(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-514468(P2019-514468A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(54)【発明の名称】バイタルサインの測定制御
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20190517BHJP
【FI】
A61B5/00 102Z
A61B5/00 C
A61B5/00 102C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-553970(P2018-553970)
(86)(22)【出願日】2016年4月22日
(85)【翻訳文提出日】2018年11月12日
(86)【国際出願番号】FI2016050265
(87)【国際公開番号】WO2017182694
(87)【国際公開日】20171026
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】レウナマキ ユッカ
(72)【発明者】
【氏名】パリン アルト
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB03
4C117XE13
4C117XH16
4C117XJ43
4C117XL01
4C117XN07
(57)【要約】
例示的実施形態は、生きている測定対象の少なくとも1つのバイタルサインの遠隔監視に関する。好適な実施形態は、離れた位置から測定対象の身体の各特徴を示す1つまたは複数のセンサ信号をキャプチャシングすることと、前記測定対象の第2の所定のバイタルサインを示す少なくとも1つの第2のバイオメトリック信号を、サーバ装置へ送信すべく、前記1つまたは複数のセンサ信号に基づいて導出することと、前記測定対象と同一の測定対象の第1の所定のバイタルサインを示す第1のバイオメトリック信号を、前記サーバ装置へ送信すべく導出するように動作している、別のモニタリング装置の存在を検知することと、前記別の装置の検知に応じ、前記検知された別の装置での前記第1のバイオメトリック信号の導出を制御することとを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモートモニタリング装置における方法であって、
生きている測定対象の特徴のいずれかを示す1つまたは複数のセンサ信号を、離れた位置からキャプチャリングすることと;
前記測定対象の第2の所定のバイタルサインを示す少なくとも1つの第2のバイオメトリック信号を、サーバ装置へ送信すべく、前記1つまたは複数のセンサ信号に基づいて導出することと;
前記測定対象と同一の測定対象の第1の所定のバイタルサインを示す第1のバイオメトリック信号を、前記サーバ装置へ送信すべく導出するように動作している、別のモニタリング装置の存在を検知することと;
前記別のモニタリング装置の検知に応じて、前記検知された別のモニタリング装置での前記第1のバイオメトリック信号の導出を制御することと;
を含む、方法。
【請求項2】
前記制御することは、前記別のモニタリング装置に所定のアクションを実行させるためのリクエストまたはコマンドを、無線リンクを介して、前記リモートモニタリング装置から前記別のモニタリング装置に送信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御することは、前記別のモニタリング装置を操作して所定のアクションを実行させるための指示を、前記リモートモニタリング装置のユーザインタフェースを介して提供することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定のアクションは、
前記別のモニタリング装置をオフに切り替えることと、
前記別のモニタリング装置をパワーセーブモードでの動作に切り替えることと、
前記別のモニタリング装置での前記第1のバイオメトリック信号の導出を無効にすることと、
前記別のモニタリング装置から前記サーバ装置への前記第1のバイオメトリック信号の送信を無効にすることと、
のうちの1つを含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記キャプチャリングすることは、
前記リモートモニタリング装置から1つまたは複数のプローブ信号の送信をすることと、
前記リモートモニタリング装置で、前記測定対象からの前記1つまたは複数のプローブ信号のそれぞれの反射を含む、1つまたは複数の反射信号を受信することと、
前記1つまたは複数の反射信号と前記1つまたは複数のプローブ信号とに基づいて、前記1つまたは複数のセンサ信号を生成することと、
を含む請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記検知することは、前記別のモニタリング装置の存在情報を前記サーバ装置から受信することを含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記検知することは、
サーバ装置を介し、無線リンクを通じて、前記第1のバイオメトリック信号で運搬される前記第1の所定のバイタルサインの1つまたは複数の値を受信することと、
前記第1の所定のバイタルサインの1つ若しくは複数の値、または前記第1のバイタルサインから導出される値と、前記第2のバイオメトリック信号で運搬される前記第2の所定のバイタルサインの1つ若しくは複数の一時的な対応値、または前記第2のバイオメトリック信号から導出される値とを比較することと、
前記第1の所定のバイタルサインの値と、前記第2の所定のバイタルサインの値との間の類似性を示す比較結果に応じて、前記別のモニタリング装置の存在を検知することと、
を含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記検知することは、
前記検知された装置から無線リンクを介して、前記検知された装置に割り当てられたID情報を受信することと、
前記ID情報が1つまたは複数の所定のIDの1つとマッチングすることに応じて、別のモニタリング装置として、前記検知された装置を検知することと、
を含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第1の所定のバイタルサインには、体温、心拍数、呼吸数、血圧、酸素飽和度の1つが含まれる、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第2の所定のバイタルサインには、体温、心拍数、呼吸数、血圧、酸素飽和度の1つが含まれる、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記第2の所定のバイタルサインは、前記第1の所定のバイタルサインと同一である、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記第2の所定のバイタルサインは前記第1の所定のバイタルサインと異なっており、ここで、前記第1および第2の所定のバイタルサインとの間には所定の関係が存在する、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
コンピュータ装置で実行されると、請求項1乃至12のいずれかに記載の方法を実行させるように構成されるコンピュータ読み取り可能なプログラムコードを含む、コンピュータプログラム。
【請求項14】
持続性コンピュータ可読媒体に一時的に実装されるコンピュータ可読プログラムコードを含み、前記プログラムコードは、前記コンピュータプログラムがコンピュータ装置上で実行された場合、請求項1から17のいずれかの記載に従う方法を実行するように構成される、コンピュータプログラム製品。
【請求項15】
生きている測定対象のバイタルサインのリモートモニタリング用のモニタリング装置であって、
生きている測定対象の特徴のいずれかを示す1つまたは複数のセンサ信号を、離れた位置からキャプチャリングするリモートセンシング部と、
制御部と、
を備え、前記制御部は、前記モニタリング装置に少なくとも、
前記測定対象の第2の所定のバイタルサインを示す少なくとも1つの第2のバイオメトリック信号を、サーバ装置へ送信すべく、前記1つまたは複数のセンサ信号に基づいて導出することと、
前記測定対象と同一の測定対象の第1の所定のバイタルサインを示す第1のバイオメトリック信号を、前記サーバ装置へ送信すべく導出するように動作している、別のモニタリング装置の存在を検知することと、
前記別のモニタリング装置の検知に応じて、前記検知された別のモニタリング装置での前記第1のバイオメトリック信号の導出を制御することと、
を実行させるように構成される、モニタリング装置。
【請求項16】
前記制御することは、前記別のモニタリング装置に所定のアクションを実行させるためのリクエストまたはコマンドを、無線リンクを介して、前記別のモニタリング装置に送信することを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記制御することは、前記別のモニタリング装置を操作して所定のアクションを実行させるための指示を、前記リモートモニタリング装置のユーザインタフェースを介して提供することを含む、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項18】
前記所定のアクションは、
前記別のモニタリング装置をオフに切り替えることと、
前記別のモニタリング装置をパワーセーブモードでの動作に切り替えることと、
前記別のモニタリング装置での前記第1のバイオメトリック信号の導出を無効にすることと、
前記別のモニタリング装置から前記サーバ装置への前記第1のバイオメトリック信号の送信を無効にすることとの1つを含む、
請求項16又は17に記載の装置。
【請求項19】
前記キャプチャリングは、
前記装置から、1つまたは複数のプローブ信号を送信することと、
前記装置で、前記測定対象からの前記1つまたは複数のプローブ信号のそれぞれの反射を含む、1つまたは複数の反射信号を受信することと、
前記1つまたは複数の反射信号と前記1つまたは複数のプローブ信号とに基づいて、前記1つまたは複数のセンサ信号を生成することと、
を含む請求項15から18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記検知することは、前記サーバ装置からの前記別のモニタリング装置の存在情報を受信することを含む、請求項15から19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
前記検知することは、
前記サーバ装置を介し、無線リンクを通じて、前記第1のバイオメトリック信号で運搬される前記第1の所定のバイタルサインの1つまたは複数の値を受信することと、
前記第1の所定のバイタルサインの1つ若しくは複数の値、または前記第1のバイタルサインから導出される値と、前記第2のバイオメトリック信号で運搬される前記第2の所定のバイタルサインの1つ若しくは複数の一時的な対応値、または前記第2のバイオメトリック信号から導出される値とを比較することと、
前記第1の所定のバイタルサインの値と、前記第2の所定のバイタルサインの値との間の類似性を示す比較結果に応じて、前記別のモニタリング装置の存在を検知することと、
を含む、請求項15から19のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記検知することは、
前記検知された装置から無線リンクを介して、前記検知された装置に割り当てられたID情報を受信することと、
前記ID情報が1つまたは複数の所定のIDの1つとマッチングすることに応じて、別のモニタリング装置として、前記検知された装置を検知することと、
を含む、請求項15から19のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記第1の所定のバイタルサインには、体温、心拍数、呼吸数、血圧、酸素飽和度の1つが含まれる、請求項15から22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記第2の所定のバイタルサインには、体温、心拍数、呼吸数、血圧、酸素飽和度の1つが含まれる、請求項15から23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
前記第2の所定のバイタルサインは、前記第1の所定のバイタルサインと同一である、請求項15から24のいずれかに記載の装置。
【請求項26】
前記第2の所定のバイタルサインは前記第1の所定のバイタルサインと異なっており、ここで、前記第1および第2の所定のバイタルサインとの間には所定の関係が存在する、請求項15から24のいずれかに記載の装置。
【請求項27】
生きている測定対象のバイタルサインのリモートモニタリング用のモニタリング装置であって、
生きている測定対象の特徴のいずれかを示す1つまたは複数のセンサ信号を、離れた位置からキャプチャリングするリモートセンシング手段と、
制御手段と、
を備え、前記制御手段は、前記モニタリング装置に少なくとも、
前記測定対象の第2の所定のバイタルサインを示す少なくとも1つの第2のバイオメトリック信号を、サーバ装置へ送信すべく、前記1つまたは複数のセンサ信号に基づいて導出することと、
前記測定対象と同一の測定対象の第1の所定のバイタルサインを示す第1のバイオメトリック信号を、前記サーバ装置へ送信すべく導出するように動作している、別のモニタリング装置の存在を検知することと、
前記別のモニタリング装置の検知に応じて、前記検知された別のモニタリング装置での前記第1のバイオメトリック信号の導出を制御することと、
を実行するように構成される、モニタリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の例示及び非限定的な実施形態は、生きている測定対象の1つまたは複数のバイタルサインの測定制御に関し、電力効率の高い測定制御に関する。
【0002】
人間または動物の様々な生理学的特徴の測定を可能にするセンサ技術における最近の開発が、無線通信技術の発達と共に、パーソナルユースのためのヘルスケアソリューションを可能にしている。このパーソナルユースでは、モニタリング装置をアレンジして、人間または動物の少なくとも1つのバイタルサインをモニタリングし、取得した測定データを無線リンクを介してリモートサーバに記憶されているデータベースに転送し、測定したバイタルサインのリモート追跡および/または後の解析(例えば、医療目的で)を可能にする。モバイルモニタリング装置(mobile monitoring device)によってモニタリングされるバイタルサインの例として、体温、心拍、呼吸速度、血圧、酸素飽和レベルがある。
【0003】
モバイル(非モバイル)モニタリング装置は、従来、専門領域(例えば、病院環境)での治療の一部として使用されてきたが、モバイルモニタリング装置は、専門的な医療領域外でも人々のバイタルサインのモニタリングに使用されるのが主流になりつつある。この準専門的または非専門的な使用等の典型的な例は、長期の医学的疾患に悩む人の1つまたは複数のバイタルサインのモニタリング、家庭での日常的な高齢者の1つまたは複数のバイタルサインのモニタリング、有害な環境で働く人の1つまたは複数のバイタルサインのモニタリング、過度なフィジカルストレスの下にいるアスリートの1つまたは複数のバイタルサインのモニタリング等がある。
【0004】
モバイルモニタリング装置は、必然的に電力供給装置に依存する。ここで、この電力供給装置はデバイスの一部として提供される。または、モバイルモニタリング装置を用いたバイタルサインのモニタリングをされている人が、モバイルモニタリング装置と一緒に携帯する。一般的に、電力供給装置には、モバイルモニタリング装置に内蔵されているか、モバイルモニタリング装置に接続するバッテリーが備わっている。多くのユースケース、特に、十分にコントロールされた一般的で専門的な医療領域から外れたユースケースでは、モバイルモニタリング装置のエネルギー効率の高い動作が、電源供給装置の頻繁な交換/再充電および/または電源供給装置の完全排水を回避することによる、モニタリング装置の信頼性の高い操作および利便性の高い使用で重要な役割を果たす。
【0005】
ある例示的実施形態に従って、次の方法が提供される。この方法は、生きている測定対象の少なくとも1つのバイタルサインのリモートモニタリングのためのモニタリング装置で実行されうる。本方法は、離れた位置から測定対象の身体の各特徴を示す1つまたは複数のセンサ信号をキャプチャシングすることと、前記測定対象の第2の所定のバイタルサインを示す少なくとも1つの第2のバイオメトリック信号を、サーバ装置へ送信すべく、前記1つまたは複数のセンサ信号に基づいて導出することと、前記測定対象と同一の測定対象の第1の所定のバイタルサインを示す第1のバイオメトリック信号を、前記サーバ装置へ送信すべく導出するように動作している、別のモニタリング装置の存在を検知することと、前記別のモニタリング装置の検知に応じ、前記検知された別のモニタリング装置での前記第1のバイオメトリック信号の導出を制御することと、を含む。
【0006】
他の例示的実施形態に従って、生きている測定対象のバイタルサインのリモートモニタリングのための装置は提供される。この装置は、離れた位置から測定対象の身体の各特徴を示す1つまたは複数のセンサ信号をキャプチャシングするリモートセンシング部と、制御部とを備える。この制御部は、前記装置に少なくとも、
前記測定対象の第2の所定のバイタルサインを示す少なくとも1つの第2のバイオメトリック信号を、サーバ装置へ送信すべく、前記1つまたは複数のセンサ信号に基づいて導出することと、
前記測定対象と同一の測定対象の第1の所定のバイタルサインを示す第1のバイオメトリック信号を、前記サーバ装置へ送信すべく導出するように動作している、別のモニタリング装置の存在を検知することと、
前記別のモニタリング装置の検知に応じて、前記検知された別のモニタリング装置での前記第1のバイオメトリック信号の導出を制御することと、
を実行させるように構成される。
【0007】
他の例示的実施形態に従って、生きている測定対象のバイタルサインのリモートモニタリングのための装置が提供される。この装置は、離れた位置から測定対象の身体の各特徴を示す1つまたは複数のセンサ信号をキャプチャシングするリモートセンシング手段と、制御手段とを備える。この制御手段は、前記装置に少なくとも、
前記測定対象の第2の所定のバイタルサインを示す少なくとも1つの第2のバイオメトリック信号を、サーバ装置へ送信すべく、前記1つまたは複数のセンサ信号に基づいて導出することと、
前記測定対象と同一の測定対象の第1の所定のバイタルサインを示す第1のバイオメトリック信号を、前記サーバ装置へ送信すべく導出するように動作している、別のモニタリング装置の存在を検知することと、
前記別のモニタリング装置の検知に応じて、前記検知された別のモニタリング装置での前記第1のバイオメトリック信号の導出を制御することと、
を実行させるように構成される。
【0008】
他の例示的実施形態に従うと、コンピュータプログラムが提供される。このコンピュータプログラムはコンピュータプログラムコードを含み、前記プログラムコードがコンピュータ装置で実行された場合、少なくとも前述の例示的実施形態に従う方法を実装するように構成されている。
【0009】
ある例示的実施形態に従うコンピュータプログラムは、揮発性または非揮発性のコンピュータ可読記録媒体に具現化される場合があり、例えば、プログラムコードが記録された少なくとも1つのコンピュータ可読非一時的媒体を備えるコンピュータプログラム製品として、このプログラムが前記装置によって実行された場合、前記プログラムは前記装置に少なくとも、本発明の例示的実施形態による前記コンピュータプログラムに関して前述された前記動作を実行させる。
【0010】
本願の開示事項の例示的実施形態は、添付の特許請求の範囲の適用性に制限をかけるものと解釈されない。「含む」「備える」といった動詞及びこれらの派生語は、本願において、そこに列挙されていない機能や機構を排除しない、非限定的な意味として使用される。後述の機能や機構は、特に記載されてない限り、自由に組み合わせることができる。
【0011】
本発明のいくつかの機能や機構は、添付の特許請求の範囲で説明される。また、本発明の対象はその構造及び動作方法の両方に関し、追加的要素及びその長所と共に、添付の図面と関連させて読んだ場合、いくつかの例示的実施形態の下記説明を最もよく理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面には、本発明の実施形態が例示されている。これらはあくまでも例示を目的とするものであって、限定の目的のためのものではない。
【
図1】例示的実施形態に従う無線通信機構のいくつかの構成要素を描いたものである。
【
図2】例示的実施形態に従うモニタリング装置のいくつかの構成要素を描いたものである。
【
図3】例示的実施形態に従うモニタリング装置のいくつかの構成要素を描いたものである。
【
図4】例示的実施形態に従う方法を描いたものである。
【0013】
図1は、無線通信構成100のいくつかの構成要素および/またはエンティティのブロック図を記載し、本発明の1つまたは複数の実施形態を例示するフレームワークを表現する。無線通信機構100は、測定対象者の少なくとも1つのバイタルサインをモニタリングする第1のモニタリング装置110、測定対象者の少なくとも1つのバイタルサインをモニタリングする第2のモニタリング装置130、1つまたは複数のバイタルサインを示す情報を記憶および/または処理するサーバ装置150を備える。第1のモニタリング装置110及び第2のモニタリング装置130はそれぞれ、無線リンク104、105を介してネットワーク106に接続可能である。ネットワーク106はさらに、サーバ装置150への接続を可能にする。第1のモニタリング装置110及び第2のモニタリング装置130はさらに、無線リンク102を介して相互に接続されていてもよい。
【0014】
第1のモニタリング装置110および第2のモニタリング装置130は、各々一般的に、特定目的のための装置であり、少なくとも1つのバイタルサインを測定対象者から導出することができる。またそれらを、後の解析または観察のための他のデバイスまたはエンティティに送信したり、ユーザインターフェース(UI)を通じて1人または複数のユーザ(例えば、測定対象者自身および/または1人または複数の他者(例えば、医療従事者))に提示することができる。
【0015】
特に、第1のモニタリング装置110は、1つまたは複数のセンサ(の第1のセット)を使用して個々のセンサ信号をキャプチャし、キャプチャされたセンサ信号に基づいて1つまたは複数のバイオメトリック信号を生成することができる。ここで上記センサ信号はそれぞれ、測定対象者の身体の特徴を示す。また、上記バイオメトリック信号はそれぞれ、測定対象者の1つまたは複数のバイタルサインを示す。これらのバイオメトリック信号は、サーバ装置150に送信される。一方、第2のモニタリング装置130は1つまたは複数のセンサ(の第2のセット)を使用して個々のセンサ信号をキャプチャし、キャプチャされたセンサ信号に基づいて1つまたは複数のバイオメトリック信号を生成する。上記センサ信号はそれぞれ、測定対象者の身体の特徴を示す。また、上記バイオメトリック信号はそれぞれ、前記測定対象者と同じ測定対象者の1つまたは複数のバイタルサインを示し、サーバ装置150に送信および/または、第2のモニタリング装置130のUIを介してユーザに提示される。
【0016】
上記および下記の例示では、それぞれ身体の特徴を示す1つ又は複数のセンサ信号をキャプチャすること、及び、測定対象者のバイタルサインをそれぞれ示す1つ又は複数のバイオメトリック信号を導出することに関する。しかし、これは非限定的な例示であり、これらの例示は一般化されて、生物または測定対象の身体の特徴をそれぞれ表す1つ又は複数のセンサ信号をキャプチャすることに適用したり、生物/測定対象のバイタルサイン表す1つ又は複数のバイオメトリック信号を導出することに適用したりすることが可能である。ここで、生物/測定対象は、人だけでなく動物であってもよい。
【0017】
下記に記載の例示では単体のバイオメトリック信号に言及しているが、このバイオメトリック信号は、1人の測定対象者の特定のバイタルサインを示す。しかし、これは説明を明瞭にするために相応しい表現として選択されたものであり、他の説明では、バイオメトリック信号は1つまたは複数の特徴的な信号(例えば、サブシグナル)で構成されていてもよい。ここで、この特徴的な信号(例えば、サブシグナル)は、測定対象者の特定のバイタルサインと一緒に示される。
【0018】
図2は、第1のモニタリング装置110の一例のいくつかの構成要素のブロック図を示す。第1のモニタリング装置110は、
図2に示されたこれらの構成要素に加えて、さらに構成要素または部品を備えていてもよい。これに関し、第1のモニタリング装置110はさらに例えば、第1のモニタリング装置110の構成要素に電力を提供する電力供給装置を備えてもよい。電力供給装置は、例えば、再充電可能なバッテリーでもよいし、再充電不可なバッテリーでもよい。また、バッテリーは脱着可能なものであってもよいし、第1のモニタリング装置110に内蔵されていてもよい。
【0019】
第1のモニタリング装置110は、一般的にモバイルデバイスとして提供される。ここで、このモバイルデバイスは、そのユーザによって頻繁に携帯され、または、定期的に携帯される。これに関する例として、第1のモニタリング装置110はモバイルデバイスであり、ユーザは、自分のバイタルサインをモニタリングするため、このモバイルデバイスを携帯することができる。他の例では、第1のモニタリング装置110はウェアラブルデバイスであってもよく、ユーザは、目的に応じて設計された装着具を取り付けることによって、このウェアラブルデバイスを装着できる。さらに別の例では、第1のモニタリング装置110は、ユーザの身体に取り付け可能な取り付け装置である。さらに別の例では、第1のモニタリング装置110は、ユーザの身体に部分的または全体的に埋め込み可能な埋め込み可能な装置である。第1のモニタリング装置110は、測定対象者に取り付け可能な装置として設計されてもよいし、ユーザが持ち運んだり、ユーザに装着したり、測定対象者の体に少なくとも部分的に埋め込んだりするように設計されてもよい。
【0020】
第1のモニタリング装置110は、通信部112を備えている。通信部112は、他の装置との無線通信のために少なくとも1つの通信機112aを備え、第1の通信機112aは、ネットワーク106との無線接続を可能にする無線リンク104を確立するために使用される。同様にネットワーク106は、サーバ装置150との通信を可能にする。通信部112はさらに、無線通信のための第2の通信機112bを備えてもよい。この第2の通信機112bは、第1の通信機112aによって採用される無線通信技術とは異なる無線通信技術を採用している。また、この第2の通信機112bは、第2のモニタリング装置130との通信を可能にする無線リンク102を確立するために使用可能である。この例示的バリエーションとして、上記の目的のために第2の通信機112bを提供する代わりに、第1の通信機112aを無線リンク102の確立に使用可能としてもよい。無線部112は、他の装置との無線および/または有線の通信ための1つまたは複数の通信機をさらに備えていてもよい。
【0021】
第1のモニタリング装置110は、プロセッサ116、並びにデータ及びコンピュータプログラムコード117を保存するメモリ115をさらに備える。第1のモニタリング装置110は、I/O(入力/出力)コンポーネント118をさらに備えてもよい。ここで、このI/Oコンポーネント118は、場合によってはプロセッサ116及びコンピュータプログラムコード117の一部と共に、第1のモニタリング装置110のユーザからの入力を受信するユーザインターフェース(UI)を提供し、および/または、第1のモニタリング装置110のユーザへの出力を提供する。ユーザI/Oコンポーネント118は、ディスプレイ、タッチスクリーン、タッチパッド、マウス、キーボード、及び/又は、1つまたは複数のキーまたはボタンの組み合わせ等のハードウェアコンポーネントを備えていてもよい。プロセッサ116は、例えば、メモリ115に記憶されているコンピュータプログラムコード117、場合によってはさらに、ユーザI/Oコンポーネント118を介して受信したユーザ入力、および/または、通信部112を介して受信した情報にしたがって、第1のモニタリング装置110の動作を制御するように構成されている。メモリ115、及びメモリ115に記憶されているコンピュータプログラムコード117の一部はさらに、プロセッサ116と共に、通信部112の通信機の動作を制御する制御部または制御機能を提供するように構成されている。また、場合によってこれら制御部または制御機能は、(本明細書で後述するように)通信部112の各通信機に内蔵されうる制御部または制御機能と共に提供される。これらの制御機能は、別々にまたはまとめて、(第1のモニタリング装置110の)制御手段と称することができる。
【0022】
第1のモニタリング装置110はさらに、1つまたは複数のバイオメトリック信号を導出するためのセンサ部119を備える。ここで、バイオメトリック信号はそれぞれ、1つまたは複数のセンサ信号に基づく測定対象者のバイタルサインを示す。センサ部119は、各センサ信号をキャプチャする1つまたは複数のセンサを含んでもよい。ここで各センサ信号はそれぞれ、測定対象者の身体の特徴を示す。わかりやすい例では、センサ信号(すなわち、1つまたは複数のセンサの各センサによってキャプチャされる信号)がそれぞれ、バイオメトリック信号として提供される。他の例では、センサ部は、キャプチャされたセンサ信号に基づいて、1つまたは複数のバイオメトリック信号を導出する解析部を備える(
図2には示していない)。ここで、この1つまたは複数のバイオメトリック信号はそれぞれ、測定対象者のバイタルサインを示す。制御手段は、センサ部119(及び解析部)を制御して、1つまたは複数のバイオメトリック信号を要求に応じて取得する。さらに、制御手段は、通信部112(例えば、第1の通信機112a)を制御して、1つまたは複数のバイオメトリック信号で含まれる情報の少なくとも一部を後の解析および/または観察のためにサーバ装置150に送信する。この解析部は、例えばセンサ部119の一部として実装されてもいし、その代わりに制御手段の一部として論理的エンティティとして実装されてもよい。また、センサ部119や制御手段から切り離されたエンティティとして提供されてもよい。
【0023】
図3は、第2のモニタリング装置130の一例のいくつかの構成要素のブロック図を示す。第2のモニタリング装置130は、
図3に示されたこれらの構成要素に加えて、さらなる構成要素または構成部を備えていてもよい。これに関する一例として、第2のモニタリング装置130はさらに例えば、第2のモニタリング装置130の構成要素に電力を提供する電力供給装置を備えてもよい。電力供給装置は、例えば、再充電可能なバッテリーでもよいし、再充電不可なバッテリーでもよい。また、バッテリーは脱着可能なものであってもよいし、第2のモニタリング装置130に内蔵されていてもよい。別の例では、第2のモニタリング装置130は、外部電力供給装置と接続し、この装置130の構成要素に供給する電力を受け取ることもできる。
【0024】
第2のモニタリング装置130は、離れた位置から、測定対象者のバイタルサインの1つまたは複数をモニタリングすることができる。すなわち、測定対象者と物理的に直接接触している必要はない。したがって、第2のモニタリング装置130は、リモートモニタリング装置130と称することができる。第2のモニタリング装置130は、モバイル装置またはポータブル装置として提供される場合がある。ここで、このモバイル装置またはポータブル装置は、ユーザによって利用場所に運搬または移動ができて便利である。他の例では、第2のモニタリング装置130は、固定式または準固定式で、第2のモニタリング装置130の使用環境(例えば、特定の部屋または室内の特定の位置)に設置される装置として提供される。よって、第2のモニタリング装置130は、測定対象者と共にまたは測定対象者に直接取り付けられて移動されない。アタッチメント型として設計された第1のモニタリング装置110と対照的に、第2のモニタリング装置130は分離型の装置として設計されている。そのため、第2のモニタリング装置130は、測定対象者に取り付けられる装置ではなく、測定対象者の少なくとも1つのバイタルサインを離れた位置からモニタリングしたり、または、測定対象者の身体に物理的に接触せずにモニタリングしたりするのに便利である。
【0025】
第2のモニタリング装置130は、通信部132を備える。通信部132は、他の装置との無線通信のために少なくとも1つの通信機132aを備え、第1の通信機132aは、ネットワーク106との無線接続を可能にする無線リンク105を確立するために使用される。同様にネットワーク106は、サーバ装置150との通信を可能にする。無線通信機132aはさらに、無線リンク102を確立するのに使用可能である。ここで、この無線リンク102は、第2のモニタリング装置130を第1のモニタリング装置110と無線で通信させることができる。無線リンク102の確立のために第1の通信機132aを使用する代わりに、通信部132は、他の装置との無線通信のための第2の通信機132bを備えることができる。ここで、第2の通信機132bが採用する無線通信技術は、第1の通信機132aが採用する無線通信技術と異なっている。第2の通信機132bが採用する無線通信技術は、無線リンク102の確立のために使用可能である。
【0026】
第2のモニタリング装置130は、プロセッサ136、並びにデータ及びコンピュータプログラムコード137を保存するメモリ135をさらに備える。第2のモニタリング装置130は、I/O(入力/出力)コンポーネント138をさらに備えてもよい。ここで、このI/Oコンポーネント138は、場合によってはプロセッサ136及びコンピュータプログラムコード137の一部と共に、第1のモニタリング装置130のユーザからの入力を受信するユーザインターフェース(UI)を提供し、および/または、第1のモニタリング装置130のユーザへの出力を提供する。ユーザI/Oコンポーネント138は、ディスプレイ、タッチスクリーン、タッチパッド、マウス、キーボード、及び/又は、1つまたは複数のキーまたはボタンの組み合わせ等のハードウェアコンポーネントを備えていてもよい。プロセッサ136は、例えば、メモリ135に記憶されているコンピュータプログラムコード137、場合によってはさらに、ユーザI/Oコンポーネント138を介して受信したユーザ入力、および/または、通信部132を介して受信した情報にしたがって、第2のモニタリング装置130の動作を制御するように構成されている。メモリ135、及びメモリ135に記憶されているコンピュータプログラムコード137の一部はさらに、プロセッサ136と共に、通信部132の通信機の動作を制御する制御部または制御機能を提供するように構成されている。また、場合によってこれら制御部または制御機能は、(本明細書で後述するように)通信部132の各通信機に内蔵されうる制御部または制御機能と共に提供される。これらの制御機能は、別々にまたはまとめて、(第2のモニタリング装置130の)制御手段と称することができる。
【0027】
第2のモニタリング装置130はさらに、1つまたは複数のバイオメトリック信号を導出するリモートセンシング部139を備える。ここで、この1つまたは複数のバイオメトリック信号はそれぞれ、遠隔からの1つまたは複数のセンシング信号に基づく測定対象者のバイタルサインを示す。ここで、遠隔からのセンシング信号とは、測定対象者との物理的な接触なしに得られるセンシング信号、測定対象者と共に運ばれたり測定対象者に直接取り付けたりする装置を使用せずに得られるセンシング信号を意味する。リモートセンシング部139は、一組または複数組の送信エンティティおよび受信エンティティを備えることができる。ここで、一組の送信エンティティは、1つまたは複数のプローブ信号を送信するよう動作可能であり、一組の受信エンティティは、送信された1つまたは複数のプローブ信号の反射を受信するよう動作可能である。プローブ信号とそれらの反射は、それぞれの1つまたは複数のセンサ信号を導出する基準として適用可能である。ここで、これらセンサ信号はそれぞれ、直接的または間接的に、測定対象者の体の特徴を示している。これに関する非限定的な例示として、プローブ信号の送信と、これらに対応する測定対象者の体からの反射信号との間の時間遅延が、プローブ信号のRTT(round-trip-time)を示す例がある。RTTは、第2のモニタリング装置130と測定対象者との間の距離と直接的に比例するとみなすことができる。そのため、一連のプローブ信号の送信(例えば、所定の固定された時間間隔で送信される)、および、これに対応する測定対象者の体からの反射の受信によって、リモートセンシング部139はセンサ信号を導出することが可能になる。ここで、このセンサ信号はRTTを示す。また、これにより、リモートセンシング部139は、各時間における第2のモニタリング装置130と測定対象者との間の距離を導出することが可能になる。このようなセンサ信号は、固定された測定対象者の胸部、または、実質的に固定された測定対象者の胸部から受信した反射を測定し、測定対象者の胸部の動きを示す。また、このようなセンサ信号は、測定対象者の呼吸数および/または心拍数を示す機能を果たす。
【0028】
プローブ信号/反射信号として無線周波数信号を使用する、上で概説した技術を使用するバイタルサインの検知例は、以下の文書で提供されている。
【0029】
Fadel Adib、Hongzi Mao、Zachary Kabelac、Dina Katabi and Robert C. Miller著、"Smart Homes that Monitor Breathing and Heart Rate"、CHI '15 Proceedings of the 33rd Annual ACM Conference on Human Factors in Computing Systems、837-846頁、ACM、New York、NY、USA、2015、ISBN 978-1-4503-3145-6
【0030】
この文献には、測定対象者からの反射の位相を示すセンサ信号を関数として導出する技術が示されている(例えば、上記文献の
図3を参照)。この文献で、センサ信号はピークと谷を示しているが、これらピークと谷はそれぞれ、息を吐くときの測定対象者の胸部の動きと、息を吸うときの胸部の動きを示している。一方、測定対象者の心拍は、センサ信号の構成要素を変調する。ここで、センサ信号の構成要素は、周期的または準周期的な微細構造を導入することにより、息を吐くときの動き/息を吸うときの動きを示す。
【0031】
上で概説した技術を使用するバイタルサインの検知の例は以下の文書に提供されており、この文書には、測定対象者の心拍数を示すセンサ信号導出用の力センサーで獲得されたBCG(ballistocardiogram:心弾動図)の使用が記載されている。
【0032】
J. Paalasmaa、H. Toivonen and M. Partinen著、"Adaptive Heartbeat Modeling for Beat-to-Beat Heart Rate Measurement in Ballistocardiograms"、IEEE Journal of Biomedical and Health Informatics、Volume 19、Issue 6、1945-1952頁、2015年11月、ISSN 2168-2194
【0033】
ある例では、センサ信号(すなわち、受信エンティティによってキャプチャされる信号)がそれぞれ、バイオメトリック信号等として提供される。他の例では、リモートセンシング部は、キャプチャされたセンサ信号に基づいて、1つまたは複数のバイオメトリック信号を測定する解析部(
図3には示していない)を備える。ここで、この1つまたは複数のバイオメトリック信号はそれぞれ、測定対象者のバイタルサインを示す。制御手段は、リモートセンシング部139(及び解析部)を制御して、1つまたは複数のバイオメトリック信号を要求に応じて導出する。さらに、制御手段は、通信部132(例えば、第1の通信機132a)を制御して、1つまたは複数のバイオメトリック信号で含まれる情報の少なくとも一部を後の解析および/または観察のためにサーバ装置150に送信する。この例のバリエーションでは、解析部の動作が制御手段の一部として提供される。または、解析部がリモートセンシング部139及び制御手段と切り離されたエンティティとして提供される。
【0034】
サーバ装置150は、一般的にリモートサーバ装置である。ここで、このリモートサーバ装置は、複数の第1のモニタリング装置110でアクセス可能なサーバ機能を提供するよう構成されている。ここでは明瞭性のため、例としてサーバ装置150を使用してここで記載されているサーバ機能は、単一のエンティティとして記載しているが、複数のサーバ装置が一体となって提供してもよい。ここで、これら複数のサーバ装置は、クラウドサーバまたはクラウドサーバ機構を提供するよう構成されている。
【0035】
前述のとおり、通信部112及び132はそれぞれ、第1の通信機112aおよび132aを備える。一方、通信部112及び132はさらに、例えば、それぞれ第2の通信機112b及び132bを備える。前述の各通信機112a、112b、132a、132bはまた、それぞれの(無線)通信手段を意味する場合がある。通信機112a、112b、132a、132bは、それぞれチップセット及び/または通信モジュールとして提供されうる。記載の明瞭性や簡潔のため、各通信機112a、112b、132a、132bは、それぞれ単一の論理的エンティティとみなされる。ここで、これら論理的エンティティは、各無線リンク102、104、105を介して受信された少なくともいくつかの情報、および/または、各モニタリング装置110、130の他の構成要素からの(例えば、各プロセッサ116、136からの)外部制御なく、各無線リンク102、104、105を介して送信された少なくともいくつかの情報を処理することも可能である。実施形態では、通信機112a、112b、132a、132bは、例えば、それぞれの無線送受信部およびそれぞれの制御部(または制御機能)を備える。ここで、これら無線送受信部は無線通信のためのものであり、これら制御部(または制御機能)は、各無線送受信部の動作を制御するため、および、各無線送受信部を介して受信/送信された情報を処理するものである。上記のような制御機能は、ハードウェア手段、ソフトウェア手段、ハードウェア手段とソフトウェア手段との組み合わせによって提供されうる。これに関する例として、通信機112a、112b、132a、132bはメモリ、プロセッサ、コンピュータプログラムコードの一部を含むことができる。ここで、このコンピュータプログラムコードは上記メモリに記憶されており、プロセッサと協働して、通信機112a、112b、132a、132bのそれぞれの動作を制御する。この場合、このコンピュータプログラムコードは独立して、または、メモリ115及び135のそれぞれ、コンピュータプログラム117及び137のそれぞれ、モニタリング装置110及び130のプロセッサ116及び136のそれぞれと協働して、通信機112a、112b、132a、132bのそれぞれの動作を制御する。
【0036】
第1のモニタリング装置110及び第2のモニタリング装置130の間の無線リンク102は、可能であれば、適切な短距離無線通信技術またはプロトコルを採用することによって、提供してもよい。このような無線リンクは、ローカル無線リンクと称することもできる。ここで使用される用語「短距離無線通信」は、数十メートル単位(例えば、100メートル)の一般的な動作範囲を可能にする無線通信技術またはプロトコルを意味する。しかし、特に室内環境では、このような短距離無線通信技術/プロトコルの動作範囲は、かなり狭くなる場合がある。これは例えば、壁や家具等のその他の固定された構造などが原因である。すなわち、これら壁や家具等のその他の固定された構造などが、通信機112bおよび132bそれぞれの間(無線リンク102の提供がされる場合は、通信機112aおよび132aの間)で部分的に障害物になったり、干渉を起こしたりする場合がある。一方、屋外使用での好ましい条件の中では、その動作範囲が数百メートルに延びる場合がある。
【0037】
このような無線技術/プロトコルの例には、BTBR(Bluetooth Basic Rate)プロトコル/EDR(Enhanced Data Rate)プロトコル及びBLE(Bluetooth Low Energy)プロトコルが含まれる。いずれのプロトコルも、Bluetooth Specification Version 4.1、Covered Core Package version4.1(発行日:2013年12月3日)で規定されている。下記では、この文書はBluetooth仕様書として参照される。しかし、BTBR/EDR及びBLE技術は、この点での説明上の例示および非限定的例示としての役割を果たし、その記載は、あらゆる短距離無線通信技術/プロトコルに一般化される。適用可能な短距離無線通信技術/プロトコルには、例えば、IEEE 802.11仕様書(IEEE:the Institute of Electrical and Electronics Engineers)で規定されているWLAN(Wireless Local Area Network)が含まれる。さらに、周知技術で適用可能な短距離無線通信技術/プロトコルの例には、ANT無線センサネットワーク技術、LR−WPAN(low−rate wireless personal networks)用のIEEE 802.15.4ネットワーク技術、UWB(Ultra−Wide Band)無線技術が含まれる。
【0038】
第1のモニタリング装置110からネットワーク106への接続を可能にする無線リンク104は、周知のあらゆる適用可能な無線アクセス技術を採用することによって提供されうる。ここで、上記ネットワーク106はさらに、第1のモニタリング装置110をサーバ装置150に接続する。これに関する例示として、前述のBTBR/EDR技術またはWLAN技術は、近隣の無線アクセスポイントとの無線リンク104を確立するために採用される場合があり、これにより、第1のモニタリング装置110をネットワーク106にアクセスさせることができる。ここで、このネットワーク106はさらに、サーバ装置150への接続も可能にする。他の例示として、周知のセルラーアクセス技術は、セルラーネットワークの基地局との無線リンク104を確立するために採用される場合があり、これにより、第1のモニタリング装置110をネットワーク106にアクセスさせることができる。ここで、このネットワーク106はさらに、サーバ装置150への接続も可能にする。
【0039】
記載の明瞭性のため、下記の例示では、単数で第1および第2のバイオメトリック信号への言及がされている。ここで、これらの各信号は特定(所定)の対象のバイタルサインを示している。ここで、第1のバイオメトリック信号は、(センサ部119から取得可能な第1のセンサ信号を使用して)第1のモニタリング装置110で導出される。また、第2のバイオメトリック信号は、(リモートセンサ部139から取得可能な第2のセンサ信号を使用して)第2のモニタリング装置130で導出可能である。この特定の(所定の)バイタルサインは測定対象者と関連する。そして、このバイタルサインには例えば、体温、心拍数、呼吸数、血圧、酸素飽和レベル等を含むことができる。
【0040】
図4には、無線通信機構100のフレームワークの中で、第1のモニタリング装置110および第2のモニタリング装置130のそれぞれによって実行されうる例示的な方法200a及び200bが記載されている。
【0041】
ブロック210aに示されているように、この方法200aのスタート時点では、第1のモニタリング装置110の制御手段がセンサ部119を操作して1つまたは複数の第1のセンサ信号をキャプチャし、解析部を操作してこれらのキャプチャされたセンサ信号を処理して、第1のバイオメトリック信号にする。第1のバイオメトリック信号に含まれる情報の少なくとも一部は、サーバ装置150に伝達される。
前述のとおり、第1のバイオメトリック信号は、与えられた測定対象者の特定のバイタルサインを示す。一例では、第1のバイオメトリック信号は、特定のバイタルサインの値を時間の関数として示す。
並行して、方法200bがブロック210bから開始する。すなわち、第2のモニタリング装置130の制御手段がリモートセンシング部139を操作して、1つまたは複数の第2のセンサ信号をキャプチャし、解析部を操作して、これらキャプチャされた/導出されたセンサ信号を処理し、第2のバイオメトリック信号にする。第2のバイオメトリック信号に含まれる情報の少なくとも一部は、サーバ装置150に伝達される。
第2のバイオメトリック信号もまた、与えられた測定対象者の同一の特定のバイタルサインを示す。一例では、第2のバイオメトリック信号は、特定の生体特性の値を時間の関数として示す。
【0042】
第1のモニタリング装置110で第1のバイオメトリック信号を導出する一方、第1のモニタリング装置110の制御手段は、通信部112を操作して、第1のバイオメトリック信号で含まれる情報の少なくとも一部を、ブロック220aに示すように、無線リンク104を介してサーバ装置150に伝達する。同様に、第2のモニタリング装置130で第2のバイオメトリック信号を導出する一方、第2のモニタリング装置130の制御手段は、通信部132を操作して、第2のバイオメトリック信号で含まれる情報の少なくとも一部を、ブロック220bに示すように、無線リンク105を介してサーバ装置150に伝達してもよい。サーバ装置150へ情報を伝達するのと代替的または追加的に、第2のモニタリング装置130の制御手段は、第2のモニタリング装置装置130のUIを介して、第2のバイオメトリック信号で含まれる情報の少なくとも一部を表示させてもよい。いくつかの例として、上記の表示には、第2のバイオメトリック信号に含まれる1つまたは複数の信号値の可聴提示、所定基準を満たす第2のバイオメトリック信号に含まれる1つまたは複数の信号値に応答して提供される可聴提示、第2のバイオメトリック信号に含まれる1つまたは複数の信号値の可視表示、所定基準値を満たす第2のバイオメトリック信号に含まれる1つまたは複数の信号値に応答して提供される可視表示等が含まれる場合がある。
【0043】
方法200bは、第1のモニタリング装置110の存在、すなわち、第2のモニタリング装置130で第2のバイオメトリック信号が導出される測定対象者と同じ測定対象者のバイタルサインを示す、第1のバイオメトリック信号を導出するように動作する別のモニタリング装置の存在を検知している(230b)、第2のモニタリング装置130によって継続される。
【0044】
いくつかの例では、ブロック230bの検知には、特定のバイタルサインを示す第1のバイオメトリック信号を導出するように動作しているモニタリング装置の存在を検知することと、検知された装置が第1のバイオメトリック信号を検知するように動作していることを確認することとの、それぞれ別のサブステップが含まれうる。ここで、この第1のバイオメトリック信号は、第2のモニタリング装置130で第2のバイオメトリック信号が導出された測定対象者と同一の測定対象者に関連している。他の例では、ブロック230bの検知は、特定のバイタルサインを示す第1のバイオメトリック信号を導出するように動作している装置の存在を検知することと、検知された装置が第1のバイオメトリック信号を導出するように動作していることを確認することとが、一体となって含まれている。ここで、この第1のバイオメトリック信号は、第2のモニタリング装置130で第2のバイオメトリック信号が導出された測定対象者と同一の測定対象者に関連している。
【0045】
ある例では、他のモニタリング装置の存在に関するブロック230bの検知に、第1のモニタリング装置110および第2のモニタリング装置130、それぞれの位置に基づく検知を含む場合がある。これに関する一例では、第1のモニタリング装置110は、測位手段を備えていてもよい。ここで、この測位手段は、制御手段の制御の下、モニタリング装置の現在位置情報を取得し、これら位置情報をサーバに伝達するように構成されている。測位手段には、適用可能な既知のあらゆる測位技術を採用してもよい。例えば、衛星測位(GPS、Glonass等)、RF測位(既知の信号パターンの到達角および/または発射角、およびそれぞれの信号強度情報等)がある。第2のモニタリング装置130は個別の測位手段を備えていてもよい。またここで、制御手段が測位手段を操作して、第2のモニタリング装置130の現在位置情報を取得したり、取得した表示をサーバ装置150に伝達するために通信部を操作してもよい。代替的に、第2のモニタリング装置130がその所定の位置情報を(例えばメモリ135に)保存したり、または、サーバ150が第2のモニタリング装置130のを保存してもよい。一旦、(時間内の同一またはほぼ同一の位置に対して)第1および第2のモニタリング装置110、130のそれぞれの位置情報を取得すると、それぞれの位置情報に反応して第1のモニタリング装置110の存在情報を第2のモニタリング装置130に送信することができる。ここで、上記それぞれの位置情報は、第1のモニタリング装置110が、第2のモニタリング装置130に接近している(例えば、所定の閾値距離の範囲内にいる)ことを示していてもよい。上記の変形例では、第1のモニタリング装置110から受信した位置情報を、第2のモニタリング装置130に転送してもよい。第2のモニタリング装置130は同様に、第1のモニタリング装置110が第2のモニタリング装置130に接近していることを示す位置情報に応じて、第1のモニタリング装置110の存在を検知することができる。
【0046】
その他の例では、第2のバイオメトリック信号と同じ測定対象者に関連する第1のバイオメトリック信号に対するブロック230bの検知は、第1のバイオメトリック信号で示されるバイタルサインと第2のバイオメトリック信号とで示されるバイタルサインの間の類似性に基づく検知を含んでもよい。これに関する例として、サーバ装置150は、第1のバイオメトリック信号と第2のバイオメトリック信号との(時間的に位置合わせした)値を比較してもよい。さらに、サーバ装置150は、この2つの信号の間の類似性を示す対比に応じて、第1のモニタリング装置の存在情報を第2のモニタリング装置130に送信してもよい。この例の変形として、サーバ装置150が、第1のバイオメトリック信号を第2のモニタリング装置130に転送してもよい。この例では、第2のモニタリング装置130が上記の比較を実行することができる。上記の比較がサーバ装置150で実行されるか第2のモニタリング装置130で実行されるかに関わらず、この比較は例えば、第1および第2のバイオメトリック信号の値の相関値(例えば、所定数の各バイオメトリック信号値についての相関値)に依存して行われてもよい。また、第2のバイオメトリック信号の(時間的に位置合わせした)値と、第1のバイオメトリック信号の(時間的に位置合わせした)値との間の差分信号から導出されうる差異評価(例えば平均値の違い、中央値の違い、最大値の違い等)に依存して行われてもよい。
【0047】
さらに別の例では、第2のバイオメトリック信号と同一の測定対象者に関連する第1のバイオメトリック信号に対するブロック230bの検知は、第1および第2のバイオメトリック信号のそれぞれの値に基づいて、第1および第2のバイオメトリック信号と関連付けられる測定対象者のIDを検知することに基づく検知を含んでもよい。特に、このような例に従う検知は、測定対象情報テーブルを保存しているサーバ装置150(例えば、サーバ装置150に提供されるメモリまたは大容量記憶装置)に依存する。ここで、この測定対象情報テーブルには、複数のテーブルエンティティが含まれる。各テーブル項目は与えられた測定対象者と関連しており、人物のID(識別情報)および1つまたは複数の測定対象者に関する特定のバイタルサインの所定の参照値を記憶している。第1のバイオメトリック信号の値によって示されるバイタルサインと、測定対象情報テーブルに記憶されている特定のバイタルサインの所定の参照値との間の類似性の検知では、サーバ装置150は、第1のバイオメトリック信号の値と、サーバ装置150に記憶されている特定のバイタルサインの所定の参照値とを比較し、マッチングテーブルの項目を特定してもよい。また、特定のテーブル項目に記憶されている人物のIDは、第1のバイオメトリック信号に対応する測定対象者を特定する。類似性の検出は、第2のバイオメトリック信号で示されるバイタルサインの値に基づいて実行される場合がある。第1のバイオメトリック信号と第2のバイオメトリック信号とに基づいて取得された人物のIDによって、前記測定対象者と同じ測定対象者が特定された場合(例えば、同一の人物のIDが第1および第2のバイオメトリック信号に基づいて取得された場合)、サーバ装置150は、第2のモニタリング装置130に第1のモニタリング装置110の存在情報を送信する。この例の変形として、サーバ装置150が、第1のバイオメトリック信号の値を第2のモニタリング装置130に転送してもよい。ここで、この第2のモニタリング装置130は同様に、測定対象テーブルを(例えば、メモリ135に)保存してもよく、比較を行ってもよい。
【0048】
さらなる例では、ブロック230bでの検知は、第2のモニタリング装置130が無線リンク102を介して、第1のモニタリング装置110に割り当てられたID情報(例えば、第1のモニタリング装置110に割り当てられた装置識別子および/またはサービス識別子)を受信することを含む。そのため、第2のモニタリング装置130は、ブロック230bの検知を、所定のIDの1つに受信したID情報が一致することに応じて成功したものとみなす。これら1つまたは複数の所定のIDは、例えば第2のモニタリング装置130の例えばメモリ135に格納されていてもよい。これの変形例では、第1のモニタリング装置110は、自身110に割り当てられたID情報を無線リンク104を介してサーバ装置150に送信してもよい。また、サーバ装置150はこのID情報を第2のモニタリング装置130に転送し、第2のモニタリング装置130でのID検出を可能にする。別の変形例では、サーバ装置150がID情報を受信し、第1のモニタリング装置110のIDを確認し、これに関連する情報を、ID検出の成功に応じて第2のモニタリング装置130に送信する。サーバ装置150によるID情報の受信は、無線リンク104を介して第1のモニタリング装置110から直接的に、または、無線リンク105を介して第2のモニタリング装置130によって転送されることにより、行われてもよい。
【0049】
ブロック230bで第1のモニタリング装置110の存在(すなわち、第2のモニタリング装置で導出された第2のバイオメトリック信号と同一の測定対象者の特定のバイタルサインを示す第1のバイオメトリック信号を導出可能なモニタリング装置の存在)を検出することで、第2のモニタリング装置は、ブロック240bで示されるような第1のモニタリング装置110での第1のバイオメトリック信号の導出を制御することができる。一方、第1のモニタリング装置110は、ブロック240aに示すように、第2のモニタリング装置130による前記制御にその動作を合わせることができる。
【0050】
一例では、第1のモニタリング装置110での第1のバイオメトリック信号の導出の制御を行う第2のモニタリング装置130(ブロック240b)は、1つまたは複数の命令またはリクエストを送信するように構成される。この1つまた複数の命令またはリクエストによって、第1のモニタリング装置110は、ブロック240bに示すようにその動作手順を変更することができる。その結果、当該命令またはリクエストの受付に基づいて、第1のモニタリング装置110は、ブロック240aに示すようにその動作を調整する。前記1つまたは複数のコマンド及びリクエストは、第2のモニタリング装置130から第1のモニタリング装置に無線リンク102(可能であれば)を介して直接送信される。または、これら1つまたは複数のコマンド及びリクエストは、第2のモニタリング装置130からサーバ装置に(無線リンク105を介して)送信され、同様に、第1のモニタリング装置110に(無線リンク104を介して)転送される場合もある。
【0051】
第2のモニタリング装置130から第1のモニタリング装置110に送信され、第1のモニタリング装置110への第1のバイオメトリック信号の導出を制御する1つまたは複数の命令またはリクエストはそれぞれ、1つまたは複数の下記のアクションに対する命令またはリクエストを含むことができる。
【0052】
・ 第1のモニタリング装置110をOFFに切り替える。
【0053】
・ 第1のモニタリング装置110の動作モードをスタンダードモードからパワーセーブモードに切り替える。
【0054】
・ 第1のモニタリング装置110の各センサ信号に基づく第1のバイオメトリック信号の導出を無効にする。
【0055】
・ 第1のバイオメトリック信号を導出するために要求されるセンサ信号のキャプチャリングに対するセンサ部119の動作を無効にする。
【0056】
・ 第1のモニタリング装置110からの第1のバイオメトリック信号の値の送信を無効にする。
【0057】
他の例では、第1のモニタリング装置110での第1のバイオメトリック信号の導出を制御する第2のモニタリング装置130(ブロック240b)には、第2のモニタリング装置130のUIを介して、第1のモニタリング装置110の動作を調整するための指標および/または命令をユーザに提供する第2のモニタリング装置130が含まれる。例えば、前述のように実行されたアクションのアクションリストの1つまたは複数を、第2のモニタリング装置130のUIを介して提供する。
【0058】
第2のモニタリング装置130を介して第1のモニタリング装置110での第1のバイオメトリック信号の導出を制御することは、例えば、第2のバイオメトリック信号が第2のモニタリング装置130から導出できる場合に、電力の節約を可能にする。それによって、第1のモニタリング装置110のバッテリー寿命を長くし、さらにまた、(例えばメンテナンス及び/または再充電のときに、)第1のモニタリング装置110の一時的なシャットダウンや、第1のモニタリング装置110の測定対象者からの一時的な関連付け解除を可能にする。
【0059】
前述の説明では、第1のモニタリング装置110での第1のバイオメトリック信号の導出、第2のモニタリング装置130での第2のバイオメトリック信号の導出に言及している。ここで、第1および第2のバイオメトリック信号の両方が、測定対象者の同一のバイタルサインを示している。他の例では、第1のモニタリング装置110、第2のモニタリング装置130、またはその両方が1つまたは複数のそれぞれのさらなるバイオメトリック信号を示すことができる、ここで、これらのバイオメトリック信号は測定対象者の他のバイタルサインを示す。
【0060】
一例では、第2のモニタリング装置130は、1つまたは複数のさらなるバイオメトリック信号を示すことが可能な場合がある。ここで、これら1つまたは複数のさらなるバイオメトリック信号は、第2のバイオメトリック信号に加えて1つまたは複数のさらなるバイタルサインのそれぞれ(第2のバイオメトリック信号によって示されるバイタルサインとは異なるもの)を示し、これら1つまたは複数のさらなるバイオメトリック信号によって伝えられた情報を、無線リンク105を介してサーバ装置150に提供する。
【0061】
別の例では、第1のモニタリング装置110は、1つまたは複数のさらなるバイオメトリック信号を示すことが可能な場合がある。ここで、これら1つまたは複数のさらなるバイオメトリック信号は、第1のバイオメトリック信号に加えて1つまたは複数のさらなるバイタルサインのそれぞれ(第1のバイオメトリック信号によって示されるバイタルサインとは異なるもの)を示す。このようなシナリオでは、第1のモニタリング装置110での動作は、例えば、第2のモニタリング装置130からのコマンドもしくはリクエスト、または、第1のモニタリング装置110のUIを介するユーザアクションに応じた第1のバイオメトリック信号の導出の無効に伴う、1つまたは複数のさらなるバイオメトリック信号の導出の無効を含むことができる。
【0062】
前述では、間接的な仮定として、第1のモニタリング装置110で導出される第1のバイオメトリック信号と、第2のモニタリング装置130で導出される第2のバイオメトリック信号とが、測定対象者の同一のバイタルサインを示していた。別の例では、第1のバイオメトリック信号は第1のバイタルサインを示し、第2のバイオメトリック信号は第1のバイタルサインとは異なる第2のバイタルサインを示す。(すなわち、第2のバイオメトリック信号は、第1のバイオメトリック信号と同一のバイタルサインを示さない。)このようなシナリオでは、第1および第2のバイタルサインとの間に所定の関係がある。ここで、この関係は、第2のモニタリング装置130からの第2のバイオメトリック信号が利用可能な場合、第1のバイオメトリック信号は冗長またはほぼ冗長になることが想定される。第1および第2のバイタルサインの間の非限定的例示的関係は、下記のとおりである。
【0063】
・ 第1のバイタルサインは第2のバイタルサインから導出できる。例えば、第1のバイオメトリック信号の1つまたは複数のサンプル値は、第2のバイオメトリック信号の1つまたは複数のサンプル値から(または、第2のバイオメトリック信号の1つまたは複数のサンプル値に基づいて)導出可能である。第1のバイタルサインの導出が、所定の導出ルール、数式、アルゴリズムを使用して可能である。
【0064】
・ 第2のバイタルサインは、少なくとも部分的に、第1のバイタルサインと同一の物理的現象を示す機能を果たすことができる。そのため、第2のバイオメトリック信号が、測定対象者の身体のコンディションをモニタリングするため充分であるとみなされるか否かの決定をする機能を果たすことができる。
【0065】
図2及び
図3に示された、第1のモニタリング装置110および第2のモニタリング装置130の構成要素を見返してみると、それぞれのプロセッサ116、136は、それぞれのメモリ115、135に対して、書き込み及び読み出しができるように構成されている。プロセッサ116及び136のそれぞれは、シングルプロセッサとして示されているが、プロセッサ116及び136のいずれも、1つまたは複数の別々のプロセッシングコンポーネントとして実装されてもよい。同様に、メモリ115、135のそれぞれは単独要素として示されているが、一つ以上の別々の要素として実装されてもよい。こうした要素の一部または全部は組込み型/着脱可能型でもよく、および/または永久/半永久/動的/キャッシュの記憶方式でもよい。
【0066】
メモリ115、135は、プロセッサ116、136のそれぞれにロードされたときにモニタリング装置110、130のそれぞれの動作を制御するコンピュータ実行可能命令を備えるコンピュータプログラム117、137のそれぞれを記憶することができる。一例として、コンピュータプログラム117は、1つまたは複数のシーケンスの1つまたは複数の命令を含むことができる。コンピュータプログラム117は、コンピュータプログラムコードとして提供されてもよい。プロセッサ116は、1つまたは複数のシーケンスの1つまたは複数の命令を読み込むことによってコンピュータプログラム117をロードし、実行することができる。ここで、この1つまたは複数のシーケンスの1つまたは複数の命令は、メモリ115からプロセッサに含まれる。1つまたは複数のシーケンスの1つまたは複数の命令は、プロセッサ116で実行された場合、第1のモニタリング装置110に、前述の動作、処理、および/または機能を実行するように構成されうる。したがって、主要なモニタリング装置110は、少なくとも一つのプロセッサ116と、1つまたは複数のプログラムのためのコンピュータプログラムコードを含む少なくとも一つのメモリ115とを備える。ここで、構成される少なくとも一つのメモリ115および上記コンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサ116と共に、第1のモニタリング装置110に前述の動作、手続き、および/または機能を実行させるように構成されている。同様のことが、第2のモニタリング装置130の対応する構成要素13xに関しても同様に有効である。
【0067】
各コンピュータプログラム117、137は、例えば、個々のコンピュータプログラム製品として提供される。ここで、これら個々のコンピュータプログラム製品は、少なくとも1つのコンピュータ可読持続性媒体を含む。また、この1つのコンピュータ可読持続性媒体にはプログラムコードが記憶されている。このプログラムコードがモニタリング装置110、130のそれぞれで実行されると、少なくとも、前述のモニタリング装置110、130の説明部分に記載された動作、手続、および/または機能をモニタリング装置110、130に遂行させる。コンピュータ可読持続性媒体には、CD−ROM、DVD、ブルーレイディスク、その他上記コンピュータプログラムを明確に具現化する製品が含まれる。他の例として、コンピュータプログラムは、それを確実に伝達するように構成される信号として提供されてもよい。
【0068】
プロフェッサへの言及は、プログラマブルプロフェッサのみを含むと理解すべきでなく、FPGA(field-programmable gate arrays)、ASIC(application specific circuits)、シグナルプロセッサ等の専用回路も含む。前述の機構は、明示した組み合わせ以外の組み合わせでも使用可能である。
【0069】
特定の事項を参照して種々の機能を記述してきたが、こうした機能は、記述の有無を問わずその他の事項によって遂行可能であってもよい。特定の実施形態を参照して種々の事項を記述してきたが、こうした事項は、記述の有無を問わずその他の実施形態で用いられてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2018年11月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモートモニタリング装置における方法であって、
生きている測定対象の特徴のいずれかを示す1つまたは複数のセンサ信号を、離れた位置からキャプチャリングすることと;
前記測定対象の第2の所定のバイタルサインを示す少なくとも1つの第2のバイオメトリック信号を、サーバ装置へ送信すべく、前記1つまたは複数のセンサ信号に基づいて導出することと;
前記測定対象と同一の測定対象の第1の所定のバイタルサインを示す第1のバイオメトリック信号を、前記サーバ装置へ送信すべく導出するように動作している、別のモニタリング装置の存在を検知することと;
前記別のモニタリング装置の検知に応じて、前記検知された別のモニタリング装置での前記第1のバイオメトリック信号の導出を制御することと;
を含む、方法。
【請求項2】
前記制御することは、前記別のモニタリング装置に所定のアクションを実行させるためのリクエストまたはコマンドを、無線リンクを介して、前記リモートモニタリング装置から前記別のモニタリング装置に送信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御することは、前記別のモニタリング装置を操作して所定のアクションを実行させるための指示を、前記リモートモニタリング装置のユーザインタフェースを介して提供することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定のアクションは、
前記別のモニタリング装置をオフに切り替えることと、
前記別のモニタリング装置をパワーセーブモードでの動作に切り替えることと、
前記別のモニタリング装置での前記第1のバイオメトリック信号の導出を無効にすることと、
前記別のモニタリング装置から前記サーバ装置への前記第1のバイオメトリック信号の送信を無効にすることと、
のうちの1つを含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記キャプチャリングすることは、
前記リモートモニタリング装置から1つまたは複数のプローブ信号の送信をすることと、
前記リモートモニタリング装置で、前記測定対象からの前記1つまたは複数のプローブ信号のそれぞれの反射を含む、1つまたは複数の反射信号を受信することと、
前記1つまたは複数の反射信号と前記1つまたは複数のプローブ信号とに基づいて、前記1つまたは複数のセンサ信号を生成することと、
を含む請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記検知することは、前記別のモニタリング装置の存在情報を前記サーバ装置から受信することを含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記検知することは、
サーバ装置を介し、無線リンクを通じて、前記第1のバイオメトリック信号で運搬される前記第1の所定のバイタルサインの1つまたは複数の値を受信することと、
前記第1の所定のバイタルサインの1つ若しくは複数の値、または前記第1のバイタルサインから導出される値と、前記第2のバイオメトリック信号で運搬される前記第2の所定のバイタルサインの1つ若しくは複数の一時的な対応値、または前記第2のバイオメトリック信号から導出される値とを比較することと、
前記第1の所定のバイタルサインの値と、前記第2の所定のバイタルサインの値との間の類似性を示す比較結果に応じて、前記別のモニタリング装置の存在を検知することと、
を含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
コンピュータ装置の処理手段で実行されると、前記コンピュータ装置に、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法を実行させるように構成されるコンピュータ読み取り可能なプログラムコードを含む、コンピュータプログラム。
【請求項9】
生きている測定対象のバイタルサインのリモートモニタリング用のモニタリング装置であって、
生きている測定対象の特徴のいずれかを示す1つまたは複数のセンサ信号を、離れた位置からキャプチャリングするリモートセンシング部と、
制御部と、
を備え、前記制御部は、前記モニタリング装置に少なくとも、
前記測定対象の第2の所定のバイタルサインを示す少なくとも1つの第2のバイオメトリック信号を、サーバ装置へ送信すべく、前記1つまたは複数のセンサ信号に基づいて導出することと、
前記測定対象と同一の測定対象の第1の所定のバイタルサインを示す第1のバイオメトリック信号を、前記サーバ装置へ送信すべく導出するように動作している、別のモニタリング装置の存在を検知することと、
前記別のモニタリング装置の検知に応じて、前記検知された別のモニタリング装置での前記第1のバイオメトリック信号の導出を制御することと、
を実行させるように構成される、モニタリング装置。
【請求項10】
前記制御することは、前記別のモニタリング装置に所定のアクションを実行させるためのリクエストまたはコマンドを、無線リンクを介して、前記別のモニタリング装置に送信することを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記制御することは、前記別のモニタリング装置を操作して所定のアクションを実行させるための指示を、前記リモートモニタリング装置のユーザインタフェースを介して提供することを含む、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記所定のアクションは、
前記別のモニタリング装置をオフに切り替えることと、
前記別のモニタリング装置をパワーセーブモードでの動作に切り替えることと、
前記別のモニタリング装置での前記第1のバイオメトリック信号の導出を無効にすることと、
前記別のモニタリング装置から前記サーバ装置への前記第1のバイオメトリック信号の送信を無効にすることとの1つを含む、
請求項9から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記キャプチャリングは、
前記装置から、1つまたは複数のプローブ信号を送信することと、
前記装置で、前記測定対象からの前記1つまたは複数のプローブ信号のそれぞれの反射を含む、1つまたは複数の反射信号を受信することと、
前記1つまたは複数の反射信号と前記1つまたは複数のプローブ信号とに基づいて、前記1つまたは複数のセンサ信号を生成することと、
を含む請求項9から12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記検知することは、前記サーバ装置からの前記別のモニタリング装置の存在情報を受信することを含む、請求項9から13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記検知することは、
前記サーバ装置を介し、無線リンクを通じて、前記第1のバイオメトリック信号で運搬される前記第1の所定のバイタルサインの1つまたは複数の値を受信することと、
前記第1の所定のバイタルサインの1つ若しくは複数の値、または前記第1のバイタルサインから導出される値と、前記第2のバイオメトリック信号で運搬される前記第2の所定のバイタルサインの1つ若しくは複数の一時的な対応値、または前記第2のバイオメトリック信号から導出される値とを比較することと、
前記第1の所定のバイタルサインの値と、前記第2の所定のバイタルサインの値との間の類似性を示す比較結果に応じて、前記別のモニタリング装置の存在を検知することと、
を含む、請求項9から13のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記検知することは、
前記検知された装置から無線リンクを介して、前記検知された装置に割り当てられたID情報を受信することと、
前記ID情報が1つまたは複数の所定のIDの1つとマッチングすることに応じて、別のモニタリング装置として、前記検知された装置を検知することと、
を含む、請求項9から13のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記第1の所定のバイタルサインには、体温、心拍数、呼吸数、血圧、酸素飽和度の1つが含まれる、請求項9から16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記第2の所定のバイタルサインには、体温、心拍数、呼吸数、血圧、酸素飽和度の1つが含まれる、請求項9から17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記第2の所定のバイタルサインは、前記第1の所定のバイタルサインと同一である、請求項9から18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記第2の所定のバイタルサインは前記第1の所定のバイタルサインと異なっており、ここで、前記第1および第2の所定のバイタルサインとの間には所定の関係が存在する、請求項9から18のいずれかに記載の装置。
【国際調査報告】