(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-514728(P2019-514728A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(54)【発明の名称】プリフォーム製造装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/18 20060101AFI20190517BHJP
B29C 45/06 20060101ALI20190517BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20190517BHJP
【FI】
B29C45/18
B29C45/06
B29B17/02ZAB
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-555224(P2018-555224)
(86)(22)【出願日】2016年4月20日
(85)【翻訳文提出日】2018年10月19日
(86)【国際出願番号】IT2016000098
(87)【国際公開番号】WO2017183048
(87)【国際公開日】20171026
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503308405
【氏名又は名称】エス.アイ.ピー.エイ.ソシエタ’インダストリアリザッジオーネ プロゲッタジオーネ エ オートマジオーネ ソシエタ ペル アチオニ
(71)【出願人】
【識別番号】503433958
【氏名又は名称】エレマ エンジニアリング リサイクリング マシネン ウント アンラーゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトフング
(71)【出願人】
【識別番号】597082304
【氏名又は名称】協栄産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】グリバウド,エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】ファイヒティンガー,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ハックル,マンフレット
(72)【発明者】
【氏名】ヴェス,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】古澤 栄一
(72)【発明者】
【氏名】高田 宗彦
(72)【発明者】
【氏名】岸 重信
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 義弘
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 直也
【テーマコード(参考)】
4F206
4F401
【Fターム(参考)】
4F206AA24
4F206AA50
4F206AG07
4F206AH55
4F206JA06
4F206JC02
4F206JF51
4F206JL02
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4F206JW41
4F401AA09
4F401AA10
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4F401AC11
4F401BA06
4F401CA02
4F401CA14
4F401CA25
4F401CA49
4F401CA58
4F401CA89
4F401DC05
4F401DC06
(57)【要約】
熱可塑性樹脂フレークからプリフォームを製造するプリフォーム製造装置は、熱可塑性樹脂フレーク中の汚染物質を除去する除染機と、除染機から供給された熱可塑性樹脂を射出成形する射出成形機とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂フレークからプリフォームを製造するプリフォーム製造装置であって、
熱可塑性樹脂フレーク中の汚染物質を除去する除染機と、
前記除染機から供給された熱可塑性樹脂を射出成形する射出成形機と
を備える、プリフォーム製造装置。
【請求項2】
前記除染機と前記射出成形機との間に配置されたフィルタを更に備える、請求項1に記載のプリフォーム製造装置。
【請求項3】
前記フィルタと前記射出成形機との間に配置されたギヤポンプを更に備える、請求項2に記載のプリフォーム製造装置。
【請求項4】
前記射出成形機は、複数の金型を備え、プリフォームを連続的に成形する、請求項1から3のいずれか1項に記載のプリフォーム製造装置。
【請求項5】
前記射出成形機は、前記複数の金型を回転させる回転機構を備えたロータリー式射出成形機である、請求項4に記載のプリフォーム製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PETフレークのような熱可塑性樹脂フレークからプラスチックボトル用のプリフォームを製造するためのプリフォーム製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(PET)製のプラスチック容器(ペットボトル)等のプラスチックボトルが飲料、食料等を収容するのに広く使用されている。プラスチックボトルは、試験管状のプリフォームを延伸ブロー成形で膨らませることによって成形される。
【0003】
最近では、回収された使用済みプラスチックボトルからプラスチックボトルを製造するプラスチックボトルのリサイクルが行われるようになってきた。特に、使用済みプラスチックボトルを飲料用、食料用等のプラスチックボトルとして再利用するためには、消費者が安心して使用できるように、異物の完全除去を行うことが重要である。
【0004】
例えば、特許文献1に記載されるように、汚染除去の方法としてケミカルリサイクル及びメカニカルリサイクルが知られている。ケミカルリサイクル及びメカニカルリサイクルでは、最初に、回収された使用済みプラスチックボトルを粉砕して洗浄することによって樹脂フレークを生成する。その後、ケミカルリサイクルでは、樹脂フレークを解重合反応させて樹脂の原料又は中間材料まで分解し、分解した樹脂を精製して再重合させることで汚染除去が行われる。一方、メカニカルリサイクルでは、樹脂フレークに含まれる不純物を高温下で揮発させることで汚染除去が行われる。メカニカルリサイクルは、ケミカルリサイクルに比べて、必要な設備を小規模にすることができるため、製造コスト及び環境負荷を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−198422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8は、従来技術に係る、メカニカルリサイクルを用いたプラスチックボトルのリサイクルプロセスの一部を示す。図示したリサイクルプロセスでは、使用済みプラスチックボトルから生成された樹脂フレークを用いてプリフォームが製造される。
【0007】
工程P101では、樹脂フレークを準備する。樹脂フレークは、使用済みプラスチックボトルを粉砕して洗浄することによって生成される。工程P102では、除染機によって樹脂フレークを高温下で除染する。工程P103では、除染された樹脂を除染機内で溶融させる。工程P104では、溶融した樹脂を除染機から押し出す。このとき、樹脂をフィルタに通すことによって樹脂中の異物が除去される。工程P105では、押し出された非結晶樹脂を高温(約220℃)に加熱することによって結晶化させる。工程P106では、結晶化樹脂を梱包して輸送する。工程P107では、輸送された結晶化樹脂を約160℃で乾燥させる。工程P108では、乾燥した結晶化樹脂を射出成形のために溶融させる。すなわち、結晶化樹脂を可塑化させる。工程P109では、可塑化した樹脂を射出成形機で射出成形することによってプリフォームを製造する。
【0008】
上述したように、従来のリサイクルプロセスでは、除染機から押し出された非結晶樹脂が輸送及び射出成形機への投入のために結晶化される。また、結晶化樹脂が輸送中に水分を吸収するため、結晶化樹脂の加水分解を防止すべく、輸送後に結晶化樹脂を乾燥させる必要がある。したがって、樹脂フレークからプリフォームを製造するのに多くの工程が必要となることから、プリフォームの生産性や品質を高めることに課題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、メカニカルリサイクルを用いたプラスチックボトルのリサイクルプロセスにおいてプリフォームの生産性や品質を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の発明者らは、鋭意検討の結果、除染された樹脂を除染機から押し出すときと、射出成形機の金型に樹脂を射出するときとの両方の工程において樹脂を溶融させていたことに着目し、除染機と射出成形機とを統合することに想到して本発明を完成するに至った。
【0011】
上記課題を解決するために、第1の発明では、熱可塑性樹脂フレークからプリフォームを製造するプリフォーム製造装置であって、熱可塑性樹脂フレークの汚染を除去する除染機と、除染機から供給された熱可塑性樹脂を射出成形する射出成形機とを備える、プリフォーム製造装置が提供される。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、プリフォーム製造装置は、除染機と射出成形機との間に配置されたフィルタを更に備える。
【0013】
第3の発明では、第2の発明において、プリフォーム製造装置は、フィルタと射出成形機との間に配置されたギヤポンプを更に備える。
【0014】
第4の発明では、第1から第3のいずれか一つの発明において、射出成形機は、複数の金型を備え、プリフォームを連続的に成形する。
【0015】
第5の発明では、第4の発明において、射出成形機は、複数の金型を回転させる回転機構を備えたロータリー式射出成形機である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、メカニカルリサイクルを用いたプラスチックボトルのリサイクルプロセスにおいてプリフォームの生産性や品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、プラスチックボトル用のプリフォームを示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るプリフォーム製造装置を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る除染機の別の例を概略的に示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る射出成形機を概略的に示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るギヤポンプを概略的に示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る射出成形機の別の例を概略的に示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係るプリフォームの製造工程のフローチャートである。
【
図8】
図8は、従来技術におけるプリフォームの製造工程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0019】
飲料、食料等を収容するのに用いられるプラスチックボトルは、試験管状のプリフォームを延伸ブロー成形で膨らませることによって成形される。なお、本明細書において、プラスチックボトルとは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)のようなプラスチックから構成されるボトルを意味し、ペットボトルに限定されない。さらに、プラスチックボトルは、ポリエチレンナフタレート(PEN)、特にプラントから作られたプラントボトル等であってもよい。
【0020】
図1は、プラスチックボトル用のプリフォーム100を示す。プリフォーム100は、プラスチックボトルのキャップと嵌合する口部100aと、口部100aと隣接する円筒状胴部100bと、円筒状胴部100bの一方の端部を閉塞する底部100cとから成り、試験管のような形状を有する。口部100aの外周面には、プラスチックボトルのキャップの雌ネジと螺合する雄ネジが形成される。プリフォーム100の口部100a側の端部は開いている。
【0021】
プリフォーム100は、典型的には、石油等を原料とするバージン材、使用済みプラスチックボトルを原料とするリサイクル材、又はバージン材及びリサイクル材の混合物を材料として、射出成形機を用いて製造される。しかしながら、使用済みプラスチックボトルは不純物によって汚染されていることが多い。このため、リサイクル材を使用する場合には、射出成形機への投入の前に不純物による汚染を除染機で除去する必要がある。
【0022】
図2は、本発明の実施形態に係るプリフォーム製造装置1を概略的に示す図である。プリフォーム製造装置1はリサイクル材からプリフォームを製造する。リサイクル材は、使用済みプラスチックボトルを粉砕して洗浄することによって生成された熱可塑性樹脂フレーク、例えばPETフレークである。PETフレークは約8mm角の小片である。
【0023】
プリフォーム製造装置1は除染機3及び射出成形機5を備える。除染機3は、熱可塑性樹脂フレーク中の汚染物質を除去し、除染された熱可塑性樹脂を射出成形機5に供給する。射出成形機5は、除染機3から供給された熱可塑性樹脂を射出成形することによってプリフォームを成形する。本実施形態では、プリフォーム製造装置1は、除染機3と射出成形機5との間に配置されたフィルタ7を更に備える。フィルタ7は、例えば、孔径32μmのスクリーンメッシュフィルタ、又は最小80μmの孔径を有する円筒型フィルタを回転させることによって異物を除去するメルトフィルタである。除染機3から押し出された溶融状態の熱可塑性樹脂をフィルタ7を通過させることによって、熱可塑性樹脂中の微小な異物を除去することができる。
【0024】
除染機3は、投入口31、除染部32及び供給部33を有する。熱可塑性樹脂フレークが投入口31から除染部32に投入され、除染部32において除染された熱可塑性樹脂が供給部33によって射出成形機5に供給される。本実施形態では、除染部32は二つの除染容器34a、34bを有する。除染容器34a、34bは同様の構成を有する。除染容器34a、34bの上端には二つのスライド弁35が設けられている。二つのスライド弁35は、それぞれ、複動シリンダ36によって開位置と閉位置との間で移動可能である。
【0025】
除染容器34a、34bはそれぞれ真空ポンプ37に接続されている。したがって、除染容器34a、34bは真空ポンプ37によって真空まで減圧される。また、除染容器34a、34b内には、回転軸38に連結された複数の回転体39が配設されている。回転軸38は回転軸駆動装置40によって回転駆動される。回転軸38を駆動して回転体39を回転させることによって、除染容器34a、34b内に投入された熱可塑性樹脂が流動化されて加熱される。除染機3は真空下で熱可塑性樹脂を加熱することによって熱可塑性樹脂中の汚染物質を揮発させて除去することができる。したがって、除染機3はいわゆるメカニカルリサイクルを実施する。
【0026】
除染機3は除染容器34aと除染容器34bとの間に転送部41を有する。除染容器34aで除染された熱可塑性樹脂は、除染容器34a内に設けられた排出口から転送部41に入る。転送部41には転送スクリュー42が配置されている。転送スクリュー42は転送スクリュー駆動装置43によって回転駆動される。転送スクリュー42を回転させることによって熱可塑性樹脂が除染容器34aから除染容器34bに移動される。除染容器34bに移動した熱可塑性樹脂は、除染容器34aと同様の方法で除染容器34bにおいて再び除染される。除染容器34bの下部に配置された供給部33には、供給スクリュー44が配置されている。供給スクリュー44は供給スクリュー駆動装置45によって回転駆動される。供給部33は、供給スクリュー44を回転させることによって、除染された熱可塑性樹脂をフィルタ7を介して射出成形機5に供給する。
【0027】
供給スクリュー44は、除染された熱可塑性樹脂を溶融させる。このため、除染された熱可塑性樹脂は、溶融された状態でフィルタ7に供給される。なお、プリフォーム製造装置1にフィルタ7が設けられない場合、又は射出成形機5にフィルタ7が設けられる場合、供給スクリュー44は、除染された熱可塑性樹脂を固体状態で射出成形機5に供給する輸送スクリューであってもよい。
【0028】
回転軸駆動装置40、転送スクリュー駆動装置43及び供給スクリュー駆動装置45は例えば電動モータである。なお、除染機3は、
図3に示される除染機3’のように、一つのみの除染容器34cを有する構成であってもよい。また、除染機3は、メカニカルリサイクルによって熱可塑性樹脂フレーク中の汚染物質を除去するように構成されていれば、上述した構成に限定されない。
【0029】
図4は、本発明の実施形態に係る射出成形機5を概略的に示す図である。
図2及び
図4に示されるように、射出成形機5は射出部51及び金型部52を有する。射出部51は加熱シリンダ53及び可塑化スクリュー54を含む。加熱シリンダ53上にはヒータ55が設けられ、加熱シリンダ53は、除染機3から射出部51に供給された熱可塑性樹脂を加熱することができる。可塑化スクリュー54は可塑化スクリュー駆動装置(図示せず)によって回転駆動されると共に可塑化スクリュー54の軸線方向に移動可能である。射出部51に供給された熱可塑性樹脂は、加熱シリンダ53によって加熱されると共に、可塑化スクリュー54の回転によって摩擦力が加えられることによって可塑化される。可塑化スクリュー駆動装置は、例えば、油圧シリンダ、油圧モータ、電動モータ又はこれらの組合せである。
【0030】
可塑化された樹脂は、可塑化スクリュー54の前方に保持され、可塑化スクリュー54が軸線方向に前進することによって金型部52の金型56のキャビティ内に射出される。
図4には、可塑化スクリュー54が軸線方向に前進した状態が示されている。キャビティ内に射出された樹脂は冷却されて固化される。その後、金型56が開かれ、成形されたプリフォームが金型56から取り出される。
図4の例では、一回の射出成形によって二つのプリフォームが成形される。
【0031】
可塑化スクリュー54は、樹脂を射出した後、軸線方向に後退し、除染機3から供給された樹脂を可塑化スクリュー54の回転によって再び可塑化する。可塑化された樹脂は再び金型56内に射出される。したがって、可塑化スクリュー54は間欠的に回転して樹脂を可塑化し、射出成形機5はプリフォームを間欠的に成形する。このため、除染機3の供給スクリュー駆動装置45は、可塑化スクリュー54の後退のタイミングに合わせて樹脂が射出部51に供給されるように供給スクリュー44を駆動する。言い換えれば、供給スクリュー44は可塑化スクリュー54と協働するように制御される。
【0032】
プリフォーム製造装置1は、フィルタ7と射出成形機5との間に配置されたギヤポンプを更に備えてもよい。
図5は、本発明の実施形態に係るギヤポンプ9を概略的に示す図である。ギヤポンプ9は、互いに噛み合う二つの歯車91a、91bを反対方向に回転させることによって樹脂を移送する。歯車91a、91bのいずれか一方は電動モータによって回転駆動される。ギヤポンプ9は、歯車91a、91bの回転速度を制御することによって樹脂の移送量を制御することができる。このため、除染機3から射出成形機5に供給される樹脂の量を制御することができる。したがって、ギヤポンプ9は、フィルタ7が目詰まりした場合であっても、歯車91a、91bの回転速度を増大させることによってほぼ一定の量の樹脂を射出成形機5に供給することができる。
【0033】
図6は、本発明の実施形態に係る射出成形機の別の例を概略的に示す図である。射出成形機5’は、複数の金型と、複数の金型を回転させる回転機構とを備えたロータリー式射出成形機であり、プリフォームを連続的に成形することができる。斯かる構成の射出成形機は、公知であり、例えば国際公開第2014/111902号に開示されている。このため、本明細書では、射出成形機5’の構成について簡単に説明する。
【0034】
射出成形機5’は、押出部61、樹脂移送部62、回転機構63及び金型部52’を有する。押出部61は加熱シリンダ53’及び可塑化スクリュー54’を含む。加熱シリンダ53’にはヒータ55’が設けられ、加熱シリンダ53’は、除染機3から押出部61に供給された熱可塑性樹脂を加熱することができる。可塑化スクリュー54’は可塑化スクリュー駆動装置(図示せず)によって回転駆動される。押出部61に供給された熱可塑性樹脂は、加熱シリンダ53’によって加熱されると共に、可塑化スクリュー54’の回転によって摩擦力が加えられることによって可塑化される。また、可塑化スクリュー54’の回転によって、押出部61に供給された樹脂が樹脂移送部62に押し出される。可塑化スクリュー駆動装置は例えば電動モータである。
【0035】
樹脂移送部62内には移送路64が形成される。樹脂移送部62に押し出された樹脂は移送路64を通って回転機構63の樹脂分配部65に移送される。回転機構63は回転継手を介して樹脂移送部62に回転自在に連結される。移送路64の中心軸線は回転機構63の回転軸線と同軸である。樹脂分配部65は複数の第1径方向通路66に接続される。したがって、樹脂分配部65に移送された樹脂は樹脂分配部65を介して複数の第1径方向通路66に分配される。複数の第1径方向通路66はそれぞれ第2径方向通路67に接続される。第1径方向通路66に分配された樹脂は、第1径方向通路66及び第2径方向通路67を通って、金型部52’に形成された金型のキャビティ内に供給される。
【0036】
キャビティ内に供給された樹脂は冷却されて固化される。その後、金型が開かれ、成形されたプリフォームが金型から取り出される。射出成形機5’は、周方向に連続的に配置された金型を有し、金型の数は例えば144個である。射出成形機5’では、複数の金型が回転機構63と共に連続的に回転することで、各金型において成形されたプリフォームが周方向の同一位置において連続的に取り出される。
【0037】
射出成形機5’では、プリフォームが成形される間、可塑化スクリュー54’は連続的に回転する。このことによって、可塑化スクリュー54’は、押出部61に供給された樹脂を連続的に可塑化して樹脂移送部62に押し出す。この場合、樹脂を押出部61に連続的に供給すべく除染機3の供給スクリュー44を連続的に回転駆動させるため、除染機3の処理能力が抑制されない。したがって、除染機3と射出成形機5’とを組み合わせることによって、リサイクルプロセスにおけるプリフォームの生産性をより一層高めることができる。なお、射出成形機5’は、可塑化スクリュー54’が連続的に回転し、プリフォームを連続的に成形するように構成されていれば、上述した構成に限定されない。
【0038】
以下、本実施形態におけるプリフォームの製造方法について説明する。
図7は、本発明の実施形態に係るプリフォームの製造工程のフローチャートである。工程P1では、樹脂フレークを準備する。樹脂フレークは、使用済みプラスチックボトルを粉砕して洗浄することによって生成される。樹脂フレークは、熱可塑性樹脂フレークであり、例えばPETフレークである。工程P2では、除染機3によって樹脂フレークを高温下で除染する。工程P3では、除染された樹脂を溶融させる。樹脂は除染機3の供給スクリュー44によって溶融されて射出成形機5の可塑化スクリュー54又は射出成形機5’の可塑化スクリュー54’に供給される。したがって、本実施形態では、除染された樹脂は除染機3から射出成形機5、5’に直接供給される。また、溶融状態の樹脂は可塑化スクリュー54、54’に供給される前にフィルタ7に通され、このことによって樹脂中の異物が除去される。可塑化スクリュー54、54’に供給された樹脂は可塑化スクリュー54、54’によって溶融された状態、すなわち可塑化された状態が維持される。工程P4では、可塑化した樹脂を射出成形機5、5’で射出成形することによってプリフォームを製造する。
【0039】
なお、フィルタ7によって樹脂内の異物の除去を行わない場合又は射出成形機5、5’に設けられたフィルタによって樹脂内の異物を除去する場合、供給スクリュー44は、除染された樹脂を固体状態で射出成形機5、5’に供給してもよい。
【0040】
本実施形態によれば、
図8に示された従来技術におけるプリフォームの製造方法に比べて、プリフォームの製造工程を大幅に短縮させることができる。このため、メカニカルリサイクルを用いたプラスチックボトルのリサイクルプロセスにおいてプリフォームの生産性を高めることができる。また、本実施形態によれば、
図8に示された従来技術におけるプリフォームの製造方法に比べて、プリフォームの材料である樹脂を加熱し又は冷却する回数を少なくすることができる。このため、樹脂の熱負荷が低減され、リサイクル材を用いて製造されたプリフォームひいてはプラスチックボトルの品質を高めることができる。
【0041】
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。例えば、射出成形機5の可塑化スクリュー54又は射出成形機5’の可塑化スクリュー54’と除染機3の供給スクリュー44とは、一体であり、一つの駆動装置によって駆動されてもよい。また、供給スクリュー44によって溶融された樹脂の溶融状態が射出成形機5の射出部51において維持される場合、射出部51に加熱シリンダ53及びヒータ55が設けられなくてもよい。同様に、供給スクリュー44によって溶融された樹脂の溶融状態が射出成形機5’の押出部61において維持される場合、押出部51に加熱シリンダ53’及びヒータ55’が設けられなくてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 プリフォーム製造装置
3 除染機
5、5’ 射出成形機
7 フィルタ
9 ギヤポンプ
44 供給スクリュー
54、54’ 可塑化スクリュー
100 プリフォーム
【国際調査報告】