(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-520950(P2019-520950A)
(43)【公表日】2019年7月25日
(54)【発明の名称】薬剤送達装置のための薬剤容器ホルダおよび薬剤送達装置の組立方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/24 20060101AFI20190704BHJP
A61M 5/28 20060101ALI20190704BHJP
【FI】
A61M5/24 502
A61M5/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-503306(P2019-503306)
(86)(22)【出願日】2017年6月28日
(85)【翻訳文提出日】2019年3月20日
(86)【国際出願番号】EP2017066032
(87)【国際公開番号】WO2018015119
(87)【国際公開日】20180125
(31)【優先権主張番号】16180922.3
(32)【優先日】2016年7月22日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】318014474
【氏名又は名称】エス・ハー・エル・メディカル・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SHL MEDICAL AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホルムクビスト,アンデシュ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066DD08
4C066EE06
4C066FF05
4C066GG01
4C066GG20
4C066LL30
(57)【要約】
本開示は、薬剤送達装置のための薬剤容器ホルダ(11)に関し、薬剤容器ホルダ(11)はC字形の管状本体(11a)を備え、C字形の管状本体(11a)はC字形の管状本体(11a)の軸方向における延在部分の全体に沿って延在する長手方向の隙間(11f)を有し、C字形の管状本体(3)は薬剤容器の周りに配置されるように構成され、C字形の管状本体(11a)は、径方向内向きに延在する端部フランジ(11g)が設けられた、薬剤容器の首部と当接するように構成される第1の軸方向端部(11b)を有し、第1の軸方向端部(11b)には端部フランジ(11g)から近位に延在するリップ(11h)が設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置(1)のための薬剤容器ホルダ(11)であって、
C字形の管状本体(11a)の軸方向における延在部分の全体に沿って延在する長手方向の隙間(11f)を有するC字形の管状本体(11a)を備え、C字形の管状本体(3)は薬剤容器(13)の周りに配置されるように構成され、
前記C字形の管状本体(11a)は、径方向内向きに延在する端部フランジ(11g)が設けられた、薬剤容器(13)の首部(13a)と当接するように構成される第1の軸方向端部(11b)を有し、前記第1の軸方向端部(11b)には前記端部フランジ(11g)から近位に延在するリップ(11h)が設けられる、薬剤容器ホルダ(11)。
【請求項2】
前記第1の軸方向端部(11b)は第1の外径(D)を有し、前記リップ(11h)は、前記リップ(11h)の前記近位端部を規定する、第2の外径(d5)を有する近位縁部を有し、前記第1の外径(D)は前記第2の外径(d5)よりも大きい、請求項1に記載の薬剤容器ホルダ(11)。
【請求項3】
前記C字形の管状本体(11a)は内径(d1)を有し、前記リップ(11h)は、前記リップ(11h)の前記近位端部を規定する、第2の外径(d5)を有する近位縁部を有し、前記内径(d1)は前記第2の外径(d5)よりも大きい、請求項1または請求項2に記載の薬剤容器ホルダ(11)。
【請求項4】
前記リップ(11h)は、傾けられ且つ近位方向に径方向内向きに延在する、上述の請求項のいずれか1項に記載の薬剤容器ホルダ(11)。
【請求項5】
前記C字形の管状本体(11a)は可撓性である、上述の請求項のいずれか1項に記載の薬剤容器ホルダ(11)。
【請求項6】
前記リップ(11h)は、複数の周方向に延在する別個のリップ部分(11i)を備える、上述の請求項のいずれか1項に記載の薬剤容器ホルダ(11)。
【請求項7】
薬剤送達装置(1)であって、
薬剤容器(13)を受け入れるように構成されるハウジング(3)と、
薬剤容器支持部(15a)と、
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の薬剤容器ホルダ(11)とを備え、前記薬剤容器ホルダ(11)は、前記薬剤容器支持部に当接するように構成される、薬剤送達装置(1)。
【請求項8】
薬剤容器(13)を備え、前記薬剤容器ホルダ(11)は、前記薬剤容器(13)が前記ハウジング(3)内で近位に変位することを阻止するように、前記薬剤容器(13)の周りに配置されるように構成される、請求項7に記載の薬剤送達装置(1)。
【請求項9】
前記薬剤容器(13)はシリンジである、請求項8に記載の薬剤送達装置(1)。
【請求項10】
前記シリンジの針を受け入れるように構成される可撓性の内側部材(9b)と、前記可撓性の内側部材(9b)を受け入れるように構成される硬質の外側部材(9a)とを有する送達部材(9)シールドを備え、前記硬質の外側部材(9a)は前記可撓性の内側部材(9b)に対して直線状に変位可能であるように構成され、前記薬剤容器ホルダ(11)の前記リップ(11h)は前記硬質の外側部材(9a)と前記可撓性の内側部材(9b)との間で受け入れられるように構成される、請求項9に記載の薬剤送達装置(1)。
【請求項11】
薬剤送達装置(1)を組み立てる方法であって、
a)送達部材を有する薬剤容器(13)と前記送達部材を覆う送達部材シールド(9)とを含む薬剤容器アセンブリを提供するステップと、
b)前記薬剤容器(13)の前記長手軸に垂直な側から前記C字形の管状本体(11a)を展開することによって、請求項1〜6のいずれかに記載された薬剤容器ホルダ(11)を前記薬剤容器(13)の周りに提供し、これによって前記薬剤容器ホルダ(11)を前記薬剤容器(13)上にはめ込むステップと、
c)前記薬剤容器ホルダ(13)が前記送達部材シールド(9)に到達するまで、前記薬剤容器(13)を前記薬剤容器ホルダ(11)に対して直線状に動かすステップとを備える方法。
【請求項12】
ステップc)では、前記薬剤容器ホルダ(11)は第1のアセンブリツールによって固定位置に維持され、前記薬剤容器(13)は第2のアセンブリツールによって前記薬剤容器ホルダ(11)に対して動かされる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップc)の後に、d)前記薬剤容器ホルダ(11)がその上に提供された前記薬剤容器(13)を薬剤送達装置(1)のハウジング(3)内に前記ハウジング(3)の遠位端部開口から挿入するステップを備える、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記薬剤送達装置(1)は、その近位端部に提供されるキャップ(5)と薬剤容器支持部(15a)とを有し、前記方法は、e)前記送達部材シールド(9)が前記キャップ(5)と係合し且つ前記薬剤容器ホルダ(11)が前記薬剤容器支持部(15a)と当接するまで、前記薬剤容器(13)を前記薬剤容器ホルダ(11)とともに前記ハウジング(3)内で近位に動かすステップを備える、請求項14に記載の方法。
【請求項15】
前記薬剤容器(13)は針を備えるシリンジであり、前記送達部材シールド(9)は、前記針を覆う可撓性の内側部材(9b)と、前記可撓性の内側部材(9b)の周りに配置されそれに対して直線状に変位可能である硬質の外側部材(9a)とを備え、ステップe)では前記硬質の外側部材(9a)は前記リップ(11h)上を動く、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は一般的に、医療装置に関する。特に、それは、薬剤送達装置のための薬剤容器ホルダ、そのような薬剤容器ホルダを備える薬剤送達装置、および薬剤送達装置を組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
薬剤送達装置は、薬剤容器を受け入れるように構成されるハウジングを有し得る。この目的のため、薬剤送達装置は、薬剤容器をハウジング内の所定の位置に保持する薬剤容器ホルダを有し得る。
【0003】
国際公開第2013/156346A2号は、移動可能なプランジャ、首部分および送達部材ユニットを備える薬剤容器を含む、薬剤送達装置を開示する。薬剤送達装置はまた、近位の開口端部および反対の遠位の開口端部を有するハウジングと、ハウジングの遠位端部に配置され、移動可能なプランジャに力を適用するように構成される駆動ユニットと、容器ユニットを形成する薬剤容器の首部分にC字形の管状本体が取り付けられることができるように、長手方向に延在するスリット/隙間を備えるC字形の管状本体とを有する。C字形の管状本体は、薬剤容器がC字形の管状本体に取り付けられた後に、薬剤容器がC字形の管状本体に対して移動されるのを防ぐように、薬剤容器の首部分および送達部材ユニットと相互作用するように構成される内部支持手段と、容器ユニットがハウジング内に遠位の開口端部を通して配置された後に、C字形の管状本体がハウジングに対して移動されることを防がれるように、ハウジングの対応する支持手段と相互作用するように構成される外部支持手段をさらに備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
概要
国際公開第2013/156346A2号に開示されたC字形の管状本体は、組立中に近位方向に押されたときに薬剤容器の首部分上で展開でき、これによりそれは首部分から薬剤容器の本体上に遠位に動く。これはハウジングの内部の薬剤容器ひいては送達部材の位置を潜在的に変更し、薬剤が不正確な穿通深度で排出される結果となり得る。
【0005】
上記を考慮して、本開示の一般的な目的は、先行技術の問題を解決するか少なくとも緩和する、薬剤送達装置のための薬剤容器ホルダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため本開示の第1の局面に従えば、C字形の管状本体の軸方向における延在部分の全体に沿って延在する長手方向の隙間を有するC字形の管状本体を備える薬剤送達装置のための薬剤容器ホルダが提供され、C字形の管状本体は薬剤容器の周りに配置されるように構成され、C字形の管状本体は径方向内向きに延在する端部フランジが設けられ且つ薬剤容器の首部に当接するように構成される第1の軸方向端部を有し、第1の軸方向端部には端部フランジから近位に延在するリップが設けられる。
【0007】
リップは、その送達部材を保護するための薬剤容器に取り付けられるように構成される、送達部材シールドの外側遠位端面の径方向に下側に移動するように構成される。このため、送達部材シールドと薬剤容器と薬剤容器ホルダとによって形成されるサブアセンブリがハウジング内部の完成アセンブリ位置に置かれ、薬剤容器ホルダが径方向のストップ、ハウジングの薬剤容器支持部または内側ショルダに向かって前方に押される組立中に、リップの径方向の変形が送達部材シールドによって規定されるために、送達部材シールドの外側遠位端面下側に配置されたリップは、C字形の管状本体の径方向の展開を可能としないだろう。結果的に、C字形の管状本体はまた径方向の展開を防がれるだろう。薬剤容器ホルダひいては薬剤容器は、組み立て後にこうして正しくハウジング内部に位置決められるだろう。
【0008】
1つの実施形態に従えば、第1の軸方向端部は第1の外径を有し、リップは、リップの近位端部を規定する第2の外径を有する近位縁部を有し、第1の外径は、第2の外径よりも大きい。
【0009】
1つの実施形態に従えば、C字形の管状本体は内径を有し、リップは、リップの近位端部を規定する第2の外径を有する近位縁部を有し、内径は第2の外径よりも大きい。
【0010】
さらに、送達部材シールドの遠位端部の2つの径方向の層間をリップが延在することを可能とするために、リップは、その径方向の厚さ、その内径およびその外径が寸法決めされるように設計される。
【0011】
1つの実施形態に従えば、リップは傾けられ且つ近位方向に径方向内向きに延在する。C字形の本体はこのため近位方向にテーパーを付けられた形状を有する。
【0012】
1つの実施形態に従えば、C字形の管状本体は可撓性である。C字形の管状本体はこれにより隙間またはスリットを通して薬剤容器を受け入れることができる。
【0013】
1つの実施形態に従えば、リップは、複数の周方向に延在する別個のリップ部分を備える。C字形の管状本体はこれにより薬剤容器を受け入れるための隙間を展開できる。
【0014】
本開示の第2の局面に従えば、薬剤容器を受け入れるように構成されるハウジングと、薬剤容器支持部と、第1の局面に従う薬剤容器ホルダとを備える薬剤送達装置が提供され、薬剤容器ホルダは薬剤容器支持部に当接するように構成される。
【0015】
薬剤容器支持部は、たとえばフランジまたはリブの形態でハウジングの内側表面上に一体に提供され得る。代替的に、薬剤容器支持部は、ハウジング内部に配置されるように構成され且つ薬剤容器を受け入れるように構成される、内側スリーブといった別個の部品によって形成され得る。
【0016】
1つの実施形態は薬剤容器を備え、薬剤容器がハウジング内で近位に変位することを阻止するために、薬剤容器ホルダは薬剤容器の周りに配置されるように構成される。
【0017】
1つの実施形態に従えば薬剤容器はシリンジである。
1つの実施形態は、シリンジの針を受け入れるように構成される可撓性の内側部材と、可撓性の内側部材を受け入れるように構成される硬質の外側部材を有する送達部材シールドとを備え、硬質の外側部材は可撓性の内側部材に対して直線状に変位可能であるように構成され、薬剤容器ホルダのリップは硬質の外側部材と可撓性の内側部材との間で受け入れられるように構成される。
【0018】
本開示の第3の局面に従えば、a)送達部材を有する薬剤容器と送達部材を覆う送達部材シールドとを含む薬剤容器アセンブリを提供するステップと、b)薬剤容器の長手軸に垂直な側からC字形の管状本体を展開することによって、請求項1〜6のいずれかに記載される薬剤容器ホルダを薬剤容器の周りに提供し、これによって薬剤容器ホルダを薬剤容器上にはめ込むステップと、c)薬剤容器ホルダが送達部材シールドに到達するまで、薬剤容器を薬剤容器ホルダに対して直線状に動かすステップとを備える、薬剤送達装置の組み立て方法が提供される。
【0019】
1つの実施形態に従えば、ステップc)では、薬剤容器ホルダは第1のアセンブリツールによって固定位置に維持され、薬剤容器は第2のアセンブリツールによって薬剤容器ホルダに対して動かされる。
【0020】
1つの実施形態は、ステップc)の後に、d)薬剤容器ホルダがその上に提供された薬剤容器を薬剤送達装置のハウジング内にハウジングの遠位端部開口から挿入するステップを備える。
【0021】
1つの実施形態に従えば、薬剤送達装置はその近位端部に提供されるキャップと薬剤容器支持部とを有し、方法は、e)送達部材シールドがキャップと係合し且つ薬剤容器ホルダが薬剤容器支持部と当接するまで、薬剤容器を薬剤容器ホルダとともにハウジング内で近位に動かすステップを備える。
【0022】
1つの実施形態に従えば、薬剤容器は針を備えるシリンジであり、送達部材シールドは、針を覆う可撓性の内側部材と、可撓性の内側部材の周りに配置されそれに対して直線状に変位可能である硬質の外側部材とを備え、ステップe)では硬質の外側部材はリップ上を動く。
【0023】
一般に、特許請求の範囲で使用される全ての用語は、本明細書で明示的に定義されない限り、技術分野における通常の意味に従って解釈されるべきである。「要素」、「装置」、「構成要素」、「手段」等への全ての言及は、特に明記しない限り、要素、装置、構成要素、手段等の少なくとも1つの例を非限定的に参照するものとして解釈されるべきである。
【0024】
図面の簡単な説明
ここで、本発明の概念の特定の実施形態を、添付の図面を参照して例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】
図1に示された薬剤送達装置のある部品の分解図である。
【
図3】薬剤送達装置のための薬剤容器ホルダの例の斜視図である。
【
図4】薬剤送達装置のための薬剤容器ホルダの例の斜視図である。
【
図5】
図4に示されるA−A線に沿う薬剤容器ホルダの断面である。
【
図7】薬剤容器ホルダおよび送達部材シールドを含むサブアセンブリの側面図である。
【
図8】
図7に示されたサブアセンブリの長手方向の断面の部分を表している。
【
図9】
図1の薬剤送達装置の長手方向の断面を描いている。
【
図10】薬剤送達装置を組み立てる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
本発明の概念は、例示的実施形態が示される添付図面を参照して、以下により十分に説明されるだろう。しかし、本発明の概念は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全かつ完全であり、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えるように、例として提供される。同様の符号は、明細書全体を通して同様の要素を指す。
【0027】
ここで使用される「近位端部」という用語は、薬剤容器ホルダに関して使用される場合、薬剤容器ホルダが正しく薬剤送達装置内に設置されたときに、薬剤投与中に注射部位に向かうことが意図される、薬剤容器ホルダの端部を意味する。「遠位端部」は、近位端部に対して反対の端部である。「近位方向」および、同等に「近位に」という用語は、安全機構の中心軸に沿って、遠位端部から近位端部に向かう方向を意味する。「遠位方向」または「遠位に」という用語は、「近位方向」に対して反対の方向を意味する。
【0028】
本開示は、薬剤送達装置のための薬剤容器ホルダに関する。薬剤容器ホルダは、C字形の管状本体の軸方向全長に沿って延在する長手方向の隙間が設けられたC字形の管状本体を有する。隙間に起因して、C字形の管状本体はC字形の管状本体の長手方向延在に沿う任意の断面に対してC字形の断面を得る。
【0029】
C字形の管状本体は可撓性である。隙間はこのため展開されることができ、これによりC字形の本体は展開された隙間を通して薬剤容器を受け入れることができる。C字形の管状本体は、たとえばプラスチック材料または鋼もしくはアルミニウムといった金属から作られ得る。
【0030】
C字形の管状本体は近位端部および遠位端部を有する。近位端部または第1の軸方向端部は、径方向のストッパ、すなわち径方向内向きに延在する端部フランジを有する。薬剤容器ホルダに対する薬剤容器の近位方向の移動を防ぐために、端部フランジはC字形の本体によって受け入れられている薬剤容器の首部に当接するように構成される。第1の軸方向端部には、端部フランジから特に近位方向に突出するリップがさらに設けられる。リップはC字形の管状本体の近位縁部を形成する近位縁部を有する。
【0031】
薬剤容器ホルダの例は、典型的な薬剤送達装置の文脈の中
図1〜
図9を参照してここで説明される。
【0032】
図1は、薬剤送達装置1の例の斜視図を示す。薬剤送達装置1は、ハウジング3と、ハウジング3の近位端部に提供されるキャップ5とを有する。例示される薬剤送達装置1は、ボタンで作動されるが、たとえば送達部材カバーで代替的に作動されることができる。
【0033】
図2の分解図は例示される薬剤送達装置1のいくつかの内部部品を示す。薬剤送達装置は、薬剤の排出を作動するための作動アセンブリ7と、送達部材シールド9と、薬剤容器ホルダ11と、薬剤容器13とをさらに備える。これらの部品は、ハウジング3内に受け入れられるように構成される。
【0034】
薬剤容器ホルダ11は、薬剤容器13を受け入れおよび保持するように構成され、薬剤容器13が薬剤容器支持部に対してハウジング3内部で近位に動くことを防ぐために、薬剤送達装置1の薬剤容器支持部に当接するようにさらに構成される。
【0035】
例示される薬剤容器13は、シリンジであり、この場合には針である送達部材を含む。送達部材シールド9は送達部材を覆うように構成される。送達部材シールド9は典型的には硬質針シールド(RNS)であり得るが、可撓性の針シールド(FNS)であり得る。
【0036】
図3は、薬剤容器ホルダ11の斜視図を示す。特にそれは、薬剤容器ホルダ11をその近位端部から示す。薬剤容器ホルダ11はC字形の管状本体11aを有する。C字形の管状本体11aは、第1の軸方向端部とも称される近位端部11bと、遠位端部11cとを有する。C字形の管状本体11aは、周方向の第1の端面部11dおよび第2の端面部11eをさらに有する。第1の端面部11dおよび第2の端面部11eはこのため周方向に離間され、その間に隙間またはスリット11fを形成する。隙間11fは、C字形の管状本体11aの長手方向または軸方向における延在の全体に沿って延在する。
【0037】
第1の軸方向端部11bは、径方向内向きに延在する端部フランジ11gと、端部フランジ11gから近位に延在するリップ11hとを有する。端部フランジ11gは薬剤容器13の首部に当接するように構成される。リップ11hの近位端面部は、C字形の管状本体11aの近位端面部を形成する。
【0038】
図3に示される例に従えば、リップ11hは、第1の端面部11dから第2の端面部11eまで周方向に延在する。特に、リップ11hは第1の端面部11dと第2の端面部11eとの間で周方向に長さの大部分を覆う。
【0039】
図3の例に従えば、リップ11hは複数の別個のリップ部分11iを有する。リップ部分11iは軸スリット11jによって分離される。薬剤容器ホルダ11が隙間11fを通して薬剤容器113の周りに配置されているときに、複数の軸スリット11jは隙間11fの展開を容易にする。
【0040】
図4は、薬剤容器ホルダ11の、特にC字形の管状本体11aの別の図を示し、
図5は、A−A線に沿うC字形の管状本体11aの断面を示す。C字形の管状本体11aは第1の外径Dおよび内径d1を有する。リップ11hは、C字形の管状本体11aの残りの部分よりもより小さい内径d2、すなわち内径d1よりも小さい内径d2を有する。特に、端部フランジ11gから近位に延在するリップ11hは、傾けられ近位方向に径方向内向きに延在する。C字形の管状本体11aはこのため、リップ11hの構成に起因して近位方向にテーパーを付けられる。ここで、C字形の管状本体11aの内径d2はリップ11hの近位縁部において、端部フランジ11gから遠位にある内径d1よりも小さい。
【0041】
薬剤容器ホルダ11の径方向の表面は、リップ11hと外側表面との間を延在し、第1の外径Dを規定し、支持表面として機能し、そして、薬剤容器ホルダ11がハウジング3内部に配置されたときに薬剤容器ホルダ11の近位移動を防ぐために薬剤送達装置1の薬剤容器支持部に当接するように構成されている。
【0042】
図6をここで参照して、送達部材シールド9の斜視図が示される。提示される例に従えば送達部材シールド9は硬質の針シールドである。送達部材シールド9は、硬質の外側部材9aおよび可撓性の内側部材9bを有する。硬質の外側部材9aは、管状であり中空の内部を有する。可撓性の内側部材9bはまた管状である。硬質の外側部材9aは可撓性の内側部材9bを受け入れるように構成される。ここで、可撓性の内側部材9bの外径d3は硬質の外側部材9aの内径d4よりも小さい。
【0043】
硬質の外側部材9aは第1の位置と第2の位置との間で可撓性の内側部材9bに対して直線状に変位可能である。硬質の外側部材9aはこのため可撓性の内側部材9bに対して軸方向にわずかに移動可能である。
【0044】
送達部材シールド9は遠位端部9cおよび近位端部9dをさらに有する。可撓性の内側部材9bは、薬剤容器13の送達部材、この例では針およびシリンジそれぞれを遠位端部9cから受け入れように構成される。
【0045】
図7を参照して、薬剤容器13と薬剤容器ホルダ11と送達部材シールド9とを含むサブアセンブリが示される。薬剤容器ホルダ11は薬剤容器11の周りに配置される。送達部材シールド9はそれが送達部材を覆うようにさらに薬剤容器13と組み立てられる。
【0046】
図8は、
図7に示されるサブアセンブリの部分の断面を示す。端部フランジ11gは、傾けられた、C字形の管状本体11aの内径を近位方向に連続的に減少させる遠位壁を有する。端部フランジ11gは薬剤容器13の首部13aに当接するように構成される。リップ11hの内径d2は好ましくは可撓性の内側部材9bの外径d3よりも大きい。さらに、リップ11hの外径、すなわち第2の外径d2は硬質の外側部材9aの内径d4よりも小さい。硬質の外側部材9aおよび可撓性の内側部材9bはさらに、硬質の外側部材9aの内側表面と可撓性の内側部材9bの外側表面との間に距離d6が存在するように配置される。リップ11hの径方向の厚さは好ましくは距離d6よりも小さい。さらに、リップ11hの軸長さ、すなわちそれがC字形の管状本体の残りの部分から近位に延在する距離はリップ11hが硬質の外側部材9aと可撓性の内側部材9bとの間で遠位端部から延在可能であるように寸法決めされる。
【0047】
送達部材シールド9が送達部材上に置かれ且つ薬剤容器ホルダ11が薬剤容器11の周りに配置され、サブアセンブリがハウジング3内部に運ばれ且つ近位方向に前方に移動されたときに、送達部材シールド9は最終的にキャップ5の内側表面に到達する。送達部材シールド9、特に可撓性の内側部材9bに対して直線状に変位可能である硬質の外側部材9aは、次いで首部13aに向かって押され、リップ11hを硬質の外側部材9aと可撓性の内側部材9bとの間において移動させる。リップ11hが硬質の外側部材9aと可撓性の内側部材9bとの間に配置され且つリップ11hのひいてはC字形の管状本体11a全体の径方向の展開を防ぐため、結果としてこの遠位に向けられた力はC字形の管状本体11aを径方向に展開させない。
【0048】
図9は、薬剤送達装置1の内側に取り付けられるサブアセンブリを示す。
図9に示される例に従えば、薬剤送達装置1はハウジング3内部に配置された内側スリーブ15を有する。内側スリーブ15は、近位方向にフランジまたはショルダの形態を有する薬剤容器支持部15aを含む。内側スリーブ15の内径はしたがって薬剤容器支持部15aに起因して近位方向に減少する。薬剤容器ホルダ11は薬剤容器支持部15aに当接するように構成される。薬剤容器支持部15aは、薬剤容器ホルダ11ひいては薬剤容器13の薬剤容器支持部15aに対する近位方向の軸変位を防ぐ。
【0049】
代替的に、薬剤容器支持部がハウジングの内側表面上に直接提供され得ることが留意され得る。
【0050】
図10を参照して、薬剤容器ホルダ11を含む薬剤送達装置1といった薬剤送達装置を組み立てる方法がここで説明される。
【0051】
ステップa)では、送達部材を有する薬剤容器13と、送達部材に取り付けられる送達部材シールド9とが提供される。薬剤容器および送達部材シールドは薬剤容器アセンブリを形成する。
【0052】
ステップb)では、薬剤容器ホルダ11は薬剤容器13上に提供される。薬剤容器ホルダ11は特に、薬剤容器13の長手軸に垂直な側から隙間11fを通して薬剤容器13上に提供される。隙間11fはここで展開され、これにより薬剤容器ホルダ11は上記の側から薬剤容器13上に取り付けられ得る。薬剤容器ホルダ11はこうして薬剤容器13上にはめ込まれる。
【0053】
ステップc)では、薬剤容器ホルダ11が送達部材シールド9に到達するまで、薬剤容器13は薬剤容器ホルダ11に対して直線状に動かされる。薬剤容器ホルダ11は、したがって、薬剤容器13の近位端部に向かって移動される。
【0054】
ステップc)では、薬剤容器ホルダ11が送達部材シールド9に到達するまで、薬剤容器13が第2のアセンブリツールによって薬剤容器ホルダ11に対して動かされている間、薬剤容器ホルダ11は第1のアセンブリツールによって固定された位置に維持されてもよく、薬剤容器ホルダ11の近位部分は薬剤容器13の首部13a上を動かされる。薬剤容器ホルダ11のリップ11hは、送達部材シールド9の硬質の外側部材9aおよび可撓性の内側部材9bの間で押されてもよいが、組み立てのこの段階において必須ではない。
【0055】
ステップd)では、薬剤容器13と薬剤容器ホルダ11と送達部材シールド9とを備えるサブアセンブリは、薬剤送達装置1のハウジング3内にハウジング3の遠位端部開口から挿入される。
【0056】
ステップe)では、ハウジング3の近位端部に取り付けられるキャップ5と送達部材シールド9が係合するまで、サブアセンブリはハウジング3内部で近位に動かされ、薬剤容器ホルダは薬剤容器支持部15aに接触する。この段階中に、送達部材シールド9がキャップ5の内側近位端面に到達することに起因して、および/またはそのキャップ5との係合が硬質の外側部材9aをリップ11h上で移動させることに起因して、硬質の外側部材9aは可撓性の内側部材9bに対して遠位に変位され得、リップ11hから遠位に配置されたC字形の管状本体11aの径方向の表面に向かって硬質の外側部材9aが遠位にたとえ押されても、上記によりC字形の管状本体11aの径方向の展開は阻止される。
【0057】
本発明の概念は主としていくつかの例を参照して上述された。しかし当業者には容易に理解されるように、上述した以外の他の実施形態も添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の概念の範囲内で同等に可能である。
【国際調査報告】