(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-520919(P2019-520919A)
(43)【公表日】2019年7月25日
(54)【発明の名称】歯を清掃するための装置
(51)【国際特許分類】
A61C 17/22 20060101AFI20190704BHJP
【FI】
A61C17/22 G
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-569040(P2018-569040)
(86)(22)【出願日】2017年7月19日
(85)【翻訳文提出日】2019年1月17日
(86)【国際出願番号】AT2017060179
(87)【国際公開番号】WO2018014061
(87)【国際公開日】20180125
(31)【優先権主張番号】A50648/2016
(32)【優先日】2016年7月19日
(33)【優先権主張国】AT
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518460048
【氏名又は名称】アマブラッシュ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Amabrush GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(74)【代理人】
【識別番号】100122286
【弁理士】
【氏名又は名称】仲倉 幸典
(72)【発明者】
【氏名】マルヴィン・ムジアレク
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA07
3B202BA09
3B202BB08
3B202BC08
3B202BD09
3B202BE10
3B202FA09
3B202FB03
3B202GA10
3B202GA30
(57)【要約】
本発明は、人間または動物のユーザの歯を清掃するための装置(1)であって、この装置は、中に清掃要素(5)が配置されている支持体(4)を有しユーザの口に配置されるべきマウスピース(3)と、マウスピース(3)に着脱可能に固定される電気駆動ユニット(2)とを備え、清掃要素(5)はユーザの上顎および/または下顎の実質的に全ての歯に同時に係合するように支持体(4)に配置され、駆動ユニットは振動運動を行うための少なくとも1つの振動素子(8)を備え、清掃要素(5)はユーザの上顎および下顎の実質的に全ての歯に同時に係合するように支持体(4)に配置され、駆動ユニット(2)のマウスピース(3)への着脱可能な固定のために着脱可能な磁気接続部(M)が設けられている装置(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃要素(5)が配置されている支持体(4)を有しユーザの口内に配置されるべきマウスピース(3)であって、前記清掃要素(5)がユーザの上顎および/または下顎の実質的に全ての歯に同時に係合するように前記支持体(4)上に配置されるマウスピース(3)と、前記マウスピース(3)に着脱可能に固定され、振動運動を行うために少なくとも1つの振動素子(8)を有する電気駆動ユニット(2)と、を備える人間または動物のユーザの歯を清掃するための装置(1)において、
前記清掃要素(5)が、ユーザの上顎および下顎の実質的に全ての歯に同時に係合するように前記支持体(4)上に配置されていることと、前記駆動ユニット(2)を前記マウスピース(3)に着脱可能に固定するための着脱可能な磁気接続部(M)が設けられていることと、を特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの振動素子(8)が、圧電素子、電磁音響変換器またはアンバランスモータによって形成され、好ましくは、前記上顎および下顎に対して垂直の振動運動を生成するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記駆動ユニット(2)が、デンタルケア製品(13)用の容器(9)と、デンタルケア製品(13)を前記容器(9)から前記マウスピース(3)との接続領域に配置される出口(11)へ搬送するためのポンプ(10)とを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記ポンプ(10)が、圧電マイクロポンプ、容積型ポンプまたはフロー型ポンプにより形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記容器(9)が、前記容器(9)に前記デンタルケア製品(13)を充填するための充填開口部(12)を有することを特徴とする、請求項3または4に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記容器(9)が交換可能であるように設計されていることを特徴とする、請求項3から5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記マウスピース(3)が、前記駆動ユニット(2)との接続領域に配置される入口(18)を有し、前記入口は前記駆動ユニット(2)が接続される際に前記駆動ユニット(2)の前記出口(11)と位置合わせされ、前記入口(18)が少なくとも1つの流路(7)と接続され、前記支持体(4)上に複数のオリフィス(6)を有する少なくとも1つの流路(7)を有することを特徴とする、請求項3から6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記着脱可能な磁気接続部(M)が、少なくとも1つの磁石(19)と、少なくとも1つの磁気または磁化可能なカウンタパート(20)とによって形成されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの磁石(19)および前記少なくとも1つのカウンタパート(20)が、前記駆動ユニット(2)の前記出口(11)および前記マウスピース(3)の前記入口(18)の周囲にリング状で配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記駆動ユニット(2)および前記マウスピース(3)が、前記駆動ユニット(2)の前記デンタルケア製品(13)用の前記出口(11)および前記マウスピース(3)の前記デンタルケア製品(13)用の前記入口(18)が確実に正確に位置合わせできるようにするためのガイド要素(21)を有する、請求項7から9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記駆動ユニット(2)が、前記振動素子(8)および前記ポンプ(10)に接続される電気エネルギー貯蔵装置(14)、特に充電式バッテリを有することを特徴とする、請求項3から10のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記エネルギー貯蔵装置(14)の誘導充電のための装置(15)が設けられていることを特徴とする、請求項11に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記清掃要素(5)がブラシ毛により形成されていることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項14】
少なくとも1つの圧力センサ(23)が前記マウスピース(3)内に配置されていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記駆動ユニット(2)が、好ましくは無線データ伝送インタフェース(17)を備えている制御装置(16)を有することを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間または動物のユーザの歯を清掃するための装置であって、清掃要素が配置されている支持体を有しユーザの口の中に配置されるべきマウスピースを備え、この清掃要素は、ユーザの上顎および/または下顎の実質的に全ての歯に同時に係合するように配置され、またこの装置は、振動運動を行うための少なくとも1つの振動素子を備える、マウスピースに着脱可能に固定される電気駆動ユニットを備える。
【背景技術】
【0002】
歯の自動清掃のための歯の清掃装置は、従来技術から既知である。電動歯ブラシには駆動モータが装備され、これは清掃ブラシが配置されているブラシホルダを作動、特に回転作動させる。清掃ブラシは、ユーザによって1つまたは複数の歯と接触させられる。ユーザの口に挿入され、駆動ユニットを介して作動されるブラシ毛を有する例えば馬蹄形のマウスピースを備える歯の清掃装置もまた既知である。このようにして、ユーザの上顎または下顎の実質的に全ての歯を同時に清掃することができる。
【0003】
独国特許出願公開第102005059775号明細書は、口内に挿入することができ、一度に複数の歯に適用するために可動に取り付けられる複数のブラシ毛を有する支持体を有する装置を開示している。ブラシ毛は、電気駆動装置に接続されるブラシ毛キャリア上に房状に配置されることができる。そして、電気駆動装置によって生成された動作は、ブラシ毛キャリアに機械的に伝達される。さらに、ブラシ毛を有する支持体全体を振動させることができる。
【0004】
独国実用新案第202014002428号明細書には、充電式バッテリと、電気モータと、運動変換器と、異なる長さのブラシ毛を有する2つのU字形清掃要素と、を備える歯の清掃装置が開示されている。清掃要素またはマウスピースは、回転するように設計され、ツイスト/クリックシステムによって電気モータに接続、または電気モータから接続解除される。
【0005】
米国特許第4,011,616号明細書は、馬蹄形ブラシを備える歯の清掃装置に関し、清掃装置は、馬蹄形ブラシは同じ形状の基部への差込接続を介して着脱可能に組み立てられる。基部は、振動をブラシに伝達するためにロッドを介して振動装置に接続される。あるいは、振動装置は、基部上に可動に配置されるブラシに直接接続されてもよい。ロッドまたはケーブルは、基部の管状部分を通り、振動装置をブラシに着脱可能に接続する。
【0006】
国際公開第2007/121760号は、歯および歯茎を清掃、マッサージおよび/または研磨するための装置を開示している。ここでは、2列のブラシを有するU字型の清掃体は、それらの間に配置された支持体によって着脱可能または交換可能であるように相互に接続される。支持体は、1つまたは複数の運動装置、特に超音波トランスデューサ、超音波モータまたは磁気モータを有し、その運動はブラシに伝達される。清掃体内の流路を介して漂白剤、洗浄剤または鎮痛剤などを導入することができる。
【0007】
米国特許第6,223,376号明細書は、基体と、基体に挿入することができる中間要素と、中間要素に挿入することができるブラシホルダとを有する幼児用歯ブラシに関し、その各々はU字型であり、互いに対して着脱可能に接続できるように設計される。基体は、歯ブラシを保持するためのハンドルと、下側に、遠隔制御装置を介して制御され、歯ブラシを連続的に前後左右に動かす振動部とを有する。基体を中間要素に接続するために磁石を設けることができる。
【0008】
既知の装置の欠点は、使用するのが厄介であり、駆動ユニットのマウスピースからの取り外しが困難であるか、まったく不可能であるか、または上述の装置による歯の清掃に時間がかかることである。電気部品を有するマウスピースは、磨耗または衛生上の理由によりマウスピースを交換することが比較的高価であるというさらなる欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第102005059775号明細書
【特許文献2】独国実用新案第202014002428号明細書
【特許文献3】米国特許第4,011,616号明細書
【特許文献4】国際公開第2007/121760号
【特許文献5】米国特許第6,223,376号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、可能な限り簡単に、特に手の動きに制限のある人によっても操作可能であり、マウスピースまたはその他の部品を安価に交換可能である冒頭で説明した種類の装置を作成することである。既知の装置の欠点は回避、または少なくとも軽減されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、ユーザの上顎および下顎の実質的に全ての歯と同時に係合するよう清掃要素が支持体上に配置されていることと、駆動ユニットをマウスピースに着脱可能に固定するために、着脱可能な磁気接続部が設けられていることと、によって達成される。ユーザの歯を清掃するために、清掃装置のマウスピースがユーザの口内に挿入される。マウスピースは、支持体上に配置される清掃要素を備える支持体を有し、清掃要素はユーザの上顎および下顎の実質的に全ての歯に同時に係合するように配置されている。したがって、本発明は、上顎および下顎の歯を同時に清掃するための装置を備える。清掃操作に必要な運動をマウスピース、およびそれに取り付けられた清掃要素に行わせるため、振動運動を行うための少なくとも1つの振動素子を含む電気駆動ユニットが設けられている。好ましくは、清掃装置の可能な限り多くの電気部品、または特に全ての電気部品が駆動ユニットに含まれる。駆動ユニットは、ユーザの口の外側に配置され、着脱可能な磁気接続部によりマウスピースに特に容易に固定され、簡単にマウスピースから再び取り外される。振動素子は、その振動運動が実質的に駆動ユニット全体に伝達され、そこから磁気接続部を介してマウスピースに伝達されるように、駆動ユニット内に配置されている。磁気接続部は、手の動きに制限のある人にも容易かつ迅速に確立および解除可能である。このことは、マウスピースは衛生上の理由で定期的に清掃する必要があるため、特に重要である。これとは対照的に、従来技術から既知の差込接続は、操作が不便または全く不可能であり、したがって不適切である。また、磁気接続部により、視覚が制限された人々も駆動ユニットとマウスピースとの間の接続を確実かつ迅速に確立し、解除することができる。磁気接続部は、駆動ユニットが操作中に誤ってマウスピースから取り外されてしまうことを防ぐのに十分強く、同時に力を大きくかけなくても磁気接続部の容易な意図的な解除ができる十分な強さに設計されている。
【0012】
本発明のさらなる特徴によれば、少なくとも1つの振動素子は、圧電素子、電磁音響変換器またはアンバランスモータによって形成され、好ましくは、振動運動を発生させるために上顎および下顎に対して垂直に構成されている。圧電素子、電磁音響変換器、アンバランスモータは低コストで入手可能であるため、駆動ユニットの全体的なコストに有利であり、信頼性が高いことから注目されている。圧電素子、電磁音響変換器またはアンバランスモータは、駆動ユニット内に配置され、駆動ユニットに、または駆動ユニット内に、振動運動を駆動ユニットに伝達するように取り付けられ、駆動ユニットの振動運動は、ユーザの後歯から前歯に至る方向に対して垂直に延伸する平面で行われている。
【0013】
ユーザがデンタルケア製品を清掃要素に塗布することをより容易にするために、駆動ユニットが、デンタルケア製品用の容器と、デンタルケア製品を容器からマウスピースとの接続領域に配置される出口へ搬送するためのポンプとを有することが有利である。このように、容器には、複数回の清掃操作のためのデンタルケア製品を蓄えておくことができる。さらに、一回の清掃操作に適した量のデンタルケア製品が、各清掃操作のためにポンプによって出口に搬送される。出口は、駆動ユニットとマウスピースとの間の接続領域に配置されている。
【0014】
駆動ユニットの小型で信頼性の高い設計を確実にするためには、ポンプが圧電マイクロポンプの形態であることが有利である。しかし、ポンプ機能は、容積型ポンプまたはフロー型ポンプによっても実行され得る。
【0015】
デンタルケア製品を容器に充填するための充填開口部を容器が有することが特に好ましい。これによって、容器内のデンタルケア製品の量が使い尽くされた後に、デンタルケア製品を容器に補充することができる。充填開口部は、例えばバルブ、蓋、またはプッシュスルー膜によって形成されることができ、これらは何度も開閉可能である。
【0016】
容器が交換可能であるように設計される場合、容器内の充填開口部は省略されることができる。したがって、デンタルケア製品は、使い捨ての容器または交換が容易であるカートリッジまたはカセットに設けられることができる。駆動ユニットへの設置の際、交換可能な容器は、好ましくは、ポンプ等に通じる接続ラインに突き刺されることによって挿入されている。
【0017】
マウスピースの構成に関しては、マウスピースが、駆動ユニットへの接続領域に配置される入口を有することが有利であり、これは駆動ユニットが接続される際に駆動ユニットの出口と位置合わせされ、支持体上に複数のオリフィスを備える少なくとも1つの流路を有する。このように、マウスピースの入口は、マウスピースが清掃装置の使用状態で駆動ユニットに接続される際に、駆動ユニットの出口と一致するように、または少なくとも部分的に重なるように配置されている。マウスピースの入口および駆動ユニットの出口は、マウスピースと駆動ユニットとの間の接続領域に配置されている。接続領域は、マウスピースと駆動ユニットとが互いに接触する領域、またはこの接触領域に囲まれた領域である。容器から駆動ユニットの出口およびマウスピースの入口を通して搬送されたデンタルケア製品をマウスピースにおいて適切に分配するために、入口は支持体上に複数のオリフィスを有する少なくとも1つの流路に接続されている。デンタルケア製品は好ましくは、駆動ユニット内のポンプによって流路を介してオリフィスに搬送され、そこから清掃要素および歯に到達する。
【0018】
特に有利な実施形態では、着脱可能な磁気接続部は、少なくとも1つの磁石と、少なくとも1つの磁気または磁化可能なカウンタパートによって形成されることができる。したがって、磁石は、駆動ユニットおよびマウスピースの両方に取り付けられることができ、磁石は、磁気接続部を生成するため、それらの反対の極が互いに対向するように配置されている。同様に、少なくとも1つの磁石を、駆動ユニットまたはマウスピースに取り付けることができ、これは、それぞれの対向するマウスピースまたは駆動ユニット内の少なくとも1つの磁化可能なカウンタパートに磁気的に接続されることができる。
【0019】
少なくとも1つの磁石および少なくとも1つのカウンタパートが、駆動ユニットの出口およびマウスピースの入口の周りにリング状で配置される場合、駆動ユニットがマウスピースに接続される際には、出口と入口とが互いに位置合わせされる。このようにして、駆動ユニットとマウスピースとの間の簡単な接続を形成することができるだけでなく、同時にデンタルケア製品をマウスピースに搬送するための接続も確立される。
【0020】
デンタルケア製品のマウスピースへの搬送をさらに確実にするために、駆動ユニット上のデンタルケア製品用の出口およびマウスピース上のデンタルケア製品用の入口が互いに正確に位置合わせされるよう、駆動ユニットおよびマウスピースがガイド要素を有することができる。ガイド要素は、簡単な操作で相互に係合させることができるように、単純な幾何学的形状を有することができる。例えば、それぞれ1つのリングが駆動ユニットおよびマウスピース上に設けられ、それらのリングは異なる直径を有し、これによって一方のリングが他方のリングの内部に挿入またはスナップされ得る。ガイド要素は、対応する設計によって、磁気接続部自体の磁気または磁化可能な要素から形成されてもよい。当然、適切なガイド要素として、リング以外の多くの形状も考えられる。この構成の本質的な特徴は、ガイド要素がユーザによって意図された協働位置にもたらされた際に、出口と入口が位置合わせされることである。
【0021】
駆動ユニットにエネルギーを供給するためには、駆動ユニットが振動素子およびポンプに接続された電気エネルギー貯蔵装置、特に充電式バッテリを有することが有利である。エネルギー貯蔵装置を充電するために、外部充電器が設けられてもよく、または駆動ユニットは、この目的のためにエネルギー貯蔵装置を充電するための太陽電池および電気部品を含んでもよい。充電装置は、好ましくはエネルギー貯蔵装置、特に充電式バッテリのエネルギー自給充電用に設計されている。
【0022】
ユーザができるだけ簡単に充電動作を行うために、好ましくは、エネルギー貯蔵装置の誘導充電のための装置が設けられてもよい。例えば、誘導結合のための無線エネルギー伝送用の装置では、各充電動作のため駆動ユニットと電源との間の電気的接続、特にプラグ接続を行う必要がない。
【0023】
清掃要素がブラシ毛の形態である場合に、歯の清掃は特に効率的に行うことができる。したがって、歯の清掃装置の使用準備ができた状態でユーザの口内に挿入されると、ブラシ毛は好ましくはユーザの上顎および下顎の全ての歯と接触する。
【0024】
歯がマウスピースに過剰な圧力をかけることによって歯茎または歯を傷つけないようにするため、また同時に歯の最適な清掃を達成するため、少なくとも1つの圧力センサがマウスピース内に配置されていることが有利である。圧力センサは、歯によってマウスピースに加えられる圧力を検出し、圧力が一定の限界値を超えた場合、駆動ユニットの停止が開始されてもよい。検出された値を評価するために、圧力センサをマウスピース内または駆動ユニット内のデータメモリに接続することができる。データメモリが駆動ユニット内に配置される場合、電気接点は磁気接続部の領域に設けられてもよく、これにより圧力センサをデータメモリに電気的に接続する。
【0025】
駆動ユニットが、好ましくは無線データ伝送インタフェースを有する制御装置を有する場合、駆動ユニットの操作パラメータは容易に変更および/または読出しが可能である。例えば、駆動ユニットは、様々な振動運動を実行するように実施され、対応して制御されてもよい。その一例は、一定のまたは可変の周波数および/または振幅を有する振動である。PC、ラップトップまたは携帯電話のようなデータ処理ユニットが、有利には、駆動ユニットへの、および駆動ユニットからのデータ伝送のために設けられる。データは、無線信号または光信号により、好ましくは既知の伝送プロトコルを使用して送信することができる。
【0026】
本発明は、添付図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】駆動ユニットとマウスピースとが組み立てられた状態にある、本発明による歯の清掃装置の斜視図である。
【
図1A】実質的に鉛直な平面における
図1のマウスピースの断面図である。
【
図1B】実質的に水平な平面における
図1のマウスピースの断面図である。
【
図2】
図1の装置の斜視図であり、駆動ユニットとマウスピースは互いに分離されている。
【
図4A】組み立てられた状態における駆動ユニットとマウスピースの相互に対向する面の正面図である。
【
図4B】組み立てられた状態における駆動ユニットとマウスピースの相互に対向する面の正面図である。
【
図4C】組み立てられた状態における駆動ユニットとマウスピースの相互に対向する面の正面図である。
【
図5】組み立てられた状態の駆動ユニットおよびマウスピースの側面図である。
【
図6】リング状のガイド要素を有する駆動ユニットへの接続領域におけるマウスピースの一部分の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、人間または動物のユーザの歯(図示せず)を清掃するための装置1を示す。装置1は、電気駆動ユニット2と、そこに接続可能なマウスピース3とを有する。
図1に示す装置1のすぐ使用できる状態では、電気駆動ユニット2は、マウスピース3に接続または結合されている。マウスピース3は、ユーザの口内に配置されるように設計され、この目的のために、支持体4と、その上に配置される清掃要素5、特にブラシ毛とを含む。駆動ユニット2は、ユーザの口の外側に配置されている。マウスピース3の支持体4は、上顎の歯を収容するために上向きに開いた湾曲したトレイと、下顎の歯を収容するために下向きに開いた湾曲したトレイとを含む。歯の効率的な清掃のために、清掃要素5は、好ましくは、マウスピース3の前面から背面へ、支持体4の開いたトレイに沿って延伸する。図示されるマウスピース3は、ユーザの上顎および下顎の実質的に全ての歯と同時に係合するように設計されている。電気駆動ユニット2は、振動運動を行うように設計され、マウスピース3に着脱可能に固定されることができる。この目的のために、着脱可能な磁気接続部Mが設けられている。駆動ユニット2とマウスピース3とが接続されると、生成された振動は、マウスピース3に、そして続いて清掃要素5に伝達される。
【0029】
図1Aおよび
図1Bによるマウスピース3の断面図に示されるように、流路7がマウスピース3およびその支持体4内に延伸し、デンタルケア製品13(
図3参照)を搬送し、この流路は対応するオリフィス6で終端し、そこからデンタルケア製品13が清掃要素5および歯に到達することができる。流路7は、駆動ユニット2(
図3参照)上の対応する出口11と協働する入口18を有する。
図1および1Aでは、清掃要素5は概略的にのみ示される。当然、清掃要素5は、特に歯の咀嚼面を清掃するために、支持体4の水平側にも配置することができる。
【0030】
マウスピース3上の圧力を検出するために、マウスピース3に圧力センサ23を設けることもできる。
【0031】
図2は、駆動ユニット2とマウスピース3が互いに分離されている状態の装置1を示す。この状態では、磁気接続部Mは解除されている。これにより、マウスピース3の清掃または交換が容易になる。磁気接続部Mは、駆動ユニット2上の少なくとも1つの磁石19と、マウスピース3上の少なくとも1つの磁気または磁化可能なカウンタパート20とによって形成されている。当然、磁石19はマウスピース3上に配置されてもよく、磁気または磁化可能なカウンタパート20は駆動ユニット2上に配置されてもよい。磁石19および少なくとも1つのカウンタパート20は、好ましくは、駆動ユニット2の出口11の周囲およびマウスピース3の入口18の周囲にリング状で配置されている。
【0032】
図3は、駆動ユニット2のブロック図を示す。図示された実施例では、駆動ユニット2は、歯を清掃するために必要な振動運動を生成する振動素子8、例えば圧電素子、電磁音響変換器またはアンバランスモータを有する。駆動ユニット2はまた、デンタルケア製品13が保持される容器9と、デンタルケア製品13を容器9から駆動ユニット2の出口11に搬送するためのポンプ10とを含む。駆動ユニット2の出口11は、駆動ユニット2とマウスピース3との間の接続領域に配置されている。ポンプ10は、圧電マイクロポンプ、容積型ポンプまたはフロー型ポンプの形態であることができる。デンタルケア製品13を補充するために、容器9は、例えば蓋、バルブまたはプッシュスルー膜などの入口開口部12を有する。容器9は、カートリッジまたはカセット(
図5参照)の形で交換可能に設計されてもよく、これにより非常に簡単に交換することができる。振動素子8およびポンプ10へのエネルギー供給のために、駆動ユニット2には電気エネルギー貯蔵装置14、特に充電式バッテリが接続される。これは、好ましくはエネルギー貯蔵装置14の誘導充電のために装置15に接続されてもよい。好ましくは無線データ伝送インタフェース17を有する制御装置16も駆動ユニット2内に収容され、エネルギー貯蔵装置14に接続されることができる。
【0033】
マウスピース3は、駆動ユニット2との接続領域に入口18を有し、この入口は、駆動ユニット2が接続される際に、駆動ユニット2の出口11と位置合わせされる(
図2参照)。入口18は、支持体4上のオリフィス6で終端する流路7に接続される。これによって、デンタルケア製品13は、容器9から出口11および入口18を通って流路7を介して搬送され、最後にオリフィス6を介して清掃要素5またはブラシ毛および歯に到達することができる。
【0034】
図4Aは、デンタルケア製品13用の出口11の周囲に配置されている、磁気接続部Mの一部、特にリング状磁石19を有する駆動ユニット2の図を示す。
【0035】
図4Bは、マウスピース3の図であり、ここでは、磁気接続部Mの対応する部分、特にリング状の磁化可能なカウンタパート20が示され、これはマウスピース3の流路7用の入口18の周囲にリング状に配置されている。磁化可能なカウンタパート20の周囲にリング状のガイド要素21が設けられ、出口11と入口18とが正確に位置合わせされるようにしてもよい。ガイド要素21は、例えば
図6に示すように、カラー22等を設けることによって実施されることができ、これはカウンタパートを駆動ユニット2に適切に固定させるように機能する。装置1が接続状態にあるとき、リング状磁石19またはリング状の磁化可能なカウンタパート20は、磁気吸引力によって引き寄せられ互いに接する。
【0036】
図4Cは、マウスピース3上のガイド要素21として機能する磁化可能なカウンタパート20を示す。
【0037】
図5は、磁石19と磁化可能なカウンタパート20とを備える装置1の組み立てられた状態の駆動ユニット2とマウスピース3の側面図であり、大きな接続領域を形成するために平坦な構造であることが有利である。駆動ユニット2上のデンタルケア製品13用の容器9は、カートリッジまたはカセットの形で交換可能である。これにより、容器9を迅速かつ容易に交換することができる。
【手続補正書】
【提出日】2018年8月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃要素(5)が配置されている支持体(4)を有しユーザの口内に配置されるべきマウスピース(3)であって、前記清掃要素(5)がユーザの上顎および/または下顎の全ての歯に同時に係合するように前記支持体(4)上に配置されるマウスピース(3)と、前記マウスピース(3)に着脱可能に固定され、振動運動を行うために少なくとも1つの振動素子(8)を有する電気駆動ユニット(2)と、を備える人間または動物のユーザの歯を清掃するための装置(1)において、
前記清掃要素(5)が、ユーザの上顎および下顎の全ての歯に同時に係合するように前記支持体(4)上に配置されていることと、前記駆動ユニット(2)を前記マウスピース(3)に着脱可能に固定するための着脱可能な磁気接続部(M)が設けられ、前記駆動ユニット(2)が、ユーザの口の外側に配置されるよう構成され、前記振動素子(8)が、その振動運動が前記駆動ユニット(2)全体へ、および前記ユニットから前記磁気接続部(M)を介して前記マウスピース(3)へ伝達可能であるように、前記駆動ユニット(2)内に配置されていることと、を特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの振動素子(8)が、圧電素子、電磁音響変換器またはアンバランスモータによって形成され、好ましくは、前記上顎および下顎に対して垂直の振動運動を生成するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記駆動ユニット(2)が、デンタルケア製品(13)用の容器(9)と、デンタルケア製品(13)を前記容器(9)から前記マウスピース(3)との接続領域に配置される出口(11)へ搬送するためのポンプ(10)とを有することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記ポンプ(10)が、圧電マイクロポンプ、容積型ポンプまたはフロー型ポンプにより形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記容器(9)が、前記容器(9)に前記デンタルケア製品(13)を充填するための充填開口部(12)を有することを特徴とする、請求項3または4に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記容器(9)が交換可能であるように設計されていることを特徴とする、請求項3から5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記マウスピース(3)が、前記駆動ユニット(2)との接続領域に配置される入口(18)を有し、前記入口は前記駆動ユニット(2)が接続される際に前記駆動ユニット(2)の前記出口(11)と位置合わせされ、前記入口(18)が少なくとも1つの流路(7)と接続され、前記支持体(4)上に複数のオリフィス(6)を有する少なくとも1つの流路(7)を有することを特徴とする、請求項3から6のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記着脱可能な磁気接続部(M)が、少なくとも1つの磁石(19)と、少なくとも1つの磁気または磁化可能なカウンタパート(20)とによって形成されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの磁石(19)および前記少なくとも1つのカウンタパート(20)が、前記駆動ユニット(2)の前記出口(11)および前記マウスピース(3)の前記入口(18)の周囲にリング状で配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記駆動ユニット(2)および前記マウスピース(3)が、前記駆動ユニット(2)の前記デンタルケア製品(13)用の前記出口(11)および前記マウスピース(3)の前記デンタルケア製品(13)用の前記入口(18)が確実に正確に位置合わせできるようにするためのガイド要素(21)を有する、請求項7から9のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記駆動ユニット(2)が、前記振動素子(8)および前記ポンプ(10)に接続される電気エネルギー貯蔵装置(14)、特に充電式バッテリを有することを特徴とする、請求項3から10のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記エネルギー貯蔵装置(14)の誘導充電のための装置(15)が設けられていることを特徴とする、請求項11に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記清掃要素(5)がブラシ毛により形成されていることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項14】
少なくとも1つの圧力センサ(23)が前記マウスピース(3)内に配置されていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記駆動ユニット(2)が、好ましくは無線データ伝送インタフェース(17)を備えている制御装置(16)を有することを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置(1)。
【国際調査報告】