(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-507692(P2019-507692A)
(43)【公表日】2019年3月22日
(54)【発明の名称】チューブ状ライニングを硬化させるための個々の技術仕様書を備えた機械可読データ・タグを有するチューブ状ライニング
(51)【国際特許分類】
B29C 63/34 20060101AFI20190222BHJP
【FI】
B29C63/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-541188(P2018-541188)
(86)(22)【出願日】2017年2月3日
(85)【翻訳文提出日】2018年9月28日
(86)【国際出願番号】DE2017100080
(87)【国際公開番号】WO2017133735
(87)【国際公開日】20170810
(31)【優先権主張番号】102016102017.6
(32)【優先日】2016年2月4日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】518273873
【氏名又は名称】エスエムエル フェルヴァルツングス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィント、ヘルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ノル、クリスティアン
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AA44
4F211AH43
4F211SA13
4F211SC03
4F211SD04
4F211SP27
4F211SP43
(57)【要約】
本発明は、流体輸送ラインシステムを改修するためのチューブ状ライニングに関する。チューブ状ライニングは、熱的に及び/又は放射線用いて硬化させることができる少なくとも1つの層と、少なくとも1つの機械可読データ・タグとを備える。少なくとも1つのデータ・タグは、チューブ状ライニングの少なくとも1つの個々の技術仕様書を備え、前記仕様書は、特にチューブ状ライニングの硬化プロセスを制御し、調節するための硬化デバイスの、及び/又は特にチューブ状ライニングの引抜きプロセスを制御し又は調節するための引抜きデバイスのパラメータを提供するために、データ処理デバイスによって処理可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体輸送配管システムを改修するためのライニング・チューブであって、少なくとも1つの放射線硬化性層と、少なくとも1つの機械可読データ・タグとを備え、前記少なくとも1つのデータ・タグが、前記ライニング・チューブのための少なくとも1つの所定の非可変の個々の技術仕様書を備え、前記技術仕様書が、前記ライニング・チューブを硬化させる前に及び/又は引き込む前に、前記ライニング・チューブの硬化プロセスを制御し又は調節するための硬化装置及び/又は前記ライニング・チューブを引き込むことを制御し又は調節するための引張デバイスのパラメータを提供するためにデータ処理デバイスによって処理することができる、ライニング・チューブ。
【請求項2】
前記機械可読データ・タグが、クイック・レスポンス・コード(QRコード)タグ、無線周波数識別(RFID)タグ、近距離無線通信(NFC)タグ、及び/又はバーコード・タグであることを特徴とする、請求項1に記載のライニング・チューブ。
【請求項3】
前記データ・タグが、前記ライニング・チューブを硬化させるのに適切な硬化装置、前記ライニング・チューブ中の硬化装置の移動の速度範囲、前記ライニング・チューブ内への前記硬化装置の接近速度、特に前記ライニング・チューブの前記硬化性層の温度、好ましくは樹脂反応温度の関数としての前記硬化装置の出力、前記ライニング・チューブの少なくとも1つの、特にすべての、硬化パラメータ及び/又は特に牽引力制限デバイスの牽引力の制限のための最大引張力の情報のうちの少なくとも1つ及び/又は少なくとも1つの代表を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のライニング・チューブ。
【請求項4】
前記ライニング・チューブが、光化学硬化性樹脂で含浸された硬化性層を備え、その硬化を、特に、351〜800nmの波長範囲で放射エネルギーを用いて活性化することができることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載のライニング・チューブ。
【請求項5】
少なくとも、
a) 少なくとも1つの内側被膜チューブと、
b) 少なくとも1つの硬化性層と、
c) 少なくとも1つの外側層及び/又は外側被膜チューブとの層が含まれ、前記データ・タグ及び/又は前記データ・タグの識別機能が、好ましくは、前記外側層及び/又は前記外側被膜チューブの外側及び/又は前記内側被膜チューブの内側に配設され、したがって、前記データ・タグ及び/又は前記データ・タグの前記識別機能がユーザに見えることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載のライニング・チューブ。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載のライニング・チューブと、前記ライニング・チューブのための硬化装置と、データ処理デバイスと、制御又は調節デバイスと、データ・タグ読取りデバイスと、特に引張デバイスとを備える構成であって、前記制御又は調節デバイスが、前記データ・タグ読取りデバイスを用いて前記データ処理デバイスによって受け取られたデータ・タグのデータに基づいて、改修すべき管内に前記ライニング・チューブを引き込むための引張デバイス及び/又は前記ライニング・チューブの前記硬化性層を硬化させるための前記硬化装置を制御し又は調節するように設計され、構成される、構成。
【請求項7】
ライニング・チューブを硬化させるための方法であって、
a) 少なくとも1つの放射線硬化性層及び少なくとも1つの機械可読データ・タグを備えるライニング・チューブ、特に請求項1から5までのいずれか一項に記載のライニング・チューブを設けるステップであって、前記少なくとも1つのデータ・タグが、前記ライニング・チューブのための少なくとも1つの所定の非可変の個々の技術仕様書を備える、設けるステップ、
b) データ・タグ読取りデバイスを用いて前記少なくとも1つのデータ・タグを読み取り、前記ライニング・チューブを硬化させる前に及び/又は引き込む前に前記読み取ったデータをデータ処理デバイスにおいて処理するステップ、
c) 前記ライニング・チューブのための前記個々の技術仕様書に関する情報を表示デバイス上に表示するステップ及び/又は、
d) 前記データ処理デバイスによって処理された前記データ・タグのデータに基づいて、改修すべき管内に前記ライニング・チューブを引き込むための引張デバイスを制御し又は調節するステップ及び/又は、
e) 前記データ処理デバイスによって処理された前記データ・タグのデータに基づいて前記ライニング・チューブを硬化させるための硬化装置を制御し又は調節するステップを特にこの順序で含む、方法。
【請求項8】
前記ライニング・チューブを硬化させるのに適切な硬化装置、前記ライニング・チューブ中の硬化装置の移動の速度範囲、前記ライニング・チューブ内への前記硬化装置の接近速度、特に前記ライニング・チューブの温度、好ましくは樹脂反応温度の関数としての前記硬化装置の出力、及び/又は前記ライニング・チューブの少なくとも1つの、特にすべての硬化パラメータ及び/又は牽引力制限の牽引力の制限のための最大引張力の情報のうちの少なくとも1つ及び/又は少なくとも1つの代表を前記データ・タグ読取りデバイスを用いて読み取るステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
特にステップb)又はc)による、
f) ユーザによって前記ライニング・チューブのための少なくとも1つの技術仕様書に基づいて前記ライニング・チューブを硬化させるための適切な硬化装置を選択するステップ及び/又は
少なくとも1つの技術仕様書に基づいて前記データ処理デバイスによって前記ライニング・チューブを硬化させるための適切な硬化装置を推奨するステップと、
g) 前記ライニング・チューブ内に前記硬化装置を挿入するステップとを特にこの順序でさらに含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
点火時間、点灯照明器具の数、硬化の開始及び終了時間、前記ライニング・チューブ内の内部空気圧、硬化速度又は前記硬化装置の速度、樹脂反応温度及び/又は少なくとも1つの測定デバイスによって走行された距離を代表する測定値が、前記データ処理デバイスにおいて記録され、処理され、特に保存され、前記測定値が、特に硬化を調節するのに使用されることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
QRコードが、製造すべき前記ライニング・チューブのための少なくとも1つの個々の技術仕様書に基づいて前記ライニング・チューブの製造の前に生成されることを特徴とする、請求項7から10までのいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライニング・チューブを引き込み及び/又は硬化させるための個々の技術仕様書を備えた機械可読データ・タグを有するライニング・チューブに関し、及びライニング・チューブを引き込み及び/又は硬化させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
管及びダクト・システムなどを検査し、維持し、改修するために、しばしば、装置が管内に挿入されて、必要な測定手順及び/又は機械的改修工事を実行する。管の現状を測定するために、装置は、一般に、管の状態を可視化するためのカメラ・システムを備える。
【0003】
欠陥又は損傷が検知された場合、配管システムの関連部分を新たな部分と交換することができる。しかし、これは、一般に非常に費用がかかる。
【0004】
或いは、配管システム、例えば導水管及び同様の配管システムの改修のための方法が、硬化性樹脂で含浸された柔軟な硬化性層をライナーとも呼ばれるライニング・チューブとして使用し、配管システム内に挿入することができる現況技術において知られている。挿入後、ライニング・チューブは膨張され、したがって、ライニング・チューブは配管システムの内壁にぴったりと合う。樹脂はその後硬化される。
【0005】
そのようなライニング・チューブの製造は、例えばWO95/04646に記載されている。周知の方法によれば、例えばスチレン及び/又はアクリル酸エステル中に溶解させることができる不飽和ポリエステル樹脂又はビニール・エステル樹脂は、硬化性樹脂として使用するのに好ましい。これらの不飽和ポリエステル又はビニール・エステルは、例えば、EP−A23623に記載されているように、例えば光開始剤により紫外線を介して、熱的に(通常過酸化物触媒を用いて)又は放射線を用いて硬化させることができる。光開始剤と組み合わせて熱硬化に使用される過酸化物開始剤とのいわゆる組合せ硬化も可能であり、特に大きな壁の厚さを有するライニング・チューブに有利であることが証明されている。そのようないわゆる組合せ硬化のための方法が、例えば、EP−A1262708に記載されている。
【0006】
放射線硬化性ライニング・チューブは、典型的には、光不透過性外側保護被膜と、電磁放射の少なくともある波長範囲まで透過性である内側被膜と、樹脂で含浸され、内側被膜と外側被膜との間に配設された硬化性層とを備える。外側被膜チューブの目的は、含浸に使用された樹脂が硬化性層から漏出し、環境内に流出することを防止することにある。これには、良好な漏れ密閉性と、樹脂含浸処理された硬化性層への外側被膜チューブの取付けとが必要とされる。
【0007】
内側被膜チューブと、硬化性層として樹脂で含浸された繊維バンドと、内面が繊維フリースで被覆された外側チューブとを備えるライニング・チューブは、WO00/73692A1から周知である。
【0008】
それを製造するために、樹脂含浸処理された繊維バンドは、しばしば、ライニング・チューブのインナ・チューブ上にらせん形の及び重なり合うやり方で巻き付けられる。外側チューブは、その後、同様に、樹脂含浸処理された繊維バンドにらせん形の及び重なり合うやり方で巻き付けられる。
【0009】
製造を簡単にするために、インナ・チューブ自体も巻取りマンドレルに巻き付けられる。或いは、例えばWO95/04646では、それ自体巻取りマンドレルとして働くことができる既製の内側被膜チューブの膨張が開示されている。そのような既製の内側被膜チューブは、フィルムストリップから製造され、そのフィルム両端は、内側被膜チューブを形成するために溶着又は接着によって互いに接合される。
【0010】
ライニング・チューブは、硬化させる前に、改修すべき配管システム中に挿入され、通常圧搾空気である流体を用いて膨張される。ライニング・チューブを膨張させるために、ライニング・チューブの一方の開口端は、現況技術による圧搾空気が供給され、ライニング・チューブの対向する開口端は、いわゆるパッカーである閉鎖装置で閉じられる。この閉鎖装置は、中空円筒とカバー要素とを備え、それを用いて、中空円筒を閉じることができる。
【0011】
ライニング・チューブを硬化させるために、放射線源を備える硬化装置が、ライニング・チューブ中に挿入され、移動されて、放射エネルギーを使用してライニング・チューブの硬化性層の硬化を活性化させ又は実行する。ライニング・チューブの完全硬化は、極めて重要であり、すなわち、特定の量の放射エネルギーをライニング・チューブの各点内に導入しなければならない。放射エネルギーの量は、放射線源の出力と速度との関数であり、それにより、前記放射線源がライニング・チューブ中を移動される。
【0012】
現況技術によれば、それぞれライニング・チューブの個々の技術仕様書に基づく様々な要件をライニング・チューブの配置及び硬化のために順守しなければならない。据付け時は、使用している方法が材料に確実に優しいように注意を払わなければならない(例えば、損傷を生じることがある引張力の制限、破片又は堆積物などの事前除去)。
【0013】
引張力の制限は、ウインチにおける牽引力の制限によって確実にされ、最大牽引力は、それぞれのライニング・チューブの技術仕様書からユーザによって手動で取得される。これは、配置時のライニング・チューブへの損傷を防止するのに必要である。
【0014】
ライニング・チューブの硬化性層の十分な硬化を可能にするために、十分な量の活性化エネルギーを提供しなければならない。適切な硬化装置がまずユーザによって選択されなければならず、次いで硬化装置は、手動で又は自動的にライニング・チューブ中を所定の速度及び出力で、及び必要に応じ、前記ライニング・チューブを硬化させるために硬化性層の最小及び最大温度で移動される。
【0015】
例えば硬化装置の接近、硬化装置がライニング・チューブ中を走行する速度、必要な硬化エネルギーなど、硬化自体のために適当なパラメータを選択し、順守しなければならない。とりわけ、これらのパラメータは、ライニング・チューブの直径、壁の厚さ、硬化性層の材料又は構造並びに他の要因の関数である。
【0016】
現況技術の不利点は、様々な異なるライニング・チューブにより、それぞれの場合にユーザによって正しいパラメータを手動で選択しなければならず、硬化を実行するとき順守しなければならず、又は自動硬化では、パラメータをそれに応じて適正に入力しなければならないことである。ライニング・チューブを仕様書に従って引き込み又は硬化させるのを妨げるエラーは、しばしば、現場作業で起き、したがって、管が適正に改修されない。ライニング・チューブによる管の不適正な改修により、さらに改修するための非常に高い費用がもたらされることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】WO95/04646
【特許文献2】EP−A23623
【特許文献3】EP−A1262708
【特許文献4】WO00/73692A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の目的は、現況技術の不利点を克服することにあり、特にライニング・チューブがライニング・チューブの個々の技術仕様書を使用して確実に引き込まれ、硬化されるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、流体輸送配管システムを改修するためのライニング・チューブによって実現され、ライニング・チューブは、少なくとも1つの放射線硬化性層と少なくとも1つの機械可読データ・タグとを備え、少なくとも1つのデータ・タグは、ライニング・チューブのための少なくとも1つの所定の非可変の個々の技術仕様書を備え、技術仕様書は、ライニング・チューブの硬化プロセスを制御し又は調節するための硬化装置及び/又はライニング・チューブを硬化させる前に及び/又は引き込む前にライニング・チューブを引き込むことを制御し又は調節するための引張デバイスのパラメータを提供するためにデータ処理デバイスによって処理することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明によるデータ・タグは、特にクイック・レスポンス・コード(QR:Quick Response Code)(QRコード(登録商標))タグ、無線周波数識別(RFID:Radio−Frequency Identification)タグ、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)タグ及び/又はバーコード・タグである。
【0021】
本発明によるライニング・チューブにより、ユーザがライニング・チューブの技術仕様書と引込み及び硬化のパラメータとを手動で相関させなくてもよいことが可能になり、前記仕様書は、代わりに、単純にデータ・タグを読み取ることによって入力される。これにより、結果としてライニング・チューブを有する管の不適正な改修となる間違った入力が除去される。少なくとも1つの所定の非可変の個々の技術仕様書がすでに製造業者によって提供されていることは、特に有利である。この仕様書は、特に、ユーザによって変更することができない。この仕様書が、硬化プロセス中、変更されないのは有利である。データ・タグがセンサと動作可能に接続されていないことはさらに有利であり得る。データ・タグが少なくとも1つの仕様書を利用可能にするために独占的に使用されることも提供され得る。
【0022】
本発明によるライニング・チューブの他の利点は、セットアップ時間を大幅に短縮できることである。これは、すべての必要な情報が1つの作業ステップで利用可能であることによる。技術仕様書は、ライニング・チューブを自動的に引き込み及び/又は硬化させるのに、又は、特に、前記仕様書を任意のそれぞれの既存の限界値とともにユーザに対して表示デバイス上に表示することによってライニング・チューブを部分的に手動で引き込み及び/又は硬化させるのに使用することができる。
【0023】
データ・タグが、ライニング・チューブを硬化させるのに適切な硬化装置、ライニング・チューブ中の硬化装置の移動の速度範囲、ライニング・チューブ内への硬化装置の接近速度、特にライニング・チューブの硬化性層の温度、好ましくは樹脂反応温度の関数としての硬化装置の出力、ライニング・チューブの少なくとも1つの、特にすべての硬化パラメータ及び/又は特に牽引力制限デバイスの牽引力の制限のための最大引張力の情報のうちの少なくとも1つ及び/又は少なくとも1つの代表を備えることを特に提供することができる。実際のパラメータに加えて、データ・タグは、さらに又は或いは、上限及び/又は下限閾値を有する許容範囲を備えることを特に提供することができる。
【0024】
製造業者の仕様書によるライニング・チューブの引込み及び/又は硬化は、これらのパラメータを活用して可能となり得る。データ・タグが必要な情報を直接又は前記情報の代表を含むことも提供することができる。データ・タグは、例えば、データ処理デバイスによって読み取り、照合することができる一意の識別番号を含むことができ、その結果、すべての情報をデータベースから読み取ることができる。しかし、多くの場合、これは、必要なデータベースが継続的に更新される場合にしか可能でない。この種類の更新は、データ処理デバイスとサーバとの間のデータの交換を必要とし、それにはインターネット接続が必要とされる。したがって、ライニング・チューブの現場への適用では、ライニング・チューブを引き込み及び/又は硬化させるのに必要な情報が、直接データ・タグに保存され、したがってネットワーク接続を不要とさせる場合、有利であり得る。
【0025】
そのようなライニング・チューブは、特に、光化学硬化性樹脂で含浸された硬化性層を有するライニング・チューブであることができ、その硬化は、特に、351〜800nmの波長範囲で放射エネルギーを用いて活性化させることができる。しかし、当業者に周知のすべてのライニング・チューブが、それらが熱的に、放射を用いて又は組合せ硬化により硬化させることができるかどうかにかかわらず、本発明に含まれ、本発明によるデータ・タグが硬化性層の種類にかかわらず有利であることは明らかである。
【0026】
本発明の一実施例によれば、少なくとも、
a) 少なくとも1つの内側被膜チューブと、
b) 少なくとも1つの硬化性層と、
c) 少なくとも1つの外側層及び/又は外側被膜チューブとの層を備えるライニング・チューブに有利でもあり得、データ・タグ及び/又はデータ・タグの識別機能は、好ましくは、外側層及び/又は外側被膜チューブの外側及び/又は内側被膜チューブの内側に配設され、したがって、データ・タグ及び/又はデータ・タグの識別機能はユーザに見える。
【0027】
ライニング・チューブの2つの外側層上又は2つの外側層内のデータ・タグの配置が、有利であることが証明されている。それにより、ユーザは、データ・タグ読取りデバイスを活用して前記データ・タグを容易に見ることができ、読み取ることができる。例えば、前記データ・タグを保護するためにRFIDタグの場合と同様に、データ・タグがライニング・チューブの層のうちの1つに統合された場合、識別機能を用いてユーザのためのデータ・タグのこの位置を識別することは、有利であることが分かっており、したがって、データ・タグは容易に読み取ることができる。
【0028】
本発明は、先行する請求項のいずれか一項に記載のライニング・チューブと、ライニング・チューブのための硬化装置と、データ処理デバイスと、制御又は調節デバイスと、データ・タグ読取りデバイスと、特に、引張デバイスとを備える構成も提供し、制御又は調節デバイスは、データ・タグ読取りデバイスを用いてデータ処理デバイスによって受け取られたデータ・タグのデータに基づいて、改修すべき管内にライニング・チューブを引き込むための引張デバイス及び/又はライニング・チューブの硬化性層を硬化させるための硬化装置を制御し又は調節するように設計され、構成される。
【0029】
本発明による構成により、データ・タグ読取りデバイスを有するユーザは、単純な手段を使用してライニング・チューブのすべての関連する技術仕様書を読み取ることが可能になる。データ・タグ読取りデバイスは、QRコード又はバーコードスキャナであることができ、最も単純な場合には、データ・タグ読取りデバイスは、適当なソフトウェア・アプリケーションをスマートフォン上にインストールしたスマートフォンのカメラであることもできる。次いで、データ・タグは、単純な撮影又は走査を用いて読み取ることができる。NFCデータ・タグにも同じことが言える。或いは、少なくとも計量記録に通常存在するデータ処理デバイス及び硬化プロセスの手動制御は、もちろん、データ・タグを直接読み取るのに使用することができる。
【0030】
本発明によるライニング・チューブが、管内に引き込まれる場合、ユーザは、まず、データ・タグを読み取り、技術仕様書をデータ処理デバイスに送ることができる。次いで、ライニング・チューブを引き込むために、最大牽引力を限界値としてユーザに対して直接表示し、及び/又は引張デバイスに伝送することができる。これにより、ライニング・チューブが引き込まれたとき、過度に高い牽引力をライニング・チューブに対して何も作用させなくてもよいことが確実になり、したがって、任意の損傷が回避される。
【0031】
その後の硬化プロセスでは、特に、例えば、必要な光源、照明器具の配置、ライニング・チューブの壁面からのそれの間隔など、放射線硬化性ライニング・チューブの場合などの前記硬化装置の技術的セットアップを含めて、適切な硬化装置をユーザに対して表示することができる。
【0032】
ライニング・チューブ中の硬化装置自体の実際の誘導は、手動で実行することができ、必須のパラメータ及び限界値は、データ処理デバイスと動作可能に接続された制御又は調節デバイスを用いてデータ・タグから読み取られたライニング・チューブの技術仕様書に基づいて、それぞれ、又は部分的に若しくは完全に自動化されたやり方でユーザに対して表示することができる。データ処理デバイス及び制御又は調節デバイスは、1つのユニットとして設計し、例えば、硬化装置と動作可能に接続され、又は接続され得る従来のPCとして構成することができることは明らかである。
【0033】
本発明は、
a) 少なくとも1つの放射線硬化性層及び少なくとも1つの機械可読データ・タグを備えるライニング・チューブ、特に本発明によるライニング・チューブを設けるステップであって、少なくとも1つのデータ・タグは、ライニング・チューブのための少なくとも1つの所定の非可変の個々の技術仕様書を備える、設けるステップ、
b) ライニング・チューブを硬化させる前に及び/又は引き込む前にデータ・タグ読取りデバイスを用いて少なくとも1つのデータ・タグを読み取り、読み取ったデータをデータ処理デバイスにおいて処理するステップ、
c) ライニング・チューブのための個々の技術仕様書に関する情報を表示デバイス上に表示するステップ及び/又は、
d) データ処理デバイスによって処理されたデータ・タグのデータに基づいて、改修すべき管内にライニング・チューブを引き込むための引張デバイスを制御し又は調節するステップ及び/又は、
e) データ処理デバイスによって処理されたデータ・タグのデータに基づいてライニング・チューブを硬化させるための硬化装置を制御し又は調節するステップを特にこの順序で備えるライニング・チューブを硬化させるための方法も提供する。
【0034】
本発明によれば、ライニング・チューブの少なくとも1つの技術仕様書を備えたデータ・タグを有するライニング・チューブを設けるステップの後、これらの仕様書、特に、前記ライニング・チューブを、改修すべき管内に引きこむこと及び/又はライニング・チューブを硬化することに関連したパラメータを、ユーザに対して表示デバイス上に表示することができる。他の方法ステップによれば、部分的に自動化された又は完全に自動化されたライニング・チューブの引込み又は硬化も実行することができ、表示されたパラメータは、手動制御にも使用することができる。したがって、ライニング・チューブの製造業者は、ユーザによって変更することができない情報を提供することが可能であり、それにより、ユーザは作業が開始する前に硬化プロセスを実行するのにどの引張デバイス、硬化手段などを使用しなければならないかを識別することが可能になる。直接引き込み又は硬化させるための正しいフレームワークパラメータを固定してあらかじめ定めることも可能であり、これらのパラメータは、ユーザによって個々に入力しなくてもよい。したがって、エラーの発生源が最小限に抑えられ、改修プロセスが加速される。
【0035】
本発明による方法によれば、ライニング・チューブを硬化させるのに適切な硬化装置、ライニング・チューブ中の硬化装置の移動の速度範囲、ライニング・チューブ内への硬化装置の接近速度、特にライニング・チューブの温度、好ましくは樹脂反応温度の関数としての硬化装置の出力、及び/又はライニング・チューブの少なくとも1つの、特にすべての硬化パラメータ及び/又は牽引力制限の牽引力の制限のための最大引張力の情報のうちの少なくとも1つ及び/又は少なくとも1つの代表を読み取るステップが、データ・タグ読取りデバイスを用いて実施されることを、特に、提供することができる。
【0036】
方法の一実施例によれば、
f) ライニング・チューブのための少なくとも1つの技術仕様書に基づいて、ユーザによって、ライニング・チューブを硬化させるための適切な硬化装置を選択するステップ及び/又は少なくとも1つの技術仕様書に基づいて、データ処理デバイスによって、ライニング・チューブを硬化させるための適切な硬化装置を推奨するステップと、
g) ライニング・チューブ内に硬化装置を挿入するステップとの追加のステップが特にこの順序で含まれることも提供することができる。
【0037】
これらのステップの使用により、適切な硬化装置が使用されることを確実にすることができる。
【0038】
一実施例による方法は、点火時間、点灯照明器具の数、硬化の開始及び終了時間、ライニング・チューブ内の内部空気圧、硬化速度又は硬化装置の速度、樹脂反応温度及び/又は少なくとも1つの測定デバイスによって走行された距離を代表する測定値を記録し、前記測定値をデータ処理デバイスにおいて処理し、特に保存し、測定値は、特に、硬化を調節するのに使用されることも提供することができる。
【0039】
上記の測定値を記録することにより、実施すべき硬化の自動化された調節が可能になり得る。或いは、測定値は、表示デバイスを活用して限界値の超過又は未達の可能性に対してユーザに警告を出すのに使用することができる。測定値は、その後の仕様書対応硬化の文書化にも使用することができる。
【0040】
QRコードが、製造すべきライニング・チューブのための少なくとも1つの個々の技術仕様書に基づいて、ライニング・チューブの製造の前に生成されることも提供することができる。
【0041】
これの特定の利点は、注文を受け取った後、注文に基づく製造すべきライニング・チューブのデータを直接データ・タグに保存することができ、したがって、前記タグは、ライニング・チューブの製造の後にライニング・チューブとともにユーザに供給することができることである。次いで、ユーザは、データ・タグを読み取ってから、ライニング・チューブを引き込み又は硬化させ、引張デバイス及び/又は硬化装置は、データ・タグに保存されたパラメータにより制御され又は調節される。
【0042】
先行する説明及び特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、個々に及び任意の組合せでの両方でその様々な実施例における本発明の実施に重要であり得る。
【国際調査報告】