特表2019-515045(P2019-515045A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-515045甲状腺ホルモン又はそのアナログを提供する組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-515045(P2019-515045A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(54)【発明の名称】甲状腺ホルモン又はそのアナログを提供する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/22 20060101AFI20190517BHJP
   A61K 47/58 20170101ALI20190517BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20190517BHJP
   A61K 9/22 20060101ALI20190517BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20190517BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20190517BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20190517BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190517BHJP
【FI】
   A61K38/22
   A61K47/58
   A61K9/10
   A61K9/22
   A61K47/38
   A61K47/32
   A61P5/14
   A61P43/00 111
   A61P43/00 121
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-510762(P2019-510762)
(86)(22)【出願日】2017年5月1日
(85)【翻訳文提出日】2018年12月26日
(86)【国際出願番号】US2017030435
(87)【国際公開番号】WO2017192458
(87)【国際公開日】20171109
(31)【優先権主張番号】62/331,148
(32)【優先日】2016年5月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/344,271
(32)【優先日】2016年6月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/583,695
(32)【優先日】2017年5月1日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】518392048
【氏名又は名称】スペクトリックス セラピューティクス, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】SPECTRIX THERAPEUTICS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100188352
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100113860
【弁理士】
【氏名又は名称】松橋 泰典
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(72)【発明者】
【氏名】テングラー マーク
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA22
4C076AA36
4C076AA38
4C076AA49
4C076AA53
4C076AA54
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4C084ZC061
4C084ZC062
4C084ZC751
4C084ZC752
(57)【要約】
本発明は、医薬組成物、並びに医薬組成物を作製及び使用する方法を含み、医薬組成物は、1又は2以上の甲状腺ホルモン又はそのアナログを含み、甲状腺ホルモンの第1の部分が即時放出されるように製剤化され、甲状腺ホルモンの第2の部分が、例えばイオン交換樹脂と薬物−樹脂粒子を形成することによって放出調節されるように製剤化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は2以上の甲状腺ホルモン又はそのアナログを含む医薬組成物であって、甲状腺ホルモンの第1の部分が即時放出されるように製剤化され、甲状腺ホルモンの第2の部分が放出調節されるように製剤化され、前記1又は2以上の甲状腺ホルモンが、甲状腺機能低下症を治療するために有効な量で提供される、前記医薬組成物。
【請求項2】
甲状腺ホルモンの第1又は第2の部分の少なくとも1つがイオン樹脂に結合しており、前記1又は2以上の甲状腺ホルモンが、T4、T3、T4若しくはT3 N−メチル、T4若しくはT3 N−エチル、T4若しくはT3 N−トリフェニル、T4若しくはT3 N−プロピル、T4若しくはT3 N−イソプロピル、T4若しくはT3−N−第三級ブチル、GC−1、DIPTA、テトラック、又はトリアックの少なくとも1つから選択され、放出調節甲状腺ホルモンがT3であってもよい、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1又は2以上の薬学的に許容される担体、1又は2以上の追加の生物活性物質をさらに含み、甲状腺機能低下症の治療に適用される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
甲状腺ホルモンの少なくとも1つがT4又はT3であり、イオン交換樹脂が、結合したホルモンの結晶構造における多形性を防止する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
甲状腺ホルモンの樹脂への結合が、製造を容易にするのを助け、投薬における一貫性を増加させるための幾何学的希釈を提供する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
液体懸濁剤、チュアブル組成物、口腔内崩壊錠、舌下錠、放出調節口腔内崩壊錠、又は嚥下錠組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
1又は2以上の甲状腺ホルモンがT4及びT3であり、T4:T3の比率が1:1〜20:1で提供される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
イオン交換樹脂の粒子が、酸性陽イオン交換樹脂、塩基性陰イオン交換樹脂であり、それらが、pHの変化によって引き起こされるトリガー放出コーティング又は非pH依存的放出制御コーティングによってコーティングされていてもよい、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が、コーティングされており、前記コーティングが、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、カルボキシメチルエチルセルロース、共重合メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル、共重合メタクリル酸/アクリル酸エチルエステル、又はそれらの混合物の少なくとも1つから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
1又は2以上の甲状腺ホルモンの量が、1用量当たりレボチロキシンナトリウム0.013〜0.30mg当量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
第1の甲状腺ホルモンの40%超、50%超、60%超、70%超、又は80%超が、インビトロでの溶解アッセイに製品を導入後最初の45分以内に放出され、前記溶解アッセイの条件が、0.1N HClの初回溶解培地であり、2時間後、培地のpHを約6.8に調節し、前記溶解アッセイがUSP Apparatus 2を使用して実施される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
本質的に少なくとも2つの甲状腺ホルモン又はそのアナログからなり、第1の甲状腺ホルモン又はそのアナログが、即時放出されるように製剤化され、第2の甲状腺ホルモン又はそのアナログがイオン樹脂粒子に結合しており、薬物−樹脂粒子が、コーティングされていなくてもよいし、又は即時放出コーティングによってコーティングされていてもよく、前記薬物の少なくとも80%が1時間以内に放出され、前記1又は2以上の甲状腺ホルモンが、T4、T3、T4若しくはT3 N−メチル、T4若しくはT3 N−エチル、T4若しくはT3 N−トリフェニル、T4若しくはT3 N−プロピル、T4若しくはT3 N−イソプロピル、T4若しくはT3−N−第三級ブチル、GC−1、DIPTA、テトラック、又はトリアックの少なくとも1つから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
イオン交換樹脂粒子と複合体を形成して薬物−樹脂粒子を形成する甲状腺ホルモンを含む医薬組成物であって、前記組成物が、第1の複数の即時放出薬物−樹脂粒子と、放出調節されるようにコーティングされた第2の複数の薬物−樹脂粒子とを含み、前記組成物が、第1及び第2のピークを有するインビボでの絶食時血清中プロファイルを有し、前記第1のピークが前記組成物を摂取してから3時間以内に起こり、前記第2のピークが摂取してから3時間より後に起こる、前記医薬組成物。
【請求項14】
医薬組成物を作製する方法であって:
1又は2以上の甲状腺ホルモン又はそのアナログをイオン交換樹脂粒子に結合させて薬物−樹脂粒子を形成するステップを含み、甲状腺ホルモンの第1の部分の少なくとも30重量%又は30重量%超が、甲状腺機能低下症を治療するために有効な量で即時放出されるように製剤化され、
甲状腺ホルモンの第2の部分が放出調節されるように製剤化され、1又は2以上の薬学的に許容される担体を含んでいてもよい、前記方法。
【請求項15】
1又は2以上の甲状腺ホルモンが、T4、T3、T4又はT3 N−メチル、T4又はT3 N−エチル、T4又はT3 N−トリフェニル、T4又はT3 N−プロピル、T4又はT3 N−イソプロピル、T4又はT3−N−第三級ブチル、GC−1、DIPTA、テトラック、及びトリアックから選択され、放出調節甲状腺ホルモンがT3であってもよい、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
組成物が、1又は2以上の薬学的に許容される担体、1又は2以上の追加の生物活性物質をさらに含み、前記組成物が甲状腺機能低下症の治療に適用される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
甲状腺ホルモンの少なくとも1つがT4又はT3であり、イオン交換樹脂が、結合したホルモンの結晶構造における多形性を防止する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
製造を容易にするのを助け、投薬における一貫性を増加させる幾何学的希釈を提供する樹脂に、甲状腺ホルモンを結合させるステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
組成物を、液体懸濁剤、チュアブル組成物、口腔内崩壊錠、舌下錠、放出調節口腔内崩壊錠、又は嚥下錠として製剤化するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
1又は2以上の甲状腺ホルモンがT4及びT3であり、T4:T3の比率が1:1〜20:1で提供される、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
樹脂粒子が、酸性陽イオン交換樹脂又は塩基性陰イオン交換樹脂の少なくとも1つから選択されるイオン交換樹脂粒子であり、前記樹脂粒子が、pHの変化によって引き起こされるトリガー放出コーティング又は非pH依存的放出制御コーティングによってコーティングされていてもよい、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、カルボキシメチルエチルセルロース、共重合メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル、共重合メタクリル酸/アクリル酸エチルエステル、又はそれらの混合物の少なくとも1つから選択されるコーティングによって組成物をコーティングするステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
1又は2以上の甲状腺ホルモンの量が、1用量当たりレボチロキシンナトリウム0.013〜0.30mg当量である、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
第1の甲状腺ホルモンの40%超、50%超、60%超、70%超、又は80%超が、インビトロでの溶解アッセイに製品を導入後最初の45分以内に放出され、前記溶解アッセイの条件が、0.1N HClの初回溶解培地であり、2時間後、培地のpHを約6.8に調節し、前記溶解アッセイがUSP Apparatus 2を使用して実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
放出調節のために提供される甲状腺ホルモンの第2の部分が、10重量%超を構成する、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
甲状腺ホルモン又はそのアナログをイオン交換樹脂粒子に結合させて薬物−樹脂粒子を形成させるステップをさらに含み、薬物−樹脂粒子において少なくとも30%超の重量増加が起こる、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
甲状腺機能低下症を治療するために有用であると考えられる製剤を評価する方法であって:
(a)甲状腺機能低下症を有することが疑われる対象の第1のセットからの1又は2以上の甲状腺ホルモンの血中レベルを測定するステップ;
(b)患者の第1のサブセットに製剤を投与し、患者の第2のサブセットにプラセボを投与するステップであって、前記製剤が、1又は2以上の甲状腺ホルモン又はそのアナログを含み、甲状腺ホルモンの第1の部分が即時放出されるように製剤化され、甲状腺ホルモンの第2の部分が放出調節されるように製剤化され、前記1又は2以上の甲状腺ホルモンが、甲状腺機能低下症を治療するために有効な量で提供される、ステップ;
(c)前記製剤又は前記プラセボの投与後にステップ(a)を繰り返すステップ;及び
(d)前記製剤が、患者の前記第2のサブセットで起こる何らかの低減と比較して統計学的に有意である甲状腺機能低下症の数を低減するか否かを決定するステップを含み、統計学的に有意な低減は、製剤が甲状腺機能低下症の治療において有用であることを示す、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、甲状腺ホルモン又はそのアナログを送達するための組成物及び方法の分野、並びにより詳細には甲状腺ホルモンを送達するための新規製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の範囲を制限することなく、以下の背景を甲状腺機能低下症の治療に関連して記述する。
【0003】
Davis, et alに発行された米国特許第9,220,788号明細書の表題は、「Nanoparticle and polymer formulations for thyroid hormone analogs, antagonists, and formulations and uses thereof.」である。簡単に説明すると、当該発明は、対象における血管新生を促進又は阻害するために、甲状腺ホルモンアゴニスト、部分アゴニスト、又はそのアンタゴニストのポリマーナノ粒子型の有効量を投与するステップを含む、血管新生に関連する状態を有する対象を治療する方法を含むことを述べている。
【0004】
Garavaniに発行された米国特許第7,723,390号明細書の表題は、「Pharmaceutical formulations for thyroid hormones」である。簡単に説明すると、当該発明は、甲状腺障害の症例において規定された厳密な治療指数の枠組みの中で安全かつ安定な経口投与を可能にする、甲状腺ホルモンに基づく医薬製剤を提供することを述べている。
【0005】
Moncrief, et al.によって出願された米国特許出願公開第20070099841号明細書の表題は、「Prodrugs of T3 and T4 with enhanced bioavailability」である。これらの出願は、T3及び/又はT4を含むアミノ酸及びペプチドコンジュゲートの組成物の教示を述べている。T3又はT4は、ペプチド担体のN末端、C末端、側鎖を介して少なくとも1つのアミノ酸に共有結合しているか、及び/又はペプチド鎖内に散在している。同様に、活性薬剤を保護及び投与する方法、並びに甲状腺障害を治療する方法が考察されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第9,220,788号明細書
【特許文献2】米国特許第7,723,390号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第20070099841号明細書
【発明の概要】
【0007】
一実施形態において、本発明は、1又は2以上の甲状腺ホルモン又はそのアナログを含む医薬組成物であって、甲状腺ホルモンの第1の部分が、即時放出されるように製剤化され、甲状腺ホルモンの第2の部分が、放出調節されるように製剤化されている、医薬組成物を含む。一態様において、甲状腺ホルモンの第1又は第2の部分の少なくとも1つは、イオン樹脂に結合している。別の態様において、1又は2以上の甲状腺ホルモンは、T4、T3、T4又はT3 N−メチル、T4又はT3 N−エチル、T4又はT3 N−トリフェニル、T4又はT3 N−プロピル、T4又はT3 N−イソプロピル、T4又はT3−N−第三級ブチル、GC−1、DIPTA、テトラック、及びトリアックから選択される。別の態様において、1又は2以上の甲状腺ホルモンは、甲状腺機能低下症を治療するために有効な量で提供される。別の態様において、組成物は、1又は2以上の薬学的に許容される担体をさらに含む。別の態様において、組成物は、1又は2以上の追加の生物活性物質をさらに含む。別の態様において、組成物は、甲状腺機能低下症の治療に適用される。別の態様において、甲状腺ホルモンの少なくとも1つは、T4又はT3であり、イオン交換樹脂は、結合したホルモンの結晶構造における多形性を防止する。別の態様において、甲状腺ホルモンの樹脂への結合は、製造を容易にするのを助け、投薬における一貫性を増加させる幾何学的希釈(geometric dilution)を提供する。別の態様において、放出調節甲状腺ホルモンはT3である。別の態様において、組成物は、液体懸濁剤、チュアブル組成物、口腔内崩壊錠、舌下錠又は嚥下錠(swallowed tablet)組成物である。別の態様において、1又は2以上の甲状腺ホルモンはT4及びT3であり、T4:T3の比率が1:1〜20:1で提供される。別の態様において、組成物は放出調節口腔内崩壊錠である。別の態様において、イオン交換樹脂粒子は酸性陽イオン交換樹脂である。別の態様において、イオン交換樹脂粒子は塩基性陰イオン交換樹脂である。別の態様において、組成物はコーティングされており、1又は2以上の放出調節薬物樹脂粒子のコーティングは、pHの変化によって引き起こされるトリガー放出コーティングを含む。別の態様において、組成物は、コーティングされており、コーティングは、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、カルボキシメチルエチルセルロース、共重合メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル、共重合メタクリル酸/アクリル酸エチルエステル、又はそれらの混合物の少なくとも1つから選択される。別の態様において、放出調節コーティングは、非pH依存的放出制御コーティングである。別の態様において、1又は2以上の甲状腺ホルモンの量は、1用量当たりレボチロキシンナトリウム0.013〜0.30mg当量である。別の態様において、第1の甲状腺ホルモンの40%、50%、60%、70%、又は80%超が、インビトロでの溶解アッセイに製品を導入後最初の45分以内に放出され、溶解アッセイの条件は、0.1N HClの初回溶解培地であり、2時間後、培地のpHを約6.8に調節し、USP Apparatus 2(米国薬局方、装置2)を使用して溶解アッセイを実施する。別の態様において、組成物は、表1、2、又は3に記載される通りである。
【0008】
本発明の別の実施形態は、イオン交換粒子と複合体を形成して薬物樹脂粒子を形成する甲状腺ホルモンを含む医薬組成物であって、第1の複数の即時放出薬物樹脂粒子と、放出調節されるようにコーティングした第2の複数の薬物樹脂粒子とを含み、組成物が、第1及び第2のピークを有するインビボでの絶食時血清中プロファイルを有し、第1のピークが組成物を摂取してから3時間以内に起こり、第2のピークが摂取してから3時間より後に起こる、医薬組成物である。
【0009】
本発明のなお別の実施形態は、医薬組成物を作製する方法であって、甲状腺ホルモン又はそのアナログをイオン交換樹脂粒子に結合させて薬物−樹脂粒子を形成するステップを含み、甲状腺ホルモンの第1の部分の少なくとも30重量%又は30重量%超が即時放出されるように製剤化され、甲状腺ホルモンの第2の部分が放出調節されるように製剤化される、方法を含む。別の態様において、第1及び第2の甲状腺ホルモンは、T4、T3、T4又はT3 N−メチル、T4又はT3 N−エチル、T4又はT3 N−トリフェニル、T4又はT3 N−プロピル、T4又はT3 N−イソプロピル、T4又はT3−N−第三級ブチル、GC−1、DIPTA、テトラック(Tetrac)、及びトリアック(Triac)の少なくとも1つから選択される。別の態様において、1又は2以上の甲状腺ホルモンは、甲状腺機能低下症を治療するために有効な量で提供される。別の態様において、組成物は、1又は2以上の薬学的に許容される担体をさらに含む。別の態様において、組成物は、1又は2以上の生物活性物質をさらに含む。別の態様において、組成物は、甲状腺機能低下症の治療に適用される。別の態様において、1又は2以上の甲状腺ホルモンは、T4及びT3であり、イオン交換樹脂は、結晶構造における多形性を防止する。別の態様において、放出調節甲状腺ホルモンはT3である。別の態様において、組成物は、液体懸濁剤、チュアブル組成物、口腔内崩壊錠、舌下錠又は嚥下錠組成物である。別の態様において、1又は2以上の甲状腺ホルモンはT4及びT3であり、T4:T3の比率が1:1〜20:1で提供される。別の態様において、組成物は、放出調節口腔内崩壊錠である。別の態様において、イオン交換樹脂粒子は、酸性陽イオン交換樹脂である。別の態様において、イオン交換樹脂粒子は塩基性陰イオン交換樹脂である。別の態様において、1又は2以上の徐放性薬物樹脂粒子のコーティングは、pHの変化によって引き起こされるトリガー放出コーティングを含む。別の態様において、コーティングは、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、カルボキシメチルエチルセルロース、共重合メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル、共重合メタクリル酸/アクリル酸エチルエステル、又はそれらの混合物の少なくとも1つから選択される。別の態様において、放出調節コーティングは、非pH依存的放出制御コーティングである。別の態様において、1又は2以上の甲状腺ホルモンの量は、1用量当たりレボチロキシンナトリウム0.013〜0.30mg当量である。別の態様において、第1の甲状腺ホルモンの40%、50%、60%、70%、又は80%超が、インビトロでの溶解アッセイに製品を導入後最初の45分以内に放出され、溶解アッセイの条件は、0.1N HClの初回溶解培地であり、2時間後、培地のpHを約6.8に調節し、USP Apparatus 2を使用して溶解アッセイを実施する。別の態様において、放出調節のために提供される甲状腺ホルモンの第2の部分は、10重量%超を構成する。別の態様において、組成物は、表1、2、又は3に記載される通りである。
【0010】
本発明のなお別の実施形態は、甲状腺機能低下症を治療するために有用であると考えられる製剤を評価する方法であって、(a)甲状腺機能低下症を有することが疑われる対象の第1のセットからの1又は2以上の甲状腺ホルモンの血中レベルを測定するステップ;(b)患者の第1のサブセットに製剤を投与し、患者の第2のサブセットにプラセボを投与するステップ;(c)製剤又はプラセボの投与後にステップ(a)を繰り返すステップ;及び(d)製剤が、患者の第2のサブセットで起こる何らかの低減と比較して統計学的に有意である甲状腺機能低下症の数を低減するか否かを決定するステップを含み、統計学的に有意な低減は、製剤が甲状腺機能低下症の治療において有用であることを示す、方法を含む。
【0011】
本発明のなお別の実施形態は、少なくとも2つの甲状腺ホルモン又はそのアナログを含む医薬組成物であって、第1の甲状腺ホルモン又はそのアナログが、即時放出されるように製剤化されており、第2の甲状腺ホルモン又はそのアナログがイオン樹脂粒子に結合している、医薬組成物を含む。一態様において、薬物−樹脂粒子は、コーティングされていなくてもよいし、又は即時放出コーティングによってコーティングされていてもよい。一態様において、薬物の少なくとも80%が、1時間以内に放出される。
【0012】
本発明のなお別の実施形態は、医薬組成物を作製する方法であって、甲状腺ホルモン又はそのアナログをイオン交換樹脂粒子に結合させて、薬物−樹脂粒子を形成するステップを含み、薬物−樹脂粒子の重量は少なくとも30%又は30%超増加する、方法を含む。一態様において、薬物−樹脂粒子は、コーティングされていなくてもよいし、又は即時放出コーティングによってコーティングされていてもよい。一態様において、薬物の少なくとも80%が、1時間以内に放出される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の様々な実施形態の作製及び使用を、以下に詳細に考察するが、本発明は、広く多様な特定の文脈において具体化することができる多くの応用可能な本発明の概念を提供すると認識すべきである。本明細書において考察する特定の実施形態は、本発明を作製及び使用するための特定の方法の単なる例証であり、本発明の範囲を定めるものではない。
【0014】
本発明の理解を容易にするために、多数の用語を以下に定義する。本明細書において定義される用語は、本発明に関連する分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「その(the)」等の用語は、単数形の実体のみを指すのではなく、特定の例を説明のために使用することができる一般的なクラスを含むと意図される。本明細書における用語は、本発明の特定の実施形態を説明するために使用されるが、その使用は、特許請求の範囲に概要されるものを除き、本発明の範囲を定めるものではない。
【0015】
本明細書において使用される用語「薬学的有効量」は、甲状腺機能低下症を低減及び/又は予防する、意図される効果を生じるために有効な薬剤の量を指す。甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの産生の減少によって引き起こされ得る。そのような要因は、疾患又は手術による甲状腺組織の喪失を含む。
【0016】
医薬組成物は、動物又は動物細胞株における薬学的使用にとって適切な組成物を指す。動物はヒト等の哺乳動物であり得る。本発明の医薬組成物は、1又は2以上の甲状腺ホルモン又はそのアナログの薬学的有効量を含み、薬学的に許容される樹脂を含んでいてもよい。
【0017】
本明細書において使用される用語「香料」は、医薬調製物に快適な芳香及びしばしば臭いを付与するために使用される化合物を意味すると意図される。天然の香料に加えて、多くの合成香料も同様に使用される。そのような化合物には、例としてアニス油、桂皮油、ココア、メントール、オレンジ油、ペパーミント油、及びバニリン等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0018】
本明細書において使用される用語「甘味剤」は、調製物に甘味を付与するために使用される化合物を意味すると意図される。そのような化合物には、例としてアスパルテーム、デキストロース、グリセリン、マンニトール、サッカリンナトリウム、ソルビトール、及びスクロース等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0019】
本明細書において使用される用語「錠剤用抗付着剤」は、錠剤成分が、製造時の打錠機器におけるパンチ及びダイに付着するのを防止する薬剤を意味すると意図される。そのような組成物には、例としてステアリン酸マグネシウム、タルク等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0020】
本明細書において使用される用語「錠剤用結合剤」は、錠剤の造粒において粉末粒子の付着を引き起こすために使用される物質を意味すると意図される。そのような化合物には、例としてアカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、圧縮用砂糖、エチルセルロース、ゼラチン、液体グルコース、メチルセルロース、ポビドン、及びアルファ化デンプン等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0021】
本明細書において使用される用語「錠剤及びカプセル剤用希釈剤」は、錠剤及びカプセル剤の調製において、所望のかさ、流動特性、及び圧縮特徴を生じさせるために充填剤として使用される不活性な物質を意味すると意図される。そのような化合物には、例として、リン酸水素カルシウム、カオリン、ラクトース、マンニトール、微結晶セルロース、粉末セルロース、沈殿炭酸カルシウム、ソルビトール、及びデンプン等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0022】
本明細書において使用される用語「直接打錠用賦形剤」は、直接打錠製剤に使用される化合物を意味すると意図される。そのような化合物には、例としてリン酸水素カルシウム等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0023】
本明細書において使用される用語「錠剤用崩壊剤」は、固体の塊の、より容易に分散又は溶解するより小さい粒子への崩壊を促進するために、固体剤形において使用される化合物を意味すると意図される。そのような化合物には、例としてアルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、微結晶セルロース、ポラクリリンカリウム、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、及びデンプン等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0024】
本明細書において使用される用語「錠剤用滑剤」は、打錠の際の摩擦を低減するために錠剤及びカプセル剤において使用される薬剤を意味すると意図される。そのような化合物には、例としてコロイド状シリカ、コーンスターチ、タルク等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0025】
本明細書において使用される用語「錠剤用滑沢剤」は、打錠の際の摩擦を低減するために錠剤において使用される物質を意味すると意図される。そのような化合物には、例としてステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0026】
本明細書において使用される用語「錠剤/カプセル剤用不透明化剤」は、カプセル剤又は錠剤コーティングを不透明にするために使用される化合物を意味すると意図される。不透明化剤を、単独で又は着色料と組み合わせて使用してもよい。そのような化合物には、例として二酸化チタン等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0027】
本明細書において使用される用語「錠剤用研磨剤」は、コーティングした錠剤に魅力的な光沢を付与するために使用される化合物を意味すると意図される。そのような化合物には、例としてカルナウバロウ、白ロウ等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0028】
医薬製剤の技術分野で使用される化合物は一般的に、多様な機能又は目的を果たすと理解すべきである。このため、本明細書で指定された化合物が、一度のみ言及されているか、又は本明細書において1つより多くの用語を定義するのに使用される場合、その目的又は機能が、(それらの)指定された目的(複数可)又は機能(複数可)のみに限定されないと解釈すべきである。
【0029】
経口治療的投与の場合、活性化合物を含有する粒子を、賦形剤と共に組み入れて、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハー等の形態で使用してもよい。そのような組成物及び調製物は、1用量当たり少なくとも最小の治療量を含有すべきである。組成物及び調製物の割合は当然、変化させることができ、好都合には単位重量の約0.01%〜約80%であり得る。そのような治療的に有用な組成物中の活性化合物を含有する粒子の量は、適切な投薬量が得られる量である。
【0030】
本発明を使用して有用な剤形を作製するための技術及び組成物は、以下の参考文献の1又は2以上に記載されている:Anderson, Philip O.; Knoben, James E.; Troutman, William G, eds., Handbook of Clinical Drug Data, Tenth Edition, McGraw-Hill, 2002; Pratt and Taylor, eds., Principles of Drug Action, Third Edition, Churchill Livingston, New York, 1990; Katzung, ed., Basic and Clinical Pharmacology, Ninth Edition, McGraw Hill, 2007; Goodman and Gilman, eds., The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Edition, McGraw Hill, 2001; Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Ed., Lippincott Williams & Wilkins., 2000; Martindale, The Extra Pharmacopoeia, Thirty-Second Edition (The Pharmaceutical Press, London, 1999);その全てが引用により本明細書に組み込まれており、同様に関連する部分が引用により本明細書に組み込まれている。
【0031】
例えば、1又は2以上の甲状腺ホルモンを錠剤に含んでもよい。錠剤は、例えば適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、着香料、流動誘導剤、及び/又は融解剤を含有してもよい。例えば、経口投与は、錠剤、ゲルキャップ剤、カプレット剤、又はカプセル剤の単位剤形(dosage unit form)において、活性薬構成要素を、非毒性の薬学的に許容される不活性な担体、例えばラクトース、ゼラチン、寒天、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール、又はそれらの混合物等と組み合わせたものであってもよい。本発明と共に使用するための適切な結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然の糖(例えば、グルコース又はベータ−ラクトース)、コーンシロップ、天然及び合成ゴム(例えば、アカシア、トラガカント、又はアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ロウ等が挙げられる。本発明と共に使用するための滑沢剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、それらの混合物等が挙げられ得る。崩壊剤には、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム、それらの混合物等が挙げられ得る。
【0032】
甲状腺ホルモン又はそのアナログをまた、薬物担体として又はプロドラッグとして、1又は2以上の可溶性、生分解性、生物許容性のポリマーにカップリングさせてもよい。そのようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド−ポリリジン、それらの混合物等が挙げられ得る。さらに、甲状腺ホルモン又はそのアナログを、甲状腺ホルモン又はそのアナログの放出制御を得るために1又は2以上の生分解性ポリマーにカップリングさせてもよく、本発明と共に使用するための生分解性ポリマーには、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマー、それらの混合物等が挙げられる。
【0033】
一実施形態において、ゼラチンカプセル剤(ゲルキャップ剤)は、甲状腺ホルモン又はそのアナログ、及び粉末担体、例えばラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸等を含み得る。同様に希釈剤も、打錠を作製するために使用してもよい。錠剤及びカプセル剤はいずれも、数分から数時間の期間で、ある範囲の薬剤放出を提供するために、即時放出、混合放出、又は放出調節製剤として製造してもよい。いかなる不愉快な味も隠すため及び大気から錠剤を保護するために、打錠を糖コーティング又はフィルムコーティングしてもよい。例えば消化管における選択的崩壊を提供するために、腸溶コーティングを使用してもよい。さらに、これらの特性を、同じ効果を達成するために粒子自身に直接付与することができる。
【0034】
液体剤形での経口投与の場合、経口薬物構成要素を、例えば、エタノール、グリセロール、水等の、いかなる経口の、非毒性の、薬学的に許容される不活性担体と組み合わせてもよい。適切な液体剤形の例には、水、薬学的に許容される脂肪及び油、アルコール、若しくはエステルを含む他の有機溶媒中の液剤又は懸濁剤、乳剤、シロップ剤若しくはエリキシル剤、懸濁剤、非発泡顆粒から再構成した液剤及び/又は懸濁剤、或いは発泡顆粒から再構成した発泡調製物が挙げられる。そのような液体剤形は、例えば適切な溶媒、保存剤、乳化剤、懸濁剤、希釈剤、甘味料、増粘剤、及び融解剤、それらの混合物等を含有し得る。
【0035】
経口投与のための液体剤形はまた、患者の許容性を増加させ、したがって投薬レジメンに対するコンプライアンスを増加させる着色剤及び着香料を含んでもよい。一般的に、水、適切な油、食塩水、デキストロース水溶液(例えば、グルコース、ラクトース及び関連する糖の溶液)及びグリコール(例えば、プロピレングリコール、又はポリエチレングリコール)を、非経口溶液のための適切な担体として使用してもよい。非経口投与のための溶液は一般的に、活性成分の水溶性の塩、適切な安定化剤、及び必要に応じて緩衝塩を含む。亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、及び/又はアスコルビン酸等の抗酸化剤は、単独又は組み合わせて、適切な安定化剤である。クエン酸及びその塩並びにEDTAナトリウムもまた、安定性を増加させるために含まれてもよい。加えて、非経口溶液は、薬学的に許容される保存剤、例えば塩化ベンザルコニウム、メチル若しくはプロピルパラベン、及び/又はクロロブタノールを含んでもよい。適切な薬学的担体は、関連する部分が引用により本明細書に組み込まれている、この分野における標準的な参考テキストであるRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Companyに記載されている。
【0036】
カプセル剤。カプセル剤は、標準的な2片の硬ゼラチンカプセルのそれぞれに、活性成分含有粒子10〜500ミリグラムを充填することによって調製してもよい。
【0037】
軟ゼラチンカプセル。活性粒子を大豆油、綿実油、又はオリーブ油等の消化可能な油に懸濁する。活性粒子を調製し、容積式ポンプを使用することによってゼラチンに注入し、例えば活性な甲状腺ホルモン10〜500マイクログラムを含有する軟ゼラチンカプセル剤を形成する。カプセルを洗浄して乾燥させる。
【0038】
錠剤。多数の錠剤を、従来の手順によって調製し、投薬量単位は、活性な甲状腺ホルモン10〜500マイクログラム、コロイド状二酸化ケイ素0.2ミリグラム、ステアリン酸マグネシウム5ミリグラム、微結晶セルロース50〜275ミリグラム、デンプン11ミリグラム、及びラクトース98.8ミリグラムであった。美味しさを増加させるため又は吸収を遅らせるために、適切なコーティングを適用してもよい。
【0039】
発泡錠を提供するために、例えばクエン酸一ナトリウム及び重炭酸ナトリウムの適した量を一緒にブレンドした後、水の非存在下、ローラー圧縮してフレークを形成し、これを破砕して顆粒を得る。次に顆粒を、甲状腺ホルモン粒子又はそのアナログ、薬物及び/又はその塩、通常のビーズ形成剤(beading agent)又は充填剤と混合し、さらに甘味料、香味料、及び滑沢剤と混合していてもよい。
【0040】
注射用液剤。注射による投与にとって適切な非経口組成物は、甲状腺ホルモン又はそのアナログの1.5重量%を脱イオン水中で攪拌し、例えば最大10容積%のプロピレングリコール及び水と混合することによって調製する。溶液を、塩化ナトリウムによって等張にし、例えば限外濾過を使用して滅菌する。
【0041】
懸濁剤。経口投与のための水性懸濁液を調製し、各5mlが、微粉化甲状腺ホルモン又はそのアナログ10〜500マイクログラム、カルボキシメチルセルロースナトリウム200mg、安息香酸ナトリウム5mg、U.S.P.(米国薬局方)ソルビトール溶液1.0g、及びバニリン又は適切な香料0.025mlを含有する。
【0042】
ミニ錠の場合、活性な甲状腺ホルモン粒子を、硬度0.5〜12Kpの範囲で錠剤に打錠する。最終的な錠剤の硬度は、顆粒の調製に使用したリニアローラー圧縮強度によって影響を受け、これは例えば炭酸水素一ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムの粒子サイズによって影響を受ける。粒子サイズがより小さい場合、約15〜20KN/cmのリニアローラー圧縮強度を使用してもよい。
【0043】
本発明はまた、例えば1又は2以上の甲状腺ホルモンの治療有効量を含む医薬組成物を含有する1又は2以上の容器を含む、甲状腺機能低下症の治療にとって有用な薬学的キットも含む。そのようなキットは、望ましければ、例えば、当業者に容易に明らかである1又は2以上の薬学的に許容される担体を有する容器、追加の容器等の、1又は2以上の様々な従来の薬学的キット構成要素を含んでもよい。投与される構成要素の量、投与のガイドライン、及び/又は構成要素を混合するためのガイドラインを示す、添付文書又はラベルのいずれかとしての印刷された使用説明書も同様にキットに含んでもよい。明記された材料及び条件は、本発明の実践において重要であるが、明記されていない材料及び条件は、それらが実現される本発明の利益を妨害しない限り、除外されないと理解すべきである。
【0044】
一例において、本発明は、1又は2以上の甲状腺ホルモン又はそのアナログを含む医薬組成物であって、第1の甲状腺ホルモンが即時放出されるように製剤化され、第2の甲状腺ホルモンが放出調節されるように製剤化されている、医薬組成物を含む。例えば、甲状腺ホルモンの1又は2以上は、イオン樹脂に結合している。本発明と共に使用するための1又は2以上の甲状腺ホルモンの非制限的な例は、T4、T3、T4又はT3 N−メチル、T4又はT3 N−エチル、T4又はT3 N−トリフェニル、T4又はT3 N−プロピル、T4又はT3 N−イソプロピル、T4又はT3−N−第三級ブチル、GC−1、DIPTA、テトラック、及びトリアックから選択することができる。2又は3以上の甲状腺ホルモンが、甲状腺機能低下症を治療するために有効な量で提供される。
【0045】
2又は3以上の甲状腺ホルモンに加えて、本発明の組成物は、甲状腺ホルモン又はそのアナログの活性を増強するために役立つ1又は2以上の生物活性物質をさらに含んでもよい。一般的に組成物は、同等のホルモンの最も一般的な投薬量を提供することによって、甲状腺機能低下症の治療に適用される。
【0046】
1つの特定の実施形態において、2又は3以上の甲状腺ホルモンは、結晶構造における多形性を防止するイオン交換樹脂に結合したT4及び/又はT3である。別の例において、甲状腺ホルモンの樹脂への結合は、製造を容易にするために役立ち、及び投薬における一貫性を増加させる幾何学的希釈を提供する。しばしば、放出調節甲状腺ホルモンはT3である。本発明の組成物は、液体懸濁剤、チュアブル組成物、口腔内崩壊錠、又は嚥下錠組成物として製剤化することができる。
【0047】
別の特定の例において、2又は3以上の甲状腺ホルモンはT4及びT3であり、T4:T3の比率が1:1〜20:1で提供される。これらのホルモンは、放出調節口腔内崩壊錠として提供することができる。例えば、T4、T3、及び/又はそのアナログを、酸性の陽イオン交換樹脂であるイオン交換樹脂粒子に結合させることができる。例えば、イオン交換樹脂粒子は、塩基性陰イオン交換樹脂であり得る。樹脂をさらにコーティングしてもよく、例えば、1又は2以上の放出調節薬物樹脂粒子のコーティングは、pHの変化によって引き起こされるトリガー放出コーティングを含む。本発明と共に使用するためのコーティングのある特定の非制限的な例には、例えば、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、カルボキシメチルエチルセルロース、共重合メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル、共重合メタクリル酸/アクリル酸エチルエステル、又はそれらの混合物が挙げられる。放出調節コーティングは、非pH依存的放出制御コーティングでもあり得る。
【0048】
本発明の投薬量は、個々のユーザーの要求を満たすために変化させることができ、或いは最も一般的に使用される量に基づいて1若しくは2以上の甲状腺ホルモン又はその同等物の特定の量を有する大きいバッチで産生することができる。例えば1又は2以上の甲状腺ホルモンの量は、1用量当たりレボチロキシンナトリウム0.013〜0.30mg当量であり得る。
【0049】
イオン交換樹脂及びコーティングは、第1の甲状腺ホルモンの40%超が、インビトロでの溶解アッセイに製品を導入後最初の45分以内に放出されるように選択することができ、溶解アッセイの条件は、0.1N HClの初回溶解培地であり、2時間後、培地のpHを約6.8に調節し、溶解アッセイを、USP Apparatus 2を使用して実施する。
【0050】
本発明の別の例は、イオン交換樹脂粒子と複合体を形成して薬物−樹脂粒子を形成する甲状腺ホルモンを含む医薬組成物であって、第1の複数の即時放出薬物樹脂粒子と、放出調節コーティングでコーティングされた第2の複数の薬物樹脂粒子とを含み、組成物が、第1及び第2のピークを有するインビボでの絶食時血清中プロファイルを有し、第1のピークが組成物を摂取してから3時間以内に起こり、第2のピークが摂取してから3時間より後に起こる、医薬組成物を含む。
【0051】
本発明の別の例は、医薬組成物を作製する方法であって、1又は2以上の甲状腺ホルモン又はそのアナログをイオン交換樹脂粒子に結合させて薬物−樹脂粒子を形成するステップを含み、第1の甲状腺ホルモンの少なくとも30重量%又は30重量%超が即時放出されるように製剤化され、第2の甲状腺ホルモンが放出調節のために製剤化される、方法を含む。
【0052】
本発明の別の例は、甲状腺機能低下症を治療するために有用であると考えられる製剤を評価する方法であって、a)甲状腺機能低下症を有することが疑われる対象の第1のセットからの1又は2以上の甲状腺ホルモンの血中レベルを測定するステップ;b)患者の第1のサブセットに製剤を投与し、患者の第2のサブセットにプラセボを投与するステップ;c)製剤又はプラセボの投与後にステップa)を繰り返すステップ;及びd)製剤が、患者の第2のサブセットで起こる何らかの低減と比較して統計学的に有意である甲状腺機能低下症の数を低減するか否かを決定するステップを含み、統計学的に有意な低減は、製剤が甲状腺機能低下症の治療において有用であることを示す、方法を含む。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
本明細書において考察したいかなる実施形態も、本発明の任意の方法、キット、試薬、又は組成物に関連して実施することができ、及びその逆も同様であると企図される。さらに、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するために使用することができる。
【0060】
本明細書に記載の特定の実施形態は、説明するために示されており、本発明の制限として示されるのではないと理解される。本発明の主な特色は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態に用いることができる。当業者は、単なる通例の実験を使用して、本明細書に記載の特定の手順に対する多数の均等物を認識する、又は確認することができる。そのような均等物は、本発明の範囲内であると考えられ、特許請求の範囲によって網羅される。
【0061】
本明細書において言及した全ての刊行物及び特許出願は、本発明が属する技術分野の当業者の水準を示している。全ての刊行物及び特許出願は、それぞれの個々の刊行物又は特許出願が具体的及び個別に引用により本明細書に組み込まれていると示されるのと同じ程度に引用により本明細書に組み込まれている。
【0062】
特許請求の範囲及び/又は明細書において用語「含むこと(comprising)」と共に使用する場合の語「1つの(a)」又は「1つの(an)」の使用は、1つを意味する場合もあるが、「1又は2以上」、「少なくとも1つ」、及び「1又は1超」という意味とも一致する。特許請求の範囲における用語「又は」の使用は、明白に代替物のみを指すと示されている場合を除き、又は代替物が相互排他的である場合を除き、「及び/又は」を意味するために使用されるが、本開示は、代替物のみと「及び/又は」を指す定義を支持する。本明細書を通して、用語「約(about)」は、値が、装置の誤差、値を決定するために用いられる方法、又は試験対象間に存在する変動に関する固有の変動を含むことを示すために使用される。
【0063】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される語「含むこと」(並びに「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」等の「含むこと」の任意の形態)、「有すること」(並びに「有する(have)」及び「有する(has)」等の「有すること」の任意の形態)、「含むこと(including)」(並びに「含む(includes)」及び「含む(include)」等の「含むこと」の任意の形態)又は「含有すること」(並びに「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」等の「含有すること」の任意の形態)は、包含的であるか又は制約がなく、追加の列挙されていない要素又は方法のステップを除外しない。本明細書において提供した組成物及び方法のいずれかの実施形態において、「含むこと」を、「本質的にからなること」又は「からなること」に置き換えてもよい。本明細書において使用される語句「本質的にからなること」は、明記された完全体又はステップを必要とするが、同様に特許請求される本発明の特徴又は機能に実質的に影響を及ぼさない完全体又はステップを必要とする。本明細書において使用される用語「からなる」は、列挙された完全体(例えば、特色、要素、特徴、特性、方法/プロセスステップ、又は制限)又は完全体の群のみ(例えば、特色(複数)、要素(複数)、特徴(複数)、特性(複数)、方法/プロセスステップ、又は制限(複数))の存在を示すために使用される。
【0064】
本明細書において使用される用語「又はその組合せ」は、その用語の前にある列挙された項目の全ての順列及び組合せを指す。例えば、「A、B、C、又はその組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC、又はABCの少なくとも1つを含むと意図され、特定の文脈において順序が重要である場合には、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、又はCABも含む。この例を続けると、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等の1又は2以上の項目又は用語の繰り返しを含有する組合せも明白に含まれる。当業者は、典型的に、文脈からそれ以外であることが明白である場合を除き、いかなる組合せにおける項目又は用語の数に制限はないことを理解するであろう。
【0065】
本明細書において使用される、「約」、「実質的」、又は「実質的に」等の、しかしこれらに限定されない近似の用語は、そのように修飾された場合に、必ずしも絶対又は完全である必要はないと理解されるが、当業者が、状態が存在すると指定することを保証するために十分に近いと考えられる状態を指す。説明が変化し得る程度は、どれほど大きい変化を設定することができるかに依存し、それでもなお当業者が、修飾された特色を、なお必要な特徴を有し、修飾されていない特色を行う能力を有すると認識する程度である。一般的に、しかし、先の考察を受けて、「約」等の近似の語によって修飾される本明細書における数値は、記載の値から少なくとも±1、2、3、4、5、6、7、10、12、又は15%変化し得る。
【0066】
本明細書において開示及び特許請求した組成物及び/又は方法は全て、本開示に照らして不当な実験を行うことなく作製及び実行することができる。本発明の組成物及び方法を、好ましい実施形態に関して記述してきたが、本発明の概念、精神、及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の組成物及び/又は方法、並びに方法のステップ又はステップの順序に変化を適用してもよいことは当業者に明らかであろう。当業者に明白であるそのような類似の置換物及び修飾は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、範囲、及び概念に含まれると思われる。
【手続補正書】
【提出日】2019年1月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は2以上の甲状腺ホルモン又はそのアナログを含む医薬組成物であって、甲状腺ホルモンの第1の部分が即時放出されるように製剤化され、甲状腺ホルモンの第2の部分が放出調節されるように製剤化され、前記1又は2以上の甲状腺ホルモンが、甲状腺機能低下症を治療するために有効な量で提供される、前記組成物。
【請求項2】
甲状腺ホルモンの第1又は第2の部分の少なくとも1つがイオン交換樹脂に結合しており、かつ、
又は2以上の甲状腺ホルモンが、T4、T3、T4若しくはT3 N−メチル、T4若しくはT3 N−エチル、T4若しくはT3 N−トリフェニル、T4若しくはT3 N−プロピル、T4若しくはT3 N−イソプロピル、T4若しくはT3−N−第三級ブチル、GC−1、DIPTA、テトラック、又はトリアックの少なくとも1つから選択され、かつ、任意で、甲状腺ホルモンの第2の部分がT3である;又は、
組成物が、1若しくは2以上の薬学的に許容される担体、1若しくは2以上の追加の生物活性物質をさらに含む;又は、
甲状腺ホルモンの少なくとも1つがT4若しくはT3であり、かつ、前記イオン交換樹脂が、結合したホルモンの結晶構造における多形性を防止し、かつ、前記イオン交換樹脂が、酸性陽イオン交換樹脂、塩基性陰イオン交換樹脂であり、かつ、それらが、pHの変化によって引き起こされるトリガー放出コーティング若しくは非pH依存的放出制御コーティングによってコーティングされていてもよい;
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
甲状腺ホルモンのイオン交換樹脂への結合が、製造を容易にするのを助け、投薬における一貫性を増加させる幾何学的希釈を提供する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物が、液体懸濁剤、チュアブル組成物、口腔内崩壊錠、舌下錠、放出調節口腔内崩壊錠、又は嚥下錠組成物であり、又は、
組成物が、コーティングされており、かつ、前記コーティングが、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、カルボキシメチルエチルセルロース、共重合メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル、共重合メタクリル酸/アクリル酸エチルエステル、若しくはそれらの混合物の少なくとも1つから選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
1又は2以上の甲状腺ホルモンがT4及びT3であり、T4:T3の比率が1:1〜20:1で提供され、1又は2以上の甲状腺ホルモンの量が、1用量当たりレボチロキシンナトリウム0.013〜0.30mg当量である、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
第1の甲状腺ホルモンの40%超、50%超、60%超、70%超、又は80%超が、インビトロでの溶解アッセイに製品を導入後最初の45分以内に放出され、前記溶解アッセイの条件が、0.1N HClの初回溶解培地であり、2時間後、前記培地のpHを約6.8に調節し、前記溶解アッセイがUSP Apparatus 2を使用して実施される、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
組成物が、本質的に少なくとも2つの甲状腺ホルモン又はそのアナログからなり、
第1の甲状腺ホルモン又はそのアナログが、即時放出されるように製剤化され、第2の甲状腺ホルモン又はそのアナログがイオン交換脂に結合することにより薬物−樹脂粒子の複合体を形成し、
前記薬物−樹脂粒子の複合体が、コーティングされていなくてもよいし、又は即時放出コーティングによってコーティングされていてもよく、
1又は2以上の甲状腺ホルモン又はそのアナログの少なくとも80%が1時間以内に放出され、1又は2以上の甲状腺ホルモンが、T4、T3、T4若しくはT3 N−メチル、T4若しくはT3 N−エチル、T4若しくはT3 N−トリフェニル、T4若しくはT3 N−プロピル、T4若しくはT3 N−イソプロピル、T4若しくはT3−N−第三級ブチル、GC−1、DIPTA、テトラック、又はトリアックの少なくとも1つから選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の組成物であって、甲状腺ホルモンが、イオン交換樹脂に結合することにより薬物−樹脂粒子の複合体を形成し、前記組成物が、第1の複数の即時放出薬物−樹脂粒子の複合体と、放出調節されるようにコーティングされた第2の複数の薬物−樹脂粒子の複合体とを含み、前記組成物が、第1及び第2のピークを有するインビボでの絶食時血清中プロファイルを有し、前記第1のピークが前記組成物を摂取してから3時間以内に起こり、前記第2のピークが摂取してから3時間より後に起こる、前記組成物。
【請求項9】
医薬組成物を作製する方法であって:
1又は2以上の甲状腺ホルモン又はそのアナログをイオン交換樹脂に結合させて薬物−樹脂粒子の複合体を形成するステップを含み、前記薬物−樹脂粒子の複合体における甲状腺ホルモンの第1の部分の少なくとも30重量%又は30重量%超が、甲状腺機能低下症を治療するために有効な量で即時放出されるように前記組成物として製剤化され、
前記薬物−樹脂粒子の複合体における甲状腺ホルモンの第2の部分が放出調節されるように前記組成物として製剤化され、前記組成物が1又は2以上の薬学的に許容される担体を含んでいてもよい、前記方法。
【請求項10】
甲状腺ホルモンの少なくとも1つがT4又はT3であり、イオン交換樹脂が、結合したホルモンの結晶構造における多形性を防止し、前記イオン交換樹脂が、酸性陽イオン交換樹脂又は塩基性陰イオン交換樹脂の少なくとも1つから選択されるイオン交換樹脂であり、前記イオン交換樹脂が、pHの変化によって引き起こされるトリガー放出コーティング又は非pH依存的放出制御コーティングによってコーティングされていてもよい、請求項に記載の方法。
【請求項11】
製造を容易にするのを助け、投薬における一貫性を増加させる幾何学的希釈を提供するイオン交換樹脂に、甲状腺ホルモンを結合させるステップをさらに含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
組成物を、液体懸濁剤、チュアブル組成物、口腔内崩壊錠、舌下錠、放出調節口腔内崩壊錠、又は嚥下錠として製剤化するステップをさらに含む、請求項9〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
第1の甲状腺ホルモンの40%、50%、60%、70%、又は80%超が、インビトロでの溶解アッセイに製品を導入後最初の45分以内に放出され、前記溶解アッセイの条件が、0.1N HClの初回溶解培地であり、2時間後、前記培地のpHを約6.8に調節し、前記溶解アッセイがUSP Apparatus 2を使用して実施される、請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
放出調節のために提供される甲状腺ホルモンの第2の部分が、10重量%超を構成する、又は、
1又は2以上の甲状腺ホルモンの量が、1用量当たりレボチロキシンナトリウム0.013〜0.30mg当量である、請求項9〜13のいずれかに記載の方法。


【国際調査報告】