特表2019-512993(P2019-512993A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-512993車両用複合エネルギー供給システム及び方法、複合エネルギー自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-512993(P2019-512993A)
(43)【公表日】2019年5月16日
(54)【発明の名称】車両用複合エネルギー供給システム及び方法、複合エネルギー自動車
(51)【国際特許分類】
   B60L 50/30 20190101AFI20190419BHJP
   B60L 50/40 20190101ALI20190419BHJP
   B60L 50/50 20190101ALI20190419BHJP
   B60L 53/00 20190101ALI20190419BHJP
   B60L 55/00 20190101ALI20190419BHJP
   B60L 58/00 20190101ALI20190419BHJP
   B60L 8/00 20060101ALI20190419BHJP
【FI】
   B60L11/16
   B60L11/18 A
   B60L8/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-536412(P2018-536412)
(86)(22)【出願日】2017年9月13日
(85)【翻訳文提出日】2018年7月9日
(86)【国際出願番号】CN2017101479
(87)【国際公開番号】WO2018184351
(87)【国際公開日】20181011
(31)【優先権主張番号】201710220844.0
(32)【優先日】2017年4月6日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518244541
【氏名又は名称】東漢新能源汽車技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】DONG HAN NEW ENERGY AUTOMOTIVE TECHNOLOGY CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】明 巧紅
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC09
5H125AC12
5H125AC15
5H125BB00
5H125BC00
5H125BC12
5H125BD19
5H125DD19
5H125EE21
5H125EE27
5H125EE52
(57)【要約】
【課題】車両による環境汚染を低減し、エネルギーの使用効率を向上させ、車両の航続距離を延ばすこと。
【解決手段】本発明は車両用複合エネルギー供給システム及び方法を開示し、前記システムは太陽電池モジュールと、バッテリモジュールと、入力変換モジュールと、DC−ACインバータと、トラクションモータと、フライホイールモジュールと、制御モジュールとを含み、車両を運転するとき、フライホイールモジュールから車両に駆動電力を供給し、制御モジュールは車両の運転状態、フライホイールモジュールの出力パラメータ、太陽電池モジュール及びバッテリモジュールの残電力量を取得し、出力パラメータに基づいてフライホイールモジュールが供給可能な最大電力を確定し、且つフライホイールモジュールから出力された最大電力が車両に必要な駆動電力より小さいとき、入力変換モジュールが太陽電池モジュール及び/又はバッテリモジュールから出力された直流電力をDC−ACインバータにアクセスするよう制御し、DC−ACインバータは前記直流電力を交流電力に変換することでトラクションモータを駆動する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用複合エネルギー供給システムであって、
太陽電池モジュールと、バッテリモジュールと、入力変換モジュールと、DC−ACインバータと、トラクションモータと、フライホイールモジュールと、制御モジュールとを含み、前記太陽電池モジュールの出力端子、前記バッテリモジュールの出力端子が前記入力変換モジュールを介して前記DC−ACインバータの直流端子に接続され、前記DC−ACインバータの交流端子が前記トラクションモータに接続され、前記制御モジュールがそれぞれ前記入力変換モジュールと前記フライホイールモジュールに通信可能に接続され、
車両を運転するとき、前記フライホイールモジュールから車両に駆動電力を供給し、前記制御モジュールは車両の運転状態、前記フライホイールモジュールの出力パラメータ、太陽電池モジュール及びバッテリモジュールの残電力量を取得し、前記出力パラメータに基づいて前記フライホイールモジュールが供給可能な最大電力を確定し、且つ前記フライホイールモジュールから出力された最大電力が車両に必要な駆動電力より小さいとき、前記入力変換モジュールは、前記太陽電池モジュール及び/又は前記バッテリモジュールから出力された直流電力を前記DC−ACインバータにアクセスするよう制御し、前記DC−ACインバータは前記直流電力を交流電力に変換することで、前記トラクションモータを駆動することを特徴とする車両用複合エネルギー供給システム。
【請求項2】
前記制御モジュールは前記太陽電池モジュール及びバッテリモジュールの残電力量に基づいて前記太陽電池モジュール及びバッテリモジュールが供給可能な最大電力を確定し、且つ前記フライホイールモジュールから出力された最大電力が車両に必要な駆動電力より小さいとき、前記太陽電池モジュールが供給可能な最大電力が車両に必要な駆動電力とフライホイールモジュールが供給可能な最大電力との差以上であれば、前記入力変換モジュールは、前記太陽電池モジュールから出力された直流電力を前記DC−ACインバータにアクセスするよう制御し、そうでなければ、前記入力変換モジュールが前記太陽電池モジュール及び前記バッテリモジュールから出力された直流電力を前記DC−ACインバータにアクセスするよう制御することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
車両が制動状態又は減速又は下り坂状態にあるとき、前記制御モジュールはモータからフィードバックされた発電エネルギーを利用して前記フライホイールモジュールを優先的に充電し、前記フライホイールモジュールが満充電された後に、さらに前記入力変換モジュールを介して前記バッテリモジュールを充電するよう制御することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記太陽電池モジュールの出力端子はさらに、前記入力変換モジュールを介して前記バッテリモジュールに接続されることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記フライホイールモジュールはフライホイールと、フライホイールモータと、電力電子変換装置とを含み、
前記電力電子変換装置は、前記トラクションモータに接続され、前記トラクションモータから電気エネルギーを入力することで、前記フライホイールモータが前記フライホイールを連動して回転するよう駆動し、且つ前記トラクションモータにエネルギーが必要となるとき、前記フライホイールが前記フライホイールモータを連動して回転することで発生するエネルギーを前記トラクションモータに必要な電気エネルギーに変換することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記電力電子変換装置は双方向インバータであることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムはさらに、速度センサと、動力出力軸とを含み、
前記動力出力軸は前記トラクションモータから出力される動力を車両の駆動輪に伝達し、前記モータの出力軸は伝動装置を介して前記動力出力軸に接続され、前記フライホイールモジュールは前記動力出力軸に設置され、
前記速度センサは前記フライホイールモジュールの回転速度を取得し、且つ前記回転速度を前記制御モジュールに伝送し、
前記制御モジュールは前記回転速度に基づいて前記フライホイールモジュールが供給可能な最大電力を確定することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
車両用複合エネルギー供給方法であって、前記複合エネルギーは太陽電池と、バッテリと、フライホイールモジュールとを含み、
前記方法において、
車両を運転するとき、前記フライホイールモジュールから車両に駆動電力を供給し、
車両の運転状態、前記フライホイールモジュールの出力パラメータ、太陽電池及びバッテリの残電力量を取得し、
前記出力パラメータに基づいて前記フライホイールモジュールが供給可能な最大電力を確定し、
前記フライホイールモジュールから出力される最大電力が車両に必要な駆動電力より小さいとき、前記太陽電池及び/又はバッテリが車両に駆動電力を供給するよう制御することを特徴とする車両用複合エネルギー供給方法。
【請求項9】
車両が制動状態又は減速又は下り坂状態にあるとき、モータからフィードバックされる発電エネルギーを利用して前記フライホイールモジュールを優先的に充電し、前記フライホイールモジュールが満充電された後に、さらに前記バッテリを充電するよう制御することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用複合エネルギー供給システムを含むことを特徴とする複合エネルギー自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両エネルギー分野に関し、具体的には、車両用複合エネルギー供給システム及び方法、複合エネルギー自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー車とは、従来とは異なる自動車用の燃料を動力源とし、車両の動力制御と駆動とに関する先端技術を総合して形成された技術原理が先進的で、新しい技術と、新しい構造とを備えた自動車を指す。新エネルギー車は、ハイブリッド電気自動車、純電気自動車(ソーラー自動車を含む)、燃料電池電気自動車、その他の新エネルギー(コンデンサ、フライホイールなどの高性能なエネルギー貯蔵装置)車など4つの種類を含む。
【0003】
現在、電気自動車の普及を制限している要因の1つはその航続距離が短いことであり、回生制動は、エネルギーを節約し、電気自動車の航続距離を延ばすキーとなり、顕著な経済的価値及び社会的利益を有する。また、太陽エネルギーは最もクリーンなエネルギーの1つであり、化石燃料の減少に伴い、太陽エネルギーは既に人々が利用できるエネルギーの重要な部分となり、継続的に開発され、自動車の動力源として太陽エネルギーを利用すると、環境を汚染せず、従来の熱機関で駆動される自動車と比べ、真のゼロエミッションを実現する。従って、これらのエネルギーをどのように合理的で、効率的に使用するかは、業界で広く注目される課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両による環境汚染を低減し、エネルギーの使用効率を向上させ、バッテリの耐用年数を延ばし、車両の航続距離を延ばすために、本発明の一態様は車両用複合エネルギー供給システム及び方法を提供する。
【0005】
自動車の総排出量を減らし、エネルギーを節約し、環境を汚染せず、車両の航続距離を延ばすために、本発明の他の態様は、複合エネルギー自動車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明は以下の技術案を提供する。
車両用複合エネルギー供給システムは、太陽電池モジュールと、バッテリモジュールと、入力変換モジュールと、DC−ACインバータと、トラクションモータと、フライホイールモジュールと、制御モジュールとを含む。前記太陽電池モジュールの出力端子、前記バッテリモジュールの出力端子は前記入力変換モジュールを介して前記DC−ACインバータの直流端子に接続され、前記DC−ACインバータの交流端子は前記トラクションモータに接続され、前記制御モジュールはそれぞれ前記入力変換モジュールと前記フライホイールモジュールに通信可能に接続される。
車両を運転するとき、前記フライホイールモジュールから車両に駆動電力を供給し、前記制御モジュールは車両の運転状態、前記フライホイールモジュールの出力パラメータ、太陽電池モジュール及びバッテリモジュールの残電力量を取得し、前記出力パラメータに基づいて前記フライホイールモジュールが供給可能な最大電力を確定し、且つ前記フライホイールモジュールから出力された最大電力が車両に必要な駆動電力より小さいとき、前記入力変換モジュールは、前記太陽電池モジュール及び/又は前記バッテリモジュールから出力された直流電力を前記DC−ACインバータにアクセスするよう制御し、前記DC−ACインバータは前記直流電力を交流電力に変換することで、前記トラクションモータを駆動する。
【0007】
好ましくは、前記制御モジュールは前記太陽電池モジュール及びバッテリモジュールの残電力量に基づいて前記太陽電池モジュール及びバッテリモジュールが供給可能な最大電力を確定し、且つ前記フライホイールモジュールから出力された最大電力が車両に必要な駆動電力より小さいとき、前記太陽電池モジュールが供給可能な最大電力が車両に必要な駆動電力とフライホイールモジュールが供給可能な最大電力との差以上であれば、前記入力変換モジュールは、前記太陽電池モジュールから出力された直流電力を前記DC−ACインバータにアクセスするよう制御し、そうでなければ、前記入力変換モジュールが前記太陽電池モジュール及び前記バッテリモジュールから出力された直流電力を前記DC−ACインバータにアクセスするよう制御する。
【0008】
好ましくは、車両が制動状態又は減速又は下り坂状態にあるとき、前記制御モジュールはモータからフィードバックされた発電エネルギーを利用して前記フライホイールモジュールを優先的に充電し、前記フライホイールモジュールが満充電された後に、さらに前記入力変換モジュールを介して前記バッテリモジュールを充電するよう制御する。
【0009】
好ましくは、前記太陽電池モジュールの出力端子はさらに、前記入力変換モジュールを介して前記バッテリモジュールに接続される。
【0010】
好ましくは、前記フライホイールモジュールは、フライホイールと、フライホイールモータと、電力電子変換装置とを含む。
前記電力電子変換装置は、前記トラクションモータに接続され、前記トラクションモータから電気エネルギーを入力することで、前記フライホイールモータが前記フライホイールを連動して回転するよう駆動し、且つ前記トラクションモータにエネルギーが必要となるとき、前記フライホイールが前記フライホイールモータを連動して回転することで発生するエネルギーを前記トラクションモータに必要な電気エネルギーに変換する。
【0011】
好ましくは、前記電力電子変換装置は双方向インバータである。
【0012】
好ましくは、前記システムはさらに、速度センサと、動力出力軸とを含む。
前記動力出力軸は前記トラクションモータから出力される動力を車両の駆動輪に伝達し、前記モータの出力軸は伝動装置を介して前記動力出力軸に接続され、前記フライホイールモジュールは前記動力出力軸に設置される。
前記速度センサは、前記フライホイールモジュールの回転速度を取得し、且つ前記回転速度を前記制御モジュールに伝送する。
前記制御モジュールは、前記回転速度に基づいて前記フライホイールモジュールが供給可能な最大電力を確定する。
【0013】
車両用複合エネルギー供給方法であって、前記複合エネルギーは太陽電池と、バッテリと、フライホイールモジュールとを含む。
前記方法は下記の過程を含む。
車両を運転するとき、前記フライホイールモジュールから車両に駆動電力を供給し、
車両の運転状態、前記フライホイールモジュールの出力パラメータ、太陽電池及びバッテリの残電力量を取得し、
前記出力パラメータに基づいて前記フライホイールモジュールが供給可能な最大電力を確定し、
前記フライホイールモジュールから出力される最大電力が車両に必要な駆動電力より小さいとき、前記太陽電池及び/又はバッテリが車両に駆動電力を供給するよう制御する。
【0014】
好ましくは、車両が制動状態又は減速又は下り坂状態にあるとき、モータからフィードバックされる発電エネルギーを利用して前記フライホイールモジュールを優先的に充電し、前記フライホイールモジュールが満充電された後に、さらに前記バッテリを充電するよう制御する。
【0015】
複合エネルギー自動車は、前述した車両用複合エネルギー供給システムを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施例による車両用複合エネルギー供給システム及び方法は、多種のエネルギーを総合的に利用して車両を駆動し、具体的には、フライホイールエネルギー貯蔵素子の利点を利用し、車両を運転するとき、フライホイールモジュールから車両に駆動電力を供給し、前記フライホイールモジュールから出力される最大電力が車両に必要な駆動電力より小さいとき、太陽電池及び/又はバッテリを補充エネルギーとし、それにより車両の有害物質の排出を効果的に低減し、車両の航続距離を延ばすことができる。また、フライホイールエネルギー貯蔵素子は電力出力が高く、エネルギー変換効率が高く、過充放電の問題がないなどの利点を有するため、自動車の起動、加速、坂登り時の大電力出力要件がうまく満たされ、自動車の動力性及び経済性を改善すると共に、バッテリの充放電電流を緩和し、バッテリの耐用年数を延ばすことができる。
【0017】
前記車両用複合エネルギー供給システムを備える複合エネルギー自動車は、自動車の総排出量を顕著に減らし、エネルギーを節約し、自動車の航続距離を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明における車両用複合エネルギー供給システムの原理ブロック図である。
図2】本発明における車両用複合エネルギー供給システムの具体的な構造概略図である。
図3】本発明における車両用複合エネルギー供給システムの他の具体的な構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願の実施例又は従来技術の技術案についてより明確に説明するために、以下、実施例に対して必要な図面を用いて簡潔に説明する。当然ながら、以下に記載する図面は本発明に記載の実施例の一部であり、当業者はこれらの図面に基づき他の図面を想到し得る。
【0020】
当業者が本発明の実施例の解決手段をよく理解するように、以下に図面及び実施形態に基づいて本発明の実施例についてさらに詳細に説明する。
【0021】
フライホイールは最新式のエネルギー貯蔵素子として、その高効率、省エネルギー、長耐用年数及び環境汚染防止などの利点を有するため、人々に注目されている。他のエネルギー貯蔵技術と比べ、フライホイールは、電池エネルギー貯蔵素子として高い比エネルギー、高比出力、高効率、無汚染、広い適用範囲、無ノイズ、長い耐用年数を有し、メンテナンスしやすく、連続的な作業を実現でき、モジュール化設計製造が可能であるなどの利点を備え、瞬間的な高電力と頻繁に充放電する場合に非常に適している。また、太陽エネルギーを動力として用いると環境を汚染せず、且つ太陽エネルギーは「幾ら取っても取り尽くせず、幾ら使っても使い尽くせない」のエネルギーである。
【0022】
従って、本発明は、車両用複合エネルギー供給システム及び方法を提供する。フライホイールエネルギー貯蔵素子は、優先的に選択されるエネルギーとして車両に駆動力を供給する。また、自動車上に取り付けられた太陽電池は、自動車が高速で走行し、その位置が絶えず変化するため、その出力電力は不安定性を有する。従って、バッテリは、太陽エネルギーの補充エネルギーとして、多種のエネルギーを総合的に利用して車両に駆動力を供給する。フライホイールエネルギー貯蔵素子が供給可能な最大電力が車両に必要な駆動電力を満たすことができない場合、不足する分は太陽電池及びバッテリにより補充され、それにより車両の有害物質の排出を大幅に低減し、車両の航続距離を延ばす。
【0023】
図1は、本発明における車両用複合エネルギー供給システムの原理ブロック図である。
【0024】
前記システムは、太陽電池モジュール11と、バッテリモジュール12と、入力変換モジュール14と、DC−ACインバータ15と、トラクションモータ10と、フライホイールモジュール13と、制御モジュール16とを含む。ここで、太陽電池モジュール11の出力端子、バッテリモジュール12の出力端子は、入力変換モジュール14を介してDC−ACインバータ15の直流端子に接続され、DC−ACインバータ15の交流端子は、トラクションモータ10に接続される。制御モジュール16は、入力変換モジュール14とフライホイールモジュール13にそれぞれ通信可能に接続される。
【0025】
上記太陽電池モジュール11、バッテリモジュール12は、トラクションモータ10に電気エネルギーを出力し、それぞれの出力は入力変換モジュール14により制御される。
【0026】
実際の応用において、フライホイールモジュール13は、異なる形式の出力形態を用いてもよく、例えば、トラクションモータ10に電気エネルギーを出力し、又は車両の駆動輪に機械的エネルギーを直接出力する。当然ながら、異なる形式で出力するフライホイールモジュール13の具体的な構造も異なり、後の例示にて説明する。
【0027】
前記システムにおいて、車両を運転するとき、フライホイールモジュール13から車両に駆動電力を供給する。制御モジュール16は、車両の運転状態、フライホイールモジュール13の出力パラメータ(例えば、電流、電圧、回転速度など)、太陽電池モジュール11及びバッテリモジュール12の残電力量を取得し、フライホイールモジュール13の出力パラメータに基づいてフライホイールモジュール13が供給可能な最大電力を確定する。また、フライホイールモジュール13から出力された最大電力が車両に必要な駆動電力より小さいとき、入力変換モジュール14が太陽電池モジュール11及び/又はバッテリモジュール12から出力された直流電力をDC−ACインバータ15にアクセスするよう制御する。DC−ACインバータ15は前記直流電力を交流電力に変換し、トラクションモータ10を駆動する。
【0028】
前記システムにおいて、制御モジュール16は、太陽電池モジュール11及びバッテリモジュール12の残電力量に基づいて太陽電池モジュール11及びバッテリモジュール12が供給可能な最大電力を確定することができる。太陽電池モジュール11及びバッテリモジュール12の残電力量は、いずれもそれぞれの電力量管理システムによりリアルタイムに統計し、且つCANバスを介してこれらの情報を制御モジュール16にリアルタイムにフィードバックする。
【0029】
フライホイールモジュール13から出力された最大電力が車両に必要な駆動電力より小さいとき、太陽電池モジュール11が供給可能な最大電力が車両に必要な駆動電力とフライホイールモジュール13が供給可能な最大電力との差以上であれば、制御モジュール16は、入力変換モジュール14が太陽電池モジュール11から出力された直流電力をDC−ACインバータ15にアクセスするよう制御する。そうでなければ、入力変換モジュール14が太陽電池モジュール11及びバッテリモジュール12から出力された直流電力をDC−ACインバータ15にアクセスするよう制御する。当然ながら、バッテリモジュール12が供給可能な最大電力が車両に必要な駆動電力とフライホイールモジュール13が供給可能な最大電力との差以上であれば、制御モジュール16は、入力変換モジュール14がバッテリモジュール12から出力される直流電力のみをDC−ACインバータ15にアクセスするよう制御してもよく、本発明の実施例に限定されるものではない。
【0030】
本発明の実施例における車両用複合エネルギー供給システムは、多種のエネルギーを総合的に利用して車両を駆動する。具体的には、フライホイールエネルギー貯蔵素子の利点を利用し、車両を運転するとき、フライホイールモジュールから車両に駆動電力を供給し、前記フライホイールモジュールから出力される最大電力が車両に必要な駆動電力より小さいとき、太陽電池及び/又はバッテリを補充エネルギーとし、これにより車両の有害物質の排出を効果的に低減し、車両の航続距離を延ばすことができる。
【0031】
また、本発明の実施例における車両用複合エネルギー供給システムは、さらに車両の異なる運転状態の特徴に基づいて、そのエネルギー供給を合理的に配置し、異なるエネルギーのそれぞれの利点を最大限に発揮させる。例えば、車両の起動、加速、坂登り時に、瞬時に大電流を必要とし、このとき、フライホイールモジュール13、太陽電池モジュール11及びバッテリモジュール12により共に駆動エネルギーを供給する。定速走行する時は、長時間放電の要件を考慮し、太陽電池モジュール11とバッテリモジュール12により共に駆動エネルギーを供給してもよく、フライホイールモジュール13はエネルギーを放出してもよく、放出しなくてもよい。フライホイールエネルギー貯蔵素子は電力出力が高く、エネルギー変換効率が高く、過充放電の問題がないなどの利点を有するため、自動車の起動、加速、坂登り時の大電力出力要件をうまく満たし、自動車の動力性及び経済性を改善すると共に、バッテリの充放電電流を緩和し、バッテリの耐用年数を延ばすことができる。
【0032】
さらに、車両が制動状態又は減速又は下り坂状態にある場合、このとき、トラクションモータは回生制動状態にあり、制御モジュール16はモータからフィードバックされる発電エネルギーを利用してフライホイールモジュール13を優先的に充電し、フライホイールモジュール13が満充電された後に、さらに入力変換モジュール14を介してバッテリモジュール12を充電するよう制御する。
【0033】
なお、充電過程において、制御モジュール16はフライホイールモジュール13の出力パラメータをリアルタイムに監視する必要があり、前記出力パラメータに基づいてフライホイールモジュール13が満充電されたか否か(例えば、フライホイールモジュール13の電力量が上限値に達したか否か、又はフライホイールモジュール13の回転速度が最大に達したか否か)を確定する。制動時間が比較的長く、フライホイールモジュール13が満充電されたときに依然として制動を停止しない場合、このとき、制御モジュール16は入力変換モジュール14をトリガしてバッテリモジュール12の入力端子をオンし、バッテリモジュール12が余分な制動エネルギーの吸収を続けるようにし、バッテリモジュール12の電力量も許可された上限値に達した後、機械的な制動モードを起動する。機械的な制動モードの起動は、本発明のシステムにおける制御モジュール16によりトリガされてもよく、車両における他の制御モジュールによりトリガされてもよく、又は前記他の制御モジュール及び本システムにおける制御モジュール16を組み合わせてトリガされてもよい。これに対して、本発明の実施例では限定しない。
【0034】
実際の応用において、上記バッテリモジュール12は外付けの充電器により充電されてもよい。例えば、トラクションモータが運転を停止し、同時にバッテリモジュールの電力量が不足で充電する必要があるとき、外付けの充電電源によりそれを充電する。また、本発明のシステムの他の実施例において、太陽電池モジュール11の出力端子は入力変換モジュール14を介してバッテリモジュール12に接続され、設定条件が満たされる場合、太陽電池モジュール11によりバッテリモジュール12を充電する。例えば、日照が十分である環境下で、トラクションモータは運転を停止する又は定速に運転する状態になり、太陽電池の余分なエネルギーはバッテリモジュール12に補充される。当然ながら、バッテリモジュール12に外付けの充電電源が接続される場合、バッテリモジュールは外付けの充電電源及び太陽電池モジュール11により充電されてもよい。
【0035】
なお、実際の応用において、車両の運転状態及び各エネルギー出力モジュールの電力監視のすべては、制御モジュール16により完了してもよく、これらの機能を車両の異なる制御モジュールに配分して完了してもよい。例えば、全体車両のコントローラにより車両の運転状態を監視し、電池管理モジュールにより各エネルギー出力モジュールの電力を監視する。全体車両のコントローラ、電池管理モジュールは、それぞれCANバスを介して制御モジュール16と通信し、それにより制御モジュール16は、CANバスメッセージにより対応する情報を取得する。
【0036】
上記太陽電池モジュール11は、太陽電池及び太陽電池電圧変換回路(図示せず)を含んでもよく、前記太陽電池の出力端子は前記太陽電池電圧変換回路の入力端子に接続される。前記太陽電池電圧変換回路の出力端子を前記太陽電池モジュールの出力端子とし、すなわち、前記太陽電池電圧変換回路は太陽電池11と出力制御モジュール14との間に直列接続される。ただし、前記太陽電池は自動車の頂部又は周囲に設けられ、太陽光をより良好に吸収し、太陽エネルギーの利用率を向上させることができる。
【0037】
上記バッテリモジュール12は、バッテリ及びバッテリ電圧変換回路(図示せず)を含んでもよく、前記バッテリの出力端子は前記バッテリ電圧変換回路の入力端子に接続される。前記バッテリ電圧変換回路の出力端子を前記バッテリモジュールの出力端子とし、すなわち、前記太陽電池電圧変換回路は太陽電池11と出力制御モジュール14との間に直列接続される。
【0038】
前記太陽電池電圧変換回路は一方向のDC−DCコンバータであり、バッテリ電圧変換回路は双方向のDC−DCコンバータである。
【0039】
また、説明すべきものとして、実際の応用において、制御モジュール16は、バッテリ及び太陽電池の残電力量に基づいてその出力電力の大きさを制御でき、例えば、その残電力量が20%より高いとき、フル電力で出力できる。残電力量が20%より低いとき、最大電力の50%に電力を低減して出力する。残電力量が10%より低いとき、出力を停止する。具体的な出力電力の制御は従来のいくつかの技術を採用して実現してもよい。これに対して、本発明の実施例では限定しない。
【0040】
上述のように、実際の応用において、フライホイールモジュール13は異なる形式の出力形態を用いてもよく、これに対して以下で例示して説明する。
【0041】
図2は、本発明における車両用複合エネルギー供給システムの具体的な構造概略図である。
【0042】
前記実施例において、フライホイールモジュール11は、フライホイール131と、フライホイールモータ132と、電力電子変換装置133とを含む。ただし、電力電子変換装置133は、トラクションモータ10に接続され、トラクションモータ10から電気エネルギーを入力することで、フライホイールモータ132がフライホイール131を連動して回転するよう駆動し、且つトラクションモータ10にエネルギーが必要となるとき、フライホイール131がフライホイールモータ132を連動して回転することで発生したエネルギーをトラクションモータ10に必要な電気エネルギーに変換するために用いられる。前記電力電子変換装置133は双方向のインバータである。
【0043】
図3は、本発明における車両用複合エネルギー供給システムの他の具体的な構造概略図である。
【0044】
前記実施例では、前記システムはさらに、動力出力軸21を含み、動力出力軸21は、トラクションモータ10から出力される動力を車両の駆動輪22に伝達するために用いられ、フライホイールモジュール13は、動力出力軸21に設置される。具体的には、トラクションモータ10の出力軸は、伝動装置を介して動力出力軸21に接続されてもよく、駆動輪22は、前輪(すなわち前駆動)であってもよく、また後輪(すなわち後駆動)であってもよい。フライホイールモジュール13は、動力出力軸21により回転を駆動されるフライホイールであってもよい。
【0045】
また、前記実施例において、前記システムはさらに、速度センサ23を含み、前記速度センサ23は、フライホイールモジュール13の回転速度を取得し、且つ前記回転速度を制御モジュール16に伝送するために用いられる。これにより、制御モジュール16は、前記回転速度に基づいてフライホイールモジュール13が供給可能な最大電力を確定する。前記速度センサ23は、具体的にフライホイールモジュール13のフレームに設置されてもよい。
【0046】
本発明の車両用複合エネルギー供給システムにおいて、フライホイールエネルギー貯蔵素子は電気自動車の分野に適用され、且つ太陽エネルギー及びバッテリにより補充され、車両の運転状態に基づいてエネルギーの出力を合理的に配分し、それにより車両の有害物質の排出を効果的に低減し、車両の航続距離を延ばし、バッテリの充放電電流を緩和し、バッテリの耐用年数を延ばすことができる。
【0047】
本発明の実施例における車両用複合エネルギー供給システムは、様々な異なるタイプの車両に適用でき、前記車両用複合エネルギー供給システムを備える複合エネルギー自動車は、自動車の総排出量を顕著に減らし、エネルギーを節約し、自動車の航続距離を延ばすことができる。
【0048】
これにより、本発明はさらに、車両用複合エネルギー供給方法を提供し、前記複合エネルギーは太陽電池と、バッテリと、フライホイールモジュールとを含む。
前記方法は下記の過程を含む。
車両を運転するとき、前記フライホイールモジュールから車両に駆動電力を供給し、
車両の運転状態、前記フライホイールモジュールの出力パラメータ、太陽電池及びバッテリの残電力量を取得し、
前記出力パラメータに基づいて前記フライホイールモジュールが供給可能な最大電力を確定する。
前記フライホイールモジュールから出力される最大電力が車両に必要な駆動電力より小さいとき、前記太陽電池及び/又はバッテリが車両に駆動電力を供給するよう制御する。例えば、太陽電池が供給可能な最大電力が車両に必要な駆動電力とフライホイールモジュールが供給可能な最大電力との差以上であれば、太陽電池が車両に駆動電力を供給するよう制御し、そうでなければ、太陽電池及びバッテリが共に車両に駆動電力を供給するよう制御する。
【0049】
また、車両が制動状態又は減速又は下り坂状態にあるとき、モータからフィードバックされる発電エネルギーを利用して前記フライホイールモジュールを優先的に充電し、前記フライホイールモジュールが満充電された後に、さらに前記バッテリを充電するよう制御する。
【0050】
本発明の実施例における車両用複合エネルギー供給方法は、多種のエネルギーを総合的に利用して車両を駆動する。具体的には、フライホイールエネルギー貯蔵素子の利点を利用し、車両を運転するとき、フライホイールモジュールから車両に駆動電力を供給し、前記フライホイールモジュールから出力される最大電力が車両に必要な駆動電力より小さいとき、太陽電池及び/又はバッテリを補充エネルギーとし、それにより車両の有害物質の排出を効果的に低減し、車両の航続距離を延ばすことができる。また、フライホイールエネルギー貯蔵素子は電力出力が高く、エネルギー変換効率が高く、過充放電の問題がないなどの利点を有する。よって、自動車の起動、加速、坂登り時の大電力出力要件をうまく満たし、自動車の動力性及び経済性を改善すると共に、バッテリの充放電電流を緩和し、バッテリの耐用年数を延ばすことができる。
【0051】
以上、本発明の実施例について詳細に説明した。本明細書では具体的な実施の形態を用いて本発明について説明しており、以上の実施例の説明は本発明の方法及びシステムの理解を助けるためのものである。同時に、当業者は、本発明の思想に基づき、具体的な実施の形態及び適用範囲において変更することができる。上述のように、本明細書の内容は本発明を制限するものとして理解されてはならない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】