特表2019-519684(P2019-519684A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特表2019-519684改善されたコーティングシステムを備える翼形部およびその形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-519684(P2019-519684A)
(43)【公表日】2019年7月11日
(54)【発明の名称】改善されたコーティングシステムを備える翼形部およびその形成方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 4/073 20160101AFI20190621BHJP
   C23C 4/18 20060101ALI20190621BHJP
   C23C 14/14 20060101ALI20190621BHJP
   C23C 14/58 20060101ALI20190621BHJP
【FI】
   C23C4/073
   C23C4/18
   C23C14/14 D
   C23C14/58 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-563049(P2018-563049)
(86)(22)【出願日】2017年5月18日
(85)【翻訳文提出日】2019年1月23日
(86)【国際出願番号】US2017033212
(87)【国際公開番号】WO2018048486
(87)【国際公開日】20180315
(31)【優先権主張番号】15/171,389
(32)【優先日】2016年6月2日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ナガラジュ,バンガロール・アスワタ
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,マイケル・デビッド
(72)【発明者】
【氏名】シーツ,スーザン・リー
【テーマコード(参考)】
4K029
4K031
【Fターム(参考)】
4K029AA02
4K029BA21
4K029BA22
4K029BB02
4K029BC01
4K029BD03
4K029CA01
4K029CA05
4K029EA01
4K029EA08
4K029GA01
4K031AA02
4K031AB03
4K031AB04
4K031AB05
4K031AB08
4K031CB21
4K031CB22
4K031CB27
4K031DA01
4K031DA04
4K031DA07
4K031FA01
4K031FA06
4K031FA07
(57)【要約】
超合金部品(19)の表面(13)に施すコーティングシステム(18)を提供している。本コーティングシステム(18)は、超合金部品(19)の表面(13)上に施されるMCrAlYコーティング(22)を備え、Mはニッケル、鉄、コバルト、またはそれらの組み合わせである。MCrAlYコーティング(22)は、通常超合金部品(19)のクロム含有量よりも高いクロム含有量を有する。MCrAlYコーティング(22)はまた、白金族金属アルミナイド拡散層を含む。MCrAlYコーティング(22)はレニウム、タンタル、またはそれらの混合物を含む。また、超合金部品(19)の表面(13)上にコーティングシステム(18)を形成する方法を提供している。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超合金部品(19)の表面(13)上に施されるコーティングシステム(18)であって、前記コーティングシステム(18)は、前記超合金部品(19)の表面(13)上のMCrAlYコーティング(22)であって、Mはニッケル、鉄、コバルト、またはそれらの組み合わせであり、前記MCrAlYコーティング(22)のクロム含有量は、前記超合金部品(19)のクロム含有量よりも高く、前記MCrAlYコーティング(22)は白金族金属アルミナイド拡散層を含み、さらに、前記MCrAlYコーティング(22)はレニウム、タンタル、またはそれらの混合物を含む、MCrAlYコーティング(22)を備える、コーティングシステム(18)。
【請求項2】
前記MCrAlYコーティング(22)は、前記超合金部品(19)に隣接している内側部分(21)、前記内側部分(21)上にある中間部分(31)、および前記中間部分(31)上にある外側部分(35)を含み、前記中間部分(31)のクロム含有量は、前記内側部分(21)および前記外側部分(35)のクロム含有量よりも重量パーセント単位でより高い、請求項1に記載のコーティングシステム(18)。
【請求項3】
前記外側部分(35)のクロム含有量は約3重量%〜約7.5重量%であり、前記中間部分(31)のクロム含有量は約8重量%〜約20重量%であり、さらに、前記内側部分(21)のクロム含有量は約5重量%〜約12重量%である、請求項2に記載のコーティングシステム(18)。
【請求項4】
前記MCrAlYコーティング(22)は、前記超合金部品(19)に隣接している内側部分(21)、前記内側部分(21)上にある中間部分(31)、および前記中間部分(31)上にある外側部分(35)を含み、前記外側部分(35)のレニウム含有量は、前記中間部分(31)のレニウム含有量よりも重量パーセント単位でより低く、さらに、前記中間部分(31)のレニウム含有量は、前記内側部分(21)のレニウム含有量よりも重量パーセント単位でより低い、請求項1に記載のコーティングシステム(18)。
【請求項5】
前記外側部分(35)のレニウム含有量は0重量%〜約0.1重量%であり、前記中間部分(31)のレニウム含有量は約0.1重量%〜約4重量%であり、前記内側部分(21)のレニウム含有量は約3重量%よりも高い、請求項4に記載のコーティングシステム(18)。
【請求項6】
前記MCrAlYコーティング(22)は、前記超合金部品(19)に隣接している内側部分(21)、前記内側部分(21)上にある中間部分(31)、および前記中間部分(31)上にある外側部分(35)を含み、前記外側部分(35)のタンタル含有量は、前記中間部分(31)のタンタル含有量よりも重量パーセント単位でより低い、請求項1に記載のコーティングシステム(18)。
【請求項7】
前記外側部分(35)のタンタル含有量は約0.1重量%〜約2.25重量%であり、前記中間部分(31)のタンタル含有量は約2.5重量%〜約7.5重量%であり、前記内側部分(21)のタンタル含有量を約3重量%〜約7.5重量%とすることができる、請求項6に記載のコーティングシステム(18)。
【請求項8】
前記MCrAlYコーティング(22)の厚さは約10μm〜約100μmであり、前記超合金部品(19)は、前記表面(13)内にフィルム孔(15)を画定している、請求項1に記載のコーティングシステム(18)。
【請求項9】
前記MCrAlYコーティング(22)は、約0.75μm〜約2.75μmの表面粗さ(Ra)を有する外部表面(13)を画定している、請求項1に記載のコーティングシステム(18)。
【請求項10】
前記MCrAlYコーティング(22)は、MCrAlY層(20)と前記白金族金属アルミナイド層とを共拡散したものを含み、前記白金族金属アルミナイド層は白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの混合物からなる群より選択される白金族金属を含む、請求項1に記載のコーティングシステム(18)。
【請求項11】
前記部品(19)の前記表面(13)上に前記MCrAlYコーティング(22)を直接施しており、前記コーティングシステム(18)は、前記MCrAlYコーティング(22)上に直接施される遮熱コーティング(36)をさらに備える、請求項1に記載のコーティングシステム(18)。
【請求項12】
前記MCrAlYコーティング(22)は、前記超合金部品(19)に隣接している内側部分(21)、前記内側部分(21)上にある中間部分(31)、および前記中間部分(31)上にある外側部分(35)を含み、前記内側部分(21)のハフニウム含有量は、前記中間部分(31)のハフニウム含有量よりも重量パーセント単位でより低く、さらに、前記外側部分(35)のハフニウム含有量は、前記中間部分(31)のハフニウム含有量よりも重量パーセント単位でより低い、請求項1に記載のコーティングシステム(18)。
【請求項13】
超合金部品(19)の表面(13)上にコーティングシステム(18)を形成する方法(500、600)であって、前記方法(500、600)は、
MCrAlY層(20)を前記超合金部品(19)の表面(13)上に形成すること(502、604)であって、前記MCrAlY層(20)のクロム含有量は、前記超合金部品(19)のクロム含有量よりも高く、Mがニッケル、鉄、コバルト、またはそれらの組み合わせである、ことと、
前記MCrAlY層(20)上に白金族金属層(30)を形成すること(504、606)と、
前記白金族金属層(30)を約900℃〜約1200℃の処理温度まで加熱すること(506、608)と、
前記白金族金属層(30)上にアルミナイドコーティング(34)を形成すること(508、610)とを含む、
方法(500、600)。
【請求項14】
前記コーティングシステム(18)を加熱して前記MCrAlY層(20)、前記白金族金属層(30)、および前記アルミナイドコーティング(34)からMCrAlYコーティング(22)を形成すること(510,612)をさらに含み、前記超合金部品(19)の前記表面(13)は、その内部に複数のフィルム孔(15)を画定しており、前記MCrAlYコーティング(22)を約10μm〜約100μmの厚さに蒸着しながら、一方で、前記超合金部品(19)の前記表面(13)内に画定した前記フィルム孔(15)を開放したままにしており、前記白金族金属層(30)を形成する前の前記MCrAlY層(20)は、約25重量%以下のクロム、約6重量%〜約7重量%のアルミニウム、約1重量%以下のハフニウム、約0.5重量%以下のイットリウム、約8重量%〜約12重量%のコバルト、約5重量%〜約7重量%のタンタル、約1重量%〜約3重量%のレニウム、約0.5重量%〜約1.5重量%のケイ素、約0.5重量%以下のジルコニウム、および平衡ニッケルを含む組成を有する、請求項13に記載の方法(500、600)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して構成部品の保護コーティングに関し、より詳細には、翼形部を有するガスタービン部品上のMCrAlYコーティングおよび白金族金属アルミナイドコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンでは、空気がエンジンの前部に引き込まれ、これがシャフト搭載型コンプレッサによって圧縮され、かつ燃料と混合される。この混合物を燃焼して得られた高温の燃焼ガスを、同じシャフトに搭載されたタービンに通している。このガスの流れは、タービンブレードの翼形部に接触することによってタービンを回転させ、これによりシャフトを回転させ、かつコンプレッサに動力を供給している。タービンガスが高温になるほど、エンジンがより効率的に動作するようになる。したがって、タービン動作温度の上昇を促す動機が存在している。しかしながら、タービンガスの最高温度は、タービンのタービンベーンとタービンブレードとを製造するのに使用される材料によって通常制限されている。
【0003】
基板として作用する保護層を、タービンブレードまたはタービンベーン部品の翼形部に施している。現在知られている拡散保護層の中には、アルミナイド層と白金アルミナイド層とがある。この保護層は、高温で腐食性の高い燃焼ガスによる環境損傷から基板を保護している。この保護層は、上層のセラミック層を施さずとも、中温用途に有用である。より高温の用途では、セラミック遮熱コーティング層を保護層の上に施して、遮熱コーティング(TBC)システムを形成することができる。セラミック遮熱コーティング層は、排気ガスから構成部品を断熱しており、基板の特定の材料および製造プロセスを使用すれば通常なら可能となる排気ガスの高温化に対処できるようにしている。
【0004】
これらの保護技術を使用しても、特定の運転条件下、とりわけ船舶用タービンエンジンは、当該動作環境における塩水に関連する過酷な状況にさらされているため、克服すべき課題が残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/157078号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的および利点に関して、その一部を以下の説明に記載しているが、これはあるいは本明細書から自明であり得、あるいは本発明の実施を通じて理解され得る。
【0007】
コーティングシステムは一般に、超合金部品の表面に施されている。一実施形態では、このコーティングシステムは超合金部品の表面上のMCrAlYコーティングを備え、ここで、Mはニッケル、鉄、コバルト、またはそれらの組み合わせである。MCrAlYコーティングは通常、超合金部品のクロム含有量よりも高いクロム含有量を有する。MCrAlYコーティングはまた、白金族金属アルミナイド拡散層を含む。1つの特定の実施形態では、MCrAlYコーティングはレニウム、タンタル、またはそれらの混合物を含む。
【0008】
また、概して超合金部品の表面上にコーティングシステムを形成する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、MCrAlY層を超合金部品の表面上に形成することであって、前記MCrAlY層のクロム含有量は、前記超合金部品のクロム含有量よりも高く、ここで、Mがニッケル、鉄、コバルト、またはそれらの組み合わせである、ことと、前記MCrAlY層上に白金族金属層を形成することと、前記白金族金属層を約900℃〜約1200℃の処理温度まで加熱することと、前記白金族金属層上にアルミナイドコーティングを形成することとを含む。
【0009】
本発明の他の特徴および態様については、以下に詳述する。
【0010】
添付の図面と併せて以下の説明を参照することにより、本発明について最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】ガスタービンエンジンにおけるタービンブレードなどの構成部品の斜視図である。
図1B】ガスタービンエンジンにおけるノズルセグメントなどの別の構成部品の斜視図である。
図2】熱処理前に、図1Aまたは図1Bに示す翼形部などの構成部品の表面上に施される例示的なMCrAlYコーティングの断面図である。
図3】熱処理およびTBC形成後における、MCrAlYコーティングを含む例示的なコーティングシステムの断面図である。
図4】翼形部の表面上にコーティングを形成する例示的な方法を示すブロック図である。
図5】翼形部の表面上のコーティングを修復する例示的な方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書および図面で参照番号を反復使用することにおいては、本発明の同一または類似の特徴もしくは要素を表すことを意図している。
【0013】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を参照し、これらのうちの1または複数の実施例を以下に示す。各実施例を、本発明を限定するものとしてではなく、本発明を説明するものとして提示している。実際、本発明の範囲または趣旨を逸脱せずに、様々な修正形態および変形形態を本発明において創出できることが当業者には明らかとなる。たとえば、一実施形態として例示または記載している特徴を別の実施形態で使用し、さらに別の実施形態を創出することができる。したがって、本発明は、そのような修正形態と変形形態とを、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲に含まれるものとして包含することが意図されている。当業者であれば、本説明は例示的な実施形態を説明するものに過ぎず、本発明のより広範な態様を限定するものではなく、これらのより広範な態様は例示的な構成を具体化したものであると理解するべきである。
【0014】
コーティングシステムは一般に、タービンエンジンの高温ガス経路部品(たとえば、翼形部)のために、その形成方法と共に実施されている。具体的には、このコーティングシステムは、とりわけ腐食性動作環境にさらされる船舶用タービンエンジンの超合金部品に有用である。このコーティングシステムは、Mがニッケル、鉄、コバルト、またはそれらの組み合わせであるMCrAlYコーティングを少なくとも含む、多層化学を有する。1つの特定の実施形態では、MCrAlY層と白金族金属アルミナイドコーティングとから拡散コーティング法を介してMCrAlYコーティングを形成している。このMCrAlY層は、その膜形成組成物および処理後の組成物の両方において、超合金部品のクロム含有量よりも高いクロム含有量を有する。さらに、ほとんどの実施形態では、MCrAlY層はその組成物内に強化成分(たとえば、レニウム、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム、ケイ素、またはそれらの混合物)を含む。たとえば、成膜直後のMCrAlY層(たとえば、白金めっきおよびアルミニウム膜形成の前)は、約5重量%〜約7重量%のタンタルおよび/または約1重量%〜約3重量%のレニウムを含んでいてもよい。必要に応じて遮熱コーティングを、MCrAlYコーティングにおいて構成部品の反対側の表面上に施している。
【0015】
本コーティングシステムは、低サイクル疲労破壊などの特性低下に対するガスタービン部品の感受性を軽減する一方で、前記部品に施される保護コーティングに関連する利点を保持することができる。本アプローチを、通常の製造作業の一部として大きな修正を加えることなく遂行することができる。また、構成部品の表面とMCrAlYコーティングとの間かつ/またはMCrAlYコーティング構造内(たとえば、MCrAlY層と白金族金属アルミナイドコーティングとの間)に、任意の追加のボンドコーティングまたは他の層を使用することを、特定の実施形態では回避することができる。すなわち、本実施形態では、MCrAlY層を構成部品の表面上に直接施し、かつ/または白金族金属アルミナイドコーティングをMCrAlY層上に直接施して、MCrAlYコーティングを形成している。遮熱コーティングを施す場合、本コーティングシステムでは、MCrAlYコーティング(たとえば、MCrAlYコーティングにおける白金族金属アルミナイドコーティング)と遮熱コーティングとの間にボンドコーティングを施す必要がなくなる(たとえば、遮熱コーティングをMCrAlYコーティングにおける白金族金属アルミナイドコーティング上に直接施している)。
【0016】
図面を参照すると、図1Aは、ガスタービンブレードとして示している、ガスタービンエンジンの例示的な構成部品5を図示している。タービンブレード5は翼形部6と、横方向に延在するプラットフォーム7と、タービンディスク(図示せず)にガスタービンブレード5を装着するためのダブテール形式のアタッチメント8とを備える。いくつかの構成部品においては、複数の冷却チャネルが翼形部6の内部を貫通しており、これらは翼形部6の表面の開口部9で終端している。開口部9は、特定の実施形態ではフィルム孔であってもよい。
【0017】
図1Bは、接続されるとガスタービンエンジンの環状ノズルアセンブリを形成する、複数のノズルセグメントの1つであるノズルセグメント10を表している。セグメント10は、各々が翼形部を画定しており、かつ外側プラットフォーム(バンド)ならびに内側プラットフォーム(バンド)14および16の間に延在している複数のベーン12で構成されている。ベーン12とプラットフォーム14および16とを、プラットフォーム14および16に画定される開口部内で各ベーン12の端部をろう付けするなどして別々に形成でき、次いでこれらを組み立てることができる。あるいは、セグメント10全体を一体鋳造品として形成することができる。ベーン12は前縁部22と、後縁部24と、正圧面26(すなわち、凹面)と、負圧面28(すなわち、凸面)とを通常有する。前縁部22については、翼形部12の最も前方の点(突端)によって画定されるように記載している場合がある。
【0018】
ノズルセグメント10を他のノズルセグメントと共に組み立ててノズルアセンブリを形成するとき、セグメントにおける内側プラットフォームと外側プラットフォームとはそれぞれ一続きの内側バンドと外側バンドとを形成し、それらの間でベーン12は円周方向に離間し、かつ半径方向に延在している。ノズルアセンブリが個々のノズルセグメントを有する構造は、通常採用される冷却方式の複雑さを考慮すると好都合であることが多い。図1Bに示すノズルセグメント10は、2つのベーン12が各セグメント10と関連付けられているため、ダブレットと呼ばれている。ノズルセグメントに2つを超えるベーン、たとえば3つのベーン(トリプレットと呼ばれる)、4つのベーン、6つのベーンを設けるか、または単一のベーンを設けて、シングレットと呼ばれるものを形成することができる。当該技術分野で知られているように、シングレット鋳造とダブレット鋳造との間で設計を選択する際、それらが有する異なる構造と加工とに関連する利点が考慮されている。シングレットノズル構造の重要な利点は、ベーン12周辺に優れたコーティング厚さ分布を実現できることにあり、これにより、耐酸化性と耐食性とを促進することに加えて、ノズル間のスロート領域の制御と、異なる段にあるベーン間の均一性とが促進されている。一方、ダブレット鋳造では、コーティング厚さを制御する回数が少ないにもかかわらず、高温ろう付け作業の必要性を回避している。
【0019】
一実施形態では、図1Aのタービンブレード5の翼形部6と図1Bのノズルセグメント10のベーン12とをエンジンのタービンセクション内に配置しており、これらはエンジンの燃焼器から高温の燃焼ガスを受けている。強制空冷技術(たとえば、フィルム孔15を介して)を利用することに加えて、これらの構成部品の表面は、それぞれの表面上のコーティングシステム18によって保護されている。
【0020】
図1Aのタービンブレード5の翼形部6と図1Bのノズルセグメント10のベーン12とを、所望の形状に形成でき、かつセグメントが設置されるガスタービンの領域において、意図した動作温度で所要の運転荷重に耐えることができる材料から形成することができる。このような材料の例には、チタン基合金、アルミニウム基合金、コバルト基合金、ニッケル基合金、および鋼基合金が含まれるが、これらに限定されない金属合金が含まれる。1つの特定の実施形態では、図1Aの翼形部6および/または図1Bのベーン12をニッケル基超合金、コバルト基超合金、または鉄基超合金などの超合金金属材料から形成している。いくつかの典型的な実施形態では、この超合金部品は、微細なγ−(M)(面心立方体)およびβ−(M)Al(体心立方体)の2相構造を有する。β−(M)Al相はアルミニウム(Al)リザーバである。表面近くのアルミニウムは、拡散コーティングした基板の表面上にα−Al熱成長酸化物を形成するTBC界面への拡散によって、使用中に消耗する可能性がある。
【0021】
タービンブレード5とノズルセグメント10とに関して上述し、かつ図1Aおよび図1Bに記載しているが、本コーティングシステムを、ガスタービンエンジンの任意の構成部品に対して使用することができる。
【0022】
図2を参照すると、熱処理前のMCrAlYコーティング22を含むコーティングシステム18が示されており、またこのMCrAlYコーティング22が、超合金部品19(たとえば、翼形部12)の表面上のMCrAlY層20と、白金族金属層30と、アルミナイドコーティング34とから形成されていることが示されている。
【0023】
MCrAlY層20を、白金族金属層を形成する前に、約25重量%以下のクロム(たとえば、約10重量%〜約25重量%のクロム)、約6重量%〜約7重量%のアルミニウム、約1重量%以下のハフニウム(たとえば、約0.1重量%〜約1重量%のハフニウム)、約0.5重量%以下のイットリウム(たとえば、約0.1重量%〜約0.5重量%のイットリウム)、約8重量%〜約12重量%のコバルト、約5重量%〜約7重量%のタンタル、約1重量%〜約3重量%のレニウム、約0.5重量%〜約1.5重量%のケイ素、約0.5重量%以下のジルコニウム(たとえば、約0.0001重量%〜約0.5重量%のジルコニウム)、および平衡ニッケルを含む組成をもって蒸着している。MCrAlY層20を、表面13上に約10μm(マイクロメートル)〜約100μm(たとえば、約15μm〜約50μm)の厚さに形成している。MCrAlY層20を比較的薄く(すなわち、100μm未満に)保つことにより、マスクまたは他の堆積阻止法を使用しなくても、表面内に画定される任意のフィルム孔を開放したままにすることができる。
【0024】
これにより、MCrAlY層20を、任意の適切な塗布法に従って構成部品の表面上に形成している。限定されない実施例としては、プラズマ蒸着法(たとえば、イオンプラズマ蒸着法、真空プラズマ溶射(VPS)法、低圧プラズマ溶射(LPPS)法、およびプラズマ強化化学蒸着(PECVD)法)、高速酸素燃料溶射(HVOF)法、高速空気燃料溶射(HVAF)法、物理蒸着(PVD)法、電子ビーム物理蒸着(EBPVD)法、化学蒸着(CVD)法、空気プラズマ溶射(APS)法、コールドスプレーイング法、およびレーザアブレーション法が挙げられる。一実施形態では、熱溶射法(たとえば、VPS、LPPS、HVOF、HVAF、APS、および/またはコールドスプレーイング法)によってMCrAlY層20を施している。1つの特定の実施形態では、イオンプラズマ蒸着法によってMCrAlY層20を形成している。
【0025】
白金族金属層30をMCrAlY層20上に蒸着している。白金族金属層30は白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウム、またはそれらの混合物を通常含む。これらの元素は同様の物理的特性および化学的特性を有しており、同じ鉱床内で同時に発生する傾向がある。一実施形態では、パラジウム族白金族金属(すなわち、白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの混合物)を白金族金属層30に含めている。特定の一実施形態では、白金族金属層30は通常白金を含むが、他の元素(たとえば、パラジウムおよび/またはロジウム)を含んでいてもよい。一例として、白金族金属層30は白金−パラジウム合金、白金−ロジウム合金、または白金−パラジウム−ロジウム合金を含むことができる。一実施形態では、白金族金属層30は少なくとも50重量%(たとえば、約75重量%〜約100重量%)の白金を含む。
【0026】
ほとんどの実施形態では、白金族金属層30の適切な厚さは約1μm〜約10μm(たとえば、約3μm〜約7μm)である。図示の実施形態では、白金族金属層がこのように比較的薄くなる性質を有しているために、白金族金属層30を表面13上に直接形成している。したがって、表面13と白金族金属層30との間に他の層(たとえば、ボンドコーティング)を何ら施していない。
【0027】
任意の適切なプロセスによって、白金族金属層30を形成することができる。一例として、特定の一実施形態では、白金族金属層30を電着法(たとえば、電気めっき法)によって蒸着しているが、スパッタリング法、ブラシめっき法などを代わりに採用することもできる。めっき法は室温(たとえば、約20℃〜約25℃)で行うことができる。一実施形態では、白金族金属含有溶液(たとえば、白金含有溶液)を蒸着槽に投入して、この溶液からの白金族金属を表面13上に蒸着することにより、電着法を遂行している。一例として、白金を蒸着する場合、白金含有水溶液はPt(NHHPOを含むことができ、また面している部品表面の1平方フィートあたり約2分の1アンペア〜約10アンペアで電源または電流源を動作させることができる。蒸着の際、白金族金属層30を表面13でマスクしていない部分(すなわち、後縁部24)上に蒸着している。
【0028】
必要に応じて、白金族金属層30を熱処理してもよい。一例として、白金族金属層30を約900℃〜約1200℃の処理温度で熱処理することができる。一実施形態では、白金族金属層30を真空熱処理(たとえば約1トル以下の処理圧力など、約10トル以下の処理圧力で)している。
【0029】
翼形部12の表面13に酸化防止コーティングを施して、耐酸化性をさらに促進している。特定の一実施形態では、この酸化防止コーティングは、アルミニウム金属間化合物、ガンマ相、ガンマプライム相などを含み得る拡散アルミナイドコーティング34である。アルミナイドコーティング34を白金族金属層30の上に蒸着している。アルミナイドコーティング34を、任意の適切な方法によって約2μm〜約100μm(たとえば、約35μm〜約75μmなど、約25μm〜約100μmとなる)の厚さに形成することができる。一例として、アルミナイドコーティング34を、拡散浸透処理によるアルミナイド処理、または気相アルミナイド処理を含む他のプロセスなど、任意の使用可能な手法によって蒸着することができる。
【0030】
一実施形態では、気相アルミナイド処理によってアルミナイドコーティング34を蒸着している。一例として、塩化水素またはフッ化水素などのハロゲン化水素ガスをアルミニウム金属またはアルミニウム合金と接触させて、対応するハロゲン化アルミニウムガスを生成している。必要に応じて、他の元素を対応するガスからアルミニウム層にドープしてもよい。ハロゲン化アルミニウムガスを表面13に接触させて、その上にアルミニウムを蒸着している。この蒸着は、サイクル時間(たとえば、4時間〜20時間サイクル)において、約900℃〜約1125℃などの高温で発生している。アルミナイドコーティング34の厚さは、好ましくは約12マイクロメートル〜約125マイクロメートル(たとえば約35μm〜約75μmなどの、約25μm〜約100μmとなる)である。この蒸着法により、必要に応じてハロゲン化物ガスから合金化元素をアルミナイドコーティング34内に共蒸着することができる。
【0031】
アルミニウムの蒸着は高温で行われるので、蒸着されたアルミニウム原子は、白金族金属層30(または相互拡散される白金または基板領域)および/または拡散領域を形成している表面13の材料と相互拡散する。
【0032】
図2に示す実施形態では、アルミナイドコーティング34を表面13全体、すなわち表面13に存在しているあらゆる空洞およびあらゆるフィルム孔上と、白金族金属層30上とに蒸着している。加工中、アルミナイドコーティングは白金族金属層30と反応して白金族金属アルミナイドコーティング31を形成する。この白金族金属アルミナイドコーティング31は、白金改質アルミナイド(PtAl)などの白金族金属およびアルミニウムを含むが、別の成分(たとえば、白金改質ニッケルアルミナイド)を含んでいてもよい。したがって、白金族金属めっきとそれに続く拡散アルミナイドは「白金アルミナイド層」をもたらし、ここでは、拡散アルミナイドに加えて、そのコーティングの外層が白金族金属(たとえば、白金)を有する状態となる。
【0033】
図2に示すMCrAlY層20、白金族金属層30、およびアルミナイドコーティング34を熱処理した後、MCrAlYコーティング22を、図3に示す内側部分21、中間部分31、および外側部分35によって画定される、その厚さ全体にわたる組成勾配を有するように形成している。一実施形態では、約975℃〜約1125℃の処理温度(たとえば、約1時間〜約4時間の処理時間)で、真空で熱処理を行っている。
【0034】
通常、結果として得られる熱処理済みのMCrAlYコーティング22は、その厚さ全体にわたってある組成勾配を有し、かつ内側部分21、中間部分31、および外側部分35を含む。内側部分21は、通常構成部品に隣接しているが、外側部分35は構成部品の反対側にあり、かつTBC36に隣接している。内側部分21、中間部分31、および外側部分35はそれぞれ、MCrAlYコーティング22の厚さの3分の1(すなわち、1/3)を画定している。たとえば、MCrAlYコーティング22が約60μm〜約100μm(たとえば、約75μm〜約85μm)の厚さを有する場合、内側部分21、中間部分31、および外側部分35はそれぞれ、約20μm〜約33.3μm(たとえば、約25μm〜約28.3μm)の厚さを画定している。
【0035】
一実施形態では、MCrAlYコーティング22は、中間部分31の組成と比較した場合、外側部分35のクロム濃度が比較的低く、かつ白金およびアルミニウム濃度が比較的高い状態となる組成勾配を有する。したがって、外側部分35は良好な酸化質とTBC(またはその上の他の層)への付着性とを有する。しかしながら、中間部分31および/または内側部分21においてクロム濃度が上昇することにより、耐食性を向上させることができ、これは船舶用エンジンおよび工業用エンジンの用途において特に有用である。
【0036】
1つの特定の実施形態では、内側部分21のクロム含有量は、中間部分31のクロム含有量よりも重量パーセント単位でより低い。同様に、外側部分35のクロム含有量は、中間部分31のクロム含有量よりも重量パーセント単位でより低い。したがって、中間部分31のクロム含有量は、内側部分21および/または外側部分35のクロム含有量よりも重量パーセント単位でより高い。特定の実施形態では、一例として、外側部分35のクロム含有量は約3重量%〜約7.5重量%であり、中間部分31のクロム含有量は約8重量%〜約20重量%であり、内側部分21のクロム含有量は約5重量%〜約12重量%である。
【0037】
1つの特定の実施形態では、外側部分35のレニウム含有量は、中間部分31のレニウム含有量よりも重量パーセント単位でより低い。同様に、中間部分31のレニウム含有量は、内側部分21のレニウム含有量よりも重量パーセント単位でより低い。特定の実施形態では、一例として、外側部分35のレニウム含有量は0重量%〜約0.1重量%であり、中間部分31のレニウム含有量は約0.1重量%〜約4重量%であり、内側部分21のレニウム含有量は約3重量%よりも高い。
【0038】
1つの特定の実施形態では、外側部分35のタンタル(Ta)含有量は、中間部分31のタンタル含有量よりも重量パーセント単位でより低い。特定の実施形態では、一例として、外側部分35のタンタル含有量は約0.1重量%〜約2.25重量%であり、中間部分31のタンタル含有量は約2.5重量%〜約7.5重量%である。そのような実施形態では、内側部分21のタンタル含有量を約3重量%〜約7.5重量%とすることができる。
【0039】
1つの特定の実施形態では、外側部分35のタングステン(W)含有量は、中間部分31のタングステン含有量よりも重量パーセント単位でより低い。特定の実施形態では、一例として、外側部分35のタングステン含有量は0重量%〜約0.015重量%であり、中間部分31のタングステン含有量は約0.1重量%〜約1重量%であり、内側部分21のタングステン含有量は約1.5重量%〜約6重量%である。
【0040】
同様に、特定の一実施形態では、内側部分21のハフニウム(Hf)含有量は、中間部分31のハフニウム含有量よりも重量パーセント単位でより低い。同様に、外側部分35のハフニウム含有量は、中間部分31のハフニウム含有量よりも重量パーセント単位でより低い。したがって、中間部分31のハフニウム含有量は、内側部分21および/または外側部分35のハフニウム含有量よりも重量パーセント単位でより高い。特定の実施形態では、一例として、外側部分35のハフニウム含有量は0重量%〜約0.1重量%であり、中間部分31のハフニウム含有量は約0.1重量%〜約0.5重量%であり、内側部分21のハフニウム含有量は0重量%〜約0.1重量%である。
【0041】
1つの特定の実施形態では、外側部分35のニッケル含有量は、中間部分31のニッケル含有量よりも重量パーセント単位でより高い。同様に、内側部分21のニッケル含有量は、中間部分31のニッケル含有量よりも重量パーセント単位でより高い。したがって、中間部分31のニッケル含有量は、内側部分21および/または外側部分35のニッケル含有量よりも重量パーセント単位でより低い。特定の実施形態では、一例として、外側部分35のニッケル含有量は約40重量%〜約50重量%であり、中間部分31のニッケル含有量は約30重量%〜約40重量%であり、内側部分21のニッケル含有量は約40重量%よりも高い(たとえば、約50重量%よりも高い)。
【0042】
ノズルアセンブリの空気力学を促進するべく、たとえば約3μm以下の表面粗さ(Ra)を有する滑らかな表面仕上げとなるように、MCrAlYコーティング22を蒸着かつ加工している。一実施形態では、MCrAlYコーティング22は、好ましくは約3μm未満(たとえば、約1.25μm〜約2.25μmなど、約0.75μm〜約2.75μmの)の表面粗さ(Ra)を有する。
【0043】
図3はまた、MCrAlYコーティング22上に施された環境コーティング36(たとえば、遮熱コーティング(TBC))を示しており、これは、さらに保護が必要となる場合には特に有用である(たとえば、非常に高い温度で使用される翼形部12の表面上など)。また、特定の実施形態では、内側バンドおよび外側バンドの表面上にこの環境コーティング36を蒸着してもよい。一例として、全体的に1または複数のセラミック組成物から遮熱コーティング36を構成してもよい。環境コーティング36を任意の使用可能な技法によって施してもよいが、好ましいイットリア安定化ジルコニアコーティングを得るためには電子ビーム物理蒸着(EB−PVD)法が好適である。EB−PVD加工は、ボンドコート内の元素の分布に影響を及ぼす可能性のある高温加工の後に、かつ/またはこれの前に行ってもよい。EB−PVD加工自体は、通常高温で行われる。他のコーティング法、コーティング組成物、およびコーティング厚さを採用することも本発明の範囲内である。
【0044】
ノズルアセンブリの空気力学を促進するべく、たとえば約1.5μm以下のRaを有する非常に滑らかな表面仕上げとなるように、遮熱コーティング36を蒸着かつ加工している。一実施形態では、遮熱コーティング36は、好ましくは約3μm未満となる成膜直後の表面粗さ(Ra)を有する。その後、環境コーティング36の表面仕上げを改善するべく、環境コーティング36の表面には、好ましくはピーニングおよびその後のタンブリングなどの加工を施している。ピーニングおよびタンブリングを実施した後、環境コーティング36は、好ましくは約2.0μmを超えないRaとなる表面粗さを有し、ここで、典型的な範囲はベーンの凹面および前縁部上で約1.3μm〜約1.8μmのRaであり、ベーンの凸面上で約0.5μm〜1.0μmのRaである。
【0045】
図2および図3に示す実施形態では、本コーティングシステムはいかなるボンドコーティングも実質的に含まない。すなわち、本コーティングシステムは、MCrAlYコーティング22と超合金部品19の表面13との間のボンドコーティングを含まず、またコーティングシステム18は、MCrAlYコーティング22と遮熱コーティング36との間のボンドコーティングを含まない。一例として、部品19の表面13上にMCrAlYコーティング22を直接施してもよく、かつ/またはMCrAlYコーティング22上に遮熱コーティング36を直接施してもよい。
【0046】
上述したように、ノズルセグメントは任意の数の翼形部(たとえば、1つ(シングレット)、2つ(ダブレット)、4つ、6つなど)を有することができる。ノズルセグメント内の翼形部の数に応じて、異なる加工方法を利用することができる。ほとんどの実施形態では、任意のコーティングを形成する前にフィルム孔を形成(たとえば、穿孔によって)してもよく、また必要に応じて任意の後続のコーティングに備えてこれらをマスク処理してもよい。
【0047】
本発明は、概して比較的高い温度状態であることを特徴とする環境内で動作する構成部品、とりわけ図1Bに示すタイプのノズルセグメントのような、過酷な酸化と腐食とを伴う動作環境にさらされる当該部品に適用可能である。なお、図面については、以下の説明と併せて確認するときに明瞭に示されるように描いているので、縮尺を合わせることを意図していない。
【0048】
また、概して構成部品(たとえば、翼形部)の表面上にコーティングを形成する方法、および翼形部の表面上のコーティングを修復する方法を提供している。図4を参照すると、構成部品の表面上にコーティングを形成するための例示的な方法500の図が概して示されている。502において、構成部品の表面上にMCrAlY層を蒸着する。504において、上述の電気めっき法などによって、MCrAlY層上に白金族金属(PGM)層を蒸着する。506において、約900℃〜約1200℃の処理温度まで加熱するなどして、PGM層を熱処理する。508において、蒸着法などによって、表面全体にアルミナイドコーティングを形成することができる。510において、蒸着した層を熱処理してMCrAlYコーティングを形成することができる。512において、プラズマ溶射蒸着法などによって、MCrAlYコーティング上に遮熱コーティング(TBC)を形成することができる。
【0049】
図5を参照すると、構成部品(たとえば、翼形部)の表面上のコーティングを修復するための例示的な方法600の図が概して示されている。602において、化学的ストリッピング法(たとえば、酸ストリッピングなど)などによって、翼形部の表面からすべてのコーティングを剥離することができる。604において、構成部品の表面上にMCrAlY層を蒸着する。606において、上述の電気めっき法などによって、MCrAlY層上に白金族金属(PGM)層を蒸着する。608において、約900℃〜約1200℃の処理温度まで加熱するなどして、PGM層を熱処理する。610において、蒸着法などによって、表面全体にアルミナイドコーティングを形成することができる。612において、蒸着した層を熱処理してMCrAlYコーティングを形成することができる。614において、プラズマ溶射蒸着法などによって、MCrAlYコーティング上に遮熱コーティング(TBC)を形成することができる。このような修復プロセスを通じて、白金族金属を組み入れることによって本コーティングを改善することができる。
【0050】
本発明に対するこれらおよび他の修正形態ならびに変形形態を、添付の特許請求の範囲により詳述している本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者が実施してもよい。加えて、様々な実施形態の態様を、それらの全部または一部において置き換えてもよいことが理解されるべきである。さらに、当業者であれば、前述の記載は単なる例示であり、添付の特許請求の範囲にまさに詳述している本発明を限定するものではないことを理解する。
[実施態様1]
超合金部品(19)の表面(13)上に施されるコーティングシステム(18)であって、前記コーティングシステム(18)は、前記超合金部品(19)の表面(13)上のMCrAlYコーティング(22)であって、Mはニッケル、鉄、コバルト、またはそれらの組み合わせであり、前記MCrAlYコーティング(22)のクロム含有量は、前記超合金部品(19)のクロム含有量よりも高く、前記MCrAlYコーティング(22)は白金族金属アルミナイド拡散層を含み、さらに、前記MCrAlYコーティング(22)はレニウム、タンタル、またはそれらの混合物を含む、MCrAlYコーティング(22)を備える、コーティングシステム(18)。
[実施態様2]
前記MCrAlYコーティング(22)は、前記超合金部品(19)に隣接している内側部分(21)、前記内側部分(21)上にある中間部分(31)、および前記中間部分(31)上にある外側部分(35)を含み、前記中間部分(31)のクロム含有量は、前記内側部分(21)および前記外側部分(35)のクロム含有量よりも重量パーセント単位でより高い、実施態様1に記載のコーティングシステム(18)。
[実施態様3]
前記外側部分(35)のクロム含有量は約3重量%〜約7.5重量%であり、前記中間部分(31)のクロム含有量は約8重量%〜約20重量%であり、さらに、前記内側部分(21)のクロム含有量は約5重量%〜約12重量%である、実施態様2に記載のコーティングシステム(18)。
[実施態様4]
前記MCrAlYコーティング(22)は、前記超合金部品(19)に隣接している内側部分(21)、前記内側部分(21)上にある中間部分(31)、および前記中間部分(31)上にある外側部分(35)を含み、前記外側部分(35)のレニウム含有量は、前記中間部分(31)のレニウム含有量よりも重量パーセント単位でより低く、さらに、前記中間部分(31)のレニウム含有量は、前記内側部分(21)のレニウム含有量よりも重量パーセント単位でより低い、実施態様1に記載のコーティングシステム(18)。
[実施態様5]
前記外側部分(35)のレニウム含有量は0重量%〜約0.1重量%であり、前記中間部分(31)のレニウム含有量は約0.1重量%〜約4重量%であり、前記内側部分(21)のレニウム含有量は約3重量%よりも高い、実施態様4に記載のコーティングシステム(18)。
[実施態様6]
前記MCrAlYコーティング(22)は、前記超合金部品(19)に隣接している内側部分(21)、前記内側部分(21)上にある中間部分(31)、および前記中間部分(31)上にある外側部分(35)を含み、前記外側部分(35)のタンタル含有量は、前記中間部分(31)のタンタル含有量よりも重量パーセント単位でより低い、実施態様1に記載のコーティングシステム(18)。
[実施態様7]
前記外側部分(35)のタンタル含有量は約0.1重量%〜約2.25重量%であり、前記中間部分(31)のタンタル含有量は約2.5重量%〜約7.5重量%である、実施態様6に記載のコーティングシステム(18)。
[実施態様8]
前記内側部分(21)のタンタル含有量を約3重量%〜約7.5重量%とすることができる、実施態様6に記載のコーティングシステム(18)。
[実施態様9]
前記MCrAlYコーティング(22)の厚さは約10μm〜約100μmである、実施態様1に記載のコーティングシステム(18)。
[実施態様10]
前記超合金部品(19)は、前記表面(13)内にフィルム孔(15)を画定している、実施態様9に記載のコーティングシステム(18)。
[実施態様11]
前記MCrAlYコーティング(22)は、約0.75μm〜約2.75μmの表面粗さ(Ra)を有する外部表面(13)を画定している、実施態様5に記載のコーティングシステム(18)。
[実施態様12]
前記MCrAlYコーティング(22)は、MCrAlY層(20)と前記白金族金属アルミナイド層とを共拡散したものを含み、前記白金族金属アルミナイド層は白金、ロジウム、パラジウム、またはそれらの混合物からなる群より選択される白金族金属を含む、実施態様1に記載のコーティングシステム(18)。
[実施態様13]
前記部品(19)の前記表面(13)上に前記MCrAlYコーティング(22)を直接施しており、前記コーティングシステム(18)は、前記MCrAlYコーティング(22)上に直接施される遮熱コーティング(36)をさらに備える、実施態様1に記載のコーティングシステム(18)。
[実施態様14]
前記MCrAlYコーティング(22)は、前記超合金部品(19)に隣接している内側部分(21)、前記内側部分(21)上にある中間部分(31)、および前記中間部分(31)上にある外側部分(35)を含み、前記内側部分(21)のハフニウム含有量は、前記中間部分(31)のハフニウム含有量よりも重量パーセント単位でより低く、さらに、前記外側部分(35)のハフニウム含有量は、前記中間部分(31)のハフニウム含有量よりも重量パーセント単位でより低い、実施態様1に記載のコーティングシステム(18)。
[実施態様15]
超合金部品(19)の表面(13)上にコーティングシステム(18)を形成する方法(500、600)であって、前記方法(500、600)は、
MCrAlY層(20)を前記超合金部品(19)の表面(13)上に形成すること(502、604)であって、前記MCrAlY層(20)のクロム含有量は、前記超合金部品(19)のクロム含有量よりも高く、Mがニッケル、鉄、コバルト、またはそれらの組み合わせである、ことと、
前記MCrAlY層(20)上に白金族金属層(30)を形成すること(504、606)と、
前記白金族金属層(30)を約900℃〜約1200℃の処理温度まで加熱すること(506、608)と、
前記白金族金属層(30)上にアルミナイドコーティング(34)を形成すること(508、610)とを含む、
方法(500、600)。
[実施態様16]
前記コーティングシステム(18)を加熱して前記MCrAlY層(20)、前記白金族金属層(30)、および前記アルミナイドコーティング(34)からMCrAlYコーティング(22)を形成すること(510,612)をさらに含む、実施態様15に記載の方法(500、600)。
[実施態様17]
前記超合金部品(19)の前記表面(13)は、その内部に複数のフィルム孔(15)を画定しており、前記MCrAlYコーティング(22)を約10μm〜約100μmの厚さに蒸着しながら、一方で、前記超合金部品(19)の前記表面(13)内に画定した前記フィルム孔(15)を開放したままにしている、実施態様16に記載の方法(500、600)。
[実施態様18]
前記白金族金属層(30)を形成する前の前記MCrAlY層(20)は、約25重量%以下のクロム、約6重量%〜約7重量%のアルミニウム、約1重量%以下のハフニウム、約0.5重量%以下のイットリウム、約8重量%〜約12重量%のコバルト、約5重量%〜約7重量%のタンタル、約1重量%〜約3重量%のレニウム、約0.5重量%〜約1.5重量%のケイ素、約0.5重量%以下のジルコニウム、および平衡ニッケルを含む組成を有する、実施態様15に記載の方法(500、600)。
[実施態様19]
前記アルミナイドコーティング(34)を約25μm〜約100μmの厚さに蒸着している、実施態様15に記載の方法(500、600)。
[実施態様20]
前記アルミナイドコーティング(34)を形成した後、ボンドコーティング上に遮熱コーティング(36)を形成すること(512、614)をさらに含む、実施態様15に記載の方法(500、600)。
【符号の説明】
【0051】
5 ガスタービンブレード,構成部品
6 翼形部
7 プラットフォーム
8 アタッチメント
9 開口部
10 ノズルセグメント
12 翼形部,ベーン
13 表面
14 プラットフォーム
15 フィルム孔
16 プラットフォーム
18 コーティングシステム
19 部品
20 MCrAlY層
21 内側部分
22 MCrAlYコーティング
22 前縁部
24 後縁部
26 正圧面
28 負圧面
30 白金族金属層
31 白金族金属アルミナイドコーティング
31 中間部分、
34 アルミナイドコーティング
35 外側部分
36 環境コーティング,遮熱コーティング
500 コーティングを形成する方法
502 MCrAlY層を蒸着すること
504 白金族金属(PGM)層を蒸着すること
506 PGM層を熱処理すること
508 アルミナイドコーティングを形成すること
510 MCrAlYコーティングを形成すること
512 遮熱コーティング(TBC)を形成すること
600 コーティングを形成する方法
602 コーティングを剥離すること
604 MCrAlY層を蒸着すること
606 白金族金属(PGM)層を蒸着すること
608 PGM層を熱処理すること
610 アルミナイドコーティングを形成すること
612 MCrAlYコーティングを形成すること
614 遮熱コーティング(TBC)を形成すること
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】