(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-519934(P2019-519934A)
(43)【公表日】2019年7月11日
(54)【発明の名称】部材を封止する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/02 20060101AFI20190621BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20190621BHJP
H05B 33/04 20060101ALI20190621BHJP
【FI】
H01L23/02 Z
H05B33/14 A
H05B33/04
H01L23/02 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-566344(P2018-566344)
(86)(22)【出願日】2017年6月14日
(85)【翻訳文提出日】2018年12月13日
(86)【国際出願番号】EP2017064615
(87)【国際公開番号】WO2017216261
(87)【国際公開日】20171221
(31)【優先権主張番号】102016110868.5
(32)【優先日】2016年6月14日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518442952
【氏名又は名称】グロース・レアンダー・キリアン
(71)【出願人】
【識別番号】518442963
【氏名又は名称】グロース・マシャ・エリー
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】グロース・ハーラルト
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC45
3K107EE43
3K107EE55
(57)【要約】
【課題】ガラスプレート又は他の透光性の有機性の材料を用いて、ガラスはんだ又は部材の密封性の封止のための光吸収性の有機性の媒体を加熱する方法を提供する。
【解決手段】無機性の光透過性の材料を用いて、及び無機性の光吸収性の媒体を用いて、部材を封止する方法において、前記光吸収性の媒体が、前記光透過性の材料との前記部材の密封された結合のために、1秒より短い継続時間にわたって少なくとも1つの気体放電ランプを用いて加熱される。また、前記無機性の光透過性の材料がケイ酸塩ガラスであってよく、前記無機性の光吸収性の材料がガラスはんだであってよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機性の光透過性の材料を用いて、及び無機性の光吸収性の媒体を用いて、部材を封止する方法において、
前記光吸収性の媒体が、前記光透過性の材料と前記部材とを密封的に結合するために、1秒より短い継続時間にわたって少なくとも1つの気体放電ランプを用いて加熱されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記無機性の光透過性の材料がケイ酸塩ガラスであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記無機性の光吸収性の材料がガラスはんだであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記部材が、少なくとも1つのセンサ、ディスプレイ、光起電用の半導体、マイクロ電子部品を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記部材の平均温度が、封止プロセスによって80℃以下だけ上昇することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記気体放電ランプがフラッシュランプとして動作されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
無機性の光透過性の材料(130)を用いて、無機性の光吸収性の媒体(140)を用いて、及び前記光透過性の材料と部材とを密封的に結合するために前記媒体を加熱する少なくとも1つの気体放電ランプ(150)を用いて、部材(110)を封止する装置(100)において、
前記部材における、前記光吸収性の媒体と結合されるべき範囲への光の入射(160)を制限するために、前記光透過性の材料と、少なくとも前記気体放電ランプとの間にマスク(170)が挿入されていることを特徴とする装置。
【請求項8】
前記マスクが、前記気体放電ランプの光について透過性の支持材料で構成されており、該支持材料には、開口部(190)を有する光反射性の層(180)が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
封止プロセス中に前記部材(110)へ前記光透過性の材料(130)を押圧するためにマスク(170)が用いられることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材を密封的に封止する方法及び装置に関するものである。部材により、水蒸気、酸素又は反応性ガスのような環境影響から保護される必要がある、例えばセンサ、ディスプレイ、光起電モジュール又はマイクロ電子部品が意図されている。
【背景技術】
【0002】
例えばOLED(有機LED)ディスプレイのような多くの場合には、部材は、同一面のガラスプレートによって覆われるとともに、面の縁部において部材によって接着される。このとき用いられる接着剤は、UV光を用いて重合のために活性化されるエポキシ樹脂であってよい。エポキシ樹脂は、ガラスプレートとは異なり、わずかであるものの、無視できない、水蒸気又は酸素についての透過性を有しているため、OLEDディスプレイの場合には、部材を複数年にわたって酸素又は湿気から保護するために、更にゲッタを封止部へ入れる必要がある。
【0003】
自動車又は航空機のためのケイ素から成る回転率センサにおいては、特に良好な真空が、部材の表面における小さな質量の振動及びこれにより達成可能な位置変化の測定精度の高い質についての前提である。このとき、エポキシ樹脂は、ゲッタの使用の下では不十分であるため、例えば有機性の接着剤がガラスはんだによって置き換えられる。ガラスはんだは、ホウ素、酸化鉛及び他の材料の添加により、例えば400℃の特に低い軟化温度を有するガラスである。封止のために、まずは、スクリーン印刷によってガラスプレートの縁部へガラスはんだを有するペーストが塗布され、つづいて、例えば300℃の温度における乾燥によってペーストの有機性の結合材及び溶媒が除去される。その後、ガラスプレートは、真空チャンバにおいて部材の振動する質量によって表面へ押圧され、その間に位置するガラスはんだが赤外線照射器を用いて溶融される。真空における冷却後、部材とガラスプレートの間に空間が残り、したがって、振動する質量の直接的な周囲も、真空炉の換気後にも真空化される。この方法の欠点は、部材も、またガラスプレートもガラスはんだと同じ温度に達することにある。さらに、加熱時間及び冷却時間は、典型的には複数分であり、したがって高い処理能力を有する生産にとって支障となる。
【0004】
高い溶融温度により、ガラスはんだは、従来の炉におけるOLEDディスプレイの封止に適していない。なぜなら、有機体が約100℃を超える温度を許容しないためである。特に部材が有機性の材料を含んでいる場合には、多くの種類の部材にとって、ガラスハンドの溶融温度を大きく下回る温度制限が存在する。
【0005】
特許文献1「フリットにより密封されたガラスパッケージ及び製造方法」には、パルス化されたレーザ光によってガラスハンドを溶融点まで一時的に加熱する方法が記載されている。ここで、基層の加熱及び冷却は、封止のための、部材も、またガラスプレートも大きく加熱されないほど迅速になされる。この方法の欠点はガラスはんだの連続的な加熱であり、すなわち特に点状のレーザビームにより、ガラスはんだの点状の加熱に至ってしまう。完全な封止のために、レーザビームは、ガラスはんだの表面全体にわたって走査される必要がある。このとき、熱化学的な応力を用いられる材料及び部材の破壊限界未満に維持するために、適当なレーザ出力において所定の走査速度が順守される必要があることが分かった。特に、光起電モジュールのような大きな部材又は回転率センサにおけるような大きな部品点数である場合には、生産における処理能力が大きく制限されてしまう。
【0006】
レーザに代えて、上記文献では赤外線ランプが言及されている。当該ランプによって、例えば複数の規模が同一の波長におけるレーザ未満である、面ごとの光出力のみを達成することができる。これにより、ガラスはんだの溶融に必要な露光時間が、対応して少なくとも複数秒まで延長される。したがって、この場合において応用に依存した最大温度を超過しないように、伝熱に基づき、ガラスはんだと部材の温度に敏感な範囲の間の複数ミリメートルから数センチメートルまで間隔が順守される必要がある。これにより、赤外線ランプは、OLEDにおけるような大きな温度感受性と良好な空間活用あるいは高い生産収率の組合せがあらかじめ設定されている用途に対して除外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/207314号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ガラスプレート又は他の透光性の有機性の材料を用いて、ガラスはんだ又は部材の密封性の封止のための光吸収性の有機性の媒体を加熱する方法である。このとき、部材の温度に敏感な範囲は、上述の特許文献1におけるレーザによる封止により、本質的に室温を超えずに加熱されるべきである。レーザによる封止とは異なり、生産における処理能力は複数倍となるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
光により、一般的には人間の目で把握することが可能な、したがって300〜780nmの波長範囲の、スペクトル範囲における電磁波が意図されている。このスペクトル範囲は、光吸収性の材料、光反射性の材料及び透明な材料についても意図されている。いくつかの場合には、このスペクトル範囲をこれに直接隣接する電磁波範囲へ拡張することが有意義であり得る。例えば、ハロゲンランプの発出最大値は約920nmにあり、発出スペクトルにおけるわずかなUV割合、すなわち380nmを下回る波長も含まれている。ケイ酸塩ガラスは、特に人間の目にとって視認可能な範囲にわたって透明である。
【0010】
光透過性の有機材の材料には、サファイア、すなわち窒化アルミニウム又はオキシ窒化アルミニウムのような酸化アルミニウム及びセラミックの結晶形状も含まれる。光吸収性の媒体により、一連のガラスはんだのほかに、金属合金又は純粋な金属層から成るはんだも意図されている。例えば、アルミニウム又は金から成る200ナノメートルの薄い層は、ガラスプレートに設けられることができ、この層は、580℃あるいは370℃への加熱時に、ケイ素から成る部材と共に共融混合結合へ至る。このとき、上述のプロセス温度は、アルミニウム又は金の融点を下回っている。
【0011】
本発明の上述の目的は、高い光強度における約0.1ミリ秒(フラッシュランプとしての動作)から約1000ミリ秒(連続的な出力による動作)の加熱時間を可能とする少なくとも1つの気体放電ランプの使用によって達成される。例えば、大きなOLEDテレビ又は光起電モジュールを個別に封止するために、例えば2メートルのアーク長を有する、複数の軸方向のフラッシュランプは、1つの平面において互いに並行に配置されることができる。全てのセンサを同時に封止するために、フラッシュランプのフィールドに対して平行に向けられた1つの平面において多数の回転率センサを配置することも可能である。これにより、レーザによる封止又は従来の炉における封止に比べて、生産における複数倍の処理能力が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の装置によるシステムの縮尺に従わない断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には、本発明の装置によるシステム(100)の縮尺に従わない断面が示されており、このシステムは、部材(110)全体の露光を防止するか、あるいは気体放電ランプ(150)から発出される光(160)を光吸収性の無機性の媒体(140)を有する範囲へ制限するものである。光吸収性の媒体(140)である例えば50μmの厚さのガラスはんだは、先行する不図示のプロセスステップにおいて、光について透過性の無機性の材料(130)、例えば封止(Verkapselung)のためのガラスプレートへ設けられる。部材(110)を影で覆うことが、支持材料、例えば石英ガラスから成る透明なマスク(170)によってなされる。マスク(170)は、不透明で光反射性の層(180)を備えており、この層は、少ない箇所(190)で中断されているか、開放されているため、発出された光(160)は、この箇所で、光吸収性の媒体(140)へ、その加熱のために入射することができる。したがって、部材の温度に敏感な範囲(120)、例えばOLEDディスプレイが露光されないか、あるいは本質的でないようにのみ加熱される。光起電モジュールのような大面積の部材においては、開口部(190)から離れた気体放電ランプ(150)を削減することが可能である。理想的には、カプセル化プロセス中に部材(110)へ材料(130)を押圧するマスク(170)が用いられる。このとき、部材(110)は、不図示の基礎に位置している。実験では、部材(110)への材料の重力により生じる押圧力が十分でない場合に、密閉されたカプセル化にとって押圧が有利であることが分かった。このことは、特にセンサのような小さな部材において当てはまる。マスクの光反射性の層(180)に代えて、光吸収性の層を用いることも可能である。光吸収性の層は、気体放電ランプの光効率を高めることができるものの、マスク(170)は、特に生産における大きな処理能力において本質的により良好に冷却される必要がある。
【符号の説明】
【0014】
100 本発明による装置
110 部材
120 部材の温度に敏感な範囲
130 無機性の光透過性の材料
140 光吸収性の無機性の媒体
150 気体放電ランプ
160 気体放電ランプから発出される光
170 マスク
180 マスクにおける光反射性の層
190 マスクの光反射性の層における開口部
【手続補正書】
【提出日】2017年11月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機性の光透過性の材料を用いて、及び無機性の光吸収性の媒体を用いて、部材を封止する方法において、
前記光吸収性の媒体が、前記光透過性の材料と前記部材とを密封的に結合するために、1秒より短い継続時間にわたって少なくとも1つの気体放電ランプを用いて加熱されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記無機性の光透過性の材料がケイ酸塩ガラスであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記無機性の光吸収性の材料が、ガラスはんだ、金属合金から成るはんだ又は金属層であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記部材が、少なくとも1つのセンサ、ディスプレイ、光起電用の半導体、マイクロ電子部品を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記部材の平均温度が、封止プロセスによって80℃以下だけ上昇することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記気体放電ランプが、フラッシュランプとして、又は連続的な出力で動作されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
無機性の光透過性の材料(130)を用いて、無機性の光吸収性の媒体(140)を用いて、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法により部材(110)を封止するために形成された装置(100)において、
少なくとも1つの気体放電ランプ(150)が、前記光透過性の材料との部材の密封された結合のために前記媒体を加熱するために用いられること、及び前記部材における、前記光吸収性の媒体と結合されるべき範囲への光の入射(160)を制限するために、前記光透過性の材料と、少なくとも前記気体放電ランプの間にマスク(170)が挿入されていることを特徴とする装置。
【請求項8】
前記気体放電ランプ(150)が、フラッシュ動作及び/又は連続的な動作のために構成されていることを特徴とする請求項7に記載の、部材(110)を封止する装置(100)。
【請求項9】
前記マスクが、前記気体放電ランプの光について透過性の支持材料で構成されており、該支持材料には、開口部(190)を有する光反射性の層(180)が設けられていることを特徴とする請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
封止プロセス中に前記部材(110)へ前記光透過性の材料(130)を押圧するためにマスク(170)が用いられることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【国際調査報告】