(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-516903(P2019-516903A)
(43)【公表日】2019年6月20日
(54)【発明の名称】ブレード端部を製作するための巻き芯と方法、並びに、後縁セグメントを製作するための鋳型と方法、並びに、風力タービン、ロータブレードシリーズ、ロータブレード、及び、それらを製作するための方法
(51)【国際特許分類】
F03D 1/06 20060101AFI20190530BHJP
【FI】
F03D1/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-560802(P2018-560802)
(86)(22)【出願日】2017年5月23日
(85)【翻訳文提出日】2019年1月15日
(86)【国際出願番号】EP2017062397
(87)【国際公開番号】WO2017202838
(87)【国際公開日】20171130
(31)【優先権主張番号】102016109761.6
(32)【優先日】2016年5月26日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン アレキサンダー
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB75
3H178BB77
3H178CC02
(57)【要約】
本発明は、風力発電設備のロータブレード用のブレード端部を製作するための巻き芯、後縁セグメントを製作するための鋳型、ブレード端部を製作する方法、後縁セグメントを製作する方法、及び、ロータブレードを製作する方法、並びに、ロータブレードとロータブレードシリーズに関する。巻き芯は、ブレード端部をロータハブに接続するためのハブ接続構造部を形成するための第1の端部を有する第1のセクションと、ブレード端部を外側ブレードに接続するための外側ブレード接続構造部を形成するための第2の端部を有する第2のセクションと、を備え、この巻き芯を用いて製作されたブレード端部が相異なるロータ径を有する風力発電設備に適合するように、第1のセクションを交換、あるいは、完全に又は部分的に除去することによって、この巻き芯の長手方向の広がり及び/又は第1のセクションの直径及び/又は第1のセクションの形状を変更することが可能である。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電設備のロータブレード用のブレード端部を製作するための巻き芯であって、
前記ブレード端部をロータハブに接続するためのハブ接続構造部を形成するための第1の端部を有する第1のセクションと、
前記ブレード端部を外側ブレードに接続するための外側ブレード接続構造部を形成するための第2の端部を有する第2のセクションと、
を備えており、
前記巻き芯を用いて製作されたブレード端部が相異なるロータ径を有する風力発電設備に適合するように、前記第1のセクションを交換するか、あるいは、完全に又は部分的に除去することによって、前記巻き芯の長手方向の広がり及び/又は前記第1のセクションの直径及び/又は前記第1のセクションの形状を変更することが可能である、前記巻き芯。
【請求項2】
前記第1のセクションが完全に除去されて、前記第2のセクションの第1の端部が、前記ハブ接続構造部を形成するために使用されることを特徴とする、請求項1に記載の巻き芯。
【請求項3】
前記第1のセクションが2つ、3つ又はそれよりも多くの巻き芯セグメントを有していることを特徴とする、請求項1〜2の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯。
【請求項4】
1つ又は複数の巻き芯セグメントが除去されて、残りの1つの巻き芯セグメントの第1の端部が、前記ハブ接続構造部を形成するために使用されることを特徴とする、請求項1〜3の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯。
【請求項5】
前記第2のセクションの前記第1の端部が前記第1のセクションの前記第1の端部に対応していること、及び/又は、前記巻き芯セグメントのうちの1つの又は複数の又は全ての巻き芯セグメントの第1の端部が前記第1のセクションの前記第1の端部に対応していること、を特徴とする、請求項1〜4の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯。
【請求項6】
前記第1のセクション及び/又は前記第2のセクションが実質的に回転対称に形成されていることを特徴とする、請求項1〜5の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯。
【請求項7】
前記第1のセクションが実質的に円筒形の形状を有していることを特徴とする、請求項1〜6の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯。
【請求項8】
前記第2のセクションが実質的に円筒形及び/又は実質的に切頭円錐形の形状を有していることを特徴とする、請求項1〜7の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯。
【請求項9】
風力発電設備のロータブレード用の、特に、風力発電設備のロータブレードのブレード端部用の後縁セグメントを製作するための鋳型であって、これを用いて製作された後縁セグメントが、相異なるロータ径を有する風力発電設備用のロータブレードに適合するように、1つ又は複数の鋳型セグメントを交換及び/又は除去及び/又は追加することによって、前記鋳型の長手方向の広がり及び/又は前記鋳型の形状及び/又は前記長手方向の前記広がりに垂直な前記鋳型の最大限の広がりを変更することが可能である、前記鋳型。
【請求項10】
風力発電設備のロータブレード用のブレード端部を製作する方法であって、
請求項1〜8の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯を用意するステップと、
繊維複合材料と固着剤材料とを巻き芯に巻くステップと、
前記固着剤材料を硬化させるステップと、
を備えた前記方法。
【請求項11】
風力発電設備のロータブレード用の、特に、風力発電設備のロータブレードのブレード端部用の後縁セグメントを製作する方法であって、
請求項9に記載の鋳型を用意するステップと、
繊維複合材料と固着剤材料とを前記鋳型内に導入するステップと、
前記固着剤材料を硬化させるステップと、
を備えた前記方法。
【請求項12】
風力発電設備用のロータブレードを製作する方法であって、
請求項1〜8の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯を使用することによって、及び/又は、請求項10に記載の方法によって、製作されたブレード端部を用意するステップと、
前記ブレード端部を、例えば、後縁セグメント、望ましくは、請求項9に記載の鋳型を使用することによって及び/又は請求項11に記載の方法によって製作された後縁セグメント、及び/又は、外側ブレード、及び/又は、ブレード先端部のような1つ又は複数の取り付け部分に、接続するステップと、
を備えた前記方法。
【請求項13】
風力発電設備用のロータブレードであって、
請求項1〜8の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯を使用することによって、及び/又は、請求項10に記載の方法によって、製作されたブレード端部と、
前記ブレード端部に接続された1つ又は複数の取り付け部分、例えば、後縁セグメント、望ましくは、請求項9に記載の鋳型を使用することによって及び/又は請求項11に記載の方法によって製作された後縁セグメント、及び/又は、外側ブレード、及び/又は、ブレード先端部と、
を備えた前記ロータブレード。
【請求項14】
請求項13に記載の少なくとも1つのロータブレードを備えた風力発電設備。
【請求項15】
風力発電設備用のロータブレードシリーズであって、
請求項1〜8の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯を使用することによって、及び/又は、請求項10に記載の方法によって、製作された第1のブレード端部と、
請求項1〜8の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯を使用することによって、及び/又は、請求項10に記載の方法によって、製作された第2のブレード端部と、
第1の外側ブレード及び第2の外側ブレードと、
を備えており、
第1のロータブレードを形成するために、前記第1のブレード端部が前記第1の外側ブレードに接続可能であり、及び/又は、接続されており、第2のロータブレードを形成するために、前記第2のブレード端部が前記第2の外側ブレードに接続可能であり、及び/又は、接続されており、
前記第1のロータブレードが、第1のロータ径を有する風力発電設備に適合しており、前記第2のロータブレードが、第2のロータ径を有する風力発電設備に適合しており、前記第1のロータ径が前記第2のロータ径とは異なる、前記ロータブレードシリーズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電設備のロータブレード用のブレード端部を製作するための巻き芯と、風力発電設備のロータブレード用の、特に、風力発電設備のロータブレードのブレード端部用の後縁セグメントを製作するための鋳型と、に関する。更に、本発明は、風力発電設備のロータブレードのブレード端部を製作する方法、風力発電設備のロータブレード用の、特に、風力発電設備のロータブレードのブレード端部用の後縁セグメントを製作する方法、及び、風力発電設備のロータブレードを製作する方法にも関する。また、本発明は、風力発電設備用のロータブレードと、風力発電設備と、風力発電設備用のロータブレードシリーズとにも関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電設備は周知であり、現在最も一般的なタイプの風力発電設備は、通常3つのロータブレードを有する、いわゆる水平軸型風力発電設備である。このような風力発電設備の外形寸法は、ますます大きくなって来ており、即ち、特に、それらのハブ又は軸の高さはより高くなり、ロータ径はより大きくなり、それに対応して、その発電機と給電電力もより大きくなって来ている。ロータ径がより大きくなることは、ロータブレードがより長くなることを意味しており、それらのロータブレードを、それらが製造された場所からそれぞれの建設場所に輸送して設置する必要がある。特許文献1には、例えば、ロータブレードの内側部分、即ち、ロータブレード端部と、ロータブレードの外側部分、即ち、外側ブレードと、を有する分割型ロータブレードが開示されている。また、特許文献2には、ワインディングプロセス(winding process:巻き処理)によってブレード端部を製作するための装置と方法が開示されている。また、様々なサイズと形状のロータブレードシェルを製作するための装置が、特許文献3から知られている。
【0003】
ロータ径がより大きくなり、それに応じてロータブレードがより長くなると、それらのロータブレードの製作、特に空気力学に関する設計、及び、耐荷力に課せられる要件が高くなる。特に、相異なるロータ径を有する、特にロータ径が大きくなる風力発電設備用のロータブレードの開発と製作とに要する時間とコストは増大する。
【0004】
独国特許商標庁は、本出願に関する優先権出願において、次の先行技術文献を調査した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102014206670号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102013204635号明細書
【特許文献3】独国特許発明第102014001445号明細書
【特許文献4】独国特許発明4335221号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第102008055580号明細書
【発明の概要】
【0006】
従って、本発明の目的は、上述の問題の少なくとも1つに取り組むことである。特に、費用対効果を高め、及び/又は、ロータブレードの設計及び/又は製作及び/又は輸送についての消費量を低減する解決手段を提案することを意図する。
【0007】
本発明に従えば、この目的は、風力発電設備のロータブレード用のブレード端部を製作するための巻き芯であって、ブレード端部をロータハブに接続するためのハブ接続構造部を形成するための第1の端部を有する第1のセクションと、ブレード端部を外側ブレードに接続するための外側ブレード接続構造部を形成するための第2の端部を有する第2のセクションと、を備えており、該巻き芯を用いて製作されたブレード端部が相異なるロータ径を有する風力発電設備に適合するように、第1のセクションを交換するか、あるいは、完全に又は部分的に除去することによって、該巻き芯の長手方向の広がり及び/又は第1のセクションの直径及び/又は第1のセクションの形状を変更することが可能である、該巻き芯によって達成される。
【0008】
この巻き芯は、望ましくは、取り外し可能に互いに接続可能な又は接続されている第1のセクションと第2のセクションを有している。第2のセクションは、交換できる、あるいは、完全に又は部分的に除去できる。このようにして、この巻き芯を用いて風力発電設備の相異なるロータブレード径に適合するブレード端部を製作できる。この目的のために、第1のセクションを交換するか、あるいは、完全に又は部分的に除去することによって、この巻き芯を、特に、その長手方向の広がり及び/又はその直径、例えば、その内径及び/又はその外径及び/又はその形状について、変更する。このように巻き芯を変更する、即ち、修正することには、それに対応して異なるブレード端部が作成されるという効果がある。この場合、この巻き芯の変更は、これによって製作されたブレード端部が、相異なるロータ径を有する風力発電設備に適合するように、特に相異なる長手方向の広がりを有するように実施される。
【0009】
これは、特に、この巻き芯の第1及び第2のセクションを用いて製作されており、第1のロータ径を有する第1の風力発電設備に適合する第1のブレード端部と、第1のセクションが交換された、あるいは、完全に又は部分的に除去された巻き芯を用いて製作されており、第1のロータ径とは異なる第2のロータ径を有する第2の風力発電設備に適合する第2のブレード端部と、によって実現できる。望ましくは、このようにして製作された2つのブレード端部は相異なる長手方向の広がりを有しており、その結果、これらの2つのブレード端部を、同一になるように形成された外側ブレードと組み合わせても、相異なるロータブレードが、特に、相異なる長手方向の広がりを有するロータブレードが作成される。
【0010】
本発明は、とりわけ、特に分割型ロータブレードの場合において、ロータブレードを相異なるロータ径に適合させることが、ブレード端部の修正によって、特にコスト効率よく且つ低コストで、実現できることに基づいている。特に、ブレード端部の長手方向の広がり及び/又はその直径、特に、ブレード端部の、特にロータハブ方向の第1の端部における内径及び/又は外径及び/又はその形状を変更することによって、そのようなブレード端部を有するロータブレードを相異なるロータ径に適合させることが可能及び/又は容易になり得る。
【0011】
使用される巻き芯は、一般的に、望ましくは織物として形成された及び/又は織物の形態で製作された繊維複合材料で巻かれる。この目的のために、巻き芯は、一般的に、繊維複合材料が巻き芯に供給されている間、回転しており、望ましくはモータによって駆動されている。また、巻き芯の周りにその長手方向の全体の広がりに沿って巻くために、巻き処理期間中には巻き芯及び/又は繊維複合材料を巻き芯の長手方向の広がりの方向に並進運動させることが望ましく、その理由は、巻き芯の長手方向の広がりが一般的に繊維複合材料の織物の幅よりも広いからである。
【0012】
繊維複合材料には、例えば含浸装置内で、固着剤材料を含浸させることが望ましい。この段階において、固着剤材料は液体である及び/又は流動性を有することが望ましい。固着剤材料を含浸させた繊維複合材料は、巻き処理の完了後に硬化させられて、それによって、硬化済み繊維複合ブレード端部が作成されて、巻き芯から取り外せることが望ましい。ロータブレードを形成するために、このブレード端部は、例えば外側ブレード及び/又は後縁セグメント及び/又はブレード先端部のような1つ又は複数の取り付け部分に接続されてもよい。この目的のために、ブレード端部は、設置状態においてロータハブ方向に向いた端部面にハブ接続構造部を有することが望ましい。また、ブレード端部は、外側ブレード接続構造部も有することが望ましく、この外側ブレード接続構造部は、設置状態においてロータハブから離間して外側ブレード方向に向いた端部面に配置されていることが望ましい。
【0013】
ブレード端部及び/又は後縁セグメント及び/又は外側ブレードは、半完成ロータブレード部分とも呼称されることがある。
【0014】
ブレード端部の接続構造部は、とりわけ、巻き芯の第1の端部と第2の端部の形状によって規定される。巻き芯の第1の端部は、ブレード端部のハブ接続構造部を形成するために使用されることが望ましく、巻き芯の第2の端部は、ブレード端部の外側ブレード接続構造部を形成するために使用されることが望ましい。
【0015】
本発明に従う巻き芯は、様々なブレード端部が、従って、様々なロータブレードが、巻き芯を用いて製作でき、それによって、様々なロータ径を有する風力発電設備が、特に、相異なる、時には遠隔の場所においても、迅速に、柔軟に、及び/又は、低コストで実現できるという利点を有している。
【0016】
同一の、しかしながら変更可能な巻き芯を使用する結果として、特に、同じ外側ブレードが、相異なる長手方向の広がりを有するロータブレードを製作するために使用される場合には、コストと品質とに関して利点を有し得る連続製作又は大量製造の多大な効果があり得る。更に、このような構成は、低コストでの修正、低コストでの連続製作の管理、低コストでの認証、低コストでの検査と点検、及び、低コストでの試作品の管理に関して利点を有している。製作施設内で使用される場所の面積も低減でき、その理由は、多数の相異なるブレード端部が1つの巻き芯で製作でき、各々の相異なるブレード端部用に個別の巻き芯を備えておく必要がないからである。(新規な)ロータブレード及びブレード端部の組み立てと設計とにおいてもコストを顕著に低減できる。最後に、輸送とロジスティックス(logistics)においても利点が得られる。
【0017】
この巻き芯の望ましい一実施形態に従えば、第1のセクションが完全に除去されて、第2のセクションの第1の端部が、ハブ接続構造部を形成するために使用されることが規定される。ブレード端部の別の異形態を製作するために、特に、短縮された長手方向の広がりを有するブレード端部を製作するために、巻き芯の第1のセクションを除去できる。この場合、望ましくは第2のセクションの第2の端部とは反対側にある、第2のセクションの第1の端部が、ブレード端部のハブ接続構造部を形成するために使用される。この場合、ブレード端部は、実質的に、巻き芯の第2のセクションの第1の端部から第2の端部まで広がっている。第2のセクションの第2の端部が、外側ブレード接続構造部を形成するために使用されるので、この場合、望ましくは第2の端部とは反対側にある、第2のセクションの第1の端部は、ハブ接続構造部を形成するために使用される。
【0018】
また、第1のセクションが2つ、3つ又はそれよりも多くの巻き芯セグメントを有していることも規定されることが望ましい。これらの2つ、3つ又はそれよりも多くの巻き芯セグメントは、長手方向に互いに隣接して配置されていることが望ましい。また、これらの2つ、3つ又はそれよりも多くの巻き芯セグメントは、長手方向において、それぞれ、隣接する巻き芯セグメントに取り外し可能に接続されていることも望ましい。これらの巻き芯セグメントのこの配置、及び/又は、隣接する巻き芯セグメント相互間の取り外し可能な接続には、巻き芯の第1のセクションが完全に又は部分的に除去でき、あるいは、もし適切であれば、先の除去の後に、容易に且つ迅速に且つ低コストで再び付け加えられるという利点がある。
【0019】
また、1つ又は複数の巻き芯セグメントが除去されて、残りの1つの巻き芯セグメントの第1の端部が、ハブ接続構造部を形成するために使用されることも規定されることが望ましい。この場合においても、特に短縮された長手方向の広がりを有するブレード端部が1つ又は複数の巻き芯セグメントの除去によって製作できることが望ましい。この場合、第2のセクションから最も離れている残りの1つの巻き芯セグメントの第1の端部が、即ち、外側ブレード接続構造部を形成するために使用される第2のセクションの第2の端部とは反対側に在り、且つ、特に短縮された巻き芯については、その第2の端部とは反対側に在るこの短縮された巻き芯の第1の端部を代表するものが、ハブ接続構造部を形成するために使用される。
【0020】
別の望ましい発展形態において、第2のセクションの第1の端部が第1のセクションの第1の端部に対応していること、及び/又は、巻き芯セグメントのうちの1つの又は複数の又は全ての巻き芯セグメントの第1の端部が第1のセクションの第1の端部に対応していることが規定される。
【0021】
この一実施形態は、相異なるブレード端部が製作できるが、それらが同一のハブ接続構造部を有しているという利点を有している。
【0022】
第2のセクションの第1の端部と、第1のセクションの第1の端部、あるいは、1つの又は複数の又は全ての巻き芯セグメントの第1の端部とは、それらの直径、特にそれらの内径及び/又は外径に関して及び/又はそれらの形状に関して、対応していることが望ましい。
【0023】
この一実施形態によれば、特に、長手方向の広がりに関して相異なるが、ハブ接続構造部に関して、全く同じである及び/又は互換性がある及び/又は交換可能であるブレード端部が製作できる。
【0024】
別の望ましい一実施形態に従えば、第1のセクション及び/又は第2のセクションは、実質的に回転対称に形成されている。これは、特に、巻き芯の回転によるブレード端部の巻き処理を実現する及び/又は容易にするために、望ましい。ここでは、例えば、楕円形の形状も、回転対称の形状として解釈される。
【0025】
第1のセクションが実質的に円筒形の形状を有していることも望ましい。巻き芯の第1のセクションは、一般的に、ブレード端部の、ハブに近いセクションを形成するために使用されるので、また、この第1のセクションは、交換、あるいは、部分的に又は完全に除去され得るので、円筒形の形状の構成が、特に、長手方向の広がりに垂直な円形断面を有する形状の構成が望ましい。
【0026】
第2のセクションは、実質的に円筒形及び/又は実質的に切頭円錐形の形状を有していてもよい。第2のセクションを実質的に円筒形の形状に構成することは、巻き芯全体が実質的に円筒形に形成され、それによって、内側の空洞が、特にブレード端部の長手方向の広がり全体に亘って、実質的に円筒形に形成されたブレード端部を作成するという利点を有している。その代わりに、第2のセクションを実質的に切頭円錐形に形成することが望ましいこともある。この一実施形態では、巻き芯は、第2のセクションの第2の端部に向かって次第に細くなっていることが望ましい。また、巻き芯の第2のセクションの形状が理想的な切頭円錐形の形状から逸脱して、切頭円錐形の横表面が湾曲して形成されており、その結果、巻き芯の長手方向の広がりに垂直な断面において、切頭円錐形の外側の縁端が直線ではないことも望ましい場合がある。第2のセクションにおいて円筒形の形状と切頭円錐形の形状とを組み合わせることも、望ましい場合がある。
【0027】
本発明の別の一態様に従えば、冒頭で述べた目的は、風力発電設備のロータブレード用の、特に、風力発電設備のロータブレードのブレード端部用の後縁セグメントを製作するための鋳型であって、これを用いて製作された後縁セグメントが、相異なるロータ径を有する風力発電設備用のロータブレードに適合するように、1つ又は複数の鋳型セグメントを交換及び/又は除去及び/又は追加することによって、該鋳型の長手方向の広がり及び/又は該鋳型の形状及び/又は長手方向の広がりに垂直な該鋳型の最大限の広がりを変更することが可能である、鋳型によって達成される。
【0028】
ロータブレードのブレード端部に関して上述した問題事項と本発明に従う巻き芯の有益な態様とは、相異なるロータブレード径を有する風力発電設備用のそのような相異なるロータブレード用に意図された後縁セグメントにも同様に当てはまる。後縁セグメントは、一般的に、ロータブレードを、その空力効果に関して、改善するために使用される。分割型ロータブレードの場合では、後縁セグメントは、一般的に半径方向において、一般的に、少なくともブレード端部において固定される。修正可能な巻き芯を用いて製作できるブレード端部のバリエーションを、後縁セグメントについても、複製するために、あるいは、もし適切であれば、そのバリエーションを増やすために、もし相異なる後縁セグメントが迅速に且つ容易に且つ低コストで作成できれば、それは有益である。1つ又は複数の鋳型セグメントを交換及び/又は除去及び/又は追加することによって修正できる後縁セグメント製作用鋳型の提供は、巻き芯に関して上述した利点に対応する利点を有している。特に、1つ又は複数の鋳型セグメントを交換及び/又は除去及び/又は追加することによって、鋳型の長手方向の広がり及び/又は鋳型の形状及び/又は長手方向の広がりに垂直な、特に半径方向及び/又は接線方向の鋳型の最大限の広がりを修正できることが望ましい。従って、この鋳型で製作された後縁セグメントも、それらの長手方向の広がり及び/又はそれらの形状及び/又は長手方向の広がりに垂直な、特に半径方向及び/又は接線方向のそれらの最大限の広がりに関して、ロータブレード、特にブレード端部に対して、変わる。
【0029】
本発明の別の一態様に従えば、冒頭で述べた目的は、風力発電設備のロータブレード用のブレード端部を製作する方法であって、ここに記載の巻き芯を用意するステップと、繊維複合材料と固着剤材料とを巻き芯に巻くステップと、固着剤材料を硬化させるステップと、を備えた該方法によって達成される。
【0030】
少なくとも部分的に既に上述したように、巻き芯を用いてブレード端部を製作するためには、先ず、ここに記載の巻き芯が用意される。特に、特定のロータ径を有する風力発電設備のロータに適合するブレード端部を製作するために、巻き芯が、特にそのロータ径について望まれるロータブレードの長手方向の広がりに関してそのロータ径に適合するように、第1のセクションを交換する、あるいは、完全に又は部分的に除去することによって、調節されることが望ましい。繊維複合材料と固着剤材料とが巻き芯に巻かれ、その際、繊維複合材料は、望ましくは織物の形態で用意されており、この繊維複合材料に液体である及び/又は流動性を有する固着剤材料を含浸させている。望ましくは、巻き処理の後に、固着剤材料が硬化させられ、その結果、硬化済み繊維複合ブレード端部が作成される。望ましくは、その硬化の後に、巻き芯が、硬化済み繊維複合ブレード端部から取り除かれる。
【0031】
本発明の別の一態様に従えば、冒頭で述べた目的は、風力発電設備のロータブレード用の、特に、風力発電設備のロータブレードのブレード端部用の後縁セグメントを製作する方法であって、ここに記載の鋳型を用意するステップと、繊維複合材料と固着剤材料とを鋳型内に導入するステップと、固着剤材料を硬化させるステップと、を備えた該方法によって達成される。
【0032】
後縁セグメントの製作のために、ここに記載の後縁セグメントの製作用の鋳型が用意されて、その中に繊維複合材料と固着剤材料とが導入される。固着剤材料の硬化の後に、硬化済み後縁セグメントが鋳型から取り除けることが望ましい。特定のロータ径を有する風力発電設備に適合する後縁セグメントを製作するために、鋳型が、そのロータ径に適合するように、特に、1つ又は複数の鋳型セグメントを交換及び/又は除去及び/又は追加することによって、調節されることが望ましい。
【0033】
本発明の別の一態様に従えば、冒頭で述べた目的は、風力発電設備用のロータブレードを製作する方法であって、ここに記載の巻き芯を使用することによって、及び/又は、ここに記載の一方法によって、製作されたブレード端部を用意するステップと、ブレード端部を、例えば、後縁セグメント、望ましくは、ここに記載の鋳型を使用することによって及び/又はここに記載の一方法によって製作された後縁セグメント、及び/又は、外側ブレード、及び/又は、ブレード先端部のような1つ又は複数の取り付け部分に、接続するステップと、を備えた該方法によって達成される。
【0034】
ロータブレードは、ここに記載のブレード端部を用意するステップと、望ましくは、その硬化の後に、それを1つ又は複数の取り付け部分に接続してロータブレードを形成する、あるいは、ロータブレード用の別の半完成部分、例えば、更に外側ブレードに接続される必要のある、ブレード端部と後縁セグメントとの組み合わせを形成するステップと、によって製作される。後縁セグメントも、ここに記載の如く形成されていることが望ましい。要するに、ブレード端部及び/又は後縁セグメントは、それらが特定のロータ径に適合するように、巻き芯及び/又は鋳型を修正することによって、製作されることが望ましい。また、外側ブレードも、特定のロータ径と整合させることが望ましい場合もある。ブレード端部と1つ又は複数の取り付け部分との間の接続は、ねじ留め及び/又は接着結合によって実施されることが望ましい。
【0035】
本発明の別の一態様に従えば、冒頭で述べた目的は、風力発電設備用のロータブレードであって、ここに記載の巻き芯を使用することによって、及び/又は、ここに記載の一方法によって、製作されたブレード端部と、ブレード端部に接続された1つ又は複数の取り付け部分、例えば、後縁セグメント、望ましくは、ここに記載の鋳型を使用することによって及び/又はここに記載の一方法によって製作された後縁セグメント、及び/又は、外側ブレード、及び/又は、ブレード先端部と、を備えた該ロータブレードによって達成される。
【0036】
外側ブレードは、この外側ブレードをブレード端部の外側ブレード接続構造部に接続するためのブレード端部接続構造部を有していることが望ましい。また、外側ブレードは、このブレード端部接続構造部とブレード端部の外側ブレード接続構造部との接続によって、ブレード端部に接続されることが望ましい。
【0037】
また、ロータブレードは、ここに記載の鋳型を使用することによって、及び/又は、ここに記載の後縁セグメント製作方法によって、製作された後縁セグメントも備えていることが望ましい。
【0038】
また、冒頭で述べた目的は、ここに記載の少なくとも1つのロータブレードを備えた風力発電設備によっても達成される。特に、この風力発電設備は、タワーと、このタワーに回転可能に取り付けられたナセルとを備えており、このナセルには、複数のロータブレード、望ましくは3つのロータブレードを有するロータが回転可能に取り付けられていることが望ましい。
【0039】
また、冒頭で述べた目的は、風力発電設備用のロータブレードシリーズであって、ここに記載の巻き芯を使用することによって、及び/又は、ここに記載の一方法によって、製作された第1のブレード端部と、ここに記載の巻き芯を使用することによって、及び/又は、ここに記載の一方法によって、製作された第2のブレード端部と、第1の外側ブレード及び第2の外側ブレードと、を備えており、第1のロータブレードを形成するために、第1のブレード端部が第1の外側ブレードに接続可能であり、及び/又は、接続されており、第2のロータブレードを形成するために、第2のブレード端部が第2の外側ブレードに接続可能であり、及び/又は、接続されており、第1のロータブレードが、第1のロータ径を有する風力発電設備に適合しており、第2のロータブレードが、第2のロータ径を有する風力発電設備に適合しており、第1のロータ径が第2のロータ径とは異なる、該ロータブレードシリーズによっても達成される。
【0040】
本発明に従うロータブレードシリーズは、2つのブレード端部が、ここに記載の方法によって、及び/又は、ここに記載の巻き芯を用いて、製作されており、2つの外側ブレードに接続可能であり又は接続されていることによって区別される。このようにして作成された2つのロータブレードは、それらが、相異なるロータ径を有する風力発電設備に適合する程度にまで異なっている。これらの2つのロータブレードのこの差別化は、特に、ここに記載の巻き芯の変更によって得られる2つのブレード端部の相異なる構成によって実現されることが望ましい。特に、これらの2つのブレード端部の構成が、それらの長手方向の広がりに関して、互いに異なることが望ましい。このようにして、全く同じになるように形成された2つの外側ブレードを使用する場合であっても、特に長手方向の広がりが互いに異なる2つの相異なるロータブレードを製作できる。
【0041】
ロータブレードシリーズは、一般的に、単一の風力発電設備に装着されるのではなく、ロータ径が互いに異なる相異なる風力発電設備に装着される。
【0042】
ロータブレードシリーズの望ましい一発展形態に従えば、第1のロータブレード、特に第1のブレード端部は、ここに記載の鋳型を使用することによって、及び/又は、ここに記載の後縁セグメント製作方法によって、製作された第1の後縁セグメントを有していることが規定される。また、第2のロータブレード、特に第2のブレード端部は、ここに記載の鋳型を使用することによって、及び/又は、ここに記載の後縁セグメント製作方法によって、製作された第2の後縁セグメントを有していることも望ましい。
【0043】
ロータブレードシリーズの望ましい一発展形態において、第1の外側ブレードと第2の外側ブレードとは、全く同じになるように、あるいは、互いに異なるように、形成されている。これらの2つの外側ブレードを全く同じになるように形成することには、相異なるロータブレードを作成するために確保しておく必要のある相異なる外側ブレードの数がより少ないという利点がある。
【0044】
極端な場合、2つ又は3つ又はそれよりも多くの相異なるロータブレード径用のロータブレードシリーズが、一種類だけの外側ブレードを用いても、ブレード端部及び/又は後縁セグメントの変更によって、形成できる。更に、外側ブレードは、特に、それらの長手方向の広がり及び/又はそれらの形状及び/又はそれらのブレード先端部及び/又は別の特徴に関して、互いに異なるように形成されてもよい。相異なる外側ブレードと相異なるブレード端部及び/又は相異なる後縁セグメントとの組み合わせによって、著しく差別化されたロータブレードシリーズが形成できる。
【0045】
別の一実施形態に従えば、ロータブレードシリーズは、2つよりも多くのブレード端部と2つよりも多くの外側ブレードとを備えており、これらから2つよりも多くのロータブレードが形成される。また、2つよりも多くの後縁セグメントも備えられていることが望ましい場合もある。そのようなロータブレードシリーズにおいては、全ての外側ブレードを全く同じように、あるいは、互いに異なるように形成することが望ましい場合もある。しかしながら、一部の外側ブレードが全く同じように形成されており、その他の外側ブレードが互いに異なるように形成されているロータブレードシリーズが特に望ましい。また、全く同じように形成された外側ブレードの複数のグループが用意されて、それらのグループが、外側ブレードのその他の複数のグループとは、それぞれ、異なることが特に望ましい場合もある。
【0046】
第1の後縁セグメントと第2の後縁セグメントとが全く同じように、あるいは、互いに異なるように形成されているロータブレードシリーズも望ましい場合がある。ここでも、3つ又はそれよりも多くの後縁セグメントが用意されているロータブレードシリーズにおいて、これら全ての後縁セグメントが全く同じように形成されていても、あるいは、これら全ての後縁セグメントが互いに異なるように形成されていてもよい。しかしながら、一部の後縁セグメントのみが互いに異なるように形成され、その他の後縁セグメントが全く同じように形成され、特に、全く同じように形成された後縁セグメントの複数のグループが、その他の後縁セグメントの複数のグループとは異なることも望ましい場合もある。
【0047】
本発明のこれらの別の態様及びそれらのそれぞれの発展形態の利点と構成上の異形態と構成上の詳細事項とに関しては、それぞれ、その他の態様の対応する利点と構成上の異形態と構成上の詳細事項の別の説明も参照されたい。
【0048】
以下、本発明の望ましい実施形態を、下記の添付図面に基づいて、例として、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】風力発電設備の概略的な代表的な図を示す図である。
【
図2A】巻き芯の、一例としての第1の実施形態の概略的な側面図を示す図である。
【
図2B】
図2Aに示された異形態に比べて短縮された巻き芯を示す図である。
【
図2C】
図2Bに示された異形態に比べて更に短縮された巻き芯を示す図である。
【
図3A】後縁セグメントを有するブレード端部の、一例としての第1の実施形態を示す図である。
【
図3B】後縁セグメントを有するブレード端部の、一例としての別の一実施形態を示す図である。
【
図3C】後縁セグメントを有するブレード端部の、一例としての別の一実施形態を示す図である。
【
図4A】ブレード端部と後縁セグメントと外側ブレードとを有するロータブレードの、一例としての第1の実施形態を示す図である。
【
図4B】ブレード端部と後縁セグメントと外側ブレードとを有するロータブレードの、一例としての別の一実施形態を示す図である。
【
図4C】ブレード端部と後縁セグメントと外側ブレードとを有するロータブレードの、一例としての別の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、タワー1102とナセル1104とを備えた風力発電設備1100を示している。ナセル1104には、3枚のロータブレード1108とスピナ1110とを備えたロータ1106が配置されている。稼働時に、ロータ1106が、風によって回転運動させられて、それによって、ナセル1104内の発電機を駆動する。
【0051】
ロータブレード1108の少なくとも1つ、望ましくは3つの全てのロータブレード1108が、
図2A、2B又は2Cに従う巻き芯を用いて製作されており、
図3A、3B又は3Cに従う後縁セグメントを有するブレード端部を備えており、及び/又は、
図4A、4B又は4Cに従うロータブレードに対応している。
【0052】
図2A、2B、2Cには、巻き芯100、100′、100″が示されており、これらの3つの図において互いに異なっている。
図3A、3B、3Cには、ブレード端部200、200′、200″が、後縁セグメント300、300′、300″と共に示されており、これらのブレード端部200、200′、200″は、
図2A、2B、2Cに従う巻き芯100、100′、100″の相異なる形態によって製作されている。次に、
図4A、4B、4Cには、各々、ブレード端部290、290′、290″と後縁セグメント390、390′、390″と外側ブレード400、400″とを備えており、ロータブレードシリーズを形成する3つのロータブレード500、500′、500″が示されている。
【0053】
図2Aにおいて、巻き芯100は、その最大限の長手方向の広がりLWmaxを有している。
図2Bにおいて、巻き芯100′は、
図2Aに示された異形態と比較して量R1だけ短縮されている。
図2Cにおいて、巻き芯100″は、
図2Aに示された異形態と比較して量R2だけ短縮されている。従って、
図2A、2B、2Cに示された巻き芯100、100′、100″の相異なる形態は、それらの長手方向の広がりが異なっている。
【0054】
巻き芯100、100′、100″は、第1のセクション110、110′、110″と第2のセクション120とを有している。第2のセクション120は、第1の端部121とその反対側の第2の端部122とを有している。第2のセクション120は、長手方向の広がりLA2を有している。
【0055】
第2のセクション120の第1の端部121は、第1のセクション110、110′、110″の第2の端部112に接続されている。
【0056】
第2の端部122は、繊維複合材料と固着剤材料とを巻き芯の周りに巻く際に、ブレード端部の外側ブレード接続構造部を形成するために使用される。
【0057】
図2Aに示された巻き芯100は、
図3Aに示されたブレード端部200を製作するために使用される。
図2において、巻き芯100は、全部そろった状態で存在する第1のセクション110を有しており、この第1のセクション110は、その最大限の長手方向の広がりLA1maxを有している。第1のセクション110の第1の端部111は、ブレード端部200のハブ接続構造部211を形成するために使用される。第1の端部111において、第1のセクション110は、望ましくは外径である直径Dを有している。
【0058】
第1のセクション110は、4つの巻き芯セグメント130、140、150、160も有している。これらの4つの巻き芯セグメント130、140、150、160は、それぞれ、第1の端部131、141、151、161と、それぞれ、第2の端部132、142、152、162と、を有している。第4の巻き芯セグメント160の第2の端部162は、同時に第1のセクション110の第2の端部112を形成している。第1の巻き芯セグメント130の第1の端部131は、同時に第1のセクション110の第1の端部111を形成している。巻き芯セグメント130、140、150、160は、それぞれ隣接する巻き芯セグメントに取り外し可能に接続されている。
【0059】
図2Aに示された巻き芯100は、
図3Aに示されたブレード端部200を作成するために使用でき、ブレード端部200の長手方向の広がりLBmaxは、巻き芯100の長手方向の広がりLWmaxに対応している。
【0060】
望ましくは、第1のセクション110は、ブレード端部200を製作するために円筒形に形成されており、ブレード端部200は、この領域LZにおいて少なくとも1つの円筒形の内側の空洞を有している。
【0061】
後縁セグメント300は、ブレード端部200の長手方向の広がりLBmaxの一部分のみに亘って伸延している。
【0062】
図2Bに示された巻き芯100′は、
図3Bに示されたブレード端部200′を製作するために使用される。両方の図から分かるように、巻き芯100′とブレード端部200′とは、共に、
図2A、3Aに従う巻き芯100とブレード端部200とに比べて、それぞれの長手方向の広がりが量R1だけ短縮されている。これは、巻き芯100の第1の巻き芯セグメント130が除去されることによって実現されている。従って、第1の巻き芯セグメント130の長手方向における広がりは、短縮の度合いR1に対応している。
【0063】
第1のセクション110′の第1の端部111′は、巻き芯100′の場合、第2の巻き芯セグメント140の第1の端部141によって形成されており、ブレード端部200′のハブ接続構造部211′を形成するために使用される。
【0064】
図2Cに示された巻き芯100″は、
図3Cに示されたブレード端部200″を製作するために使用される。第1のセクション110″の第1の端部111″は、巻き芯100″の場合、第3の巻き芯セグメント150の第1の端部151によって形成されており、ブレード端部200″のハブ接続構造部211″を形成するために使用される。
【0065】
第1のセクション110、110′、110″が望ましい円筒形の形状に形成される場合、ブレード端部200、211′、211″のハブ接続構造部211、211′、211″も都合良く一定に得られる。ここに代表的に示された実施形態の場合、巻き芯100、100′、100″の第2のセクション120は不変であるので、ブレード端部200、200′、200″の外側ブレード接続構造部222も一定である。
【0066】
後縁セグメント300、300′、300″は、ブレード端部200、200′、200″の長手方向の広がりの一部分のみに亘って伸延している。後縁セグメント300、300′、300″のそれぞれの形状は、特に、後縁セグメント300、300′、300″の長手方向の広がりに対して垂直な、それらの半径方向及び/又は接線方向の広がりは、それぞれのロータブレードの設計に適合させることが望ましい。特に、3つの後縁セグメント300、300′、300″は、後縁セグメント製作用鋳型で、ここに記載の如く製作されることが望ましい。特に、望ましい鋳型は、後縁セグメント300の最大限のサイズが、特に最大限の長手方向の広がりLHmaxが、得られるもの、且つ、後縁セグメント300′、300″も同じ鋳型で製作できるように1つ又は複数の鋳型セグメントを交換及び/又は追加することによって変更できるもの、であってもよい。
【0067】
図4A、4B、4Cに示されたロータブレードシリーズは、3つの相異なるロータブレード500、500′、500″を有している。2つのロータブレード500、500′は、ブレード端部接続構造部401とブレード先端部402とを有する、全く同じに形成された外側ブレード400を備えている。ロータブレード500、500′は、相異なる形状に形成されたブレード端部290、290′によって、互いに異なり、これらのブレード端部290、290′は、それらの外側ブレード接続構造部222、222′によって、外側ブレード400のブレード端部接続構造部401に接続されている。
【0068】
ロータブレード500、500′は、相異なる形状に形成された後縁セグメント390、390′によっても、互いに異なっている。
図4A、4B、4Cに示された実施形態において、後縁セグメント390、390′、390″を、視覚的に及び/又は形状に関して及び/又は接続構造部に関して、外側ブレード400にも適合させるために、後縁セグメント390、390′、390″には接続構造部392、392′、392″も設けられている。ブレード端部290、290′は、主にそれらの長手方向の広がりに関して、互いに異なる。ハブ接続構造部211、211′と外側ブレード接続構造部222、222′とは、各々、全く同じに形成されていることが望ましい。
【0069】
第3のロータブレード500″は、異なる形状に形成されたブレード端部290″及び異なる形状に形成された後縁セグメント390″によってのみならず、異なる外側ブレード400″によっても、最初の2つのロータブレード500、500′とは異なる。外側ブレード400″は、外側ブレード400よりも短い長手方向の広がりを有している。ブレード端部接続構造部401″は、外側ブレード400のブレード端部接続構造部401に対応していてもよい。ブレード先端部402′も、外側ブレード400のブレード先端部402に対応していてもよい。しかしながら、ブレード端部接続構造部401′及び/又はブレード先端部402も、ブレード400とは異なる形状に形成されていてもよい。
【0070】
また、ハブ接続構造部200″及び/又は外側ブレード接続構造部222″及び/又は接続構造部392″は、ロータブレード500、500′の対応する構造部と全く同じに、あるいは、異なる形状に、形成されていてもよい。
【0071】
とりわけ、これらのロータブレードシリーズに資する本発明の種々の態様の利点のうちの1つは、種々のロータブレードが、速く、安価に、そして確実に製作できることである。このようにして、風力発電設備用の、相異なるロータ径を有する相異なるロータブレードの設計、組み立て及び/又は製作についての費用を低減できる。
【手続補正書】
【提出日】2019年2月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電設備のロータブレード用のブレード端部を製作するための巻き芯であって、
前記ブレード端部をロータハブに接続するためのハブ接続構造部を形成するための第1の端部を有する第1のセクションと、
前記ブレード端部を外側ブレードに接続するための外側ブレード接続構造部を形成するための第2の端部を有する第2のセクションと、
を備えており、
前記巻き芯を用いて製作されたブレード端部が相異なるロータ径を有する風力発電設備に適合するように、前記第1のセクションを交換するか、あるいは、完全に又は部分的に除去することによって、前記巻き芯の長手方向の広がり及び/又は前記第1のセクションの直径及び/又は前記第1のセクションの形状を変更することが可能である、前記巻き芯。
【請求項2】
前記第1のセクションが完全に除去されて、前記第2のセクションの第1の端部が、前記ハブ接続構造部を形成するために使用されることを特徴とする、請求項1に記載の巻き芯。
【請求項3】
前記第1のセクションが2つ、3つ又はそれよりも多くの巻き芯セグメントを有していることを特徴とする、請求項1〜2の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯。
【請求項4】
1つ又は複数の巻き芯セグメントが除去されて、残りの1つの巻き芯セグメントの第1の端部が、前記ハブ接続構造部を形成するために使用されることを特徴とする、請求項1〜3の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯。
【請求項5】
前記第2のセクションの前記第1の端部が前記第1のセクションの前記第1の端部に対応していること、及び/又は、前記巻き芯セグメントのうちの1つの又は複数の又は全ての巻き芯セグメントの第1の端部が前記第1のセクションの前記第1の端部に対応していること、を特徴とする、請求項1〜4の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯。
【請求項6】
前記第1のセクション及び/又は前記第2のセクションが実質的に回転対称に形成されていることを特徴とする、請求項1〜5の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯。
【請求項7】
前記第1のセクションが実質的に円筒形の形状を有していることを特徴とする、請求項1〜6の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯。
【請求項8】
前記第2のセクションが実質的に円筒形及び/又は実質的に切頭円錐形の形状を有していることを特徴とする、請求項1〜7の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯。
【請求項9】
風力発電設備のロータブレード用の、特に、風力発電設備のロータブレードのブレード端部用の後縁セグメントを製作するための鋳型であって、これを用いて製作された後縁セグメントが、相異なるロータ径を有する風力発電設備用のロータブレードに適合するように、1つ又は複数の鋳型セグメントを交換及び/又は除去及び/又は追加することによって、前記鋳型の長手方向の広がり及び/又は前記鋳型の形状及び/又は前記長手方向の前記広がりに垂直な前記鋳型の最大限の広がりを変更することが可能である、前記鋳型。
【請求項10】
風力発電設備のロータブレード用のブレード端部を製作する方法であって、
請求項1〜8の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯を用意するステップと、
繊維複合材料と固着剤材料とを巻き芯に巻くステップと、
前記固着剤材料を硬化させるステップと、
を備えた前記方法。
【請求項11】
風力発電設備のロータブレード用の、特に、風力発電設備のロータブレードのブレード端部用の後縁セグメントを製作する方法であって、
請求項9に記載の鋳型を用意するステップと、
繊維複合材料と固着剤材料とを前記鋳型内に導入するステップと、
前記固着剤材料を硬化させるステップと、
を備えた前記方法。
【請求項12】
風力発電設備用のロータブレードを製作する方法であって、
請求項1〜8の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯を使用することによって、及び/又は、請求項10に記載の方法によって、製作されたブレード端部を用意するステップと、
前記ブレード端部を、例えば、後縁セグメント、望ましくは、請求項9に記載の鋳型を使用することによって及び/又は請求項11に記載の方法によって製作された後縁セグメント、及び/又は、外側ブレード、及び/又は、ブレード先端部のような1つ又は複数の取り付け部分に、接続するステップと、
を備えた前記方法。
【請求項13】
風力発電設備用のロータブレードであって、
請求項1〜8の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯を使用することによって、及び/又は、請求項10に記載の方法によって、製作されたブレード端部と、
前記ブレード端部に接続された1つ又は複数の取り付け部分、例えば、後縁セグメント、望ましくは、請求項9に記載の鋳型を使用することによって及び/又は請求項11に記載の方法によって製作された後縁セグメント、及び/又は、外側ブレード、及び/又は、ブレード先端部と、
を備えた前記ロータブレード。
【請求項14】
請求項13に記載の少なくとも1つのロータブレードを備えた風力発電設備。
【請求項15】
風力発電設備用のロータブレードシリーズであって、
請求項1〜8の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯を使用することによって、及び/又は、請求項10に記載の方法によって、製作された第1のブレード端部と、
請求項1〜8の少なくともいずれか一項に記載の巻き芯を使用することによって、及び/又は、請求項10に記載の方法によって、製作された第2のブレード端部と、
第1の外側ブレード及び第2の外側ブレードと、
を備えており、
第1のロータブレードを形成するために、前記第1のブレード端部が前記第1の外側ブレードに接続可能であり、及び/又は、接続されており、第2のロータブレードを形成するために、前記第2のブレード端部が前記第2の外側ブレードに接続可能であり、及び/又は、接続されており、
前記第1のロータブレードが、第1のロータ径を有する風力発電設備に適合しており、前記第2のロータブレードが、第2のロータ径を有する風力発電設備に適合しており、前記第1のロータ径が前記第2のロータ径とは異なる、前記ロータブレードシリーズ。
【請求項16】
風力発電設備の分割型ロータブレードであって、
前記ロータブレードの内側部分を構成するブレード端部と、
前記ロータブレードの外側部分を構成する外側ブレードと、を有し、
前記ブレード端部は、巻き芯を用いて構成されており、
前記巻き芯は、第1のセクションおよび第2のセクションを有し、前記第1のセクションは、交換可能又は全部若しくは一部除去可能であり、かつ、ロータハブと接続可能な第1の端部を有する前記ブレード端部を作成するように構成され、前記第2のセクションは、前記第1のセクションと取り外し可能に接続され、かつ、前記外側ブレードと接続可能な第2の端部を有する前記ブレード端部を作成するように構成されており、
前記ブレード端部が相異なるロータ径を有する風力発電設備に適合するように、前記第1のセクションを交換又は全部若しくは一部除去することによって、前記巻き芯の長手方向の広がり並びに/又は前記第1のセクションの直径及び/若しくは形状を変更することが可能である、前記ロータブレード。
【国際調査報告】