(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-515223(P2019-515223A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(54)【発明の名称】電磁噛み合いクラッチ
(51)【国際特許分類】
F16D 27/09 20060101AFI20190517BHJP
F16D 27/14 20060101ALI20190517BHJP
F16D 11/00 20060101ALI20190517BHJP
F16D 11/10 20060101ALI20190517BHJP
【FI】
F16D27/09
F16D27/14 Z
F16D11/00 A
F16D11/10 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-558727(P2018-558727)
(86)(22)【出願日】2017年1月20日
(85)【翻訳文提出日】2018年11月12日
(86)【国際出願番号】CN2017071847
(87)【国際公開番号】WO2017193636
(87)【国際公開日】20171116
(31)【優先権主張番号】201610316899.7
(32)【優先日】2016年5月12日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン−ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ピン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ティン
(72)【発明者】
【氏名】イェ,シャオ
【テーマコード(参考)】
3J056
【Fターム(参考)】
3J056AA03
3J056BA02
3J056BB16
3J056BB21
3J056BB26
3J056BE09
3J056CA02
3J056CA12
3J056CC44
3J056GA12
(57)【要約】
噛み合い伝動を行う、可動ギアスリーブ(5)と固定ギアスリーブ(2)とを含み、可動ギアスリーブ(5)に端面伝動歯(5−1)又は歯溝(2−1)が設けられていると共に、固定ギアスリーブ(2)に端面歯溝(2−1)又は伝動歯(5−1)が対応して設けられている、電磁噛み合いクラッチであって、伝動歯(5−1)は、歯の長さ方向の厚さが同じであり、伝動歯(5−1)に噛み合う歯溝(2−1)は、溝の長さ方向に沿って扇状になっており、歯溝(2−1)は、固定ギアスリーブ(2)の径方向外方に向かうにつれて両側辺間の幅が徐々に大きくなり、固定ギアスリーブ(2)の径方向内方に向かうにつれて両側辺間の幅が徐々に小さくなる。同じ厚さの伝動歯と扇形の歯溝との組み合わせを用いているため、伝動歯と歯溝との噛み合いがより容易になり、面接触の達成もより容易になり、モーメントの伝達に有利であり、伝動構造の安定性にも有利である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
噛み合い伝動を行う、可動ギアスリーブと固定ギアスリーブとを含み、前記可動ギアスリーブに端面伝動歯又は歯溝が設けられていると共に、前記固定ギアスリーブに端面歯溝又は伝動歯が対応して設けられている、電磁噛み合いクラッチであって、
前記伝動歯は、歯の長さ方向における厚さが同じであり、前記伝動歯に噛み合う歯溝は、溝の長さ方向に沿って扇状になっており、
前記歯溝は、前記固定ギアスリーブの径方向外方に向かうにつれて両側辺間の幅が徐々に大きくなり、前記固定ギアスリーブの径方向内方に向かうにつれて両側辺間の幅が徐々に小さくなる、
ことを特徴とする電磁噛み合いクラッチ。
【請求項2】
前記伝動歯が、矩形歯、逆テーパー歯、台形歯、三角形歯、又は、円弧状歯であり、該伝動歯に対応して、前記歯溝が、矩形歯溝、逆テーパー歯溝、台形歯溝、三角形歯溝、又は、円弧状歯溝である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁噛み合いクラッチ。
【請求項3】
前記伝動歯が矩形歯、逆テーパー歯又は台形歯である場合、歯先の両側辺が丸角とされ、且つ、前記可動ギアスリーブ又は前記固定ギアスリーブの逆回転方向における丸角の半径が、正回転方向における丸角の半径よりも大きい、
ことを特徴とする請求項2に記載の電磁噛み合いクラッチ。
【請求項4】
前記可動ギアスリーブが動力出力軸に挿通されており、前記可動ギアスリーブ及び前記動力出力軸がスプラインの組み合わせによって伝動し、且つ、前記可動ギアスリーブがスプライン上で前記動力出力軸の軸線方向に沿って往復移動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁噛み合いクラッチ。
【請求項5】
前記スプラインの組み合わせの両端において、前記可動ギアスリーブと前記動力出力軸との間にセンタリングスリーブが設けられ、
前記センタリングスリーブは、銅合金材質が用いられ、矩形の断面を有し、締まり嵌めにより前記可動ギアスリーブに対して位置決めされ、前記動力出力軸と隙間嵌めされ、動力出力軸を摺動するように前記可動ギアスリーブを支持する、
ことを特徴とする請求項4に記載の電磁噛み合いクラッチ。
【請求項6】
前記動力出力軸は、前記可動ギアスリーブが取り付けられる端に位置規制プレートが固定されており、前記位置規制プレートと前記可動ギアスリーブとの間に振動低減機構が設けられており、前記振動低減機構は、前記位置規制プレートと前記可動ギアスリーブとの衝突時に振動低減及び騒音低減を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁噛み合いクラッチ。
【請求項7】
前記可動ギアスリーブと前記位置規制プレートとの合わせ面に複数の盲穴が設けられており、前記盲穴にゴム柱が取り付けられており、前記ゴム柱が前記盲穴よりも高くなり、前記ゴム柱が前記振動低減機構を構成する、
ことを特徴とする請求項6に記載の電磁噛み合いクラッチ。
【請求項8】
前記可動ギアスリーブと前記位置規制プレートとの合わせ面にゴムガスケットが設けられており、前記ゴムガスケットが前記振動低減機構を構成する、
ことを特徴とする請求項6に記載の電磁噛み合いクラッチ。
【請求項9】
前記固定ギアスリーブの周方向に電磁石が設けられており、該電磁石に対応して、前記可動ギアスリーブの周方向にアーマチュアが設けられており、前記アーマチュアと前記可動ギアスリーブとが一体に製造され、又は、別々に製造されてから組み合わされたものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の電磁噛み合いクラッチ。
【請求項10】
前記アーマチュアと前記可動ギアスリーブとが別々に製造されてから、溶接又はボルトによって組み合わされ、前記アーマチュアが、10号鋼から製造される、
ことを特徴とする請求項9に記載の電磁噛み合いクラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁噛み合いクラッチ(ドッグクラッチ)に関し、具体的に、電磁噛み合いクラッチの伝動歯構造及び可動ギアスリーブのセンタリング構造に関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー自動車は、その一部の車種に、エンジン、モータ、変速機が同時に搭載されているため、車両全体をレイアウトするときにスペースが非常に限られてしまう。燃費を低減し、システム効率を高め、制御戦略を最適化し、異なる動作モード間の切り替えを実現するために、動力継断機構が必然的に必要とされる。しかし、従来のクラッチは、プレスプレート、被動ディスク、ダイヤフラムスプリング、リリースベアリング、ロッカーアーム、パワーアシスト機構などを含むため、構成部品が多く、重量が大きく、無効点が多く、メンテナンスが不便である。
【0003】
先行技術において、従来のクラッチに代わる電磁噛み合いクラッチが存在し、例えば、「電磁噛み合いクラッチ及びダブルモータハイブリッドシステム」という中国特許出願公開第103758889号明細書(出願番号:201310741008.9、特許文献1)には、電磁噛み合いクラッチであって、可動端面ギア及び固定端面ギア(可動ギアスリーブ及び固定ギアスリーブと称してもよい)が設けられており、電磁石の吸引作用の下で、可動端面ギアと固定端面ギアとが噛み合い、シャフト間の伝動が実現され、また、可動端面ギアの歯が矩形であり、固定端面ギアの歯溝も矩形であり、歯溝の幅を歯よりも大きく設計することで、歯が歯溝に入ることを容易にした電磁噛み合いクラッチが開示されている。矩形の伝動歯の使用は、センタリングが良好でないときにおけるシステムの耐干渉能力を改善することができ、端面ギア間のトルク伝達能力を向上させることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第103758889号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、矩形の伝動歯及び歯溝は、正確に位置を合わせて噛み合わせることが困難であるという欠点を持っており、クラッチの遅れ又はクラッチの故障をもたらす恐れがある。また、歯溝の幅が歯よりも大きいため、噛み合い中に、歯と歯溝とが線接触だけであり、面接触を完全に実現することができないという欠点がある。
【0006】
可動端面ギアが動力出力軸の軸方向に沿って移動して、当該軸方向における固定端面ギアに噛み合うため、システムが長時間作動した後に、摩耗や組立関係の影響を受けて、可動端面ギアが固定端面ギアと同軸に維持することを保証できない問題が発生しやすく、その結果、クラッチが遅くなったり、クラッチが故障したりする。
【0007】
上記特許文献1では、クラッチには、可動端面ギアをリセットして、可動端面ギアと固定端面ギアとを分離させるようにするための弾性リセット機構がさらに設けられており、弾性リセット機構が、位置決めプレートとスプリングとを含み、位置決めプレートが動力出力軸の端部に固定され、スプリングが位置決めプレートと可動端面ギアとの間に位置し、また、電磁石に吸引されると、可動端面ギアが固定端面ギアに向かって移動しスプリングを圧縮する一方、電磁石の吸引作用が消えると、スプリングの復元力の下で、可動端面ギアが固定端面ギアから離れるように移動する。電磁石の吸引力が瞬間的に発生するものであるので、通常、可動端面ギアの移動速度が速く、この場合、位置決めプレートと激しい衝突が発生し、著しいシステムノイズが生じることになる。それらの間の予荷重されたスプリングがある程度の緩衝作用を果たすことができるが、スプリングの弾性係数はそれ程大きくすることはできず、さもなければ可動端面ギアと固定端面ギアとの間の噛み合いが影響される。このため、スプリングの緩衝作用が非常に弱く、システムノイズを明らかに低減することはできない。
【0008】
上記問題について、本発明は、端面伝動歯の構造を改善して、可動端面ギアと固定端面ギアとの噛み合い及び伝動をさらに容易にする電磁噛み合いクラッチを提供することを目的とする。このクラッチは、可動端面ギアのセンタリング問題及びシステムノイズ低減問題の両方を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る電磁噛み合いクラッチは、噛み合い伝動を行う、可動ギアスリーブと固定ギアスリーブとを含み、前記可動ギアスリーブに端面伝動歯又は歯溝が設けられていると共に、前記固定ギアスリーブに端面歯溝又は伝動歯が対応して設けられており、前記伝動歯は、歯の長さ方向における厚さが同じであり、前記伝動歯に噛み合う歯溝は、溝の長さ方向に沿って扇状になっており、前記歯溝は、前記固定ギアスリーブの径方向外方に向かうにつれて両側辺間の幅が徐々に大きくなり、前記固定ギアスリーブの径方向内方に向かうにつれて両側辺間の幅が徐々に小さくなる。
【0010】
好ましくは、前記伝動歯が、矩形歯、逆テーパー歯、台形歯、三角形歯、又は、円弧状歯であり、該伝動歯に対応して、前記歯溝が、矩形歯溝、逆テーパー歯溝、台形歯溝、三角形歯溝、又は、円弧状歯溝である。
【0011】
好ましくは、前記伝動歯が矩形歯、逆テーパー歯又は台形歯である場合、歯先の両側辺が丸角とされ、且つ、前記可動ギアスリーブ又は前記固定ギアスリーブの逆回転方向における丸角の半径が、正回転方向における丸角の半径よりも大きい。
【0012】
好ましくは、前記可動ギアスリーブが動力出力軸に挿通されており、前記可動ギアスリーブ及び前記動力出力軸がスプラインの組み合わせによって伝動し、且つ、前記可動ギアスリーブが前記スプライン上で前記動力出力軸の軸線方向に沿って往復移動する。
【0013】
好ましくは、前記スプラインの組み合わせの両端において、前記可動ギアスリーブと前記動力出力軸との間にセンタリングスリーブが設けられ、前記センタリングスリーブは、銅合金材質が用いられ、矩形の断面を有し、締まり嵌めにより前記可動ギアスリーブに対して位置決めされ、前記動力出力軸と隙間嵌めされ、前記動力出力軸を摺動するように前記可動ギアスリーブを支持する。
【0014】
好ましくは、前記動力出力軸は、前記可動ギアスリーブが取り付けられる端に位置規制プレートが固定されており、前記位置規制プレートと前記可動ギアスリーブとの間に振動低減機構が設けられており、前記振動低減機構は、前記位置規制プレートと前記可動ギアスリーブとの衝突時に振動低減及び騒音低減を行う。
【0015】
好ましく、前記可動ギアスリーブと前記位置規制プレートとの合わせ面に複数の盲穴が設けられており、前記盲穴にゴム柱が取り付けられており、前記ゴム柱が前記盲穴よりも高くなり、前記ゴム柱が前記振動低減機構を構成する。
【0016】
好ましくは、前記可動ギアスリーブと前記位置規制プレートとの合わせ面にゴムガスケットが設けられており、前記ゴムガスケットが前記振動低減機構を構成する。
【0017】
好ましくは、前記固定ギアスリーブの周方向に電磁石が設けられており、該電磁石に対応して、前記可動ギアスリーブの周方向にアーマチュアが設けられており、前記アーマチュアと前記可動ギアスリーブとが一体に製造され、又は、別々に製造されてから組み合わされたものである。
【0018】
好ましくは、前記アーマチュアと前記可動ギアスリーブとが別々に製造されてから、溶接又はボルトによって組み合わされ、前記アーマチュアが10号鋼から製造される。
【発明の効果】
【0019】
上記のように構成された電磁噛み合いクラッチは、以下の利点を有する。
同じ厚さの伝動歯と扇形の歯溝との組み合わせを用いているため、伝動歯と歯溝との噛み合いがより容易になり、面接触の達成もより容易になり、モーメントの伝達に有利であり、伝動構造の安定性にも有利である。
【0020】
このクラッチは、往復移動可能な可動ギアスリーブ(又は可動端面ギアと称する)に対してセンタリングスリーブが設けられ、センタリングスリーブは、可動ギアスリーブと動力出力軸との同心を長時間維持することができるとともに、可動ギアスリーブと固定ギアスリーブとの同心を長時間維持することができる。
【0021】
センタリングスリーブは、例えばスズ青銅又はグラファイト黄銅複合体のような銅合金材質を用いることができ、耐摩耗性に優れ、変形しにくい。
【0022】
このクラッチは、位置規制プレートに振動低減機構が設けられ、位置規制プレートと可動ギアスリーブとの間にゴム柱又はゴムガスケットが設けられており、電磁力によって吸引して組み合わされた後、ゴム柱又はゴムガスケットが先に圧縮され、緩衝作用が果たされ、結合時の騒音が著しく低下する。
【0023】
上記の説明は、本発明の技術案の概要に過ぎない。本発明の技術手段をより明らかに理解し、それらを明細書の内容に従って実施することを可能にし、そして、本発明の上記及び他の目的、特徴、利点をより容易に理解することができるように、以下、本発明の具体的な実施形態を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読むことにより、当業者にとって、他の様々な利点及びメリットが明らかになる。図面は、好ましい実施形態を例示するためのものだけであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。また、図面全体において、同じ部品には同じ符号が付されている。
【0025】
【
図2】本発明における固定ギアスリーブの構造を示す模式図である。
【
図3】本発明における可動ギアスリーブの構造を示す模式図である。
【
図4a】本発明における固定ギアスリーブ及び可動ギアスリーブの直線歯の歯形状を示す第一の模式図である。
【
図4b】本発明における固定ギアスリーブ及び可動ギアスリーブの直線歯の歯形状を示す第二の模式図である。
【
図5a】本発明における固定ギアスリーブ及び可動ギアスリーブの逆テーパー歯の歯形状を示す第一の模式図である。
【
図5b】本発明における固定ギアスリーブ及び可動ギアスリーブの逆テーパー歯の歯形状を示す第二の模式図である。
【
図6】本発明における固定ギアスリーブ及び可動ギアスリーブの円弧状歯の歯形状を示す模式図である。
【
図7】本発明におけるアーマチュア及び可動ギアスリーブの全体構造を示す模式図である。
【
図8】本発明におけるアーマチュア及び可動ギアスリーブの溶接構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施例をさらに詳しく説明する。本発明の例示的な実施例が図面に示されているが、本発明は様々な形態で実現可能であり、ここに記載の実施例によって限定されないことを理解すべきである。逆に、これらの実施例は、本発明がよりよく理解され、本発明の範囲が当業者に完全に伝えられるように提供される。
【実施例1】
【0027】
図1、
図2、
図3に示すのは、本発明の実施例1である。この実施例において、電磁噛み合いクラッチは、噛み合い伝動を行う可動ギアスリーブ5と固定ギアスリーブ2とを含み、可動ギアスリーブ5に端面伝動歯5−1が設けられ、固定ギアスリーブ2に端面歯溝2−1が対応して設けられている。伝動歯5−1は、歯の長さ方向における厚さが同じである。伝動歯5−1に噛み合う歯溝2−1は、溝の長さ方向に沿って扇状になっている。即ち、歯溝2−1は、両側辺が所定の角度を成し、固定ギアスリーブ2の径方向外方に向かうにつれて両側辺間の幅が徐々に大きくなり、固定ギアスリーブ2の径方向内方に向かうにつれて両側辺間の幅が徐々に小さくなる。
【0028】
同じ厚さの伝動歯と扇形の歯溝との組み合わせを用いているため、伝動歯と歯溝との噛み合いがより容易になり、面接触の達成もより容易になり、モーメントの伝達に有利であり、伝動構造の安定性にも有利である。
【0029】
なお、可動ギアスリーブ5に扇形をなす端面歯溝が設けられ、固定ギアスリーブ2に端面伝動歯が対応して設けられてもよく、その構造は同等である。
【0030】
伝動歯5−1は、矩形歯(
図4a参照)、逆テーパー歯(
図5a参照)、台形歯、三角形歯又は円弧状歯(
図6参照)であり、それに対応して、歯溝2−1は、矩形歯溝(
図4b参照)、逆テーパー歯溝(
図5b参照)、台形歯溝、三角形歯溝又は円弧状歯溝(
図6参照)である。
【0031】
図4a、
図5aに示すように、伝動歯5−1が矩形歯、逆テーパー歯又は台形歯である場合、歯先の両側辺が丸角とされ、且つ、可動ギアスリーブ5又は固定ギアスリーブ2の逆回転方向における丸角の半径が、正回転方向における丸角の半径よりも大きい。
【0032】
ここでいう正回転とは、クラッチの通常の回転方向を指し、例えばこの方向にモーメントが出力されると、車両は進行状態となり、また、ここでいう逆回転とは、クラッチの稀な回転方向を指し、例えばこの方向にモーメントが出力されると、車両は後退状態となる。
【0033】
伝動歯5−1の歯先の両側辺に、不均一な丸角を設け、特に、半径の大きい丸角を設けるのは、主として、伝動歯5−1が歯溝2−1に進入するのを容易にするためであり、半径の大きい方の丸角がクラッチのまれな回転方向に設けられているので、クラッチのモーメント伝達への影響は非常に小さい。
【0034】
図1に示すように、可動ギアスリーブ5が動力出力軸7に挿通されており、両者がスプラインの組み合わせによって伝動する。
図3に示すように、可動ギアスリーブ5の中央に内側スプライン5−2が設けられ、それに対応して、動力出力軸7に外側スプラインが設けられており、可動ギアスリーブ5が、スプライン上で動力出力軸7の軸線方向に沿って往復移動する。
【0035】
可動ギアスリーブ5は、動力出力軸7と同軸に維持されるように、スプラインの組み合わせ、又は、トルクを伝達する他の等価な構造によってセンタリングされてもよい。構造スペースが許せば、以下に説明するセンタリングスリーブ10の構造を選択してもよい。
【0036】
可動ギアスリーブ5と動力出力軸7との同軸を保証するために、スプラインの組み合わせの両端において、可動ギアスリーブ5と動力出力軸7との間にセンタリングスリーブ10が設けられている。センタリングスリーブ10は、銅合金材質が用いられ、矩形の断面を有し、締まり嵌めにより可動ギアスリーブ5に対して位置決めされ、動力出力軸7と隙間嵌めされ、動力出力軸7を摺動するように可動ギアスリーブ5を支持する。
【0037】
センタリングスリーブ10は、例えば、スズ青銅又はグラファイト黄銅複合体のような銅合金材質が用いられ、耐摩耗性に優れ、変形しにくい。センタリングスリーブ10は、締まり嵌めにより可動ギアスリーブ5に対して位置決めされ、具体的には、熱膨張及び収縮によって緊密な嵌め合い関係を形成することができ、動力出力軸7にもセンタリングスリーブ10を位置規制する段差部が対応して設けられる。可動ギアスリーブ5は、内側スプライン5−2の両端に、センタリングスリーブ10と嵌合するスナップスロット5−3が設けられている。
【0038】
図1に示すように、動力出力軸7は、可動ギアスリーブ5が取り付けられる端に位置規制プレート6が固定されており、位置規制プレート6と可動ギアスリーブ5との間に振動低減機構が設けられている。この振動低減機構は、位置規制プレート6と可動ギアスリーブ5との衝突時に振動低減及び騒音低減を行う。
【0039】
図3に示すように、可動ギアスリーブ5と位置規制プレート6の合わせ面に複数の盲穴が設けられ、盲穴にゴム柱8が取り付けられており、ゴム柱8が盲穴よりも高くなっていて、ゴム柱8が前記振動低減機構を構成する。
【0040】
位置規制プレート6の合わせ面に複数の盲穴及びゴム柱が設けられてもよく、ゴム柱が盲穴よりも高くなればよい。
【0041】
また、可動ギアスリーブ5と位置規制プレート6との合わせ面にゴムガスケットが設けられ、ゴムガスケットが振動低減機構を構成するという設計を用いてもよい。ゴムガスケットが、可動ギアスリーブ5の合わせ面に設けられてもよいし、位置規制プレート6の合わせ面に設けられてもよい。
【0042】
固定ギアスリーブ2の周方向に電磁石3が設けられ、それに対応して、可動ギアスリーブ5の周方向にアーマチュア4が設けられている。アーマチュア4と可動ギアスリーブ5とは一体に製造されてもよい。可動ギアスリーブ5と固定ギアスリーブ2とが噛み合った後、電磁石3とアーマチュア4とは接触せず、それらの間に隙間がある。
【実施例2】
【0043】
図8に示すのは本発明の実施例2であり、この実施例において、アーマチュア4と可動ギアスリーブ5とは別々に製造されてから組み合わされる。
【0044】
アーマチュア4と可動ギアスリーブ5とが別々に製造されてから、溶接又はボルト、もしくは、ボルトと溶接との組み合わせによって組み合わされる。アーマチュア4は、10号鋼(中国規格)から製造される。10号鋼は磁気に対して反応が敏感である。
【0045】
以上の説明は、あくまでも本発明の好ましい実施例であり、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の精神及び原則内になされたいかなる補正、均等的置換、改善等、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0046】
1…動力入力軸
2…固定ギアスリーブ
2−1…歯溝
3…電磁石
4…アーマチュア
5…可動ギアスリーブ
5−1…伝動歯
5−2…内側スプライン
5−3…スナップスロット
6…位置規制プレート
7…動力出力軸
8…ゴム柱
9…スプリング
10…センタリングスリーブ
【国際調査報告】