(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-515860(P2019-515860A)
(43)【公表日】2019年6月13日
(54)【発明の名称】III族窒化物材料の平坦な表面の形成
(51)【国際特許分類】
C30B 29/38 20060101AFI20190524BHJP
C30B 25/04 20060101ALI20190524BHJP
C23C 16/34 20060101ALI20190524BHJP
C23C 16/04 20060101ALI20190524BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20190524BHJP
H01L 29/20 20060101ALI20190524BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20190524BHJP
【FI】
C30B29/38 D
C30B25/04
C23C16/34
C23C16/04
H01L21/205
H01L29/20
H01L29/06 601N
H01L29/06 601L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-551279(P2018-551279)
(86)(22)【出願日】2017年4月3日
(85)【翻訳文提出日】2018年9月28日
(86)【国際出願番号】EP2017057893
(87)【国際公開番号】WO2017168012
(87)【国際公開日】20171005
(31)【優先権主張番号】16163469.6
(32)【優先日】2016年4月1日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】16194622.3
(32)【優先日】2016年10月19日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】516388964
【氏名又は名称】ヘキサジェム アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100117444
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(72)【発明者】
【氏名】オールソン,ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】サミュエルソン,ラース
(72)【発明者】
【氏名】ビー,ツァオシャ
(72)【発明者】
【氏名】キエコンスキ,ラファル
(72)【発明者】
【氏名】ストーム,クリスティアン
【テーマコード(参考)】
4G077
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4G077AA03
4G077BE11
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5F045DB05
(57)【要約】
半導体デバイスを製作する方法であって、基板の上に設けられたマスクを通して第1のIII族窒化物材料の複数の半導体シードを形成するステップと、第2のIII族窒化物半導体材料をシード上で成長させるステップと、複数の離散的なベース要素から密着構造を形成するために成長させた第2の半導体材料を平坦化するステップであって、密着構造は、実質的に平坦な上部表面を有する、ステップとを含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスを製作する方法であって、
基板の上に設けられたマスクを通して第1のIII族窒化物材料の複数の半導体シードを形成するステップと、
第2のIII族窒化物半導体材料を前記シード上で成長させるステップと、
前記複数の離散的なベース要素から密着構造を形成するために前記成長させた第2の半導体材料を平坦化するステップであって、前記密着構造は、実質的に平坦な上部表面を有する、ステップと
を含む方法。
【請求項2】
平坦化する前記ステップは、前記平坦な上部表面を形成するために加熱下で前記成長させた第2の半導体材料のIII族原子の原子分配を実施するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
平坦化する前記ステップは、III族原子の追加を絞りながら、高流量のN分子と共に実施される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
平坦化する前記ステップは、III族原子の追加の供給なしに実施される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のIII族窒化物半導体材料は、前記第1の材料と同じであり、成長させる前記ステップは、ナノワイヤを成長させるステップを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
各ナノワイヤ上に半導体体積要素を形成するステップを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第2のIII族窒化物半導体材料を成長させる前記ステップは、各シード上で半導体体積要素を形成するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のIII族窒化物材料はGaNまたはInGaNであり、前記第2のIII族窒化物材料はGaN、InGaN、またはAlGaNである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記密着構造内または前記密着構造上にデバイスを形成するステップを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
CVD装置またはVPE装置内で実施され、成長させる前記ステップおよび平坦化する前記ステップは、前記装置から前記デバイスを途中で除去することなしに実施されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記マスクは、基板表面の上に異種パターンで設けられた複数の開口を備え、第1の隣り合う開口間の第1の間隔と第2の隣り合う開口間の第2のより大きい間隔とがあり、平坦化することは、前記第1の隣り合う開口から成長させた半導体材料を併合し、前記密着構造を形成するステップを含む、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
基板表面を有する基板と、
前記基板表面上に設けられ、前記基板表面の上に順序付けられて設けられた複数の開口を備えるマスクと、
基板マスク内で前記複数の開口の上に延びるIII族窒化物材料の密着構造であって、共通のc平面表面を有する密着構造と
を備える半導体デバイス。
【請求項13】
前記開口から延びる複数のIII族窒化物半導体シードまたはナノワイヤを備え、前記密着構造は、併合された個々の半導体構造が前記シードまたはナノワイヤをカプセル封じすることによって形成される、請求項12に記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記密着構造は、隣り合う開口間に所定の間隔を有する一連の開口の上にIII族窒化物材料の平坦なビアを形成する、請求項12に記載の半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、III族窒化物半導体基板、およびそのような基板上で平坦な表面を形成するための方法に関する。より詳細には、本発明は、電子構成部品または光学構成部品を担持するためのテンプレートとして働くのに適したc方位の、完全に緩和された、転位のないIII族窒化物材料の平坦な表面を形成するための設計およびプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハは、典型的には、液相エピタキシ、大抵は1916年にジャン・チョクラルスキーによってすでに発明されていたチョクラルスキー法によって作製される。チョクラルスキープロセスでは、高温の液体メルトから単結晶シードをゆっくり引き上げることによって、液体状態材料の、固体状態結晶への熱的な誘起析出が実現される。
【0003】
エピタキシャル成長は、連続的な結晶化を進めるために、熱平衡からのある逸脱を必要とするが、LPEは熱平衡の境界において実施され、主な成功要因は、液体と固体状態結晶の密度が同様であることであり、ソース材料が非結晶相で比較的希薄である気相エピタキシに影響を及ぼす拡散限界を解消し、結晶成長を開始するために溶融温度からの最小限の逸脱を可能にする。系の温度が均一であり、系が平衡にあるとき、原子的な固着率(析出率)は、原子的な解離率に等しい。上記の「完璧な結晶」成長条件は、結晶格子サイトにおける吸着原子の組み込みが、格子間原子および空孔の位置における吸着原子の組み込みより十分に高い自由エネルギーの減少をもたらすとき確立される[Handbook of crystal growth IA、第2章および第8章参照]。対照的に、金属有機気相エピタキシ(MOVPEまたはMOCVD)など熱平衡から離れた成長法では、エピタキシャル成長は、結晶表面へのソース材料の拡散によって大きく制限および支配され、完璧な格子サイトと格子間サイトとの原子組み込みのエネルギー差および空孔の創出は、わずかである。
【0004】
チョクラルスキープロセスは、半導体産業によって使用される半導体ウェハの作製に主に使用される方法であり、液体/個体相転移による結晶成長、すなわち液相エピタキシ(LPE)は、Si、Ge、GaAs、GaP、またはInP半導体のいずれにせよ、高い完成度の大径半導体結晶ウェハの作製方法として、依然として唯一の確立された方法である[Handbook of Crystal Growth IIA、第2章]。不純物、空孔、および結晶転位など結晶欠陥は、極めて低い濃度でさえ、半導体の電気特性および光学特性を損なう。100年の間、半導体材料の基本的な作製においてはほとんど変化がなく、ジャン・チョクラルスキーを「半導体技術の父」と呼ぶことは、今日も当時と同様に有効である。
【0005】
GaN、AlN、InNを含む2成分のIII−V族半導体、ならびにそれらの3成分および4成分合金のグループは、通常簡単に「窒化物」と称される。これらの窒化物は、それらの特性の範囲および潜在的な使用において独特である。理論特性だけに基づけば、窒化物は、高出力の無線周波数のための最も効率的な半導体代替品、ならびに真のRGB白色光ソースおよび短波長LEDおよびバイオレットからUVまでのレーザのための唯一の実用可能な代替品を構成する。しかし、これらは、ウェハを生産するためにLPEが使用されない唯一の一般的に使用される半導体である点でも独特である。その代わりに、これらは、通常、SiC、サファイア、およびSiウェハなど他の結晶基板上でミスマッチの成長によって作製される。ミスマッチの結晶成長は、高い密度の結晶転位を生成するので、これは残念なことである。
【0006】
高い完成度の半導体窒化物を製作するための主な課題は、熱平衡に近いエピタキシャル条件を確立することができないことである。これは、液体GaNを創出し収容することが不可能であることに原因がある。GaNの融点が高いことは知られていたが、6ギガパスカル(GPa)および2700℃の温度でというGaN一致溶融を形成するために必要とされる条件が研究によって示されたのはつい最近であった[Utsumiら、Nature Materials,2,235、2003年]。
【0007】
アモノサーマル成長、溶液ベースの成長、およびHVPEなど、バルクGaNを作製するための代替方法が開発されており、それぞれがそれ自体の利点を有する[Technology of GaN Crystal Growth、Ehrentraut、MeissnerおよびBockowski、Springer、2010年]。これらはすべて共に、極めて困難なシステムに対して大きな前進をもたらしているが、これらはすべてトランスポート機構に依拠しており、液相と固相の同様の密度が成長サイトにおいて成長種に直ちにアクセスすることを確実にし、拡散によって制限されない純粋な液体−固体系の、先に論じた理想的な平衡条件には及ばない。最近、転位密度が10E5cm
−2未満の市販の小サイズのバルクGaNがあるが、非常に高い価格レベルにあり、数量が限られている。
【0008】
窒化物デバイス層のエピタキシャル成長は、一般にMOCVDによって実施される。現代のMOCVD反応炉は、1回のランで複数の8インチウェハを収容することができ、GaN/InGaN青色LEDを通じてLED市場を、またAlGaN/GaN HEMT構造を通じて電力およびRFエレクトロニクスのいくつかのニッチを支えている。最も難解なものを除くすべての応用例において、ベースGaN層およびデバイス層を、単一のMOCVDシーケンスで、異種基板であるSiC、サファイア、またはSi上で成長させる。これらの基板は、すべて結晶構造および格子サイズがGaNとは異なっており、不可避の結果としてデバイス層を貫通する不整合によって誘発される格子転位が導入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国2015/0014631公開公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Utsumiら、Nature Materials,2,235、2003年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
HEMT(高電子移動度トランジスタ)またはHFET(ヘテロ接合電界効果トランジスタ)構造など様々なタイプの電子デバイスについては、窒化ガリウム(GaN)材料などIII族窒化物材料は、たとえば電子移動度(速度、効率)および高電圧能力に関して両Siベースの材料より優れた特性を有する。しかし、GaN技術は、一般にSi技術より高いコストを必要とし、たとえばSiC技術に比べて材料品質および電圧信頼性がしばしば劣る。これは、市販可能なコストレベルで十分な生産レベルのGaNネイティブ基板を作製することができないことにより余儀なくされている異種基板の使用、および代替基板材料にはIII族窒化物の成長に適合する特性がないことによる。したがって、GaNエレクトロニクス技術の主たる制限は、結局、材料結晶転位とウェハ生産コストということになり、SiCなど異種基板上での成長に起因する転位を最小限に抑えることに関する。
【0012】
これらの問題に対する様々な解決策が、本発明者らの1人によって、US2015/0014631として公開されている米国特許出願第14/378,063号において提案されており、この内容は、その全体を参照により本明細書に組み込む。この出願には、半導体デバイスを製作するための方法が記載されており、基板の上に位置する絶縁性成長マスクを通して複数の半導体ナノワイヤを基板の上に形成するステップと、各ナノワイヤ上に半導体体積要素を形成するステップと、実質的に平坦な上部表面を有する複数の離散的なIII族窒化物半導体メサを形成するように各体積要素を平坦化するステップと、その複数のベース要素のそれぞれにおいてデバイスを形成するステップとを含む。各メサは、実質的に平坦なc平面{0001}上部表面を有する。また、デバイスは、各半導体メサの上に位置する少なくとも1つの電極を含んでもよい。成長させたIII族窒化物要素を平坦化するためのプロセスは、基板に平行な広いc平面を形成するために、エッチングまたは研磨によって、体積成長で得られたピラミッド型構造のインサイチュエッチバックを含むことが提案されている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の範囲内の様々な実施形態が特許請求の範囲に定義されている。本発明の他の目的、利点、および新規の特徴は、添付の図面および特許請求の範囲と併せて考察すれば、本発明の以下の詳細な説明から明らかになろう。
【0014】
一態様によれば、本発明は、半導体デバイスを製作する方法であって、
基板の上に設けられたマスクを通して第1のIII族窒化物材料の複数の半導体シードを形成するステップと、
第2のIII族窒化物半導体材料をシード上で成長させるステップと、
複数の離散的なベース要素から密着構造を形成するために成長させた第2の半導体材料を平坦化するステップであって、密着構造は、実質的に平坦な上部表面を有する、ステップとを含む方法に関する。
【0015】
一実施形態では、平坦化するステップは、平坦な上部表面を形成するために加熱下で成長させた第2の半導体材料のIII族原子の原子分配を実施するステップを含む。
【0016】
一実施形態では、平坦化するステップは、III族原子の追加を絞りながら、高流量のN分子と共に実施される。一実施形態では、平坦化するステップは、III族原子の追加の供給なしに実施される。
【0017】
一実施形態では、第2のIII族窒化物半導体材料は、第1の材料と同じであり、成長させるステップは、ナノワイヤを成長させるステップを含む。一実施形態では、この方法は、各ナノワイヤ上に半導体体積要素を形成するステップを含む。
【0018】
一実施形態では、第2のIII族窒化物半導体材料を成長させるステップは、各シード上で半導体体積要素を形成するステップを含む。
【0019】
一実施形態では、第1のIII族窒化物材料はGaNまたはInGaNであり、第2のIII族窒化物材料はGaN、InGaN、またはAlGaNである。
【0020】
一実施形態では、この方法は、密着構造内または密着構造上にデバイスを形成するステップを含む。
【0021】
一実施形態では、この方法は、CVD装置またはVPE装置内で実施され、成長させるステップおよび平坦化するステップは、装置からデバイスを途中で除去することなしに実施されることを特徴とする。
【0022】
一実施形態では、マスクは、基板表面の上に異種パターンで設けられた複数の開口を備え、第1の隣り合う開口間の第1の間隔と第2の隣り合う開口間の第2のより大きい間隔とがあり、平坦化することは、第1の隣り合う開口から成長させた半導体材料を併合し、密着構造を形成するステップを含む。
【0023】
第2の態様によれば、本発明は、
基板表面を有する基板と、
基板表面上に設けられ、基板表面の上に順序付けられて設けられた複数の開口を備えるマスクと、
基板マスク内で複数の開口の上に延びるIII族窒化物材料の密着構造であって、共通のc平面表面を有する密着構造とを備える半導体デバイスに関する。
【0024】
一実施形態では、半導体デバイスが、開口から延びる複数のIII族窒化物半導体シードまたはナノワイヤを備え、密着構造は、併合された個々の半導体構造がシードまたはナノワイヤをカプセル封じすることによって形成される。
【0025】
一実施形態では、密着構造は、隣り合う開口間に所定の間隔を有する一連の開口の上にIII族窒化物材料の平坦なビアを形成する。
【0026】
次に、本発明の好ましい実施形態について、添付の図面を参照して述べる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】異なる実施形態による様々なデバイスおよびIII族窒化物半導体デバイスのための作成プロセスのステップを示す概略図である。
【
図2A-2B】作成時のGaNデバイスの異なる段階の実施形態の図である。
【
図3A-3C】作成時のInGaNデバイスの異なる段階の実施形態の図である。
【
図4】InGaNベースの発光構成部品の作成プロセスのプロセスステップを示す概略図である。
【
図5】さらなるエピタキシャル層が上部に構築されたlGaNデバイスの側面図である。
【
図6A-6C】離散的なGaNナノワイヤ成長から準備される合体されたGaN平坦膜の形成の図である。
【
図6D-6E】合体されたGaN膜上でその後成長させるGaN膜層の図である。
【
図7A-7C】複数の別々の体積成長を併合することによって得られる合体された平坦構造の例の図である。
【
図8A】合体されたInGaN層の一例の図である。
【
図8B】3つの別々の成長のグループから形成される合体されたInGaN構造の一例の図である。
【
図9A-9C】様々なGa−N2成分相図の図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のいくつかの実施形態は、III族窒化物半導体デバイスを製作する方法に関する。このIII族窒化物材料は、たとえば、GaN、InGaN(インジウム窒化ガリウム)、またはAlGaN(アルミニウム窒化ガリウム)であってよい。この方法は、基板の上に複数の半導体シードを形成するステップを含むことができる。基板は、III族窒化物シードまたはナノワイヤを成長させるのに適した任意の材料、たとえばGaN、シリコン、SiC、サファイア、またはAlNウェハとすることができ、任意選択でシリコン基板上のGaNバッファ層など1つまたは複数のバッファ層を含んでもよい。GaNウェハおよびアレイを同種作製するためには、基板材料がプロセスに提供する基本原子情報は、すべてのシードおよびGaNの選択的核生成のための競合表面に対する均一な結晶方位である。そのような表面は、グラフェン、ALDによって作製された酸化物、およびLPCVDによって作製されたAlNなど薄膜を通じて提供され得る。様々な実施形態では、シードは、連続的にナノワイヤに成長させる。様々な実施形態では、半導体体積要素は、各シードまたはナノワイヤ上で成長させる。平坦化するステップでは、実質的に平坦な上部表面を有する複数の離散的なテンプレートまたはベース要素が形成される。平坦化後、c平面表面修復成長のステップを実施してもよい。後続のステップは、電子構成部品などデバイスを、複数のベース要素の各要素内または各要素上に形成するステップを含んでもよい。
【0029】
論じるように、平坦化するステップは、最も適切には改質ステップとも呼ばれる。本明細書で論じられる改質ステップに見られる大規模な同質性は、使用される転位のない結晶テンプレートの同種の結晶構造によって可能にされるというのが、本発明者らの理解である。従来、転位のない結晶テンプレートのそのようなアレイを提供するための唯一の知られている方法は、選択的NW成長を通じたものである。さらに、基礎レベルでは、アレイの転位のない性質は、マスク内の開口の開口寸法と特定のエピタキシャル成長条件の組み合わせに依存すると理解されている。NW成長条件は、特効薬ではなく、そのような転位のない結晶を提供することが示されている。転位のない結晶の生成は、NW成長ステップの重要なタスクであるので、本願では、そのような結晶テンプレートをもたらすエピタキシャル条件をNW条件と考える。
【0030】
次に、異なる実施形態について、図面を参照して論じる。デバイスおよび方法のいくつかの例を参照するが、実際的な実施形態の材料およびプロセスパラメータが与えられることに留意されたい。したがって、これは、いくつかのステップまたは特徴が異なる特性または技術のものとなり得ることを意味せず、それらは、本明細書で提案されている解決策の広い範囲から逸脱することなしに、特許請求の範囲内に入る。さらに、たとえばIII族窒化物材料におけるナノワイヤ成長に関するより多くの詳細が、たとえば上記で参照されている従来の出願において当業者に使用可能である。
【0031】
図1は、III族窒化物半導体デバイスを作成する方法ステップを概略的に示す。ステップa)では、たとえばサファイアのベース基板101が提供される。ステップb)では、たとえばGaNの1つまたは複数の層102がベース基板101上に形成される。層101と層102は共に基板を形成する。ステップc)では、たとえばSiNxのマスク層103が基板の上部に形成されてもよい。後続のステップd)では、たとえばEBL(電子ビームリソグラフィ)により、マスク層103内に穴104が設けられる。これらの穴は、たとえば50〜150nmまたは60〜100nmの直径を有する非常に狭いものであってもよい。これらの穴104間のピッチは、たとえば200〜2000nm程度であってもよく、とりわけ基板上に生み出されることになるテンプレート上に形成されることになる電子デバイスに応じて選択され、またIII族窒化物の材料にも依存し得る。ステップe)では、第1のIII族窒化物材料の成長が実施され、少なくとも開始される。ステップe)は、穴104から突出する実質的にピラミッドのシード105の形態にある初期の成長を示す。述べるように必ずしもすべての実施形態に含まれることを必要としない後続のステップf)では、たとえば窒素ソースの流れおよび金属−有機ソースの流れが存在する、ナノワイヤ成長ステップにおけるCVDまたはVPEによって、シード105のIII族窒化物材料の継続的な成長により、シード105をナノワイヤ106に成長させ、ステップf)のようにナノワイヤの成長を含む実施形態では、d)からf)のプロセスは、典型的には連続的である。
【0032】
一実施形態では、シード105およびその後成長させるナノワイヤ106は、GaNを含む。基板表面の非常に小さい部分を表す穴104からの成長により、基板III族窒化物102内の転位の大部分が除去される。さらに、穴104の縁部に近い転位は、成長させたナノワイヤ106の一方の側に向かって曲がる傾向がある。このようにしてGaNのナノワイヤが、通常6つの均等かつ平滑なm平面ファセットを有する6角形に成長し、転位は、SiNxマスクに向かって終端することがわかる。この結果が、完全に、または実質的に転位のないGaNのシード105またはナノワイヤ106であり、たとえばシード105またはナノワイヤ106の少なくとも90%または少なくとも99%が転位なしである。
【0033】
本明細書で論じられている窒化物半導体ナノワイヤ106は、この文脈では、50〜100nmなど1ミクロン未満の直径、および最大数μmの長さを有する本質的に棒状の構造として定義される。本発明の1つの非限定的な実施形態に従って窒化物半導体ナノワイヤを成長させる方法は、CVDベースの選択的エリア成長技法を使用する。ナノワイヤ成長ステップ中、窒素ソースおよび金属−有機ソースが存在し、少なくとも窒素ソースの流量は、ナノワイヤ成長ステップ中、連続的である。ナノワイヤ成長に使用されるV/III比は、参照されている先行する米国出願にも概説されているように、窒化物ベースの半導体の成長に一般的に関連するV/III比より著しく低い。
【0034】
GaNの一実施形態の場合、
図1のg)による処理が続いてもよい。ここでは、GaN体積要素107を各ナノワイヤ106上で成長させる。ナノワイヤ106上で体積要素107を形成するこのステップは、窒素ソースの流れおよび金属−有機ソースの流れが存在する、体積要素成長ステップにおけるCVDまたはVPEによって実施してもよい。好ましくは、体積要素107成長ステップ中のV/IIIモル比は、ナノワイヤ成長ステップ中のV/IIIモル比より高い。体積要素107は、各GaNナノワイヤ周りに形成される離散的な絶縁性または半絶縁性GaNピラミッドを構成するように成長する。
【0035】
代替実施形態では、
図1のステップg)による処理は、ステップe)とステップg)の間で図面内の縦矢印によって示されているように、ナノワイヤ106を完全に成長させることなしに、e)のシード段階から実施してもよい。また、シード105上にGaN体積要素107を成長させるこのステップは、窒素ソースの流れおよび金属−有機ソースの流れが存在する、体積要素成長ステップにおけるCVDまたはVPEによって実施してもよい。好ましくは、体積要素107成長ステップ中のV/IIIモル比は、シード成長ステップ中のV/IIIモル比より高い。体積要素107は、各GaNシード105周りに形成される離散的な絶縁性または半絶縁性GaNピラミッドを構成するように成長する。体積成長に関するさらなる詳細は、たとえば参照されている、本発明者による米国出願から得ることもできる。
【0036】
このプロセスは、平坦化するステップをも含む。これは、
図1に示されているように、ナノワイヤ成長ステップf)の後、あるいは体積要素107成長ステップg)の後に実施してもよい。
【0037】
ナノワイヤ106のGaN成長、また潜在的にはGaN体積要素107も平坦化にかけられ、h)に示されているように平らなc平面メサを得る一実施形態では、本発明者らは、慎重にプロセスパラメータを選択することによって、GaNの脱着なしに、または少なくともGaNの著しい脱着なしに平坦化を実施することができるという驚くべき効果を発見した。代わりに、そのような実施形態では、平坦化は、ナノ構造、すなわちf)からh)へ平坦化するときナノワイヤ106、またはg)からh)へ平坦化するとき体積要素107の制御された原子再分配によって得られる。そのようなステップは、高流量さらには非常に高流量の窒素含有材料、典型的にはNH
3を提供し、一方、Gaソース材料の追加の流れの供給を絞る、または好ましくは完全になくすことによって実施することができる。換言すれば、新しいGa原子が供給されない、または実質的に供給されない。一実施形態では、NH
3の流れは、5〜20slm程度、実施形態によっては9〜10slm内であってよく、一方、Gaソースは、完全に遮断される。プロセス温度は、前の体積成長ステップで保持されたまま維持されても、たとえばGaNについて1000〜1200℃の範囲内(この範囲は、InGaN成長のためには700まで下げ、AlGaN成長のためには1500まで上げる)に高められてもよい。本発明者らは、適切なプロセス条件を選択することによって、Ga原子は、実際にGaN結晶表面を完全に脱着し離れることなしに、それらの結晶結合を破断し得ることを研究結果が示していることを見出した。その代わりに、単一のGa原子同士は、化学結合が破断した場合でさえ、依然として物理的に付着していることができ、本明細書では物理吸着と称する。そのような物理吸着したGa原子は、GaNデバイスの表面上を移動し、別の平面で再付着することができる。より具体的には、例示されているものなど正しい条件が与えられると、下にある垂直のm平面および平坦な上部c平面が増大するように、傾斜するs平面に対して法線方向に体積成長107の錐体が成長し得る。温度が最適に高められている間、高いNH
3流量または背圧を提供することによって、物理吸着したGa原子の十分な移動度が得られ、一方、余分な解離が回避され、その結果、記載の原子再分配を得ることができる。平坦化するステップでのプロセス温度は、液体GaがGaNデバイスの表面上で液滴を形成し得る3相系を回避するために、ある上限未満で依然として保つべきであることが好ましい。
【0038】
例示的なテスト結果が
図2に示されており、
図2Aは、体積成長107によって生み出される実質的に錐体形状またはピラミッドのGaNデバイスを示す。
図2Bは、記載のように原子再分配によって平坦化にかけられたときの
図2Aのデバイスの変形を示す。明らかに、m平面およびc平面が増大しており、一方、s平面が減少している。その結果、とりわけ拡大されたc平面が得られており、たとえばエピタキシャル層を提供するために、または他にコンタクトなどを提供するために使用可能である。さらに、マスク成長によって得られるようなGaN表面内の転位の度合いの低減さらには解消が維持されている。換言すれば、単位表面積当たりの転位の平均量は、層102などエピタキシャル成長させた連続的なGaN表面に比べて、実質的に低く、理想的にはゼロである。さらに、平坦化するステップにおけるc平面の増大は、ナノワイヤおよび潜在的な体積成長の後、装置から基板を除去することなしに、またエッチャントなど他の材料を必要とすることなしに、インサイチュで得ることができる。このようにして、プロセス速度および信頼性を改善することができる。また、テスト結果は、一実施形態において、原子再構築は、移動する物理吸着したGa原子がc平面ではなくm平面に付着するような状況下で実施され得ることを示している。そのような実施形態では、結晶再構築の結果は、純粋なエッチングまたは研磨プロセスの場合よりc平面が広くなり、これは構成部品の構成に使用可能であるという効果を含む。
【0039】
一実施形態では、提案されているプロセスは、InGaNデバイスに適用される。そのようなプロセスでは、ステップa)からステップd)も含まれる。一変形形態では、基板層102は、InGaN層を含んでもよく、InGaN層上で、InGaNのシード105およびその後ナノワイヤ106を成長させる。次いで、ステップg)で、InGaNナノワイヤ106上においてInGaNの体積成長が実施される。より確実な研究室結果をもたらした代替実施形態では、a)からe)のプロセスはGaNの場合と同じであり、すなわち、GaN基板層102上でGaNシードを成長させる。しかし、GaN成長は、好ましくはシード105が小さいピラミッドにすぎないとき、好ましくはマスクレベルの上にm平面がないシード段階で停止される。その後、InGaNの体積成長がGaNシード105上に適用され、g)におけるようなピラミッド体積の状態にする。GaN成長から開始することによって、転位のより低いレベルがシード105内にもたらされる可能性がある。さらに、GaNナノワイヤ上ではなく、GaNの小さなシード105上にすでにあるInGaNの体積成長を提供することによって、体積成長内の転位誤差のリスクが最小限に抑えられる。
【0040】
高められた温度でのInGaN体積107のg)からh)の平坦化するステップには、通常、高い度合いの解離が含まれ、原子再分配に影響を及ぼすことがある。
図3Aは、InGaN体積デバイス107を示し、これは上面図にすぎないが、そのピラミッド形は明らかである。
図3Bは、たとえば1100〜1200℃の範囲内の温度での平坦化後のそのような体積デバイスを示し、平坦化するステップ中、NH
3流量は5〜10slmと高く、InまたはGaは追加で提供されていない。また、この場合、平坦化は、エッチャントを提供することなしに得られ、c平面増大もまた、デバイスの幅を最小化することなしに得られる。しかし、わかるように、おそらくはInとGaの異なる沸点によって引き起こされるトレンチのパターンがc平面内に生じることがある。したがって、好ましい実施形態では、平坦化後、追加のInGaN成長をもたらす修復ステップを実施してもよい。それを行うとき、e)からg)の前の体積成長ステップ中のように、ピラミッド成長が再び生じることになる。
【0041】
しかし、限られた数の原子層が必要とされるだけであり、その後、さらなるエピタキシャル成長を実施し、電子光製部品、たとえば赤色および緑色発光ダイオードを形成してもよい。
図3Cは、平坦化されたInGaN本体308がベース部を形成するそのようなデバイス300の傾斜した画像を示し、追加のInGaN修復層309が設けられており、エピタキシャル構成部品層310が修復層309上に形成されている。
【0042】
また、
図4は、GaNシードから始めて、前の説明および図面を参照して述べたInGaNデバイス上で発光ダイオードを製造するプロセスを示す。
図4の中央下の図では、デバイス300の側面図がやはり層308、309、310をより明確に示す。
【0043】
一実施形態では、平坦化を組み込む一般的な成長プロセスが、AlGaNデバイスを作成するために使用される。1つのそのようなデバイス500が、
図5に側面断面図で示されている。Alの、他の材料との高い度合いの反応性は、Alもまたマスク上で成長し得るので、マスク穴からAlGaNを成長させることにとってハードルをもたらす。このため、本発明者らは、平坦なAlGaNテンプレートを製造し、その上に構成部品作成のためのさらなるエピタキシャル成長を提供する新しい方法を思いついた。
図1に戻ると、転位をなくす、または最小限に抑えることについてすでに参照した有益な理由のために、a)からf)のプロセスステップがGaNで実施される。(代替として、このプロセスは、とりわけ穴のサイズ、およびどれだけ大きなGaNの平坦なメサが望ましいかに応じてe)のシードレベルですでに中止されていてもよい。)所望の体積を含むように複数のGaNナノワイヤ106(またはシード105)を成長させた跡、平坦化するステップがh)で実施される。換言すれば、体積ステップg)がAlGaNプロセスに含まれないことが好ましい。
【0044】
GaNについて上述した原子分配後の結果は、たとえば穴に比べて比較的小さい直径を有する平らなメサ508となる。なぜなら、体積成長ステップが実施されたとき成長における材料がはるかに少ないからである。一例として、60〜100nmのマスク穴104サイズの場合、平坦化されたGaNメサ構造508は、200〜300nm、すなわち、たとえばマスク穴サイズのわずか2〜5倍の範囲内の幅を有することがある。さらに、平らなGaN構造は、原子再配分によって、たとえば30〜100nmの範囲内のGaN厚さt1を有する非常に薄いものになるように構成されることになる。
【0045】
後続のプロセスステップでは、AlGaN成長が始まる。述べたように、次いで、基板のすべての部分上、および平らなGaNメサのすべてのファセット上で層を成長させてよい。より重要なことには、AlGaN成長は、層509がt1に比べて比較的大きい厚さt2を有するまで意図的に継続される。この理由は、GaNとAlGaNの間のギター(gitter)ミスマッチによって引き起こされる塑性変形が、AlGaN層509内ではなくGaN層508で生じることになることである。その結果、GaNメサ層508の結晶構造に適応するように伸びる薄いAlGaN層509ではなく、比較的厚いAlGaN層509が、それらの材料間の界面の領域においてGaN層508を圧縮または収縮することになる。AlGaN層509の成長は、AlGaN成長の場合、比較的低い温度ですることが好ましく、これは、層509の上に層を追加するとき、後続のより高い温度でテンプレート形状を保持する助けとなる。結果は、実質的または完全に転位のないAlGaN層であり、その上に、さらなるエピタキシャル層510、コンタクト、または他の構成部品の構造を構築してよい。
【0046】
上記で参照されている実施形態および材料のいずれか1つを組み込む様々な実施形態では、このプロセスは、変位層の上部表面がナノワイヤまたはシードの上部先端の上方に位置するように、平坦化された体積要素上に半導体変位層をエピタキシャル成長するステップを含んでもよく、変位層の上部表面は、ベース要素のそれぞれの上部表面を形成し、あるいは、この平坦化は、先端が、平坦化されたデバイスの上部c平面層より依然として下にある段階で中止される。
【0047】
図1に戻ると、本発明の一態様において、体積成長の隣り合うナノワイヤを改質し併合する、または合体させるために、平坦化するステップが実施される。これは、
図1のステップ1)を通じて概略的に示されている。これは、ナノワイヤ成長ステップf)の後、または体積要素107成長ステップg)の後実施してよく、段階h)を介する継続的な平坦化するステップであるとわかる。結果は、複数の別々の成長から得られた、連続的な平坦な半導体層または膜109である。このプロセスは、本明細書では合体と称される。
【0048】
一例として、平坦なGaN層を合体によって得ることができる。一実施形態では、GaNナノワイヤ成長は、薄いマスク層103−窒化ケイ素、二酸化ケイ素などを用いて、パターン形成された基板上で、標準的な前駆体、TMG、TEG、NH
3、ならびに窒素および水素キャリアガスを使用して得ることができる。マスク内の開口104は、ナノインプリントまたは電子ビームリソグラフィのような標準的なリソグラフィ技法によって行い、ICP−RIEのようなドライエッチング技法およびウェット化学エッチングを使用して現像することができる。開口104間の間隔は、ナノインプリントまたはEBL中に調整することができ−典型的な値は、400、600、1000、または2000nmである。開口径は、ナノインプリントまたはEBLリソグラフィプロセスにおいて定義され、典型的な値は、使用されるリソグラフィ技術に応じて、50〜400nmの間の値である。たとえば上記のステップa)からe)を参照して述べた適切なプロセスステップにより、GaNシード105を成長させてよい。選択されたプロセスパラメータに応じて、シードは、ステップf)におけるようにナノワイヤ106に、またはステップg)におけるように体積要素107に発展させてよい。代替として、体積要素107は、ステップf)において成長させたナノワイヤ106上で半径方向の体積成長によって生み出されてもよい。
【0049】
一実施形態では、GaN体積成長またはGaNナノワイヤは、
図1のi)に示されているように密着性のc平面の平坦な層が得られる合体/平坦化ステップにかけられる。そのような実施形態では、合体ステップは、たとえばアンモニアを使用する窒素維持の背景条件下で実施し、一方、III族元素含有ガス前駆体を、
図1を参照して上述したように絞る、または完全になくしてもよい。
【0050】
図6Aは、ステップa〜gに記載の体積成長構造を示す。
【0051】
複数の個々の体積成長(またはナノワイヤ)を有する半導体構造を、個々の構造を併合するために後続の合体ステップにかけてもよい。合体ステップは、たとえば、1000〜1200℃の範囲内の温度で基板を処理するステップを含んでもよく、NH
3流量は1〜10slmと高く、Gaは追加で提供されていない。
【0052】
図6Bは、合体ステップ後の平らなc平面GaN表面を示し、個々の成長構造が平らにされ共に合体していることが観察可能である。
図6Cは、均一に合体されたGaN平坦膜を有するより大きなエリアの拡大概略図を示す。
図6Bおよび
図6Cの上方の秒がされた図には、各ナノワイヤの上部が平坦な合体された表面に露出するように改質が進んだことが示されている。しかし、他の実施形態では、平坦化は、体積成長の前に成長され体積成長によってカプセル封じされたシードまたはナノワイヤが露出しないように、体積成長の改質だけによって得られてもよいことに留意されたい。
【0053】
図6A〜
図6Bを参照して述べた実施形態の変形形態は、個々の成長がある程度、少なくともマスク表面に近いベースにて合併するまで、
図6Aに示されている体積成長を継続することであってもよい。しかしながら、そのような実施形態では、後続の合体ステップは、個々の成長位置の上に延びる密着性の平らな表面を形成するように、成長させた構造の改質を引き起こすことになる。
【0054】
パターン形成されたマスク103からの個々の成長の場合、ナノワイヤまたは体積成長の方位は、側部ファセットが2つの平面内方位のいずれかで、すなわち[1−100]または[−12−10]で配向することができるようなものとすることができる。個々の隣り合うナノワイヤまたは体積成長の合併は、そのような隣り合う成長が、対向するファセットを有することから利益を得るように思われるが、本発明者らは、合併ステップ後の平らなc平面GaN表面を、それらの2つの方位のいずれかで形成することができることを見出した。たとえば、
図6Bで得られる平坦な半導体構造では、発生元ナノワイヤは、互いに対して[−12−1−0]で対向している。したがって、移動する物理吸着した原子を伴う改質プロセスは、密着性の平坦な半導体III族窒化物層または膜109を作成するのに適したプロセスである。
【0055】
一実施形態では、平坦なIII族N膜110を、合体された膜109上でさらに成長させることができる。合体された膜109上で成長させた厚さ500nmの平坦なGaN層110のSEM上面図により、一例が
図6Dに示されており、一方、
図6Eは、その構造の断面SEM画像を示す。
【0056】
一態様によれば、本発明者らは、合体ステップの成長条件を制御することによって、2つ以上の構造のグループから合体された平坦な層を成長させ、たとえば
図2Bのような単一構造メサに比べて、より大きなプレートレットまたはメサを形成することができることを見出した。そのような構造の一例が
図7Aに示されており、1つの平坦なプレートレット701に合体された3つの体積成長構造からなるトリプレット構造を示す。
図7Bは、5つの成長が1つの平坦なプレートレット703に合併された変形形態を示す。このようにして、形状およびサイズが設計された別々の層を形成することができることにより、別々の絶縁されたデバイスを有するウェハを作製するだけでなく、ウェハ作製ステップですでに予め展開されたビアを有するウェハをも提供する機会がもたらされる。一実施形態では、たとえば開口を通じた成長および後続の合体により、平坦な半導体構造の所望の形状が得られるように分配された所定のパターンの開口104を有するマスク103で、基板を構成してもよい。そのような実施形態では、GaN体積成長またはGaNナノワイヤは、隣り合うナノワイヤまたは体積成長構造間の間隙を低減するために、半径方向体積拡大成長ステップにかけることができるが、平らなc平面GaN表面を得るためには、その必要はない。
【0057】
図7Cは、概略的な例により、開口を有するマスクを備える基板709の一部を示す。この実施形態では、開口の第1のサブセット710が1つのパターンを形成し、開口の第2のサブセット712が別のパターンを形成するように、開口が順序付けられて設けられる。たとえば前の説明に従って、開口を通じて半導体構造を成長させた後、ナノワイヤおよび/または体積成長は、開口710、712を通じて基板表面から延びることになる。成長のために使用されたものと同じ装置内でインサイチュで、基板を途中で除去することなしに実施されることが好ましい合体のステップでは、原子が可動であるがそれぞれの成長の表面で付着、すなわち物理吸着して保たれる動作条件に、成長させた構造がかけられる。改質および合体のステップについて上記に例示されている選択された適切な条件では、個々の成長は平らにされ、密に隣り合う成長同士は、共通の平坦な層に併合されることになる。いくつかの成長同士が併合し、いくつかは併合しないように開口を配置することによって、密着性であるが互いに別々でもある平坦な層711、713が形成され得る。そのような層711および層713もまた、多種多様なサイズおよび形状を呈してもよい。これは、平坦なIII族N構造を準備する技術において、従来使用可能でなかった作成の自由をもたらす。
【0058】
記載の合体ステップは、ELO(エピタキシャルラテラル成長)など再成長の従来のエピタキシャル法に勝る非自明の利点をもたらす。エピタキシャル再成長は、過飽和を駆動力として活性な成長条件下でなされる。気相からの結晶化は、系の自由エネルギーを減少させ、エピタキシャル再成長およびエピタキシャル全面成長におけるように、特に位置合わせされていない結晶成長フロントが出会い合体するとき転位および欠陥が形成される可能性がある強制的な条件をもたらす。対照的に、合体ステップ中に生じる改質は、熱平衡近くで実施される。
【0059】
本明細書に記載の平坦化および合体ステップ中には、追加のIII族元素は、エピタキシャル結晶に追加されず、またはほとんど追加されない。エピタキシャル系は、ゼロの正味体積成長状態にあるが、物理吸着した材料の高い表面移動度を可能にする条件がある。解離率および化学吸着率が比較可能に保たれているとき、物理吸着した各分子は、理想的には、占有すべきエネルギーの最も低い結晶位置を見出すまで、自由に繰り返し移動、化学吸着、および解離する。結晶構造内の転位ならびに大抵の欠陥は、より高い自由エネルギーをもたらし、一方、結晶に対する総結合エネルギーは、理想結晶の場合より低くなる。結局、平坦化および合体ステップを作ることにより、そのような結晶欠陥をはるかに生成または構成しにくくなる。
【0060】
一実施形態では、III族窒化物体積成長がInまたはAlで実施され、平らなc平面InGaNまたはAlGaN表面を得る。より具体的な例として、InGaN成長のために適用される合体プロセスについて述べる。そのようなプロセスには、ステップaからステップdが含まれる。ステップdアレイ設計に応じて、2つ以上のナノワイヤまたは体積成長構造のグループからなる合体された平坦なInGaN層または合体されたInGaN構造を、たとえばステップe−gまたはステップe−f−gを通じて成長させることができる。体積成長中、In前駆体の流れをGa前駆体の流れと同時に供給することによって、3成分InGaNがステップg)からステップe)またはステップf)において形成され得る。体積成長が合体ステップi)にかけられるとき、ガリウム原子とインジウム原子は共に、低エネルギーの結晶位置を見出すまで、自由に移動、化学吸着、および解離する。したがって、平坦な合体されたInGaN層が形成される。
【0061】
InGaN合体層の一例が
図8Aに与えられており、InGaNの複数の併合された個々の成長からできた密着性のInGaN層がわかる。好ましい実施形態では、修復平坦InGaN成長は、
図4を参照して上述したように合体ステップの後実施することができる。それを行うとき、平坦なInGaN成長が合体層の上部で生じることになる。より高いインジウムでは、典型的には欠陥形成および材料劣化を回避することが困難であるため、本明細書で提案されている方法は、結晶欠陥が形成しにくい代替の成長技法を提供する。転位密度の少ない、提案されている合体方法によって得られる平坦なInGaN層は、オプトエレクトロニクスデバイス応用例に非常に良好な基板を提供することになる。また、III族窒化物オプトエレクトロニクスデバイスの典型的なCVDまたはVPE成長において直接使用することもできる。
【0062】
図8Bは、SiNxマスク内の3つの開口のグループから形成された平らなc平面InGaNまたはAlGaN表面を得るために開発された、InまたはAlを用いたIII族窒化物体積成長の代替実施形態を示す。
図8Bの構造は、限られた数(この例では3つ)の順序付けられた成長がビアに合体される点で
図7Aの構造と同様である。しかし、
図8Bの構造は、変形されたInGaN構造に特徴的である表面構造によって明白に示される修復層を備えていない。
図8Bの構造を得るために、開口104の数、順序、および間隔が慎重に選択される、d)に示されているマスク構造が選択される。ステップe)では、2つ以上のナノワイヤまたは体積成長構造のグループを形成することができる。体積成長中に追加のインジウム前駆体の流れを導入することによって、体積成長g)内のインジウム含有量を追加することができる。体積成長が合体ステップi)にかけられるとき、ナノ構造または体積成長が合体される、すなわち併合され、増大されたc平面表面を形成するようになされる。好ましい一実施形態では、合体ステップの後、表面修復ステップにおいて、平滑化InGaN成長層を成長させることができる。
【0063】
図7A、
図7B、および
図8Bの実施形態は、基板を含む半導体構造の例を示しており、基板の表面上にマスクが設けられ、マスクは、基板表面に沿って順序付けられて設けられた複数の開口を有し、III族N材料の密着性の平坦なビアが基板マスク内の複数の開口の上に延びる。平坦なビアは、異なる開口を通じて成長させた、併合された個々の半導体構造によって形成される。これらの開口は、基板表面に沿った経路に沿って等距離の位置に設けられ得る。合体ステップは、個々の半導体成長に続くステップにおいてインサイチュに実施してもよく、そこではIII族半導体材料の追加のソースなしに、または実質的になしに、高い温度で窒素の高い背圧と共に原子改質が実施される。
【0064】
プレートレットさらには密着性の平らな層の形態にある、たとえばGaNおよびInGaNなどIII族N半導体材料の平らな構造を提供するための上記で概説した解決策は、すばらしい、また思いがけない成果である。いまやいわゆるチョクラルスキープロセスが発明されてから100年であり、このプロセスに従って固体結晶がメルトからゆっくり引き上げられる。これは、依然としてSiインゴットの成長のための基本である。Ge、GaAs、GaP、およびInPなど従来の半導体を作製するために使用される他の同様な技法は、ブリッジマン技法およびフロートゾーンプロセスである。これらの技法はすべて、共通して、液体/固体成長フロントの使用を有し、成長率および温度勾配ΔTが相互に制御され、転位のない結晶シードから開始される。これらの成長プロセスでは、ΔTが成長率を決定することになり、高いΔTは、結晶の速い凝集を強いる。チョクラルスキープロセスでは、成長率がSi結晶空孔の創出を回避するほど十分に速く、しかし格子間Siの組み込みを回避するほど十分に遅い、または強制的でないとき、「完璧なSi結晶」条件が満たされる。チョクラルスキー成長では、低いΔTが析出のための低い駆動力をもたらし、系は熱力学的平衡に近いと言われる。熱力学的平衡では、原子は、結晶から液相への析出に関して、結晶相から液体への解離の場合と同じ確率を有する。この場合、原子が最後にどこへ行くか、他の要因が決定することになる。原子の格子間組み込み、または空孔を含むことにより、吸着原子をそれらのそれぞれの格子サイトにおいて組み込むより、系のための自由エネルギーの減少がより小さくなると気付くことは容易である。
【0065】
図9Aを参照すると、チョクラルスキープロセスは、両矢印によって表されている、液相と結晶相との間の遷移である。しかし、図からわかるように、固体GaNと液体GaNとの間の相境界は、6GPaを超える圧力でのみ合流する。そのため、こうしないで主に金属有機気相エピタキシ(MOVPE)によって異種基板上に作製されるGaN半導体ウェハの場合、GaNの液相エピタキシは大きな課題になる。サファイアおよびSi上で成長させるGaNの結晶品質を改善するために、転位密度を低減し、より高品質の基板を提供するためエピタキシャルラテラル成長(ELO)が開発されており、初期の結果は、大きな将来性を示し、後日、ナノワイヤに採用された。
【0066】
しかし、本明細書で提案されている解決策の様々な実施形態では、特定のエピタキシャル状態のエピタキシャル物理特性が探究されており、これは、本明細書では結晶改質と示されている。この結晶改質は、上記のいくつかの異なる実施形態について概説したように、マスク開口においてシード上に成長させたIII族窒化物材料を平坦化するステップとして実施され得る。III族窒化物材料の平坦化は、実質的に平坦な上部表面を有する複数の離散的なベース要素を形成するように働く。結晶改質は、平衡条件近くで実施され、材料の追加によって過飽和は生み出されない。一般的なMOCVD成長とは対照的に、相転移を進めるためにIII−V窒化物結晶成長フロントにIII族材料を供給することは必要とされない。平衡成長および記載の方法の1つの著しい態様は、相転移の可逆性、すなわち、熱バイアスを変更することによって、成長フロントの伝播を前向きまたは後ろ向きに逆転することができることである。本発明者らの場合、改質を進める熱バイアスは、結晶ファセットの表面エネルギーの差によって供給される。すなわち、1つの結晶ファセットにおける正味の原子解離が、別のファセットにおいて正味の析出または結晶化と同時に行われる。この点で、エピタキシャル成長フロントは、含まれるすべてのファセットを含むが、局所的な成長率は、正または負となり得る。
【0067】
様々な実施形態では、様々な実施形態について例示されているように、結晶表面の劣化を回避するために、NH
3の供給が保たれ、温度は高められる。GaNの別の実施形態では、高められた温度は、900〜1200℃の範囲内、または700℃と1000℃の間であってよい。一実施形態では、高められた温度は、結晶材料の昇華温度より高い。改質中、本発明者らは、結晶の実質的な部分が、あるファセットから別のファセットへ移されるという驚くべき効果を観察した。
【0068】
図9Bは、大気圧での計算されたGa−N相図を示す。ここで、破線によって印付けられた、改質ステップが配置される気体+GaN状態は、過剰な原子窒素を必要とすること、およびGaは、液体形態にあることに留意されたい。さらに、
図9Cは、ランドルト・ベルンシュタイン−Group IV Physical ChemistryのVolume 5「Phase Equilibria, Crystallographic and Thermodynamic Data of Binary Alloys」のSubvolume F「Ga−Gd − Hf−Zr」による、知られているGa−N
2成分相図を示す。そこに記されているように、「実験的に決定された相図は使用可能でない」。これは、従来、N>50%について相図を書くのに十分な実験データが実際にないことを示すことになる。改質条件に対応する相図は、使用可能でない。環境条件は、Gaが液相であることを示唆するが、データは、プロセスウィンドウ内のGa原子の低い脱着率の追加条件を示唆する。したがって、改質によって平坦なIII族N材料を提供するための本明細書で提案されている解決策は、物理学の未踏のテリトリ内で実施されるプロセスによって得られる有益な思いがけない結果を伴う新しい解決策を形成する。
【0069】
形状変形は、ファセットの表面エネルギーによって進められる可能性が最も高い。速度論的ウルフ(Wulff)のGaNの結晶形状に対する公開されている研究から予想することができるように、より低次のファセットおよび0001c平面の形成が強く優先されるように、より高次のファセット上での成長が優先される。速度論的ウルフモデルは、ファセットの相対表面エネルギー比に基づいて、小さい結晶の形状を予測することを目的とする。本発明者らは、このモデルを原子ピクチャで補うことを提案し、これを本明細書に記載の実施形態に関連付けることができる。
【0070】
1.結晶から解離する各原子は、物理吸着状態に留まり、または気相に脱着し得る。結晶の体積は変わらないので、脱着は割り引くことができ、原子は、再び結晶に組み込まれるまで物理吸着したままであると結論することができる。
【0071】
2.物理吸着状態に進む確率および結晶結合状態に進む確率は共に高いが、側部ファセットにて組み込み確率がより高く、ファセット上部にて脱着確率がより高い(結晶高さが増大するため)。固着および解離の確率が高いため、原子は、物理吸着状態と結晶結合状態との間で自由に変わり得る。転位、点欠陥、空孔、および格子間原子の形成は、通常、「完璧な格子サイト」上での配置よりも結晶に対する結合を弱め、系の自由エネルギーの減少をより小さくする。原子は結晶結合状態間を自由に移動することができるので、原子は、典型的にはより高い結合エネルギーを有する位置に落ち着くことになり、したがって「完璧なサイト」での結合に比べて、欠陥または転位を形成するように障壁があることになる。
【0072】
3.物理吸着する原子は、好ましくはIII族原子であり、最も一般的な種は、ガリウム、インジウム、およびアルミニウムである。使用される条件でのこれらの材料に関する自然状態は、液体形態である(室内圧力溶融T:Ga30℃;In157℃;Al660℃、すべて2000℃を超える沸点Tsを有する)。これらの蒸気圧は、すべて低く、1000℃で1パスカル未満であり、何らかの蒸発損失は予想されるが、蒸発を通じての低い材料損失を説明する。
【0073】
4.物理吸着するIII族原子は、非常に高い拡散率、およびGaについて1μm、Inについて10μm程度の拡散長を有することができる。良い物理的説明は、物理吸着する原子が拡散長の限界内で一定の濃度を保持する表面上で2次元クラウドを形成するということであり、これらの拡散長は、様々な実施形態では、テンプレート構造の寸法より大きい。クラウドは、結晶格子からIII族原子の解離によって供給され、改質率は、原子解離率およびそれぞれのファセットへの固着率の相対差によって与えられることになる。改質率が、III族材料の表面拡散状態について、III族材料の比較的一定の一致する濃度を保持するのに十分低く、構造の寸法が拡散長と同等以下の長さのものである限り、III族材料の供給は拡散制限されないことになり、結晶組み込みは、結晶結合の活性エネルギーによってのみ支配される。これが通常、平衡条件と称されるものである。
【0074】
5.好ましい実施形態では、NH
3の背景の流れは、たとえばNH
3の熱分解を通じて窒素を供給するとき十分に高いものになり、これは、実質的に平坦な上部表面がテンプレートファセット上に形成される改質中、III族材料原子が結合するための窒素のリザーバを提供するのに十分である。純粋な窒素N
2は、使用される温度では不活性であるが、HN
3の熱分解のためのほどよい活性化エネルギーは、
図9Cの図の右端側に触れる相転移を扱うことができるほど十分な原子窒素を供給してくれる。しかし、さらに低い分解温度を伴う窒素ソースは、より低い温度での改質、またおそらくは結晶窒素空孔の組み込みに対するより良好な制御を可能にすることになる。
【0075】
述べたように、平坦な上部表面は、他のテンプレートファセット上での優先される成長によって引き起こされるIII族材料、たとえばGaまたはInの再分配によって形成および増大されることになる。そのような供給レベルでは、窒素供給は拡散制限されず、それによりV族元素に関して平衡成長のための条件を満たすことになる。流れをこのレベルより増大すると、NH
3のIII族材料の生産的な流れの表面拡散が阻止され得る。原子窒素供給は、NH
3の低い熱分解率によって制限される可能性がより高い。したがって、改質ステップは、より効率的な熱分解を達成することができる代替の窒素ソースの使用に対して非常に良好な候補となり得る。いくつかのそのようなソースがあり、例は、ヒドラジン、次メチルヒドラジンなどメチル化ヒドラジン、テトラブチルヒドラジン、ターシャリーブチルアミン、また窒素プラズマがあるが、窒素ラジカルの反応性は、拡散長をかなり減少させ得る。
【0076】
気相環境を使用するが、結晶改質は、高純度バルク成長半導体ウェハの100年の現況技術であった本来の液相エピタキシ法に、より近い関係にある。必要とされる熱力学もまた、改質のための条件は、独特に保存性のあるものとすることができ、合体中、新しい転位の導入を最小限にすることができることを示唆している。新しいエピタキシャル状態であるので、これは、すべての新しいエピタキシ法の場合と同様に、新しい結晶欠陥の導入を回避するために含まれる物理学のさらなる理解を必要とする。本明細書で詳述されるこの手法は、エピタキシャル成長、低温光学的特性付け、および物理的成長モデルの実装の組み合わせに依拠する。
【0077】
本明細書で提案されているナノ構造は、すべてGaNナノワイヤシードまたはピラミッドシードに基づくことが好ましいが、InおよびGaを含めて窒化物材料の他の組成物を使用することができる。提案されている実施形態は、主に材料および成長させる構造の状況における特定の課題に起因して異なるものである。高Al組成のAlGaNをGaN上で、または高In組成のInGaNをGaN上で成長させることは、結晶格子ミスマッチを導入し、したがって、GaNシードおよびテンプレートは、新しい不整合転位を導入することなしに歪みに容易に対処するように、サイズが小さく保たれる。ナノワイヤ成長中、すでにInまたはAlを組み込むことは、さらに良いが、より挑戦的なものとなり得る。また、AlGaN NWを使用すること、またはAlGaNテンプレートを直接成長させまたは改質することが好ましいものとなり得る。これは、現在、Al原子の短い拡散長により挑戦的であるが、そのような実際的な条件を開発することができるとき長期となり得ることが好ましい。そういうわけで、GaN法とInGaN法とAlGaN法との間の実際的な相違を基礎的な選好から区別するべきである。記載のすべての実施形態は、3成分窒化物NW成長および改質がさらに開発されたとき、窒化物材料の任意の組み合わせについて働き得る。
【0078】
大きな利点は、完全な転位のないプレートレットをもたらすナノワイヤまたはシード成長を通じた基板転位の解消である。これは、十分に制御された平衡への接近によるだけでなく、それ自体の転位のないシードをも生成するので高品質の結晶を生成するため、チョクラルスキープロセスに対する第2の類似性をもたらす。
【0079】
前述のように、成長させた半導体材料を平坦化するステップは、その後に、c平面表面修復成長のステップが続いてもよい。このステップは、平坦化するステップより低い温度で実施されてよい。様々な実施形態では、表面修復成長は、III族材料、好ましくは平坦化された第2のIII族窒化物材料と同じIII族材料を供給することによって実施してもよく、ピラミッド成長の追加の相をもたらし得る。好ましい実施形態では、このように生み出された修復層は、平坦化されたテンプレート表面の実質的な減少がないように、1つまたは数枚の原子層を含むだけでよい。後続のステップは、複数のベース要素の各要素内または各要素上、修復層の上部に、たとえばさらなるエピタキシャル成長によって電子構成部品などデバイスを形成するステップを含んでもよい。
【0080】
III族窒化物半導体デバイスを準備するための様々なプロセスが上記で提供されており、これらのデバイスは、ショットキダイオード、p−nダイオード、MOSFET、JFET、HEMTなど、半導体電子デバイスを担持する、または組み込むためのさらなる処理に適している。マスク開口からの個々の成長の合体によって得られる平坦な基板は、ミスマッチの基板上で従来成長させた層に比べて、実質的に完全に緩和され、一方、微視的および巨視的な歪みは、熱膨張特性および高い作製温度の差、界面エネルギーおよび表面エネルギー、ならびにドーパントまたは不純物など、他の環境条件によって導入され得る。様々なそのような電子デバイスを作製するための実施形態に関するさらなる詳細は、たとえば参照されている特許出願に見出すことができる。
【国際調査報告】