(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-508085(P2019-508085A)
(43)【公表日】2019年3月28日
(54)【発明の名称】訓練のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61H 1/02 20060101AFI20190301BHJP
A63B 23/02 20060101ALI20190301BHJP
A63B 23/12 20060101ALI20190301BHJP
【FI】
A61H1/02 K
A63B23/02 Z
A63B23/12
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-533660(P2018-533660)
(86)(22)【出願日】2016年12月22日
(85)【翻訳文提出日】2018年8月6日
(86)【国際出願番号】EP2016082302
(87)【国際公開番号】WO2017109032
(87)【国際公開日】20170629
(31)【優先権主張番号】102015122637.5
(32)【優先日】2015年12月22日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】518219480
【氏名又は名称】エルマー ビュール
【氏名又は名称原語表記】Elmar Buehl
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】エルマー ビュール
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA04
4C046AA08
4C046AA29
4C046AA45
4C046AA46
4C046BB02
4C046CC12
4C046CC14
4C046DD02
4C046DD04
4C046DD07
4C046DD13
4C046DD16
4C046DD36
(57)【要約】
本発明は、人間の上部胴体の筋肉を訓練するための、及び/又は、脊柱を弛緩させるための器具及び方法であって、人間を収容するための移動可能なキャリジと、人間の胴体の又は脊柱の伸延のために少なくとも間欠的に人間に運動エネルギーが加えられるように、人間を載せた移動可能なキャリジがそれに沿って案内され移動する案内路とを備えた機器及び方法に関する。本発明によれば、移動可能なキャリジ上の人間が、支持体上で略水平姿勢で横たわりつつ収容され、支持体上の人間の殿部、脚部、及び/又は足が、固定機器でもって固定され、上に人間が横たわっている移動可能なキャリジが案内路に沿って略水平に移動することが実現される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の上部胴体の筋肉を訓練するための、及び/又は、脊柱を弛緩させるための装置であって、前記人間を収容するための変位キャリジ(20)と、前記人間の前記胴体の又は脊柱の伸延のために少なくとも一時的に前記人間に運動エネルギーが及ぼされるように、前記人間を載せた前記変位キャリジ(20)がそれに沿って案内され移動可能である案内軌道(14)とを備えた装置であって、
前記変位キャリジ(20)が、略水平姿勢にリクライニングしている前記人間を収容するためのパッド(22)を備えて設計されること、
前記パッド(22)に、前記人間の殿部、脚部、及び/又は足を固定するための固定手段(32)が提供されること、および
リクライニングしている前記人間を載せた前記変位キャリジ(20)を水平に変位させるために、前記案内軌道(14)が水平に走ること、
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記案内軌道(14)が線形の又はリング形の設計であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記パッド(22)が前記人間の前記胴体用のリクライニング面(24)を有し、前記胴体が前記固定手段(32)に対して相対移動できるように前記リクライニング面(24)が設計されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記人間を収容するために、前記パッド(22)を少なくとも部分的に直立収容位置に枢動することができることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記パッド(22)上に、好ましくは角柱形を有する支持体(30)が提供され、該支持体が、前記脚部を上方へ屈曲した姿勢で支持するように設計されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
好ましくは前記支持体(30)の領域にハンドグリップ(36)が取付けられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ハンドグリップ(36)のうちの少なくとも1つの上に調節手段及び/又は切替手段が配置されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
線形の案内軌道(14)の場合、所定の速度の進行で前記変位キャリジ(20)の変位を逆転させるためのドライブ(16)が提供されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
人間の上部胴体の筋肉を訓練するための、及び/又は、脊柱を弛緩させるための方法であって、前記人間を収容するための変位キャリジ(20)と、前記人間の前記胴体の又は脊柱の伸延のために少なくとも一時的に前記人間に運動エネルギーが及ぼされるように、前記人間を載せた前記変位キャリジ(20)がそれに沿って案内され移動する案内軌道(14)とを備えた、好ましくは請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置(10)による方法であって、
前記人間が前記変位キャリジ(20)上で、パッド(22)上に略水平姿勢にリクライニングすることにより収容されること、
前記人間の殿部、脚部、及び/又は足が、前記パッド(22)上に固定手段(32)でもって固定されること、および
リクライニングしている前記人間を載せた前記変位キャリジ(20)が案内軌道(14)に沿って略水平に変位すること、
を特徴とする方法。
【請求項10】
線形の案内軌道(14)の場合、変位方向でリクライニングしている前記人間を載せた前記変位キャリジ(20)が、往路上で、最初に穏やかに加速され、その後強力に制動され、前記胴体の及び/又は前記脊柱の伸延が行われること、および
続いて、リクライニングしている前記人間を載せた前記変位キャリジ(20)が、復路上で、強力に加速され、その後穏やかに制動され、前記加速中に前記胴体の及び/又は前記脊柱の伸延が行われること、
を特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の上部胴体の筋肉を訓練するための、及び/又は、脊柱を弛緩させるための装置であって、人間を収容するための変位キャリジと、人間の胴体の又は脊柱の伸延のために少なくとも一時的に人間に運動エネルギーが及ぼされるように、人間を載せた変位キャリジがそれに沿って案内され移動可能である案内軌道とを備えた、請求項1の前提部分に記載の装置に関する。
【0002】
本発明は、更に、人間の上部胴体の筋肉を訓練するための、及び/又は、脊柱を弛緩させるための方法であって、人間を収容するための変位キャリジと、人間の胴体の又は脊柱の伸延のために少なくとも一時的に人間に運動エネルギーが及ぼされるように、人間を載せた変位キャリジがそれに沿って案内され移動する案内軌道とを備えた、請求項9の前提部分に記載の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的な装置及び一般的な方法を、特許文献1から見て取ることができる。知られているこの装置では、垂直方向に略変位可能な走行するキャリジが、垂直な線形案内部に沿って変位可能に支持される。走行するキャリジ上に被処置者のための座面が設けられ、更に被処置者は自らをアームパッド上で支持することができる。人間の上下移動の逆転中、座面が特定の間隔で下方に変位し、これによって、被処置者の脊柱の、特に良好な伸延効果を達成することができる。この伸延は、背筋、ならびに脊柱及び椎間板に対する、全体的に非常に良好な弛緩の影響を有する。ところが、変位距離が長くなった場合に高さがさらに高くなり得るがそれに伴って、患者によっては、アームパッド上で自身を支持することは、弛緩させるものでないと認められることがある。被治療者にとってこのことは、脊柱の意図される伸延を妨げる痙攣につながる可能性がある。
【0004】
脊柱の解放のための更なる装置が、特許文献2から知られている。この装置では、被処置者が、アームパッドの付いた吊上げ架枠内に配置される。ケーブルを引くことによって吊上げ架枠を上方へ引き上げることができ、その間、人間は前腕により自らをアームパッド上で支持する。そうする際、適切な重量の結果として脊柱が解放され伸ばされる。従って、知られているこの装置においても、被処置者の、アームパッドによる自発的な支持が必要である。
【0005】
例えば腕又は胴体の筋肉が弱くなっている又は負傷している特定の集団の人間にとって、アームパッドによる支持は全く又は或る程度にしか適していない。
【0006】
本発明は、上部胴体の筋肉の訓練又は脊柱の弛緩を、特に穏やかかつ効果的に可能にする装置及び方法を提供するという目的に依拠する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2014/202222(A1)号
【特許文献2】米国特許第4,895,328号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、一方で請求項1の特徴を有する装置により、他方で請求項9の特徴を有する方法により、達成される。それぞれの従属請求項に、本発明の好適な実施形態が述べられる。
【0009】
本発明による装置は、変位キャリジが、略水平姿勢にリクライニングしている人間を収容するためのパッドを備えて設計されること、このパッドに、人間の殿部、脚部、及び/又は足を固定するための固定手段が提供されること、およびリクライニングしている人間を載せた変位キャリジを水平に変位させるために、案内軌道が水平に走ることを特徴としている。
【0010】
更に、本発明による方法は、人間が変位キャリジ上で、パッド上に略水平姿勢にリクライニングすることにより収容されること、人間の殿部、脚部、及び/又は足が、このパッド上に固定手段でもって固定されること、およびリクライニングしている人間を載せた変位キャリジが案内軌道に沿って略水平に変位することを特徴としている。
【0011】
本発明の基本的な考えは、被処置者のアームパッドを放棄し、被処置者を、略水平姿勢に完全にリクライニングするように配置することにある。通常、リクライニングする姿勢は、特に弛緩させるものであると認められており、弱った者又は高齢者、あるいは腕又は胴体に負傷を有する者でも、難なくこの姿勢をとることができる。
【0012】
本発明の別の態様は、変位キャリジ上で人間を殿部(骨盤)、脚部、又は足の領域において固定することが提供されることにある。この故に、人間が水平変位するのに応じて、特定の加速又は制動過程において生じる慣性質量の効果を使用して、胴体又は脊柱を選択的に伸延することができる。骨盤及び殿部領域では関節及び靭帯が特に強く発達していることから、この領域で又は腿部上で固定することが好ましいと分かる。
【0013】
本発明の特別な利点は、引張力が鎖骨より下の脊柱に及ぼされるだけでなく、引張力が同時に頸椎にも及ぼされる結果、1回の移動で、いわば異なる力が、全ての個々の椎骨の通常の圧縮応力に反比例する引張応力として及ぼされることにある。この故に、頭部が慣性質量としてのみ作用するため頸椎には比較的小さい力しか作用されないのに対して、更に下方に位置する椎骨の場合は上半身部分の付加的な質量が引張力として働き、従ってこの力は相応に大きくなる。従って、腰椎は、上半身全体が頭部と共にこれらの椎骨への引張力として作用するため、最大の引張応力を受ける。
【0014】
制動力の強さ又は制動斜面の長さに応じて、原則的に考えられる任意の力を脊柱及びその筋肉に及ぼすことができる。ただし、この力は、適切な措置により最大限に限定される。
【0015】
更に、例えば、処置位置において、腕により人間自身を支持する際に必要となるであろう力を、その人間自身によって加えなくてよいことに起因して、被処置者は非常に良好に弛緩することができる。このことは、胴体、背筋、又は脊柱の、意図される伸延に対して、良い効果を有する。従って、全体として、多くの人間にとって、上部胴体の筋肉の、特別に良好な訓練、あるいは、脊柱の、特別に良好な弛緩を達成することができる。
【0016】
本発明の特に好適な実施形態は、案内軌道が線形の又はリング形の設計であることにある。線形の案内軌道の場合、特に、変位キャリジの逆転移動が提供される。リクライニングしている人間は、自身の長手方向が変位方向になるように向けられる。別法として、リング形の案内軌道を実現することもできる。その場合、1つの変位方向又は回転方向で、変位キャリジの連続移動が与えられる。好ましくは円形の又は楕円形の設計であるリング形の配置の場合、リクライニングしている人間を載せた変位キャリジは、人間の長手方向において径方向で外方に向けられる。特に楕円リング形の場合、曲率半径の変化を前提とすると、径方向で外方に向けられた、リクライニングしている人間の胴体筋肉又は脊柱に、異なる遠心力を及ぼすことができる。閉鎖したリング形の案内軌道の場合、均一な伸延力(円形)、又は増減する伸延力(楕円リング形)を、より長時間にわたって設定することができる。
【0017】
本発明による装置の更なる発展態様によれば、パッドが人間の胴体用のリクライニング面を有し、胴体が固定手段に対して相対移動できるようにこのリクライニング面が設計されることが有利である。相対移動は、好ましくは数cm、特に1〜5cmである比較的小さい値に達することができる。このことは、例えば、ローラ、ボール、もしくはリクライニング面上の摺動面、等の摩擦低減要素、又は走行方向に枢動することのできるバール、フラップ、リブ、あるいはその他の調整可能なパッド要素により、達成することができる。基本的に、人間の胴体が上に横たわるリクライニング面は、残りのパッド要素に対する変位方向において、軸方向に変位可能に支持されることも可能である。このことは、例えば、パッドの基体とリクライニング面との間の、適切な線形案内部により達成することができる。
【0018】
人間を収容するために、パッドを少なくとも部分的に直立収容位置に枢動することができるという点で、本発明による装置の、特に都合の良い使用が成し遂げられる。この目的で、変位キャリジを収容位置へと変位させることができ、変位キャリジの少なくとも一部を、シート様又は椅子様の収容位置に到達するように枢動することができる。その後、人間を収容したパッドを、この収容位置から、リクライニングされた処置位置へと穏やかに枢動することができる。
【0019】
本発明の或る実施形態によれば、パッド上に、好ましくは角柱形を有する支持体が提供され、この支持体が、脚部を上方へ屈曲した姿勢で支持するように設計されるという点で、更なる改良が達成される。脚部を屈曲させてリクライニングしている人間は更に上半身を弛緩させる。クッション性のある要素とすることのできる支持体の領域に、固定手段を取付けることができる。
【0020】
本発明の更なる発展態様によれば、好ましくは支持体の領域にグリップが取付けられるという点で、取扱い性に関する別の改良が遂げられる。このハンドグリップは、実質、変位キャリジの両側で変位方向に対して交差方向に延びるピン様又はボルト様の2つのグリップとすることができる。ハンドグリップは、位置決め手段を通じて、患者にとって人間工学的に好ましい姿勢になるよう調整可能とすることができる。ハンドグリップは腕が略水平姿勢になるように配置される。腕の位置は腕支え面により補助することができる。この支え面は実質、腕のみの重量を支える。
【0021】
本発明の或る実施形態によれば、ハンドグリップのうちの少なくとも1つの上に調節手段及び/又は切替手段が配置されるという点で、特別に好都合な操作が達成される。特に、調節手段及び/又は切替手段は、これを通じて患者自身により速度手段、加速手段、又は切替手段を設定できるように設計することができる。調節手段及び/又は切替手段は、緊急停止スイッチを含むこともできる。このことにより、患者は、処置及び装置の動作をいつでも終了させることができる。
【0022】
変位キャリジの駆動のために、基本的に、電気、磁気、油圧、又は空気圧ドライブ等の、任意の適切なモータを提供することができる。ドライブは、ダイレクトドライブを形成するよう、キャリジ上に、又は案内軌道上に提供することができる。その場合、変位キャリジへの力の伝達は、例えば牽引ロープによって行われる。好みによって、1〜10m/s間にわたる速度、好ましくは3〜3m/s間にわたる速度が達成される。
【0023】
本発明の更なる発展態様によれば、線形の案内軌道の場合、所定の速度の進行で変位キャリジの変位を逆転させるためのドライブが提供されることが有利である。胴体筋肉又は脊柱の伸延に所望される比較的大きい力が生成されるように、リクライニングしている人間に、正の又は負の強力な加速が常に及ぼされるように、制御機器を通じてドライブが制御される。逆方向では、いずれの場合も胴体筋肉上又は脊柱上で、展開される圧縮力がほとんど目立たないように、正の又は負の穏やかな加速のみが提供される。
【0024】
更に、本発明による方法は、線形の案内軌道の場合、変位方向でリクライニングしている人間を載せた変位キャリジが、往路上で、最初に穏やかに加速され、その後強力に制動され、胴体の及び/又は脊柱の伸延が行われる点、および続いて、リクライニングしている人間を載せた変位キャリジが、復路上で、強力に加速され、その後穏やかに制動され、加速中に胴体の及び/又は脊柱の伸延が行われるという点で展開される。この実施形態において、人間は、往路上で変位方向に頭を先にして横たわる。好ましくは、正の又は負の穏やかな加速のために、変位路の3分の2が設けられ、一方、強力な加速又は制動のために、変位路の約3分の1が設けられる。
【0025】
本発明は、更に、添付の図面において概略的に示す好適な実施形態により以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明による装置の第1実施形態の斜視図である。
【
図2】収容位置にある
図1の装置の略縮小側面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態の、極めて概略的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に、上部胴体の筋肉を訓練するための、及び/又は、脊柱を弛緩させるための装置10が示される。架台様の基枠12上に、数メートルの長さを有する線形の案内軌道14が配置される。案内軌道14の上側に沿って、変位キャリジ20が、線形に変位可能に支持される。
【0028】
変位キャリジ20はプレート形のパッド22を有し、このパッドは、人間を、リクライニングするように、即ち水平に収容するためのクッション性リクライニング面24として設計される。変位キャリジ20は、例として、約1.5mの長さ、及び約80cmの幅を有するが、その他の寸法が難なく可能である。リクライニング面24には、横断方向に走行する、可撓性のあるクッション性リブ26が提供され、このリブにより、リクライニングしている人間の胴体の、軸方向変位の方向への特定のシフトが可能になる。
【0029】
変位キャリジ20は、その足元領域に、リクライニングしている人間の脚部を、屈曲する又は屈むように収容するように設計される角柱形の支持体30を有する。この配置において、支持体30により、リクライニングしている人間の膝が、変位キャリジ20から離れるように上方へ向けられる。リクライニングしている人間の脚部は、
図2に示す固定手段32により、支持体30上で腿部の領域において固定することができる。このようにして、リクライニングしている人間の下半身領域が変位キャリジ20上に固定される一方で、リクライニング面24上に横たわる人間の胴体領域は、可撓性のあるクッション性リブ26に起因して、変位方向において数cmを超えない或る程度に、シフト可能に支持される。変位キャリジ20は、ドライブ16を通じて、所定の加速度で、案内軌道14に沿って逆転するように駆動し変位させることができる。キャリジ20は、側方に取付けられたドライブ16によって、図示しない牽引ロープ、鎖、歯付きベルト、あるいはスピンドルギアを介して変位させることができる。ドライブ16は電気的、油圧的、空気圧的、あるいは磁気的に作動させることができる。
【0030】
ドライブ16の制御を、図示しない独立した操作パネルにより行うことができる。更に、変位キャリジ20上の支持体30上に、側方に突出する2つのハンドグリップ36が配置される。ハンドグリップ36は、リクライニングしている人間により把持することができるのであり、ハンドグリップ36上には、ドライブ16を制御するための、図示しない調節手段及び/又は切替手段が配置され、特に緊急停止スイッチも配置される。
【0031】
図2から見て取れるように、変位キャリジ20は、外側端又は収容位置に変位させることができる。この収容位置において、変位キャリジ20のパッド22を、少なくとも部分的に、折畳み式接合部23を介してほぼ垂直な位置に枢動することができ、一方で、変位キャリジ20の基本要素21は案内軌道14内に留まる。パッド22と基本要素21とはロック手段27により互いに解放可能に接続することができる。図示する収容位置では、被処置者が着座位置にて変位キャリジ20に乗り降りすることが特に容易である。人間が変位キャリジ20上で脚部の領域において固定手段32でもって固定されると、パッド22は枢動されて水平な作動位置へと戻る。
【0032】
リクライニングしている人間を載せた変位キャリジ20は、往路上で、最初に、或る速度まで穏やかに加速される。この速度は、例えば4m/sに達することができる。装置の寸法によっては、その他の速度値が可能である。変位路を約2/3又は3/4進んだ後、人間を載せた変位キャリジ20は強力に制動され、これによって、慣性質量に起因して、リクライニング面24上に横たわる人間の胴体領域が変位キャリジ20に対して変位方向にシフトされるが、人間の脚部領域は支持体30にしっかりと取付けられたままである。リクライニング面24の、横断方向に走行する可撓性のあるクッション性リブ26により、人間の胴体領域をシフトすることが促される。このようにして、胴体筋肉及び脊柱を備えた胴体領域が、変位方向への伸延、即ち拡張を受ける。この拡張が筋肉ならびに椎間板を解放し、この解放が、特に弛緩させるもの及び回復させるものであると認められる。
【0033】
変位キャリジ20は、上端点への到達前又は到達時に完全に制動される。この後に復路が続くが、この復路上では約3分の1のところで強力に加速される。この過程においても、リクライニングしている人間の胴体上での伸延効果が達成される。その後、案内軌道14の他端にある出発又は開始位置に再度到達するまで、変位キャリジ20の、穏やかで注意深い制動が行われる。続いて、新規の変位周期が始まる。
【0034】
変位キャリジ20がこのように逆変位する間、増減する伸延が、リクライニングしている人間の胴体筋肉に及ぼされる。このことは、胴体筋肉、ならびに椎間板を備えた脊柱を、弛緩させ解放する。更に、特定のポンピング効果に起因して、増減する解放は、椎間板の、非常に良好な体液供給につながる。
【0035】
本発明による装置10は、胴体筋肉を、特に背筋を訓練し弛緩させるためにも、脊柱及び椎間板の解放及び処置のためにも、訓練手段として使用することができる。体育館又はフィットネスセンター内で理学療法士、治療理学療法士と共に適用すること、あるいは、スポーツ医学又は一般医療において使用することが可能である。
【0036】
図3により、本発明の更なる実施形態が概略的に示される。そこでは、案内軌道14は円形の設計である。概略的にのみ示される変位キャリジ20は、リクライニングしている人間が、頭部を径方向で外方に向けて横たわるように設計される。脚部領域は、変位キャリジ20の径方向内端上に固定される。この円形の装置10を用いれば、胴体筋肉及び/又は脊柱の、長続きする均一な伸張を達成することができる。
【手続補正書】
【提出日】2017年11月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
一般的な先行技術を、特許文献3から見て取ることができる。支持基部に変位キャリジが設けられ、この変位キャリジ上に、被処置者の殿部領域が載ってしっかりと固定される。人間の少なくとも上半身は、静止した支持基部上でしっかりと固定される。殿部を載せた変位キャリジを引張ばねによって変位させることができ、これによって、人間の脊柱に引張力が加えられる。胴体筋肉を訓練するための装置及
び方法を、特許文献1から見て取ることができる。知られているこの装置では、垂直方向に略変位可能な走行するキャリジが、垂直な線形案内部に沿って変位可能に支持される。走行するキャリジ上に被処置者のための座面が設けられ、更に被処置者は自らをアームパッド上で支持することができる。人間の上下移動の逆転中、座面が特定の間隔で下方に変位し、これによって、被処置者の脊柱の、特に良好な伸延効果を達成することができる。この伸延は、背筋、ならびに脊柱及び椎間板に対する、全体的に非常に良好な弛緩の影響を有する。ところが、変位距離が長くなった場合に高さがさらに高くなり得るがそれに伴って、患者によっては、アームパッド上で自身を支持することは、弛緩させるものでないと認められることがある。被治療者にとってこのことは、脊柱の意図される伸延を妨げる痙攣につながる可能性がある。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2014/202222(A1)号
【特許文献2】米国特許第4,895,328号
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/0100503(A1)号
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本発
明によれば、線形の案内軌道の場合、所定の速度の進行で変位キャリジの変位を逆転させるためのドライブが提供されることが有利である。胴体筋肉又は脊柱の伸延に所望される比較的大きい力が生成されるように、リクライニングしている人間に、正の又は負の強力な加速が常に及ぼされるように、制御機器を通じてドライブが制御される。逆方向では、いずれの場合も胴体筋肉上又は脊柱上で、展開される圧縮力がほとんど目立たないように、正の又は負の穏やかな加速のみが提供される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
更に、本発明による方法は、線形の案内軌道の場合、変位方向でリクライニングしている人間を載せた変位キャリジが、往路上で、最初に穏やかに加速され、その後強力に制動され、胴体の及び/又は脊柱の伸延が行われる点、および続いて、リクライニングしている人間を載せた変位キャリジが、復路上で、強力に加速され、その後穏やかに制動され、加速中に胴体の及び/又は脊柱の伸延が行われるという
ことを特徴としている。この実施形態において、人間は、往路上で変位方向に頭を先にして横たわる。好ましくは、正の又は負の穏やかな加速のために、変位路の3分の2が設けられ、一方、強力な加速又は制動のために、変位路の約3分の1が設けられる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の上部胴体の筋肉を訓練するための、及び/又は、脊柱を弛緩させるための装置であって、前記人間を収容するための変位キャリジ(20)と、前記人間の前記胴体の又は脊柱の伸延のために少なくとも一時的に前記人間に運動エネルギーが及ぼされるように、前記変位キャリジ(20)がそれに沿って案内され移動可能である水平な案内軌道(14)とを備えた装置であって、
前記変位キャリジ(20)が、略水平姿勢にリクライニングしている前記人間を収容するためのパッド(22)を備えて設計され、
前記パッド(22)に、前記人間の殿部、脚部、及び/又は足を固定するための固定手段(32)が提供される、装置であって、
前記変位キャリジ(20)が、リクライニングしている前記人間を全体として収容するように設計され、
線形の前記案内軌道(14)において、前記変位キャリジ(20)を所定の速度進行で変位を逆転させるためのドライブ(16)が提供され、
前記線形の案内軌道(14)において、変位方向でリクライニングしている前記人間を載せた前記変位キャリジ(20)が、往路上で、最初に穏やかに加速され、その後強力に制動され、前記胴体の及び/又は前記脊柱の伸延が行われ、
続いて、リクライニングしている前記人間を載せた前記変位キャリジ(20)が、復路上で、強力に加速され、その後穏やかに制動され、前記加速中に前記胴体の及び/又は前記脊柱の伸延が行われること、
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記案内軌道(14)が線形の又はリング形の設計であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記パッド(22)が前記人間の前記胴体用のリクライニング面(24)を有し、前記胴体が前記固定手段(32)に対して相対移動できるように前記リクライニング面(24)が設計されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記人間を収容するために、前記パッド(22)を少なくとも部分的に直立収容位置に枢動することができることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記パッド(22)上に、好ましくは角柱形を有する支持体(30)が提供され、該支持体が、前記脚部を上方へ屈曲した姿勢で支持するように設計されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
好ましくは前記支持体(30)の領域にハンドグリップ(36)が取付けられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ハンドグリップ(36)のうちの少なくとも1つの上に調節手段及び/又は切替手段が配置されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
線形の案内軌道(14)の場合、所定の速度の進行で前記変位キャリジ(20)の変位を逆転させるためのドライブ(16)が提供されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
人間の上部胴体の筋肉を訓練するための、及び/又は、脊柱を弛緩させるための方法であって、前記人間を収容するための変位キャリジ(20)と、前記人間を載せた前記変位キャリジ(20)がそれに沿って案内され移動する案内軌道(14)とを備えた、好ましくは請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置(10)による方法であって、
前記人間が完全に前記変位キャリジ(20)上で、パッド(22)上に略水平姿勢にリクライニングすることにより収容されること、
前記人間の殿部、脚部、及び/又は足が、前記パッド(22)上に固定手段(32)でもって固定されること、
リクライニングしている前記人間を載せた前記変位キャリジ(20)が案内軌道(14)に沿って略水平に変位すること、
線形の案内軌道(14)の場合、変位方向でリクライニングしている前記人間を載せた前記変位キャリジ(20)が、往路上で、最初に穏やかに加速され、その後強力に制動され、前記胴体の及び/又は前記脊柱の伸延が行われること、および
続いて、リクライニングしている前記人間を載せた前記変位キャリジ(20)が、復路上で、強力に加速され、その後穏やかに制動され、前記加速中に前記胴体の及び/又は前記脊柱の伸延が行われること、
を特徴とする方法。
【国際調査報告】