(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-519787(P2019-519787A)
(43)【公表日】2019年7月11日
(54)【発明の名称】レーザー受信機に入射する受信ビームと回転レーザービームとを比較するための方法
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20190621BHJP
G01C 15/02 20060101ALI20190621BHJP
【FI】
G01C15/00 103C
G01C15/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-568360(P2018-568360)
(86)(22)【出願日】2017年6月21日
(85)【翻訳文提出日】2019年1月30日
(86)【国際出願番号】EP2017065156
(87)【国際公開番号】WO2018001802
(87)【国際公開日】20180104
(31)【優先権主張番号】16177223.1
(32)【優先日】2016年6月30日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】サッシャ ルーキッチ
(72)【発明者】
【氏名】アンドラス ハラズィ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン カーニー
(72)【発明者】
【氏名】エルミン カルキッチ
(57)【要約】
本発明は、レーザー受信機12に入射する受信ビーム24と回転レーザー装置11により回転軸21の周りを回転方向23に進行する回転レーザービーム22とを比較するための方法であって、レーザー受信機12は評価装置と、第1の測定領域及び第2の測定領域を有する少なくとも1つの検出フィールド25とを備える。受信ビーム24がレーザー受信機12の少なくとも1つの検出フィールド25に入射する場合、評価装置は第1の測定領域に入射する受信ビーム24の時間的推移を示す第1の受信信号及び第2の測定領域に入射する受信ビーム24の時間的推移を示す第2の受信信号を特定する。評価装置はレーザー受信機12に対する受信ビーム24の進行方向を第1及び第2の受信信号から判定し、受信ビーム24の進行方向は評価装置によって回転レーザービーム22の回転方向23と比較される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー受信機(12、91)に入射する受信ビーム(24)と、回転レーザー装置(11)から回転軸(21)の周りを回る回転方向(23)に発せられる回転レーザービーム(22)と、を比較するための方法であって、前記レーザー受信機(12)は評価装置(48)と、第1の測定範囲(53、94)及び第2の測定範囲(54、95)を有する少なくとも1つの検出フィールド(25、92、93)とを備え、
前記受信ビーム(24)が前記レーザー受信機(12、91)の少なくとも1つの検出フィールド(25、92、93)に入射すると、前記評価装置(48)が前記第1の測定範囲(53、94)における前記入射する受信信号(24)の時間的傾向を示す第1の受信信号(61、71、81)を特定し、前記第2の測定範囲(54、95)における前記入射する受信ビーム(24)の時間的傾向を示す第2の受信信号(62、72、82)を特定する工程と、
前記第1及び第2の受信信号(61、62、71、72、81、82)から、前記評価装置(48)が前記レーザー受信機(12、91)に対する前記受信ビーム(24)の進行方向(63、73)を、判定する工程と、
前記評価装置(48)により、前記受信ビーム(24)の前記進行方向(63、73)を前記回転レーザービーム(22)の前記回転方向(23)と比較する工程と
を備える、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の受信信号(81)の時間的傾向と前記第2の受信信号(82)の時間的傾向が一致する場合、前記受信ビーム(24)は前記評価装置(48)により外因性のビームとして分類される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記受信ビーム(24)の前記進行方向(63、73)が前記評価装置(48)によって特定されるのは、前記第1の受信信号(61、71)の時間的傾向と前記第2の受信信号(62、72)の時間的傾向が異なる場合である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記受信信号(24)の前記進行方向(63)と前記回転レーザービーム(22)の前記回転方向(23)が同じ方向である場合、前記受信ビーム(24)は前記評価装置(48)により回転レーザービームと分類される、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザー受信機(12)が前記評価装置(48)により測定モードに切り替えられ、少なくとも1つの検出フィールド(25、92、93)の長手方向(28)において前記受信ビーム(24)の位置が判定される、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記受信ビーム(24)の前記進行方向(73)と前記回転レーザービーム(22)の前記回転方向(23)とが互いに反対方向である場合に、前記評価装置(48)により前記受信ビーム(24)は反射レーザービームと分類される、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記回転レーザービーム(22)は前記回転軸(21)の周りを360°進行し、360°の角度は第1及び第2の角度範囲に再分割され、前記第1及び第2の角度範囲の前記回転レーザービーム(22)は1つ又は複数のビーム特性によって異なっている、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記回転レーザービーム(22)は変調信号で変調され、前記第1の角度範囲では第1の変調信号が、前記第2の角度範囲では前記第1の変調信号とは異なる第2の変調信号が用いられる、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
回転軸(21)の周りを回転方向(23)に回転するレーザービーム(22)を発する回転レーザー装置(11)と、評価装置(48)と、第1の測定範囲(53、94)及び第2の測定範囲(54、95)を有する少なくとも1つの検出フィールド(25、92、93)とを有するレーザー受信機(12、91)とを備える、請求項1乃至8の何れか1つに記載の方法を実行するための装置(10)。
【請求項10】
前記レーザー受信機(91)は、第1の検出フィールド(92)と、離れて設置された第2の検出フィールド(93)とを備え、よって前記第1の検出フィールド(92)は前記第1の測定範囲(94)を示し、前記第2の検出フィールド(93)は前記第2の測定範囲(95)を示す、ことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記レーザー受信機(12、91)は、重力場の重力方向(27)に対する前記レーザー受信機(12、91)の傾斜を計測する傾斜センサ(52)を有する、ことを特徴とする請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記回転レーザー装置(11)と前記レーザー受信機(12、91)は通信接続(13)経由で接続することができ、前記レーザー受信機(12、91)の前記評価装置(48)と前記回転レーザー装置(11)の制御部との通信が実行される、ことを特徴とする請求項9乃至11の何れか1つに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の、レーザー受信機に入射する受信ビームと回転レーザービームとを比較するための方法と、請求項9に記載のその方法を実行する装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
回転レーザー装置は屋内及び屋外でのレベリング及びマーキング作業に用いられる。係る作業では、対象とする領域に水平方向、垂直方向、若しくは対角線方向のレーザーマーキングを表示する、又は水平高を示す線、垂直方向線、消失線及び垂直点を判定及び検証する作業がある。回転レーザー装置は、水平及び垂直位置といった様々な装置位置に配置することができる。ここでは、水平方向で使用可能且つ水平位置のみで用いられる回転レーザー装置は、水平方向及び垂直方向で使用可能且つ水平及び垂直位置で用いられる回転レーザー装置から区別される。
【0003】
ゴーグル等の保護手段なしで使用可能な回転レーザー装置では、許容される最大レーザー出力は限定される。屋外でのレベリング及びマーキング作業の際、許容される最大レーザー出力によりレーザービームは見えないか又は視認性が低下することが多い。レーザービームの視認性を改善するために、対象システム又はレーザー受信機はレーザービームに向けて保持される。レーザー受信機は、操作者により手持ち機器としてレーザービームに直接合わせて保持されるか、テレスコピック又はレベリングアームに取り付けられる。このような既知のレーザー受信機は、評価装置と長手方向及び横断方向を有する少なくとも1つの検出フィールドとを備え、このレーザー受信機は、長手方向配置又は横断方向配置にある回転レーザー装置の装置位置に合わせて設置される。
【0004】
レベリング及びマーキング作業の際には、外因性の(外部からの、無関係な)ビーム(Fremdstrahlen)又は回転レーザービームの反射により測定値が不正確になる。レーザー受信機に入射する受信ビームと回転レーザービームとを比較する様々な方法が知られている。レーザー受信機による不正確な測定の危険性を低減するため、回転レーザー装置の回転レーザービームを変調信号で変調する方法が知られている。レーザー受信機に入射する受信ビームがレーザー受信機の評価装置により評価され、受信ビームが変調信号で変調されている場合には回転レーザービームとして分類される。欠点は、回転レーザービームの反射領域における反射が評価装置により検出されないことである。反射レーザービームも変調信号により変調されているから、レーザー受信機の評価装置により回転レーザービームとして分類されてしまう。
【0005】
特許文献1は、レーザー受信機に入射する受信ビームと回転レーザー装置から発せられる回転レーザービームとを比較するもう1つの既知の方法を開示している。レーザー受信機は、複数の光検出器アレイが長手方向に配置された検出フィールドを備え、その光検出器アレイはそれぞれ、長手方向に複数の光検出器を備える。受信ビームが検出フィールドに入射すると、評価装置は各光検出器アレイの第1及び第2の参照信号を特定する。これらの第1及び第2の参照信号は、受信ビームが捉えた光検出器アレイの外部光検出器の振幅を表す。参照信号には、評価装置により、足し算、引き算、及び割り算のための処理が実行され、評価のための数字が算出される。この数字は、予め設定された制限値と比較される。数字が制限値より小さい場合、受信ビームはレーザービーム(「移動するレーザー光の細いビーム」)と分類される。数字が制限値より大きい場合、受信ビームは外因性のビーム(「無指向性の光パルス」)と分類される。
【0006】
レーザー受信機に入射する受信ビームと回転レーザービームとを比較するためのもう一つの方法は、特許文献2から既知である。レーザー受信機は、複数の光検出器が長手方向に配置された検出フィールドと追加の光検出器とを備える。受信ビームがレーザー受信機に入射すると、評価装置は第1、第2、及び第3の参照信号を特定する。ここで、第1の参照信号は受信ビームが捉える第1の外部光検出器の電気出力を、第2の参照信号は受信ビームが捉える第2の外部光検出器の電気出力を、第3の参照信号は追加の光検出器の電気出力を表す。第3の参照信号を用いて受信ビームの評価を実行する。第3の参照信号の振幅が「十分に低い」場合、受信ビームは回転レーザー装置のレーザービームとして分類される。一方、第3の参照信号の振幅が「十分に高い」場合、受信ビームは外因性のビーム(「無指向性の光パルス」)として分類される。
【0007】
レーザー受信機に入射する受信ビームと回転レーザー装置の回転レーザービームとの比較に係る特許文献1及び特許文献2の既知の方法の不利な点は、回転レーザービームの反射面からの反射がレーザー受信機の評価装置により判定されず、誤って回転レーザービームとして分類されることである。反射面からの回転レーザービームの反射によっては、参照信号の振幅は変化しないか又は少ししか変化せず、受信ビームの評価基準に影響を与えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7119316号明細書
【特許文献2】米国特許第7224473号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、レーザー受信機に入射する受信ビームと回転レーザービームとを比較するための方法であって、回転レーザービームの反射面からの反射により測定値に不正確さが生じる危険性を低減する方法を提供することである。さらに、本発明の方法はほぼ自動的な実行に適合すべきものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明において、この目的は、独立項1の技術的特徴によりレーザー受信機に入射する受信ビームと回転レーザービームとを比較する方法、及び独立項9の技術的特徴により本発明のかかる方法を実施する装置により達成される。さらなる優位性のある技術的特徴は、従属項に記載されている。
【0011】
レーザー受信機に入射する受信ビームと回転レーザー装置により回転軸周りの回転方向に発せられる回転レーザービームとを比較するための方法であって、このレーザー受信機は評価装置と第1の測定範囲及び第2の測定範囲を有する少なくとも1つの検出フィールドとを備える。この方法は以下の工程を備える。
受信ビームがレーザー受信機の少なくとも1つの検出フィールドに入射すると、第1の測定範囲に入射する受信ビームの時間的傾向を実現する受信信号を特定し、第2の測定範囲に入射する受信信号の時間的傾向を実現する第2の受信信号を特定する。
レーザー受信機に対する受信ビームの進行方向を、第1及び第2の受信信号から判定する。
受信ビームの進行方向を、評価装置によって回転レーザービームの回転方向と比較する。
【0012】
受信ビームを回転レーザービームと比較するための本発明の方法において、少なくとも1つの検出フィールドは第1及び第2の測定範囲を有し、レーザー受信機の評価装置は第1及び第2の受信信号を特定する。第1の受信信号は第1の測定範囲に入射する受信ビームの時間的傾向を示し、第2の受信信号は第2の測定範囲に入射する受信ビームの時間的傾向を示す。第1及び第2の測定範囲を有する少なくとも1つの検出フィールドを備えたレーザー受信機は、レーザー受信機に対する受信ビームの進行方向の検出を可能とする。本発明の方法の一部では、レーザー受信機の評価装置はレーザー受信機に対する受信ビームの進行方向を第1及び第2の受信信号から特定し、受信ビームの進行方向と回転レーザービームの回転方向とを比較する。
【0013】
本発明の方法を用いて、反射面からの回転レーザービームの反射を検出することができ、回転軸の周りを回らない外因性(外部からの、無関係な)のビーム(Fremdstrahlen)を回転レーザービームから区別することができる。回転しない外因性のビームの場合、第1の受信信号の時間的傾向と第2の受信信号の時間的傾向が本質的に一致し、評価装置はレーザー受信機に対する受信ビームの進行方向を第1及び第2の受信信号から判定することができない。受信ビームの進行方向と回転レーザービームの回転方向とを比較することにより、反射面からの回転レーザービームの反射を検出することができる。回転レーザー装置は、回転軸の周りを所定の回転方向に回るよう回転レーザービームを進行させる。回転レーザービームが反射面による反射後にレーザー受信機に受信ビームとして入射する場合、受信ビームの進行方向は回転レーザービームの所定の回転方向と反対となる。
【0014】
本発明の方法のその他の工程は、評価装置がレーザー受信機に対する受信ビームの進行方向を第1及び第2の受信信号から特定できるか否かに基づく。受信ビームの進行方向により、本発明の方法を用いて、回転しない外因性のビーム及び反射レーザービームを回転レーザービームから区別することが可能である。
【0015】
受信ビームが評価装置により外因性のビームとして分類されるのは、第1の受信信号の時間的傾向と第2の受信信号の時間的傾向が本質的に一致する場合である。回転レーザー装置の回転レーザービームと異なる如何なるビームも外因性のビームとされる。回転しない外因性のビームの場合、第1の受信信号の時間的傾向と第2の受信信号の時間的傾向が本質的に一致し、評価装置はレーザー受信機に対する受信ビームの進行方向を第1及び第2の受信信号から定めることができない。
【0016】
第1の受信信号の時間的傾向と第2の受信信号の時間的傾向が異なる場合、受信信号の進行方向が評価装置によって判定される。受信ビームの進行方向が順方向と定義されるのは、第1の受信信号が第2の受信信号の前に始まる及び/又は前に終わる場合である。受信信号の進行方向が逆方向と定義されるのは、第2の受信信号が第1の受信信号の前に始まる及び/又は前に終わる場合である。
【0017】
本発明の方法のその他の工程は、受信信号の進行方向と回転レーザービームの回転方向が同一方向か反対方向かに基づく。本発明の方法は、2つの変形態様に分かれる。第1の変形態様においては、受信ビームの進行方向と回転レーザービームの回転方向は同一方向であり、第2の変形態様においては、受信信号の進行方向と回転レーザービームの回転方向は反対方向である。
【0018】
受信信号の進行方向と回転レーザービームの回転方向が同一方向の場合、受信ビームは評価装置により回転レーザービームと分類される。回転レーザー装置は、回転レーザービームを回転軸周りの所定の回転方向に進行させる。回転レーザービームが反射面からの反射無しでレーザー受信機に受信ビームとして入射する場合、受信ビームの進行方向は回転レーザービームの所定の回転方向と同一である。本発明の方法において、進行方向と回転方向が同一方向の場合、受信ビームが評価装置により回転レーザービームと常に分類される。
【0019】
回転レーザービームの反射が偶数回の場合も受信ビームの進行方向が所定の回転方向と同方向となり、回転レーザービームからの偶数回の反射により生じる受信ビームは評価装置により誤って回転レーザービームと分類される。回転レーザー装置及びレーザー受信機の実用的な用途において、反射面での回転レーザービームの単純反射は誤測定の最も一般的な原因である。したがって、本発明の方法は誤測定の危険性を低減させるものの、完全に防ぐことはできない。
【0020】
レーザー受信機が評価装置により測定モードに切り替えられ、よって測定モードで少なくとも1つの検出フィールドの長手方向での受信ビームの位置が特定される、ことが特に好ましい。入射する受信ビームが評価装置により回転レーザービームと分類されると、レーザー受信機を意図した通りに使用することができる。このために、評価装置によりレーザー受信機を測定モードにすることができる。
【0021】
受信ビームの進行方向と回転レーザービームの回転方向が反対方向の場合、受信ビームは評価装置により反射レーザービームと分類される。回転レーザー装置は、回転軸の周りを所定の回転方向に回るよう回転レーザービームを進行させる。回転レーザービームがレーザー受信機に受信ビームとして入射する場合、受信ビームの進行方向は、反射面での反射後に回転レーザービームの所定の回転方向と反対となる。本発明の方法において、受信ビームが評価装置により反射レーザービームと常に分類されるのは、進行方向と回転方向が同一方向の場合である。
【0022】
回転レーザービームの反射が奇数回の場合も、受信ビームの進行方向は回転方向と反対方向となる。したがって、回転レーザービームからの奇数回の反射により生じる受信ビームは反射レーザービームであると正しく評価装置により分類され得る。
【0023】
本発明の方法において、回転軸の周りを回る回転レーザービームは所定の回転方向に進行する。レーザー受信機の評価装置はレーザービームの進行方向を特定し、その進行方向を回転レーザー装置の回転方向と比較する。ここでは、進行方向はレーザー受信機の位置に基づき、レーザー受信機を挟んで反対位置にある絶対進行方向は互いに反対方向であることが分かる。レーザー受信機の回転レーザー装置に対する位置は、回転レーザービームを用いて特定し得る。
【0024】
さらに好ましい方法の態様において、回転レーザービームは回転軸の周りを360°回るよう進行し、この360°の角度は第1及び第2の角度範囲に再分割され、回転レーザービームは1つ又は複数のビーム特性によりそれぞれを区別する。本発明の方法の一つとして、レーザー受信機の評価装置は入射する受信ビームを分析する。第1及び第2の角度範囲で回転レーザー装置がそれぞれを区別するビーム特性を用い、評価装置は、レーザー受信機の少なくとも1つの検出フィールドが受信ビームに入射する角度範囲を特定することができる。
【0025】
回転レーザービームは変調信号で変調され、第1の角度範囲では第1の変調信号が、第2の角度範囲では第1の変調信号とは異なる第2の変調信号が用いられることが好ましい。第1と第2の変調信号は、振幅、形状、及び/又は変調周波数において互いに異なる。本発明の方法の一つとして、レーザー受信機の評価装置は入射する受信ビームを分析し、受信ビームを変調した変調信号を特定することができる。この変調信号を用いて、評価装置は、レーザー受信機の少なくとも1つの検出フィールドが受信ビームに捉えられた角度範囲を特定することができる。
【0026】
本発明において、方法の実行のために提供された装置は、回転軸の周りを回転方向に回るレーザービームを発する回転レーザー装置と、評価装置と、第1の測定範囲及び第2の測定範囲を有する少なくとも1つの検出フィールドとを含むレーザー受信機と、を有する。第1の変形態様において、回転レーザー装置は垂直位置に整列され、レーザー受信機はその横断方向に整列される。ここで、回転レーザー装置の回転軸と、少なくとも1つの検出フィールドの長手方向は重力場の重力方向と垂直に整列され、少なくとも1つの検出フィールドの横断方向は重力方向と平行に整列される。第2の変形態様において、回転レーザー装置は水平位置に整列され、レーザー受信機は長手方向(縦)配置で整列される。ここで、回転レーザー装置の回転軸と、少なくとも1つの検出フィールドの長手方向は重力方向と平行に整列され、少なくとも1つの検出フィールドの横断方向は重力方向と垂直に配置される。
【0027】
レーザー受信機が第1の検出フィールドと、それと離れた第2の検出フィールドとを備え、よって第1の検出フィールドは第1の測定範囲を示し、第2の検出フィールドは第2の測定範囲を示すことが好ましい。
【0028】
レーザー受信機は、重力場の重力方向に対するレーザー受信機の傾斜を計測する傾斜センサを有することが特に好ましい。この傾斜センサは、レーザー受信機の整列方向を明確に特定するために使用することができる。本発明の方法の態様において、レーザー受信機は長手又は横断方向配置に整列され、よって検出フィールドの長手又は横断方向配置は垂直方向と平行であるべきであり、検出フィールドの横断方向は垂直方向と垂直であるべきである。検出フィールドの長手又は横断方向と重力方向は、同一方向又は反対方向でよい。傾斜センサを用いて、両方の整列方向を「同じ向き」又は「反対向き」としてお互いに区別することができる。
【0029】
回転レーザー装置とレーザー受信機とは通信接続経由で接続することができ、レーザー受信機の評価装置と回転レーザー装置の評価装置との通信が実現することが特に好ましい。本発明の方法の態様において、レーザー受信機の評価装置はレーザー受信機に対する受信ビームの進行方向を第1及び第2の受信信号から特定し、受信ビームの進行方向と回転レーザービームの回転方向とを比較する。回転レーザービームの回転方向は、回転レーザー装置によって通信接続経由で評価装置に送信することができ、本発明の方法は自動的に実施できる。
【0030】
以下で本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。この図面は、実施例を縮小して記載することを意図したものではなく、説明のために概略的及び/又は若干の変更を加えて描かれている。本発明の要旨から逸脱することがなければ、実施例の形態及び詳細に様々な変更を加えることができる。本発明の要旨は以下で示され、記載された好ましい実施例のそのままの形態又は詳細に限定されることはなく、かつ請求項に記載された技術的特徴との比較において、限定され得るような技術的特徴に限定されることもない。提示されている寸法範囲内については、制限内にある値は、制限値として開示されたものであり、所望に応じて使用しても記載してもよい。
【0031】
簡潔にするため、以下では同じ参照番号が同一若しくは類似の要素又は同一若しくは類似の機能に付与されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】回転レーザービームを発する回転レーザー装置とレーザー受信機とを有する装置を示す図である。
【
図2A】
図1の回転レーザー装置及びレーザー受信機を示し、回転レーザー装置は水平位置にあるとともにレーザー受信機は長手方向(縦)配置にある、第1の配置を示す図である。
【
図2B】
図1の回転レーザー装置及びレーザー受信機を示し、第2の配置において、回転レーザー装置は垂直位置にあるとともに、レーザー受信機は横断(横)方向にある、第2の配置を示す図である。
【
図3】レーザー受信機の構造の詳細及び回転レーザー装置との相互作用を示す構成図である。
【
図4】回転レーザー装置の回転レーザービームがレーザー受信機の第1及び第2の測定範囲に入射した時に生成される第1及び第2の受信信号を示す図である。
【
図5】回転レーザー装置の回転レーザービームが反射面での反射後にレーザー受信機の第1及び第2の測定範囲に入射した時に、生成される第1及び第2の受信信号を示す図である。
【
図6】外因性のビームとして形成された受信ビームがレーザー受信機の第1及び第2の測定範囲に入射した時に、生成される第1及び第2の受信信号を示す図である。
【
図7】第1の検出フィールドと、第2の検出フィールドとを有する、レーザー受信機の代替の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は回転レーザー装置11と通信接続13経由で接続可能なレーザー受信機12とを有する装置10を示す。この通信接続13は、ワイヤレス通信接続又は有線の通信接続として構成される。回転レーザー装置11は、回転レーザー装置11の水平方向での応用技術のために水平位置に配置され、レーザー受信機12は長手(縦、垂直)方向に配置される。
【0034】
回転レーザー装置11はモータースタンド14に設置され、モータースタンド14は高さ方向軸16(二重矢印)沿いの軸15に沿った回転レーザー装置11の自動的高さ調節を可能とする。さらに、回動プラットフォーム17を設置してもよく、この回動プラットフォーム17の回動軸18の周りでの回転レーザー装置11の自動角度調節を可能とする。この回動プラットフォーム17はスタンド14又は回転レーザー装置11に組み込んでも、又はスタンド14に設置された個別の要素として形成してもよい。回転レーザー装置11は水平及び垂直方向に設置することができ、回転レーザー装置11の回転軸21の周りを回る回転レーザービーム22を発する。回転レーザービーム22は回転軸21の周りを回転方向23に回転し、回転レーザー装置11の回転軸21に垂直なレーザー水準を形成する。
【0035】
レーザー受信機12には高さ測定機能が装備されている。この高さ測定機能は、レーザー受信機12の検出フィールド25における受信ビーム24の入射位置を特定し、受信ビーム24から検出フィールド25のゼロ位置26までの距離を高さ位置として示す。レーザー受信機12の向きは、検出フィールド25及び重力場の重力方向27を用いて定義される。レーザー受信機12の検出フィールド25は、その長手方向28が検出高さで、横断方向29が検出幅である(
図2A及び
図2Bを参照)。長手方向28はレーザー受信機12の測定方向に対応し、横断方向29は長手方向28に垂直である。長手方向配置において、レーザー受信機12の整列方向は、検出フィールド25の長手方向28が重力方向27と平行に向き、且つ検出フィールド25の横断方向29が重力方向27に垂直と規定される。横断方向配置においては、レーザー受信機12の整列方向では、検出フィールド25の長手方向28が重力方向27と垂直に向き、且つ検出フィールド25の横断方向29が重力方向27に平行と規定される。
【0036】
図2A及び
図2Bは、
図1の回転レーザー装置11及びレーザー受信機12の3次元図である。ここで
図2Aは、水平位置の回転レーザー装置11及び長手方向配置のレーザー受信機12を示す(
図2A)。
図2Bは、垂直位置の回転レーザー装置11及び横断方向配置のレーザー受信機12を示す。
【0037】
回転レーザー装置11は、装置ハウジング31と、装置ハウジング31に配置された測定装置とを備える。この装置ハウジング31は、基礎ハウジング32と、回転ヘッド33と、複数のハンドル34とから成る。回転レーザー装置11の操作は操作装置35により行われる。この操作装置35は基礎ハウジングに組み込まれ、外部から操作が可能である。基礎ハウジング32に組み込まれた操作装置35の他に、遠隔操作装置36を配置してもよい。この遠隔操作装置36は、通信接続経由で回転レーザー装置11に接続ができるように配置できる。基礎ハウジング32内で回転レーザー装置11の測定装置はレーザービームを生成し、レーザービームは回転軸18の周りを回転する光偏向器37に入射する。レーザービームは光偏向器37により90°偏向され、レーザー面を拡大する回転レーザー装置11の回転レーザービーム22を形成する。回転レーザービーム22は回転レーザー装置11の水平位置に水平レーザー面38を、回転レーザー装置11の垂直位置において垂直のレーザー面39を形成する。
【0038】
レーザー受信機12は、受信ハウジング41と、操作装置42と、光学ディスプレイ43と、スピーカー44と、検出フィールド25とを備える。検出フィールド25は、長手方向28が検出高さH
Dで、横断方向29が検出幅B
Dである。操作装置42、光学ディスプレイ43、スピーカー44、及び検出フィールド25は、レーザー受信機12の受信ハウジング41に組み込まれている。作業者は、光学ディスプレイ43を見てレーザー受信機12経由で情報を読むことができる。この情報には、例えば、レーザー受信機12の充電状態、通信接続13から回転レーザー装置11への情報、及びスピーカー44の設定音量が含まれる。さらに、受信ビーム24からレーザー受信機12のゼロ位置26までの距離は視覚的に数値で表すことができる。光学ディスプレイ43に代わるもの又は追加として、受信ビーム24の距離はスピーカー44経由で伝えることができる。検出フィールド25のゼロ位置26は、刻み目45により受信器ハウジング41に示すことができる。
【0039】
図3は、レーザー受信機12の構造の詳細及びレーザー受信機12と回転レーザー装置11の相互作用を示す構成図である。レーザー受信機12と回転レーザー装置11の通信は、通信接続13経由で行うことができる。この通信接続13は、レーザー受信機12の第1の送受信装置46を回転レーザー装置11の第2の送受信装置47に接続する。第1及び第2の送受信装置46、47は、例えば、無線モジュールとして形成される。レーザー受信機12と回転レーザー装置11の通信は、無線接続として構成される通信接続13経由で行われる。
【0040】
検出フィールド25、光学ディスプレイ43、及びスピーカー44は、受信器ハウジング41内に設けられる評価装置48に接続される。この評価装置48は、レーザー受信機12を制御するための制御部49に接続されている。評価装置48と制御装置49は、例えば、マイクロチップコントローラーとして形成される監視装置51として統合される。レーザー受信機12は傾斜センサ52をさらに備えてもよい。この傾斜センサ52は、受信器ハウジング41内に設けられ、制御装置41に接続される。この傾斜センサ52を用いて、重力場の重力方向27に対するレーザー受信機12の傾斜を計測することができる。傾斜センサ52は、1つの2軸加速度センサ又は2つの1軸加速度センサを備え得る。
【0041】
この実施例では、検出フィールド25には互いに隣り合う第1の測定範囲53と第2の測定範囲54とが存在する。受信ビーム24がレーザー受信機12の検出フィールド25に入射すると、評価装置48は第1の測定範囲53に入射する受信ビーム24の時間的傾向を示す第1の受信信号を特定し、第2の測定範囲54で入射する受信ビーム24の時間的傾向を示す第2の受信信号を特定する。評価装置48はレーザー受信機12に対する受信ビーム24の進行方向を第1及び第2の受信信号から判定し、受信ビーム24の進行方向と回転レーザービーム22の回転方向23を比較する。回転レーザービーム22の回転方向23は通信接続13経由で回転レーザー装置11によりレーザー受信機12の評価装置48に送信されるか、又は操作装置42により操作者により入力される。
【0042】
図4は、第1及び第2の受信信号61、62を示す。第1及び第2の受信信号61、62は、回転レーザー装置11の回転レーザービーム22がレーザー受信機12の第1及び第2の測定範囲53、54に入射すると生成される。第1の受信信号61は第1の測定範囲53に入射する回転レーザービームの時間的傾向を示し、第2の受信信号62は第2の測定範囲54に入射する回転レーザービームの時間的傾向を示す。第1の受信信号61は第2の受信信号62の前に始まり、第2の受信信号62の前に終わる。
【0043】
評価装置48はレーザー受信機12に対する受信ビーム24の進行方向63を第1及び第2の受信信号61、62のサイクルから判定し、進行方向63と回転レーザービームの回転方向23とを比較する。受信ビーム24の進行方向63と回転レーザービーム22の回転方向23は、同じ方向である。受信ビーム24は評価装置48により回転レーザービームとして分類され、レーザー受信機12は評価装置により測定モードに切り替えられる。レーザー受信機12の測定モードでは、回転レーザービーム22の位置を検出フィールド25の長手方向28で測定することも、あるいは回転レーザービーム22の高さ調節を行うこともできる。
【0044】
図5は、第1及び第2の受信信号71、72を示す。第1及び第2の受信信号71、72は、回転レーザービーム22が反射面での反射後にレーザー受信機12の第1及び第2の測定範囲53、54に入射すると生成される。第1の受信信号71は第1の測定範囲53の反射回転レーザービームの時間的傾向を示し、第2の受信信号72は第2の測定範囲54の反射レーザービームの時間的傾向を示す。第2の受信信号72は第1の受信信号71の前に始まり、第2の受信信号72は第1の受信信号71の前に終わる。
【0045】
評価装置48はレーザー受信機12に対する受信ビーム24の進行方向73を第1及び第2の受信信号71、72から判定し、進行方向73と回転レーザービーム22の回転方向23を比較する。受信ビーム24の進行方向73と回転レーザービーム22の回転方向23は反対方向であり、受信ビーム24は評価装置48により反射レーザービームとして分類される。
【0046】
図6は、第1及び第2の受信信号81、82を示す。第1及び第2の受信信号81、82は、外因性のビームである受信ビームがレーザー受信機12の第1及び第2の測定範囲53、54に入射すると生成される。第1の受信信号81は第1の測定範囲53での外因性のビームの時間的傾向を示し、第2の受信信号82は第2の測定範囲54での外因性のビームの時間的傾向を示す。第1及び第2の受信信号81、82の時間的傾向は、本質的に一致する。第1及び第2の受信信号81、82は、同じ時間に始まり同じ時間に終わる。
【0047】
評価装置48は、レーザー受信機12に対する受信ビーム24の進行方向を、第1及び第2の受信信号81、82のサイクルから判定しようと試みる。第1の受信信号81の時間的傾向と第2の受信信号82の結びサイクルが一致するため、評価装置48は受信ビーム24の進行方向を判定できず、この受信ビーム24は評価装置48により外因性のビームと分類される。
【0048】
図7はレーザー受信機91の代替の実施例を示し、このレーザー受信機91は第1の検出フィールド92と、それと離れた第2の検出フィールド93とを有する。ここで、第1の検出フィールド92は第1の測定範囲94を有し、第2の検出フィールド93は第2の測定範囲95を有する。レーザー受信機91は、
図1の装置10のレーザー受信機12と交換できる。レーザー受信機12、91の検出フィールドの数は互いに異なる。
図1のレーザー受信機12の場合、第1及び第2の測定範囲53、54は合わせて検出フィールドに組み込まれている。一方、
図7のレーザー受信機91の場合、第1の測定範囲94は第1の検出フィールド92に配置され、第2の測定範囲95は第2の検出フィールド93に配置されている。
【0049】
レーザー受信機12、91は検出フィールドを除き同様に形成され、検出フィールドの他、受信器ハウジング41と、操作装置42と、光学ディスプレイ43と、スピーカー44とを備える。検出フィールド92、93は、長手方向28が検出高さH
Dで、横断方向29が検出高B
Dである。操作装置42、光学ディスプレイ43、スピーカー44、及び検出フィールド92、93は、レーザー受信機91の受信器ハウジング41に組み込まれる。
【0050】
受信ビーム24がレーザー受信機91の第1又は第2の検出フィールド92、93に入射すると、評価装置48は第1の測定範囲94で入射する受信ビーム24の時間的傾向を示す第1の受信信号を判定し、第2の測定範囲95で入射する受信ビーム24の時間的傾向を示す第2の受信信号を判定する。評価装置48はレーザー受信機12に対する受信ビーム24の進行方向を第1及び第2の受信信号から定め、受信信号24の進行方向と回転レーザービーム22の回転方向23を比較する。
【0051】
本発明の方法の実施例において、回転レーザービーム22は、回転軸21の周りを所定の回転方向23に回るよう進行する。レーザー受信機12の評価装置48はレーザービーム22の進行方向を判定し、その進行方向を回転レーザー装置11の回転方向23と比較する。ここでは、進行方向がレーザー受信機12の位置に依存し、レーザー受信機12の反対位置における絶対進行方向は互いに反対方向であることが分かる。レーザー受信機12の回転レーザー装置11に対する位置は、回転レーザービーム22を用いて判定され得る。
【0052】
回転レーザー装置11は、ゼロ角度と規定される回転角度から回転軸21の周りの回転を始める。ゼロ角度を起点に、0°から+180°の正角度範囲及び0°から−180°の負角度範囲を定義することができる。回転レーザービーム22は回転軸21の周りを360°進行し、360°の角度は第1と第2の角度範囲に再分割される。例えば、0°から+180°の正角度範囲を第1の角度範囲、そして0°から−180°の負角度範囲を第2の角度範囲と定義することができる。第1と第2の角度範囲を区別するために、回転レーザービーム22は、第1及び第2の角度範囲で少なくとも1つの異なるビーム特性を有する。第1及び第2の角度範囲で回転レーザービーム22独自のビーム特性を用い、レーザー受信機12の評価装置48は、レーザー受信機12の受信ビーム24が入射する検出フィールド25における角度範囲を特定することができる。
【0053】
変調信号は、例えば、第1と第2の角度範囲の区別に用いることができるビーム特性として適している。ここで、第1の変調信号は第1の角度範囲で用いられ、第1の変調信号と異なる第2の変調信号は第2の角度範囲で用いられる。第1と第2の変調信号は、振幅、形状、及び/又は変調周波数において互いに異なっている。本発明の方法の一つとして、レーザー受信機12の評価装置48は入射する受信ビーム24を分析し、受信信号24の変調された変調信号を判定する。この変調信号を用い、評価装置48は、レーザー受信機12の検出フィールド25に入射した受信ビーム24の角度範囲を特定することができる。
【国際調査報告】