(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-521128(P2019-521128A)
(43)【公表日】2019年7月25日
(54)【発明の名称】シソ属抽出組成物
(51)【国際特許分類】
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【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-568427(P2018-568427)
(86)(22)【出願日】2017年6月22日
(85)【翻訳文提出日】2019年2月20日
(86)【国際出願番号】MY2017000024
(87)【国際公開番号】WO2018004331
(87)【国際公開日】20180104
(31)【優先権主張番号】PI2016702386
(32)【優先日】2016年6月28日
(33)【優先権主張国】MY
(81)【指定国】
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(71)【出願人】
【識別番号】518330464
【氏名又は名称】ウィンドスター メディカル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(72)【発明者】
【氏名】チュー アンドレイ リ チン
(72)【発明者】
【氏名】チェン チンウェン
(72)【発明者】
【氏名】タン ビー クワン
(72)【発明者】
【氏名】シェールマン フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ミラー アルブレヒト イェルク マティアス
【テーマコード(参考)】
4B018
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【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
肥満細胞活性化を阻害する、および/または肥満細胞活性化または脱顆粒に関連する障害を処置または防止するのに使用するための、シソ属種抽出物および別の植物の抽出物を含む組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥満細胞の活性化を阻害するための、シソ属種抽出物および別の植物の抽出物を含む組成物の使用。
【請求項2】
前記別の植物の抽出物が、抗炎症性および/または抗アレルギー性植物抽出物である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記別の植物の抽出物が、ニゲラ属種、イラクサ属種、ゲンゲ属種、フキ属種、カンキツ属種、カギカズラ属種、ラヴァンデュラ属種、ハッカ属種、ユーカリ属種、シカギク属種、マンネンロウ属種、ウコン属種、ネギ属種またはゴマ属種から得られる、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記別の植物の抽出物が、ゴマ属種から得られる、請求項1から3までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
前記シソ属種抽出物および/または前記別の植物の抽出物が、それぞれ独立に、植物の種子、根、葉または全体から得られる、請求項1から4までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記シソ属種抽出物および/または前記別の植物の抽出物が、それぞれ独立に、油である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記シソ属種抽出物がエゴマ油であり、前記別の植物の抽出物がゴマ油である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記シソ属種抽出物と前記別の植物の抽出物が、約1:10〜約10:1の範囲の質量比で前記組成物中に存在する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記組成物が、固体製剤(例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、糖衣錠、口内錠、顆粒剤、散剤、ペレット剤、ビーズ剤、カシェ剤、大型丸剤)、液体製剤(例えば、エリキシル剤、シロップ剤、懸濁剤、スプレー剤、乳剤、ローション剤、液剤、チンキ剤)または半固体製剤(例えば、軟膏剤、クリーム剤、パスタ剤、ゲル剤、ゼリー剤)である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記組成物が、前記肥満細胞の脱顆粒を阻害する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
前記組成物が、前記肥満細胞からのヒスタミンの放出を阻害する、請求項1から10までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記使用が、非治療的またはin vitro使用である、請求項1から11までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
前記使用が、治療的な使用である、請求項1から11までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
前記組成物が、肥満細胞活性化および/または肥満細胞脱顆粒に関連する障害を防止および/または処置するのに使用される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記組成物が、肥満細胞活性化障害(例えば肥満細胞活性化症候群[MCAS])、アレルギー性障害(例えばアレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、血管性浮腫、蕁麻疹、湿疹、食物アレルギー、薬物アレルギーおよび昆虫アレルギー)、アナフィラキシー、自己免疫性障害、肥満細胞クローン性障害(例えば肥満細胞症)、肥満細胞新生物障害(例えば肥満細胞腫、肥満細胞肉腫および肥満細胞白血病)を防止および/または処置するのに使用される、請求項13または14に記載の使用。
【請求項16】
前記シソ属種抽出物および別の植物の抽出物を含む組成物の投与後に、対象の組織におけるヒスタミンの濃度が、少なくとも約20%、例えば少なくとも約40%または少なくとも約50%減少する、請求項13から15までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
治療的方法、例えば肥満細胞活性化を阻害する治療的方法に使用するための、シソ属種抽出物および別の植物の抽出物を含む組成物。
【請求項18】
前記別の植物の抽出物が、抗炎症性および/または抗アレルギー性植物抽出物である、請求項17に記載の使用のための組成物。
【請求項19】
前記別の植物の抽出物が、ニゲラ属種、イラクサ属種、ゲンゲ属種、フキ属種、カンキツ属種、カギカズラ属種、ラヴァンデュラ属種、ハッカ属種、ユーカリ属種、シカギク属種、マンネンロウ属種、ウコン属種、ネギ属種またはゴマ属種から得られる、請求項17または18に記載の使用のための組成物。
【請求項20】
前記別の植物の抽出物が、ゴマ属種から得られる、請求項17から19までのいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項21】
前記シソ属種抽出物および/または前記別の植物の抽出物が、それぞれ独立に、前記植物の種子、根、葉または全体から得られる、請求項17から20までのいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項22】
前記シソ属種抽出物および/または前記別の植物の抽出物が、それぞれ独立に、油である、請求項17から21までのいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項23】
前記シソ属種抽出物が、シソ属種油であり、前記別の植物の抽出物が、ゴマ油である、請求項17から22までのいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項24】
前記シソ属種抽出物と前記別の植物の抽出物が、約1:10〜約10:1の範囲の質量比で前記組成物中に存在する、請求項17から23までのいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項25】
前記組成物が、固体製剤(例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、糖衣錠、口内錠、顆粒剤、散剤、ペレット剤、ビーズ剤、カシェ剤、大型丸剤)、液体製剤(例えば、エリキシル剤、シロップ剤、懸濁剤、スプレー剤、乳剤、ローション剤、クリーム剤、液剤、チンキ剤)または半固体製剤(例えば、軟膏剤、クリーム剤、パスタ剤、ゲル剤、ゼリー剤)である、請求項17から24までのいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項26】
前記組成物が、前記肥満細胞の脱顆粒を阻害する、請求項17から25までのいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項27】
前記組成物が、前記肥満細胞からのヒスタミンの放出を阻害する、請求項17から26までのいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項28】
前記組成物が、肥満細胞活性化および/または肥満細胞脱顆粒に関連する障害を防止および/または処置するのに使用される、請求項17から27までのいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項29】
前記組成物が、肥満細胞活性化障害(例えば肥満細胞活性化症候群[MCAS])、アレルギー性障害(例えばアレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、血管性浮腫、蕁麻疹、湿疹、食物アレルギー、薬物アレルギーおよび昆虫アレルギー)、アナフィラキシー、自己免疫疾患、肥満細胞クローン性障害(例えば肥満細胞症)、肥満細胞新生物障害(例えば肥満細胞腫、肥満細胞肉腫および肥満細胞白血病)を防止および/または処置するのに使用される、請求項17から28までのいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項30】
前記シソ属種抽出物および別の植物の抽出物を含む組成物の投与後に、対象の組織におけるヒスタミンの濃度が、少なくとも約20%、例えば少なくとも約40%または少なくとも約50%減少する、請求項17から29までのいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項31】
シソ属種抽出物および別の植物の抽出物を含む組成物。
【請求項32】
前記別の植物の抽出物が、抗炎症性および/または抗アレルギー性植物抽出物である、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記別の植物の抽出物が、ニゲラ属種、イラクサ属種、ゲンゲ属種、フキ属種、カンキツ属種、カギカズラ属種、ラヴァンデュラ属種、ハッカ属種、ユーカリ属種、シカギク属種、マンネンロウ属種、ウコン属種、ネギ属種またはゴマ属種から得られる、請求項31または32に記載の組成物。
【請求項34】
前記別の植物の抽出物が、ゴマ属種から得られる、請求項31から33までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項35】
前記シソ属種抽出物および/または前記別の植物の抽出物が、それぞれ独立に、前記植物の種子、根、葉または全体から得られる、請求項31から34までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項36】
前記シソ属種抽出物および/または前記別の植物の抽出物が、それぞれ独立に、油である、請求項31から35までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項37】
前記シソ属種抽出物が、エゴマ油であり、前記別の植物の抽出物がゴマ油である、請求項31から36までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項38】
前記シソ属種抽出物と前記別の植物の抽出物が、約1:10〜約10:1の範囲の質量比で前記組成物中に存在する、請求項31から37までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項39】
固体製剤(例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、糖衣錠、口内錠、顆粒剤、散剤、ペレット剤、ビーズ剤、カシェ剤、大型丸剤)、液体製剤(例えば、エリキシル剤、シロップ剤、懸濁剤、スプレー剤、乳剤、ローション剤、クリーム剤、液剤、チンキ剤)または半固体製剤(例えば、軟膏剤、クリーム剤、パスタ剤、ゲル剤、ゼリー剤)である、請求項31から38までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項40】
前記肥満細胞の脱顆粒を阻害する、請求項31から39までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項41】
前記肥満細胞からのヒスタミンの放出を阻害する、請求項31から40までのいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥満細胞の活性化を阻害するための、シソ属種抽出物および別の植物の抽出物(例えば、ゴマ属種から得られる)の組合せの使用に一般に関する。特に、本発明は、アレルギー性障害、アナフィラキシー、自己免疫性障害などの肥満細胞活性化または脱顆粒に関連する障害、または肥満細胞活性化障害、肥満細胞クローン性障害または肥満細胞新生物障害に関連する症状を防止および/または処置するための、シソ属種抽出物と別の植物の抽出物(例えばゴマ属種から得られる)との組合せの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満細胞は、脊髄幹細胞に由来する顆粒白血球である。肥満細胞は、アレルゲンと細胞の表面上にあるIgE受容体との架橋結合、損傷関連分子パターン分子による物理的傷害、病原体関連分子パターン分子による病原体関連薬剤、関連するGタンパク質共役受容体を伴う様々な化合物および補体タンパク質により活性化される。肥満細胞の活性化は、複雑な細胞内シグナル伝達経路を引き起こし、肥満細胞の脱顆粒をもたらす。ここで、肥満細胞の顆粒中に貯蔵されている分子が細胞外に放出される。これには、例えば、セリンプロテアーゼ(例えばトリプターゼ)、ヒスタミン、セロトニンおよびプロテオグリカン(例えばヘパリン)がある。肥満細胞は、免疫、神経免疫系、創傷治癒、血管形成および血液脳関門機能において役割を果たす。したがって、肥満細胞は多数の疾患に関係してきた。
したがって、肥満細胞を阻害する組成物の必要性は継続しており、その組成物は、例えば、肥満細胞活性化および/または脱顆粒に関連する障害に対する予防的ならびに/または治療的効果を有し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、少なくとも一部には、肥満細胞活性化を阻害するために作用する活性成分を特定の組合せで有する組成物を提供することを目的とする。ある特定の実施形態において、本発明は、活性成分を特定の組合せで有する組成物を提供することを目的とし、その組成物は、相乗的に作用して肥満細胞活性化および/または肥満細胞脱顆粒および/または肥満細胞からのヒスタミンの放出を阻害する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様によると、シソ属種抽出物および別の植物の抽出物を含む組成物が提供される。
別の植物の抽出物は、例えば、抗炎症性および/または抗アレルギー性植物抽出物であり得る。別の植物の抽出物は、例えばニゲラ属種、イラクサ属種、ゲンゲ属種、フキ属種、カンキツ属種、カギカズラ属種、ラヴァンデュラ属種、ハッカ属種、ユーカリ属種、シカギク属種、マンネンロウ属種、ウコン属種、ネギ属種またはゴマ属種から得ることができる。ある特定の実施形態において、別の植物の抽出物は、ゴマ属種から得られる。
シソ属種抽出物および/または別の植物の抽出物は、油であり得る。ある特定の実施形態において、組成物はエゴマ油およびゴマ油を含む。
シソ属種抽出物および別の植物の抽出物は、約1:10〜約10:1の範囲の質量比で組成物中に存在し得る。
組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、糖衣錠、口内錠、顆粒剤、散剤、ペレット剤、ビーズ剤、カシェ剤または大型丸剤などの固体製剤であり得る。組成物は、例えば、エリキシル剤、シロップ剤、懸濁剤、スプレー剤、乳剤、ローション剤、液剤またはチンキ剤などの液体製剤であり得る。組成物は、例えば、軟膏剤、クリーム剤、パスタ剤(paste)、ゲル剤またはゼリー剤などの半固体製剤であり得る。
第2の態様によると、第1の態様による組成物を含む医薬組成物ならびに薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤および/または添加物が提供される。
医薬組成物に使用する薬学的に許容される担体、賦形剤および/または希釈剤は、充填材、結合剤、界面活性剤、保存剤、着色剤、賦香物質、pH調整剤、浸透圧活性の調整剤および塩形成基からなる群から選択され得る。
組成物は、例えば、肥満細胞の活性化を阻害することができる。組成物は、例えば、肥満細胞の脱顆粒を阻害することができる。組成物は、例えば、肥満細胞からのヒスタミンの放出を阻害することができる。
したがって、第3の態様によると、肥満細胞の活性化を阻害するための、シソ属種抽出物および別の植物の抽出物を含む組成物の使用が提供される。
第4の態様によると、肥満細胞の活性化を阻害する治療的または非治療的またはin vitro方法が提供され、その方法は、対象にシソ属種抽出物および別の植物の抽出物を含む組成物を投与する工程を含む。
第5の態様によると、治療的方法に使用する、例えば肥満細胞活性化を阻害する治療的方法に使用するためのシソ属種抽出物および別の植物の抽出物を含む組成物が提供される。
第6の態様によると、医薬または医薬組成物の製造におけるシソ属種抽出物および別の植物の抽出物の使用が提供される。
組成物は、例えば、肥満細胞の脱顆粒を阻害することができる。組成物は、例えば、肥満細胞からのヒスタミンの放出を阻害することができる。
【0005】
組成物は、例えば、ヒスタミン放出を少なくとも約20%または少なくとも約40%または少なくとも約50%減少させることができる。例えば、組成物は、対象の組織におけるヒスタミンの濃度を少なくとも約20%または少なくとも約40%または少なくとも約50%減少させることができる。
【0006】
組成物は、例えば、肥満細胞活性化および/または肥満細胞脱顆粒に関連する障害を防止および/または処置することができる。組成物は、例えば、肥満細胞活性化障害(例えば肥満細胞活性化症候群[MCAS])、アレルギー性障害(例えばアレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、血管性浮腫、蕁麻疹、湿疹、食物アレルギー、薬物アレルギーおよび昆虫アレルギー)、アナフィラキシー、自己免疫性障害に関連する症状、肥満細胞クローン性障害(例えば肥満細胞症)に関連する症状または肥満細胞新生物障害(例えば肥満細胞腫、肥満細胞肉腫および肥満細胞白血病)に関連する症状を防止および/または処置することができる。
第7の態様によると、シソ属種抽出物および別の植物の抽出物を含む組成物を作製する方法であり、シソ属種抽出物と別の植物の抽出物を組み合わせる工程を含む方法が提供される。
本発明の実施形態は、詳細な説明においてさらに記述されることになる。文脈により明らかに否定されない限り、本明細書に記述されるいずれかの実施形態または本明細書に記述される実施形態の任意の組合せは、本発明のいずれか1つ以上の態様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】それぞれの対照と比較した、シソ種子油、ゴマ種子油、クロモリンおよび組合せで処置した際のHMC−1細胞系のヒスタミン減少のパーセンテージを表すグラフである。
【
図2】シソおよびゴマ油の平均ヒスタミン値と比較した、組合せおよびクロモリンで処置した際のHMC−1細胞系のヒスタミン減少のパーセンテージを表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、少なくとも一部には、シソ属種抽出物および別の植物の抽出物の組合せが肥満細胞活性化を阻害できるという驚くべき発見に基づく。例えば、本発明の実施形態は、シソ属種抽出物および別の植物の抽出物が相乗的に働いて、肥満細胞活性化を阻害し得るという驚くべき発見に基づく。ある特定の実施形態において、シソ属種抽出物と別の植物の抽出物との組合せを使用して、肥満細胞活性化および/または肥満細胞脱顆粒に関連する障害を処置することができる。
【0009】
以下に、本発明の好ましい実施形態により、ならびに付随する説明および図面を参照することにより本発明を説明するものとする。しかしながら、本発明の好ましい実施形態に説明を限定することは、本発明の考察を単に容易にするものであることが理解されるものとし、当業者であれば添付の特許請求の範囲を逸脱することなく様々な修正を見出し得ることが想定される。
上文および下文に一般に使用される用語は、特に明記しない限り、好ましくは以下で示す意味を有し、そのために本発明の好ましい実施形態では、互いに独立して、一般的な定義の代わりに具体的な意味が使用される場合があるが、これらのより具体的な例の意義は、本発明の特に好ましい実施形態を記述することである。
【0010】
用語「少なくとも1つ」または「1つ以上」が、上文および下文に現われる場合、これは、要素など挙げられる特徴の特に1〜10、好ましくは1〜3、特に1、またはさらに2を表す。質量パーセンテージの範囲などの範囲が指示される場合、これらは指示される制限値を含み;したがって、例えば、「X〜Yの間」は、「XからおよびXを含みYまでおよびYを含む」を表す。
【0011】
用語「製品」または「組成物」は、処方の趣意において医薬製品または医薬組成物を特に意味することができ、その際この用語は、登録に適した医薬製品、または医療用製品もしくは擬制の医薬品に制限されない。「製品」または「組成物」は、製剤の意味での栄養機能製品のことを指す場合がある。
用語「抗アレルギー性」は、アレルギー反応を防止、阻害、または軽減する薬剤または措置に関係すると理解されるべきである。
用語「抗炎症性」は、炎症性反応を防止、阻害、または軽減する薬剤または措置に関係すると理解されるべきである。
用語「治療的処置」または「治療的方法」は、対象における症状の予防および緩和も含むが、美容的処置は含まない。これは、肥満細胞に関係する障害、例えば肥満細胞活性化および/または肥満細胞脱顆粒に関係する障害の治療的処置、特に予防または緩和に関する。
上文および下文に言及される要素は、法令のためなどの薬局方、例えば米国薬局方国民医薬品集、欧州薬局方、スイス薬局方、イギリス薬局方、ドイツ薬局方、日本薬局方、中国薬局方、または補足に挙げられるものなどの中から特に選択される。
本発明は、シソ属種抽出物および別の植物の抽出物を含む組成物に関する。組成物は、例えば、1つ以上のさらなる植物の抽出物を含むことができる。例えば、組成物は第3または第4または第5または第6の植物の抽出物を含むことができる。組成物は、例えば、シソ属種抽出物および別の植物の抽出物から本質的になるまたはそれからなり得る。組成物は、例えば、シソ属種抽出物および別の植物の抽出物ならびに第3の植物の抽出物、任意選択で第4、第5または第6の植物の抽出物から本質的になるまたはそれからなり得る。
【0012】
用語「抽出物」は、水抽出物、非水抽出物、アルコール抽出物、蒸発、蒸留(例えば水、蒸気、水性拡散、再留、精留、分画、等による)、圧搾/冷間圧縮、超臨界CO
2抽出、希釈、植物濃縮物、植物油、植物浸漬物、植物滲出液、植物樹脂、植物粉および植物顆粒ならびにその2つ以上の任意の組合せを包含する。しかしながら、本発明は、そのような実施形態に限定されると解釈されるべきでない。
シソ属種抽出物は、例えば、ペリラ・フルテスケンス(Perilla frutescens)(別名シソ、中国バジルおよびビーフステーキ)、ペリラ・シトリオドラ(Perilla citrodora)、ペリラ・ヒルテラ(Perilla hirtella)、ペリラ・セトイエンシス(Perilla setoyensis)またはその2つ以上の組合せから得ることができる。
【0013】
別の植物の抽出物および任意の第3、第4、第5または第6の植物の抽出物は、例えば、それぞれ独立に抗炎症性または抗アレルギー性植物抽出物であり得る。別の植物の抽出物および任意の第3、第4、第5または第6の植物の抽出物は、例えば、それぞれ独立に肥満細胞安定化抽出物であり得る。別の植物の抽出物および任意の第3、第4、第5または第6の植物の抽出物は、例えば、それぞれ独立に医薬用または治療的もしくは栄養的もしくは健康に有益な植物抽出物であり得る。
【0014】
別の植物の抽出物および任意の第3、第4、第5または第6の植物の抽出物は、例えば、ニゲラ属種(例えば、ブラッククミン、ブラックキャラウェイまたはウイキョウ種子としても公知であるニゲラ・サティバ[Nigella sativa])、イラクサ属種(例えばイラクサ)、ゲンゲ属種(例えばレンゲソウ)、フキ属種(例えばフキ)、カンキツ属種(例えばレモン)、カギカズラ属種(例えばキャッツクロー)、ラヴァンデュラ属種(例えばラベンダー)、ハッカ属種(例えばペパーミント)、ユーカリ属種(例えば、タスマニアブルーガム、サザンブルーガムまたはブルーガムとしても公知であるユーカリプタス・グロブルス[Eucalyptus globulus])、シカギク属種(例えばジャーマンカミルレ)、マンネンロウ属種(例えばローズマリー)、ウコン属種(例えばウコン)、ネギ属種(例えばニンニク)、ゴマ属種またはその任意の2つ以上の組合せからそれぞれ独立に得ることができる。ある特定の実施形態において、他の(第2の)植物の抽出物は、ゴマ属種から得られる。
シソ属種抽出物、別の植物の抽出物および任意の第3、第4、第5および第6の植物の抽出物は、例えば、前の説明に挙げられる植物の種子、根、葉または全体からそれぞれ独立に入手することができる。ある特定の実施形態において、植物抽出物は植物の種子からそれぞれ独立に(例えば全て)得られる。
【0015】
ある特定の実施形態において、シソ属種抽出物はエゴマ油であり、別の植物の抽出物はゴマ油である。ある特定の実施形態において、シソ属種抽出物はシソ属種の植物の種子から得られるエゴマ油であり、別の植物の抽出物はゴマ油である。ある特定の実施形態において、シソ属種抽出物は、ペリラ・フルテスケンス種子油であり、別の植物の抽出物はセサムム・インディクム(Sesamum indicum)種子油である。
ある特定の実施形態において、シソ属種抽出物はエゴマ油であり、別の植物の抽出物はニゲラ油、ユーカリ油、ハッカ油、ラベンダー油、レモン油、カモミール油、乳香油、バジル油、チャノキ油、チョウジ油またはその任意の2つ以上の組合せである。
シソ属種抽出物および別の植物の抽出物は、例えば約1:10〜約10:1の範囲の質量比で組成物中に存在し得る。例えば、シソ属種抽出物と別の植物の抽出物は、約1:9〜約9:1または約1:8〜約8:1または約1:7〜約7:1または約1:6〜約6:1または約1:5〜約5:1または約1:4〜約4:1または約1:3〜約3:1または約1:2〜約2:1の範囲の質量比で組成物中に存在し得る。例えば、シソ属種抽出物および別の植物の抽出物は、約1:1の範囲の質量比で存在し得る。例えば、シソ属種抽出物および別の植物の抽出物は、約1:1〜約10:1または約1:1〜約8:1または約1:1〜約5:1または約1:1〜約2:1の範囲の質量比で存在し得る。
【0016】
ある特定の実施形態において、シソ属種抽出物はエゴマ油であり、別の植物の抽出物はゴマ油であり、ゴマ油に対するエゴマ油の質量比は、約1:10〜10:1、例えば、約1:9〜約9:1、または約1:8〜約8:1、または約1:7〜約7:1、または約1:6〜約6:1、または約1:5〜約5:1、または約1:4〜約4:1、または約1:3〜約3:1、または約1:2〜約2:1、または約1:1の範囲内である。例えば、ゴマ油に対するエゴマ油の質量比は、約1:1〜約10:1または約1:1〜約8:1または約1:1〜約5:1または約1:1〜約2:1の範囲内であり得る。
【0017】
シソ属種抽出物および別の植物の抽出物は、例えば、質量で約5%〜約99.5%または約10%〜約95%または約20%〜約90%または約30%〜約80%または約40%〜約70%または約50%〜約60%の量で組成物中に存在し得る。例えば、シソ属種抽出物および別の植物の抽出物は、例えば、質量で約20%〜約60%または約25%〜約55%または約30%〜約50%または約35%〜約45%の量で組成物中に存在し得る。
本発明の組成物は、任意の適切な追加要素を含む組成物の形態で投与され得る。組成物は、例えば、経口、経鼻、局所、坐剤、静脈内、真皮内、経皮、経粘膜または吸入投与に適切な医薬組成物(医薬)であり得る。組成物は、別法として栄養機能組成物、例えば、食品、食品補助剤、栄養補助食品、健康補助食品、食事の代用製品、飲料、飲料補助食品、食品添加物、動物飼料または飼料添加物であり得る。
【0018】
組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット、糖衣錠、口内錠、顆粒剤、散剤、ペレット剤、ビーズ、カシェ剤および大型丸剤を含めた固体製剤;エリキシル剤、シロップ剤、懸濁剤、スプレー剤、乳剤、ローション剤、液剤およびチンキ剤を含めた液体製剤;または軟膏剤、クリーム剤、パスタ剤、ゲル剤およびゼリー剤を含めた半固体製剤の形態をとり得る。技術および処方は、Remington, The Science and Practice of Pharmacy, Mack Publishing Co., Easton、PA、最新版に一般に見ることができる。
本発明の文脈において用語「医薬組成物」または「医薬」は、(薬学的に有効な量の)シソ属種抽出物および別の植物の抽出物、さらに1つ以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む組成物を意味する。医薬組成物は、投与の様式および投薬形態の性質に応じて、例えば、希釈剤、アジュバント、賦形剤、媒体、対イオン、保存剤、充填材、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、賦香剤、着色剤、保存剤、ゲル化剤、芳香剤、抗菌剤、抗真菌剤、潤滑剤、コーティング剤、封入剤、緩衝剤、界面活性剤および分散助剤から選択される成分をさらに含有することができる。
【0019】
本発明の固体投薬形態(例えば経口または局所投与用)において、活性成分は、リン酸2カルシウム、および/または次のいずれか:デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、微結晶性セルロース、マルトデキストリンおよび/またはケイ酸などの希釈剤、充填材または増量剤;例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、スクロースおよび/またはアカシアなどの結合剤;デンプン、例えば、ジャガイモまたはタピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウムなどのデンプン誘導体、クロスポリビニルピロリドン、炭酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸および特定のケイ酸塩などの崩壊剤;タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸硫酸ナトリウム、固体ポリエチレングリコールなどの潤滑剤、ラウリル硫酸ナトリウムなどの可溶化剤、二酸化ケイ素などの滑剤、賦香および着色剤ならびにその混合物など1つ以上の薬学的に許容される担体と混合することができる。
【0020】
錠剤、および本発明の組成物の他の固体投薬形態は、任意選択で腸溶性コーティングならびに医薬品処方技術において周知の他のコーティングなどのコーティングおよび殻を伴って調製され得る。そのときにそれらは、それらに含まれる活性成分の緩徐なまたは制御された放出を実現するように、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースメタクリレート、メタクリル酸コポリマー(例えばアクリル酸メチル−メタクリル酸コポリマーおよびメタクリル酸メチル−メタクリル酸コポリマー)、セラック、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、酢酸コハク酸セルロース、ヒドロキシルプロピルメチル酢酸コハク酸セルロース、アルギン酸ナトリウム、ワックス、脂肪酸、ゼインなど天然および合成ポリマーを所望の放出プロファイルを得るためにそれぞれ様々な割合で使用して処方されてもよく、他のポリマー基材、リポソームおよび/または微小球体が使用されてもよい。これらの組成物は、任意選択で着色剤および/または不透明化剤をも含有することができ、活性成分を、消化管の特定の部分でのみ、またはその部分で優先的に、任意選択で遅延様式で放出するような組成物のものであり得る。
【0021】
組成物は、約50質量/質量%以下の薬学的に許容される担体および/もしくは賦形剤、例えば、約45質量/質量%以下の薬学的に許容される担体および/もしくは賦形剤、または約40質量/質量%以下の薬学的に許容される担体および/もしくは賦形剤、または約35質量/質量%以下の薬学的に許容される担体および/もしくは賦形剤を含むことができる。例えば、医薬組成物は、少なくとも約1質量/質量%、または少なくとも約10質量/質量%、または少なくとも約15質量/質量%、または少なくとも約20質量/質量%、または少なくとも約25質量/質量%、または少なくとも約30質量/質量%の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含むことができる。
【0022】
液体または半固体形態製剤には、液剤、懸濁剤および乳剤、例えば、水または水−プロピレングリコール液剤(例えば経口または局所投与用)がある。液体または半固体製剤は、水性ポリエチレングリコール溶液中の溶液または当業者に公知の軟膏基剤(例えばワセリン)に処方されてもよい。ある特定の実施形態において、活性成分、すなわち、植物抽出物は、水および/または次のいずれか:プロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、アルコールなどの溶媒;グリセロールなどの湿潤剤;液体グルコース、コーンシロップおよびスクロースなどの甘味料;アスパルテーム、ステビアおよびスクラロースなどの人工甘味料;フェノキシエタノール、カプリリルグリコール、エチルヘキシルグリセリン、塩化ベンザルコニウム、ソルビン酸カリウム、EDTA二ナトリウム、ベンゾアートおよびパラベンなどの保存剤;ゴム、ダイズ油、ポリアクリレート(例えばポリアクリル酸ナトリウム、カーボポール980ポリマー)およびアルギン酸塩などの粘性調節剤/増粘剤;リン酸一カリウム、リン酸水素二カリウムおよびグリセリンなどの緩衝剤;ベントナイト、キサンタンガム、カラギーナン、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ゼラチン、セテアリルアルコール、レシチン、モノステアリン酸グリセロールなどのゲル化または乳化剤、バニラ油など水性または油性形態の賦香剤;メントールなどの冷却剤;アロエベラ、ヒアルロン酸などの緩和剤または加湿剤;トコフェロールおよびクエン酸などの抗酸化物質;着色剤;pH調整剤および界面活性剤など1つ以上の薬学的に許容される担体と混合することができる。
【0023】
また、固体形態製剤には、例えば、経口投与のために使用直前に液体形態製剤に転換することを意図した錠剤、カプセル剤、顆粒剤および粉剤が含まれる。そのような液体形態には、液剤、懸濁剤および乳剤がある。これらの特定の固体形態製剤は、単位用量形態で最も都合よく提供され、したがって、それを使用して単一の液体投薬単位が提供される。別法として、スプーンまたは他の測定デバイスと同様に予め定められた容積の固体形態製剤を測定することにより、必要なときに複数の個々の液体用量を再構成できるように充分な固体が提供され得る。液体形態に転換することを意図する固体形態製剤は、活性物質に加えて、賦香剤、着色剤、安定化剤、緩衝剤、人工および天然の甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤、等を含有することができる。液体形態製剤を調製するのに利用される液体は、水、等張水、果汁、ミルク、エタノール、等およびその混合物であり得る。
【0024】
本明細書において使用される用語「食物」、「食品」、「食品補助剤」、「栄養補助食品」、「健康補助食品」、「食事の代用製品」、「飲料」および「飲料補助食品」は、その用語の標準的な意味を有し、医薬製剤に制限されない。他の組成物形態も、本発明に含まれる。これらは、例えば、乾燥粉末などの食品前駆体または水、ミルクもしくは他の液体に分散可能な粉末などの飲料前駆体を含み得る。
経口摂取前に食物または食品と組み合わせることを意図する固体形態製剤も含まれる。固体形態製剤は食物または食品に混合されてもよく、または例えば、食物または食品へ振りかけることにより食物または食品に塗布されてもよい。そのような固体形態には、散剤、顆粒剤、ペレット剤、等がある。
【0025】
ある特定の実施形態において、食物または食品等は、食物または食品の合計質量に基づいて、本明細書に記述される本発明の組成物を約0.1質量%〜約50質量%、例えば、本明細書において記述される本発明の組成物を約0.1質量%〜約40質量%、または約0.1質量%〜約30質量%、または約0.1質量%〜約20質量%、または約0.1質量%〜約15質量%、または約0.1質量%〜約10質量%、または約0.1質量%〜約8質量%、または約0.1質量%〜約6質量%、または約0.1質量%〜約4質量%、または約0.1質量%〜約2質量%含む。ある特定の実施形態において、食物または食品等は、食物または食品の合計質量に基づいて、本明細書に記述される本発明の組成物を少なくとも約0.2質量%、例えば、本明細書に記述される本発明の組成物を少なくとも約0.5質量%、または少なくとも約1質量%、または少なくとも約5質量%含む。
組成物は、他の生物活性薬剤、例えば、肥満細胞活性化を阻害するのに適した、または肥満細胞活性化または肥満細胞脱顆粒に関連する疾患または障害を防止または処置するのに適した生物活性薬剤をさらに含むことができる。例えば、組成物は、他の抗アレルギー活性薬剤をさらに含むことができる。
【0026】
組成物または医薬組成物は、ビタミンおよびミネラルからなる群から選択される栄養成分、ならびにその組合せをさらに含むことができる。ビタミンは、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、チアミン、リボフラビン、ピリドキシン、シアノコバラミン、カロテノイド(βカロチン、ゼアキサンチン、ルテインおよびリコピンを含む)、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンC、コリン、イノシトール、ならびにその塩および誘導体のいずれか1つ以上であり得る。ミネラルは、カルシウム、亜リン酸、マグネシウム、鉄、亜鉛、マンガン、銅、コバルト、ホウ素、ヨウ素、ナトリウム、カリウム、モリブデン、セレン、クロム、フッ素および塩化物のいずれか1つ以上であり得る。
【0027】
組成物または医薬組成物は、植物および/または非植物起源の食物繊維をさらに含むことができる。本明細書において使用される用語「食物繊維」は、この用語の標準的な意味を有する。それは、植物から得られる食物の消化できない部分と一般に考えられている。一般に、2つの主要な要素の食物繊維:水に溶解する可溶性繊維、および水に溶けない不溶性繊維がある。可溶性繊維には、イヌリン、キトサン、ガムアカシア、グアールガム、低メトキシおよび高メトキシペクチン、オート麦および/またはオオムギβグルカン、カラギーナン、オオバコ、シクロデキストリンならびにその誘導体がある。不溶性繊維には、オート麦果皮繊維、エンドウ果皮繊維、大豆果皮繊維、大豆子葉繊維、テンサイ繊維、セルロース、トウモロコシふすまおよびその誘導体がある。
【0028】
本明細書に記述される組成物および医薬組成物は、様々な治療的、非治療的、in vitro適用に使用され得る。例えば、本明細書に記述される組成物および医薬組成物は、肥満細胞活性化および/または肥満細胞脱顆粒および/または肥満細胞からのヒスタミンの放出を阻害するのに使用することができる。例えば、本明細書に記述される組成物および医薬組成物は、in vitro方法、またはin vivo方法で使用され得る。本方法は、対象に本明細書に記述される組成物または医薬組成物を投与する工程を含むことができる。
本発明の一態様によると、肥満細胞活性化を阻害する治療的または非治療的方法(肥満細胞安定化の治療的または非治療的方法)に使用する本明細書に記述されるいずれかの態様または実施形態による組成物が提供される。本方法は、例えば、肥満細胞と本明細書に記述されるいずれかの態様または実施形態による組成物とを接触させる工程を含む。
ある特定の実施形態において、植物抽出物要素は、肥満細胞活性化および/または肥満細胞脱顆粒および/または肥満細胞からのヒスタミンの放出を阻害する相乗効果を有する。
【0029】
肥満細胞は、アレルゲンと細胞の表面上にあるIgE受容体との架橋結合、損傷関連分子パターン分子による物理的傷害、病原体関連分子パターン分子による病原体関連薬剤、関連するGタンパク質共役受容体を伴う様々な化合物および補体タンパク質により活性化される。肥満細胞の活性化は、複雑な細胞内シグナル伝達経路を引き起こし、肥満細胞の脱顆粒をもたらす。ここで、肥満細胞の顆粒中に貯蔵されている分子が細胞外に放出される。これには、例えば、セリンプロテアーゼ(例えばトリプターゼ)、ヒスタミン、セロトニンおよびプロテオグリカン(例えばヘパリン)がある。肥満細胞の活性化を阻害することは、例えば、これら工程のいずれか1つ以上を含み得る。例えば、本明細書に開示される組成物は、肥満細胞脱顆粒を阻害するのに有用であり得る。例えば、本明細書に開示される組成物は、肥満細胞からのヒスタミンの放出を阻害するのに有用であり得る。
【0030】
したがって、ある特定の実施形態において、いずれかの態様または実施形態による組成物は、ヒスタミン放出を少なくとも約20%減少させ得る。例えば、組成物は、ヒスタミン放出を少なくとも約30%または少なくとも約40%または少なくとも約50%または少なくとも約60%または少なくとも約70%または少なくとも約75%または少なくとも約80%または少なくとも約85%または少なくとも約90%または少なくとも約95%減少させ得る。例えば、組成物は、ヒスタミン放出を最大100%、例えば最大99%または最大98%減少させ得る。これは、例えば下の例に記載の通り、例えば、細胞培養培地中のヒスタミン含有量を測定することにより決定され得る。
【0031】
さらなる態様によると、肥満細胞に関連する障害、例えば肥満細胞活性化および/または肥満細胞脱顆粒に関連する障害を防止および/または処置するのに使用するための、本発明のいずれかの態様または実施形態による組成物が提供される。例えば、アレルギー性障害および/もしくはアナフィラキシーおよび/もしくは自己免疫疾患、または肥満細胞活性化障害、肥満細胞クローン性障害および/もしくは肥満細胞新生物障害に関連する症状を防止および/または処置するのに使用するための、いずれかの態様による組成物が提供される。ある特定の実施形態において、障害は、鼻部障害でない。ある特定の実施形態において、障害は、鼻腔のアレルギー性障害でない。ある特定の実施形態において、障害は季節性アレルギー性鼻炎または通年性アレルギー性鼻炎でない。
さらなる態様によると、医薬または医薬組成物の製造におけるシソ属種抽出物および別の植物の抽出物の使用が提供される。医薬または医薬組成物は、例えば、アレルギー性障害および/もしくはアナフィラキシーおよび/もしくは自己免疫疾患、または肥満細胞活性化障害、肥満細胞クローン性障害および/もしくは肥満細胞新生物障害に関連する症状を防止および/または処置するためのものであり得る。
肥満細胞活性化障害は、肥満細胞の不適当な活性化により引き起こされるまたはそれと関連する障害を包含する。肥満細胞活性化障害の分類は、Akin et al. "Mast cell activation syndrome: Proposed diagnostic criteria", J. Allergy Clin. Immunol. (2010), 126 (6): 1099-1104に述べられた。例えば、肥満細胞活性化障害は、肥満細胞活性化症候群(MCAS)であり得る。
【0032】
アレルギー性障害は、免疫系の過敏性により引き起こされる障害を包含する。一般に、アレルギー性障害は、大方の対象においてほとんど反応を引き起こさないアレルゲンに対する過敏性により引き起こされる。アレルギー性障害と関連し得るアレルゲンは、例えば、食物、ラテックス、薬物、花粉および他の動物(例えば動物の毛、昆虫刺傷)に由来し得る。アレルギー性障害は、季節性アレルギー性鼻炎および通年性アレルギー性鼻炎を含めた鼻腔のアレルギー性障害を包含する。アレルギー性障害は、アレルギー性結膜炎、アレルギー性接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎およびアレルギー性喘息も含む。アナフィラキシーは、重篤なアレルギー反応である。ある特定の実施形態において、アレルギー性障害は、鼻腔のアレルギー性障害でない(例えば、季節性アレルギー性鼻炎でなくおよび/または通年性アレルギー性鼻炎でない)。
【0033】
自己免疫性障害は、通常体内に存在する物質に対する異常な免疫反応により引き起こされるまたはそれと関連する障害を包含する。自己免疫性障害には、例えば、アレルギー性喘息、アジソン病、セリアック病、皮膚筋炎、グレーブス病、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、悪性貧血、反応性関節炎、関節リウマチ、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、類天疱瘡およびI型糖尿病がある。例えば、自己免疫性障害には、関節および皮膚の自己免疫性、炎症性障害がある。
肥満細胞クローン性障害は、正常(健康な)対象と比較して肥満細胞の数の増加の存在により引き起こされるまたはそれと関連する障害を包含する。例えば、肥満細胞クローン性障害には、肥満細胞症がある。
肥満細胞新生物障害は、肥満細胞の異常成長により引き起こされるまたはそれと関連する障害を包含する。例えば、肥満細胞新生物障害には、肥満細胞腫、肥満細胞肉腫および肥満細胞白血病がある。
【0034】
いずれかの態様または実施形態による組成物は、対象の組織においてヒスタミン濃度を少なくとも約20%減少させることができる。例えば、組成物は、対象の組織においてヒスタミン濃度を少なくとも約30%または少なくとも約40%または少なくとも約50%または少なくとも約60%または少なくとも約70%または少なくとも約75%または少なくとも約80%または少なくとも約85%または少なくとも約90%または少なくとも約95%減少させ得る。例えば、組成物は、対象の組織においてヒスタミン濃度を最大100%、例えば最大99%または最大98%減少させ得る。
【0035】
対象の組織中のヒスタミン濃度は、当業者に公知の任意の方法により測定され得る。例えば、ヒスタミン濃度は、微小透析サンプル採取に続く市販のELISAキットまたはHPLCを用いる定量化により決定され得る。例えば、限局部位におけるヒスタミン濃度は、組織ホモジェネートなどの組織サンプルを使用して決定され得る。例えば、ヒスタミン濃度は、アレルゲンが肥満細胞と接触した部位またはサンプル採取部位(例えば皮膚、粘膜内壁[気道、消化管]、血液、器官、骨髄、等)の組織を使用して決定され得る。
【0036】
第1の態様による組成物または本発明の第2の態様による医薬組成物は、抗アレルギー薬または薬学的に活性な抗アレルギー性物質、例えば抗ヒスタミン薬、または追加の肥満細胞安定化薬(例えばクロモグリケート、等)をさらに含み得る。ある特定の実施形態において、組成物または医薬組成物は、H1−抗ヒスタミン薬(例えばアゼラスチン、オロパタジン、トリプロリジン、ビラスチン、セチリジン、ピリラミン、等)、H2−抗ヒスタミン薬(例えばシメチジン、ファモチジン、等)およびH3−抗ヒスタミン薬(例えばチオペラミド、等)を含めた抗ヒスタミン薬をさらに含むことができる。抗ヒスタミン薬は、対象においてヒスタミン受容体の活性を妨害し、組成物または医薬組成物中の抗アレルギー性油および油性要素(例えばエゴマ油およびゴマ油)の肥満細胞活性化の阻害効果をさらに増強させる。ある特定の実施形態において、アゼラスチンは、3つの作用機序、すなわち抗ヒスタミン効果、肥満細胞安定化効果および抗炎症性効果を有するので、本発明の組成物において抗ヒスタミン薬として使用し得る。例えば、組成物または医薬組成物は、本明細書に記述される本発明の組成物の質量で約0.1質量%〜約50質量%、または約0.01質量%〜約10質量%、または約10質量%〜約40質量%、または約20質量%〜約30質量%の抗ヒスタミン薬を含み得る。
【0037】
ある特定の実施形態において、対象はヒトである。他の実施形態において、対象は、ヒト以外の霊長類(例えば類人猿、サルおよびキツネザル)などヒト以外の哺乳動物、ネコまたはイヌなどの伴侶動物、イヌ、ウマおよびポニーなどの作業およびスポーツ用動物、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シカ、雄牛および畜牛などの家畜、ならびに齧歯動物(例えばウサギ、ラット、マウス、ハムスター、スナネズミまたはモルモット)などの実験動物である。
【0038】
ある特定の実施形態において、組成物は、対象に毎日投与される(例えば毎日対象に経口または局所的に投与される)。投与される組成物の量は、対象の要件に応じて変化し得る。治療的および非治療的適用の場合、投与される組成物の量は、所望の結果、対象の要件および処置される状態の重症度に応じて変化し得る。特定の状況に対する適当な量/投薬量の決定は、当業者の技術範囲内である。例えば、治療適用の場合には、当業者の通常の技術を有する内科医または獣医師は、必要とする医薬組成物の有効な量を容易に決定し、処方することができる。必要に応じて、合計の1日量/投薬量を、分割し、1日の間に小分けして投与することができる。
【0039】
一般に、本発明による組成物中の活性薬剤の適切な一日用量は、所望の効果、例えば、治療効果を生じる、および/または肥満細胞活性化を阻害するおよび/または肥満細胞脱顆粒を阻害するおよび/または肥満細胞からのヒスタミンの放出を阻害するのに有効な最低の用量の量になる。組成物の非毒性の性質のため、広範囲の用量が使用され得ると考えられる。当業者は、適切な用量または投薬量が、対象毎に一般に変化することになり、組成物の投与の最初における対象の健康状態の重症度などの因子によって決まることになると理解することになる。例えば、組成物中の活性薬剤(すなわち植物抽出物)の用量は、1日当たり最大15g、例えば、1日当たり最大約10gまたは1日当たり最大約5gであり得る。ある特定の実施形態において、組成物中の活性薬剤の用量は、1日当たり100mg〜約3gの範囲であり、その用量は、1日を通して適当な間隔で別々に投与される2つもしくは3つまたはより多くの副用量として、任意選択で、単位投薬形態で投与され得る。ある特定の実施形態において、組成物中の活性薬剤の用量は、1日当たり各抽出物要素約10mg〜約3g、例えば、1日当たり各要素約500mg〜約3g、または1日当たり各要素約750mg〜約2.5g、または1日当たり各要素約1000mg〜約2000mgであり得る。ある特定の実施形態において、組成物は、1日に2回または3回、任意選択で食前、食中、または食後に投与され得る。ある特定の実施形態において、活性薬剤の各用量は、約5g以下、例えば約3g以下、例えば約2.5g以下である。組成物中の植物抽出物の各用量は、肥満細胞活性化を阻害する従来通りの他の薬剤と組み合わせることができる。
治療的処置のための製品を製造するための使用は、特に、製品の適当な調達を(例えばより広義またはより狭義の医薬製品として)含み;換言すれば、製剤の製造、特に投与のための任意のデバイスへの導入、包装、ならびに治療的処置に使用するための説明書の対応する提供、例えば添付文書および/または包装上の印刷を含み得る。
【0040】
本明細書に記述される組成物および医薬組成物は、シソ属種抽出物と第2の植物の抽出物、任意選択で1つ以上のさらなる植物抽出物、食物繊維、栄養分、生物学的活性薬剤および医薬品賦形剤および/または担体および/または希釈剤など本明細書に記述される1つ以上の他の任意の成分とを組み合わせることにより調製することができる。要素は、各要素を所望の量有する組成物を得るために適切な量に組み合わせられる。各要素は、所望の製品を得るのに適切な任意の順序および組合せで1つ以上の他の要素と組み合わせることができる。そのような方法は当業者に周知であり、例えば、食物産業において公知の方法(例えば、健康食品バー、等の調製に使用されている方法)および製薬業界において公知の方法である。組成物は、乾燥固体形態、例えば、粉末形態に調製され、意図する最終製品の処方の型に応じてさらなる加工工程に供することができる。方法は、形成工程をさらに含むことができ、混合物は、成形、押圧、噴霧乾燥されるか、またはそれ以外の方法で、好ましくはヒトまたは本明細書に記述される型の他の哺乳類動物による摂取に適切な大きさおよび/または質感を持つ形状(例えばバー、ボール、ペレット、クラスタ、タブレット、ビーズ)に形成される。一実施形態において、組成物または医薬組成物は、ゲルカプセル剤を含めたピルの形態で生産され得る。
製剤は、従来通りの公知の方法に従って製造することができ、特にその方法は、必要に応じて段階的にならびに/または流体の動作および/もしくは加熱下で、例えば攪拌により要素を混合する工程を含む。
ここで、以下の非限定的な例を単に参照することによって本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0041】
(例1)
肥満細胞試験
肥満細胞株、すなわちHMC1細胞(Joseph H.Butterfield;Mayo Clinic、Rochester、MN、USAにより提供された)を、10%ウシ胎児血清(FBS)、2mM L−グルタミン、50μM 2−メルカプトエタノール、100U/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンを含有するイスコブ変法ダルベッコ培地(IMDM)中で培養した。細胞を加湿した空気中で、5%CO
2で、37℃で維持した。
【0042】
生細胞のパーセンテージを、トリパンブルー染色により決定した。細胞懸濁液50μLおよびトリパンブルー450μLを含む1:10希釈を調製し、生および死細胞の数を血球計算器で計数した。10
6個の生細胞を、セーフロックエッペンドルフチューブに移した。細胞懸濁液を遠心分離し(200g、5分間)、上清を廃棄した。
媒体のKolliphor ELP(ポリオキシル−35硬化ヒマシ油)中でエゴマ油、ゴマ油およびエゴマ油とゴマ油の組合せ(1:1比)による効果を決定した。リン酸緩衝食塩水(PBS)、媒体のPBSおよびELP中の陽性対照クロモリンも、対照として試験した。
【0043】
細胞ペレットにIgE(PBSまたはELP中に100ng/mL)100μLを添加した後、細胞を37℃で終夜12時間インキュベートした。次いで細胞を、2つの異なる濃度、すなわち250μg/mLおよび500μg/mLの化合物と37℃で2時間インキュベートした。遠心分離(200g、5分間)後に、上清を廃棄し、細胞ペレットを、抗IgE(PBSまたはELP中に1μg/mL)100μLと37℃で1時間再びインキュベートした。37℃で6時間の最後のインキュベーション時間のために、HMC1培地300μLを、添加した。細胞を再び遠心分離し(200g、5分間)、上清を採集し、ELISA測定用に300μLのアリコートとして−20℃で貯蔵した。細胞ペレットをHMC1培地100μLに再懸濁して、細胞生存率を決定した。
細胞の生存率(生細胞のパーセンテージ)を、トリパンブルー染色により決定した(細胞懸濁液50μLおよびトリパンブルー450μLを含む1:10希釈を調製し、生および死細胞の数を血球計算器で計数した)。
【0044】
採集した上清中のヒスタミンの濃度を、IBL Internationalから入手したキットを製造業者のガイドラインに従って使用して、ELISAにより決定した。各サンプルを、2回測定した。予想される測定限度のため、媒体(PBS、ELP)処理サンプルを、1:2希釈した。
統計分析を、対応無し両側スチューデントt検定を使用してGraphPad Prism(バージョン5.01)ソフトウェア(GraphPad Software Inc.、San Diego、CA、USA)で実行した。0.05未満のP値を、統計的に有意と見なした。
結果を、
図1および
図2ならびに下の表1および表2に示す。
【0045】
表1
HMC−1細胞からのヒスタミンメディエータの放出の概要。陰性対照と比較した有意差は、P<0.05であった。
【表1】
【0046】
表2
HMC−1細胞からのエゴマ油およびゴマ油の平均ヒスタミンメディエータ放出と比較したヒスタミン減少。組合せの増強効果を示す。エゴマ油およびゴマ油の平均値と比較した有意差は、P<0.05であった。
【表2】
エゴマ油およびゴマ油の平均ヒスタミン放出を組合せと比較すると、組合せは、ヒスタミン放出を有意に減少させ、したがって250および500μg/mLそれぞれにおいて肥満細胞安定化を示した(p=0.0185およびp=0.0092)。
【0047】
HMC−1細胞をエゴマ油またはゴマ油で個々に処理した場合、達成されたヒスタミン減少のパーセンテージは、クロモリンのそれより低かった。組合せで処理した場合、ヒスタミン減少のパーセンテージは、クロモリンによる処理より高かった(
図1)。組合せによる処理は、個々の化合物による処理と比較してヒスタミン減少のパーセンテージを18.7〜22.5%増加させ、一方でクロモリンによる処理は、個々の化合物による処理と比較して6.8〜8.4%のヒスタミン減少しか異ならなかった。
【0048】
250μg/mLおよび500μg/mLそれぞれの濃度において組合せとクロモリンの間におよそ2倍〜3倍の差異がある。組合せが肥満細胞安定化効果を増強させたと結論することができ、組合せは、個々の化合物による処理と比較してヒスタミン減少のパーセンテージを増加させ、クロモリンより優れた最終効果に至った。
【0049】
(例2)
抗アレルギー性処方
表3〜表5は、硬または軟殻カプセル中の抗アレルギー性ピル処方を示す。
【表3】
【表4】
【0050】
【表5】
【表6】
【0051】
表7および表8は、抗アレルギー性局所ゲル処方を示す。
【表7】
【0052】
【表8】
【0053】
表9および表10は、抗アレルギー性ローション処方を示す。
【表9】
【0054】
【表10】
【0055】
表11は、抗アレルギー性軟膏処方を示す。
【表11】
【0056】
表12は、抗アレルギー性ゲルパッチ処方を示す。
【表12】
【0057】
表13、表14および表15は、錠剤中の抗アレルギー性ピル処方を示す。
【表13】
【表14】
【0058】
【表15】
【国際調査報告】