(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-515303(P2019-515303A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(54)【発明の名称】安全装置を監視する監視装置および安全装置を監視する方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/02 20060101AFI20190517BHJP
【FI】
G01R31/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-559360(P2018-559360)
(86)(22)【出願日】2017年5月9日
(85)【翻訳文提出日】2018年12月7日
(86)【国際出願番号】EP2017061073
(87)【国際公開番号】WO2017194546
(87)【国際公開日】20171116
(31)【優先権主張番号】16169111.8
(32)【優先日】2016年5月11日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】518006075
【氏名又は名称】トルンプフ シュヴァイツ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Schweiz AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヒュアリマン
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA02
2G014AA03
2G014AB26
2G014AB62
(57)【要約】
本発明は、安全装置(11,111)を監視する監視装置(10,100)に関する。監視装置は、a.安全装置(11)の入力側への接続のための入力端子(12)に接続された第1の電気供給源(15)と、b.安全装置(11)の出力側への接続のための出力端子(13)に接続された第1の出力側測定装置(18)と、c.第1の出力側測定装置(18)に接続されてその測定信号を受け取る評価装置(20)と、を含み、d.入力端子(12)と評価装置(20)とに接続された第1の入力側測定装置(17)が設けられており、評価装置(20)は、第1の入力側測定装置(17)の測定信号を受け取り、当該測定信号を評価するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全装置(11,111)を監視する監視装置(10,100,200)であって、
a.前記安全装置(11)の入力側への接続のための入力端子(12)に接続された第1の電気供給源(15)と、
b.前記安全装置(11)の出力側への接続のための出力端子(13)に接続された第1の出力側測定装置(18)と、
c.前記第1の出力側測定装置(18)に接続されてその測定信号を受け取る評価装置(20)と
を含む、監視装置において、
d.前記入力端子(12)と前記評価装置(20)とに接続された第1の入力側測定装置(17)が設けられており、前記評価装置(20)は、前記第1の入力側測定装置(17)の測定信号を受け取り、かつ、当該測定信号を評価するように構成されている、
ことを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記出力端子(13)にて測定可能な電気量を制御する制御装置(204)が設けられている、
請求項1記載の監視装置。
【請求項3】
前記制御装置(204)は、前記評価装置(20)に接続されており、かつ、前記評価装置(20)によって制御される、
請求項2記載の監視装置。
【請求項4】
前記評価装置(20)は、前記制御装置(204)を駆動するための変調信号を形成する変調信号発生器(24)を含む、
請求項1から3までのいずれか1項記載の監視装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記供給源(15)内に組み込まれている、
請求項2から4までのいずれか1項記載の監視装置。
【請求項6】
前記制御装置(204)は、並列に接続されたスイッチ(203)によって橋絡可能な抵抗(202)を含む、
請求項2から4までのいずれか1項記載の監視装置。
【請求項7】
前記評価装置(20)は、前記測定信号を受け取って当該測定信号を評価する第1のマイクロプロセッサ(21)を含む、または、前記評価装置(20)は、前記測定信号を受け取って当該測定信号を評価する第1のマイクロプロセッサ(21)および第2のマイクロプロセッサ(22)を含む、
請求項1から6までのいずれか1項記載の監視装置。
【請求項8】
前記第1のマイクロプロセッサ(21)および前記第2のマイクロプロセッサ(22)は、データ技術的に、特にバスシステム(23)を介して、相互に接続されており、前記マイクロプロセッサのそれぞれ(21,22)は、前記測定装置(17,18)の前記測定信号を前記測定装置(17,18)から直接に受け取り、別の測定信号を、それぞれ他方のマイクロプロセッサ(21,22)およびデータ技術的な接続線路を介して間接的に受け取る、
請求項7記載の監視装置。
【請求項9】
別の安全装置(111)への接続のための少なくとも1つの別の入力端子(112)および少なくとも1つの別の出力端子(113)が設けられており、
前記少なくとも1つの別の入力端子(112)は、第2の電気供給源(116)と第2の入力側測定装置(117)とに接続されており、前記少なくとも1つの別の出力端子(113)は、第2の出力側測定装置(118)に接続されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の監視装置。
【請求項10】
安全装置(11,111)を監視する方法であって、
a.前記安全装置(11,111)の入力端子に電気供給信号を供給し、
b.前記安全装置(11,111)の前記入力端子の電気量を測定し、
c.前記安全装置(11,111)の出力端子の電気量を測定し、
d.前記電気量もしくはこれに関連する量を予測量と比較し、および/または、前記出力端子にて測定された量もしくはこれに関連する量を予測量と比較し、
e.前記比較に基づいて、前記安全装置(11,111)が開放もしくは閉鎖されているか、または、相互短絡が生じているかを判別する、
方法ステップを含む、方法。
【請求項11】
前記安全装置(11,111)の閉鎖時に、前記出力端子(13)にて測定可能な電気量を変調し、特に前記供給信号を変調し、好ましくは振幅変調または周波数変調する、
請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記供給信号を電流源によって形成し、
前記電流源を、電流が0Aより大きくなり、かつ、前記安全装置の閉鎖時の出力電圧が供給電圧(16)を下回るように駆動する、
請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
前記電気量として電圧を測定する、
請求項10から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
a.前記安全装置(11,111)の前記入力端子にて供給電圧(16,116)が測定され、前記出力端子にて0Vの領域の電圧が測定された場合に、前記安全装置(11,111)が開放されていることを識別し、
b.前記安全装置(11,111)の前記入力端子にて測定された電圧および前記出力端子にて測定された電圧の差、特に変調された電圧の差が、設定された第1の値よりも小さい場合に、前記安全装置(11,111)が閉鎖されていることを識別し、
c.前記安全装置(11,111)の前記出力端子にて測定された電圧、特に変調された電圧が、予測電圧から偏差する場合に、相互短絡が生じたことを識別する、
請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記方法ステップ11.a〜11.eを複数の安全装置(11,111)について実行し、
前記複数の安全装置(11,111)のそれぞれについて異なる変調信号を用いる、
請求項10から14までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全装置を監視する監視装置に関する。監視装置は、a.安全装置の入力側への接続のための入力端子に接続された第1の電気供給源と、b.安全装置の出力側への接続のための出力端子に接続された第1の出力側測定装置と、c.第1の出力側測定装置に接続されてその測定信号を受け取る評価装置とを含む。
【0002】
本発明はさらに、安全装置を監視する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
危険な機械部分またはその他の危険箇所へのアクセスを防護する防護柵、防護扉、機械カバー部またはその他の防護装置の状態監視のために、その開放を識別し、制御技術的に、すなわち、例えば機械の遮断によって、危険を防止する安全装置が規定されている。通常、当該安全装置は、防護装置の近傍に位置固定されて配置されている。安全装置として、例えば、セーフティスイッチが扱われる。例えば、セーフティスイッチが開放されていることが識別された場合、これは、防護装置が開放されており、少なくとも部分的に防護装置によって包囲されている機械を安全状態へ移行させなければならないことを示唆し得る。安全状態とは、例えば、状態が監視されていること、被制御での停止、トルク低減、速度低減、安全な運動方向、オプトメカニカルシャッタもしくはオプトエレクトロニクスシャッタによるレーザビームの遮断または接続切断であってよい。
【0004】
一般には、複数の安全装置が設けられている。さらに、危険状態を識別するには、相互短絡、すなわち、安全装置に接続された線路間に短絡が発生していないかどうかを識別することができなければならない。
【0005】
独国特許出願公開第19702009号明細書(DE19702009A1)からは、それぞれ電気供給源に接続され、それぞれのスイッチ出力に応答する少なくとも1つの評価ユニットに結合された監視スイッチを含む監視装置が公知である。相互短絡を監視するために、各グループの少なくとも1つの監視スイッチへの電圧供給がそれぞれ1つずつのクロック発生器によってタイミング制御され、ここで、評価ユニットは、クロック発生器に接続された監視スイッチの、当該対応するクロック発生器によって生じる出力電位変化と、少なくとも1つの別の監視スイッチの、同時に電圧がかかる出力側とを検査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第19702009号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、安全装置の状態および相互短絡の確実な識別が可能である、監視装置および安全装置を監視する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明にしたがって、安全装置を監視する監視装置が、a.安全装置の入力側への接続のための入力端子に接続された第1の電気供給源と、b.安全装置の出力側への接続のための出力端子に接続された第1の出力側測定装置と、c.第1の出力側測定装置に接続されてその測定信号を受け取る評価装置とを含み、d.入力端子と評価装置とに接続された第1の入力側測定装置が設けられており、評価装置が、第1の入力側測定装置の測定信号を受け取り、かつ、この測定信号を評価するように構成されていることにより解決される。
【0009】
この場合、評価装置は特に、安全装置が開放もしくは閉鎖されているかまたは相互短絡が生じているかを識別するように構成可能である。安全装置の出力側にて測定信号が検出されるだけでなく、安全装置の入力端子での測定信号も検出されることにより、安全装置が開放されているかもしくは閉鎖されているかまたは相互短絡が生じているかを確実かつ迅速に識別することができる。特に、安全装置の開放の識別は、即時の一義的な信号状態により待ち時間が短くなるため、迅速に識別可能である。
【0010】
電気供給源が特に被制御の電流源として構成される場合、特別の利点が得られる。電流源は、所定の電流を、安全装置を介して流すことができる。当該電流は、好ましくは出力端子に接続された抵抗を介してアースへ導かれ、これにより、電流に依存して抵抗での電圧降下が生じる。安全装置が閉鎖されていれば、安全装置の入力側および出力側の双方で、すなわち、入力端子および出力端子の双方で、実質的に等しい電圧が測定される。安全装置が開放されていれば、安全装置の入力側には、安全装置の出力側の電圧より大きな電圧、特に電流源の供給電圧が生じる。このことが識別されると、監視装置により監視されているシステムが、安全状態、例えば遮断状態へ移行される。
【0011】
相互短絡の識別のために、出力端子にて測定可能な電気量を制御するための制御装置を設けることができる。この場合、制御装置は電気供給源へ組み込み可能である。特に、供給源は、制御可能電流源として構成可能である。供給源から出力される電流を変調することができる。特に、電流は、振幅変調可能または周波数変調可能である。例えば、当該電流は、設定されたパルスパターンのクロックで出力することができる。
【0012】
代替的に、制御装置は、抵抗と、この抵抗に対して並列に配置されてこの抵抗を橋絡可能である制御可能なスイッチとを含むことができる。スイッチの状態に応じて、抵抗で降下する電圧が、例えば所定のパルスパターンのクロックまたはスイッチを駆動する変調信号のクロックで変化される。安全装置の閉鎖時に相互短絡が生じていない場合、安全装置の入力側および出力側にて測定される電圧は、安全装置での電圧降下分だけ、すなわち、わずかしか異ならない。これに対して、1つの安全装置から同時に監視されている他の安全装置への相互短絡が生じると、監視装置によって監視されている防護装置を含む、監視されているシステムまたは機械の遮断のために利用可能な大きな電圧差が生じる。複数の安全装置が閉鎖されておりかつ相互短絡が生じている場合、予測電圧に対する電圧差が、測定部、特に出力端子に生じる。
【0013】
制御装置は、評価装置に接続され、この評価装置によって制御可能である。つまり、評価装置にとって、制御装置がどの信号制御を行っているか、特に被制御の電流源がどの電流を出力するかが既知であり、測定信号の評価の際にこれを考慮することができる。
【0014】
評価装置は、変調信号発生器を含むことができ、この変調信号発生器の変調信号により、制御装置、特に電気供給源または橋絡スイッチが駆動される。例えば、当該変調信号発生器は、供給源から出力される電流の周波数変調または振幅変調を生じさせる変調信号を形成することができる。(ディジタル)パルスパターンの設定は、本発明においては、電流信号の振幅変調であると理解される。特に、パルス化された電流を供給源によって出力可能であり、または、抵抗をスイッチによりパルス駆動で橋絡することができる。代替的に、所定の値範囲内で連続的に変化する電流を出力することもできる。
【0015】
評価装置が、測定信号を受け取ってこれを評価する第1のマイクロプロセッサを含む場合、特別な利点が得られる。マイクロプロセッサにより、特に簡単かつ迅速な手法により、測定信号の比較を行うことができ、この測定信号にしたがって評価することができる。よって、安全装置が開放されているかもしくは閉鎖されているかまたは相互短絡が生じているかを特に迅速に識別可能である。迅速性の最大の利点は、安全装置の開放につき、不確定状態において、次の問い合わせサイクルまたは次に読み出されるパルスパターンの復号化の後にようやくではなく、いわば即時に、エラー応動に利用可能な一義的なエラー信号が得られることにある。例えば1ms〜3ms以内に、開放された安全装置を識別することができる。有利には、マイクロプロセッサは変調信号発生器も含む。したがって、マイクロプロセッサには、障害のない動作の際にまたはエラーフリー状態でどの測定信号が予測されるかが既知である。
【0016】
評価装置は、測定信号を受け取ってこれを評価する第2のマイクロプロセッサを含むことができる。第2のマイクロプロセッサを使用することにより、冗長性が得られる。つまり、監視装置での個々のエラーが安全機能の損失をもたらさないことを保証可能である。特に、監視装置が、危険なレーザビームからオペレータを保護する安全カバーの監視に用いられる場合、2つのマイクロプロセッサを使用することにより、ISO13849の「Safety of machinery − safety-related parts of control systems」およびDINENISO13849−1の「Sicherheit von Maschinen - sicherheitsbezogene Teile von Steuerungen」の各規格が遵守されることを保証することができる。よって、いずれかのマイクロプロセッサの故障または配線のエラーが不確定状態をもたらすことはない。
【0017】
第1および第2のマイクロプロセッサは、データ技術的に、すなわち、特にバスシステムを介して相互に接続され、各マイクロプロセッサは、一方の測定装置の測定信号を測定装置から直接に受け取り、他方の測定信号をそれぞれ他方のマイクロプロセッサおよびデータ技術的な接続線路を介して間接的に受け取ることができる。つまり、各マイクロプロセッサに安全装置の入力側および出力側での測定信号を供給して、他方のマイクロプロセッサから独立に測定信号の比較を行い、安全装置の状態を推定することができる。
【0018】
監視されている安全装置に対応づけられた測定装置に直接に各マイクロプロセッサを接続するだけでなく、監視されている安全装置に対応づけられた他の測定装置の測定信号を他方のマイクロプロセッサを介して受け取ることにより、配線のコストを低減することができる。データ技術的な接続線路を介して、各マイクロプロセッサによって求められた比較結果を交換して比較することができる。データ技術的な接続線路として、特にCANバスを使用することができる。
【0019】
別の安全装置を接続するための少なくとも1つの別の入力端子と少なくとも1つの別の出力端子とが設けられる場合に特別な利点が得られ、ここで、少なくとも1つの別の入力端子は、第2の電気供給源と第2の入力側測定装置とに接続され、少なくとも1つの別の出力端子は、第2の出力側測定装置に接続される。よって、複数の安全装置を監視することができる。また、簡単な手法により相互短絡を識別可能である。
【0020】
相互短絡を識別するために、各制御装置が異なる変調信号によって駆動されると特に有利である。被制御の電流源が使用される場合、各電流源は別の電流を出力することができる。この場合、制御装置が第1のマイクロプロセッサによって駆動されるかまたは第2のマイクロプロセッサによって駆動されるかはさほど重要ではない。また、ある時点においては、マイクロプロセッサの一方が制御装置を駆動し、別の時点においては、他方が制御装置を駆動する構成も可能である。重要なのは、制御装置から出力された各信号、特に各電流を区別可能であることである。このため、マイクロプロセッサが全ての制御装置に対する変調信号を形成する権限を有すると有利である。
【0021】
各マイクロプロセッサの出力信号は、マイクロプロセッサの一方のみが故障したかまたは相互短絡もしくは安全装置の開放を示唆する信号が送信された場合、監視されている機械が安全状態へ移行されるように切り替え可能である。測定信号の比較は、2つのマイクロプロセッサが相互に独立に実行可能である。2つのマイクロプロセッサは、それぞれ、一方のマイクロプロセッサに直接に接続された測定装置の電圧、他方のマイクロコントローラおよびデータ技術的な接続線路を介して受け取られる電圧と、予測電圧とを比較するか、またはこれらの電圧の差と設定値とを比較する。この場合、目標電圧は、例えば、供給源の変調電流と出力端子に接続された抵抗との積に相当する。
【0022】
本発明においては、さらに、安全装置を監視する方法が扱われる。本方法は、
a.安全装置の入力端子に電気供給信号を供給し
b.安全装置の入力端子の電気量を測定し、
c.安全装置の出力端子の電気量を測定し、
d.電気量もしくはこれに関連する量を予測量と比較し、および/または、出力端子にて測定された量もしくはこれに関連する量を予測量と比較し、
e.比較に基づいて、安全装置が開放もしくは閉鎖されているか、または、相互短絡が生じているかを判別する、
方法ステップを含む。
【0023】
本方法により、上述した利点を達成可能である。
【0024】
好ましい方法バリエーションによれば、安全装置の閉鎖時に、出力端子にて測定可能な電気量、特に供給信号が変調され、好ましくは振幅変調または周波数変調されるように構成可能である。これは特に、相互短絡が生じているかどうかが識別される場合に有利である。この場合、量、特に供給信号は、各安全装置に対して別々に変調すべきである。純粋な電圧パルスパターンでの相互短絡識別と比べた本発明の利点は、相互短絡の識別のための変調であるにもかかわらず、開放された安全装置の識別に際してデッドタイムが生じないことである。なぜなら、ゼロ信号がパルスパターンの一部であり、または、開放された安全装置に起因するものであり、待機しなくてよいからである。したがって、相互短絡識別のための変調は必然的に迅速に行われるが、同時に開放された安全装置も一義的な信号に基づいてきわめて迅速に識別可能である。
【0025】
供給信号は電流源によって形成可能であり、ここで、当該電流源は、電流が0Aより大きくなり、特に安全装置の閉鎖時の出力電圧が供給電圧を下回るように、駆動される。電流源から出力可能な最大電圧は、電流源の供給電圧である。当該供給電圧は、エラーの場合のみ、つまり安全装置が開放される場合にのみ、印加される。変調に際しては、好ましくは、通常時(安全装置の閉鎖時)に抵抗にて測定される電圧が供給電圧に対するノイズマージンを維持するよう、最大値が選択される。
【0026】
電気量として電圧が測定される場合、特に簡単な評価が達成される。
【0027】
安全装置の入力端子にて供給電圧が測定され、出力端子にて0Vの領域の電圧が測定される場合、安全装置が開放されていることを識別することができる。特に、出力端子にて、0Vの電圧を測定可能である。
【0028】
安全装置の入力端子にて測定される電圧と出力端子にて測定される電圧との差、特に変調された電圧の差が、設定された第1の値より小さい場合、安全装置が閉鎖されていることを識別することができる。特に、設定された第1の値は、予測される安全装置での電圧降下に一致し得る。設定された第1の値は、特に0Vの領域に設定可能である。
【0029】
安全装置の出力端子にて測定される量、特に変調された電圧が予測量から偏差する場合、相互短絡が生じたことを識別可能である。この場合、当該予測量は、それぞれ監視される安全装置に対応づけられた変調信号に基づいて求めることができる。
【0030】
方法ステップa〜eは、複数の安全装置について行うことができ、各安全装置に対して異なる変調信号が使用される。こうした手法により、相互短絡を特に確実に識別することができる。
【0031】
本発明の別の特徴および利点は、発明にとって重要な詳細を示した図面の各図に即した本発明の実施例の以下の詳細な説明および特許請求の範囲から得られる。図示の各特徴は、必ずしも縮尺通りと解されるべきでなく、本発明の各特徴を明確に可視化し得るように表示されている。種々の特徴は、本発明のバリエーションにおいて、それぞれ別個にもまたは任意の組み合わせにおいて複数にも実現可能である。
【0032】
本発明の実施例を概略図に図示し、以下の説明において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図3】a〜cとも、閉鎖された安全装置の識別を表す信号特性図である。
【
図4】a〜cとも、開放された安全装置の識別を説明するための信号特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1には、図示の実施例ではセーフティスイッチとして構成されている安全装置11を監視する監視装置10が示されている。安全装置11は、入力側で監視装置10の入力端子12に、出力側で監視装置10の出力端子13に接続することができる。破線14は、安全装置11へのインタフェースを表す。入力端子12には、被制御の電流源として構成された供給源15が接続されている。さらに当該供給源15は、供給電圧16に接続されている。また、入力端子12には、第1の入力側測定装置17が接続されている。出力端子13には、第1の出力側測定装置18が接続されている。また、出力端子13には、抵抗19も接続されている。つまり、測定装置18により、出力端子13にも印加される、抵抗19での電圧を測定することができる。
【0035】
評価装置20は、第1のマイクロプロセッサ21および第2のマイクロプロセッサ22を含む。第1のマイクロプロセッサ21は、第1の入力側測定装置17に接続されており、その測定信号を直接に受け取る。第2のマイクロプロセッサ22は、第1の出力側測定装置18に接続されており、その測定信号を直接に受け取る。マイクロプロセッサ21,22は、データ技術的に、すなわち、図示の実施例においてはバスシステム23により、相互に接続されている。バスシステム23を介して、第1のマイクロプロセッサ21は第2のマイクロプロセッサ22から第1の出力側測定装置18の測定信号を受け取り、相応に、マイクロプロセッサ22は、マイクロプロセッサ21を介して、第1の入力側測定装置17の測定信号を受け取る。
【0036】
マイクロプロセッサ21ひいては評価装置20は、供給源15の駆動のための変調信号を形成する変調信号発生器24を有する。これにより、供給源15から出力される供給信号、特に電流信号が変調される。このため、供給源15には、供給源15の出力信号、ひいては(安全装置11の閉鎖時に)出力端子13にて測定可能な電気量を制御する制御装置が組み込まれている。ここで、変調信号は、振幅変調、周波数変調および/またはパルス化された電流信号の形成を生じさせることができる。
【0037】
マイクロプロセッサ21,22においては、検出された測定信号が評価され、特に相互に比較される。測定信号の比較により、安全装置11が開放されているかもしくは閉鎖されているかまたは相互短絡が生じているかを識別することができる。
【0038】
図2には、監視装置100の別の実施形態が示されている。
図1の相当する要素には、同じ参照番号を付してある。
図1の監視装置10の要素に加え、
図2の監視装置100は、別の安全装置111への接続のための別の入力端子112および別の出力端子113を有している。入力端子112には、供給電圧116に接続された別の供給源115が接続されている。
【0039】
相応に、入力端子112には第2の入力側測定装置117が接続されており、この第2の入力側測定装置117は、同様に評価装置20およびその第1のマイクロプロセッサ21に接続されている。出力端子113には、同様に、抵抗119と第2の出力側測定装置118とが接続されており、この第2の出力側測定装置118も同様に、評価装置20および特にその第2のマイクロプロセッサ22に接続されている。このことは、同時に第2の入力側測定装置117の信号が第1のマイクロプロセッサ21およびバス接続線路23を介して第2のマイクロプロセッサ22へ供給され、相応に、第2の出力側測定装置118の測定信号がマイクロプロセッサ22およびバス接続線路23を介してマイクロプロセッサ21へ供給されることを意味する。
【0040】
したがって、各マイクロプロセッサ21,22は、また、安全装置111の入力側および出力側にて測定された信号を相互に比較および評価することができる。
【0041】
供給源115は、変調信号発生器24に接続されている。この場合、変調信号発生器24は、供給源115に供給源15への変調信号とは別の変調信号を供給するように構成されている。これにより、相互短絡の識別をより確実に行うことができる。変調信号発生器24でどの変調信号が生じたかがマイクロプロセッサ21,22に既知であることにより、測定信号を評価する際にこれを考慮し得ることが理解される。安全装置11,111の一方が開放されていることまたは相互短絡が生じていることまたはマイクロプロセッサ21,22の一方が故障していることが識別されると、マイクロプロセッサ21,22の他方によって、監視されている機械が安全状態へ移行される。
【0042】
評価装置20は、バスシステム130を介して、情報交換のために上位の制御部に接続されている。
【0043】
監視装置100が、さらに、別の安全装置への接続のため、任意の数の別の入力端子および出力端子およびこれらに接続された供給源と、複数の抵抗と、評価装置20に接続された複数の測定装置とを有してよいことは理解される。
【0044】
図3のaには、測定装置17によって測定された電圧が示されている。
図3のbには、測定装置18によって出力端子13で検出された電圧が示されている。
図3のcには、
図3のa,bの各電圧の差が示されている。入力端子12および出力端子13の双方でほぼ同じ電圧が測定されているので、ほぼ0Vまたは安全装置での電圧降下に相当する差が生じている。このことは、安全装置11が閉鎖されておりかつ相互短絡が生じていないことを表している。
図3のa,bの各電圧は、供給源15のパルス化された電流信号に基づき、抵抗19に生じる。
図3のbの信号は、使用されている変調信号に対して予測される。他の信号形状が測定される場合、このことは相互短絡を示唆し得る。
【0045】
図4のaには、測定装置17により入力端子12にて測定された信号が示されている。当該信号は、供給源15の供給電圧16に相当する。しかし、この場合、
図4のbによれば、出力端子13においては電圧が検出されていない。生じる差は、
図4のcに示されているが、
図4のaの信号に相当している。したがって、測定電圧は0Vにはならず、このことは、安全装置11が開放されていることに相当する。抵抗19でも電圧は降下しない。
【0046】
図5には、監視装置200の別の実施形態が示されている。
図1の相当する要素には同じ参照番号を付してある。
図5の監視装置においては、供給電圧16が抵抗201を介して入力端子12に接続されている。この場合、供給電圧16および抵抗201が供給源を形成している。
【0047】
抵抗19に対して直列に、別の抵抗202が配置されている。抵抗202に対して並列に、この抵抗202を橋絡可能なスイッチ203が配置されている。抵抗202およびスイッチ203は、制御装置204を形成している。制御装置204およびそのスイッチ203は、変調信号発生器24によって駆動される。したがって、スイッチ203が導通切り替えされると、出力端子13にて測定される電圧が低下する。こうして、制御装置204により、測定装置18が測定する量を制御することができる。
【国際調査報告】