特表2019-514935(P2019-514935A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-514935溶血、脳浮腫および急性腎障害を引き起こす病態の治療のためのPLA2およびHMG−COA阻害剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-514935(P2019-514935A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(54)【発明の名称】溶血、脳浮腫および急性腎障害を引き起こす病態の治療のためのPLA2およびHMG−COA阻害剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20190517BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20190517BHJP
   A61P 7/10 20060101ALI20190517BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20190517BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20190517BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20190517BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190517BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20190517BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20190517BHJP
   A61K 31/56 20060101ALI20190517BHJP
   A61K 31/404 20060101ALI20190517BHJP
   A61K 31/403 20060101ALI20190517BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20190517BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20190517BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20190517BHJP
   A61K 31/4418 20060101ALI20190517BHJP
   A61K 31/366 20060101ALI20190517BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20190517BHJP
   A61K 31/505 20060101ALI20190517BHJP
   A61K 31/22 20060101ALI20190517BHJP
【FI】
   A61K45/00
   A61P39/02
   A61P7/10
   A61P25/00
   A61P7/00
   A61P7/06
   A61P43/00 105
   A61P13/12
   A61P43/00 121
   A61K45/06
   A61K31/56
   A61K31/404
   A61K31/403
   A61K31/192
   A61K31/437
   A61K31/40
   A61K31/4418
   A61K31/366
   A61K31/47
   A61K31/505
   A61K31/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】60
(21)【出願番号】特願2018-556834(P2018-556834)
(86)(22)【出願日】2017年5月1日
(85)【翻訳文提出日】2018年12月26日
(86)【国際出願番号】US2017030436
(87)【国際公開番号】WO2017190141
(87)【国際公開日】20171102
(31)【優先権主張番号】62/329,611
(32)【優先日】2016年4月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/340,075
(32)【優先日】2016年5月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/423,693
(32)【優先日】2016年11月17日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】515182554
【氏名又は名称】オフィレックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・アール・ルウィン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084AA19
4C084AA20
4C084MA55
4C084MA57
4C084MA58
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA021
4C084ZA212
4C084ZA511
4C084ZA551
4C084ZA712
4C084ZA811
4C084ZA831
4C084ZB211
4C084ZB312
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4C084ZC371
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4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA17
4C086BC05
4C086BC12
4C086BC13
4C086BC17
4C086BC28
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4C086CB05
4C086DA08
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA55
4C086MA57
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA51
4C086ZA55
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4C086ZA83
4C086ZB21
4C086ZC37
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DB03
4C206DB56
4C206GA14
4C206GA22
4C206KA01
4C206KA04
4C206KA17
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA75
4C206MA77
4C206MA78
4C206MA79
4C206MA80
4C206MA86
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA01
4C206ZA02
4C206ZA51
4C206ZA55
4C206ZA81
4C206ZA83
4C206ZB21
4C206ZC37
4C206ZC75
(57)【要約】
少なくとも1つのPLA2阻害剤を単独でまたは他の薬剤と組み合わせて使用する、毒注入、外傷、脳性マラリアおよび肥満細胞症を包含する、溶血、脳浮腫、急性腎障害および非アナフィラキシーショックを引き起こす病態の治療方法が提供される。PLA2阻害剤、それらの投与剤形および組合せの予想外の多用途性によって、それらは発展途上国に必須の医薬としての候補となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜翅目毒注入に苦しんでいる対象体の治療方法であって、PLA2阻害剤の治療有効量を投与することを含む、方法。
【請求項2】
対象体がミツバチ毒注入に苦しんでいる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
PLA2阻害剤の治療有効量およびスタチンの治療有効量を投与することを含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
PLA2阻害剤の治療有効量をスタチンと組み合わせて投与することを含む、ヘビ毒注入の治療方法。
【請求項5】
PLA2阻害剤が、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771、インドキサム、メチルインドキサム、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、AZD2716、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
PLA2阻害剤が、100mg〜1gの範囲の総一日用量のために、1mg/kg患者体重(mg/kg)〜1000mg/kgの範囲の用量で投与される、請求項1〜6記載の方法。
【請求項7】
PLA2阻害剤が、少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせて投与され、該さらなる薬剤が、ステロイド、メタロプロテアーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、局所麻酔乳剤、拡散因子阻害剤、抗悪心剤、または抗生物質を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
PLA2阻害剤が、さらなる薬剤の前、さらなる薬剤と共製剤として、またはさらなる薬剤の後に投与される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
PLA2阻害剤が、注射により、注入により、鼻腔内に、眼に、経口で、経直腸で、局所に、または吸入により、対象体に投与される、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
スタチンが、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、モナコリン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである、請求項3または4記載の方法。
【請求項11】
スタチンが、経口投与されるか、注射により投与されるか、または静脈内注入により投与される、請求項3、4または10記載の方法。
【請求項12】
PLA2阻害剤およびスタチンが、互いに6時間以内に投与される、請求項3、4、10または11記載の方法。
【請求項13】
脳浮腫(脳腫脹)のリスクがあるかまたは脳浮腫(脳腫脹)に苦しんでいる対象体を治療する方法であって、対象体に、PLA2阻害剤の治療有効量を含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項14】
さらに、スタチンの治療有効量を投与することを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
脳浮腫が、脳性マラリア、頭部外傷、外傷性脳損傷、虚血性もしくは塞栓性脳卒中、またはウイルスもしくは細菌感染に起因する脳炎に関連している、請求項13〜14記載の方法。
【請求項16】
神経浮腫または損傷のリスクがあるかまたは神経浮腫または損傷に苦しんでいる対象体の治療方法であって、対象体に、PLA2阻害剤の治療有効量を含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項17】
さらに、スタチンの治療有効量を投与することを含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
神経浮腫または損傷が、ミエリン溶解または軸索切断に関連している、請求項16〜17記載の方法。
【請求項19】
対象体が、脳浮腫にも苦しんでいる、請求項16〜18記載の方法。
【請求項20】
溶血に苦しんでいる対象体の治療方法であって、対象体に、PLA2阻害剤の治療有効量を含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項21】
対象体における溶血のリスクを減少させる方法であって、対象体に、PLA2阻害剤の治療有効量を含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項22】
対象体における溶血を減少させる方法であって、対象体に、PLA2阻害剤の治療有効量を含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項23】
さらに、スタチンの治療有効量を投与することを含む、請求項20〜22記載の方法。
【請求項24】
溶血が、溶血性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、自己免疫性球状赤血球症、遺伝性球状赤血球症中毒、重症熱傷、サラセミア、免疫溶血性貧血、溶血を引き起こす寄生虫症(例えば、リケッチアおよびマラリア)、感染性疾患(例えば、溶血性連鎖球菌)、代謝もしくは遺伝障害(例えば、G6PD欠損症、鎌状赤血球症)、溶血性尿毒症症候群、または補体媒介性溶血によって引き起こされる、請求項20〜23記載の方法。
【請求項25】
肥満細胞症に苦しんでいる対象体の治療方法であって、対象体に、PLA2阻害剤の治療有効量を含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項26】
さらに、スタチンの治療有効量を投与することを含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
肥満細胞症が、肥満細胞増殖または脱顆粒障害マストサイトーシスである、請求項25〜26記載の方法。
【請求項28】
急性腎障害に苦しんでいる対象体の治療方法であって、対象体に、PLA2阻害剤の治療有効量を含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項29】
さらに、スタチンの治療有効量を投与することを含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
急性腎障害が、色素腎症または毒の毒性に全てまたは部分的に起因する、請求項28〜29に記載の方法。
【請求項31】
PLA2阻害剤が、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771、インドキサム、メチルインドキサム、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、AZD2716、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである、請求項13〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
PLA2阻害剤が、100mg〜1gの範囲の総一日用量のために、1mg/kg患者体重(mg/kg)〜1000mg/kgの範囲の用量で投与される、請求項13〜31記載の方法。
【請求項33】
PLA2阻害剤の治療有効量およびスタチンの治療有効量を投与することを含む、請求項13、15〜16、18〜22、24〜25、27〜28、および30に記載の方法。
【請求項34】
スタチンが、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、モナコリン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである、請求項14、17、23、26、29および33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
スタチンが、経口投与されるか、注射により投与されるか、または静脈内注入により投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
PLA2阻害剤が、少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせて投与され、該さらなる薬剤が、ステロイド、メタロプロテアーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、局所麻酔乳剤、拡散因子阻害剤、抗悪心剤、または抗生物質を含む、請求項13〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
PLA2阻害剤が、注射により、注入により、鼻腔内に、眼に、経口で、経直腸で、局所に、または吸入により、対象体に投与される、請求項13〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
PLA2阻害剤が、さらなる薬剤の前、さらなる薬剤と共製剤として、またはさらなる薬剤の後に投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
PLA2阻害剤およびスタチンが、互いに6時間以内に投与される、請求項14、17、23、26、29および33記載の方法。
【請求項40】
スタチンおよびPLA2阻害剤の共製剤を含む、組成物。
【請求項41】
PLA2阻害剤が、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771、インドキサム、メチルインドキサム、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、AZD2716、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである、請求項40記載の組成物。
【請求項42】
スタチンが、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、モナコリン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである、請求項40または41記載の組成物。
【請求項43】
スタチンおよびPLA2阻害剤を含むキット。
【請求項44】
PLA2阻害剤が、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771、インドキサム、メチルインドキサム、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、AZD2716、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである、請求項43記載のキット。
【請求項45】
スタチンが、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、モナコリン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである、請求項43〜44記載のキット。
【請求項46】
膜翅目毒注入または他の無脊椎動物毒注入の治療のための、スタチンと組み合わせていてもよい、PLA2阻害剤の使用。
【請求項47】
ヘビ毒注入の治療のための、スタチンと組み合わせていてもよい、PLA2阻害剤の使用。
【請求項48】
脳浮腫、神経浮腫、溶血、肥満細胞症または急性腎障害の治療のための、スタチンと組み合わせていてもよい、PLA2阻害剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年4月29日に出願された米国仮特許出願第62/329,611号、2016年5月23日に出願された米国仮特許出願第62/340,075号、および2016年11月17日に出願された米国仮特許出願第62/423,693号(各々、出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)の優先権の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、医学および獣医学の分野における応用を見いだす。
【背景技術】
【0003】
ホスホリパーゼA2(PLA2)は、毒注入(ヘビ類および魚などの脊椎動物、ならびに群飛性膜翅目(swarming hymenoptera)、ムカデ類およびクラゲなどの無脊椎動物による)を含む、いくつかの疾患および状態の病理に関与する。加えて、PLA2は、脳性マラリアにおいて見られるような溶血ならびに神経および脳の腫脹を伴う致命的な感染性疾患の病理における因子である。これらの状態は、主に、貧しい暮らしをしている人々に影響を及ぼし、しばしば同時に生じ得る(例えば、マラリア感染とヘビ咬傷)。
大量の毒注入に起因する重篤な非アナフィラキシーショックおよび急性腎(AKI)反応は、群れをなして攻撃する社交性スズメバチ(social wasps)による複数の虫刺傷後に、また、単回のヘビ咬傷により生じ得る。スズメバチ毒は、アセチルコリン、ヒスタミン、セロトニン、ヒアルロニダーゼ、カテコールアミン、ヒスタミン放出ペプチド(マストパラン)、走化性ペプチド、細胞毒性キニンおよびホスホリパーゼA2を包含する複数の成分を包含する。ホスホリパーゼは、溶血および横紋筋融解に関与し、AKI、ならびに肝障害、神経浮腫および疼痛(直接的な毒の毒性(venom toxicity)、および毒注入に対する犠牲者の自然反応に関連する間接的メカニズムを介する慢性疼痛を包含する)を引き起こし得る。非特許文献1および非特許文献2を参照。
【0004】
マラリア(例えば、熱帯マラリア原虫(Plasmodium falciparum))による感染は、世界中の多くの地域で依然として蔓延しており、特にサハラ以南のアフリカに住んでいる子どもたちにおいて、重篤な疾患および死亡率に関連している。脳性マラリア(CM)は、寄生虫血症に関連する重篤な状態であり、死亡率が10〜60%の範囲である。加えて、小児CM生存者のほぼ3分の1は、長期的な神経学的合併症を発症する。小児CMにおいて、神経画像処理で見られる重篤な脳腫脹が報告されている。CM関連脳腫脹は、ケニヤの子どもたちにおける予後不良と関連しており、マラウイの子どもたちにおける死亡率の重要な予測因子である。この難治性疾患過程は、脳腫脹に伴う脳脊髄液中の非常に高いsPLA2レベルと関連している。非特許文献3を参照。溶血、横紋筋融解、神経および脳浮腫ならびにAKIは、死、長期の臓器損傷、身体障害および慢性疼痛を引き起こす可能性がある、膜翅目毒注入(hymenoptera envenomation)、ヘビ咬傷、マラリア、デングおよび外傷などのいくつかの重篤な病態の特徴である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Chugh KS, Sharma BK, Singhal PC, J Trop Med Hyg 1976;79:42-44
【非特許文献2】Xuan BH et al., Nephrol Dial Transplant 2010;25(4): 1146-50
【非特許文献3】Pappa et al. Malar J. 2015; 14:513
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
いくつかの態様において、PLA2阻害剤の治療有効量を投与することによって、膜翅目毒注入に苦しんでいる対象体を処置することを含む方法が提供される。いくつかの場合において、対象体はミツバチ毒注入に苦しんでいる。いくつかの場合において、該方法は、PLA2阻害剤の治療有効量およびスタチンの治療有効量を投与することを含む。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771、インドキサム、メチルインドキサム、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、AZD2716、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、100mg〜1gの範囲の総一日用量のために、1mg/kg患者体重(mg/kg)〜1000mg/kgの範囲の用量で投与される。いくつかの場合において、該方法は、PLA2阻害剤を少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせて投与することを含み、ここで、該さらなる薬剤は、ステロイド、メタロプロテアーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、局所麻酔乳剤、拡散因子阻害剤、抗悪心剤、または抗生物質である。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、さらなる薬剤の前、さらなる薬剤と共製剤として、またはさらなる薬剤の後に投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、注射により、注入により、鼻腔内に、眼に、経口で、経直腸で、局所に、または吸入により、対象体に投与される。いくつかの場合において、スタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、モナコリン(monacolin)、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、スタチンは、経口で、注射により、または静脈内注入により、投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤およびスタチンは、互いに6時間以内に投与される。
【0007】
いくつかの態様において、PLA2阻害剤の治療有効量をスタチンと組み合わせて投与することによって、ヘビ毒注入に苦しんでいる対象体を処置することを含む方法が提供される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771、インドキサム、メチルインドキサム、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、AZD2716、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、100mg〜1gの範囲の総一日用量のために、1mg/kg患者体重(mg/kg)〜1000mg/kgの範囲の用量で投与される。いくつかの場合において、該方法は、PLA2阻害剤を少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせて投与することを含み、ここで、該さらなる薬剤は、ステロイド、メタロプロテアーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、局所麻酔乳剤、拡散因子阻害剤、抗悪心剤、または抗生物質である。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、さらなる薬剤の前、さらなる薬剤と共製剤として、またはさらなる薬剤の後に投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、注射により、注入により、鼻腔内に、眼に、経口で、経直腸で、局所に、または吸入により、対象体に投与される。いくつかの場合において、スタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、モナコリン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、スタチンは、経口で、注射により、または静脈内注入により、投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤およびスタチンは、互いに6時間以内に投与される。
【0008】
いくつかの態様において、脳浮腫(脳腫脹)のリスクがあるかまたは脳浮腫(脳腫脹)に苦しんでいる対象体を処置することを含む方法であって、PLA2阻害剤の治療有効量を含有する組成物を該対象体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの場合において、該方法は、さらに、スタチンの治療有効量を投与することを含む。いくつかの場合において、脳浮腫は、脳性マラリア、頭部外傷、外傷性脳損傷、虚血性もしくは塞栓性脳卒中、またはウイルスもしくは細菌感染に起因する脳炎と関連している。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771、インドキサム、メチルインドキサム、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、AZD2716、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、は、100mg〜1gの範囲の総一日用量のために、1mg/kg患者体重(mg/kg)〜1000mg/kgの範囲の用量で投与される。いくつかの場合において、スタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、モナコリン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、該方法は、PLA2阻害剤の治療有効量およびスタチンの治療有効量を投与することを含む。いくつかの場合において、スタチンは、経口で、注射により、または静脈内注入により、投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせて投与され、ここで、該さらなる薬剤は、ステロイド、メタロプロテアーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、局所麻酔乳剤、拡散因子阻害剤、抗悪心剤、または抗生物質である。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、は、さらなる薬剤の前、さらなる薬剤と共製剤として、またはさらなる薬剤の後に投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、注射により、注入により、鼻腔内に、眼に、経口で、経直腸で、局所に、または吸入により、対象体に投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤およびスタチンは、互いに6時間以内に投与される。
【0009】
いくつかの態様において、神経浮腫または損傷のリスクがあるかまたは神経浮腫または損傷に苦しんでいる対象体を処置することを含む方法であって、PLA2阻害剤の治療有効量を含有する組成物を該対象体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの場合において、該方法は、さらに、スタチンの治療有効量を投与することを含む。いくつかの場合において、神経浮腫または損傷は、ミエリン溶解または軸索切断と関連している。いくつかの場合において、対象体は、また、脳浮腫にも苦しんでいる。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771、インドキサム、メチルインドキサム、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、AZD2716、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、100mg〜1gの範囲の総一日用量のために、1mg/kg患者体重(mg/kg)〜1000mg/kgの範囲の用量で投与される。いくつかの場合において、スタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、モナコリン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、該方法は、PLA2阻害剤の治療有効量およびスタチンの治療有効量を投与することを含む。いくつかの場合において、スタチンは、経口で、注射により、または静脈内注入により、投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせて投与され、ここで、該さらなる薬剤は、ステロイド、メタロプロテアーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、局所麻酔乳剤、拡散因子阻害剤、抗悪心剤、または抗生物質である。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、注射により、注入により、鼻腔内に、眼に、経口で、経直腸で、局所に、または吸入により、対象体に投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、さらなる薬剤の前、さらなる薬剤と共製剤として、またはさらなる薬剤の後に投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤およびスタチンは、互いに6時間以内に投与される。
【0010】
いくつかの態様において、PLA2阻害剤の治療有効量を含有する組成物を溶血に苦しんでいる対象体に投与することによって、該対象体を処置することを含む方法が提供される。いくつかの場合において、該方法は、さらに、該方法は、さらに、スタチンの治療有効量を投与することを含む。いくつかの場合において、溶血は、溶血性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、自己免疫性球状赤血球症、遺伝性球状赤血球症中毒(hereditary spherocytosis poisoning)、重症熱傷、サラセミア、免疫溶血性貧血、溶血を引き起こす寄生虫症(例えば、リケッチアおよびマラリア)、感染性疾患(例えば、溶血性連鎖球菌)、代謝もしくは遺伝障害(例えば、G6PD欠損症、鎌状赤血球症)、溶血性尿毒症症候群、または補体媒介性溶血によって引き起こされる。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771、インドキサム、メチルインドキサム、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、AZD2716、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、100mg〜1gの範囲の総一日用量のために、1mg/kg患者体重(mg/kg)〜1000mg/kgの範囲の用量で投与される。いくつかの場合において、スタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、モナコリン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、該方法は、PLA2阻害剤の治療有効量およびスタチンの治療有効量を投与することを含む。いくつかの場合において、スタチンは、経口で、注射により、または静脈内注入により、投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせて投与され、ここで、該さらなる薬剤は、ステロイド、メタロプロテアーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、局所麻酔乳剤、拡散因子阻害剤、抗悪心剤、または抗生物質である。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、注射により、注入により、鼻腔内に、眼に、経口で、経直腸で、局所に、または吸入により、対象体に投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、さらなる薬剤の前、さらなる薬剤と共製剤として、またはさらなる薬剤の後に投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤およびスタチンは、互いに6時間以内に投与される。
【0011】
いくつかの態様において、PLA2阻害剤の治療有効量を含有する組成物を対象体に投与することによって対象体における溶血のリスクを軽減することを含む方法が提供される。いくつかの場合において、該方法は、さらに、スタチンの治療有効量を投与することを含む。いくつかの場合において、溶血は、溶血性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、自己免疫性球状赤血球症、遺伝性球状赤血球症中毒、重症熱傷、サラセミア、免疫溶血性貧血、溶血を引き起こす寄生虫症(例えば、リケッチアおよびマラリア)、感染性疾患(例えば、溶血性連鎖球菌)、代謝もしくは遺伝障害(例えば、G6PD欠損症、鎌状赤血球症)、溶血性尿毒症症候群、または補体媒介性溶血によって引き起こされる。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771、インドキサム、メチルインドキサム、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、AZD2716、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、100mg〜1gの範囲の総一日用量のために、1mg/kg患者体重(mg/kg)〜1000mg/kgの範囲の用量で投与される。いくつかの場合において、スタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、モナコリン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、該方法は、PLA2阻害剤の治療有効量およびスタチンの治療有効量を投与することを含む。いくつかの場合において、スタチンは、経口で、注射により、または静脈内注入により、投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせて投与され、ここで、該さらなる薬剤は、ステロイド、メタロプロテアーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、局所麻酔乳剤、拡散因子阻害剤、抗悪心剤、または抗生物質である。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、注射により、注入により、鼻腔内に、眼に、経口で、経直腸で、局所に、または吸入により、対象体に投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、さらなる薬剤の前、さらなる薬剤と共製剤として、またはさらなる薬剤の後に投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤およびスタチンは、互いに6時間以内に投与される。
【0012】
いくつかの態様において、PLA2阻害剤の治療有効量を含有する組成物を対象体に投与することによって対象体における溶血を軽減することを含む方法が提供される。いくつかの場合において、該方法は、さらに、スタチンの治療有効量を投与することを含む。いくつかの場合において、溶血は、溶血性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、自己免疫性球状赤血球症、遺伝性球状赤血球症中毒、重症熱傷、サラセミア、免疫溶血性貧血、溶血を引き起こす寄生虫症(例えば、リケッチアおよびマラリア)、感染性疾患(例えば、溶血性連鎖球菌)、代謝もしくは遺伝障害(例えば、G6PD欠損症、鎌状赤血球症)、溶血性尿毒症症候群、または補体媒介性溶血によって引き起こされる。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771、インドキサム、メチルインドキサム、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、AZD2716、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、100mg〜1gの範囲の総一日用量のために、1mg/kg患者体重(mg/kg)〜1000mg/kgの範囲の用量で投与される。いくつかの場合において、スタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、モナコリン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、該方法は、PLA2阻害剤の治療有効量およびスタチンの治療有効量を投与することを含む。いくつかの場合において、スタチンは、経口で、注射により、または静脈内注入により、投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせて投与され、ここで、該さらなる薬剤は、ステロイド、メタロプロテアーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、局所麻酔乳剤、拡散因子阻害剤、抗悪心剤、または抗生物質である。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、注射により、注入により、鼻腔内に、眼に、経口で、経直腸で、局所に、または吸入により、対象体に投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、さらなる薬剤の前、さらなる薬剤と共製剤として、またはさらなる薬剤の後に投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤およびスタチンは、互いに6時間以内に投与される。
【0013】
いくつかの態様において、肥満細胞症に苦しんでいる対象体を処置することを含む方法であって、PLA2阻害剤の治療有効量を含有する組成物を該対象体に登用することを含む方法が提供される。いくつかの場合において、該方法は、さらに、スタチンの治療有効量を投与することを含む。いくつかの場合において、肥満細胞症は、肥満細胞増殖または脱顆粒障害マストサイトーシスである。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771、インドキサム、メチルインドキサム、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、AZD2716、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、100mg〜1gの範囲の総一日用量のために、1mg/kg患者体重(mg/kg)〜1000mg/kgの範囲の用量で投与される。いくつかの場合において、スタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、モナコリン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、該方法は、PLA2阻害剤の治療有効量およびスタチンの治療有効量を投与することを含む。いくつかの場合において、スタチンは、経口で、注射により、または静脈内注入により、投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせて投与され、ここで、該さらなる薬剤は、ステロイド、メタロプロテアーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、局所麻酔乳剤、拡散因子阻害剤、抗悪心剤、または抗生物質である。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、注射により、注入により、鼻腔内に、眼に、経口で、経直腸で、局所に、または吸入により、対象体に投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、さらなる薬剤の前、さらなる薬剤と共製剤として、またはさらなる薬剤の後に投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤およびスタチンは、互いに6時間以内に投与される。
【0014】
いくつかの態様において、急性腎障害に苦しんでいる対象体を処置することを含む方法であって、PLA2阻害剤の治療有効量を含有する組成物を該対象体に投与することを含む方法が提供される。いくつかの場合において、該方法は、さらに、スタチンの治療有効量を投与することを含む。いくつかの場合において、急性腎障害は、色素腎症または毒の毒性に全てまたは部分的に起因する。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771、インドキサム、メチルインドキサム、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、AZD2716、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、100mg〜1gの範囲の総一日用量のために、1mg/kg患者体重(mg/kg)〜1000mg/kgの範囲の用量で投与される。いくつかの場合において、スタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、モナコリン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、該方法は、PLA2阻害剤の治療有効量およびスタチンの治療有効量を投与することを含む。いくつかの場合において、スタチンは、経口で、注射により、または静脈内注入により、投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせて投与され、ここで、該さらなる薬剤は、ステロイド、メタロプロテアーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、局所麻酔乳剤、拡散因子阻害剤、抗悪心剤、または抗生物質である。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、注射により、注入により、鼻腔内に、眼に、経口で、経直腸で、局所に、または吸入により、対象体に投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、さらなる薬剤の前、さらなる薬剤と共製剤として、またはさらなる薬剤の後に投与される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤およびスタチンは、互いに6時間以内に投与される。
【0015】
いくつかの態様において、スタチンおよびPLA2阻害剤の共製剤を包含する組成物が提供される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771、インドキサム、メチルインドキサム、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、AZD2716、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、スタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、モナコリン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。
【0016】
いくつかの態様において、スタチンおよびPLA2阻害剤を含むキットが提供される。いくつかの場合において、PLA2阻害剤は、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771、インドキサム、メチルインドキサム、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、AZD2716、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。いくつかの場合において、スタチンは、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、モナコリン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン、前記のいずれかの薬学的に許容される塩、または前記のいずれかの組合せである。
【0017】
いくつかの態様において、膜翅目または他の無脊椎動物毒注入の処置のために、スタチンと組み合わせてもよい、PLA2阻害剤を使用する方法が提供される。
【0018】
いくつかの態様において、ヘビ毒注入の処置のために、スタチンと組み合わせてPLA2阻害剤を使用する方法が提供される
【0019】
いくつかの態様において、脳浮腫、神経浮腫、溶血、肥満細胞症または急性腎障害の処置にために、スタチンと組み合わせてもよい、PLA2阻害剤を使用する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、致死濃度のミツバチ毒への暴露後にバレスプラジブで処置されたマウスの生存を示している。下記の実施例2を参照。
【0021】
図2-4】図2〜4は、単独の、またはマンニトール溶液と組み合わせた、バレスプラジブが、種々のマムシ毒で処理したエキソビボヒト血液における肉眼的溶血を予防することを示している。
【0022】
図5A-5B】図5A〜5Bは、単独の、およびPLA2阻害剤と組み合わせた、スタチンが、エクスビボで、種々のヘビ毒で処理したヒト血液において溶血を減少させることを示している。
【0023】
図6図6は、PLA2阻害剤が、ヒト赤血球における浸透圧脆弱性を減少させることを示している。
【0024】
図7-8】図7〜8は、PLA2阻害剤が、非常にわずかなsPLA2活性または非常に高いIII型sPLA2活性を有する毒においてさえも、毒誘発性急性腎障害(AKI)を予防することを示している。
【0025】
発明の詳細な説明
定義
他に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般的に理解しているものと同じ意味を有する。本発明の実施または試験において本明細書に記載の方法および材料と類似のものまたは等価なものを使用することができるが、ここでは例示的な方法および材料を記載する。
【0026】
ある範囲の値が提供されている場合、文脈上明白に他の意味が指示されている場合を除いて下限の単位の10分の1までの、この範囲および他の記載された範囲の上限と下限の間にある各介在値、またはその記載された範囲内の介在値は、本発明の範囲内に包含されると解される。これらの比較的小さい範囲の上限および下限は、独立して、当該小さい範囲に含まれ得、記載された範囲内のいずれかの具体的に排除された限界を条件として、本発明の範囲内に包含される。記載された範囲が上限および下限の一方または両方を含む場合、これらの含まれる上限および下限のいずれかまたは両方を除く範囲もまた本発明に含まれる。置換基が1つ以上のマーカッシュ群の中に可能性がある場合、安定な結合を形成するこれらの置換基だけが使用されるべきであると解される。
【0027】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「and」および「the」は、文脈上明白に他の意味が指示されている場合を除き、複数の言及を含む。
【0028】
本明細書で使用される場合、「AChE」は、アセチルコリンの略語であり;「AChEI」は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤の略語であり;「mAChR」は、ムスカリン性アセチルコリン受容体の略語であり;「nAChR」は、ニコチン性アセチルコリン受容体の略語である。AChEの阻害剤は、ブチリルコリンエステラーゼ(BChE)、偽コリンエステラーゼを阻害することもできる。「MP」は、メタロプロテイナーゼの略語である(例えば、哺乳動物マトリックスメタロプロテイナーゼ、MMP、「SP」は、セリンプロテアーゼの略語であり;「MPIは、メタロプロテアーゼ阻害剤の略語であり;「SPI」は、セリンプロテアーゼ阻害剤の略語である。
【0029】
PLA2は、ホスホリパーゼA2の略語である。PLA2−Iは、PLA2阻害剤の略語である。本明細書で使用される場合、毒(例えば、膜翅目毒)に関連して、「PLA2」および「sPLA2」は互換性をもって使用される。
【0030】
用語「患者」または「対象体」または「犠牲者」は、本発明の化合物または組成物による予防的処置(予防)を含む処置が提供される、動物、一般的には哺乳動物(特に家畜動物(例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等)を含む)、好ましくはヒトを記載するために文脈内で明細書を通して使用される。ヒト患者のような具体的な動物に対して特異的なこれらの状態または病態の処置について、患者または対象体または犠牲者という用語はその具体的な動物をいう。
【0031】
用語「有効(な)」とは、他に特記しない限り、本明細書において、その使用の文脈内で使用される場合、その結果が本明細書で他に記載される毒注入および/または病態もしくは状態/症状の予防および/または治療に関係するか否かにかかわらず、意図した結果を生じさせるかまたはもたらす化合物または成分の量を記載するために使用される。有効なという用語は、本願において他の箇所において記載されるか使用される全ての有効量または有効濃度という用語(用語「治療有効(な)」を含む)を包含する。有効なという用語は、また、投与が、経口もしくは注射によることが多い単回投与であるか、または単回投与と、それに続く、数時間、数日間、または数週間の追加投与とであるかにかかわらず、患者からの毒の排除もしくは従来の血清由来抗毒組成物の投与を含む代替療法の開始の決定に起因して投与を停止する時点までの投与期間を含む。
【0032】
本明細書で用いる場合、薬物(例えば、PLA2阻害剤)の「治療有効量」とは、医学的状態(例えば、ヘビ毒注入、膜翅目毒注入、脳浮腫、神経浮腫または損傷、溶血、肥満細胞症、急性腎障害)を有する対象体へ投与した場合に、意図した治療効果(例えば、対象体における該状態の1つ以上の症状(manifestation)の軽減、寛解、緩和または除去)を奏する薬物の量である。完全な治療効果は、必ずしも1回の投与によって生じるわけではなく、一連の投与後にのみ生じ得る。かくして、治療有効量は、1回以上の投与で投与され得る。
【0033】
用語「化合物」は、本明細書において、全ての立体異性体(ジアステレオマーを含む)、個々の光学異性体(エナンチオマー)もしくはラセミ混合物、代替的な薬学的に許容される塩を含む薬学的に許容される塩、プロドラッグ形態および重水素化置換もしくは他の同位体置換を含む、いずれかの特定の化合物または本明細書に記載の生物活性剤を記載するために使用される。本明細書における化合物という用語は安定な化合物をいう。文脈でのその使用の範囲内で、化合物という用語は、本明細書において他の箇所に記載されるように単一の化合物または化合物の混合物を表し得る。本発明に使用するための化合物は、個々の化合物の水和物、溶媒和物および/または多形を包含することもできる。生物活性剤が本発明に使用するために記載されている場合、その使用の文脈内において、該用語は、他に特記しない限り、その薬学的に許容される塩および/または代替的な薬学的に許容される塩を包含すると解される。
【0034】
バレスプラジブは、((3−(2−アミノ−1,2−ジオキソエチル)−2−エチル−1−(フェニルメチル)−1H−インドール−4−イル)オキシ)酢酸である。
【0035】
メチルバレスプラジブ、またはLY433771は、{9−[(フェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸である。
【0036】
AZD2716は、[1,1'−ビフェニル]−3−プロパン酸,2'−(アミノカルボニル)−α−メチル−5'−(フェニルメチル)−,(αR)−(R)−7(CAS1845753−81−2)である。
【0037】
化合物4は、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸である。
【0038】
「スタチン」は、HMG−CoA還元酵素阻害剤である。本明細書で使用される場合、「スタチン」とは、一般的に、ヒトまたは獣医学的使用に有用な阻害剤をいう。
【0039】
膜翅目(または群飛性膜翅目)としては、ミツバチ、スズメバチ、およびアリが挙げられる。
【0040】
ミツバチとは、ミツバチ属(Apis)および関連する属のメンバーをいう。
【0041】
有毒無脊椎動物としては、サソリ、クモ、昆虫、刺胞動物、多足類および軟体動物が挙げられるがこれらに限定されず、また、有毒な毛虫が挙げられる。
【0042】
「毒」とは、その通常の意味を有しており、咬む、刺す、または他の注入もしくは接触様式によって犠牲者に注入された、動物、例えば昆虫(例えば、膜翅目、例えばミツバチ、スズメバチおよびアリ)、ヘビ類、または有毒脊椎動物もしくは有毒無脊椎動物のような動物からの有毒な分泌物または物質である。
【0043】
膜翅目毒は、膜翅目からの毒である。膜翅目毒は、一般に、タンパク質、ペプチド、および血管作動性アミンからなり、集合的に昆虫の咬傷および刺傷の毒性特性を生じ得る。
【0044】
本明細書において使用する場合、「毒注入」とは、有毒節足動物(例えば、ミツバチ、スズメバチ、アリもしくはまたはサソリ)または他の無脊椎動物(例えば、刺胞動物)もしくは脊椎動物(例えば、ヘビもしくは魚)が咬んだり刺したりした結果としての犠牲者への毒の注入をいう。
【0045】
50またはLD50は、曝露された対象体の約50%がその曝露(例えば、毒または毒素の投与)の結果として死亡する推定曝露量またはレベルを示す。
【0046】
群飛性膜翅目毒注入とは、群飛性膜翅目からの毒への曝露を意味する。
【0047】
ミツバチ毒注入とは、ミツバチからの毒の曝露を意味する。
【0048】
有毒無脊椎動物毒注入とは、サソリ、クモ、昆虫、刺胞動物、多足類および軟体動物などの有毒無脊椎動物からの毒への曝露を意味し、有毒な毛虫を包含する。
【0049】
用語「治療する」、「治療すること」、および「治療」とは、少なくとも1つの症状の軽減、阻害、抑制または除去、毒注入もしくは関連疾患の進行の遅延または毒注入もしくは関連疾患からの損傷の遅延、毒注入症状の発症の予防もしくは遅延または該発症の可能性の阻害等を介する状態改善を包含する、毒注入のリスクがあるかまたは毒注入に苦しんでいる患者に利益をもたらす作用をいうために同義的に使用される。
【0050】
薬物製剤に関して「貯蔵安定な」とは、特定の温度で特定の期間(例えば、25℃で18か月間)、10%未満の分解があることを意味する。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」とは、化合物または組成物が、疾患の重篤度および治療の必要性に照らして、過度に有害な副作用を伴わずに、本明細書に記載の治療を達成するために、ヒト患者を含む対象体への投与に適していることを意味する。
【0052】
本明細書で使用する場合、用語「小分子」とは、約2500未満、または約1000未満、または約750未満、または約500未満の分子量を有する分子をいう。
【0053】
用語「共投与」は、有効量の2つ以上の活性化合物の投与を記載するために使用される。共投与という用語は、好ましくは、患者に2つ以上の化合物をほぼ同時に(同時に(simultaneous)、同時発生的に(concurrently)、または同日に、互いに12時間以内に、互いに6時間以内に、もしくは互いに1時間以内に、連続して)投与することを含むが、該化合物は、実際に厳密に同時(同時(simultaneous))または非常に近い時間(同時発生的(concurrent)/連続的(sequential))に投与される必要はなく、所定の結果を生じるために、血液、血清もしくは血漿中、または肺組織中に同時に有効濃度が見出されるような量の化合物が患者または対象体に投与されるだけである。
【0054】
用語「共製剤化」とは、2つ以上の活性化合物が、単一投与剤形で患者に投与するために単一投与剤形に製剤化されることをいう。
【0055】
抗体または抗毒という用語は、任意の供給源からの全部または断片化IgG、IgM、IgEまたはIgA抗体のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、一価抗体、多価抗体、または組合せをいう。
【0056】
概要
本明細書に詳しく記載されるように、驚くべきことに、膜翅目毒注入に苦しんでいる対象体へのPLA2阻害剤の投与が、PLA2阻害剤の治療有効量を投与することによって治療され得ることが見出された。スタチンが共投与され得る。
【0057】
本明細書に詳しく記載されるように、驚くべきことに、膜翅目毒注入に苦しんでいる対象体へのPLA2阻害剤の投与が、ヘビ咬傷を治療するために使用される用量と同じ用量で成功裏に治療され得ることが見出された。いくつかの場合において、スタチンは、驚くべきことに、いくつかの毒物活性を阻害することもでき、PLA2阻害剤と共投与されてヘビ毒に対するその効力を向上させ得る。
【0058】
毒注入に続発する状態(例えば、ヘビ毒注入およびミツバチ毒注入に関連する毒誘発性急性腎障害および/または心筋症)の治療のための、スタチンと組み合わせてもよい、PLA2阻害剤の使用もまた本明細書に開示されている。
【0059】
溶血に関連する状態の治療のための、スタチンと組み合わせてもよい、PLA2阻害剤の使用もまた本明細書に開示されている。
【0060】
脳浮腫および神経浮腫に関連する状態の治療のための(例えば、脳腫脹、ミエリン溶解もしくは軸索切断の引き金を引くか、または脳腫脹、ミエリン溶解もしくは軸索切断によって特徴付けられる事象の治療のための)、スタチンと組み合わせてもよい、PLA2阻害剤の使用もまた本明細書に開示されている。
【0061】
神経障害性疼痛の発症を含む神経保護を必要とする患者の治療のための、スタチンと組み合わせてもよい、PLA2阻害剤の使用もまた本明細書に開示されている。
【0062】
スタチンと組み合わせてもよいPLA2阻害剤は、血液貯蔵の安定性を改善し、血管浮腫および炎症性障害(例えば、関節リウマチ)経過中のシクロスポリンの必要性を軽減させるかまたはシクロスポリンの代わりに用いるために、貯蔵した血液製剤と組み合わせることができる。
【0063】
さらにまた、肥満細胞増殖または脱顆粒障害、または溶血を有する、ミツバチまたは他の群飛性膜翅目の刺傷の犠牲者は、毒注入経過中にPLA2のような広域スペクトル毒解毒薬からさらなる利益を得ることが想定される。
【0064】
1.膜翅目(例えば、ミツバチ)毒注入を治療するためのPLA2阻害剤の投与
本発明者による以前の研究は、PLA2阻害剤の投与がヘビ毒注入の作用に対して保護的または治療的であったことを示している。国際公開第2016081826A2号およびLewin M, et al., 2016, “Varespladib (LY315920) Appears to Be a Potent, Broad-Spectrum, Inhibitor of Snake Venom Phospholipase A2 and a Possible Pre-Referral Treatment for Envenomation”Toxins 248:8(どちらも、出典明示により本明細書の一部を構成する)を参照。これらの研究において、ミツバチ毒sPLA2に対してインビトロで試験した場合、PLA2阻害のための有効なアッセイを用いて高いIC50(μm)によって例示されたように、PLA2阻害剤(バレスプラジブおよびメチルバレスプラジブ)の機能は極めて不十分であった。驚くべきことに、このたび、PLA2阻害剤が致死量のミツバチ毒に対してインビボで有効であり、ミツバチ毒からのKAIを予防することが発見された。下記の実施例2を参照。この発見は、PLA2阻害剤が群飛性膜翅目に起因する非アナフィラキシーショックの野外治療に使用され得ることを示しており、PLA2阻害剤およびその組合せに利用可能な複数の投与メカニズムに起因して、病院外および病院内の両方で、生命および臓器温存介入が可能である。
【0065】
本発明者は、以前、毒注入損傷組織、ならびに、毒誘発性ショック、溶血性および他の血液毒性プロセスによる神経学的、血液学的および腎臓の危機的状況(catastrophe)からの最も顕著に直接的に生命に関わる、上記毒注入損傷組織に関連する広範囲の後遺症を迅速にかつ有効に治療する、医薬組成物、システムおよびキットを同定した。具体的には、本発明者は、PLA2阻害剤の使用が、ヘビの種に関係なく、さまざまな種類のヘビ毒PLA2に対して有効であったことを発見した。PLA2阻害剤によるヘビ毒治療に関する方法および概念は、国際公開第2016081826A2号およびLewin M, et al. 2016 Toxins 248:8にさらに開示されている。
【0066】
これらの先行研究において、さまざまなヘビ毒を使用する実験は、インビトロにおけるPLA2阻害剤(例えば、バレスプラジブおよびメチルバレスプラジブ)のヘビ毒に対する効果とマウスおよびラットにおけるインビボ保護またはレスキュー治療との相互関係を示した。活性アッセイによってPLA2阻害を示しているリアルタイムインビボ採血結果は、ヘビ毒の投与に続いて治療量のPLA2阻害剤を投与した齧歯類の生存率上昇と相関性があった。しかしながら、初期の研究で示されるように、ミツバチ毒sPLA2に対してインビボで試験した場合、PLA2阻害剤の機能は乏しいかまたは全くなかった。さらにまた、学術文献は、ミツバチ毒に見られるPLA2の種類はIII型または「非定型」であり、使用頻度が高いPLA2阻害性化合物はミツバチ毒sPLA2を阻害しないことを報告している。例えば、Murakami M, et al. 2015 J. Lipid. Res. 56:1248-1261を参照。
【0067】
以前に観察されたミツバチ毒に対するPLA2阻害剤の非常に弱いまたは完全に存在しない活性にもかかわらず、ここで、本発明者は、PLA2阻害剤がインビボで他の致死量のミツバチ毒に対して保護的または治療的であるという予想外の発見を報告する。実施例1、表1および図1を参照。この発見は、ヘビ毒PLA2と比べて、ミツバチ毒PLA2に対して、インビトロでIC50がLY315920の5−45,000倍高いこと、ならびにメチルバレスプラジブおよび化合物4よりも最大>100,000倍高いことを考慮すれば、全く予想できなかった。インビトロデータに基づいて、ミツバチ毒に対して有効なPLA2阻害剤の臨床的に有用なまたは安全な量の投与は不可能であった。
【0068】
PLA2阻害剤のミツバチ毒に対するインビボ効力の驚くべき発見は、単独行動または群飛性膜翅目に起因して重篤なハチ刺傷および非アナフィラキシーショックの史上初の野外治療の開発につながり得る。重大なことに、膜翅目刺傷に対する抗血清は存在しておらず、群れ行動が危険である場所において、または無脊椎動物毒注入に起因するアナフィラキシー反応、アナフィラキシー様反応もしくは大型局所反応(large local reaction)のような高リスク感受性を有する患者にとっては、薬理学的介入が非常に望まれている。抗毒とは異なる本発明に係る医薬組成物および該組成物を含有するキットは、組織をより容易に貫通して迅速かつ好ましい結果をもたらす。本発明は、標準療法の限界に取り組み、特定の実施態様において、第一選択治療または共製剤として標準療法と組み合わせると、単独で使用した場合よりも標準療法をはるかに効果的にする。
【0069】
本発明に実施態様は、さらに、本明細書で提供される1つ以上の薬剤/組成物と組み合わせて少なくとも1つのPLA2阻害剤を含む治療方法にまで及び得る。これらの薬剤は一緒になって、膜翅目刺傷および他のタイプの毒注入により生じる組織損傷、急性腎障害、出血および凝固障害、循環虚脱または神経毒誘発呼吸不全および長期にわたる神経損傷(例えば、神経障害性疼痛)を治療するかまたはその可能性を減少させる方法および組成物を提供する。
【0070】
一の態様において、PLA2阻害剤の投与は、膜翅目刺傷における大型局所反応(LLR)、および非毒誘発性タイプの血管浮腫を治療するため、ならびにヒスタミンの放出および作用を軽減するために使用される。
【0071】
2.PLA2阻害剤およびスタチンの共投与
スタチンは、低密度リポタンパク質(LDL)に関連するコレステロールレベルを低下させるために広く使用されている薬物である。実施例4を参照。毒注入の作用は溶血である。いくつかのPLA2阻害剤と組み合わせたスタチンは、溶血をPLA2阻害剤単独よりも大幅に低下させることも発見されている。
【0072】
PLA2阻害剤およびスタチンの組合せは、PLA2阻害剤単独の投与が利益をもたらす本明細書に記載の状態のいずれかを治療するために使用され得る。これらの状態としては、膜翅目(例えば、ミツバチ)毒注入、ヘビ毒注入誘発性腎損傷または脳損傷、溶血に関連する状態、および脳浮腫に関連する状態、特に脳性マラリアまたは軸索損傷、例えば軸索ミエリン溶解、および軸索損傷由来の神経障害性疼痛が挙げられる。
【0073】
PLA2阻害剤およびスタチンの組合せから得られたこのような有益な結果の発見は、これまでに特徴付けられていなかったコレステロール代謝と毒の作用との間の関連を示している。毒注入の作用およびマラリア、特に脳性マラリアは、発展途上国において大きな問題となっており、発展途上国において、ますます、両疾患の共通治療は比類無きヒトの健康増進を提供することとなる。
【0074】
3.溶血に関連する状態を治療するためのPLA2阻害剤の投与
PLA2阻害剤(単独またはスタチンとの組合せ)による治療が複数の原因による溶血を減少させるのに有効であるという発見。実施例2および図1〜3を参照。
【0075】
本明細書に詳しく記載されるように、驚くべきことに、スタチンを伴うおよび伴わないPLA2阻害剤が一般的抗溶血特性(general anti-hemolytic properties)を有すること、ならびに異常溶血または浸透圧脆弱性によって特徴付けられる状態に苦しんでいる対象体へのスタチンと組み合わせていてもよいPLA2阻害剤の投与が溶血を減少させることが発見された。この予想外の発見は、単独のまたは特にスタチンと組み合わせたPLA2阻害剤が溶血性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)または浸透圧脆弱性に関連する疾患もしくは状態(自己免疫性球状赤血球症、遺伝性球状赤血球症中毒、重症熱傷、サラセミア、免疫溶血性貧血、および溶血を引き起こす寄生虫症(例えば、リケッチア誘発性溶血およびマラリア)が挙げられるがこれらに限定されない)を治療する一般的な治療可能性を有することを示唆している。
【0076】
4.神経保護のため、および脳浮腫に関連する状態の治療のためのPLA2阻害剤の投与
重篤な毒注入の一般的な徴候は、脳浮腫(脳腫脹)および神経浮腫(例えば、脊髄または末梢神経/神経終末の腫脹および破壊)である。腫脹は、PLA2活性をブロックすることによって減少する(データは表示されない)。本明細書に記載の方法は、さらに、脳腫脹に関連する状態(毒注入を包含する)の治療方法であって、本発明の組成物の治療有効量による患者の治療が、少なくとも1つのPLA2阻害化合物を患者に投与することを含む、方法に関する。
【0077】
一の態様において、浮腫に関連する状態は膜翅目刺傷である。
【0078】
一の態様において、浮腫に関連し、神経保護を必要とする状態は、脳性マラリア、または脳腫脹を引き起こす外傷(例えば、鈍的外傷または末梢神経軸索切断または脊髄ミエリン溶解)である。
【0079】
本開示の実施態様は、さらに、本明細書に記載の1つ以上の薬剤/組成物と組み合わせて少なくとも1つのPLA2阻害剤を含む治療方法にまで及び得る。これらの薬剤は一緒になって、膜翅目刺傷により引き起こされる組織損傷、出血および凝固障害、循環虚脱または神経毒誘発呼吸不全、ならびに他の脳腫脹を治療する方法これらの可能性を減少させる方法を提供する。
【0080】
5.アナフィラキシーショックまたは非アナフィラキシーショックと有する患者における血圧および腎機能を保持するためのPLA2阻害剤の投与
スタチンを伴うおよび伴わないPLA2阻害剤は、毒誘発性ショックおよび急性腎障害経過中の血圧および腎機能の保持に有利であると証明する
【0081】
6.血液製剤の溶血を減少させるためのPLA2阻害剤の使用
一の態様において、PLA2阻害剤を、遠心分離、長期貯蔵または機械的ストレスを受けている血液または血液製剤と併せる。
【0082】
ホスホリパーゼA2
リパーゼは、膜脂質から生物活性分子を放出する酵素である。重要なリパーゼ酵素ファミリーは、ホスホリパーゼA2(PLA2)からなる。PLA2は、sn2位置でのリン脂質の加水分解を触媒して、遊離脂肪酸およびリゾリン脂質を生産する。PLA2は、膜アラキドン酸、血小板活性化因子およびリゾホスファチジン酸またはリゾホスファチジルコリンからの少なくとも3つの重要な脂質メディエーターの放出および/または形成に寄与し、ホスファチジルセリンの提示増加により炎症反応および赤血球破壊および脾臓破壊を誘発する。PLAによる膜リン脂質からのアラキドン酸の放出は、細胞内でのエイコサノイド産生の制御において重要な工程であると考えられる。PLA2酵素は、通常、細胞質型PLA2(cPLA2)、分泌型PLA2(sPLA2)およびカルシウム非依存性PLA2(iPLA2)に分類される。毒(例えば、ミツバチ毒)PLA2は、分泌される(すなわち、sPLA2)。PLA2の分類は、分子量、カルシウム必要量、構造的特徴、基質特異性および機能的役割に基づく。Ray, et al., “Phospholipase A2 in Airway Disease: Target for Drug Discovery,” Journal of Drug Discovery and Therapeutics 1 (8) 2013, 28-40を参照。慣例的に、グループI/I/V/Xは、「定型」sPLA2と分類され、III型およびXII型は、「非定型」sPLA2と分類されている。例えば、Murakami, M et al. A new era of secreted phospholipase A2 2015 J. Lipid. Res. 56:1248-1261、およびMurakami, M and Taketomi, Y 2015 Allergology Int'l 64:4-10(各々、出典明示により本明細書の一部を構成する)を参照。
【0083】
PLA2阻害剤
PLA2阻害剤は、植物、毒および他の供給源において同定されている。PLA2阻害剤は、炎症性疾患の治療のための有望な治療剤として研究されている。例えば、Magrioti, V, and Kokoto, G. Expert opinion on therapeutic patents 20.1 (2010): 1-18);およびDennis, Edward A., et al. Chemical reviews 111.10 (2011): 6130-6185(各々、出典明示により本明細書の一部を構成する)を参照。しかしながら、小分子PLA2阻害剤は、急性の生命に関わる病気または状態を治療するための薬剤として承認されていない。PLA2阻害剤は、さらに、国際公開第2016081826A2号(出典明示により本明細書の一部を構成する)において議論されている。
【0084】
毒はPLA2を含有し得るが、特定のメカニズムに拘束されることを意図せず、本発明にしたがって使用されるPLA2阻害剤の効果は、宿主PLA2の阻害によって、または宿主PLAおよび毒PLAの両方の阻害によって、媒介され得る。本発明のいくつかの実施態様において、PLA2阻害剤は、毒または寄生虫PLA2に対して特異的ではないが、哺乳動物(例えば、ヒト、マウスまたはラット)PLA2および毒PLA2の両方または哺乳動物PLA2のみに対して阻害活性を有する。特定のメカニズムに拘束されることを意図せず、PLA2阻害剤(例えば、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ(インドール)、LY433771(カルバゾール)、化合物4および関連化合物、例えば、AZD2716(ピラゾール))の効力は、宿主のC反応性タンパク質産生を減少させ、全体的な炎症反応を減少させる宿主(哺乳動物またはヒト)PLA2活性の阻害、ならびに、組織損傷に関連する病理学的カスケード、毒または寄生虫によって誘発される消費性凝固障害および他の毒性カスケードに発展する傾向を減少させる毒PLA2活性の阻害の二重阻害により得ることができる。いくつかの場合において、PLA2阻害剤の効力は、主に、宿主PLA2反応の阻害をもたらし得る。
【0085】
いくつかの実施態様において、該治療は、好ましくはバレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771、化合物4またはAZD2716から選択される、少なくとも1つのPLA2阻害剤を含む。いくつかの実施態様において、2つ以上の異なるPLA2阻害剤の組合せが投与される。いくつかの実施態様において、PLA2阻害剤は、本明細書に記載のように、他の薬学的に活性な薬剤と組み合わせて、または特定の製剤中にて投与される。いくつかの実施態様において、PLA2阻害剤は、スタチンと組み合わせて投与される。
【0086】
いくつかの実施態様において、PLA2阻害剤は、小分子(例えば、MW<2000、<1000、または<500)である。本明細書で使用するためのPLA2阻害剤としては、バレスプラジブが挙げられ、その化学構造は以下に示される:
【化1】
【0087】
本明細書で使用するためのPLA2阻害剤としては、メチルバレスプラジブが挙げられ、その化学構造は以下に示される:
【化2】
【0088】
本明細書で使用するためのPLA2阻害剤としては、LY43371が挙げられ、その化学構造は以下に示される:
【化3】
【0089】
本明細書で使用するためのPLA2阻害剤としては、化合物4または関連構造、AZD2716が挙げられる。これらの構造はメチル基によって異なっている;化合物4は、ラセミであるが、AZD2716は化合物4のメチル化バージョンのR−立体異性体である。Giordanetto, F., et al., ACS Med. Chem. Lett. 2016:7, 884-889を参照。AZD2716の化学構造は以下に示される:
【化4】
【0090】
本明細書で使用するためのPLA2阻害剤としては、インドキサムが挙げられ、その化学構造は以下に示される:
【化5】
【0091】
本明細書で使用するためのPLA2阻害剤としては、メチルインドキサム(「Me−インドキサム」)が挙げられ、その化学構造は以下に示される:
【化6】
【0092】
限定されないが他の1H−インドール−3−グリオキシルアミドのような他のPLA2阻害剤もまた、毒注入および脳腫脹の治療に有用であり、LY433771および場合により化合物4またはAZD2716に関連するカルバゾールを包含する。
【0093】
本明細書で使用するためのPLA2阻害剤としては、4−ベンジル−ベンズアミド;5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−カルボン酸;2−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)酢酸;3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4);4−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)ブタン酸;2−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イルオキシ)酢酸;3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)−2−メチルプロパン酸;2−((5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)メチル)ブタン酸;および1−((5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)メチル)シクロプロパンカルボン酸が挙げられる。
【0094】
さらなるPLA2阻害剤としては、米国特許第5,654,326号に記載のものが挙げられ、化学構造:
【化7】
[式中、Xは、OまたはSであり、好ましくはOであり;
R1は、C7〜C20アルキル、C7〜C20アルケニル、C7〜C20アルキニル、炭素環ラジカル(好ましくは、ベンジル基またはエチルフェニル基)または複素環ラジカルであり;
R2は、水素、ハロ(F、Cl、Br、I)、C1〜C3アルキル(好ましくは、エチル)またはC3〜C4シクロアルキルであり;
R4は、Hまたは−O−(CH2)m−C(O)ORv基であり、ここで、mは、1〜3(好ましくは、1)であり、Rvは、HまたはC1〜C3アルキル基であり、好ましくは、CH3であり;
R5、R6およびR7は、Hである]
に従う化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは多形が挙げられる。
【0095】
本発明で使用するためのPLA2阻害化合物(バレスプラジブおよびメチルバレスプラジブ)は、また、化学構造:
【化8】
[式中、Rvは、H(バレスプラジブ)またはメチル(メチルバレスプラジブ)である]
によっても示され得るか、またはそれらの薬学的に許容される塩である。上記の化合物は、また、プロドラッグ形態C1〜C6アルキルエステル、C2〜C7アシルオキシアルキルエステル、またはC3〜C9アルキルオキシカルボニルオキシアルキルエステル(各々、R4で形成される)として使用され得る。本発明に使用するためのこれらの化合物および他の関連化合物は、米国特許第5,654,326号に記載されている。
【0096】
さらなるPLA2阻害剤としては、例えば、バレスプラジブモフェチル、N−アセチルシステイン、LY329722(ナトリウム[3−アミノオキシアリル−1−ベンジル−2−エチル−6−メチル−1H−インドール−4−イルオキシ]−酢酸)、オクナフラボン(天然ビフラボノイド)、BPPA(5−(4−ベンジルオキシフェニル)−4S−(7−フェニルヘパトノイルアミノ)ペンタン酸、およびp−ブロモフェナシルブロミド(p−BPB)、およびシンドン(syndone)で誘導された他のベンゾフェノンオキシムが挙げられる。特定の実施態様において、本発明で使用するためのPLA2阻害剤は、下記のものからなる群から選択される:{9−[(フェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;θ−ベンジル−δJ−ジメトキシ−S−テトラヒドロカルバゾール−カルボン酸ヒドラジド;9−ベンジル−5,7−ジメトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−4−カルボキサミド;[9−ベンジル−4−カルバモイル−7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−5−イル]オキシ酢酸;[9−ベンジル−4−カルバモイル−7−メトキシカルバゾール−5−イル]オキシ酢酸;メチル[9−ベンジル−4−カルバモイル−7−メトキシカルバゾール−5−イル]オキシ酢酸;9−ベンジル−7−メトキシ−5−シアノメチルオキシ−S−テトラヒドロカルバゾール−カルボキサミド;9−ベンジル−7−メトキシ−5−(1H−テトラゾール−5−イル−メチル)オキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−4−カルボキサミド;{9−[(フェニル)メチル]−5−カルバモイル−2−メチル−カルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(3−フルオロフェニル)メチル]−5−カルバモイル−2−メチルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(3−メチルフェニル)メチル]−5−カルバモイル−2−メチルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(フェニル)メチル]−5−カルバモイル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−カルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;9−ベンジル−5−(2−メタンスルホンアミド)エチルオキシ−7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−4−カルボキサミド;9−ベンジル−4−(2−メタンスルホンアミド)エチルオキシ−2−メトキシカルバゾール−5−カルボキサミド;9−ベンジル−4−(2−トリフルオロメタンスルホンアミド)エチルオキシ−2−メトキシカルバゾール−5−カルボキサミド;9−ベンジル−5−メタンスルホンアミドイルメチルオキシ−7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−4−カルボキサミド;9−ベンジル−4−メタンスルホンアミドイルメチルオキシ−カルバゾール−5−カルボキサミド;[5−カルバモイル−2−ペンチル−9−(フェニルメチル)カルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[5−カルバモイル−2−(1−メチルエチル)−9−(フェニルメチル)カルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[5−カルバモイル−9−(フェニルメチル)−2−[(トリ(−1−メチルエチルJシリOオキシメチルlカルバゾール^−イルlオキシ酢酸;[5−カルバモイル−2−フェニル−9−(フェニルメチル)カルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[5−カルバモイル−2−(4−クロロフェニル)−9−(フェニルメチル)カルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[5−カルバモイル−2−(2−フリル)−9−(フェニルメチル)カルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[5−カルバモイル−9−(フェニルメチル)−2−[(トリ(−1−メチルエチルJシリOオキシメチルlカルバゾール^−イルlオキシ酢酸;{9−[(2−フリルフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2−トリフルオロメチルフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2−ベンジルフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(1−ナフチルjメチルl−δ−カルバモイルカルバゾール^−イル}オキシ酢酸;{9−[(2−シアノフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(3−シアノフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(3,5−ジメチルフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(3−ヨードフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2−クロロフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2,3−ジフルオロフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2,6−ジフルオロフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2−ビフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2−ビフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸メチルエステル;[9−ベンジル−4−カルバモイル−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−5−イル]オキシ酢酸;{9−[(2−ピリジル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(3−ピリジル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;[9−ベンジル−4−カルバモイル−8−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−5−イル]オキシ酢酸;[9−ベンジル−5−カルバモイル−1−メチルカルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[9−ベンジル−4−カルバモイル−8−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−5−イル]オキシ酢酸;[9−ベンジル−4−カルバモイル−8−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−5−イル]オキシ酢酸;[5−カルバモイル−9−(フェニルメチル)−2−[[(プロペン−3−イル)オキシ]メチル]カルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[5−カルバモイル−9−(フェニルメチル)−2−[(プロピルオキシjメチルlカルバゾリルlオキシ酢酸;9−ベンジル−7−メトキシ−5−((カルボキサミドメチルオキシ−テトラヒドロカルバゾール−カルボキサミド;9−ベンジル−7−メトキシ−S−シアノメチルオキシ−カルバゾール−カルボキサミド;9−ベンジル−7−メトキシ−5−((1H−テトラゾール−5−イル−メチル)オキシ)−カルバゾール−4−カルボキサミド;9−ベンジル−7−メトキシ−5−((カルボキサミドメチル)オキシ)−カルバゾール−4−カルボキサミド;[9−ベンジル−4−カルバモイル−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−5−イル]オキシ酢酸;{9−[(フェニル)メチル]−5−カルバモイル−2−メチル−カルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(3−フルオロフェニル)メチル]−5−カルバモイル−2−メチルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(3−メチルフェニル)メチル]−5−カルバモイル−2−メチルカルバゾール−4−イルjオキシ酢酸;{9−[(フェニル)メチル]−5−カルバモイル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−カルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;9−ベンジル−5−(2−メタンスルホンアミド)エチルオキシ−7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−4−カルボキサミド;9−ベンジル−4−(2−メタンスルホンアミド)エチルオキシ−2−メトキシカルバゾール−5−カルボキサミド;9−ベンジル−4−(2−トリフルオロメタンスルホンアミド)エチルオキシ−2−メトキシカルバゾール−5−カルボキサミド;9−ベンジル−5−メタンスルホンアミドイルメチルオキシ−7−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−4−カルボキサミド;9−ベンジル−4−メタンスルホンアミドイルメチルオキシ−カルバゾール−5−カルボキサミド;[5−カルバモイル−2−ペンチル−9−(フェニルメチル)カルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[5−カルバモイル−2−(1−メチルエチル)−9−(フェニルメチル)カルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[5−カルバモイル−9−(フェニルメチル)−2−[(トリ(−1−メチルエチルJシリOオキシメチルlカルバゾリルオキシ酢酸;[5−カルバモイル−2−フェニル−9−(フェニルメチル)カルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[5−カルバモイル−2−(4−クロロフェニル)−9−(フェニルメチル)カルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[5−カルバモイル−2−(2−フリル)−9−(フェニルメチル)カルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[5−カルバモイル−9−(フェニルメチル)−2−[(トリ(−1−メチルエチルJシリOオキシメチルlカルバゾリルlオキシ酢酸;{9−[(3−フルオロフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(3−クロロフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(3−フェノキシフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2−フルオロフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2−トリフルオロメチルフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2−ベンジルフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(1−ナフチルjメチルl−δ−カルバモイルカルバゾール−イル}オキシ酢酸;{9−[(2−シアノフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(3−シアノフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2−メチルフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(3−メチルフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(3,5−ジメチルフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(3−ヨードフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2−クロロフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2,3−ジフルオロフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2,6−ジフルオロフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(3−トリフルオロメトキシフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2−ビフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(2−ビフェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸メチルエステル;[9−ベンジル−4−カルバモイル−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−5−イル]オキシ酢酸;{9−[(2−ピリジル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;{9−[(3−ピリジル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸;[9−ベンジル−4−カルバモイル−8−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−5−イル]オキシ酢酸;[9−ベンジル−5−カルバモイル−1−メチルカルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[θ−ベンジル^−カルバモイル−δ−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−5−イル]オキシ酢酸;[θ−ベンジル−δ−カルバモイル−i−フルオロカルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[9−ベンジル−4−カルバモイル−8−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−5−イル]オキシ酢酸;[9−ベンジル−5−カルバモイル−1−クロロカルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[9−[(シクロヘキシル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[9−[(シクロペンチル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[5−カルバモイル−9−(フェニルメチル)−2−(2−チエニル)カルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[5−カルバモイ
ル−9−(フェニルメチル)−2−[[(プロペン−3−イル)オキシ]メチル]カルバゾール−4−イル]オキシ酢酸;[5−カルバモイル−9−(フェニルメチル)−2−[(プロピルオキシjメチルlカルバゾール−イルlオキシ酢酸;9−ベンジル−7−メトキシ−5−((カルボキサミドメチルオキシ−テトラヒドロカルバゾール−カルボキサミド;9−ベンジル−7−メトキシ−δ−シアノメチルオキシ−カルバゾール−カルボキサミド;9−ベンジル−7−メトキシ−5−((1H−テトラゾール−5−イル−メチル)オキシ)−カルバゾール−4−カルボキサミド;9−ベンジル−7−メトキシ−5−((カルボキサミドメチル)オキシ)−カルバゾール−4−カルボキサミド;[9−ベンジル−4−カルバモイル−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−5−イル]オキシ酢酸;(R,S)−(9−ベンジル−4−カルバモイル−1−オキソ−3−チア−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−5−イル)オキシ酢酸;(R,S)−(9−ベンジル−4−カルバモイル−3−チア−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−5−イル)オキシ酢酸;2−(4−オキソ−5−カルボキサミド−9−ベンジル−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル)酢酸クロリド;[N−ベンジル−1−カルバモイル−1−アザ−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−8−イル]オキシ酢酸;4−メトキシ−6−メトキシカルボニル−10−フェニルメチル−6,7,8,9−テトラヒドロピリド[1,2−a]インドール;(4−カルボキサミド−9−フェニルメチル−4,5−ジヒドロチオピラノ[3,4−b]インドール−5−イル)オキシ酢酸;3,4−ジヒドロ−4−カルボキサミドl−5−メトキシ−9−フェニルメチルピラノ[3,4−ib]インドール;2−[(2,9 ビス−ベンジル−4−カルバモイル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ベータカルボリン−5−イル)オキシ]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2−メチルベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(3−メチルベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(4−メチルベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(4−tert−ブチルベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−ペンタフルオロベンジル−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2−フルオロベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(3−フルオロベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(4−フルオロベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2,6−ジフルオロベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(3,4−ジフルオロベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2,5−ジフルオロベンジル)−9H−ピリド[3,4−jb]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(3,5−ジフルオロベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2,4−ジフルオロベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2,3−ジフルオロベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[2−(トリフルオロメチル)ベンジル]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[2−(トリフルオロメチル)ベンジル]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[2,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(a−メチルナフチル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(b−メチルナフチル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(3,5−ジメチルベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2,4−ジメチルベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2−フェニルベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(3−フェニルベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(4−フェニルベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(1−フルオレニルメチル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2−フルオロ−3−メチルベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(3−ベンゾイルベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2−フェノキシベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(3−フェノキシベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(4−フェノキシベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[3−[2−(フルオロフェノキシ)ベンジル]]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[3−[4−(フルオロフェノキシ)ベンジル]]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−9H−ピリド[3,4−£>]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[2−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]−9H−ピリド[3,4−ιb]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ベンジル]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)ベンジル]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンジル]−9H−ピリド[3,4−ιb]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2,3,6−トリフルオロベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2,3,5−トリフルオロベンジル)−9H−ピリド[3,4−ιb]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2,4,5−トリフルオロベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2,4,6−トリフルオロベンジル)−9H−ピリド[3,4−ιb]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2,3,4−トリフルオロベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(3,4,5−トリフルオロベンジル)−9H−ピリド[3,4−ιb]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[3−(トリフルオロメトキシル)ベンジル]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[4−(トリフルオロメトキシル)ベンジル]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[4−メトキシ(テトラフルオロ)ベンジル]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2−メトキシベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(3−メトキシベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(4−メトキシベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(4−エチルベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(4−イソプロピルベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(3,4,5−トリメトキシベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(3,4−メチレンジオキシベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(4−メトキシ−3−メチルベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(3,5−ジメトキシベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2,5−ジメトキシベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(4−エトキシベンジル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(シクロヘキシルメチル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(シクロペンチルメチル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−エチル−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(1−プロピル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2−プロピル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(1−ブチル)−9H−ピリド[3,4−]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(2−ブチル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−イソブチル−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[2−(1−フェニルエチル)]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[3−(1−フェニルプロピル)]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−[4−(1−フェニルブチル)]−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(1−ペンチル)−9H−ピリド[3,4−ιb]インドリル]酢酸;2−[4−オキソ−5−カルボキサミド−9−(1−ヘキシル)−9H−ピリド[3,4−ib]インドリル]酢酸;4−[(9−ベンジル−4−カルバモイル−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−6−イル)オキシ]酪酸;3−[(9−ベンジル−4−カルバモイル−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−θ−イOオキシlプロピルホスホン酸;2−[(9−ベンジル−4−カルバモイル−1,2,3,4−テトラヒ
ドロカルバゾール−6−イル)オキシ]メチル安息香酸;3−[(9−ベンジル−4−カルバモイル−7−n−オクチル−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−6−イル)オキシ]プロピルホスホン酸;4−[(9−ベンジル−4−カルバモイル−7−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−6−イル)オキシ]酪酸;3−[(9−ベンジル−4−カルバモイル−7−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−6−イル)オキシ]プロピルホスホン酸;3−[(9−ベンジル−4−カルバモイル−7−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−6−イル)オキシ]プロピルホスホン酸;(S)−(+)−4−[(9−ベンジル−4−カルバモイル−7−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−6−イル)オキシ]酪酸;4−[9−ベンジル−4−カルバモイル−6−(2−シアノエチル)−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−6−イル]オキシ酪酸;4−[9−ベンジル−4−カルボキサミド−7−(2−フェニルエチル)−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−6−イル]オキシ酪酸;4−[9−ベンジル−4−カルボキサミドカルバゾール−6−イル]オキシ酪酸;2−[(9−ベンジル−4−カルバモイル−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−6−イル)オキシ]メチル安息香酸メチル;4−[9−ベンジル−4−カルバモイル−7−(2−シアノエチル)−1,2,3,4−テトラヒドロカルバゾール−6−イル]オキシ酪酸;9−ベンジル−7−メトキシ−5−シアノメチルオキシ−テトラヒドロカルバゾール−カルボキサミド;[9−ベンジル−4−カルバモイル−8−メチル−カルバゾール−5−イル]オキシ酢酸;および[θ−ベンジM−カルバモイル−カルバゾール−δ−イル]オキシ酢酸、またはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ誘導体、ラセミ化合物、互変異性体もしくは光学異性体。
【0097】
PLA2阻害剤としては、アラキドニルフルオロホスホン酸メチル(MAFP)、ピロキシフェン、ONO−RS−082、1−[3−(4−オクチルフェノキシ)−2−オキソプロピル]インドール−5−カルボン酸、1−[3−(4−オクチルフェノキシ)−2−オキソプロピル]インドール−6−カルボン酸、アラキドニルトリフルオロメチルケトン、D609、4−{3−[5−クロロ−2−(2−{([(3,4−ジクロロベンジル)スルホニル]アミノ}エチル)−1−(ジフェニルメチル)−1H−インドール−3−イル]プロピル}安息香酸(WAY−196025)、エフィプラジブ、4−{2−[5−クロロ−2−(2−{[(3,4−ジクロロベンジル)スルホニル]アミノ}−エチル)−1−(ジフェニルメチル)−1H−インドール−3−イル]エトキシ}安息香酸、エコプラジブ、(E)−N−[(2S,4R)−4−[N−(ビフェニル−2−イルメチル)−N−2−メチルプロピルアミノ]−1−[2−(2,−4−ジフルオロベンゾイル)ベンゾイル]ピロリジン−2−イル]メチル−3−[4−(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イリデンメチル)フェニル]アクリルアミド(RSC−3388)、ベルベリン、グルタミン、インドキサム、Me−インドキサム、またはそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択されるロイコトリエン合成阻害剤も挙げられる。
【0098】
本発明の特定の実施態様は、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY43371またはそれらの組合せおよび場合により少なくとも1つのさらなるPLA2阻害剤の投与を含む。該1つのさらなるPLA2阻害剤は、カルボキシメチルセルロース(CMPE、CMC−Peor CME)、ヒアルロン酸(HYPE、HyPE、およびHyal−PE)、ヘパリン(HEPPE、HepPE、HePPE、Hepa−PE)、コンドロイチン硫酸A(CSAPE、CsaPE、CsAPE)、ポリゲリン(ヘマセル)(HemPE、HEMPE)、ヒドロキシエチルスターチ(HesPE、HESPE)ならびにそれらの類似体、誘導体、薬学的に許容される塩、エナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、多形および混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物と結合した(コンジュゲートした)、化合物4、AZD2716、バレスプラジブ(LY315920)、メチル化バレスプラジブ(LY333013)、AIPLAI(インドセンダン(Azadirachta indica)、PLA2阻害剤)、BMS−181162、LY311727、ARL−67974、FPL67047、SB−203347、Ro−23−9358、YM−26734、YM 26567、IS−741、MJ33、フルニキシン、エフィプラジブ、Way 196025、エコプラジブ、ギリプラジブ、バリアビリン、インドキサム、Me−インドキサム、SB 203347、PAF−AH、ダラプラジブ、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルイノシトール(PI)、およびホスファチジルグリセロール(PG)およびそれらの混合物(好ましくは、ヒアルロン酸結合ホスファチジルエタノールアミン(HyPE))からなる群から選択され得る。
【0099】
PLA2阻害剤は、また、カルボキシメチルセルロース(CMPE、CMC−Peor CME)、ヒアルロン酸(HYPE、HyPE、およびHyal−PE)、ヘパリン(HEPPE、HepPE、HePPE、Hepa−PE)、コンドロイチン硫酸A(CSAPE、CsaPE、CsAPE)、ポリゲリン(ヘマセル)(HemPE、HEMPE)、ヒドロキシエチルスターチ(HesPE、HESPE)およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物と結合した(コンジュゲートした)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルイノシトール(PI)、およびホスファチジルグリセロール(PG)ならびにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのリン脂質を含む、組成物を包含する。ヒアルロン酸結合ホスファチジルエタノールアミン(HyPE)は、さらなるPLA2阻害剤である。これらのPLA2阻害剤は、また、国際公開第2016081826A2号(出典明示により本明細書の一部を構成する)において議論されている。
【0100】
スタチン
スタチンは、HMG−CoA還元酵素阻害剤であり、低密度リポタンパク質(LDL)に関連する高いコレステロールレベルを減少させるために一般的に使用されている。本明細書で使用される場合、「スタチン」は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイムA(HMG−CoA)還元酵素を阻害するように作用する薬剤である。スタチンとしては、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、モナコリン(例えば、モナコリンM、モナコリンJ、モナコリンN、モナコリンL、モナコリンX等)、ピタバスタチン(イタバスタチンとしても知られている)、プラバスタチン、ロスバスタチン、およびシンバスタチンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Oliveira EF, et al., Expert Opin Ther Pat. 2016;26(11):1257-1272を参照。いくつかの実施態様において、2つ以上のスタチンの組合せを使用することができる。重要なことに、IVで投与することができる可溶性スタチン製剤(例えば、In Sol(登録商標)シンバスタチン)は、以前に、sPLA2阻害剤と組み合わせて試験されたことがなかった。
【0101】
いくつかの実施態様において、本発明にかかる治療は、少なくとも1つのPLA2阻害剤、好ましくは、バレスプラジブおよび/もしくはメチルバレスプラジブ、LY433771、化合物4またはAZD2716を、単独で、または本明細書に記載の1つ以上のスタチンと組み合わせて、含む。
【0102】
本明細書で使用するためのスタチンとしては、アトルバスタチンが挙げられ、その化学構造は以下に示される:
【化9】
【0103】
本明細書で使用するためのスタチンとしては、セリバスタチンが挙げられ、その化学構造は以下に示される:
【化10】
【0104】
本明細書で使用するためのスタチンとしては、フルバスタチンが挙げられ、その化学構造は以下に示される:
【化11】
【0105】
本明細書で使用するためのスタチンとしては、ロバスタチンが挙げられ、その化学構造は以下に示される:
【化12】
【0106】
本明細書で使用するためのスタチンとしては、モナコリンJを包含するモナコリンが挙げられ、その化学構造は以下に示される:
【化13】
【0107】
本明細書で使用するためのスタチンとしては、メバスタチンが挙げられ、その化学構造は以下に示される:
【化14】
【0108】
本明細書で使用するためのスタチンとしては、ピタバスタチンが挙げられ、その化学構造は以下に示される:
【化15】
【0109】
本明細書で使用するためのスタチンとしては、プラバスタチンを包含し、その化学構造は以下に示される:
【化16】
【0110】
本明細書で使用するためのスタチンは、ロスバスタチンが挙げられ、その化学構造は以下に示される:
【化17】
【0111】
本明細書で使用するためのスタチンとしては、シンバスタチンが挙げられ、その化学構造は以下に示される:
【化18】
【0112】
さらなる薬剤
いくつかの実施態様において、PLA2阻害剤は、併用療法として使用され得、1つ以上の薬剤と組み合わせて投与され得る。いくつかの実施態様において、併用療法は、共製剤化される(例えば、単一の単位投与剤形中に一緒に混合されるか、配合される)か、または共投与される(共に、毒注入を治療するための治療過程の一部として投与される)、2つ以上の活性薬剤の投与を含み得る。
【0113】
本発明に係る医薬組成物および方法は、さらに、エピネフリン、ジフェンヒドラミン、ステロイド、またはそれらの組合せを含み得る。一の態様において、PLA2阻害剤は、エピネフリンと組み合わせて使用され得る。別の態様において、PLA2阻害剤は、ジフェンヒドラミンと組み合わせて使用され得る。別の態様において、PLA2阻害剤は、ステロイドと組み合わせて使用され得る。
【0114】
本発明に係る医薬組成物および方法は、メタロプロテイナーゼに対して阻害活性を有する小分子を含み得る。有用なメタロプロテイナーゼ阻害剤としては、プリノマスタットおよびボリノスタットが挙げられるが、これらに限定されず、また、国際公開第2016081826A2号において議論されている。
【0115】
本発明に係る医薬組成物および方法は、セリンプロテアーゼに対して阻害活性を有する小分子を含み得る。有用なセリンプロテアーゼ阻害剤は、また、国際公開第2016081826A2号において議論されている。
【0116】
本発明に係る医薬組成物および方法は、抗毒、または、具体的には毒α−トキシンおよび/またはセリンプロテアーゼを中和するために使用される動物または組換え供給源由来の完全もしくは断片化IgGを含み得る。小分子阻害剤と抗毒との一般的な使用は、また、国際公開第2016081826A2号において議論されている。有用な抗毒化合物は、また、国際公開第2016081826A2号において議論されている。
【0117】
本発明に係る医薬組成物および方法は、抗悪心剤、抗生物質または阻害剤(毒中に存在する酵素成分および非酵素成分の、抗体ベースの阻害剤を包含する)を包含する他の治療剤を含み得る。これらのさらなる治療剤は、また、国際公開第2016081826A2号において議論されている。
【0118】
本発明に係る医薬組成物および方法は、リンパ管平滑筋の弛緩によって毒の拡散を遅らせながらさらなる治療効果および鎮痛のための活性薬剤の局所分布を助ける薬剤としてリドカインおよび/またはブピバカインを含み得る。重要なことに、抗毒とは異なり、本発明の組成物は、毒注入部位に見られる神経系組織、血餅および/または壊死組織に拡散または浸透し得、かくして、抗毒が示す影響が減少するかまたはわずかになる有効な治療を提供する。リドカインおよび/またはブピバカインの含有は、咬傷からの除痛および非経口メカニズムを使用する場合の薬物の送達に由来する痛みの予防ならびに一般的な鎮痛を潜在的に提供しながら、投与したらすぐに薬剤をその活性部位へより迅速に到達させるのを助けることができる。
【0119】
本発明に係る医薬組成物および方法は、表面麻酔薬(topical anesthetic)を含み得る。咬傷および刺傷に関しては、表面麻酔薬は、身体部位の表面を痺れさせるため、およびリンパ管平滑筋を麻痺させて毒の拡散を遅らせるために使用される局所麻酔薬(local anesthetic)である。表面麻酔薬は、クリーム剤、軟膏剤、エアゾール剤、スプレー剤、ローション剤およびゼリー剤において利用可能である。例としては、ベンゾカイン、ブタムベン、ジブカイン、リドカイン、オキシブプロカイン、プラモキシン、プロパラカイン、プロキシメタカインおよびテトラカイン(アメトカインとも称される)が挙げられる。EMLAクリーム(局所麻酔薬の共融混合物)の効果、および密封包帯によるかまたは擦り込まれる液剤としての局所投与のためのLET溶液(リドカイン、エピネフリン、テトラカイン)の効果は、毒の拡散を遅らせることが予測される。
【0120】
本発明に係る医薬組成物および方法は、拡散因子阻害剤を含み得る。拡散因子阻害剤は、化学的なものまたは物理的なものであり得、また、国際公開第2016081826A2号において議論されている。
【0121】
製剤
本発明に係る医薬組成物および方法は、1つ以上のPLA2阻害剤の有効量を、糖と組み合わせて含む組成物を含み得る。糖の例としては、マンニトール、ソルビトール、エリスリトールまたはそれらの混合物が挙げられる。マンニトールおよび/またはソルビトールおよび/またはエリスリトールのような他の糖の含有は、バレスプラジブおよび/またはその誘導体の溶解を促進することができ、化合物の投与を容易にすることができる。マンニトールおよび/または他の糖の含有は、ヘモグロビンを排除し、色素性腎症を予防するために、腫脹減少および尿量増加、ならびに尿のアルカリ化(特に、重炭酸塩希釈剤の添加と共に)によって、バレスプラジブの神経保護的特性、血液保護的特性および腎保護的特性に加えることができる。マンニトールおよび/または他の糖の含有は、溶血からの保護に加えることができる。経口的に有用な組成物の例は、動物およびヒトにおけるプロドラッグ(例えば、メチルバレスプラジブ)および薬物(例えば、LY433771、化合物4またはAZD2716)の経口製剤における分散の改善および均一性の維持のために、エタノールおよびポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0122】
本発明に係る医薬組成物および方法は、1つ以上のPLA2阻害剤の有効量をマンニトールおよび/または高張生理食塩水と組み合わせて含む組成物を含み得る。
【0123】
本発明に係る医薬組成物および方法は、1つ以上のPLA2阻害剤の有効量を1つ以上の一酸化炭素放出化合物(例えば、[Ru(CO)3Cl2]2、分子量:512.01、CAS番号:22594−69−0)と組み合わせて含む組成物を含み得る。別の態様において、PLA2阻害剤は、一酸化炭素放出化合物およびポロキソマー(poloxomer)と組み合わせて使用され得る。別の態様において、PLA2阻害剤は、一酸化炭素放出化合物、ポロキソマー、ならびに爬虫類、節足動物および海洋生物、脊椎動物および無脊椎動物からのMP、SPおよび/または他の毒成分と組み合わせて使用され得る。該化合物の含有は、外傷性脳損傷および/または鈍的外傷の臨床的治療に有用であり得る。
【0124】
治療方法
バレスプラジブおよび/またはメチルバレスプラジブのような1H−インドール−3−グリオキシルアミド、またはLY433771のようなカルバゾール化合物、ならびにLY311727、インドキサム、メチル−インドキサム、化合物4およびAZD2716のような他の化合物は、群飛性膜翅目毒注入、ならびにマラリア、リケッチア症、神経系結核および外傷性脳損傷などの溶血および脳浮腫を引き起こす重要な医学的状態の治療のために単独でまたは組み合わせて使用され得る、ミツバチおよびスズメバチを包含する群飛性膜翅目による刺傷の治療において優れた発症前薬物動態特性、経口経路投与経由を含む明らかなインビボ有効性、および最小限の安全性リスクを有する強力な分泌型ホスホリパーゼA2(PLA2)阻害剤であることが発見された。
【0125】
予想外のPLA2阻害剤による種々の毒成分の阻害は、多くの酵素的および非酵素的毒成分の活性におけるPLA2の直接的な調節的役割、ならびに非酵素的な組織破壊トキシンの宿主細胞への侵入を促進する宿主媒介反応における役割を示唆する。さらにまた、特異的なPLA2阻害剤は、抗炎症活性、血管透過性の低下および毒の拡散能の低下を示し、小分子治療薬は毒沈着部位に拡散することができる。この驚くべき、有益な効果(PLA2阻害剤による毒の直接的阻害、および間接的効果)の組合せは、PLA2阻害剤を、単独のまたは他の治療薬と組み合わせた治療として使用される、無脊椎動物(例えば、群飛性膜翅目)毒注入および他のIII型sPLA2媒介反応に対する理想的な多機能解毒薬とする。
【0126】
さらにまた、PLA2阻害剤は、単独で、またはスタチンと組み合わせて、一般的抗溶血特性を有することが、本明細書において示されている。この予想外の結果は、単独のまたはスタチンと組み合わせたPLA2阻害剤が発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)または浸透圧脆弱性に関連する他の疾患もしくは状態(ミエリン溶解、自己免疫性球状赤血球症、遺伝性球状赤血球症中毒、重症熱傷、サラセミア、免疫溶血性貧血およびマラリアが挙げられるがこれらに限定されない)を包含する溶血性貧血を治療する一般的な治療可能性を有することを示唆している。この治療は、さらに、血液貯蔵の安定性を改善し、血管浮腫および関節リウマチの経過中のシクロスポリンの必要性を軽減させることができる。
【0127】
一の実施態様において、本発明は、毒注入(例えば、本明細書における他の箇所で定義した、ミツバチ、スズメバチ、サソリ、クモ、刺胞動物または他の群飛性膜翅目咬傷もしくは刺傷などの有毒性膜翅目咬傷もしくは刺傷)の治療のための、1つ以上の投与経路による、単独のまたは少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせた少なくとも1つのPLA2阻害剤の使用方法に関する。
【0128】
別の実施態様において、本発明は、脳性マラリアの治療のための、1つ以上の投与経路による、単独のまたは少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせた少なくとも1つのPLA2阻害剤の使用方法に関する。
【0129】
別の実施態様において、本発明は、頭部外傷または外傷性脳損傷に関連する脳腫脹の治療のための、1つ以上の投与経路による、単独のまたは少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせた少なくとも1つのPLA2阻害剤の使用方法に関する。
【0130】
別の実施態様において、本発明は、外傷性状態、例えば外傷性脳損傷(例えば、戦闘における)および初発または実際の血液病理学を伴うおよび伴わない鈍的外傷、腎損傷(腎不全を含む)または脳損傷またはこれらの複合状態の組合せ(毒注入の不在下で)の治療のための、1つ以上の投与経路による、単独のまたは少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせた少なくとも1つのPLA2阻害剤の使用方法に関する。
【0131】
別の実施態様において、本発明は、特に初発または実際の血液病理学、脳損傷(例えば、出血、腫脹)および/または腎不全のリスクがあるかまたはそれと組み合わせた毒注入のケースにおいて、毒注入の治療のための、1つ以上の投与経路による、単独のまたは少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせた少なくとも1つのPLA2阻害剤の使用方法に関する。
【0132】
別の実施態様において、本発明は、感染性疾患(例えば、溶血性連鎖球菌)、代謝性障害および遺伝性障害(例えば、G6PD欠損症、鎌状赤血球症)、溶血性尿毒症症候群、および/または他の溶血性トキシンの経過中、ならびに内部もしくは外部起源およびプロセスの過程における一般的な溶血予防の治療のための、単独のまたは少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせた少なくとも1つのPLA2阻害剤の使用方法に関する。
【0133】
一の態様において、毒注入を治療する方法であって、患者が、野外、入院前、研究所、ベッドサイドまたは臨床の試験によって、毒注入が疑われてからまたは確認されてから、またはsPLA2レベルの上昇もしくは他の毒注入の指標が客観的または臨床的に疑われてから一定の時間内に、少なくとも1つのPLA2阻害剤の治療有効量で治療される、方法が提供される。いくつかの場合において、該治療は、伝統的な抗毒の必要性を軽減または減少させるため、および/または病院の費用および要求、特に、集中治療(ICU時間)のような臨床学的に集中的なリソースを減少させるために提供される。
【0134】
本明細書に記載の方法は、いくつかの医学的用途を有する。
【0135】
本明細書に記載の方法は、ヒトを包含する哺乳動物における、毒注入による死亡または損傷の可能性を減少させる方法であって、毒注入に罹患していると疑われているかまたは罹患していることが知られている患者への投与を始めることを含み、毒注入、または脳腫脹の引き金を引く事象の後であるが局所的、領域的または全身的な毒注入によって引き起こされる損傷、特に実質的な損傷の発生前に、有効量のPLA2阻害剤または一緒にもしくは別々に投与される化合物の組合せ(PLA2阻害剤を含み得る)を投与することを含む方法に関する。
【0136】
本明細書に記載の方法は、脳腫脹(毒注入または別の原因による)の別のトリガーに罹患していると疑われているかまたは罹患していることが知られている患者における死亡または損傷の可能性を減少させる方法であって、脳腫脹の引き金を引く事象の後であるが局所的、領域的または全身的な毒注入によって引き起こされる損傷、特に実質的な損傷の発生前に、有効量のPLA2阻害剤、または一緒にもしくは別々に投与される化合物の組合せ(PLA2阻害剤を含み得る)を等することを含む、方法に関する。
【0137】
本明細書に記載の方法は、群飛性膜翅目からの毒注入により引き起こされる大型局所反応(LRR)に苦しんでいる対象体を、該対象体に、本明細書に記載の他の薬剤と含んでもよく、治療有効量の少なくとも1つのスタチンの治療有効量を含むか含まずに、治療有効量の少なくとも1つのPLA2阻害剤の治療有効量を含む組成物を投与することにより治療することを含む。
【0138】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法は、熱帯病(デング出血熱、Ebolaが挙げられるがこれに限定されない)による感染によって引き起こされる溶血に苦しんでいる対象体を、該対象体に、本明細書に記載の他の薬剤を含んでいてもよく、少なくとも1つのスタチンの治療有効量と一緒に少なくとも1つのPLA2阻害剤の治療有効量を含む組成物を投与することによって治療することを含む。
【0139】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法は、血管浮腫または発作性夜間ヘモグロビン尿症によって引き起こされる溶血に苦しんでいる対象体を、該対象体に、本明細書に記載の他の薬剤を含んでいてもよく、少なくとも1つのスタチンの治療有効量含むかまたは含まずに、少なくとも1つのPLA2阻害剤の治療有効量を含む組成物を投与することによって治療することを含む。
【0140】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法は、感染、有毒な、外傷的または浸透圧的原因による脳浮腫に苦しんでいる対象体を、該対象体に、本明細書に記載の他の薬剤を含んでいてもよく、少なくとも1つのスタチンの治療有効量を含むかまたは含まずに、少なくとも1つのPLA2阻害剤の治療有効量を含む組成物を投与することによって治療することを含む。
【0141】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法は、毒誘発性心筋症に苦しんでいる対象体を、該対象体に、本明細書に記載の他の薬剤を含んでいてもよく、少なくとも1つのスタチンの治療有効量を含むかまたは含まずに、少なくとも1つのPLA2阻害剤の治療有効量を含む組成物を投与することによって治療することを含む。
【0142】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法は、軸索切断、脱髄、病理学的神経剥離または虚血性脳卒中によって引き起こされる急性の神経保護を必要とする対象体を、該対象体に、本明細書に記載の他の薬剤を含んでいてもよく、少なくとも1つのスタチンの治療有効量を含むかまたは含まずに、少なくとも1つのPLA2阻害剤の治療有効量を含む組成物を投与することによって治療することを含む。
【0143】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法は、毒、ヘモグロビンまたはミオグロビン誘発腎不全に苦しんでいる対象体を、該対象体に、本明細書に記載の他の薬剤を含んでいてもよく、少なくとも1つのスタチンの治療有効量を含むかまたは含まずに、少なくとも1つのPLA2阻害剤の治療有効量を含む組成物を投与することによって治療することを含む。
【0144】
本明細書に記載の方法は、さらに、ヘビ毒注入によって引き起こされる多発性硬化症および/または他の急性脱髄症候群を有する患者の治療方法に関し得る。本明細書に記載の方法は、また、肥満細胞症(例えば、マストサイトーシス)、アナフィラキシー反応(IgE媒介)、アナフィラキシー様反応(非IgE媒介)、または補体媒介経路を有する血管浮腫を有する患者を治療する方法であって、該本発明に係る組成物の治療有効量による患者の治療が、患者に、疑われているかまたは確認された肥満細胞症または他の反応の引き金を引く事象が疑われてからまたは確認されてから、またはsPLA2レベルの上昇または他の症状の指標が客観的または臨床的な疑われてから一定の時間内に、スタチンと組み合わせてもよい、少なくとも1つのPLA2阻害剤(例えば、sPLA2阻害剤)を投与することを含む、方法に関する。いくつかの実施態様において、この治療は、シクロスポリンおよびオマリズマブのような伝統的な治療方法の必要性を軽減または減少させ、および/または病院の費用および要求、特に、集中治療(ICU時間)のような臨床学的に集中的なリソースをを減少させる。
【0145】
対象体
いくつかの実施態様において、対象体は、膜翅目のようなスズメバチもしくはミツバチ毒注入、または溶血、脳浮腫、急性腎障害および非アナフィラキシーショックを引き起こす他の病態のリスクを有するか、またはそれに苦しんでいる。他の実施態様において、対象体は、群飛性膜翅目からの毒注入、または外傷、脳性マラリアおよび/もしくは肥満細胞症からのリスクを有し、寄生虫(例えば、マラリア、リケッチアまたはバベシア)による毒注入に起因する腎不全、多臓器不全および/または循環虚脱を生じているか生じていない、血液毒性、神経毒性、細胞毒性、心毒性もしくは筋毒性の組織損傷、四肢損傷または眼外傷のリスクを有し得る。他の実施態様において、対象体は、初発または実際の血液病理学、脳損傷(例えば、出血、腫脹)および/または腎不全と合わせて毒注入のリスクを有するかまたはこれに苦しんでいる。
【0146】
いくつかの実施態様において、対象体は、ヒトまたは非ヒト脊椎動物における毒(例えば、膜翅目毒)の平均LD50よりも高い量の該毒が毒注入されている。いくつかの実施態様において、対象体は、ヒトまたは非ヒト脊椎動物における該毒の平均LD50よりも低い量の該毒が毒注入されている。いくつかの実施態様において、対象体は、ヒトまたは非ヒト脊椎動物における該毒の平均LD50の少なくとも0.5倍の量の該毒が毒注入されている。いくつかの実施態様において、対象体は、ヒトまたは非ヒト脊椎動物における該毒の平均LD50の少なくとも2倍の量の該毒が毒注入されている。ミツバチ毒に対するPLA2阻害剤のインビボ効力の驚くべき発見は、これまで阻害されたことがない無脊椎動物III型sPLA2毒注入(例えば、クモ、ムカデ、海洋生物)に対する阻害剤の開発につながり得る。
【0147】
投与計画
いくつかの実施態様において、該治療方法は、例えば病院または他の患者ケア施設における重篤なハチ刺傷の第一選択治療として、毒注入からかなりの時間たった後に施される。
【0148】
毒注入の場合には、PLA2阻害剤は、好ましくは、本明細書に記載される野外、入院前、研究室、ベッドサイドまたは臨床の試験によって、毒注入またはPLA2レベルの抑制によって利益を得る他の事象が疑われてからまたは確認されてから、またはsPLA2レベルの上昇または脳浮腫またはAKIのような他の毒注入の指標が客観的または臨床的に疑われてから一定の時間内に、例えば、咬傷もしくは刺傷感染から0.1時間(すなわち、直後またはできる限り早く)〜24時間以内に、またはsPLA2レベルの上昇、毒注入または脳腫脹が生じたことを裏付ける他の対応する異常な検査値、および/または毒の毒性および/または脳腫脹を示唆する臨床的な徴候または症状の前に、または予防(例えば、職業上の曝露ハイリスク)として、投与される。
【0149】
いくつかの実施態様において、治療計画は、能力のある介護者(competent caregiver)(治療医)によって決定されるように、かなりの時間〜1日〜数週間〜数ヶ月または数年間にわたって延ばすことができる。経口投与および/または静脈点滴は、患者の便宜および寛容性にとって好ましい手段であり得る。経口投与では、毎回約0.01〜100mg/体重kg、例示的には約0.1mg/kg〜約10mg/kgの用量で、1日あたり1〜4回の経口投与。
【0150】
いくつかの実施態様において、PLA2阻害剤は、併用療法として使用され得る。いくつかの実施態様において、併用療法は、共製剤化される(例えば、単一の単位投与剤形中に一緒に混合されるか、配合される)か、または共投与される(共に、毒注入を治療するための治療過程の一部として投与される)、2つ以上の活性薬剤の投与を含み得る。共投与薬剤は、同時に(例えば、2つ以上の別々の単位投与剤形として、経口およびIV同時投与として、および同類のこととして)投与することができるか、またはほぼ同時に(同時発生的に)または連続して(例えば、お互いの1〜2分以内に、お互いに約10分以内に、お互いに約30分以内に、またはお互いに約60分以内に、またはお互いに90〜120分以内に、またはお互いに180分以内に)投与することができる。薬剤は、また、同一の治療過程の一部として異なる時間に投与し得る。例えば、患者に、同一の治療過程の一部として、一の薬剤を毎日投与し、第2の薬剤を週に1回投与し得る。同様に、患者は、同一の治療過程の一部として、疑われているかまたは確認された毒注入の急性治療を開始するための初期治療(例えば、バレスプラジブおよび/またはメチルバレスプラジブによる)を受け、その後(例えば、12時間以内、24時間以内、または36時間以内に)、第2の治療(例えば、抗毒または特異的抗トキシンIgG)を受けることができる。さらなる併用療法および共製剤の例は国際公開第2016081826A2号に詳述されている。
【0151】
一の実施態様において、PLA2阻害剤(例えば、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771またはAZD2716)は、毒注入を受けた対象体に、抗毒、特異的抗体または他の小分子MP阻害剤、または他の小分子SP阻害剤を投与することなく、投与される。いくつかのアプローチにおいて、バレスプラジブおよび/またはメチルバレスプラジブは、毒注入を受けた対象体に投与され、PLA2阻害剤投与後の期間に、抗毒、他の小分子MP阻害剤または他の小分子SP阻害剤の投与は行われない。この期間は、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間または少なくとも約24時間であり得る。他の実施態様において、バレスプラジブおよび/またはメチルバレスプラジブは、特異的または多価抗毒混合物と共投与または共製剤化され得る。
【0152】
投与経路
該治療は、ジェット式注入器、鼻腔内薬物送達デバイス、ネブライザー、定量噴霧式吸入器もしくはスプレーデバイスを包含するがこれに限定されない針ベースであり得る手動式または自動注入デバイスの使用、または丸剤、錠剤、エリキシル剤もしくは坐剤などの経口製剤の使用を挙げることができる種々の技法によって施され得る。
【0153】
いくつかの場合において、該治療は、最初に、針を介する注入または針を用いずに推進力を介する注入(例えば、ジェット式注入器またはエアゾール投与)によって、または経口的に施され、さらに、活性成分のレベルが患者においてその治療治療指数の上位レベルまで増加していくという理由または患者の状態が回復するかまたは少なくとも平衡状態にあるためにさらなる投与が不要になるという理由で患者をより伝統的な抗毒組成物に置く決定を含む何らかの理由で治療介入が停止されるような時間まで、患者において有効濃度の活性成分を維持するために活性成分の投与量がさまざまな投与経路によって提供される。
【0154】
いくつかの場合において、該治療は、注射用液剤(自動またはペン型注入デバイスと組み合わせた初期治療に好ましい)、散剤、リポソーム剤、軟膏剤および/またはエアゾール剤の剤形で施され得、また、特定の標的化のために別の化合物(例えば、ナノ粒子または抗体)にコンジュゲートした活性成分を含むことができる。さらなる投与経路の例はさらに国際公開第2016081826A2号に詳述されている。
【0155】
投与量
一般に、本明細書に記載の治療の投与量および投与経路は、標準的な製薬プラクティスに従って、対象体のサイズおよび状態に応じて決定される。用いられる投与レベルは、広範に変化し得、当業者が容易に決定することができる。典型的には、ミリグラムからグラムまでの量を用いることができる。投与される量は、特定の薬剤の薬理学的特性、およびその投与様式および投与経路;レシピエントの年齢、健康および体重;症状の性質および程度、併用治療の種類、治療回数、ならびに所望の効果などの既知の因子に応じて変化し得る。
【0156】
一般に、PLA2阻害剤は、治療有効量が受けられるように対象体に投与される。治療有効量は、慣用的には、個々の患者について、活性化合物を漸増用量で投与し、患者に対する効果、例えば、麻痺もしくは組織損傷の減少またはsPLA2活性レベル上昇の抑制、または膜翅目咬傷もしくは刺傷に関連する他の症状もしくは徴候または脳腫脹の減少を観察することによって、決定され得る。
【0157】
他の適応症のための臨床試験においてすでに試験された例示的な投与量は、本明細書に記載の膜翅目咬傷もしくは刺傷または他の適応症の治療のための治療範囲にある可能性が高い。例えば、Dennis, E.A.; et al. Phospholipase A2 enzymes: Physical structure, biological function, disease implication, chemical inhibition, and therapeutic intervention. Chem. Rev. 2011,111, 6130-6185, および Abraham, E. et al. Efficacy and safety of LY315920Na/S-5920, a selective inhibitor of 14-kDa group IIA secretory phospholipase A2, in patients with suspected sepsis and organ failure. Crit. Care Med. 2003, 31, 718-728(各々、出典明示により本明細書の一部を構成する)を参照。これらは、2.4〜4.8mg/kg/日を包含する。
【0158】
いくつかの実施態様において、該活性化合物は、動物において、0.01〜15,000ng/mlのsPLA2または他の阻害剤の血中濃度、好ましくは1〜1000ng/mlの濃度を達成するための方法および投与量で投与され得る。
【0159】
いくつかの場合において、sPLA2阻害剤は、毒PLA2のIC50と比べて、ヒトPLA2のIC50が低い。いくつかの実施態様において、毒PLA2のIC50は、ヒトPLA2について既知のものと同等、10倍、100倍、1000倍、またはそれ以下である。
【0160】
いくつかの場合において、活性化合物の日用量は、約0.1〜500mg/体重kgであり得る。通常、1日1〜6回の分割投与または持続放出形態で投与される0.5〜50、好ましくは1〜25mg/kg/日が、望ましい結果を得るために有効である。患者の状態に応じて、ハチ刺傷誘発性状態の症状または徴候の発症前には、低用量範囲または高用量範囲が与えられ(すなわち、病院においてsPLA2レベルの上昇によって臨床的または潜在的に決定され)、一方、PLA2レベル上昇に対抗するために積極的介入が示される場合に高用量が与えられ得る。一般に、PLA2阻害剤は、治療有効量が受けられるように動物に投与される。治療有効量は、慣用的には、個々の患者について、活性化合物を漸増用量で投与し、患者に対する効果、例えば、麻痺もしくは組織損傷の減少またはPLA2活性レベル上昇の抑制、またはハチ刺傷に関連する他の症状もしくは徴候の減少を観察することによって決定され得る。一般に、化合物は、動物において、0.01〜15,000ng/mlのsPLA2または他の阻害剤の血中濃度、好ましくは1〜1000ng/mLの濃度を達成するための方法および投与量で投与され得る。治療計画は、能力のある介護者(治療医)によって決定されるように、かなりの時間〜1日〜数週間〜数ヶ月または数年間にわたって延ばすことができる。経口投与および/または静脈点滴は、患者の便宜および寛容性にとって好ましい手段であり得る。経口投与では、毎回約0.01〜100mg/体重kg、例示的には約0.1mg/kg〜約10mg/kgの用量で、1日あたり1〜4回の経口投与。
【0161】
スタチンの治療有効投与量としては、他の適応症についての臨床試験ですでに試験されたものが挙げられる。例えば、Oliveira EF, et al., Expert Opin Ther Pat. 2016;26(11):1257-1272を参照。例示的な投与量範囲は、本明細書に記載の膜翅目咬傷もしくは刺傷または他の適応症の治療のための治療範囲にある可能性が高い。スタチンは、経口投与剤形を用いる慢性の脂質血症の治療に安全かつ有効であると決定された用量で投与され得る。いくつかの実施態様において、活性化合物は、動物において、0.01〜15,000ng/mlのスタチンの血中濃度、好ましくは1〜1000ng/mlの濃度を達成するための方法および投与量で投与され得る。スタチンの例示的な投与量範囲は、また、薬学的に許容される担体(賦形剤)によって分散、溶解または希釈した場合に約0.000001、0.00001、0.0001、0.001、0.01、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、230、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725〜約750μMまたは800、850、900、950もしくは1,000μMと高い濃度の間のスタチン濃度を得るのに十分なスタチンの量を含む。
【0162】
本発明に係る使用のための適応症(例えば、ミツバチもしくはヘビ毒注入または脳性マラリアの治療)は、緊急治療を必要とするため、経口投与よりもIVまたは液体製剤として投与され得る。いくつかの場合において、スタチンは、液体形態、例えば水溶性形態で投与され得る。薬学的に許容される担体(賦形剤)によって分散、溶解または希釈した場合に約500nMおよび10μMの間のスタチン濃度を得るのに十分なスタチンの例示的な投与量範囲。
【0163】
メタロプロテアーゼ阻害剤、PLA2阻害剤およびセリンプロテアーゼ阻害剤の例示的投与量範囲は、薬学的に許容される担体(賦形剤)によって分散、溶解または希釈した場合に約0.000001、0.00001、0.0001、0.001、0.01、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、230、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725〜約750μMまたは800、850、900、950もしくは1,000μMという高い濃度の間の阻害剤濃度を得るのに十分な阻害剤の量を包含する。これらの例示的投与量範囲は、本明細書に記載の補助治療薬にも適用される。約0.000001、0.00001、0.0001、0.001、0.01、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、230、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490〜約500μMの投与量が可能である)。さらなる投与量の例はさらに国際公開第2016081826A2号に詳述されている。
【0164】
製剤
PLA2阻害剤(例えば、バレスプラジブまたはメチルバレスプラジブ)を含み、本明細書に記載の他の活性化合物および1つ以上の薬学的に許容される賦形剤(例えば、生理食塩水)を含んでいてもよい製剤が提供される。一の態様において、該製剤は、例えば8.4%重炭酸塩58%v/vおよび10%デキストロース溶液42%v/vに溶解した場合、生理学的に許容されるpH(例えば、約7.4〜8.5)である。他には、4.2%または8.4%の重炭酸塩の有無に関係なく、さらなるデキストロースの有無に関係なく、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1のマンニトール:クエン酸塩:薬物の比が挙げられる。別の態様において、該製剤は、マンニトールの有無に関係なく、1:1、2:1、3:1、4:1、および5:1の糖:クエン酸塩:薬物の比で、ソルビトール、エリスリトールまたはその混合物のような他の糖を含む。該製剤は、薬物またはプロドラッグのより急速な溶解を可能にし得る。メチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、およびナノ粒子送達系は、経口製剤の吸収を改善するために使用され得る。該製剤は、貯蔵およびその後の使用に適しており、薬物、プロドラッグまたは組合せが長期間(例えば、貯蔵の間)無傷のままであり、個体(例えば、成人、小児または乳児)への投与の後に他の成分に関係なくバレスプラジブへ変換される。いくつかの実施態様において、薬物、プロドラッグまたは組合せは、ドライパウダーまたは散剤(特に、凍結乾燥散剤)として貯蔵され、該製剤は、投与前に該ドライパウダーを生理食塩水または他の希釈剤に溶解することによって生成される。一の態様において、製剤、例えば、親薬物(例えば、バレスプラジブ)の1ng/ml〜1ug/ml〜0.01mg/ml、0.1mg/ml、1mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、25mg/ml、50mg/ml、75mg/ml、100mg/mL、125mg/ml、150mg/mL、175mg/mL、または200mg/mlまたは400mg/mlまたは600mg/mlまたは800mg/mLまたは1000mg/mLのほぼいずれかのモル当量で薬物、プロドラッグまたは組合せを含む製剤が提供される(ここで、薬物、プロドラッグまたは組合せのモル当量とは、完全な変換後に所定量の親薬物を生じる、薬物、プロドラッグまたは組合せの量である)。本明細書に記載の薬物、プロドラッグまたは組合せの量(例えば、投与量)については、親薬物の量に対するプロドラッグのモル当量も考慮される。例えば、5ml、10mlまたは15mlのほぼいずれかまで(例えば、バレスプラジブのような親薬物の約1450mg〜約1600mgのプロドラッグ化学量論的等価量で)の単一のボーラス製剤もまた提供されるか、または丸剤、カプセル剤または経口エリキシル剤の例においては、10pM、100pM、1nM、10nM、50nM、100nM、200nM、500nM、1uM、10uM、100uMの血清濃度を達成するために1日1回、2回、3回の経口投与のための1mg〜100mg、250mg、500mg、1000mgであり、非ヒト動物においては1、10、25、50、100、150mg/kg/日までであるが、好ましくは0.5〜100mg/kg/日の単回投与または分割投与である。
【0165】
PLA2阻害剤は、製剤の0.01〜99.9重量%の濃度、または、場合によっては製剤の0.001〜99.9重量%の濃度で使用され得る。好ましくは、該医薬製剤は、単位投与剤形である。該単位投与剤形は、カプセル剤もしくは錠剤自体、またはこれらのいずれかの適切な数で有り得る。組成物中の単位用量中の活性化合物の量は、関与する特定の治療に応じて、約0.1〜約1000mgまたはそれ以上変化または調製することができる。
【0166】
例示的な実施態様
本開示に記載の方法の例示的で非限定的な実施態様を以下に示す。
【0167】
重要なことに、抗毒とは異なり、本発明の例示的な組成物は、毒注入部位に見られる神経系組織、血餅および/または壊死組織に拡散または浸透することができ、抗毒が示す影響が減少するかまたはわずかになる有効な治療を提供することができる。リドカインおよび/またはブピバカインの含有は、咬傷からの除痛および非経口メカニズムを使用する場合の薬物の送達に由来する痛みの予防ならびに一般的な鎮痛を潜在的に提供しながら、投与したらすぐに薬剤をその活性部位へより迅速に到達させるのを助けることができる。
【0168】
いくつかの実施態様において、特に、上記の化合物(好ましくは、小分子)の1つ以上を抗毒または特異的抗体または抗体断片と組み合わせる場合、これらの組成物は、例えば病院または他の患者ケア施設におけるヘビ咬傷または無脊椎動物咬傷もしくは刺傷の第一選択治療として、毒注入からかなりの時間たった後に投与され得る。
【0169】
一の実施態様において、本発明は、毒注入(例えば、例えば、本明細書において他に定義されたような、ミツバチ、スズメバチ、サソリ、クモ、刺胞動物または他の群飛性膜翅目による、有毒なヘビまたは膜翅目のような無脊椎動物の咬傷もしくは刺傷)の治療のための1つ以上の投与経路(特定の実施態様において、AZD2716は、インドキサムまたはメチルインドキサムと同様に経口投与される)による、単独のまたは少なくとも1つのさらなる生物活性剤(さらなるPLA2阻害剤を包含し、好ましくはバレスプラジブ、メチルバレスプラジブまたは{9−[(フェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸(LY433771)を包含する)と組み合わせた、少なくとも1つのPLA2阻害剤、例えば、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、[1,1'−ビフェニル]−3−プロパン酸、2'−(アミノカルボニル)−α−メチル−5'−(フェニルメチル)−,(αR)−(R)−7(AZD2716またはCAS1845753−81−2としても知られている)またはその生物学的に活性な類似体の使用方法に関する。
【0170】
一の実施態様において、本発明は、脳性マラリアの治療のための1つ以上の投与経路(特定の実施態様において、AZD2716は、インドキサムまたはメチルインドキサムと同様に経口投与される)による、単独のまたは少なくとも1つのさらなる生物活性剤(さらなるPLA2阻害剤を包含し、好ましくはバレスプラジブ、メチルバレスプラジブまたは{9−[(フェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸(LY433771)を包含する)と組み合わせた、少なくとも1つのPLA2阻害剤、例えば、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、[1,1'−ビフェニル]−3−プロパン酸、2'−(アミノカルボニル)−α−メチル−5'−(フェニルメチル)−,(αR)−(R)−7(AZD2716またはCAS1845753−81−2としても知られている)またはその生物学的に活性な類似体の使用方法に関する。
【0171】
一の実施態様において、本発明は、頭部外傷または外傷性脳損傷の治療のための1つ以上の投与経路(特定の実施態様において、AZD2716は、インドキサムまたはメチルインドキサムと同様に経口投与される)による、単独のまたは少なくとも1つのさらなる生物活性剤(さらなるPLA2阻害剤を包含し、好ましくはバレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、または{9−[(フェニル)メチル]−5−カルバモイルカルバゾール−4−イル}オキシ酢酸(LY433771を包含する)と組み合わせた、少なくとも1つのPLA2阻害剤、例えば、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、[1,1'−ビフェニル]−3−プロパン酸、2'−(アミノカルボニル)−α−メチル−5'−(フェニルメチル)−,(αR)−(R)−7(AZD2716またはCAS1845753−81−2としても知られている)またはその生物学的に活性な類似体の使用方法に関する。
【0172】
一の実施態様において、本発明は、毒注入後すぐにまたはできる限り早くに(しばしば、24時間以下、さらにしばしば、12時間以下、好ましくは、約6時間以下、さらに好ましくは約1時間以下、さらにしばしば、患者が毒注入を受けたという認識後すぐに)、ならびに、患者を病院またはさらなる診断および/または治療のために他のケア施設に連れて行くのに要する期間、1つ以上の投与経路(特に、AZD2716については経口投与を包含する)による、単独のまたは1つ以上のPLA2阻害剤(AZD2716は、好ましくは、特にバレスプラジブ、メチルバレスプラジブおよび/またはLY433771を包含する少なくとも1つのさらなるPLA2阻害剤と一緒に投与され得る)および/または本発明に有用な1つ以上のさらなる生物活性剤(メタロプロテイナーゼおよび/またはセリンプロテアーゼ(SP)および/またはアセチルコリンエステラーゼおよび/または他の毒成分の阻害剤を包含する)と組み合わせた、少なくとも1つのPLA2阻害剤、例えば、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)またはAZD2716、または、LY433771、またはその生物学的に活性な類似体の使用方法に関する。場合によっては、患者の状況および状態に応じて1つ以上の送達経路および製剤経路によって、その後1日〜数週間にわたって治療が提供される。いくつかの場合において、該方法は、毒注入(例えば、有毒な膜翅目咬傷または刺傷、例えば、本明細書において他に定義したようなミツバチ、スズメバチ、サソリ、クモ、刺胞動物または他の群飛性膜翅目咬傷または刺傷)の治療に使用され得る。いくつかの場合において、該方法は、脳性マラリアの治療に使用され得る。いくつかの場合において、該方法は、頭部外傷または外傷性脳損傷の治療に使用され得る。
【0173】
一の実施態様において、該方法は、毒注入または他の脳腫脹に苦しんでいる対象体を治療するための唯一の薬剤として、PLA2阻害剤(好ましくは、AZD2716および/またはLY43371、場合によっては1H−インドール−3−グリオキシルアミド、特にバレスプラジブ、メチルバレスプラジブまたはそれらの混合物)の有効量を用いる。
【0174】
別の実施態様において、1H−インドール−3−グリオキルアミド、例えばバレスプラジブおよび/またはメチルバレスプラジブおよび/または場合によっては3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、および/またはAZD2716および/またはLY43371および/またはインドキサムまたはメチルインドキサムおよび場合によってはカモスタット(N,N−ジメチルカルバモイルメチル,4−4−グアニジノベンゾイルオキシ−フェニルアセテートまたはカモステート)および/またはガベキサート(エチル−p[6−グアニジノヘキサノイルオキシ]−ベンゾエートメタンスルホネート)、好ましくは少なくともバレスプラジブは、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChI)(例えば、ネオスチグミン、エンドロホニウムまたはピリドスチグミン、各々好ましくはアトロピンまたはグリコピロレートと一緒に)と共投与されて、バレスプラジブおよび/またはメチルバレスプラジブ、カモスタットおよび/またはガベキサートによって有意な抗血液毒活性が付与される特に有効な普遍的抗麻痺薬を提供する。特定の実施態様において、投与されるべき組成物は、少なくともバレスプラジブまたはメチルバレスプラジブの有効量を含有する。
【0175】
いくつかの態様において、本発明は、毒注入または脳腫脹に苦しんでいる対象体を治療するための唯一の薬剤として、PLA2阻害剤(好ましくは、1H−インドール−3−グリオキルアミド、例えば、バレスプラジブおよび/またはメチルバレスプラジブおよび/または場合によっては3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、および/またはAZD2716および/またはLY43371および/またはインドキサムまたはメチルインドキサム)の有効量を使用する。バレスプラジブおよびメチルバレスプラジブは、ともに、強力なPLA2阻害を呈し、時々、メタロプロテイナーゼおよび/またはセリンプロテアーゼ阻害も呈し、毒注入を治療するために、単独で、または、AZD2716および/またはLY43371と組み合わせた選択的薬剤として大きな効果と組み合わせて、使用され得ることが発見された。別の実施態様において、本発明は、さらに、1つ以上のさらなるPLA2阻害剤および1つ以上のメタロプロテアーゼ阻害剤(例えば、プリノマスタット、マリマスタット、ボリノスタットまたはバチマスタット)を包含する1つ以上のさらなる薬剤の有効量、および局所的に使用する場合には1つ以上の少なくとも1つの拡散因子阻害剤(例えば、EMLAまたはLET)を含むことができる。
【0176】
いくつかの態様において、本発明は、毒注入または脳腫脹に苦しんでいる対象体を治療するための唯一の薬剤として、PLA2阻害剤(好ましくは、1H−インドール−3−グリオキルアミド、例えば、バレスプラジブおよび/またはメチルバレスプラジブおよび/または3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)および/または場合によってはAZD2716および/またはLY43371および/またはインドキサムまたはメチルインドキサム)の有効量を使用する。一の実施態様において、本発明は、さらに、例えばエピネフリンまたはジフェンヒドラミンを包含する1つ以上の薬剤の有効量を含むことができる。
【0177】
一の態様において、該治療方法は、毒注入に苦しんでいる対象体を治療するために、少なくとも1つのPLA2阻害剤(例えば、AZD2716および/またはLY43371)、および場合によって選択的PLA2阻害剤(有効なメタロプロテアーゼ阻害剤としても機能し得るPLA2阻害剤)、メタロプロテアーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、1つ以上のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体アンタゴニスト、L−アミノオキシダーゼ阻害剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤および拡散因子阻害剤からなる群から選択される少なくとも1つのさらなる薬剤を包含する、少なくとも1つの活性成分、いくつかの場合には少なくとも2つの活性成分および他の場合には2つまでの活性成分を使用する。初回投与は、毒注入時および毒注入後数時間(1分〜12時間)から約1時間未満まで、しばしば、約1分以下から約20分まで、しばしば、毒注入(例えばハチ刺傷による)の後約1分から10分までの範囲内あり得る。他の実施態様において、特に、上記の化合物(好ましくは、小分子)のうち1つ以上を抗毒と合わせた場合、これらの組成物は、毒注入からかなりの時間たった後、抗毒を受ける前または後、好ましくは前に、例えば病院または他の患者ケア施設におけるハチ刺傷の第一選択治療として、投与され得る。一の実施態様において、またはさらに、PLA2の連続投与が使用され得る。いくつかの態様において、本発明は、毒注入に苦しんでいる対象体を治療するための唯一の薬剤として、PLA2阻害剤(場合によっては、1H−インドール−3−グリオキルアミド、例えば、バレスプラジブおよび/またはメチルバレスプラジブおよび/または場合によってはAZD2716および/またはLY43371および/またはインドキサムまたはメチルインドキサム)としてAZD2716および/またはLY43371の有効量を使用する。
【0178】
ミツバチ毒PLA2阻害またはsPLA2をほとんど含まない毒(例えば、ブームスラン(Boomslang))に対する顕著な阻害を示さないが、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)および/またはAZD2716を使用する治療は、依然として、(例えば、実施例7におけるような腎臓の)終末器官構造および機能の生存および保存をもたらす。別の実施態様において、本発明は、さらに、とりわけ、1つ以上のさらなるPLA2阻害剤(本明細書において他に定義したような、しばしばインドキサムまたはメチル−インドキサム)、1つ以上のメタロプロテアーゼ阻害剤(例えば、マリマスタット、プリノマスタット、タノマスタット、ボリノスタット、バチマスタット、イロマスタット、および抗生物質、例えば、ドキシサイクリン、セフィキシムおよび他のセファロスポリン)、1つ以上のセリンプロテアーゼ阻害剤(例えば、いくつかの毒においてメタロプロテアーゼ阻害性効果も有するナファモスタット、ガベキサートおよびカモスタットまたはカモステート)、少なくとも1つの拡散因子阻害剤および少なくとも1つのNMDA受容体アンタゴニストを包含し、組成物が投与された領域において血流を増加させるために有効量で含むことができて、薬剤の活性部位への体内分布を増加させるために投与されるリドカインおよび/またはブピバカインを包含する、1つ以上のさらなる薬剤の有効量を含むことができる。
【0179】
別の実施態様において、1H−インドール−3−グリオキルアミド、例えば、バレスプラジブおよび/またはメチルバレスプラジブおよび/または場合によってはAZD2716および/またはLY43371および/またはインドキサムまたはメチルインドキサム、および/または3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)は、1つ以上のさらなるPLA2阻害剤と一緒に、少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害剤(例えば、プリノマスタット、マリマスタットまたはバチマスタット、好ましくは、プリノマスタット)と共投与される。
【0180】
特に、いくつかの態様において、これらの治療方法は、少なくとも初期段階で(例えば、咬傷直後から咬傷後約24時間までまたはそれ以上)、毒注入を受けた対象体の治療において抗毒の必要性を排除して、毒注入を受けた対象体を、抗毒剤または抗毒(例えば、特異的抗体)または小分子コンビネーション(しばしば、バレスプラジブ/メチルバレスプラジブ)を用いるさらなる診断および/または治療のために病院または他の患者ケア施設へ移動させることができる。抗毒剤および抗毒小分子コンビネーションは、MMP阻害剤、例えば、ドキシサイクリン、セフィキシムまたはプリノマスタットと組み合わせて投与され得る。全く予想外のことに、バレスプラジブおよび/またはメチルバレスプラジブは、単独で、昆虫による毒注入の作用を阻害するのに非常に有効である。ヘビ類による毒注入の阻害におけるそれらの影響は、国際公開第2016081826A2号において議論されている。他の実施態様において、バレスプラジブおよび/またはメチルバレスプラジブならびに場合によっては別のPLA2阻害剤(例えば、他の直接または間接的阻害剤のうちインドキサムまたはメチルインドキサム、例えばガベキサート)、およびプリノマスタット、ケモスタット、バチマスタットおよびマリマスタットのうちの1つ以上、およびアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ネオスチグミンおよび/またはアトロピン)と組み合わせてもよい、AZD2716および/またはLY43371の含有は、有毒動物が出血/凝固および麻痺への影響を介して効果を生じる領域において、毒注入を受けた対象体を治療するのに特に有用な組成物を提供する。
【0181】
別の実施態様において、該治療方法は、好ましくは毒注入時、およびしばしば毒注入後約1時間未満、約1分以下から約20分まで、しばしば、毒注入(例えば、膜翅目または群飛性膜翅目による)後約1分から約10分までに、毒注入に苦しんでいる対象体を治療するため、選択的sPLA2阻害剤、メタロプロテアーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、1つ以上のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤、またはmAChRアンタゴニストと対になるnAChRアゴニスト、NMDA受容体アンタゴニストおよび拡散因子阻害剤からなる群から選択される、少なくとも1つの活性成分(例えば、少なくともAZD2716および/またはLY43371)、いくつかの場合には少なくとも2つの活性成分および他の場合には2つまでの活性成分を包含する。
【0182】
別の実施態様において、該治療方法は、とりわけ、1つ以上のさらなるPLA2、MPまたはSP阻害剤(本明細書において他に定義したような、使用される場合には、しばしば、カモステートまたはガベキサート)、1つ以上のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、好ましくはネオスチグミンおよび/またはアトロピン)、1つ以上のメタロプロテアーゼ阻害剤(例えば、マリマスタット、ナファモスタットまたはプリノマスタット)、1つ以上のセリンプロテアーゼ阻害剤(例えば、ナファモスタット)、少なくとも1つの拡散因子阻害剤、および少なくとも1つのNMDA受容体アンタゴニストを包含し、薬剤の活性部位への体内分布を増加させるために組成物が投与された領域において除痛をもたらしながら血流を増加させるために有効量で含むことができるリドカインおよび/またはブピバカインを包含する、1つ以上のさらなる薬剤の有効量を含むことができる。特定の実施態様において、バレスプラジブおよび/またはメチルバレスプラジブと組み合わせていてもよい、小分子阻害剤、例えば、AZD2716および/またはLY43371は、毒注入の予想外に強力な治療を生じるために抗毒と組み合わせされる。
【0183】
別の実施態様において、該治療方法は、好ましくは毒注入時、およびしばしば毒注入後数時間から約1時間未満迄の間、しばしば、約1分以下から約20分まで、咬傷または刺傷(例えば、スズメバチまたはミツバチによる)後約1分から約10分までに、毒注入に苦しんでいる対象体を治療するために、選択的sPLA2阻害剤(有効なメタロプロテアーゼ阻害剤としても機能し得る)、メタロプロテアーゼ阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、1つ以上のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMD受容体アンタゴニスト、L−アミノオキシダーゼ阻害剤、ヒアルロニダーゼ阻害剤および拡散因子阻害剤からなる群から選択される、少なくとも1つの活性成分(少なくともAZD2716および/またはLY43371)、いくつかの場合には少なくとも2つの活性成分および他の場合には2つまでの活性成分を含む。
【0184】
一の実施態様において、AZD2716および/またはLY43371に加えて、1H−インドール−3−グリオキルアミド化合物、特にバレスプラジブおよび/またはメチルバレスプラジブ、および場合によってはSP阻害剤、例えば、カモスタット(N,N−ジメチルカルバモイルメチル,4−4−グアニジノベンゾイルオキシ−フェニルアセテートまたはカモステート)および/またはガベキサート(エチル−p[6−グアニジノヘキサノイルオキシ]−ベンゾエートメタンスルホネート)、好ましくは少なくともバレスプラジブからなる群から選択される少なくとも1つの薬剤は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChI)(例えば、ネオスチグミン、エンドロホニウム、またはピリドスチグミン、各々好ましくはアトロピンまたはグリコピロレートと一緒に)と共投与され、さらなる薬剤、バレスプラジブおよび/またはメチルバレスプラジブ、カモスタットおよび/またはガベキサートによって有意な抗血液毒活性が付与される特に有効な普遍的麻痺薬を提供するために使用される。特定の実施態様において、投与されるべき組成物は、少なくともAZD2716および/またはLY43371の有効量、ならびに場合によってはバレスプラジブ、または哺乳動物におけるそのプロドラッグとしてバレスプラジブに代謝されるメチルバレスプラジブを含有する。
【0185】
別の実施態様において、1つのさらなるPLA2阻害剤と組み合わせてもよい、少なくともAZD2716および/またはLY43371、ならびに場合によっては少なくともバレスプラジブおよび/またはメチルバレスプラジブ、好ましくは少なくともバレスプラジブは、少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害剤(例えば、プリノマスタット、マリマスタットまたはバチマスタット、好ましくはプリノマスタット)および/または少なくとも1つのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChEI)(例えば、ネオスチグミンおよび/またはアトロピン)と共投与される。特定のさらなる実施態様において、1つ以上のメタロプロテアーゼ阻害剤および1つ以上のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、ともに、毒注入を受けた対象体が死亡する可能性または毒注入によって誘発される出血、凝固または麻痺によって永久に衰弱する可能性を減少させるために、バレスプラジブおよび/またはメチルバレスプラジブと一緒に含まれる。
【0186】
一の実施態様において、本発明は、毒注入(例えば、ヘビ毒、または本明細書において他に定義したような、例えばミツバチ、スズメバチ、サソリ、クモ、刺胞動物または他の群飛性膜翅目による有毒膜翅目咬傷もしくは刺傷)の治療のための、少なくとも1つのスタチンと組み合わせていてもよい、少なくとも1つのPLA2阻害剤、例えば、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、[1,1'−ビフェニル]−3−プロパン酸、2'−(アミノカルボニル)−α−メチル−5'−(フェニルメチル)−,(αR)−(R)−7(AZD2716またはCAS1845753−81−2としても知られている)またはその生物学的に活性な類似体の使用方法に関する。
【0187】
一の実施態様において、本発明は、脳性マラリアの治療のための、少なくとも1つのスタチンと組み合わせていてもよい、少なくとも1つのPLA2阻害剤、例えば、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、[1,1'−ビフェニル]−3−プロパン酸、2'−(アミノカルボニル)−α−メチル−5'−(フェニルメチル)−,(αR)−(R)−7(AZD2716またはCAS1845753−81−2としても知られている)またはその生物学的に活性な類似体の使用方法に関する。
【0188】
一の実施態様において、本発明は、溶血の治療のための、少なくとも1つのスタチンと組み合わせていてもよい、少なくとも1つのPLA2阻害剤、例えば、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、[1,1'−ビフェニル]−3−プロパン酸、2'−(アミノカルボニル)−α−メチル−5'−(フェニルメチル)−,(αR)−(R)−7(AZD2716またはCAS1845753−81−2としても知られている)またはその生物学的に活性な類似体の使用方法に関する。
【0189】
一の実施態様において、本発明は、頭部外傷または外傷性脳損傷の治療のための、少なくとも1つのスタチンと組み合わせていてもよい、少なくとも1つのPLA2阻害剤、例えば、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、[1,1'−ビフェニル]−3−プロパン酸、2'−(アミノカルボニル)−α−メチル−5'−(フェニルメチル)−,(αR)−(R)−7(AZD2716またはCAS1845753−81−2としても知られている)またはその生物学的に活性な類似体の使用方法に関する。
【0190】
一の実施態様において、本発明は、肥満細胞症の治療のための、少なくとも1つのスタチンと組み合わせていてもよい、少なくとも1つのPLA2阻害剤、例えば、3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)、[1,1'−ビフェニル]−3−プロパン酸、2'−(アミノカルボニル)−α−メチル−5'−(フェニルメチル)−,(αR)−(R)−7(AZD2716またはCAS1845753−81−2としても知られている)またはその生物学的に活性な類似体の使用方法に関する。
【実施例】
【0191】
実施例1:インビトロ実験、PLA2阻害剤
ジヘプタノイルホスファチジルコリンの1,2−ジチオ類似体を使用してsPLA2活性を評価する実験を行った。ミツバチ毒PLA2対照は、100μg/mLのミツバチ毒PLA2溶液であり、キット(Abcamキットカタログ番号ab133089)から陽性対照として供給された。Yale Center for Molecular Discoveryにて、アッセイ最適化、スクリーニングおよび用量反応測定を行った。実験は、25mM Tris−HCl、pH7.5(Cayman Chemical, Ann Arbor, MI, USA)、10mM CaCl2(J. T. Baker)、100mM KCl(Sigma, St. Louis, MO, USA)、0.3%Triton X−100(Fluka)および454μM DTNB(Cayman Chemical)を含有するアッセイバッファー中にて行い、透明な未処理384ウェルプレート(Corning, Corning, NY, USA)中に置いた。毒(Miami Serpentarium, Punta Gorda, FL, USAおよびSigma)を、1Xリン酸緩衝生理食塩水(Lonza, Basel, Switzerland)で10,000μg/mLの濃度に再構成した。全てのケースで、Sigmaから購入した粗製未分画凍結乾燥毒(ノコギリヘビ(E. carinatus)およびラッセルクサリヘビ(D. russelli))またはMiami Serpentariumから購入した粗製未分画凍結乾燥毒(他の全て)を使用した。バレスプラジブおよびメチルバレスプラジブをChemietek(Indianapolis, IN, USA)から購入し、インビトロ実験のためにDMSOに溶解し、インビボ実験のために重炭酸塩/デキストロースに溶解した。0.375mM 1,2−ビス(ヘプタノイル)グリセロホスホコリン(Cayman Chemical)(sPLA2基質)による毒の活性は、室温で行った動力学的酵素アッセイに基づいて選択した。スクリーニングおよび効力研究のために毒の濃度を選択し、該研究において、毒不含対照ウェルのバックグラウンド活性と比較して高いsPLA2活性が観察され、60分目に無視できる基質欠乏があった。使用した装置は、Tecan Aquarius(Maennedorf, Switzerland)、Matrix PlateMatePlus(Hudson, NH, USA)、Titertek(Pforzheim, Germany)およびThermo(Hudson, NH, USA)Multidrop液体ディスペンサーおよびTecan infinite M1000(Maennedorf, Switzerland)プレートリーダーを含んでいた。阻害剤および用量反応試験のために、マルチチャンネルピペットマン(Matrix, Hudson, NH, USA)またはマルチドロップディスペンサー(Thermo, Hudson, NH, USAまたはTitertek, Pforzheim, Germany)を使用してヘビ毒またはミツバチ毒(+対照)10μLをアッセイプレートに添加した。アッセイにおける最終DMSO濃度は、0.1%である。次いで、最終アッセイ体積20μLに対して基質を10μL添加した。対照集団は、各プレートの複製ウェルに含まれていた。陰性対照ウェルは、小分子化合物を含まないビヒクル(DMSOのみ)であった。完全な毒物活性阻害をシミュレートする陽性対照は、毒を添加していないウェルであり、その代わりにアッセイバッファーを添加した。アッセイシグナルを、開始時、ならびに、室温で反応時間60分後および120分後に測定した。405nmで吸光度を測定するTecan infiniTe M1000プレートリーダーでシグナルを定量化した。開始時のシグナルを60分目または120分目のシグナルから差し引いた。これらのバックグラウンド補正値を、プレート内の複製陰性対照ウェルおよび陽性対照ウェルの平均に対して正規化した。正規化スケールを定義するために、完全な毒物活性を表している陰性対照ウェルシグナルの平均を100%効果に正規化し、毒物活性の完全な阻害を表している陽性対照ウェルシグナルの平均を0%効果に正規化した。また、それに応じて、プレート内のウェルを増減した。これらの計算は、MicroSoft Excelで行った。データをGraphPad Prism(6th edition, 2014, La Jolla, CA, USA)に転送し、プロットし、モデルに適合させて、IC50またはEC50値を決定することができた。有意さの試験は、スチューデントtによって計算され、他の全ては記述的だった。
【0192】
表1は、バレスプラジブ、メチルバレスプラジブ、LY433771および3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(表一における「化合物4」)は、北米、インド/アジアおよびヨーロッパからのマムシ毒と比べて、ミツバチ毒sPLA2に対するインビトロ阻害活性が非常に弱いことを示している。IC50(μM)は、インキュベーションの60の後のsPLA2阻害について発色アッセイを用いて算出した。試験した阻害剤は、ヘビ毒に対して高度な効力を示したが、ミツバチ毒sPLA2に対して臨床的に有意義な効力を有していなかった。
【0193】
【表1】
【0194】
実施例2:インビボ実験、PLA2阻害剤
CD−1マウス(Charles River Laboratories)を処理群(各々、n=10)に無作為に分けて、尾静脈に、ミツバチ毒(5mg/kg)を、バレスプラジブ(5mg/kgIV、投与直前に混合したか、または、最初に毒を投与し、連続して投与した)を用いてIV投与した。SQ投与については、最初に毒を投与し、次いで、バレスプラジブ15mg/kgをSQ経路(ここで、SQ=皮下)により投与した。Pacific Biolabs(Hercules, CA, USA)にて実験を行ったため、研究者らは実験を行わなず、ブラインドだった。毒性の徴候について約36時間動物をモニターした。36時間の観察の後、生存している動物を安楽死させた。組織は肉眼で検査されたが、さらなる処理のために収集されなかった。
【0195】
表2および図1は、ミツバチ毒で毒注入を受けたマウスの生存に対するPLA2阻害の効果を示している。5mg/kgのミツバチ毒のIV注射を受けているマウス10匹中10匹は、バレスプラジブ約10mg/kgで共処理した場合には30時間生存していた(表2、処理群1)が、ミツバチ毒(5mg/kg)で処理されたマウス10匹中7匹(70%)は、平均18時間以内に死亡し、3匹(30%)だけが観察期間の最後まで30時間生存していた(表2、処理群2)。図1は、高致死量のミツバチ毒IV投与後のPLA2阻害剤処理のさまざまな経路のマウスの生存率%を示している。別の静脈において10mg/kgのバレスプラジブで静脈内(IV)試験した場合(毒注入後1分)、5mg/kgのミツバチ毒を静脈内投与したマウス5匹の生存率は80%であった。毒注入直後に25mg/kgのバレスプラジブで皮下(SQ)試験した場合、5mg/kgのミツバチ毒を静脈内投与したマウス5匹の生存時間は、対照と比べて均一に延びた。5mg/kgのミツバチ毒だけを静脈内投与したマウス6匹の生存は16%(マウス6匹中1匹)だけであった。生存しているのは、不注意にも毒をIVではなくてSQで投与されたマウスであった。
【0196】
【表2】
【0197】
致死的な膜翅目毒注入の状況のマウスの延命効果は、ヒトおよびヘビ毒アッセイにおけるPLA2阻害剤の効力である<1/5,000〜1/100,000だけの活性を有するPLA2阻害剤(本実施例において、バレスプラジブ)に照らして驚くべきことである。インビトロで、バレスプラジブおよびメチルバレスプラジブは、例えば無脊椎動物毒およびヒト肥満細胞に典型的なIII型sPLA2アイソフォームであるミツバチ毒PLA2の強力な阻害剤ではない。同様に、化合物4は、いずれの濃度でもミツバチ毒に対して実質的に効果を有しない(表1を参照)。PLA2阻害の直接的効果および間接的効果はどちらもこの生存効果に関与しており、したがって、神経損傷および異常な補体媒介性溶血性貧血(例えば、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH))を誘発する、他の毒、細胞内寄生虫感染症およびそれらの後遺症(例えば、脳性マラリア)または外傷により誘発される病態の中でも、難治性凝固障害、組織損傷および腎不全の可能性を低めると考えられる。
【0198】
実施例3:溶血の予防:インビトロ実験、PLA2阻害剤
図2〜4は、エクスビボで、クエン酸塩/デキストロース生理食塩水中でマンニトールと組み合わせたバレスプラジブが、種々の無関連ヘビ毒(コブラ科(Elapid)、クサリヘビ科(viperid)、ナミヘビ科(colubrid))で処理されたヒト全血において肉眼的溶血を予防することを示している。図2において、高用量のヘビ毒に曝露され、バレスプラジブ/マンニトール/重炭酸塩/クエン酸塩/デキストロース(処理)または賦形剤(マンニトール/重炭酸塩/クエン酸塩/デキストロース)(対照)で処理した後、ヒト全血からデカンテーションされた、破壊された赤血球からの遊離ヘモグロビンを含有する上清中に、肉眼的溶血が見られる。各ケースで、処理ヒト血液(毒および薬物/賦形剤+/−対照)中で肉眼的溶血はなかった。各ケースで、毒/賦形剤のみの対照において明らかな肉眼的溶血があった。
【0199】
本実施例では、(1)毒:(a)ストック濃度10mg/mLのブームスラン(Dispholidus typus)(ナミヘビ科ヘビ)毒100μL、またはストック濃度1mg/mLのマルオアマガサヘビ(Banded Krait)(コブラ科)(Bungarus fasciatus)毒50μLを1:3で含む水中8.4%重炭酸塩および10%デキストロースに1:1で溶解したバレスプラジブ/マンニトール/クエン酸(比率1:2:1)100μL;または(2)クサリヘビ科毒:(a)ストック濃度6mg/mLまたはストック溶液10mg/mLのラッセルクサリヘビ(Russell's viper)(Daboia russelli)毒100μL、または(b)ストック濃度10mg/mLの西太平洋ガラガラヘビ(Western Pacific Rattlesnake)(Crotalus helleri)毒100μLを1:3で含む水中8.4%重炭酸塩および10%デキストロースに1:1で溶解したバレスプラジブ/マンニトール/クエン酸塩(比率1:2:1)100μLと一緒に60分間インキュベートした後、ヒト静脈血3ccを含有する試料を遠心分離した。対照試料は、賦形剤単独またはバレスプラジブ+賦形剤を含有した。各試料のヘマトクリット値を評価して、蒸留水で溶解した後の遊離ヘモグロビンの量(g/dL)を推定した。図3(上部)は、コブラ科(elapid)全対照試料(n=3)、クサリヘビ科(viperid)全対照試料(n=3)、コブラ科(elapid)全処理試料(n=3)およびクサリヘビ科(Viperid)全処理試料(n=3)の平均値である、対照試料および処理試料の対応する遊離ヘモグロビンのヘマトクリット値(g/dL)を示す。図3(下部)は、また、全対照試料(n=3)および全毒処理試料(n=3)の平均値を示す、マンニトールと合わせたバレスプラジブの毒/宿主PLA2阻害効果を適用する利点を示している。図4は、ヘビ科(コブラ科(Elapids)、ナミヘビ科(Colubrid)およびクサリヘビ科(Viperids))およびヘビ種による毒誘発性溶解の正規化した阻害パーセントを示している。
【0200】
実施例4:インビトロ実験、PLA2阻害剤+スタチン
図5A〜Bは、スタチンが、エクスビボで、コブラ科(elapid)毒で処理したヒト全血の溶血の防止に対するsPLA2阻害剤の効果を増強することを示している。図5Aにおいて、ヒト静脈血4ccを、可溶性シンバスタチン「InSol(登録商標)」(1uM)を含むかまたは含まずに、ストック濃度5mg/mLのハーレクインサンゴヘビ(M. Fulvius)毒50μLおよびsPLA2阻害剤(1uMのバレスプラジブ、または1uMの3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(本明細書おいて、以下、化合物4と記す))と一緒に90分間インキュベートした。対照試料は、薬物処理なしで毒を含有するか、または毒+シンバスタチンを含有した。図5Aに示されるヘモグロビン(Hgb)吸収スペクトルは、溶血の程度を示す吸光度対波長を提供する。図5Aは、化合物4+スタチンの抗溶血活性の増強を示している。試験した毒において、スタチンを添加してもバレスプラジブによる溶血の阻害は変化しないままであり、これは、sPLA2阻害剤へのスタチンの添加が有利であり得ることを示唆している。
【0201】
図5Bにおいて、可溶性シンバスタチン(1uM)を含むか含まずに、ストック濃度10mg/mLのブームスラン(Dispholidus typus)毒100μLおよび化合物4(1uM)と一緒にヒト静脈血3ccを90分間インキュベートした。対照試料は、未処理の血液を含有した。図5Bは、スタチンを含んだ場合および含まない場合の両方の場合の化合物4の抗溶血活性を示している。
【0202】
実施例5:インビトロ実験、PLA2阻害剤はヒスタミンを減少させ、浸透圧脆弱性から保護する
表3は、バレスプラジブおよび化合物4が、ともに、ヒト血液中におけるヒスタミン産生または放出を減少させることを示している。本実施例では、LRRになりやすいドナーからヒト血液3ccを採取し、Questコレクションプロトコル36586に従って氷上のQuestに輸送し、(a)マンニトール+化合物4(10uM)、(b)バレスプラジブ(10uM)、または(c)マンニトール単独(賦形剤)と一緒にインキュベートした。マンニトール単独対照と比較して、試料をヒスタミン血漿中濃度について処理した。
【0203】
【表3】
【0204】
図6は、PLA2阻害剤が、1/2生理食塩水(0.45%)中にてヒト赤血球を浸透圧脆弱性から保護することを示している。本実施例では、ヒト静脈血100μLを1/2生理食塩水中にて(a)可溶性シンバスタチン(1μM)、(b)バレスプラジブ(1μM)、(c)Me−バレスプラジブ(1μM)、(d)化合物4(1μM)、(e)化合物4+シンバスタチンまたは(f)マンニトール賦形剤単独(対照)と一緒に120分間インキュベートし、次いで、de Freitas et al J. Memb. Biol. 2010によって記載されているプロトコルに従って遠心分離した。表されるヘモグロビン(Hgb)吸収スペクトルは、溶血の相対的な程度を示す、吸光度対波長を提供する。図6は、シンバスタチンと化合物4の組合せは、赤血球を溶血から保護する化合物4の性能を改善したことを示している。化合物4は、スタチンの取り込みを阻害すると考えられるが、バレスプラジブと比較して実質的に同一のsPLA2効力を示している。Giordanetto, F., et al., ACS Med. Chem. Lett. 2016:7, 884-889を参照。化合物4がヘビ毒sPLA2に対してそれほど強力ではないこと、および、浸透圧脆弱性を促進する条件下でスタチンの添加が化合物4の赤血球破壊能を向上することは、驚くべきことであった。
【0205】
【表4】
【0206】
表4は、スタチンが、MPに対する効果が全くないかまたは最小であり、スクリーニングしたsPLA2毒、ハーレクインサンゴヘビ(M. fulvius)毒に対する効果は最小であるが驚くほど存在することを示している。図5および6に示されるとおり、化合物4(1B1を介してスタチン取り込みを阻害することが知られている)へのシンバスタチンの添加は、シンバスタチンを伴わない化合物4と比較して化合物4の性能を向上させ、バレスプラジブと比較して、高濃度のハーレクインサンゴヘビ(M. fulvius)(イースタンサンゴヘビ(eastern coral snake))毒およびD. typus(ブームスラン)毒に曝露した全血における溶血を減少させる。スタチンは、わずか10μMでハーレクインサンゴヘビ(M. fulvius)毒の毒由来のMPに対する効果が全くないかまたは最小であり、sPLA2に対する効果は以前には知られていなかった。種々のHMG−CoA還元酵素阻害剤(「スタチン」)によるハーレクインサンゴヘビ(M. fulvius)(イースタンサンゴヘビ(Eastern coral snake)、コブラ科(elapid))sPLA2阻害:シンバスタチン 16.41%、プラバスタチン 6.9%、メバスタチン 16.29%、ロバスタチン 11.09%。ニシダイヤガラガラヘビ(C. atrox)およびノコギリヘビ(E. carinatus)(Western diamondback rattlesnakeおよびSaw-scale vipers)についてのヘビ毒メタロプロテアーゼ阻害:ノコギリヘビ(E. carinatus)についてシンバスタチン −0.20〜4.61%;イタバスタチン 0.48〜5.09%;プラバスタチン 2.27〜4.02%;メバスタチン −1.89〜7.17%;ロバスタチン −1.89%。
【0207】
図7は、ブームスラン(boomslang)毒(MP含有量と比べてsPLA2含有量が非常に低い)またはミツバチ毒(III型sPLA2)による致死量以下の毒注入の場合、バレスプラジブおよび化合物4は、各々、マウスの腎臓を色素腎症、水腎症および他の大きな構造損傷から保護することが示している。上記実施例1に詳述したプロトコルに従って、単一用量のバレスプラジブ(LY315920)または3−(5'−ベンジル−2'−カルバモイルビフェニル−3−イル)プロパン酸(化合物4)を毒と同時に投与した。偽処理したマウスを対照として使用した。バレスプラジブ処理動物からの腎臓700は、急性腎障害の最小徴候を示している。化合物4処理動物から腎臓720は、インビトロでのヘビ毒に対する効力(IC50)が劣るにもかかわらず、バレスプラジブと比べて、急性腎障害の比較的わずかな徴候を示している。対照処理動物からの腎臓730は、色素腎症、出血および組織分解を包含する急性損傷の重篤な徴候を示している。これらの結果は、毒/毒−薬物投与の24時間後でさえ、毒sPLA2の直接阻害が最適以下であってもPLA2阻害剤が毒誘発性腎症から腎臓を保護することを示している。
【0208】
図8は、処理なしの場合800またはバレスプラジブ(LY315920)の初期投与に続いて経口メチルバレスプラジブ(LY333013)を食事中に自由に摂取した場合810の全ミツバチ(セイヨウミツバチ(Apis mellifera))毒による致死量以下の毒注入後のマウスの腎臓における色素腎症805および充血のレベル低下を示している。上記実施例1において詳述したプロトコルに従って、単一投与のバレスプラジブ(LY315920)をミツバチ毒と同時に投与した。この後、LY315920処理マウスにメチルバレスプラジブ(LY333013)を自由に摂取させ、対照マウスには賦形剤のみを含有する食餌を与えた。腎臓は、毒注入の36時間後に検査され、AKIからの優れた保護を示した。該プロトコルは、また、IVおよびPO投与計画をどのように交換できるかを例示している。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
【国際調査報告】