(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-514580(P2019-514580A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(54)【発明の名称】電池のリチウムクラスタ成長の制御
(51)【国際特許分類】
A61N 1/39 20060101AFI20190517BHJP
A61N 1/365 20060101ALI20190517BHJP
H01M 6/16 20060101ALI20190517BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20190517BHJP
H01M 2/02 20060101ALI20190517BHJP
H01M 2/26 20060101ALI20190517BHJP
【FI】
A61N1/39
A61N1/365
H01M6/16 C
H01M2/10 U
H01M2/02 M
H01M2/26 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-557425(P2018-557425)
(86)(22)【出願日】2017年5月1日
(85)【翻訳文提出日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】US2017030422
(87)【国際公開番号】WO2017192455
(87)【国際公開日】20171109
(31)【優先権主張番号】62/330,317
(32)【優先日】2016年5月2日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】505003528
【氏名又は名称】カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ベドイ、アリルド
【テーマコード(参考)】
4C053
5H011
5H024
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
4C053JJ11
4C053JJ23
4C053KK02
5H011AA00
5H011BB03
5H011EE04
5H011KK01
5H024AA03
5H024AA12
5H024CC01
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5H040AA36
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5H040NN03
5H043AA18
5H043BA07
5H043CA07
5H043CA13
5H043EA06
5H043LA02E
5H043LA21E
(57)【要約】
装置は複数の交互になったアノードおよびカソードを備える電池積層体を含み、アノードの各々は第1セパレータと第2セパレータとの間に配置されており、アノードのタブは第1セパレータと第2セパレータとの間から延出しており、さらに装置は第1セパレータおよび第2セパレータの頂部を横断して延在するエッジテープを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の交互になったアノードおよびカソードを備える電池積層体であって、前記アノードの各々は第1セパレータと第2セパレータとの間に配置されており、前記アノードのタブは第1セパレータと第2セパレータとの間から延出している、電池積層体と、
前記第1セパレータおよび第2セパレータの頂部を横断して延在するエッジテープと、を備える、装置。
【請求項2】
前記エッジテープが前記タブの一部の上を覆う、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エッジテープが、前記第1セパレータの第1側面上の第1テープ片と、前記第2セパレータの反対側面上の第2テープ片とを備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
電池ケースをさらに備え、前記電池積層体が前記電池ケースで包囲されており、かつフィードスルーに近接した前記電池ケースの内面に位置するケーステープを備え、前記ケーステープが、前記電池ケースの底面を少なくとも部分的に覆い、かつ前記電池ケースの2つの側壁を少なくとも部分的に覆うように延在する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記電池積層体がソーカーパッド包囲体で包囲されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記カソードがセパレータバッグで包囲されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記エッジテープが、第1部分と第1部分より高い第2部分とを有するテープ片を含み、第2のより高い部分が前記アノードのタブの上に位置する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記電池積層体が、コレクタ上に位置するリチウムの層を備えたリチウムアノードを含み、かつ前記エッジテープが前記リチウムの層とほぼ同じ厚さである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
電子装置を保持する植込み可能なハウジングと、
前記植込み可能なハウジング内に位置する電池であって、電池ケースと該電池ケース内の電池積層体とを備え、前記電池積層体は複数の交互になったアノードおよびカソードを含み、各アノードは第1セパレータと第2セパレータとの間に配置されており、前記アノードのタブは第1セパレータと第2セパレータとの間から延出している、電池と、
前記第1セパレータおよび第2セパレータの頂部を横断して延在するエッジテープと、
フィードスルーに近接した前記電池ケースの内面に位置するケーステープと、を備え、前記ケーステープは、前記電池ケースの底面を少なくとも部分的に覆い、かつ前記電池ケースの2つの側壁の上に少なくとも部分的に延在する、装置。
【請求項10】
前記エッジテープが、前記第1セパレータの第1側面上の第1テープ片と、前記第2セパレータの反対側面上の第2テープ片とを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記電池積層体がソーカーパッド包囲体で包囲されている、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記カソードがセパレータバッグで包囲されている、請求項9乃至11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
複数の交互になったアノードおよびカソードを電池積層体に積層するステップであって、各アノードは第1セパレータと第2セパレータとの間に配置されており、前記アノードのタブは第1セパレータと第2セパレータとの間から延出している、ステップと、
エッジテープを第1セパレータおよび第2セパレータの頂部を横断して延在させるステップと、を含む方法。
【請求項14】
前記アノードがコレクタ上に位置するリチウムを備えたリチウムアノードであり、前記エッジテープは、前記エッジテープが前記コレクタの上端部を覆うが、前記リチウムを覆わないように配置されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
電池ケースを提供するステップと、
フィードスルーに近接した前記電池ケースの内面にケーステープを配置するステップであって、前記ケーステープは、前記電池ケースの底面を少なくとも部分的に覆い、かつ前記電池ケースの2つの側壁の上に少なくとも部分的に延在する、ステップと、
前記電池積層体を前記電池ケース内に配置するステップと、をさらに含む、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペースメーカーまたは除細動器のような植込み型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ペースメーカーまたは除細動器のような植込み型装置は、電池を含む電子装置を保持するハウジングを備える。電池の長期信頼性は懸念事項である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施例1は、複数の交互になったアノードおよびカソードを備える電池積層体であって、アノードの各々は第1セパレータと第2セパレータとの間に配置されており、アノードのタブは第1セパレータと第2セパレータとの間から延出している、電池積層体と、第1セパレータおよび第2セパレータの頂部を横断して延在するエッジテープと、を備えた装置を含む。
【0005】
実施例2において、実施例1の装置は、任意で、エッジテープがタブの一部を覆うことを含むことができる。
実施例3において、実施例1または2に記載の装置は、任意で、エッジテープが、第1セパレータの第1側面上の第1テープ片と、第2セパレータの反対側面上の第2テープ片とを備えることができる。
【0006】
実施例4において、実施例1乃至3のいずれか1項に記載の装置は、任意で電池ケースを備えることができ、電池積層体が電池ケースで包囲されている。
実施例5において、実施例1乃至4のいずれか1項に記載の装置は、任意で、フィードスルーに近接したケースの内面に位置するケーステープを含むことができ、ケーステープは、ケースの底面を少なくとも部分的に覆い、かつケースの2つの側壁を少なくとも部分的に覆うように延在する。
【0007】
実施例6において、実施例1乃至5のいずれか1項に記載の装置は、任意で、電池積層体がソーカーパッド包囲体で包囲されている。
実施例7において、実施例1乃至6のいずれか1項に記載の装置は、任意で、カソードがセパレータバッグで包囲されている。
【0008】
実施例8において、実施例1乃至7のいずれか1項に記載の装置は、任意で、エッジテープがポリアミドテープを含むことができる。
実施例9において、実施例1乃至8のいずれか1項に記載の装置は、任意で、エッジテープが、第1部分と第1部分より高い第2部分とを有するテープ片を含み、第2のより高い部分がアノードタブの上に位置することができる。
【0009】
実施例10において、実施例1乃至9のいずれか1項に記載の装置は、任意で、電池積層体が、コレクタ上に位置するリチウムの層を備えたリチウムアノードを含み、かつエッジテープが、リチウムの層とほぼ同じ厚さである。
【0010】
実施例11において、装置は、電子装置を保持する植込み可能なハウジングと、植込み可能なハウジング内に位置する電池であって、電池ケースと該ケース内の電池積層体とを備え、電池積層体が複数の交互になったアノードおよびカソードを含み、各アノードが第1セパレータと第2セパレータとの間に配置されており、アノードのタブが第1セパレータと第2セパレータとの間から延出している、電池と、第1セパレータおよび第2セパレータの頂部を横断して延在するエッジテープと、フィードスルーに近接した電池ケースの内面に位置するケーステープと、を備え、ケーステープがケースの底面を少なくとも部分的に覆い、ケースの2つの側壁の上に少なくとも部分的に延在する。
【0011】
実施例12において、実施例11に記載の装置は、任意で、エッジテープがタブの一部の上を覆うことができる。
実施例13において、実施例11または12に記載の装置は、任意で、エッジテープが、第1セパレータの第1側面上の第1テープ片と、第2セパレータの反対側面上の第2テープ片とを備えることができる。
【0012】
実施例14において、実施例11乃至13のいずれか1項に記載の装置は、任意で、電池積層体がソーカーパッド包囲体で包囲されている。
実施例15において、実施例11乃至14のいずれか1項に記載の装置は、任意で、カソードがセパレータバッグで包囲されている。
【0013】
実施例16において、実施例11乃至15のいずれか1項に記載の装置は、任意で、エッジテープが、第1部分と第1部分より高い第2部分とを有するテープ片を含み、第2のより高い部分がアノードタブの上に位置することができる。
【0014】
実施例17において、実施例11乃至16のいずれか1項に記載の装置は、任意で、電池積層体が、コレクタ上に位置するリチウムの層を備えたリチウムアノードを含み、かつエッジテープがリチウムの層とほぼ同じ厚さである。
【0015】
実施例18において、方法は、複数の交互になったアノードおよびカソードを電池積層体に積層するステップであって、各アノードが第1セパレータと第2セパレータとの間に配置されており、アノードのタブが第1セパレータと第2セパレータとの間から延出している、ステップと、エッジテープを第1セパレータおよび第2セパレータの頂部を横断して延在させるステップと、を含む。
【0016】
実施例19において、実施例18に記載の方法は、任意で、アノードがコレクタ上に位置するリチウムを備えたリチウムアノードであり、エッジテープが、エッジテープがコレクタの上端部を覆うが、リチウムを覆わないように配置されている。
【0017】
実施例20において、実施例18乃至19のいずれか1項に記載の方法は、任意で、電池ケースを提供するステップと、フィードスルーに近接した電池ケースの内面にケーステープを配置するステップであって、ケーステープは、ケースの底面を少なくとも部分的に覆い、かつケースの2つの側壁の上に少なくとも部分的に延在する、ステップと、電池積層体を電池ケース内に配置するステップと、を含むことができる。
【0018】
これらの実施例は任意の順列または組合せで組み合わせることができる。この概要は、本特許出願の主題の概要を提供するものである。本概要は、本発明の排他的または網羅的な説明を提供するものではない。詳細な説明は本特許出願についてのさらなる情報を提供するために含まれている。
【0019】
必ずしも一定の縮尺で描かれていない図面において、同一の数字は、異なる図において類似した構成要素を説明し得る。異なる文字の接尾辞を有する同一の数字は、類似した構成要素の異なる例を表わし得る。図面は、概して、本文書で検討される様々な実施形態を例として、しかし限定する目的ではなく示している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図8】一実施形態に従った電池ケース内におけるケーステープの斜視図。
【
図9】一実施形態に従ったソーカーパッド内における電池積層体の斜視図。
【
図10】
図9の広げられたソーカーテープの斜視図。
【
図11】一実施形態に従ったバッグで包まれたカソードの上面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、一例に従った植込み型医療装置100を示す。植込み型医療装置100は、金属ハウジング110と、付属ヘッダ120とを備える。ヘッダ120は、植込み型リード130の端子ピン124を受容するために1つ以上のポート122を備える。リード130は、例えば、ペーシングパルス、除細動ショックエネルギー、またはカルディオバージョン治療を心臓に送達するように構成されている。植込み型医療装置100は、患者の胸部または他の所望の位置で外科的に形成されたポケット内に植え込むことができる。
【0022】
植込み型医療装置100は、一般に、信号解析、処理、および制御を実施するための電子部品142を備える。植込み型医療装置100は、ハウジング110内に収容された電池150またはキャパシタのような電源およびの他の部品を備えることができる。植込み型医療装置100は、細動、頻脈および徐脈を含む心不整脈に応答して、リード130の1つ以上の電極を通じて、心臓に対する心室除細動、カルディオバージョンおよびペーシングのための異なるエネルギーレベルおよびタイミングの電気ショックおよびパルスを決定かつ送達するための処理および評価を提供するために、マイクロプロセッサを備えることができる。
【0023】
この植込み型医療装置100は、ヘッダ120とハウジング100内の電子装置142および電池150との間を電気的に連絡するためにフィードスルー152に接続する1つ以上のコネクタブロック140を備える。端子124上の端子コンタクト126は、リード130上の電極と電気的に連絡するためにコネクタブロック140に接触する。
【0024】
他の例において、以下で検討する電池パッケージングの主題は、センサーのような他の電池式装置に用いることができる。
図2は、一実施形態に従った電池150の分解組立図を示す。
【0025】
電池150は、電池積層体204を保持するチャンバ202を画定する金属ケース200を備える。一実施形態において、ケース200は、ステンレス鋼のような導電材料から製造することができる。ケース200は、基部206と、基部206の上縁上に配置可能な蓋208とを備えることができる。
【0026】
電池積層体204は、複数の交互になったアノード210およびカソード212を備えることができる。アノード210の各々は、第1セパレータ213と第2セパレータ215との間に配置することができ、アノード210のタブ218は第1セパレータ213と第2セパレータ215との間から延出している。一例において、第1セパレータおよび第2セパレータ213,215は、セパレータバッグ214を形成するように封止される。
【0027】
各カソード212はカソードタブ216を備え、かつ各アノード210はアノードタブ218を備えることができる。前述したように、アノードタブ218はセパレータバッグ214から延出することができる。ケース200内には電解質が配置されている。
【0028】
組立後、カソードタブ216は、互いに電気的に接続され、かつアノードタブ218は互いに電気的に接続される。フィードスルーポスト220はケース200を通って積層体204へと通過することができ、ケース200から電気的に絶縁されている。フィードスルーポスト220はカソードタブ216に接続することができ、一方、アノードタブ218は、それ自体でアノード端子として作用することができるケース200に直接取り付けることができる。いくつかの実施形態では、これらの役割は逆転され、カソードタブをケースに接続し、かつアノードタブをフィードスルーに接続することができる。いくつかの実施形態では、アノードに1つ、カソードに1つの、2つのフィードスルーを設けることができる。
【0029】
図3は、電池積層体204の上面図を示す。一例において、アノード210は、ニッケルコレクタのようなコレクタ上においてリチウム層から形成される。カソード212は、ステンレス鋼ワイヤーメッシュコレクタに被覆されたMnO
2のようなカソード材料から形成することができる。
【0030】
リチウム電池に関する1つの課題は、電池内におけるリチウムクラスタの成長を最小限にすることである。リチウムクラスタの成長は、電解質の貯留がアノード表面に接している場所で開始する可能性がある。いくつかの例において、貯留およびクラスタの成長はセパレータ/アノードアセンブリ内のいかなる場所でも生じる可能性がある。例えば、リチウムクラスタ成長問題の2つの領域は、リチウム成長が生じ得る、アノードタブ218が一体となる領域302に存在する。また、時に、アノードクラスタは、カソードタブ216付近の領域304においてセパレータを突き抜けて、カソードタブ216に接触して、短絡を引き起こす可能性がある。
【0031】
本検討は、電池積層体204におけるリチウムクラスタ成長を防止し、最小限にするための様々なパッケージング方法を含む。
図4は一例に従ったアノード210の上面図を示し、
図5はアノード210の上部のクローズアップ図を示す。
【0032】
検討したように、各アノード210は、第1セパレータと第2セパレータとの間に配置することができ、第1セパレータおよび第2セパレータは封止されて密閉セパレータバッグ214を形成することができる。様々な実施形態は、一対のセパレータ層から形成されたセパレータバッグ214を含む。バッグは、二層のセパレータ層を提供し、それらのセパレータ層の周囲にへり溶接シールを形成してセパレータバッグ214を形成することによって、アノード210のまわりに形成される。付加的な材料を含む他のセパレータ層は本主題の範囲内にある。セパレータバッグ214の非溶接部分は、タブ218がその部分を通って延びることを可能にする。
【0033】
電解質がアノード210とセパレータバッグ214の封止された端部310との間のアノード210の上部に沿って貯留する場合に問題が生じる可能性がある。一実施形態において、エッジテープ312は、セパレータバッグ214の第1セパレータおよび第2セパレータの頂部、並びにアノード210の頂部を横断して延びて配置されている。エッジテープ312は、セパレータバッグ214の第1セパレータの第1側面上の第1テープ片314と、セパレータバッグ214の第2セパレータの反対側の第2側面上の第2テープ片316とを備える。一対のテープ片314,316は互いの鏡像である。一例において、エッジテープ312としては、ポリアミドテープ、または他の適当なテープを挙げることができる。一例において、エッジテープ312は、アノードのリチウムの層の厚さとほぼ同じ厚さであってもよい。別の例では、アノード210のまわりを包み込んで、セパレータバッグ214の第1セパレータおよび第2セパレータの頂部、並びにアノード210の頂部を横断して延在することができる単一のエッジテープ312が用いられる。
【0034】
セパレータバッグ214の頂部全体を横断してエッジテープ312を延在させることによって、アノード218の上端部に沿ったセパレータバッグ214の内側における電解質の貯留を最小限にすることができ、よってクラスタ成長を低減する。
【0035】
エッジテープ312は、第1部分320と、第1部分320より高い第2部分322とを備える。第2のより高い部分322は、アノードタブ218の上に位置する。一例において、エッジテープ312は、該テープがコレクタ330の上端部は覆うが、リチウム層332は覆わないように配置することができる。
【0036】
リチウムクラスタ成長の結果を最小限にするための別の技術としては、ケーステープを提供することが挙げられる。
図6は一実施形態に従ったケーステープ400を示す。
図7はケースに挿入するために折り曲げられたケーステープ400の別の図を示しており、
図8は電池ケース200内におけるケーステープ400の斜視図を示す。
【0037】
ケーステープ400は概して不規則な形状を含み、電池ケースの形状に応じて変更されてもよい。ケーステープ400は、折り曲げられたときに、ケーステープの主要部分406に対して上方に湾曲した2つの端部402,404を有する。ケーステープ400がケース内に配置される場合、ケーステープ400は、フィードスルー220に近接したケースの内面410に位置決めされて配置され、さらに、ケーステープ400は、ケース200の底面412を少なくとも部分的に覆い、ケース200の2つの側壁414,416を少なくとも部分的に覆うように延在する。一例において、フィードスルー220に近接する開放した側壁領域は、ケーステープ400が覆っていないアノードの電池ケース表面を密閉するために医療用接着剤によってさらに覆われる。
【0038】
この拡張したケーステープ400は、いかなる電解質の貯留もアノード表面に触れることを防止し、よってリチウムクラスタが形成するのを最小限にする。
図9は一実施形態に従ったソーカーパッドアセンブリ(soaker pad assembly)500内における電池積層体204の斜視図を示す。
図10は、広げられたソーカーパッドアセンブリ500の斜視図を示す。
【0039】
ソーカーパッドアセンブリ500は、CELGARD(登録商標)または他の適当な材料から形成することができる内側ソーカーパッド502と、ポリアミドテープまたは他の適当なテープから形成することができる外側テープ504とを含む。アセンブリ500は、ソーカーパッド502が積層体204の端部に隣接するように、電池積層体204のまわりに巻き付けられるように設計することができる。中央孔506は、電池積層体の電解質濡れを向上させるための、ソーカーパッドアセンブリの切欠であってもよい。アセンブリ500が積層体204のまわりに巻き付けられるときに適当な形状を提供するために、テープ504およびソーカーパッド502の各々には、複数の指部510が形成されている。
【0040】
ソーカーパッドアセンブリ500は、アノードセパレータバッグの周囲から電解質を吸収する(soak)、または吸い上げる(wick up)ように設計されている。これは、リチウム成長クラスタを防止するのに役立つ。さらに、電解質をアノードの周囲から離れるように移動させることによって、ソーカーパッドアセンブリ500は、より多くの電解質がカソードのまわりに収容されることを可能にする。これは、電池がその製品寿命の後期により多くの電解質にアクセスできるようにする。
【0041】
図11は、一実施形態に従ったバッグ600で包囲されたカソード212の上面図を示す。
この例では、カソードもセパレータバッグで包囲されており、バッグ600からタブが延出している。バッグ600を用いることによって、アノードからの電解質がカソードによってより良好に保持され、貯留を防止し、かつリチウムクラスタ成長を防止するのに役立つ。
【0042】
上述したこれらの技術の1つ以上を用いた電池を形成する際、電池積層体は、複数の交互になったアノードおよびカソードを電池積層体に積層することにより形成される。一例において、各アノードはセパレータバッグで包囲され、アノードのタブはセパレータバッグから延出する。エッジテープはセパレータバッグの頂部を横断して延在するように配置される。エッジテープがアノードコレクタの上端部を覆うが、リチウム部分を覆わないように、エッジテープを配置することができる。
【0043】
別の自由選択の技術は、フィードスルーに近接した電池ケースの内面にケーステープを配置することである。ケーステープは、該ケーステープがケースの底面を少なくとも部分的に覆い、ケースの2つの側壁の上に少なくとも部分的に延在するように寸法が設定されかつ配置されている。
【0044】
別の自由選択の技術は、電池積層体を電池ケースに挿入する前に、電池積層体をソーカーバッグアセンブリ内に配置することである。任意で、カソードもバッグに入れることができる。
【0045】
様々な実施形態において、これらの技術のいずれか1つまたは4つすべて、または任意の組合せを、リチウムクラスタ成長を最小限にするのに役立つように用いることができる。
【0046】
付記
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付図面への言及を含む。図面は、例証として、本発明を実施することができる特定の実施形態を示している。これらの実施形態はまた本願では「実施例」とも称される。そのような実施例は、示されているか、または記載されているものに加えて要素を含み得る。しかしながら、本発明者らはまた、示されているか、または記載されているそれらの要素のみが備えられた実施例も企図する。さらに、本発明者らはまた、本願に示されているか、または記載されている特定の実施例(またはその1つ以上の態様)、または他の実施例(またはその1つ以上の態様)のいずれかに関して、示されているか、または記載されているそれらの要素(またはその1つ以上の態様)の任意の組合せまたは順列を用いた実施例も企図する。
【0047】
本文書において参照した全ての刊行物、特許および特許文献は、参照により個々に援用されるかのように、参照により余すところなく本願に援用される。本文書と、そのように参照により援用された文書との間で用法が一致しない場合には、援用された参考文献における用法は、本文書のそれに対する補足であると考えられるべきであり、相容れない矛盾については、本文書における用法が支配する。
【0048】
本文書において、用語「a」または「an」は、特許文献において共通であるように、「少なくとも1つ(at least one)」または「1つ以上(one or more)」の任意の他の例または用法とは無関係に、1つまたは2つ以上を含むように用いられる。この文書において、「または」という用語は、別段の指示がない限り、「AまたはB」が、「AだがBではない」、「BだがAではない」、および「AおよびB」を含むように、非排他的論理和を示す。添付する請求項において、「備える(including)」および「前記〜において(in which)」という用語は、「備える(conprising)」および「前記〜において(wherein)」という各用語の平易な英語の同意義として用いられる。また、以下の特許請求の範囲において、「含む(including)」および「備える(comprising)」という用語は非制限的である、すなわち、請求項においてそのような用語の後に列記されたものに加えて、要素を含むシステム、装置、物品またはプロセスは、依然としてその請求項の範囲内にあると見なされる。さらに、以下の請求項において、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、単に標識として用いられており、それらの対象に対して数的な要件を課するようには意図されない。
【国際調査報告】