(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-515785(P2019-515785A)
(43)【公表日】2019年6月13日
(54)【発明の名称】水処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/28 20060101AFI20190524BHJP
C02F 1/44 20060101ALI20190524BHJP
C02F 1/42 20060101ALI20190524BHJP
C02F 9/04 20060101ALI20190524BHJP
C02F 9/08 20060101ALI20190524BHJP
【FI】
C02F1/28 A
C02F1/28 D
C02F1/28 E
C02F1/44 A
C02F1/42 A
C02F1/42 H
C02F9/04
C02F9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-555128(P2018-555128)
(86)(22)【出願日】2017年4月21日
(85)【翻訳文提出日】2018年12月13日
(86)【国際出願番号】EP2017059549
(87)【国際公開番号】WO2017182650
(87)【国際公開日】20171026
(31)【優先権主張番号】102016107485.3
(32)【優先日】2016年4月22日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】596064112
【氏名又は名称】ポール・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】ダールベルク, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ケイ, シュテッフェン
(72)【発明者】
【氏名】エクスレ, ディートマー
【テーマコード(参考)】
4D006
4D025
4D624
【Fターム(参考)】
4D006GA07
4D006KA01
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(57)【要約】
本発明は、水から微量汚染物質、特に薬剤を除去するために設けられる水処理装置から創案されたものである。この水処理装置は、少なくとも1つのハウジング(48a〜48d)と、少なくとも1つの吸着ユニット(18a〜18d)とを備え、吸着ユニット(18a〜18d)は、ハウジング(48a〜48d)内に配置され、少なくとも1つの動作状態で微量汚染物質を少なくとも部分的に吸着し、少なくとも1つの非特異的吸着要素(50a〜50d)を備える。吸着ユニット(18a〜18d)は少なくとも1つの特異的吸着要素(52a〜52d)を備えることが提案される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水から微量汚染物質、特に薬剤を除去するために設けられる水処理装置であって、
少なくとも1つのハウジング(48a〜48d)と、少なくとも1つの吸着ユニット(18a〜18d)とを備え、
前記吸着ユニット(18a〜18d)が、前記ハウジング(48a〜48d)内に配置され、少なくとも1つの動作状態で前記微量汚染物質を少なくとも部分的に吸着し、少なくとも1つの非特異的吸着要素(50a〜50d)を備える、水処理装置において、
前記吸着ユニット(18a〜18d)が少なくとも1つの特異的吸着要素(52a〜52d)を備えることを特徴とする、水処理装置。
【請求項2】
前記非特異的吸着要素(50a〜50d)および前記特異的吸着要素(52a〜52d)が互いに少なくとも部分的に接触していることを特徴とする、請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記非特異的吸着要素(50a〜50d)および前記特異的吸着要素(52a〜52d)が互いの内部に少なくとも部分的に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記吸着ユニット(18a〜18d)が、少なくとも10%程度、最大で98%の前記非特異的吸着要素(50a〜50d)からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記吸着ユニット(18a〜18d)が、少なくとも2%程度、最大で90%の前記特異的吸着要素(52a〜52d)からなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記吸着ユニット(18a〜18d)が、前記吸着ユニット(18a〜18d)の本体(54a〜54d)を少なくともかなりの程度形成する少なくとも1つの吸着体を備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記非特異的吸着要素(50a〜50d)が前記本体(54a〜54d)を少なくとも部分的に備えることを特徴とする、請求項6に記載の水処理装置。
【請求項8】
前記非特異的吸着要素(50a〜50d)が少なくとも1つの有機吸着体を備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項9】
前記非特異的吸着要素(50a〜50d)が少なくとも1つの鉱物吸着体を備えることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項10】
前記特異的吸着要素(52a〜52d)が少なくとも1つの逆相吸着体を備えることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項11】
前記特異的吸着要素(52a〜52d)が少なくとも1つのイオン交換吸着体を備えることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項12】
前記特異的吸着要素(52a〜52d)が、水素ブリッジによる吸着のために設けられる少なくとも1つの吸着体を備えることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項13】
前記特異的吸着要素(52a〜52d)が少なくとも1つの錯化剤吸着体を備えることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の水処理装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の水処理装置を備えるとともに、流れの方向に対して前記水処理装置の上流側に配置される少なくとも1つの前置ろ過ユニット(56a)を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
汚染物質を除去すべく水を処理するために非特異吸着要素を有する吸着ユニットを使用する水処理装置が既に開発されている。しかし、処理効率は水中に含まれている汚染物質のほとんどに対して十分であるのに対し、この種の水処理装置の微量汚染物質(micro−pollutants)に対する処理効率は顕著に低下する。その理由は、これらの汚染物質は一方では非常に低い濃度で存在し、他方では少なくとも相当に低い分子量を有するからである。個々の微量汚染物質の濃度は、通常は環境および人間の臨界許容限度より下にあるが、様々な微量汚染物質の和パラメータが考慮されていない。特に、或る微量汚染物質が不十分にしか選択的に除去されない。したがって、水からこれらの汚染物質をより高い効率で除去することは非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、特に、この種の装置の効率、特に処理効率に関して改善した特性を有する装置を提供することである。この目的は、本発明によれば請求項1の特徴によって達成されるのに対して、本発明の好適な実施形態および発展形は従属請求項から得られる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、水、特に飲料水から微量汚染物質、特に薬剤を除去するために設けられる水処理装置に関し、この水処理装置は、少なくとも1つのハウジングと、少なくとも1つの吸着ユニットとを備え、吸着ユニットは、ハウジング内に配置され、少なくとも1つの動作状態で微量汚染物質を少なくとも部分的に吸着し、少なくとも1つの非特異的吸着要素を備える。
【0005】
吸着ユニットは少なくとも1つの特異的吸着要素を備えることが提案される。特に、水処理装置はフィルタユニットをさらに備えることができる。効率、特に処理効率は結果として改善され得る。特に、水処理の質が改善され得る。水は好適には、特定の微量汚染物質に関して選択的に処理することもできる。
【0006】
「設けられる(provided)」という用語は、ここでは特に、特別に設計されかつ/または装備されることを意味すると理解されるべきである。物体が特定の機能のために設けられることは、特に、その物体が少なくとも1つの適用例および/または動作状態でこの特定の機能を果たしかつ/または実行することを意味すると理解されるべきである。「水処理装置」は、特に、水、特に飲料水を処理する、精製する(purifying)、浄化する(clarifying)、清浄にする(cleaning)、かつ/またはパージする(purging)ために設けられ、好適には、微量汚染物質を、特に、微量汚染物質が水からろ過されかつ/または吸着され、特に吸収されかつ/または特に好ましくは吸着されることで除去するために設けられる装置を意味すると理解されるべきである。水処理装置は、特に、水処理カートリッジ、水処理用システム、および/または下水処理プラントなどの水処理プラントの特に少なくとも一部、特に部分組立体である。特に、水処理装置は、水処理カートリッジ、水処理用システム、および/または水処理プラントを完全に備えることができる。特に、水処理装置は、家庭給水設備に、好ましくは給水栓に好適には直接連結することができ、特に、流れ方向に関してそれらの設備の上流側に配置される。水処理装置の「動作状態」は、特に、水が水処理装置に十分に流される状態を意味すると理解されるべきである。
【0007】
「微量汚染物質(micro−pollutants)」という用語は、特に、低濃度で、より具体的には特に10,000ppm未満、好ましくは1000ppm未満、より好ましくは100ppm未満、特に好ましくは10ppm未満の濃度で水中に存在し、特に水中に溶解している、工業化学物質、薬剤、特にカルバマゼピン、スルファメトキサゾール、ジクロフェナクおよび/またはエチニルエストラジオール、重金属、および/または農薬などの汚染物質を意味すると理解されるべきである。特に、微量汚染物質の分子量は、100kDa未満、好ましくは10kDa未満、より好ましくは1kDa未満、特に好ましくは0.1kDa未満である。
【0008】
「吸着ユニット」は、特に、少なくとも1つの吸着要素を有するユニットを意味すると理解されるべきであり、このユニットは、微量汚染物質、特に溶解微量汚染物質を、特に少なくとも1つの吸着体、好ましくは複数の吸着体を用いて、より具体的には特に表面上に、好ましくは空洞内に、特に好ましくは吸着体の細孔内に少なくとも概ねしっかりと結合しかつ/または吸着するために設けられる。特に、微量汚染物質を結合するための下にある吸着機構は共有結合とは異なる。吸着要素は、好適には、クーロン相互作用および/またはファンデルワールス相互作用によって微量汚染物質を少なくとも概ねしっかりと結合するために設けられる。「微量汚染物質を少なくとも概ねしっかりと結合する」という表現は、特に、吸着した微量汚染物質が、洗い流し試験において、結合物質量の最大で1パーセント、好適には最大で0.5パーセント、好ましくは最大で0.1パーセント程度を少なくとも1時間、好適には少なくとも2時間、好ましくは少なくとも4時間の期間内に水で洗い流すことにより洗い落とされることを意味すると理解されるべきである。吸着ユニットは、特に少なくとも部分的に化学的に再生可能である。「化学的に再生可能な(chemically regenerable)」という用語は、特に、少なくとも1つの吸着体が化学反応によって再生され得ることを意味すると理解されるべきである。特に、吸着体は、酸および/または灰汁、好ましくは水酸化ナトリウムによって化学的に再生され得る。吸着体は、特に、食塩水、好ましくはNaCl溶液によっても化学的に再生可能である。別法としてまたは追加として、吸着体は、特に例えば熱および/または電磁放射の形でエネルギーにさらされることにより、特に光、好ましくは紫外線光にさらされることにより再生され得る。吸着ユニットは、特に、好適に透水性の固体ブロックとしてまたは充填物として形成され、この固体ブロック/充填物は、少なくとも1つの吸着要素によって少なくとも部分的に形成される。
【0009】
「非特異的吸着要素(non−specific adsorption element)」は、特に、少なくとも1つの非特異的吸着体を備える吸着要素を意味すると理解されるべきであり、この吸着要素は、複数の微量汚染物質を化学的に非特異的に、特に同程度に、好ましくは微量汚染物質の官能基および/または微量汚染物質の電荷とは無関係に吸着するために設けられる。非特異的吸着体は、特に様々な微量汚染物質を立体的に依存する形で吸着するために設けられる。非特異的吸着要素は、好適には複数の非特異的吸着体を備えることができる。「特異的吸着要素(specific adsorption element)」は、特に、少なくとも1つの特異的吸着体を備える吸着要素を意味すると理解されるべきであり、この吸着要素は、特定の微量汚染物質を化学的または物理的に特異的な形で、特に異なる程度に、好ましくは微量汚染物質の官能基および/または微量汚染物質の電荷に依存して吸着するために設けられる。特異的吸着体は、特に、いくつかの微量汚染物質を立体的に独立に吸着するために設けられる。特異的吸着要素は、好適には複数の吸着体を備えることができる。
【0010】
別法としてまたは追加として、吸着ユニットは、別の本体、例えばフィルタユニットと少なくとも部分的に一体に、より具体的には好適には含侵および/またはコーティングの形で形成され得る。「少なくとも部分的に一体に形成される(formed at least partiially in one piece)」という表現は、この文脈では特に、少なくとも1つの物体の少なくとも1つの構成要素が少なくとも1つの別の物体の少なくとも1つの構成要素と一体に形成されることを意味すると理解されるべきである。「一体に(in one piece)」という用語は、特に、少なくとも物質間接合によって、例えば溶接プロセス、接着プロセス、射出成形プロセス、および/または当業者に好適に見える別のプロセスによって連結されることを意味すると理解されるべきである。「一体に」という用語は、好適には「一部分に(in one part)」を意味すると理解されるべきでもある。「一部分に」という用語は、特に、例えば、鋳造から生産することにより、および/または、好適には個別のブランクから一成分または多成分射出成形法で、特に好ましくはスピニング法で、特に、フィルタユニットが一体化吸着体で特に相反転プロセスで生産される反応スピニングなどの湿式スピニング法で生産することにより、単一部品に形成されることを意味すると理解されるべきである。
【0011】
「フィルタユニット」は、特に、フィルタ膜の細孔で微量汚染物質を保持することにより水から微量汚染物質を除去するために設けられる膜フィルタユニットを意味すると理解されるべきである。フィルタユニットは特に、少なくとも1つのフィルタ要素、好ましくは少なくとも5つのフィルタ要素、好ましくは少なくとも10個のフィルタ要素、特に好ましくは少なくとも20個のフィルタ要素を備える。フィルタ要素は、特にフィルタ膜として、好適には中空繊維のフィルタ膜として形成され、フィルタ要素の壁がフィルタ膜を形成し、中空チャンネルを形成する。原理的には、フィルタ要素は、水が閉鎖された中空チャンネルからフィルタ要素を通って外部空間にまで通過するときに中空チャンネル内で誘導される水を清浄にすることができ、したがって中空チャンネルを流出した水が清浄にされる、あるいは、フィルタ要素は、好ましくは外部空間から中空チャンネルに入る水を清浄にすることができ、次いでこの水は中空チャンネル内で清浄な状態で誘導される。
【0012】
連続的な吸着を実現するために、さらに非特異的吸着要素と特異的吸着要素との間の水の汚染を防止するためにも、非特異的吸着要素および特異的吸着要素は互いに少なくとも部分的に接触することが提案される。非特異的吸着要素および特異的吸着要素は特に互いに直接隣接する。同じ流れプロファイルが、好適には動作状態で少なくとも略同時に非特異的吸着要素および特異的吸着要素に流される。
【0013】
非特異的吸着要素および特異的吸着要素は互いの内部に少なくとも部分的に配置されることも提案される。ここで、吸着要素のうちの少なくとも1つが他の吸着要素のための支持体として形成され得る。非特異的吸着要素および特異的吸着要素は、互いに混合され、特に互いに均一に混合されることが好ましい。特に、これにより非特異的吸着および特異的吸着を同時に行うことができる。非特異的吸着および特異的吸着の均一性は改善され得ることが好ましい。
【0014】
本発明の好ましい一実施形態では、吸着要素は少なくとも10%程度、最大で98%の非特異的吸着要素からなることが提案される。吸着要素は好適には、少なくとも2%程度、最大で90%の特異的吸着要素からなる。吸着ユニットはさらに、特に少なくとも部分的に補強剤からなることができ、補強剤は、特に吸着ユニットの生産時に吸着ユニットを安定させるために設けられることが好ましい。吸着ユニットは、特に好ましくは特異的吸着要素および非特異的吸着要素によって完全に形成される。特異的吸着要素および非特異的吸着要素の割合は、好適には、特異的吸着要素および非特異的吸着要素の割合の合計が吸着ユニットの100%になるように選択される。例えば、吸着ユニットが10%の割合の非特異的吸着要素からなる場合、吸着ユニットは特に90%の割合の特異的吸着要素からなる。これにより水処理装置の処理効率をさらに改善することができる。これは、特に、非特異的吸着要素および特異的吸着要素の割合を好適には、処理されるべき水を汚染している微量汚染物質の構成に適合させることができるからである。
【0015】
吸着ユニットは少なくとも1つの吸着体を備え、吸着体は吸着ユニットの本体を少なくともかなりの程度形成することも提案される。本体は、特に吸着ユニットのブロックおよび/または充填部を少なくともかなりの程度形成し、特に非特異的吸着要素および/または特異的吸着要素のための支持体として設けられる。「少なくともかなりの程度」という表現は、ここでは、特に50%超、好適には65%超、好ましくは75%超、特に好ましくは85%超、特に好適には少なくとも95%を意味すると理解されるべきである。これにより生産を簡略化することができる。コンパクトな構造を実現することもできる。
【0016】
非特異的吸着要素は本体を少なくとも部分的に形成することも提案される。本体は、特に、非特異的吸着体によって少なくともかなりの程度、好適には完全に形成される。特に、本体は補強剤によって少なくとも部分的に形成され得る。これにより生産をさらに簡略化することができる。これは、本体は、特異的吸着要素の異なる特異的吸着体のための支持体として可変的に使用され得るからである。
【0017】
本発明の好ましい一実施形態では、非特異的吸着要素は少なくとも1つの有機吸着体を備えることが提案される。特に、有機吸着体は活性炭、好ましくは粒状活性炭、特に好ましくは焼結粒状活性炭である。特に、活性炭は、特に互いに絡み合わされた繊維、好ましくは織り合わされた繊維の形で提供されることが考えられる。有機吸着体は、特に、本体を少なくとも部分的に、好ましくは少なくともかなりの程度、特に好ましくは完全に形成する。非特異的吸着要素は、複数の好ましくは異なる有機吸着体も備えることができる。これにより生産コストを節減することができる。
【0018】
非特異的吸着要素は少なくとも1つの鉱物吸着体を備えることも提案される。鉱物吸着体は好ましくは5%〜20%程度の非特異的吸着要素を形成する。鉱物吸着体は特にベントナイト、珪藻土、シリカゲル、アルミナおよび/または酸化亜鉛である。非特異的吸着要素は複数の鉱物吸着体も備えることができる。これにより処理効率をさらに改善することができる。さらに、鉱物吸着体の割合を小さく抑えることができるので、コストを低く抑えることができる。
【0019】
特に薬剤の特異的吸着を改善するために、特異的吸着要素は少なくとも1つの逆相吸着体を備えることが提案される。「逆相吸着体」は、特に官能化配位子を含むエチルビニルベンゼンなどの好適に架橋された官能化有機ポリマーを意味すると特に理解されるべきである。配位子は、好適には疎水性官能化のために設けられ得る。特異的吸着要素は、特に、好ましくは異なる特性、特に異なる官能基を有する複数の逆相吸着体を備えることができ、逆相吸着体は、具体的には少なくとも1つの微量汚染物質、特に正確には1つの微量汚染物質を吸着するために設けられる。
【0020】
特に、重金属、好適には工業化学物質、薬剤および/または農薬に含まれている金属の特異的吸着を改善するために、特異的吸着要素は少なくとも1つのイオン交換吸着体を備えることが提案される。「イオン交換吸着体」は、特に特異的吸着体を意味するように理解されるべきであり、特異的吸着体は、好ましくは吸着原理としてクーロン相互作用を使用するものであり、特に液体中に溶解している微量汚染物質のイオンを吸着および/または交換するために特に設けられる。イオン交換吸着体は、好適には陽イオン交換吸着体および/または陰イオン交換吸着体として形成され得る。イオン交換吸着体は、特に官能化親水性ポリマー、例えば官能化シリカゲル、官能化セルロースおよび/または官能化デキストランである。特異的吸着体の陰イオン交換吸着体および/または陽イオン交換吸着体としての機能は特に官能化に依存する。アンモニウム基、好ましくは第4級アンモニウム基、ジエチルアミノエチル(DEAE)、トリメチルヒドロキシプロピル(QA)、第4級アミノエチル(QAE)、第4級アミノメチル(Q)、トリエチルアミノメチル(TEAE)、トリエチルアミノプロピル(TEAP)、およびポリエチレンイミン(PEI)が、特に、特異的吸着体の陰イオン交換吸着体としての官能化に使用され得る。カルボキシル基、硫酸基、特にスルホン酸塩(S)、スルホエチル(SE)、スルホプロピル(SP)、リン酸基、特にオルトリン酸塩(P)、メタクリレートおよび/またはカルボキシメチル(CM)が、好適には特に、特異的吸着体の陽イオン交換吸着体としての官能化に使用され得る。イオン交換吸着体は特に好ましくは少なくとも1つの官能化アガロースを含む。特に、アガロースは、架橋アガロースとして、より具体的には特にセファロースとして、好ましくは、特にセファロースビーズとしても知られるセファロースペレットとして形成される。アガロースは、特に好ましくは、アンモニウム基、好ましくは第4級アンモニウム基、特に好ましくはジエチルアミノエチル(DEAE)によって官能化される。特異的吸着体は、好ましくは陰イオン交換吸着体として形成される。特異的吸着要素は、特に複数の、好ましくは異なるイオン交換吸着体も備えることができる。
【0021】
特異的吸着要素は少なくとも1つの吸着体を備え、この吸着体は水素ブリッジによる吸着のために設けられることも提案される。特異的吸着要素は好ましくは、線状、特に架橋ポリビニルピロリドン(PVPP)および/またはPVPPの共重合体、例えば、特に異なる分子量および架橋度のビニルピロリドン/酢酸ビニルを含む。これにより環境および/または健康適合性をさらに改善することができる。特異的吸着要素は、特に複数の、好ましくは異なる吸着体も備えることができ、この吸着体は水素ブリッジによる吸着のために設けられる。これにより薬剤中に生じるタンパク質の特異的吸着を改善することができる。
【0022】
本発明の特に好ましい一実施形態では、特異的吸着要素は少なくとも1つの錯化剤吸着体を備えることが提案される。錯化剤吸着体は、特に、少なくとも1つの荷電配位子、好ましくは複数の荷電配位子、特にカルボキシル基を含む物質を意味すると理解されるべきであり、荷電配位子は、少なくとも1つの荷電微量汚染物質、好ましくは重金属イオンを吸着し、特に結合する。吸着中、錯化剤吸着体および微量汚染物質は特にキレート錯体を形成する。錯化剤吸着体は、特にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)とすることができる。特異的吸着要素は、特に複数の、好ましくは異なる錯化剤吸着体も備えることができる。特に、これにより重金属、好適には工業化学物質、薬剤および/または農薬に含まれている金属の特異的吸着をさらに改善することができる。
【0023】
水処理装置を備えるとともに、流れの方向に対して水処理装置の上流側に配置される少なくとも1つの前置ろ過ユニットを備えるシステムも提案される。前置ろ過ユニットは、水処理装置に達したすべての水が水処理装置に入る前に前置ろ過ユニットを通過しているように配置されることが好ましい。「前置ろ過ユニット」は、特に、水処理装置の目詰まりを防止するために、特に水処理装置内で除去される微量汚染物質より大きい粒子、特に0.01μmより大きいサイズ、好ましくは0.1μmより大きいサイズ、好ましくは1μmより大きいサイズ、特に好ましくは10μmより大きいサイズを有する粒子を有する汚染物質を除去するために設けられるユニットを意味すると理解されるべきである。特に、処理効率を改善した浄水用システムが提供され得る。
【0024】
水処理装置は、ここでは上述した適用例および実施形態に限定されるものではない。特に、水処理装置は、本明細書に記載されている動作原理に適合するために、本明細書に指定されている数とは異なる数の個々の要素、構成要素およびユニットを有することができる。加えて、指定された限度内にある値が開示されることも考えられ、本開示に明記されている値の範囲から任意に選択可能である。
【0025】
図面の下記の説明からさらなる利点が明らかとなろう。図面は、本発明の例示的な諸実施形態を示す。図面、説明、および特許請求の範囲は、非常に多くの特徴を組み合わせて含んでいる。当業者であるならば、好適には、上記特徴を個々に考慮し、その特徴を組み合わせて有用なさらなる組合せも形成するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】水処理装置を有する水処理カートリッジの断面図である。
【
図4】水処理装置のフィルタユニットの一部の斜視図である。
【
図5】水処理装置の吸着ユニットの一部の概略断面図である。
【
図6】水処理装置および前置ろ過ユニットを有するシステムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、水処理装置を有する水処理カートリッジ57aの断面図を示す。水処理装置は、水、特に飲料水から微量汚染物質、特に薬剤を除去するために設けられる。この目的のために、水処理カートリッジ57aは、水を処理するためのシステム内に設置するために設けられる。
【0028】
図2は、水処理装置のカートリッジ40aを示す。カートリッジ40aは管状に形成される。カートリッジ40aは円筒ジャケット58aを備える。円筒ジャケット58aは、円筒ジャケット58aの内部に受入空間60aを形成する。受入空間60aは、水処理装置の他のユニットを収容するために使用される。カートリッジ40aは開口部42aを備え、開口部42aは、軸線方向44aに考慮して互いに対して周方向46aにオフセットして配置される。開口部42aは、円筒ジャケット58aに切抜きによって、特に軸線方向44aに対して垂直な切抜きによって形成される。カートリッジ40aはカートリッジ連結器62aを備える。カートリッジ連結器62aは、水処理装置を水管路に連結するために設けられる。カートリッジ連結器62aは、水処理装置を連結するためのねじ山を備える。カートリッジ連結器62aは、一方の側から、特に軸線方向44aに円筒ジャケット58aを閉鎖する。カートリッジ40aはカートリッジ端末具64aも備える。カートリッジ端末具64aは、他方の側から、特に軸線方向44aに円筒ジャケット58aを閉鎖する。カートリッジ40aはプラスチック材料から形成される。カートリッジ40aは、好適にはポリプロピレンから、より具体的には特に好ましくはポリプロピレンホモポリマー(PP−H)から形成される。
【0029】
図3は、水処理装置の一部の分解図を示す。水処理装置はフィルタハウジング32aを備える。フィルタハウジング32aは組立状態のときにカートリッジ40aの受入空間60aに配置される。水処理装置のフィルタユニット10aがフィルタハウジング32a内に少なくとも部分的に配置される。フィルタユニット10aは、フィルタユニット10aの延びの主方向を考慮してフィルタハウジング32a内に50%未満程度に配置される。フィルタハウジング32aは中空円筒体として形成される。フィルタハウジング32aは円筒ジャケットを備え、円筒ジャケットは、水処理装置の保持要素20aを少なくとも部分的に取り囲む。水処理装置は吸着ハウジング34aも備える。吸着ハウジング34aは組立状態のときにカートリッジ40aの受入空間60aに配置される。水処理装置の吸着ユニット18aが吸着ハウジング34a内に配置される。吸着ハウジング34aは中空円筒体として形成される。吸着ハウジング34aは円筒ジャケットを備え、円筒ジャケットは吸着ユニット18aを少なくとも部分的に取り囲む。水が水処理装置に流される動作状態では、フィルタハウジング32aは、流れ方向を考慮して吸着ハウジング34aの上流側に配置される。
【0030】
水処理装置はスクリーンユニット38aを備える。スクリーンユニット38aは、フィルタハウジング32aおよび吸着ハウジング34aを互いに隔てる。スクリーンユニット38aはさらに、吸着ハウジング34aを少なくとも一方の側から少なくとも部分的に閉鎖する。スクリーンユニット38aはスクリーンカバー68aを備える。スクリーンカバー68aは、吸着ユニットを一方の側から少なくとも部分的に閉鎖する。スクリーンカバー68aはさらに、吸着ユニット18aをフィルタユニット10aから隔てる。スクリーンカバー68aは、吸着ハウジング34aに確実な係合状態で連結される。スリーンカバー68aは、吸着ハウジング34aに強制力によるロック態様でかつ/または物質間接合でも連結され得る。別法としてまたは追加として、スクリーンカバー68aは吸着ハウジング34aと一体に形成され得る。スクリーンカバー68aは複数の貫通開口部を備える。貫通開口部は、フィルタユニット10aと吸着ユニット18aとの間で水が流れるよう設けられる。
【0031】
スクリーンユニット38aは少なくとも1つのフリット70aを備える。フリット70aは円板形状である。フリット70aは多孔質材料から作製される。フリット70aは架橋ポリエチレンから作製される。フリット70aは、スクリーンユニット38aの吸着ユニット18aに面する側に配置される。フリット70は吸着ハウジング34a内に配置される。フリット70aは、流れの方向を考慮してスクリーンカバー68aの後段に、特に吸着ユニット18aの前段に配置される。フリット70aは、吸着ユニット18aの汚染を防止するために、好ましくは吸着ユニット18aが吸着ハウジング34aから少なくとも部分的に脱落するのを防止するために設けられる。
【0032】
スクリーンユニット38aは別のスクリーンカバー72aを備える。別のスクリーンカバー72aは、スクリーンカバー68aと少なくとも概ね同等に形成される。別のスクリーンカバー72aは、吸着ハウジング34aと一体に形成される。別のスクリーンカバー72aは吸着ハウジング34aとは別に形成され、特に強制力によるロック状態および/または確実なロック状態で吸着ハウジング34aに連結されることが考えられる。別のスクリーンカバー72aは、吸着ハウジング34aを少なくとも一方の別の側から少なくとも部分的に閉鎖する。別のスクリーンカバー72aは、流れの方向を考慮して吸着ユニット18aの後段に配置される。スクリーンユニット38aは別のフリット74aも備える。別のフリット74aは、第1のフリット70aと少なくとも概ね同等に形成される。別のフリット74aは吸着ハウジング34a内に配置される。別のフリット74aは、流れの方向を考慮して吸着ユニット18aの後段に、特に別のスクリーンカバー72aの前段に配置される。
【0033】
水処理装置は連結ユニット36aを備える。連結ユニット36aは、組立状態で、吸着ハウジング34aおよびフィルタハウジング32aを互いに、特に確実な係合状態で連結する。別法としてまたは追加として、連結ユニット36aは、強制力によるロック連結および/または物質間接合のために設けることもできる。例えば、連結ユニット36aは追加の強制力によるロック連結用のねじ部を備えることが考えられる。連結ユニット36aは少なくとも1つの連結要素76aを備え、連結要素76aは、組立状態で、フィルタハウジング32aを吸着ハウジング34aに連結する。連結要素76aは、吸着ハウジング34aおよび/またはフィルタハウジング32aとは別個に形成される。別法としてまたは追加として、連結要素76aは、フィルタハウジング32aおよび/または吸着ハウジング34aと少なくとも部分的に一体に形成され得る。連結要素76aはスリーブとして形成される。
【0034】
連結ユニット36aは少なくとも1つの連結要素受け部78aを備え、連結要素受け部78aは連結要素76aを受け入れるために設けられる。連結要素受け部78aは連結要素76aに対応して形成される。連結要素受け部78aは、吸着ハウジング34aに陥凹部として形成される。連結ユニット36aは別の連結要素受け部80aを備える。別の連結要素受け部80aは、連結要素受け部78aと少なくとも概ね同等に形成される。別の連結要素受け部80aは、フィルタハウジング32aに陥凹部として形成される。
【0035】
水処理装置の組立て中に、別のフリット74aは吸着ハウジング34a内に配置される。吸着ユニット18aもまた、吸着ハウジング34a内に、特に、流れ方向を考慮して別のフリット70aの後段に配置される。フリット70aは、吸着ハウジング34a内に、特に、流れ方向を考慮して吸着ユニット18aの後段に配置される。スクリーンカバー68aは吸着ハウジング34aを閉鎖する。フィルタユニット10aはフィルタハウジング32a内に配置される。フィルタハウジング32aは、流れ方向を考慮して吸着ハウジング34aの後段に配置される。連結ユニット36aは、吸着ハウジング34aおよびフィルタハウジング32aを連結する。連結要素76aは連結要素受け部78aに係合する。連結要素76aは別の連結要素受け部80aに係合する。フィルタハウジング32aおよび吸着ハウジング34aはカートリッジ40aの受入空間60aに配置される。円筒ジャケット58aはカートリッジ端末具64aによって閉鎖される。円筒ジャケット58aはカートリッジ連結器62aにも連結される。カートリッジ40aは外側ハウジング82a内に配置することもできる(
図6参照)。
【0036】
フィルタユニット10aの一部が
図4に概略的に示されている。フィルタユニット10aは、水処理装置の動作状態で水を少なくとも1回ろ過をするために設けられる。フィルタユニット10aは膜フィルタユニットとして形成される。フィルタユニット10aは少なくとも1つのフィルタ要素12aを備える。フィルタユニット10aは特に多数のフィルタ要素12a、22aを備えるが、明瞭にするために
図4には互いに同等の2つのフィルタ要素12a、22aだけが示されている。フィルタ要素12aは管状である。フィルタ要素12aはフィルタ膜として形成される。フィルタ膜は中空繊維フィルタ膜である。フィルタ要素12aは壁を備える。壁はフィルタ膜を形成する。壁はフィルタ要素12aの中空チャンネルを画す。フィルタ要素12aは第1の端部分14aおよび第2の端部分16aを備える。端部分14a、16aは、フィルタ要素12に沿って最大で5cmにわたって延びる。端部分14a、16aは、水処理装置の保持要素20aによって互いに対して固定的に配置される。フィルタ要素12aの端部分14a、16aは保持要素20aに固定的に連結される。保持要素20aはフラットブロックとして形成される。保持要素20aは、物質間接合によってフィルタハウジング32aに連結される。保持要素20aは、好適にはバインダ86aから形成される。バインダ86aはエポキシ樹脂である。別のバインダ86a、例えば接着剤および/またはプラスチック材料が使用され得ることも考えられる。端部分14a、16aは、フィルタ要素12aを組み立てる前に、バインダ86aがフィルタ要素12a、特にフィルタ要素12aの壁を汚染しないように密封される。組立て中に、フィルタハウジング32aはバインダ86aで充填される。フィルタ要素12aの端部分14a、16aはバインダ86a内に配置され、その際、バインダ86aはまだ液体である。バインダ86aは、保持要素20aを形成するように硬化される。硬化したバインダ86aは、フィルタ要素12aの端部分14a、16aの開口部が露出されるように研磨される。
【0037】
フィルタ要素12aは組立状態で少なくとも一部が湾曲され、特にループ形状を有する。フィルタ要素12aは、フィルタ要素12aの端部分14a、16aが0°〜90°の内角を囲むように湾曲される。この場合、端部分14a、16aは、フィルタ要素12aが好ましくはU字形状に湾曲されるように、互いに少なくとも略平行または好ましくは逆行状態である。この場合、内角はその結果として概ね0°である。フィルタ要素12aは特に主広がり面24aを有する。フィルタ要素12aは、フィルタ要素12aの全範囲にわたって主広がり面24aで横切られる。
【0038】
フィルタユニット10aは少なくとも1つの別のフィルタ要素22aも備える。別のフィルタ要素22aは、フィルタ要素12aと少なくとも概ね同等に形成され、特にフィルタ要素12aと同等に形状を定められ、好適には保持要素20aに同等に固定される。フィルタ要素12aおよび別のフィルタ要素22aは互いに長さが異なる。別のフィルタ要素22aは、フィルタ要素12aを少なくとも部分的に取り囲む。別のフィルタ要素22aは別の主広がり面26aを有する。組立状態で、別のフィルタ要素22aの別の主広がり面26aは、フィルタ要素12aの主広がり面24aとは異なる。フィルタ要素12aの主広がり面24aおよび別のフィルタ要素22aの別の主広がり面26aは、互いに或る角度をなして配置される。この場合、フィルタ要素12aの主広がり面24aおよび別のフィルタ要素22aの別の主広がり面26aは、互いに対して少なくとも概ね垂直である。主広がり面24a、26aは、互いに別の角度、特に20°〜160°をなして配置することもでき、あるいは、互いに少なくとも略平行に配置することもできる。
【0039】
フィルタユニット10aは、フィルタ要素12aの群28a(
図1参照)も備える。フィルタ要素12aの群28aは少なくとも1つの追加フィルタ要素12a、特に複数の追加フィルタ要素12aを備え、少なくとも1つ/複数の追加フィルタ要素12aは、フィルタ要素12aと少なくとも概ね同等に形成される。群28aのフィルタ要素12aは、特に水処理装置のメッシュによって束ねられる。フィルタユニット10aは、別のフィルタ要素22aの別の群30a(
図2参照)も備える。別のフィルタ要素22aの別の群30aは少なくとも1つの追加別のフィルタ要素22a、特に複数の追加別のフィルタ要素22aを備え、これらの1つ/複数の追加別のフィルタ要素22aは、別のフィルタ要素22aと少なくとも概ね同等である。群30aのフィルタ要素22aは、特に水処理装置の別のメッシュによって束ねられる。別法としてまたは追加として、フィルタユニット10aは、群28a、30aまたは追加の群のうちの1つだけを備えることができる。
【0040】
図5に、吸着ユニット18aは断面図で概略的に示されている。吸着ユニット18aは非特異的吸着要素50aを備える。吸着ユニット18aは、少なくとも10%程度、最大で98%程度の非特異的吸着要素50aからなり得る。この場合、吸着ユニット18aは、80%程度の非特異的吸着要素50aからなる。特に、吸着ユニット18aは、別の値10%〜98%程度の非特異的吸着要素50aからなることもできる。
【0041】
非特異的吸着要素50aは少なくとも1つの有機吸着体を備える。この場合、有機吸着体は活性炭である。有機吸着体は、ここでは円柱ブロックの形で存在する。有機吸着体は活性炭、特に焼結粒状活性炭である。別法としてまたは追加として、有機吸着体は、充填物の形で、特に粒状の形で存在することができる。非特異的吸着要素50aは本体54aを備える。本体54aは、吸着ユニット18aをかなりの程度まで形成する。吸着ユニット18aは吸着体を備え、吸着体は吸着ユニット18aの本体54aを少なくとも部分的に形成する。この場合は、有機吸着体が本体54aを少なくとも部分的に形成する。別法として、有機吸着体は本体54aを完全に形成することができる。
【0042】
非特異的吸着要素50aは少なくとも1つの鉱物吸着体も備える。非特異的吸着要素50aは少なくとも5%〜20%程度の鉱物吸着体を備える。この場合、非特異的吸着要素50aは5%程度の鉱物吸着体を備える。この場合、鉱物吸着体はベントナイトである。鉱物吸着体もまた、非特異的吸着要素50aの本体54aを少なくとも部分的に形成する。別法としてまたは追加として、非特異的吸着要素50aは、鉱物吸着体として珪藻土、シリカゲル、アルミナおよび/または酸化亜鉛を含むことができる。
【0043】
吸着ユニット18aは特異的吸着要素52aを備える。吸着ユニット18aは、少なくとも2%程度、最大で90%の特異的吸着要素52aからなり得る。この場合、吸着ユニット18aは、20%程度の特異的吸着要素52aからなる。特に、吸着ユニット18aは、別の値2%〜90%程度の特異的吸着要素52aからなることもできる。特異的吸着要素52aは少なくとも1つの吸着体を備える。別法としてまたは追加として、吸着ユニット18aの本体54aは、少なくとも部分的に特異的吸着体で形成され得る。
【0044】
特異的吸着要素52aは、架橋官能化有機ポリマーなどの逆相吸着体を少なくとも1つ含む。特異的吸着要素52aは、好ましくは逆相吸着体として架橋エチレンビニルベンゼンを含む。特異的吸着要素52aは少なくとも1つのイオン交換吸着体をさらに備える。イオン交換吸着体は、陽イオン交換体または陰イオン交換体として形成され得る。この場合、イオン交換吸着体は陰イオン交換体として形成される。イオン交換吸着体はアガロースであり、アガロースは、アンモニウム基、好ましくは第4級アンモニウム基、特に好ましくはジエチルアミノエチル(DEAE)によって官能化される。特異的吸着要素52aは少なくとも1つの吸着体も含み、この吸着体は水素ブリッジによる吸着のために設けられる。この場合、水素ブリッジによる吸着のために設けられる吸着体は、線状および/または架橋ポリビニルピロリドン(PVPP)である。特異的吸着要素52aは少なくとも1つの錯化剤吸着体も備える。この場合、錯化剤吸着体はエリテンジアミン四酢酸(EDTA)である。別法としてまたは追加として、特異的吸着体52aは別の特異的吸着体を備えることができる。
【0045】
非特異的吸着要素50aおよび特異的吸着要素52aは互いに少なくとも部分的に接触する。非特異的吸着要素50aおよび特異的吸着要素52aは互いに中に少なくとも部分的に配置され、特に互いに混合される。
【0046】
動作状態では、清浄にされるべき水が水処理装置全体に流される(
図1参照)。水が水処理装置に入る方向は、特に、水が水処理装置から出る方向に対して少なくとも略垂直である。水は、カートリッジ40aの開口部から水処理装置に、特に軸線方向44aに対して少なくとも略垂直に流入する。水は、フィルタユニット10aにも軸線方向44aに対して少なくとも略垂直に流出する。水は、フィルタ要素12a、特にフィルタ要素12aの壁を少なくとも部分的に通過する。水は壁によってろ過される。水はフィルタ要素12aの内側に、特に中空チャンネル内に集まる。中空チャンネルは、水を吸着ユニット18aの方向に誘導する。水は吸着ユニット18a内に、特に軸線方向44aに流通する。水に含まれている微量汚染物質は吸着ユニット18aによって吸着される。水は、カートリッジ連結器62aを通って水処理装置から特に軸線方向44aに流出する。
【0047】
図6は、水処理装置および前置ろ過ユニット56aを有するシステムを示す。前置ろ過ユニット56aは、流れ方向に対して水処理装置の上流側に配置される。このシステムは、水管路内の設置のために設けられる。前置ろ過ユニット56aは、フィルタ膜を有する精密ろ過ユニットとして形成され、サイズが少なくとも5μmの粗い塵埃粒子を捕らえるために設けられる。代替実施形態では、他のサイズ、例えば20μmを有する粗い塵埃粒子を捕らえるのに適したフィルタ膜が使用され得る。次いで、微量汚染物質は水処理装置内で除去される。
【0048】
水処理装置は外側ハウジング82a内に配置される。外側ハウジング82aは、水管路に連結するためのねじ山を有する出口を備える。前置ろ過ユニット56aは別の外側ハウジング84a内に配置される。別の外側ハウジング84aは、水管路に連結するためのねじ山を有する連結器を備える。前置ろ過ユニット56aおよび水処理装置は、別の外側ハウジング84aに入った水が最初に前置ろ過ユニット56aを通過し、次いで外側ハウジング82aの中に流入し、そこで水が水処理装置によって処理されるように互いに対して配置される。
【0049】
本発明の他の例示的な実施形態が
図7〜
図9に示されている。下記説明および図面は、根本的に例示的な諸実施形態の間の違いに限定され、原則として、同様に示されている構成要素に関して、特に類似の参照符号を有する構成要素に関して他の例示的な実施形態の図面および/または説明、特に
図1〜
図6を参照することもできる。例示的な諸実施形態を区別するために、文字「a」は、
図1〜
図6では例示的な実施形態の参照符号の次にくる。文字「a」は、
図7〜
図9では文字「b」〜文字「d」で置き換えられる。
【0050】
図7は別の水処理装置を示す。
図7の例示的な実施形態は、水処理装置の吸着ユニット18bが上述の例示的な実施形態とは少なくとも根本的に異なる。この場合、吸着ユニット18bは少なくとも略管状である。吸着ユニット18bは管壁88bを有する。管壁88bは管チャンネル90bを形成する。動作状態では、処理されるべき水は、軸線方向44bに対して少なくとも略垂直に吸着ユニット18b内に流通する。水は、フィルタユニット10bから軸線方向44bに管チャンネル90の中に誘導される。管チャンネル90bは、水が軸線方向44bに対して少なくとも略垂直に吸着ユニット18bの管壁88bを貫いて流通するように、一端部を閉鎖される。水が管壁88bを通過した後、水は吸着ハウジング34bに流通する。吸着ハウジング34bは水を軸線方向44bに偏向する。
【0051】
図8は代替的な水処理装置を示す。
図8の例示的な実施形態は、水処理装置のフィルタユニット10cが管状であるという点で前の例示的な諸実施形態とは少なくとも根本的に異なる。フィルタユニット10cは管壁92cを備える。管壁92cは、フィルタユニット10cのフィルタ要素12cの群28cによって少なくとも部分的に形成される。フィルタ要素12cは円形に配置される。フィルタ要素12cがその中に配置される、水処理装置の保持要素20cは円板として形成される。円板は開口部を有する。管壁92cは管チャンネル94cを形成する。水処理装置の吸着ハウジング34cが管チャンネル94c内に配置される。フィルタユニット10cがその中に少なくとも部分的に配置されるフィルタハウジング32cは軸線方向44cに閉鎖される。水が動作状態でフィルタ要素12cから軸線方向44cに流出すると、水はフィルタハウジング32cによって逆方向に偏向される。水は、保持要素20cの開口部から吸着ハウジング34cに特に軸線方向44cに流入する。
【0052】
図9は別の代替的な水処理装置を示す。
図9の例示的な実施形態は、水処理装置の吸着ユニット18dが流れの方向に対して水処理装置のフィルタユニット10dの上流側に配置されるという点で前の例示的な諸実施形態とは少なくとも異なる。この場合、水処理装置は、吸着ハウジングの代わりに可撓性吸着ケーシング96dを備える。吸着ケーシング96dは特に管状袋として形成される。吸着ケーシング96dは不織布などの材料から形成される。水処理装置の吸着ユニット18dは吸着ケーシング96d内に配置される。この場合、吸着ケーシング96dは水処理装置のフィルタハウジング32dも取り囲む。この場合、フィルタハウジング32dは軸線方向44dに対して垂直に透水性である。フィルタハウジング32dは、フィルタユニット10dと吸着ユニット18dとの間の空間として機能する。フィルタユニット10dはフィルタ要素12dの群28dを備える。フィルタ要素12dは真っすぐである。この場合、水処理装置は、フィルタ要素12dの端部分14d、16dのための2つの保持要素20d、98dを備える。
【国際調査報告】