特表2019-519785(P2019-519785A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-519785試薬容器を自動的に移送及び開封する方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-519785(P2019-519785A)
(43)【公表日】2019年7月11日
(54)【発明の名称】試薬容器を自動的に移送及び開封する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20190621BHJP
【FI】
   G01N35/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2018-567929(P2018-567929)
(86)(22)【出願日】2017年6月22日
(85)【翻訳文提出日】2019年2月25日
(86)【国際出願番号】US2017038855
(87)【国際公開番号】WO2018005239
(87)【国際公開日】20180104
(31)【優先権主張番号】62/357,909
(32)【優先日】2016年7月1日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】507269175
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ゲブリアン,ピーター エル.
(72)【発明者】
【氏名】ブレナン,ジョセフ イー.
(72)【発明者】
【氏名】バーロウ,ロナルド ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ハドソン,ウィリアム イー.
(72)【発明者】
【氏名】レイグル,ジュニア,ウィリアム エッチ.
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CE00
2G058CF06
2G058GC02
2G058GC05
2G058GC08
2G058GC10
(57)【要約】
本発明は、体外診断用医薬品(IVD)環境の臨床分析器において用いられる試薬容器の移送及び開封に関する。試薬容器の内容物は自動的に記録され、容器が配置されて開封されると、その内容物を移送プローブに対して利用可能とする。一組の機械フィンガーが互いに開閉し、容器を移送するために試薬容器を互いに反対側から把持し解放する。容器をおろした機械フィンガーは上昇し、試薬容器の内容物を封止しているシールの上方に位置する。該フィンガー対は、互いに閉じて下降軌道で移動し、シールに穿孔するように構成されている。試薬容器は、最初に未開封のパッケージとして提供され、漏出防止と共に試薬使用期限が調節される。作業員の介入を要せずに取出、移送、及び装填のサイクルを実行する方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外診断用医薬品(IVD)環境の臨床分析器における試薬移送アーム装置であって、
グリッパアセンブリと、
該グリッパアセンブリが可動連結される水平方向延伸移送アームであって、該水平方向延伸移送アームに沿って前記グリッパアセンブリが水平方向に移動する、水平方向延伸移送アームと、
該水平方向延伸移送アームに沿った前記グリッパアセンブリの水平方向動作を制御するように構成された移送アームモータとを備え、
前記グリッパアセンブリは、
垂直方向に向けられた互いに対向するグリッパフィンガー対であって、対をなすグリッパフィンガーが互いに離れる解放姿勢と、対をなすグリッパフィンガーが互いに押し合う把持姿勢との間で動くように構成され、前記把持姿勢において、当該グリッパフィンガー対が試薬容器の一部を把持するように構成されている、グリッパフィンガー対と、
該グリッパフィンガー対に連結されると共に該グリッパフィンガー対の水平方向の把持動作を制御して、当該グリッパフィンガー対を前記解放姿勢と前記把持姿勢との間で動かすように構成されたグリッパモータを備えるグリッパアクチュエータと、
前記グリッパフィンガー対及び前記グリッパアクチュエータが可動連結される垂直方向延伸フレームであって、該垂直方向延伸フレームに沿って前記グリッパフィンガー対及び前記グリッパアクチュエータが垂直方向に移動する、垂直方向延伸フレームと、
該垂直方向延伸フレームに沿った前記グリッパアセンブリの垂直方向動作を制御するように構成された垂直駆動モータとを備え、
1つ以上の制御器が、前記グリッパアクチュエータ、前記グリッパモータ、前記垂直駆動モータ、及び前記移送アームモータを運転制御し、試薬容器の内容物にアクセスするためにアクセス位置と保管領域との間で試薬容器を移送するように構成されている、試薬移送アーム装置。
【請求項2】
前記グリッパフィンガー対の先端に、該グリッパフィンガー対が前記把持姿勢にあるときに試薬容器のキャップにおけるシールに穿孔するように構成された尖頭部を有する、請求項1に記載の試薬移送アーム装置。
【請求項3】
前記グリッパフィンガー対の各対向面に複数の凸部及び凹部が形成されており、前記グリッパフィンガー対の一方における前記凸部及び前記凹部が、前記グリッパフィンガー対の他方において対向する前記凹部及び前記凸部と嵌まり合うように構成されている、請求項1に記載の試薬移送アーム装置。
【請求項4】
前記グリッパアセンブリは、試薬容器のバーコードラベルを読み取るように構成されたバーコードスキャナを更に備え、
前記1つ以上の制御器が、試薬容器を前記保管領域に移送する際に、前記バーコードラベルに基づいて当該試薬容器の内容物を識別するように構成されている、請求項1に記載の試薬移送アーム装置。
【請求項5】
体外診断用医薬品(IVD)環境の臨床分析器における試薬ハンドリングシステムであって、
それぞれが試薬を内包するように構成されると共に把持部分を有する1つ以上の試薬容器を保持する1つ以上のトレイ置き場をもつトレイを備えた試薬装填ステーションと、
試薬移送アーム装置と、
前記1つ以上の試薬容器を保持するインデックス付置き場を備えた1つ以上のインデックス化リングを有する保管筐体をもつ試薬サーバーモジュールと、
1つ以上の制御器とを備え、
前記試薬移送アーム装置は、
前記1つ以上の試薬容器の各前記把持部分を把持し、前記1つ以上のトレイ置き場のいずれか1つへ及びここから前記1つ以上の試薬容器をそれぞれ移動させるように構成されたグリッパアセンブリと、
該グリッパアセンブリが可動連結される垂直方向延伸移送アームであって、該垂直方向延伸移送アームに沿って前記グリッパアセンブリが垂直方向に移動する、垂直方向延伸移送アームと、
該垂直方向延伸移送アームに沿った前記グリッパアセンブリの垂直方向動作を制御するように構成された垂直駆動モータと、
前記グリッパアセンブリが可動連結される水平方向延伸移送アームであって、該水平方向延伸移送アームに沿って前記グリッパアセンブリが水平方向に移動する、水平方向延伸移送アームと、
該水平方向延伸移送アームに沿った前記グリッパアセンブリの水平方向動作を制御するように構成された移送アームモータとを備え、
前記1つ以上の制御器は、前記試薬装填ステーション、前記グリッパアセンブリ、前記垂直駆動モータ、前記移送アームモータ、及び前記1つ以上のインデックス化リングを運転制御して、前記トレイと前記1つ以上のインデックス化リングとの間で前記1つ以上の試薬容器を移送するように構成され、
前記試薬移送アーム装置の前記水平方向延伸移送アームは、前記保管筐体の長さ方向に沿って水平方向に延伸し、
前記トレイの長さ方向が、前記水平方向延伸移送アームの長さ方向と直交する方向に向けられている、試薬ハンドリングシステム。
【請求項6】
前記グリッパアセンブリは、
(i)垂直方向に向けられた互いに対向するグリッパフィンガー対であって、対をなすグリッパフィンガーが互いに離れる解放姿勢と、対をなすグリッパフィンガーが互いに押し合う把持姿勢との間で動くように構成され、前記把持姿勢において、当該グリッパフィンガー対が前記1つ以上の試薬容器の前記把持部分を把持するように構成されている、グリッパフィンガー対と、
(ii)該グリッパフィンガー対に連結されると共に該グリッパフィンガー対の水平方向の把持動作を制御して、当該グリッパフィンガー対を前記解放姿勢と前記把持姿勢との間で動かすように構成されたグリッパモータを備えるグリッパアクチュエータとを備える、請求項5に記載の試薬ハンドリングシステム。
【請求項7】
前記グリッパフィンガー対の前記垂直方向動作によって、前記トレイ及び前記1つ以上のインデックス化リングに対する前記1つ以上の試薬容器の装填及び取出が行われる、請求項5に記載の試薬ハンドリングシステム。
【請求項8】
前記グリッパフィンガー対の先端に尖頭部を有し、前記グリッパフィンガー対の前記垂直方向動作によって、前記グリッパフィンガー対が前記把持姿勢になるときに前記1つ以上の試薬容器のキャップにおけるシールに穿孔が行われる、請求項7に記載の試薬ハンドリングシステム。
【請求項9】
前記試薬装填ステーションは、
前記トレイを装填位置と1つ以上の移送位置との間で水平方向に移動させるように構成されたトレイモータと、
前記トレイを保持して移動させる面を備えたローダートラックとを備え、
前記1つ以上の移送位置のそれぞれが、前記1つ以上のトレイ置き場のいずれか1つに対応し、前記グリッパアセンブリによる前記1つ以上の試薬容器それぞれの移動が、前記1つ以上の移送位置のいずれか1つへ及びここから行われる、請求項5に記載の試薬ハンドリングシステム。
【請求項10】
前記1つ以上の試薬容器がそれぞれバーコードラベルをもち、
前記グリッパアセンブリは、前記1つ以上の試薬容器の各前記バーコードラベルを読み取るように構成されたバーコードスキャナを備え、
前記1つ以上の制御器は、対応する前記バーコードラベルに基づいて前記試薬容器の内容物を識別し、当該試薬容器を、前記1つ以上のインデックス化リングのうちの1つにおける特定の前記インデックス付置き場へ移送するように構成されている、請求項5に記載の試薬ハンドリングシステム。
【請求項11】
前記試薬サーバーモジュールは、前記保管筐体の上部に、前記保管筐体の内部へのアクセスを許容する開姿勢と、前記保管筐体の内部へのアクセスを許容しない閉姿勢とに動作するように構成されたドアを備える、請求項5に記載の試薬ハンドリングシステム。
【請求項12】
前記ドアは、前記グリッパアセンブリによって前記開姿勢と前記閉姿勢とに動作するように構成されたスライド式である、請求項11に記載の試薬ハンドリングシステム。
【請求項13】
前記水平方向延伸移送アームに沿った前記グリッパアセンブリの水平方向動作を介して前記グリッパアセンブリにアクセス可能である洗浄ステーションを更に備え、
該洗浄ステーションは、前記グリッパアセンブリを濯ぐように構成された濯ぎステーションと、前記グリッパアセンブリを真空乾燥するように構成された乾燥ステーションとを備える、請求項5に記載の試薬ハンドリングシステム。
【請求項14】
体外診断用医薬品(IVD)環境の臨床分析器において試薬容器をハンドリングする方法であって、
制御器が、1つ以上のインデックス付置き場を備えた1つ以上のインデックス化リングを有する試薬サーバーモジュールに特定の試薬を追加する必要性を確認し、
水平方向延伸移送アーム及び垂直方向延伸移送アームに沿ったグリッパアセンブリの水平方向動作及び垂直方向動作を制御するように構成された移送アームモータが、前記グリッパアセンブリを試薬装填ステーションに移動させ、該試薬装填ステーションは、1つ以上の試薬容器を保持する1つ以上のトレイ置き場をもつトレイを備え、該1つ以上の試薬容器のそれぞれが、試薬を内包するように構成されると共に把持部分を有し、前記グリッパアセンブリは、該1つ以上の試薬容器それぞれの前記把持部分を把持するように構成されており、
前記グリッパアセンブリのバーコードスキャナが、前記トレイにある1つ以上の試薬容器のそれぞれがもつバーコードラベルを、特定の試薬に対応していて目標の試薬容器に付されている目標のバーコードラベルが確認されるまでスキャンし、
前記グリッパアセンブリが、前記目標の試薬容器を持ち上げ、
前記移送アームモータが、前記グリッパアセンブリを前記目標の試薬容器と共に前記試薬サーバーモジュールの装填位置へ移動させ、
前記グリッパアセンブリが、該装填位置を介して、前記1つ以上のインデックス付置き場の中の特定のインデックス付置き場に前記目標の試薬容器を配置し、
前記グリッパアセンブリが、当該目標の試薬容器を開封し、
これらグリッパアセンブリ及び移送アームモータの機能が前記制御器によって制御される、方法。
【請求項15】
前記バーコードスキャナのスキャン時、前記トレイは、該トレイを保持して移動させる面を備えたローダートラックに沿って横方向にインデックス化され、該横方向のインデックス化は、前記制御器に制御されるトレイモータが、前記1つ以上のトレイ置き場の1つが移送位置において前記バーコードスキャナと位置が合うように、前記トレイを移動させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記グリッパアセンブリが、不要な試薬容器を前記試薬サーバーモジュールから取り出すことを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記グリッパアセンブリを前記試薬装填ステーションに移動させる前に、前記グリッパアセンブリによって前記試薬サーバーモジュールの摺動式ドアを開け、
前記目標の試薬容器のシールを開封した後に、前記グリッパアセンブリによって前記試薬サーバーモジュールの前記摺動式ドアを閉じることを更に含み、
前記試薬サーバーモジュールの当該摺動式ドアの開閉は、前記グリッパアセンブリのグリッパフィンガー対が前記摺動式ドアを摺動させることを含み、該グリッパフィンガー対は、対をなすグリッパフィンガーが互いに離れる解放姿勢と、対をなすグリッパフィンガーが互いに押し合う把持姿勢との間で動くように構成されている、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記グリッパアセンブリは、
(i)垂直方向に向けられた互いに対向するグリッパフィンガー対であって、対をなすグリッパフィンガーが互いに離れる解放姿勢と、対をなすグリッパフィンガーが互いに押し合う把持姿勢との間で動くように構成され、前記把持姿勢において、当該グリッパフィンガー対が前記1つ以上の試薬容器の前記把持部分を把持するように構成されている、グリッパフィンガー対と、
(ii)該グリッパフィンガー対に連結されると共に該グリッパフィンガー対を制御して、当該グリッパフィンガー対を前記解放姿勢と前記把持姿勢との間で動かすように構成されたグリッパモータを備えるグリッパアクチュエータと、
(iii)前記グリッパフィンガー対及び前記グリッパアクチュエータが垂直方向に移動するための垂直方向延伸フレームと、
(iv)該垂直方向延伸フレームに沿った前記グリッパフィンガー対及び前記グリッパアクチュエータの垂直方向動作を制御するように構成された垂直駆動モータとを備え、
前記グリッパアセンブリが前記目標の試薬容器の前記シールを開封するときに、
前記グリッパアクチュエータが、前記グリッパフィンガー対を前記把持姿勢に閉じさせ、
前記垂直駆動モータが該グリッパフィンガー対を下降させて前記目標の試薬容器の前記シールに穿孔し、
前記グリッパアクチュエータが前記グリッパフィンガー対を少し離して、前記シールの孔を広げる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記グリッパアセンブリが前記目標の試薬容器を持ち上げるときに、
対をなすグリッパフィンガーが互いに離れる解放姿勢と、対をなすグリッパフィンガーが互いに押し合う把持姿勢との間で動くように構成されているグリッパフィンガー対を前記グリッパアセンブリが備えていて、該グリッパアセンブリのグリッパモータを備えたグリッパアクチュエータが、前記グリッパフィンガー対を前記解放姿勢へ離し、
前記グリッパフィンガー対及び前記グリッパアクチュエータが垂直方向に移動するための垂直方向延伸フレームに沿った、前記グリッパフィンガー対及び前記グリッパアクチュエータの垂直方向動作を制御するように構成された垂直駆動モータが、前記グリッパフィンガー対を前記目標の試薬容器へ下降させ、
前記目標の試薬容器の前記把持部分において前記グリッパフィンガー対を前記把持姿勢へ閉じることで、該グリッパフィンガー対が前記目標の試薬容器を把持し、
前記垂直駆動モータが、前記目標の試薬容器と共に前記グリッパフィンガー対を持ち上げる、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記移送アームモータが、前記グリッパアセンブリを洗浄ステーションに移動させ、
垂直方向延伸フレームに沿った前記グリッパアセンブリの垂直方向動作を制御するように構成された垂直駆動モータが、前記グリッパアセンブリを、濯ぎ溶液を収容した前記洗浄ステーション内に下降させ、
前記垂直駆動モータが、前記グリッパアセンブリを持ち上げて前記洗浄ステーションから出すことを更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2016年7月1日に出願された米国仮特許出願62/357,909の優先権を主張し、この米国仮特許出願の全内容は本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、包括的には、体外診断用医薬品(In Vitro Diagnostics)環境における容器のハンドリングに関し、より詳細には、臨床分析器における試薬容器の安全且つ効率的な移送及び開封に関する。
【背景技術】
【0003】
診断又は臨床分析器は、各試薬の保管及び供給に専用とされる1つ以上の試薬保管領域をもつ場合があり、その試薬保管領域のそれぞれは、各試薬を入れた複数の試薬容器を包含する。試薬は、特に、疾病の診断、治効の監視又は評価、及び安全性に関わる薬物検出検査に用いることができる。したがって、試薬の取扱いには、高い信頼性を必要とする。
【0004】
試薬容器を臨床分析器又は他の分析機器の試薬保管領域に移送する際、試薬は、消耗、漏出、及び汚染から保護する必要がある。手動でバッチ分けして試薬容器を個々に装填し、また、手動でキャップを取り外すか又はシールに穿孔して試薬にアクセスできるようにする従来の方法は、漏出、漏出による消耗、及び交叉汚染(クロスコンタミネーション)につながりやすい。さらに、臨床分析器における試薬容器の保守管理は、時間のかかるプロセスであり、研究所の人員に繰り返し非人間工学的な動作をもたらすとともに、特に大規模な自動化設備を伴う環境では、多くの潜在的な危険とエラーをもたらす。さらには、試薬が枯渇するか又は利用不能になることによって、患者の検査結果に遅延をきたし、取扱いエラーをもたらすことも懸念される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のことに鑑み、臨床分析器における試薬容器の移送及び開封時に、試薬を消耗及び漏出から保護し、作業員のエラーを低減し、検査結果の信頼性を向上させることが必要である。また、安全且つ効率的な方法で試薬容器を提供することも必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、例えば、体外診断用医薬品環境の臨床分析器における、試薬容器の自動的な移送及び開封を対象とする。
【0007】
一態様において、体外診断用医薬品(IVD)環境の臨床分析器における試薬移送アーム装置は、グリッパアセンブリと、該グリッパアセンブリが可動連結される水平方向延伸移送アームであって、該移送アームに沿って前記グリッパアセンブリが水平方向に移動する、水平方向延伸移送アームと、該水平方向延伸移送アームに沿った前記グリッパアセンブリの水平方向動作を制御するように構成された移送アームモータとを備える。グリッパアセンブリは、垂直方向に向けられた互いに対向するグリッパフィンガー対であって、該グリッパフィンガー対は、対をなすグリッパフィンガーが互いに離れる解放姿勢と、対をなすグリッパフィンガーが互いに押し合う把持姿勢との間で動くように構成され、その把持姿勢において、当該グリッパフィンガー対が試薬容器の一部を把持するように構成されている、グリッパフィンガー対と、該グリッパフィンガー対に連結されると共に該グリッパフィンガー対の水平方向の把持動作を制御して、当該グリッパフィンガー対を前記解放姿勢と前記把持姿勢との間で動かすように構成されたグリッパモータを備えるグリッパアクチュエータと、これらグリッパフィンガー対及びグリッパアクチュエータが可動連結される垂直方向延伸フレームであって、該垂直方向延伸フレームに沿って前記グリッパフィンガー対及び前記グリッパアクチュエータが垂直方向に移動する、垂直方向延伸フレームと、該垂直方向延伸フレームに沿った前記グリッパアセンブリの垂直方向動作を制御するように構成された垂直駆動モータとを備える。1つ以上の制御器が、前記グリッパアクチュエータ、前記グリッパモータ、前記垂直駆動モータ、及び前記移送アームモータを運転制御し、試薬容器の内容物にアクセスするためにアクセス位置と保管領域との間で試薬容器を移送するように構成されている。
【0008】
一態様において、体外診断用医薬品(IVD)環境の臨床分析器における試薬ハンドリングシステムは、1つ以上の試薬容器を保持する1つ以上のトレイ置き場を有するトレイを備えた試薬装填ステーションを備え、1つ以上の試薬容器のそれぞれが、試薬を内包するように構成されると共に把持部分を有する。この試薬ハンドリングシステムは、試薬移送アーム装置を更に備え、該試薬移送アーム装置は、1つ以上の試薬容器のそれぞれの前記把持部分を一つずつ把持して、前記1つ以上のトレイ置き場のいずれか1つへ及びここから当該試薬容器をそれぞれ移動させるように構成されたグリッパアセンブリと、該グリッパアセンブリが可動連結される垂直方向延伸移送アームであって、該垂直方向延伸移送アームに沿って前記グリッパアセンブリが垂直方向に移動する、垂直方向延伸移送アームと、該垂直方向延伸移送アームに沿った前記グリッパアセンブリの垂直方向動作を制御するように構成された垂直駆動モータと、前記グリッパアセンブリが可動連結される水平方向延伸移送アームであって、該水平方向延伸移送アームに沿って前記グリッパアセンブリが水平方向に移動する、水平方向延伸移送アームと、該水平方向延伸移送アームに沿った前記グリッパアセンブリの水平方向動作を制御するように構成された移送アームモータとを備える。この試薬ハンドリングシステムは、1つ以上の試薬容器を保持するインデックス付(指定)置き場を備えた1つ以上のインデックス化リングを有する保管筐体をもつ試薬サーバーモジュールを更に備える。1つ以上の制御器が、前記試薬装填ステーション、前記グリッパアセンブリ、前記垂直駆動モータ、前記移送アームモータ、及び前記1つ以上のインデックス化リングの運転を制御するように構成され、前記トレイと前記1つ以上のインデックス化リングとの間で1つ以上の試薬容器が移送される。試薬移送アーム装置の水平方向延伸移送アームは、保管筐体の長さ方向に沿って水平方向に延伸し、トレイの長さ方向は、水平方向延伸移送アームの長さ方向と直交する方向に向けられる。
【0009】
一態様によれば、体外診断用医薬品(IVD)環境の臨床分析器において試薬容器をハンドリングする方法は、制御器が、1つ以上のインデックス付置き場を備えた1つ以上のインデックス化リングを有する試薬サーバーモジュールに特定の試薬を追加する必要性を確認し、水平方向延伸移送アーム及び垂直方向延伸移送アームに沿ったグリッパアセンブリの水平方向動作及び垂直方向動作を制御するように構成された移送アームモータが、前記グリッパアセンブリを試薬装填ステーションに移動させ、該試薬装填ステーションは、1つ以上の試薬容器を保持する1つ以上のトレイ置き場をもつトレイを備え、1つ以上の試薬容器のそれぞれは、試薬を内包するように構成されると共に把持部分を有し、前記グリッパアセンブリは、該1つ以上の試薬容器それぞれの前記把持部分を把持するように構成されており、前記グリッパアセンブリのバーコードスキャナが、前記トレイにある1つ以上の試薬容器のそれぞれがもつバーコードラベルを、特定の試薬に対応していて目標の試薬容器に付されている目標のバーコードラベルが確認されるまでスキャンし、前記グリッパアセンブリが、前記目標の試薬容器を持ち上げ、前記移送アームモータが、前記グリッパアセンブリを前記目標の試薬容器と共に前記試薬サーバーモジュールの装填位置へ移動させ、前記グリッパアセンブリが、該装填位置を介して、前記1つ以上のインデックス付置き場の中の特定のインデックス付置き場に前記目標の試薬容器を配置し、前記グリッパアセンブリが、当該目標の試薬容器を開封する、ことを含む。これらグリッパアセンブリ及び移送アームモータの機能は、前記制御器によって制御される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の上記態様及び他の態様は、添付図面を参照して説明される以下の詳細な説明から最もよく理解される。本発明を例示するために、現時点で好ましい実施形態を図面には示す。ただし、開示する特定の手段に本発明が限定されないのはもちろんのことである。図面は次の各図を含む。
【0011】
図1】本発明を実行可能なシステムアーキテクチャの一実施形態に係るレイアウトを例示する。
図2】実施形態に係る試薬容器を例示する。
図3】実施形態に係る試薬ハンドリングシステムの要部を例示する。
図4】実施形態に係る試薬ハンドリングシステムにおいて用いられるグリッパフィンガーを例示する。
図5】〜
図19】実施形態に係る試薬ハンドリングシステムの種々の使用形態を例示する一連の図。
図20A】実施形態に係る体外診断用医薬品(IVD)環境の臨床分析器において試薬容器を取り出す方法を例示するフローチャート。
図20B】実施形態に係る体外診断用医薬品(IVD)環境の臨床分析器において試薬容器を装填する方法を例示するフローチャート。
図20C】実施形態に係る体外診断用医薬品(IVD)環境の臨床分析器において試薬容器を開封する方法を例示するフローチャート。
図21】本発明の実施形態を実行可能なコンピューティング環境を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態は、病院又は研究所を舞台とした体外診断用医薬品(IVD)環境の臨床分析器又は他の分析機器に用いられる、試薬容器を移送し開封する装置及び方法を対象とする。臨床分析器は、通例、複数の試薬容器内の各試薬の保管と供給に専用とされる1つ以上の試薬保管領域をもっており、試薬容器をその保管領域に効率的且つ安全に移送して容器を開封する必要がある。ここに開示する実施形態に係る装置及び方法により、目標の未開封の試薬容器を機械的手段によって移送することができる。一実施形態によれば、試薬容器の内容物は自動的に記録され、該容器が所定の位置に置かれて開封されて、その内容物が移送プローブで利用可能になる。一組の機械フィンガーが、互いに対して開閉し、試薬容器を移送するために該容器を互いに反対側から把持し解放する。一実施形態によれば、試薬容器が配置されると、機械フィンガーが上昇し、該試薬容器の内容物を封止しているシールの上方に位置決めされる。当該フィンガーは、閉じ合わされて下降軌道で移動し、シールに穿孔するように構成されている。一実施形態において、試薬容器は、漏出の防止と、酸化、汚染、早期劣化を防いで試薬の使用期限を管理するために、最初に未開封のパッケージとして提供される。別の実施形態によれば、作業員による介入を伴わずに、取出、移送、及び装填のサイクルを実行する方法が提供される。本実施形態に関する詳細について以下に説明する。
【0013】
本実施形態は、臨床分析器内の試薬保管領域への及び試薬保管領域からの試薬容器の移送と、試薬容器の開封に関して説明されるが、本発明がこれに限定されるわけではない。本明細書に開示される方法及び装置は、当業者によれば、他のタイプの容器、保管領域、分析器、又はシステムに拡張することができる。
【0014】
図1は、本発明を実行可能なシステムアーキテクチャ100を例示したレイアウト図である。図1には、それぞれプローブを備えた各種移送アーム110(110a,110b,110c,110d)と、1つ以上の希釈リングに配列された複数の希釈容器を含む希釈ターンテーブル120と、1つ以上の反応リングに配列された複数の反応容器を含む反応ターンテーブル130と、各試薬の保管と供給に専従する試薬保管領域140a,140bとが示されており、試薬保管領域140a,140bはそれぞれ、複数の試薬容器用に置き場を有する。運転時、移送アーム110a及びそのプローブは、サンプルをアクセス位置から希釈ターンテーブル120の1つ以上の希釈容器へ移送し、希釈容器内で希釈液を生成するように動作する。移送アーム110b及びそのプローブは、希釈液を希釈容器から反応ターンテーブル130の反応容器へ移送するように動作する。移送アーム110c,110d及びその各プローブは、試薬保管領域140a,140bのそれぞれから反応ターンテーブル130の反応容器へ試薬を移送するように動作する。例えば移送アーム110に取り付けられた容積型ポンプ等のポンプ機構(図示せず)を用いて、様々な移送が行われる。さらに、システムアーキテクチャ100は、移送アーム110、プローブ、及びターンテーブルを含む種々の構成要素を運転制御する1つ以上の制御器(図示せず)を備える。
【0015】
システムアーキテクチャ100には、試薬ハンドリングシステム300も含まれており、その詳細は図3を参照して後述する。図1のシステムアーキテクチャ100内に示されている試薬ハンドリングシステム300の構成要素には、試薬サーバーモジュール310、グリッパアセンブリ321、水平方向延伸移送アーム350、及びトレイ331がある。
【0016】
図1のシステムアーキテクチャ100とその説明は単に例示であり、本明細書に開示される移送及び開封の方法及び装置への限定を意味しない。システムアーキテクチャ100は、本発明に係る移送及び開封方法及び装置を実施可能なシステムの1つの例にすぎない。
【0017】
図2は、システムアーキテクチャ100及び試薬ハンドリングシステム300(以下に詳述する)と共に使用される試薬容器200を例示する。他のタイプの容器又は試薬容器200の派生型を用いてもよく、試薬ハンドリングシステム300が、ここに開示する例示的な試薬容器200の使用に限定されるわけではない。例示する試薬容器200の特徴は、国際出願PCT/US2014/019078に詳しく説明されており、この国際出願の全内容は本明細書に援用される。
【0018】
本実施形態に係る試薬容器200は、臨床分析器(例えば、システムアーキテクチャ100)における特定のオンボード(機器内)診断検査用の試薬流体を内包するように構成された2つの保管部分(又はパック)210,212を有する。試薬容器200は、各パック210,212に対するキャップ220,222も備える。キャップ220,222は、シール230,232をそれぞれ備えている。ラベル240が付され、該ラベル240は、在庫管理のためにバーコードラベル242を含む。一例として、ラベル240は、パック210,212のうちの一方に付けられ、バーコードラベル242は、ラベル240の付けられたパック210,212の上面に位置する。バーコードラベル242は、いずれか1つ以上のパック210,212においてバーコードリーダーがアクセス可能な表面に付けられる。ウェブ状の把持部分250が2つの保管パック210,212間に延在し、この把持部分250は、本実施形態の場合、1つ以上の突出部又は把持部をもち得る実質的に平坦な面である。
【0019】
図3を参照すると、本実施形態に係る試薬ハンドリングシステム300が示されている。本実施形態の試薬ハンドリングシステム300は、臨床分析器(例えば、図1に示されているシステムアーキテクチャ100の試薬保管領域140a,140b)へ又は該臨床分析器から(あるいはその両方)、1つ以上の容器200を移送する。
【0020】
本実施形態によれば、試薬ハンドリングシステム300は、試薬サーバーモジュール310と、試薬移送アーム装置320と、試薬装填ステーション330とを備える。本実施形態の試薬サーバーモジュール310は、試薬容器200を保管する1つ以上のインデックス化リングを備えた冷却式の保管筐体である。試薬移送アーム装置320は、試薬容器200の直線移送をもたらす。試薬装填ステーション330は、1つ以上の試薬容器200を装填し取り出すために設けられる。
【0021】
本実施形態の試薬装填ステーション330は、1つ以上のトレイ置き場332をもつトレイ331を備える。トレイ置き場332のそれぞれは、試薬容器200を1つずつ保持するように構成されている。別の実施形態において、トレイ331は、1つ以上の試薬容器200を保持するのに十分な置き場をもった平坦な面である。本実施形態に係る試薬装填ステーション330は、トレイ331に連結されるトレイモータ333を更に備え、該トレイモータ333により、装填/取出位置と1つ以上の移送位置との間で水平方向にトレイ331を移動させるように構成される。本実施形態のローダートラック334は、トレイ331を支持して移動させるための面である。
【0022】
本実施形態の場合、試薬装填ステーション330及び特にトレイ331は、作業員が、トレイ331に対して試薬容器200を手動で装填しまた取り出すようにも(例えば、装填/取出位置において)利用可能である。
【0023】
図3を引き続き参照すると、試薬移送アーム装置320が示されている。試薬移送アーム装置320は、グリッパアセンブリ321を備え、該グリッパアセンブリ321は、1つ以上の試薬容器200のそれぞれの把持部分250を一つずつ把持し(掴み)、1つ以上の試薬容器200のそれぞれを、例えば対応する移送位置にある1つ以上のトレイ置き場332の1つへ及びここから移動させるように構成されている。別の実施形態において、試薬移送アーム装置320は、自動化されたトラックシステムと協働して試薬容器200の装填及び取出を行うことができる。
【0024】
本実施形態において、グリッパアセンブリ321は、垂直方向に向けられた互いに対向するグリッパフィンガー対322を備える。図4は、本実施形態の試薬ハンドリングシステム300において用いられるグリッパフィンガー対322の例である。図4に示されているように、本実施形態においてグリッパフィンガー対322のそれぞれは支持部分323から構成され、この支持部分323は、端面に尖頭部325を有する細径フィンガー部分324へと移行する。支持部分323は、試薬移送アーム装置320に取り付けるための孔又はスロットを有する。このグリッパフィンガー対322は、対をなすグリッパフィンガー322が互いに離れる解放姿勢(又は開姿勢)と、対をなすグリッパフィンガー322が互いに押し合う把持姿勢(又は閉姿勢)との間で動くように構成されている。各グリッパフィンガー322の尖頭部325は、把持姿勢にあるグリッパフィンガー対322が試薬容器200のキャップ220,222のシール230,232に穿孔することが可能であるように、鋭い先端になっている。
【0025】
本実施形態の場合、把持姿勢にあるときに容器200の把持部分250を容易に把持できるように、グリッパフィンガー対322のそれぞれは、先端部位における(例えば、尖頭部325付近の又は尖頭部325に隣接した)対向面に、鋭く尖った凸部及び凹部326を複数有し、グリッパフィンガー対322の一方における凸部及び凹部326が、グリッパフィンガー対322の他方におけるそれに対向する凹部及び凸部326と嵌まり合うように構成されている。フィンガー322と、把持及び搬送される容器200との間の摩擦を更に増大させるために、1つ以上のフィンガー322の先端部位に、ゴム等の高摩擦材料を適用することもできる。
【0026】
図3に戻って試薬ハンドリングシステム300を参照すると(いくつかの特徴がより明確に図5図19の拡大図に示されている)、グリッパアセンブリ321は、グリッパフィンガー対322に加えてグリッパアクチュエータ327も備え、グリッパアクチュエータ327はグリッパモータを備え、このグリッパモータがグリッパフィンガー対322に連結されて該グリッパフィンガー対322を制御し、グリッパフィンガー対322を解放姿勢と把持姿勢との間で動かすように構成される(例えば、図5図6図7も参照)。垂直方向延伸フレーム328(図6を参照)が設けられ、このフレーム328には、グリッパフィンガー対322及びグリッパアクチュエータ327が可動連結され、当該フレーム328に沿って、グリッパフィンガー対322及びグリッパアクチュエータ327が垂直方向に移動する。垂直駆動モータ329(図3を参照)が、垂直方向延伸フレーム328に沿ったグリッパフィンガー対322及びグリッパアクチュエータ327の垂直方向動作を制御するように構成されている。以下に詳述するように、グリッパフィンガー対322の垂直方向動作は、トレイ331及び試薬サーバーモジュール310に対する1つ以上の試薬容器200の挿入と取出を可能にし、また、試薬容器200のシール230,232の開封を可能にする。
【0027】
グリッパアセンブリ321は、試薬容器200のバーコードラベル242を読み取るように構成されたバーコードスキャナ340を更に備える。本実施形態のバーコードスキャナ340は、特定の試薬容器200が移送位置に移動したときに(すなわち、試薬容器200がトレイ331を介してバーコードスキャナ340の下又はバーコードスキャナ340の範囲内に搬送されると)、該特定の試薬容器200のバーコードラベル242を読み取る。
【0028】
図3の試薬ハンドリングシステム300及び図5図19のより詳細な図を引き続き参照すると、試薬移送アーム装置320は、水平方向延伸移送アーム350を更に備え、この移送アーム350には、グリッパアセンブリ321が可動連結され、この移送アーム350に沿って、グリッパアセンブリ321が水平方向に移動する。移送アームモータ352が、水平方向延伸移送アーム350に沿ったグリッパアセンブリ321の水平方向動作を制御するように構成されている。
【0029】
試薬ハンドリングシステム300の試薬サーバーモジュール310の部分は、1つ以上の試薬容器200を保持するためのインデックス付置き場312(例えば、図6図12図13図14図18を参照)をもつ1つ以上のインデックス化リング318を備えた保管筐体を含む。インデックス化リング318は、受け入れの仕切りとして機能して試薬容器200の置き場所と分離を維持する増分ステーションへ、容器200の保管を分割する。図示のように(より詳細には例えば図6を参照)、インデックス付置き場312は、システムアーキテクチャ100において用いる試薬にアクセスするための位置である試薬保管部のリング状部分140a,140bの下を移動するリング318の一部である。
【0030】
本実施形態において、試薬サーバーモジュール310は、保管筐体の上部に設けられたドア314(図5及び図6を参照)を備え、ドア314は、保管筐体の内部へのアクセスを許容する開姿勢と、保管筐体の内部へのアクセスを許容しない閉姿勢とに動作するように構成されている。本実施形態のドア314は、ドアノッチ316を有する摺動式ドアであり、このドア314は、以下に説明するように、グリッパアセンブリ321によって摺動させて開閉できるように構成されている。
【0031】
図3に示されているように、試薬移送アーム装置320の水平方向延伸移送アーム350は、試薬サーバーモジュール310の長さ方向へ水平方向に延伸し、トレイ331の長さ方向は、水平方向延伸移送アーム350の長さ方向に対して直交する方向に向けられている。当然ながら、他の構造も可能であり、試薬ハンドリングシステム300は、図3に示されている構造に限定されない。
【0032】
本実施形態の試薬ハンドリングシステム300は、水平方向延伸移送アーム350に沿ったグリッパアセンブリ321の水平方向動作を介してグリッパアセンブリ321とアクセス可能である洗浄及び乾燥ステーション360(図17を参照)を更に備える。洗浄及び乾燥ステーション360は、グリッパフィンガー対322を濯ぐように構成された濯ぎステーション362と、グリッパフィンガー対322を真空乾燥するように構成された乾燥ステーション364とを備える。洗浄及び乾燥ステーション360の動作は、図17を参照して後述する。
【0033】
本実施形態において、1つ以上のモータ及び他の構成要素を運転制御する1つ以上の制御器又はプロセッサを、システムアーキテクチャ(例えば、システムアーキテクチャ100)の一部とすることができる。本実施形態に係る1つ以上の制御器は、試薬装填ステーション330(すなわち、トレイモータ333)、グリッパアセンブリ321(すなわち、グリッパモータを備えるグリッパアクチュエータ327、垂直駆動モータ329、バーコードスキャナ340)、移送アームモータ352、及び1つ以上のインデックス化リング318の動作を制御し、トレイ331と1つ以上のインデックス化リング318との間で1つ以上の試薬容器200を移送することができるように提供される。1つ以上の制御器は、ローカル制御器又は中央制御器、あるいはその両方と通信する。
【0034】
本実施形態において、モータ(例えば、トレイモータ333、グリッパモータを備えるグリッパアクチュエータ327、垂直駆動モータ329、及び移送アームモータ352)のうちの1つ以上は、ステッパーモータをもつエンコーダーとすることができる。
【0035】
図5図19を参照すると、開示する実施形態に従った取出、装填、及び開封の各過程の様々な時点で、試薬ハンドリングシステム300が示されている。
【0036】
図5は、グリッパフィンガー対322を、ドア314のドアノッチ316に挿入された把持姿勢(つまり閉姿勢)において示している。挿入後、移送アームモータ352が動作して、水平方向延伸移送アーム350に沿ってグリッパアセンブリ321を水平方向に移動させると、ドア314がスライドオープンする。
【0037】
図6は、ドア314を開姿勢で示しており、試薬サーバーモジュール310の内部(例えば、リング318及び置き場312)が露呈している。図示したリング318のインデックス付置き場312は、空であってアクセス可能である。グリッパフィンガー対322は、ドアノッチ316のところに依然としてある。試薬容器200は、トレイ331のトレイ置き場332内にある。
【0038】
1つの具体例によれば、試薬移送アームのグリッパフィンガー対322は、解放状態(すなわち、開状態)に指示されて、試薬サーバーのリング318の上方の装填/取出位置まで移動する。グリッパフィンガー対322は、試薬サーバーモジュール310内に移動し、空であるか又は取り出す必要のある試薬容器200を把持する。この例のグリッパフィンガー対322は、閉じることで、試薬容器200のキャップ220,222間にある把持部分250を互いに試薬容器200の反対側から挟持する。試薬容器200は、リング318から持ち上げられ、廃棄ステーション(図示せず)に移動させるか又は試薬装填ステーション330(例えば、トレイ331)へ戻されて作業員により処分される。
【0039】
特定の試薬を補充するか又はリング318のうちの1つの積載在庫に追加する必要があることを(例えば、制御器により)判断すると、グリッパアセンブリ321は、水平方向延伸移送アーム350に沿って試薬装填ステーション330へ水平方向に移動する。
【0040】
本実施形態において、バーコードスキャナ340は、必要な試薬を含む試薬容器200の有効性(すなわち、方法又は処方)についてトレイ331上でバーコードラベル242をスキャンする。トレイ331は横方向にインデックス化されており、バーコードスキャナ340は、必要な試薬の要件に合致するバーコードラベル242のある試薬容器200の存在を求めてスキャンを行う。本実施形態によれば、要件を満たすバーコードラベル242を検出すると、試薬ハンドリングシステム300は、1つ以上の制御器により、リング318における当該試薬容器200のための置き場を決定する。次いで、リング318は、その位置(すなわち、インデックス付置き場312)が、試薬サーバーリング318の上方の装填/取出位置に相当する位置となるように、1つ以上の制御器のうちの1つによって回転させられる。
【0041】
図7を参照すると、グリッパフィンガー対322は、(試薬移送アーム装置320により)試薬装填ステーション330のトレイ331にある容器200の上方に位置している。
【0042】
図8に示されているように、グリッパフィンガー対322は、グリッパアクチュエータ327のグリッパモータにより、解放姿勢へ向かう。
【0043】
図9に示されているように、グリッパフィンガー対322は、垂直駆動モータ329により、グリッパフィンガー対322が試薬容器200の把持部分250を挟んで位置する配置まで垂直方向へ下降する。グリッパフィンガー対322は、把持姿勢まで閉じて、試薬容器200の把持部分250を把持する。
【0044】
図10に示されているように、グリッパフィンガー対322は、把持した試薬容器200と共に(垂直駆動モータ329により)持ち上げられる。
【0045】
図11は、水平方向延伸移送アーム350に沿って移送アームモータ352により試薬リング318の上方の装填/取出位置まで移動するグリッパアセンブリ321の一部を、把持した試薬容器200と一緒に示している。
【0046】
図12図14は、グリッパフィンガー対322及び把持された試薬容器200を、予め適所に移動させてあるインデックス付置き場312内へ垂直方向に下降させて置くところを、示している。
【0047】
1つ以上の試薬容器200をリング318内におろした後の適時に、グリッパアセンブリ321は、該1つ以上の試薬容器200を開封するべく動作する。本実施形態の場合、グリッパフィンガー対322が、試薬容器200のキャップ220,222のどちらかの上方に移動する。
【0048】
図15及び図16は、本実施形態に係るシール開封過程を示している。グリッパフィンガー対322は、把持姿勢で互いに閉じていると、試薬容器200のキャップ222のシール232に穿孔できる鋭い先端を形成する。閉じたグリッパフィンガー対322は、下降してキャップ222内に入り、この閉じたグリッパフィンガー対322によって形成される鋭い先端を用いてシール232に穿孔する(図15を参照)。図16に示されているように、グリッパフィンガー対322は、まだキャップ222内にあるうちにキャップ222の開口の範囲内で少し離され、シール232をより完全な開封の状態にするべく孔を広げ、その結果、試薬容器200内に含まれる試薬への妨げのないアクセスがもたらされ、また、グリッパフィンガー対322を引き抜く際に容器200が持ち上がる原因となる摩擦が低減する。
【0049】
グリッパフィンガー対322は、閉じてから垂直方向に持ち上げられ、要請又は必要に応じて、他のキャップ222/シール232の上方に移動して、そのシール232に穿孔する。この第2の開封過程は、1つ以上の制御器のうちの1つによって制御される場合、遅延し得る。
【0050】
グリッパアセンブリ321は、垂直駆動モータ329により、垂直方向延伸フレーム328に沿って試薬容器200から垂直方向に持ち上げられ、移送アームモータ352により、水平方向延在移送アーム350に沿って洗浄及び乾燥ステーション360(図17を参照)へ移動させられる。この場合のグリッパフィンガー対322は、下降して濯ぎステーション362へ入れられ、徹底した洗浄が確実であるように、開姿勢と閉姿勢とを繰り返しながら濯がれる。その後、グリッパフィンガー対322は乾燥ステーション364へ移され、ここで(一例として開姿勢で)真空乾燥された後、当該乾燥ステーション364から出される。
【0051】
図18に示されているように、グリッパフィンガー対322を閉じたグリッパアセンブリ321がドアノッチ316へと横移動し、グリッパフィンガー322がドアノッチ316内に降りてドア314を閉鎖する。グリッパアセンブリ321は、水平方向延伸移送アーム350に沿って横方向に移動することでドア314を閉姿勢(図19を参照)とする。
【0052】
電気コネクタ等の種々の接続部品も図示してある。
【0053】
図20Aは、例えばIVD環境において試薬容器200を取り出す方法を示す本実施形態に係るフローチャート2000である。この方法は、本欄に開示する試薬ハンドリングシステム300の種々の形態を使用する。
【0054】
ステップ2001において、グリッパアセンブリ321が試薬サーバーモジュール310のドア314を開ける。ステップ2002において、グリッパアセンブリ321を、試薬装填ステーション330のトレイ331に移動させる。本実施形態の場合、トレイ331は水平方向延伸移送アーム350の端にある。ステップ2003において、トレイ331がトレイトラック334に沿って横方向に移動する間に、バーコードスキャナ340が、空いている置き場を求めてトレイ331をスキャンする。
【0055】
ステップ2004において、グリッパアセンブリ321を、試薬サーバーモジュール310に移動させる。ステップ2005において、グリッパアセンブリ321が、目標の容器200を把持して持ち上げる。ステップ2006において、グリッパアセンブリ321が、目標の容器200を試薬サーバーモジュール310から取り出す。
【0056】
ステップ2007において、把持した容器200をおろすために、グリッパアセンブリ321をトレイ331に再び移動させる。ステップ2008において、ステップ2003のスキャンで先に識別してあるトレイ331の空き置き場に容器200を配置する。
【0057】
ステップ2009においてドア314を閉じる前に、ステップ2010において、試薬サーバーモジュール310から取り出す必要のある容器200がこれ以上ないことを判断する。ステップ2010における判断で、取り出す必要のある容器200が存在した場合、グリッパアセンブリ321は、ステップ2004で試薬サーバーモジュールへ再び移動し、不要な又は空の試薬容器200を移動させるステップを繰り返す。この過程は、所定の運転中に、取り出す必要のある試薬容器200を全て取り出してトレイ331の空いている置き場におろすまで行う。
【0058】
図20Bは、例えばIVD環境において試薬容器200を装填する方法を示す本実施形態に係るフローチャート2020である。この方法は、本欄に開示する試薬ハンドリングシステム300の種々の形態を使用する。
【0059】
ステップ2021において、グリッパアセンブリ321が、試薬サーバーモジュール310のドア314を開ける。ステップ2022において、グリッパアセンブリ321を、試薬装填ステーション330のトレイ331に移動させる。ステップ2023において、トレイ331をトレイトラック334に沿って横方向に移動させつつ、バーコードスキャナ340が、目標の試薬容器200の位置を特定するためにトレイ331をスキャンする。
【0060】
ステップ2024において、グリッパアセンブリ321が、目標の容器200を把持して持ち上げる。ステップ2025において、グリッパアセンブリ321は、目標の容器200を試薬サーバーモジュール310へ移動させる。ステップ2026において、容器200をインデックス付置き場312におろす。
【0061】
ステップ2027において、試薬サーバーモジュール310に装填する容器200がこれ以上あるか否かの判断を行う。まだ装填が必要な場合、過程はステップ2024へと続き、グリッパアセンブリ321が、別の目標容器200を把持してトレイ331から持ち上げる。一方、もう装填が必要ない場合、ステップ2028において、グリッパアセンブリ321がドア314を閉じる。
【0062】
図20Cは、例えばIVD環境において試薬容器200を開封する方法を示す本実施形態に係るフローチャート2030である。この方法は、本欄に開示する試薬ハンドリングシステム300の種々の態様を使用する。
【0063】
ステップ2031において、グリッパアセンブリ321が、試薬サーバーモジュール310のドア314を開ける。ステップ2032において、グリッパアセンブリ321を試薬サーバーモジュール310に移動させる。ステップ2033において、グリッパアセンブリ321を、容器200の目標のキャップ220,222/シール230,232へ下降させ、シール230、232に穿孔する。
【0064】
ステップ2034において、グリッパアセンブリ321を洗浄ステーション360に移動させる。ステップ2035において、グリッパフィンガー322の洗浄及び乾燥を行う。
【0065】
ステップ2036において、グリッパアセンブリ321がドア314を閉鎖する。
【0066】
本実施形態に係る、試薬流体を機器内在庫に提供する方法を要約すると次のとおりである。作業員が、新しくて期限切れではない必要な試薬の容器200を装填しようとする。容器200は、試薬が正しいことを検証するためにスキャンされる。グリッパフィンガー対322が閉じて適所に移動し、保管筐体のドア314をスライドオープンさせる。グリッパフィンガー対322が試薬容器200の上方に移動して開き、該フィンガー対322が下降して容器200の把持部分250を挟む位置まで移動する。グリッパフィンガー対322が閉じて容器の把持部分250をつまむ。グリッパフィンガー対322が、容器200を試薬装填ステーション330から持ち上げる。グリッパアセンブリ321が、試薬サーバーモジュール310の保管筐体(すなわち、リング318)上方の適所に容器200を移送する。試薬のリング318が空き位置まで回転し、グリッパフィンガー対322が、把持部分250によって容器200を引き続き保持しながら下降し、容器200を空いている試薬リングの置き場312内におろす。グリッパフィンガー対322が開姿勢へ別れ、これにより容器200が解放される。グリッパフィンガー対322が上昇して冷却式の保管筐体から出る。次いでグリッパフィンガー対322が、ドアノッチ316へ移動して保管部の摺動式ドア314を再び閉じる。グリッパフィンガー対322は、次は格納位置であり、手動の作業員又は機器自動処理(すなわち、制御器)からの次の移送呼出に備えてホーム位置(待機位置)へ移動する。
【0067】
試薬容器200を開封する方法を要約すると次のとおりである。試薬のグリッパフィンガー対322が、容器位置に沿って上方へ直線的に移動し、その間に、容器200のキャップ220,222の中心孔位置に中心を合わせる。グリッパフィンガー対322が閉じて鋭く尖った弾丸形状又は先端を形成する。グリッパフィンガー対322が下降し、シール230,232を貫通する。この貫通姿勢で容器200の首部に達する間に、グリッパフィンガー対322は、シール230,232の開口サイズを増大させるために開き、そして容器キャップ220,222及びシール230,232から出るために閉じる。グリッパアセンブリ321は、グリッパフィンガー対322の濯ぎと乾燥のために、グリッパ洗浄及び乾燥ステーション360に移動する。
【0068】
ここに開示した方法及び装置は、いくつかの利点を有する。当該方法及び装置は、機器の使用損失を防ぎ、試薬の販売総量を増大させることになる点で有利である。自動化された方法及び装置により、現場での危険及びエラーが低減するとともに、研究所人員の反復運動障害も低減する。さらに、試薬の使用期限、有用性、安定性、及び信頼性の増大と同時に検査及び機器の時間損失低減も生じる。
【0069】
ここに開示した実施形態に係る方法及び装置は、特定の試薬の供給及び空の容器の取り出し交換の管理を可能にする。保管サーバから試薬の空の容器を仕分けるのに必要な時間を減らすことにより、新しい試薬流体容器の配置及び開封の効率が良くなる。開示した方法及び装置は、正確な装填過程を実行し且つ容器取出過程を改善すると共に、容器の効率的な移送を可能にする。手動の「バッチ」式の容器仕分在庫管理過程を実行する必要が排除されるため有益である。反応領域において行われる検査が、ここに開示した試薬の移送及び装填方法及び装置によっては中断されることがない、という点も有益である。
【0070】
さらに、配置、開封、及び消費した試薬量除去の連続した過程を提供することによって、試薬容器の開封性が向上する。規定の検査に十分な試薬を利用可能とすることで、大幅に待ち時間が減り、検査のスループットが良くなる。
【0071】
試薬容器を手動で装填し取り出す従来のシステムでは、保管領域が始終開閉され、インデックス化作業が繰り返し停止、再開され、そして試薬量を補充する必要があるたびに装填過程を繰り返す必要がある。このように、保管領域に対し継続的に手動で充填したり空にしたりすることは時間の浪費であり、冷却効果を損ない、時間と環境の非効率化を招く。一方、ここに開示した方法及び装置によれば、これらの不利益は、冷却損失を低減して保管領域の環境を安定させ最適化することによって、軽減される。このように、温度変化及び温度変動に起因した試薬の損失又は試薬の揮発(あるいはその両方)を最小限にすることで、目的の試薬の収率を向上させることができる。
【0072】
ここに開示した移送及び開封方法及び装置に関する更なる利点は、作業員によるスキャンエラーの頻度を減らせることである。
【0073】
さらには、試薬を利用可能にしつつも、検査に必要となるまで処理を待つ間は試薬容器を未開封のままにすることによって、試薬の使用期限を延ばせることも利点である。
【0074】
さらに、バーコードスキャナを用いて試薬サーバーリングの全内容物をスキャンし、機器内の試薬パック製剤の現在の在庫を記録することによって、在庫情報を収集する効果的な方法が得られることも利点である。
【0075】
図21は、本発明を実施することができるコンピューティング環境2100を一例として示している。コンピューティング環境2100は、本発明を実施可能な汎用コンピューティングシステムの1つの例であるコンピュータシステム2110を含む。コンピュータシステム2110及びコンピューティング環境2100等のコンピュータ及びコンピューティング環境は、当業者には既知であり、したがって、ここでは簡潔に説明する。
【0076】
図21に示されているように、コンピュータシステム2110は、コンピュータシステム2110内で情報通信するためのバス2121又は他の通信系等の通信系を備える。コンピュータシステム2110は、バス2121に接続されて情報を処理する1つ以上のプロセッサ2120(上述のモータ、バーコードスキャナ、及びリングを含む種々の構成要素の動作を制御するように構成された上述の制御器等)を更に備える。プロセッサ2120は、1つ以上の、中央処理ユニット(CPU)、画像処理ユニット(GPU)、又は当該技術分野において既知の他の任意のプロセッサを含む。
【0077】
コンピュータシステム2110は、情報及びプロセッサ2120によって実行される命令を記憶する、バス2121に接続されたシステムメモリ2130も備える。システムメモリ2130は、リードオンリーメモリ(ROM)2131やランダムアクセスメモリ(RAM)2132等の揮発性、不揮発性メモリの形態のコンピュータ可読記憶媒体を備える。システムメモリRAM2132には、(1つ以上の)他のダイナミック記憶デバイス(例えば、ダイナミックRAM、スタティックRAM、及びシンクロナスDRAM)も含まれ得る。システムメモリROM2131には、(1つ以上の)他のスタティック記憶デバイス(例えば、プログラマブルROM、消去可能PROM、及び電気的消去可能PROM)も含まれ得る。加えて、システムメモリ2130は、プロセッサ2120による命令の実行中の一時変数又は他の中間情報を記憶するために用いることができる。起動時等にコンピュータシステム2110内の要素間情報転送を補助する基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)2133は、ROM2131に記憶される。RAM2132は、プロセッサ2120によって即時アクセス可能な又は現在作演算中のデータ又はプログラムモジュール(あるいはこれら両方)を含む。システムメモリ2130は、例えば、オペレーティングシステム2134、アプリケーションプログラム2135、他のプログラムモジュール2136、及びプログラムデータ2137も含む。
【0078】
コンピュータシステム2110は、磁気ハードディスク2141及びリムーバブルメディアドライブ2142(例えば、フレキシブルディスクドライブ、コンパクトディスクドライブ、テープドライブ、ソリッドステートドライブのいずれか1つ以上)等の、情報及び命令を記憶する1つ以上の記憶デバイスを制御するために、バス2121に接続されたディスクコントローラ2140も備える。記憶デバイスは、適切なデバイスインターフェース(例えば、スモールコンピュータシステムインターフェース(SCSI)、集積デバイスエレクトロニクス(IDE)、ユニバーサルシリアルバス(USB)、又はファイヤーワイヤー)を用いて、コンピュータシステム2110に追加することができる。
【0079】
コンピュータシステム2110は、コンピュータユーザに対して情報を表示する、ブラウン管(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイ(モニタ)2166を制御するために、バス2121に接続されたディスプレイコントローラ2165も備える。コンピュータシステム2110は、コンピュータユーザーと相互作用してプロセッサ2120に情報を提供すべく、入力インターフェース2160と、キーボード2162及びポインティングデバイス2161等の1つ以上の入力デバイスとを備える。ポインティングデバイス2161は、例えば、プロセッサ2120に対して方向情報及びコマンド選択を伝え、ディスプレイ2166上のカーソル移動を制御するマウス、トラックボール、又はポインティングスティックとすることができる。ディスプレイ2166は、ポインティングデバイス2161による方向情報及びコマンド選択の伝達を補足するか又はそれに取って代わる入力を提供する、タッチスクリーンインターフェースをもつことができる。
【0080】
コンピュータシステム2110は、システムメモリ2130等のメモリに含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行するプロセッサ2120に応じて、上述した実施形態の処理ステップの一部又は全部を実行する。当該命令は、ハードディスク2141又はリムーバブルメディアドライブ2142等のコンピュータ可読媒体からシステムメモリ2130に読み込まれる。ハードディスク2141は、上記実施形態において用いられる1つ以上のデータストア及びデータファイルを含む。データストアのコンテンツ及びデータファイルは、セキュリティの向上のために暗号化することができる。プロセッサ2120は、システムメモリ2130に含まれる命令の1つ以上のシーケンスを実行するために、多重処理構成として使用することもできる。他の例では、ソフトウェア命令の代わりに又はソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を用いることができる。すなわち、本実施形態は、ハードウェア回路及びソフトウェアの特定の組合せに限定されない。
【0081】
上述したように、コンピュータシステム2110は、上記実施形態に従ってプログラミングされた命令を保持するとともに、データ構造、テーブル、レコード、又は本明細書に説明する他のデータを含む、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体又はメモリを備える。本明細書において用いる「コンピュータ可読媒体」という用語は、プロセッサ2120に命令を与えて実行させることに関与する媒体を指す。コンピュータ可読媒体は、限定はしないが、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含む多くの形態をとることができる。不揮発性媒体の非限定的な例として、ハードディスク2141又はリムーバブルメディアドライブ2142等の、光ディスク、ソリッドステートドライブ、磁気ディスク、及び光磁気ディスクが挙げられる。揮発性媒体の非限定的な例として、システムメモリ2130等のダイナミックメモリが挙げられる。伝送媒体の非限定的な例として、バス2121を構築する配線を含む、同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバが挙げられる。伝送媒体は、電波データ通信及び赤外線データ通信で発生するような音波や光波の形態をとることもできる。
【0082】
コンピューティング環境2100は、リモート(遠隔)コンピュータ2180等の1つ以上のリモートコンピュータへの論理接続を用いてネットワーク化環境内で作動するコンピュータシステム2110を更に含むことができる。リモートコンピュータ2180は、パーソナルコンピュータ(ラップトップ又はデスクトップ)、モバイルデバイス、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイス、又は他の一般的なネットワークノードとすることができ、通例、コンピュータシステム2110に関して上述した要素のうちの多く又は全てを含む。ネットワーク化環境において用いる場合、コンピュータシステム2110は、インターネット等のネットワーク2171を介した通信を確立するためのモデム2172を備える。モデム2172は、ユーザネットワークインターフェース2170又は別の適切な機構を介してシステムバス2121に接続する。
【0083】
ネットワーク2171は、当該技術分野において広く知られたネットワーク又はシステムであり、これには、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ダイレクトコネクション又はシリーズコネクション、セルラーフォンネットワーク、あるいは、コンピュータシステム2110と他のコンピュータ(例えば、リモートコンピューティングシステム2180)との通信を円滑にする他のネットワークや媒体が含まれる。ネットワーク2171は、有線、無線、又はそれらの組合せとすることができる。有線接続は、イーサネット(登録商標)、ユニバーサルシリアルバス(USB)、RJ−11、又は当該技術分野において既知の他の有線接続を用いて実現することができる。無線接続は、Wi−Fi、WiMAX、及びBluetooth(登録商標)、赤外線、セルラーネットワーク、衛星、又は当該技術分野において既知の他の無線接続法を用いて実現することができる。さらに、複数のネットワークが、単独で又は互いに通信して、ネットワーク2171における通信を円滑にするように作動し得る。
【0084】
以上のとおり、上記各種システム、サブシステム、エージェント、マネージャ、及びプロセスは、ハードウェアコンポーネント、ソフトウェアコンポーネント、及びその組合せのいずれか1つ以上を使用して実装され得る。
【0085】
例示した実施形態を参照して本発明を説明したが、これは本発明を限定するものではない。本発明の好適な実施形態に対して多数の変更、修正を行うことができること、そして、そのような変更及び修正を、本発明の思想から逸脱することなく行うことができることは、当業者には当たり前のことである。特許請求の範囲は、本発明の思想及び範囲内に入る全てのこうした等価な派生に及ぶと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21
【手続補正書】
【提出日】2019年6月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本実施形態は、病院又は研究所を舞台とした体外診断用医薬品(IVD)環境の臨床分析器又は他の分析機器に用いられる、試薬容器を移送し開封する装置及び方法を対象とする。臨床分析器は、通例、複数の試薬容器内の各試薬の保管と供給に専用とされる1つ以上の試薬保管領域をもっており、試薬容器をその保管領域に効率的且つ安全に移送して容器を開封する必要がある。ここに開示する実施形態に係る装置及び方法により、目標の未開封の試薬容器を機械的手段によって移送することができる。一実施形態によれば、試薬容器の内容物は自動的に記録され、該容器が所定の位置に置かれて開封されて、その内容物が移送プローブで利用可能になる。一組の機械フィンガーが、互いに対して開閉し、試薬容器を移送するために該容器を互いに反対側から把持し解放する。一実施形態によれば、試薬容器が配置されると、機械フィンガーが上昇し、該試薬容器の内容物を封止しているシールの上方に位置決めされる。当該フィンガーは、閉じ合わされて下降軌道で移動し、シールに穿孔するように構成されている。一実施形態において、試薬容器は、漏出の防止と、蒸発、酸化、汚染、早期劣化を防いで試薬の使用期限を管理するために、最初に未開封のパッケージとして提供される。別の実施形態によれば、作業員による介入を伴わずに、取出、移送、及び装填のサイクルを実行する方法が提供される。本実施形態に関する詳細について以下に説明する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
本実施形態において、バーコードスキャナ340は、必要な試薬を含む試薬容器200の有効性(すなわち、方法又は処方)についてトレイ331上で、試薬容器200のバーコードラベル242をスキャンする。トレイ331は横方向にインデックス化されており、バーコードスキャナ340は、必要な試薬の要件に合致するバーコードラベル242のある試薬容器200の存在を求めてスキャンを行う。本実施形態によれば、要件を満たすバーコードラベル242を検出すると、試薬ハンドリングシステム300は、1つ以上の制御器により、リング318における当該試薬容器200のための置き場を決定する。次いで、リング318は、その位置(すなわち、インデックス付置き場312)が、試薬サーバーリング318の上方の装填/取出位置に相当する位置となるように、1つ以上の制御器のうちの1つによって回転させられる。
【国際調査報告】