(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-513873(P2019-513873A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(54)【発明の名称】無臭シアベースエステル
(51)【国際特許分類】
C11B 3/12 20060101AFI20190510BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20190510BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20190510BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20190510BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20190510BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20190510BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20190510BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20190510BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20190510BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20190510BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20190510BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20190510BHJP
A61K 31/216 20060101ALI20190510BHJP
A61K 31/23 20060101ALI20190510BHJP
A61K 31/231 20060101ALI20190510BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20190510BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20190510BHJP
A23D 9/00 20060101ALI20190510BHJP
A61K 36/185 20060101ALN20190510BHJP
A61K 131/00 20060101ALN20190510BHJP
【FI】
C11B3/12
A61K8/92
A61K8/37
A61Q19/00
A61Q5/00
A61Q1/04
A61Q1/02
A61Q17/04
A61Q19/08
A61P43/00 107
A61P29/00
A61P17/00
A61P43/00 121
A61K31/216
A61K31/23
A61K31/231
A61K47/44
A61K47/14
A23D9/00 508
A23D9/00
A61K36/185
A61K131:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-553908(P2018-553908)
(86)(22)【出願日】2017年4月12日
(85)【翻訳文提出日】2018年10月18日
(86)【国際出願番号】SE2017050369
(87)【国際公開番号】WO2017180051
(87)【国際公開日】20171019
(31)【優先権主張番号】1650500-0
(32)【優先日】2016年4月13日
(33)【優先権主張国】SE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】518357966
【氏名又は名称】アーアーコー アーベー(パブリーク)
【氏名又は名称原語表記】AAK AB(PUBL)
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アランダー,ヤリ
(72)【発明者】
【氏名】ノールベリ,スタファン
【テーマコード(参考)】
4B026
4C076
4C083
4C088
4C206
4H059
【Fターム(参考)】
4B026DC01
4B026DG01
4B026DH10
4B026DL10
4B026DP03
4B026DX02
4C076AA06
4C076AA11
4C076AA17
4C076AA56
4C076BB01
4C076BB31
4C076DD45
4C076DD45A
4C076EE53
4C076EE53A
4C076FF01
4C076FF11
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC331
4C083AC342
4C083AC351
4C083AC352
4C083AD531
4C083AD532
4C083CC02
4C083CC03
4C083CC11
4C083CC19
4C083CC31
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE06
4C083FF01
4C088AB12
4C088AC04
4C088BA06
4C088BA18
4C088BA32
4C088MA16
4C088MA28
4C088MA37
4C088MA52
4C088MA63
4C088NA05
4C088NA20
4C088ZA91
4C088ZB11
4C088ZB22
4C088ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DB06
4C206DB07
4C206DB20
4C206DB41
4C206DB43
4C206KA01
4C206KA18
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA36
4C206MA48
4C206MA57
4C206MA72
4C206MA83
4C206NA05
4C206NA20
4C206ZA91
4C206ZB11
4C206ZB22
4C206ZC75
4H059BA30
4H059BB01
4H059BB03
4H059BB14
4H059BB55
4H059BC13
4H059BC23
4H059CA19
4H059CA72
4H059DA09
4H059EA25
(57)【要約】
a)少なくとも部分的に天然源由来の少なくとも1種の短鎖アルコールアルキルエステル81〜97重量%と、b)少なくとも1種が桂皮酸トリテルペンエステルであるトリテルペンエステル3〜19重量%と、c)1100ppm以下の少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルとを含む成分組成物として、無臭のシアベースのエステルが提供される。更に、脱臭工程を含む組成物の製造方法が提供される。利点は、無臭又はほぼ無臭の組成物を提供できることである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも部分的に天然源由来の少なくとも1種の短鎖アルコールアルキルエステル81〜97重量%と、
b)少なくとも1種が桂皮酸トリテルペンエステルであるトリテルペンエステル3〜19重量%と、
c)1100ppm以下の少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルと、
を含む、成分組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルが、桂皮酸エチル、桂皮酸メチル、桂皮酸プロピル、又は桂皮酸イソプロピルである、請求項1に記載の成分組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルが桂皮酸エチルである、請求項1又は2に記載の成分組成物。
【請求項4】
800ppm以下の前記少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の成分組成物。
【請求項5】
700ppm以下の前記少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の成分組成物。
【請求項6】
600ppm以下の前記少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の成分組成物。
【請求項7】
400ppm以下の前記少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の成分組成物。
【請求項8】
200ppm以下の前記少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の成分組成物。
【請求項9】
5〜9重量%のトリテルペンエステル(不鹸化物)含量を有するシアバターのエチルエステルの組成物において、桂皮酸エチルの量を1100ppm以下に減少させる方法であって、
前記方法が脱臭を含み、前記脱臭のための導入材料の少なくとも95重量%が、前記脱臭後に化学修飾を伴わずに前記組成物中に残る、方法。
【請求項10】
前記脱臭のための導入材料の少なくとも98重量%が、前記脱臭後に化学的修飾を伴わずに前記組成物中に残る、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記脱臭のための導入材料の少なくとも99重量%が、前記脱臭後に化学的修飾を伴わずに前記組成物中に残る、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記桂皮酸エチルの量を700ppm以下に減少させる、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
オレイン酸エチル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸エチル、及びリノール酸エチルのいずれかの組成物中の含量が、前記脱臭中にそれぞれ2重量%を超えて減少しない、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記オレイン酸エチルの含量が50重量%を超え、前記脱臭中に前記オレイン酸エチルの含量が50重量%未満に減少しない、請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
生成されたシアバターのエチルエステルが本質的に無臭である、即ち、400ppm以下の短鎖アルコール桂皮酸エステルである、請求項9〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記脱臭中に、温度が100〜140℃の間にある、請求項9〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記脱臭中に、圧力が1〜5mbarの間にある、請求項9〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記脱臭中に、蒸気流が10〜50g/hの間にある、請求項9〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1種の漂白土が添加される、請求項9〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
請求項9〜19に記載の方法によって得ることができる生成物。
【請求項21】
a)パーソナルケア用途のための成分として、
b)化粧品用途のための成分として、
c)スキンケア配合物中の成分として、
d)ヘアケア配合物中の成分として、
e)リップケア配合物中の成分として、
f)カラー化粧品配合物中の成分として、
g)サンケア用途の成分として、
h)ローション、軟膏およびクリームから選択される少なくとも1種の成分として、
i)ソフトシェルカプセル中の構成成分として、
j)食品用途における成分として、及び
k)食品用途における離型剤として
からなる群から選択される少なくとも1つにおける、請求項1〜8のいずれか1項に記載の成分組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、桂皮酸エステル及び他の潜在的な「果実エステル」を含有する植物油から作られた、果実(桂皮)の香りを含まない化粧品用アルキルエステル組成物に関し、この組成物では、植物油中の不鹸化物を減少させることなく、望ましくない揮発性芳香性エステルが除去されている。
【背景技術】
【0002】
典型的な化粧品及びパーソナルケア配合物は、10〜50種類の成分を含有する。各成分は個々の価値を有して配合物に寄与する。配合物は、消費者に特定の価値を与えるために作成される。しかしながら、配合物の香り又は芳香は、全ての配合物にわたって普遍的な1つの特徴であり、消費者にとって重要な決定要因である。
【0003】
特にアジアでは多くの消費者が非芳香性の製品を好む一方で、典型的には西洋世界では、消費者は芳香性の強い配合物を好む。ブランドは、競合と差別化するため、感情を高めるため、特定の消費者カテゴリーを引き付ける等のために香料を使用している。
【0004】
消費者の好みにかかわらず、香料とみなされない成分は、化粧品及びパーソナルケア産業において多目的の構成要素になるために無臭である必要がある。そうでない場合は、匂いのない配合物を妨げるか、配合物内の特定の香りの感覚を送達する処方者の課題を妨害するため、少量又は特定のブランドの特別な場合にのみ使用することができる。
【0005】
シアバターは今日、化粧品及びパーソナルケアの分野で使用されている最も一般的な植物油の1つである。シアバターの液体分画、シアバター油、又はシアオレインは、いくつかの理由で化粧品市場内の植物油の市場で際立っており、消費者によく認識されている。基本的な送達物として、液体の外観と良好な酸化安定性が組み合わされている。良好な保湿特性を与えるが、差別化因子はとりわけ、不鹸化物質、特にトリテルペンアルコールエステルの高含量である。シアバター油中のトリテルペンエステルの典型的な量は、6〜10重量%の間にある。
【0006】
シアバター中の主なトリテルペンアルコールは、ルペオール、アルファ−アミリン、ベータ−アミリン、ブチロスペルモール、及びパルケオールである(非特許文献1)。トリテルペンアルコールは、主に3種類の酸、即ち、長鎖脂肪酸、酢酸、及び桂皮酸でエステル化する。トリテルペンの約半分が桂皮酸でエステル化されており、例えば、シアオレインの約4重量%が桂皮酸トリテルペンを含有している。
【0007】
トリテルペンエステルは、抗老化及び抗炎症特性を保持することが示され、しばしば美容用途のために求められている(非特許文献2)。
【0008】
シアバター油を含む植物油は、肌に軟化性をもたらすその能力のためにここ数年、大きな人気を得ている。しかし、アジア及び成長しているメンズケア事業では、脂っこくない配合物に対する共通の傾向が高まっている。油性でない皮膚感触と優れた軟化性をもたらすことができる植物性成分が求められている。
【0009】
シアバター油エチルエステルは、これに対する一つの答えであり、植物源又は合成源からのシアバター油及びエタノールのエステル交換によって生成することができる。主な特徴として他の植物油からシアを定義付けるものは、抗老化及び抗炎症性特性で知られているトリテルペンエステルの量であり、このようなシアバター油エチルエステル中にトリテルペンエステルを保持していることが重要な要件である。相当する量のトリテルペンエステル又はステロールエステルを含有する他の同様の原材料には、米ぬか油、トウモロコシ繊維油、アボカド油等が含まれる。
【0010】
桂皮酸エチルは、桂皮酸とエタノールとのエステルである。これはシナモンの精油に含まれている。純粋な桂皮酸エチルは、「アンバーノートを含むシナモンを連想させるフルーティーでバルサムのような匂い」を有する。
【0011】
桂皮酸エチル
【化1】
【0012】
オレイン酸エチル
【化2】
【0013】
オレイン酸エチルの沸点は、沸点及び他の物理的性質を決定する炭素の数が同じであるため、ステアリン酸エチル及びリノール酸エチルに類似している。パルミチン酸エチルは結果的にわずかに低い沸点を有する。
【0014】
トリテルペンエステルの沸点は、オレイン酸エチル及び桂皮酸エチルの両方よりもはるかに高い。それらは、油及び非極性有機溶媒中で高い溶解度を有する。
【0015】
しかし、シアバター油トリテルペンエステルは約4重量%のシンナメートを含有するため、桂皮酸エチルもエステル交換プロセス中に潜在的に作り出される。
【0016】
桂皮酸エチルは、非芳香性配合物を必要とする用途及び添加される香料を妨害する芳香性配合物の両方において、ほとんどの化粧品用途でその使用を妨げるフルーティーな香りを与え、最終配合物の独特の差別化された香りを作り出す可能性を阻害する。従って、本発明は、この問題を解決し、無臭の成分を提供することを目的とする。
【0017】
公開された特許文献1には、トリテルペンエステルからアルキルエステルを分離する方法が開示されている。この発明の意図は、トリテルペンエステルの濃縮物を生成し、天然レベルの少量の組成物(不鹸化物)を保持するアルキルエステルを生成しないことである。この刊行物では、桂皮酸エチルの除去と、オレイン酸エチル、パルミチン酸エチル、ステアリン酸エチルおよびリノール酸エチル等の長鎖脂肪酸エチルエステルの同時除去が議論されている。この文書では、桂皮酸エチルのみの除去については言及されていない。
【0018】
特許文献2には、シアグリセリド油中のステロール分画を、元のステロール含量7.5%から12〜20%の濃度まで濃縮する方法が記載されている。この濃縮物は、化学的修飾を行い、次に200℃を超える蒸発工程を経て得られる。該方法の結果は、トリグリセリドレベルの低下並びにジグリセリド及びステロールレベルの増加を伴う組成の変化である。次に濃縮物を他のステロール/油混合物と更にブレンドし、食品用途に使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際公開第2015/047187号公報
【特許文献2】欧州特許公開第1001007号公報
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Peers、J.Sci.Food Agric.28(11)、1000−1009、(1977)
【非特許文献2】Akihisa et al J Oleo Sci、59(6)、273−280(2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従って、不鹸化物及び長鎖脂肪酸エチルエステルを除去することなく、桂皮酸及びその類似体、異性体、及び誘導体の揮発性エステルをその香りのために除去する必要性が存在する。本発明は、このような必要性及び利益に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは、不鹸化物、主にトリテルペンエステル、及び長鎖脂肪酸エチルエステルが蒸留残留物に残っており、桂皮酸エチルが留出物と共に除去されている窓(window)を見出した。
【0023】
第1の態様では、
a)少なくとも部分的に天然源由来の少なくとも1種の短鎖アルコールアルキルエステル81〜97重量%と、
b)少なくとも1種が桂皮酸トリテルペンエステルであるトリテルペンエステル3〜19重量%と、
c)1100ppm以下の少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルと、
を含む成分組成物が提供される。
【0024】
第2の態様では、5〜9重量%のトリテルペンエステル(不鹸化物)含量を有するシアバターのエチルエステルの組成物において、桂皮酸エチルの量を1100ppm以下に減少させる方法が提供され、方法は脱臭を含む。
【0025】
第3の態様では、
パーソナルケア用途のための成分として、
化粧品用途のための成分として、
スキンケア配合物中の成分として、
ヘアケア配合物中の成分として、
リップケア配合物中の成分として、
カラー化粧品配合物中の成分として、
サンケア用途の成分として、
ローション、軟膏およびクリームから選択される少なくとも1種の成分として、
ソフトシェルカプセル中の構成成分として、
食品用途における成分として、及び
食品用途における離型剤として
からなる群から選択される少なくとも1つにおける、上記成分組成物の使用が提供される。
【0026】
本発明の1つの利点は、桂皮酸エチル及び桂皮酸並びにその類似体、異性体、並びに誘導体の他の揮発性エステルを除去して、無臭又はほとんど無臭の組成物を得ることができることである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明が開示され、詳細に説明される前に、このような化合物、構成、方法ステップ、基材、及び材料は多少変わる可能性があるため、本発明は、本明細書に開示される特定の化合物、構成、方法ステップ、基材、及び材料に限定されないことを理解されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的でのみ使用され、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0028】
単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。
【0029】
明細書及び特許請求の範囲を通して使用されるように、短鎖アルコールアルキルエステルに関連する「天然源」という用語は、それが天然源に由来すること、即ち、化学合成が植物等の自然界で起こったことを意味する。従って、天然源は、エステルが植物等の生物由来であることを意味する。
【0030】
他に何も定義されていない場合、本明細書で使用される用語及び科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般的に理解される意味を有することが意図される。
【0031】
いくつかの分子について、インターネット上で見出される通常の雰囲気下での沸点が表に記載されている。ルペオールアセテート(Lupeol acetate)及びルペオールシンナメートは、蒸留残留物に残ることになる成分を表す。オレイン酸エチル及びステアリン酸エチルは、主な長鎖脂肪酸エチルエステルを表し、これは蒸留残留物に残るが、桂皮酸エチルは除去される必要がある分子である。
【0033】
従って、除去すべき桂皮酸エチルの沸点は、組成物中に残るべき他の化合物の沸点の間にあることが分かる。よって、単純な蒸留では問題を解決することができない。
【0034】
出発原料として使用される植物油中に存在し得る桂皮酸及びその類似体、異性体及び誘導体の他の揮発性エステルについても同様の考察がなされ得る。例えば、米ぬか油は、トリテルペン・フェルラート、すなわちフェルラ酸((E)−3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニル)プロプ−2−エノイック酸)を有するトリテルペンアルコールのエステルを含有することが知られている。桂皮酸はトランス−異性体(シアバターに最も豊富)及びシス異性体にも存在する。フェニルプロパン酸又はシクロヘキシルプロパン酸等の桂皮酸類似体もまた、原料が水素化に付される場合に考えられる。これらの全ての可能な改変は、本発明の範囲内で参照により含まれる。
【0035】
本発明は、シアバターを原料として使用するが、シアバターに限定されるものではなく、従って、米ぬか及び桂皮酸異性体を含有する他の植物油、誘導体及びそのエステルも原料として利用することができる。
【0036】
桂皮酸エチルは、たとえ低濃度であっても特有のフルーティーな香りを与える分子である。香りに人間が気付くようになるのに必要な濃度を、匂い閾値と呼ぶ。この値未満では、人間は分子の香りを認識しない。
【0037】
特定の香りを感知する個人の能力は大きく異なるため、正確な濃度を決めることは幾分困難である。別の要因は、分子、ここでは桂皮酸エチルが存在するマトリックスである。主として極性(主に水及びエタノールを含む)であるワインでは、1ppmの低い桂皮酸エチル濃度が匂い閾値として報告されている。
【0038】
シアバター油エチルエステルは非極性マトリックスであり、従って、桂皮酸エチルの溶解度はワインよりも高く、従って、より高い匂い閾値を予想することができる。
【0039】
本発明者らは、シアバター油エチルエステル中の桂皮酸エチルの閾値が700ppm〜1100ppmであると推定した。実験のセクションに示されているように、閾値は700ppmと考えることができる。しかし、別の実施形態では、匂い閾値は400ppmである。
【0040】
本発明は、メチル長鎖脂肪酸、エチル長鎖脂肪酸、及びイソプロピル長鎖脂肪酸等のアルキルエチルエステル中の揮発性アルキルシンナメートを除去する方法の例を示す。短鎖アルコールアルキルエステルは、メタノール、エタノール、又はプロパノールを反応させることによって作られるエステルである。このような短鎖アルコールアルキルエステルの例は、エチルアルキルエステル、メチルアルキルエステル、プロピルアルキルエステル、又はイソプロピルエステルである。
【0041】
蒸留及び/又は脱臭の目的は、圧力及び温度によって2又はそれ以上の分画を分離することである。特定の温度及び圧力で、いくつかの分子は残っている(蒸留残留物)一方、他のものは沸騰し始め、いわゆる留出物中に除去される。通常、各成分の沸点及び部分蒸気圧によって無くなる成分と残る成分が決まる。
【0042】
脱臭中の本発明による条件は、望ましくない桂皮酸エチルを特異的に除去するが、長鎖アルキルエチラート及びトリテルペンエステル等の所望の化合物を除去しない。少なくとも、処理中に問題となる程度まで所望の化合物を除去することはない。
【0043】
第1の態様では、
a)少なくとも部分的に天然源由来の少なくとも1種の短鎖アルコールアルキルエステル81〜97重量%と、
b)少なくとも1種が桂皮酸トリテルペンエステルであるトリテルペンエステル3〜19重量%と、
c)1100ppm以下の少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルと、
を含む成分組成物が提供される。
【0044】
一実施形態では、少なくとも1種の短鎖アルキルエステルは、メタノール、エタノール、又はプロパノールを反応させることによって作られるエステルである。従って、更なる実施形態では、少なくとも1種の短鎖アルキルエステルは、エチルアルキルエステル、メチルアルキルエステル、プロピルアルキルエステル、又はイソプロピルアルキルエステルである。
【0045】
一実施形態では、少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルは、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、桂皮酸プロピル、又は桂皮酸イソプロピルである。
【0046】
一実施形態では、少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルは桂皮酸エチルである。
【0047】
一実施形態では、組成物は800ppm以下の少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルを含む。
【0048】
一実施形態において、組成物は700ppm以下の少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルを含む。実験のセクションで示されているように、濃度700ppmを匂い閾値とみなすことができる。
【0049】
一実施形態では、組成物は600ppm以下の少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルを含む。
【0050】
一実施形態では、組成物は400ppm以下の少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルを含む。
【0051】
一実施形態では、組成物は200ppm以下の少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルを含む。
【0052】
一実施形態では、組成物は100ppm以下の少なくとも1種の短鎖アルコール桂皮酸エステルを含む。
【0053】
一実施形態では、組成物は9〜15%のトリテルペンエステルを含む。
【0054】
第2の態様では、5〜9重量%のトリテルペンエステル(不鹸化物)含量を有するシアバターのエチルエステルの組成物において、桂皮酸エチルの量を1100ppm以下に減少させる方法が提供され、方法は脱臭を含む。
【0055】
代替的な一実施形態において、シアバターのエチルエステルの組成物は、4〜10重量%のトリテルペンエステル(不鹸化物)を含む。ほとんどの場合、トリテルペンエステル(不鹸化物)の5〜9重量%の隔たりは、シアバター中のトリテルペンエステル(不鹸化物)の天然含量に対応する。処理中に不鹸化物の自然の含量をそのまま保つことができるという利点がある。
【0056】
一実施形態では、第1及び第2の態様の両方における桂皮酸エチルの量は800ppm以下である。別の実施形態において、第1及び第2の態様の両方における桂皮酸エチルの量は700ppm以下である。別の実施形態において、第1及び第2の態様の両方における桂皮酸エチルの量は600ppm以下である。更に別の実施形態において、第1及び第2の態様の両方における桂皮酸エチルの量は400ppm以下である。更に別の実施形態において、第1及び第2の態様の両方における桂皮酸エチルの量は200ppm以下である。
【0057】
一実施形態では、脱臭のための導入材料の少なくとも95重量%が、脱臭後に化学修飾を伴わずに組成物中に残る。導入材料は、エステルを含む組成物の重量であり、脱臭に供される。従って、導入材料は、脱臭に供された材料の総重量である。主要部分、即ち、少なくとも95重量%の物質は、脱臭中に化学反応に関与しないため、脱臭中に化学的に修飾されない。一実施形態では、脱臭のための導入材料の少なくとも98重量%が、脱臭後に化学的修飾を伴わずに組成物中に残る。一実施形態では、脱臭のための導入材料の少なくとも99重量%が、脱臭後に化学修飾を伴わずに組成物中に残る。
【0058】
一実施形態では、桂皮酸エチルの量は700ppm以下に減少する。
【0059】
一実施形態では、オレイン酸エチル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸エチル、及びリノール酸エチルのいずれか1種の組成物中の含量は、脱臭中にそれぞれ2重量%を超えて低下しない。
【0060】
一実施形態では、オレイン酸エチルの含量は50重量%以上であり、オレイン酸エチルの含量は脱臭中に50重量%未満に減少しない。
【0061】
一実施形態では、生成されたシアバターのエチルエステルは本質的に無臭である。一実施形態では、無臭は、シアバターのエチルエステルが400ppm以下の任意の短鎖アルコール桂皮酸エステルを含むことを意味する。
【0062】
一実施形態では、脱臭中、温度は100〜140℃の間にある。
【0063】
一実施形態では、脱臭中、圧力は1〜5mbarの間にある。
【0064】
一実施形態では、脱臭中、蒸気流は10〜50g/hの間にある。
【0065】
一実施形態では、少なくとも1種の漂白土が添加される。漂白土の例には、粘土土、例えば酸性粘土、活性化土、及びフラー土が含まれるが、これらに限定されない。フラー土は、基本的な色を吸収し、油を取り除く性質を持つ鉱物である。
【0066】
第3の態様では、
パーソナルケア用途のための成分として、
化粧品用途のための成分として、
スキンケア配合物中の成分として、
ヘアケア配合物中の成分として、
リップケア配合物中の成分として、
カラー化粧品配合物中の成分として、
サンケア用途の成分として、
ローション、軟膏およびクリームから選択される少なくとも1種の成分として、
ソフトシェルカプセル中の構成成分として、
食品用途における成分として、及び
食品用途における離型剤として
からなる群から選択される少なくとも1つにおける、上記成分組成物の使用が提供される。
【0067】
成分の量は様々な用途により異なる。軟質ゲルでは、その量は100重量%に近いか、又は100重量%である。美容用途では、成分の量はしばしば1重量%未満である。従って、本発明による成分の量は、用途に応じて0.3重量%〜100重量%の範囲である。トリテルペンエステルの領域内の当業者は、異なる用途においてどのくらい使用するかを知っており、本発明による成分の低臭気又は非存在臭を認識することができる。
【0068】
本発明に用いることができる原材料には、以下のものが含まれるが、これに限定されるものではない。以下の原材料の例は、本発明を実施する際に使用するのに適した原材料の目安となる。
【0071】
シアバターは西アフリカのシアバターノキ(Vitellaria paradoxa種)の仁から得られることが最も多い。
【0072】
適切な原材料は、60〜70の間のヨウ素価によって定義される。これは、5〜9重量%の不鹸化物を含み、そのうちの2〜5重量%がトリテルペンエステルの形態であり、残りの部分は低濃度のカリテン(高分子量炭化水素)、ステロール、及びステロールエステルの形態である。組成物の残りの91〜95重量%は、モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドの形態のグリセリドである。
【0073】
シアバターの正確な脂肪酸組成は、天然の原材料であり、アフリカの様々な地域で成長するために異なる。
【0074】
触媒としてナトリウムエチラートを用いたエタノールとシアバターとの反応は、典型的には以下の範囲の組成をもたらす:
【0076】
カリテンは、極性溶媒で油を処理することによって除去することができる。これにより、ヨウ素価が60のすぐ下まで低下することがある。
【0077】
カリテン除去の一例は、以下の通りである。精製シアバターを60℃で融解させ、次に40℃に冷却する。1kgの温かいシアバターを4リットルのアセトンと40℃でブレンドする。混合物を10℃に冷却して、油が沈殿せずにカリテンが沈殿するようにする。混合物を濾過して、アセトン溶液中の油からカリテンを分離する。脱カリテンされたシアバターから、低圧(100mbar)及び60℃での気化によってアセトンを除去する。脱カリテン化及び脱溶媒化されたシアバターは、更なる加工及び改質のための原料として使用される。
【0079】
シアバター油は、ヘキサン又はアセトン等の溶媒中での分画によってシアバターから得られる。分画法及び使用され得る他のタイプの溶媒は、当業者に周知である。
【0080】
シアバターは、天然のタイプのものでもよいし、脱カリテン化されたシアバターでもよい(以下の実験の項では、脱カリテン化シアバターのみを使用する。)。
【0081】
原材料は、70〜85の間のヨウ素価によって定義される。これは5〜12重量%の不鹸化物を含有し、その5〜11重量%はトリテルペンエステルの形態であり、残りの部分はカリテン及び/又は不鹸化性分画の他の典型的な構成成分の形態である。組成物の残りの88〜95重量%は、モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドの形態のグリセリドである。
【0082】
シアバター油の正確な脂肪酸組成は、天然の原材料であり、アフリカの様々な地域で成長するために異なる。
【0083】
触媒としてナトリウムエチラートを用いたエタノールとシアバターとの反応は、典型的には以下の範囲の組成をもたらす:
【0086】
シアバターステアリンは、ヘキサン又はアセトン等の溶媒中での分画によってシアバターから得られる。他のタイプの溶媒を使用してもよい。
【0087】
原材料は、30〜40の間のヨウ素価によって定義される。これは1〜3重量%の不鹸化物を含有し、その1〜3重量%はトリテルペンエステルの形態であり、残りの部分はカリテン及び/又は不鹸化性分画の他の典型的な構成成分の形態である。組成物の残りの97〜99重量%は、モノグリセリド、ジグリセリドまたはトリグリセリドの形態のグリセリドである。
【0088】
シアバターステアリンの正確な脂肪酸組成は、天然の原材料であり、アフリカの様々な地域で成長するために異なる。
【0089】
触媒としてナトリウムエチラートを用いたエタノールとシアバターとの反応は、典型的には以下の範囲の組成をもたらす:
【0091】
組み合わせが矛盾しない限り、本発明の思想から逸脱することなく、上述の代替実施形態又は実施形態の一部を自由に組み合わせることができる。
【0092】
全てのパーセンテージ及び比率は、特に断りのない限り、重量で計算される。
【0093】
本発明の他の特徴及び用途並びにそれらに関連する利点は、説明及び実施例を読むことによって当業者に明らかになるであろう。
【0094】
本発明は、ここに示される特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定されるため、実施形態は例示の目的で提供され、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0095】
実験1:シアバター油エチレートの生成
【0096】
使用した原材料は:
液体であり、10重量%の量のトリテルペンエステルを含むことによって特徴付けられたシアバター油;
サトウキビ由来のエタノールを99.5重量%含むエタノール;
触媒NaOEt(NaOCH
2CH
3);及び
クエン酸であった。
【0097】
精製し、漂白し、標準的な手順に従って脱臭した5000gのシアバター油をエタノール(1250g)とブレンドした。50gの触媒を添加し、混合物をブレンドし、激しく撹拌して1気圧で加熱した。温度が75℃に達したとき、反応が定常状態に達するように、温度を30分間75℃に保った。30分間の反応時間の後、撹拌を停止して、グリセロールが底部に沈殿するようにした。30分の分離後、2相が見られた。上相(エステル相)及び下相(グリセロール相)が見られた。グリセロール相を除去し、秤量した(435g)。別の12.5gの触媒を撹拌下で残りの相に添加し、温度を75℃に上昇させ、次に30分間75℃に保ち、1気圧で激しく攪拌して、再び定常状態及び低モノグリセリド含量(1重量%未満)に達した。攪拌を止めて、グリセロール相が現れるようにした。グリセロール相を再度除去した(35g)。エステルを水で洗浄して反応を停止させ、微量の石鹸を除去し、次に乾燥させた。過剰のエタノールは、乾燥処理中に除去された。理論収率は4675gであり、4200gが回収された。最終産物は、3種類の分子、即ち、モノグリセリド、脂肪酸エチルエステル、及びトリテルペン(TTP)エステルを含むことによって特徴付けられた。
【0098】
モノグリセリド含量は1重量%未満であり、TTPエステル含量は約10重量%であり、エチルエステル含量は約89重量%であった。
【0099】
3種類のトリテルペンエステルが同定/検出され、これらはトリテルペンアセテート、桂皮酸トリテルペン、及びオレイン酸トリテルペン(及び他の長鎖脂肪酸)であった。約3重量%のトリテルペンアセテート、約5重量%の桂皮酸トリテルペン、及び2重量%未満の長鎖脂肪酸のトリテルペンエステルであった。従って、元の桂皮酸トリテルペンの大半は残るが、一部はエタノールと反応して桂皮酸エチルを生成する。
【0100】
エチル長鎖脂肪酸含量は多くのエステルを含んでいた。
【0101】
【数5】
【0102】
桂皮酸エチル濃度は2000ppmと測定された。
【0103】
実験2:漂白
【0104】
漂白の標準的な手順。実験1からの3500gを95℃(10mbar)に加熱した。真空を解除し、7gの漂白土を加えた(Tonsil)。漂白中(20分)、温度を95℃(10mbar)に保ち、撹拌した。真空を解除し、次に生成物を5ミクロンフィルタで濾過した。
【0105】
【数6】
【0106】
桂皮酸エチルは1600ppmと測定された。
【0107】
実験3:脱臭100℃
【0108】
実験1のエステル350gを30分間脱臭した(100℃、2mbar、20g/h水蒸気)。
【0109】
残ったものは、トリテルペンエステルの形態で不鹸化物9重量%を含有した。エチルエステル含量は90%であった。
【0110】
【数7】
【0111】
実験4:脱臭110℃
【0112】
実験1のエステル350gを30分間脱臭した(110℃、2mbar、20g/h水蒸気)。
【0113】
残ったものは、トリテルペンエステルの形態で不鹸化物9重量%を含有した。エチルエステル含量は90%であった。
【0114】
【数8】
【0115】
実験1のエステル350gを30分間脱臭した(120℃、2mbar、20g/h水蒸気)。
【0116】
残ったものは、トリテルペンエステルの形態で不鹸化物9重量%を含有した。エチルエステル含量は90%であった。
【0117】
【数9】
【0118】
実験6:脱臭130℃
【0119】
実験1のエステル350gを30分間脱臭した(130℃、2mbar、20g/h水蒸気)。
【0120】
残ったものは、トリテルペンエステルの形態で不鹸化物9重量%を含有した。エチルエステル含量は90%であった。
【0121】
【数10】
【0122】
実験7:脱臭140℃
【0123】
実験1のエステル350gを30分間脱臭した(140℃、2mbar、20g/h水蒸気)。
【0124】
残ったものは、トリテルペンエステルの形態で不鹸化物10重量%を含有した。エチルエステル含量は90%であった。
【0125】
【数11】
【0126】
実験8:脱臭150℃
【0127】
実験1のエステル350gを30分間脱臭した(150℃、2mbar、20g/h水蒸気)。
【0128】
残ったものは、トリテルペンエステルの形態で不鹸化物15重量%を含有した。エチルエステル含量は84%であった。
【0129】
【数12】
【0130】
表1
【0131】
脱臭工程からの収率の要約
【0132】
【表1】
【0133】
実験9
【0134】
漂白:桂皮酸エチル濃度2200ppmを有する6MtのLipex SheaLightを10 M3反応器に加えた。生成物1を95℃(10mbar)に加熱した。真空を解除し、120kgの漂白土を加えた(Tonsil)。漂白中(60分)、温度を95℃(10mbar)に保ち、撹拌した。真空を解除し、次に生成物を5ミクロンフィルタで濾過して漂白土を除去した。次に、生成物を反応器に再循環させ、120℃、1mbarの圧力で2時間蒸気脱臭を行った。桂皮酸エチルの濃度は400ppmであった。収率(漂白及び蒸気脱臭を含む)は97%であった。
【0135】
実験10:臭気閾値の評価
【0136】
9人の盲検試験で、異なる濃度(400、600、800、1600、及び2000ppm)の桂皮酸エチルを含有する5つの試料を試験した。
【0137】
パネリストは、どのにおいを識別するのかを知るために、最初に100重量%の桂皮酸エチルのにおいを嗅ぐことができた。次に、パネリストは、異なる濃度の桂皮酸エチルを含有する5本のボトルを受け取った。パネリストは、匂いを識別するために試料を皮膚に付けることができた。
【0138】
3人のパネリストは全ての試料に桂皮酸エチルのにおいを感じると主張したが、1人はいずれの試料にもにおいを感じなかった。
【0139】
【数13】
【0140】
従って、長鎖アルキルエステルを含むマトリックス中の桂皮酸エチルの匂い閾値は700ppmであると推定され、これは試験者の50%が試験物質のにおいを感じない濃度として定義される。
【国際調査報告】