリウムおよび糖からなる群から選択される、1つまたは複数の構成成分をさらに含む、食用組成物。
【0046】
前記組成物を含む食品。
【0047】
(a)許容される担体(例えば、食料品として許容される担体)を用意すること、および(b)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を許容される担体に添加することを含む、食用組成物を調製する方法。前記許容される担体が、本来苦い、方法。許容される担体が苦味塩を含む、方法。苦味塩が、マグネシウム塩、カルシウム塩またはカリウム塩である、方法。カリウム塩が、KClまたは乳酸カリウムである、方法。食用組成物が、NaCl、乳酸ナトリウムおよび糖からなる群から選択される、1つまたは複数の構成成分をさらに含む、方法。
【0048】
(c)苦味物質を添加することをさらに含む、方法。苦味物質が苦味塩である、方法。苦味塩が、マグネシウム塩、カルシウム塩またはカリウム塩である、方法。カリウム塩が、KClまたは乳酸カリウムである、方法。食用組成物が、NaCl、乳酸ナトリウムおよび糖からなる群から選択される、1つまたは複数の構成成分をさらに含む、方法。
【0049】
(a)苦味物質により誘導される苦味が軽減されるよう、食用組成物に、有効量の本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を添加することを含む、食用組成物中の苦味物質に起因する苦味を軽減する方法。食用組成物が、食品、消費者製品または医薬組成物である、方法。苦味物質によって誘導される苦味が、最大25%軽減される、方法。苦味物質によって誘導される苦味が、最大50%軽減される、方法。苦味物質によって誘導される苦味が、最大75%軽減される、方法。苦味物質によって誘導される苦味が、最大100%軽減される、方法。一部の実施形態では、苦味は、最大1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%軽減される。これらの量は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。苦味物質が苦味塩である、方法。苦味塩が、マグネシウム塩、カルシウム塩またはカリウム塩である、方法。カリウム塩が、KClまたは乳酸カリウムである、方法。食用組成物がNaCl、乳酸ナトリウムまたは糖をさらに含む、方法。
【0050】
(a)苦味物質により誘導される苦味が軽減されるよう、食用組成物と共に、有効量の本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を摂取することを含む、食用組成物中の苦味物質に起因する苦味を軽減する方法。食用組成物が、食品、消費者製品または医薬組成物である、方法。苦味物質によって誘導される苦味が、最大25%軽減される、方法。苦味物質によって誘導される苦味が、最大50%軽減される、方法。苦味物質によって誘導される苦味が、最大75%軽減される、方法。苦味物質によって誘導される苦味が、最大100%軽減される、方法。一部の実施形態では、苦味は、最大1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%軽減される。これらの量は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。苦味物質が苦味塩である、方法。苦味塩が、マグネシウム塩、カルシウム塩またはカリウム塩である、方法。カリウム塩が、KClまたは乳酸カリウムである、方法。食用組成物がNaCl、乳酸ナトリウムまたは糖をさらに含む、方法。
【0051】
(a)対象の口腔に、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を配置することを含む、対象における苦味を阻害する、軽減する、またはなくす方法。苦味が苦味塩による、方法。苦味が、マグネシウム塩、カルシウム塩またはカリウム塩による、方法。苦味が、KClまたは乳酸カリウムによる、方法。
【0052】
(a)苦味のある薬学的活性成分または不活性成分、および(b)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む医薬組成物。
【0053】
(a)薬学的活性成分、(b)苦味物質、および(c)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む医薬組成物。
【0054】
(a)苦味成分、および(b)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む消費者製品。
【0055】
本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む、苦味物質の苦味を軽減するための消費者製品。
【0056】
苦味受容体を本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質に接触させることを含む、苦味受容体を阻害する方法。苦味受容体が、対象の口腔に存在する、方法。苦味受容体が、対象の胃腸管に存在する、方法。苦味受容体が、インビトロでのアッセイ中に存在する、方法。
【0057】
食用組成物中の糖の量を低減する方法であって、食用組成物の調製に使用されるある量の糖を、有効量の本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質に置き換えることを含む、方法。本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質の量が、食用組成物中に通常、存在する糖の量を最大25%置き換えるのを可能にする程十分である、方法。本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質の量が、食用組成物中に通常、存在する糖の量を最大50%置き換えるのを可能にする程十分である、方法。本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質の量が、食用組成物中に通常、存在する糖の量を最大75%置き換えるのを可能にする程十分である、方法。本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質の量が、食用組成物中に通常、存在する糖の量を最大100%置き換えるのを可能にする程十分である、方法。一部の実施形態では、糖の量は、最大1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%低減される。これらの量は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。
【0058】
食用組成物の調製に使用されるある量の糖を、ある量の本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質に置き換えて、これにより対象の糖摂取量を低減することを含む、対象の糖摂取量を低減する方法。本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質の量が、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質と置き換えることにより、最大25%、糖摂取量を低減するのに十分な、方法。本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質の量が、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質と置き換えることにより、最大50%、糖摂取量を低減するのに十分な、方法。本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質の量が、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質と置き換えることにより、最大75%、糖摂取量を低減するのに十分な、方法。本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質の量が、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質と置き換えることにより、最大100%、糖摂取量を低減するのに十分な、方法。一部の実施形態では、糖摂取量は、最大1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%低減される。これらの量は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。
【0059】
この概要は、発明を実施するための形態において、以下にさらに記載されている、単純化された形態の概念の選択肢を導入するために提供されている。この概要は、特許請求されている主題の重要な特徴または必須の特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求されている主題の範囲の決定における一助として意図されているわけでもない。
【0060】
T1R3は、おそらくはホモ二量体として、単独で、炭水化物に対する親和性の低い甘味受容体として働くことができる。T1R受容体、味覚のGタンパク質ガストデューシンおよび他の味覚誘導タンパク質が、舌の味覚細胞、ならびに以下に限定されないが、胃腸管の腸内分泌細胞、および膵島細胞、および脳を含めたいくつかの非味覚組織において発現する。糖および人工甘味剤は、舌と腸の両方、およびその他の場所にある甘味受容体の強力なアゴニストである。ガストデューシンのないノックアウトマウスは、甘味およびうま味化合物の検知を欠損しており、調節異常のグルコースホメオスタシスを有する。その甘味を超えて、人工甘味剤の生理学的影響に依然としてほとんど注意が払われてこなかった。可能性のある関係性は、食事のナトリウムの摂取は、メタリックシンドロームのリスクの向上に関連しており、これにより、心臓疾患、脳卒中および糖尿病のリスクを増大させるという知見がある(Lutsey, P. L.ら, Circulation, 117: 754-761 (2008))。これらの研究は、T1R3、ならびに腸内および他の内分泌器官で発現される他の味覚のシグナル伝達タンパク質を含む味覚受容体は、グルコースホメオスタシスおよびエネルギー代謝において、重要な役割を有する可能性があること、およびその活性の改変は、II型糖尿病および肥満など病変の一因となり得ることを示している。いくつかの天然の抗甘味または甘味修飾物質は、甘味受容体のリガンドであることが疑われているが、これらの化合物のわずか数種の作用部位しか特定されていない(Kanetkar, P.ら, J. Clin. Biochem. Nutr., 41: 77-81 (2007);Kurihara, Y., Crit. Rev. Food Sci. Nutr., 32: 231-252 (1992))。T1R受容体のアゴニストの活性と比べて、甘味およびうま味受容体アンタゴニストに関する、生理学的および医療的役割については、ほとんど知られていない。本発明者らはまた、身体の他の部分を介して位置しているT1R3受容体を利用する、将来の医薬(化学受容体関連障害)のためのSLも考慮している。本発明者らは、新規なT1R3受容体リガンド、および本明細書に記載されている組成物を使用する処置方法を、本明細書において記載している。本明細書において提供される組成物により処置される条件、障害または疾患には、化学感覚受容体に関連する障害または状態が含まれる。
【0061】
ある種の実施形態では、本明細書に記載されている方法は、化学感覚受容体に関連する疾患または障害を有する対象における、ホルモン濃度を調節することを含み、疾患または障害が、悲哀、ストレス、悲痛、不安、不安障害(例えば、全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、外傷後ストレス障害または社会不安性障害または気分障害(例えば、うつ病、双極性障害、気分変調性障害および気分循環性障害)である。ある実施形態では、前記方法は、対象における1種または複数のホルモンの濃度を調節する、化学感覚受容体モジュレータを含む組成物を投与することによる、対象における、幸福感、健康感または満足感を誘導する方法を含む。
【0062】
さらに、本明細書における実施形態の組成物および方法は、上で列挙されている化学感覚受容体に関連する状態の食事管理のために使用することができる。例えば、虚弱、食欲不振、悪液質、除脂肪体重の喪失、食物関連性または食物誘導性吐き気および嘔吐、食物アレルギー、ならびに食物関連性嫌悪反応などの障害が、化学感覚受容体アンタゴニストにより処置され得る。
【0063】
本明細書に記載されている組成物は、腸上部もしくは小腸、腸下部もしくは大腸、またはそれらの両方に放出するようになされ得る。ある種の症状に関すると、本明細書に記載されている組成物は、胃に放出するようになされ得る。本組成物の腸への投与は、経口を含めた、任意の公知の方法による。
【0064】
一態様では、本明細書に記載されている組成物は、以下に限定されないが、好適な誘導体を含めた、アブシンチン、アルテモリン(artemorine)、アマロゲンチン、アルグラビン、アザチオプリン、アゼピノン、ベンゾイン、ブルシン、カンファー、カスカリリン(cascarillin)、クロルヘキシジン、N,N’−ジエチルチオウレア、ヘルボリドA、イソフムロン、ノスカピン、パパベリン、パルテノリド、ピクロトキシン、アルボレスシン(arborescine)または(−)−α−ツジョンから選択される苦味受容体リガンドであって、該組成物が、対象の腸の1つまたは複数の領域に治療有効量のリガンドを放出するようになされている、苦味受容体リガンドを含む。これらの化合物の構造式は、以下に示されている。
【0065】
別の態様では、本明細書に記載されている組成物は、米国特許出願第2012/0,177,730号に開示されている構造式Iを有する、アブシンチン、アルグラビン、アルボレスシン、アルテモリン、ノスカピンまたはパルテノリドに構造的に関連する化合物から選択される、苦味受容体リガンドを含む。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】脂質部分として、以下に記載されているそのラクトン(左)および遊離酸(右)形態で示されている17−ヒドロキシオレイン酸を含有しているソホロ脂質の構造を示す図である。
【0067】
図2】以下に記載されている、SL((A)C16−SL;(B)C18−SL;(C)C18:1−SL))のLC−MS(液体クロマトグラフィー−質量分析法)分析を示す図である。パネルA(上部)、全イオンクロマトグラム;パネルB(下部)、大気圧化学イオン化質量スペクトル。
【0068】
図3】以下に記載されている、C16−SLによる、培養したヒト味覚乳頭(HBO)細胞の刺激を示すグラフである。ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した、C16−SL(SL_PLMとしても知られている)の3種の異なる濃度(29μM、58μMおよび145μM)をHBO細胞で試験した。145μMのC16−SLが、Ca+2応答を引き起こす最適濃度であることが決定した。グラフは、89個の細胞の平均応答を表す。
【0069】
図4】以下に記載されている、培養したラクチゾール感受性HBO細胞のC16−SLへの応答を示すグラフである。C16−SL(別名SL_PLM)応答性細胞(n=29)全体の平均したC16−SL誘導性応答は、ラクチゾールにより抑制され、このことは、C16−SL誘導性応答が、甘味受容体(T1R2+T1R3)によって媒介されたことを示唆している。
【0070】
図5】以下に記載されている、培養したラクチゾール非感受性HBO細胞のC16−SLへの応答を示すグラフである。C16−SL(別名SL_PLM)誘導性応答がラクチゾールにより遮断されなかった細胞の平均応答(n=54)。このことは、これらの細胞において、T1R3非依存性甘味の誘導経路または非甘味(例えば、苦味)のどちらか一方を、C16−SLが活性化したことを示唆している。
【0071】
図6】以下に記載されている、SLへの鼓索神経応答を示す図である。図6Aは、T1R3−KOマウスに関するものであり、図6Bは、野生型B6マウスに関するものである。
【0072】
図7】以下に記載されている、T1R3−KOおよび野生型B6マウスにおける、SLおよび対照の味覚刺激に対する鼓索神経応答を示すグラフである。スクロース、ソホロース、および3種のSLへの鼓索神経応答は、野生型B6マウスに存在しているが、T1R3−KOマウスにはほとんど存在していなかった。このことは、これらの化合物がT1R3受容体を利用することを示唆した。様々なSLへの応答の大きさは様々であり、それらの大きさは、甘味強度が異なることを示唆している。
【0073】
図8A】ソホロ脂質応答性細胞が、以下に記載されている通り、培養した味覚乳頭細胞において甘味にも応答し得ることを示すグラフである。
図8B】ソホロ脂質応答性細胞は、以下に記載されている通り、培養した味覚乳頭細胞において苦味の刺激にも応答し得ることを示すグラフである。
【0074】
図9】ラクチゾール非感受性のソホロ脂質応答性細胞の大部分が、以下に記載されている苦味刺激にやはり応答したことを示すグラフである。
【0075】
図10A】苦味混合物の適用前にソホロ脂質を適用すると、苦味応答が完全になくなることを実証することを示すグラフである。
図10B】ソホロ脂質の適用前に、苦味刺激物を適用すると、以下に記載されている通り、ソホロ脂質への応答がなくなったことを示すグラフである。
【0076】
図11】マウス味覚神経(鼓索神経)の読取りにより、苦味混合物の適用前に、ソホロ脂質を適用すると、以下に記載されている苦味応答がかなり低減することを実証したことを示す。ソホロ脂質_オレイン酸の適用前および適用後の、培養したヒト味覚細胞の、2種の苦味のある医薬である、アセトアミノフェン(APAP)とグアイフェネシン(GF)との混合物への細胞内カルシウム応答。ソホロ脂質_オレイン酸の適用により、APAP+GFに応答する細胞の割合がかなり(2種の割合の有意性に関して、p<0.0000試験)低下した。
【0077】
図12】苦味のある薬物(アセトアミノフェン(APAP)およびグアイフェネシン(GF))混合物の適用前に、ソホロ脂質を適用すると、以下に記載されている苦味応答がかなり阻害されたことを実証していることを示すグラフである。ソホロ脂質の適用前およびその後に、30mMデナトニウムによる経口刺激に応答する野生型マウスの味覚神経(鼓索神経)における一体活性。ソホロ脂質の適用後の、30mMデナトニウム(SLP(ソホロ脂質)後)への応答は、ソホロ脂質適用前の30mMデナトニウム(対照)への応答よりもかなり低かった。
【発明を実施するための形態】
【0078】
苦味を調節するソホロ脂質、このような化合物を含有する食用組成物、およびこのような食用組成物を利用する方法が、本明細書において開示されている。
【0079】
ソホロ脂質は、ソホロース糖部分(2−O−β−D−グルコピラシル−β−Dグルコピラノース)および脂質成分からなる分子である。脂質成分は、異なる炭素原子の鎖長、好ましくはC14〜C24、より好ましくはC16〜C18を有することができる。ここから、C16−SLは、16炭素鎖脂肪酸単位を含有するソホロ脂質を指し、パルミチン酸を使用して生成されたこと、C18−SLは、18炭素鎖脂肪酸単位を含有し、ステアリン酸を使用して生成されること、およびC18:1−SLは、不飽和結合を1つ有する18炭素鎖脂肪酸単位を含有し、オレイン酸を使用して生成されることに留意すべきである。ソホロ脂質は、1つまたは2つの不飽和結合を有することがある。
【0080】
苦味物質は、例えば、食品(コーヒーまたはチョコレートなど)において固有のものとすることができるか、または食用組成物の構成成分(苦味のある保存剤など)とすることができる。
【0081】
本発明の別の態様では、食用組成物は、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む食品である。
【0082】
本発明の別の態様では、食用組成物は、苦味のある薬学的活性成分または不活性成分、および本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む医薬組成物である。
【0083】
別の実施形態では、医薬組成物は、苦味のある薬学的活性成分または不活性成分、および本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む。
【0084】
さらに他の実施形態では、食用組成物は、薬学的活性成分、苦味物質および本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む、医薬組成物である。
【0085】
本発明の別の態様では、食用組成物は、苦味物質および本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む、消費者製品である。
【0086】
別の実施形態では、消費者製品は、苦味物質、および本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む。
【0087】
本発明のさらに別の実施形態は、苦味物質の苦味を軽減するための消費者製品であって、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む、消費者製品を提供する。
【0088】
さらに他の実施形態では、苦味物質の苦味を軽減するための消費者製品は、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む。
【0089】
一部の実施形態では、食用組成物は、食品、消費者製品または医薬組成物である。
【0090】
本発明はまた、食用組成物中の苦味物質に起因する苦味を軽減する方法であって、苦味物質により誘導される苦味が軽減されるよう、食用組成物に、有効量の本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を添加することを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、食用組成物は、食品、消費者製品または医薬組成物である。
【0091】
一部の実施形態では、前記方法は、苦味物質により誘導される苦味を最大25%軽減する。一部の実施形態では、前記方法は、苦味物質により誘導される苦味を最大50%軽減する。他の実施形態では、苦味物質によって誘導される苦味は、最大75%軽減される。さらに他の実施形態では、苦味物質によって誘導される苦味は、最大100%軽減される。一部の実施形態では、苦味は、最大1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%軽減される。これらの量は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。
【0092】
本発明はまた、苦味受容体の活性化および/またはシグナル伝達を阻害または低減する方法であって、苦味受容体を本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質に接触させることを含む、方法を提供する。
【0093】
一部の実施形態では、前記方法は、苦味受容体の活性化および/またはシグナル伝達を最大25%、阻害または低減する。一部の実施形態では、前記方法は、苦味受容体の活性化および/またはシグナル伝達を最大50%、阻害または低減する。他の実施形態では、前記方法は、苦味受容体の活性化および/またはシグナル伝達を最大75%、阻害または低減する。さらに他の実施形態では、前記方法は、苦味受容体の活性化および/またはシグナル伝達を、最大1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%、阻害または低減する。これらの量は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。
【0094】
別の実施形態では、本発明は、食用組成物中の糖の量を低減する方法であって、食用組成物の調製に使用されるある量の糖を、ある量の本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質に置き換えることを含む、方法を提供する。
【0095】
一部の実施形態では、食用組成物は、食品、消費者製品または医薬組成物である。
【0096】
本発明の一部の実施形態では、食用組成物中の糖の量を低減する方法は、食用組成物中に存在している糖の最大25%を本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質により置き換えることが可能なほど十分な、有効量の本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を食用組成物に組み込むことを含む。他の実施形態では、食用組成物に組み込まれた本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質の量は、食用組成物中に存在している糖の最大50%を本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質により置き換えることを可能にするのに十分である。さらに他の実施形態では、食用組成物に組み込まれた本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質の量は、食用組成物中に存在している糖の最大75%を本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質により置き換えることを可能にするのに十分である。他の実施形態では、食用組成物に組み込まれた本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質の量は、食用組成物中に存在している糖の最大100%を本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質により置き換えることを可能にするのに十分である。一部の実施形態では、食用組成物は甘い風味を維持する。一部の実施形態では、糖の量は、最大1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%低減される。これらの量は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。
【0097】
本発明はまた、食用組成物の調製に使用されるある量の糖を、有効量の本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質に置き換えることを含む、対象の糖摂取量を低減する方法を提供する。
【0098】
一部の実施形態では、食用組成物は、食品、消費者製品または医薬組成物である。
【0099】
本発明の一部の実施形態では、対象の糖摂取量を低減する方法は、それを必要とする対象を特定することをさらに含む。
【0100】
一部の実施形態では、対象の糖摂取量を低減する方法は、ソホロ脂質置換を使用して、糖摂取量を最大25%低減するのに十分な、ソホロ脂質の量を食用組成物に組み込むことを含む。他の実施形態では、添加されるソホロ脂質の量は、ソホロ脂質置換を使用して、糖摂取量を最大50%、低減するのに十分である。さらに他の実施形態では、添加されるソホロ脂質の量は、ソホロ脂質置換を使用して、糖摂取量を最大75%、低減するのに十分である。他の実施形態では、添加されるソホロ脂質の量は、ソホロ脂質置換を使用して、糖摂取量を最大100%、低減するのに十分である。一部の実施形態では、食用組成物は甘い風味を維持する。一部の実施形態では、糖の量は、最大1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%低減される。これらの量は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。
【0101】
本発明の一部の実施形態では、対象の糖摂取量を低減する方法は、それを必要とする対象を特定することをさらに含む。一部の実施形態では、対象の糖摂取量を低減する方法は、ソホロ脂質置換を使用して、糖摂取量を最大25%低減するのに十分な、ソホロ脂質の量を食用組成物に組み込むことを含む。他の実施形態では、添加されるソホロ脂質の量は、ソホロ脂質置換を使用して、糖摂取量を最大50%、低減するのに十分である。さらに他の実施形態では、添加されるソホロ脂質の量は、ソホロ脂質置換を使用して、糖摂取量を最大75%、低減するのに十分である。他の実施形態では、添加されるソホロ脂質の量は、ソホロ脂質置換を使用して、糖摂取量を最大100%、低減するのに十分である。一部の実施形態では、食用組成物は甘い風味を維持する。一部の実施形態では、糖の量は、最大1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%低減される。これらの量は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。
【0102】
用語「苦い」または「苦味」は、本明細書で使用する場合、苦味物質の検知後に生じる、知覚感覚または味覚感覚を指す。以下の属性は、苦味の一因となることがある:収斂薬、苦い収斂薬、金属性のもの、苦い金属性のもの、ならびに異味、後味、ならびに以下に限定されないが、冷凍焼けおよび段ボールのような味、および/またはこれらのいずれかの組合せを含む望ましくない味覚。当分野において、用語「異味」は、多くの場合、「苦味」と同義語であることが留意される。原理によって限定されるものではないが、苦味の多様性は、多数の苦味受容体、およびこれらの受容体よる苦味物質の検知区別に反映され得る。苦味は、本明細書で使用する場合、苦味物質による苦味受容体の活性化を含む。苦味はまた、本明細書で使用する場合、苦味物質による苦味受容体の活性化と、それに続く下流のシグナル伝達を含む。苦味はまた、本明細書で使用する場合、苦味物質による刺激後のシグナル伝達経路の活性化を含む。苦味は、本明細書で使用する場合、苦味受容体による苦味物質の検知後のシグナル伝達に起因する知覚をさらに含む。苦味は、本明細書で使用する場合、苦味受容体を苦味物質に接触させた後のシグナル伝達に起因する知覚をさらに含む。苦味は、脳で知覚することができる。
【0103】
用語「苦味受容体」とは、苦味物質が結合することができる、受容体、通常、細胞表面受容体を指す。苦味受容体は、口腔内、ならびに/または胃、腸および結腸を含めた胃腸管の全体にわたり存在している可能性がある。苦味受容体はまた、以下に限定されないが、細胞ベースのアッセイまたは結合アッセイを含めたアッセイ中のような、インビトロで存在することができる。
【0104】
用語「苦味物質」、「苦味リガンド」または「苦味化合物」とは、苦味受容体を活性化する、もしくは苦味受容体によって検知され得る化合物、および/または対象における、苦味の知覚をもたらす化合物を指す。「苦味物質」はまた、苦味受容体を活性化するよう組み合わされる、もしくは苦味受容体によって検知される複数の化合物、および/または対象における、苦味の知覚をもたらす複数の化合物を指す。「苦味物質」は、苦味受容体を活性化する、もしくは苦味受容体によって検知されるよう、および/または対象における、苦味の知覚をもたらすよう、対象により摂取されると、酵素的に改変される化合物をさらに指す。苦味の知覚は、個々によって様々となり得るので、一部の個体は、他の個体によって同じ化合物を知覚する苦味の種類と比べて、異なる種類の苦味をもたらす化合物として、「苦味物質」を言うことがある。用語である苦味物質は、苦味をもたらす化合物も指す。当業者は、苦味が何を意味するか、容易に特定して理解することができる。苦味物質または物質の非限定例は、苦味物質を含む苦い食品を含み、その例として、例えば、コーヒー、甘くしていないココア、マーマレード、ニガウリ、ビール、苦味薬、柑橘類の皮、タンポポの葉、キクヂシャ、キニーネ、マグネシウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、KCl、乳酸カリウム、アセスルファムK、芽キャベツ、アスパラガス、ゴーヤ、野生のキュウリ、セロリ、ホップ、コールラビ、ラディッシュの葉、チョウセンニンジン、パンプキン、コラードの葉、ケール、スパルテイン、カフェイン、アトロピン、ニコチン、ウレアおよびストリキニーネを含む。
【0105】
苦味物質のさらなる例には、医薬品が含まれる。苦味物質としての医薬品の非限定例には、アセトアミノフェン、アンピシリン、アジスロマイシン、クロルフェニラミン、シメチジン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、エリトロマイシン、イブプロフェン、ペニシリン、フェニルブタゾン、シュードエフェドリン、ラニチジン、スピロノラクトンおよびテオフィリンが含まれ、これらはすべて、苦味を伴う。
【0106】
用語「消費者製品」とは、対象による個人の使用および/または消費のための健康および美容製品を指す。消費者製品は、以下に限定されないが、液体、固体、半固体、錠剤、カプセル剤、ロセンジ剤、ストリップ剤、散剤、ゲル剤、ガム、ペースト、スラリー、シロップ、エアゾールおよびスプレーを含む、どのような形態で存在してもよい。消費者製品の非限定例には、栄養補給食品、栄養補助剤、口紅、リップバーム、石鹸、シャンプー、ガム、接着剤(例えば、歯科用接着剤)、歯磨き粉、経口鎮痛剤、口臭フレッシュナー、洗口剤、歯の漂白剤および他の歯磨剤が含まれる。
【0107】
用語「食事」は、対象によって消費される食品および/または飲料をまとめて指す。対象の「食事」はまた、対象が摂取する、消費者製品または医薬組成物を含む。
【0108】
用語「食用組成物」とは、通常、口腔を経て、消費するために好適な組成物を指す(しかし、消費は、吸入などの非経口手段によって行われることがある)。食用組成物は、以下に限定されないが、液体、固体、半固体、錠剤、ロセンジ剤、散剤、ゲル剤、ガム、ペースト、スラリー、シロップ、エアゾールおよびスプレーを含む、どのような形態で存在してもよい。本明細書で使用する場合、食用組成物は、食品、医薬組成物および消費者製品を含む。用語である食用組成物はまた、例えば、食事補給剤および栄養補給剤を指す。本明細書で使用する場合、食用組成物は、口腔内に配置されるが、歯科処置である、詰め物、包み込み物質、型および研磨剤などの専門的な歯科製品を含めた、飲み込まれない組成物を含む。用語「可食の」は、用語「食用の」と類似の組成物を指し、一般に、この語と同義として使用される。
【0109】
用語「有効量」は、所望の特性または結果を生じるのに十分な量を指す。例えば、本発明の化合物の有効量は、苦味物質と関連する苦味の知覚を軽減することができる量である。用語「有効量」はまた、食品中の苦味物質もしくは本来苦い食品のどちらか一方と関連する、苦味または後味の知覚を軽減するまたはなくすことが可能な本発明の化合物の量を指す。以下で指摘される通り、必要な正確な量は様々であろう。したがって、正確な「有効量」を指定することは可能ではない。しかし、適切な有効量は、型通りの実験だけを使用して、当業者によって決定することができる。
【0110】
用語「風味改変剤」とは、食品などの食用組成物に添加すると、食用組成物中に存在している風味(例えば、甘味、塩味、うま味、酸味または苦味)を改変する(例えば、風味の知覚をマスクする、なくす、低下させる、軽減する、または増強する)化合物、またはその混合物を指す。
【0111】
用語「食品」は、1つまたは複数の加工食材を含む組成物を指す。食品には、以下に限定されないが、製菓、ベーカリー製品(以下に限定されないが、ドウ、パン、ビスケット、クラッカー、ケーキ、ペストリー、パイ、タルト、キッシュおよびクッキーを含む)、アイスクリーム(以下に限定されないが、インパルスアイスクリーム、持ち帰り用アイスクリーム、フローズンヨーグルト、ジェラート、ソルベ、シャーベット、およびダイズ、オート、ビーンおよびコメ系のアイスクリームを含む)、乳製品(以下に限定されないが、飲用牛乳、チーズ、ヨーグルト、および酸味のある牛乳飲料を含む)、チーズ(以下に限定されないが、ナチュラルチーズおよびプロセスチーズ)、バター、マーガリン、甘いおよび風味のよいスナック(以下に限定されないが、フルーツスナック、およびチップ/クリスプ、トルティーヤ/コーンチップ、ポップコーン、プレッツェル、チョコレートおよびナッツを含む)、温および冷飲料(以下に限定されないが、飲料、飲料混合物、濃縮物、ジュース、炭酸飲料、非炭酸飲料、アルコール飲料、ノンアルコール飲料、ソフトドリンク、スポーツドリンク、アイソトニックドリンク、コーヒー、茶、瓶詰め水、ならびに植物および植物抽出物から調製した飲料(成分として植物または菌抽出物により調製された冷飲料、および浸出、煎じるなどの様々な方法で調製される飲料、または以下に限定されないが、葉、茎、果実、根、根茎、茎、樹皮、揮発性オイル、または植物全部をも含めた、様々な植物部分の抽出または蒸留という他の手段を含む))、スナックバー(以下に限定されないが、グラノーラバー、ミュズリーバー、プロテインバー、朝食バー、エネルギーバーおよびフルーツバーを含む)、食事代替製品、調理済み食品(以下に限定されないが、缶詰食品、保存食、冷凍食品、乾燥食品、チルド食品、ディナーミックス、冷凍ピザ、チルドピザおよび調理済みサラダを含む)、スープ(以下に限定されないが、ブイヨンのようなスープおよびクリームをベースとするスープを含む)、ブイヨン、グレービー、醤油、肉類および魚(生、調理済みおよび乾燥肉類を含む)、デリカ製品(以下に限定されないが、スライスに適した肉類およびチーズ、または既にスライスされている肉類およびチーズ、例えばターキー、チキン、ハム、ボローニャソーセージ、サラミ、ビーアビュルスト、カピコラ、チョリソー、コーンビーフ、ダッチローフ、セラノ、プロシュート、ヘッドチーズ、レバービュルスト、ミートローフ(オリーブローフ、ペパーローフ、ピメントローフおよびハム、ならびにチーズローフを含む)、モルタデラ、パストラミ、ペパロニ、ローストビーフ、ローストポーク、ソーセージ、スモークミート、乾燥ソーセージ、タン、アメリカンチーズ、ブルーチーズ、チェダーチーズ、コルビーチーズ、コルビー−ジャックチーズ、ゴーダ、モンテレージャックチーズ、ミュンスターチーズモツァレラ、パルミジャーノチーズ、ペパージャックチーズ、プロボローネ、ロマノチーズ、ストリングチーズ、スプレーチーズおよびスイスチーズを含む)、野菜、(以下に限定されないが、生、酢浸け、フレンチフライなどの調理済みおよび乾燥野菜を含む)、果実(以下に限定されないが、生、調理済みおよびドライフルーツ)、穀類(以下に限定されないが、乾燥シリアルおよびパンを含む)、加工食品(以下に限定されないが、乾燥、缶詰または瓶詰めソースおよびスープを含む)、スナック食品、ペースト(以下に限定されないが、新鮮なパスタ、チルドパスタ、冷凍ペースト、乾燥パスタを含む)、麺類(以下に限定されないが、エッグヌードル、小麦ヌードル、ライスヌードル、緑豆ヌードル、ポテトヌードル、ソバヌードル、トウモロコシヌードル、春雨、チャーメン、フェトチーニ、フジッリ、ニョッキ、ラザーニア、リングィーニ、ローメン、マカロニ、マニコッティ、パッドタイ、ペンネ、ラーメン、ビーフン、リガトニ、ソバ、スパゲッティ、シュペッツレ、うどんおよびジーティを含む)、缶詰食品、冷凍食品、乾燥食品、チルド食品、油および脂肪、ベビー食、スプレッド、サラダ、シリアル(以下に限定されないが、ホットおよびコールドシリアルを含む)、ソース、(以下に限定されないが、トマトペースト、トマトピューレ、固形ブイヨン、固形スープの素、食卓ソース、ボーイズベースソース(boys bases sauce)、パスタソース、クッキングソース、マリネ、乾燥ソース、粉末ミックス、ケチャップ、マヨネーズ、サラダドレッシング、ビネグレットソース、マスタードおよびディップを含む)、ゼリー、ジャム、保存食、ハチミツ、プディング、レシピミックス、シロップ、アイシング、詰め物、インフューズドフード(infused food)、塩浸け保存食、マリネ食品および調味料(ケチャップ、マスタードおよびステーキソースなど)が含まれる。一部の実施形態では、食品は、動物の餌である。例えば、食品は、ペット食品、すなわち家庭用ペットにより消費される食品であってもよい。他の実施形態では、食品は、家畜用食品、すなわち、家畜により消費される食品である。
【0112】
用語である「食材」とは、未加工の成分、または食品を調製するために用いられる基本栄養素又は風味を含む要素を指す。食材の非限定例には、果実、野菜、肉類、魚、穀物、牛乳、卵、塊根類、糖、甘味剤、オイル、ハーブ、スナック、ソース、香料および塩が含まれる。
【0113】
用語である、「苦味の知覚」、「塩味の知覚」、「風味の知覚」および類似用語は、特定の味または風味を対象が認識することを指す。
【0114】
用語「薬学的活性成分」とは、生物学的に活性な医薬組成物中の化合物を指す。
【0115】
用語「加工食材」とは、その元の状態が変わる加工(例えば、収穫、解体および洗浄を除く)が施された食材を指す。食物を加工する方法の例には、以下に限定されないが、望ましくない外側の層の除去(ジャガイモの皮むきまたは桃の皮むきなど);ぶつ切りまたはスライス;ミンチまたはふやかすこと;液化(フルーツジュースを生成することなど);発酵(例えば、ビール);乳化;調理(沸騰、ブロイル、フライ、加熱、蒸しまたはグリルなど);揚げ;ベーク;混合;パンまたはソフトドリンクのガス化のための、空気飛沫などのガスの添加;生地発酵、香味付け(例えば、ハーブ、香料、塩により);噴霧乾燥;低温殺菌;パッケージ(例えば、缶詰または箱詰め);押出;軽く焼き上げること(puffing);ブレンドすること;および保存(例えば、塩、糖、乳酸カリウムまたは他の保存剤の添加)が含まれる。
【0116】
用語「対象」は、哺乳動物を指す。好ましい実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、対象は、以下に限定されないが、イヌ、ネコ、ブタ、ウサギ、ラット、マウス、アレチネズミ、ハムスター、モルモットおよびフェレットなどの家庭向けペットを含めた、家庭用または実験用動物である。一部の実施形態では、対象は、家畜動物である。家畜動物の非限定例には、アルパカ、バイソン、ラクダ、ウシ、シカ、ブタ、ウマ、ラマ、ラバ、ロバ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、トナカイおよびヤクが含まれる。
【0117】
用語「担体」は、例えば、農業的に、または生理的に、または医薬品として、または食料品として許容される、当分野において公知の担体または担体物質とすることができる。
【0118】
「オプショナルな(optional)」または「場合により(optionally)」は、続いて記載される事象または状況が、発生してもよく、または発生しなくてもよいこと、ならびにこの記載は、前記事象または状況が起こる事例、およびそれが起こらない事例を含むことを意味する。例えば、言い回し「消泡剤を場合により含む」は、組成物が、消泡剤を含んでもよく、または含まなくてもよいこと、ならびにこの記載は、消泡剤を含有する組成物および含有しない組成物を含むことを意味する。
【0119】
特に定義されない限り、本明細書において使用される技術的および科学的用語はすべて、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用する場合、用語「約」とは、参照とする質、レベル、値または量に対して10%と同量まで変動する、質、レベル、値または量を指す。本明細書に記載されているものに類似または等価な方法および物質が、本発明の実施または教示に使用され得るが、好ましい方法および物質をこれから記載する。
【0120】
本発明は、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む食品、消費者製品および医薬組成物を含めた、前記ソホロ脂質を含む食用組成物、およびこうした組成物を調製する方法を提供する。
【0121】
食用組成物:一態様によれば、本発明は、苦味物質の苦味を軽減するための、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む食用組成物を提供する。
【0122】
一部の実施形態では、食用組成物中に存在する苦味物質は、苦味塩である。一部の実施形態では、食用組成物中に存在する苦味物質は、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩である。一部の実施形態では、食用組成物中に存在している苦味物質はカリウム塩である。一部の実施形態では、食用組成物中に存在している苦味物質はKClである。他の実施形態では、食用組成物中に存在している苦味物質は乳酸カリウムである。
【0123】
別の実施形態では、食用組成物は、(a)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質、および(b)カリウム塩を含む。一部の実施形態では、カリウム塩は、KClまたは乳酸カリウムである。具体的な実施形態では、カリウム塩はKClである。
【0124】
一部の実施形態では、食用組成物はナトリウム塩をさらに含む。一部の実施形態では、本食用組成物はNaClをさらに含む。一部の実施形態では、食用組成物は、乳酸ナトリウムをさらに含む。一部の実施形態では、食用組成物は、糖をさらに含む。
【0125】
一部の実施形態では、食用組成物は、保存剤、栄養素、風味剤、または本来の風味がないことがある追加の風味改変剤からなる群から選択される、1つまたは複数の追加構成成分をさらに含む。
【0126】
一部の実施形態では、食用組成物は、1つまたは複数の乳化剤をさらに含む。ナトリウムおよびカリウムをベースとする乳化剤は、食物技術における乳化剤として一般に使用される。ナトリウムをベースとする乳化剤には、例えば、脂肪酸のナトリウム塩、アルギン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムアルミニウム、カゼインナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム(二塩基性)、リン酸ナトリウム(一塩基性)、リン酸ナトリウム(三塩基性)、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムおよびステアロイル乳酸ナトリウムが含まれる。カリウムをベースとする乳化剤には、例えば、脂肪酸のカリウム塩、アルギン酸カリウム、クエン酸カリウム、リン酸カリウム(二塩基性)、リン酸カリウム(一塩基性)、リン酸カリウム(三塩基性)、ポリリン酸カリウム、ポリメタリン酸カリウムおよびピロリン酸カリウムが含まれる。したがって、本発明の一部の実施形態には、ナトリウムをベースとする乳化剤をカリウムをベースとする乳化剤に置き換えること、および本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を添加することを含む。
【0127】
一部の実施形態では、食用組成物は、ソホロ脂質の有効性を向上するまたは低下するために、界面活性剤をさらに含む。好適な界面活性剤には、以下に限定されないが、非イオン性界面活性剤(例えば、モノおよびジグリセリド、脂肪酸エステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステルおよびラクチレートエステル)、陰イオン性界面活性剤(例えば、スルホコハク酸塩およびレシチン)、および陽イオン性界面活性剤(例えば、四級アンモニウム塩)が含まれる。
【0128】
食用組成物が保存剤をさらに含む一部の実施形態では、保存剤は、食用組成物の保存寿命を改善する。好適な保存剤には、以下に限定されないが、アスコルビン酸、安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、安息香酸カルシウム、EDTAカルシウム二ナトリウム、亜硫酸水素カルシウム、プロピオン酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、キトサン、第二硫酸銅、デヒドロ酢酸、ピロ炭酸ジエチル、二炭酸ジメチル、EDTA二ナトリウム、E−ポリリシングリシン、エリソルビン酸、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、ギ酸、グアヤク脂、ヘプチルパラベン、ヒノキチオール、パラオキシ安息香酸イソブチル、エゴノキ抽出物(Japanese styrax benzoin extract)、メチルパラベン、魚精タンパク質抽出物、ナタマイシン、ナイシン、ペプチン抽出物、2−フェニルフェノール、ピマリシン、酢酸カリウム、安息香酸カリウム、乳酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、硝酸カリウム、亜硝酸カリウム、ピロ亜硫酸カリウム、ソルビン酸カリウム、亜硫酸カリウム、プロピオン酸、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−オキシ安息香酸プロピル、プロピレンオキシド、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、二酢酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、o−フェニルフェノールナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、ソルビン酸および二酸化硫黄が含まれる。一部の実施形態では、保存剤は、苦味風味を有する。
【0129】
一部の実施形態では、組成物は、流動剤、加工剤、糖、アミノ酸、他のヌクレオチド、ならびにクエン酸塩および酒石酸塩などの有機酸のナトリウム塩またはカリウム塩からなる群から選択される、1つまたは複数の追加構成成分をさらに含むことができる。このような付加の成分は、風味を加えることができるか、または食用組成物のブレンド、加工もしくは流動特性の一助になり得る。
【0130】
一部の実施形態では、ソホロ脂質の放出速度が調節される。ソホロ脂質の放出速度は、例えば、その水への溶解度を変えることにより、変化させることができる。迅速な放出は、高い水溶性を有する物質によりソホロ脂質を封入することより達成することができる。ソホロ脂質の遅延放出は、低い水溶性を有する物質によりソホロ脂質を封入することより達成することができる。ソホロ脂質は、甘味剤などの炭水化物またはマスキング味物質と共封入することができる。ソホロ脂質の放出速度はまた、封入度により調節することができる。一部の実施形態では、ソホロ脂質は、完全に封入される。他の実施形態では、ソホロ脂質は、一部が封入される。一部の実施形態では、放出速度は、苦味物質と放出されるよう調節される。
【0131】
本発明の食用組成物は、当分野において周知の技法に従い調製される。一般に、本発明の食用組成物は、食用組成物の構成成分または成分を少なくとも1種のソホロ脂質と混合することにより調製される。あるいは、ソホロ脂質は、食用組成物に直接、加えることができる。一部の実施形態では、苦味物質は、ソホロ脂質と同時に、または逐次に添加される。逐次の場合、苦味物質は、ソホロ脂質の前または後に添加することができる。一部の実施形態では、食用組成物は食品である。一部の実施形態では、食用組成物は医薬組成物である。一部の実施形態では、食用組成物は消費者製品である。
【0132】
食用組成物中で使用されるソホロ脂質と苦味物質のどちらの量も、組成物の目的、および所望のまたは許容される苦味、塩味もしくは甘味の知覚を含めた、様々な要因に依存する。その量は、食用組成物の性質、添加される具体的なソホロ脂質、苦味物質、組成物中に存在している他の化合物、調製方法(使用される熱量を含む)、および食用組成物のpHに依存することがある。当業者は、所望の味を生成するために必要な量を決定する方法を知っていることが理解されよう。
【0133】
一般に、食用組成物中のソホロ脂質は、約0.001ppm〜1000ppmの間の濃度で存在することができる。一部の実施形態では、食用組成物は、約0.005〜500ppm、0.01〜100ppm、0.05〜50ppm、0.1〜5ppm、0.1〜10ppm、1〜10ppm、1〜30ppm、1〜50ppm、10〜30ppm、10〜50ppm、または30〜50ppmの間のソホロ脂質を含む。さらに他の実施形態では、食用組成物は、約0.1〜30ppm、1〜30ppmまたは1〜50ppmのソホロ脂質を含む。追加の実施形態では、食用組成物は、約0.1〜5ppm、0.1〜4ppm、0.1〜3ppm、0.1〜2ppm、0.1〜1ppm、0.5〜5ppm、0.5〜4ppm、0.5〜3ppm、0.5〜2ppm、0.5〜1.5ppm、0.5〜1ppm、5〜15ppm、6〜14ppm、7〜13ppm、8〜12ppm、9〜11ppm、25〜35ppm、26〜34ppm、27〜33ppm、28〜32ppm、または29〜31ppmを含む。さらに他の実施形態では、食用組成物は、約0.1ppm、約0.5ppm、約1ppm、約2ppm、約3ppm、約4ppm、約5ppm、約6ppm、約7ppm、約8ppm、約9ppmまたは約10ppmのソホロ脂質を含む。他の実施形態では、食用組成物は、約11ppm、約12ppm、約13ppm、約14ppm、約15ppm、約16ppm、約17ppm、約18ppm、約19ppm、約20ppm、約21ppm、約22ppm、約23ppm、約24ppm、約25ppm、約26ppm、約27ppm、約28ppm、約29ppmまたは約30ppmのソホロ脂質を含む。さたに他の実施形態では、食用組成物は、約31ppm、約32ppm、約33ppm、約34ppm、約35ppm、約36ppm、約37ppm、約38ppm、約39ppm、約40ppm、約41ppm、約42ppm、約43ppm、約44ppm、約45ppm、約46ppm、約47ppm、約48ppm、約49ppmまたは約50ppmのソホロ脂質を含む。他の実施形態では、食用組成物は、約0.5ppm超、1ppm超、5ppm超、10ppm超、15ppm超、20ppm超、25ppm超または30ppm超、例えば、最大で約30ppmまたは50ppmのソホロ脂質を含む。追加の実施形態では、食用組成物は、約50ppm未満、30ppm未満、25ppm未満、20ppm未満、15ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、1ppm未満または0.5ppm未満のソホロ脂質を含む。さらに追加の実施形態では、食用組成物は、約30ppm未満、10ppm未満または1ppm未満のソホロ脂質を含む。これらの量(ppm)は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、発明の一部として具体的に想定されている。
【0134】
一部の実施形態では、食用組成物はパッケージに含まれている。一部の実施形態では、食用組成物は、バルクパッケージされており、このパッケージは、通常、食物もしくは飲料の一皿分または一人分で使用されるより多い組成物を含有する。このようなバルクパッケージは、紙製、プラスチック製もしくは布製のバッグ、または厚紙の箱もしくはドラムの形態にあることができる。このようなバルクパッケージは、食用組成物の分注を容易にするよう、プラスチック製または金属製の注ぎ口を装備していてもよい。
【0135】
一部の実施形態では、パッケージは、ソホロ脂質および苦味物質を含む食用組成物を含有する。一部の実施形態では、パッケージは、ソホロ脂質および苦味塩を含む食用組成物を含有する。一部の実施形態では、パッケージは、ソホロ脂質、およびカリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩を含む食用組成物を含有する。一部の実施形態では、パッケージは、ソホロ脂質およびカリウム塩を含む食用組成物を含有する。一部の実施形態では、パッケージは、ソホロ脂質およびKClを含む食用組成物を含有する。他の実施形態では、パッケージは、ソホロ脂質および乳酸カリウムを含む食用組成物を含有する。一部の実施形態では、パッケージは、ソホロ脂質、カリウム塩およびナトリウム塩を含む食用組成物を含有する。他の実施形態では、パッケージは、ソホロ脂質、KClおよびNaClを含む食用組成物を含有する。さらに他の実施形態では、パッケージは、ソホロ脂質、乳酸カリウムおよび乳酸ナトリウムを含む食用組成物を含有する。他の実施形態では、パッケージは、ソホロ脂質およびアセスルファムKおよび糖を含む食用組成物を含有する。他の実施形態では、パッケージは、ソホロ脂質、乳酸カリウム、KClおよびNaClを含む食用組成物を含有する。
【0136】
一部の実施形態では、本発明の食用組成物は、香味料として、食品中の成分として、または調味料として使用するのに好適な組成物である。このような実施形態では、食用組成物は、苦味物質を含有していてもよく、または含有していなくてもよい。例えば、食用組成物は、例えばKClなどの苦味物質を含む、例えば、香味料中で使用することができる。このような香味料は、食卓塩(すなわち、NaCl)の代わりに、調製済み食品に風味を付けるために使用することができる。あるいは、食用組成物は、例えば、苦味物質を含有していない香味料中で使用されてもよい。このような香味料は、苦味物質に関連する苦味を軽減するために、苦味物質を含有(元々存在しているか、または調製中に加えられるかのどちらかである)する調製済み食品に風味を付けるために使用することができる。一部の実施形態では、食用組成物は、KClおよびソホロ脂質を含む香味料である。一部の実施形態では、食用組成物は、KCl、NaClおよびソホロ脂質を含む香味料である。一部の実施形態では、香味料は、香辛料または香辛料のブレンドをさらに含む。
【0137】
あるいは、食用組成物は、例えば、石鹸、シャンプー、マウスウオッシュ、医薬、医薬品、咳止めシロップ、点鼻薬、歯磨き粉、歯科用接着剤、歯の漂白剤、接着剤(例えば、切手および封筒)、ならびに昆虫およびげっ歯類の防除に使用する毒素中で、医療目的または衛生目的で使用することができる。
【0138】
食品:一部の実施形態では、食用組成物は食品である。このような実施形態によれば、食品は、(a)食材、および(b)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む。
【0139】
一部の実施形態では、食品は、本明細書に記載されている苦味物質をさらに含む。一部の実施形態では、苦味物質は、KClまたは乳酸カリウムなどのカリウム塩である。具体的な実施形態では、カリウム塩はKClである。
【0140】
一部の実施形態では、食品は、1つまたは複数の追加の風味改変剤をさらに含む。
【0141】
一部の実施形態では、食品は、保存剤、栄養素、風味剤、または本来の風味がないことがある追加の風味改変剤からなる群から選択される、1つまたは複数の追加構成成分をさらに含む。
【0142】
一般に、食品中のソホロ脂質は、約0.001ppm〜1000ppmの間の濃度で存在し得る。一部の実施形態では、食品は、約0.005〜500ppm、0.01〜100ppm、0.05〜50ppm、0.1〜5ppm、0.1〜10ppm、1〜10ppm、1〜30ppm、1〜50ppm、10〜30ppm、10〜50ppm、または30〜50ppmの間のソホロ脂質を含む。さらに他の実施形態では、食品は、約0.1〜30ppm、1〜30ppmまたは1〜50ppmのソホロ脂質を含む。追加の実施形態では、食品は、約0.1〜5ppm、0.1〜4ppm、0.1〜3ppm、0.1〜2ppm、0.1〜1ppm、0.5〜5ppm、0.5〜4ppm、0.5〜3ppm、0.5〜2ppm、0.5〜1.5ppm、0.5〜1ppm、5〜15ppm、6〜14ppm、7〜13ppm、8〜12ppm、9〜11ppm、25〜35ppm、26〜34ppm、27〜33ppm、28〜32ppm、または29〜31ppmを含む。さらに他の実施形態では、食品は、約0.1ppm、約0.5ppm、約1ppm、約2ppm、約3ppm、約4ppm、約5ppm、約6ppm、約7ppm、約8ppm、約9ppmまたは約10ppmのソホロ脂質を含む。他の実施形態では、食品は、約11ppm、約12ppm、約13ppm、約14ppm、約15ppm、約16ppm、約17ppm、約18ppm、約19ppm、約20ppm、約21ppm、約22ppm、約23ppm、約24ppm、約25ppm、約26ppm、約27ppm、約28ppm、約29ppmまたは約30ppmのソホロ脂質を含む。さらに他の実施形態では、食品は、約31ppm、約32ppm、約33ppm、約34ppm、約35ppm、約36ppm、約37ppm、約38ppm、約39ppm、約40ppm、約41ppm、約42ppm、約43ppm、約44ppm、約45ppm、約46ppm、約47ppm、約48ppm、約49ppmまたは約50ppmのソホロ脂質を含む。他の実施形態では、食品は、約0.5ppm超、1ppm超、5ppm超、10ppm超、15ppm超、20ppm超、25ppm超または30ppm超、例えば、最大で約30ppmまたは50ppmのソホロ脂質を含む。追加の実施形態では、食品は、約50ppm未満、30ppm未満、25ppm未満、20ppm未満、15ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、1ppm未満または0.5ppm未満のソホロ脂質を含む。さらに追加の実施形態では、食品は、約30ppm未満、10ppm未満または1ppm未満のソホロ脂質を含む。これらの量(ppm)は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。
【0143】
医薬組成物:一部の実施形態では、食用組成物は、医薬組成物である。このような実施形態によれば、医薬組成物は、(a)苦味のある薬学的活性成分および/または不活性成分、ならびに(b)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む。
【0144】
一部の実施形態によれば、医薬組成物は、苦味のある薬学的活性成分および/または不活性成分を含むことができる。苦味のある医薬品化合物の非限定例は、アセトアミノフェン、アンピシリン、アジスロマイシン、クロルフェニラミン、シメチジン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、エリトロマイシン、イブプロフェン、ペニシリン、フェニルブタゾン、シュードエフェドリン、ランチジン、スピロノラクトン、スタチン系(以下に限定されないが、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロウバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンおよびシンバスタチン)およびテオフィリンを含む。
【0145】
他の実施形態では、本発明は、(a)薬学的活性成分、(b)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質、および(c)苦味物質を含む医薬組成物を提供する。このような実施形態では、医薬組成物は、どのような薬学的活性成分を含んでもよい。
【0146】
他の実施形態では、本発明は、(a)薬学的活性成分、(b)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質、および(c)カリウム塩を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、カリウム塩は、KClまたは乳酸カリウムである。一部の実施形態では、カリウム塩はKClである。
【0147】
一部の実施形態では、医薬組成物は、1つまたは複数の追加の風味改変剤をさらに含む。
【0148】
一部の実施形態では、医薬組成物は、保存剤、栄養素、風味剤、または本来の風味がないことがある風味改変剤からなる群から選択される、1つまたは複数の追加構成成分をさらに含む。
【0149】
一般に、医薬組成物中のソホロ脂質は、約0.001ppm〜1000ppmの間の濃度で存在し得る。一部の実施形態では、医薬組成物は、約0.005〜500ppm、0.01〜100ppm、0.05〜50ppm、0.1〜5ppm、0.1〜10ppm、1〜10ppm、1〜30ppm、1〜50ppm、10〜30ppm、10〜50ppm、または30〜50ppmの間のソホロ脂質を含む。さらに他の実施形態では、医薬組成物は、約0.1〜30ppm、1〜30ppmまたは1〜50ppmのソホロ脂質を含む。追加の実施形態では、医薬組成物は、約0.1〜5ppm、0.1〜4ppm、0.1〜3ppm、0.1〜2ppm、0.1〜1ppm、0.5〜5ppm、0.5〜4ppm、0.5〜3ppm、0.5〜2ppm、0.5〜1.5ppm、0.5〜1ppm、5〜15ppm、6〜14ppm、7〜13ppm、8〜12ppm、9〜11ppm、25〜35ppm、26〜34ppm、27〜33ppm、28〜32ppm、または29〜31ppmを含む。さらに他の実施形態では、医薬組成物は、約0.1ppm、約0.5ppm、約1ppm、約2ppm、約3ppm、約4ppm、約5ppm、約6ppm、約7ppm、約8ppm、約9ppmまたは約10ppmのソホロ脂質を含む。他の実施形態では、医薬組成物は、約11ppm、約12ppm、約13ppm、約14ppm、約15ppm、約16ppm、約17ppm、約18ppm、約19ppm、約20ppm、約21ppm、約22ppm、約23ppm、約24ppm、約25ppm、約26ppm、約27ppm、約28ppm、約29ppmまたは約30ppmのソホロ脂質を含む。さらに他の実施形態では、医薬組成物は、約31ppm、約32ppm、約33ppm、約34ppm、約35ppm、約36ppm、約37ppm、約38ppm、約39ppm、約40ppm、約41ppm、約42ppm、約43ppm、約44ppm、約45ppm、約46ppm、約47ppm、約48ppm、約49ppmまたは約50ppmのソホロ脂質を含む。他の実施形態では、医薬組成物は、約0.5ppm超、1ppm超、5ppm超、10ppm超、15ppm超、20ppm超、25ppm超または30ppm超、例えば、最大で約30ppmまたは50ppmのソホロ脂質を含む。追加の実施形態では、医薬組成物は、約50ppm未満、30ppm未満、25ppm未満、20ppm未満、15ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、1ppm未満または0.5ppm未満のソホロ脂質を含む。さらに追加の実施形態では、医薬組成物は、約30ppm未満、10ppm未満または1ppm未満のソホロ脂質を含む。これらの量(ppm)は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。
【0150】
消費者製品:一部の実施形態では、食用組成物は消費者製品である。このような実施形態によれば、消費者製品は、(a)苦味物質、および(b)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む。
【0151】
別の実施形態では、本発明は、(a)カリウム塩、および(b)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む消費者製品を提供する。一部の実施形態では、カリウム塩は、KClまたは乳酸カリウムである。一部の実施形態では、カリウム塩はKClである。
【0152】
他の実施形態は、本発明は、苦味物質の苦味を軽減するための消費者製品であって、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む、消費者製品を提供する。一部の実施形態では、苦味物質はカリウム塩である。一部の実施形態では、カリウム塩は、KClまたは乳酸カリウムである。一部の実施形態では、苦味物質はKClである。
【0153】
一部の実施形態では、消費者製品は、1つまたは複数の追加の風味改変剤をさらに含む。
【0154】
一部の実施形態では、消費者製品は、保存剤、栄養素、風味剤、または本来の風味がないことがある追加の風味改変剤からなる群から選択される、1つまたは複数の追加構成成分をさらに含む。
【0155】
一般に、消費者製品中のソホロ脂質は、約0.001ppm〜1000ppmの間の濃度で存在し得る。一部の実施形態では、消費者製品は、約0.005〜500ppm、0.01〜100ppm、0.05〜50ppm、0.1〜5ppm、0.1〜10ppm、1〜10ppm、1〜30ppm、1〜50ppm、10〜30ppm、10〜50ppm、または30〜50ppmの間のソホロ脂質を含む。さらに他の実施形態では、消費者製品は、約0.1〜30ppm、1〜30ppmまたは1〜50ppmのソホロ脂質を含む。追加の実施形態では、消費者製品は、約0.1〜5ppm、0.1〜4ppm、0.1〜3ppm、0.1〜2ppm、0.1〜1ppm、0.5〜5ppm、0.5〜4ppm、0.5〜3ppm、0.5〜2ppm、0.5〜1.5ppm、0.5〜1ppm、5〜15ppm、6〜14ppm、7〜13ppm、8〜12ppm、9〜11ppm、25〜35ppm、26〜34ppm、27〜33ppm、28〜32ppm、または29〜31ppmを含む。さらに他の実施形態では、消費者製品は、約0.1ppm、約0.5ppm、約1ppm、約2ppm、約3ppm、約4ppm、約5ppm、約6ppm、約7ppm、約8ppm、約9ppmまたは約10ppmのソホロ脂質を含む。他の実施形態では、消費者製品は、約11ppm、約12ppm、約13ppm、約14ppm、約15ppm、約16ppm、約17ppm、約18ppm、約19ppm、約20ppm、約21ppm、約22ppm、約23ppm、約24ppm、約25ppm、約26ppm、約27ppm、約28ppm、約29ppmまたは約30ppmのソホロ脂質を含む。さらに他の実施形態では、消費者製品は、約31ppm、約32ppm、約33ppm、約34ppm、約35ppm、約36ppm、約37ppm、約38ppm、約39ppm、約40ppm、約41ppm、約42ppm、約43ppm、約44ppm、約45ppm、約46ppm、約47ppm、約48ppm、約49ppmまたは約50ppmのソホロ脂質を含む。他の実施形態では、消費者製品は、約0.5ppm超、1ppm超、5ppm超、10ppm超、15ppm超、20ppm超、25ppm超または30ppm超、例えば、最大で約30ppmまたは50ppmのソホロ脂質を含む。追加の実施形態では、消費者製品は、約50ppm未満、30ppm未満、25ppm未満、20ppm未満、15ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、1ppm未満または0.5ppm未満のソホロ脂質を含む。さらに追加の実施形態では、消費者製品は、約30ppm未満、10ppm未満または1ppm未満のソホロ脂質を含む。これらの量(ppm)は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。
【0156】
食用組成物を調製する方法:別の態様によれば、本発明は、食用組成物を調製する方法を提供する。前記方法は、(a)許容される担体(例えば、食料品として許容される担体)を用意すること、および(b)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を許容される担体に添加することを含む。一部の実施形態では、本発明の化合物は、添加ステップ(b)の前に、溶媒に溶解する。
【0157】
一部の実施形態では、(a)において、許容される担体(例えば、食料品として許容される担体)は、本来、苦い。このような実施形態では、許容される担体は、苦味物質を本来含有していることがある。一部の実施形態では、本来の苦味物質は苦味塩である。一部の実施形態では、本来の苦味物質は、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩である。一部の実施形態では、本来の苦味物質はカリウム塩である。一部の実施形態では、本来の苦味物質はKClである。他の実施形態では、本来の苦味物質は乳酸カリウムである。
【0158】
一部の実施形態では、食用組成物を調製する方法は、(c)苦味物質を添加することをさらに含む。一部の実施形態では、苦味物質はカリウム塩である。一部の実施形態では、カリウム塩は、KClまたは乳酸カリウムである。具体的な実施形態では、カリウム塩はKClである。一部の実施形態では、苦味物質は、ソホロ脂質の前に添加される。他の実施形態では、苦味物質は、ソホロ脂質の後に添加される。一部の実施形態では、ソホロ脂質は、苦味物質と一緒にされて、次に、食料品として許容される担体と一緒にされる。他の実施形態では、ソホロ脂質は、食料品として許容される担体と、次に、苦味物質と逐次、一緒にされる。さらに他の実施形態では、ソホロ脂質は、苦味物質と食料品として許容される担体との混合物と一緒にされる。
【0159】
一部の実施形態では、ソホロ脂質、および、存在する場合苦味物質は、許容される担体(例えば、食料品として許容される担体)と混合される。他の実施形態では、ソホロ脂質、および、存在する場合苦味物質は、許容される担体の上に噴霧されるか、または許容される担体をコーティングする。一部の実施形態では、ソホロ脂質は、炭水化物もしくは塩の上に置かれる、塩もしくは炭水化物の上で封入される(噴霧乾燥)、またはカリウム塩と共結晶化させて、「トッピング」塩を生成する。
【0160】
一部の実施形態では、苦味物質は苦味塩である。一部の実施形態では、苦味物質は、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩である。一部の実施形態では、苦味物質はカリウム塩である。一部の実施形態では、苦味物質はKClである。他の実施形態では、苦味物質は乳酸カリウムである。
【0161】
一部の実施形態では、食用組成物はナトリウム塩をさらに含む。一部の実施形態では、食用組成物はNaClをさらに含む。他の実施形態では、食用組成物は、乳酸ナトリウムをさらに含む。さらなる実施形態では、食用組成物は、糖をさらに含む。
【0162】
一部の実施形態では、食用組成物を調製する方法は、保存剤、栄養素、風味剤、または本来の風味がないことがある風味改変剤からなる群から選択される、1つまたは複数の追加構成成分を添加することをさらに含む。一部の実施形態では、食用組成物を調製する方法は、1つまたは複数の追加の風味改変剤を添加することをさらに含む。
【0163】
一部の実施形態では、食用組成物は消費者製品である。
【0164】
食品を調製する方法:別の態様によれば、本発明は、食用組成物を調製する方法であって、該食用組成物が食品である方法を提供する。前記方法は、(a)食材を用意すること、および(b)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を食材に添加することを含む。一部の実施形態では、ソホロ脂質は、ソホロ脂質を含む食用組成物の形態で添加される。
【0165】
一部の実施形態では、(a)において、食材は、本来、苦い。このような実施形態では、食材は、苦味物質を本来含有していることがある。一部の実施形態では、本来の苦味物質は苦味塩である。一部の実施形態では、本来の苦味物質は、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩である。一部の実施形態では、本来の苦味物質はカリウム塩である。一部の実施形態では、本来の苦味物質はKClである。他の実施形態では、本来の苦味物質は乳酸カリウムである。
【0166】
一部の実施形態では、前記方法は、(a)食品を用意すること、および(b)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を食品に添加することを含む。一部の実施形態では、ソホロ脂質は、ソホロ脂質を含む食用組成物の形態で添加される。
【0167】
一部の実施形態では、(a)において、食品は、苦味物質を含む。一部の実施形態では、苦味物質は苦味塩である。一部の実施形態では、苦味物質は、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩である。一部の実施形態では、苦味物質はカリウム塩である。一部の実施形態では、苦味物質はKClである。他の実施形態では、苦味物質は乳酸カリウムである。
【0168】
一部の実施形態では、食品を調製する方法は、(c)苦味物質を添加することをさらに含む。一部の実施形態では、苦味物質は、KClまたは乳酸カリウムなどのカリウム塩である。具体的な実施形態では、カリウム塩はKClである。一部の実施形態では、苦味物質は、ソホロ脂質の前に加えられる。他の実施形態では、苦味物質は、ソホロ脂質の後に加えられる。一部の実施形態では、ソホロ脂質は、苦味物質と一緒に加えられる。一部の実施形態では、ソホロ脂質は、苦味物質と一緒にされて、次に、食材または食品と一緒にされる。他の実施形態では、ソホロ脂質の化合物は、食材または食品と、次に、苦味物質と、逐次、一緒にされる。さらに他の実施形態では、ソホロ脂質の化合物は、苦味物質と食材または食品との混合物と一緒にされる。
【0169】
一部の実施形態では、ソホロ脂質、および、存在する場合苦味物質は、食材と混合される。他の実施形態では、ソホロ脂質、および、存在する場合苦味物質は、食材の上に噴霧されるか、または食材をコーティングする。一部の実施形態では、ソホロ脂質は、炭水化物もしくは塩の上に置かれる、塩もしくは炭水化物の上で封入される(噴霧乾燥)、またはカリウム塩と共結晶化させて、「トッピング」塩を生成する。
【0170】
一部の実施形態では、苦味物質は苦味塩である。一部の実施形態では、苦味物質は、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩である。一部の実施形態では、苦味物質はカリウム塩である。一部の実施形態では、苦味物質はKClである。他の実施形態では、苦味物質は乳酸カリウムである。
【0171】
一部の実施形態では、食品はナトリウム塩をさらに含む。一部の実施形態では、食品はNaClをさらに含む。他の実施形態では、食品は、乳酸ナトリウムをさらに含む。さらなる実施形態では、食品は、糖をさらに含む。
【0172】
一部の実施形態では、食品を調製する方法は、保存剤、栄養素、風味剤、または本来の風味がないことがある風味改変剤からなる群から選択される、1つまたは複数の追加構成成分を添加することをさらに含む。
【0173】
医薬組成物を調製する方法:別の態様によれば、本発明は、食用組成物を調製する方法であって、該食用組成物が医薬組成物である、方法を提供する。前記方法は、(a)薬学的活性成分を用意すること、および(b)本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を薬学的活性成分に添加することを含む。一部の実施形態では、ソホロ脂質は、ソホロ脂質を含む食用組成物の形態で添加される。
【0174】
一部の実施形態では、薬学的活性成分は、本来、苦い。このような実施形態では、薬学的活性成分は、苦味物質を本来含有していることがある。一部の実施形態では、本来の苦味物質は苦味塩である。一部の実施形態では、本来の苦味物質は、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩である。一部の実施形態では、本来の苦味物質はカリウム塩である。
【0175】
一部の実施形態では、医薬組成物を調製する方法は、苦味物質を添加することをさらに含む。一部の実施形態では、苦味物質はカリウム塩である。一部の実施形態では、カリウム塩は、KClまたは乳酸カリウムである。具体的な実施形態では、カリウム塩はKClである。一部の実施形態では、苦味物質は、ソホロ脂質の前に加えられる。他の実施形態では、苦味物質は、ソホロ脂質の後に加えられる。一部の実施形態では、苦味物質は、ソホロ脂質と一緒に加えられる。一部の実施形態では、ソホロ脂質は、苦味物質と一緒にされて、次に、薬学的活性成分と一緒にされる。他の実施形態では、ソホロ脂質は、薬学的活性成分と、次に、苦味物質と逐次、一緒にされる。さらに他の実施形態では、ソホロ脂質は、苦味物質と薬学的活性成分との混合物と一緒にされる。
【0176】
一部の実施形態では、ソホロ脂質、および、存在する場合苦味物質は、薬学的活性成分と混合される。他の実施形態では、ソホロ脂質、および、存在する場合苦味物質は、医薬組成物の上に噴霧されるか、または医薬組成物をコーティングする。一部の実施形態では、ソホロ脂質は、薬学的活性成分と一緒に封入される。一部の実施形態では、ソホロ脂質は、放出速度が、苦味物質の放出速度に対して調節されるような形態にあり、苦味物質が、一部の実施形態では、薬学的活性成分である。
【0177】
一部の実施形態では、苦味物質は苦味塩である。一部の実施形態では、苦味物質は、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩である。一部の実施形態では、苦味物質はカリウム塩である。一部の実施形態では、苦味物質はKClである。他の実施形態では、苦味物質は乳酸カリウムである。
【0178】
一部の実施形態では、医薬組成物はナトリウム塩をさらに含む。一部の実施形態では、医薬組成物はNaClをさらに含む。他の実施形態では、医薬組成物は、乳酸ナトリウムをさらに含む。さらなる実施形態では、医薬組成物は、糖をさらに含む。
【0179】
一部の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。これらの組成物中で使用することができる薬学的に許容される担体には、以下に限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(ヒト血清アルブミンなど)、緩衝物質(リン酸塩など)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸塩の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩など)、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれる。
【0180】
一部の実施形態では、医薬組成物を調製する方法は、保存剤、栄養素、風味剤、または本来の風味がないことがある風味改変剤からなる群から選択される、1つまたは複数の追加構成成分を添加することをさらに含む。
【0181】
対象における苦味の知覚を軽減する、またはなくす方法:別の態様によれば、本発明は、対象における苦味の知覚を軽減する、またはなくす方法を提供する。前記方法は、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む食用組成物の使用を含む。
【0182】
前記方法は、食材、食品、医薬組成物または消費者製品を含めた、食用組成物中の苦味を軽減する、またはなくすために使用することができる。食用組成物は、どのような形態であってもよい。一部の実施形態では、組成物は、例えば、ガム、ロゼンジ剤、ソース、調味料、肉類のマトリックス、肉類のスラリー、ペースト、懸濁液、スプレッド、コーティング剤、液体、ゲル、エマルション、顆粒または香味料の形態にある。
【0183】
一部の実施形態では、食用組成物は、例えば、口腔内での配置により、または摂取により利用される。一部の実施形態では、食用組成物は、苦い食材、食品、医薬組成物または消費者製品の前に、口腔内に配置されるか、または摂取される。一部の実施形態では、食用組成物は、個別の食用組成物として、または苦い食材、食品、医薬組成物もしくは消費者製品中に取り込ませることによって、苦い食材、食品、医薬組成物または消費者製品と同時に口腔内に配置されるか、あるいは摂取される。一部の実施形態では、食用組成物は、苦い食材、食品、医薬組成物または消費者製品の後に、口腔内に配置されるか、または摂取される。例えば、発明の化合物は、食品の苦味を軽減するため、食材または食品と一緒にすることができる。あるいは、ソホロ脂質は、例えば、苦い食材、食品、医薬組成物または消費者製品に曝露した後に使用するため(例えば、苦い後味を軽減する、またはなくすため)、ロゼンジ剤またはガムで使用することができる。
【0184】
食用組成物中の苦味を軽減する方法:別の実施形態によれば、本発明は、食用組成物における苦味を軽減する方法を提供する。一部の実施形態では、食用組成物は食品である。一部の実施形態では、食用組成物は、医薬組成物である。一部の実施形態では、食用組成物は消費者製品である。
【0185】
一実施形態では、前記方法は、苦味が軽減されるよう、有効量の本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を食用組成物に添加することを含む。
【0186】
代替的な実施形態では、前記方法は、苦味が軽減されるよう、食用組成物の前に、それと一緒に、またはその後に、有効量の本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を摂取することを含む。
【0187】
一部の実施形態では、苦味物質は苦味塩である。一部の実施形態では、苦味物質は、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩である。一部の実施形態では、苦味物質はカリウム塩である。一部の実施形態では、苦味物質はKClである。他の実施形態では、苦味物質は乳酸カリウムである。一部の実施形態では、苦味物質は、本来苦い食材中などの食用組成物中に、本来、存在するものである。
【0188】
一部の実施形態では、苦味は、最大1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%軽減される。これらの量は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。一部の実施形態では、苦味は、最大25%軽減される。他の実施形態では、苦味は、最大50%軽減される。他の実施形態では、苦味は、最大75%軽減される。他の実施形態では、苦味は、最大100%軽減される。これらの量は、限定を意図するものではなく、列挙されている割合間の増加量が、本発明の一部として具体的に想定されている。
【0189】
一部の実施形態では、食用組成物中の苦味物質に起因する苦味を軽減する方法は、保存剤、栄養素、風味剤または風味改変剤(本来の風味がない)からなる群から選択される、1つまたは複数の追加構成成分を添加することをさらに含む。
【0190】
苦味受容体を阻害する方法:別の実施形態によれば、本発明は、苦味受容体の活性化および/もしくはシグナル伝達を阻止する、または低減する方法を提供する。一部の実施形態では、前記方法は、苦味受容体を本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質に接触させることを含む。一部の実施形態では、前記方法は、苦味受容体を本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質に接触させることを含む。
【0191】
一部の実施形態では、前記方法は、苦味受容体を、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む食用組成物に接触させることを含む。
【0192】
一部の実施形態では、食用組成物は食品である。一部の実施形態では、食用組成物は、医薬組成物である。一部の実施形態では、食用組成物は消費者製品である。
【0193】
一部の実施形態では、苦味受容体は、例えば、アッセイ中に存在する、エクスビボの受容体である。一部の実施形態では、苦味受容体は、例えば、アッセイ中に存在する、インビトロの受容体である。他の実施形態では、苦味受容体は、対象中に存在する、インビボの受容体である。一部の実施形態では、苦味受容体は、対象の口腔または胃腸管に存在する。一部の実施形態では、苦味受容体はヒトの口腔に存在する。一部の実施形態では、苦味受容体は非ヒト動物の口腔に存在する。一部の実施形態では、苦味受容体は動物モデルの口腔に存在する。
【0194】
一部の実施形態では、苦味受容体の阻害は、生理学的過程または状態に影響を及ぼすであろう。苦味受容体の阻害によって影響を受ける生理学的過程および状態の非限定例には、苦味、高血圧、吐き気、嘔吐、胃腸管に及ぼす影響、食欲、栄養、栄養素吸収、満腹感、飢え、糖尿病、肥満、血糖レベル、血糖調節、代謝、食事および摂食障害が含まれる。
【0195】
食用組成物または食品中の糖の量を低減する方法:別の実施形態によれば、本発明は、食用組成物における糖の量を低減する方法を提供する。一部の実施形態では、前記方法は、食用組成物の調製に使用される糖の量を、ある量の本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質に置き換えることを含む。
【0196】
一部の実施形態では、食用組成物は食品である。一部の実施形態では、食用組成物は、医薬組成物である。一部の実施形態では、食用組成物は消費者製品である。
【0197】
対象の糖摂取量を低減する方法:別の実施形態によれば、本発明は、対象の糖摂取量を低減する方法を提供する。一部の実施形態では、前記方法は、対象に本発明の食用組成物を供給するステップであって、該食用組成物中の糖のすべてまたは一部を、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質により置き換え、該食用組成物が、本明細書に開示されている少なくとも1種のソホロ脂質を含む、ステップを含む。一部の実施形態では、食用組成物は食品である。一部の実施形態では、食用組成物は、医薬組成物である。一部の実施形態では、食用組成物は消費者製品である。
【0198】
以下の実施例は、本発明をさらに例示することを意図しているに過ぎず、特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0199】
化学物質、生化学質および生物物質:Candida bombicolaATCC22214は、American Type Culture Collection(Manassas、VA)から購入し、低温保存剤として、15%(v/v)グリセロールを補給したルリア−ベルターニ(LB)ブロス(1%トリプトン、0.5%NaCl、0.5%酵母抽出物)中、−80℃で保管した。グルコース、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸およびウレアはすべて、Sigma Chemical Company(St.Louis、MO)から購入した。バクト−トリプトンおよびバクト酵母抽出物(LBブロスおよびカンジダ成長培地(CGM)の構成成分)は、Becton Dickinson(Sparks、MD)から購入した。酢酸エチルおよびヘキサン(どちらもHPLCグレード)は、Burdick&Jackson(Muskegon、MI)から購入した。
【0200】
18/C16ソホロ脂質の生成および特性決定。発酵:ソホロ脂質は、グルコース、およびパルチミン酸、オレイン酸またはステアリン酸のいずれかで成長させた、C.bombicolaATCC22214から、10Lの卓上規模で生成させた。基本CGM(10%グルコース、1%酵母抽出物、0.1%ウレア)を調製して、オートクレーブにより滅菌し、温度を26℃に平衡化した。脂質の共基質として脂肪酸を、不溶性固体(パルミチン酸、ステアリン酸)または非混和性液体(オレイン酸)として、2重量%の最終濃度でCGMに加えた。50mLの凍結した接種用培養物を解凍し、これを使用して各発酵物に接種した。発酵は、26℃の温度、700rpmに設定した撹拌速度、2L空気/分である空気−流速、およびpH制御なしで行った。2日後、追加の乾燥グルコース7.5%(w/v)および脂肪酸2%(w/v)を発酵物に加え、この発酵を5日間、続け、この時点で脂肪酸0.5%(w/v)を加えた。次に、この発酵をさらに2日間、継続した(合計で、発酵期間は7日間であった)。
【0201】
生成物の回収:ソホロ脂質の単離および回収は、培養物全部を凍結乾燥して、約2日間、乾固することにより行った。乾燥済み残留物を分割し、3個の6Lのエルレンマイヤーフラスコに入れた。各フラクションを室温で2日間、過剰の酢酸エチルにより抽出した。Whatmanの2番フィルター紙により抽出物をろ過して、不溶性物質(例えば、残留酵母細胞)を除去した。残りの固体を酢酸エチルによりさらに2回、洗浄し、回収量を最大にした。酢酸エチルのフラクションを合わせて、溶媒蒸発により濃縮し、1Lとなる一定分量のヘキサンに沈殿させて、純粋なSLを得た。この純粋なSLは、ろ過によりヘキサンから回収し(上記)、デシケータ中で真空乾燥すると、白色からオフホワイトに着色した微細粉末を得た。収量は、重量測定法により決定した。
【0202】
生成物分析:SL含有量は、以前に記載されている(Nunezら、2001年)通り決定した。SL混合物は、直列に接続した、5cm×2.1mmおよび15cm×2.1mmのSymmetry C18 3.5μmカラムを使用して、Waters2690Separation Module(Waters Company)を用いるHPLCにより分離した。使用される直線グラジエント溶出は、以下の通りとした:水:アセトニトリル(0.5%ギ酸):アセトニトリル(50:10:40)、5分間保持;25分間かけて、水:アセトニトリル(0.5%ギ酸):アセトニトリル(40:10:50)となる最終組成物まで;全操作時間は50分間。流速は、0.25mL/分とした。流出液は、1スキャンあたり2秒でm/z200からm/z1000までのスキャンまで、ポジティブモードに設定した、APCIプローブ(Waters)を備えたMicromass ZMD質量分析計につなげた。フラグメントおよび分子イオン([M])の検出には、コロナピン電圧を3.8kV、試料コーンを20V、および抽出コーンを2Vにした。
【0203】
インビトロでの細胞をベースとする甘味特性のアッセイ。ヒト味覚茸状乳頭細胞(HBO細胞)の培養物の定着および維持:本発明者らは、所有権を有するプロトコルを既に確立しており(Ozdener, H.ら, Chem. Senses, 31(3): 279-90 (2006);Ozdener, M.H.ら, Chem. Senses, 36(7): 601-12 (2011);Ozdener, H.ら, Isolation and culture of human fungiform taste papillae cells, J. Vis. Exp., 2012 May 17;(63):e3730)、このプロトコルにより、本発明者らは、1年を超えて、その生理学的特徴および分子特徴を保持したヒト味覚茸状乳頭細胞の培養を可能にした。本発明者らは、HBO細胞は、インビボで味蕾の組成に非常によく似ていることを以前に実証した。HBO細胞は、不均質であり、基本的な味の質(苦味、甘味、塩味、酸味、うま味)に応答するようになった味覚受容体細胞を含む。
【0204】
本発明者らが公開したプロトコル(Ozdenerら. 2006、Ozdenerら. 2011)に従い、ヒト味覚茸状乳頭細胞を培養した。ヒト味覚茸状乳頭を除去し、直ちに、単離溶液に入れて、酵素消化した。次に、消化された茸状乳頭を外科用はさみによりやさしく刻み、1型コラーゲンがコーティングされたカバーガラスに播種し、5%COを含有する加湿環境中、36℃でインキュベートした。味覚茸状乳頭細胞を、10%ウシ胎児血清、1:5の比のMCDB(Molecular,Cellular,and Developmental Biology)153培地および抗生物質のトリプルカクテル(100U/mL/100μg/mLのペニシリン/ストレプトマイシンおよび0.5μg/mLのフンギゾン)を含有するイスコフ改変ダルベッコ培地中で培養した。培養培地を5〜7日毎に、3分の1を新しい培養培地に置き換えた。ヒト味覚茸状乳頭細胞は、急性単離した味覚細胞の生存率を損なわず、かつその分子的および生化学的性質を保持して、1年を超える期間、培養物中で維持された(Ozdenerら, 2011)。
【0205】
カルシウムイメージング:3〜4日間、ガラス製のカバーガラスで成長させた培養済み味覚細胞を、1mM Fura−2 AM(Molecular Probes Inc.、Eugene、OR)および10mg/ml Pluronic(登録商標)F127(Molecular Probes Inc.)を補給したリンゲル溶液(145mM NaCl、5mM KCl、1mM MgCl、1mM CaCl、1mMピルベートNa、20mM Hepes−Naおよびセロビオース15mM、pH7.2、モル浸透圧濃度を5M NaClにより、300〜310に調整した)中でこの細胞をインキュベートすることにより、30〜60分間、カルシウム感受性色素fura−2をロードした。次に、カバーグラスは、読取りチャンバに置き、リンゲル溶液の表面潅流により、連続して浴に浸けた。刺激物をリンゲル溶液に溶解し、次に、必要な場合、pHおよび浸透圧モル濃度を再調整した。細胞を、甘味(スクロース2%、スクラロース(1mM))、苦味混合物(PTC(フェニルチオカルバミド)2mM+サリシン5mM+デナトニウム2mM)、グアイフェネシン(GF、3mM)およびアセトアミノフェン(APAP、3mM)および様々なソホロ脂質の刺激物:ソホロース、ソホロ脂質(パルミチン酸)、ソホロ脂質(ステアリン酸)、ソホロ脂質(オレイン酸)に曝露した。化学的刺激物は、表面潅流を刺激溶液に切り替えることにより、カバーガラスに適用し、これにより、チャンバ内の浴溶液を10秒以内に完全に変更することができた。カルシウムイメージングの読取りは、標準イメージング技法を使用して行った(Rawson, N.Eら, J. Neurophysiology, 77(3): 1606-1613 (1997))。照射は、顕微鏡に接続したMetamorphソフトウェア(Molecular Devices)モノクロメータによった。細胞に、340nm、次に380nmの狭いバンドパスフィルターで交互にフィルターをかけた、75Wのキセノンランプにより発光した光を照射した。200Xの倍率の顕微鏡下で、細胞中のfura−2から発光された光を510nmのフィルターにかけて、冷却したCCDカメラ(Olympix、Perkin Elmer Life Sciences、Bethesda MD)に接続したイメージインテンシファイアに通した。曝露時間を最小化し、取得している間、光を遮断して、光退色を最小限にした。細胞は、色素漂白の目視可能な影響なしに、2時間にわたり、読取り設定において目視可能であり続けた。刺激物をリンゲル緩衝液に希釈し、重力流により、刺激物に応じて10〜60秒間、表面潅流装置に適用した。
【0206】
ソホロ脂質およびソホロースの甘味効力の決定:本発明者らは、ヒト味覚細胞培養物を利用して、スクラロースおよびソホロ脂質およびソホロースによって誘導される用量関連応答頻度を決定した。ソホロ脂質の甘味効力を試験するため、本発明者らは、標準品甘味分子として、最も一般に用いられている人工甘味剤であるスクラロース(Splenda(登録商標))を試験した。スクラロース(5mM)から得られた結果を、培養物の味覚細胞に誘導されたソホロ脂質の応答頻度と比較した。調整した結果を、濃度対応答頻度に基づいて最適化した。
【0207】
甘味特性および苦味マスキングアッセイのマウスモデル。鼓索(CT)全神経の読取り:動物を含めたプロトコルはすべて、実験前に、Institutional Animal Care and Use Committees at the Monell Centerにより承認を受けた。研究は、以下の2つの株に由来するマウスを用いて行った:野生型Tas1r3アレルを有するC57BL/6J同系交配株(B6;Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME)を対照として使用し、C57BL/6J−Tas1r3tm1Rfm「遺伝子ノックアウト」株(T1R3−KO)は、全T1R3コード領域を欠いており、T1R3タンパク質がなかった(Damak, S.ら, Science, 301: 850-853 (2003))。味覚細胞からの求心性シグナルは、3つの主要な味覚神経:鼓索神経、舌咽神経および大浅錐体神経により脳に中継される。周辺味覚入力に及ぼすTas1r3遺伝子型の作用を直接、試験するため、本発明者らは、味覚刺激物の舌への適用に対する、鼓索神経の応答を試験した。以下の理由のために、この研究に鼓索神経を選択した。第1に、マウスでは、鼓索神経は、sucrose−best繊維の割合が高く(Ninomiya, Y.およびM. Funakoshi, Comp. Biochem. Physiol., 92: 371-376, 1989 (1989))、甘味剤による味覚刺激に確実に応答する(Damakら. 2003; Danilova, V.およびG. Hellekant, BMC Neurosci., 4: 5 (2003);Inoue, M.ら, Chem. Senses, 26: 915-923 (2001);Ninomiya, Y.ら, Neurosci. Lett., 163: 197-200 (1993);Shingai ,T.およびL.M. Beidler, Brain Res., 335: 245-249 (1985))。第2に、Tas1r3遺伝子は、舌の前部を含めた、口腔全体の味覚細胞において発現され(Kitagawa, M.ら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 283: 236-242 (2001);Max, M.ら, Nat. Genet., 28: 58-63 (2001);Montmayeur, J,P.ら, Nat. Neurosci., 4: 492-498 (2001);Nelson, G.ら, Cell, 106: 381-390 (2001);Reed, D.R.ら, J. Neurosci., 24: 938-946 (2004);Sainz, E.ら, J. Neurochem., 77: 896-903 (2001))、これは、鼓索神経により支配されている。したがって、本発明者らは、Tas1r3遺伝子の欠失が、甘味剤への鼓索神経応答に影響を及ぼすと予期した。
【0208】
手順:マウスをナトリウムペントバルビタールで麻酔をかけた(体重1kg当たり50〜60mg、腹腔内、必要な場合、さらなる用量を使用)。カニューレを気管に挿入し、外傷を与えないヘッドホルダーに、動物を仰向けに置いた。右側の鼓索神経は、内側翼突筋を除去することによって、舌神経からのその出口で曝露させた。次に、鼓索神経を切開して周辺組織から自由にし、胞へのその進入点で切除した。全鼓索神経を白金ワイヤ電極に置き、鉱物油数滴を創傷部位に置き、神経の乾燥を防止した。不関電極を近くの筋組織に置いた。舌の化学刺激に起因する神経応答を増幅器に供給し(Grass Instruments、West Warwick、RI)、オシロスコープおよびオーディオモニターでモニタリングした。全神経応答は、1.0秒の一定時間で統合し、PowerLabシステム(PowerLab/sp4;AD Instruments、Colorado Springs、CO)を使用して、後の分析のために、コンピューターを使用して記録した。茸状味覚乳頭の化学刺激に関しては、動物の舌の前方半分をフローチャンバに入れた。室温(22℃)の溶液を0.5ml/秒の速度で、重量流によりフローチャンバに30秒間、送液した。味覚刺激の間、舌は、脱イオン水で少なくとも1分間、洗浄した。参照刺激物として働くよう、記録している間ずっと、100mMの塩化アンモニウム(NHCl)を頻繁に供給した。
【0209】
各刺激に対する神経応答を解析するため、刺激発生後の5、10、15、20および25秒時における統合した応答の大きさを測定して平均した。各味覚の刺激に対する統合した応答の大きさを、100mM NHClに対する応答の割合として表した(味覚刺激の記録前と記録後に適用して平均した)。
【0210】
結果および議論。ソホロ脂質の生成および特性決定:発酵中に、培養ブロスに様々な脂肪酸を加えたときに、構造が様々なソホロ脂質を、C.bombicolaにより生成された(Ashbyら、2008年)。パルミチン酸(16炭素鎖主鎖を有する脂肪酸)の添加により、LC−MSにより決定すると、疎水性部分が16炭素脂肪酸単位(C16−SL)からなるソホロ脂質が合成された(図2)。同様に、ステアリン酸(18炭素鎖)またはオレイン酸(18炭素鎖であるが、1つの不飽和結合、すなわち二重結合を含有する)の添加により、LC−MS分析により決定すると、疎水性部分として、それぞれ0(C18−SL)および1つ(C18:1)の二重結合を含有する18炭素鎖を有するソホロ脂質が得られた。単離した物質の体積収量は、それぞれ、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLについて、42g/l、77g/lおよび98g/lであった(Ashbyら、2008年)。ここから、C16−SLは、16炭素鎖脂肪酸単位を含有するソホロ脂質を指し、パルミチン酸を使用して生成されたこと、C18−SLは、18炭素鎖脂肪酸単位を含有し、ステアリン酸を使用して生成されること、およびC18:1−SLは、不飽和結合を1つ有する18炭素鎖脂肪酸単位を含有し、オレイン酸を使用して生成されることに留意すべきである。
【0211】
インビトロおよびインビボアッセイにおけるソホロ脂質の甘味特性の評価:本発明者らは、培養したHBO細胞を使用して、ソホロ脂質(すなわち、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SL)およびソホロース(すなわち、二糖類のみ)の味覚特性を試験した。ソホロ脂質が、甘味および/または他の味覚特徴(例えば、苦味)を有するかどうか判定するため、本発明者らは、ソホロ脂質に応答した細胞と、他の味覚様式に応答した細胞との間の関係を決定するため、ソホロ脂質と共に、十分に特性決定されている味覚特性(天然および人工の甘味剤および苦味)を有する分子を適用した。本発明者らは、ソホロースおよびソホロ脂質応答性細胞は、甘味刺激に応答することがやはり見いだされたことを実証した(図8A)。本発明者らは、大多数のソホロースおよびソホロ脂質応答性細胞が、ラクチゾールに感受性であることをさらに示し、このことは、ソホロ脂質は、T1R3と呼ばれる味覚受容体を利用しており、したがって、その特異的遮断剤(すなわち、ラクチゾール)が、ソホロ脂質の作用を抑制していることを意味する(図4)。したがって、ソホロースおよびソホロ脂質による甘味応答性細胞の活性化は、T1R3味覚受容体により媒介されたと結論づけた。
【0212】
インビボでのソホロースおよびソホロ脂質味覚検知に対するT1R3の機能および寄与を解明するため、本発明者らは、ノックアウト(T1R3(/−))マウスを使用した。味覚神経(鼓索神経)の記録により、T1R3(/−)マウスは、鼓索神経において、ソホロースおよびソホロ脂質誘発性相乗作用の深刻な欠損があることを示すことが実証された(図6A)。比較では、野生型マウスは、ソホロ脂質(図6B)に対して正に応答した(図6B)。これらのデータは、図7にまとめられている。動物研究により、ソホロースおよびソホロ脂質は、味覚細胞のT1R3受容体と相互作用することにより作用することが確認された。
【0213】
本発明者らはまた、培養したヒト味覚を使用して、ソホロースおよびソホロ脂質に対する細胞応答と、周知の甘味刺激物であるスクラロースに対する同一細胞の応答とを比較することによりソホロースおよびソホロ脂質の効力を試験した(図8A)。本発明者らは、この実験における応答を引き起こしたソホロ脂質の濃度が、驚くほど非常に低い(マイクロモル濃度レベル)ことを見いだし、ソホロ脂質およびソホロースの効力は、他の刺激物に匹敵したことを示している。スクラロースは、スクロースより約600倍、甘い。本発明者らの結果により、ソホロ脂質は、スクラロースおよびソホロースとそれぞれ比較すると、驚くべきことに、少なくとも約2000倍および250倍、甘いことが実証された(表1)。
【0214】
ソホロ脂質の苦味マスキング特性:しかし、少数のソホロースおよびソホロ脂質応答性細胞は、苦味刺激物に応答することがやはり見いだされた(図8B)。本発明者らは、ラクチゾール非感受性細胞は、苦味応答性細胞と重なり得ることを観察し、本発明者らは、ラクチゾール非感受性細胞の大部分が、苦味に応答することもやはり見いだされたことを認識した(図9)。
【0215】
ヒトが消費する医薬および他の分子の苦味は、健康産業および医薬品産業に対する主要な課題である。カルシウムイメージング技法を使用して、本発明者らは、培養したヒト味覚細胞において、苦味混合物の適用前にソホロ脂質を適用すると、苦味混合物への応答が驚くべきことになくなることを実証し、ソホロ脂質は苦味の遮断特性がある(図10A)一方、苦味混合物をソホロ脂質の前に適用した場合、細胞は苦味混合物に応答したことを示している(図10B)。ソホロ脂質の同様の作用が、別の苦味刺激物、すなわち苦味のある経口医薬であるアセトアミノフェン(APAP)とグアイフェネシン(GF)との混合物の場合に驚くべきことに観察された。培養したヒト味覚細胞において、ソホロ脂質の適用前にAPAP+GF混合物を最初に適用すると、細胞内カルシウム応答が誘発された。驚くべきことに、ソホロ脂質の適用後に適用されたAPAP+GF混合物への応答はかなり低減され(図11)、ソホロ脂質は苦味遮断特性があることがやはり示された。インビボでの苦味応答に及ぼすソホロ脂質の作用を調査するため、本発明者らは、麻酔をかけた野生型マウスの味覚神経(鼓索神経)における応答を測定した(図12)。ソホロ脂質適用後のデナトニウム(30mM)の経口適用に対する神経応答は、ソホロ脂質適用前よりも、かなり低いものであった。苦味応答の大幅な低下により、インビボで、ソホロ脂質は苦味遮断特性があることは驚くべきことに示された。
【0216】
本明細書において引用されている参照文献は、米国特許を含め、すべて、それらの全体が参照により組み込まれる。同様に、以下の米国特許第8,865,779号、同第8,992,892号、同第9,040,089号、同第8,986,735号、同第8,445,692号、同第8,895,051号、同第4,305,961号の全体が参照により組み込まれる。同様に、米国特許出願公開第2015/0,237,900号は、その全体が参照により組み込まれる。同様に、以下は、それらの全体が参照により組み込まれる:Baiano, A., Molecules, 19(9): 14821-42 (2014);Bhise, K.ら, AAPS PharmSciTech., 9(2): 557-562 (2008);Cardoso, J.M.P.およびH.M.A. Bolini, J. Sensory Studies, 23: 804-816 (2008);Chan, P.ら, Br. J. Clin. Pharmacol., 50: 215-20 (2000);Hu, F.B.および.M. Vasanti, Physiol. Behav., 100(1): 47-54 (2010);Grembecka, M., Rocz. Panstw. Zakl. Hig., 66(3): 195-202 (2015);Jaber, L.ら, PLoS ONE, 9(11): e112152 (2014); Karaman, R., Drug Des., 2: e116 (2013);Kinnamon, S.C., Acta Physiol. (Oxf)., 204(2): 158-68 (2012);Kobayashi, Y.ら, Lett. Appl. Microbiol., 60(5): 475-80 (2015);Ladriere, L.ら, Eur. J. Pharmacol., 344(1): 87-93 (1998);Laffitte, A.ら, Functional roles of the sweet taste receptor in oral and extraoral tissues, Curr. Opin. Clin. Nutr. Metab. Care, 2014;Lemus-Mondaca, R.ら, Food Chem., 132: 1121-1132 (2012);Lindley, M.G., Natural High-Potency Sweeteners, in Sweeteners and Sugar Alternatives IN Food Technology, Second Edition (eds K. O'DonnellおよびM.W. Kearsley), Wiley-Blackwell, Oxford, UK, 2012, doi: 10.1002/9781118373941.ch9; Ozdener, M.H.およびN.E. Rawson, Methods Mol. Biol., 945: 95-107 (2013); Philippe, R.N.ら, Curr. Opin. Biotechnol., 26: 155-61 (2014); Riva, S.ら, Ann. N.Y. Acad. Sci., 864: 70-80 (1998); Riva, S., J. Molec. Cat. B: Enzymatic, Volumes 19-20, 2 December 2002, Pages 43-54; Sclafani, A.ら, Chem. Senses, 35: 433 864: 70-80 (1998); Rivおよび L.M. Beidler, Brain Res., 335: 245-249 (1985); Tandel, K.R., J. Pharmacol. Pharmacother., 2(4): 236-43 (2011)。
【0217】
したがって、上記を鑑みると、以下が(一部)記載される:
【0218】
C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される少なくとも1種のソホロ脂質および場合により担体を含む組成物であって、食用である、組成物。上記の組成物は、苦味物質をさらに含む。前記担体が、食品、消費者製品および医薬組成物からなる群から選択される、上記の組成物。
【0219】
苦味物質および少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SL、C18:1−SLからなる群から選択される)、ならびに場合により担体を含む組成物であって、食用であり、ソホロ脂質を含まない組成物と比べて、前記苦味物質の苦味が軽減されている、組成物。前記苦味物質が、食品、消費者製品および医薬組成物からなる群から選択される、上記の組成物。前記担体が、食品、消費者製品および医薬組成物からなる群から選択される、上記の組成物。
【0220】
請求項1に記載の上記組成物および場合により苦味物質を含む、医薬組成物。
【0221】
苦味のある薬学的活性成分および少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)、ならびに場合により担体を含む、医薬組成物。
【0222】
薬学的活性成分、苦味物質、少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)、および場合により担体を含む、医薬組成物。
【0223】
上記組成物および場合により苦味物質を含む、消費者製品。
【0224】
苦味のある成分および少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)、ならびに場合により担体を含む、消費者製品。
【0225】
上記組成物および場合により苦味物質を含む、食品。
【0226】
苦味のある成分および少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)、ならびに場合により担体を含む、食品。
【0227】
苦味物質による苦味を阻害または軽減する方法であって、対象の口腔に上記組成物を配置することを含む、方法。
【0228】
食用組成物中の苦味物質に起因する苦味を軽減する方法であって、苦味物質により誘導される苦味が軽減されるよう、前記食用組成物に、有効量の少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)および場合により担体を添加することを含む、方法。
【0229】
対象において苦味を阻害する、軽減する、またはなくす方法であって、対象の口腔に、有効量の少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)および場合により担体を配置することを含む、方法。
【0230】
苦味受容体を阻害する方法であって、苦味受容体を有効量の少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)および場合により担体の組成物に接触させることを含む、方法。
【0231】
食用組成物中の糖の量を低減する方法であって、食用組成物の調製に使用されるある量の糖を、有効量の少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)および場合により担体により置き換え、これにより食用組成物中の糖を低減することを含む、方法。
【0232】
対象の糖摂取量を低減する方法であって、食用組成物の調製に使用されるある量の糖を、有効量の少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)および場合により担体により置き換え、これにより対象の糖摂取量を低減することを含む、方法。
【0233】
(I)少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)および場合により担体、ならびに(II)苦味のある物質を含む組成物であって、少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)の総量が、苦味のある物質の不快な味を軽減および/またはマスクするのに十分である、組成物。
【0234】
苦味のある物質の苦味を軽減および/またはマスキングする方法であって、(I)少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)および場合により担体、ならびに(III)苦味のある物質を混合することを含み、少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)の総量が、苦味のある物質の不快な味を軽減および/またはマスクするのに十分である、方法。
【0235】
少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)および場合により担体を含む、味覚のマスクされている液体医薬組成物。
【0236】
苦味を軽減または緩和する方法であって、組成物に伴う苦味を緩和または軽減するために有効な濃度で、ヒトまたは動物により摂取するための組成物に、少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)および場合により担体を添加することを含む、方法。
【0237】
液体または固体医薬組成物の着香システムであって、着香システムが少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)および場合により担体を含み、液体または固体医薬組成物が医薬活性剤を含み、前記薬剤が、苦味が望ましくないほど高い風味プロファイルを有する、着香系。
【0238】
少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)および場合により担体を含む組成物であって、食用であり、苦味物質の苦味を軽減することが可能な組成物。この組成物は、苦味物質をさらに含む。
【0239】
苦味物質による苦味を阻害または軽減する方法であって、対象の口腔に、少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)および場合により担体を配置することを含む、方法。対象の口腔における苦味の知覚をなくす方法。少なくとも1種のソホロ脂質(例えば、C16−SL、C18−SLおよびC18:1−SLからなる群から選択される)および場合により担体が、苦味物質の摂取の前、それと一緒に、またはその後に、苦味物質の苦味を軽減するのに有効量で摂取される、方法。
【0240】
用語「から本質的になる(consisting essentially of)」は、この方法(または過程)または組成物の所期の活性を実質的に妨げる追加の方法(または、過程)ステップまたは組成物の構成成分を除外し、当業者により容易に決定することができる(例えば、この明細書の考察、または本明細書において開示されている発明の実施から)。例示的に本明細書において開示されている本発明は、好適なことに、本明細書において具体的には開示されていない、任意の要素の非存在下で実施することができる。
【0241】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考察、または本明細書において開示されている発明の実施から、当業者には明白であろう。本明細書および実施例は、例示として見なされるに過ぎず、本発明の真の範囲および趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示されていることが意図されている。
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2018年8月31日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のソホロ脂質および場合により担体を含む、組成物。
【請求項2】
前記担体が、食品、消費者製品および医薬組成物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
苦味物質および少なくとも1種のソホロ脂質、ならびに場合により担体を含む組成物であって、食用であり、前記苦味物質の苦味が軽減される、組成物。
【請求項4】
前記苦味物質が、食品、消費者製品および医薬組成物からなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記担体が、食品、消費者製品および医薬組成物からなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物および場合により苦味物質を含む、医薬組成物。
【請求項7】
苦味のある薬学的活性成分および少なくとも1種のソホロ脂質、ならびに場合により担体を含む、医薬組成物。
【請求項8】
薬学的活性成分、苦味物質、少なくとも1種のソホロ脂質、および場合により担体を含む、医薬組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の組成物および場合により苦味物質を含む、消費者製品。
【請求項10】
苦味のある成分および少なくとも1種のソホロ脂質、ならびに場合により担体を含む、消費者製品。
【請求項11】
請求項1に記載の組成物および場合により苦味物質を含む、食品。
【請求項12】
苦味のある成分および少なくとも1種のソホロ脂質、ならびに場合により担体を含む、食品。
【請求項13】
苦味物質による苦味を阻害または軽減するための組成物であって、食用であり、対象の口腔に配置される、請求項1又は3に記載の組成物
【請求項14】
食用組成物中の苦味物質に起因する苦味を軽減する方法であって、苦味物質により誘導される苦味が軽減されるよう、前記食用組成物に、有効量の少なくとも1種のソホロ脂質および場合により担体を添加することを含む、方法。
【請求項15】
対象において苦味を阻害する、軽減する、またはなくすための組成物であって有効量の少なくとも1種のソホロ脂質および場合により担体を含み、対象の口腔に配置される、組成物
【請求項16】
苦味受容体を阻害する方法であって、インビトロの苦味受容体を、有効量の少なくとも1種のソホロ脂質および場合により担体を含む組成物に接触させることを含む、方法。
【請求項17】
食用組成物中の糖の量を低減する方法であって、食用組成物の調製に使用されるある量の糖を、有効量の少なくとも1種のソホロ脂質および場合により担体に置き換えることを含む、方法。
【請求項18】
対象の糖摂取量を低減する方法であって、食用組成物の調製に使用されるある量の糖を、有効量の少なくとも1種のソホロ脂質および場合により担体に置き換えることを含む、方法。
【国際調査報告】