特表2019-511183(P2019-511183A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-511183軌道車両蛇行動不安定性の抑制システムと方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-511183(P2019-511183A)
(43)【公表日】2019年4月18日
(54)【発明の名称】軌道車両蛇行動不安定性の抑制システムと方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 15/20 20060101AFI20190322BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20190322BHJP
   H02P 23/30 20160101ALI20190322BHJP
   H02P 23/04 20060101ALI20190322BHJP
   H02P 27/06 20060101ALI20190322BHJP
【FI】
   B60L15/20 A
   B60L3/00 C
   H02P23/30
   H02P23/04
   H02P27/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-535012(P2018-535012)
(86)(22)【出願日】2017年3月22日
(85)【翻訳文提出日】2018年7月11日
(86)【国際出願番号】CN2017077638
(87)【国際公開番号】WO2017167087
(87)【国際公開日】20171005
(31)【優先権主張番号】201610191795.8
(32)【優先日】2016年3月30日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】518232342
【氏名又は名称】中車青島四方机車車輛股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】陳双喜
(72)【発明者】
【氏名】虞大聯
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼小軍
(72)【発明者】
【氏名】劉韶慶
(72)【発明者】
【氏名】李海涛
(72)【発明者】
【氏名】曲文強
【テーマコード(参考)】
5H125
5H505
【Fターム(参考)】
5H125AA05
5H125BA00
5H125CA01
5H125CA04
5H125CC01
5H125EE08
5H125EE53
5H125EE55
5H125EE58
5H505AA19
5H505BB04
5H505DD03
5H505GG02
5H505HB01
5H505JJ09
5H505JJ17
5H505JJ24
5H505LL01
5H505LL22
5H505LL32
5H505LL38
5H505MM12
(57)【要約】
軌道車両蛇行動不安定現象の抑制システムと方法であり、台車が蛇行動状態にあるかどうかを判断するために使用される蛇行動早期警戒と制御モジュールと、前記蛇行動早期警戒と制御モジュールの判断により、トラクションモーターの回転速度を制御するトラクションモーター速度制御システムを含み、前記蛇行動早期警戒と制御モジュールの信号出力端は前記トラクションモーター速度制御システムに接続する。本発明は台車の横向き加速度に基づいて蛇行動運動特徴周波数長を抽出し、抽出した蛇行動非線形特徴周波数長により振動非線形指標を計算して台車が蛇行動不安定現象状態にあるかどうかを判断し、そして、DTC制御モジュールを通じて牽引システムの直接トルクに対して制御し、従来の列車横向き制御は列車の横向き振動を減少することだけができ、蛇行動不安定現象を解消することができないが、本発明はトラクションモーターに対して制御し、これによって速度を低下させ蛇行動不安定現象を解消する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車が蛇行動不安定状態にあるかどうかを判断する為に使用される蛇行動早期警戒と制御モジュールと、
前記蛇行動早期警戒と制御モジュールの判断により、トラクションモーターの回転速度を制御するトラクションモーター速度制御システムを含み、
前記蛇行動早期警戒と制御モジュールの信号出力端が前記トラクションモーター速度制御システムに接続することを特徴とする軌道車両蛇行動不安定現象の抑制システム。
【請求項2】
さらに台車の横向き振動加速度を測定する横向き加速度測定モジュールを含み、前記横向き加速度測定モジュールの信号出力端は蛇行動早期警戒と制御モジュールの信号入力端に接続し、前記蛇行動早期警戒と制御モジュールは横向き加速度測定モジュールの出力データにより台車が両蛇行動不安定現象状態にあるかどうかを判断することを特徴とする請求項1に記載の軌道車両蛇行動不安定現象の抑制システム。
【請求項3】
前記トラクションモータースピード制御システムは前記蛇行動早期警戒と制御モジュールに伝送された制御信号Kと調整した後の所与の回転速度sp2に基づいて元の所与の回転速度sp1または調整した後の所与の回転速度sp2を採用してスピードコントローラーモジュールに伝送することを選択するために使用される所与の速度制御モジュールと、
所与の回転速度と実際の回転速度を受信し、DTC制御モジュールに所与の鎖交磁束Fluxと所与のトルクTorqueを伝送するために使用されるスピードコントローラーモジュールと、
トラクションモーター測定モジュールの伝送電流I_abと電圧V_abc、スピードコントローラーモジュールの伝送した所与の鎖交磁束Fluxと所与のトルクTorqueを受信し、トラクションモーターインバータのスイッチ部品に駆動信号gを発送するために使用されるDTC制御モジュールを含み、
前記蛇行動早期警戒と制御モジュールの制御信号出力端、所与の回転速度出力端はそれぞれ所与の速度制御モジュールの制御信号入力端、所与の回転速度入力端に接続し、前記所与の速度制御モジュールの所与の回転出力端はスピードコントローラーモジュールの所与の回転速度入力端と接続し、前記スピードコントローラーモジュールの実際の回転速度入力端はトラクションモーターの回転出力端と接続し、前記スピードコントローラーモジュールの所与の鎖交磁束出力端、所与のトルク出力端はそれぞれDTC制御モジュールの所定鎖交磁束入力端、所与のトルク入力端と接続し、前記DTC制御モジュールの電圧、電流入力端はそれぞれトラクションモーター測定モジュールの電圧、電流出力端に接続し、前記DTC制御モジュールの駆動信号出力端はトラクションモーターインバータに接続する
ことを特徴とする請求項1に記載の軌道車両蛇行動不安定性の抑制システム。
【請求項4】
さらに、車両蛇行動不安定性の抑制システムのパラメトリック変動を表示するように、表示モジュールを含み、前記表示モジュールの信号入力端はそれぞれスピードコントローラーモジュール、トラクションモーターの回転速度出力端、蛇行動早期警戒と制御モジュールに接続することを特徴とする請求項1に記載の軌道車両蛇行動不安定性の抑制システム。
【請求項5】
前記横向き加速度測定モジュールはセンサーモジュール、GPSモジュール、データ受信モジュール、主制御機構MCUモジュールとデータ処理と分析モジュールを含み、前記データ受信モジュールはそれぞれセンサーモジュールとGPSモジュールに接続し、前記主制御機構MCUモジュールはそれぞれ前記データ受信モジュール、データ処理と分析モジュールに接続する
ことを特徴とする請求項2に記載の軌道車両蛇行動不安定性の抑制システム。
【請求項6】
以下のステップ、すなわち、
台車が蛇行動不安定状態にあるかどうかを判断するステップ1と、
台車が蛇行動不安定状態にあれば、現時点のトラクションモーターの回転速度によりさらに低い参考回転速度を出し、トラクションモーターを制御して回転速度を減少させ、軌道車両の走行速度を低減する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の軌道車両蛇行動不安定性の抑制方法。
【請求項7】
前記ステップ1において、前記蛇行動早期警戒と制御モジュールは測定した台車の横向きの振動加速度により振動非線形指標を計算して台車が蛇行動不安定状態にあるかどうかを判断し、前記振動非線形指標の計算は以下のステップ、即ち、



【数1】
(5)台車の対角一端の他のセンサーの横向き振動加速度に対して第(1)から(4)までを重複させ、
(6)台車の両対角端の横向き加速度の蛇行動特徴周波数が一致して且つ両者の非線形指標は何れも閾値以上であると、動力車には蛇行動不安定が発生することを含むことを特徴とする請求項6に記載の軌道車両蛇行動不安定性の抑制方法。
【請求項8】
前記ステップ2において、台車が蛇行動不安定状態にあると、蛇行動早期警戒と制御モジュールは制御信号kと調整した後の所与の回転速度sp2を所与の速度制御モジュールに伝送し、所与の速度制御モジュールは調整した後の所与の回転速度sp2を速度制御モジュールに伝送する
ことを特徴とする請求項7に記載の軌道車両蛇行動不安定性の抑制方法。
【請求項9】
スピードコントローラーモジュールは所与の回転速度sp2により、鎖交磁束表を経て所与の鎖交磁束FluxをDTC制御モジュールに出力し、スピードコントローラーモジュールは所与の回転速度sp2とトラクションモーターの実際の回転速度を比較してPI調節器を通じてDTC制御モジュールまで所与のトルクTorqueに出力される
ことを特徴とする請求項8に記載の軌道車両蛇行動不安定性の抑制方法。
【請求項10】
DTC制御モジュールは受信したトラクションモーターの測定モジュールに伝送された電流I_abと電圧V_abcに基づいて、実際の鎖交磁束と実際のトルクを計算し、所与の鎖交磁束Fluxと所与のトルクTorqueの実際の鎖交磁束と実際のトルクとの差を取得し、それぞれトルクと鎖交磁束ヒステリシス・コンパレータを経て、鎖交磁束セクタと共に電圧スイッチベクトル表に出力され、適合な電圧ベクトルを選択し、駆動信号gを発送することによりトラクションモーターインバータのスイッチ部品を制御する
ことを特徴とする請求項9に記載の軌道車両蛇行動不安定性の抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抑制システムと方法に関り、特に軌道車両蛇行動不安定性の抑制システムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
列車安全性は列車走行の主要な考慮要素であり、国内外のメーカーは異なったモニタリングシステムと設備を設計して列車の走行状態を監視する。これらのモニタリングシステムと設備は広範的に加速度計とストレインゲージを採用して列車安全指標と安定指標に対する監視を含む重要な部分を監視する。しかし、現在国内では列車蛇行動不安定性の国家的標準がないため、普通は以下のような処理方法を採用し:列車台車の横向き振動加速度に対して0.5−10Hzの帯域濾波を行い、濾波信号が続いて6つの波峰値が8−10m/s^2以上であると、列車の横向き不安定現象(蛇行動不安定性)と認められる。しかも、この方法の濾波範囲が大きいため、濾波後の信号には蛇行動周波数以外の信号がある可能性があり、6つの連続波の波峰値への定義は理論的な根拠がないため、蛇行動不安定性には誤判があるかもしれない。
【0003】
列車の走行速度の向上に伴い、運送安全性に対する要求もますます高くなり、列車蛇行動不安定性に対する早期警戒とコントロールは特に重要となる。従って、モニタリング技術を利用して動力車の走行状態に対してリアルタイム監視し、新規な方法を提出して現れる可能性のある蛇行動不安定性を正確に警戒することに対して重要な意義がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主要な目的は蛇行動不安定の後どうのようにして蛇行動不安定性を解消するかという技術問題を解決して、牽引システムのトルクを制御することによって蛇行動不安定の抑制を実現するシステムを提供することである。
【0005】
本発明はさらに牽引システムのトルクを制御することによって蛇行動不安定の抑制を実現する方法である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を実現するために、本発明の技術方案は、
台車が両蛇行動不安定状態にあるかどうかを判断する為に使用される蛇行動早期警戒と制御モジュールと、
前記蛇行動早期警戒と制御モジュールの判断により、トラクションモーターの回転速度を制御するトラクションモーター速度制御システム
を含む軌道車両蛇行動不安定性の抑制システムであり、前記蛇行動早期警戒と制御モジュールの信号出力端が前記トラクションモーター速度制御システムと接続する。
【0007】
さらに、台車の横向き振動加速度を測定するための横向き加速度測定モジュールを含み、
前記横向き加速度測定モジュールの信号出力端は蛇行動早期警戒と制御モジュールの信号入力端に接続し、
前記蛇行動早期警戒と制御モジュールは横向き加速度測定モジュールの伝送したデータにより台車が両蛇行動不安定状態にあるかどうかを判断する。
【0008】
さらに、前記トラクションモータースピード制御システムは前記蛇行動早期警戒と制御モジュールにより伝送した制御信号Kと調整した後の所与の回転速度sp2に基づいて、元の所与の回転速度sp1を採用するかまたは調整した後の所与の回転速度sp2を採用するかスピードコントローラーモジュールに伝送するために使用される所与の速度制御モジュールと、
所与の回転速度と実際の回転速度を受信し、DTC制御モジュールに所与の鎖交磁束Fluxと所与のトルクTorqueを伝送するために使用されるスピードコントローラーモジュールと、
トラクションモーターの測定モジュールの伝送電流I_abと電圧V_abc、スピードコントローラーモジュールの伝送した所与の鎖交磁束Fluxと所与のトルクTorqueを受信し、トラクションモーターインバータのスイッチ部品に駆動信号gを発送するために使用されるDTC制御モジュールを含み、
前記蛇行動早期警戒と制御モジュールの制御信号出力端、所与の回転速度出力端はそれぞれ所与の速度制御モジュールの制御信号入力端、所与の回転速度入力端に接続され、前記所与の速度制御モジュールの所与回転出力端はスピードコントローラーモジュールの所与の回転速度入力端と接続し、前記スピードコントローラーモジュールの実際の回転速度入力端はトラクションモーター回転出力端と接続し、前記スピードコントローラーモジュールの所与の鎖交磁束出力端、所与のトルク出力端はそれぞれDTC制御モジュールの所定の鎖交磁束入力端、所与のトルク入力端と接続し、前記DTC制御モジュールの電圧、電流入力端はそれぞれトラクションモーター測定モジュールの電圧、電流出力端に接続し、前記DTC制御モジュールの駆動信号出力端はトラクションモーターインバータに接続する。
【0009】
さらに、車両蛇行動不安定性の抑制システムのパラメトリック変動を表示するように表示モジュールを含み、
前記表示モジュールの信号入力端はそれぞれスピードコントローラーモジュール、トラクションモーター回転速度出力端、蛇行動早期警戒と制御モジュールに接続する。
【0010】
さらに、前記横向き加速度測定モジュールはセンサーモジュール、GPSモジュール、データ受信モジュール、主制御機構MCUモジュール、データ処理と分析モジュールを含み、
前記データ受信モジュールはそれぞれセンサーモジュールとGPSモジュールに接続し、前記主制御機構MCUモジュールはそれぞれ前記データ受信モジュールとデータ処理と分析モジュールに接続する。
【0011】
本発明のもう一つの技術案は前記軌道車両蛇行動不安定性抑制システムの抑制方法であり、以下のステップを含み:
ステップ1:台車が蛇行動不安定状態にあるかどうかを判断し、
ステップ2:もし台車が蛇行動不安定状態にあれば、現時点のトラクションモーターの回転速度によりさらに低い参考回転速度を設定し、トラクションモーターを制御して回転速度を減少させ、軌道車両の走行速度を低減する。
【0012】
さらに、前記ステップ1において、前記蛇行動早期警戒と制御モジュールは測定した台車の横向き振動加速度によって振動非線形指標を計算し台車が蛇行動不安定状態にあるかどうかを判断する。
【0013】
前記振動非線形の計算は以下のステップを含み、すなわち、



【0014】
【数1】
(5)台車の対角一端の他のセンサーの横向き振動加速度に対して第(1)から(4)までを重複させ、
(6)台車の両対角端の横向き加速度蛇行動特徴周波数が一致して且つ両者の非線形指標は何れも閾値以上であると、動力車には蛇行動不安定性が発生することとする。
【0015】
さらに、前記ステップ2において、台車が蛇行動不安定状態にあると、蛇行動早期警戒と制御モジュールは制御信号kと調整した後の所与の回転速度sp2を所与の速度制御モジュールに伝送し、所与の速度制御モジュールは調整した後の所与の回転速度sp2を速度制御モジュールに伝送する。
【0016】
さらに、スピードコントローラーモジュールは所与の回転速度sp2により、鎖交磁束表を経て所与の鎖交磁束FluxをDTC制御モジュールに出力し、スピードコントローラーモジュールは所与の回転速度sp2とトラクションモーターの実際の回転速度を比較してPI調節器を通じてDTC制御モジュールまで所与のトルクTorqueを出力する。
【0017】
さらに、DTC制御モジュールは受信したトラクションモーター測定モジュールに伝送された電流I_abと電圧V_abcに基づいて、実際の鎖交磁束と実際のトルクを計算し、所与の鎖交磁束Fluxと所与のトルクTorqueの実際の鎖交磁束と実際のトルクとの差を取得し、それぞれトルクと鎖交磁束ヒステリシス・コンパレータを経て、鎖交磁束セクタと共に電圧スイッチベクトル表に出力され、適合な電圧ベクトルを選択し、駆動信号gを発送することによりトラクションモーターインバータのスイッチ部品を制御する。
【発明の効果】
【0018】
以上で、本発明の前記軌道車両蛇行動不安定性抑制システムと方法は以下の利点があり、
1.本発明は台車の横向き加速度で蛇行動特徴周波数を抽出し、抽出した蛇形非線形特徴によって振動非線形指標を計算して台車が蛇行動不安定状態にあるかないかを判断し、DTC制御モジュールを通じて牽引システムの直接トルクを制御し、従来の列車横向き制御はただ列車の横向き振動を減少することだけができるが、本発明はトラクションモーターに対して制御し、これによって速度を低下させ蛇行動不安定現象を解消する。
【0019】
2.本発明はさらに新たな蛇行動不安定性判断方法を提供し、瞬時周波数、瞬時振幅と非線形指標を計算し、非線形指標によって蛇行動不安定性があるかどうかを判断し、従来の技術の判定方法が信頼できない欠点を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は本発明の蛇行動不安定性直接トルク制御図である。
図2図2は本発明の横向き加速度の測定モジュールの結果概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では図面と具体的な実施形態を結合して本発明に対してさらに詳しく説明する。
【0022】
本発明の前記軌道車両蛇行動不安定性の抑制システムと方法は軌道車両の蛇行動不安定性を解消することに取り組む。
【0023】
軌道車両蛇行動不安定性の抑制システムであり、蛇行動早期警戒と制御モジュール、トラクションモーターの速度制御システムを含み、蛇行動早期警戒と制御モジュールの信号出力端は前記トラクションモーターの速度制御システムに接続する。蛇行動早期警戒と制御モジュールは台車が蛇行動不安定状態にあるかどうかを判断する為に使用され、トラクションモーターの速度制御システムは前記蛇行動早期警戒と制御モジュールの判断によりトラクションモーターの回転速度を制御するために使用される。蛇行動早期警戒と制御モジュールにより台車が蛇行動不安定状態にあるかどうかを判断し、もし蛇行動不安定状態にあれば、トラクションモーター回転速度を制御して低下させ、軌道車両蛇行動不安定性を効果的に解消できる。
【0024】
本実施形態において、蛇行動早期警戒と制御モジュールは振動非線形指標を計算する方法により台車が蛇行動不安定状態にあるかどうかを判断し、直接トルク制御(DTC)理論によりトラクションモーターの回転速度に対する直接的な制御を実現する。
【0025】
具体的には図1の示すように、軌道車両蛇行動不安定性システムは蛇行動早期警戒と制御モジュール、横向き加速度測定モジュール、所定のスピードコントローラーモジュール、スピードコントローラーモジュールとDTC制御モジュールを含む。蛇行動早期警戒と制御モジュールの制御信号出力端、所与の回転速度出力端はそれぞれ所与の速度制御モジュールの制御信号入力端、所与の回転速度入力端に接続され、所与の速度制御モジュールの所与の回転出力端はスピードコントローラーモジュールの所与の回転速度入力端に接続し、スピードコントローラーモジュールの実際の回転速度入力端はトラクションモーターの回転出力端に接続し、スピードコントローラーモジュールの所与の鎖交磁束出力端、所与のトルク出力端はそれぞれDTC制御モジュールの所定鎖交磁束入力端、所与のトルク入力端に接続し、DTC制御モジュールの電圧、電流入力端はそれぞれトラクションモーターの測定モジュールの電圧、電流出力端に接続し、DTC制御モジュールの駆動信号出力端はトラクションモーターインバータに接続する。
【0026】
図2の示すように、横向き加速度測定モジュールは台車の横向き振動加速度を測定するために使用され、横向き加速度測定モジュールの信号出力端は蛇行動早期警戒と制御モジュールの信号入力端に接続する。横向き加速度測定モジュールはセンサーモジュール、GPSモジュール、データ受信モジュール、主制御機構MCUモジュール、データ処理と分析モジュール並びにデータ記憶装置を含み、
データ受信モジュールはそれぞれセンサーモジュールとGPSモジュールに接続し、主制御機構MCUモジュールはそれぞれ前記データ受信モジュールとデータ処理と分析モジュール並びにデータ記憶装置に接続する。
【0027】
台車構造のスプリングの上の対角に二つの加速度センサーを取付け、台車の横向き加速度を測定するように使われる。GPSモジュールと主制御機構MCUモジュールの間にはRS−232シリアルポートによってデータ通信を行い、GPSモジュールは列車非線形指標はどのような速度で、どのような位置で得られたのかを確定することができる。データ受信モジュールは転換チップを利用して台車の加速度模擬信号の採集を実現する。データ処理と分析モジュールは蛇行動不安定性特徴に対して分析と処理のために使用される。
【0028】
データ採集モジュールはGPSモジュールと一つの鉄箱に実装され、動力車の下の設備倉庫に固定される。加速度センサーはひずみゲージ加速度センサーを採用し、そのサンプリング周波数は1000Hzであると黙認され、GPSテストパラメータは列車の速度と位置であり、そのサンプリング周波数は10Hzであると黙認される。
【0029】
横向き加速度測定モジュールの二つの測点出力端(ydd1、ydd2)出力端はそれぞれ蛇行動早期警戒と制御モジュールの二つの入力端と接続し、両測点の横向き加速度ydd1、ydd2は蛇行動早期警戒と制御モジュールに伝送して次の計算を行う。
【0030】
前記蛇行動早期警戒と制御モジュールは振動非線形指標を計算する方法を採用して台車が蛇行動不安定状態にあるかどうかを判断し、振動非線形の計算は以下のステップを含み:



【0031】
【数2】
(5)台車の対角一端の他のセンサーの横向き振動加速度に対して第(1)から(4)までを重複し、
(6)台車の両対角端の横向き振動加速度の蛇行動特徴周波数が一致して且つ両者の非線形指標は何れも閾値以上であると、動力車は蛇行動不安定性が発生することとする。
【0032】
前記新たな蛇行動不安定性判断方法は瞬時周波数、瞬時振幅と非線形指標を計算し、非線形指標によって蛇行動不安定現象であるかどうかを判断し、従来の技術の判定方法が信頼できないという欠点を解決する。
【0033】
蛇行動早期警戒と制御モジュールの制御信号出力端、所定の回転速度出力端はそれぞれ所定のスピードコントローラーモジュールの制御信号入力端、所定の回転速度出力端に接続する。蛇行動早期警戒と制御モジュールは前記ステップの計算によって判断した後、もし台車が蛇行動不安定状態にあれば、制御信号kと調整した後の所与の回転速度sp2を所与の速度制御モジュールに伝送する。
【0034】
所与の速度制御モジュールは元の回転速度sp1と調整した後の所定回転速度sp2の間の切替え選択に使われる。列車が安定に走行すると、元の回転速度sp1をスピードコントローラーモジュールに伝送し、もし列車が蛇行動不安定状態にあると、制御信号kを受信した後、所与の速度制御モジュールは調整した後の所与の回転速度sp2をスピードコントローラーモジュールに伝送し、所与の回転速度Nとする。
【0035】
スピードコントローラーモジュールは所与の回転速度と実際の回転速度を受信し、DTC制御モジュールに所与の鎖交磁束Fluxと所与のトルクTorqueを伝送するように使用される。スピードコントローラーモジュールは所与の回転速度sp2(所与の回転速度N)により、鎖交磁束表を経て所与の鎖交磁束FluxをDTC制御モジュールに出力し、スピードコントローラーモジュールは所与の回転速度sp2とトラクションモーターの実際の回転速度(N)を比較し(N−N)、PI調節器を経てDTC制御モジュールまで所与のトルクTorqueを出力する。
【0036】
DTC制御モジュールはトラクションモーターの測定モジュールの伝送電流I_abと電圧V_abc、スピードコントローラーモジュールに伝送された所与の鎖交磁束Fluxと所与のトルクTorqueを受信し、トラクションモーターインバータのスイッチ部品に駆動信号gを伝送するために使用される。
【0037】
DTC制御モジュールは受信したトラクションモーターの測定モジュールの伝送した電流I_abと電圧V_abcに基づいて、実際の鎖交磁束と実際のトルクを計算し、所与の鎖交磁束Fluxと所与のトルクTorqueが実際の鎖交磁束と実際のトルクとの差を取得し、それぞれトルクと鎖交磁束ヒステリシス・コンパレータを経て、鎖交磁束セクタと共に電圧スイッチベクトル表に出力され、適合な電圧ベクトルを選択し、駆動信号gを発送することによりトラクションモーターインバータのスイッチ部品を制御する。
【0038】
本発明は直接トルク制御(DTC)理論によるトラクションモーターの回転速度に対する直接的な制御を実現し、従来の技術がただ列車の横向き振動を減少することだけができるのと比較して、本発明は列車の走行速度を低下させ蛇行動不安定性を解消する。
【0039】
本発明の軌道車両蛇行動不安定性抑制システムはさらに表示モジュールを含み、表示システムは軌道車両蛇行動不安定性抑制システムのパラメトリック変化を表示するように使われ、電流、回転速度、鎖交磁束、電磁トルク、参考トルク、測定加速度と非線形指標等を含む。表示モジュール信号入力端はそれぞれピードコントローラーモジュール、トラクションモーター回転速度出力端、蛇行動早期警戒と制御モジュールに接続する。
【0040】
本発明はさらに前記装置を利用する軌道車両蛇行動不安定性の抑制方法を提供し、以下のステップを含み、
ステップ1:蛇行動早期警戒と制御モジュールは測定した台車の横向きの振動加速度により、振動非線形指標を計算して台車が蛇行動不安定状態にあるかどうかを判断し、
ステップ2:台車が蛇行動不安定状態にあると、現時点のトラクションモーターの回転速度によりさらに低い参考回転速度を設定し、トラクションモーターを制御して回転速度を減少させ、軌道車両の走行速度を低減する。
【0041】
具体的には台車が蛇行動不安定状態にあれば、蛇行動早期警戒と制御モジュールは制御信号kと調整した後の所与の回転速度sp2を所与の速度制御モジュールに伝送し、所与の速度制御モジュールは調整した後の所与の回転速度sp2をスピードコントローラーモジュールに伝送する。
【0042】
スピードコントローラーモジュールは所与の回転速度sp2により、鎖交磁束表を通じて所与の鎖交磁束FluxをDTC制御モジュールに出力し、スピードコントローラーモジュールは所与の回転速度sp2をトラクションモーターの実際の回転速度と比較してPI調節器を経てDTC制御モジュールまで所与のトルクTorqueを出力する。
【0043】
DTC制御モジュールは受信したトラクションモーター測定モジュールに伝送された電流I_abと電圧V_abcに基づいて実際の鎖交磁束と実際のトルクを計算し、所与の鎖交磁束Fluxと所与のトルクTorqueの実際の鎖交磁束と実際のトルクとの差を取得し、それぞれトルクと鎖交磁束ヒステリシス・コンパレータを経て、鎖交磁束セクタと共に電圧スイッチベクトル表に出力され、適合な電圧ベクトルを選択し、駆動信号gを発送することによりトラクションモーターインバータのスイッチ部品を制御する。
【0044】
以上、図面を結合する技術案の内容は類似技術案を派生することができる。しかし、本発明の実施形態の内容を離脱しなく、本発明の技術実質により以上の実施形態に対するいかなる簡単な修正、同等変化と修飾はいずれも本発明の技術案の範囲に属する。
図1
図2
【国際調査報告】