(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-510375(P2019-510375A)
(43)【公表日】2019年4月11日
(54)【発明の名称】基板熱処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20190315BHJP
【FI】
H01L21/30 567
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-547996(P2018-547996)
(86)(22)【出願日】2016年3月18日
(85)【翻訳文提出日】2018年10月17日
(86)【国際出願番号】CN2016076681
(87)【国際公開番号】WO2017156758
(87)【国際公開日】20170921
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン フゥイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ホンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ウー ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ウェンジュン
(72)【発明者】
【氏名】チェン フーピン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ヂーヨウ
【テーマコード(参考)】
5F146
【Fターム(参考)】
5F146KA04
5F146KA05
(57)【要約】
本発明は、基板を熱処理するための基板熱処理装置であって、ベークプレートと、複数の支持部材と、バッフルプレートと、駆動装置とを備える基板熱処理装置を提供する。ベークプレートは、少なくとも一つのガス流路を画定する。複数の支持部材は、基板を支持する。バッフルプレートは、ベークプレートの上面に固定されている。バッフルプレートは、その内周壁と基板との間に隙間が形成されるように基板を囲んでいる。駆動装置は、複数の支持部材を駆動して上下動させる。基板を熱処理する際に、ベークプレートのガス流路を介して基板とベークプレートの上面との間の空間に高温ガスが供給され、高温ガスはバッフルプレートの内周壁と基板との間の隙間から流出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を熱処理するための基板熱処理装置であって、
少なくとも一つのガス流路を画定するベークプレートと、
前記基板を支持する複数の支持部材と、
前記ベークプレートの上面に固定されたバッフルプレートであって、前記バッフルプレートの内周壁と前記基板との間に隙間が形成されるように前記基板を囲むバッフルプレートと、
前記複数の支持部材を駆動して上下動させる駆動装置とを備え、
前記基板を熱処理する際に、前記ベークプレートの前記ガス流路を介して前記基板と前記ベークプレートの上面との間の空間に高温ガスが供給され、前記高温ガスは前記バッフルプレートの前記内周壁と前記基板との間の前記隙間から流出することを特徴とする基板熱処理装置。
【請求項2】
前記バッフルプレートおよび前記ベークプレートに垂直に挿入された複数の位置決めピンをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の基板熱処理装置。
【請求項3】
各位置決めピンは、ガイド部と位置決め部とを有することを特徴とする請求項2に記載の基板熱処理装置。
【請求項4】
前記バッフルプレートは取り外し可能であることを特徴とする請求項1に記載の基板熱処理装置。
【請求項5】
前記隙間は0.1mm〜1mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の基板熱処理装置。
【請求項6】
断熱ホルダを更に備え、前記ベークプレートは前記断熱ホルダ内に配置され、前記断熱ホルダは、前記ベークプレートの前記ガス流路と連通する少なくとも一つの第一ガス流路を画定していることを特徴とする請求項1に記載の基板熱処理装置。
【請求項7】
前記断熱ホルダの前記第一ガス流路の一端は、前記ベークプレートの前記ガス流路に連通しており、前記断熱ホルダの前記第一ガス流路の他端は断熱材で包まれたガスラインに接続されていることを特徴とする請求項6に記載の基板熱処理装置。
【請求項8】
前記ガスラインに、前記ガスライン内のガスを加熱するガスヒータをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の基板熱処理装置。
【請求項9】
前記複数の支持部材はそれぞれ前記ベークプレートを貫通し、前記複数の支持部材は支持アームに固定され、前記支持アームは前記駆動装置に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の基板熱処理装置。
【請求項10】
各支持部材は、滑り止めピンと支持軸とを有しており、前記滑り止めピンは、前記基板を支持する球状のヘッドを備えており、前記滑り止めピンは前記支持軸の上端に搭載されており、前記支持軸の下端は前記支持アームに固定されていることを特徴とする請求項9に記載の基板熱処理装置。
【請求項11】
前記バッフルプレートはガイド面を有することを特徴とする請求項1に記載の基板熱処理装置。
【請求項12】
前記ガイド面は傾斜しており、垂直面に対して角度を有しており、前記角度は20度未満であることを特徴とする請求項11に記載の基板熱処理装置。
【請求項13】
前記バッフルプレートの材料は、断熱材によって囲まれたセラミックまたはステンレス鋼であることを特徴とする請求項1に記載の基板熱処理装置。
【請求項14】
前記バッフルプレートの上方に、混合ガス排出用のリフトカバーをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の基板熱処理装置。
【請求項15】
前記リフトカバーは、中空のキャビティを有しており、入口孔および排気インターフェースを画定しており、前記入口孔および前記排気インターフェースは、前記中空のキャビティと連通しており、前記排気インターフェースは排気系に接続していることを特徴とする請求項14に記載の基板熱処理装置。
【請求項16】
前記リフトカバーは、前記中空のキャビティに連通する排出口を画定していることを特徴とする請求項15に記載の基板熱処理装置。
【請求項17】
前記ベークプレート内に温度センサをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の基板熱処理装置。
【請求項18】
前記高温ガスは高温の不活性ガス、または、高温の窒素であることを特徴とする請求項1に記載の基板熱処理装置。
【請求項19】
前記高温ガスの温度は前記ベークプレートの温度と同じであることを特徴とする請求項1に記載の基板熱処理装置。
【請求項20】
前記高温ガスの温度は前記ベークプレートの温度に近似することを特徴とする請求項1に記載の基板熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造の分野一般に関し、特に基板を熱処理する基板熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造において、フォトリソグラフィ工程は欠かせない部分である。フォトリソグラフィ工程では、種々の熱処理が行われる。例えば、基板にフォトレジストをスピンコーティングした後に行われるソフトベーキング、露光後ベーキング、及び、現像後に行われるハードベーキング等が挙げられる。高精度の半導体装置を製造する際に行う基板の熱処理では、熱処理工程での高度な均一性が求められる。従来の基板熱処理装置において、基板は一般的にベークプレート上に載置され直接加熱される。このように基板をベークプレートに載置して直接加熱する方法は簡単であるものの、基板の反りによって、基板の均一な加熱を確実に行うことは困難である。基板は平坦に見えても、実際にはある程度の反りがある場合もある。特に、基板が極薄基板である場合には、基板の反りがより顕著になることがある。
図12aから
図12cに示すように、基板1215は、上向きに湾曲(convex)、下向きに湾曲(concave)、または、その両方となっている場合がある。基板1215の反りがどのような場合であっても、基板1215をベークプレート1202に載置して直接加熱する限り、基板1215の任意の箇所とベークプレート1202との距離(h)に差が生じ、ベークプレート1202上方の空間に温度勾配があるため、熱処理工程における基板1215の加熱が不均一となる。熱処理後の基板1215の温度は不均一であり、これが半導体装置の品質に悪影響を及ぼし、ひいては基板1215を台無しにすることもある。
図13には、基板1215の任意の箇所における加熱温度t(h)と、基板1215の任意の箇所とベークプレート1202との距離(h)との関係が示されている。これから、距離(h)の増加に伴い、加熱温度t(h)が低くなっていることが見てとれる。さらに、基板1215を熱処理する前に、基板1215に対してコーティングや現像工程などが行われることもある。基板1215を加熱する際にベークプレート1202に載置すると、基板1215上の高温のフォトレジスト等の有機溶剤が流出しやすくなり、ベークプレート1202を汚してしまう。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、基板を熱処理するための基板熱処理装置であって、ベークプレートと、複数の支持部材と、バッフルプレートと、駆動装置とを備える基板熱処理装置を提供する。前記ベークプレートは、少なくとも一つのガス流路を画定する。前記複数の支持部材は、基板を支持する。前記バッフルプレートは、前記ベークプレートの上面に固定されている。前記バッフルプレートは、その内周壁と前記基板との間に隙間が形成されるように前記基板を囲んでいる。前記駆動装置は、複数の支持部材を駆動して上下動させる。前記基板を熱処理する際に、前記ベークプレートの前記ガス流路を介して前記基板と前記ベークプレートの上面との間の空間に高温ガスが供給され、前記高温ガスは前記バッフルプレートの前記内周壁と前記基板との間の前記隙間から流出する。
【0004】
上記したように、本発明の基板熱処理装置は、少なくとも三つの観点において有益な効果を奏する。第一に、前記基板と前記ベークプレートの前記上面との間の前記空間に前記高温ガスを供給することにより、ガスの対流が増加し、前記基板と前記ベークプレートの前記上面との間に等温層が形成される。これによって、前記基板が反っているか否かに関わらず、前記基板が均等に加熱される。第二に、前記バッフルプレートによって、前記基板の中央が前記ベークプレートとが整列し、前記バッフルプレートの前記内周壁と前記基板との間の前記隙間が充分に小さいため、前記基板が反っているか否かに関わらず、前記隙間から排出される前記高温ガスの流れが均等になり、前記基板と前記ベークプレートの前記上面との間に前記等温層を形成することができる。第三に、前記バッフルプレートの前記内周壁と前記基板との間の前記隙間は小さく、前記熱処理工程において前記基板と前記ベークプレートの前記上面との間の空間に前記高温ガスが連続して供給されるため、前記高温ガスと有機溶剤の混合ガスが連続して排出される。従って前記基板上の有機溶剤は、前記支持部材および前記ベークプレートに流れ出すことが殆どなく、前記支持部材を頻繁に洗浄する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本発明の例示的な実施形態による、基板を熱処理するための基板熱処理装置の断面図である。
【
図2】基板を装着または取り外す際の基板熱処理装置を示す断面図である。
【
図3】本発明の例示的な別の実施形態による、基板を熱処理するための基板熱処理装置の断面図である。
【
図4】本発明の例示的な別の実施形態による、基板を熱処理するための基板熱処理装置の断面図である。
【
図5】基板を装着または取り外す際の基板熱処理装置を示す断面図である。
【
図6】本発明の例示的な別の実施形態による、基板を熱処理するための基板熱処理装置の断面図である。
【
図7】基板を中央に配置させるための複数の位置決めピンが連結されたバッフルプレートと、当該バッフルプレートの内周壁と基板との間の隙間を示す上面図である。
【
図9a】本発明による基板熱処理装置の支持部材の分解図である。
【
図9b】本発明による基板熱処理装置の支持部材の斜視図である。
【
図10a】本発明の基板熱処理装置によって、上向きに湾曲した基板を熱処理する様子を示す図である。
【
図10b】本発明の基板熱処理装置によって、下向きに湾曲した基板を熱処理する様子を示す図である。
【
図10c】本発明の基板熱処理装置によって、上向きおよび下向きに湾曲した基板を熱処理する様子を示す図である。
【
図11】本発明の基板熱処理装置を用いて行う基板の熱処理において、基板の任意の箇所の加熱温度t(h)と基板の当該任意の箇所とベークプレートとの距離(h)の関係を示す図である。
【
図12a】従来の基板熱処理装置によって、上向きに湾曲した基板を熱処理する様子を示す図である。
【
図12b】従来の基板熱処理装置によって、下向きに湾曲した基板を熱処理する様子を示す図である。
【
図12c】従来の基板熱処理装置によって、上向きおよび下向きに湾曲した基板を熱処理する様子を示す図である。
【
図13】従来の基板熱処理装置を用いて行う基板の熱処理において、基板の任意の箇所における加熱温度t(h)と、基板の任意の箇所とベークプレートとの距離(h)との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1には、本発明の例示的な実施形態による、基板を熱処理するための基板熱処理装置が示されている。基板熱処理装置は、断熱ホルダ101と、ベークプレート102と、バッフルプレート103と、リフトカバー104と、複数の支持部材110とを有する。ベークプレート102は、基板115を加熱するための断熱ホルダ101内に配置されている。ベークプレート102は、アルミニウム製の円形の電気加熱パネルとすることができる。熱処理工程中、ベークプレート102の上面の温度分布は非常に均一となっている。ベークプレート102のサイズは、異なるサイズの基板115を熱処理するために、基板115のサイズによって決定される。例えば、現在一般的に使用されている基板115のサイズが8インチまたは12インチであることを考慮すると、ベークプレート102の直径は350mmとすることができる。したがって、ベークプレート102は、サイズが8インチまたは12インチの基板115を熱処理することができる。
【0007】
ベークプレート102は断熱ホルダ101内に収容され、ベークプレート102の中心は断熱ホルダ101の中心に位置合わせされる。ベークプレート102の側壁の温度特性に対する影響を回避するとともに、ベークプレート102が熱膨張した際に、ベークプレート102が断熱ホルダ101によって圧搾されることを防止するために、ベークプレート102の側壁と断熱ホルダ101との間には間隔114が形成されている。断熱ホルダ101は、セラミックス等の耐熱性材料からなる。断熱ホルダ101の中央には、第一ガス流路1011が形成されている。第一ガス流路1011は断熱ホルダ101を貫通している。ベークプレート102の中央には、第二ガス流路1021が形成されている。第二ガス流路1021は、ベークプレート102を貫通して第一ガス流路1011と連通している。第一ガス流路1011の一端は第二ガス流路1021に連通し、第一ガス流路1011の他端は断熱材で包まれたガスライン106に接続されている。ガスライン106には、ガスライン106のガスを加熱するためのガスヒータ107が配置されており、基板115とベークプレート102の上面との間の空間に第一ガス流路1011と第二のガス流路1021とを介して高温ガスが供給されるようになっている。基板115は、断熱ホルダ101及びベークプレート102を貫通する複数の支持部材110によって、ベークプレート102の上面よりも上方に支持されている。複数の支持部材110は、支持アーム109に固定されている。支持アーム109は、駆動装置108に接続されている。基板115とベークプレート102の上面との距離を調整する場合、または、基板115を脱着する場合、駆動装置108が支持アーム109を上下動させる。これにより、複数の支持部材110が上下動し、基板115を上下動させる。駆動装置108はモータとすることができる。
【0008】
図9aおよび
図9bに示すように、一実施形態において、支持部材110は滑り止めピン1101と支持軸1102とを有している。滑り止めピン1101は、基板115を支持する球状の頭部を有している。滑り止めピン1101は、滑り止めピン1101を分解して交換し易くするために、ねじ止め等の方法によって支持軸1102の上端に取り付けられている。滑り止めピン1101が滑り止め機能を有しているため、基板115を滑り止めピン1101上に載置して上下動させる際に、基板115の水平方向の移動が滑り止めピン1101によって防止される。支持軸1102の下端は支持アーム109に固定されている。
【0009】
バッフルプレート103は、ベークプレート102の上面に、取り外し可能に固定されている。バッフルプレート103は、その内周壁と基板115との間に隙間113が形成されるように基板115を囲んでいる。隙間113は、0.1mm〜1mm、好ましくは0.1mm〜0.5mmの範囲である。バッフルプレート103は、基板115を支持部材110上に適切に装着するためのガイド面1031を有している。ガイド面1031は傾斜しており、垂直面に対して角度を有している。前記角度は20度未満であり、好ましくは15度である。バッフルプレート103の材料は、断熱材によって囲まれたセラミックまたはステンレス鋼とすることができる。
【0010】
リフトカバー104は、バッフルプレート103の上方に配置されている。リフトカバー104は中空のキャビティ1041を有している。リフトカバー104は、入口孔1042および排気インターフェース1043を画定している。入口孔1042および排気インターフェース1043は、中空キャビティ1041と連通しており、排気インターフェース1043は、排気系に接続する。入口孔1042及び排気インターフェース1043を介して、熱処理工程で発生した混合ガスを排出することができる。リフトカバー104はまた、中空キャビティ1041と連通する排出口1044も画定している。
【0011】
ベークプレート102には、ベークプレート102の温度を監視する温度センサ111が配置されている。温度センサ111は、熱電対とすることができる。断熱ホルダ101は台座112上に配置されている。
【0012】
本発明の基板熱処理装置を用いて、例えば
図2に示すように、フォトレジストをスピンコーティングした後の基板115を熱処理する場合、駆動装置108は、支持アーム109を駆動して上昇させ、複数の支持部材110を装着位置に移動させる。次に、ロボットアーム116等によって、基板115を複数の支持部材110に載置する。駆動装置108は、支持アーム109を下降させ、基板115を処理位置に移動させる。基板115とベークプレート102の上面との間には距離があるため、基板115はベークプレート102の上面に接触しない。前記距離は、処理の要件によって決定される。基板115とベークプレート102の上面との間の空間に第一ガス流路1011と第二のガス流路1021とを介して高温の不活性ガスまたは高温の窒素が供給される。高温の不活性ガスを例に挙げると、高温の不活性ガスの温度は、ベークプレート102の温度と同じであってもよく、ベークプレート102の温度に近似するものであってもよい。基板115とベークプレート102の上面との間の空間に高温の不活性ガスを供給することにより、ガスの対流が増加し、基板115とベークプレート102の上面との間に等温層が形成される。これにより熱伝導率が同一となり、ベークプレート102の上面の上方の空間における温度勾配が破壊される。従って、基板115が反っているか否かに関係なく、熱処理工程において基板115が均一に加熱される。熱処理工程で生成された混合ガスは、入口孔1042を介して中空キャビティ1041内に排出され、中空キャビティ1041内の混合ガスは排気インターフェース1043を介して中空キャビティ1041から排出される。基板115に熱処理を行う前に、基板115に対してコーティング、現像等のような処理を行うことがある。基板115に熱処理を行うと、基板115上のフォトレジストなどの有機溶剤が揮発し、高温の不活性ガスと共に中空キャビティ1041内に排出される。有機溶剤は中空キャビティ1041内で凝縮され、排出口1044から排出される。バッフルプレート103の内周壁と基板115との間の隙間113は小さく、熱処理工程において基板115とベークプレート102の上面との間の空間に高温の不活性ガスが連続して供給されるため、基板115上の有機溶剤は、支持部材110およびベークプレート102に流れ出しにくい。また、本発明の基板熱処理装置は、ベークプレート102の上面にバッフルプレート103が固定されており、本発明の基板熱処理装置を用いて基板115に熱処理を行う場合、基板115はベークプレート102と中心合わせが容易となる。ロボットアーム116が基板115を装着または取り外す際に、中心合わせを行う必要はない。さらに、バッフルプレート103の内周壁と基板115との間の隙間113が充分に小さいため、基板115が反っているか否かに関わらず、基板115の周辺において隙間113から排出される高温の不活性ガスの流れが均等になり、基板115とベークプレート102の上面との間に等温層を形成することができる。基板115に熱処理を行った後、駆動装置108は支持アーム109を駆動して上昇し、複数の支持部材110を取り外し位置に移動させる。ロボットアーム116が、支持部材110から基板115を取り外し、高温の不活性ガスの供給を停止する。
【0013】
図10a〜
図10c、および、
図11に示すように、基板115が上向きに湾曲、下向きに湾曲、または、その両方であり、基板115の任意の箇所とベークプレート102との距離(h)が異なる場合であっても、基板115とベークプレート102の上面との間の空間に高温の不活性ガスを供給し、ガスの対流を増加させて基板115とベークプレート102の上面との間に等温層を形成することにより、基板115が均一に加熱され、熱処理後の基板115の温度が均等となる。
【0014】
図3に示す別の実施形態では、断熱ホルダ101およびベークプレート102は、それぞれ基板115とベークプレート102の上面との間の空間に高温ガスを供給するための複数の第一ガス流路1011と複数の第二ガス流路1021とを画定している。複数の第一ガス流路1011は、それぞれガスライン106に接続されている。
【0015】
図4および
図5に示すさらに別の実施形態では、複数の位置決めピン117がバッフルプレート103およびベークプレート102に垂直に挿入されて、基板115がずれて、基板115がバッフルプレート103に接触してしまうことを回避している。複数の位置決めピン117は、バッフルプレート103の内周壁に沿って均等に配置されている。
図8に示すように、各位置決めピン117は、ガイド部1171と位置決め部1172とを有する。
図7に示すように、基板115を支持部材110上に載置して、ガイド部1171に沿って処理位置まで下降させると、位置決め部1172によって基板115が位置決めされ、基板115がベークプレート102と中央揃えとなり、バッフルプレート103の内周壁と基板115との間に隙間113が形成される。
【0016】
図4および
図5に開示する実施形態とは異なり、
図6に示す別の実施形態では、断熱ホルダ101およびベークプレート102は、
図6に示すようにそれぞれ基板115とベークプレート102の上面との間の空間に高温ガスを供給するための複数の第一ガス流路1011と複数の第二ガス流路1021とを画定している。複数の第一ガス流路1011は、それぞれガスライン106に接続されている。
【0017】
上記したように、本発明の基板熱処理装置は、少なくとも三つの観点において有益な効果を奏する。第一に、基板115とベークプレート102の上面との間の空間に前記高温ガスを供給することにより、ガスの対流が増加し、基板115とベークプレート102の上面との間に等温層が形成される。これによって、基板115が反っているか否かに関わらず、基板115が均等に加熱される。第二に、バッフルプレート103および位置決めピン117によって、基板115が自動的にベークプレート102と中央揃えになる。さらに、バッフルプレート103の内周壁と基板115との間の隙間113が充分に小さいため、基板115が反っているか否かに関わらず、基板115の周辺において隙間113から排出される高温ガスの流れが均等になり、基板115とベークプレート102の上面との間に等温層を形成することができる。第三に、バッフルプレート103の内周壁と基板115との間の隙間113は小さく、熱処理工程において基板115とベークプレート102の上面との間の空間に高温ガスが連続して供給されるため、高温ガスと有機溶剤の混合ガスが連続して排出される。従って基板115上の有機溶剤は、支持部材110およびベークプレート102に流れ出すことが殆どなく、支持部材110を頻繁に洗浄する必要がなくなる。
【0018】
本発明の前述の説明は、例示および説明のために提示されたものである。本発明の正確な開示として限定または網羅するものではなく、上記の教示内容に鑑みて多くの修正および変形が可能であることは自明である。当業者に自明な改変および変形は、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲内に含まれる。
【国際調査報告】