特表2019-521921(P2019-521921A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-521921(P2019-521921A)
(43)【公表日】2019年8月8日
(54)【発明の名称】プルタブとプルタブの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 17/34 20060101AFI20190712BHJP
【FI】
   B65D17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-503334(P2019-503334)
(86)(22)【出願日】2017年7月21日
(85)【翻訳文提出日】2019年1月22日
(86)【国際出願番号】IB2017054442
(87)【国際公開番号】WO2018015934
(87)【国際公開日】20180125
(31)【優先権主張番号】16180603.9
(32)【優先日】2016年7月21日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】312004709
【氏名又は名称】アルダフ エムピー グループ ネザーランド ベー.ヴェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジャルスヴェルダット、ヘイン
(72)【発明者】
【氏名】リモーニ、ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ティエルベケ、ゲラルド
【テーマコード(参考)】
3E093
【Fターム(参考)】
3E093DD02
(57)【要約】
本発明は蓋に適用される包装産業で用いられるプルタブの技術分野に関する。本発明の解決すべき課題は、その目的のための十分な機械的強度を有しながら、低コストで製造可能なプルタブを提供することである。これを達成するためプルタブは容器の蓋に取り付けられるように構成される。プルタブは、把持部10とフロント部20とを備え、プルタブは厚さを有する金属のシートSの一部によって形成される。把持部10は孔11を有する。孔は少なくとも部分的に把持部の把持縁部12によって囲まれている。把持部はその長軸方向Lに沿ってプルタブのフロント部20に隣接している。プルタブ1のフロント部は金属のシートから作られた補強層25によって機械的に補強されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の蓋に取り付けられるように構成されたプルタブ(21)であって、
把持部(10)と、
フロント部(20)と、を備え、
金属のシートの一部、すなわち、シートの一部によって形成され、当該シートは厚さ(d1)を有し、
(a)前記把持部(10)は孔(11)を有し、該孔(11)は好ましくは指を通過させるように構成され、該孔は少なくとも部分的に前記把持部(10)の把持縁部(12;12a,12b,12c)によって囲まれ、前記把持部はその長軸(L)に沿って前記プルタブ(1)の前記フロント部(20)に隣接しており、
(b)前記プルタブ(1)の前記フロント部(20)は、補強層(25;25a,25b,25c,25d,25e)によって機械的に補強されており、好ましくは前記金属のシートから作られていることを特徴とするプルタブ。
【請求項2】
前記補強層(25)が、好ましくは前記シートで作成され、さらなる厚さ(d2)を形成する請求項1に記載のプルタブ。
【請求項3】
前記さらなる厚さ(d2)が、実質的に前記シートの第1の厚さ(d1)と等しい請求項2に記載のプルタブ。
【請求項4】
前記補強層(25)が、前記プルタブ(1;10,20)を製造するために用いられる前記シートの材料から作られる請求項1から3のいずれか1項に記載のプルタブ。
【請求項5】
前記補強層(25)が、前記プルタブ(1)を製造するために用いられる前記シートの部分のスクラップ部分であるシート部分から作られる請求項1から4のいずれか1項に記載のプルタブ。
【請求項6】
前記金属のシートの前記スクラップ部分が、少なくとも部分的に除去又は打ち抜かれて、前記プルタブ(1)の前記把持部(10)に前記孔(11)を形成している請求項5に記載のプルタブ。
【請求項7】
前記プルタブが、好ましくは横断方向(Q)に延在するように、前記把持部(10)と前記フロント部(20)との間に延在する折曲線(26)を備え、
該折曲線(26)は、部分的に打ち抜かれた金属シート部分を前記把持部(10)から前記フロント部(20)に曲げる又は折曲げるためのヒンジとして機能するように構成されており、これにより前記把持部(10)の前記孔(11)と前記フロント部(20)の機械的補強部を形成している請求項1から6のいずれか1項に記載のプルタブ。
【請求項8】
前記シートの厚さ(d1)が、が0.26mm未満であり、好ましくは0.23mm未満であり、より好ましくは実質的に0.20mm(又は200μm)である請求項1から7のいずれか1項に記載のプルタブ。
【請求項9】
前記プルタブ(1)が、前記フロント部(20)に設けられ、横断方向(Q)の側方に延在するキャリア(23a,23b)を備える請求項1から8のいずれか1項に記載のプルタブ。
【請求項10】
前記プルタブ(1)が、先端部(27)を備え、前記キャリア(23a,23b)が前記先端部(27)から距離(d23)だけ離間している請求項9に記載のプルタブ。
【請求項11】
長手方向(L)において、前記距離は、20mm未満、好ましくは15mm未満、より好ましくは10mm未満、最も好ましくは7mm未満である請求項10に記載のプルタブ。
【請求項12】
前記プルタブ(1)を前記蓋に取り付ける構成が、少なくとも2つの隣接する層(24,25)を通って設けられた取付手段(21)を備える請求項1から11のいずれか1項に記載のプルタブ。
【請求項13】
前記プルタブ(1)を前記蓋に取り付ける前記取付手段(21)が、前記層(24,25)を通って設けられた取付孔(21)である請求項12に記載のプルタブ。
【請求項14】
前記補強層(25)が、前記金属シート層(24)の3次元形状であって、第1層に前記補強層(25)を供給する前に前記フロント部に存在する3次元形状に類似する3次元の外形(24a,25b)を有する請求項1から13のいずれか1項に記載のプルタブ。
【請求項15】
(a)厚さ(d1)を有する金属のシート(S)を供給するステップと、
(b)前記シート(S)にプルタブブランク部(101)を形成するステップであって、該プルタブブランク部(101)は、前記プルタブブランク部の長手方向に沿って把持部(10)とフロント部(20)とを備えるステップと、
(c)前記プルタブブランク部(101)の前記把持部(10)に孔(11)を形成するステップであって、好ましくは当該孔(11)が指を通り抜けさせるように構成されるステップと、
(d)前記プルタブブランク部(101)の前記フロント部(20)を、補強層(25)によって機械的に補強するステップであって、前記補強層(25)は好ましくは前記金属のシートで作成されているステップと、
(e)前記シートの残り(105)から、前記プルタブブランク部(101)を分離又は除去することで、前記プルタブブランク部(101)の技術的な特徴を有する個別のプルタブを供給するステップと、を有することを特徴とするプルタブの製造方法。
【請求項16】
前記補強層(25)は、好ましくは前記シートで作成され、さらなる厚さ(d2)を付与するものであり、好ましくは、該さらなる厚さ(d2)は、実質的に前記シートの厚さ(d1)と等しい請求項15に記載のプルタブの製造方法。
【請求項17】
前記プルタブブランク部が、前記把持部(10)と前記フロント部(20)との間に延在する折曲線(26)を含み、
前記把持部の金属シート部分は、前記折曲線(26)付近で前記把持部(10)から前記フロント部(20)に曲げ又は折り曲げられ、これにより前記把持部(10)の前記孔(11)と機械的に補強された前記フロント部(20)を形成する請求項15又は16に記載のプルタブの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋に適用される包装産業で典型的に用いられるプルタブの技術分野に関する。プルタブは蓋の一部を開け、又は、缶本体から蓋の実質的な部分を取り外すことを可能とする。
【背景技術】
【0002】
プルタブは、充填容器の開封機構の一部として包装産業において長い間知られてきた。しばしば、これらの容器は飲料を含む食品を含む缶であるが、他の充填物にも一般的に同様に使用されている。典型的には、プルタブはリベットによって容器の蓋に取り付けられ、それによってプルタブは容器を開ける(すなわち、蓋を「開ける」)際にレバーとして機能する。
【0003】
容器を開くためには、プルタブの一方の側を持ち上げて、プルタブの他方の側(前側)を蓋の刻み目のある部分に近い上面の一部、又は、刻み目によって少なくとも部分的に囲まれている蓋の上面に近づける。
一方のプルタブ側をさらに持ち上げると、蓋の刻み目のある部分が押し下げられる。それから、典型的には少なくとも部分的に固形食品を収容する幾つかの缶については、蓋の大部分を容器から部分的にまたは完全に取り除くために、蓋に取り付けられているプルタブは容器から引き離される。これにより、消費者は容器内の充填物を取り出すことができる。他の缶、典型的には飲料缶については、プルタブをさらに持ち上げると、蓋のより小さな部分、すなわち刻み目で部分的に囲まれた部分が蓋の下面(容器の内側)に入るまで容器の内側に折り畳まれる。それにより、消費者は、例えば飲料缶からの缶飲料品のように、充填物を取り出す。
【0004】
これらの目的のために、プルタブは、容器を開く工程の間に作用する機械的な力に耐えるのに十分な機械的強度を持たなければならない。機械的強度は、比較的厚い材料厚さを使用することによって、しばしばプルタブの縁を丸めることによって達成される。
【0005】
先行技術である英国特許出願GB2459387A(Bansia)は、プルタブの機械的補強について8頁29〜32行目に開示し、図8aから8eに関する18頁25〜29行目において、例えば、図8aは、二重材料層によって補強されたフロント部分を示している。概して、これは特許請求の範囲に記載のプルタブとは異なる種類のプルタブに関する。この引例のプルタブによって解決されるべき問題は、把持部分と開けられる容器の蓋との間に十分な空間がないため、消費者がプルタブを作動させることが時々困難であることである。この問題を解決するために、双安定素子を含むプルタブがこの先行技術に提示されている。この素子はプルタブが2つの異なる状態で存在することを可能にする。第1の状態では、プルタブの把持部分は容器の蓋の近くにある。第2の状態では、プルタブの把持部分は、消費者が自分の指を把持部分とリッドパネルとの間で動かしてプルタブを作動させる(持ち上げる)ことを可能にするために、蓋からより大きな距離を有する。第1の状態から第2の状態に切り替えるための機構は、金属製のヘアクリップの機構と同等である。
【0006】
プルタブは典型的には、プルタブの製造過程で形成されるキャリアを含む。これらのキャリアは、タブの(しばしば)カールした端部を遮ってタブの機械的強度を弱めるため、容器の開封行程の間に消費者によって持ち上げられるタブの側部に配置される。タブの他の側部(フロント部)の要求と比較して、このタブ側で機械的強度の要求が低いためである。開封行程中に、キャリアの鋭い縁がユーザ(消費者)に怪我をさせる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】英国特許出願GB2459387明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、その(使用の)目的のために十分な機械的強度を有しながら、低コストで製造可能なプルタブを提供することである。解決されるべきもう1つの課題は、プルタブキャリアに起因する消費者の身体的な損傷を低減するプルタブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本プルタブ(請求項1)によりに上記問題が解決され、本プルタブは請求の範囲に記載の方法(請求項15)により製造可能である。
【0010】
上述の要求は、容器の蓋に取り付けられるように構成されたプルタブであって、把持部とフロント部とを備え、金属のシートの一部によって形成されているプルタブによって満足されることが見いだされた。金属のシート又はシート又は金属シートは、好ましくはその幅及び/又は長さより少なくとも10分の1以下の厚さを有する。把持部は孔を有し、該孔は好ましくは指を通過させるように構成される。その意味において、孔は平均的な太さ(平均的な直径)の人の指が少なくとも一部が孔を通って出せるようなら、孔は指を通過させるように構成されている。人の指(指先)だけでも孔を通って出ることができれば十分である。孔は少なくとも部分的に把持部の把持縁部によって囲まれている。把持部はその長軸に沿ってプルタブのフロント部に隣接している。プルタブのフロント部は、補強層によって機械的に補強されており、好ましくは上記金属のシートから作られている(請求項1)。
【0011】
補強層は、好ましくは上記シートで作成され、さらなる厚さを形成してよい(請求項2)。ここで、プルタブのフロント部の少なくとも一部は、上記シートの厚さと上記補強層の厚さを含む組み合わせ厚さを有してよい。
【0012】
好ましくは、上記さらなる厚さは、実質的にプルタブを形成するシートの厚さと等しくされてよい(請求項3)。
【0013】
上記補強層は、プルタブを製造するために用いられる材料から作られることが好ましい(請求項4)。
【0014】
上記シートからプルタブを製造する間に、当然に、シート全体が製造に用いられるわけではないため、スクラップ又は生産スクラップを生じる。好ましくは、補強層は、プルタブを製造するために用いられるシート部分のスクラップ部分であるシート部分から作られる(請求項5)。言い換えると、補強層はプルタブの製造に用いられる金属シートによって作成され、プルタブ製造のスクラップ部分であるシート部分から取られる。
【0015】
金属シートのスクラップ部分は、プルタブの把持部に少なくとも部分的に孔を形成するために除去又は打ち抜かれてよい(請求項6)。
【0016】
好ましくは、プルタブは、好ましくは横断方向に延在するように、把持部とフロント部との間に延在する折曲線を含む。折曲線は、部分的に打ち抜かれた金属シート部分を把持部からフロント部に曲げる又は折曲げるためのヒンジとして機能するように構成される。これにより、把持部に孔とフロント部の機械的補強部を形成され、或いは達成される(請求項7)。
【0017】
上記金属シートの厚さは、が0.26mm未満であり、好ましくは0.23mm未満であり、より好ましくは実質的に0.20mm又は200μmであってよい(請求項8)。
【0018】
上記プルタブは、フロント部に設けられ、横断方向の側方に延在するキャリアを備えてよい(請求項9)。
【0019】
好ましくは、キャリアはプルタブの先端部から離間していてよい(請求項10)。プルタブの先端部とキャリアとの間の間隔又は距離は、長手方向において、20mm未満、好ましくは15mm未満、より好ましくは10mm未満、最も好ましくは7mm未満であってよい(請求項11)。
【0020】
上記プルタブを蓋に取り付ける構成が、少なくとも2つの隣接する層を通って設けられた取付手段を備えてよい(請求項12)。好ましくは、プルタブを蓋に取り付ける取付手段が、かかる層を通って設けられた取付孔であってよい(請求項13)。
【0021】
好ましくは、補強層が、金属シート層の3次元形状であって、第1の層に補強層を供給する前にフロント部にあった3次元の外形又は形状に酷似する3次元の外形、又は構造又は、形状を有することが好ましい(請求項14)。
【0022】
好ましくは、上記金属シートはアルミニウムではなく鉄である。
【0023】
プルタブは、下記ステップを有する方法によって生産又は製造可能である:
厚さを有する金属のシートを供給するステップと、当該シートにプルタブブランク部を形成するステップであって、該プルタブブランク部は、プルタブブランク部の長手方向に沿って把持部とフロント部とを備えるステップと、プルタブブランク部の把持部に孔又は開口を形成するステップであって、好ましくは当該孔が指を通り抜けさせるように構成されるステップと、プルタブブランク部のフロント部を、補強層によって機械的に補強するステップであって、補強層は好ましくは上記金属のシートで作成されているステップと、当該シートの残りから、プルタブブランク部を分離又は除去することで、プルタブブランク部の技術的な特徴を有する個別のプルタブを供給するステップと、を有する(請求項15)。
【0024】
上記方法において、補強層は、好ましくは上記シートで作成され、さらなる厚さを付与するものであることが好ましい。好ましくは、さらなる厚さは、少なくとも実質的に上記シートの厚さと等しい(請求項16)。
【0025】
好ましくは、補強層がプルタブブランクの製造に用いられるシートの材料から作成される。
【0026】
好ましくは、補強層は、プルタブを製造するために用いられるシート部分のスクラップ部分であるシート部分から作られる。金属シートのスクラップ部分は、プルタブの把持部に部分的に孔を形成するように少なくとも除去又は打ち抜かれてよい。
【0027】
プルタブブランク部は、把持部とフロント部との間に延在する折曲線を含む。プルタブブランク部を形成した後に、把持部の金属シート部分は、折曲線付近で把持部からフロント部に曲げ又は折り曲げられる。これにより把持部の孔が形成され、フロント部が機械的に補強される(請求項17)。
【0028】
上記シートの厚さは、0.26mm未満であり、好ましくは0.23mm未満であり、より好ましくは実質的に0.20mm又は実質的に200μmであってよい。
【0029】
プルタブの製造工程において、キャリアが形成されてもよい。キャリアは、製造のさらなるステップの間にプルタブブランク部とシートの接続手段として用いられる。シートからブランク部を分離するために、キャリアは切り離され、これによりプルタブを提供する。好ましくは、キャリアは、フロント部に設けられ、横断方向の側方に延在する。キャリアは、プルタブブランク部の先端部から離間していてよい。先端部とキャリアとの間の距離は、20mm未満、好ましくは15mm未満、より好ましくは10mm未満、最も好ましくは7mm未満としてよい。
【0030】
補強層が、その第1層に補強層を供給する前にフロント部に存在する、金属シート層の3次元の外形に実質的に類似する3次元の外形を有することが好ましい。
【0031】
好ましくは、上記金属シート、上記金属のシート、又は上記シートは、アルミニウムではなく鉄である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の実施形態は詳細な説明と下記図から最良に理解されるであろう。
図1図1は、プルタブ1の底面斜視図を示す。
図2図2は、フロント部20をより詳細に示す図1のプルタブ1の底面斜視図を示す。
図3図3は、図1のプルタブ1の平面図を示す。
図4図4は、図1のプルタブ1の上面斜視図を示す。
図5図5は、プルタブ1の製造方法100の幾つかのステップを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
プルタブ1の機能は図1から最良に理解されるであろう。プルタブ1はフロント部20と把持部10を備える。把持部10は孔11を備え、孔11は指が通り抜けるように構成されている。先に詳述したように、プルタブ1が容器の蓋に取り付けられる際に、充填された容器の内容物は、例えば、指の一部を孔11に通してプルタブ1の把持部10を持ち上げることで消費者にアクセスされることができる。
把持部10の孔11は部分的に把持縁部12に囲まれている。本実施形態の把持縁部12はカール構造であり、把持縁部12の内側は、孔の内側11から把持部10の外側にカールさせられており、把持縁部12の外側は、把持縁部12の実質的に平行な2つの部分12a,12bと、平行な部分12a,12bと実質的に直交する一つの部分12cを有する。把持縁部12の外側縁はプルタブ1の外側からプルタブ1の内側にカールしている。
【0034】
プルタブ1のフロント部20は把持部10に隣接している。本実施形態では、折曲線26がフロント部20と把持部10との間にある。ここで、折曲線26は、プルタブ1が作られている金属シートの一部を、把持部10からフロント部20まで曲げる又は折曲げるためのヒンジとして機能する。折曲線26は、横断方向Q(図3に示す)に延在している。金属シート部品を曲げる又は折りたたむことによって、孔11が形成され、フロント部20が補強される。フロント部20の補強部分、すなわち補強層25を有する部分は、(プルタブを製造するために使用される)金属シートの厚さd1と補強層の厚さd2の合計に等しい組み合わせ厚さを有する。図1の実施形態では、厚さd1と厚さd2は等しい。他の実施形態では、補強層25は、他の方法でプルタブ1のフロント部20に設けることができる。例えば、金属部分をフロント部に取り付ける(接着、溶接される)ことができ、あるいはポリマーをフロント部に塗布することができる。これらの実施形態では、金属シートの厚さd1と補強層の厚さd2は(必ずしも)等しくない。
【0035】
図1のプルタブ1は、フロント部20に配置されかつ横方向に延びる2つのキャリア23a、23bを有する。本実施形態では、キャリア23a、23bは、プルタブ1の外縁部に沿って把持部10からフロント部20に延びる把持縁部12を遮っている。先端部27に近い前方で把持縁部12のカール構造は平坦化され、鼻部28aが前方に設けられている。
他の実施形態では、把持縁部12のフロント部20への延長部は異なるデザインとされてよい。例えば、把持縁部12は、フロント部20の方向により小さな程度又はより大きな程度延びることができる。
代表的には、把持縁部12は、消費者の操作中に、すなわち消費者がプルタブ1のリア部を持ち上げて、それによってプルタブ1のフロント部を下降又は押し下げる間に、鼻部28aが、プルタブ1が取り付けられる蓋部分であって蓋の刻み目部分に近い蓋部分に近づいて最終的に接触する最初の部分となるように平坦化される。プルタブ1のリア部をさらに持ち上げると、前述のように蓋の一部を容器の内側方向に押し下げることによって、想定された再現可能な方法で蓋を開くことができる。
【0036】
キャリア23a、23bによって把持縁部12が遮られることは、プルタブ1の機械的安定性を低下させる原因となる。これは、消費者によるプルタブ動作中の機械的安定性に対する要求が把持部10よりも高いため、フロント部20において特に重要である。本実施形態において、キャリア23a、23bは、フロント部20の機械的補強によって、プルタブ1の誤動作(すなわち、機械的応力による破損又は損傷)の危険性を高めることなく、フロント部20に設けられ得る。フロント部20にキャリア23a、23bを配置することで、操作中の消費者の怪我、例えば指を切る危険性が低減される。
【0037】
フロント部の補強層25には別の鼻部28bが形成され、これにより先端部27の鼻部28aをより拡張する。
【0038】
プルタブ1の蓋への取付手段21は、本実施形態では、孔であり、この孔は、弧状又は湾曲した凹部22と同様に、補強されたフロント部20の両方の層を貫通して延びる。プルタブ1の容器の蓋への取り付けは、しばしばリベットによって実施される。凹部22は、プルタブ1が容器の蓋に取り付けられているときに、容器の開封過程において、実質的にプルタブ1を損傷することなく消費者によってプルタブ1が操作されることを可能にする。
【0039】
図1のプルタブ1のフロント部20は図2に拡大されており、補強層25の異なる部分を示す。第1の平坦部25b、25d、25eは、取付可能とされた蓋の上面と実質的に平坦に接触する。消費者のプルタブ1の操作中、第1の平坦部25dは実質的に蓋の表面と接触したままであり、一方、プルタブ1のリア部が持ち上げられると、第1の平坦部25b及び25eが持ち上げられる。
補強層25のスカート構造25cによって、層25は第2の平坦部25aに延びる。本実施形態では、高い補強効果を生じさせるために、補強層25が、フロント部の金属基層の三次元形状、すなわち補強層を有しないプルタブの代表的なフロント部の三次元形状に、類似している。他の実施形態では、補強層25は、金属基層のより小さな領域を覆う又は補強してもよく、或いは、補強層25は金属基層の三次元形状に類似していなくてもよいが、それでもプルタブに補強効果をもたらすものとされる。
【0040】
図3は、プルタブ1の平面図を示し、プルタブ1が容器の蓋に取り付けられたときのプルタブ1の消費者の視界を示している(蓋及び容器は図3には示されていない)。この実施形態では、キャリア23a、23bは、長軸Lに沿って先端部27から距離d23だけ離間している。キャリア23a、23bは、それ自体がL方向に一定の長さを有するものであるため、距離d23は、キャリアのL方向の中央又は中心からプルタブ1の先端部27までが測定される。先端部27は、把持部10とは反対方向におけるフロント部20の最も外側の点である。
【0041】
さらに、横断方向Qが図3に図示され、折曲線26の実質的な延在方向を示す。
【0042】
図4のプルタブ1の斜視側面図では、金属基層又は金属シート層24及び補強層25が図1とは異なる視点から見ることができる。金属基層24はプルタブのための代表的な設計として示され、補強層25は取付手段21および凹部22を通して視認でき、(消費者の視線方向に)金属基層24の下に配置されている。また、金属基層24の反対の構造も図示されており、図2に示す補強層25の第1の平坦部25b、25d、25e、第2の平坦部25a、及びスカート構造25cに対応する。
【0043】
他の実施形態では、補強層25は、(消費者の視線方向に)金属基層24の上、金属基層24の下又は、その両方の上に配置してもよい。
【0044】
図5は、プルタブ1の製造方法100に含まれる4つのステップの概略図である。かかる概略図は、製造方法の全ステップが示されているわけではないことを理解されたい、特に図示されたステップの間の曲線は図示されたステップの間に1つまたは複数のステップが実行され得ることを示す。
【0045】
この実施形態では、第1のステップ110において、シート又は金属シート又は金属のシートSが提供される。シートは厚さd1を有する。次のステップ120において、プルタブブランク部101の外形がシートSに生成される。これは、好ましくは機械的切断、レーザー切断及び/又は打ち抜きによって達成される。次のステップ130において、プルタブブランク部101のいくつかの技術的な特徴が形成される。プルタブブランク部101のフロント部20には、例えば機械的切断、レーザー切断及び/又は打ち抜きによって、鼻部28とともに取付手段21及び凹部22が形成されている。フロント部20に隣接して、把持部10が形成されている。フロント部20と把持部10との間には折曲線26が設けられている。プルタブブランク部101とシートSとを接続するために、キャリア23a、23bが設けられている。さらに、上面視のために図5には示されていないが、把持縁部12がプルタブブランク部101の底部に形成されている。プルタブブランク部101の把持縁部12は、図1及び図2に示す把持縁部12と同様に設計されてもよい。
【0046】
本実施形態において、補強層25は把持部10の中にあるシート部分として設けられている。図示されない次のステップにおいて補強層25は、折曲線26付近でプルタブブランク部101のフロント部20に向かって折曲げられる(又は曲げられる)。これによって、孔11(図示されないが、図1及び図2の孔部と同等に設計してよい)は把持部10に形成され、フロント部20は機械的に補強される。フロント部20の機械的な補強は、前述の他の技術によっても達成してもよい。
【0047】
次のステップ140において、プルタブブランク部101は、キャリア23a、23bに近接するプルタブブランク部101とシートSとの間の接続部分が(機械的に又はレーザーによって)切断されることによってシートSから取り除かれる。それによって、プルタブ1が形成される(図示されていないが、図1図4に示されているプルタブ1と同様に設計されていてもよい)。このプルタブ1は、キャリア23a、23bを備える。プルタブブランク部101とシートSとの接続部分を切断した後、シート切抜部102がシートに残る。なお、上記ステップは時間的に入れ替え可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】