特表2019-516096(P2019-516096A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-516096少なくとも1個の物体を光学的に検出する検出器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-516096(P2019-516096A)
(43)【公表日】2019年6月13日
(54)【発明の名称】少なくとも1個の物体を光学的に検出する検出器
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20190524BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20190524BHJP
【FI】
   G01B11/00 A
   H01L31/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】73
(21)【出願番号】特願2018-553095(P2018-553095)
(86)(22)【出願日】2017年4月3日
(85)【翻訳文提出日】2018年12月6日
(86)【国際出願番号】EP2017057825
(87)【国際公開番号】WO2017174491
(87)【国際公開日】20171012
(31)【優先権主張番号】16164113.9
(32)【優先日】2016年4月6日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ファローフ,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ルンゲンシュミート,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルメス,ヴィルフリート
(72)【発明者】
【氏名】ゼント,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ブルーダー,イングマル
【テーマコード(参考)】
2F065
5F849
【Fターム(参考)】
2F065AA02
2F065AA03
2F065AA04
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5F849XB17
5F849XB18
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5F849XB27
5F849XB37
(57)【要約】
少なくとも1個の物体(112)を光学的に検出する検出器が提案される。検出器は
少なくとも1個の縦方向光学センサ(114)であって、少なくとも2個の電極(130、132’)間に配列される少なくとも2個の個別のpinダイオード(130、130’)を有し、pinダイオード(130、130’)の少なくとも1個は入射光ビーム(136)用センサ領域(186)として指定され、センサ領域(186)は光ビーム(136)によるセンサ領域(186)の照明に依存する形で少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するよう指定され、縦方向センサ信号は、照明の総出力が同じである場合、センサ領域(186)内の光ビーム(136)のビーム断面積(188)に依存する、縦方向光学センサ(114)と、
少なくとも1個の評価装置(140)であって、縦方向センサ信号を評価することによって、物体(112)の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成するよう指定される、評価装置(140)と
を含む。
以上により、簡単でありながらも効率的な、空間内での少なくとも1個の物体(112)の位置を正確に判定する検出器が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の物体(112)を光学的に検出する検出器(110)であって、
少なくとも1個の縦方向光学センサ(114)であって、少なくとも2個の電極(132、132’)間に配列される少なくとも2個の個別のpinダイオード(130、130’)を有し、前記pinダイオード(130、130’)の少なくとも1個は入射光ビーム(136)用センサ領域(186)として指定され、前記センサ領域(186)は前記光ビーム(136)によるセンサ領域(186)の照明に依存する形で少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するよう指定され、前記縦方向センサ信号は、前記照明の総出力が同じである場合、前記センサ領域(186)内の前記光ビーム(136)のビーム断面積(188)に依存する、縦方向光学センサ(114)と、
少なくとも1個の評価装置(140)であって、前記縦方向センサ信号を評価することによって、前記物体(112)の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成するよう指定される、評価装置(140)と
を含む検出器(110)。
【請求項2】
前記pinダイオード(130、130’)各々が、n型半導体層(166、172)とp型半導体層(168、174)との間に位置するi型半導体層(164、170)を含み、前記pinダイオード(130、130’)の少なくとも1個の前記i型半導体層(164、170)が前記センサ領域(186)として指定される請求項1に記載の検出器(110)。
【請求項3】
前記少なくとも2個の異なるpinダイオード(130、130’)内の前記i型半導体層(164、170)が異なる光学特性を示す請求項1または2に記載の検出器(110)。
【請求項4】
前記pinダイオード(130、130’)各々が、非晶質シリコン(a−Si)(176)、非晶質シリコンを含む合金、微結晶シリコン(μc−Si)(182)、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン化インジウム(InSb)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、ヒ化インジウム(InAs)、窒化ガリウム(GaN)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化アルミニウムガリウム(AlGaP)、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化銅亜鉛スズ(CZTS)、セレン化銅亜鉛スズ(CZTSe)、銅−亜鉛−スズ−硫黄−セレンカルコゲニド(CZTSSe)、有機−無機ハロゲン化物ペロブスカイト、特にメチルアンモニウムヨウ化鉛(CHNHPbI)、ならびにこれらの固溶体および/またはドープ変形から成る群から選択される材料を含む請求項1から3のいずれか一項に記載の検出器(110)。
【請求項5】
前記pinダイオード(130、130’)の少なくとも1個が有機材料を含み、前記有機材料が色素、顔料、および電子ドナー材料と電子アクセプタ材料とを含む混合物の少なくとも1つを含む請求項1から4のいずれか一項に記載の検出器(110)。
【請求項6】
前記有機材料がフタロシアニン、ナフタロシアニン、サブフタロシアニン、ペリレン、アントラセン、ピレン、オリゴチオフェン、ポリチオフェン、フラーレン、インジゴイド色素、ビスアゾ顔料、スクアリリウム色素、チアピリリウム色素、アゼレニウム色素、ジチオケトピロロピロール、キナクリドン、ジブロモアンタンスロン、ポリビニルカルバゾール、これらの誘導体または組合せから成る群から選択される化合物を含む請求項5に記載の検出器(110)。
【請求項7】
前記電子ドナー材料が、ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5.ジイル)(P3HT)、ポリ[3−(4−n−オクチル)フェニルチオフェン](POPT)、ポリ[3−10−n−オクチル−3−フェノチアジン−ビニレンチオフェン−コ−2,5−チオフェン](PTZV−PT)、ポリ[4,8−ビス[(2−エチルヘキシル)オキシ]ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル][3−フルオロ−2−[(2−エチルヘキシル)カルボニル]チエノ[3,4−b]チオフェンジイル](PTB7)、ポリ{チオフェン−2,5−ジイル−オルト−[5,6−ビス(ドデシルオキシ)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール]−4,7−ジイル}(PBT−T1)、ポリ[2,6−(4,4−ビス−(2−エチルヘキシル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン)−オルト−4,7(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT)、ポリ(5,7−ビス(4−デカニル−2−チエニル)−チエノ(3,4−b)ジアチアゾールチオフェン−2,5)(PDDTT)、ポリ[N−9’−ヘプタデカニル−2,7−カルバゾール−オルト−5,5−(4’,7’−ジ−2−チエニル−2’,1’,3’−ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT)、ポリ[(4,4’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b;2’,3’−d]シロール)−2,6−ジイル−オルト−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)−4,7−ジイル](PSBTBT)、ポリ[3−フェニルヒドラゾンチオフェン](PPHT)、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン−1,2−エテニレン−2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレン−1,2−エテニレン](M3EH−PPV)、ポリ[2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MDMO−PPV)、ポリ[9,9−ジ−オクチルフルオレン−コ−ビス−N,N−4−ブチルフェニル−ビス−N,N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン](PFB)、またはこれらの誘導体、修飾体もしくは混合物の1種を含み、前記電子アクセプタ材料が、[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PC60BM)、[6,6]−フェニル−C71−酪酸メチルエステル(PC70BM)、[6,6]−フェニル−C84−酪酸メチルエステル(PC84BM)、インデン−C60ビス付加体(ICBA)、1つまたは2つの付着オリゴエーテル(OE)鎖(それぞれC70−DPM−OEまたはC70−DPM−OE2)を含むジフェニルメタノフラーレン(DPM)成分、シアノ−ポリ[フェニレンビニレン](CN−PPV)、ポリ[5−(2−(エチルヘキシルオキシ)−2−メトキシシアノテレフタルイリデン](MEH−CN−PPV)、ポリ[オキサ−1,4−フェニレン−1,2−(1−シアノ)−エチレン−2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレン−1,2−(2−シアノ)−エチレン−1,4−フェニレン](CN−エーテル−PPV)、ポリ[1,4−ジオクチルオキシ−p−2,5−ジシアノフェニレンビニレン](DOCN−PPV)、ポリ[9,9’−ジオクチルフルオレン−コ−ベンゾチアジアゾール](PF8BT)、またはこれらの誘導体、修飾体もしくは混合物の1種から選択される請求項5または6に記載の検出器(110)。
【請求項8】
さらに、
少なくとも1個の横方向光学センサ(209)を含み、前記横方向光学センサ(209)が前記物体(112)から前記検出器(110)へと移動中の前記光ビーム(136)の横方向位置を判定するよう適応されており、前記横方向位置が前記検出器(110)の光軸(116)に対して垂直な少なくとも1つの次元での位置であり、前記横方向光学センサ(209)が少なくとも1個の横方向センサ信号を生成するよう適応され、
前記評価装置(140)がさらに、前記横方向センサ信号の評価によって前記物体(112)の横方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成するよう設計されている
請求項1から7のいずれか一項に記載の検出器(110)。
【請求項9】
少なくとも1個の物体(112)の撮像のためのカメラ(202)であって、検出器(110)に関する請求項1から8のいずれか一項に記載の検出器を少なくとも1個含むカメラ(202)。
【請求項10】
使用者(218)とマシン(222)との間で情報のうち少なくとも1つの項目を交換するためのヒューマンマシンインターフェース(204)であって、検出器(110)に関連する請求項1から9のいずれか一項に記載の少なくとも1個の検出器を含み、使用者(218)の幾何学的情報のうち少なくとも1つの項目を検出器によって生成するように設計され、幾何学情報に対し、情報のうち少なくとも1つの項目を割り当てるように設計されるヒューマンマシンインターフェース(204)。
【請求項11】
少なくとも1つの娯楽機能を実行するための娯楽装置(206)であって、請求項10に記載のヒューマンマシンインターフェース(204)のうち少なくとも1つを含み、ヒューマンマシンインターフェース(204)を手段として情報のうち少なくとも1つの項目をプレーヤ(218)により入力可能となるように設計され、娯楽機能を情報に従って変えるように設計される娯楽装置(206)。
【請求項12】
少なくとも1個の可動物体(112)の位置を追跡する追跡システム(208)であって、検出器(110)に関する請求項1から11のいずれか一項に記載の検出器を少なくとも1個含み、さらに少なくとも1個の、物体(112)の一連の位置を追跡するように適合される進路制御装置(224)を含み、各位置が特定の時点における物体(112)の少なくとも1つの縦方向位置に関する情報のうち少なくとも1つの項目を含む追跡システム(208)。
【請求項13】
少なくとも1個の物体(112)の少なくとも1つの位置を判定する走査システムであって、検出器(110)に関する請求項1から12のいずれか一項に記載の検出器を少なくとも1個含み、さらに少なくとも1個の物体(112)の少なくとも1つの表面に位置する少なくとも1個の点の照明を目的に構成される少なくとも1本の光ビーム(136)を放出するように適合される少なくとも1個の照明源を含み、少なくとも1個の点と走査システムとの間の距離に関する情報のうち少なくとも1つの項目を少なくとも1個の検出器(110)の使用によって生成するように設計される走査システム。
【請求項14】
請求項12に記載の少なくとも1つの追跡システム(208)と、請求項13に記載の少なくとも1つの走査システムとを含む立体視装置であって、前記追跡システム(208)および前記走査システムがそれぞれ少なくとも1個の縦方向光学センサ(114)を含み、これらが立体視装置の光軸(116)と平行な配向で整列されると同時に、個々の変位が前記立体視装置の前記光軸(116)に対して直角な配向を示す立体視装置。
【請求項15】
少なくとも1個の物体(112)を光学的に検出する方法であって、
少なくとも1個の縦方向光学センサ(114)の使用によって少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成する工程であって、前記縦方向光学センサは少なくとも2個の電極(132、132’)間に配列される少なくとも2個の個別のpinダイオード(130、130’)を有し、前記pinダイオード(130、130’)の少なくとも1個は入射光ビーム(136)用のセンサ領域(186)として指定され、前記センサ領域(186)は前記光ビーム(136)による前記センサ領域(186)の照明に依存する形で少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するよう指定され、前記縦方向センサ信号は、前記照明の総出力が同じである場合、前記センサ領域(186)内の前記光ビーム(136)のビーム断面積(188)に依存する、工程と、
前記縦方向光学センサ(114)の前記縦方向センサ信号を評価することによって前記物体(112)の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成する工程と
を含む方法。
【請求項16】
検出器(110)に言及している請求項1から15のいずれか一項に記載の検出器の、測距、特に交通技術における測距;位置測定、特に交通技術における位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;ヒューマンマシンインターフェース用途;追跡用途;走査用途;立体視用途;写真撮影用途;撮像用途またはカメラ用途;少なくとも1つの空間のマップ生成用のマッピング用途;車両向けのホーミングビーコンまたは追跡ビーコン検出器;熱シグネチャによる物体の距離および/または位置の測定;機械視覚用途;ロボット工学用途;物流用途から成る群から選択される用途を目的とする使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に少なくとも1個の物体の位置を具体的には少なくとも1個の物体の深度または深度と幅を基準として判定するために、少なくとも1個の物体を光学的に検出する検出器に関する。さらに、本発明は、ヒューマンマシンインターフェース、娯楽装置、スキャニングシステム、追跡システム、立体視装置およびカメラにも関する。さらに、本発明は少なくとも1個の物体を光学的に検出する方法および検出器の様々な使用にも関する。このような装置、方法および使用は、例えば日常生活、ゲーム、交通技術、空間のマッピング、製造技術、セキュリティ技術、医療技術の様々な分野または科学分野において採用され得る。ただし、さらなる応用も可能である。
【背景技術】
【0002】
光学センサに基づく、少なくとも1個の物体を光学的に検出する様々な検出器が知られている。国際公開第2012/110924A1号では、少なくとも1個の光学センサを含む検出器を開示しており、この光学センサは少なくとも1つのセンサ領域を示す。本発明では、光学センサは、センサ領域の照明に依存する形で少なくとも1個のセンサ信号を生成するよう設計される。いわゆる「FiP効果」に従って、センサ信号は、照明の総出力が同じである場合、照明の幾何学、特にセンサエリア上の照明のビーム断面積に依存する。検出器はさらに、少なくとも1つの幾何学的情報項目、特に照明および/または物体に関する少なくとも1つの幾何学的情報項目を生成するよう設計された少なくとも1個の評価装置を有する。
【0003】
国際公開第2014/097181A1号では、少なくとも1個の横方向光学センサおよび少なくとも1個の縦方向光学センサを使用することによって少なくとも1個の物体の位置を決定する方法および検出器を開示している。好ましくは、特に物体の縦方向の位置を曖昧さを伴わずに高い正確度で判定するために、大量の縦方向光学センサが採用される。さらに、国際公開第2014/097181A1号では、ヒューマンマシンインターフェース、娯楽装置、追跡システムおよびカメラを開示しており、各々が少なくとも1個の物体の位置を判定するそのような検出器を少なくとも1個ずつ含む。
【0004】
さらに、国際公開第2016/120392A1号および2016年1月28日に出願されたPCT特許出願第PCT/EP2016/051817号には、光伝導性材料を含む光学センサが開示されており、光伝導性材料は、好ましくはセレン、金属酸化物、第4族の元素または化合物、第3族−第5族化合物、第2族−第6族化合物、およびカルコゲニド、または有機光伝導性材料から成る群から選択される無機光伝導性材料であってもよい。さらに、非晶質シリコン(a−Si)、水素化非晶質シリコン(a−Si:H)、水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)、水素化非晶質シリコン炭素合金(a−SiC:H)、または水素化非晶質ゲルマニウムシリコン合金(a−GeSi:H)から選択される半導体材料の層を含むpinダイオードが開示される。本発明では、pinダイオードを、紫外光、可視光または赤外光のスペクトル範囲の1つまたは複数の範囲内の波長を有する入射ビーム用の光学センサとして採用することができる。
【0005】
W.Hermes、D.Waldmann、M.Agari、K.Schierle−Arndt、and P.Erk、Emerging Thin−Film Photovoltaic Technologies、Chem.Ing.Tech.2015、87、第4号、376−389では、薄膜光起電技術に関する概要を提示している。本発明では、有機物ベースの太陽電池、特に色素増感太陽電池(DSSC)と、特に銅亜鉛硫酸スズ(CZTS)の薄膜を含み得るケステライト対応電池、および有機−無機ハロゲン化物ペロブスカイト吸収剤、特にメチルアンモニウムヨウ化鉛(CHNHPbI)に基づくハイブリッド太陽電池が、ソーラー効率の高い有望な候補として提示される。
【0006】
W.Fuhs、Hydrogenated Amorphous Silicon − Material Properties and Device Applications(於:S.Baranovski、Charge Transport in Disordered Solids)、Wiley、97−147頁、2006年に、非晶質シリコン(a−Si)、水素化非晶質シリコン(a−Si:H)および水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)の製造および構造特性に関する概要が記載されている。さらに、非晶質シリコン、特にショットキーバリアダイオード、pinダイオードおよび薄膜太陽電池を含む装置も記載されている。特殊な一例として、2個のpinダイオードから成るスタックを含むタンデム太陽電池が開示され、この例では太陽光スペクトルの総吸収量を増やす目的でバンドギャップが異なる光起電材料が採用される。さらなる一例として、3個のpinダイオードから成るスタックを含む三重会合点太陽電池が開示され、この例では単一のpinダイオードが固有a−Si合金を含む一方、他の2個のpinダイオードは固有a−SiGe合金を含む。
【0007】
さらに、国際公開第2011/091967A2号では、単体基板、少なくとも1個の上側サブセルおよび少なくとも1個の下側サブセルを含み、個々のサブセルが、p型導電性層、n型導電性層、およびp型導電性層とn型導電性層との間に位置する真性層を含むpin構造として配列される光起電性多重接合薄膜太陽電池を開示している。上側サブセルは光入射向けに適応され、その内部で真性層が水素化非晶質シリコンを含み、単体基板上および/または1つもしくは複数のさらなる層の上に配置される一方、下側サブセルは任意で1つまたは複数のさらなる中間層上の上側サブセルの下方に配置される。各サブセル内ではp型導電性層が入射光と向かい合う形で配置される。さらに、下側サブセル内の真性層は微結晶ゲルマニウムを含む必要がある。
【0008】
前述の装置および検出器によって示唆される優位性があるものの、依然、単純で費用効率が高いながらも信頼性のある空間検出器に関して、改善の必要性がまだある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2012/110924A1号
【特許文献2】国際公開第2014/097181A1号
【特許文献3】国際公開第2016/120392A1号
【特許文献4】PCT特許出願第PCT/EP2016/051817号
【特許文献5】国際公開第2011/091967A2号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】W.Hermes、D.Waldmann、M.Agari、K.Schierle−Arndt、and P.Erk、Emerging Thin−Film Photovoltaic Technologies、Chem.Ing.Tech.2015、87、第4号、376−389
【非特許文献2】W.Fuhs、Hydrogenated Amorphous Silicon−Material Properties and Device Applications(於:S.Baranovski、Charge Transport in Disordered Solids)、Wiley、97−147頁、2006年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明によって対処される問題は、この種の既知の装置および方法の不利点を少なくとも実質的に回避する、少なくとも1個の物体を光学的に検出する装置および方法を明確にすることである。特に、空間内の物体の位置を、可視光スペクトル範囲の光ビームだけでなく赤外光スペクトル範囲、特に近赤外光スペクトル範囲の光ビームも使用することによって判定するための、単純で費用効率が高いながらも信頼性のある、改善された空間検出器が望ましいと思われる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、独立特許請求項の特徴を有する本発明によって解決される。個別にまたは組み合わせて実現することができる本発明の有利な発展形態は、従属請求項および/または以下の明細書および詳細な実施形態において提示される。
【0013】
本明細書で使用されるとき、「有する」、「含む」および「含有する」という表現、ならびにそれらの文法上の変形は、非排他的な形で使用される。したがって、「AはBを有する」という表現、および「AはBを含む」または「AはBを含有する」という表現は、AはBのほかに、1個または複数のさらなる構成要素および/または成分を含有するという事実と、AにおいてB以外の構成要素、成分または要素が存在しない状況も指す場合がある。
【0014】
本発明の第1の態様において、特に少なくとも1個の物体の位置を具体的には少なくとも1個の物体の深度または深度と幅を基準として判定するための、光学検出用の検出器が開示される。
【0015】
「物体」は一般的に、生物物体および非生物物体から選択される1個の任意の物体であってもよい。したがって、一例として、少なくとも1個の物体は1個または複数の物品および/または1個の物品を構成する1個または複数の部分を含み得る。付加的にまたは代替的に、物体は、少なくとも1個の生物および/またはその1つ以上の部分、例えばユーザなど人間および/または動物の1つ以上の身体部分であってもよい。
【0016】
本明細書で使用されるとき、「位置」は一般的に、空間内の物体の配置および/または配向に関する情報の任意の項目を指す。この目的に対し、一例として、1つまたは複数の座標系を使用してもよく、また物体の位置は1つ、2つ、または3つ以上の座標の使用によって判定され得る。一例として、1つまたは複数のデカルト座標系および/または他の種類の座標系が使用され得る。一例において、座標系は、検出器が所定の位置および/または配向を有する、検出器の座標系であってもよい。以下にてさらに詳しく概説されるとおり、検出器は、検出器の主たる視野方向を構成し得る光軸を有し得る。光軸は、z軸など、座標系における1本の軸を形成し得る。さらに、1本または複数の付加的な軸、好ましくはz軸に対して垂直な軸を設けてもよい。
【0017】
したがって、一例として、検出器は、光軸がz軸を構成し、また付加的にz軸に対して垂直かつ互いに垂直であるx軸とy軸が提供され得る座標系を構成し得る。一例として、検出器および/または検出器の一部は、この座標系の原点など、この座標系における特定の点に所在し得る。この座標系において、z軸に平行または逆平行な方向を、縦方向と見なすことができ、またz軸に沿った座標を、縦方向座標と見なすことができる。縦方向に対して垂直な任意の方向を横方向と見なすことができ、x座標および/またはy座標を横方向座標と見なすことができる。
【0018】
あるいは、他の種類の座標系を使用してもよい。したがって、一例として、光軸がz軸を形成する極座標系を使用することができ、またz軸からの距離および極角を付加的座標として使用することができる。同じく、z軸に平行または逆平行な方向を縦方向と見なすことができ、またz軸に沿った座標を縦方向座標と見なすことができる。z軸に対して垂直な任意の方向を横方向と見なすことができ、また極座標および/または極角を横方向座標と見なすことができる。
【0019】
本明細書で使用されるとき、光学検出のための検出器は一般的に、少なくとも1個の物体の位置に関する情報のうち少なくとも1つの項目を提供するように適合される装置である。検出器は、固定式装置であるか、または移動式装置であってもよい。さらに、検出器は独立型装置であるか、あるいはコンピュータ、車両または他の装置など、別の装置の一部をも形成し得る。さらに、検出器は携帯型装置であってもよい。検出器の他の実施形態も実現可能である。
【0020】
検出器は、実現可能な何らかの形で少なくとも1個の物体の位置に関する情報のうち少なくとも1つの項目を提供するように適合され得る。したがって、情報は例えば電子的、視覚的、聴覚的に、あるいはこれらの任意の組合せの形で提供され得る。情報はさらに、検出器のデータ記憶装置または別個の装置に保存するか、および/または無線インターフェースおよび/または有線インターフェースなど、少なくとも1つのインターフェースを介して提供することができる。
【0021】
本発明に記載の少なくとも1個の物体を光学的に検出する検出器は、
少なくとも1個の縦方向光学センサであって、少なくとも2個の電極間に配列される少なくとも2個の個別のpinダイオードを有し、pinダイオードの少なくとも1個は入射光ビーム用のセンサ領域として指定され、センサ領域は光ビームによるセンサ領域の照明に依存する形で少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するよう指定され、縦方向センサ信号は、照明の総出力が同じである場合、センサ領域内の光ビームのビーム断面積に依存する、縦方向光学センサと、
少なくとも1個の評価装置であって、縦方向センサ信号を評価することによって、物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成するよう指定される、評価装置と
を含む。
【0022】
本発明では、上に挙げた構成要素は別々の構成要素であってもよい。あるいは、上に挙げた構成要素のうち複数を1つの構成要素に一体化してもよい。さらに、少なくとも1個の評価装置は、転送装置および縦方向光学センサから独立した別個の評価装置として形成され得るが、好ましくは縦方向センサ信号を受信できるよう縦方向光学センサに接続され得る。あるいは、少なくとも1個の評価装置を完全にまたは部分的に、縦方向光学センサに一体化してもよい。
【0023】
本明細書で使用されるとき、「縦方向光学センサ」は一般的に、光ビームによるセンサ領域の照明に依存する形で少なくとも1個の縦方向のセンサ信号を生成するよう設計された装置であり、縦方向センサ信号は、照明の総出力が同じである場合、いわゆる「FiP効果」に従って、センサ領域内の光ビームのビーム断面積に依存する。縦方向センサ信号は一般的に、深度と表わすこともできる縦方向位置の指標となる任意の信号であってもよい。一例として、縦方向センサ信号はデジタル信号および/またはアナログ信号であるか、またはこれを含み得る。一例として、縦方向センサ信号は電圧信号および/または電流信号であるか、またはこれを含み得る。付加的にまたは代替的に、縦方向センサ信号はデジタルデータであるか、またはこれを含み得る。縦方向センサ信号は単一の信号値および/または一連の信号値を含み得る。縦方向センサ信号はさらに、複数の個別の信号を組み合わせることにより、例えば複数の信号の平均化および/または複数の信号の商の形成によって導き出される任意の信号をも含み得る。縦方向光学センサおよび縦方向センサ信号の潜在的実施形態については、国際公開第2012/110924A1号において開示されている光学センサを参照するとよい。
【0024】
本発明によれば、少なくとも1個の縦方向光学センサは、少なくとも2個の電極間に配列される少なくとも2個の個別のpinダイオードを含む。本発明では、少なくとも2個の個別のpinダイオードは極性が同じである電極を共有してもよい。結果として、個別のpinダイオード間に追加の電極を配列しなくてもよい。特に、縦方向光学センサに衝突し得る光ビームが複数のpinダイオードの少なくとも1個に到達することを促すことを目的に、複数の電極のうち少なくとも1個、特に入射光ビームの経路内に配置され得る第1の電極は、少なくとも一部が光学的に透明であるものが選択され得る。本発明では、少なくとも一部が光学的に透明な電極は少なくとも1種の透明導電性酸化物(TCO)、特にインジウムドープスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープスズ酸化物(FTO)、アルミニウムドープ亜鉛酸化物(AZO)、またはペロブスカイトTCO(SrVOまたはCaVOなど)、あるいは代替的に金属ナノワイヤー、特に銀または銅のナノワイヤーの少なくとも1種を含み得る。ただし、電極材料として適切となり得る光学的に透明、半透明または透光性である他の種類の材料も適用可能となり得る。結果的に、「背後電極」とも表わされる第2の電極は、特に縦方向光学センサ内の光ビームの経路外に位置する限り、光学的に不透明であってもよい。本発明では、少なくとも1個の光学的に不透明な電極は、好ましくは金属電極、特に銀(Ag)電極、白金(Pt)電極、アルミニウム(Al)電極、または金(Au)電極の1種または複数、あるいは代替的にグラフェン電極を含み得る。好ましくは、光学的に不透明な電極は均一な金属層を含んでもよい。あるいは、光学的に不透明な電極は、多数の部分電極として配列される、または金属格子形式の分割電極であってもよい。
【0025】
特に、縦方向光学センサはスタック状の配列を示してもよい。これを目的に、複数の電極の各々および複数のpinダイオードの各々が、好ましくは層状構造を示し、その結果、pinダイオードが2つの電極層間に挟まれて互いに積み重なる配列を可能にしてもよい。結果として、複数の層からなるスタックを得ることができ、スタックが第1の電極を有し、その上に第1のpinダイオードを配置し、その上に第2のpinダイオードを配置し、その上に第2の電極を配置してもよい。適用可能であれば、少なくとも1個のさらなるpinダイオードを第1の電極と第2の電極との間の任意の位置に配置してもよい。さらに、スタックは付加的な層、特に少なくとも1つの絶縁性基板および/または少なくとも1つの再結合層を含んでもよく、これについては下記にてさらに詳しく記述する。本発明により、第1の電極層を例えば第1の基板上に配置してもよい。ただし、本明細書で使用されるとき、「〜の上に配置する」という表現は重力方向を基準とするpinダイオード内の最終スタックの特異的な幾何学的配向を指すのではなく、むしろ、製造後に概して上下逆の配向なども含む任意の幾何学的配向で配置できるスタックの製造形態を意味する。
【0026】
本発明によれば、複数のpinダイオードの少なくとも1個は入射光ビーム用センサ領域として設計される。結果的に、縦方向光学センサにおけるスタック状配列内に含まれるすべてのpinダイオードがセンサ領域として採用され得る。ただし、本発明はpinダイオード、特に縦方向光学センサ内に存在する2個のpinダイオードが互いに異なる光学特性を示し得るという、特有の利点を示し得る。下記にてさらに詳しく記述するとおり、個別のpinダイオードは異なる光感度、特に入射光ビームの異なる波長範囲に関して異なる外部量子効率を示し得る。さらに、個別のpinダイオードは異なる種類のFiP効果、すなわち入射光ビームによるセンサ領域の照明に依存して異なる縦方向センサ信号を示すことにより、複数のpinダイオードの少なくとも1個が実際にFiP効果を示す限り、それが正のFiP効果または負のFiP効果のどちらであるかを問わず、各pinダイオードが正のFiP効果を示す、負のFiPを示す、またはFiP効果を全く示さなくてもよい。代替的または付加的に、縦方向光学センサ内の少なくとも2個のpinダイオード間で他の種類の相違も実現可能となり得る。
【0027】
本発明の目的上、縦方向光学センサのセンサ領域は少なくとも1本の光ビームによって照らされる。照明の総出力が同じである場合、センサ領域の電気的に検出可能な特性は結果的に、センサ領域内の光ビームのビーム断面積に依存し、ビーム断面積はセンサ領域内で入射光ビームによって生成される「スポットサイズ」と表わすこともできる。このように、センサ領域における入射光ビームによる照明の範囲に依存する電気的に検出可能な特性は特に、同じ総出力を含むが、生成するセンサ領域のスポットサイズが異なる2本の光ビームはセンサ領域内の電気的に検出可能な特性について異なる値を提供し、結果的に相互に区別可能であるという状況を達成するものである。
【0028】
さらに、縦方向センサ信号は好ましくは電圧信号および/または電流信号など電気信号の印加によって判定され得ることから、電気信号が横断するセンサ領域内に含まれる材料の電気的に検出可能な特性が縦方向センサ信号の判定時に考慮に入れられる。結果として、センサ領域内を含む縦方向光学センサは原則として、センサ領域内の光ビームのビーム断面積を、縦方向センサ信号の記録から、例えば少なくとも2つの縦方向センサ信号や、ビーム断面積に関する情報の少なくとも1つの項目、具体的にはビーム直径の比較などによって判定することを可能にする。これを目的に、材料を介して電流を少なくとも1個の第1の電極経由で少なくとも1個の第2の電極へと誘導することができ、その場合、第1の電極は第2の電極から隔離される一方で第1の電極と第2の電極はいずれも各々の接点域で材料と直接接続されている状態である。あるいは、第1の電気接点と第2の電気接点の使用によって材料に電圧を印加することができる。このように、直接接続は、接点域における高導電性物質のめっき、溶接、はんだ付け、または蒸着など最新技術から既知の任意の措置を施すことによって提供され得る。
【0029】
さらに、センサ領域内の光ビームのビーム断面積は、前述のFiP効果に従って、照明の総出力が同じである場合、センサ領域に衝突する光ビームを放出または反射する物体の縦方向位置または深度に依存することから、縦方向光学センサを、個々の物体の縦方向位置の判定に適用することができる。
【0030】
国際公開第2012/110924A1号から既知であるとおり、縦方向光学センサはセンサ領域の照明に依存する形で少なくとも1個の縦方向センサ信号を生成するよう設計され、センサ信号は、照明の総出力が同じである場合、センサ領域上での照明のビーム断面積に依存する。一例として、光電流Iの測定結果がレンズの位置の関数として提供される場合、レンズは縦方向光学センサのセンサ領域に対する電磁放射に焦点を合わせるよう構成設定される。測定中、レンズはセンサ領域に対して直角の方向を向いている縦方向光学センサを基準として、結果的にセンサ領域上の光点の直径が変化する形で動かされる。この例では、少なくとも1個のpinダイオードがセンサ領域として設計され、縦方向光学センサの信号、特に光電流が明らかに照明の幾何形状に依存する結果、レンズの焦点の最大値の範囲外では光電流がその最大値の10%未満にまで低下する。
【0031】
この効果は、総出力が同じである場合にセンサ信号がセンサ領域の照明の幾何形状とは実質的に無関係であるという従来型の光学センサの使用によって実行される同様の測定に関して、特に顕著である。このように、FiP効果に従って、縦方向センサ信号は、総出力が同じである場合、センサ領域上またはセンサ領域内の光点における1つまたは複数の集束および/または1つまたは複数の特定のサイズについて、少なくとも1つの顕著な最大値を示す。比較を目的に、該当する材料に衝突する光ビームの断面積が最小限であるという条件、例えば光学レンズによる影響に応じて材料が焦点または焦点付近に位置し得るという条件での縦方向センサ信号の最大値の観察を、「正のFiP効果」と呼ぶことができる。代替的に、「負のFiP効果」は観測され得、これは正のFiP効果の定義と呼応する形で、該当する材料に衝突する光ビームの断面積が最小限であるという条件、特に光学レンズによる影響に応じて材料が焦点または焦点付近に位置し得るという条件下での、縦方向センサ信号の最小値の観察を指す。下記にて例示されるとおり、負のFiP効果の出現は本発明に記載の縦方向光学センサ内で観察され得る。
【0032】
上述のとおり、縦方向光学センサは少なくとも2個の個別のpinダイオード、好ましくは2個の個別のpinダイオードを有する。一般的な用法として、「pinダイオード」、「PINダイオード」または「p−i−nダイオード」という用語は、n型半導体層とp型半導体層との間に位置するi型半導体層を含む電子装置を指す。あるいは、ここで「nipダイオード」、「NIPダイオード」または「n−i−pダイオード」という用語を使用してもよい。さらなる選択肢として、「バルクヘテロ接合」という用語も、特に有機材料が関係する場合に使用され得る。最新技術から既知であるとおり、n型半導体層では電荷担体が圧倒的に電子によって提供される一方、p型半導体層では電荷担体が圧倒的にホールによって提供される。特に、本発明に記載の縦方向光学センサにおいて、i型半導体層は、n型半導体層およびp型半導体層それぞれの厚さを超える、特に少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍以上の厚さを示し得る。一例として、i型半導体層の厚さは100nm〜3000nmの範囲、特に300nm〜2000nmの範囲であってもよい一方、n型およびp型両方の半導体層の厚さは5nm〜100nmの範囲、特に10nm〜60nmの範囲であってもよい。
【0033】
本発明の好適な一実施形態において、複数のpinダイオードの少なくとも1個は非ドープ固有非晶質シリコン、略して「a−Si」を含み得る。一般的な用法として、「非晶質シリコン」という用語は、シリコンの非晶質同素形態に関する。最新技術からさらに既知のとおり、非晶質シリコンはそれを1つの層、特に薄膜として、適切な基板上に蒸着させることによって取得することができる。ただし、他の方法も適用可能となり得る。さらに、非晶質シリコンは、最も好ましくは、水素の使用によって不動態化することができ、これの適用により、非晶質シリコン内の多数のダングリングボンドを桁違いに減らすことができる。結果として、水素化非晶質シリコン、通常は略して「a−Si:H」は、示し得る欠陥量が少ないことから、光学装置向けの使用が可能となる。ただし、本明細書で使用されるとき、「非晶質シリコン」という用語は、明示される場合を除き、水素化非晶質シリコンを指す場合もある。
【0034】
非晶質シリコンを含むpinダイオードは一般的に、非線形の周波数応答を示すことが知られている。結果として、正および/または負のFiP効果は縦方向センサにおいて観測され得、その上、縦方向センサは実質的に、0Hz〜50kHzの光ビームの変調周波数範囲では周波数に依存しない状態となり得る。上述の特徴の発生を実証する実験結果が、2016年1月28日に出願された未公表のPCT特許出願第PCT/EP2016/051817号に詳しく記載されている。さらに、非晶質シリコンを含む光学検出器は、個々の半導体材料の豊富な存在、容易な生産経路、および他の既知のFiP装置と比べ大幅に高い信号対ノイズ比という、特別な優位性を示し得る。
【0035】
さらに、pinダイオードの外部量子効率を入射ビームの波長と対比した場合の挙動を考慮に入れると、pinダイオードが特に適切となり得る入射ビームの波長範囲に関する見識がもたらされ得る。本発明において、「外部量子効率」という用語は、本発明のセンサにおける光電流に寄与し得る光子束の割合を指す。結果として、非晶質シリコンを含むpinダイオードは380nm〜700nmの範囲にまで拡大し得る波長範囲内での外部量子効率について特に高い値を示し得る一方、外部量子効率はこの範囲外の波長、特に380nm未満の波長、すなわちUV範囲内と、700nm超の波長、特にNIR範囲内では低くなる結果、800nmを超えると消えてしまいそうなほど小さくなり得る。結果的に、非晶質シリコンを含むpinダイオードを、好ましくは、可視スペクトル範囲の大部分、特に380nm〜700nmの範囲をカバーする範囲内に入射ビームが波長を有する場合に、光学的検出向けに採用することができる。
【0036】
ただし、上述のとおり、縦方向光学センサ内に存在する少なくとも2個のpinダイオードは、異なるスペクトル範囲内で相互に異なる光学特性、好ましくは異なる光感度、特に異なる外部量子効率を示し得る。この実施形態は特に、本発明の検出器における波長検出範囲の増加に適切となり得る。
【0037】
代替的または付加的に、少なくとも2個のpinダイオード間で他の種類の相違、例えば異なる種類のFiP効果の発生も実現可能となり得る。さらなる複数の実施形態において、単一のpinダイオードなど複数のpinダイオードの少なくとも1個が、センサ領域の照明に依存して少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するよう設計されるセンサ領域を含み得、縦方向光学センサに含まれる他の複数のpinダイオードの少なくとも1個が異なる機能を果たし得るという、縦方向光学センサの設定に言及し得る。
【0038】
特に好適な一実施形態において、第1のpinダイオードは、上述のとおり380nm〜700nmのスペクトル範囲内で高い値の外部量子効率を示す結果として可視スペクトルの大部分をカバーする非晶質シリコンを含み得る。非晶質シリコンの外部量子効率はこの範囲外の波長、特に380nm未満の波長、すなわちUV範囲と、700nm超の波長、特にNIR範囲内では大幅に低くなることが知られているが、非晶質シリコンはそれでもなお第1のpinダイオードにおいて、380nm〜700nmのスペクトル範囲外の少なくとも1つの波長を示し得る入射光ビーム向けに採用され得る。ただし、この特に好適な事象において、第1のpinダイオードは上述のような形でセンサ領域として使用することはできないが、それでもなお、縦方向光学センサ内で異なる役割、特にトラップ保持半導体の役割を果たし得る。このように、第1のpinダイオードは、所望の波長範囲内で十分な外部量子効率を示す少なくとも1個の第2のpinダイオード内で生成され得る正の電荷担体の受容を可能にし得る。
【0039】
結果的に、本発明に記載の検出器において採用され得る第2のPINダイオードは、NIRスペクトル範囲の少なくとも一区画内で十分な外部量子効率を示し得、その結果、NIR吸収材のように作用することが可能であり得る。本明細書で使用されるとき、「NIRスペクトル範囲」という用語は略して「IR−A」とも呼ばれ、本出願の出願時点で有効な版のISO規格ISO−21348により勧告されているとおり、760nm〜1400nmの電磁スペクトルの一区画をカバーし得る。この目的に対し、第2のpinダイオードは前述および/または後述の非晶質シリコンを含むpinダイオードと同一または同様の配列を示し得、その場合、非晶質シリコン(a−Si)または水素化非晶質シリコン(a−Si:H)はそれぞれ、少なくとも部分的に微結晶シリコン(μc−Si)の1種、好ましくは水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)、またはゲルマニウムおよびシリコンの非晶質合金(a−GeSi)、好ましくは水素化非晶質ゲルマニウムシリコン合金(a−GeSi:H)に置き換えることができる。このように、第2のpinダイオードは、少なくとも部分的に760nm〜1400nm、特に少なくとも760nm〜1000nmのNIR波長範囲をカバーし得る波長範囲にわたり、高い外部量子効率を示し得る。一例として、μc−Siを含むpinダイオードは、おおよそ500nm〜1100nmの範囲に及ぶ波長範囲にわたり、無視できない量子効率を有する。
【0040】
一般的に知られているとおり、三次元結晶構造を有し、光学ギャップが用途のスペクトル領域に近いまたはそれ未満である半導体材料が関心の的になると考えられるのは、さらなる材料でのドーピングにより、またはナノ結晶質、微晶質もしくは非晶質の構造の獲得いずれかによってトラップレベルが導入され得る場合である。ドーピングは特に、トラップおよび/または再結合の中心の位置および/または集中の変化を前提として、半導体の帯構造、好ましくは伝導帯をドーピング材料のエネルギーレベルによって、好ましくはエネルギー的に伝導帯より高いまたは低いエネルギーレベルによって増強し得る形で、金属原子または塩を半導体に追加することによって達成され得る。
【0041】
水素化微結晶シリコン(μc−Si:H)は、好ましくはSiHとCHの気体混合物から生産され得る。結果として、典型的なサイズが5nm〜30nmの範囲であり、互いに10nm〜200nmの間隔の秩序正しい基板材料の列の間に配置された微結晶を含む基板上で、2相の材料を得ることができる。ただし、必ずしもそうとは限らないが、μc−Si:Hの代替的配列に繋がり得る、μc−Si:Hを提供するための別の生産方法も適用可能となり得る。さらに、水素化非晶質ゲルマニウムシリコン合金(a−GeSi:H)は、好ましくはSiH、GeH、およびHを共通の反応装置内でプロセスガスとして使用することによって生産され得る。この場合も同じく、a−GeSi:Hを提供するための他の生産方法が実現可能となり得る。
【0042】
μc−Si:Hおよびa−GeSi:Hをa−Si:Hと比較すると、μc−Si:Hおよびa−GeSi:Hを含む半導体層は電荷担体の無秩序置換に起因する局在化が同等または増加し得る結果、大幅に非線形の周波数応答を示す。これは、これらの種類の半導体層を含むpinダイオードを備える縦方向センサにおけるFiP効果の発生の基礎を構成し得る。結果として、この種の縦方向センサは、特にNIR応答が要求され得る用途、例えば暗視能力または霧中視界などの用途に使用され得る、またはNIRスペクトル範囲内の少なくとも1つの波長を放出し得るアクティブ標的が使用され得る場合、例えばNIR照明源を使用することにより、動物または人間を未撹乱の状態に維持し得る場合に有利となり得る事例などに適切となり得る。
【0043】
あるいは、本発明に記載の検出器において採用され得る第2のpinダイオードは、UVスペクトル範囲の少なくとも一区画内で十分な外部量子効率を示してもよい。本明細書で使用されるとき、「UVスペクトル範囲」という用語は1nm〜400nmの電磁スペクトル部分、特に100nm〜400nmの一区画をカバーし得、またISO規格ISO−21348により勧告されているとおり、多数の範囲に細分化することができ、本発明で提供される第2のpinダイオードは特に、400nm〜315nmの紫外A範囲、略して「UVA」または315nm〜280nmの紫外B範囲、略して「UVB」のいずれかまたは双方について適切となり得る。この目的に対し、第2のpinダイオードは前述および/または後述の非晶質シリコンを含むpinダイオードと同一または同様の配列を示し得、その場合、非晶質シリコン(a−Si)または水素化非晶質シリコン(a−Si:H)はそれぞれ、少なくとも部分的にシリコンおよび炭素の非晶質合金(a−SiC)または好ましくは水素化非晶質シリコン炭素合金(a−SiC:H)に置き換えることができる。第2のpinダイオードはこのように、UV波長範囲内、好ましくは280nm〜400nmの完全なUVAおよびUVBの波長範囲にわたり、高い外部量子効率を示し得る。本発明では、水素化非晶質シリコン炭素合金(a−SiC:H)を、好ましくはプラズマ強化蒸着プロセスにおいて、典型的にはSiHおよびCHをプロセスガスとして使用することによって生産することができる。ただし、a−SiC:Hを提供するための他の生産方法も適用可能となり得る。
【0044】
先行技術から既知であるとおり、水素化非晶質シリコン炭素合金a−SiC:Hを含む層は通常、水素化非晶質シリコンa−Si:Hを含む層内での電子移動性と比べ、著しく小さいホール移動性を示し得る。このように、a−SiC:Hを含む層を、pドープホール抽出層として、特にスタックにおいて光ビームが装置に進入し得る側に配列する形で採用することができる。この配列の結果として、ホールが縦方向センサ信号に貢献できるようになるために移動していなければならないと考えられる距離を、大幅に低減することができる。加えて、この種の薄層はさらに、電子が層を横断することを可能にする結果、pinダイオードの隣接するi型半導体層内に進入することを可能にし得る。ただし、複数の半導体層の少なくとも1つが少なくとも部分的にa−SiC:Hを含み得る、他の種類のpinダイオードも実現可能となり得る。
【0045】
本発明の1つまたは複数の設定での応用に適切となり得るさらに他の種類の材料も、2016年1月28日に出願された、参照によって全内容が本明細書に組み込まれる、PCT特許出願第PCT/EP2016/051817号に記載されている可能性がある。
【0046】
このように、さらなる一実施形態において、この種のFiP装置に含まれるような少なくとも1つのpinダイオードを1個または複数、薄膜太陽電池から既知の少なくとも1種の吸収材料を有する形で配列することができる。本発明では、本発明の目的に使用されるような吸収材料はダイヤモンド様構造を示す結果、多数の四価原子を含み得る。結果として、吸収材料をダイヤモンド(C)、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、シリコンゲルマニウム(SiGe)またはゲルマニウム(Ge)のうち1種または複数から選択することができる。あるいは、吸収材料は修飾ダイヤモンド様構造を示してもよく、その場合、ダイヤモンド様構造の四価原子のうち1個または複数が、特に、修飾構造内の4個の価電子の平均に影響を及ぼし得る原子の組合せに置き換えることができる。一例として、周期表の第3族および第5族それぞれに属する1種の化学元素を含む第3族−第5族化合物はこの目的に適切となり得るが、それは一緒に2×4=8個の価電子を含む2個の四価原子を相応に、3+5=8個の価電子に置き換えることができるからである。さらなる一例として、第1族および第3族それぞれに属する1種の化学元素および第6族に属する2種の化学元素を含む第1族−第3族−第6族の化合物もこの目的に適切となり得るが、それは一緒に4×4=16個の価電子を含む4個の四価原子を、この場合は1+4+(2×6)=16個の価電子に置き換えることができるからである。ただし、他の種類の組合せも実現可能となり得る。
【0047】
このように、吸収材料は好ましくは
− 第3族−第5族化合物、特にアンチモン化インジウム(InSb)、ヒ化インジウム(InAs)、窒化ガリウム(GaN)、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、またはリン化アルミニウムガリウム(AlGaP)、
− 第2族−第6族化合物、特にテルル化カドミウム(CdTe)、またはテルル化水銀カドミウム(HgCdTe、略して「MCT」)(CdTeおよびHgTeの第2族−第6族三元合金と捉えることができる)、
− 第1族−第3族−第6族化合物、特に硫化銅インジウム(CuInS、CIS)、およびより好ましくはセレン化銅インジウムガリウム(CIGS)(セレン化銅インジウム(CIS)およびセレン化銅ガリウム(CuGaSe)の固溶体と捉えることができ、したがってCuInGa(1−x)Seの化学式を含む(式中、xは0、すなわち純粋なCuGaSeから1、すなわち純粋なCISの範囲で変動し得る))、
− 第1族−第2族−第4族−第6族化合物、特に硫化銅亜鉛スズ(CZTS)、セレン化銅亜鉛スズ(CZTSe)、または銅−亜鉛−スズ−硫黄−セレンカルコゲニド(CZTSSe)、および
− ハロゲン化物ペロブスカイト化合物、特にアルカリ陽イオンを含む化合物、または特に有機−無機ハロゲン化物ペロブスカイト(メチルアンモニウム金属ハロゲン化物(CHNHMX(式中、MはPbまたはSnなど二価金属、XはCl、Br、またはIである))、好ましくはメチルアンモニウムヨウ化鉛(CHNHPbI))、および
− これらの固溶体および/またはドープ変形
から成る群から選択され得る。
【0048】
本発明により、インジウム(In)など希化学元素もカドミウム(Cd)など有毒化学元素も含まない、CZTSなどの化合物が、特に好適となり得る。ただし、さらに他の種類の化合物および/または付加的な例も実現可能となり得る。
【0049】
ただし、付加的に、さらなる検討事項は、特に入射光ビームの波長の関数としての吸収率に関して、取り上げられる吸収材料の感度に関係し得る。これに関する限り、上述の第1族−第3族−第6族化合物であるCISおよびCIGS、ならびに上述の第1族−第2族−第4族−第6族化合物であるCZTS、CZTSeおよびCZTSSeは特に、780nm〜1300nmの可視光スペクトル範囲とNIRスペクトル範囲の双方の範囲内で関連する目的に使用され得る。一方、より長い波長、特に1300nm超の場合、第2族−第6族化合物であるInSb、InAsおよびHgCdTe(MCT)が好適な選択となり得る。
【0050】
さらに、上述の材料の組合せおよび/または固溶体および/またはドープ変形も使用され得る。本明細書で使用されるとき、「固溶体」という用語は、少なくとも1種の溶質が溶媒中に含まれ得ることによって均一相が形成され得、溶媒の結晶構造が一般的に溶質の存在によって不変となり得る、個々の材料の状態を指す。例として、第1の2成分の化合物CdTeを第2の2成分の化合物ZnTe中で溶解させてCd1−xZnTeに至らしめることができ、式中、xの値は0から1の範囲で変動し得る。本明細書でさらに使用されるとき、「ドープ変形」という用語は、材料において、材料自体の成分とは別に単独の原子が、結晶内で非ドープ状態の固有原子によって占有されるサイトに導入される状態を指し得る。例として、シリコン結晶の化学的および/または物理的特性の修正を目的に、純粋なシリコン結晶を1個または複数のホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、リン、ヒ素、アンチモン、ゲルマニウムまたは他の原子でドープすることができる。
【0051】
さらに、n型半導体層とp型半導体層双方はi型半導体層と同じ材料を含み得るが、層の個別のドーピングを提供できるよう、ドーパントの種類は異なる。一方、n型半導体層は代替的に、硫化カドミウム(CdS)を含んでもよく、あるいは特に、有毒なカドミウム(Cd)を避ける目的で硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)または水酸化亜鉛(ZnOH)の1種または複数を含んでもよい。
【0052】
代替的または付加的に、有機材料、特に有機太陽電池用として採用される有機材料を、複数のpinダイオードの1個または複数に含まれる1つまたは複数の層向けに使用してもよい。有機材料の特に有利な点として、2種類のプロセス、すなわち一方での電荷の生成を他方での電荷からの輸送と分けることを、異なる2種類の有機材料を採用することによって実現可能とすることができ、これらの有機材料をドナーに似た「電子ドナー材料」または「電荷生成材料」、略して「CGM」、およびアクセプタに似た「電子アクセプタ材料」または「電荷輸送材料」、略して「CTM」と表わすことができる。R.M.Schaffert、IBM J.Res.Develop.、1971年、75〜89頁で初めて紹介された特定の一例として、
【化1】
におけるポリビニルカルバゾール(1)を電荷生成材料と捉えることができる一方、トリニトロフルオレノン(2)を電荷輸送材料と捉えることができる。
【0053】
特定の好適な一実施形態において、有機材料はこのように、少なくとも1個の共役芳香族分子、好ましくは高度共役芳香族分子、特に染料または顔料を、好ましくは電荷生成材料として採用される形で含み得る。これに関して、共役芳香族分子の特に好適な例として、フタロシアニン(金属フタロシアン、特にTiOフタロシアニンなど)、ナフタロシアニン(金属ナフタロシアニン、特にTiOナフタロシアニンなど)、サブフタロシアニン(金属サブフタロシアニンなど)、ペリレン、アントラセン、ピレン、オリゴチオフェン、ポリチオフェン、フラーレン、インジゴイド色素(チオインジゴなど)、ビスアゾ顔料、スクアリリウム色素、チアピリリウム色素、アズレニウム色素、ジチオケトピロロピロール、キナクリドンおよびその他、ジブロモアンタンスロンなど光伝導性を示し得る有機材料、またはそれらの誘導体もしくは組合せが挙げられる。ただし、さらなる共役芳香族分子、または付加的に、他の種類の有機材料も、無機材料と組み合わさる形で実現可能となり得る。
【0054】
フタロシアニンについては、Frank H.Moser and Arthur L.Thomas、Phthalocyanine Compounds、Reinhold Publishing、New York、1963、69−76頁、ならびにArthur L.Thomas、Phthalocyanine Research and Applications、CRC Press、Boca Raton、1990、253−272頁を参照するとよい。これらの文献に記載されているとおり、ジヒドロゲンフタロシアニン(3)または金属フタロシアニン(4)も好ましくは本発明に記載の検出器に使用することができ、
【化2】
式中、金属フタロシアニン(4)は好ましくはマグネシウム(Mg)、銅(Cu)、ゲルマニウム(Ge)または亜鉛(Zn)から、あるいはAl−Cl、Ga−Cl、In−Cl、TiOCl、VO、TiO、HGa、Si(OH)、Ge(OH)、Sn(OH)またはGa(OH)のうちいずれか1つなど無機化合物中に含まれる金属から選択される金属Mを含み得る。
【0055】
インジゴイド色素については米国特許第4,952,472A号を参照するとよく、同文献では以下の3つの構造(5a、5b、5c)が開示されており、式中、XはO、SまたはSeであってもよい。
【0056】
【化3】
【0057】
本発明では、好適なインジゴイドは化合物4,4’,7,7’−テトラクロロチオインジゴ(6)を含み得、これは例えばK.Fukushima et al.、Crystal Structures and Photocarrier Generation of Thioindigo Derivatives、J.Chem.Phys.B、102、1988、5985−5990頁において開示されている。
【0058】
【化4】
【0059】
ビスアゾ顔料に関して、好適な一例としてクロロジアンブルー(7)が挙げられ、これは以下の構造を含む。
【0060】
【化5】
【0061】
ペリレン誘導体に関して、好ましくはペリレンビスイミド(8a)またはペリレンモノイミド(8b)を有機材料として使用することができ、式中、Rは有機残基、好ましくは分岐または非分岐のアルキル鎖である。
【0062】
【化6】
【0063】
スクアリリウム色素に関して、好適な一例は以下の分子(9)を含み得る。
【0064】
【化7】
【0065】
チアピリリウム色素に関して、好適な一例は以下の構造を有する分子(10)を含み得る。
【0066】
【化8】
【0067】
さらに、米国特許第4,565,761A号では、以下の好適な化合物(11)など、多数のアズレニウム色素を開示している。
【0068】
【化9】
【0069】
ジチオケトピロロピロールに関して、米国特許第4,760,151A号では、以下の好適な化合物(12)など、多数の化合物を開示している。
【0070】
【化10】
【0071】
キナクリドンに関して、米国特許第4,760,004A号では、以下の好適な化合物(13)を含め、様々なチオキナクリドンおよびイソチオキナクリドンを開示している。
【0072】
【化11】
【0073】
前述のとおり、ジブロモアンタントロン(14)などさらなる有機材料も、本発明に記載の検出器に使用する上で十分な特性を示し得る。
【0074】
【化12】
【0075】
さらに、例えば米国特許第3,112,197A号または欧州特許第0,112,169A2号またはこれらの文献に記載の個々の参考文献においてさらに指定されているものなど、少なくとも1種の光伝導体および少なくとも1種の増感剤を含む混合物も、本発明に記載の検出器での使用に適切となり得る。
【0076】
好ましくは、電子ドナー材料および電子アクセプタ材料は、材料を混合物の形で含む層内に含まれ得る。一般的な用法として、「混合物」という用語は複数の個別の化合物の配合に関し、個別の化合物は混合物内で各々の化学的同一性を維持する。特に好適な一実施形態において、混合物は電子ドナー材料および電子アクセプタ材料を1:100から100:1、より好ましくは1:10から10:1、特に1:2から2:1、例えば1:1の比率で含み得る。ただし、個々の化合物の他の比率も、特に関係する個々の化合物の種類および数に応じて該当し得る。好ましくは、混合物の形で含まれる電子ドナー材料および電子アクセプタ材料は、電子ドナー材料が支配的に、好ましくは完全に存在し得るドナー領域の相互浸透性ネットワークと、電子アクセプタ材料が支配的に、好ましくは完全に存在し得るアクセプタ領域の相互浸透性ネットワークとを構成し得、ドナー領域とアクセプタ領域との間に界面区域が存在し得、伝導性経路がパーコレーション経路の形で、相当する領域を個々の電極へ接続し得る。
【0077】
さらに好適な一実施形態において、電子ドナー材料はドナーポリマー、特に有機ドナーポリマーを含み得る一方、電子アクセプタ材料は、好ましくはフラーレンベースの電子アクセプタ材料、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、ペリレン誘導体、およびアクセプタポリマーから成る群から選択されるアクセプタ小分子を含み得る。このように、電子ドナー材料はドナーポリマーを含み得る一方、電子アクセプタ材料はアクセプタポリマーを含み得る結果、全ポリマー層の基礎を提供する。特定の一実施形態において、コポリマーが同時に、ドナーポリマーのうち1種およびアクセプタポリマーのうち1種から構成され得、これは結果的にコポリマーの成分各々の機能に基づいて「プッシュプルコポリマー」と表わすこともできる。一般的な用法として、「ポリマー」という用語は、通常は「モノマー」または「単量体単位」と表わされる多数の分子の繰り返し単位を一般的に含むマクロ分子組成物を指す。ただし本発明の目的上、合成有機ポリマーが好適となり得る。これに関して、「有機ポリマー」という用語は、一般的に有機化合物として帰属され得る単量体単位の性質を指す。本明細書で使用されるとき、「ドナーポリマー」という用語は、特に電子を電子ドナー材料として提供するよう適応され得るポリマーを指す。同様に、「アクセプタポリマー」という用語は、特に電子を電子アクセプタ材料として受け取るよう適応され得るポリマーを指す。好ましくは、有機電子ドナー材料および有機電子アクセプタ材料を含む層は、100nmから2000nmの厚さを示し得る。
【0078】
このように、少なくとも1種の電子ドナー材料はドナーポリマー、特に有機ドナーポリマーを含み得る。好ましくは、ドナーポリマーは、単一結合と多重結合とを交互に入れ替えることによって、一体的に結合している複数の原子から成る群にわたり、非局在化電子が分配され得る共役系を含み得、共役系は環式、非環式および線形のうち1種または複数であってもよい。このように、有機ドナーポリマーは、好ましくは以下のポリマーのうち1種または複数から選択され得る。
【0079】
−ポリ[3−ヘキシルチオフェン−2,5.ジイル](P3HT)、
−ポリ[3−(4−n−オクチル)−フェニルチオフェン](POPT)、
−ポリ[3−10−n−オクチル−3−フェノチアジン−ビニレンチオフェン−コ−2,5−チオフェン](PTZV−PT)、
−ポリ[4,8−ビス[(2−エチルヘキシル)オキシ]ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル][3−フルオロ−2−[(2−エチルヘキシル)カルボニル]チエノ[3,4−b]チオフェンジイル](PTB7)、
−ポリ[チオフェン−2,5−ジイル−オルト−[5,6−ビス(ドデシルオキシ)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール]−4,7−ジイル](PBT−T1)、
−ポリ[2,6−(4,4−ビス−(2−エチルヘキシル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン)−オルト−4,7(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT)、
−ポリ[5,7−ビス(4−デカニル−2−チエニル)−チエノ(3,4−b)ジアチアゾールチオフェン−2,5](PDDTT)、
−ポリ[N−9’−ヘプタデカニル−2,7−カルバゾール−オルト−5,5−(4’,7’−ジ−2−チエニル−2’,1’,3’−ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT)、または
−ポリ[(4,4’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b;2’,3’−d]シロール)−2,6−ジイル−オルト−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)−4,7−ジイル](PSBTBT)、
−ポリ[3−フェニルヒドラゾンチオフェン](PPHT)、
−ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)、
−ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン−1,2−エテニレン−2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレン−1,2−エテニレン](M3EH−PPV)、
−ポリ[2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MDMO−PPV)、
−ポリ[9,9−ジ−オクチルフルオレン−コ−ビス−N,N−4−ブチルフェニル−ビス−N,N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン](PFB)、
またはこれらの誘導体、修飾体もしくは混合物。
【0080】
ただし、他の種類のドナーポリマーまたはさらなる電子ドナー材料、特に赤外光スペクトル範囲、特に1000nm超の範囲で感受性であるポリマー、好ましくはジケトピロロピロールポリマー、特に欧州特許第2,818,493A1号に記載のポリマー、より好ましくは同文献において「P−1」から「P−10」と表わされているポリマー、国際公開第2014/086722A1号において開示されているベンゾチオフェンポリマー、特にベンゾジチオフェン単位を含むジケトピロロピロールポリマー、米国特許第2015/0132887A1号に記載のジチエベンゾフランポリマー、特にジケトピロロピロール単位を含むジチエノベンゾフランポリマー、米国特許第2015/0111337A1号に記載のフェナントロ[9,10−B]フランポリマー、特にジケトピロロピロール単位を含むフェナントロ[9,10−B]フランポリマー、および米国特許2014/0217329A1号に記載のようなジケトピロロピロールオリゴマーを特に1:10または1:100のオリゴマー対ポリマー比で含むポリマー組成物も適切となり得る。
【0081】
さらに前述のとおり、電子アクセプタ材料は、好ましくはフラーレンベースの電子アクセプタ材料を含み得る。一般的な用法として、「フラーレン」という用語は、バックミンスターフラーレン(C60)および関連する球体フラーレンを含む、純粋な炭素から成るケージ状の分子を指す。原則として、C20からC2000の範囲のフラーレンを使用することができ、C60からC96の範囲、特にC60、C70およびC84が好適である。最も好適なのは、化学的に修飾されたフラーレン、特に
−[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PC60BM)、
−[6,6]−フェニル−C71−酪酸メチルエステル(PC70BM)、
−[6,6]−フェニル−C84−酪酸メチルエステル(PC84BM)、または
−インデン−C60ビス付加体(ICBA),
のほか、C60またはC70の成分を1種または複数含む二量体、特に
−1つの付着オリゴエーテル(OE)鎖(C70−DPM−OE)を含むジフェニルメタノフラーレン(DPM)成分、または
−2つの付着オリゴエーテル(OE)鎖(C70−DPM−OE)を含むジフェニルメタノフラーレン(DPM)成分、
またはこれらの誘導体、修飾体もしくは混合物
のうち1種または複数である。ただし、TCNQまたはペリレン誘導体も適切となり得る。
【0082】
代替的または付加的に、電子アクセプタ材料は、好ましくはアクセプタポリマーを含み得る。一般的に、シアネート化ポリ(フェニレンビニレン)、ベンゾチアジアゾール、ペリレンまたはナフタレンジイミドに基づく共役ポリマーが、この目的に対し好適である。特に、アクセプタポリマーは、好ましくは以下のポリマーのうち1種または複数から選択され得る。
【0083】
−シアノ−ポリ[フェニレンビニレン](CN−PPV)(C6−CN−PPVまたはC8−CN−PPVなど)、
−ポリ[5−(2−(エチルヘキシルオキシ)−2−メトキシシアノテレフタルイリデン](MEH−CN−PPV)、
−ポリ[オキサ−1,4−フェニレン−1,2−(1−シアノ)−エチレン−2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレン−1,2−(2−シアノ)−エチレン−1,4−フェニレン](CN−エーテル−PPV)、
−ポリ[1,4−ジオクチルオキシ−p−2,5−ジシアノフェニレンビニレン](DOCN−PPV)、
−ポリ[9,9’−ジオクチルフルオレン−コ−ベンゾチアジアゾール](PF8BT)、
またはこれらの誘導体、修飾体もしくは混合物。ただし、他の種類のアクセプタポリマーも適切となり得る。
【0084】
ドナーポリマーまたは電子アクセプタ材料として使用され得る前述の化合物について詳しくは、L.Biana、E.Zhua、J.Tanga、W.Tanga、and F.Zhang、Progress in Polymer Science 37、2012、1292−1331頁、A.Facchetti、Materials Today、第16巻、第4号、2013、123−132頁、およびS.Guenes and N.S.Sariciftci、Inorganica Chimica Acta 361、2008、581−588頁、ならびにこれらの文献に記載の個々の参考文献によるレビュー記事を参照するとよい。さらなる化合物はF.A.Sperlichの論文、Electron Paramagnetic Resonance Spectroscopy of Conjugated Polymers and Fullerenes for Organic Photovoltaics、Julius−Maximilians−Universitaet Wuerzburg、2013および同文献にて引用の参考文献に記載されている。
【0085】
複数の有機材料から成る層を使用すると、多数の優位性、特に既知の無機材料に対する優位性が見られる。有機材料の層は、好ましくは既知の高スループット法、特に蒸着法、好ましくはコーティング法、より好ましくはスピンコーティング法、スロットコーティング法、またはブレードコーティング法により、または代替的に蒸発によって生産することができる。この形で得られる有機材料の透明性、半透明性または透光性はこのように、この種の材料の層を各々が含む複数の縦方向センサのスタックの提供を可能にする。
【0086】
本明細書で使用されるとき、評価装置という用語は一般的に、情報項目、すなわち物体の位置に関する情報のうち少なくとも1つの項目を生成するよう設計された任意の装置を指す。一例として、評価装置は、1個または複数の特定用途向け集積回路(ASIC)など1個または複数の集積回路、および/またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/またはデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、および/または1個または複数のコンピュータ、好ましくは1個または複数のマイクロコンピュータおよび/もしくはマイクロコントローラなど1個または複数のデータ処理装置である、またはこれらを含んでもよい。付加的な構成要素は、例えばセンサ信号を受信および/または前処理するための、1個または複数のADコンバータおよび/または1個または複数のフィルタなど、1個または複数の前処理装置および/またはデータ取得装置で構成され得る。本明細書で使用されるとき、センサ信号は一般的に、縦方向センサ信号および該当する場合は横方向センサ信号の1つを指す。さらに、評価装置は、1個または数個のデータ記憶装置を含み得る。さらに、上記にて概説のとおり、評価装置は、1つまたは複数の無線インターフェースおよび/または1つまたは複数の有線インターフェースなど、1つまたは複数のインターフェースを含み得る。
【0087】
少なくとも1個の評価装置は、少なくとも1つのコンピュータプログラム、例えば情報項目を生成する工程を実行または補助する少なくとも1つのコンピュータプログラムを実行するように適合され得る。一例として、センサ信号を入力変数として使用することによって物体の位置への所定の変換を実行し得る、1つまたは複数のアルゴリズムが実装され得る。
【0088】
評価装置は、少なくとも1個の横方向センサ信号を評価することによって情報のうち少なくとも1つの項目を生成し、また少なくとも1個のセンサ信号を評価することによって物体の色に関する情報の項目を生成するように設計された少なくとも1個のデータ処理装置、特に電子データ処理装置を特に含み得る。したがって、評価装置は、センサ信号を入力変数として使用し、かつこれらの入力変数を処理することによって、物体の横方向の位置および縦方向の位置に関する情報項目を生成するように設計される。処理は並行して、または続発的に、さらには複合的な形で実行され得る。評価装置は、例えば少なくとも1つの保存された関係および/または既知の関係を計算および/または使用して、これらの情報項目を生成するための任意のプロセスを使用し得る。センサ信号に加え、1つまたは複数のさらなるパラメータおよび/または情報項目が、前記の関係、例えば変調周波数に関する情報のうち少なくとも1つの項目に影響し得る。この関係は、経験的に、解析的にまたは準経験的に判定され得る、また判定可能であり得る。特に好ましくは、この関係は、少なくとも1つの較正曲線、複数の較正曲線からなる少なくとも1つの組、少なくとも1つの関数または上述の可能性の組合せを含む。1つまたは複数の較正曲線は、例えば一連の値およびそれらに関連する関数値の形、例えばデータ保存装置および/またはテーブルに保存され得る。ただし、代替的にまたは付加的に、少なくとも1つの較正曲線を、例えばパラメータ化された形で、および/または、関数式の形で保存することもできる。センサ信号を情報項目へと処理する場合について、別々の関係が使用され得る。あるいは、センサ信号処理について少なくとも1つの複合的な関係も使用され得る。様々な可能性が考えられ、これらを組み合わせることもできる。
【0089】
一例として、評価装置は、情報項目を判定するためのプログラミングに関して設計され得る。評価装置は、特に少なくとも1個のコンピュータ、例えば少なくとも1個のマイクロコンピュータを含み得る。さらに、評価装置は1個または複数の揮発性または不揮発性のデータメモリをも含み得る。データ処理装置、特に少なくとも1個のコンピュータの代わりにまたはこれに加えて、評価装置は、情報項目、例えば電子テーブル、特に少なくとも1つのルックアップテーブルおよび/または少なくとも1つの特定目的集積回路(ASIC)を判定するように設計された1個または複数のさらなる電子構成要素を有し得る。
【0090】
検出器は、前述のとおり、少なくとも1個の評価装置を有する。特に、少なくとも1個の評価装置は、検出器を完全にまたは部分的に制御または駆動するようにも設計され得、例えば評価装置は、検出器の少なくとも1個の照明源を制御するよう、および/または検出器の少なくとも1個の変調装置を制御するよう設計される。評価装置は、特に、複数のセンサ信号など、1つまたは複数のセンサ信号、例えば連続的な複数のセンサ信号が異なる照明変調周波数において取得される、少なくとも1つの測定周期を実行するよう設計され得る。
【0091】
評価装置は、上述のとおり、少なくとも1つのセンサ信号の評価によって物体の位置に関する情報のうち少なくとも1つの項目を生成するように設計される。前記物体の位置は静的であってもよく、または物体の少なくとも1つの運動、例えば検出器またはその一部と物体またはその一部との間での相対運動を含んでさえもよい。この場合、相対位置は一般的に、少なくとも1つの線形運動および/または少なくとも1つの回転運動を含み得る。運動情報項目は、例えば、異なる時点で取得される情報のうち複数の項目の比較によっても得られ、したがって、例えば位置情報のうち少なくとも1つの項目はまた、速度情報のうち少なくとも1つの項目および/または加速度情報のうち少なくとも1つの項目、例えば物体またはその一部と検出器またはその一部との間における少なくとも1つの相対速度に関する情報の少なくとも1つの項目を含み得る。特に、位置情報のうち少なくとも1つの項目は、一般的に、物体またはその一部と検出器またはその一部との間の距離、特に光路長に関する情報項目;物体またはその一部と任意の転送装置またはその一部との間の距離または光学的距離に関する情報項目;物体またはその一部の検出器またはその一部との相対的な位置に関する情報項目;物体および/またはその一部の検出器またはその一部との相対的な配向に関する情報項目;物体またはその一部と検出器またはその一部との間の相対運動に関する情報項目;物体またはその一部の2次元または3次元空間構成、特に物体の幾何学に関する情報項目、これらの中から選択され得る。したがって、一般的に、位置情報のうち少なくとも1つの項目は、例えば、物体または少なくともその一部の少なくとも1つの位置に関する情報項目;物体またはその一部の少なくとも1つの配向に関する情報、物体またはその一部の幾何学または形態に関する情報項目;物体またはその一部の速度に関する情報項目;物体またはその一部の加速度に関する情報項目;検出器の可視範囲内における物体またはその一部の存在または不存在に関する情報項目、これらから成る群から選択され得る。
【0092】
位置情報のうち少なくとも1つの項目は、例えば少なくとも1つの座標系、例えば検出器またはその一部が存在する座標系において指定され得る。代替的にまたは付加的に、位置情報は単純に、例えば検出器またはその一部と物体またはその一部との間の距離のみを含むものであってもよい。上述の可能性の組合せも考えられる。
【0093】
本発明の特定の一実施形態において、検出器は2個以上の個別の縦方向光学センサを含み得、各縦方向光学センサを少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するよう適応させることができる。一例として、縦方向光学センサのセンサ領域またはセンサ表面の向きを平行にすることができ、その場合、10°以下、好ましくは5°以下など、角度のわずかな許容差が許容可能となり得る。本発明では、好ましくは検出器の光軸に沿ったスタックの形で配列され得る、検出器の縦方向光学センサのすべてが、好ましくは透明であってもよい。このように、光ビームは第1の透明な縦方向光学センサを通過した後、他の縦方向光学センサに、好ましくは順次、衝突し得る。このように、物体からの光ビームは順次、光学検出器内に存在するすべての縦方向光学センサに到達し得る。本発明では、異なる縦方向光学センサが、入射光ビームと同じかまたは異なるスペクトル感度を示し得る。
【0094】
好ましくは、本発明に記載の検出器は、国際公開第2014/097181A1号において開示されているような縦方向光学センサから成るスタックを、特に1個または複数の横方向光学センサと組み合わされる形で含み得る。一例として、1個または複数の横方向光学センサは、物体に面する複数の縦方向光学センサから成るスタックの1つの側に配置され得る。代替的にまたは付加的に、1個または複数の横方向光学センサは、物体から見て外方を向いている複数の縦方向光学センサから成るスタックの1つの側に配置され得る。同じく付加的にまたは代替的に、1個または複数の横方向光学センサは、スタックの縦方向光学センサの中間に配置され得る。ただし、横方向光学センサを含まず、単一の縦方向光学センサのみ含み得る実施形態もやはり可能であり、例えば物体の深度のみ判定すればよい場合などが挙げられる。
【0095】
本明細書で使用されるとき、「横方向光学センサ」という用語は一般的に、物体から検出器へと移動する少なくとも1本の光ビームの横方向位置を判定するように適合される装置を指す。位置という用語については、上記の定義を参照するとよい。したがって、好ましくは、横方向位置は検出器の光軸に対して垂直な少なくとも1つの次元における少なくとも1つの座標であるか、または係る座標を含み得る。一例として、横方向位置は、光軸に対して垂直な平面内、例えば横方向光学センサの感光性センサ表面上に光ビームによって生成される光点の位置であってもよい。一例として、平面内の位置はデカルト座標および/または極座標において示され得る。他の実施形態も実現可能である。横方向光学センサの潜在的実施形態については、国際公開第2014/097181A1号または2016年1月28日に出願されたPCT特許出願第PCT/EP2016/051817号を参照するとよい。ただし、他の実施形態も実現可能であり、以下にてさらに詳しく概説される。
【0096】
横方向光学センサは、少なくとも1つの横方向センサ信号を提供し得る。本発明では、横方向センサ信号は一般的に、横方向位置の指標となる任意の信号であってもよい。一例として、横方向センサ信号はデジタル信号および/またはアナログ信号であるか、またはこれを含み得る。一例として、横方向センサ信号は電圧信号および/または電流信号であるか、またはこれを含み得る。付加的にまたは代替的に、横方向センサ信号はデジタルデータであるか、またはこれを含み得る。横方向センサ信号は単一の信号値および/または一連の信号値を含み得る。横方向センサ信号はさらに、複数の個別の信号を組み合わせることにより、例えば複数の信号の平均化および/または複数の信号の商の形成によって導き出され得る任意の信号を含んでもよい。
【0097】
国際公開第2014/097181A1号に記載の開示と似た第1の実施形態において、横方向光学センサは、少なくとも1個の第1電極、少なくとも1個の第2電極および少なくとも1個の光起電材料を有する光検出器であってもよく、光起電材料は第1電極と第2電極との間に埋め込まれ得る。このように、横方向光学センサは、1個または複数の有機光検出器など1個または複数の光検出器、最も好ましくは1個または複数の色素増感有機太陽電池(DSC、色素太陽電池ともいう)、例えば1個または複数の固体色素増感有機太陽電池(sDSC)であるか、またはこれらを1個または複数含み得る。このように、検出器は少なくとも1個の横方向光学センサの役割を果たす1個または複数のDSC(1個または複数のsDSCなど)および少なくとも1個の縦方向光学センサの役割を果たす1個または複数のDSC(1個または複数のsDSCなど)を含み得る。
【0098】
さらなる一実施形態において、横方向光学センサは、光伝導性材料層、好ましくは2016年1月28日に出願されたPCT特許出願第PCT/EP2016/051817号において開示されているような光伝導性材料のうち1種など、無機光伝導性材料を含み得る。本発明では、光伝導性材料層は、均質な結晶相、ポリ結晶相、微細結晶相、ナノ結晶相および/または非晶質相から選択される組成物を含み得る。好ましくは、光伝導性材料層を、透明な伝導性酸化物から成る、好ましくはインジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープスズ酸化物(FTO)、または酸化マグネシウム(MgO)を含む2つの層の間に埋め込むことができ、2つの層のうち1つを金属ナノワイヤー、特に銀ナノワイヤーに置き換えることができる。ただし、他の材料も、特に所望の透明スペクトル範囲に応じて実現可能となり得る。
【0099】
さらに、少なくとも2個の電極が、横方向センサ信号の記録用として存在し得る。好適な一実施形態において、少なくとも2個の電極を実際には少なくとも2個の物理的電極の形で配列することができ、この場合、各物理的電極は導電性材料、好ましくは金属製導電性材料、より好ましくは金属製高導電性材料、例えば銅、銀、金、合金またはこれらの種類の材料を含む組成物、またはグラフェンを含み得る。本発明では、少なくとも2個の物理的電極を各々、好ましくは個々の電極と光学センサ内の隣接する層との間での直接の電気的接触が達成され得る形で、特に縦方向センサ信号を、例えば光学センサと評価装置との間の輸送経路における付加的抵抗に起因する損失が可能な限り少ない状態で取得することを目的に、配列することができる。
【0100】
好ましくは、横方向光学センサの電極のうち少なくとも1個は複数の部分電極を有する分割電極であってもよく、横方向光学センサはセンサエリアを有し得、少なくとも1つの横方向センサ信号はセンサエリア内での入射光ビームのx位置および/またはy位置を示し得る。センサエリアは、物体に面する光検出器の表面であってもよい。センサエリアは、好ましくは光軸に対して垂直に配向され得る。したがって、横方向光学センサ信号は、横方向光学センサのセンサエリアの平面内で光ビームによって生成される光点の位置を示し得る。一般的に、本明細書で使用されるとき、「部分電極」という用語は、少なくとも1個の電流および/または電圧信号を測定するように適合された、好ましくは他の部分電極から独立した状態の、複数の電極のうち1個の電極を指す。したがって、複数の部分電極が提供される場合、それぞれの電極は複数の電位および/または電流および/または電圧を複数の部分電極を介して提供するように適合され、これらは独立的に測定および/または使用され得る。
【0101】
横方向光学センサはさらに、部分電極を通る電流に従って横方向センサ信号を生成するように適合され得る。したがって、2個の横軸方向部分電極を通る複数の電流の比率が形成される結果、x座標を生成することができ、および/または縦軸方向部分電極を通る複数の電流の比率が形成される結果、y座標を生成することができる。検出器、好ましくは横方向光学センサおよび/または評価装置は、物体の横方向位置に関する情報を、部分電極を通る複数の電流の少なくとも1つの比率から導き出すように適合され得る。部分電極を通る複数の電流の比較によって位置座標を生成する他の方法も実現可能である。
【0102】
部分電極は一般的に、センサエリア内での光ビームの位置判定を目的に、様々な形で定義され得る。したがって、横軸座標またはx座標を判定するために複数の横軸方向部分電極を提供してもよく、また縦軸座標またはy座標を判定するために複数の部分電極を提供してもよい。したがって、部分電極をセンサエリアの周縁部に提供してもよく、この場合、センサエリアの内部空間は自由な状態を維持し、またこの空間を1種または複数種の付加的電極材料で被覆してもよい。以下にてさらに詳しく概説されるとおり、付加的電極材料は好ましくは透明、半透明または透光性の光学特性を示し得る、例えば透明な金属および/または透明な導電性酸化物、および/または最も好ましくは透明な導電性ポリマーであってもよい。
【0103】
電極のうち1個が3個以上の部分電極を有する分割電極である場合に横方向光学センサを使用することにより、部分電極を通る電流は、センサエリア内での光ビームの位置に依存し得る。これは一般的に、部分電極に衝突する光に起因する電荷の生成位置からの途中でオーム損失または抵抗損失が発生し得るという事実が背景となり得る。したがって、部分電極に加え、分割電極は部分電極に接続された1個または複数の付加的電極材料を含んでもよく、1個または複数の付加的電極材料は電気抵抗をもたらす。したがって、電荷生成位置から1個または複数の付加的電極材料を経て部分電極に至る途中でのオーム損失を背景に、部分電極を通る電流は電荷発生位置に依存し、したがってセンサエリア内での光ビームの位置に依存する。センサエリア内での光ビームの位置の判定に関するこの原理について詳しくは、下記の好適な実施形態および/または国際公開第2014/097181A1号および同文献に記載の個々の参考文献において開示されている物理的原理および装置オプションを参照するとよい。
【0104】
相応に、横方向光学センサはセンサエリアを含み得、センサエリアは好ましくは物体から検出器へと移動する光ビームに対して透明であってもよい。したがって、横方向光学センサは、1つまたは複数の横方向、例えばx方向および/またはy方向における、光ビームの横方向位置を判定するよう適応され得る。この目的に対し、少なくとも1個の横方向光学センサはさらに、少なくとも1つの横方向光学センサ信号を生成するよう適応され得る。このように、縦方向光学センサの横方向センサ信号を評価することによって、物体の横方向位置に関する情報を少なくとも1項目生成するよう、評価装置を設計することができる。
【0105】
本発明のさらなる実施形態は、物体から検出器へと伝播する光ビームの性質を指す。本明細書で使用されるとき、光という用語は一般的に、可視スペクトル範囲、紫外スペクトル範囲および赤外スペクトル範囲のうちの1つまたは複数のスペクトル範囲の電磁放射を指す。その中で、部分的にISO−21348規格に従って、可視スペクトル範囲という用語は一般的に380nmから760nmのスペクトル範囲を指す。赤外(IR)スペクトル範囲という用語は一般的に760nm〜1000μmの範囲の電磁放射を指し、760nm〜1.4μmの範囲は通常、近赤外(NIR)スペクトル範囲として表わされ、1.4μm〜3μmの範囲は短波長赤外(SWIR)スペクトル範囲として表わされ、3μm〜8μmの範囲は中波長赤外(MWIR)スペクトル範囲として表わされ、8μm〜15μmの範囲は長波長赤外(LWIR)スペクトル範囲として表わされ、15μm〜1000μmの範囲は遠赤外(FIR)スペクトル範囲として表わされる。紫外スペクトル範囲という用語は一般的に1nm〜380nmの範囲、好ましくは100nm〜380nmの範囲の電磁放射を指す。好ましくは、本発明の範囲内で使用される光は可視光、すなわち可視スペクトル範囲内の光である。
【0106】
「光ビーム」という用語は一般的に、特定の方向に放射された一定量の光を指す。したがって、光ビームは、光ビームの伝播方向に対して垂直な方向に所定の拡がりを有する光線の束であってもよい。好ましくは、光ビームは1つまたは複数のガウスビームパラメータ、例えばビームウエスト、レイリー長またはその他、空間内でのビーム直径および/またはビーム伝播の発達の特徴付けに適する任意のビームパラメータまたは複数のビームパラメータの組合せによって特徴付けられ得る、1本または複数のガウス光ビームであるか、またはこれを含み得る。
【0107】
光ビームは物体自体によって発せられ得る、すなわち物体から生じ得る。付加的にまたは代替的に、光ビームの別の発生源も実現可能である。したがって、以下にてさらに詳しく概説されるとおり、物体を照らす1個または複数の照明源は、1本または複数の一次光線またはビームなど、例えば所定の特徴を有する1本または複数の一次光線またはビームの使用によって提供され得る。後者の場合、物体から検出器へと伝播する光ビームは、物体および/または物体に接続された反射装置によって反射される光ビームであってもよい。
【0108】
上記にて概説のとおり、少なくとも1個の縦方向センサ信号は、光ビームによる照明の総出力が同じである場合、FiP効果により、少なくとも1個の縦方向光学センサのセンサ領域内の光ビームのビーム断面積に依存する。本明細書で使用されるとき、ビーム断面積という用語は一般的に、特定の位置での光ビームまたは光ビームによって生じる光点の横方向の拡がりを指す。円形の光点が生成される場合、半径、直径、またはガウスビームウエスト、あるいはガウスビームウエストの2倍が、ビーム断面積の尺度として機能し得る。非円形の光スポットが生成される場合、実現可能な他の方式により、例えば非円形光点と同じ面積を有する円の断面積の判定により、断面積を判定することができ、これは等価ビーム断面積とも呼ばれる。これに関して、極限値、すなわち縦方向センサ信号の最大値または最小値、特に大域的極限値の観測を、光起電材料など相応の材料に衝突する光ビームの断面積が最小限となり得る条件、例えば光学レンズによる影響に応じて材料が焦点または焦点付近に位置し得るという条件下で採用することが可能となり得る。極限値が最大値である場合、この観測を正のFiP効果と表わすことができる一方、極限値が最小値である場合はこの観測を負のFiP効果と表わすことができる。
【0109】
このように、センサ領域に実際に含まれる材料と無関係に、ただし光ビームによるセンサ領域の照明の総出力が同じである場合、第1のビーム直径またはビーム断面積を有する光ビームは第1の縦方向センサ信号を生成し得る一方、第1のビーム直径またはビーム断面積とは異なる第2のビーム直径またはビーム断面積を有する光ビームは、第1の縦方向センサ信号とは異なる第2の縦方向センサ信号を生成する。したがって、これらの縦方向センサ信号を比較することにより、ビーム断面積、具体的にはビーム直径に関する少なくとも1つの情報項目が生成され得る。この効果について詳しくは、国際公開第2012/110924A1号を参照するとよい。したがって、光ビームの総出力および/または強度に関する情報を得るため、および/または縦方向センサ信号および/または光ビームの総出力および/または総強度についての物体の縦方向位置に関する情報のうち少なくとも1つの項目を正規化するために、縦方向光学センサによって生成される複数の縦方向センサ信号を比較することができる。したがって、一例として、縦方向光学センサ信号の最大値が検出され得、またすべての縦方向センサ信号が最大値によって分割され得ることにより、正規化された縦方向光学センサ信号が生成され、その後、この信号が、上述の既知の関係を使用することにより、物体の縦方向情報のうち少なくとも1つの項目へと変換され得る。他の正規化方法も実現可能であり、例えば縦方向センサ信号の平均値を使用して正規化し、平均値ですべての縦方向センサ信号を割ってもよい。他の選択肢も可能である。これらの選択肢はそれぞれ、光ビームの総出力および/または強度から独立した変換を行う場合に適し得る。加えて、光ビームの総出力および/または強度に関する情報が、こうして、生成され得る。
【0110】
したがって、具体的に、物体から検出器へと伝播する光ビームの1つまたは複数の特性が既知である場合、物体の縦方向位置に関する情報のうち少なくとも1つの項目を、少なくとも1個の縦方向光学センサ信号と物体の縦方向位置との間における既知の関係から導き出すことができる。既知の関係を、1つのアルゴリズムおよび/または1つもしくは複数の較正曲線として、評価装置に保存することができる。一例として、具体的に特にガウスビームに関して、ビーム直径またはビームウエストと物体の位置との間の関係を、ビームウエストと縦方向座標との間のガウス関係を使用することにより、容易に導き出すことができる。
【0111】
光ビームのビーム断面積と物体の縦方向位置との間の既知の関係における曖昧さを解消するため、この実施形態が、特に評価装置によって使用され得る。したがって、たとえ物体から検出器へと伝播する光ビームのビーム特性が十分にまたは部分的に既知である場合でも、多くのビームにおいて、ビーム断面は焦点に達する前に狭まり、その後は再び拡がる。したがって、光ビームが最も狭いビーム断面積を有する焦点の前後において、光ビームの伝播の軸に沿って、光ビームが同じ断面を有する複数の位置が生じ得る。したがって、一例として、焦点の前後の距離z0において、光ビームの断面積は同一である。このように、特異的なスペクトル感度を有する縦方向光センサを1個だけ使用する場合、光ビームの総体的な出力または強度が既知であれば、光ビームの比断面積を判定することができる。この情報を使用することにより、焦点からの各縦方向光センサの距離z0が判定され得る。ただし、各縦方向光学センサが焦点の前または後のいずれに位置するかを判定するには、付加的な情報、例えば物体および/または検出器の動きの履歴および/または検出器が焦点の前または後のいずれにあるかに関する情報が必要となる。典型的な状況では、この付加的情報が提供されない場合がある。したがって、付加的情報を取得して上述の曖昧さを解消することができる。したがって、評価装置が、複数の縦方向光学センサ信号を評価することにより、第1の縦方向光学センサ上の光ビームのビーム断面積が第2の縦方向光学センサ上の光ビームのビーム断面積よりも大きいと認識し、第2の縦方向光学センサが第1の縦方向光学センサの後に位置する場合、評価装置は、光ビームが依然として狭まる途中であり、第1の縦方向光学センサの位置は光ビームの焦点より前に位置すると判定し得る。反対に、第1の縦方向光学センサ上の光ビームのビーム断面積が第2の縦方向光学センサ上の光ビームのビーム断面積より小さい場合、評価装置は、光ビームが拡大中であり、第2の縦方向光学センサの位置が焦点より後方にあると判定し得る。したがって、一般的に、評価装置は、異なる縦方向光学センサの縦方向センサ信号を比較することにより、光ビームが拡がるか狭まるかを認識するように適合され得る。
【0112】
本発明に記載の評価装置の採用による、物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報の判定に関するさらなる詳細については、国際公開第2014/097181A1号の記載内容を参照するとよい。このように、一般的に、評価装置を、好ましくは光ビームの伝播方向における少なくとも1つの伝播座標上の光ビームのビーム直径の既知の依存性から、および/または光ビームの既知のガウスプロファイルから、物体の縦方向位置に関する情報のうち少なくとも1つの項目を判定するために、光ビームのビーム断面積および/または直径を光ビームの既知のビーム特性と比較するよう適応させることができる。
【0113】
物体の少なくとも1つの縦方向座標に加え、物体の少なくとも1つの横方向座標も判定され得る。したがって、一般的に、評価装置はさらに、物体の少なくとも1つの横方向座標を、少なくとも1個の横方向光学センサ上での光ビームの位置の判定によって判定するように適合させることができ、少なくとも1個の横方向光学センサはピクセル化された、セグメント化された、または大面積の横方向光学センサであってもよく、これについては国際公開第2014/097181A1号においてもさらに概説される。
【0114】
加えて、検出器は少なくとも1個の転送装置、例えば光学レンズ、特に1個または複数の屈折レンズ、特に薄い凸レンズまたは両凸レンズなど薄い収束性屈折レンズ、および/または1個または複数の凸型ミラーを含み得、これらをさらに、共通の光軸に沿って配列することができる。最も好ましくは、物体から発生する光ビームはこの場合、まず少なくとも1個の転送装置を通り、次いで単一の透明な縦方向光センサまたは複数の透明な縦方向光学センサから成るスタックを通って移動し、最終的に撮像装置に衝突し得る。本明細書で使用されるとき、「転送装置」という用語は、物体から発生した少なくとも1本の光ビームを検出器内の光学センサ、すなわち少なくとも2個の縦方向光学センサおよび少なくとも1個の横方向光学センサへと転送するよう構成設定され得る光学素子を指す。このように、物体から検出器へと伝播する光を光学センサへ供給するよう、転送装置を設計することができ、この供給を任意選択的に、転送装置の撮像手段により、そうでなければ非撮像手段の特性によって有効化することができる。特に、転送装置は、電磁放射が横方向光学センサおよび/または縦方向光学センサに供給される前に、電磁放射を収集するよう設計されてもよい。
【0115】
加えて、少なくとも1個の転送装置は撮像特性を有し得る。結果的に、転送装置は少なくとも1個の撮像要素、例えば少なくとも1個のレンズおよび/または少なくとも1個の曲面鏡を有するが、何故ならそのような撮像要素の場合、例えばセンサ領域上での照明の幾何学は相対的配置、例えば転送装置と物体との間の距離に依存し得るからである。本明細書で使用されるとき、転送装置は、物体から発生する電磁放射が完全にセンサ領域へ転送されるような形で、例えば、特に物体が検出器の可視範囲内に配列される場合に電磁放射がセンサエリア上で完全に集束するような形で設計され得る。
【0116】
一般的に、検出器はさらに、少なくとも1個の撮像装置、すなわち少なくとも1個の画像を取得可能な装置をも含み得る。撮像装置は様々な形で具現化され得る。したがって、撮像装置は例えば検出器ハウジング内の検出器の一部であってもよい。ただし、代替的にまたは付加的に、撮像装置は検出器ハウジング外に、例えば別個の撮像装置として配置され得る。代替的にまたは付加的に、撮像装置を検出器へ、さらには検出器の一部へ接続してもよい。好適な一実施形態において、透明な縦方向光学センサのスタックおよび撮像装置は、光ビームが移動する共通の光軸に沿って配置される。したがって、光ビームの光路において、光ビームが透明な縦方向光センサのスタックを通り、撮像装置に衝突するまで移動する形で、撮像装置を配置することができる。ただし、他の配置も可能である。
【0117】
本明細書で使用されるとき、「撮像装置」は一般的に、1次元、2次元または3次元の、物体または物体の一部の画像を生成可能な装置として理解される。特に、検出器は、少なくとも1個の任意の撮像装置を使用して、または使用せずに、カメラ、例えばIRカメラまたはRGBカメラ、すなわち3つの別々の接続において赤色、緑色および青色として設計された3原色を送達するように設計されたカメラとして、完全にまたは部分的に使用され得る。したがって、一例として、少なくとも1個の撮像装置は、ピクセル化有機カメラ要素、好ましくはピクセル化有機カメラチップ;ピクセル化無機カメラ要素、好ましくはピクセル化無機カメラチップ、より好ましくはCCDチップまたはCMOSチップ;モノクロムカメラ要素、好ましくはモノクロムカメラチップ;多色カメラ要素、好ましくは多色カメラチップ;フルカラーカメラ要素、好ましくはフルカラーカメラチップから成る群から選択される少なくとも1個の撮像装置であるか、またはこれを含み得る。撮像装置は、モノクロム撮像装置、マルチクロム撮像装置および少なくとも1個のフルカラー撮像装置から成る群から選択される少なくとも1個の装置であるか、またはこれを含み得る。マルチクロム撮像装置および/またはフルカラー撮像装置は、当業者であれば認識することになるとおり、フィルタ技術の使用により、および/または固有の色感度技法あるいは他の技法の使用により生成され得る。撮像装置の他の実施形態も可能である。
【0118】
撮像装置は、物体の複数の部分領域を連続的におよび/または同時に撮像するように設計され得る。一例として、物体の部分領域は、例えば撮像装置の解像限界によって定められ、電磁放射が発せられる物体の1次元、2次元または3次元領域であってもよい。この文脈において、撮像とは、物体の各部分領域から発生する電磁放射が、例えば検出器の少なくとも1個の任意の伝送装置によって、撮像装置に供給されることを意味すると理解されるべきである。電磁線は、物体自体によって、例えば発光放射の形で生成され得る。代替的にまたは付加的に、少なくとも1個の検出器は、物体を照らす少なくとも1個の照明源を含み得る。
【0119】
特に、撮像装置は、例えば、特に少なくとも1つの列走査および/または線走査を使用する走査法により、複数の部分領域を連続的に撮像するように設計され得る。ただし、他の実施形態も可能であり、例えば複数の部分領域が同時に撮像される実施形態も可能である。撮像装置は、物体の部分領域の撮像中、部分領域に関連付けられた信号、好ましくは電子信号を生成するように設計される。信号はアナログ信号および/またはデジタル信号であってもよい。一例として、電子信号は各部分領域と関連付けられ得る。したがって、電子信号は同時に生成されるか、または時間的にずれる形で生成され得る。一例として、列走査中または線走査中、例えばある線内で結び付けられた、物体の部分領域に対応する電子信号のシーケンスが生成され得る。さらに、撮像装置は、少なくとも1個の信号処理装置、例えば少なくとも1個のフィルタ、および/または電子信号を処理および/または前処理するアナログデジタルコンバータを含み得る。
【0120】
物体から出る光は、物体自体から生じてよいが、任意に、異なる起点を有していてもよく、この起点から物体へと伝播し、その後、光学センサへと伝播してもよい。後者の場合、例えば使用されている少なくとも1個の照明源に影響され得る。照明源は様々な形で具現化され得る。したがって、照明源は例えば検出器ハウジング内の検出器の一部であってもよい。ただし、代替的にまたは付加的に、少なくとも1個の照明源は検出器ハウジング外に、例えば別個の照明源としても配置され得る。照明源は物体から離れて配置され、ある距離から物体を照らし得る。代替的にまたは付加的に、照明源は物体に接続されるか、さらには物体の一部とされてもよく、したがって、一例として、物体から発生する電磁放射は照明源によって直接生成され得る。一例として、少なくとも1個の照明源は物体の表面および/または内部に配置され得、センサ領域を照らす手段となる電磁放射を直接生成し得る。この照射源は、例えば環境光源であるかこれを含み得る、および/または人工照明源であるかまたはこれを含み得る。一例として、少なくとも1個の赤外線放出装置および/または少なくとも1個の可視光放出装置および/または少なくとも1個の紫外光放出装置を、物体の表面に配置することができる。一例として、少なくとも1個の発光ダイオードおよび/または少なくとも1個のレーザダイオードを、物体の表面および/または内部に配置することができる。照明源は特に、以下に挙げる照明源のうち1つまたは複数を含み得る:レーザ、特にレーザダイオード(ただし原則として、代替的にまたは付加的に、他の種類のレーザも使用され得る);発光ダイオード;白熱電球;ネオンライト;炎源;熱源;有機光源、特に有機発光ダイオード;構造化された光源。代替的にまたは付加的に、他の照明源も使用され得る。特に好適なのは、例えば多数のレーザの場合に少なくともおおよそ当てはまるとおり、ガウスビームプロファイルを有する1本または複数の光ビームを生成するように照明源が設計される場合である。任意の照明源のさらなる潜在的実施形態については、国際公開第2012/110924A1号および国際公開第2014/097181A1号の1つを参照するとよい。ただし、他の実施形態も実現可能である。
【0121】
少なくとも1個の任意の照明源は、一般的に、紫外スペクトル範囲、好ましくは200nm〜380nmの範囲;可視スペクトル範囲(380nm〜780nm);赤外スペクトル範囲、好ましくは780nm〜3.0μmの範囲のうち少なくとも1つに該当する光を放出し得る。最も好ましくは、少なくとも1個の照明源は、可視スペクトル範囲、好ましくは500nm〜780nm、最も好ましくは650nm〜750nmまたは690nm〜700nmの範囲の光を放出するように適合される。本発明において特に好適なのは、縦方向センサのスペクトル感度に関連付けられ得るスペクトル範囲を照明源が示し得る場合、特に、個々の照明源によって照らされ得る縦方向センサが高い強度のセンサ信号を提供し得ることを確保する結果、十分な信号対ノイズ比での光分解能評価が可能となり得る場合である。
【0122】
好ましくは、少なくとも1個の縦方向光学センサに使用される材料は絶縁性基板、好ましくはセラミック基板上に個々の材料を蒸着させることにより、特に材料の層に機械的安定性を持たせることを目的に製作され得る。このように、選択された層を適切な基板に蒸着させ、少なくとも2個の電極を導電性接点として提供することにより、本発明に記載の縦方向光学センサを取得することができる。本発明では、センサ領域内の材料が入射光ビームによって照らされる結果、センサ領域内の材料の被照明層における電気的に検出可能な特性の変動は、照明の総出力が同じである場合、センサ領域内での光ビームのビーム断面積に依存する。結果的に、センサ領域に光ビームが衝突すると、少なくとも2個の電極が、センサ領域内の材料の電気的に検出可能な特性に応じて縦方向センサ信号を提供し得る結果、別途記載のとおり、センサ領域内の光ビームのビーム断面積の判定が可能となる。この好適な実施形態において、入射光ビームはセンサ領域に直接衝突し得る、または最初に基板に衝突した後、センサ領域に到達し得、この場合、ガラス基板、石英基板など透明な基板または少なくとも透光性の基板、あるいは透明な有機ポリマーを含む基板を採用すると有利となり得る。
【0123】
さらに、検出器は照明の変調、特に周期的変調のための少なくとも1個の変調装置、特に周期的ビーム遮断装置をも有し得る。照明の変調は、照明の総出力を、好ましくは周期的に、特に1つまたは複数の変調周波数で変化させるプロセスを意味すると理解されるべきである。特に、周期的変調は、照明の総出力の最大値と最小値との間で有効化され得る。最小値は0であってもよいが、例えば完全な変調を有効化する必要がないよう、最小値は0より大きい値であってもよい。変調は、例えば物体と光学センサとの間のビーム経路において、例えば前記ビーム経路内に配置されている少なくとも1個の変調装置によって有効化され得る。ただし、代替的にまたは付加的に、以下にてさらに詳しく記載されるとおり、物体を照らすための任意の照明源と物体との間のビーム経路において、前記ビーム経路内に配置されている少なくとも1個の変調装置によって変調を有効化することもできる。これらの可能性の組合せも考えられる。少なくとも1個の変調装置は、例えば、好ましくは一定速度で回転し、したがって照明を周期的に遮断することができる、少なくとも1個の遮断ブレードまたは遮断ホイールを含むビームチョッパまたは他の種類の周期的ビーム遮断装置を含み得る。ただし代替的にまたは付加的に、1個または複数の異なる種類の変調装置、例えば電気光学効果および/または音響光学効果に基づく変調装置の使用も可能である。同じく代替的にまたは付加的に、少なくとも1個の任意の照明源自体を、例えば前記照明源自体が変調強度および/または総出力、例えば周期的変調総出力を有することによって、および/または前記照明源がパルス照明源、例えばパルスレーザとして具現化されることによって、変調照明を生成するように設計することもできる。したがって、一例として、少なくとも1個の変調装置を照明源に完全にまたは部分的に組み込んでもよい。様々な可能性が考えられる。
【0124】
相応に、検出器を、特に異なる変調の場合に複数の縦方向センサ信号を検出するよう、特に複数の縦方向センサ信号をそれぞれ異なる変調周波数にて検出するよう設計することができる。評価装置は、複数の縦方向センサ信号から幾何学情報を生成するよう設計することができる。国際公開第2012/110924A1号および国際公開第2014/097181A1号のとおり、曖昧さを解消することができ、および/または例えば照明の総出力は一般的に未知であるという事実を考慮に入れることができる。一例として、検出器は、少なくとも1個の縦方向光学センサの少なくとも1つのセンサ領域など、物体および/または検出器の少なくとも1つのセンサ領域における、0.05Hz〜1MHz、例えば0.1Hz〜10kHzの周波数での照明の変調をもたらすように設計され得る。上記にて概説のとおり、この目的に対し、検出器は少なくとも1個の変調装置を含み得、変調装置は少なくとも1個の任意の照明源に組み込まれてもよく、および/または照明源から独立した状態であってもよい。したがって、少なくとも1個の照明源は、それ自体、上述の照明の変調を生成するように適合され得、および/または少なくとも1個の独立した変調装置、例えば少なくとも1個のチョッパおよび/または変調された伝送性を有する少なくとも1個の装置、例えば少なくとも1個の電気光学装置および/または少なくとも1個の音響光学装置が存在し得る。
【0125】
本発明によれば、前述のとおり、少なくとも1つの変調周波数を光学検出器に適用することが有利となり得る。ただし、変調周波数を光学検出器に適用せずに縦方向センサ信号を直接判定することもやはり可能となり得る。以下にて詳しく実証するとおり、変調周波数の適用は、物体に関する所望の縦方向情報の取得を目的に、関連のある多数の状況下において必ずしも必要とは限らない。結果として、光学検出器は、空間検出器の単純かつ費用効果的な設定へさらに貢献し得る変調装置を含む必要はない。さらなる結果として、空間光変調装置を、周波数多重化モードではなく時間多重化モードで、あるいはこれらを組み合わせる形で使用することができる。
【0126】
本発明のさらなる一態様において、上記の実施形態のいずれかに記載の少なくとも2個の個別の検出器、好ましくは2個または3個の個別の光学センサを、少なくとも2つの全く異なる位置に配置され得る形で含む配列が提案される。本発明では、少なくとも2個の検出器は好ましくは光学特性が同一であるが、互いに異なるものであってもよい。加えて、配列はさらに少なくとも1個の照明源を含み得る。本明細書において、少なくとも1個の物体は一次光を生成する少なくとも1個の照明源を使用して照らされ得、少なくとも1個の物体が弾性的にまたは非弾性的に一次光を反射することにより、複数の検出器のうちの1個へと伝播する複数の光ビームが生成される。少なくとも1個の照明源は、複数の検出器それぞれの構成要素を形成し得るか、または形成しなくてもよい。一例として、少なくとも1個の照明源自体が環境光源であるかまたはこれを含み得、および/または人工照明源であるかまたはこれを含み得る。この実施形態は、好ましくは、複数の検出器、好ましくは2個の同一の検出器が深度情報取得のために、特に、単一の検出器の固有測定容積を範囲とする測定容積を提供する目的に採用される。
【0127】
これに関して、個別の光学センサを、好ましくは検出器に含まれる他の個別の光学センサから離れて配置することにより、他の個別の光学センサによって取得される画像と異なり得る個別の画像の取得が可能となる。特に、個別の光学センサを平行配列の別々のビーム経路内に配列することにより、単一の円形3次元画像を生成することができる。このように、個別の光学センサを、光軸と平行に位置する形で整列することができ、これらは加えて、検出器の光軸に対して直角の配向の個別の変位を示し得る。本発明では、個別の光学センサおよび/または相当する転送要素の位置と配向の調整など、適切な措置によって整列が達成され得る。このように、2個の個別の光学センサを、好ましくは、深度情報の認知を生成または増加させることが可能となるよう、特に両眼視によって得られる視覚情報など、重なり合う視野を有する2個の個別の光学センサから引き出される視覚情報の統合によって深度情報を得られる形で、間隔を空けて配置することができる。この目的に対し、個別の光学センサを、好ましくは、光軸に対して直角の方向で判定されるとおり、互いに1cmから100cm、好ましくは10cmから25cmの間隔を空けて配置することができる。本明細書で使用されるとき、この実施形態において提供される検出器は特に、詳しく後述する「立体視装置」の一部であってもよい。立体視を可能にすることに加え、主として複数の光学センサの使用に基づく立体視装置のさらなる特定の優位性の例として特に、総強度の増加および/または検出閾値の引き下げが挙げられる。
【0128】
本発明のさらなる一態様において、使用者とマシンとの間で情報のうち少なくとも1つの項目を交換するためのヒューマンマシンインターフェースが提案される。提案されるヒューマンマシンインターフェースは、上述のまたは以下にてさらに詳しく記載される1つまたは複数の実施形態において、上述の検出器が1人または複数の使用者によって、マシンに情報および/または命令を提供するために使用され得るという事実を利用し得る。したがって、好ましくは、ヒューマンマシンインターフェースは制御命令の入力に使用され得る。
【0129】
ヒューマンマシンインターフェースは、本発明に記載の、例えば上記にて開示されている1つまたは複数の実施形態および/または以下にてさらに詳しく開示される1つまたは複数の実施形態に記載の少なくとも1個の検出器を含み、ヒューマンマシンインターフェースは使用者の幾何学的情報のうち少なくとも1つの項目を検出器によって生成するように設計され、ヒューマンマシンインターフェースは幾何学的情報に対し、情報のうち少なくとも1つの項目、特に少なくとも1つの制御命令を割り当てるように設計される。
【0130】
本発明のさらなる一態様において、少なくとも1つの娯楽機能を実行する娯楽装置が開示される。本明細書で使用されるとき、娯楽装置は、1人または複数の使用者(以下では1人または複数のプレーヤともいう)のレジャーおよび/または娯楽の目的に役立ち得る装置である。一例として、娯楽装置はゲーム、好ましくはコンピュータゲームの目的に役立ち得る付加的にまたは代替的に、娯楽装置は他の目的、例えばエクササイズ、スポーツ、理学療法または運動追跡全般などの目的にも使用され得る。したがって、娯楽装置は、コンピュータ、コンピュータネットワークまたはコンピュータシステムに実装され得るか、あるいは1つまたは複数のゲーム用ソフトウェアプログラムを実行するコンピュータ、コンピュータネットワークまたはコンピュータシステムを含み得る。
【0131】
娯楽装置は、本発明に記載の、例えば上記にて開示されている1つまたは複数の実施形態および/または以下にて開示される1つまたは複数の実施形態に記載の少なくとも1個のヒューマンマシンインターフェースを含む。娯楽装置は、ヒューマンマシンインターフェースを手段として情報のうち少なくとも1つの項目をプレーヤが入力可能となるように設計される。情報のうち少なくとも1つの項目は、娯楽装置の制御装置および/またはコンピュータへと伝送され得るか、および/またはそれらによって使用され得る。
【0132】
本発明のさらなる一態様において、少なくとも1個の可動物体の位置を追跡する追跡装置が提供される。本明細書で使用されるとき、追跡システムは、少なくとも1個の物体または物体の少なくとも一部における、一連の過去の位置に関する情報を収集するように適合される装置である。付加的に、追跡システムは、少なくとも1個の物体または物体の少なくとも一部について予測される少なくとも1つの将来の位置に関する情報を提供するように適合され得る。追跡システムは少なくとも1個の進路制御装置を有し得、進路制御装置は完全にまたは部分的に電子装置として、好ましくは少なくとも1個のデータ処理装置、より好ましくは少なくとも1個のコンピュータまたはマイクロコントローラとして具現化され得る。同じく、少なくとも1個の進路制御装置は少なくとも1個の評価装置を含み得、および/または少なくとも1個の評価装置の一部であってもよく、および/または完全にまたは部分的に少なくとも1個の評価装置と同一であってもよい。
【0133】
追跡システムは、本発明に記載の少なくとも1個の検出器、例えば上記に挙げた1つまたは複数の実施形態において開示されているような、および/または下記の1つまたは複数の実施形態において開示されているような、少なくとも1個の検出器を含む。追跡システムはさらに、少なくとも1個の進路制御装置をも含む。追跡システムは、複数の検出器間において重複する容積内での少なくとも1個の物体に関する深度情報の信頼性のある取得を可能にする複数の検出器、特に複数の同一の検出器を含み得る。進路制御装置は物体の一連の位置を追跡するように適合され、各位置は特定の時点における物体の位置に関する情報のうち少なくとも1つの項目を含む。
【0134】
追跡システムはさらに、物体に接続可能な少なくとも1個のビーコン装置をも含み得る。ビーコン装置の潜在的定義については国際公開第2014/097181A1号の開示を参照するとよい。追跡システムは、好ましくは、検出器が少なくとも1個のビーコン装置の物体の位置に関する情報を生成し得るよう、特に特異的なスペクトル感度を示す特定のビーコン装置を含む物体の位置に関する情報を生成するよう、適応される。このように、異なるスペクトル感度を示す複数のビーコンを、本発明の検出器により、好ましくは同時に追跡することができる。本明細書において、ビーコン装置は、完全にまたは部分的に能動型ビーコン装置および/または受動型ビーコン装置として具現化され得る。一例として、ビーコン装置は、検出器へと伝送されることになる少なくとも1本の光ビームを生成するように適合された少なくとも1個の照明源を含み得る。付加的にまたは代替的に、ビーコン装置は、照明源により生成される光を反射するように適合された少なくとも1個の反射体を含むことにより、検出器へと伝送されることになる反射された光ビームを生成し得る。
【0135】
本発明のさらなる一態様において、少なくとも1個の物体の少なくとも1つの位置を判定する走査システムが提供される。本明細書で使用されるとき、走査システムは、少なくとも1個の物体の少なくとも1つの表面に位置する少なくとも1個の点の照明を目的に、また少なくとも1個の点と走査システムとの間の距離に関する情報のうち少なくとも1つの項目を生成することを目的に構成される、少なくとも1本の光ビームを放出するように適合される装置である。少なくとも1個の点と走査システムとの間の距離に関する情報のうち少なくとも1つの項目を生成する目的に対し、走査システムは発明に記載の検出器のうち少なくとも1個、例えば上記に挙げた1つまたは複数の実施形態において開示されているような、および/または下記の1つまたは複数の実施形態において開示されているような、少なくとも1個の検出器を含む。
【0136】
したがって、走査システムは、少なくとも1個の物体の少なくとも1つの表面に位置する少なくとも1個の点の照明を目的に構成される少なくとも1本の光ビームを放出するように適合される、少なくとも1個の照明源を含む。本明細書で使用されるとき、「点」という用語は、例えば走査システムの使用者によって、照明源によって照らされるよう選択され得る、物体の表面の一部に存在する小さい区域を指す。好ましくは、点は、走査システムに含まれる照明源と、物体の表面上で点が位置し得る部分との間の距離の値を、走査システムが可能な限り正確に判定できるよう、可能な限り小さいサイズを示すものであってもよい一方、他方では走査システムの使用者または走査システム自体が、特に自動手順により、物体の表面上の関連部分における点の存在を検出できる程度に大きいサイズであってもよい。
【0137】
この目的に対し、照明源は人工照明源、特に少なくとも1個のレーザ光源および/または少なくとも1個の白熱電球および/または少なくとも1個の半導体光源、例えば少なくとも1個の発光ダイオード、特に有機および/または無機の発光ダイオードを含み得る。一般的に定義されるビームプロファイルおよび他の操作特性の関係上、少なくとも1個のレーザ光源の使用が特に好適である。この場合、単一のレーザ光源の使用が好適となり得るが、特に、使用者にとって保管しやすく運びやすいと考えられる、小型操作システムを提供することが重要となり得る場合がそうである。したがって、照明源は、好ましくは検出の構成要素であってもよく、したがって特に、検出器のハウジングへの一体化など、検出器に組み込まれ得る。好適な一実施形態において、特に走査システムのハウジングは、距離関連情報を使用者へ、例えば判読しやすい形で提供するよう構成された、少なくとも1個の表示装置を含み得る。さらなる好適な一実施形態において、特に走査システムのハウジングは付加的に、例えば1つまたは複数の操作モードなど、走査システムに関連する少なくとも1つの機能の操作向けに構成され得る少なくとも1個のボタンを含み得る。さらなる好適な一実施形態において、特に走査システムのハウジングは付加的に、走査システムを別の表面、例えばゴム製脚、ベースプレートまたは壁ホルダなどへ固定するために、磁性材料などを含む形で、特に測距の正確性および/または使用者による走査システムの操作性の向上を目的に構成され得る、少なくとも1個の固定ユニットを含み得る。
【0138】
したがって、特に好適な一実施形態において、走査システムの照明源は、物体の表面に位置する単一の点を照らすよう構成され得る単一のレーザビームを放出し得る。したがって、本発明に記載の少なくとも1個の検出器の使用により、少なくとも1個の点と走査システムとの間の距離に関する情報のうち少なくとも1つの項目が生成され得る。この場合、好ましくは、走査システムに含まれる照明システムと、照明源によって生成される単一の点との間の距離は、少なくとも1個の検出器に含まれる評価装置の採用などによって判定され得る。ただし、走査システムはさらに、特にこれを目的に適合され得る付加的な評価システムをも含み得る。代替的にまたは付加的に、走査システムのサイズ、特に走査システムのハウジングのサイズを考慮に入れることができ、したがって走査システムのハウジング上の特定の点、例えばハウジングの前端または後端と、単一の点との間の距離を、選択的に判定することができる。
【0139】
あるいは、走査システムの照明源は、ビームの放出方向間に直角など個別の角度を提供することにより、同じ物体の表面または2個の別々の物体における2つの異なる表面に位置する2個の個別の点を照らすことができるよう構成され得る、2本の個別のレーザビームを放出し得る。ただし、2本の個別のレーザビーム間における個別の角度について、他の値も実現可能である。この特徴は特に、例えば走査システムと点との間における1個または複数の障害物の存在などが原因で直接アクセスできない可能性のある、あるいは別段に到達困難となり得る間接距離の導出などを目的とする間接測定機能向けに採用され得る。したがって、一例として、物体の高さの値を、2つの個別の距離を測定し、そしてピタゴラスの定理の使用により高さを導き出すことによって判定することが実現可能となり得る。特に、物体を基準に既定の水平を維持することを可能にするため、走査システムはさらに、使用者が既定の水平を維持するために使用し得る、少なくとも1個の水平調整ユニット、特に一体型気泡バイアルをも含み得る。
【0140】
さらなる一選択肢として、走査システムの照明源は、個別のピッチ、特に規則的なピッチを、互いを基準に示し得る、また少なくとも1個の物体の少なくとも1つの表面上に位置する複数の点からなる配置を生成する形で配置され得る、複数のレーザビームからなる配置など、複数の個別のレーザビームを放出し得る。この目的に対し、特別に適合された光学要素、例えばビーム分割装置および鏡などが提供され得、これにより上述の複数のレーザビームからなる配置の生成が可能となり得る。
【0141】
したがって、走査システムは、1個または複数の物体の1つまたは複数の表面上に配置された1個または複数の点の静的配置を提供し得る。あるいは、走査システムの照明源、特に上述の複数のレーザビームからなる配置など、1本または複数のレーザビームは、時間の経過につれ変化する強度を示し得る、および/または時間が経過する中で放出方向が交互に変化し得る、1本または複数の光ビームを提供するよう構成され得る。したがって、照明源は、少なくとも1個の物体の少なくとも1つの表面の一部を1個の画像として、走査装置の少なくとも1個の照明源によって生成される交互に変化する特徴と併せて1本または複数の光ビームを使用することによって走査するよう構成され得る。したがって、特に、走査システムは少なくとも1回の列走査および/または線走査、例えば1個または複数の物体の1つまたは複数の表面の連続的走査または同時走査を使用し得る。
【0142】
本発明のさらなる一態様において、少なくとも1個の物体の少なくとも1つの単一の円形3次元画像を生成する立体視装置が提供される。本明細書で使用されるとき、上記および/または下記にて開示される立体視装置は少なくとも2個のFiPセンサを光学センサとして含み得、第1のFiPセンサは追跡システム、特に本発明に記載の追跡システムに含まれ得る一方、第2のFiPセンサは走査システム、特に本発明に記載の走査システムに含まれ得る。本発明では、FiPセンサを、好ましくは、FiPセンサを立体装置の光軸に対して平行に整列し、個別に光軸に対して直角に変位させることなどにより、平行配列の別々のビーム経路内に配列することができる。このように、FiPセンサは、特に、重なり合う視野を有し、好ましくは個別の変調周波数に対して感受性である、個別のFiPセンサから引き出される視覚情報の統合によって深度情報を得ることにより、深度情報の認知を生成または増加させることが可能であり得る。この目的に対し、個別のFiPセンサを、好ましくは、光軸に対して直角の方向で判定されるとおり、互いに1cmから100cm、好ましくは10cmから25cmの間隔を空けて配置することができる。この好適な実施形態において、追跡システムをこのように、変調アクティブ標的の位置を判定するために採用することができる、1個または複数の物体の1つまたは複数の表面に1個または複数の点を投影するよう適応された走査システムを、少なくとも1個の点と走査システムとの間の距離に関する少なくとも1項目の情報を生成するために使用することができる。加えて、立体視装置はさらに、本出願において別途記載の画像内の少なくとも1個の物体の横方向位置に関する情報項目を生成するよう適応された、別個の位置敏感型装置を含み得る。
【0143】
立体視を可能にすることに加え、主として複数の光学センサの使用に基づく立体視装置のさらなる特定の優位性の例として特に、総強度の増加および/または検出閾値の引き下げが挙げられる。さらに、少なくとも2個の従来型の位置敏感型装置を含む従来型の立体視装置では、個々の画像において相当するピクセルを、多大なコンピュータ処理労力の適用によって判定せざるを得ない一方、少なくとも2個のFiPセンサを含む本発明に記載の立体視装置では、個々の画像内の相当するピクセルをFiPセンサの使用によって記録し、各FiPセンサを異なる周波数変調で操作し、見掛け上は交互に割り当てることができる。このように、本発明に記載の立体視装置は、物体の縦方向位置に関する情報のほか、物体の横方向位置に関する情報も少なくとも1項目、労力を低減する形で生成することを可能にし得るという点を、強調することができる。
【0144】
立体視装置について詳しくは、追跡システムおよび操作システムそれぞれの説明を参照するとよい。
【0145】
本発明のさらなる一態様において、少なくとも1個の物体の撮像用カメラが開示される。カメラは、本発明に記載の、例えば上記または下記にてさらに詳しく記載される1つまたは複数の実施形態において開示されるような、少なくとも1個の検出器を含む。このように、検出器は写真装置、具体的にはデジタルカメラの一部であってもよい。具体的に、検出器は3D写真撮影、具体的にはデジタル3D写真撮影に使用され得る。このように、検出器はデジタル3Dカメラを形成するか、またはデジタル3Dカメラの一部であってもよい。本明細書で使用されるとき、「写真撮影」という用語は一般的に、少なくとも1個の物体の画像情報を取得する技術を指す。本明細書でさらに使用されるとき、「カメラ」は一般的に、写真撮影の実施向けに適応された装置である。本明細書でさらに使用されるとき、「デジタル写真撮影」という用語は一般的に、照明の強度を示す電気信号、好ましくは、デジタル電気信号を生成するよう適応された複数の感光性要素の使用によって、少なくとも1個の物体の画像情報を取得する技術を指す。本明細書でさらに使用されるとき、「3D写真撮影」という用語は一般的に、3次元空間における少なくとも1個の物体の画像情報を取得する技術を指す。相応に、3Dカメラは3D写真撮影の実施向けに適応された装置である。カメラは一般的に、単一の画像、例えば単一の3D画像を取得するために適応され得るか、または複数の画像、例えば一連の画像を取得するために適応され得る。このように、カメラは、例えばデジタルビデオシーケンスの取得など、ビデオ用途向けに適応されたビデオカメラであってもよい。
【0146】
このように、一般的に、本発明はさらに、少なくとも1個の物体の撮像向けのカメラ、具体的にはデジタルカメラ、より具体的には3Dカメラまたはデジタル3Dカメラを指す。上記にて概説のとおり、撮像という用語は、本明細書で使用されるとき、一般的に、少なくとも1個の物体の画像情報の取得を指す。カメラは本発明に記載の少なくとも1個の検出器を含む。カメラは、上記にて概説のとおり、単一の画像の取得、あるいは画像シーケンスなど複数の画像の取得、好ましくはデジタルビデオシーケンスの取得向けに適応され得る。このように、一例として、カメラはビデオカメラであるか、またはビデオカメラを含み得る。後者の場合、カメラは好ましくは画像シーケンスを保存するためのデータメモリを含む。
【0147】
本発明のさらなる一態様において、少なくとも1個の物体の位置を判定する方法が開示される。該方法は、好ましくは本発明に記載の、例えば上記または下記にてさらに詳しく記載される1つまたは複数の実施形態において開示されるような、少なくとも1個の検出器を使用し得る。このように、該方法の任意の実施形態については、検出器の様々な実施形態の説明を参照するとよい。
【0148】
該方法は、以下に挙げる工程を含み、これらは所定の順序で、または異なる順序で実行され得る。さらに、列記されていない付加的な方法工程も提供され得る。さらに、該方法工程のうち複数、さらにはすべてが、少なくとも部分的に同時に実行され得る。さらに、該方法工程のうち複数、さらにはすべてが、2回、さらには3回以上、反復的に実行され得る。
【0149】
本発明に記載の方法は、
少なくとも1個の縦方向光学センサの使用によって少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成する工程であって、縦方向光学センサは少なくとも2個の電極間に配列される少なくとも2個の個別のpinダイオードを有し、pinダイオードの少なくとも1個は入射光ビーム用のセンサ領域として指定され、センサ領域は光ビームによるセンサ領域の照明に依存する形で少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するよう指定され、縦方向センサ信号は、照明の総出力が同じである場合、センサ領域内の光ビームのビーム断面積に依存する、工程と、
縦方向光学センサの縦方向センサ信号を評価することによって物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成する工程と
を含む。
【0150】
本発明に記載の方法に関するさらなる詳細については、前述および/または後述の、光学検出器に関する説明を参照するとよい。
【0151】
本発明のさらなる一態様において、本発明に記載の検出器の使用が開示される。この態様においては、測距、特に交通技術における測距;位置測定、特に交通技術における位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;ヒューマンマシンインターフェース用途;追跡用途;走査用途;立体視用途;写真撮影用途;撮像用途またはカメラ用途;少なくとも1つの空間のマップ生成用のマッピング用途;車両向けのホーミングビーコンまたは追跡ビーコン検出器;熱シグネチャ(背景と比べ高温か低温か)による物体の距離および/または位置の測定;機械視覚用途;ロボット工学用途から成る群から選択される用途を特に目的とする、物体の位置、特に深度の判定を目的とする検出器の使用が提案される。
【0152】
具体的に、本発明に記載の光学検出器は、特に、該当するセンサ領域向けに選択される材料の種類に応じて、かなり広いスペクトル範囲にわたる電磁波の光学検出器として使用され得る。これに関して、紫外光(UV)、可視光、近赤外光(NIR)、赤外光(IR)、遠赤外光(FIR)のスペクトル範囲が、特に好適となり得る。非限定的一例として、特に以下の材料が選択され得る。
【0153】
−ドープダイヤモンド(C)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)またはシリコンカーバイド(SiC)(UVスペクトル範囲の場合)
−シリコン(Si)、ヒ化ガリウム(GaAs)、硫化カドミウム(CdS)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化銅インジウム(CuInS、CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化銅亜鉛スズ(CZTS)、硫化鉛(PbS)を含む量子ドット、リン化インジウム(InP)、または可視光スペクトル範囲について前述の有機材料
−ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫酸銅インジウム(CuInS、CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化銅亜鉛スズ(CZTS)、または硫化鉛(PbS)を含む量子ドット(NIRスペクトル範囲の場合)(CdTe、CIS、CIGSおよびCZTSは850nm超の波長に特に好適である)
−硫酸鉛(PbS)(SWIRおよびMWIRスペクトル範囲の場合)
−セレン化鉛(PbSe)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe、MCT)、アンチモン化インジウム(InSb)またはヒ化インジウム(InAs)(SWIR、MWIR、LWIRおよびFIRスペクトル範囲の場合)
【0154】
本発明に記載の光学検出器のさらなる用途として、光学検出器が既に応用されている成功例、例えば物体の存在または不存在の判定;光学的用途の拡大(例:カメラ露出制御、自動スライドフォーカス、自動リアビューミラー、電子スケール、自動ゲイン制御(特に変調光源における制御)、自動前照灯調光装置、夜間(街路)照明制御、石油ストーブ自動消火、または煙感知器);またはその他、複写機のトナー密度判定などに使用する密度計;または比色分析測定との組合せが挙げられる。
【0155】
このように、一般的に、検出器など本発明に記載の装置を様々な分野での用途に応用することができる。具体的に、検出器を以下から成る群から選択される用途に応用することができる:交通技術における測距;娯楽用途;セキュリティ用途;ヒューマンマシンインターフェース用途;追跡用途;写真撮影用途;少なくとも1つの空間のマップ生成用のマッピング用途(例:部屋、建物および街路から成る群から選択される少なくとも1つの空間);モバイル用途;ウェブカム;音響装置;ドルビーサラウンド音響システム;コンピュータ周辺機器;ゲーミング用途;カメラまたはビデオ用途;セキュリティ用途;監視用途;自動車用途;輸送用途;医療用途;スポーツ用途;機械視覚用途;車両用途;航空機用途;船舶用途;宇宙船用途;建築用途;工事用途;地図製作用途;製造用途;最新のセンシング技術(飛行時間検出器、レーダ、ライダ、超音波センサまたは干渉分光法など)のうち少なくとも1つとの併用。付加的にまたは代替的に、局所および/または全地球測位システムでの用途、特に乗用車または他の車両(例:鉄道、自動二輪車、自転車、貨物輸送トラック)、ロボットまたは歩行者用の陸標ベースの測位および/または航法での用途も挙げられる。さらに、屋内測位システムも潜在的用途として、例えば家庭用品および/または製造、物流、監視または保守技術で使用されるロボットが挙げられる。
【0156】
このように、第1に、本発明に記載の装置は携帯電話機、タブレットコンピュータ、ラップトップ、スマートパネルまたは他の固定型または移動型または着用型のコンピュータまたは通信アプリケーションにおいて使用され得る。このように、本発明に記載の装置は少なくとも1個の活性光源、例えば可視光範囲または赤外光スペクトル範囲の光を放出する光源と、性能向上を目的に組み合わされ得る。このように、一例として、本発明に記載の装置はカメラおよび/またはセンサとして、例えば環境、物体および生物を走査および/または検出するモバイルソフトウェアと組み合わせて使用され得る。本発明に記載の装置はさらに、撮像効果を高めるために、従来型カメラなど2Dカメラと組み合わせることもできる。本発明に記載の装置はさらに、監視および/または記録目的に、あるいはモバイル機器を制御する入力装置として、特に音声および/またはジェスチャ認識と組み合わせて使用することもできる。このように、具体的に、ヒューマンマシンインターフェースの役割を果たす、入力装置とも呼ばれる本発明に記載の装置は、携帯電話機などモバイル機器を介して他の電子装置または構成要素を制御する目的などモバイル用途において使用され得る。一例として、本発明に記載の少なくとも1個の装置を含むモバイルアプリケーションを、テレビジョン、ゲームコンソール、音楽再生機器または音楽装置または他の娯楽装置の制御用として使用することができる。
【0157】
さらに、本発明に記載の装置はコンピューティング用途向けのウェブカムまたは他の周辺機器においても使用され得る。このように、一例として、本発明に記載の装置は撮像、記録、監視、走査、または運動検出用のソフトウェアと組み合わせて使用され得る。ヒューマンマシンインターフェースおよび/または娯楽装置の文脈で概説されているとおり、本発明に記載の装置は特に、顔面表現および/または身体表現による命令付与に有用である。本発明に記載の装置は、マウス、キーボード、タッチパッド、マイクロフォンなどのような他の入力生成装置と組み合わせることができる。さらに、本発明に記載の装置は例えばウェブカムの使用により、ゲーム用途にも使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は仮想トレーニング用途および/またはビデオ会議においても使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は、仮想現実または拡張現実用途において、特に頭部装着型表示装置を着用する際、使用される手、腕または物体の認識または追跡にも使用され得る。
【0158】
さらに、本発明に記載の装置は、上記にて部分的に説明したとおり、携帯型音響装置、テレビジョン装置およびゲーム装置においても使用され得る。具体的に、本発明に記載の装置は、電子装置、娯楽装置などの制御装置として使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は、2D表示技法および3D表示技法などにおける眼球検出または視線追跡向けに、特に拡張現実用途および/または表示装置に視線が向けられているか否かの認識および/または表示装置に視線が向けられている方向の認識向けの透明表示装置と併せて使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は、仮想現実または拡張現実用途との関連において、特に頭部装着型表示装置を着用する際、部屋、境界または障害物を探索する目的にも使用され得る。
【0159】
さらに、本発明に記載の装置は、例えばDSCカメラなどデジタルカメラ、またはそれに含まれるものとして、および/またはSLRカメラなどレフレックスカメラにおいて、またはそれに含まれるものとして、使用され得る。これらの用途については、上述のような携帯電話機などモバイルアプリケーションにおける本発明に記載の装置の使用を参照するとよい。
【0160】
さらに、本発明に記載の装置はセキュリティ用途または監視用途向けにも使用され得る。このように、一例として、本発明に記載の少なくとも1個の装置を、ある物体が所定の区域内または区域外に存在する場合に信号を発する1個または複数のデジタルおよび/またはアナログの電子機器と組み合わせることができる(例:銀行または博物館での監視用途)。具体的に、本発明に記載の装置は光学的暗号化に使用され得る。本発明に記載の少なくとも1個の装置の使用による検出を、IR、X線、UV−VIS、レーダまたは超音波検出器など、波長を補完する他の検出装置と組み合わせることができる。本発明に記載の装置をさらに、低光量環境での検出を可能にする、活性赤外光源と組み合わせることもできる。本発明に記載の装置は一般的に、能動型検出器システムと比べ有利であるが、何故なら具体的に、本発明に記載の装置は第三者によって検出され得る信号を能動的に送信することを回避するからであり、例えばレーダ用途、超音波用途、LIDARまたは同様の能動型検出装置の場合がそうである。このように、一般的に、本発明に記載の装置は、移動中の物体を、認識されず、かつ気付かれずに追跡するために使用され得る。加えて、本発明に記載の装置は一般的に、従来の装置と比べ、不正操作されにくく、過敏になりにくい。
【0161】
さらに、本発明に記載の装置の使用により3D検出が容易かつ正確になることを踏まえ、本発明に記載の装置は一般的に、顔面、身体および人の認識および識別に使用され得る。その場合、本発明に記載の装置は、識別または個人化を目的とする他の検出手段、例えばパスワード、指紋、虹彩検出、音声認識または他の手段と組み合わされ得る。このように、本発明に記載の装置は一般的に、セキュリティ装置および他の個人化用途において使用され得る。
【0162】
さらに、本発明に記載の装置は生産物識別用3Dバーコードリーダとして使用され得る。
【0163】
前述のセキュリティ用途および監視用途に加え、本発明に記載の装置は一般的に、空間および区域の監視およびモニタリングにも使用され得る。このように、本発明に記載の装置は、空間および区域の測量およびモニタリング向けに、また一例として、禁止区域への侵入が発生した場合の警報の発動または実行に使用され得る。このように、本発明に記載の装置は一般的に、建物監視または博物館において、任意で他の種類のセンサと組み合わせて、例えば運動センサまたは熱センサと組み合わせて、あるいは画像増倍管または画像拡大装置および/または光電子増倍管と組み合わせて、監視目的に使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は公共空間または混雑空間において、潜在的に危険有害な活動、特に犯罪、例えば駐車場での窃盗の実行、または空港における置き去りの手荷物など置き去りの物体の検出にも使用され得る。
【0164】
さらに、本発明に記載の装置は、有利にはビデオおよびカムコーダの用途など、カメラ用途にも適用され得る。このように、本発明に記載の装置は運動捕捉および3D映画撮影に使用され得る。その場合、本発明に記載の装置は一般的に、従来の光学装置と比べ、多数の利点を提供する。このように、本発明に記載の装置は一般的に、光学構成要素に関して要求される複雑性が低く済む。このように、一例として、レンズを1個しか持たない本発明に記載の装置の提供などにより、従来の光学装置と比べ、レンズ数を少なくすることができる。複雑性が低減されることから、超小型装置が、例えばモバイル用途向けに可能である。高品質のレンズを複数有する従来の光学システムは一般的に、概して大型のビーム分割装置が必要となるといった理由により、大型である。さらに、本発明に記載の装置は一般的に、自動焦点カメラなど、合焦/自動合焦装置向けにも使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は光学顕微鏡法、特に共焦点顕微鏡法にも使用され得る。
【0165】
さらに、本発明に記載の装置は一般的に、自動車技術および輸送技術の技術分野においても適用可能である。このように、一例として、本発明に記載の装置は例えば適応型クルーズコントロール、非常用ブレーキアシスト、車線離脱警告、サラウンドビュー、死角検出、交通標識検出、交通標識認識、車線認識、後部横断通行警告、前方走行中の交通または車両の接近に応じて前照灯強度/距離を適応させるための光源認識、適応型前方照明システム、上向き前照灯自動制御、前方照明システムにおける適応型カットオフ照明、グレア防止上向き前方照明システム、前照灯照明による動物、障害物などのマーキング、後部横断通行警告およびその他、高度運転者支援システムなど運転者支援システムまたは他の自動車/交通用途向けに、距離センサおよび監視センサとして使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は、特に衝突回避のために運転者の操作を予測するよう適応され得る、運転者支援システムにも使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は、本発明に記載の検出器の使用によって得られる位置情報の第1および第2の時間導関数の分析などにより、速度および/または加速度の測定にも使用され得る。この特徴は一般的に、自動車技術、輸送技術または全般的交通技術に適用可能である。他の分野の技術への応用も実現可能である。屋内測位システムにおける具体的用途として、輸送における乗客の配置の検出、より具体的にはエアバッグなど安全システムの使用の電子制御が挙げられる。本発明では、エアバッグの使用は特に、エアバッグの使用が乗員の負傷、特に重傷の原因となる危険性が生じる形で乗員が車両内に配置される状況において防ぐことができる。さらに、乗用車、鉄道、航空機などの輸送手段、特に自律型輸送手段において、本発明に記載の装置を、運転者が交通に気を配っているか、あるいはアルコールまたは他の薬物の消費が原因で注意力散漫、眠気または疲労または運転不能の状態であるか否かの判定に使用することができる。
【0166】
これらまたは他の用途において、本発明に記載の装置は一般的に単独の装置として、あるいは他のセンサ装置と組み合わせて、例えばレーダおよび/または超音波装置と組み合わせて使用され得る。具体的に、本発明に記載の装置は自律型運転および安全対策向けに使用され得る。さらに、これらの用途において、本発明に記載の装置は、赤外センサ、音波センサであるレーダセンサ、2次元カメラまたは他の種類のセンサと組み合わせて使用され得る。これらの用途では、本発明に記載の装置の概して受動的な性質が有利である。このように、本発明に記載の装置は一般的に信号放出を必要としないことから、能動型センサ信号が他の信号源と干渉するリスクを回避することができる。本発明に記載の装置は具体的に、標準的な画像認識ソフトウェアなど、認識ソフトウェアと組み合わせて使用され得る。このように、本発明に記載の装置によって提供されるような信号およびデータは一般的に、容易に処理可能であり、したがって一般的に、計算能力に対する要求は、確立された立体視システム、例えばLIDARよりも低い。空間要求が低いことから、カメラなど本発明に記載の装置を車両内の事実上どこでも、例えばフロントガラスの表面または裏面、前方フード、バンパ、ライト、ミラーまたは他の場所に設置することができる。本発明の範囲内で開示される効果に基づく1個または複数の検出器など、本発明に記載の様々な検出器を、例えば車両の自律運転を可能にするために、またはアクティブセーフティの概念の性能を向上させるために組み合わせることができる。このように、本発明に記載の様々な装置を、本発明に記載の他の1個または複数の装置および/または従来型のセンサと、例えばリアウィンドウ、サイドウィンドまたはフロントウィンドウ、バンパまたはライトにおいて、組み合わせることができる。
【0167】
本発明に記載の少なくとも1個の検出器など、本発明に記載の少なくとも1個の装置を、1個または複数の降雨検出センサと組み合わせることも可能である。これは、本発明に記載の装置が一般的に、とりわけ豪雨の間は、レーダなど従来型のセンサ技術よりも有利であるという事実による。本発明に記載の少なくとも1個の装置を、少なくとも1つ従来型のセンシング技術、例えばレーダと組み合わせることにより、気象条件に応じた複数の信号の適正な組合せを選択するソフトウェアを実現することができる。
【0168】
さらに、本発明に記載の装置は一般的に、ブレーキアシストおよび/またはパーキングアシストおよび/または速度測定にも使用され得る。速度測定は車両と一体化され得るか、または車両外において、例えば交通規制時における他の車両の速度測定向けに使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は、駐車場で空き駐車スペースを検出する目的にも使用され得る。
【0169】
さらに、本発明に記載の装置は一般的に視覚、特に暗視能力、霧中視界または煙中視界など、視認が困難な条件下での視覚を目的に使用され得る。この目的を達成するため、光学検出器は、霧中または煙中に存在する粒子など小粒子、あるいは霧または煙霧中に存在する水滴など小さい水滴が入射光を反射しないか、またはごく一部しか反射しないと考えられる波長範囲内で少なくとも感受性となり得る、特異的に選択された光学センサを含み得る。一般的に知られているとおり、入射光ビームの反射は、入射光ビームの波長が粒子または水滴それぞれのサイズを超える場合、小さいかまたはごくわずかとなり得る。さらに、暗視能力は身体や物体から放出される熱放射の検出によって可能となり得る。このように、赤外光(IR)スペクトル範囲、好ましくは近赤外光(NIR)スペクトル範囲内で特に感受性となり得る、センサ領域内の特異的に選択された材料を含む光学検出器は、たとえ夜間、煙中、霧中、または煙霧中であっても良好な視認性を提供し得る。
【0170】
さらに、本発明に記載の装置は、医療システムおよびスポーツの分野でも使用され得る。このように、医療技術分野では、内視鏡などに使われる外科用ロボット工学が挙げられるが、何故なら上記にて概説のとおり、本発明に記載の装置は必要な容積が少なく済み、他の装置に組み込むことができるからである。具体的に、内視鏡など医療用装置において3D情報を捕捉するために使用され得る、本発明に記載の装置は、レンズが1個あればよい。さらに、本発明に記載の装置は、運動の追跡および分析を可能にするために、適切なモニタリングソフトウェアと組み合わされ得る。これにより、内視鏡または外科用メスなど医療用装置の位置を瞬間的に、磁気共鳴映像法、X線撮影または超音波撮影などから取得された医療用撮像結果と重ね合わせることができる。これらの用途は具体的に、例えば脳手術および遠隔診断および遠隔治療など、精密な位置情報が重要となる医療処置において有益である。さらに、本発明による装置は、3Dボディスキャンにも使用され得る。ボディスキャンは医療分野において、歯科手術、形成手術、肥満手術または美容整形手術などに適用され得るか、あるいは筋膜疼痛症候群、癌、身体醜形傷害または他の疾患などの医療診断文脈において適用され得る。ボディスキャンはさらに、スポーツ用具の人間工学的使用な使用または適合を評価する目的で、スポーツ分野でも適用され得る。
【0171】
ボディスキャンはさらに、衣類の分野において、衣類の適切なサイズやフィッティングの判定などにも使用され得る。この技術はテーラーメードの衣類、あるいはインターネットまたはセルフサービスのショッピング装置、例えばマイクロキオスク装置または顧客コンシェルジュ装置などから注文した衣類または履物の文脈で使用され得る。衣類分野におけるボディスキャンは、正装する顧客をスキャンする場合に特に重要である。
【0172】
さらに、本発明による装置は、人数計数システムの文脈において、例えばエレベーター、列車、バス、乗用車、または航空機内の人数の計数、あるいは玄関、扉、通路、小売店舗、スタジアム、娯楽会場、博物館、図書館、公共の場所、映画館、劇場などを通過する人数の計数を目的に使用され得る。さらに、人数計数システムにおける3D機能は、計数される人々に関する詳細情報、例えば身長、体重、年齢、体力などの情報を取得または推定する目的にも使用され得る。この情報は、ビジネスインテリジェンス測定基準向けに、および/または地域社会において人数を数えることによって魅力または安全性を高めるためのさらなる最適化に使用され得る。小売環境において、人数計数の文脈における本発明による装置は、再来店顧客または買物客の往来の認識、買物行動の評価、実際に購入する来訪者の割合の評価、交代勤務の最適化、あるいは商店街における来訪者1人当たり原価のモニタリングなどに使用され得る。さらに、人数計数システムは身体計測調査にも使用され得る。さらに、本発明による装置は公共輸送システムにおいて、輸送距離に応じた自動運賃課金にも使用され得る。さらに、本発明による装置は子どもの遊び場において、特に負傷した子どもまたは危険な活動に関わっている子どもの認識による、遊具との付加的相互交流の実現および/または遊具の安全な使用の確保等にも使用され得る。
【0173】
さらに、本発明に記載の装置は建設用具、例えば物体または壁までの距離を判定する距離計、あるいは表面が平面かどうかを評価する道具、物体を順序通りに整列または配置するための道具、あるいは建設環境などで使用するための検査用カメラにおいて使用され得る。
【0174】
さらに、本発明に記載の装置はトレーニング、遠隔指導または競技目的など、スポーツおよび運動の分野でも適用され得る。具体的に、本発明に記載の装置はダンス、エアロビクス、フットボール、サッカー、バスケットボール、野球、クリケット、ホッケー、陸上競技、水泳、ポロ、ハンドボール、バレーボール、ラグビー、相撲、柔道、フェンシング、ボクシング、ゴルフ、自動車レース、レーザタグ、戦場シミュレーションなどの分野でも適用され得る。本発明に記載の装置はスポーツと試合の両方において、ボール、バットまたは剣の位置および運動などを検出するため、例えば試合を監視するため、審判をサポートするため、またはスポーツにおける特定の状況において判定を行うため、とりわけ自動判定を行うため、例えば、実際に得点またはゴールがあったか否の判定を行うために使用され得る。
【0175】
さらに、本発明に記載の装置は自動車レースまたは自動車運転訓練または自動車安全訓練などの分野において、車両の位置または進路、あるいは従前の進路または理想的な進路からの逸脱などを判定する目的にも使用され得る。
【0176】
本発明による装置はさらに、楽器の練習の補助、特に遠隔レッスン、例えばフィドル、バイオリン、チェロ、ベース、ハープ、ギター、バンジョーまたはウクレレなど弦楽器、ピアノ、オルガン、キーボード、ハープシコード、ハーモニウムまたはアコーディオンなど鍵盤楽器、および/またはドラム、ティンパニ、マリンバ、木琴、ビブラホン、ボンゴ、コンガ、タンバル、ジャンベまたはタブラなど打楽器のレッスンの補助にも使用され得る。
【0177】
本発明による装置はさらに、トレーニングの奨励および/または運動の調査および是正を目的に、リハビリテーションおよび理学療法においても使用され得る。この場合、本発明による装置は遠隔診断にも適用され得る。
【0178】
さらに、本発明による装置はマシンビジョンの分野でも適用され得る。したがって、1個または複数の本発明による装置を、例えば自律運転および/またはロボットの作業に関する受動的制御ユニットとして使用することができる。移動するロボットと組み合わせることにより、本発明による装置は、自律的な移動および/または部品の不具合の自律的な検出を実現することができる。本発明による装置は、例えばロボットと生産部品と生物との間での衝突(に限られない)などの事故を回避するために、製造および安全性の監視にも使用され得る。ロボット工学では、ロボットが人間を認識しないと人間に重傷を負わせてしまうおそれがあることから、人間とロボットとの安全な直接の相互作用が争点となることが多い。本発明に記載の装置は、ロボットが物体や人間の位置をより良好かつ迅速に判断し、安全な相互作用を可能にする上で役立ち得る。本発明に記載の装置の受動的性質を踏まえ、本発明に記載の装置は能動型装置よりも有利と考えられ、および/またはレーダ、超音波、2Dカメラ、IR検出など、既存の解決手段を補う目的に使用され得る。本発明に記載の装置における1つの特別な利点は、信号干渉の可能性が低いことである。したがって、複数のセンサが同じ環境で同時に、信号干渉のリスクを伴うことなく作動し得る。このように、本発明に記載の装置は一般的に、高度に自動化された生産環境、例えば限定するものではないが、自動車産業、鉱業、鉄鋼産業などにおいて有用となり得る。本発明に記載の装置は、例えば2D撮像、レーダ、超音波、IRなど他のセンサと組み合わせて、品質管理または他の目的など、生産における品質管理にも使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は表面品質の評価向けに、例えば製品の表面平坦性または指定された寸法の遵守状況の調査などを目的に、数マイクロメートルから数メートルの範囲に至るまで、使用することができる。他の品質管理用途も実現可能である。製造環境において、本発明に記載の装置は食品または木材など天然生産物の加工に特に有用であり、複雑な3次元構造によって大量の廃棄物の発生を回避する。さらに、本発明に記載の装置は、タンクやサイロなどの充填レベルのモニタリングに使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は複雑な製品の部品検査、特に欠落部品、不完全な部品、緩んでいる部品、または低品質の部品の検査向けに、例えば自動光学検査または印刷回路基板に関連する検査、組立品または部分組立品の検査、工学的構成要素の検証、エンジン部品検査、木材品質検査、ラベル検査、医療用具検査、製品配向検査、包装検査、食品包装検査、あるいは他の種類の部品に関連する検査にも使用され得る。
【0179】
さらに、本発明に記載の装置は車両、列車、航空機、船舶、宇宙船および他の交通用途にも使用され得る。このように、交通用途の文脈においては上述の用途に加え、航空機や車両など向けの受動型追跡システムも挙げられる。本発明に記載の少なくとも1個の検出器など、本発明に記載の少なくとも1個の装置を、移動中の物体の速度および/または方向のモニタリングに使用することが実現可能である。具体的に、陸地、海および空(宇宙空間を含む)における高速移動中の物体の追跡が挙げられる。具体的に、本発明に記載の少なくとも1個の検出器など、本発明に記載の少なくとも1個の装置を、固定型および/または移動型の装置に装着することができる。本発明に記載の少なくとも1個の装置の出力信号を、例えば別の物体の自律移動または誘導移動のための誘導機構と組み合わせることができる。したがって、追跡対象物体と操縦される物体との間での衝突を回避するか、または可能にするための用途が実現可能である。本発明に記載の装置は一般的に有用かつ有利であるが、その背景には要求される計算能力が低く、瞬時に応答することと、検出システムの受動的性質のおかげで一般的に、レーダなど能動型システムと比べ、見つかりにくく、撹乱されにくいという点がある。本発明に記載の装置は、速度制御装置や航空交通制御装置に特に有用であるが、これらに限られるわけではない。さらに、本発明に記載の装置は、有料道路の自動料金徴収システムでも使用され得る。
【0180】
本発明に記載の装置は一般的に、受動的用途に使用され得る。受動的用途の例として港湾または危険区域での船舶の誘導や、航空機の離着陸時の誘導が挙げられる。この場合、精密な誘導のため、固定型の既知の能動的標的が使用され得る。同じものを、鉱山用車両など、危険であるが適切に定められている経路での車両運転に使用することができる。さらに、本発明に記載の装置は、自動車、列車、飛行物体、動物など、急速に接近する物体の検出にも使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は、物体の速度または加速度の検出、あるいは時間に応じた位置、速度および/または加速度のうち1つまたは複数の追跡による物体の動きの予測にも使用され得る。
【0181】
さらに、上記にて概説のとおり、本発明に記載の装置はゲーム分野でも使用され得る。このように、本発明に記載の装置は、サイズ、色、形状などが同一または異なる複数の物体と併用する場合、例えば運動を内容に組み入れるソフトウェアとの組合せによる運動検出の場合、受動的であってもよい。特に、運動をグラフィック出力へと実装する用途が実現可能である。さらに、命令を付与するための本発明に記載の装置の用途が、例えばジェスチャ認識または顔面認識用の、本発明に記載の1個または複数の装置の使用によって実現可能である。本発明に記載の装置は、例えば低光量条件またはその他、周囲条件の増強が必要となる状況下で作動できるよう、能動型システムと組み合わせることができる。付加的にまたは代替的に、本発明に記載の1個または複数の装置と1個または複数のIR光源またはVIS光源との組合せも可能である。本発明による検出器を、例えば特別な色、形状、他の装置に対する相対位置、移動速度、光、装置の光源の変調に使用される周波数、表面特性、使用材料、反射特性、透明度、吸収特性などをシステムとそのソフトウェアによって容易に区別することができる特殊装置と組み合わせることも可能である。装置は、他にも数ある可能性の中で特に、スティック、ラケット、クラブ、銃、ナイフ、ホイール、リング、ステアリングホイール、ボトル、ボール、グラス、花瓶、スプーン、フォーク、キューブ、ダイス、フィギュア、人形、テディ、ビーカ、ペダル、スイッチ、手袋、宝飾品、楽器または楽器を演奏するための補助用具、例えばピック、ドラムスティックなどに類似するものであってもよい。他の選択肢も実現可能である。
【0182】
さらに、本発明に記載の装置は、高温または他の発光プロセスなどが原因でそれ自体が発光する物体の検出および/または追跡にも使用され得る。発光部分は排気流などであってもよい。さらに、本発明に記載の装置は、反射性物体の追跡や、これらの物体の回転または配向の分析にも使用され得る。
【0183】
さらに、本発明に記載の装置は、一般に建築、建設および地図製作の分野でも使用され得る。このように、本発明に記載の1個または複数の装置は一般的に、田園地帯または建物など、環境的区域の測定および/またはモニタリングに使用され得る。その場合、本発明に記載の1個または複数の装置を他の方法および装置と組み合わせるか、あるいはもっぱら建築プロジェクト、変化する物体、住宅などの進捗および正確性のモニタリングを目的に使用することができる。本発明に記載の装置は、部屋、街路、住宅、コミュニティまたは景観(地上または上空からの双方)に関する地図を作成するために、スキャンされた環境の3次元モデルを生成する目的で使用され得る。潜在的な適用分野の例として建設、地図作成、不動産管理、土地測量などが挙げられる。一例として、本発明に記載の装置を、ドローンまたはマルチコプターなど飛行可能な手段に搭載し、畑、生産工場または景観など、建物、煙突、生産現場、農業生産環境のモニタリング、救出活動の支援、危険な環境での作業の支援、屋内または屋外の火災現場での消防隊の支援、人間、動物または移動物体の捜索またはモニタリングのため、あるいはスキーまたはサイクリングなどスポーツを実施中の人々の追従および記録など、ヘルメット、マーク、ビーコン装置などの追従によって実現可能な娯楽目的に使用することができる。本発明に記載の装置を、障害物の認識、既定の経路の追従、端部、パイプ、建物などの追従、あるいは環境の大域的または局所的マップの記録に使用することができる。さらに、本発明に記載の装置を、ドローンの屋内または屋外での所在特定および配置、気圧センサが十分に正確でない屋内でのドローンの高度の安定化、あるいは複数のドローンの動きの調和または空中での再充電または燃料補給など、複数のドローンの相互作用を目的に使用することができる。
【0184】
さらに、本発明による装置は、家屋内での基本的な電化製品関連サービス、例えばエネルギーまたは負荷の管理、遠隔診断、ペット関連電化製品、児童監視、電化製品関連監視、高齢者または病人の補助またはサービス提供、家屋の保安および/または監視、電化製品の操作の遠隔制御、そして自動保守補助の相互接続、自動化および制御のための、CHAIN(欧州家電機器委員会相互運用ネットワーク)など、家庭用電化製品の相互接続ネットワーク内で使用され得る。さらに、本発明による装置は、空調システムなど冷暖房システムにおいて、特定の温度または湿度への調整対象となる部屋の部分を、特に1人または複数の人の位置に応じて判定するために使用され得る。さらに、本発明による装置は、家事に使用され得る奉仕ロボットまたは自律型ロボットなど、家庭用ロボットにおいても使用され得る。本発明による装置は多種多様な目的、例えば衝突回避または環境地図作成に使用され得るだけでなく、使用者の識別、任意の使用者についてのロボットの性能の個人化、セキュリティ目的、あるいはジェスチャ認識または顔面認識にも使用され得る。一例として、本発明による装置は、ロボット掃除機、床洗浄ロボット、乾拭きロボット、衣類のアイロン掛け用ロボット、動物用トイレロボット(猫用トイレロボットなど)、侵入者を発見するセキュリティロボット、芝刈りロボット、自動プール洗浄機、雨樋洗浄ロボット、窓洗浄ロボット、おもちゃのロボット、テレプレゼンスロボット、移動能力が低い人々の友達になるソーシャルロボット、または手話通訳ロボットにおいて使用され得る。高齢者など移動能力が低い人々の文脈において、本発明による装置を有する家庭用ロボットは、物体の拾い上げ、運搬、そして物体や使用者との安全な形での相互交流のために使用され得る。さらに、本発明による装置は、危険物を扱うロボットまたは危険な環境で働くロボットにも使用され得る。非限定的な一例として、本発明に記載の装置は、化学物質または放射性物質など危険物(特に災害発生後)、あるいは地雷、不発弾など他の危険物または潜在的危険物を扱うロボットまたは無人遠隔制御型車両への搭載、あるいは燃えている物体の近くまたは被災地の付近など不安全な環境の調査、あるいは空中、海上、地下などでの有人または無人での救出活動に使用され得る。
【0185】
さらに、本発明による装置は、家庭用機器、モバイル機器または娯楽装置、例えば冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、窓のブラインドまたはシャッター、家庭用警報器、空調機器、暖房機器、テレビジョン、音響装置、スマートウォッチ、携帯電話機、電話機、食器洗浄機、またはストーブなどにおいて、人の存在の検出、装置の内容または機能のモニタリング、あるいは人との相互交流および/または人に関する情報の別の家庭用機器、モバイル機器または娯楽装置との共有にも使用され得る。本発明では、本発明に記載の装置は高齢者、障害者または視覚障害者のための、例えば物体の保持、運搬または拾い上げなど家事または作業の支援の装置、あるいは安全システムにおける、環境中の障害物を伝達するよう適応された光学信号および/または音声信号による支援に使用され得る。
【0186】
本発明による装置はさらに、農業分野において、例えば害虫、雑草および/または菌類や昆虫によって全体または部分的に感染するおそれのある作物植物の感染状況の検出および選別にも使用され得る。さらに、作物収穫の場合、本発明による装置を使用しなければ収穫用機器によって負傷する可能性のあるシカなどの動物の検出に、本発明による装置を使用することもできる。さらに、本発明による装置は、畑または温室での植物の成長を観察するため、特に畑または温室内の任意の領域について、さらには任意の植物について、水または肥料または作物保護製品の量を調整するために使用され得る。さらに、農業用バイオテクノロジー分野において、本発明による装置は植物のサイズおよび形状のモニタリングにも使用され得る。
【0187】
さらに、本発明による装置を、化学物質または汚染物質を検出するセンサ、バクテリアまたはウイルスなどを検出する電子鼻チップ、微生物センサチップ、ガイガーカウンタ、触覚センサ、熱センサなどと組み合わせることもできる。これは例えば危険または困難な作業、例えば感染性の高い患者の治療、きわめて危険な物質の取扱いまたは除去、高度汚染区域(高放射能区域または化学物質漏出)の浄化、あるいは農業での害虫駆除向けに構成されるスマートロボットの製造に使用され得る。
【0188】
本発明に記載の1個または複数の装置はさらに、物体のスキャン向けに、例えばCADまたは同様のソフトウェアと組み合わせて、例えば付加製造および/または3D印刷向けにも使用され得る。その場合、本発明に記載の装置の高い寸法精度を、例えばx方向、y方向またはz方向において、あるいはこれらの方向の任意の組合せで、例えば同時に利用することができる。これに関して、反射光または散乱光を提供し得る表面上の被照明スポットの検出器からの距離の判定を、被照明スポットから光源までの距離とは事実上無関係に実施することができる。本発明におけるこの特性は、三角測量または飛行時間(TOF)方式など既知の方法と正反対で、既知の方法では光源から被照明スポットまでの距離は先験的に既知であるか、または帰納的に計算されることにより、検出器から被照明スポットまでの距離が判定可能でなければならない。これとは対照的に、本発明に記載の検出器の場合、スポットが適度に照らされているだけで十分と考えられる。さらに、本発明に記載の装置は金属表面など反射表面の走査向けに、それらが固体表面を含み得るかまたは液体表面を含み得るかを問わず、使用することができる。さらに、本発明に記載の装置は例えばパイプライン検査ゲージなど、検査および保守の際にも使用され得る。さらに、生産環境において、本発明に記載の装置は、自然に成長する物体など定義困難な形状の物体が相手の作業、例えば野菜または他の自然生産物の形状またはサイズによる選別、あるいは加工ステップに必要な精度よりも低い精度で製造される食肉または物体などの生産物の切断にも使用され得る。
【0189】
さらに、本発明による装置は、車両またはマルチコプターなどを例えば屋内空間または屋外空間経由で自律移動または部分自律移動させることを可能にするための、局所操縦システムにも使用され得る。非限定的な一例として、物体を拾い上げ、それらを様々な位置に配置するために、自動化された貯蔵施設を通って移動する車両が挙げられる。屋内操縦はさらに、商店街、小売店舗、博物館、空港または鉄道駅における可動物品、可動装置、手荷物、顧客または従業員の位置の追跡、あるいは地図上での現在位置など場所特異的情報、または販売された物品に関する情報の使用者への提供などにも使用され得る。
【0190】
さらに、本発明に記載の装置は、自動二輪車の安全運転の確保、例えば速度、傾斜、接近中の障害物、道路の凹凸、またはカーブのモニタリングによる自動二輪車運転支援などにも使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は、列車または路面電車の衝突回避にも使用され得る。
【0191】
さらに、本発明に記載の装置は、携帯型装置において、包装物または小包の、物流プロセス最適化のためのスキャンにも使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は、さらなる携帯型装置、例えば個人用買物装置、RFIDリーダ、病院または保健環境において使用するための医療用携帯型装置、あるいは患者または患者の健康に関連する情報の入手、交換または記録、あるいは小売環境または保健環境向けのスマートバッジなどにも使用され得る。
【0192】
上記にて概説のとおり、本発明に記載の装置はさらに、製造、品質管理または識別の用途、例えば生産物識別またはサイズ識別(最適な場所または包装物の発見、廃棄物低減などの目的)にも使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は物流用途に使用され得る。このように、本発明に記載の装置は、載荷または包装容器または車両の最適化に使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は、製造分野における表面損傷のモニタリングまたは制御、レンタル車両などレンタル物品のモニタリングまたは制御、および/または損害評価など保険用途にも使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は、最適な材料の取扱いなど、材料、物体または道具のサイズの識別向けに、特にロボットと併用する形で使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は、タンクの充填レベル観察など、生産工程管理に使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は、限定されるものではないが、タンク、パイプ、反応装置、道具など生産用資産の保守にも使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は3D品質マークの分析にも使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は、歯の詰め物、歯列矯正具、義歯、衣類などのテーラーメードの物品の製造にも使用され得る。本発明に記載の装置は、1つまたは複数の3Dプリンタとの組合せによる、迅速な試作品製作、3D複製などにも使用され得る。さらに、本発明に記載の装置は、1個または複数の物品の形状検出にも、例えば海賊品や偽造品の摘発のために使用され得る。
【0193】
好ましくは、本発明に記載の光学検出器、方法、ヒューマンマシンインターフェース、娯楽装置、追跡システム、カメラおよび様々な検出器用途のさらなる潜在的詳細について、特に転送装置、縦方向光学センサ、評価装置、および該当する場合は横方向光学センサ、変調装置、照明源および撮像装置に関して、具体的には潜在的材料、設定およびさらなる詳細に関して、国際公開第2012/110924A1号、米国特許第2012/206336A1号、国際公開第2014/097181A1号、および米国特許第2014/291480A1号のうち1つまたは複数を参照するとよい。これらの文献すべての全内容は参照によって本明細書に含まれる。
【0194】
前述の検出器、方法、ヒューマンマシンインターフェースおよび娯楽装置、そして提案される使用も、先行技術に対して大幅な利点を有する。このように、一般的に、簡単でありながらも効率的な、空間内での少なくとも1個の物体の位置を正確に判定する検出器が提供され得る。その中で、一例として、物体または物体の一部の3次元座標を、迅速かつ効率的な形で判定することができる。
【0195】
本技術分野において既知の装置と比べ、提案される検出器は高度な簡素さ、具体的には検出器の光学的設定に関する簡素さを提供する。このように、原則として、センサ領域の材料を、センサ領域内のこの材料に衝突する入射光ビームの断面積の変化と単純に組み合わせ、適切な評価装置と併用するだけで十分に、信頼性のある高精度の位置検出が可能となる。この高度な簡素さは、高精度測定の可能性との組合せにより、具体的には機械制御、例えばヒューマンマシンインターフェースや、より好ましくはゲーム、追跡、走査、および立体視などにおいて適切である。このように、多数のゲーム、娯楽、追跡、走査、および立体視の目的に使用され得る、費用効率的な娯楽装置が提供され得る。
【0196】
要約すると、本発明の文脈においては以下の実施形態が特に好ましいと考えられる。
【0197】
実施形態1:少なくとも1個の物体を光学的に検出する検出器であって、
少なくとも1個の縦方向光学センサであって、少なくとも2個の電極間に配列される少なくとも2個の個別のpinダイオードを有し、pinダイオードの少なくとも1個は入射光ビーム用のセンサ領域として指定され、センサ領域は光ビームによるセンサ領域の照明に依存する形で少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するよう指定され、縦方向センサ信号は、照明の総出力が同じである場合、センサ領域内の光ビームのビーム断面積に依存する、縦方向光学センサと、
少なくとも1個の評価装置であって、縦方向センサ信号を評価することによって、物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成するよう指定される、評価装置と
を含む検出器。
【0198】
実施形態2:少なくとも2個の個別のpinダイオードがスタック状に配列される実施形態1に記載の検出器。
【0199】
実施形態3:複数のpinダイオード各々が、n型半導体層とp型半導体層との間に位置するi型半導体層を含む実施形態1または2に記載の検出器。
【0200】
実施形態4:i型半導体層がn型半導体層とp型半導体層それぞれの厚さを超える、特に少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは少なくとも10倍以上の厚さである実施形態3に記載の検出器。
【0201】
実施形態5:複数のpinダイオードの少なくとも1個から成るi型半導体層がセンサ領域として設計される実施形態4に記載の検出器。
【0202】
実施形態6:少なくとも2個の異なるpinダイオード内のi型半導体層が異なる光学特性を示す実施形態1から5のいずれかに記載の検出器。
【0203】
実施形態7:少なくとも2個の異なるpinダイオード内のi型半導体層が、少なくとも1つの特定の波長において異なる外部量子効率を示す実施形態6に記載の検出器。
【0204】
実施形態8:少なくとも2個の異なるpinダイオード内のi型半導体層が異なる種類のFiP効果を示す実施形態1から7のいずれかに記載の検出器。
【0205】
実施形態9:pinダイオードがそれぞれ、非晶質シリコン(a−Si)、非晶質シリコンを含む合金、微結晶シリコン(μc−Si)、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン化インジウム(InSb)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、ヒ化インジウム(InAs)、窒化ガリウム(GaN)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化アルミニウムガリウム(AlGaP)、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)、硫化銅インジウム(CIS)、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、硫化銅亜鉛スズ(CZTS)、セレン化銅亜鉛スズ(CZTSe)、銅−亜鉛−スズ−硫黄−セレンカルコゲニド(CZTSSe)、有機−無機ハロゲン化物ペロブスカイト、特にメチルアンモニウムヨウ化鉛(CHNHPbI)、ならびにこれらの固溶体および/またはドープ変形から成る群から選択される材料を含む実施形態1から8のいずれかに記載の検出器。
【0206】
実施形態10:材料が水素化材料である実施形態9に記載の検出器。
【0207】
実施形態11:少なくとも2個のpinダイオードの1個が非晶質シリコン(a−Si:H)を含み、少なくとも2個のpinダイオードのもう1個が微結晶シリコン(μc−Si:H)を含む実施形態10に記載の検出器。
【0208】
実施形態12:少なくとも2個の電極の少なくとも1個が光学的に透明な電極である実施形態1から11のいずれか1つに記載の検出器。
【0209】
実施形態13:光学的に透明な電極が1種の透明導電性酸化物(TCO)、特にインジウムドープスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープスズ酸化物(FTO)、アルミニウムドープ亜鉛酸化物(AZO)、またはペロブスカイトTCO、好ましくはSrVOもしくはCaVO、または代替的に金属ナノワイヤー、特に銀または銅のナノワイヤーを含む実施形態12に記載の検出器。
【0210】
実施形態14:複数の電極の少なくとも1個とは別に、少なくとも1個のさらなる電極が光学的に不透明な電極である実施形態12または13に記載の検出器。
【0211】
実施形態15:光学的に不透明な電極が金属電極またはグラフェン電極を含む実施形態14に記載の検出器。
【0212】
実施形態16:金属電極が銀(Ag)電極、白金(Pt)電極、アルミニウム(Al)電極、または金(Au)電極の1種または複数である実施形態15に記載の検出器。
【0213】
実施形態17:光学的に不透明な電極が均一な金属層を含む、あるいは多数の部分電極として、または金属格子の形で配列される分割電極である実施形態16に記載の検出器。
【0214】
実施形態18:複数のpinダイオードの少なくとも1個が有機材料を含む実施形態17に記載の検出器。
【0215】
実施形態19:有機材料が少なくとも1個の共役芳香族分子、好ましくは高度共役芳香族分子を含む実施形態18に記載の検出器。
【0216】
実施形態20:有機材料が少なくとも1種の色素および/または少なくとも1種の顔料を含む実施形態19に記載の検出器。
【0217】
実施形態21:有機材料が化合物を含み、化合物がフタロシアニン、ナフタロシアニン、サブフタロシアニン、ペリレン、アントラセン、ピレン、オリゴチオフェン、ポリチオフェン、フラーレン、インジゴイド色素、ビスアゾ顔料、スクアリリウム色素、チアピリリウム色素、アゼレニウム色素、ジチオケトピロロピロール、キナクリドン、ジブロモアンタンスロン、ポリビニルカルバゾール、これらの誘導体または組合せから成る群から選択される実施形態19または20に記載の検出器。
【0218】
実施形態22:有機材料が有機電子ドナー材料および有機電子アクセプタ材料を含む実施形態18から21のいずれかに記載の検出器。
【0219】
実施形態23:電子ドナー材料および電子アクセプタ材料が1つの層内に含まれる実施形態22に記載の検出器。
【0220】
実施形態24:電子ドナー材料および電子アクセプタ材料を含む層が100nmから1000nmの厚さを示す実施形態23に記載の検出器。
【0221】
実施形態25:電子ドナー材料が有機ドナーポリマーを含む実施形態22から24のいずれかに記載の検出器。
【0222】
実施形態26:ドナーポリマーが共役系を含み、共役系が環式、非環式および線形のうち1種または複数である実施形態25に記載の検出器。
【0223】
実施形態27:ドナーポリマーがポリ[3−ヘキシルチオフェン−2,5.ジイル](P3HT)、ポリ[3−(4−n−オクチル)−フェニルチオフェン](POPT)、ポリ[3−10−n−オクチル−3−フェノチアジン−ビニレンチオフェン−コ−2,5−チオフェン](PTZV−PT)、ポリ[4,8−ビス[(2−エチルヘキシル)オキシ]ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル][3−フルオロ−2−[(2−エチルヘキシル)カルボニル]チエノ[3,4−b]チオフェンジイル](PTB7)、ポリ[チオフェン−2,5−ジイル−オルト−[5,6−ビス(ドデシルオキシ)ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール]−4,7−ジイル](PBT−T1)、ポリ[2,6−(4,4−ビス−(2−エチルヘキシル)−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン)−オルト−4,7(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)](PCPDTBT)、ポリ[5,7−ビス(4−デカニル−2−チエニル)−チエノ(3,4−b)ジアチアゾールチオフェン−2,5](PDDTT)、ポリ[N−9’−ヘプタデカニル−2,7−カルバゾール−オルト−5,5−(4’,7’−ジ−2−チエニル−2’,1’,3’−ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT)、ポリ[(4,4’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチエノ[3,2−b;2’,3’−d]シロール)−2,6−ジイル−オルト−(2,1,3−ベンゾチアジアゾール)−4,7−ジイル](PSBTBT)、ポリ[3−フェニルヒドラゾンチオフェン](PPHT)、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン−1,2−エテニレン−2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレン−1,2−エテニレン](M3EH−PPV)、ポリ[2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MDMO−PPV)、ポリ[9,9−ジ−オクチルフルオレン−コ−ビス−N,N−4−ブチルフェニル−ビス−N,N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン](PFB)、またはこれらの誘導体、修飾体もしくは混合物のうち1種である実施形態26に記載の検出器。
【0224】
実施形態28:電子アクセプタ材料がフラーレンベースの電子アクセプタ材料である実施形態22から27のいずれかに記載の検出器。
【0225】
実施形態29:フラーレンベースの電子アクセプタ材料が[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PC60BM)、[6,6]−フェニル−C71−酪酸メチルエステル(PC70BM)、[6,6]−フェニル−C84−酪酸メチルエステル(PC84BM)、インデン−C60ビス付加体(ICBA)、またはこれらの誘導体、修飾体もしくは混合物のうち少なくとも1種を含む実施形態28に記載の検出器。
【0226】
実施形態30:フラーレンベースの電子アクセプタ材料がC60またはC70の成分を1種または2種含む二量体を含む実施形態28または29に記載の検出器。
【0227】
実施形態31:フラーレンベースの電子アクセプタ材料が1つまたは2つの付着オリゴエーテル(OE)鎖(それぞれC70−DPM−OEまたはC70−DPM−OE2)を含むジフェニルメタノフラーレン(DPM)を含む実施形態30に記載の検出器。
【0228】
実施形態32:電子アクセプタ材料がテトラシアノキノジメタン(TCNQ)またはペリレン誘導体である実施形態22から31のいずれかに記載の検出器。
【0229】
実施形態33:電子アクセプタ材料がアクセプタポリマーを含む実施形態22から32のいずれかに記載の検出器。
【0230】
実施形態34:アクセプタポリマーがシアネート化ポリ(フェニレンビニレン)、ベンゾチアジアゾール、ペリレン、ペリレンジイミド、またはナフタレンジイミドのうち1種または複数に基づく共役ポリマーを含む実施形態33に記載の検出器。
【0231】
実施形態35:アクセプタポリマーがシアノ−ポリ[フェニレンビニレン](CN−PPV)、ポリ[5−(2−(エチルヘキシルオキシ)−2−メトキシシアノテレフタルイリデン](MEH−CN−PPV)、ポリ[オキサ−1,4−フェニレン−1,2−(1−シアノ)−エチレン−2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレン−1,2−(2−シアノ)−エチレン−1,4−フェニレン](CN−エーテル−PPV)、ポリ[1,4−ジオクチルオキシ−p−2,5−ジシアノフェニレンビニレン](DOCN−PPV)、ポリ[9,9’−ジオクチルフルオレン−コ−ベンゾチアジアゾール](PF8BT)、またはこれらの誘導体、修飾体もしくは混合物のうち1種または複数から選択される実施形態34に記載の検出器。
【0232】
実施形態36:電子ドナー材料および電子アクセプタ材料が混合物を形成する実施形態22から35のいずれかに記載の検出器。
【0233】
実施形態37:混合物が電子ドナー材料および電子アクセプタ材料を1:100から100:1、より好ましくは1:10から10:1、特に好ましくは1:2から2:1の比率で含む実施形態36に記載の検出器。
【0234】
実施形態38:電子ドナー材料および電子アクセプタ材料がドナー領域およびアクセプタ領域から成る相互浸透性ネットワークと、ドナー領域とアクセプタ領域との間の界面区域と、これらの領域を電極へ接続するパーコレーション経路とを含む実施形態22から37のいずれかに記載の検出器。
【0235】
実施形態39:n型半導体層が硫化カドミウム(CdS)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、または水酸化亜鉛(ZnOH)を含む実施形態1から38のいずれかに記載の検出器。
【0236】
実施形態40:縦方向光学センサのセンサ領域が正確に1つの連続するセンサ領域であり、縦方向光学センサ信号がセンサ領域全体にわたり均一である、実施形態1から39のいずれかに記載の検出器。
【0237】
実施形態41:縦方向光学センサのセンサ領域がセンサエリアは各装置の表面によって形成され、表面が物体に面しているか、または物体から見て外方を向いている状態である、実施形態1から40のいずれかに記載の検出器。
【0238】
実施形態42:光学検出器が少なくとも1回の電流−電圧測定および/または少なくとも1回の電圧−電流測定の実施によって縦方向センサ信号を生成するよう適応された実施形態1から41のいずれかに記載の検出器。
【0239】
実施形態43:評価装置が物体の縦方向位置に関する情報のうち少なくとも1つの項目を、好ましくは照明の既知の出力を考慮して、また任意で照明が変調される変調周波数を考慮しつつ、照明の幾何形状と、検出器を基準とする物体の相対位置との間における少なくとも1つの所定の関係から生成するように設計される、実施形態1から42のいずれかに記載の検出器。
【0240】
実施形態44:検出器がさらに照明変調用の変調装置を少なくとも1個含む、実施形態1から43のいずれかに記載の検出器。
【0241】
実施形態45:光ビームが変調光ビームである実施形態1から44に記載の検出器。
【0242】
実施形態46:検出器が、異なる変調の場合に複数のセンサ信号、特にそれぞれ異なる変調周波数における複数のセンサ信号を検出するよう設計され、複数の縦方向センサ信号を評価することによって物体の縦方向位置に関する情報のうち少なくとも1つの情報項目を生成するよう評価装置が設計される実施形態45に記載の検出器。
【0243】
実施形態47:照明の総出力が同じである場合に縦方向センサ信号が照明の変調の変調周波数に依存するような形で縦方向光学センサがさらに設計される実施形態1から46のいずれかに記載の検出器。
【0244】
実施形態48:光ビームが非変調連続波光ビームである実施形態47に記載の検出器。
【0245】
実施形態49:さらに少なくとも1個の照明源を含む実施形態1から48のいずれかに記載の検出器。
【0246】
実施形態50:物体に少なくとも部分的に接続され、および/または物体と少なくとも部分的に同一である照明;物体を少なくとも部分的に一次放射で照らすよう設計された照明源から照明源が選択される実施形態49に記載の検出器。
【0247】
実施形態51:光ビームが物体上での一次放射の反射および/または物体自体による一次放射によって刺激される発光によって生成される実施形態50に記載の検出器。
【0248】
実施形態52:少なくとも1個のpinダイオードのスペクトル感度が照明源のスペクトル範囲によってカバーされる実施形態51に記載の検出器。
【0249】
実施形態53:少なくとも1個のpinダイオードの少なくとも1つの層が少なくとも1個の基板へ直接または間接的に適用される実施形態1から52のいずれかに記載の検出器。
【0250】
実施形態54:基板が絶縁性基板である実施形態53に記載の検出器。
【0251】
実施形態55:基板が少なくとも部分的に透明または透光性である実施形態1から54のいずれかに記載の検出器。
【0252】
実施形態56:基板がガラス、石英または適切な有機ポリマーを含む実施形態55に記載の検出器。
【0253】
実施形態57:評価装置が縦方向センサ信号を正規化し、そして光ビームの強度と無関係に物体の縦方向位置に関する情報を生成するように適合される、実施形態1から56のいずれかに記載の検出器。
【0254】
実施形態58:異なる縦方向センサの縦方向センサ信号を比較することにより、光ビームが拡がるか狭まるかを認識するよう評価装置が適応される実施形態57に記載の検出器。
【0255】
実施形態59:少なくとも1個以上の縦方向センサ信号からの光ビームの直径の判定によって、物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成するよう評価装置が適応される実施形態1から58のいずれかに記載の検出器。
【0256】
実施形態60:好ましくは光ビームの伝播方向における少なくとも1つの伝播座標上の光ビームのビーム直径の既知の依存性から、および/または光ビームの既知のガウスプロファイルから、物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を判定するために、光ビームのビーム断面積および/または直径を光ビームの既知の特性と比較するよう評価装置が適応される実施形態59に記載の検出器。
【0257】
実施形態61:さらに少なくとも1個の横方向光学センサを含み、横方向光学センサが物体から検出器へと移動中の光ビームの横方向位置を判定するよう適応されており、横方向位置が検出器の光軸に対して垂直な少なくとも1つの次元での位置であり、横方向光学センサが少なくとも1個の横方向センサ信号を生成するよう適応されており、評価装置は縦方向センサ信号を評価することにより、物体の縦方向に関する少なくとも1項目の情報を生成するようにさらに設計される実施形態1から60のいずれかに記載の検出器。
【0258】
実施形態62:横方向光学センサが少なくとも2個の部分電極を含む分割電極を有する実施形態61に記載の検出器。
【0259】
実施形態63:部分電極を通る電流がセンサ領域内での光ビームの位置に依存する実施形態62に記載の検出器。
【0260】
実施形態64:部分電極を通る電流に従って横方向センサ信号を生成するよう横方向光学センサが適応される実施形態63に記載の検出器。
【0261】
実施形態65:検出器、好ましくは横方向光学センサおよび/または評価装置が、部分電極を通る複数の電流の少なくとも1つの比率から物体の横方向位置に関する情報を導き出すよう適応される実施形態1から64のいずれかに記載の検出器。
【0262】
実施形態66:少なくとも1個の横方向光学センサが透明な光学センサである実施形態62から65のいずれかに記載の検出器。
【0263】
実施形態67:横方向光学センサおよび少なくとも2個の縦方向光学センサが光軸に沿って積層されることにより、光軸に沿って移動する光ビームが横方向光学センサと縦方向光学センサの双方に衝突する、実施形態62から66のいずれかに記載の検出器。
【0264】
実施形態68:光ビームが続発的に横方向光学センサと少なくとも1個の縦方向光学センサを、またはその逆の順に通過する、実施形態67に記載の検出器。
【0265】
実施形態69:光ビームが横方向光学センサを通過した後、縦方向光学センサのうち1個に衝突する、実施形態68に記載の検出器。
【0266】
実施形態70:横方向センサ信号が電流および電圧またはそれらから導き出される任意の信号から成る群から選択される実施形態61から69のいずれかに記載の検出器。
【0267】
実施形態71:検出器がさらに少なくとも1個の撮像装置を含む、実施形態1から70のいずれかに記載の検出器。
【0268】
実施形態72:撮像装置が、物体から最も遠い位置内に位置する、実施形態71に記載の検出器。
【0269】
実施形態73:光ビームが、撮像装置を照らす前に少なくとも1個の縦方向光学センサを通過する、実施形態71または72のいずれかに記載の検出器。
【0270】
実施形態74:撮像装置がカメラを含む、実施形態71から73のいずれかに記載の検出器。
【0271】
実施形態75:撮像装置が無機カメラ;モノクロムカメラ;マルチクロムカメラ;フルカラーカメラ;ピクセル化無機チップ;ピクセル化有機カメラ;CCDチップ、好ましくは多色CCDチップまたはフルカラーCCDチップ;CMOSチップ;IRカメラ;RGBカメラのうち少なくとも1つを含む、実施形態71から74のいずれかに記載の検出器。
【0272】
実施形態76:実施形態1から75のいずれかに記載の検出器を複数含む配置。
【0273】
実施形態77:配置がさらに少なくとも1個の照明源を含む、実施形態75または76に記載の配置。
【0274】
実施形態78:使用者とマシンとの間で情報のうち少なくとも1つの項目を交換するための、特に制御命令を入力するためのヒューマンマシンインターフェースであって、検出器に関連する実施形態1から77のいずれかに記載の少なくとも1個の検出器を含み、使用者の幾何学的情報のうち少なくとも1つの項目を検出器によって生成するように設計され、幾何学情報に対し、情報のうち少なくとも1つの項目、特に少なくとも1つの制御命令を割り当てるように設計されるヒューマンマシンインターフェース。
【0275】
実施形態79:使用者の幾何学的情報のうち少なくとも1つの項目が、使用者の身体の位置;使用者の少なくとも1つの身体部分の位置;使用者の身体の配向;使用者の少なくとも1つの身体部分の配向から成る群から選択される、実施形態78に記載のヒューマンマシンインターフェース。
【0276】
実施形態80:ヒューマンマシンインターフェースがさらに、使用者に接続可能な少なくとも1個のビーコン装置を含み、ヒューマンマシンインターフェースは検出器が少なくとも1個のビーコン装置の位置に関する情報を生成し得るように適合される、実施形態78または79に記載のヒューマンマシンインターフェース。
【0277】
実施形態81:ビーコン装置が、検出器へと伝送されることになる少なくとも1本の光ビームを生成するように適合された少なくとも1個の照明源を含む、実施形態80に記載のヒューマンマシンインターフェース。
【0278】
実施形態82:少なくとも1つの娯楽機能、特にゲームを実行するための娯楽装置であって、ヒューマンマシンインターフェースに関する前の実施形態のいずれかに記載のヒューマンマシンインターフェースのうち少なくとも1つを含み、ヒューマンマシンインターフェースを手段として情報のうち少なくとも1つの項目をプレーヤにより入力可能となるように設計され、娯楽機能を情報に従って変えるように設計される娯楽装置。
【0279】
実施形態83:少なくとも1個の可動物体の位置を追跡する追跡システムであって、検出器に関する実施形態1から82のいずれかに記載の検出器を少なくとも1個含み、さらに少なくとも1個の、物体の一連の位置を追跡するように適合される進路制御装置を含み、それぞれが特定の時点における物体の位置に関する情報のうち少なくとも1つの項目を含む追跡システム。
【0280】
実施形態84:追跡システムがさらに、物体に接続可能な少なくとも1個のビーコン装置を含み、追跡システムは検出器が少なくとも1個のビーコン装置の位置に関する情報を生成し得るように適合される、実施形態83に記載の追跡システム。
【0281】
実施形態85:少なくとも1個の物体の少なくとも1つの位置を判定する走査システムであって、検出器に関する実施形態1から84のいずれかに記載の検出器を少なくとも1個含み、さらに少なくとも1個の物体の少なくとも1つの表面に位置する少なくとも1個の点の照明を目的に構成される少なくとも1本の光ビームを放出するように適合される少なくとも1個の照明源を含み、少なくとも1個の点と走査システムとの間の距離に関する情報のうち少なくとも1つの項目を少なくとも1個の検出器の使用によって生成するように設計される走査システム。
【0282】
実施形態86:照明源が人工照明源、特に少なくとも1個のレーザ光源および/または少なくとも1個の白熱電球および/または少なくとも1個の半導体光源を含む、実施形態85に記載の走査システム。
【0283】
実施形態87:照明源が複数の個別の光ビーム、特に個別のピッチ、特に規則的なピッチを示す複数の光ビームの配置を放出する、実施形態85または86に記載の走査システム。
【0284】
実施形態88:走査システムが少なくとも1個のハウジングを含む、実施形態85から87のいずれかに記載の走査システム。
【0285】
実施形態89:少なくとも1個の点と走査システムとの間の距離に関する情報のうち少なくとも1つの項目が、少なくとも1個の点と、走査システムのハウジング上の特定の点、特にハウジングの前端または後端との間で判定される、実施形態88に記載の走査システム。
【0286】
実施形態90:ハウジングが表示装置、ボタン、固定ユニット、水平調整ユニットのうち少なくとも1つを含む、実施形態88または89に記載の走査システム。
【0287】
実施形態91:追跡システムに言及する実施形態のいずれかに記載の少なくとも1つの追跡システムと、走査システムに言及する実施形態のいずれかに記載の少なくとも1つの走査システムとを含む立体視装置であって、追跡システムおよび走査システムがそれぞれ少なくとも1個の光学センサを含み、これらが立体視装置の光軸と平行な配向で整列されると同時に、個々の変位が立体視装置の光軸に対して直角な配向を示す立体装置。
【0288】
実施形態92:追跡システムおよび走査システムがそれぞれ少なくとも1個の縦方向光学センサを含み、縦方向光学センサのセンサ信号が物体の縦方向位置に関する情報項目を判定するために統合される実施形態91に記載の立体視装置。
【0289】
実施形態93:異なる変調周波数の適用によって縦方向光学センサのセンサ信号を互いに区別することができる実施形態92に記載の立体視装置。
【0290】
実施形態94:立体視装置がさらに少なくとも1個の横方向光学センサを含み、横方向光学センサのセンサ信号が物体の横方向位置に関する情報項目の判定に使用される実施形態93に記載の立体視装置。
【0291】
実施形態95:物体の縦方向位置に関する情報項目および物体の横方向位置に関する情報項目を統合することによって物体の立体視野が得られる実施形態94に記載の立体視装置。
【0292】
実施形態96:少なくとも1個の物体の撮像のための、検出器に関する実施形態1から95のいずれかに記載の検出器を少なくとも1個含むカメラ。
【0293】
実施形態97:特に検出器に関する実施形態1から96のいずれかに記載の検出器を使用して少なくとも1個の物体を光学的に検出する方法であって、
少なくとも1個の縦方向光学センサの使用によって少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成する工程であって、縦方向光学センサは少なくとも2個の電極間に配列される少なくとも2個の個別のpinダイオードを有し、pinダイオードの少なくとも1個は入射光ビーム用のセンサ領域として指定され、センサ領域は光ビームによるセンサ領域の照明に依存する形で少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するよう指定され、縦方向センサ信号は、照明の総出力が同じである場合、センサ領域内の光ビームのビーム断面積に依存する、工程と、
縦方向光学センサの縦方向センサ信号を評価することによって物体の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報を生成する工程と
を含む方法。
【0294】
実施形態98:物体の位置、特に深度を好ましくは同時に判定することを目的とする、実施形態1から97のうち検出器に関する実施形態のいずれかに記載の検出器の使用。
【0295】
実施形態99:測距、特に交通技術における測距;位置測定、特に交通技術における位置測定;娯楽用途;セキュリティ用途;ヒューマンマシンインターフェース用途;追跡用途;走査用途;写真撮影用途;撮像用途またはカメラ用途;少なくとも1つの空間のマップ生成用のマッピング用途;車両向けのホーミングビーコンまたは追跡ビーコン検出器;熱シグネチャ(背景と比べ高温か低温か)による物体の距離および/または位置の測定;立体視用途;機械視覚用途;ロボット工学用途から成る群から選択される用途を目的とする、実施形態98に記載の検出器の使用。
【0296】
本発明のさらなる任意の詳細および特徴は、従属請求項に関して以下に記載される、好ましい模範的実施形態の説明から明らかである。この文脈において、特定の特徴は、単独でまたはいくつかの特徴と組み合わせて実現可能である。本発明は、模範的実施形態に限定されない。模範的実施形態は図面中で概略的に示されている。個々の図面中の同一の参照番号は、同一の要素または同一の機能を有する1つまたは複数の要素あるいは機能に関して互いに対応する要素を指す。
【0297】
具体的に図面の説明は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0298】
図1】縦方向光学センサ1個を含み、縦方向光学センサは少なくとも1個の第1の電極と少なくとも1個の第2の電極との間に配列される2個の個別のpinダイオードを有し、これらのpinダイオードの少なくとも1個がセンサ領域として設計される本発明に記載の検出器の模範的な一実施形態を示す図である。
図2】少なくとも1個の第1の電極と少なくとも1個の第2の電極との間に配列される2個の個別のpinダイオードを有し、これらのpinダイオードの少なくとも1個がセンサ領域として設計される縦方向光学センサの好適な一実施形態を示す図である。
図3図2に記載の縦方向光学センサの使用による負のFiP効果を実証する実験結果を示す図である。
図4】本発明に記載の光学検出器、検出器システム、ヒューマンマシンインターフェース、娯楽装置、追跡装置およびカメラの模範的な一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0299】
図1は、少なくとも1個の物体112の位置を判定するための、本発明に記載の光学検出器110の模範的な一実施形態を、きわめて概略的に示す図である。好ましくは光学検出器110を、特に、NIRスペクトル範囲の赤外線検出器として使用するよう適応させてもよい。ただし、他の実施形態も実現可能である。
【0300】
検出器110は少なくとも1個の縦方向光学センサ114を含み、これはこの特定の実施形態において、検出器110の光軸116に沿って配列される。具体的に、光軸116は、光学センサ114の設定における対称軸および/または回転軸であってもよい。光学センサ114は、検出器110のハウジング118の内部に配置され得る。さらに、少なくとも1個の転送装置120、好ましくは屈折レンズ122を含む装置が含まれ得る。ハウジング118における開口124は、特に光軸116を基準に同心円状に配置され得、好ましくは検出器110の視野126の方向を定義付ける。座標系128が定義され得、その中で光軸116に対して平行または逆平行の方向が縦方向として定義される一方、光軸116に対して垂直の方向は横方向として定義され得る。座標系128において、図1では象徴的に描かれているが、縦方向はz、横方向はそれぞれxおよびyとして表わされている。ただし、他の種類の座標系128も実現可能である。
【0301】
さらに、縦方向光学センサ114は、少なくとも2個の電極132、132’の間に好ましくはスタック状に配列される少なくとも2個の個別のpinダイオード130、130’を有する。2個の個別のpinダイオード130、130’は図1において概略的に描かれている一方、縦方向光学センサ114は特別な目的の場合に2個の個別のpinダイオード130、130’より多い、例えば3個または4個以上の個別のpinダイオード130、130’を有し得る。このように、少なくとも2個の個別のpinダイオード130、130’は極性が同じである電極を共有してもよい。結果として、個別のpinダイオード130、130’間に電極をそれ以上配列しなくてもよい。適用可能であれば、少なくとも1個のさらなるpinダイオード(ここでは不記載)を2個の電極132、132’の間の任意の位置に配置してもよい。さらに、スタックは追加の層、特に電極132、132’の1個を配置可能な少なくとも1個の絶縁性基板を含んでもよい。図2でさらに指定されるとおり、隣接する2個のpinダイオード130、130’間に再結合層134を配置してもよい。
【0302】
本発明によれば、pinダイオード130、130’の少なくとも1個は入射光ビーム136用のセンサ領域として指定される。本発明では、縦方向光学センサ114は光ビーム136によるセンサ領域の照明に依存する形で、少なくとも1つの縦方向センサ信号を生成するよう設計される。このように、FiP効果に応じて縦方向センサ信号は、照明の総出力が同じである場合に各センサ領域内の光ビーム136のビーム断面積に依存する。
【0303】
本発明によれば、縦方向光学センサ114におけるスタック状配列内に含まれるすべてのpinダイオード130、130’がセンサ領域として採用され得る。ただし、pinダイオード130、130’は好ましくは互いに異なる光学特性を示し得る。図2でさらに詳しく指定されるとおり、pinダイオード130、130’は異なる光感度、特に入射光ビーム136の異なる波長範囲に関して異なる外部量子効率を示し得る。さらに、pinダイオード130、130’は異なる種類のFiP効果を示し得る、すなわち入射光ビーム136によるセンサ領域の照明に依存して異なる縦方向センサ信号を生成することにより、pinダイオード130、130’の1個が実際にFiP効果を示す限り、それが正のFiP効果または負のFiP効果のどちらであるかを問わず、pinダイオード130、130’それぞれが正のFiP効果を示す、負のFiPを示す、またはFiP効果を全く示さなくてもよい。代替的または付加的に、縦方向光学センサ114内のpinダイオード130、130’間で他の種類の相違も実現可能となり得る。
【0304】
縦方向信号リード線138経由で、縦方向センサ信号を評価装置140へ転送することができる。これについては以下にてさらに詳しく説明する。
【0305】
好適な一実施形態において、pinダイオード130、130’の1個を転送装置120の焦点142に配置してもよい。付加的または代替的に、特に光学検出器110が転送装置120を含み得ない実施形態において、縦方向光学センサ114を光軸116に沿って移動可能な形で、例えば評価装置140内に配置され得るアクチュエータ制御装置146の使用によって制御可能となり得るアクチュエータ144を手段として配列してもよい。ただし、他の種類の設定も実現可能であり得る。
【0306】
評価装置140は一般的に、横方向光学センサ114のセンサ信号を評価することによって物体112の位置に関する少なくとも1項目の情報を生成するよう設計される。この目的に対し、評価装置140は、縦方向評価ユニット148(「z」で表わされる)によって象徴的に表わされているセンサ信号を評価するために、1個または複数の電子装置および/または1個または複数のソフトウェアコンポーネントを含み得る。以下にてさらに詳しく説明するとおり、縦方向光学センサ114の複数の縦方向センサ信号の比較によって物体112の縦方向光学に関する少なくとも1項目の情報を判定するよう、評価装置140を適応させてもよい。
【0307】
上述のとおり、光ビーム136による衝突後に縦方向光学センサ114によって提供される縦方向センサ信号は、センサ領域内での材料の光学的に検出可能な特性に依存する。したがって、センサ領域内での材料の光学的に検出可能な特性の変化を判定するため、図1で概略的に描かれているとおり、「光電流」と表わすこともできる電流を縦方向光学センサ114経由で測定すると有利となり得る。
【0308】
縦方向光学センサ114のセンサ領域を照らす光ビーム136を、発光性物体112によって生成してもよい。代替的または付加的に、光ビーム136を別個の照明源150によって生成してもよく、これは好ましくは光軸116に沿った開口124経由での光学検出器110のハウジング118への進入によって光ビーム136が縦方向光学センサ114のセンサ領域へ到達するよう構成設定され得る形で、照明源150によって生成される光の少なくとも一部を物体112が反射することができるように物体112を照明するよう適応された発光ダイオード152など、周囲光源および/または人工光源を含み得る。
【0309】
特定の一実施形態において、照明源150は変調光源154であってもよく、この場合、照明源150の1つまたは複数の変調特性を、少なくとも1個の任意の変調装置156によって制御してもよい。代替的または付加的に、照明源150と物体112との間、および/または物体112と縦方向光学センサ114との間のビーム経路内で変調を有効化してもよい。さらなる可能性も考えられる。この特定の実施形態において、物体112の位置に関する少なくとも1項目の情報を判定するために横方向光学センサ114のセンサ信号を評価する際、1つまたは複数の変調特性、特に変調周波数を考慮に入れると、有利となり得る。
【0310】
一般に、評価装置140はデータ処理装置158の一部であってもよく、および/または1個または複数のデータ処理装置158を含み得る。評価装置140はハウジング118に完全にまたは部分的に組み込まれてもよく、および/または完全にまたは部分的に、無線または有線の形で縦方向光学センサ114へ電気的に接続される別個の装置として具現化され得る。評価装置140はさらに、1個または複数の電子ハードウェアコンポーネントおよび/または1個または複数のソフトウェアコンポーネント、例えば1個または複数の測定ユニットおよび/または1個または複数の評価ユニットおよび/または1個または複数の制御ユニット(不記載)などの1個または複数の追加コンポーネントをも含み得る。
【0311】
図2は、縦方向光学センサ114の好適な一実施形態を示す図である。図1に記載の実施形態によれば、縦方向光学センサ114は2個の電極132、132’の間でスタック状に配列される個別のpinダイオード130、130’を含む。一方、2個の個別のpinダイオード130、130’より多い、例えば3個または4個の個別のpinダイオード130、130’での配列も実現可能となり得る。図2でさらに概略的に描かれているとおり、電極132は少なくとも一部が光学的に透明な基板160、特に、好ましくはガラス、石英または適切な有機ポリマーから選択される材料を含み得る透明、半透明または透光性の基板の隣に配置される。結果的に、縦方向光学センサ114に衝突する入射光ビーム136は、電極130に到達し得る前に基板160を通過し得る。
【0312】
さらに、光ビーム136をpinダイオード130、130’に到達させやすくするため、入射光ビーム136のビーム経路162内に位置する電極132(「前部電極」と表わすこともできる)は、この特定の実施形態において、特に透明、半透明または透光性の特性を示すよう、少なくとも一部が光学的に透明であるものが選択される。これを目的に、少なくとも一部が光学的に透明な電極130は、好ましくは、少なくとも1種の透明導電性酸化物(TCO)、特にインジウムドープスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープスズ酸化物(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミニウムドープ亜鉛酸化物(AZO)、またはペロブスカイトTCO(SrVOまたはCaVOなど)、あるいは代替的に金属ナノワイヤー、特に銀または銅のナノワイヤーの少なくとも1種を含み得る。ただし、電極材料として適切となり得る他の種類の光学的に透明な材料が電極132に適用可能な場合もある。
【0313】
電極132’も電極132と同様の形で、すなわち少なくとも一部が光学的に透明な特性を示す形で完成され得る。ただし、電極132’は縦方向光学センサ114内で光ビーム136のビーム経路162外に位置し得ることから、代替的または付加的に、光学的に不透明な形で完成され、その結果、「後部電極」と表わすこともできる。本発明では、少なくとも1個の光学的に不透明な電極132’は、好ましくは金属電極、特に銀(Ag)電極、白金(Pt)電極、アルミニウム(Al)電極、または金(Au)電極のうち1種または複数、あるいは代替的にグラフェン電極を含み得る。好ましくは、光学的に不透明な電極132’は均一な金属層を含み得る。あるいは、光学的に不透明な電極は、多数の部分電極として配列される、または金属格子形式の分割電極であってもよい。
【0314】
図2の好適な実施形態において、縦方向光学センサ114の2個の個別のpinダイオード130、130’は、好ましくは同様の内部構造を示し得る。相応に、pinダイオード130は、n型半導体層166とp型半導体層168との間に位置するi型半導体層164を含む。同様に、pinダイオード130’は、n型半導体層172とp型半導体層174との間に位置するi型半導体層170を含む。通常そうであるように、n型半導体層166、172では電荷担体が圧倒的に電子によって提供される一方、p型半導体層168、174では電荷担体が圧倒的にホールによって提供される。これとは対照的に、i型半導体層164、170は非ドープ固有半導体領域と捉えることができる。図2で概略的に描かれているとおり、n型半導体層166は電極132に隣接する一方、p型半導体層174は電極132’に隣接する。ただし、他の種類の配列、特にn型半導体層166とp型半導体層168の双方はもとより、n型半導体層172とp型半導体層174も位置を変えるという配列も可能である。さらに、図2の好適な実施形態において、i型半導体層164、170は、好ましくはn型半導体層166、172およびp型半導体層168、174双方の厚さを超える厚さを示し得る。結果として、i型半導体層164、170内に存在し得る空乏領域が大容積を占めてもよく、その結果、光ビーム136に含まれる入射光子による多数の電子正孔対の生成が可能となる。
【0315】
好ましくは、縦方向光学センサ114のpinダイオード130、130’は、非線形の周波数応答を示すことが一般的に知られている1種の非晶質シリコンを含み得る。図3に記載の結果として、FiP効果はこの種のpinダイオード130、130’を備える縦方向光学センサ114内で観察され得る。本発明によれば、縦方向光学センサ114内に含まれる2個の個別のpinダイオード130、130’は異なる光感度、特に入射光ビーム136の異なる波長範囲に関して異なる外部量子効率を示し得る。これを目的に、異なる2種類の材料を2個の個別のpinダイオード130、130’向けに使用してもよい。
【0316】
まず、pinダイオード130のi型半導体層164はこのように、非ドープ固有非晶質シリコン176(a−Si)を、好ましくは水素化非晶質シリコン178(a−Si:H)の形で含んでもよく、その場合、a−Si:H内の非晶質シリコンは、未処理の非晶質シリコン内で多数のダングリングボンドが桁違いに低減され得るような形で、水素の使用によって不動態化される。このように、a−Si:Hは少量の欠陥を含んでもよいことから、本発明に記載の縦方向光学センサ114など光学装置に対して特に適切となる。上述のとおり、非ドープa−Si、好ましくは非ドープa−Si:Hを含むpinダイオード130のi型半導体層164は380nm〜700nmのスペクトル範囲、すなわち可視スペクトルの大部分の範囲内で大きな値を示す。このように、入射光ビーム136がこの380nm〜700nmのスペクトル範囲内の波長を有し得る限り、pinダイオード130、特にpinダイオード130のi型半導体層164は入射光ビーム136用のセンサ領域として指定され得る。
【0317】
一方、本発明はより多くを可能にする、すなわち非ドープa−Si、好ましくは非ドープa−Si:Hを含むpinダイオード130のi型半導体層164をさらに、380nm〜700nmのスペクトル範囲外の波長を示し得る入射光ビーム向けに使用することができる。ただし、この特に好適な事象において、pinダイオード130は上述のような形でセンサ領域として使用することはできないが、それでもなお、トラップ保持半導体180の役割を果たし得る。結果的に、pinダイオード130はこのように、入射光ビーム136によってpinダイオード130’内で生成され得る正の電荷担体の受容を可能にし得、その場合、pinダイオード130’は所望の波長範囲、特にNIRスペクトル範囲の少なくとも一区画、好ましくは760nm〜1400nmの波長範囲内で十分な外部量子効率を示し得る。
【0318】
このように、pinダイオード130’はpinダイオード130と同様の配列を示してもよく、その場合、pinダイオード130’は微結晶シリコン182(μc−Si)、好ましくは水素化微結晶シリコン184(μc−Si:H)の1種を含み得る。同じく、μc−Si:H内の微結晶シリコンは、未処理の微結晶シリコン内で多数のダングリングボンドが桁違いに低減され得るような形で、水素の使用によって不動態化される。このように、μc−Si:Hも少量の欠陥を含んでもよいことから、本発明に記載の縦方向光学センサ114など光学装置に対して特に適切となる。あるいは、ゲルマニウムおよびシリコンの非晶質合金(a−GeSi)、好ましくは水素化非晶質ゲルマニウムシリコン合金(a−GeSi:H)を使用してもよい。
【0319】
μc−Si:Hを含むpinダイオード130’はおおよそ500nm〜1100nmの範囲に及ぶ波長範囲にわたり、NIR領域内で無視できない量子効率を有することから、pinダイオード130’はこのように、おおよそ500nm〜1100nmの範囲の波長を有する入射光ビーム136用のセンサ領域186として指定され得る。本発明によれば、pinダイオード130’内のセンサ領域186は入射光ビーム136によって照らされる。照明の総出力が同じである場合、縦方向光学センサ114内で生成される縦方向センサ信号は結果的に、センサ領域186内の光ビーム136の、「スポットサイズ」と表わすこともできるビーム断面積188に依存する。本発明では、縦方向センサ信号は好ましくは、電圧信号および/または電流信号など電気信号の印加によって判定され得る。結果として、縦方向光学センサ114はこのように、原則として、センサ領域186内の光ビーム136のビーム断面積を、縦方向センサ信号の記録から判定することを可能にする。
【0320】
上述のとおり、再結合層134は隣接する2個の個別のpinダイオード130、130’の間、特にpinダイオード130のp型半導体層168とpinダイオード130’のn型半導体層172との間に配置され得る。本発明では、再結合層134は特に、隣接する2個の個別のpinダイオード130、130’の間での十分なオーム接触を、1つの接合から可能な限り多くのホールが他の接合からの多数の電子と接合され得るような形で提供できるよう、導入され得る。このように、再結合層は好ましくは透明であってもよく、また検出器の表面全体にわたる電荷担体分布の回避を達成するよう、横断方向で高い抵抗性を示し得る。
【0321】
図2に記載の実施形態は、縦方向光学センサ114を特にNIRスペクトル範囲内で使用する場合の比較的単純で費用効率的な設定を示すものである。ただし、本明細書に不記載の他の実施形態も、本発明に記載の縦方向光学センサ114向けの設定として適切となり得る。一例として、pinダイオード130’は代替的に、UV波長範囲内、好ましくは280nm〜400nmの完全なUVAおよびUVBの波長範囲にわたり、高い外部量子効率を示すシリコンおよび炭素の非晶質合金(a−SiC)、または好ましくは水素化非晶質シリコン炭素合金(a−SiC:H)を含み得る。さらに、pinダイオード130、130’に適用可能な他の種類の組合せも実現可能となり得る。
【0322】
さらに、個別のpinダイオード130、130’は異なる種類のFiP効果、すなわち入射光ビーム136によるセンサ領域186の照明に依存して異なる縦方向センサ信号を示し得る。本発明では、pinダイオード130、130’の少なくとも1個が実際にFiP効果を示す限り、それが正のFiP効果または負のFiP効果のどちらであるかを問わず、pinダイオード130、130’の片方または両方が正のFiP効果を示す、負のFiPを示す、またはFiP効果を全く示さなくてもよい。代替的または付加的に、縦方向光学センサ114に含まれるpinダイオード130、130’間で他の種類の相違も実現可能となり得る。
【0323】
図3では、図1および2の模範的実施形態における前述の負のFiP効果の発生を実験的に実証している。この実験では、図3ではいわゆる「FiP曲線」190を、図2に記載の縦方向光学センサ114の設定における実験結果として示しており、pinダイオード130はa−Si:Hをトラップ保持半導体180として含み、pinダイオード130’はセンサ領域186を構成するμc−Si:Hを含む。本発明において、光学検出器110の設定は、屈折レンズ122の前方80cmの位置に配置され、またNIRスペクトル範囲内で物体112を照らすよう適応された光学波長850nmの光ビーム136を生成するための照明源150としても採用された発光ダイオード(LED)152を含む設定であった。
【0324】
実験中、縦方向光学センサ114を、光学検出器110のz軸に沿って、アクチュエータ144の使用によって動かし、結果的な光電流をμAで測定した。この実験では、屈折レンズ122の焦点142を屈折レンズ122から約32mmの距離dに配置したことにより、屈折レンズ122および照明源150の役割を果たす発光ダイオード152をより大きいz値の位置に配置した。実験中に光学検出器110のz軸に沿ってセンサを動かした結果、センサ領域186の位置での入射光ビーム136のビーム断面積(スポットサイズ)188が変動した結果、z依存の光電流信号が生じたが、この信号をここでは縦方向センサ信号と捉えることができる。
【0325】
図3に図示されているとおり、縦方向光学センサ114の光電流は異なる4種類の実験条件下で測定されている。この実験では、センサ領域186を、設定における前側192または後側194のどちらかから照らした。ここでは「前側」192という表現は、図2の概略図のような形でセンサ領域186がビーム経路162によって照らされたことを意味する。結果として、入射光ビーム136は最初に、トラップ保持半導体180として作用するpinダイオード130を通過した後、pinダイオード130’内のセンサ領域186に到達した。これとは対照的に、「後側」192という表現は、入射光ビーム136がpinダイオード130内のトラップ保持半導体180に到達する前にまずpinダイオード130’内のセンサ領域186を通過した別のビーム経路(不記載)によってセンサ領域186が照らされたことを意味する。
【0326】
ここでは、センサ領域186が後側194から照らされる場合、電極132’(「後部電極」と表わすこともできる)は上記にて詳述のとおり少なくとも一部が透明な電極として完成する一方、センサ領域186が前側192から照らされる場合、電極132’の光学特性は少なくとも一部が透明であっても不透明であってもよい。したがって付加的に、個々のFiP曲線190が反射性の不透明電極132’によって生じるバックライトの使用によって記録される第1の設定196と、あるいは電極132’が少なくとも一部が透明の光学特性を示す場合にバックライトが生じない例198を区別することができる。同様の形で、センサ領域186を後側194から照らす場合、電極132(「前部電極」と表わすこともできる)も少なくとも一部が透明または不透明な光学特性を示す結果、FiP曲線190を、バックライトを使用して記録する例196、あるいはバックライトが生じない例198が可能となる。
【0327】
図3に図示されているとおり、縦方向センサ信号の変動が原因と考えられる観察可能な光電流を含むFiP曲線190は物体112からの縦方向光学センサ114の距離の変動に伴って変動し、これは物体112が縦方向光学センサ114上で合焦した場合に明確に分かる最小値を含む。このように、本発明に記載の光学検出器110を、前述の負のFiP効果を明確に示す形、すなわちセンサ領域130に衝突する光ビーム136の断面積が最小となる条件、すなわちセンサ領域186が屈折レンズ122の効果に応じて焦点142に位置する時点、すなわちここでは屈折レンズ122から約32mmの距離で発生する条件の下での縦方向センサ信号の最小値が観察される形で配列することができる。
【0328】
一例として、図4は、図1または2に記載の実施形態の1つまたは複数において開示されている光学検出器110など、少なくとも1個の光学検出器110を含む検出器システム200の模範的な一実施形態を示す図である。ここでは、光学検出器110をカメラ202、具体的には3D撮像用として採用することができ、これはデジタルビデオクリップなど画像および/または画像シーケンスを取得するために製造されたものであってもよい。さらに、図4では少なくとも1個の検出器110および/または少なくとも1つの検出器システム200を含むヒューマンマシンインターフェース204の模範的な一実施形態、およびさらに、ヒューマンマシンインターフェース204を含む娯楽装置206の模範的な一実施形態も示している。図4ではさらに、少なくとも1個の物体112の位置を追跡するよう適応される、検出器110および/または検出器システム200を含む追跡システム208の一実施形態も示している。
【0329】
光学検出器110および検出器システム200については、本出願の全開示を参照するとよい。基本的に、検出器110の潜在的実施形態もすべて、図4に記載の実施形態において具現化され得る。評価装置140は少なくとも2個の縦方向光学センサ114各々へ、特に信号リード線138によって接続され得る。一例として、信号リード線138を提供し、および/または1つもしくは複数のインターフェースを提供してもよく、インターフェースは無線インターフェースおよび/または有線インターフェースであってもよい。さらに、信号リード線138はセンサ信号の生成および/またはセンサ信号の修正のための1個もしくは複数のドライバおよび/または1個もしくは複数の測定装置を含んでもよい。
【0330】
前述のとおり、光学検出器110は、単一の縦方向光学センサ114、または例えば国際公開第2014/097181A1号において開示されているような縦方向光学センサ114のスタックを、特に1個または複数の横方向光学センサ209と組み合わされる形で含み得る。一例として、1個または複数の少なくとも部分的に透明な横方向光学センサ209は、物体112に面する複数の縦方向光学センサ114から成るスタックの1つの側に配置され得る。代替的にまたは付加的に、1個または複数の横方向光学センサ209は、物体112から見て外方を向いている複数の縦方向光学センサ114から成るスタックの1つの側に配置され得る。この場合、横方向光学センサ209の最後は不透明であってもよい。このように、物体のz座標に加えてx座標および/またはy座標の判定が望ましいと考えられる場合、少なくとも1個の縦方向光学センサ114に加え、少なくとも1つの横方向センサ信号を提供し得る少なくとも1個の横方向光学センサ209も採用すると、有利となり得る。横方向光学センサの潜在的な実施形態については、国際公開第2014/097181A1号を参照するとよい。同文献に記載のとおり、2個または好ましくは3個の縦方向光学センサ114の使用は、曖昧さを残さない縦方向センサ信号の評価の支援となり得る。ただし、横方向光学センサ209を含まず、単一の縦方向光学センサ114のみ含み得る実施形態もやはり可能であり、例えば物体の深度、すなわちz座標のみ判定すればよい場合などが挙げられる。少なくとも1個の任意の横方向光学センサ209をさらに、評価装置140へ、特に信号リード線138によって接続してもよい。
【0331】
さらに、少なくとも1個の転送装置120を、特に屈折レンズ122または凸レンズとして提供してもよい。光学検出器110はさらに、例えば1つまたは複数の構成要素114、209を収容し得る少なくとも1個のハウジング118をも含み得る。
【0332】
さらに、評価装置140を完全にまたは部分的に、光学センサ114、209および/または光学検出器110の他の構成要素へ一体化することもできる。評価装置140をハウジング118および/または別個のハウジング内に閉じ込めてもよい、評価装置140は、縦方向評価ユニット148(「z」で表わされる)および横方向評価ユニット210(「xy」で表わされる)によって象徴的に表わされているセンサ信号を評価するために、1個または複数の電子装置および/または1個または複数のソフトウェアコンポーネントを含み得る。これらの評価ユニット154、156によって導き出された結果を組み合わせることにより、位置情報212、好ましくは3次元位置情報が生成され得る(「x,y,z」で表わされる)。
【0333】
さらに、光学検出器110および/または検出器システム200は、様々な形で構成設定可能な撮像装置214をも含み得る。このように、図4に記載のとおり、画像処置装置214は、例えば検出器ハウジング118内の検出器110の一部であってもよい。ここでは、撮像装置信号を、1本または複数の撮像装置信号リード線138により、検出器110の評価装置140へ転送することができる。あるいは、画像処置装置214を検出器ハウジング118の外部に別々に配置してもよい。画像処置装置214は完全にまたは部分的に透明または不透明であってもよい。画像処置装置214は、有機画像処置装置または無機撮像装置であるか、またはこれらを含み得る。好ましくは、画像処置装置214は複数のピクセルから成る少なくとも1つのマトリクスを含み、複数のピクセルから成るマトリクスは、CCDチップおよび/またはCMOSチップなど無機半導体センサ装置;有機半導体センサ装置から成る群から選択され得る。
【0334】
図4に記載の模範的実施形態において、一例として、検出対象となる物体112はスポーツ用品として設計され得るか、および/または制御要素216を形成し得、その位置および/または配向は使用者218によって操作され得る。このように、一般的に、図4に記載の実施形態またはその他、検出器システム200、ヒューマンマシンインターフェース204、娯楽装置206または追跡システム208に関する任意の実施形態において、物体112自体は指定された装置の一部であってもよく、具体的には少なくとも1つの制御要素216を含み得、具体的に、少なくとも1つの制御要素216は1個または複数のビーコン装置220を有し、制御要素216の位置および/または配向は好ましくは使用者218によって操作され得る。一例として、物体112は1個または複数のバット、ラケット、クラブまたはその他、スポーツ用品および/または疑似スポーツ用具であるか、またはそれらを含み得る。他の種類の物体112も可能である。さらに、使用者218を物体112として捉え、その位置が検出されるようにしてもよい。一例として、使用者218は自分の身体に直接または間接的に装着される1個または複数のビーコン装置220を携行し得る。
【0335】
光学検出器110を、1個または複数のビーコン装置220の縦方向位置に関する少なくとも1項目、および任意でその横方向位置に関する少なくとも1項目の情報、および/または物体112の縦方向位置に関する少なくとも1項目の情報、および人居て物体112の横方向位置に関する少なくとも1項目の情報を判定するよう適応させることができる。特に、光学検出器110を、物体の色の特定および/または撮像向けに、例えば物体112の様々な色、特に様々な色を含み得るビーコン装置の色について、適応させることができる。好ましくは検出器110の光軸116を基準に同心円状に配置され得るハウジング118における開口124は、好ましくは検出器110の視野126の方向を定義付け得る。
【0336】
光学検出器110を、少なくとも1個の物体112の位置を判定するよう適応させることができる。加えて、光学検出器110、具体的にはカメラ202を含む実施形態を、物体112の少なくとも1つの画像、好ましくは3D画像の取得向けに適応させることができる。上記にて概説のとおり、物体112および/またはその一部の位置の光学検出器110および/または検出器システム200の使用による判定を、少なくとも1項目の情報を機械222へ提供するために、ヒューマンマシンインターフェース204の提供向けに使用することができる。図4に概略図が記載されている実施形態において、機械222は、データ処理装置158を含む少なくとも1台のコンピュータおよび/またはコンピュータシステムであるか、またはそれらを含み得る。他の実施形態も実現可能である。評価装置140はコンピュータであるか、および/またはコンピュータを含み得、および/または別の装置として完全にまたは部分的に具現化され得、および/または完全にまたは部分的に、機械222、特にコンピュータに組み込まれ得る。同じことが、追跡システム208の追跡制御装置にも当てはまり、これは完全にまたは部分的に装置140および/または機械222の一部を形成し得る。
【0337】
同様に、上記にて概説のとおり、ヒューマンマシンインターフェース204は娯楽装置206の一部を形成し得る。このように、物体112として機能する使用者218を手段として、および/または物体112の役割を果たす制御要素216を手段として、使用者218は、少なくとも1つの制御コマンドなど少なくとも1項目の情報を機械222、特にコンピュータへ入力することができる結果、コンピュータゲームの過程の制御など、娯楽機能を変化させることができる。
【0338】
参照番号一覧
110 検出器
112 物体
114 縦方向光学センサ
116 光軸
118 ハウジング
120 転送装置
122 屈折レンズ
124 開口
126 視野方向
128 座標系
130、130’ pinダイオード
132、132’ 電極
134 再結合層
136 光ビーム
138 信号リード線
140 評価装置
142 焦点
144 アクチュエータ
146 アクチュエータ制御ユニット
148 縦方向評価ユニット
150 照明源
152 発光ダイオード
154 変調照明源
156 変調装置
158 データ処理装置
160 基板
162 ビーム経路
164 i型半導体層
166 n型半導体層
168 p型半導体層
170 i型半導体層
172 n型半導体層
174 p型半導体層
176 非晶質シリコン(a−Si)
178 水素化非晶質シリコン(a−Si:H)
180 トラップ保持半導体
182 微結晶シリコン178(μc−Si)
184 水素化微結晶シリコン178(μc−Si:H)
186 センサ領域
188 ビーム断面積(スポットサイズ)
190 FiP曲線
192 前側
194 後側
196 バックライトを使用
198 バックライトが生じない
200 検出器システム
202 カメラ
204 ヒューマンマシンインターフェース
206 娯楽装置
208 追跡システム
209 横方向光学センサ
210 横方向評価ユニット
212 位置情報
214 撮像装置
216 制御要素
218 使用者
220 ビーコン装置
222 マシン
224 進路制御装置
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】