特表2019-517767(P2019-517767A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-517767対角方向に励起可能なアクチュエータプレートを有する超音波モータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-517767(P2019-517767A)
(43)【公表日】2019年6月24日
(54)【発明の名称】対角方向に励起可能なアクチュエータプレートを有する超音波モータ
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/04 20060101AFI20190603BHJP
【FI】
   H02N2/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-563113(P2018-563113)
(86)(22)【出願日】2017年5月31日
(85)【翻訳文提出日】2019年1月30日
(86)【国際出願番号】DE2017100463
(87)【国際公開番号】WO2017206992
(87)【国際公開日】20171207
(31)【優先権主張番号】102016110124.9
(32)【優先日】2016年6月1日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】505257752
【氏名又は名称】フィジック インストゥルメント(ピーアイ)ゲーエムベーハー アンド ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビシュネウスキー,ウラディミール
(72)【発明者】
【氏名】ビシュネウスキー,アレクセイ
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681AA05
5H681AA12
5H681BB02
5H681BB13
5H681CC02
5H681DD15
5H681DD23
5H681DD39
5H681DD64
5H681FF38
(57)【要約】
本発明は、その上に少なくとも2つの摩擦要素(3)が配置される、音響定在波のための2つのジェネレータ(23,24)と、駆動されるべき要素と、電気的励起デバイスとを有する超音波アクチュエータ(1)の形態の矩形圧電板(2)を備える超音波モータに関する。アクチュエータの圧電板は、互いに垂直に延在し、アクチュエータの主面の中央線を通って延在する2つの仮想平面(S1,S2)によって対角に配置されたセクションの2つの対へと分割され、ジェネレータ(23;24)の各々は、逆相で動作可能であり、その各々が圧電板の対角セクション内に配置される2つの部分(25+26;27+28)からなり、摩擦要素(3)は、圧電板(2)の1つのまたは2つの端面(10)上に配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波モータであって、矩形圧電板(2)の形態の超音波アクチュエータ(1)と、電気励起デバイス(53)と、駆動されるべき要素(7)とを備え、前記超音波アクチュエータは、音響定在波を生成するための2つのジェネレータ(23,24)と、前記超音波アクチュエータ上に配置され前記駆動されるべき要素に接触することを意図される少なくとも2つの摩擦要素(3)とを備え、前記超音波アクチュエータ(1)は、互いに垂直に延在し前記アクチュエータの主面(11)の中央線(16)を通って延在する2つの仮想平面(S1,S2)によって、対角に配置されたセクションの2つの対へと分割され、前記ジェネレータ(23,24)の各々は、逆相で動作可能であり各々が異なる対角セクションに配置される2つの部分(25,26,27,28)からなり、前記摩擦要素(3)は、前記超音波アクチュエータの前記端面のうちの1つの上または前記圧電板(2)の2つの対向する端面(10)上に配置されることを特徴とする、超音波モータ。
【請求項2】
前記圧電板(2)は、正方形または平行六面体の形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の超音波モータ。
【請求項3】
前記音響定在波のための前記ジェネレータ(23,24)は、励振電極(30,31)の少なくとも1つの層、1つまたは複数の共通電極(29)の少なくとも1つの層、および隣接する電極層間に配置される圧電セラミック材料(32)の少なくとも1つの層を有する、3層または多層構造を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項4】
対角音響定在波は、前記超音波モータの前記超音波アクチュエータ(1)内の音響定在波のための前記ジェネレータ(23,24)によって生成可能であり、前記圧電板(2)の1つの前記主面(11)の1つまたは両方の対角線(21,22)の方向に伝播することを特徴とする、上述の請求項のいずれか1項に記載の超音波モータ。
【請求項5】
前記超音波アクチュエータ(1)の前記電気励起デバイス(53)は、音響波のための一方のまたは他方の前記ジェネレータ(23、24)を、前記電圧によって作動される超音波アクチュエータ(1)に接続するための切替スイッチ(54)を備えることを特徴とする、上述の請求項のいずれか1項に記載の超音波モータ。
【請求項6】
前記電気励起デバイス(53)は、音響波のための第2の前記ジェネレータを励起するための追加的な電圧を生成するブロックを備えることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の超音波モータ。
【請求項7】
前記ブロックは、初期的な電圧の位相に対して前記追加的な電圧の位相を変化させることを特徴とする、請求項6に記載の超音波モータ。
【請求項8】
前記ブロックは、前記追加的な電圧の振幅を変化させることを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の超音波モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に係る超音波モータに関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許第10 2014 209 419 B3号広報から超音波モータが知られており、その超音波アクチュエータは、音響対角波のためのジェネレータを有し、2つの摩擦要素をその上に有する矩形圧電板として設計される。このモータの音響波のジェネレータは、電気的に並列に接続される2つの部分からなる。これは、モータの電気的励起電圧の2倍の増加につながる。加えて、既知の構成は、摩擦要素の軌道の形状についての著しい差によって特徴付けられ、その結果、その摩擦接触結果の摩耗の増加およびモータのサービス寿命の減少をもたらす。加えて、摩擦要素の軌道の形状における差は、低速運動において駆動されるべき要素の運動の高い不均一性を引き起こす。これらは、このモータの適用分野を縮小する。
【0003】
そのため、本発明の目的は、より低い電気的励起電圧において動作可能であり、摩擦接触におけるより少ない摩耗を呈し、より長いサービス寿命および低速運動において駆動されるべき要素の運動の改善された均一性を有する超音波モータを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に係る超音波モータによって満たされ、続く従属請求項は、少なくとも有利なさらなる発展を提示する。
【0005】
これ以後、「超音波アクチュエータ」と「アクチュエータ」という用語は、同義に使用されるものとする。
【0006】
超音波モータは、2つの最大面積の主面を有する矩形圧電板の形態の超音波アクチュエータを備え、2つの主面は、側面同士を接続し、超音波アクチュエータは、音響定在波を生成するための2つのジェネレータと、側面のうちの少なくとも1つの上に配置される少なくとも2つの摩擦要素とを有するということが想定される。さらに、超音波モータは、駆動されるべき要素と、電気励起デバイスとを有する。
【0007】
アクチュエータの圧電板は、互いに垂直に延在し、アクチュエータの主面の中央線を通って延在する2つの仮想平面によって対角に配置されたセクションの2つの対へと分割されることができ、ジェネレータの各々は、逆相で動作可能であり各々が圧電板の対角セクション内に配置される2つの部分からなり、摩擦要素は、端面を提示する側面上か、2つの反対に配置される端面上に配置される。
【0008】
圧電板を正方形または平行六面体の形状にすることが有利であり得る。
音響定在波のジェネレータは、励振電極の層と、共通電極の層と、それらの間の圧電セラミックの層とからなる、3層または多層構成を有することが有利であり得る。
【0009】
さらに、圧電板の1つの主面の1つまたは両方の対角線の方向に伝播する対角音響定在波が、超音波モータのアクチュエータ内の音響定在波のためのジェネレータによって生成可能であると、有利であり得る。
【0010】
さらに、アクチュエータの電気励起デバイスが、音響波のための一方のまたは他方のジェネレータを、電圧によって作動されるアクチュエータに接続するための切替スイッチを有するようにすることが有利であり得る。
【0011】
加えて、電気励起デバイスが、第2の音響波ジェネレータを励起するための追加的な電圧を生成するブロックを有することが有利であり得る。
【0012】
そのため、ブロックが、初期的な電圧の位相に対して追加的な電圧の位相を変化させることが有利であり得る。
【0013】
加えて、ブロックが、追加的な電圧の振幅を変化させることが有利であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る超音波モータの実施形態を示す。
図2図1に係る超音波モータの超音波アクチュエータを斜視図において示す。
図3】表現17〜20において図1に係る超音波モータの異なる図を示す。
図4】本発明に係る超音波モータの超音波アクチュエータの実施形態を示す。
図5】本発明に係る超音波モータの超音波アクチュエータの実施形態および内部構造を示す。
図6】本発明に係る超音波モータの超音波アクチュエータの実施形態および内部構造を示す。
図7】本発明に係る超音波モータの超音波アクチュエータを電気励起デバイスに接続するための2つの異なる接続ダイアグラム(表現52および55)を示す。
図8】表現57および表現58は、図7の表現52に係る接続ダイアグラムの超音波アクチュエータの作動または励起原理を示し、表現59および表現60は、図7の表現55に係る接続ダイアグラムの超音波アクチュエータの作動または励起原理を示す。
図9】超音波アクチュエータにおける定在波の形成のために励起された、本発明に係る超音波モータの超音波アクチュエータの計算されたまたはシミュレーションされた最大の変形を示す。
図10】本発明に係る超音波モータの超音波アクチュエータ上に配置される摩擦要素の軌道の表現を示す。
図11】本発明に係る超音波モータの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明に係る超音波モータの可能な実施形態を示しており、それは、面積についての2つの主面および2つの主面を互いに接続する4つの側面を有する矩形圧電板2の形態の超音波アクチュエータ1を備え、互いから離間される2つの摩擦要素3は、超音波アクチュエータの端面を提示する側面のうちの1つの上に配置され、これにより、摩擦要素の各々が、超音波アクチュエータのそれぞれ隣接する側面の端面に隣接する。アクチュエータ1は、支持部5を用いてハウジング4内に保持されるか取り付けられる。摩擦要素3は、ボールベアリング8を用いて直線的に移動可能にまたは変位可能に取り付けられた、駆動されるべき要素7の摩擦層6に対して押される。
【0016】
図2は、図1のアクチュエータ1の圧電板2を詳細に示す。プレート2は、長さL、幅B、および厚さDを有する。それは、側面9、端面10、および面積について最大の主面11を有する。端面10は、超音波モータが組み立てられた状態において、駆動されるべき要素7に向かうかそれからそれぞれ離れるように向く側面であり、その上に摩擦要素3が配置される。
【0017】
長さLが幅Bに等しい場合、プレートは、正方形の形状を有する。長さLが幅Bに等しくない場合、プレートは、平行六面体の形状を有する。プレート1は、互いに垂直に延在する2つの仮想平面S1およびS2によって、対角に配置されたセクション12,13および14,15の2つの対へと分割されることができる。平面S1およびS2は、主面11の中央線16の垂線を通ってそこに垂直に延在する。
【0018】
図3の表現17は、図1または図2それぞれのアクチュエータ1のプレート2の正面図を示す。図3の表現18および表現19は、プレート2の底面図および上面図を示し、一方、図3の表現20は、プレート2の背面図を示す。2つの対角線21および22に沿って配置されるのは、対角セクション12,13および対角セクション14,15の対応する2つの対である。圧電板2は、音響定在波を生成するための2つのジェネレータ23および24を備え、ジェネレータ23およびジェネレータ24の各々は、逆相で作動される2つの部分25,26および27,28からなる。部分25はセクション12に属し、部分26はセクション13に属し、部分27はセクション14に属し、部分28はセクション15に属する。
【0019】
図3に示されたプレート2の構成では、ジェネレータ23およびジェネレータ24は、3層構造を有する。ジェネレータ23およびジェネレータ24の各部分25,26および27,28は、共通電極29を有する層、励振電極30,31を有する層、およびそれらの間の圧電セラミック32の層を備える。電極29,30,31は、プレート2の主面上に配置される。プレート2の圧電セラミック材料全体は、図3に符号pを有する矢印によって示された方向に偏極される。ジェネレータ23およびジェネレータ24の共通電極29は端子33を備え、ジェネレータ23の励振電極30は端子34を備え、ジェネレータ24の励振電極31は端子35を備える。
【0020】
図4は、表現36〜39において、対角音響定在波のためのジェネレータ23,24が3層構造を有する、本発明に係る超音波モータの超音波アクチュエータ1の異なる構造的構成を示す。表現36は正面図を示し、表現37および表現38はそれぞれ底面図および上面図を示し、表現39は背面図を示す。超音波アクチュエータのこの構造的構成では、ジェネレータ23およびジェネレータ24の共通電極29は、互いに接続される。
【0021】
図5の表現40は、超音波アクチュエータ1の平面図を示し、ジェネレータ23およびジェネレータ24は、多層構造を有し、多層ジェネレータを呈する。表現41は、そのような超音波アクチュエータの対応する側面図を示す。表現42,45および表現43,44は、対角音響定在波の多層ジェネレータ23および多層ジェネレータ24の、逆相で作動される部分25,26および部分27,28の構造を示す。各部分25,26および27,28は、励振電極30および励振電極31の層と、共通電極29の層と、それらの間の圧電セラミック層32とが、交互に配置される層から構成される。
【0022】
図6は、対角音響定在波を生成するための多層ジェネレータ23および多層ジェネレータ24を有する、本発明に係る超音波モータのさらなる構造的構成の超音波アクチュエータを示す。表現46は、そのような超音波アクチュエータの上面図を示し、一方、表現47は、超音波アクチュエータの側面図を示す。表現48,51および表現49,50は、対角音響定在波のための多層ジェネレータ23および多層ジェネレータ24の、逆相で作動される部分25,26および部分27,28の構造を示す。図5に係る超音波アクチュエータの実施形態と同様に、電極層29,30,31は、ここではプレート2の主面11に平行に配置される。
【0023】
図7の表現52は、本発明に係る超音波モータの超音波アクチュエータ1の圧電板2を、電気励起デバイス53に接続するための、第1の接続ダイアグラムを示す。電気励起デバイス53は、交流電圧U1を生成し、その周波数は、圧電板2の対角線22または対角線21に沿ってまたはそれらの近くを伝播する、音響定在波の第2のモードの共振周波数と等しい。電圧U1は、切替スイッチ54を用いて、ジェネレータ24またはジェネレータ23の共通電極29へとおよび励振電極31または励振電極30へと印加される。本発明に係る超音波モータでは、ジェネレータ24およびジェネレータ23の部分27,28および25,26は、対角音響波の第2のモードを生成するために構成されるか逆相で作動される。部分は、そこで互いに並列に接続され、電圧U1を有する。
【0024】
図7の表現55は、本発明に係る超音波モータのアクチュエータ1の圧電板2を、電気励起デバイス53に接続するための第2の接続ダイアグラムを示し、電気励起デバイス53は、電圧U1のものと同じ周波数を有する追加的な電圧U2を提供されるブロック56を有する。モータの選択された動作スキームに依存して、電圧U2は、電圧U1に対して、特に0°からプラスまたはマイナス180°の角度範囲によって、位相シフトされることができる。モータ動作中に、この角度は変化されることができる。加えて、振幅および電圧U2は、変更されることができる。
【0025】
図8の表現57,58および表現59,60は、図2および図3それぞれに係る、または図5および図6それぞれに係る、アクチュエータ1の上面図を示す。摩擦要素3は各々、超音波アクチュエータ1の2つの端面10のうちの1つの上に配置される。図8のジェネレータの部分25,26および部分27,28の逆位相特性は、符号+/−によって示される。部分25,26および部分27,28の逆位相特性という用語は、部分の各々が他方の部分に対して反対の、プレート2内の変形を引き起こすことを意味する。
【0026】
図8内の表現は、図7に図示される対応する接続ダイアグラムを用いてアクチュエータ1を励起するための2つの原理を説明するために役立つ。第1の原理では、モータの動作中に電圧U1を用いて、1つのジェネレータのみ、すなわちジェネレータ24のみ(図8内の表現58)、またはジェネレータ23のみ(図8内の表現57)が作動される。電圧の切り替えは、切替スイッチ54を用いて行われる(図7内の表現52を参照)。ジェネレータ24またはジェネレータ23は、アクチュエータ1内で電圧U1によって励起され、プレート2の対角線22または対角線21に沿って伝播する対角音響定在波の第2のモードを生成する。第2の場合では(図8内の表現59,60)、モータの動作中に、ジェネレータ24およびジェネレータ23の両方が、電圧U1および電圧U2を用いて同時に励起される。ジェネレータ24およびジェネレータ23の各々は、アクチュエータ1内の対角音響定在波を生成し、対角音響定在波は、その対角線22または対角線21に沿って伝播する。この場合、モータの動作スキームは、図7における表現55内に示された接続ダイアグラムに対応する。図8において作動されたジェネレータ24およびジェネレータ23の部分27,28および部分25,25は、接続ダイアグラムの両方に対してハッチングされている。
【0027】
図9の表現61および表現62は、圧電板2の対角線22に沿って伝播する対角音響定在波がその内部に生成されるときの、アクチュエータ1の計算されたまたはシミュレーションされた最大の変形を示す。この場合、波は、ジェネレータ24によって生成される。アクチュエータ1の摩擦要素3の作用面上に示された点63および点64は、摩擦接続に関して駆動されるべき要素7の摩擦表面6と相互作用する。
【0028】
電圧U1を用いて生成され、対角線22に沿って伝播する対角音響定在波(図7内の表現52)では、摩擦要素3の作用面の材料点63および材料点64は、図10に示されるように楕円軌道65および楕円軌道66上を移動する。それぞれの運動方向は、矢印によって示される。ジェネレータ23によって使用される圧電板2の部分は、ジェネレータ24の励起中に電気的に作動されないので(図8、表現58参照)、プレート2は、この部分によって対称に搭載される。プレート2上のそのような搭載は、図10内に示される軌道65および軌道66における補正につながる。そこでの軌道65および軌道66の補正とは、楕円軌道65および楕円軌道66のそれぞれの2つの直径に対するそれらの寸法と、摩擦層6に対する軌道65および軌道66の傾斜角度が実質的に等しいことを意味する。
【0029】
楕円軌道上での摩擦要素3の作用面のすべての材料点の運動は、力Fの生成をもたらし、これは、アクチュエータ1の部分上で駆動されるべき要素7へと作用し、それを運動させる。切替スイッチ54の作動の際に、電圧U1はジェネレータ23を励起し、これにより対角線21に沿う音響定在波がアクチュエータ1内で生成される。そのような波を用いて、摩擦要素3の表面の材料点の運動の方向は、反対方向に反転する。このことは、駆動されるべき要素の運動の方向の、矢印によって示された方向への反転につながる。
【0030】
摩擦要素3の材料点の等しい円軌道67が、電圧U1によるジェネレータ24のおよび追加的な電圧U2によるジェネレータ23の、または電圧U1によるジェネレータ23のおよび追加的な電圧U2によるジェネレータ24の、同時の作動によって実現される。このことは、電圧U2の適切な振幅および位相を選択することによって達成されることができる。駆動されるべき要素7の運動の方向は、そして、電圧U2と電圧U1との間の位相シフト角の反転によって変化されることができる。
【0031】
図11は、超音波アクチュエータ1が、2つの追加的な摩擦要素68と、摩擦層69を有する駆動されるべき1つの追加的な要素70とを含む、本発明に係る超音波モータのさらなる実施形態を示す。
【0032】
参照番号の一覧
【符号の説明】
【0033】
1: 超音波アクチュエータ
2: 圧電板
3: 摩擦要素
4: ハウジング
5: 支持部
6: 摩擦層
7: 駆動されるべき要素
8: ボールベアリング
9: 側面
10: 端面
11: 主面
12,13,14,15: 対角セクション
16: 中央線
21,22: 対角
23,24: 対角音響定在波のためのジェネレータ
25,26: 逆相で作動されるジェネレータ23の部分
27,28: 逆相で作動されるジェネレータ24の部分
29: 共通電極の層
30: ジェネレータ23の励振電極の層
31: ジェネレータ24の励振電極の層
32: 圧電セラミック層
33: 共通電極29の出力
34: 励振電極30の出力
35: 励振電極31の出力
53: 電気励起デバイス
54: 切替スイッチ
56: 位相および/または電圧制御ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2019年1月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波モータであって、矩形圧電板(2)の形態の超音波アクチュエータ(1)と、電気励起デバイス(53)と、駆動されるべき要素(7)とを備え、前記超音波アクチュエータは、音響定在波を生成するための2つのジェネレータ(23,24)と、前記超音波アクチュエータ上に配置され前記駆動されるべき要素に接触することを意図される少なくとも2つの摩擦要素(3)とを備え、前記超音波アクチュエータ(1)は、互いに垂直に延在し前記アクチュエータの主面(11)の中央線(16)を通って延在する2つの仮想平面(S1,S2)によって、対角に配置されたセクションの2つの対へと分割され、前記ジェネレータ(23,24)の各々は、逆相で動作可能であり各々が異なる対角セクションに配置される2つの部分(25,26,27,28)からなり、前記摩擦要素(3)は、前記超音波アクチュエータの端面のうちの1つの上または前記圧電板(2)の2つの対向する端面(10)上に配置されることを特徴とする、超音波モータ。
【請求項2】
前記圧電板(2)は、正方形または平行六面体の形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の超音波モータ。
【請求項3】
前記音響定在波のための前記ジェネレータ(23,24)は、励振電極(30,31)の少なくとも1つの層、1つまたは複数の共通電極(29)の少なくとも1つの層、および隣接する電極層間に配置される圧電セラミック材料(32)の少なくとも1つの層を有する、3層または多層構造を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の超音波モータ。
【請求項4】
対角音響定在波は、前記超音波モータの前記超音波アクチュエータ(1)内の音響定在波のための前記ジェネレータ(23,24)によって生成可能であり、前記圧電板(2)の1つの前記主面(11)の1つまたは両方の対角線(21,22)の方向に伝播することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の超音波モータ。
【請求項5】
前記超音波アクチュエータ(1)の前記電気励起デバイス(53)は、音響波のための一方のまたは他方の前記ジェネレータ(23、24)を、電圧によって作動される超音波アクチュエータ(1)に接続するための切替スイッチ(54)を備えることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の超音波モータ。
【請求項6】
前記電気励起デバイス(53)は、音響波のための第2の前記ジェネレータを励起するための追加的な電圧を生成するブロックを備えることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の超音波モータ。
【請求項7】
前記ブロックは、初期的な電圧の位相に対して前記追加的な電圧の位相を変化させることを特徴とする、請求項6に記載の超音波モータ。
【請求項8】
前記ブロックは、前記追加的な電圧の振幅を変化させることを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の超音波モータ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
図8内の表現は、図7に図示される対応する接続ダイアグラムを用いてアクチュエータ1を励起するための2つの原理を説明するために役立つ。第1の原理では、モータの動作中に電圧U1を用いて、1つのジェネレータのみ、すなわちジェネレータ24のみ(図8内の表現58)、またはジェネレータ23のみ(図8内の表現57)が作動される。電圧の切り替えは、切替スイッチ54を用いて行われる(図7内の表現52を参照)。ジェネレータ24またはジェネレータ23は、アクチュエータ1内で電圧U1によって励起され、プレート2の対角線22または対角線21に沿って伝播する対角音響定在波の第2のモードを生成する。第2の場合では(図8内の表現59,60)、モータの動作中に、ジェネレータ24およびジェネレータ23の両方が、電圧U1および電圧U2を用いて同時に励起される。ジェネレータ24およびジェネレータ23の各々は、アクチュエータ1内の対角音響定在波を生成し、対角音響定在波は、その対角線22または対角線21に沿って伝播する。この場合、モータの動作スキームは、図7における表現55内に示された接続ダイアグラムに対応する。図8において作動されたジェネレータ24およびジェネレータ23の部分27,28および部分25,26は、接続ダイアグラムの両方に対してハッチングされている。
【国際調査報告】