特表2019-512056(P2019-512056A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-512056始動電動機を有するガスタービンセクション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-512056(P2019-512056A)
(43)【公表日】2019年5月9日
(54)【発明の名称】始動電動機を有するガスタービンセクション
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/36 20060101AFI20190412BHJP
   F01D 15/10 20060101ALI20190412BHJP
   F01D 15/12 20060101ALI20190412BHJP
   F02C 6/00 20060101ALI20190412BHJP
   F02C 7/36 20060101ALI20190412BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20190412BHJP
【FI】
   F01D25/36
   F01D15/10 A
   F01D15/10 B
   F01D15/12
   F02C6/00 B
   F02C7/36
   H02P9/04 F
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-538204(P2018-538204)
(86)(22)【出願日】2017年1月19日
(85)【翻訳文提出日】2018年7月20日
(86)【国際出願番号】EP2017051056
(87)【国際公開番号】WO2017137227
(87)【国際公開日】20170817
(31)【優先権主張番号】102016202156.7
(32)【優先日】2016年2月12日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】517298149
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・ユレチェク
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・バカ
(72)【発明者】
【氏名】リュディガー・ヤンセン
(72)【発明者】
【氏名】マイノルフ・クロッケ
【テーマコード(参考)】
5H590
【Fターム(参考)】
5H590AA11
5H590BB11
5H590CA08
5H590CB03
5H590CC08
5H590CD05
5H590CE01
5H590EA01
5H590EA10
5H590FA08
5H590HA10
5H590HA27
(57)【要約】
本発明は、セクション(18)上に配置されたガスタービン(2)および発電機(3)と、力を伝達するために発電機(3)にガスタービン(2)を連結するシャフト(4)と、シャフト(4)が少なくとも2つのサブシャフト(6、7)を備えるようにガスタービン(2)と発電機(3)との間においてシャフト(4)中に配置されたクラッチ(5)であって、第1のサブシャフト(6)が発電機(3)とクラッチ(5)との間に位置し、ガスタービン中間シャフト(7)と呼ばれる第2のサブシャフト(7)がガスタービン(2)とクラッチ(5)との間に位置する、クラッチ(5)とを備える発電設備(1)に関する。電動機(8)が、ガスタービン(2)を加速させるためにクラッチ(5)とガスタービン(2)との間においてセクション(18)内に配置される。また、本発明は、送電系統安定化動作中に発電設備(1)を運転させるための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイン(18)内に配置されたガスタービン(2)および発電機(3)と、動力伝達のために前記発電機(3)に前記ガスタービン(2)を連結するシャフト(4)と、さらに、前記シャフト(4)が少なくとも2つのシャフトセクション(6、7)を備えるように前記ガスタービン(2)と前記発電機(3)との間において前記シャフト(4)中に配置されたクラッチ(5)であって、第1のシャフトセクション(6)は前記発電機(3)と前記クラッチ(5)との間に位置し、ガスタービン中間シャフトと呼ばれる第2のシャフトセクション(7)は前記ガスタービン(2)と前記クラッチ(5)との間に位置する、クラッチ(5)とを有する発電設備(1)において、
前記ガスタービン(2)を加速させるための電動機(8)が、前記クラッチ(5)と前記ガスタービン(2)との間において前記トレイン(18)内に配置されることを特徴とする、発電設備(1)。
【請求項2】
前記電動機(8)は、非同期電動機である、請求項1に記載の発電設備(1)。
【請求項3】
前記ガスタービン中間シャフト(7)にはロータ本体(9)が設けられており、前記ロータ本体(9)は、スロット(10)を有し、前記スロット(10)内には、銅バー(11)が配置されており、前記銅バー(11)は、その面端部(12)において短絡リング(13)を介して前記ロータ本体(9)に連結され、それにより前記ガスタービン中間シャフト(7)は、少なくとも部分的にはかご型ソリッドロータとして設計される、請求項1または2に記載の発電設備(1)。
【請求項4】
回転磁界ステータ(14)が、前記ロータ本体(9)の領域内の前記ガスタービン中間シャフト(7)を囲み、設置および除去をさらに良好にするために複数部品構成からなる、請求項3に記載の発電設備(1)。
【請求項5】
前記ガスタービン中間シャフト(7)および前記電動機(8)は、フランジを介して相互連結される、請求項1または2に記載の発電設備(1)。
【請求項6】
前記ガスタービン(2)の圧縮機(16)内で圧縮されることとなる空気のための吸気ダクト(15)をさらに備え、前記電動機(8)は、前記吸気ダクト(15)内に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の発電設備(1)。
【請求項7】
前記ガスタービン(2)の圧縮機(16)内で圧縮されることとなる空気のための吸気ダクト(15)をさらに備え、前記電動機(8)は、前記吸気ダクト(15)の外部に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の発電設備(1)。
【請求項8】
前記発電機(3)に連結されたコンバータ(17)をさらに備え、前記コンバータ(17)は、必要とされる場合に前記電動機(8)へと切り替えられ得る、請求項1から7のいずれか一項に記載の発電設備(1)。
【請求項9】
送電系統安定化動作中に発電設備(1)を運転するための方法であって、前記発電設備は、トレイン(18)内に配置された、ガスタービン(2)と、発電機(3)と、動力伝達のために前記発電機(3)に前記ガスタービン(2)を連結するシャフト(4)と、さらに前記ガスタービン(2)と前記発電機(3)との間において前記シャフト(4)中に配置されたクラッチ(5)とを備え、第1の段階では、前記ガスタービン(2)が回転動作に維持されるかまたは静止状態にある一方、前記発電機(3)は、供給送電系統と同期され、送電系統安定化のために回転位相変更器として必要とされる、方法において、
第2の段階で、前記発電機(3)は、前記供給送電系統に同期された状態に留まり、前記ガスタービン(2)が、前記発電設備(1)の前記トレイン(18)内に配置された電動機(8)を介して始動されることを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記ガスタービン(2)の回転速度が点火回転速度と同期回転速度との間にある場合に、前記電動機(8)は、オフに切り替えられ、前記ガスタービン(2)の前記回転速度にてアイドリングモードで同速度回転する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電設備と、さらに、送電系統安定化の最中にこの発電設備を運転するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、回転質量および無効電力を提供するなどの送電系統サービスは、運転中の大型ターボセットを有する大型発電設備により事実上二次的に管理されてきた。特定の国において推し進められている、太陽光発電設備および風力発電設備からの電流送給の推奨の結果として、これらの発電設備は、市場から締め出され、少なくとも一時的に送電系統から外されており、したがってこれらの発電設備は、これらの送電系統サービスをもはや提供することができない。太陽光発電設備および風力発電設備は、それらの技術的特徴により、送電系統安定化を確保するために無効電力、短絡電力、および回転質量を全く提供できないかまたはごくわずかしか提供できない。この問題は、これらの再生可能エネルギーの割合がさらに増加することによって将来的にはさらに大きくなるであろう。
【0003】
さらに、再生可能電流用の貯蔵能力の欠如が原因で、電流需要が再生可能エネルギーによりカバーできない場合のための、迅速な始動が可能である確実な化石燃料備蓄の需要に対して必要性が存在する。有効電力およびその迅速な変化に対するこの需要は、好ましくは比較的好まれ始動が迅速であるガスタービン発電設備によりカバーされ得る。ガスタービン発電設備は、とりわけ利用時間が短い場合に比較的経済的に運転され得る。これらが、有効電力が供給される必要性を伴わずに所要の送電系統サービス(無効電力および短絡電力ならびにさらには固定的に結合された回転質量)を提供することが可能である場合には、ガスタービン発電設備の経済的効率はさらに改善される。
【0004】
ガスタービン発電設備が、同時に有効電力を送電系統へと送出することなく無効電力等を提供することが可能となる場合、送電系統と同期する発電機は、クラッチによりガスタービンから切り離されなければならない。大型シングルシャフト軸流ガスタービンをベースとするガスタービン発電設備の場合には、これにより、ガスタービンの再始動プロセスに発電機を利用することができない(発電機が始動電動機用の始動コンバータの補助によりこのタイプのガスタービン向けに「転換」される)という問題が生じる。なぜならば、送電系統と同期されている場合、発電機は、ガスタービンが低回転速度のみでの回転動作に維持されるかまたは必要に応じて静止状態にある一方、送電系統安定化のための回転位相変更器として必要とされるからである(回転動作:高温ロータの曲りを回避するための冷却段階中のロータの回転)。
【0005】
以前の設計では、大型シングルシャフト軸流ガスタービンと発電機との間にクラッチを備えるガスタービン発電設備を始動させるために、発電機は、送電系統から切り離され、始動プロセスのために発電機およびガスタービンを結合することが可能となるようにガスタービンの回転速度まで減速されなければならず、その結果として送電系統サービスは、ある一定のおよび場合によっては致命的な期間にわたって中断されなければならなかった。
【0006】
これまで、発電機から(または発電機側に連結された別個の始動電動機から)独立している大型シングルシャフト軸流ガスタービンを始動するための実際的な解決策は存在しなかった。例えば発電機連結のために設けられたトランスミッションに始動電動機を連結する小型ガスタービンに対する既存の解決策は、これらのガスタービン向きではない。大型シングルシャフト軸流ガスタービンの既存の油圧回転歯車を大幅に大型化し(例えば高圧リフトオイルポンプから供給される潤滑油を介して駆動されるペルトン水車をベースとする)、したがってさらにガスタービンの始動のためにそれを利用するというさらなる可能性は、設備技術コストおよびかかるシステムの非効率性、ならびにそれらによるガスタービンの始動中の電力消費の増加およびさらなるコストの発生(例えば場合によっては既存のブラックスタートディーゼルの大型化)が支障となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、送電系統安定化レベルの改善を可能にする発電設備を提供することである。本発明のさらなる目的は、送電系統安定化のための対応する方法を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トレイン内に配置されたガスタービンおよび発電機と、動力伝達のために発電機にガスタービンを連結するシャフトと、さらに、シャフトが少なくとも2つのシャフトセクションを備えるようにガスタービンと発電機との間においてシャフト中に配置されたクラッチであって、第1のシャフトセクションが発電機とクラッチとの間に位置し、ガスタービン中間シャフトと呼ばれる第2のシャフトセクションがガスタービンとクラッチとの間に位置する、クラッチとを有する発電設備において、ガスタービンを加速させるための電動機がクラッチとガスタービンとの間においてトレイン内に配置されることを実現することによって、かかる発電設備に関する上記目的を達成する。
【0009】
したがって、本発明によれば、始動電動機が、ガスタービンと好ましくは自動シフトおよび同期クラッチとして構成されるクラッチとの間においてトレイン内に直接的に位置決めされる。電動機は、電流を供給されるか否かに関わらず、ガスタービンの回転速度にて常に同速度回転する。電動機は、始動中、および所要に応じてガスタービンの冷却段階(いわゆる回転動作)(コンバータを介してこの期間中に供給される)の最中にのみ動作状態にあり、他の場合には「アイドリング」モードでのみ同速度回転する。
【0010】
このように配置された始動電動機により、大型のシングルシャフト軸流ガスタービンが、関連付けられた発電機とは無関係に始動され得る。
【0011】
これは、かかるガスタービンが発電機の動作状態とは無関係に始動されることが可能となり、位相変更器動作の割込みが不要となるという利点を有する。ガスタービンの同期プロセスは、ガスタービンが発電機と同一の回転速度を達成するとすぐに、この場合には自動シフトおよび同期クラッチを介して自動的に行われる。したがって、有効電力動作への切替えが、中断を伴わずに実施される。
【0012】
さらに、トレイン内に位置決めされたこの電動機は、ガスタービンの回転動作中に駆動する機能をさらに請け負うことが可能であり、その目的で以前に一般的に使用されていた油圧回転歯車に代わるものとなる。
【0013】
したがって、総じて、発電設備オペレータは、化石燃料ガスタービン発電設備が再生可能エネルギーの存在を理由として送電系統に有効電力を送出することができない期間中でも、中断のない無効電力および回転質量を送電系統サービスとしておよびしたがってさらに有効電力が送出されない状態で提供することが可能となり、流入流を発生させるまたは所要の送出限度条件を満たすという可能性が創出される。この目的で、すでに既存の発電設備構成要素または他のインフラストラクチャが、これらの期間に使用される。このための追加的な投資は、主として始動電動機ならびに自動シフトおよび同期クラッチのために比較的少額に限定される。
【0014】
また、当然ながら、既述のコンセプトは、大型シングルシャフト軸流ガスタービンをベースとする他の発電設備タイプ、特にいわゆるガス発電設備および蒸気発電設備でも使用され得る。
【0015】
メインシャフトに連結された、トレイン内に直接的には位置しない側に置かれた始動電動機を介した、トランスミッションを介した、等のガスタービンの始動を実現する他の考えられる可能性と比べた場合に、本発明による発電設備は、より少ない構成要素(したがってより低いコストおよびより高い利用性)で運用でき、ロスがより少なくなるという利点を有する。
【0016】
したがって、発電機とガスタービンとの間の追加の始動電動機により、ガスタービンベース発電設備の極めて柔軟性の高い運転が可能となり、したがって内部グリッドコードの将来的な要求を満たす。高い変化勾配を伴う需要に応じた有効電力出力の非常に迅速な提供に加えて、無効電力および短絡電力が、ガスタービン運転とは無関係に完全に利用可能となり、したがって回転質量による周波数安定化に対する寄与が増大する。したがって、ガスタービン発電設備は、任意時点における有効電力発電機およびさらには回転位相変更器の両方としての運転が可能となる。以前のコンセプトでは、同時運転は不可能である。
【0017】
本発明の有利な一実施形態では、電動機は、非同期電動機である。これらは、ロバスト性を有しかつ安価である。三相同期電動機などの他の構造形態もまた考えられる。
【0018】
この場合に特に有利なものは、電動機がガスタービン中間シャフトの以前の役割および位置を引き受けた実施形態である。したがって、電動機は、中間シャフトにある程度まで組み込まれている。中間シャフトは、クラッチの方向に続く吸気ダクトを介して最終的には発電機にまでガスタービンの動力を伝達する役割を有する。この場合に、このシャフトは、定格運転の最中および故障時の両方においてガスタービンと発電機との間の合計トルクを伝達し得るように常に寸法設定されなければならない。この場合に、始動電動機は、ロータとしてかご型ソリッドロータを有する非同期機として設計され得、これは、中間シャフトへの組み込みを比較的単純にさせる。中間シャフトには、中間シャフトの残りの部分からオフセットしたロータ本体が設けられさえすればよい。ロータケージのバー用のスロットが、この中間シャフトに切削加工されなければならない。関連する銅バーが、スロット内に押し込まれる。面端部にて、バーおよびロータ本体は、短絡リング上にはんだ付けされることにより連結され、それにより中間シャフトは、少なくとも部分的にはかご型ソリッドロータとして設計される。
【0019】
有利な一実施形態では、回転磁界ステータが、ロータ本体の領域内の中間シャフトを囲み、設置および除去をさらに良好にするために複数のパーツで構成される。
【0020】
電動機がガスタービン中間シャフトの以前の役割および位置を引き受ける実施形態の代替として、中間シャフトおよび電動機がフランジを介して相互連結される場合も有利となり得る。以前の中間シャフトまたは修正された(短縮された)中間シャフトに加えてトレイン内に設置された別個の電動機(電動機のシャフトおよび中間シャフトがフランジを介して相互連結された2つの構成要素となる)を有するこの代替構成もまた可能である。
【0021】
本発明の有利な一実施形態では、ガスタービン発電設備は、ガスタービンの圧縮機内で圧縮されることとなる空気のための吸気ダクトをさらに備え、電動機は、吸気ダクト内に配置される。したがって、電動機は、別個のハウジングを必要とせず、ガスタービン圧縮機により案内される空気により同時に冷却される。
【0022】
本発明の代替的な一実施形態では、電動機は、吸気ダクトの外部に配置され、これは、ガスタービンの吸気領域内に介在する必要性がなくなり、したがって従来規格への統合がより容易になるという利点を有する。
【0023】
いずれの場合でも、トレイン長(吸気ダクト内部の中間シャフト上に始動電動機を位置決めする場合)は、増大しないか、または若干のみ増大するにすぎない(吸気ダクト外部の中間シャフト上に始動電動機を位置決めする場合)。電動機に対して追加の「異常に太い」シャフトを設ける必要もない。
【0024】
また、本発明による発電設備は、コンバータを備え、このコンバータは、送電系統との同期のために発電機を加速させるように発電機に連結される。この場合には、電動機への供給のためにこのコンバータを使用することも可能になるように、このコンバータが電動機に切り替えられ得ると好都合である。
【0025】
一方法に関する目的は、送電系統安定化動作中に発電設備を運転するための方法であって、発電設備が、トレイン内に配置された、ガスタービンと、発電機と、動力伝達のために発電機にガスタービンを連結するシャフトと、さらにガスタービンと発電機との間においてシャフト中に配置されたクラッチとを備え、第1の段階では、ガスタービンが回転動作に維持されるかまたは静止状態にある一方、発電機が供給送電系統と同期され、送電系統安定化のために回転位相変更器として必要とされる、方法において、第2の段階で、発電機が送電系統に同期された状態に留まり、ガスタービンが発電設備のトレイン内に配置された電動機を介して始動されることを特徴とする、方法によって達成される。
【0026】
この場合には、ガスタービンの回転速度が点火回転速度と同期回転速度との間にある場合に、電動機が、オフに切り替えられ、ガスタービンの回転速度にてアイドリングモードで同速度回転すると好都合である。点火回転速度は、燃料がガスタービンに送給され点火される回転速度である(通常は約600RPM)。点火後に燃料質量流は、第1のステップでは最大で同期回転速度まで上昇される。やはり点火後に、始動電動機は、ガスタービンロータのさらなる加速を依然として支援し、約2000RPMでのみオフに切り替えられる。その場合にのみ、合理的な時間内において電動機支援を伴わない同期回転速度までの加速を実現するのに十分な燃料量が供給される。
【0027】
本発明が、図面を参照として例としてさらに詳細に説明される。これらの図面は、概略的なものであり、縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】発電設備、特にガスタービン用の中間シャフトに組み込まれた始動電動機を有するガスタービン発電設備のトレインを示す図である。
図2】長手方向軸に沿った始動電動機の断面図である。
図3】始動電動機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、トレイン18内に配置されたガスタービン2および発電機3を有する発電設備1を概略的にかつ例として示す。ガスタービン2は、シャフト4を介した動力伝達のために発電機3に連結され、クラッチ5がシャフト4中に配置されている。結果として、シャフトは、2つのシャフトセクション6および7を備え、第1のシャフトセクション6は、発電機3とクラッチ5との間に位置し、ガスタービン中間シャフト7と呼ばれる第2のシャフトセクション7は、ガスタービン2とクラッチ5との間に位置する。本発明によれば、ガスタービン2を加速するための電動機8が、トレイン18内に配置される。始動電動機8は、ガスタービン2とクラッチ5との間においてトレイン18内に直接的に位置決めされ、このクラッチ5は、好ましくは自動シフトおよび同期クラッチとして構成される。
【0030】
図1は、電動機8が、ガスタービン2の圧縮機16内で圧縮されることとなる空気のための吸気ダクト15内に配置された例示の実施形態を示す。代替的には、電動機8は、吸気ダクト15の外部ではあるが依然としてトレイン18内に配置することも可能である。しかし、これは図示しない。
【0031】
また、図1は、発電機3に連結されたコンバータ17が、電動機8へと好都合に切り替えられることも可能であることを示す。
【0032】
図2は、長手方向断面における電動機8に関する詳細を示す。図2の例示の実施形態では、ガスタービン中間シャフト7にはロータ本体9が設けられている。ロータ本体9は、スロット10を有し、ロータケージバーとしての役割を果たす銅バー11が、これらのスロット10内に配置される。これら銅バーは、その面端部12において短絡リング13を介してロータ本体9に連結され、それによりガスタービン中間シャフト7は、少なくとも部分的にはかご型ソリッドロータとして設計される。
【0033】
また、図2は、ステータ張出し巻線20およびさらに回転磁界積層鉄心21を有する回転磁界ステータ14を示し、回転磁界積層鉄心21は、ロータ本体9の領域内でガスタービン中間シャフト7を囲む。
【0034】
最も単純な場合では、回転磁界ステータ14は、単体部品として構成される。さらにガスタービン中間シャフト7および電動機8は、フランジを介して好都合に相互連結される。図2は、このための焼きばめ継手19を示す。
【0035】
図示しない代替的な実施形態では、回転磁界ステータ14は、設置および除去をさらに良好にするために複数部品構成または別個の構成からなる。
【0036】
図3は、回転磁界ステータ14と、ステータスロット23と、ロータ本体9および銅バー11(ロータバー)を有する中間シャフト7とを有する図2の電動機8を断面で示す。
【符号の説明】
【0037】
1 発電設備
2 ガスタービン
3 発電機
4 シャフト
5 クラッチ
6 第1のシャフトセクション
7 第2のシャフトセクション、中間シャフト
8 始動電動機
9 ロータ本体
10 スロット
11 銅バー
12 面端部
13 短絡リング
14 回転磁界ステータ
15 吸気ダクト
16 圧縮機
17 コンバータ
18 トレイン
19 継手
20 ステータ張出し巻線
21 回転磁界積層鉄心
23 ステータスロット
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2017年5月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイン(18)内に配置されたガスタービン(2)および発電機(3)と、動力伝達のために前記発電機(3)に前記ガスタービン(2)を連結するシャフト(4)と、さらに、前記シャフト(4)が少なくとも2つのシャフトセクション(6、7)を備えるように前記ガスタービン(2)と前記発電機(3)との間において前記シャフト(4)中に配置されたクラッチ(5)であって、第1のシャフトセクション(6)は前記発電機(3)と前記クラッチ(5)との間に位置し、ガスタービン中間シャフトと呼ばれる第2のシャフトセクション(7)は前記ガスタービン(2)と前記クラッチ(5)との間に位置する、クラッチ(5)とを有する発電設備(1)において、
前記ガスタービン(2)を加速させるための電動機(8)が、前記クラッチ(5)と前記ガスタービン(2)との間において前記トレイン(18)内に配置され、前記ガスタービン(2)の回転速度にて常に同速度回転することを特徴とする、発電設備(1)。
【請求項2】
前記電動機(8)は、非同期電動機である、請求項1に記載の発電設備(1)。
【請求項3】
前記ガスタービン中間シャフト(7)にはロータ本体(9)が設けられており、前記ロータ本体(9)は、スロット(10)を有し、前記スロット(10)内には、銅バー(11)が配置されており、前記銅バー(11)は、その面端部(12)において短絡リング(13)を介して前記ロータ本体(9)に連結され、それにより前記ガスタービン中間シャフト(7)は、少なくとも部分的にはかご型ソリッドロータとして設計される、請求項1または2に記載の発電設備(1)。
【請求項4】
回転磁界ステータ(14)が、前記ロータ本体(9)の領域内の前記ガスタービン中間シャフト(7)を囲み、設置および除去をさらに良好にするために複数部品構成からなる、請求項3に記載の発電設備(1)。
【請求項5】
前記ガスタービン中間シャフト(7)および前記電動機(8)は、フランジを介して相互連結される、請求項1または2に記載の発電設備(1)。
【請求項6】
前記ガスタービン(2)の圧縮機(16)内で圧縮されることとなる空気のための吸気ダクト(15)をさらに備え、前記電動機(8)は、前記吸気ダクト(15)内に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の発電設備(1)。
【請求項7】
前記ガスタービン(2)の圧縮機(16)内で圧縮されることとなる空気のための吸気ダクト(15)をさらに備え、前記電動機(8)は、前記吸気ダクト(15)の外部に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の発電設備(1)。
【請求項8】
前記発電機(3)に連結されたコンバータ(17)をさらに備え、前記コンバータ(17)は、必要とされる場合に前記電動機(8)へと切り替えられ得る、請求項1から7のいずれか一項に記載の発電設備(1)。
【請求項9】
送電系統安定化動作中に発電設備(1)を運転するための方法であって、前記発電設備は、トレイン(18)内に配置された、ガスタービン(2)と、発電機(3)と、動力伝達のために前記発電機(3)に前記ガスタービン(2)を連結するシャフト(4)と、さらに前記ガスタービン(2)と前記発電機(3)との間において前記シャフト(4)中に配置されたクラッチ(5)とを備え、第1の段階では、前記ガスタービン(2)が回転動作に維持されるかまたは静止状態にある一方、前記発電機(3)は、供給送電系統と同期され、送電系統安定化のために回転位相変更器として必要とされる、方法において、
第2の段階で、前記発電機(3)は、前記供給送電系統に同期された状態に留まり、前記ガスタービン(2)が、前記発電設備(1)の前記トレイン(18)内に配置された電動機(8)を介して始動されることを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記ガスタービン(2)の回転速度が点火回転速度と同期回転速度との間にある場合に、前記電動機(8)は、オフに切り替えられ、前記ガスタービン(2)の前記回転速度にてアイドリングモードで同速度回転する、請求項9に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2018年9月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイン(18)内に配置されたガスタービン(2)および発電機(3)と、動力伝達のために前記発電機(3)に前記ガスタービン(2)を連結するシャフト(4)と、さらに、前記シャフト(4)が少なくとも2つのシャフトセクション(6、7)を備えるように前記ガスタービン(2)と前記発電機(3)との間において前記シャフト(4)中に配置されたクラッチ(5)であって、第1のシャフトセクション(6)は前記発電機(3)と前記クラッチ(5)との間に位置し、ガスタービン中間シャフトと呼ばれる第2のシャフトセクション(7)は前記ガスタービン(2)と前記クラッチ(5)との間に位置する、クラッチ(5)とを有する発電設備(1)において、
前記ガスタービン(2)を加速させるための電動機(8)が、前記クラッチ(5)と前記ガスタービン(2)との間において前記トレイン(18)内に配置され、前記ガスタービン(2)の回転速度にて常に同速度回転することを特徴とする、発電設備(1)。
【請求項2】
前記電動機(8)は、非同期電動機である、請求項1に記載の発電設備(1)。
【請求項3】
前記ガスタービン中間シャフト(7)にはロータ本体(9)が設けられており、前記ロータ本体(9)は、スロット(10)を有し、前記スロット(10)内には、銅バー(11)が配置されており、前記銅バー(11)は、その面端部(12)において短絡リング(13)を介して前記ロータ本体(9)に連結され、それにより前記ガスタービン中間シャフト(7)は、少なくとも部分的にはかご型ソリッドロータとして設計される、請求項1または2に記載の発電設備(1)。
【請求項4】
回転磁界ステータ(14)が、前記ロータ本体(9)の領域内の前記ガスタービン中間シャフト(7)を囲み、設置および除去をさらに良好にするために複数部品構成からなる、請求項3に記載の発電設備(1)。
【請求項5】
前記ガスタービン中間シャフト(7)および前記電動機(8)は、フランジを介して相互連結される、請求項1または2に記載の発電設備(1)。
【請求項6】
前記ガスタービン(2)の圧縮機(16)内で圧縮されることとなる空気のための吸気ダクト(15)をさらに備え、前記電動機(8)は、前記吸気ダクト(15)内に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の発電設備(1)。
【請求項7】
前記ガスタービン(2)の圧縮機(16)内で圧縮されることとなる空気のための吸気ダクト(15)をさらに備え、前記電動機(8)は、前記吸気ダクト(15)の外部に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の発電設備(1)。
【請求項8】
前記発電機(3)に連結されたコンバータ(17)をさらに備え、前記コンバータ(17)は、前記電動機(8)へと切り替えられ得る、請求項1から7のいずれか一項に記載の発電設備(1)。
【請求項9】
送電系統安定化動作中に発電設備(1)を運転するための方法であって、前記発電設備は、トレイン(18)内に配置された、ガスタービン(2)と、発電機(3)と、動力伝達のために前記発電機(3)に前記ガスタービン(2)を連結するシャフト(4)と、さらに前記ガスタービン(2)と前記発電機(3)との間において前記シャフト(4)中に配置されたクラッチ(5)とを備え、第1の段階では、前記ガスタービン(2)が回転動作に維持されるかまたは静止状態にある一方、前記発電機(3)は、供給送電系統と同期され、送電系統安定化のために回転位相変更器として必要とされる、方法において、
第2の段階で、前記発電機(3)は、前記供給送電系統に同期された状態に留まり、前記ガスタービン(2)が、前記発電設備(1)の前記トレイン(18)内に配置された電動機(8)を介して始動されることを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記ガスタービン(2)の回転速度が点火回転速度と同期回転速度との間にある場合に、前記電動機(8)は、オフに切り替えられ、前記ガスタービン(2)の前記回転速度にてアイドリングモードで同速度回転する、請求項9に記載の方法。
【国際調査報告】