(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-509972(P2019-509972A)
(43)【公表日】2019年4月11日
(54)【発明の名称】ガラスタンク炉及びガラス溶製方法
(51)【国際特許分類】
C03B 5/24 20060101AFI20190315BHJP
【FI】
C03B5/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-551150(P2018-551150)
(86)(22)【出願日】2016年6月30日
(85)【翻訳文提出日】2018年9月28日
(86)【国際出願番号】CN2016087860
(87)【国際公開番号】WO2017219384
(87)【国際公開日】20171228
(31)【優先権主張番号】201610474169.X
(32)【優先日】2016年6月22日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】517101366
【氏名又は名称】ジュシ グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】沈培▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】方▲長▼▲應▼
(57)【要約】
本発明は、ガラスタンク炉及びガラス溶製方法を開示し、当該タンク炉は、溶融池を含む溶融部を含み、当該溶融池には、クラウンに取り付けれる少なくとも一つの燃焼器が設けられ、当該燃焼器は、ガス燃料を提供するためのガス燃料導管と酸素ガスを提供するための酸素ガス導管を有し、当該ガス燃料導管にガス燃料流量計とガス燃料制御弁があり、当該酸素ガス導管に酸素ガス流量計と酸素ガス制御弁があり、ガス燃料流量計、ガス燃料制御弁、酸素ガス流量計と前記酸素ガス制御弁はいずれも制御ユニットに接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融部を含むガラスタンク炉であって、前記溶融部は溶融池を含み、前記溶融池にクラウンに取り付けられる少なくとも一つの燃焼器が設けられ、前記燃焼器は、ガス燃料を提供するためのガス燃料導管と酸素ガスを提供するための酸素ガス導管を有し、前記ガス燃料導管にガス燃料流量計とガス燃料制御弁があり、前記酸素ガス導管に酸素ガス流量計と酸素ガス制御弁があり、前記ガス燃料流量計、前記ガス燃料制御弁、前記酸素ガス流量計と前記酸素ガス制御弁はいずれも、制御ユニットに接続され、
前記ガス燃料流量計は、検出されたガス燃料流量を前記制御ユニットに発信するためのものであり、
前記酸素ガス流量計は、検出された酸素ガス流量を前記制御ユニットに発信するためのものであり、
前記制御ユニットは、前記ガス燃料流量計からガス燃料流量を受信して、前記酸素ガス流量計から酸素ガス流量を受信して、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量に基づいて前記ガス燃料制御弁及び/又は前記酸素ガス制御弁に対する制御信号を確定して、前記ガス燃料制御弁及び/又は前記酸素ガス制御弁に相応する制御信号を発信するものであり、
前記ガス燃料制御弁は、制御信号を受けた後に前記制御信号に基づき弁を制御するためのものであり、
前記酸素ガス制御弁は、制御信号を受けた後に前記制御信号に基づいて弁を制御するためのものであることを特徴とするガラスタンク炉。
【請求項2】
前記制御ユニットが、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量に基づいて前記ガス燃料制御弁及び/又は前記酸素ガス制御弁の制御信号を確定することは、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量の比値がプリセット比値の範囲より大きいと判断する場合に、前記ガス燃料制御弁に対する弁開度が小さくなる制御信号又は前記酸素ガス制御弁の弁開度が大きくなる制御信号を確定すること、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量の比値がプリセット比値の範囲より小さいと判断する場合に、前記ガス燃料制御弁に対する弁開度が大きくなる制御信号又は前記酸素ガス制御弁に対する弁開度が小さくなる制御信号を確定すること、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量の比値がプリセット比値の範囲にあると判断する場合に、前記ガス燃料制御弁と前記酸素ガス制御弁に対する弁開度が保持される制御信号を確定することを含むことを特徴とする請求項1に記載のガラスタンク炉。
【請求項3】
前記プリセット比値の範囲が1:3〜1:2であることを特徴とする請求項2に記載のガラスタンク炉。
【請求項4】
前記溶融池内のクラウンの中央位置に取り付けられる燃焼器のガス燃料導管と前記酸素ガス導管が同心円構造を成し、前記ガス燃料導管が前記同心円構造の内導管であり、前記酸素ガス導管が前記同心円構造の外導管であり、前記溶融池内のクラウンの両側位置に取り付けられる燃焼器のガス燃料と前記酸素ガス導管との間の夾角が0〜5度であることを特徴とする請求項1に記載のガラスタンク炉。
【請求項5】
前記溶融池は、ガラス溶融液の流れ方向に、原料領域としての第一領域、泡沫領域としての第二領域、清澄領域としての第三領域に分けられ、クラウンにおける前記第一領域の上方に対応している位置に少なくとも一つの前記燃焼器が設けられ、クラウンにおける前記第二領域の上方に対応している位置に少なくとも一つの前記燃焼器が設けられ、クラウンにおける前記第三領域の上方に対応している位置に少なくとも一つの前記燃焼器が設けられることを特徴とする請求項1に記載のガラスタンク炉。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量に基づいてガス燃料流速と酸素ガス流速を確定して、前記ガス燃料流速と酸素ガス流速との間の差分値がガス燃料流速又は酸素ガス流速の10%より小さいように、前記ガス燃料制御弁と前記酸素ガス制御弁に対する制御信号を確定するためのものでもあることを特徴とする請求項1に記載のガラスタンク炉。
【請求項7】
前記燃焼器の噴射角度と前記ガラスタンク炉の両側のパラペットとの角度が0〜14度であり、前記ガラスタンク炉の前壁及び後壁との角度が0度であることを特徴とする請求項1に記載のガラスタンク炉。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のガラスタンク炉を用いてガラス溶製を行う方法であり、
溶融池に、クラウンに取り付けられる燃焼器が少なくとも一つ設けられ、クラウンの中央位置にガス燃料導管と前記酸素ガス導管が同心円構造を成す燃焼器が取り付けられ、クラウンの両側位置にガス燃料導管と前記酸素ガス導管との間の夾角が0〜5度の燃焼器が取り付けられることと、
各燃焼器のガス燃料導管にガス燃料流量計とガス燃料制御弁を設け、各燃焼器の酸素ガス導管に酸素ガス流量計と酸素ガス制御弁を設け、各燃焼器のガス燃料流量計、ガス燃料制御弁、酸素ガス流量計と酸素ガス制御弁にも接続される制御ユニットを設けることと、
制御ユニットによって燃焼器の前記ガス燃料流量計からガス燃料流量を受信し、前記酸素ガス流量計から酸素ガス流量を受信して、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量に基づいてこの燃焼器のガス燃料制御弁及び/又は酸素ガス制御弁に対する制御信号を確定し、前記ガス燃料制御弁及び/又は前記酸素ガス制御弁を相応して制御することとを含むことを特徴とするガラス溶製を行う方法。
【請求項9】
前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量に基づいてこの燃焼器のガス燃料制御弁及び/又は酸素ガス制御弁に対する前記制御信号を確定し、前記ガス燃料制御弁及び/又は前記酸素ガス制御弁を相応して制御することは、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量の比値が1:3〜1:2であるプリセット比値の範囲より大きいと判断する場合に、前記ガス燃料制御弁の弁開度を小さくなるように制御するか前記酸素ガス制御弁の弁開度を大きくなるように制御し、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量の比値が1:3〜1:2であるプリセット比値の範囲より小さいと判断する場合に、前記ガス燃料制御弁の弁開度が大きくなるように制御するか前記酸素ガス制御弁の弁開度が小さくなるように制御し、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量の比値が1:3〜1:2であるプリセット比値の範囲にあると判断する場合に、前記ガス燃料制御弁と前記酸素ガス制御弁の弁開度を保持することを含むことを特徴とする請求項8に記載のガラス溶製を行う方法。
【請求項10】
前記方法は、更に、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量に基づいてガス燃料流速と酸素ガス流速を確定して、前記ガス燃料流速と酸素ガス流速との間の差分値がガス燃料流速又は酸素ガス流速の10%より小さいように、前記ガス燃料制御弁と前記酸素ガス制御弁に対する制御信号を確定することを含むことを特徴とする請求項8に記載のガラス溶製を行う方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスタンク炉技術に関し、特に、ガラスタンク炉及びガラス溶製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスタンク炉構造は、投入機、溶融部、煙道、通路及びキルン炉上に設けられる燃焼器と電極を含有する。投入機は、溶融部の前壁端又は両側のパラペットに設けられ、煙道は、溶融部の両側のパラペット又は前壁に設けられ、溶融部の両側のパラペットに燃焼器が設けられ、燃焼器の火炎がガラス液面と平行である。溶融部の池底に加熱を補助する電極が配置される。
【0003】
ガラスの溶製とは、キルン炉内に入るガラス配合料を燃焼器によって高温に加熱し、均一で且つ気泡、ストライプと結石が一定の範囲内に制御され成型要求に合致しているガラス液を形成させることをいう。同時に、池底に配置される電極に電気が通じた後に、電流がガラス液によってジュール熱を生じて池底のガラス液を補助加熱し、二重加熱を経た後のガラス液が流湯穴によって通路漏洩板に入って引張成型を行う。
【0004】
このようなガラスタンク炉構造の燃焼器は、溶融部の両側のパラペットに取り付けられるものであり、燃焼器の火炎は、溶融部のガラス配合料又はガラス液の液面と平行であり、主に放射熱伝導によってガラス原料又はガラス液を加熱し、熱利用率が低く、火炎がガラス原料又はガラス液面上に放射した熱量が最適に利用されないことを招いてしまい、エネルギー消耗が大きいことをもたらしてしまう。どのようにして燃焼器の熱利用率と安定度及びガラス液面の受熱効果を向上させるかは、解決する必要がある技術的問題である。
【発明の概要】
【0005】
上記技術的問題を解決するために、本発明は、ガラスタンク炉及びガラス溶製方法を提供する。
【0006】
本発明によるガラスタンク炉は溶融部を含み、前記溶融部は、クラウンに取り付けられる少なくとも一つの燃焼器が設けられる溶融池を含む、前記燃焼器は、ガス燃料を提供するためのガス燃料導管と酸素ガスを提供するための酸素ガス導管を有し、前記ガス燃料導管にガス燃料流量計とガス燃料制御弁があり、前記酸素ガス導管に酸素ガス流量計と酸素ガス制御弁があり、前記ガス燃料流量計、前記ガス燃料制御弁、前記酸素ガス流量計と前記酸素ガス制御弁はいずれも、制御ユニットに接続され、
前記ガス燃料流量計は、検出されたガス燃料流量を前記制御ユニットに発信するためのものであり、
前記酸素ガス流量計は、検出された酸素ガス流量を前記制御ユニットに発信するためのものであり、
前記制御ユニットは、前記ガス燃料流量計からガス燃料流量を受信して、前記酸素ガス流量計から酸素ガス流量を受信して、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量に基づいて前記ガス燃料制御弁及び/又は前記酸素ガス制御弁に対する制御信号を確定して、前記ガス燃料制御弁及び/又は前記酸素ガス制御弁に相応する制御信号を発信するものであり、
前記ガス燃料制御弁は、制御信号を受けた後に前記制御信号に基づき弁を制御するためのものであり、
前記酸素ガス制御弁は、制御信号を受けた後に前記制御信号に基づいて弁を制御するためのものである。
【0007】
前記制御ユニットが、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量に基づいて前記ガス燃料制御弁及び/又は前記酸素ガス制御弁の制御信号を確定することは、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量の比値がプリセット比値の範囲より大きいと判断する場合に、前記ガス燃料制御弁に対する弁開度が小さくなる制御信号又は前記酸素ガス制御弁の弁開度が大きくなる制御信号を確定すること、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量の比値がプリセット比値の範囲より小さいと判断する場合に、前記ガス燃料制御弁に対する弁開度が大きくなる制御信号又は前記酸素ガス制御弁に対する弁開度が小さくなる制御信号を確定すること、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量の比値がプリセット比値の範囲にあると判断する場合に、前記ガス燃料制御弁と前記酸素ガス制御弁に対する弁開度が保持される制御信号を確定することを含む。
【0008】
前記プリセット比値の範囲が1:3〜1:2である。
【0009】
前記溶融池内のクラウンの中央位置に取り付けられる燃焼器のガス燃料導管と前記酸素ガス導管が同心円構造を成し、前記ガス燃料導管が前記同心円構造の内導管であり、前記酸素ガス導管が前記同心円構造の外導管であり、前記溶融池内のクラウンの両側位置に取り付けられる燃焼器のガス燃料と前記酸素ガス導管との間の夾角が0〜5度である。
【0010】
前記溶融池は、ガラス溶融液の流れ方向に、生地領域としての第一領域、泡沫領域としての第二領域、清澄領域としての第三領域に分けられ、クラウンにおける前記第一領域の上方に対応している位置に少なくとも一つの前記燃焼器が設けられ、クラウンにおける前記第二領域の上方に対応している位置に少なくとも一つの前記燃焼器が設けられ、クラウンにおける前記第三領域の上方に対応している位置に少なくとも一つの前記燃焼器が設けられる。
【0011】
前記制御ユニットは、更に、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量に基づいてガス燃料流速と酸素ガス流速を確定して、前記ガス燃料流速と酸素ガス流速との間の差値がガス燃料流速又は酸素ガス流速の10%より小さいように、前記ガス燃料制御弁と前記酸素ガス制御弁に対する制御信号を確定するためのものである。
【0012】
前記燃焼器の噴射角度と前記ガラスタンク炉の両側のパラペットとの角度が0〜14度であり、前記ガラスタンク炉の前壁及び後壁との角度が0度である。
【0013】
上記ガラスタンク炉を用いるガラス溶製方法は、
溶融池に、クラウンに取り付けられる燃焼器が少なくとも一つ設けられ、クラウンの中央位置にガス燃料導管と前記酸素ガス導管が同心円構造を成す燃焼器が取り付けられ、クラウンの両側位置にガス燃料導管と前記酸素ガス導管との間の夾角が0〜5度の燃焼器が取り付けられることと、
各燃焼器のガス燃料導管にガス燃料流量計とガス燃料制御弁を設け、各燃焼器の酸素ガス導管に酸素ガス流量計と酸素ガス制御弁を設け、各燃焼器のガス燃料流量計、ガス燃料制御弁、酸素ガス流量計と酸素ガス制御弁にも接続される制御ユニットを設けることと、
制御ユニットによって燃焼器の前記ガス燃料流量計からガス燃料流量を受信し、前記酸素ガス流量計から酸素ガス流量を受信して、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量に基づいてこの燃焼器のガス燃料制御弁及び/又は酸素ガス制御弁に対する制御信号を確定し、前記ガス燃料制御弁及び/又は前記酸素ガス制御弁を相応して制御することとを含む。
【0014】
前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量に基づいてこの燃焼器のガス燃料制御弁及び/又は酸素ガス制御弁に対する前記制御信号を確定し、前記ガス燃料制御弁及び/又は前記酸素ガス制御弁を相応して制御することは、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量の比値が1:3〜1:2であるプリセット比値の範囲より大きいと判断する場合に、前記ガス燃料制御弁の弁開度を小さくなるように制御するか前記酸素ガス制御弁の弁開度を大きくなるように制御し、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量の比値が1:3〜1:2であるプリセット比値の範囲より小さいと判断する場合に、前記ガス燃料制御弁の弁開度が大きくなるように制御するか前記酸素ガス制御弁の弁開度が小さくなるように制御し、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量の比値が1:3〜1:2であるプリセット比値の範囲にあると判断する場合に、前記ガス燃料制御弁と前記酸素ガス制御弁の弁開度を保持することを含む。
【0015】
前記方法は更に、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量に基づいてガス燃料流速と酸素ガス流速を確定して、前記ガス燃料流速と酸素ガス流速との間の差分値がガス燃料流速又は酸素ガス流速の10%より小さいように、前記ガス燃料制御弁と前記酸素ガス制御弁に対する制御信号を確定することを含む。
【0016】
本発明は、燃焼器のガス燃料流量と酸素ガス流量をリアルタイムに検出して制御することによって、燃焼器の熱量出力を安定させると同時に、熱利用率を高め、クラウンの中央位置と両側位置にある燃焼器に異なるガス燃料導管と前記酸素ガス導管の構成構造を設けて、ガラス液面の受熱効果を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
明細書に組み込まれて且つ明細書の一部を構成する添付図は、本発明の実施例を示し、且つ、説明とともに本発明の原理を解釈するものである。これらの添付図では、類似している添付図標記は、類似している要素を示すためのものである。以下の説明における添付図は、全ての実施例ではなく、本発明の若干の実施例である。当業者にとっては、創造性労働をしない前提下で、これらの添付図によってその他の添付図を得ることができる。
【0018】
【
図1】
図1は実施例におけるガラスタンク炉の構造図である。
【
図2】
図2は実施例における燃焼器と制御ユニットとの接続関係の模式図である。
【
図3】
図3は実施例におけるガラス溶製方法の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施例の目的、技術的手段と利点をより明らかにさせるために、以下、本発明の実施例における添付図を組み合わせて、本発明の実施例における技術的手段を明らかで完全に説明し、勿論、説明される実施例は、全ての実施例ではなく、本発明の実施例の一部である。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造性労働をしない前提で得る全てのその他の実施例は、本発明の保護する範囲に属している。説明すべきなのは、衝突しない場合に、本願における実施例及び実施例における特徴は、相互で任意に組み合わせることができる。
【0020】
図1は実施例におけるガラスタンク炉の構造図である。
図2は実施例における燃焼器と制御ユニットとの接続関係の模式図である。
図1と
図2を組み合わせて、このガラスタンク炉は、溶融部を含み、この溶融部は、溶融池を含み、溶融池にクラウンに取り付けられる少なくとも一つの燃焼器が設けられ、燃焼器は、ガス燃料を提供するためのガス燃料導管と酸素ガスを提供するための酸素ガス導管を有し、ガス燃料導管にガス燃料流量計とガス燃料制御弁があり、酸素ガス導管に酸素ガス流量計と酸素ガス制御弁があり、ガス燃料流量計、ガス燃料制御弁、酸素ガス流量計と酸素ガス制御弁はいずれも制御ユニットに接続される。
【0021】
ガス燃料流量計は、検出されたガス燃料流量を制御ユニットに発信するためのものであり、
酸素ガス流量計は、検出された酸素ガス流量を制御ユニットに発信するためのものであり、
制御ユニットは、ガス燃料流量計からガス燃料流量を受信し、酸素ガス流量計から酸素ガス流量を受信し、ガス燃料流量と酸素ガス流量からガス燃料制御弁及び/又は酸素ガス制御弁に対する制御信号を確定し、ガス燃料制御弁及び/又は酸素ガス制御弁に相応している制御信号を発信し、
ガス燃料制御弁は、信号を制御した後に制御信号に基づいて弁制御を行うためのものであり、
酸素ガス制御弁は、信号を制御した後に制御信号に基づいて弁制御を行うためのものである。
【0022】
制御ユニットがガス燃料流量と酸素ガス流量に基づいてガス燃料制御弁及び/又は酸素ガス制御弁の制御信号を確定することは、判断ガス燃料流量と酸素ガス流量の比値がプリセット比値の範囲より大きいと判断する場合に、ガス燃料制御弁に対する弁開度が小さくなる制御信号又は酸素ガス制御弁に対する弁開度が大きくなる制御信号を確定し、ガス燃料流量と酸素ガス流量の比値がプリセット比値の範囲より小さいと判断する場合に、ガス燃料制御弁に対する弁開度が大きくなる制御信号又は酸素ガス制御弁に対する弁開度が小さくなる制御信号を確定し、ガス燃料流量と酸素ガス流量の比値がプリセット比値の範囲にあると判断する場合に、ガス燃料制御弁と酸素ガス制御弁に対する弁開度が保持される制御信号を確定する。そこで、プリセット比値の範囲が1:3〜1:2であり、好ましい範囲が1:2.5〜1:2である。
【0023】
異なる燃焼器のガラスタンク炉における配置位置は、溶融池の区画に関連する。溶融池は、ガラス溶融液の流れ方向に、生地領域としての第一領域、泡沫領域としての第二領域、清澄領域としての第三領域に分けられ、クラウンの第一領域の上方に対応している位置に、少なくとも一つの燃焼器が設けられ、クラウンの第二領域の上方に対応している位置に、少なくとも一つの燃焼器が設けられ、クラウンの第三領域の上方に対応している位置に、少なくとも一つの燃焼器が設けられる。
【0024】
別の実施例において、燃焼器の取りつけ位置を組み合わせて、ガラスタンク炉の異なる位置の燃焼器のガス燃料導管と酸素ガス導管が異なる構造に設けられる。溶融池内のクラウンの中央位置に取り付けられる燃焼器のガス燃料導管と酸素ガス導管が同心円構造を成し、ガス燃料導管が同心円構造の内導管であり、酸素ガス導管が同心円構造の外導管であり、溶融池内のクラウンの両側位置に取り付けられる燃焼器のガス燃料導管と酸素ガス導管との間の夾角が0〜5度である。上記配置によって、クラウンの中央位置と両側位置にある燃焼器に異なるガス燃料導管と前記酸素ガス導管の構成構造を設けて、ガラス液面の受熱効果を有効に向上させることができる。
【0025】
別の実施例において、ガラスタンク炉における制御ユニットは、ガス燃料流速と酸素ガス流速を制御することもできる。具体的には、制御ユニットは、ガス燃料流量と酸素ガス流量に基づいてガス燃料流速と酸素ガス流速を確定し、ガス燃料流速と酸素ガス流速との間の差分値がガス燃料流速又は酸素ガス流速の10%より小さいように、ガス燃料制御弁と酸素ガス制御弁に対する制御信号を確定するためのものでもある。
【0026】
別の実施例において、このガラスタンク炉に燃焼器を設ける噴射角度とガラスタンク炉の両側パラペットとの角度が0〜14度であり、ガラスタンク炉の前壁及び後壁との角度が0度である。
【0027】
図3は、実施例におけるガラス溶製方法の構造図である。上記ガラスタンク炉を用いてガラス溶製を行う方法は、
溶融池に、クラウンに取り付けられる燃焼器を少なくとも一つ設け、クラウンの中央位置にガス燃料導管と酸素ガス導管が同心円構造を成す燃焼器を取りつけ、クラウンの両側位置にガス燃料導管と酸素ガス導管との間の夾角が0度より大きい燃焼器を取りつけるステップ1と、
各燃焼器のガス燃料導管にガス燃料流量計とガス燃料制御弁を設け、各燃焼器の酸素ガス導管に酸素ガス流量計と酸素ガス制御弁を設け、各燃焼器のガス燃料流量計、ガス燃料制御弁、酸素ガス流量計と酸素ガス制御弁にも接続される制御ユニットを設けるステップ2と、
制御ユニットによって燃焼器のガス燃料流量計からガス燃料流量を受信し、酸素ガス流量計から酸素ガス流量を受信し、ガス燃料流量と酸素ガス流量によってこの燃焼器のガス燃料制御弁及び/又は酸素ガス制御弁に対する制御信号を確定し、ガス燃料制御弁及び/又は酸素ガス制御弁を相応して制御するステップ3とを含む。
【0028】
具体的には、ステップ2において、ガス燃料流量と酸素ガス流量に基づいてこの燃焼器のガス燃料制御弁及び/又は酸素ガス制御弁に対する制御信号を確定し、ガス燃料制御弁及び/又は酸素ガス制御弁を相応して制御することは、ガス燃料流量と酸素ガス流量の比値がプリセット比値の範囲より大きいと判断する場合に、ガス燃料制御弁の弁開度が小さくなるように制御するか酸素ガス制御弁の弁開度が大きくなるように制御することと、ガス燃料流量と酸素ガス流量の比値がプリセット比値の範囲より小さいと判断する場合に、ガス燃料制御弁の弁開度が大きくなるように制御するか酸素ガス制御弁の弁開度が小さくなるように制御することと、ガス燃料流量と酸素ガス流量の比値がプリセット比値の範囲にあると判断する場合に、ガス燃料制御弁と酸素ガス制御弁の弁開度を保持することを含み、プリセット比値の範囲が1:3〜1:2であり、好ましい範囲が1:2.5〜1:2である。
【0029】
ガス燃料と酸素ガスの燃焼充足程度を制御するために、この方法は更に、前記ガス燃料流量と前記酸素ガス流量に基づいてガス燃料流速と酸素ガス流速を確定して、前記ガス燃料流速と酸素ガス流速との間の差分値がガス燃料流速又は酸素ガス流速の10%より小さいように、前記ガス燃料制御弁と前記酸素ガス制御弁に対する制御信号を確定することを含む。
【0030】
具体的な実施例一
ガラスタンク炉のクラウンにおいて、第一領域の上方に対応している位置に燃焼器を設け、第二領域の上方に対応している位置に燃焼器を設け、第三領域の上方に対応している位置に燃焼器を設ける。各燃焼器の噴射角度とガラスタンク炉の両側のパラペットとの角度がいずれも12度であり、ガラスタンク炉の前壁及び後壁との角度が0度である。第二領域の上方のクラウンの中央位置の燃焼器のガス燃料導管と酸素ガス導管が同心円構造を成し、ガス燃料導管が同心円構造の内導管であり、酸素ガス導管が同心円構造の外導管であり、第一領域と第三領域の上方のクラウンの両側位置の燃焼器のガス燃料導管の間の夾角が3度である。制御ユニットは、ガス燃料流量と酸素ガス流量のプリセット比値の範囲が1:2.4〜1:2.2であるように、ガス燃料流量と酸素ガス流量をリアルタイムに取得してガス燃料制御弁の弁と酸素ガス制御弁の弁を制御し、ガス燃料流量と酸素ガス流量の比値がこのプリセット比値の範囲より大きい場合に、ガス燃料制御弁の弁開度が小さくなるように制御するか酸素ガス制御弁の弁開度が大きくなるように制御し、ガス燃料流量と酸素ガス流量の比値がプリセット比値の範囲より小さいと判断する場合に、ガス燃料制御弁の弁開度が大きくなるように制御するか酸素ガス制御弁の弁開度が小さくなるように制御する。
【0031】
具体的な実施例二
ガラスタンク炉のクラウンにおいて、第一領域の上方に対応している位置に燃焼器を設け、第二領域の上方に対応している位置に燃焼器を設け、第三領域の上方に対応している位置に燃焼器を設ける。各燃焼器の噴射角度とガラスタンク炉の両側のパラペットとの角度はいずれも5度であり、ガラスタンク炉の前壁及び後壁との角度が0度である。第二領域の上方のクラウンの中央位置の燃焼器のガス燃料導管と酸素ガス導管が同心円構造を成し、ガス燃料導管が同心円構造の内導管であり、酸素ガス導管が同心円構造の外導管であり、第一領域と第三領域の上方のクラウンの両側位置の燃焼器のガス燃料導管の間の夾角が4度である。制御ユニットは、ガス燃料流量と酸素ガス流量のプリセット比値の範囲が1:2.4〜1:2.3であるように、ガス燃料流量と酸素ガス流量をリアルタイムに取得してガス燃料制御弁の弁と酸素ガス制御弁の弁を制御し、ガス燃料流量と酸素ガス流量の比値がこのプリセット比値の範囲より大きい場合に、ガス燃料制御弁の弁開度が小さくなるように制御するか酸素ガス制御弁の弁開度が大きくなるように制御し、ガス燃料流量と酸素ガス流量の比値がプリセット比値の範囲より小さいと判断する場合に、ガス燃料制御弁の弁開度が大きくなるように制御するか酸素ガス制御弁の弁開度が小さくなるように制御する。
【0032】
具体的な実施例三
ガラスタンク炉のクラウンにおいて、第一領域の上方に対応している位置に燃焼器を設け、第二領域の上方に対応している位置に燃焼器を設け、第三領域の上方に対応している位置に燃焼器を設ける。各燃焼器の噴射角度とガラスタンク炉の両側のパラペットとの角度はいずれも10度であり、ガラスタンク炉の前壁及び後壁との角度が0度である。第二領域の上方のクラウンの中央位置の燃焼器のガス燃料導管と酸素ガス導管が同心円構造を成し、ガス燃料導管が同心円構造の内導管であり、酸素ガス導管が同心円構造の外導管であり、第一領域と第三領域の上方のクラウンの両側位置の燃焼器のガス燃料導管との間の夾角が4度である。制御ユニットは、ガス燃料流量と酸素ガス流量のプリセット比値の範囲が1:2.25〜1:2.1であるように、ガス燃料流量と酸素ガス流量の比値がこのプリセット比値の範囲より大きい場合に、ガス燃料制御弁の弁開度が小さくなるように制御するか酸素ガス制御弁の弁開度が大きくなるように制御し、ガス燃料流量と酸素ガス流量の比値がプリセット比値の範囲より小さいと判断する場合に、ガス燃料制御弁の弁開度が大きくなるように制御するか酸素ガス制御弁の弁開度が小さくなるように制御する。
【0033】
本発明の燃焼器のガス燃料流量と酸素ガス流量をリアルタイムに検出して制御することによって、燃焼器の熱量出力を安定させると同時に、熱利用率を高め、クラウンの中央位置と両側位置にある燃焼器に異なるガス燃料導管と前記酸素ガス導管の構成構造を設けて、ガラス液面の受熱効果を向上させる。
【0034】
以上に説明される内容は単に又は各種の方式で組み合わせて実施してもよいが、これらの変型態様はいずれも本発明の保護範囲に属する。
【0035】
最後、説明すべきなのは、本文において、用語「からなる」、「含む」又はその如何なる他の変更態様は排他的包含を含むことを目的とし、これにより、一連の要素を含む過程、方法、物品又は設備は、それらの要素を含むだけでなく、明らかに示さないほかの要素も含むかこのような過程、方法、物品又は設備に固有する要素も含む。より多い制限がない場合に、「一個の…からなる」という文によって限定される要素は、前記要素からなる過程、方法、物品又は設備に別の同じ要素も存在することが排除されない。
【0036】
以上の実施例は、本発明を説明するための技術的手段であり、それを制限するものではない。前記実施例を参照して本発明を詳しく説明したが、当業者が理解すべきなのは、それは依然として前記各実施例に記載される技術的手段を修正できるかその中の技術的特徴の一部を等価代用できるが、これらの修正又は代用は、相応的な技術的手段の本質を本発明の各実施例の技術的手段の精神と範囲から逸脱することがない。
【0037】
本願は、2016年6月22日付で中国特許局に提出され、出願番号が201610474169.Xであり、発明の名称が「ガラスタンク炉及びガラス」の中国特許請求の優先権を要求し、その内容全体が引用によって本願に組み合わせられる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の燃焼器のガス燃料流量と酸素ガス流量をリアルタイムに検出して制御することによって、燃焼器の熱量出力を安定させると同時に、熱利用率を高め、クラウンの中央位置と両側位置にある燃焼器に異なるガス燃料導管と前記酸素ガス導管の構成構造を設けて、ガラス液面の受熱効果を向上させる。
【国際調査報告】