特表2019-511669(P2019-511669A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特表2019511669-複合サイクル発電プラント 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-511669(P2019-511669A)
(43)【公表日】2019年4月25日
(54)【発明の名称】複合サイクル発電プラント
(51)【国際特許分類】
   F01K 23/10 20060101AFI20190329BHJP
   F01K 25/10 20060101ALI20190329BHJP
   F01K 7/32 20060101ALI20190329BHJP
   F02C 7/08 20060101ALI20190329BHJP
【FI】
   F01K23/10 A
   F01K25/10 W
   F01K7/32
   F02C7/08 B
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-547951(P2018-547951)
(86)(22)【出願日】2016年11月10日
(85)【翻訳文提出日】2018年11月1日
(86)【国際出願番号】EP2016077329
(87)【国際公開番号】WO2017153010
(87)【国際公開日】20170914
(31)【優先権主張番号】16159850.3
(32)【優先日】2016年3月11日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】517298149
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ガマール・エルサケット
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA01
3G081BA11
3G081BB10
3G081BC07
(57)【要約】
本発明は、タービン(11)、排ガス熱交換器(12)、ポンプ(13)、コンデンサ(15)、およびタービン(11)によって駆動される第1の発電機(G1)を有するランキンサイクル(10)と、少なくとも2つのコンプレッサ段(21、22、23)、燃焼器(25)、少なくとも1つのタービン段(24、24’、24’’、24’’’)、および少なくとも1つのタービン段(24、24’、24’’、24’’’)によって駆動される第2の発電機(G2)を有する多軸ガスタービンサイクル(20)と、を備え、2つのコンプレッサ段(21、22、23)の間の圧縮空気の経路において、中間冷却器(27、28)が、燃焼器(25)のための圧縮空気の温度が低下するように配置される、請求項1に記載の複合サイクル発電プラントに関する。中間冷却器(27、28)からの低温側経路は、中間冷却器(27、28)からの廃熱が、排ガス熱交換器(12)からの排ガス熱に加えてランキンサイクルに供給されるように、ランキンサイクル(10)の排ガス熱交換器(12)に並列に接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
− タービン(11)、排ガス熱交換器(12)、ポンプ(13)、コンデンサ(15)、および前記タービン(11)によって駆動される第1の発電機(G1)を有するランキンサイクル(10)と、
− 少なくとも2つのコンプレッサ段(21、22、23)、燃焼器(25)、少なくとも1つのタービン段(24、24’、24’’、24’’’)、および前記少なくとも1つのタービン段(24、24’、24’’、24’’’)によって駆動される第2の発電機(G2)を有する多軸ガスタービンサイクル(20)と、
を備え、
− 2つのコンプレッサ段(21、22、23)の間の圧縮空気の経路において、中間冷却器(27、28)が、前記燃焼器(25)のための前記圧縮空気の温度が低下するように配置される複合サイクル発電プラントにおいて、
前記中間冷却器(27、28)からの低温側経路は、前記中間冷却器(27、28)からの廃熱が、前記排ガス熱交換器(12)からの排ガス熱に加えて前記ランキンサイクルに供給されるように、前記ランキンサイクル(10)の前記排ガス熱交換器(12)に並列に接続されることを特徴とする、複合サイクル発電プラント。
【請求項2】
2つの中間冷却器(27、28)を有する3つのコンプレッサ段(21、22、23)が利用可能であるが、中間冷却器(27、28)の各々は、前記ランキンサイクル(10)の前記排ガス熱交換器(12)に並列に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の複合サイクル発電プラント。
【請求項3】
少なくとも1つの制御可能なバルブが、前記中間冷却器(27、28)から前記ランキンサイクル(10)に伝えられる廃熱の量を調整するために、前記中間冷却器(27、28)からの前記低温側経路の供給ライン(34、36)に提供されることを特徴とする、請求項1または2に記載の複合サイクル発電プラント。
【請求項4】
レキュペレータ(26)が、排ガスが前記レキュペレータ(26)の高温側経路(31、32)に沿って流れている間に、前記燃焼器(25)のための燃料を事前加熱するために使用されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の複合サイクル発電プラント。
【請求項5】
ランキンサイクルは、有機ランキンサイクルであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の複合サイクル発電プラント。
【請求項6】
前記中間冷却器(27、28)および排ガス熱交換器(12)内の有機流体は、同様の単一相を有し、前記単一相が超臨界的であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の複合サイクル発電プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の複合サイクル発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
単純サイクルガスタービン発電プラントの効率は比較的低く、排出されるガスの温度は高い(400℃〜600℃)。それ故に、燃料エネルギーのかなりの部分は捨てられ、電気エネルギーの所望の形に変換されない。それ故に、単純サイクルガスタービン発電プラントは、ベース負荷発電にあまり適していない。しかし、排ガスの高い温度によって、全体的なプラント効率を改善するために、熱回収技術を利用することができる。そのような複合サイクル発電プラントについての例が図1に示されており、ガスタービンサイクルは、ボトミング(bottoming)ランキンサイクル、または特に有機ランキンサイクル(ORC)と組み合わされる。
【0003】
複合サイクル発電プラントにおいて最も一般的に使用されるのは、排ガスからエネルギーを回収するためのボトミングランキンサイクルである。このようなランキンサイクルは、典型的には水蒸気流体に基づいている一方で、有機ランキンサイクルは、有機高分子質量流体の使用に基づいている。排ガスの低い温度は、電気エネルギーへの変換を含むこともある有用な仕事に変換される。
【0004】
さらに、ガスタービンサイクルの効率は、2つのコンプレッサ段の間で圧縮空気が冷却される中間冷却器によって、または圧縮空気が燃焼室に入る前に排ガスから加熱されるレキュペレータを用いて、改善することができる。
【0005】
複合サイクル発電プラントの全体的効率を改善するために、それらの技術をすべて組み合わせることも可能である。復熱が使用されるとき、排ガスは、典型的には180℃〜300℃の範囲内の低い温度を有することになる。この場合、有機ランキンサイクルを使用することは、有機流体のより低い蒸発温度に起因して適切であることになる。しかしここでは、しばしば中間冷却器からの熱は、大気に捨てられ、使用されていない。
【0006】
この問題は、非特許文献1においてすでに取り組まれている。ここでは、低温有機流体を加熱するために、低温有機流体が排ガス熱交換器によって最終温度まで加熱される前に、複合サイクル発電プラントにおいて中間冷却器からの廃熱を有機ランキンサイクルに送出することが、提案された。そこで、有機流体は2つの熱源を有し、それら熱源は、有機ランキンサイクル内で直列に位置決めされる。第1の熱源は、中間冷却器であり、第2の熱源は、ガスタービンの排ガスである。このような最先端の配置の問題は、ORC流体を直列の2つの加熱器によって加熱することおよび排ガスを上位温度レベルの加熱器において使用することで、第1のORC流体加熱器を出るORC流体よりも高い高排気温度につながりかねない、ということである。これは、排ガス内のエネルギーを最大限使用することを制限することになる。2つの熱源の動作は、蒸発温度が圧力とともに変化するときに、特に部分負荷において互いに依存するので、設計を管理するのは容易ではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】R. Braun、K. Kusterer、T. Sugimoto、K. TanimuraおよびD. Bohn、「Thermodynamic and design considerations of organic Rankine cycles in combined application with a solar thermal gas turbine」、the 6th International Conference on Pumps and Fans with Compressors and Wind Turbines
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故に、さらに改善された全体的効率を有する複合サイクル発電プラントを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、この目的は、
− タービンまたはエキスパンダ、排ガス熱交換器、ポンプ、コンデンサ、およびタービンによって駆動される第1の発電機を有するランキンサイクルと、
− 少なくとも2つのコンプレッサ段、燃焼器、少なくとも1つのタービン段、および少なくとも1つのタービン段によって駆動される第2の発電機を有する多軸ガスタービンサイクルと、
を備え、
− 2つのコンプレッサ段の間の圧縮空気の経路において、中間冷却器が、燃焼器のための圧縮空気の温度が低下するように配置され、
− 中間冷却器からの低温側経路は、中間冷却器からの廃熱が、排ガス熱交換器からの排ガス熱に加えてランキンサイクルに供給されるように、ランキンサイクルの排ガス熱交換器に並列に接続される、
請求項1に記載の複合サイクル発電プラントによって達成される。
【0010】
本発明の原理は、要するに、ランキンサイクルにおいて電気を発生させるために、ガスタービンの出力からの排出エネルギーおよびコンプレッサ中間冷却器からの廃エネルギーを再利用することである。本発明の複合サイクル発電プラントのコンセプトによると、中間冷却器からの熱は、ガスタービンの排ガスである、ランキンサイクルのメインの熱源に並列にランキンサイクルに送出される。低温加圧ランキン媒体は、2つの流れに分けられる。メインの流れは、排ガスによって所望の温度まで加熱される。第2の流れは、中間冷却器の間で分割され、次いで、中間冷却器によって加熱された後、合流する。ランキンサイクルのすべての熱源の出口における媒体は、同様のパラメータ(温度および圧力)を有し、したがってそれらは、同じタービンに使用できる。
【0011】
好ましい実施形態では、2つの中間冷却器を有する3つのコンプレッサ段が利用可能であるが、中間冷却器の各々は、ランキンサイクルの排ガス熱交換器に並列に接続される。このような設計の利点は、中間冷却が圧縮ガスの温度を低下させ、それによって、圧縮ガスの体積を減少させるということである。コンプレッサによってこのように行われる仕事は、体積が小さいほど少ないことになり、これが入力動力を低減し、その結果、ガスタービンのより高い効率をもたらす。典型的に公知の有機ランキンサイクルの効率は、約13%であるが、本発明では、約19%である。
【0012】
少なくとも1つの制御可能なバルブが、中間冷却器から有機ランキンサイクルに伝えられる廃熱の量を調整するために、中間冷却器からの低温側経路の供給ラインに提供される場合、伝えられる廃熱の量は、有機ランキンサイクルパラメータに最も良く適合させることができる。
【0013】
本発明のさらなる実施形態では、レキュペレータが、タービン出口からの排ガスがそのレキュペレータの高温側経路に沿って流れている間に、燃焼器の前に圧縮空気を事前加熱するために使用される。それ故に、それは、圧縮空気を事前加熱し、所望の温度に達するための熱要件を低減することによって、燃料節約を可能にする。
【0014】
有機ランキンサイクルを適用するとき、ある蒸発温度を有する有機媒体が使用可能であり、これにより、利用できる熱源を異なる温度レベルにおいて使用するということが可能となる。この設計の利点は、全システム効率が、典型的なガスタービン複合サイクルにおけるよりも高いということである。
【0015】
中間冷却器および排ガス熱交換器内の有機流体が、同様の単一超臨界相を有する場合、有機ランキンサイクルは、非常にシンプルにされ、制御するのが容易である。これは、ドラムを必要としないなど、設備要求を最小限にする。
【0016】
以下、本発明を添付の図面を参照してより詳細に説明する。図面は、本発明の範囲を限定することなく、本発明の実際的実施形態の例を示すだけである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】最先端の複合サイクル発電プラントの概略図を示す図である。
図2】進歩した最先端の複合サイクル発電プラントの概略図を示す図である。
図3】本発明の複合サイクル発電プラントの概略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示されるようなガスタービンサイクル20および有機ランキンサイクル10を有する複合サイクル発電プラントが、周知である。ここでは、3つのコンプレッサ段21、22および23を有する多軸ガスタービンが、圧縮空気が燃料と混合されて点火される前に、3つのステップにおいて燃焼器25のために空気を圧縮する。その後、排ガスは、4つのタービン段24、24’、24’’および24’’’において膨張させられた。発電機G2は、動力タービン24’’’に接続される。最後のタービン段からの排ガスのエネルギーが、大気に捨てられることになるのを避けるために、ランキンサイクル、すなわちこの例では有機ランキンサイクル10が、追加される。有機ランキンサイクル10は、排ガス熱交換器12内で加熱された流体が供給されるタービン11を備える。さらに、ポンプ13およびコンデンサ15が、有機ランキンサイクル10内に配置される。最後に、タービン11が、第1の発電機G1を駆動する。
【0019】
図2は、多軸ガスタービンサイクル20および有機ランキンサイクル10を有する、公知の最先端の複合サイクル発電プラントの概略図を示し、中間冷却器27および28からの低温側経路は、供給ライン36および37を介してランキンサイクル10に直列に接続される。
【0020】
図3は、本発明の好ましい実施形態の概略図を示す。ここでは、複合サイクル発電プラントは、タービン11、排ガス熱交換器12、ポンプ13、コンデンサ15、およびタービン11によって駆動される第1の発電機G1を有するランキンサイクル10を備える。さらに、複合サイクル発電プラントは、少なくとも3つのコンプレッサ段21、22および23、燃焼器25、4つのタービン段24、24’、24’’および24’’’、ならびにタービン段によって駆動される第2の発電機G2を有する多軸ガスタービンサイクル20を備える。レキュペレータ26は、排ガスが有機ランキンサイクル10の排ガス熱交換器12に供給される前に、この排ガスが最初にそのレキュペレータ26の高温側経路31および32に沿って流れている間に、燃焼器25の前に圧縮空気を事前加熱するために使用される。2つのコンプレッサ段21および22、ならびに22および23の各々の間の圧縮空気の経路において、中間冷却器27および中間冷却器28が、圧縮空気の温度を低下させるために配置される。本発明によると、中間冷却器27および28からの低温側経路は、中間冷却器27および28からの廃熱が、排ガス熱交換器12からの排ガス熱に加えてランキンサイクルに供給されるように、ランキンサイクル10の排ガス熱交換器12に並列に接続される。図示される好ましい実施形態では、中間冷却器27および28の両方は、ランキンサイクル10の排ガス熱交換器12に並列に接続される。本発明は、有機ランキンサイクル流体が、両方の熱交換器によって同様の温度に至るまで加熱される、熱源の並列構成のために柔軟性をもたらす。結果として、プラント全体は、深い部分負荷において動かすことができる。20%負荷を下回ると、中間冷却器の熱が非常に低い場合、中間冷却器は、迂回することができ、複合サイクルは、動作可能である。
【0021】
この改善によって、複合サイクル発電プラントの全体的効率は、中間冷却器からの廃熱に加えて排ガス熱の使用に起因して増加する。典型的には、航空転用(aero derivative)の3軸ガスタービンは、約41%の効率を有する。有機ランキンサイクルを加えると、中間冷却器およびレキュペレータは、効率を55%超まで増加させることもあり得る。
【符号の説明】
【0022】
10 有機ランキンサイクル
11 タービン
12 排ガス熱交換器
13 ポンプ
15 コンデンサ
20 ガスタービンサイクル、多軸ガスタービンサイクル
21 コンプレッサ段
22 コンプレッサ段
23 コンプレッサ段
24 タービン段
24’ タービン段
24’’ タービン段
24’’’ タービン段、動力タービン
25 燃焼器
26 レキュペレータ
27 中間冷却器
28 中間冷却器
31 高温側経路
32 高温側経路
34 供給ライン
36 供給ライン
37 供給ライン
G1 第1の発電機
G2 発電機、第2の発電機
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2018年1月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
− タービン(11)、排ガス熱交換器(12)、ポンプ(13)、コンデンサ(15)、および前記タービン(11)によって駆動される第1の発電機(G1)を有するランキンサイクル(10)と、
− 少なくともつのコンプレッサ段(21、22、23)、燃焼器(25)、少なくとも1つのタービン段(24、24’、24’’、24’’’)、および前記少なくとも1つのタービン段(24、24’、24’’、24’’’)によって駆動される第2の発電機(G2)を有する多軸ガスタービンサイクル(20)と、
を備え、
前記少なくとも3つのコンプレッサ段(21、22、23)の間のそれぞれの圧縮空気の経路において、中間冷却器(27、28)が、前記燃焼器(25)のための前記圧縮空気の温度が低下するように配置される複合サイクル発電プラントにおいて、
前記中間冷却器(27、28)からの低温側経路は、前記中間冷却器(27、28)からの廃熱が、前記排ガス熱交換器(12)からの排ガス熱に加えて前記ランキンサイクルに供給されるように、前記ランキンサイクル(10)の前記排ガス熱交換器(12)に並列に接続され
中間冷却器(27、28)の各々は、前記ランキンサイクル(10)の前記排ガス熱交換器(12)に並列に接続されることを特徴とする、複合サイクル発電プラント。
【請求項2】
少なくとも1つの制御可能なバルブが、前記中間冷却器(27、28)から前記ランキンサイクル(10)に伝えられる廃熱の量を調整するために、前記中間冷却器(27、28)からの前記低温側経路の供給ライン(34、36)に提供されることを特徴とする、請求項1に記載の複合サイクル発電プラント。
【請求項3】
レキュペレータ(26)が、排ガスが前記レキュペレータ(26)の高温側経路(31、32)に沿って流れている間に、前記燃焼器(25)のための燃料を事前加熱するために使用されることを特徴とする、請求項1または2に記載の複合サイクル発電プラント。
【請求項4】
ランキンサイクルは、有機ランキンサイクルであることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の複合サイクル発電プラント。
【請求項5】
前記中間冷却器(27、28)および排ガス熱交換器(12)内の有機流体は、同様の単一相を有し、前記単一相が超臨界的であることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の複合サイクル発電プラント。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の複合サイクル発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
単純サイクルガスタービン発電プラントの効率は比較的低く、排出されるガスの温度は高い(400℃〜600℃)。それ故に、燃料エネルギーのかなりの部分は捨てられ、電気エネルギーの所望の形に変換されない。それ故に、単純サイクルガスタービン発電プラントは、ベース負荷発電にあまり適していない。しかし、排ガスの高い温度によって、全体的なプラント効率を改善するために、熱回収技術を利用することができる。そのような複合サイクル発電プラントについての例が図1に示されており、ガスタービンサイクルは、ボトミング(bottoming)ランキンサイクル、または特に有機ランキンサイクル(ORC)と組み合わされる。
【0003】
複合サイクル発電プラントにおいて最も一般的に使用されるのは、排ガスからエネルギーを回収するためのボトミングランキンサイクルである。このようなランキンサイクルは、典型的には水蒸気流体に基づいている一方で、有機ランキンサイクルは、有機高分子質量流体の使用に基づいている。排ガスの低い温度は、電気エネルギーへの変換を含むこともある有用な仕事に変換される。
【0004】
さらに、ガスタービンサイクルの効率は、2つのコンプレッサ段の間で圧縮空気が冷却される中間冷却器によって、または圧縮空気が燃焼室に入る前に排ガスから加熱されるレキュペレータを用いて、改善することができる。
【0005】
複合サイクル発電プラントの全体的効率を改善するために、それらの技術をすべて組み合わせることも可能である。復熱が使用されるとき、排ガスは、典型的には180℃〜300℃の範囲内の低い温度を有することになる。この場合、有機ランキンサイクルを使用することは、有機流体のより低い蒸発温度に起因して適切であることになる。しかしここでは、しばしば中間冷却器からの熱は、大気に捨てられ、使用されていない。
【0006】
この問題は、非特許文献1においてすでに取り組まれている。ここでは、低温有機流体を加熱するために、低温有機流体が排ガス熱交換器によって最終温度まで加熱される前に、複合サイクル発電プラントにおいて中間冷却器からの廃熱を有機ランキンサイクルに送出することが、提案された。そこで、有機流体は2つの熱源を有し、それら熱源は、有機ランキンサイクル内で直列に位置決めされる。第1の熱源は、中間冷却器であり、第2の熱源は、ガスタービンの排ガスである。このような最先端の配置の問題は、ORC流体を直列の2つの加熱器によって加熱することおよび排ガスを上位温度レベルの加熱器において使用することで、第1のORC流体加熱器を出るORC流体よりも高い高排気温度につながりかねない、ということである。これは、排ガス内のエネルギーを最大限使用することを制限することになる。2つの熱源の動作は、蒸発温度が圧力とともに変化するときに、特に部分負荷において互いに依存するので、設計を管理するのは容易ではない。ランキンサイクルを有する複合サイクル発電プラントは、特許文献1、2及び3からも公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0059342号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2642091号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0940563号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】R. Braun、K. Kusterer、T. Sugimoto、K. TanimuraおよびD. Bohn、「Thermodynamic and design considerations of organic Rankine cycles in combined application with a solar thermal gas turbine」、the 6th International Conference on Pumps and Fans with Compressors and Wind Turbines
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故に、さらに改善された全体的効率を有する複合サイクル発電プラントを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、この目的は、
− タービンまたはエキスパンダ、排ガス熱交換器、ポンプ、コンデンサ、およびタービンによって駆動される第1の発電機を有するランキンサイクルと、
− 少なくとも2つのコンプレッサ段、燃焼器、少なくとも1つのタービン段、および少なくとも1つのタービン段によって駆動される第2の発電機を有する多軸ガスタービンサイクルと、
を備え、
− 2つのコンプレッサ段の間の圧縮空気の経路において、中間冷却器が、燃焼器のための圧縮空気の温度が低下するように配置され、
− 中間冷却器からの低温側経路は、中間冷却器からの廃熱が、排ガス熱交換器からの排ガス熱に加えてランキンサイクルに供給されるように、ランキンサイクルの排ガス熱交換器に並列に接続される、
請求項1に記載の複合サイクル発電プラントによって達成される。
【0011】
本発明の原理は、要するに、ランキンサイクルにおいて電気を発生させるために、ガスタービンの出力からの排出エネルギーおよびコンプレッサ中間冷却器からの廃エネルギーを再利用することである。本発明の複合サイクル発電プラントのコンセプトによると、中間冷却器からの熱は、ガスタービンの排ガスである、ランキンサイクルのメインの熱源に並列にランキンサイクルに送出される。低温加圧ランキン媒体は、2つの流れに分けられる。メインの流れは、排ガスによって所望の温度まで加熱される。第2の流れは、中間冷却器の間で分割され、次いで、中間冷却器によって加熱された後、合流する。ランキンサイクルのすべての熱源の出口における媒体は、同様のパラメータ(温度および圧力)を有し、したがってそれらは、同じタービンに使用できる。
【0012】
施形態では、2つの中間冷却器を有する3つのコンプレッサ段が利用可能であるが、中間冷却器の各々は、ランキンサイクルの排ガス熱交換器に並列に接続される。このような設計の利点は、中間冷却が圧縮ガスの温度を低下させ、それによって、圧縮ガスの体積を減少させるということである。コンプレッサによってこのように行われる仕事は、体積が小さいほど少ないことになり、これが入力動力を低減し、その結果、ガスタービンのより高い効率をもたらす。典型的に公知の有機ランキンサイクルの効率は、約13%であるが、本発明では、約19%である。
【0013】
少なくとも1つの制御可能なバルブが、中間冷却器から有機ランキンサイクルに伝えられる廃熱の量を調整するために、中間冷却器からの低温側経路の供給ラインに提供される場合、伝えられる廃熱の量は、有機ランキンサイクルパラメータに最も良く適合させることができる。
【0014】
本発明のさらなる実施形態では、レキュペレータが、タービン出口からの排ガスがそのレキュペレータの高温側経路に沿って流れている間に、燃焼器の前に圧縮空気を事前加熱するために使用される。それ故に、それは、圧縮空気を事前加熱し、所望の温度に達するための熱要件を低減することによって、燃料節約を可能にする。
【0015】
有機ランキンサイクルを適用するとき、ある蒸発温度を有する有機媒体が使用可能であり、これにより、利用できる熱源を異なる温度レベルにおいて使用するということが可能となる。この設計の利点は、全システム効率が、典型的なガスタービン複合サイクルにおけるよりも高いということである。
【0016】
中間冷却器および排ガス熱交換器内の有機流体が、同様の単一超臨界相を有する場合、有機ランキンサイクルは、非常にシンプルにされ、制御するのが容易である。これは、ドラムを必要としないなど、設備要求を最小限にする。
【0017】
以下、本発明を添付の図面を参照してより詳細に説明する。図面は、本発明の範囲を限定することなく、本発明の実際的実施形態の例を示すだけである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】最先端の複合サイクル発電プラントの概略図を示す図である。
図2】進歩した最先端の複合サイクル発電プラントの概略図を示す図である。
図3】本発明の複合サイクル発電プラントの概略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示されるようなガスタービンサイクル20および有機ランキンサイクル10を有する複合サイクル発電プラントが、周知である。ここでは、3つのコンプレッサ段21、22および23を有する多軸ガスタービンが、圧縮空気が燃料と混合されて点火される前に、3つのステップにおいて燃焼器25のために空気を圧縮する。その後、排ガスは、4つのタービン段24、24’、24’’および24’’’において膨張させられた。発電機G2は、動力タービン24’’’に接続される。最後のタービン段からの排ガスのエネルギーが、大気に捨てられることになるのを避けるために、ランキンサイクル、すなわちこの例では有機ランキンサイクル10が、追加される。有機ランキンサイクル10は、排ガス熱交換器12内で加熱された流体が供給されるタービン11を備える。さらに、ポンプ13およびコンデンサ15が、有機ランキンサイクル10内に配置される。最後に、タービン11が、第1の発電機G1を駆動する。
【0020】
図2は、多軸ガスタービンサイクル20および有機ランキンサイクル10を有する、公知の最先端の複合サイクル発電プラントの概略図を示し、中間冷却器27および28からの低温側経路は、供給ライン36および37を介してランキンサイクル10に直列に接続される。
【0021】
図3は、本発明の好ましい実施形態の概略図を示す。ここでは、複合サイクル発電プラントは、タービン11、排ガス熱交換器12、ポンプ13、コンデンサ15、およびタービン11によって駆動される第1の発電機G1を有するランキンサイクル10を備える。さらに、複合サイクル発電プラントは、少なくとも3つのコンプレッサ段21、22および23、燃焼器25、4つのタービン段24、24’、24’’および24’’’、ならびにタービン段によって駆動される第2の発電機G2を有する多軸ガスタービンサイクル20を備える。レキュペレータ26は、排ガスが有機ランキンサイクル10の排ガス熱交換器12に供給される前に、この排ガスが最初にそのレキュペレータ26の高温側経路31および32に沿って流れている間に、燃焼器25の前に圧縮空気を事前加熱するために使用される。2つのコンプレッサ段21および22、ならびに22および23の各々の間の圧縮空気の経路において、中間冷却器27および中間冷却器28が、圧縮空気の温度を低下させるために配置される。本発明によると、中間冷却器27および28からの低温側経路は、中間冷却器27および28からの廃熱が、排ガス熱交換器12からの排ガス熱に加えてランキンサイクルに供給されるように、ランキンサイクル10の排ガス熱交換器12に並列に接続される。図示される好ましい実施形態では、中間冷却器27および28の両方は、ランキンサイクル10の排ガス熱交換器12に並列に接続される。本発明は、有機ランキンサイクル流体が、両方の熱交換器によって同様の温度に至るまで加熱される、熱源の並列構成のために柔軟性をもたらす。結果として、プラント全体は、深い部分負荷において動かすことができる。20%負荷を下回ると、中間冷却器の熱が非常に低い場合、中間冷却器は、迂回することができ、複合サイクルは、動作可能である。
【0022】
この改善によって、複合サイクル発電プラントの全体的効率は、中間冷却器からの廃熱に加えて排ガス熱の使用に起因して増加する。典型的には、航空転用(aero derivative)の3軸ガスタービンは、約41%の効率を有する。有機ランキンサイクルを加えると、中間冷却器およびレキュペレータは、効率を55%超まで増加させることもあり得る。
【符号の説明】
【0023】
10 有機ランキンサイクル
11 タービン
12 排ガス熱交換器
13 ポンプ
15 コンデンサ
20 ガスタービンサイクル、多軸ガスタービンサイクル
21 コンプレッサ段
22 コンプレッサ段
23 コンプレッサ段
24 タービン段
24’ タービン段
24’’ タービン段
24’’’ タービン段、動力タービン
25 燃焼器
26 レキュペレータ
27 中間冷却器
28 中間冷却器
31 高温側経路
32 高温側経路
34 供給ライン
36 供給ライン
37 供給ライン
G1 第1の発電機
G2 発電機、第2の発電機
【国際調査報告】