特表2019-523654(P2019-523654A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2019-523654ユーグレナ溶解産物組成物ならびに該組成物および精製されたベータ−1,3−グルカンを生産するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-523654(P2019-523654A)
(43)【公表日】2019年8月29日
(54)【発明の名称】ユーグレナ溶解産物組成物ならびに該組成物および精製されたベータ−1,3−グルカンを生産するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/12 20060101AFI20190802BHJP
   C12N 1/06 20060101ALI20190802BHJP
   C12P 19/04 20060101ALI20190802BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20190802BHJP
   A61K 36/02 20060101ALI20190802BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 33/30 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20190802BHJP
   A61K 33/26 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 33/32 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 31/4188 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 33/34 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 33/242 20190101ALI20190802BHJP
   A61K 31/51 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 31/525 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 31/714 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 31/59 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 31/355 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 31/122 20060101ALI20190802BHJP
   A61K 31/455 20060101ALI20190802BHJP
   A23K 40/30 20160101ALI20190802BHJP
   A23K 20/163 20160101ALI20190802BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20190802BHJP
【FI】
   C12N1/12 Z
   C12N1/06
   C12P19/04 Z
   A23L33/10
   C12N1/12 C
   A61K36/02
   A61P3/02
   A61K33/30
   A61K33/24
   A61K33/26
   A61K33/32
   A61K31/4188
   A61K33/34
   A61K33/242
   A61K31/51
   A61K31/525
   A61K31/714
   A61K31/375
   A61K31/59
   A61K31/355
   A61K31/122
   A61K31/455
   A23K40/30 B
   A23K20/163
   A23K10/30
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2019-516908(P2019-516908)
(86)(22)【出願日】2017年6月7日
(85)【翻訳文提出日】2019年1月30日
(86)【国際出願番号】US2017036270
(87)【国際公開番号】WO2017214224
(87)【国際公開日】20171214
(31)【優先権主張番号】15/177,368
(32)【優先日】2016年6月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/177,376
(32)【優先日】2016年6月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/177,383
(32)【優先日】2016年6月9日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】518435552
【氏名又は名称】エフ3 プラットフォーム・バイオロジクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】コックス,ブラッド
(72)【発明者】
【氏名】ジャムログ,デレク
(72)【発明者】
【氏名】ザーチャー,キップ
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4B064
4B065
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
2B150AB10
2B150DC14
2B150DD47
2B150DD56
2B150DD59
2B150DJ26
4B018LE02
4B018MD89
4B018ME02
4B018MF01
4B018MF06
4B018MF08
4B018MF10
4B018MF13
4B064AF11
4B064AF12
4B064CA08
4B064CB30
4B064CC15
4B064CE02
4B064CE03
4B064CE08
4B064CE16
4B064DA10
4B065AA83X
4B065BD01
4B065BD06
4B065BD10
4B065BD16
4B065BD25
4B065CA01
4B065CA17
4B065CA22
4B065CA24
4B065CA41
4B065CA43
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA09
4C086BA18
4C086BC19
4C086BC83
4C086CB09
4C086CB28
4C086DA15
4C086DA39
4C086GA07
4C086GA10
4C086HA04
4C086HA07
4C086HA11
4C086HA19
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA28
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZC21
4C088AA12
4C088MA01
4C088MA03
4C088MA17
4C088MA22
4C088MA28
4C088MA35
4C088MA37
4C088MA43
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZC21
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB27
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA37
4C206MA48
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA63
4C206MA72
4C206NA05
4C206ZC21
(57)【要約】
組成物は、ユーグレナ溶解産物、ならびにユーグレナバイオマスおよびユーグレナ溶解産物を生産した発酵プロセスから残った細胞成分および残留培地を包含する。細胞成分は、1.2〜580キロダルトン(kDa)の分子量を有する1つまたはそれより多くのベータグルカンポリマー鎖を包含していてもよい。ユーグレナ溶解産物を生産するための方法は、ユーグレナ属生物からバイオマスを成長させること、バイオマスを溶解させること、および溶解させたバイオマスを乾燥させて、ユーグレナ溶解産物を形成することを包含する。精製されたベータ−1,3−グルカンを生産するための方法は、バイオマスを成長させること、それを溶解させ、洗浄し、脱水し、乾燥させることを包含する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約2.0〜500マイクロメートルの粒度を有するユーグレナ溶解産物;ならびに
ユーグレナバイオマスおよびユーグレナ溶解産物を生産した発酵プロセスから残った細胞成分および残留培地
を含む組成物。
【請求項2】
金属またはその塩をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記金属が、亜鉛を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、単回投与用のカプセルに製剤化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記残留培地が、ミネラル、ビタミン、糖、およびアミノ酸の少なくとも1種を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ミネラルおよびビタミンが、ビオチン、カルシウム、銅、葉酸、鉄、マグネシウム、マンガン、ナイアシン、リン、カリウム、ナトリウム、亜鉛、およびビタミンB1、B2、B6、B12、C、D、E、K1またはその塩からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記細胞成分が、脂質、タンパク質およびアミノ酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記アミノ酸が、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンからなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記脂質が、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、脂肪、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、パルミトレイン酸、およびパントテン酸またはそれらのあらゆる組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
カロチノイドをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、栄養補助サプリメント組成物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、動物またはヒトのための食品添加剤として製剤化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記細胞成分が、1.2〜580キロダルトン(kDa)の分子量を有する1つまたはそれより多くのベータグルカンポリマー鎖を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記ベータグルカンポリマー鎖が、7〜3,400単位のポリマー長を有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
ユーグレナ溶解産物を生産するための方法であって、
ユーグレナ属生物からバイオマスを成長させること;
バイオマスを溶解させること;および
溶解させたバイオマスを乾燥させて、ユーグレナ溶解産物を形成することを含む、上記方法。
【請求項16】
前記ユーグレナ溶解産物に、金属を添加することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記溶解が、機械的な溶解、pH駆動の溶解、および温度駆動の溶解からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記機械的な溶解が、ホモジナイズすることまたはビーズミリングすることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記バイオマスを500bargより高い圧力でホモジナイズすることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記バイオマスを500〜1,900bargの圧力範囲でホモジナイズすることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記バイオマスを、7.0より高いpHで、且つ5℃より高い温度で溶解させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記バイオマスを塩基で処理すること、および前記バイオマスを、9.0より高いpHで、且つ45℃より高い温度で溶解させることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記バイオマスが、3〜350グラム/リットル(g/L)の濃度に成長するかまたは濃縮される、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
溶解させる前に、成長したバイオマスを脱水することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記脱水が、前記バイオマスを遠心分離すること、または重力でデカントすることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
精製されたベータ−1,3−グルカンを生産するための方法であって、
ユーグレナ属生物からバイオマスを成長させること;
バイオマスを溶解させて、溶解させたバイオマスを形成すること;
溶解させたバイオマスを洗浄し、脱水して、ベータ−1,3−グルカンを生産すること;および
ベータ−1,3−グルカンを乾燥させて、精製されたベータ−1,3−グルカンを生産すること
を含む、方法。
【請求項27】
前記溶解させたバイオマスを、複数回洗浄し、脱水することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記溶解が、機械的な溶解、pHおよび温度駆動の溶解、界面活性剤による溶解、ならびに酵素による溶解からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記機械的な溶解が、ホモジナイズまたはビーズミリングすることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記バイオマスを500〜1,900bargの圧力範囲でホモジナイズすることを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記バイオマスを、7.0より高いpHで、且つ5℃より高い温度で溶解させることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記溶解が、脂肪酸から誘導され、ヤシ油、パーム油、パーム核油、およびピルオイルの少なくとも1種を含む界面活性剤で、前記バイオマスを処理することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記溶解が、脂肪酸から誘導され、ヤシ油、パーム油、パーム核油、およびピルオイルの少なくとも1種を含むアシル−アミノ界面活性剤で、前記バイオマスを処理することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記溶解させたバイオマスを、水、酸、塩基、エタノール、または組合せの1つまたはそれより多くで処理することによって、前記溶解させたバイオマスを洗浄することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記乾燥が、噴霧乾燥、リボン乾燥、トレイ乾燥、凍結乾燥、ドラム乾燥、真空リボン乾燥、レフラクタンスウィンドウ乾燥および真空ドラム乾燥からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
前記バイオマスが、3〜350グラム/リットル(g/L)の濃度に成長するかまたは濃縮される、請求項26に記載の方法。
【請求項37】
溶解させる前に、成長したバイオマスを脱水することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
[0001]このPCT出願は、2016年6月9日付けで出願された米国出願第15/177,368号;および2016年6月9日付けで出願された米国出願第15/177,376号;および2016年6月9日付けで出願された米国出願第15/177,383号に基づいており、これらの開示は、参照によりそれら全体が開示に組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
[0002]本発明は、ユーグレナ属生物の分野に関し、より特定には、本発明は、ユーグレナ溶解産物組成物、ならびにユーグレナ溶解産物を生産する方法、および精製されたベータ−1,3−グルカンを生産するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]ベータグルカンは、細菌、酵母、藻類、真菌によって生産されたり、穀物中に存在したりするβ−D−グルコース多糖類の群である。ベータグルカンの特性は、源によって、例えば、細菌、藻類、酵母または他の源由来かどうかによって決まる。通常、ベータグルカンは、1,3ベータ−グリコシド結合を有する直鎖状骨格を形成する。ヒトまたは動物の食物内にベータグルカンを取り込むことは利点があることが公知である。一部のベータグルカンは、免疫調節に役立ち、飽和脂肪のレベルを減少させ、心疾患のリスクを低下させることができる。また、異なるタイプのベータグルカンは、ヒトの生理学に対して異なる作用を有することも公知である。例えば、穀物のベータグルカンは、高コレステロール血症を有する者において血糖のレギュレーションに影響を与える可能性があり、一方でマッシュルームのベータグルカンは、免疫系に対する生体応答調整物質として作用することができる。一部のケースにおいて、酵母のベータグルカンは、アレルギー性鼻炎に関するIL4およびIL5サイトカインのレベルを減少させ、IL12のレベルを増加させることができることが発見された。
【0004】
[0004]また、パラミロン(ベータ−1,3−グルカン)を含有するミドリムシ(Euglena gracilis)のバイオマスが、個体の免疫機能を強化できることも決定されている。パラミロンは、高い分子量を有する直鎖状(非分岐状)ベータ−1,3−グルカン多糖類ポリマーである。この非分岐状ポリマーは、例えば、酵母の細胞壁や例えばオートムギおよび大麦などの穀物由来の分岐状ベータ−(1,3;1,6)−グルカン;および例えばマッシュルームに見出される多糖類側鎖を形成するベータ−(1,4)−グリコシド結合を有する分岐状ベータ−1,3−グルカンなどの他のベータグルカンとは異なる。
【0005】
[0005]ユーグレナ属由来のベータグルカンの利点は、ベータ−(1,6)、ベータ(1,4)、およびベータ(1,2)結合がないこと、さらに側鎖の分岐構造がまったくないことである。分岐を有する分子のように、さらには分岐を有する一部の他のグルカンと同様に、この直鎖状ベータグルカンは不溶性であり、同質であり、より複合的な局在化および免疫応答に関与する受容体への結合親和性を有すると考えられる。パラミロンは、ミドリムシ藻類から得ることができ、このミドリムシ藻類は、原生生物であり、ユーグレナ科中の微小藻類門ユーグレナ藻の一種であり、パラミロンも生産することが可能な多くの様々な独立栄養性および従属栄養性種を包含する。これらの原生生物は、浅い淡水の河川、湖および池などの栄養豊富な淡水に見出すことができる。パラミロンは、ユーグレナ類のためのエネルギー貯蔵化合物であり、他の藻類ではデンプンまたは油および脂肪に匹敵する。パラミロンは、ピレノイド中で生産され、細胞質中で顆粒として貯蔵される。ミドリムシ中のパラミロン顆粒は、長方形であり、直径が約0.5〜2マイクロメートル(um)である。ミドリムシの保存培養は通常、制御された実験室条件で維持され、最初の接種材料源として使用される。ミドリムシは、密閉式の滅菌可能なバイオリアクター中で、無菌状態で製造することができる。ミドリムシの接種材料は、シードバイオリアクターに移して、より大量のバイオマスを蓄積させ、次いで必要に応じてより大きいバイオリアクターに継代することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]改善された発酵技術を使用して、ユーグレナ属生物からの、より特定にはミドリムシからのこのような直鎖状の非分岐ベータ−1,3−グルカンの生産をスケールアップすることが望ましい。ミドリムシ由来のベータグルカンは、免疫応答の強化や他の健康増進特性などの、ヒトおよび他の動物の健康にとって有利な特性を付与することができる。改善された免疫調節および他の用途にとって強化された特性を有するベータグルカン組成物を形成することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
[0007]この要約は、詳細な説明でさらに後述される概念の選択を示すために提供される。この要約は、特許請求された主題の主要なまたは必須の特徴を同定することが意図されないだけでなく、特許請求された主題の範囲の限定に役立つとして使用されることも意図されない。
【0008】
[0008]組成物は、ユーグレナ(属)溶解産物、ならびにユーグレナ(属)バイオマスおよびユーグレナ(属)溶解産物を生産した発酵プロセスから残った細胞成分および培地を含む。本組成物は、亜鉛などの金属を含んでいてもよいし、単回投与用のカプセルに製剤化されてもよいし、または栄養サプリメントとして添加されてもよい。
【0009】
[0009]残りの培地は、ミネラルおよびビタミンの少なくとも1種を含み得る。一例において、ミネラルおよびビタミンは、ビオチン、カルシウム、銅、葉酸、鉄、マグネシウム、マンガン、ナイアシン、リン、カリウム、ナトリウム、亜鉛およびビタミンB1、B2、B6、B12、C、D、E、K1またはそれらに由来する塩からなる群から選択される。細胞成分は、脂質、タンパク質およびアミノ酸を含み得る。一例において、アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンからなる群から選択される。脂質は、アラキドン酸、ドコサヘキサ塩酸、エイコサペンタエン酸、脂肪、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、パルミトレイン酸、およびパントテン酸からなる群から選択される。本組成物は、カロチノイド、例えば、アルファおよびベータ−カロチン、アスタキサンチン、ルテイン、およびゼアキサンチンなどをさらに含んでいてもよい。
【0010】
[0010]さらに別の例において、本組成物は、ユーグレナ溶解産物、ならびにユーグレナバイオマスおよびユーグレナ溶解産物を生産した発酵プロセスから残った細胞成分および残留培地を含んでいてもよい。細胞成分は、1.2〜580キロダルトン(kDa)の分子量を有する1つまたはそれより多くのベータグルカンポリマー鎖を含んでいてもよい。ベータグルカンポリマー鎖は、7〜3,400グルコース単位のポリマー長を有していてもよい。
【0011】
[0011]ユーグレナ溶解産物を生産するための方法は、ユーグレナ属生物からバイオマスを成長させること、非限定的な例において、成長したバイオマスを脱水することを含む。本方法は、バイオマスを溶解させること、および溶解させたバイオマスを乾燥させて、ユーグレナ溶解産物を形成することをさらに含む。ユーグレナ溶解産物に、金属が添加されてもよい。
【0012】
[0012]一例において、脱水は、バイオマスを遠心分離すること、または重力でデカントすることを含んでいてもよい。さらなる例において、遠心分離は、デカンター、積層ディスク、円錐型のプレート、プッシャー、およびピーラー遠心分離機からなる群から選択され得る。溶解は、機械的な溶解、pH駆動の溶解、および温度駆動の溶解からなる群から選択され得る。機械的な溶解は、ホモジナイズまたはビーズミリングすることを含んでいてもよい。バイオマスは、500bargより高い圧力でホモジナイズされてもよく、別の例において、500〜1,900bargの圧力範囲で、さらに別の例において、750〜1,000bargの圧力範囲でホモジナイズされてもよい。
【0013】
[0013]バイオマスは、7.0より高いpHで、5℃より高い温度で溶解させてもよく、別の例において、バイオマスは、塩基で処理され、9.0より高いpH、45℃より高い温度で溶解させる。またバイオマスは、塩基で処理され、9.0〜12.5のpHおよび45〜100℃の温度で溶解させてもよい。溶解させたバイオマスは、噴霧乾燥、リボン乾燥、トレイ乾燥、凍結乾燥、ドラム乾燥、真空リボン乾燥、レフラクタンスウィンドウ乾燥(refractance window drying)および真空ドラム乾燥からなる群から選択されるプロセスによって乾燥させてもよい。成長したバイオマスは、50〜350グラム/リットル(g/L)の濃度に脱水してもよい。
【0014】
[0014]さらに別の例において、このプロセスは、成長したバイオマスを脱水することを包含しない。ユーグレナ溶解産物を生産するための方法は、ユーグレナ属生物からバイオマスを成長させること、バイオマスを溶解させること、および溶解させたバイオマスを乾燥させて、ユーグレナ溶解産物を形成することを含んでいてもよい。
【0015】
[0015]精製されたベータ−1,3−グルカンを生産するための方法は、ユーグレナ属生物からバイオマスを成長させること、非限定的な例において、成長したバイオマスを脱水することを含む。本方法は、バイオマスを溶解させて、溶解させたバイオマスを形成すること、溶解させたバイオマスを洗浄し、脱水して、ベータ−1,3−グルカンを生産すること、およびベータ−1,3−グルカンを乾燥させて、精製されたベータ−1,3−グルカンを生産することをさらに含む。本方法は、溶解させたバイオマスを、複数回、洗浄し脱水することを含んでいてもよい。脱水は、バイオマスを遠心分離すること、または重力でデカントすることを含んでいてもよい。遠心分離の例は、デカンター、積層ディスク、円錐型のプレート、プッシャー、およびピーラー遠心分離機からなる群から選択される。
【0016】
[0016]溶解は、機械的な溶解、pH駆動の溶解および温度駆動の溶解、界面活性剤による溶解、ならびに酵素による溶解からなる群から選択され得る。機械的な溶解は、バイオマスをホモジナイズまたはビーズミリングすることを含んでいてもよく、例えば、500bargより高い圧力で、500〜1,900bargの圧力範囲で、別の例において、750〜1,000bargの圧力範囲で、バイオマスをホモジナイズすることを含んでいてもよい。バイオマスは、7.0より高いpHで、5℃より高い温度で溶解させてもよい。また、バイオマスを塩基で処理し、バイオマスを、7.0より高いpHで、45℃より高い温度で溶解させることも可能である。バイオマスは、塩基で処理され、7.0〜12.5のpHで、45〜100℃の温度で溶解させてもよい。バイオマスは、3〜350グラム/リットル(g/L)、より好ましくは50〜175g/Lの濃度を有するスラリーとして形成されてもよい。
【0017】
[0017]溶解は、バイオマスを、脂肪酸から誘導された界面活性剤で処理することを含んでいてもよく、このような界面活性剤は、ヤシ油、パーム油、パーム核油、およびピルオイル(pilu oil)の少なくとも1種を含む。別の例において、溶解は、脂肪酸から誘導されたアシル−アミノ界面活性剤で、バイオマスを処理することを含んでいてもよく、このような界面活性剤は、ヤシ油、パーム油、パーム核油、およびピルオイルの少なくとも1種を含む。さらに別の例において、溶解、または溶解後の細胞断片を洗浄に適した状態にするための処理は、バイオマスを、リゾチーム、プロテアーゼ、リパーゼ、または組合せの1つまたはそれより多くで処理することを含んでいてもよい。溶解させたバイオマスは、溶解させたバイオマスを、水、酸、塩基、エタノール、または組合せの1つまたはそれより多くで処理することによって洗浄してもよい。乾燥は、噴霧乾燥、リボン乾燥、トレイ乾燥、凍結乾燥、ドラム乾燥、真空リボン乾燥、レフラクタンスウィンドウ乾燥および真空ドラム乾燥からなる群から選択され得る。
【0018】
[0018]別の例において、成長したバイオマスは、溶解させる前に脱水してもよいし、または脱水しなくてもよい。精製されたベータ−1,3−グルカンを生産するための方法は、ユーグレナ属生物からバイオマスを成長させること、バイオマスを溶解させて、溶解させたバイオマスを形成すること、溶解させたバイオマスを洗浄し、脱水して、ベータ−1,3−グルカンを生産すること、およびベータ−1,3−グルカンを乾燥させて、精製されたベータ−1,3−グルカンを生産することを含んでいてもよい。
図面の簡単な説明
[0019]本発明の他の目的、特徴および利点は、添付の図面に照らして検討した場合、以下に記載される発明の詳細な説明から明らかになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】[0020]図1は、非限定的な例に従って繰り返しの流加培養発酵を使用した好ましいベータグルカン生産プロセスを示すハイレベルフローチャートである。
図2】[0021]図2は、非限定的な例に従って連続発酵を使用したベータグルカン生産プロセスを示す別のハイレベルフローチャートである。
図3】[0022]図3は、非限定的な例に従って精製されたベータグルカンを作製するための下流での加工の例を示すハイレベルフローチャートである。
図4】[0023]図4は、非限定的な例に従ってベータグルカン溶解産物を作製するための下流での加工の例を示すハイレベルフローチャートである。
図5】[0024]図5は、非限定的な例に従って全細胞ミドリムシを作製するための下流での加工の例を示すハイレベルフローチャートである。
図6】[0025]図6は、非限定的な例に従って独立栄養、混合栄養および従属栄養の組合せを使用したベータグルカン生産プロセスのハイレベルフローチャートである。
図7】[0026]図7は、非限定的な例に従って図1の例示のミドリムシの加工から形成された組成物を含有するカプセルの例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
[0027]以下、様々な実施態様を、好ましい実施態様が示される添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。多くの様々な形態を明示することができるが、記載された実施態様は、本明細書に記載の実施態様に限定されると解釈されるべきではない。そうではなく、これらの実施態様は、この開示が詳細にわたり十分であるように、さらに、当業者に範囲を十分に伝えられるように提供される。
【0021】
[0028]ミドリムシ由来のベータグルカンはまた、ベータ−1,3−グルカン、ベータ−1,3−D−グルカン、パラミロン、藻類のベータグルカンまたはユーグレナ属のベータグルカンとしても当業者公知である。以下に、通常、50〜75重量%のベータグルカンを生産し、細胞内の結晶質の顆粒として貯蔵される、ミドリムシとして公知の原生生物の発酵を使用する、スケールアップした加工方法の詳細を示す。ベータグルカンは、グルコースポリマーであり、ミドリムシによって生産されたベータグルカン中のグルコース結合は、主として1,3(>99%)である。他のベータグルカン源は、1,3、1,4、1,6、2,3および3,6結合の比率が異なっており、ミドリムシから生産されたベータグルカンと比較して、例えば分岐や異なるポリマー長を有する酵母から生産されたベータグルカンを包含する。これらの他のベータグルカン源との構造的な差は、インビボでの動物試験において異なる応答を惹起すると考えられる。非限定的な官能基置換、例えばアシル化、スルホン化、ニトロ化、リン酸化またはカルボキシメチル化などにより本来のベータ−1,3−グルカン構造に変更を加えることは、用途に応じて、グルカンの物理化学的な特性を有利に変更する可能性があり、例えば、溶解性、生成物の局在化または結合部位の親和性を改善することができる。
【0022】
[0029]図1を参照すると、非限定的な例に従ってベータグルカンを生産するために使用できる一連の加工工程20が概略的に例示される。このプロセスは、繰り返しの流加培養発酵と称されるものを使用しており、精製されたベータグルカン、ミドリムシ溶解産物または乾燥させたユーグレナバイオマスとしての組成物を生産する。
【0023】
[0030]プロセスをスターターシードトレイン(ブロック22)を用いて開始し(ブロック21)、フェルンバッハフラスコ、例えば当業者公知の標準サイズのフラスコ中で培養物を従属栄養で成長させる(ブロック24)。継代培養の一部をフィードバックし、その一方で、他の部分をシード容器またはタンクに送り(ブロック26)、次いで発酵タンクに送る。この時点で、発酵は、以下でより詳細に説明するように、滅菌したフィード(ブロック30)を使用して、繰り返しの流加培養発酵プロセスで継続される(ブロック28)。
【0024】
[0031]操作上、発酵プロセスは、温度を23〜32℃に制御し、かき混ぜによって提供される撹拌および空気または酸素の送達を伴い、または伴わずに、3〜5のpH、および10〜40%の溶存酸素含量でなされる。栄養源としては、炭素源としてグルコースおよび他の糖または短鎖脂肪酸、アミノ窒素のための酸またはアンモニアおよびそれらから生じる塩、ならびに微量金属成分およびビタミンを挙げることができる。発酵中に、既存のおよび新しい発酵成長成分の少なくとも1つを発酵バッチに添加してもよく、発酵バッチの少なくとも一部が回収されて、バイオマスを生産することができる。
【0025】
[0032]発酵条件および作動パラメーターに応じてバッチのおよそ5%〜約95%が回収され(ブロック32)、残った液体培地が、次のバッチのための接種材料である。このプロセスは、「繰り返しの」または「ドローアンドフィル(draw and fill)」プロセスに相当する。この時点で、バッチの約5%〜約95%を回収して生じるアウトプットを遠心分離して、濃縮スラリーまたは湿潤ケークを形成し、それに続き、3つの加工段階を、この非限定的な例において望ましい生成物のタイプに応じてそれぞれのブロック34、36および38に示される好ましいデカンター型遠心分離機で開始する。デカンター型遠心分離機は、遠心力を使用してスラリー中で液体から固体材料を分離することが理解されるものとする。デカンター型遠心分離機の代わりに、例えば積層ディスク、円錐型のプレート、プッシャー、またはピーラー遠心分離機などの様々な遠心分離機の技術が脱水に使用することができる。これらは、ラージスケールでの加工のために設計されている。重力によるデカントおよび他の遠心分離機の技術は、ろ過などの他の濃縮技術に加えてバイオマスを脱水するのに使用することができる。
【0026】
[0033]遠心分離後の第1の順序において、バイオマスを初回通過のみで溶解させる(ブロック40)。バイオマスはまた、例えば遠心分離中に洗浄し(ブロック42)、溶解および洗浄後に、一例として噴霧乾燥させ(ブロック44)、洗浄の結果生じる精製されたベータグルカンとしてパッケージングする(ブロック46)。洗浄プロセスは、後述するが、使用される細胞溶解技術に応じて様々であってもよい。細胞を溶解させるために、様々な機械的に崩壊させる器具、化学物質または他の特殊化された溶解操作を使用することができる。遠心分離後の第2の考えられる順序において(ブロック36)バイオマスを溶解させ(ブロック48)、噴霧乾燥して(ブロック50)、ミドリムシ溶解産物のためにパッケージングする(ブロック52)。遠心分離後の第3の考えられる順序において(ブロック38)、バイオマスを噴霧乾燥し(ブロック54)、乾燥したミドリムシバイオマスとしてパッケージングする(ブロック56)。
【0027】
[0034]以下でより詳細に説明するように、溶解産物または全細胞材料の組成物は、発酵した材料を包含していてもよく、この発酵した材料は、発酵槽中に存在し、形成された組成物中に包含されていた藻類細胞の外部の成分を包含するものなどである。このような組成物は、発酵プロセス中に多くの成分が消費されたとしても、一部の培地およびビタミンを包含し得る。そのような組成物としては、金属およびベータグルカンを含む組成物を挙げることができ、金属は、亜鉛であり得る。本組成物は、タンパク質およびアミノ酸、脂質、ミネラル、例えば亜鉛、代謝産物、ビタミン、ならびにベータグルカンを含むバイオマス溶解産物を包含し得る。この細胞断片および他の成分の組合せは、最終産物にさらなる有利な特性を付与することができる。発酵槽中に存在していたバイオマスの外部の成分は、様々な考えられる食事、医療、および化粧用途において有利で有用な利益のための、溶解産物生成物および組成物の一部になり得る。
【0028】
[0035]ここでスターターシードトレイン(ブロック22)を、従属栄養培養の開始における第1の工程が培地調製であるという理解の下で説明する。シードトレインは、スラント、プレート、凍結培養物または他の培養貯蔵メカニズムから開始することができる。50ミリリットルから最大3リットルまたはそれより多くの量から開始するフラスコ中での複数回の継代を使用して、シード容器およびスターターシードトレインのための培養物を調製することができる。
【0029】
[0036]シードトレインの加工が完了したら、シードの発酵を行うことができる。生産スケールの環境において、典型的には、少なくとも1つのシード容器が存在し、培養物は次第に大きくなるシード容器に継代されて、その後、最も大きい生産物発酵器具が使用される。シード容器の目的は、シードトレインと同じであり、すなわちバイオマス蓄積を最大化することである。シード容器のプロセスは、典型的にはバッチ発酵プロセスであるが、一例において、一部または全ての培地成分のための滅菌フィードを包含する。バイオマスの沈降を防ぐために通気および何らかの混合を必要とする場合もある。
【0030】
[0037]生産スケールの環境において、通常、最終的な発酵タンクが最も大きい容器であり、全体的な施設のアウトプットにおいて律速段階である可能性がある。生産発酵容器の目的は、価値のある分子を生成することである。この段階で使用される培地は様々な成分を包含していてもよく、培地への追加の変化および変更を行ってもよい。シードトレインおよび全体のシード発酵と比較した場合、プロセスのこの段階は、追加のバイオマスを蓄積するだけでなく、パラミロン生産も最適化すると予想される。ミドリムシを加工するための数々の発酵の選択肢がある。このような選択肢としては、(1)バッチ;(2)流加培養;(3)繰り返しのバッチ;および(4)連続発酵が挙げられる。
【0031】
[0038]1.バッチにおいて、培地は、接種の前に添加される。バッチ発酵への追加のプロセスは、通気、混合、温度制御およびpH制御のための酸/塩基成分であり得る。
[0039]2.流加培養において、追加の培地は、連続的または別の時間のいずれかに、発酵バッチ中に添加されてもよい。供給材料は、全体の培地の配合物、選択された成分、または初発のバッチ培地中に包含されない新しい成分であり得る。発酵中のどのような時でも開始する、止める、供給速度を変更することができる複数のフィードがあってもよい。流加培養発酵への追加のプロセスは、通気、混合、温度制御およびpH制御のための酸/塩基成分、または列挙したもののあらゆる組合せであり得る。
【0032】
[0040]3.繰り返しのバッチ(繰り返しのドロー)プロセスは、バッチ発酵である。しかしながら、発酵槽全体が回収される標準的なバッチ発酵と比較して、バッチ培養の最後に、発酵物の一部を回収してもよい。発酵槽中の残った培養物に、新しい滅菌培地を添加してもよい。繰り返しのバッチは、シード容器によって送達できる量より多くの接種材料量を可能にする。加えて、タンクの方向転換時間(停止時間)および/または非生産的な時間を低減することができる。シード容器は通常、一連の繰り返しのバッチを開始する必要があるが、必ずしも全てのバッチをそうしなくてもよく、そうなる場合はシードトレインの仕事量が低くなる。繰り返しのバッチ発酵への追加のプロセスは、通気、混合、温度制御およびpH制御のための酸/塩基成分または列挙したもののあらゆる組合せであり得る。
【0033】
[0041]4.例えば図2で示される連続発酵において、滅菌培地成分、または元の培地から選択された成分、または元の培地中に概説されていない成分のストリームが発酵プロセスにフィードされ、同時に発酵槽または発酵タンクの連続的なパージが回収される。発酵は、所定容量で維持され、入口の栄養素と出口の回収の流速間で生物学的なバランスが保持される。この発酵プロセスは、決して全てを回収することはなく、継続的な回収体積および最小のタンクの方向転換を可能にする。連続発酵への追加のプロセスは、通気、混合、温度制御およびpH制御のための酸/塩基成分の使用、または列挙したもののあらゆる組合せであり得る。
【0034】
[0042]図2の連続発酵プロセスは、繰り返しの流加培養発酵に類似しているが、繰り返しの流加培養発酵(図1のブロック28)の代わりに連続発酵(ブロック28a)が行われる。また、連続発酵が使用される場合、バッチの5〜95%の回収が行われず(図1のブロック32)、その代わりに回収物は貯蔵されて、発酵槽からの連続的な排出物を収集する(ブロック32a)。
【0035】
[0043]乾燥したバイオマスを生産するための複数の技術がある。好ましい技術は、デカンター型遠心分離機を介した機械的な脱水、それに続く噴霧乾燥であると予想される。様々な遠心分離機の技術を使用することができ、このような技術としては、例えば積層ディスク、円錐型のプレート、プッシャー、またはピーラー遠心分離機などが挙げられる。噴霧乾燥工程は、流動性を有する粉末を生産でき、この粉末を加熱して、微生物による生物汚染を低減することができる。加えて、噴霧乾燥の前にバイオマススラリーを加熱しても、最終材料中の微生物による生物汚染を低減することができる。バイオマスは、リボン乾燥、トレイ乾燥、凍結乾燥、ドラム乾燥、真空リボン乾燥、レフラクタンスウィンドウ乾燥、真空ドラム乾燥させてもよいし、または当業者公知の他の技術によって乾燥させてもよい。
【0036】
[0044]ユーグレナバイオマスの溶解産物の全体は、強化された生物学的利用率および他の機能的な利益を有する可能性があるため、組成物に有利であると考えられる。乾燥した溶解産物は、細胞膜、またはより具体的には外被が溶解または崩壊した好ましいミドリムシバイオマスの乾燥した形態である。溶解産物は、ユーグレナ属のあらゆる種から誘導できることが理解されるものとする。溶解は、機械的または化学的な経路を介して行うことができる。非限定的な例において、機械的な細胞溶解は、500bargより高い圧力、例えば500〜1900barg、700〜1000bargの目的範囲などでのホモジナイズを介して行うことができる。工業スケールでの代替プロセスは、ビーズミルを使用して機械的に溶解させることと予想される。化学的な溶解の非限定的な例は、水酸化ナトリウム(NaOH)または他の強塩基、例えば水酸化カリウム(KOH)などによる溶解であると予想される。1つの非限定的な例において、細胞を崩壊させるために、3〜350グラム/リットル(g/L)、より好ましくは50〜175g/Lの濃度でのバイオマスのスラリーは、約0.05〜約2wt%の濃度のNaOHで、または7.0より高いpHで、5℃より高い温度で処理することができる。温度範囲の例は、50〜70℃であり得る。この温度と塩基供与量の組合せは、機械的な力を必要とせずとも、細胞を崩壊させる。溶解した形態のベータグルカンおよび他の代謝産物は、全細胞の形態に比べて、より大きい生物学的利用率を有し得る。得られた乾燥した溶解産物材料は、2〜500マイクロメートルの平均粒度を有していてもよい。より具体的には、平均粒度は、5〜125マイクロメートルであり得る。
【0037】
[0045]乾燥したバイオマス溶解産物を生産する好ましい技術は、3〜350g/Lのバイオマス、より好ましくは50〜175g/Lのバイオマスの濃度で、液体培地を機械的に崩壊させることである。ホモジナイザーは、500bargより高い圧力で使用され、この圧力は、試験済みであり、ホモジナイズおよび遊離のベータグルカン顆粒の生成において有効であることが示されている。ホモジナイザー操作の範囲の例は、バイオマスを溶解させるためにプロセスへの追加の化学物質または添加剤を必要とせずとも、約500〜1,900barg、より最適には750〜1,000bargであり得る。代替として、ホモジナイザーの代わりにビーズミルを使用して、バイオマスを機械的に溶解させることができる。得られた溶解産物材料は、洗浄または分離させずに、噴霧乾燥プロセスを介して乾燥させて、全ての存在する固体および不揮発性成分、可溶性成分を保存する。溶解産物材料はまた、噴霧乾燥の代わりに、リボン乾燥、トレイ乾燥、凍結乾燥、ドラム乾燥、真空リボン乾燥、レフラクタンスウィンドウ乾燥、または真空ドラム乾燥させてもよい。当業者公知の他の乾燥技術も使用することができる。このプロセスは、健康上の利益を有する有用な添加された細胞によって生産された材料または細胞成分に加えて、バイオマスから遊離したベータグルカンを含む材料を生成する。また、それらから精製されたパラミロンを生産するための異なる技術および選択肢もある。
【0038】
I.機械的な崩壊
[0046]乾燥され精製されたベータグルカンを生産するための好ましい技術は、3〜350g/Lのバイオマス、またはより好ましくは50〜175g/Lのバイオマスの濃度で、液体培地を機械的に崩壊させることである。ホモジナイザーは、500bargより高い圧力で使用することができ、この圧力は、試験され、ホモジナイズおよび遊離のベータグルカン顆粒の生成において有効であることが示されている。ホモジナイザー操作の範囲の例は、バイオマスを溶解させるためにプロセスへの追加の化学物質または添加剤を必要とせずに、約500〜1,900barg、より最適には750〜1,000bargであり得る。代替として、ホモジナイザーの代わりにビーズミルを使用して、バイオマスを機械的に溶解させることができる。溶解させる材料を水で洗浄して、細胞成分を除去してもよい。追加の洗浄は、塩基、酸、水またはそれらの組合せを使用して実行され得る。溶解させるスラリーに、塩基、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)を、0.05〜2.0wt%の濃度または7.0より高いpHで添加してもよい。非限定的な例として、水酸化カリウム(KOH)および水酸化アンモニウム(NHOH)などの他の塩基を使用することも可能である。水または0.05〜2.0wt%のカセイアルカリ(NaOH)溶液を用いた追加の洗浄を行うこともできる。酸洗浄も可能である。例えば、硫酸は、0.05〜1.0wt%で添加されてもよいし、または2.0〜10.0、好ましくは3.0〜5.0の溶液pHになるまで添加されてもよい。酸洗浄に続いて、最終的な水での洗浄がなされてもよい。他の考えられる酸としては、非限定的な例として、塩酸(HCl)、リン酸(HPO)、およびクエン酸(C)が挙げられる。また洗浄は、エタノールを使用したり、上記の処理のあらゆる組合せを用いたりすることによっても達成することができる。ベータグルカンのスラリーまたはケークは、各洗浄工程の間に脱水されるべきである。脱水は、遠心分離を用いて、または重力による沈降の後にデカントを用いて行うことができる。得られた洗浄されたベータグルカンのスラリーまたはケークは、噴霧乾燥することができる。代替として、材料は、リボン式乾燥機、真空リボン式乾燥機、ドラム式乾燥機、トレイ式乾燥機、凍結乾燥機、レフラクタンスウィンドウ乾燥機、真空乾燥機によって乾燥させてもよいし、または当業者公知の他の技術によって乾燥させてもよい。
【0039】
II.界面活性剤
[0047]精製されたベータグルカンを生産するための第2の技術は、液体培地を、3〜350g/Lのバイオマス、より好ましくは50〜175g/Lのバイオマスの濃度で、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの界面活性剤を0.2〜2.0wt%の濃度で使用して処理することを含む。この溶液は、約100℃の目標温度で約50℃〜約120℃に少なくとも30分加熱される。SDSの存在下での加熱工程は、細胞膜を崩壊させ、細胞内のパラミロン結晶顆粒を遊離させる。
【0040】
[0048]スラリーは、約4〜24時間重力でデカントさせることができ、その間に結晶顆粒をリアクター/デカンタータンクの底部に沈降させる。濃縮した底部の物質は、追加の加工のためにポンプで排出し、残りの液体は廃棄に送られる。代替として、重力でデカントする代わりに、材料を遠心分離して、バルクの液体を除去してもよい。様々な遠心分離機の技術を使用することができ、このような技術としては、例えば積層ディスク、円錐型のプレート、プッシャー、またはピーラー遠心分離機などが挙げられる。食品グレードのシロキサンベースの消泡剤、例えばTramfloc 1174(登録商標)またはXiameter 1527(登録商標)などは、20ppmより多く、より具体的には200〜400ppmで添加され、SDSによって引き起こされる発泡を低減するのに使用することができる。消泡剤は、SDS/熱処理が使用される場合、その前または後に添加することができる。得られた材料を水で洗浄してもよい。得られた結晶のスラリーまたはケークは、噴霧乾燥することができる。代替として、材料は、リボン式乾燥機、真空リボン式乾燥機、ドラム式乾燥機、トレイ式乾燥機、凍結乾燥機、レフラクタンスウィンドウ乾燥機、真空乾燥機によって乾燥させてもよいし、または当業者公知の他の技術によって乾燥させてもよい。
【0041】
III.天然油の界面活性剤
[0049]精製されたベータグルカンを生成するための第3の技術は、液体培地を、3〜350g/Lのバイオマス、より好ましくは50〜175g/Lのバイオマスの濃度で、天然油から生産された界面活性剤、例えば、約0.2〜約5.0wt%の量の、ヤシ油中の脂肪酸から誘導されたナトリウムココイルグリシネートまたはナトリウムN−ココイル−L−アラニネート(Amilite(登録商標)ACS12)などで処理することを含む。この溶液は、その時点での目標を約100℃として、約50℃〜約120℃に少なくとも30分加熱される。このナトリウムN−ココイル−L−アラニネートまたはナトリウムココイルグリシネートの存在下における加熱工程は、細胞膜を崩壊させ、細胞内のパラミロン結晶顆粒を遊離させる。時間、温度、および濃度パラメーターは、使用される正確な界面活性剤に応じてよりよくすることができる。
【0042】
[0050]スラリーは、約4〜24時間重力でデカントさせ、その間に結晶顆粒をリアクター/デカンタータンクの底部に沈降させる。濃縮した底部の物質は、追加の加工のためにポンプでくみ取ってもよく、一方で残りの液体は廃棄に送られる。代替として、重力でデカントする代わりに、材料を遠心分離機を介して加工して、バルクの液体を除去してもよい。様々な遠心分離機の技術を使用することができ、このような技術としては、例えば積層ディスク、円錐型のプレート、プッシャー、またはピーラー遠心分離機などが挙げられる。消泡剤が添加されてもよい。抗発泡材料の例は、食品グレードのシロキサンベースの消泡剤、例えば、Tramfloc 1174(登録商標)またはXiameter 1527(登録商標)である。消泡剤は、界面活性剤によって引き起こされる発泡を低減するのに使用することができる。消泡剤は、界面活性剤/熱処理が適用される場合、その前または後に添加されてもよい。供与量の範囲の例としては、20ppmより多くの量、より具体的には200〜400ppmが挙げられる。得られた材料を水で洗浄してもよい。得られた結晶のスラリーまたはケークは、噴霧乾燥することができる。代替として、材料は、リボン式乾燥機、真空リボン式乾燥機、ドラム式乾燥機、トレイ式乾燥機、凍結乾燥機、レフラクタンスウィンドウ乾燥機、真空乾燥機によって乾燥させてもよいし、または当業者公知の他の技術によって乾燥させてもよい。
【0043】
[0051]ヤシ油脂肪酸から誘導されたアミノ酸ベースの界面活性剤は、アニオン性であり、同等またはより大きいクレンジング能力を呈示しながらも外部の皮膚にダメージを与える可能性をより低くすることが示されている。これらの特性は、その開示が参照により本明細書に組み入れられる、Reganらによる「新規のグリシネートベースのボディ洗剤(A Novel Glycinate-Based Body Wash)」という表題の論文、Journal of Clinical and Aesthetic Dermatology、2013年6月;第6巻、第6号、23〜30頁に記載されている。ナトリウムココイルグリシネート(SCG)は、それぞれ10、12、16、18:1および18:2、ならびに6、47、18、9、6および2の炭素長およびパーセンテージを含有する天然ヤシ油中の多様な脂肪酸とN末端で連結されたグリシンで構成されたものであり、例えば、その開示が参照により本明細書に組み入れられる国家工業化学品届出審査機構(National Industrial Chemicals Notification and Assessment Scheme)からの報告、ナトリウムココイルグリシネート、EX/130(LTD/1306)(Sodium Cocoyl Glycinate, EX/130 (LTD/1306))、2010年8月に記載されたものなどである。ナトリウムN−ココイル−グリシネートおよびナトリウムN−ココイル−L−アラニネートはどちらも、ヤシ油から誘導された界面活性剤の例である。C8〜C18の大きさの脂肪酸の比率および分布に基づきヤシ油に類似した、パーム油、パーム核油、およびピルオイルから誘導された界面活性剤を使用することが可能である。ヤシ油は、大量のラウリン酸(C12)を含有するが、有意な量のカプリル酸(C8)、デカン酸(C10)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、およびオレイン酸(C18)も含有する。パーム油、パーム核油、およびピルオイルは、ヤシ油と類似の脂肪酸のプロファイルを有しており、これは、これらの油から誘導された界面活性剤が、ヤシ油中の脂肪酸から誘導された界面活性剤と等しく有効である可能性があることを意味する。これらもまた、SDSの代わりに好適であり得る。これらの脂肪酸の天然由来の界面活性剤としての範囲および含量は、変化し得る。
【0044】
IV.pH媒介の溶解
[0052]精製されたベータグルカンを生産するための第4の技術は、塩基を使用してバイオマスを化学的に崩壊させることである。非限定的な例は、水酸化ナトリウム(NaOH)または他の塩基、例えば水酸化カリウム(KOH)などによる溶解と予想される。1つの非限定的な例において、細胞を崩壊させるために、3〜350グラム/リットル(g/L)、より好ましくは50〜175g/Lの濃度のバイオマスのスラリーを、約0.05〜約2wt%の濃度のNaOHで処理してもよいし、または7.0より高いpHで、5℃より高い温度で処理してもよい。温度範囲の非限定的な例は、45〜70℃であってもよく、pHの範囲は、9.0〜12.5であってもよい。この温度と塩基供与量の組合せは、機械的な力を必要とせずとも細胞を崩壊させる。塩基での第1の処理は、細胞を溶解させると予想される。適用される塩基が少なすぎたり、または温度が低すぎたりすると、細胞が崩壊しない可能性があり、適用される塩基が多すぎたり、および/または温度が高すぎたりすると、ほとんどの成分およびベータグルカンが溶解し始める可能性がある。水での洗浄を実行してもよい。追加の洗浄は、塩基、酸、または水を順番に使用して、または酸、塩基、次いで水などのあらゆる組合せで使用して実行することができる。
【0045】
[0053]水または0.05〜1.0wt%水酸化ナトリウム(NaOH)溶液での、または7.0より高いpHへの追加の洗浄を行うことができる。水酸化カリウム(KOH)も機能すると予想される。他の考えられる塩基としては、非限定的な例として、水酸化アンモニウム(NHOH)が挙げられる。酸洗浄が行われてもよい。例えば、硫酸は、0.05〜1.0wt%で添加されてもよいし、または溶液のpHが2.0〜10.0、好ましくは3.0〜5.0になるまでの添加が行われてもよく、酸洗浄に続いて、最終的な水での洗浄がなされてもよい。他の考えられる酸としては、非限定的な例として、硝酸(HNO)、塩酸(HCl)、リン酸(HPO)、およびクエン酸(C)が挙げられる。また洗浄は、エタノールを使用したり、上記の処理のあらゆる組合せを用いたりすることによっても達成することができる。ベータグルカンのスラリーまたはケークは、各洗浄工程の間に脱水されるべきである。脱水は、遠心分離または重力でデカントすることを用いて行うことができる。様々な遠心分離機の技術を使用することができ、このような技術としては、例えば積層ディスク、円錐型のプレート、プッシャー、またはピーラー遠心分離機などが挙げられる。得られた洗浄されたベータグルカンのスラリーまたはケークは、噴霧乾燥することができる。代替として、材料は、リボン式乾燥機、真空リボン式乾燥機、ドラム式乾燥機、トレイ式乾燥機、凍結乾燥機、レフラクタンスウィンドウ乾燥機、真空乾燥機によって乾燥させてもよいし、または当業者公知の他の技術によって乾燥させてもよい。
【0046】
V.酵素処理
[0054]精製されたベータグルカンを生産するための第5の技術は、酵素処理に注目したものである。細胞溶解は、機械的な崩壊または上述したような他の処理を介して行うことができ、バイオマスは、3〜350g/L、より好ましくは50〜175g/Lの濃度であってもよい。また細胞溶解は、必ずしも処理前に行わなくてもよい。スラリーのpHおよび温度は、最適な酵素処理に必要な条件が満たされるように、酸または塩基およびエネルギーで調整することができる。細胞由来のタンパク質を分解するために、非特異的なプロテアーゼを使用することができる。非限定的な例は、ノボザイムズ(Novozymes)からのアルカラーゼ(Alcalase(登録商標))2.4LFGであり得る。得られた酵素処理したスラリーは、酵素処理した成分を除去するために、酸、塩基、エタノール、もしくは水、またはそれらのあらゆる組合せで洗浄し、次いで脱水することができる。脱水は、遠心分離または重力でデカントすることを用いて行うことができる。様々な遠心分離機の技術を使用することができ、このような技術としては、例えば積層ディスク、円錐型のプレート、プッシャー、またはピーラー遠心分離機などが挙げられる。得られたベータグルカンのスラリーまたはケークは、噴霧乾燥することができる。代替として、材料は、リボン式乾燥機、真空リボン式乾燥機、ドラム式乾燥機、トレイ式乾燥機、凍結乾燥機、レフラクタンスウィンドウ乾燥機、真空乾燥機によって乾燥させてもよいし、または当業者公知の他の技術によって乾燥させてもよい。プロテアーゼに加えて、リパーゼなどの他の酵素を使用することができる。別の例は、単独で、または組み合わせて使用されるリゾチームである。加えて、酵素非活性化工程が必要な場合がある。酵素処理後の洗浄の量は、加工中に決定してもよいが、上記で概説したプロセスに従っていてもよい。
【0047】
[0055]図3は、精製されたベータグルカンを作製するための下流プロセスを示すフローチャートである。図1に示されるものに対応する参照番号が、図1の場合のようにフロー要素の一般的な説明を参照しながら使用される。発酵プロセスによりユーグレナバイオマスを生成し(ブロック28)、これを脱水してバイオマスを濃縮する(ブロック34)。脱水は、好ましいデカンター型遠心分離機によって加工することを包含していてもよいし、または積層ディスク、円錐型のプレート、プッシャーおよびピーラー遠心分離機などの他の遠心分離機の技術によって加工することを包含していてもよい。また重力によるデカントを使用することも可能である。図1の1回通過プロセスのように、細胞溶解プロセスは、細胞外被を崩壊させるが、これは、上述したような好ましいホモジナイザーまたはビーズミルなどの機械的な溶解を使用して達成することができる(ブロック40a)。pH媒介の溶解(ブロック40b)は、好ましい塩基として、およそ50〜70℃での水酸化ナトリウム(NaOH)を包含していてもよく、他の可能性およびさらなる加工としては、例えば、5℃より高い温度でのKOH、5℃より高い温度でのNHOH、および5℃より高い温度での他の塩基などが挙げられる。別の例としては、酵素による溶解(ブロック40c)を挙げることができ、さらに、プロテアーゼ、リパーゼ、リゾチームまたはこれらのプロセスの組合せを挙げることができる。プロテアーゼは、水を使用してタンパク質およびペプチド結合を加水分解することによりタンパク質分解を触媒する酵素であり、一方でリパーゼ酵素は、脂質の加水分解を触媒する。リゾチーム酵素は、典型的には、グリコシドヒドロラーゼとして作用する。
【0048】
[0056]細胞溶解プロセスの別の例としては、界面活性剤での溶解を使用すること(ブロック40d)、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を使用すること(ブロック40e)、またはナトリウムN−ココイル−L−アラニネートまたはナトリウムN−ココイル−グリシネートなどの天然油から誘導された界面活性剤を使用すること(ブロック40f)が挙げられる。他の考えられる天然油から誘導された界面活性剤としては、パーム油の誘導体、パーム核油の誘導体、ピルオイルの誘導体、およびヤシ油の誘導体が挙げられる。洗浄工程(ブロック42)は、非ベータグルカン成分を取り除くものであり、洗浄による精製を包含していてもよい(ブロック42a)。その例としては、塩基および酸を水と共に添加すること、および好ましいプロセスのためのあらゆる組合せ、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)とそれに続く硫酸(HSO)および水などを挙げることができる。精製は、プロテアーゼ、リパーゼ、または組合せなどの酵素処理(ブロック42b)によって行うことができ、処理時に水で洗浄することも可能である。また精製は、水やシロキサンベースの消泡剤または組合せでの洗浄(ブロック42c)によって行うこともできる。乾燥の最終工程(ブロック44)としては、好ましくは噴霧乾燥またはトレイ乾燥、その代わりに、真空リボン乾燥、レフラクタンスウィンドウ乾燥、凍結乾燥、リボン乾燥、ドラム乾燥、または真空乾燥、加えて当業者公知の他の技術を挙げることができる。
【0049】
[0057]図4は、ベータグルカン溶解産物を作製するための下流プロセスを示すフローチャートである。図1に示されるものに対応する参照番号が、図1の場合のようにフロー要素の一般的な説明を参照しながら使用される。発酵プロセスによりユーグレナバイオマスを生成し(ブロック28)、これを脱水してバイオマスを濃縮する(ブロック36)。脱水は、好ましいデカンター型遠心分離機によって加工することを包含していてもよいし、または積層ディスク、円錐型のプレート、プッシャー、およびピーラー遠心分離機などの他の遠心分離機の技術によって加工することを包含していてもよい。また重力によるデカントを使用することも可能である。細胞溶解プロセスは、細胞外被を崩壊させるが(ブロック48)、これは、上述したような好ましいホモジナイザーまたはビーズミルなどの機械的な溶解を使用して達成することができる(ブロック48a)。pH媒介の溶解(ブロック48b)は、好ましい塩基として、およそ50〜70℃での水酸化ナトリウム(NaOH)を包含していてもよく、他の可能性およびさらなる加工としては、例えば、5℃より高い温度でのKOH、5℃より高い温度でのNHOH、および5℃より高い温度での他の塩基などが挙げられる。別の例としては、酵素による溶解(ブロック48c)を挙げることができ、さらに、プロテアーゼ、リパーゼ、リゾチーム、またはこれらのプロセスの組合せを挙げることができる。乾燥は、好ましくは噴霧乾燥により行われ(ブロック50)、例としては、トレイ乾燥、リボン真空乾燥、レフラクタンスウィンドウ乾燥、および凍結乾燥なども挙げることができる。
【0050】
[0058]図5は、全細胞ミドリムシを作製するための下流プロセスを示すフローチャートである。ここでも図1に示されるものに対応する参照番号が、図1の場合のようにフロー要素の一般的な説明を参照しながら使用される。発酵プロセスによりユーグレナバイオマスを生成し(ブロック38)、これを脱水してバイオマスを濃縮する(ブロック38)。ここでもデカンター型遠心分離機は好ましい操作であり、図4に関して記載されたような他のプロセスも使用が可能である。乾燥は、好ましくは噴霧乾燥で行われ(ブロック54)、図4を参照して説明された適用可能な他の乾燥技術も可能である。
【0051】
[0059]ベータグルカン生産プロセスの別の例が図6の100に示されており、これは、独立栄養、混合栄養、および従属栄養成長技術の組合せを使用してベータ−1,3−グルカンを生産するための方法を示す。ハイレベルの説明として、ベータ−1,3−グルカンは、ミドリムシを培養することによって生産される。プロセスのための初発培養は、スタータースラントまたは他の貯蔵された培養物源から開始させることができる。次いでこれを独立栄養で成長させる。これに続き、グルコースを添加することによってバッチを混合栄養成長に交換する。次いで混合栄養材料を使用して、従属栄養で操作したミドリムシ発酵物を接種する。
【0052】
[0060]図6のフローチャートでさらに説明されるように、プロセス(ブロック100)を開始させ(ブロック101)、スタータースラントが調製される(ブロック102)。ミドリムシのシード培養をシードカーボイ中で独立栄養で成長させ(ブロック106)、継代培養物の一部を新しいカーボイにフィードバックする。
【0053】
[0061]ミドリムシのシード培養を独立栄養で成長させた後、そこに滅菌したグルコースをフィードし(ブロック118)、混合栄養のシードカーボイに交換する(ブロック120)。この時点で、独立栄養で成長させたミドリムシのシード培養を混合栄養で約7〜約30日成長させ、次いでこれを使用して発酵タンクに接種し、そこで従属栄養発酵を約4〜約7日行う(ブロック122)。この従属栄養発酵プロセスを約4〜約7日行って、ベータグルカン豊富なミドリムシを生産する。ミドリムシバイオマスを取り出し、遠心分離によって脱水し(ブロック128)、続いてオーブン中で乾燥させる(ブロック130)。バイオマスケークを約80℃〜120℃で乾燥させる。一旦乾燥させたら、材料をグライディングおよびミリングしてもよく(ブロック132)、続いてふるい分けおよび真空包装を行ってもよく(ブロック134)、続いて低温殺菌してもよい(ブロック136)。低温殺菌温度の範囲は様々なであってもよく、一例としては、約160℃で2時間以上の実行であり得る。低温殺菌後、生成物を、ヒトまたは動物での使用のために包装してもよい(ブロック138)。また水分としての遠心分離産物(ブロック140)も、廃棄物として処理される(ブロック142)。
【0054】
[0062]図7を参照すると、溶解産物組成物の送達系200は、図1に記載されたようなプロセスから生産された溶解産物216として最終産物を含有するカプセル214を包含する。カプセル200は、従来の上および下のカプセル部材214aおよび214bから形成することができる。しかしながら、他の送達メカニズム、例えば錠剤、粉末、ローション、ゲル、液状溶液および液状懸濁液なども可能である。
【0055】
[0063]カプセル内の材料から採取した溶解産物216としての最終産物の拡大図によって示される通り、カプセル材料216は、直鎖状、非分岐のベータグルカン220だけでなく、組成物の強化をもたらす発酵槽からの他の材料も含有する。これらの成分としては、脂質222、タンパク質およびアミノ酸224、代謝産物226、亜鉛などのミネラル228およびビタミン230、および他の有用な添加された細胞によって生産された成分および細胞性物質を挙げることができる。それゆえにこの組成物は、一例において、ユーグレナ溶解産物を包含し、それに加えて、ユーグレナ溶解産物を生産した発酵バッチからから残った細胞成分および残留培地も包含する。本組成物はまた、様々な追加の金属成分、例えば亜鉛なども包含する。亜鉛などの金属成分の範囲の例は、0.1〜10wt%である。
【0056】
[0064]一例において、本組成物は、単回投与用のカプセル中で送達される。ベータグルカン成分の一部は、1つまたはそれより多くのベータグルカンポリマー鎖を包含していてもよいし、その分子量は、1.2kDaもの低い分子量から、580kDaもの高い分子量まで様々であってもよいし、1つまたはそれより多くのポリマー鎖として、7個のグルコース単量体もの低いポリマー長から、3,400個のグルコース単量体もの高いポリマー長までの範囲のポリマー長を有していてもよい。ベータグルカンポリマーは、発酵または加工条件に依存して、個々に存在していてもよいし、または三重らせんや他の分子間で結合した構造のようなより高次の物体で存在していてもよい。平均粒度範囲の例は、説明したようなプロセスによって生産された溶解産物の場合、2.0〜500マイクロメートル(ミクロン)であり得る。より具体的には、平均粒度は、5〜125マイクロメートルであり得る。この範囲は、使用される加工パラメーターおよび乾燥技術に応じて変わる場合がある。溶解産物組成物内に包含される可能性がある他の成分としては、カロチノイド、例えばアルファ−およびベータ−カロチン、アスタキサンチン、ルテイン、ならびにゼアキサンチンが挙げられる。アミノ酸が包含されていてもよく、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンなどが包含されていてもよい。他の脂質、ビタミンおよびミネラルとしては、アラキドン酸、ビオチン、カルシウム、銅、ドコサヘキサ塩酸、エイコサペンタエン酸、脂肪、葉酸、鉄、リノール酸、リノレン酸、マグネシウム、マンガン、ナイアシン、オレイン酸、パルミトレイン酸、パントテン酸、リン、カリウム、タンパク質、ナトリウム、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、D、E、K1、亜鉛またはその塩、加えて、上記で列挙されていない他の細胞成分を含むユーグレナ属藻類からの残りの成分、および添加された発酵から得られた培地が挙げられる。
【0057】
[0065]サプリメントの範囲は、様々であってもよい。例えば、ヒトが消費するための栄養補助サプリメント組成物として、本組成物は、食物1キログラム当たり50〜6,000mgの範囲、またはカプセル投与の場合、約50mg〜2,000mgの範囲であってもよい。これらの量は、最終用途に応じて変更することができ、他の使用に使用される場合、より一層変更される場合もある。ある特定の例において、その例としては、動物への使用を挙げることができる。
【0058】
[0066]以下に溶解産物の異なる成分の範囲の一覧を示す。これらの範囲は、生産されたままの溶解産物に関するものであり、溶解産物に添加された他の成分、例えば、亜鉛を包含しない。これらの非限定的な例は、ユーグレナ溶解産物中で同定された成分または化合物のおよその重量パーセンテージである。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
[0067]グルカンサプリメントからの望ましい応答は、様々であってもよい。例えば、可溶性で微粒子状のベータグルカンは、免疫調節を上回る生物学的作用を惹起した。抗微生物性、抗ウイルス性、抗腫瘍性、抗線維化、抗糖尿病性および抗炎症性の応答に加えて、プレバイオティクスの形態でのマイクロバイオームの維持、肝保護的作用、低血糖作用、コレステロールを低下させる作用、創傷治癒作用、骨髄外傷、ならびに放射線および鼻炎を軽減する作用をもたらすことに関して、証拠となる裏付けがある。述べられている生物活性はグルカンによって引き起こされるものであり、次いで、ウイルスおよび細菌感染、がん、心臓血管疾患、肝疾患、血液疾患、糖尿病、低血糖症、外傷、皮膚の老化、異常な骨髄発生、関節炎、マイクロバイオームの不全、潰瘍疾患ならびに放射線への曝露の処置において適用される可能性がある。加えてヒトの健康状態の分野外でも、ベータグルカンは、畜産において適用される可能性がある。ベータグルカンは、取引の際によくみられる疾患や環境問題などの成長速度の抑止と闘うために、免疫調節を介して最適な速度で家畜を成長させることによって、成長能力を改善する可能性がある。これまでに述べられてきたヒトを対象とする場合により同じ意味合いの利益に加えて、ベータグルカンは、具体的に、非限定的な例として、例えばブタ繁殖呼吸障害症候群(PRRS)、ブタ流行性下痢ウイルス(PEDv)、ニューカッスル病およびトリインフルエンザなどの重大な動物の疾患の抑制における予防的手段を提供することができる。加えてベータグルカンは、真菌感染によって生産されたマイコトキシンの吸収性作用を有する可能性がある。これは、最初のうちは殺真菌活性を有することによってマイコトキシン生産を予防することが可能であるか、またはマイコトキシンで汚染された飼料の摂取によって動物中に蓄積したマイコトキシンを排除することが可能であることを示す。
【0064】
[0068]相乗効果は、ベータグルカン由来の生成物を、他の天然の食物および治療薬、例えばエキナセア、アロエ、ヒドラスチス、ニンジン、ニンニク、ピーマン、ショウガ、ターメリック、イチョウ(gingko biloba)、ウングイスカティ、マンネンタケ属またはゲンゲ属などと共に添加することで観察することができる。このような生成物は、ビタミンC、場合によってはフミン酸およびフルボ酸とさらに混合されてもよい。また、グルカンをレスベラトロールまたは他のポリフェノールと混合し、心疾患、場合によってはがんの処置のために作用させることも可能である。
【0065】
[0069]前述の説明および関連する図面に提示された教示の利益を有する当業者は、本発明の多くの改変および他の実施態様を思いつくと予想される。それゆえに、本発明は、開示された具体的な実施態様に限定されるべきではなく、改変および実施態様は、添付の特許請求の範囲内に包含されることが意図されることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2019年1月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約2.0〜500マイクロメートルの平均粒度を有する乾燥させたユーグレナバイオマス溶解産物であって、1.2〜580キロダルトン(kDa)の分子量と約7.0〜3,400グルコースモノマーのポリマー長を有するベータグルカンポリマー鎖を有する、直鎖状の非分岐ベータ−1,3−グルカン多糖類ポリマーを含むベータ−1,3−グルカンを含む細胞成分を含む、ユーグレナバイオマス溶解産物;ならびに
ユーグレナバイオマスおよびユーグレナ溶解産物を生産した従属栄養発酵プロセスから残った残留培地
を含む組成物であって、
カプセル、錠剤、粉末、ローション、ゲル、液状溶液、または液状懸濁液の形態である、前記組成物
【請求項2】
金属またはその塩をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記金属が、亜鉛を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、単回投与用のカプセルに製剤化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記残留培地が、ミネラル、ビタミン、糖、およびアミノ酸の少なくとも1種を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ミネラルおよびビタミンが、ビオチン、カルシウム、銅、葉酸、鉄、マグネシウム、マンガン、ナイアシン、リン、カリウム、ナトリウム、亜鉛、およびビタミンB1、B2、B6、B12、C、D、E、K1またはその塩並びにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記細胞成分が、脂質、タンパク質アミノ酸、またはそれらの混合物さらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記アミノ酸が、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンバリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記脂質が、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、脂肪、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸、パルミトレイン酸パントテン酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
カロチノイドをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、栄養補助サプリメント組成物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、動物またはヒトのための食品添加剤として製剤化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、添加されたビタミンC、添加されたレスベラトロール、または添加されたフミン酸さらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、乾燥させた全細胞ユーグレナバイオマスをさらに含む、請求項に記載の組成物。
【請求項15】
ユーグレナ溶解産物組成物を生産するための方法であって、
発酵容器内部でユーグレナ属生物からユーグレナバイオマスを従属栄養で成長させること;
成長したユーグレナバイオマスを脱水して、濃縮したユーグレナバイオマスを形成させること;
濃縮したユーグレナバイオマスを溶解させて、約2.0〜500マイクロメートルの粒度を有し、1.2〜580キロダルトン(kDa)の分子量と約7.0〜3,400グルコースモノマーのポリマー長を有するベータグルカンポリマー鎖を有する直鎖状の非分岐ベータ−1,3−グルカン多糖類ポリマーを含むベータ−1,3−グルカンを含む細胞成分を含むユーグレナバイオマス溶解産物とし、そして、該ユーグレナバイオマス溶解産物と共に従属栄養発酵プロセスから残った残留培地の少なくとも一部を維持すること;および
ユーグレナバイオマス溶解産物および残留培地を乾燥させて、乾燥させたユーグレナ溶解産物組成物を形成することを含む、上記方法。
【請求項16】
前記ユーグレナ溶解産物組成物に、金属を添加することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記溶解が、機械的な溶解、pH駆動の溶解、および温度駆動の溶解からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記機械的な溶解が、ホモジナイズすることまたはビーズミリングすることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ユーグレナバイオマスを500bargより高い圧力でホモジナイズすることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ユーグレナバイオマスを500〜1,900bargの圧力範囲でホモジナイズすることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記ユーグレナバイオマスを、7.0より高いpHで、且つ5℃より高い温度で溶解させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記ユーグレナバイオマスを塩基で処理すること、および前記ユーグレナバイオマスを、9.0より高いpHで、且つ45℃より高い温度で溶解させることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ユーグレナバイオマスが、3〜350グラム/リットル(g/L)の濃度に成長するかまたは濃縮される、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
成長したユーグレナバイオマスを50〜350グラム/リットル(g/L)の濃度まで脱水することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記脱水が、前記ユーグレナバイオマスを遠心分離すること、または重力でデカントすることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
乾燥および精製されたベータ−1,3−グルカンを生産するための方法であって、
ユーグレナ属生物からバイオマスを成長させること;
成長したバイオマスを遠心分離またはデカントすることにより、成長したバイオマスを脱水および濃縮して濃縮スラリーにすること;
バイオマスを溶解させて、溶解させたバイオマスを形成すること;
溶解させたバイオマスを洗浄することでさらに溶解させることなく、溶解させたバイオマスを複数回洗浄し、脱水し、次いで、遠心分離またはデカントすること、そして精製されたベータ−1,3−グルカンを生産するために必要に応じて繰り返すこと;および
ベータ−1,3−グルカンを乾燥させて、乾燥および精製されたベータ−1,3−グルカンを生産すること
を含む、方法。
【請求項27】
前記遠心分離が、デカンター、積層ディスク、円錐型のプレート、プッシャー、およびピーラー遠心分離機からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記溶解が、機械的な溶解、pHおよび温度駆動の溶解、界面活性剤による溶解、ならびに酵素による溶解からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記機械的な溶解が、ホモジナイズまたはビーズミリングすることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記バイオマスを500〜1,900bargの圧力範囲でホモジナイズすることを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記バイオマスを、7.0より高いpHで、且つ5℃より高い温度で溶解させることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記溶解が、脂肪酸から誘導され、ヤシ油、パーム油、パーム核油、およびピルオイルの少なくとも1種を含む界面活性剤で、前記バイオマスを処理することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記溶解が、脂肪酸から誘導され、ヤシ油、パーム油、パーム核油、およびピルオイルの少なくとも1種を含むアシル−アミノ界面活性剤で、前記バイオマスを処理することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記溶解させたバイオマスを、水、酸、塩基、エタノール、または組合せの1つまたはそれより多くで処理することによって、前記溶解させたバイオマスを洗浄することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記乾燥が、噴霧乾燥、リボン乾燥、トレイ乾燥、凍結乾燥、ドラム乾燥、真空リボン乾燥、レフラクタンスウィンドウ乾燥および真空ドラム乾燥からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
前記バイオマスが、3〜350グラム/リットル(g/L)の濃度に成長するかまたは濃縮される、請求項26に記載の方法。
【国際調査報告】