特表2019-520029(P2019-520029A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-520029電気機械並びに電気機械を分解及び製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-520029(P2019-520029A)
(43)【公表日】2019年7月11日
(54)【発明の名称】電気機械並びに電気機械を分解及び製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/40 20060101AFI20190621BHJP
   H02K 3/34 20060101ALI20190621BHJP
【FI】
   H02K3/40
   H02K3/34 C
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-506777(P2019-506777)
(86)(22)【出願日】2017年3月13日
(85)【翻訳文提出日】2018年12月21日
(86)【国際出願番号】EP2017055785
(87)【国際公開番号】WO2017186401
(87)【国際公開日】20171102
(31)【優先権主張番号】16166838.9
(32)【優先日】2016年4月25日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】517298149
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】アンドレイ・マシュキン
(72)【発明者】
【氏名】マリオ・ブロックシュミット
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・シュタウバッハ
(72)【発明者】
【氏名】フリートヘルム・ポールマン
(72)【発明者】
【氏名】ギード・シュミット
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA01
5H604BB04
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC13
5H604DA07
5H604DA15
5H604DA17
5H604DA24
5H604DB25
5H604PB03
5H604PD02
5H604PD06
(57)【要約】
本発明は、導電体(1)と、導電体(1)を包む主要絶縁体(2)と、主要絶縁体(2)を包む外側コロナシールド(3)と、導電体(1)が取り付けられたスロットを備えた積層スタック(4)と、外側コロナシールド(3)の径方向外側に配置され、外側コロナシールド(3)を積層スタック(4)に導電的に接続するように調整された導電層(16)と、を有する電気機械であって、主要絶縁体(2)、外側コロナシールド(3)、導電層(16)及び積層スタック(4)の付着は、導電層(16)の表面において付着が最も少なくなるように、互いに調整されている電気機械に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体(1)と、前記導電体(1)を包む主要絶縁体(2)と、前記主要絶縁体(2)を包む外側コロナシールド(3)と、前記導電体(1)が取り付けられたスロットを備える積層スタック(4)と、前記外側コロナシールド(3)の径方向外側に配置され、前記外側コロナシールド(3)を前記積層スタック(4)に導電的に接続するように調整された導電層(16)と、を有する電気機械であって、
前記主要絶縁体(2)、前記外側コロナシールド(3)、前記導電層(16)及び前記積層スタック(4)の付着は、前記導電層(16)の表面において付着が最も少なくなるように、互いに調整されており、前記導電層(16)は、前記外側コロナシールド(3)よりも低い電気抵抗率を有している電気機械。
【請求項2】
前記導電層(16)が、潤滑剤ラッカー及び/又はテープ(5)を有しており、前記テープ(5)は、テフロン、ポリエチレン、ポリエチレン誘導体、ポリオキシメチレン及び/又はポリオキシメチレン誘導体を有している、請求項1に記載の電気機械。
【請求項3】
前記潤滑剤ラッカーが、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、ノボラック、テフロン及び/又はノボラック−エポキシ樹脂を有している、請求項2に記載の電気機械。
【請求項4】
前記潤滑剤ラッカーがグラファイトを有している、請求項2又は3に記載の電気機械。
【請求項5】
前記テープが、シリコーンを含むコーティングを有している、請求項2から4のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項6】
前記テープ(5)が、織物、特に平らな糸を有する織物、及び/又は、少なくとも1つのホイルを有している、請求項2から5のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項7】
前記織物が含浸可能であり、前記ホイルがミシン目を設けられている、及び/又は、2つの隣接するコイルの間に間隙が設けられているように前記外側コロナシールド(3)に巻き付けられている、請求項6に記載の電気機械。
【請求項8】
前記テープ(5)が、前記ホイルの2つの層(11、12)を有しており、前記ホイルが、前記2つの層(11、12)が互いに対してずれてミシン目を設けられているように、ミシン目を設けられている、請求項6又は7に記載の電気機械。
【請求項9】
前記テープ(5)が、スス粒子、グラファイト粒子、炭素繊維、並びに/又は、半導体粒子、特にSiC粒子、金属酸化物粒子及び/若しくは金属酸化物でコーティングされたマイカ粒子及び/若しくは酸化アルミニウム粒子を有している、請求項2から8のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項10】
前記積層スタックが、異なる程度で前記スロット内に突出したラメラ(6)を有しており、前記ラメラ(6)の部分のみが、前記テープ(5)と接触し、前記部分は、前記スロットに大きく突出したラメラ(6)によって形成されている、請求項2から9のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項11】
前記導電体(1)、前記主要絶縁体(2)、前記外側コロナシールド(3)及び前記スロットの寸法が、前記テープ(5)が前記積層スタック(4)に押し付けられるように選択されている、請求項10に記載の電気機械。
【請求項12】
前記主要絶縁体(2)及び前記外側コロナシールド(3)が、含浸樹脂で含浸され、前記含浸樹脂が硬化しており、前記導電層(16)が前記外側コロナシールド(3)を前記積層スタック(4)に導電的に接続している箇所には、前記含浸樹脂が存在しない、請求項1から11のいずれか一項に記載の電気機械。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載の電気機械を分解するための方法であって、
導電体(1)、主要絶縁体(2)及び外側コロナシールド(3)が、スロットから取り外され、取り外しの際に、前記外側コロナシールド(3)及び導電層(16)の分離、並びに/又は、前記導電層(16)及び積層スタック(4)の分離が行われる方法。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一項に記載の電気機械を製造するための方法であって、
−導電体(1)と、前記導電体(1)を包む主要絶縁体(2)と、前記主要絶縁体(2)を包む外側コロナシールド(3)とを、前記電気機械の積層スタック(4)のスロットに取り付けるステップであって、前記外側コロナシールド(3)の径方向外側には、導電層(16)が設けられており、前記導電層は、前記外側コロナシールド(3)を前記積層スタック(4)に導電的に接続するように調整されているステップ、
−前記主要絶縁体(2)及び前記外側コロナシールド(3)を含浸樹脂で含浸するステップ、及び
−前記含浸樹脂を硬化させるステップ、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電気エネルギーを発生させるための発電所におけるタービン発電機等の高電圧機械は、高い機械的、熱的、及び、電気的負荷に曝露されている。タービン発電機は、特に積層スタック及び導電体のコイルを有している。当該導電体は、主要絶縁体によって包まれており、主要絶縁体は、導電体を、互いに対して、積層スタックに対して、及び、周囲に対して電気的に絶縁している。高電圧機械の運転中における、主要絶縁体と積層スタックとの間の接触面での部分放電を避けるために、主要絶縁体と積層スタックとの間には、弱伝導性で、アースされた外側コロナシールドが設けられている。
【背景技術】
【0002】
高電圧機械を製造するために、積層スタックを、コイルと共に、真空を用いた全浸漬プロセスにおいて、含浸樹脂の浴に浸すことが可能である。その際、主要絶縁体及び外側コロナシールドを、含浸樹脂で含浸する。含浸の後、含浸樹脂を、特に圧力を加えて硬化させる。
【0003】
修理のためにコイルを積層スタックから取り外す場合、外側コロナシールドの残りは、積層スタックに貼付されたままであって良い。新しいコイルを積層スタックに取り付ける前に、残りを積層スタックから取り除くことが必要である。これまでは、そのために、機械的方法又はレーザー技術的方法が用いられてきた。しかしながら、これらの方法は、多くの時間を要するので、必要な費用も多くなる。さらに、これらの方法では、積層スタックが損傷する危険が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6140733号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、電気機械と、電気機械を分解するための方法と、電気機械を製造するための方法とを創出することにあり、電気機械の導電体は、電気機械から容易に取り外し可能である。
【0006】
特許文献1は、大型電気機械のための導体コイル構成を開示している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本課題は、請求項1、13及び14の特徴によって解決される。それに関する好ましい実施態様は、その他の請求項に記載されている。
【0008】
本発明に係る電気機械は、導電体と、導電体を包む主要絶縁体と、主要絶縁体を包む外側コロナシールドと、導電体が取り付けられるスロットを備えた積層スタックと、外側コロナシールドの径方向外側に配置され、外側コロナシールドを積層スタックに導電的に接続するように調整された導電層と、を有しており、主要絶縁体、外側コロナシールド、導電層及び積層スタックの付着は、導電層の表面において付着が最も少なくなるように、互いに調整されている。
【0009】
導電層を設けることによって、導電体を主要絶縁体及び外側コロナシールドと共にスロットから取り外す際に、導電層の表面で分離が生じるであろう。それによって、外側コロナシールドの残りが積層スタックに付着したままになることが阻止される。さらに、従来の電気機械の場合よりも容易に、当該導電体を主要絶縁体及び外側コロナシールドと共に、スロットから取り外すことが可能である。
【0010】
本発明によると、導電層は、外側コロナシールドよりも低い電気抵抗率を有している。それによって、有利には、外側コロナシールドがアースされた積層スタックに電気的に接続され、同様にアースされていることが確実化される。
【0011】
導電層は、潤滑剤ラッカー及び/又はテープを有していることが好ましく、当該テープは、テフロン、ポリエチレン、ポリエチレン誘導体、ポリオキシメチレン及び/又はポリオキシメチレン誘導体を有している。その際、潤滑剤ラッカーは、積層スタックの表面に、及び/又は、外側コロナシールドの径方向外側の表面に、例えば噴霧によって塗布され得る。潤滑剤ラッカー及び/又はテープを用いることによって、導電体を主要絶縁体及び外側コロナシールドと共に、特に容易に取り外すことが可能である。
【0012】
潤滑剤ラッカーは、好ましくはポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、ノボラック、テフロン及び/又はノボラック−エポキシ樹脂を有している。これらの化合物は、有利には、含浸の際に、含浸樹脂の作用を受けず、含浸樹脂と化学反応を生じない。それによって、導電体を、主要絶縁体、外側コロナシールド及び含浸樹脂と共に、特に容易に取り外すことが可能である。潤滑剤ラッカーは、好ましくは130℃の温度までの耐熱性を有している。それによって、潤滑剤ラッカーは、含浸の際に有利には、作用を受けることがない。潤滑剤ラッカーがグラファイトを有することが好ましい。グラファイトによって、潤滑剤ラッカーは、導電性を有し、同時に、外側コロナシールド及び/又は積層スタックにわずかに付着している。
【0013】
テープが、シリコーンを含むコーティングを有していることが好ましい。それによって、テープの外側コロナシールド及び/又は積層スタックへの付着は、有利には減少し得る。テープは、好ましくは織物、特に平らな糸による織物、及び/又は、ホイルを有している。平らな糸は、織物と積層スタックとの良好な接触をもたらし、それによって、有利には、織物と積層スタックとの間に含浸樹脂が浸透することが減少する。織物が含浸可能であること、及び/又は、ホイルにミシン目が設けられていること、及び/又は、ホイルが、2つの隣接するコイルの間に間隙が設けられているように、外側コロナシールドに巻き付けられていることが好ましい。ミシン目及び/又は間隙を設けることによって、織物の場合と同様に、含浸樹脂は、径方向外側から外側コロナシールド及び主要絶縁体に浸透することができる。テープは、好ましくはホイルの層を2つ有しており、当該ホイルは、これら2つの層が互いに対してずれてミシン目を設けられているように、ミシン目を設けられている。2つの層を設けることによって、導電体を主要絶縁体及び外側コロナシールドと共に、特に容易に取り外すことが可能である。さらに、有利には、含浸樹脂の、主要絶縁体からホイルと積層スタックとの間の空間への逆流が困難になり、それによって、ホイルが積層スタックに付着する可能性が低下する。
【0014】
テープが、スス粒子、グラファイト粒子、炭素繊維、並びに/又は、半導体粒子、特にSiC粒子、金属酸化物粒子及び/若しくは金属酸化物でコーティングされたマイカ粒子及び/若しくは酸化アルミニウム粒子を有していることが好ましい。これらの粒子を用いて、テープの導電性を特に容易に形成することができる。その際、これらの粒子が、テープ内に浸透して存在していることが好ましく、すなわち、これらの粒子が、テープの一方の平らな面から、テープの他方の平らな面へと通じるネットワークを形成していることが好ましい。
【0015】
積層スタックは、異なる程度でスロット内に突出したラメラを有しており、当該ラメラの部分のみが、テープと接触しており、当該部分は、スロット内に大きく突出したラメラによって形成されている。従って、ラメラの他の部分とテープとの間には、空洞が配置されており、当該空洞内では、含浸樹脂が、含浸の際に分散可能である。含浸樹脂は、当該空洞から、外側コロナシールド及び主要絶縁体に浸透可能である。導電体、主要絶縁体、外側コロナシールド及びスロットの寸法は、テープが積層スタックに押し付けられるように選択されていることが好ましい。それによって、含浸の際に、含浸樹脂が、大きく突出するラメラとテープとの間に浸透することは不可能であり、それによって、大きく突出したラメラとテープとの間の接着が防止され、含浸の際にも、テープと積層スタックとの導電性接続が維持される。
【0016】
主要絶縁体及び外側コロナシールドが、含浸樹脂で含浸し、含浸樹脂が硬化していることが好ましく、その際、含浸樹脂は、導電層が外側コロナシールドを積層スタックに導電的に接続している箇所には位置していない。
【0017】
電気機械を分解するための本発明に係る方法では、導電体、主要絶縁体及び外側コロナシールドがスロットから取り外され、取り外す際に、外側コロナシールド及び導電層の分離、並びに/又は、導電層及び積層スタックの分離が行われる。
【0018】
電気機械を製造するための本発明に係る方法は、以下のステップを有している:導電体と、導電体を包む主要絶縁体と、主要絶縁体を包む外側コロナシールドとを、電気機械の積層スタックのスロットに取り付けるステップであって、外側コロナシールドの径方向外側には、導電層が設けられており、当該導電層は、外側コロナシールドを積層スタックに導電的に接続するように調整されているステップ;主要絶縁体及び外側コロナシールドを含浸樹脂で含浸するステップ;含浸樹脂を硬化させるステップ。その際、導電層は、導電体が主要絶縁体及び外側コロナシールドと共にスロットに取り付けられる前に、積層スタックに塗布され得る。代替的に、導電層は、導電体が主要絶縁体及び外側コロナシールドと共にスロットに取り付けられる前に、径方向外側で外側コロナシールドに塗布され得る。
【0019】
以下において、本発明に係る電気機械の好ましい実施形態を、添付された概略図を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】様々な本発明に係る電気機械を示す図である。
図2】様々な本発明に係る電気機械を示す図である。
図3】様々な本発明に係る電気機械を示す図である。
図4】様々な本発明に係る電気機械を示す図である。
図5】様々な本発明に係る電気機械を示す図である。
図6】様々な本発明に係る電気機械を示す図である。
図7】ホイルの様々なコイルを示す図である。
図8】ホイルの様々なコイルを示す図である。
図9】ホイルの様々なコイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から図6において明らかであるように、電気機械は、導電体1と、導電体1を包む主要絶縁体2と、主要絶縁体2に塗布され、主要絶縁体を包む外側コロナシールド3と、スロットが設けられた積層スタック4とを有している。導電体1は、主要絶縁体2及び外側コロナシールド3と共に、積層スタック4のスロットに取り付けられている。外側コロナシールド3は、低い導電性を有し、アースされており、従って、主要絶縁体2と積層スタック4との間における部分放電を回避するように調整されている。導電体1と主要絶縁体2との間の部分放電を回避するために、導電体1と主要絶縁体2との間に、低い導電性を有する内部電位制御部10を設けることが可能である。積層スタックは、異なる程度でスロット内に突出するラメラ6を有している。ラメラ6は、スロット内に大きく突出した、露出したラメラ7と、露出したラメラ6ほどはスロット内に突出していない、後退したラメラ8と、に分けられる。
【0022】
図1から図4及び図5に係る電気機械は、導電層16を有しており、導電層16は、外側コロナシールド3の径方向外側に配置されており、外側コロナシールド3を積層スタック4に導電的に接続するように調整されている。導電層16は、外側コロナシールド3よりも低い電気抵抗率を有している。主要絶縁体2、外側コロナシールド3、導電層16及び積層スタック4の付着は、導電層16の表面において付着が最も少なくなるように、互いに調整されている。それによって、導電体1を主要絶縁体2及び外側コロナシールド3と共に取り外す際に、導電層16及び外側コロナシールド3の分離、並びに/又は、導電層16及び積層スタック4の分離が行われる。
【0023】
例えば、導電層16は、潤滑剤ラッカーを有し得る。潤滑剤ラッカー16は、積層スタック4の表面に、及び/又は、外側コロナシールド3の表面に配置されていて良い。潤滑剤ラッカーは、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、ノボラック、テフロン及び/又はノボラック−エポキシ樹脂を有している。さらに、潤滑剤ラッカーはグラファイトを有している。潤滑剤ラッカーが、導電体1の表面にも塗布されていることが考えられる。
【0024】
図2から図4に係る電気機械の導電層16は、導電性のテープ5を有しており、テープ5は、テフロン、ポリエチレン、ポリエチレン誘導体、ポリオキシメチレン、及び/又は、ポリオキシメチレン誘導体を有している。テープ5は、その導電性のために、スス粒子、グラファイト粒子、炭素繊維、並びに/又は、半導体粒子、特にSiC粒子、金属酸化物粒子及び/若しくは金属酸化物でコーティングされたマイカ粒子及び/若しくは酸化アルミニウム粒子を有している。テープ5は、シリコーンを有し、導電性を有するコーティングを備え得る。当該コーティングは、その導電性のために、スス粒子、グラファイト粒子、炭素繊維、並びに/又は、半導体粒子、特にSiC粒子、金属酸化物粒子及び/若しくは金属酸化物でコーティングされたマイカ粒子及び/若しくは酸化アルミニウム粒子を有している。図2から明らかであるように、主要絶縁体2と、外側コロナシールド3と、テープ5が設けられている場合にはテープ5とは、後退したラメラ8の領域において弛緩し得る。
【0025】
図2から図4において明らかであるように、ラメラ6の部分のみがテープ5に接触しており、この部分は、スロットに大きく突出したラメラ6、すなわち露出したラメラ7によって形成されている。電気機械の製造の際、後退したラメラ8とテープ5との間の空洞には、含浸樹脂9が浸透し、そこから、外側コロナシールド3及び主要絶縁体2に浸透し得る。これは、図4では、経路13によって示されている。導電体1、主要絶縁体2、外側コロナシールド3及びスロットの寸法は、テープ5が積層スタック4に押し付けられるように選択されている。それによって、電気機械の製造の際に、含浸樹脂9が、テープ5と積層スタックとの接触箇所に到達することが不可能になる。これは、図4において、経路14によって示されている。積層スタック4とテープ5との間の空洞に浸透する含浸樹脂9は、導電体1を主要絶縁体2及び外側コロナシールド3と共に取り外す際に妨げにならない。なぜなら、露出したラメラ7には、含浸樹脂は含まれておらず、従って、テープ5と積層スタック4との間の、弱化した、又は、欠けた機械的接続が確実化されているからである。
【0026】
図3に係る電気機械のテープ5は、織物を有しており、当該織物は、テフロン、ポリエチレン、ポリエチレン誘導体、ポリオキシメチレン、及び/又は、ポリオキシメチレン誘導体を有している。当該織物は、含浸樹脂9で含浸可能であるように構成されている。当該織物はさらに、平らな糸を有し得る。
【0027】
図4に係る電気機械のテープ5は、ホイルを有しており、当該ホイルは、テフロン、ポリエチレン、ポリエチレン誘導体、ポリオキシメチレン、及び/又は、ポリオキシメチレン誘導体を有している。含浸樹脂9での含浸を可能にするために、ホイルにはミシン目15が設けられており、及び/又は、ホイルは、2つの隣接するコイルの間に間隙が設けられているように、外側コロナシールド3に巻き付けられている。このようないくつかの例は、図7から図9に示されており、図9によると、テープは、点で接着されたホイルも有し得る。図4に係る電気機械は、ホイルの内側層11と外側層12とを有しており、ホイルは、2つの層11、12のミシン目15が互いにずれて配置されているように、ミシン目を設けられている。
【0028】
図5に係る電気機械の外側コロナシールド3は、主要絶縁体2に直接塗布された外側コロナシールド内側層18と、外側コロナシールド内側層18の径方向外側に配置された外側コロナシールド外側層19と、外側コロナシールド内側層18と外側コロナシールド外側層19との間に配置されたマイカテープ20と、を有している。外側コロナシールド内側層18と外側コロナシールド外側層19とは、低い導電性を有している。マイカテープ20は、マイカを有し、電気的に絶縁しており、外側コロナシールド内側層18と外側コロナシールド外側層19との機械的分離をもたらす。外側コロナシールド内側層18と外側コロナシールド外側層19とを電気的に接続するために、導電性の接触テープ21が設けられており、接触テープ21は、マイカテープ20の径方向内側と径方向外側とに交互に配置されている。導電体1を主要絶縁体2及び外側コロナシールド3と共に取り外す際に、マイカテープ20の領域において分離が行われ、それによって、外側コロナシールド3の一部が、積層スタック4に付着したままとなる。これを防止するために、導電層16を、外側コロナシールド3と積層スタック4との間に設けても良い。導電層16が設けられている場合、マイカテープ20、接触テープ21及び外側コロナシールド外側層19を設ける必要はなく、それによって、電気機械は、単純な構造を有する。図6は、外側コロナシールド3が、外側コロナシールド内側層18のみを有する電気機械を示している。ここでは、導電層16は、ホイルによって形成されており、その際、ホイルの2つの層11、12が設けられている。
【0029】
例えば、含浸樹脂は、エポキシ樹脂を有している。エポキシ樹脂は、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、フェノールノボラック、脂肪族エポキシド及び/又は脂環式エポキシドを有している。さらに、エポキシ樹脂が、環状カルボン酸無水物を、特に無水マレイン酸、無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸及び/又はヘキサヒドロフタル酸無水物を有していることが好ましい。
【0030】
例えば、主要絶縁体2及び/又は外側コロナシールド3は、マイカを、特にマイカ紙の形で有している。外側コロナシールド3の導電性のために、マイカは、金属酸化物で、特に半導体金属酸化物でコーティングされていて良い。
【0031】
電気機械を分解するための例示的な方法では、導電体1、主要絶縁体2及び外側コロナシールド3がスロットから取り外され、取り外す際に、外側コロナシールド3及び導電層16の分離並びに/又は導電層16及び積層スタック4の分離が行われる。
【0032】
一例として、電気機械を製造するための方法は、以下のように実施される:導電体1、導電体1を包む主要絶縁体2、及び、主要絶縁体2を包む外側コロナシールド3を、電気機械の積層スタック4のスロットに取り付け、その際、外側コロナシールド3の径方向外側には、導電層16が設けられており、導電層16は、外側コロナシールド3を積層スタック4に導電的に接続するように調整されている;主要絶縁体2及び外側コロナシールド3を、含浸樹脂で含浸する;含浸樹脂を硬化させる。
【0033】
本発明を、好ましい実施例を通じて詳細に図示かつ説明してきたが、本発明は、開示された例によって限定されるものではなく、当業者は、本発明の保護範囲を離れることなく、これらの例から他の変型例を引き出すことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 導電体
2 主要絶縁体
3 外側コロナシールド
4 積層スタック
5 テープ
6 ラメラ
7 露出したラメラ
8 後退したラメラ
9 含浸樹脂
10 内部電位制御部
11、12 層
13、14 経路
15 ミシン目
16 導電層
18 外側コロナシールド内側層
19 外側コロナシールド外側層
20 マイカテープ
21 接触テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2017年6月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6140733号明細書
【特許文献2】国際公開第97/43817号
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
特許文献1は、大型電気機械のための導体コイル構成を開示している。特許文献2は、大型電気機械のための導体コイルアセンブリを開示している。
【国際調査報告】