特表2019-522150(P2019-522150A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-522150カメラ装置を含むライニングスリーブを硬化させる装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-522150(P2019-522150A)
(43)【公表日】2019年8月8日
(54)【発明の名称】カメラ装置を含むライニングスリーブを硬化させる装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/18 20060101AFI20190712BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20190712BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20190712BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20190712BHJP
   F16L 55/163 20060101ALI20190712BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20190712BHJP
   G03B 37/00 20060101ALI20190712BHJP
   G03B 5/00 20060101ALI20190712BHJP
   G03B 17/56 20060101ALI20190712BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20190712BHJP
【FI】
   F16L55/18
   H04N5/225 500
   H04N7/18 L
   H04N5/232 290
   H04N5/232 380
   H04N5/232 960
   H04N5/232 990
   F16L55/163
   G03B15/00 T
   G03B15/00 W
   G03B37/00 A
   G03B5/00 D
   G03B5/00
   G03B17/56 A
   F16L1/00 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-553145(P2018-553145)
(86)(22)【出願日】2017年4月6日
(85)【翻訳文提出日】2018年12月10日
(86)【国際出願番号】DE2017100277
(87)【国際公開番号】WO2017174079
(87)【国際公開日】20171012
(31)【優先権主張番号】102016106497.1
(32)【優先日】2016年4月8日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA
(71)【出願人】
【識別番号】518273873
【氏名又は名称】エスエムエル フェルヴァルツングス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィント、ヘルバート
(72)【発明者】
【氏名】ノール、クリスチャン
【テーマコード(参考)】
2H059
2H105
3H025
5C054
5C122
【Fターム(参考)】
2H059BA15
2H105AA03
3H025EB05
3H025EC17
3H025ED02
3H025EE01
3H025EE05
5C054CA02
5C054CC05
5C054CE00
5C054CF06
5C054CG08
5C054FD00
5C054FE01
5C054FE23
5C054HA01
5C122DA03
5C122DA12
5C122DA26
5C122EA02
5C122EA33
5C122EA66
5C122EA67
5C122EA68
5C122FA01
5C122FA02
5C122FB06
5C122FH06
5C122FH07
5C122FK23
5C122FL00
5C122GE01
(57)【要約】
本発明は、高エネルギー放射線によって樹脂含浸ライニングスリーブを硬化させる装置であって、ライニングスリーブを硬化させるための高エネルギー放射線を生成する少なくとも1つの放射線源と、装置の環境の画像シーケンスを取り込むための少なくとも1つのカメラと、特に装置とは別個に設けられた少なくとも1つの入力装置とを含み、入力装置を用いて、カメラの取り込み領域及び/又は表示領域が、ユーザによって調整され/調整でき、且つカメラの取り込み領域の調整が、カメラの少なくとも一部の移動を介して行われ、且つ/又は調整された表示領域に従って少なくとも1つのカメラパラメータを調整するように設計及び構成される電子画像処理装置を用いて行われる、装置、及びこのタイプの装置の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高エネルギー放射線によって樹脂含浸ライニングスリーブを硬化させる装置であって、ライニングスリーブを硬化させるための高エネルギー放射線を生成する少なくとも1つの放射線源と、前記装置の周囲地域の画像のシーケンスを取り込むための少なくとも1つのカメラと、好ましくは前記硬化装置とは別個の少なくとも1つの入力装置とを含み、前記入力装置を用いて、前記カメラの取り込み領域及び/又は表示領域が、ユーザによって設定できるか又は設定され、前記カメラの前記取り込み領域の設定が、前記カメラの少なくとも一部を動かすことによって実行され、且つ/又は設定された表示領域に基づいて少なくとも1つのカメラパラメータを設定するように設計及び設置される電子画像処理装置を用いて実行される、装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのカメラパラメータが、選択されるカメラの画像センサのサブ領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カメラが、60°〜270°、特には60°〜180°の対角画角を持つ広角レンズ、特には魚眼レンズを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのカメラが、第1の軸の周りを回転可能で且つ第2の軸の周りを枢動可能なスイベルヘッドを含み、前記スイベルヘッドと作動接続した電気モータが、特に前記カメラの前記取り込み領域の位置を変更するために含まれることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記スイベルヘッド及び/又は前記電気モータが、断熱ハウジング内、特に少なくとも1つの第1の断熱層と、少なくとも1つの第2の断熱層とを含み、前記第1の層と前記第2の層の間に真空が形成されるか又は形成できる少なくとも1つの壁を含むハウジング内に配置されることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのカメラが、特に、装置の前端部に、若しくは前端部の領域に、及び/又は後端部に、若しくは後端部の領域に配置されることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも2つのカメラが含まれ、それらカメラの取り込み領域が、互いに重なり合って配置されないか、又は互いに部分的にのみ重なり合って配置され、それらカメラの取り込まれた情報が前記電子画像処理装置によって一緒に評価されることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記電子画像処理装置が、全てのカメラの取り込まれた情報に基づいて、前記設定された表示領域を計算及び表示することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記画像処理装置によって選択されたデジタル化データが、デジタル補正、特に歪みの除去を受けることが可能であることを特徴とする請求項1から8までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置が表示装置と作動接続しているか又は作動接続させることができ、前記カメラの前記取り込み領域及び/又は前記表示領域が、前記表示装置に表示されるか又は表示できることを特徴とする請求項1から9までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
ライニングスリーブ内で、且つ/又はライニングスリーブの硬化装置として、特にライニングスリーブを硬化させるための、好ましくはライニングスリーブの硬化性プライを硬化させるための、請求項1から10までのいずれか一項に記載の装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ装置を含むライニングスリーブを硬化させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液体又は気体媒体が輸送されるラインシステムを修復する方法が、知られており、先行技術に広く記載されている。
【0003】
例えば、ラインシステムの欠陥又は損傷部分を新規部分に置き換える方法が知られている。しかしながら、これは労力を要し、また必ずしも可能であるとは限らない。
【0004】
ラインシステム、例えば下水管及び同様の配管システムを修復するために、ライニングスリーブとして役立ち、ライナとも称される硬化性樹脂を含浸させた可撓性の硬化性プライがラインシステムに挿入される先行技術の方法も知られている。挿入後、ライニングスリーブは拡張され、その結果ラインシステムの内壁に密接した状態で置かれるようになる。その後、樹脂は硬化される。
【0005】
かかるライニングスリーブの製造は、例えば国際公開第95/04646号に記載されている。かかるライニングスリーブは、不透明な外側保護フィルムと、ある種の波長範囲の電磁放射に対して少なくとも透過性である内側フィルムと、内側フィルムと外側フィルムの間に配置される樹脂を含浸させた硬化性プライとを通常含む。
【0006】
外側フィルムスリーブは、含浸用に使用される樹脂が硬化性プライから漏れて環境に到達するのを防ぐことが意図される。このことは、良好な不透過性と、樹脂含浸硬化性プライへの外側フィルムスリーブの付着を前提とする。
【0007】
国際公開第00/73692号は、内側フィルムスリーブと、硬化性プライとしての樹脂含浸繊維帯と、内側が不織布で裏打ちされた外側スリーブとを含むライニングスリーブを開示する。
【0008】
多くの場合、樹脂含浸繊維帯は、ライニングスリーブの内側スリーブに螺旋状に重なり合うように巻き付けられて、ライニングスリーブを製造する。外側スリーブは、その後、同様に樹脂含浸繊維帯の周りに螺旋状に重なり合うように巻き付けられる。先行技術において硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹脂又はビニルエステル樹脂が使用され、例えばスチレン及び/又はアクリレート中に溶解され得る。これらの不飽和ポリエステル又はビニルエステルは、熱(通常、過酸化物触媒によって)、又は放射線を用いて、例えば欧州特許出願公開第23623号に記載されたように、例えば光開始剤を用いて紫外線によって硬化され得る。同様にいわゆる組み合わせ硬化プロセスが可能であり、過酸化物開始剤が、光開始剤と組み合わせて熱硬化のために使用され、これらは、特にライニングスリーブの壁厚が大きい場合に好適であることが証明された。かかるいわゆる組み合わせ硬化は、例えば欧州特許出願公開第1262708号に記載されている。不飽和ポリエステル又はビニルエステル樹脂は、硬化中に収縮し、その後の操作中に修復されたラインシステムの安定性を損ない得る。
【0009】
製造を容易にするために、この場合には内側スリーブ自体も巻芯の周りに巻き付けられる。或いは、例えば国際公開第95/04646号は、既製内側フィルムスリーブを膨張させ、それ自体を巻芯として使用し得ることを開示する。かかる既製内側フィルムスリーブは、この場合、フィルム帯から製造され、そのフィルム縁部は、内側フィルムスリーブを形成するために互いへの溶接、又は接着によって互いに接続される。
【0010】
硬化の前に、ライニングスリーブは、修復されるラインシステムに挿入され、流体、一般には圧縮空気を用いて膨張させられる。ライニングスリーブを膨張させるため、先行技術によれば、圧縮空気がライニングスリーブの一方の開口端部に加えられ、ライニングスリーブの反対側の開口端部は、パッカーとして知られる閉鎖装置によって閉鎖される。この場合、この閉鎖装置は、中空シリンダと、中空シリンダが閉鎖され得る被覆要素とを含む。
【0011】
ライニングスリーブを硬化させるために、放射線源を含む硬化装置がその中に挿入され、放射エネルギーによってライニングスリーブの硬化性プライの硬化を活性化、又は実行するために硬化スリーブを通って導かれる。
【0012】
先行技術から知られている硬化装置は、硬化プロセス自体の十分な目視監視が可能でないという不都合を有する。カメラを用いた目視検査が、いわゆる検査旅行によって予め実行される。特に硬化装置の前端部に配置されるカメラシステムが知られているが、それらは側方又は上部及び下部領域における硬化プロセスの正確な観察及び監視は可能ではない。
【0013】
しかしながら、既にほぼ硬化したライニングスリーブが、修復されるべきラインから完全に除去されねばならない可能性があり、その後修復プロセスが再度行われなければならないので、欠陥のある硬化は、高いコスト及び大幅な時間遅延に繋がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第95/04646号
【特許文献2】国際公開第00/73692号
【特許文献3】欧州特許出願公開第23623号
【特許文献4】欧州特許出願公開第1262708号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明は、先行技術の不都合を克服し、特に一つで目視監視及び硬化を可能にする装置を提供するという目標に基づいた。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目標は、特に、高エネルギー放射線によって樹脂含浸ライニングスリーブを硬化させる装置であって、ライニングスリーブを硬化させるための高エネルギー放射線を生成する少なくとも1つの放射線源と、装置の周囲地域の画像のシーケンスを取り込むための少なくとも1つのカメラと、好ましくは硬化装置とは別個の少なくとも1つの入力装置とを含み、入力装置を用いて、カメラの取り込み領域及び/又は表示領域が、ユーザによって設定できるか又は設定され、カメラの取り込み領域の設定が、カメラの少なくとも一部を動かすことによって実行され、且つ/又は設定された表示領域に基づいて少なくとも1つのカメラパラメータを設定するように設計及び設置される電子画像処理装置を用いて実行される、装置によって達成される。
【0017】
本発明によれば、ライニングスリーブを硬化させる装置は、固定した取り込み領域又は表示領域を持つカメラを有さないが、この領域はユーザによって設定され得ることが好適であることが証明されている。かかる設定は、カメラ又はカメラの一部、特に少なくともレンズを機械的に動かすことによって、又は表示領域を設定することによって実行され得る。本発明に含まれるカメラシステムは、ここにおいて特にデジタルカメラであるよう意図される。
【0018】
カメラの取り込み領域は、本発明によれば、好ましくは、カメラの画像センサによって撮像される完全な領域を意味すると理解されることが意図される。表示領域は、本発明によれば、好ましくは、ユーザに表示されるカメラの画像センサのサブ領域の選択を意味すると理解されることが意図される。それ故に、この場合の表示領域は、取り込み領域の表示された切り出しである。
【0019】
先行技術によれば、厳格で不変の取り込み又は表示領域を持つカメラが、硬化装置に使用される。このことは、ユーザがこの厳格な取り込み又は表示領域の周辺領域内の要素又は外側の要素をより正確に見ることができない、又は全く見ることができないという影響を有する。更には、遠近及び色の歪みが起こり、それは使用されるレンズの中心点から増加していく。
【0020】
本発明による装置は、ユーザが、以前には知覚できなかった、ユーザにとって関心のある部分及び要素を選択し、硬化中にそれらを表示させることを可能にする。このために、ユーザは、例えばキー、ジョイスティック等の形の入力装置を用いて入力を実行し、表示すべき所望の領域を選択することができる。
【0021】
上述のように、このことは、本発明によればカメラ又はカメラの一部の機械的旋回によって実行され得る。或いは、いわゆる「関心領域」(ROI:region of interest)も選択され得る。ROIは、この場合には画像切り出しのサイズ(及び従って解像度)だけでなく、その位置も固定されることを可能にする。結果として、画像データ量が減少する。それ故に画像は、より迅速に伝送され得る。画像切り出しの選択が、解像度の低下に繋がるだけでなく、表示される画像の小さいフォーマットにも同時に繋がることが、ここで注目されねばならない。このことは、次にレンズの焦点距離の計算に影響を及ぼし、本発明によれば考慮されるべきである。適切な解像度を確保するためにROIを選択する時にレンズの焦点距離を計算する方法は、先行技術から当業者に知られている。
【0022】
ライニングスリーブの硬化中にラインシステムを視覚化するための取り込み領域又は撮像領域のアナログ及びデジタル旋回が、硬化プロセスを監視し、表示された画像に応答した介入によって任意でそれを最適化するために好適であることが、本発明の範囲内に示されている。
【0023】
本発明の脈絡におけるラインシステムは、負圧、常圧、又は正圧下で操作され得る、液体又は気体媒体を輸送するためのあらゆる種類のラインシステムを意味すると理解されることが意図される。あらゆる種類のパイプライン、化学プラント及び製造プラント内で媒体を輸送するパイプラインシステム、加圧水管及び飲料水管のような圧力ライン、並びに特に地下又は見えない場所に置かれた廃水システムも、実例としてここで言及され得る。ライニングスリーブを硬化させるための本発明による照明手段の使用は、特に下水設備における、かかる廃水ラインの修復にも適している。
【0024】
本発明の例示的な実施例によれば、少なくとも1つのカメラパラメータが、選択されるべきカメラの画像センサのサブ領域を含むことが好適であることが証明されている。
【0025】
非常に大きな画角を持つ非常に高解像度のカメラに影響を及ぼす問題は、結果として得られるデータ量が、大きな労力によらなければエラーを生じずに伝送できないことである。この問題は、放射線源の放射エネルギーがデータラインに干渉を引き起こすので、特にライニングスリーブにおける硬化プロセス中に起きる。更には、デジタル画像処理装置における計算量は、高解像度カメラの完全な評価の場合、大幅に増加する。更には、そうでなければユーザが所望の領域を正確に観察できず、それらが非常に小さくしか示されないので、前記広角画像を提示するために大きな表示装置が必要とされる。
【0026】
従って、高解像度を持つ広角カメラは、全画像情報を伝送する時に相当の不都合を伴う。しかしながらこれらの不都合は、選択されるカメラのサブ領域がパラメータとして固定されるか、又は固定できる、ROIとして本発明による表示領域を設定することによって克服される。このことは、伝送され、評価されるデータ量を減少させ、表示装置上で選択領域の良好な図形表示を可能にする。デジタルズーム等のようなその後の画像処理手順は、ある種の表示領域をより良好に識別可能にするために、追加的に好適な改良として可能であることが明らかである。
【0027】
本発明によるデジタル旋回は、この場合に特に好適であることが証明されており、カメラの機械的旋回に加えて、又はその代わりに実行され得る。
【0028】
特にこの場合に、カメラが、60°〜270°、特には60°〜180°の対角画角を持つ広角レンズ、特には魚眼レンズを含むことが好適であり得る。
【0029】
前記画角は、できるだけ大きいカメラの取り込み領域を確保するために特に好適であることが証明されている。このことは、一方でカメラの旋回を不必要にし、又は移動経路を減少させ、且つ/又は必要とされるカメラシステムの個別のカメラ数を減少させ得る。
【0030】
少なくとも1つのカメラが、第1の軸の周りを回転可能で且つ第2の軸の周りを枢動可能なスイベルヘッドを含み、スイベルヘッドと作動接続した電気モータが、特にカメラの取り込み領域の位置を変更するために含まれることが、本発明によれば好ましいことがある。
【0031】
第2のスイベル軸による例えば上から下へ垂直方向、又は右から左へ水平方向での第1の軸におけるカメラのかかる回転は、ユーザがラインシステムの選択された領域を表示するために使用できる、確保すべきカメラの大きな可変取り込み領域を可能にする。
【0032】
本発明の一実施例によれば、スイベルヘッド及び/又は電気モータが、断熱ハウジング内、特に少なくとも1つの第1の断熱層と、少なくとも1つの第2の断熱層とを含み、第1の層と第2の層の間に真空が形成されるか又は形成できる少なくとも1つの壁を含むハウジング内に配置されることが、この場合に好適であり得る。
【0033】
ライニングスリーブの硬化プロセスの場合に、高温が放射線源によって放出される放射エネルギーによって生成され、カメラを機械的に旋回させるために必要な電気モータの信頼性に対して非常に悪い影響を及ぼす。かかる高温は、検査装置による検査旅行中には起こらず、従って、本発明は、スイベルヘッド及び/又は電気モータを断熱すると、信頼性及び耐用年数が著しく増加し、それらを硬化装置内で使用することが可能になるという驚くべき発見に基づいた。
【0034】
壁の間に真空を形成するハウジングの二重壁形状が、ここでは特に好適であることが証明されている。結果として、最適な断熱が与えられ得る。他の断熱形状も可能であり、本発明は記載された二重壁ハウジング形状に限定されないことが、ここでは当業者に明白である。
【0035】
一実施例によれば、少なくとも1つのカメラは、特に、装置の前端部に、若しくは前端部の領域に、及び/又は後端部に、若しくは後端部の領域に配置されることも実現され得る。
【0036】
装置の前端部又は後端部での配置は、硬化前に未硬化のライニングスリーブを見られるようにし、且つ/又は硬化したライニングスリーブを見られるようにするために、硬化プロセスを視覚化するために特に好適であることが証明されている。前端部及び後端部という用語は、ここでは本発明の理解を容易にする役割のみを果たし、長手方向における装置の終点を確定するものと意図される。前端部又は後端部の領域における特徴は、前端部から後端部に測定される装置の長さに対して前端部又は後端部から20%までの、好ましくは15%の、特に好ましくは10%までの範囲内の距離でカメラの配置を定めるものと意図される。
【0037】
この場合に、カメラが上端部及び/若しくは下端部に、又は上端部及び/若しくは下端部の領域に、限定的に又は追加的に配置されることも実現され得ることは、言うまでもない。
【0038】
更に、少なくとも2つのカメラが含まれ、それらカメラの取り込み領域が、互いに重なり合って配置されないか、又は互いに部分的にのみ重なり合って配置され、それらカメラの取り込まれた情報が、電子画像処理装置によって一緒に評価されることが好ましい場合もある。
【0039】
非常に大きな画角を有する1つのみの特に高解像度のカメラを使用する代わりに、多数のカメラが一緒にカメラシステムを形成することが実現され得る。かかるカメラシステムは、この場合に同義語としてカメラと称される。取り込み領域が重なり合わないか、又は部分的にのみ重なり合い、且つ取り込まれた情報が電子画像処理装置によって一緒に評価される、多数のカメラの使用は、幾つもの利点を伴い得る。一方で、かかるカメラは、一般に使用されるカメラを利用することが可能なので、1つのみのカメラの使用よりも経済的であり得る。更には、個別の取り込まれた画像切り出しがその後初めてデジタル的に組み立てられるので、大きな画角が達成でき、同時に小さい歪みで達成され得る。1つのカメラが故障しても、ラインシステムの少なくともサブ領域が取り込まれ続け、従って硬化が少なくとも部分的に監視されることをなおも可能にするので、全体のシステムの信頼性が増加することも好適であり得る。
【0040】
この場合に、電子画像処理装置は、全てのカメラの取り込まれた情報に基づいて、設定された表示領域を計算及び表示することが好ましいこともある。
【0041】
全てのカメラの情報を考慮することは、提示される表示領域がユーザによって所望に応じて設定された表示領域であり、また電子画像処理装置を用いて別個のカメラの2つ以上のサブ画像から計算されてもよいという効果を有する。
【0042】
本発明の一実施例によれば、画像処理装置によって選択されたデジタル化データが、デジタル補正、特に歪みの除去を受けることが可能であることが実現され得る。
【0043】
多くのレンズは、ピンクッション形状又はバレル形状の歪みを有する。この場合、直線は、画像の中心点を通らない限り、直線として描かれない。多くのレンズ素子を有する複合レンズの場合には、「波形の」歪みも発生し得る。その特定の要因の一つは、レンズ素子の構造的形状に起因し、焦点距離が長くなるにつれて増大する径方向歪みである。更なる要因は接線方向歪みであり、偏心歪みとも称される。それは、レンズ及びCCDチップに加えて、レンズの個別の光学及び機械的構成部品も互いに完全に位置合わせされないことに起因する。
【0044】
特に大きな画角を持つレンズの場合、特に魚眼レンズの場合に、これらの歪みが電子画像処理を用いて補正されると好適である。電子画像処理を用いた補正の場合、歪みの程度が通常画像の中心点からの距離によって決まることが利用される。かかる場合に、画像は極座標によって記載され得る。画像点の位置は、この場合、画像の中心点からの距離、及び例えば水平方向からの角度によって表される。適用される補正は、画像の中心点からの距離によって決まり、数学関数として記載され得る。
【0045】
本発明による電子画像処理装置は、画像の反対方向の歪みによって前記歪みを補正できる。このことは、どのピクセルが歪みのないピクセルにそれぞれ対応するかを計算することを含み、方程式の非線形性のために非常に複雑である。横色収差は、赤、緑、及び青チャネルごとに個別に、かかる画像ワーピングによって著しく低減できる。代替的な補正方法も先行技術において知られており、例えば反復による歪みのない画像点の計算のように幾分好適であることを証明している。
【0046】
最後に、装置が表示装置と作動接続しているか、又は作動接続させ得ることが実現されても良く、カメラの取り込み領域及び/又は表示領域が表示装置に表示されるか、又は表示することができる。
【0047】
ライニングスリーブの硬化は、ユーザによって実際のラインの外側から制御されることが通常である。このために、一方で制御信号がオペレータ制御要素から装置に伝送され、他方で取り込まれたカメラ情報が表示装置に伝送され、その結果、ユーザは制御のためにカメラ情報に頼ることができる。
【0048】
本発明によれば、本発明の一実施例により、ガス放電ランプ、ショートアークランプ、ストロボランプ、フラッシュランプ、アークランプ、特にキセノンランプ、及び/又は水銀キセノンランプが、放射線源として装置に含まれることが好適であり得る。
【0049】
ライニングスリーブは、一般に硬化性プライ及び/又は硬化プライとして、硬化性樹脂を含浸させた1つ以上の繊維帯を有する。この場合に、原則として繊維帯として適しているのは、長い連続繊維又は短繊維の形の繊維を含んでもよい、織物、編地、若しくは撚り布、マット又は不織布の形で当業者に知られているあらゆる製品である。対応する製品は、それ自体が当業者に知られており、様々な製造業者から様々な種類にわたって市販されている。かかるライニングスリーブは、本発明による放射線源によって最適に硬化され得る。
【0050】
本発明の範囲内では、本発明の脈絡における繊維帯はフェルトも含むと理解されるべきである。フェルトは、困難を伴わずに分離できない、不規則な繊維状物質を含むシート状構造である。原理上、フェルトは、したがって不織布地である。フェルトは、一般に人工繊維及び植物繊維から乾燥ニードルパンチによって(ニードルフェルトとして知られる)、又はノズルバーから高圧で発せられる水噴射による圧密によって製造される。フェルトの個別の繊維は、不規則な配置で互いに絡み合っている。フェルトは良好な耐温度性を有するとともに一般に湿気をはじき、液体運搬システムに使用されるときに好適であり得る。
【0051】
使用される繊維の長さはいかなる特定の制約も受けず、すなわちいわゆる長繊維及び短繊維の両方又は繊維片が使用され得る。対応する繊維帯の特性も、使用される繊維の長さによって広い範囲にわたって設定及び制御され得る。
【0052】
使用される繊維のタイプも、いかなる制約も受けない。単に例として、ガラス繊維、炭素繊維又は合成繊維、例えばアラミド繊維又は熱可塑性物質の繊維、例えばポリエステル若しくはポリアミド若しくはポリオレフィン(例えばポリプロピレン)がここで挙げられるが、その特性と共に当業者には知られており、様々な種類のものが市販されている。経済的理由から、ガラス繊維が一般に好まれる。しかしながら、例えば特定の耐熱性が重要である場合、高い温度での強度に関してガラス繊維と比較して利点を提供できる、例えばアラミド繊維又は炭素繊維を使用することが可能である。
【0053】
ライニングスリーブは、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の繊維帯を含んでもよい。
【0054】
最後に、本発明は、ライニングスリーブ内で、且つ/又はライニングスリーブの硬化装置として、特にライニングスリーブを硬化させるための、好ましくはライニングスリーブの硬化性プライを硬化させるための本発明による装置の使用を提供する。
【0055】
従って本発明は、ユーザによるライニングスリーブの硬化プロセスの監視は、固定カメラを利用しない場合に著しく改善できるが、代わりにユーザがアナログ又はデジタルで所望の取り込み領域又は表示領域を設定できるという驚くべき発見に基づいている。この場合に、個別のカメラが使用されることが実現され得るが、幾つかの実施例によれば、多数の個別のカメラが組み合わされ、ここではカメラとも称されるカメラシステムを形成し、電子画像処理装置によって一緒に評価されることが同様に好適であり得る。
【0056】
従って本発明による装置は、取り込み領域又は表示領域がデジタル又はアナログで枢動可能に形成される硬化プロセスを監視するために、ユーザが硬化中にライニングスリーブの所望の切り出しを設定し、それらを表示できることを初めて可能にする。
【0057】
上述の記載及び特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、本発明を種々の実施例において実施するために、単独でも、いずれかの所望の組み合わせにおいても不可欠であり得る。
【国際調査報告】