特表2019-524047(P2019-524047A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-524047(P2019-524047A)
(43)【公表日】2019年8月29日
(54)【発明の名称】熱システムのための電力コンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20190802BHJP
   H05B 3/00 20060101ALI20190802BHJP
【FI】
   H02M3/155 H
   H05B3/00 310B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-565756(P2018-565756)
(86)(22)【出願日】2017年6月15日
(85)【翻訳文提出日】2019年2月13日
(86)【国際出願番号】US2017037703
(87)【国際公開番号】WO2017218791
(87)【国際公開日】20171221
(31)【優先権主張番号】62/350,275
(32)【優先日】2016年6月15日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】501162454
【氏名又は名称】ワットロー・エレクトリック・マニュファクチャリング・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホプキンス−ブレイトロウ、スタントン
(72)【発明者】
【氏名】レムケ、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヘントゲス、ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】ネス、ケイス
(72)【発明者】
【氏名】エリス、エリック
(72)【発明者】
【氏名】ボーリンガー、ウィリアム
【テーマコード(参考)】
3K058
5H730
【Fターム(参考)】
3K058AA45
3K058AA86
3K058BA00
3K058CB01
5H730AS05
5H730AS12
5H730BB13
5H730BB57
5H730BB81
5H730BB88
5H730CC01
5H730DD04
5H730FD31
5H730FD61
5H730FG05
(57)【要約】
本開示は、概して、ヒータと、電力スイッチを含む電力コンバータと、コントローラとを含むシステムを説明する。電力コンバータは、ヒータと連通しており、ヒータに調整可能な電圧を印加するように動作可能である。コントローラは、ヒータにおける負荷電流と検出された電圧とのうちの少なくとも一方に基づいて電力コンバータの電圧出力を制御するために電力スイッチと連通している。コントローラは、電源スイッチを操作して電力コンバータの電圧出力を調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータと、
電力スイッチを含み、前記ヒータと連通しており、前記ヒータに調整可能な電圧を印加するように動作可能な電力コンバータと、
前記電力スイッチと連通し、前記ヒータにおける電流と電圧とのうちの少なくとも一方に基づいて前記電力コンバータの電圧出力を制御し、前記電力コンバータの前記電圧出力を調整するように前記電力スイッチを動作させるコントローラと、
を具備する、熱システム。
【請求項2】
前記電力コンバータは、前記電力スイッチを含むバックコンバータを含む、請求項1の熱システム。
【請求項3】
前記コントローラは、マイクロプロセッサを持つ電子機器をさらに含む、請求項1の熱システム。
【請求項4】
前記電力スイッチは、電界効果トランジスタ(FET)である、請求項1の熱システム。
【請求項5】
前記コントローラは、1つまたは複数の制限に基づいて、前記ヒータへの入力電圧をスケーリングする、請求項1の熱システム。
【請求項6】
前記1つまたは複数の制限は、電圧、電流、ワット値のうちの少なくとも1つを含む検出されたパラメータ値を含む、請求項5の熱システム。
【請求項7】
前記コントローラは、フルライン電圧よりも小さい値に、前記ヒータへの入力電圧をスケーリングする、請求項1の熱システム。
【請求項8】
前記コントローラは、設定された最小値と設定された最大値との間に前記ヒータへの入力電圧をスケーリングする、請求項1の熱システム。
【請求項9】
前記コントローラは、制御アルゴリズムに基づいて前記ヒータへの入力電圧をスケーリングする、請求項1の熱システム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記ヒータの前記電流および前記電圧に基づいて抵抗を決定し、前記抵抗に基づいて前記入力電圧をスケーリングする、請求項9の熱システム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記ヒータへの入力電圧をスケーリングして、前記ヒータに印加される電圧の量を制限する、請求項1の熱システム。
【請求項12】
複数のヒータと複数の電力コンバータとをさらに具備し、前記複数のヒータのそれぞれは、1つまたは複数の前記電力コンバータによって制御される、請求項1の熱システム。
【請求項13】
前記コントローラは、前記ヒータの診断を実行するために前記ヒータの抵抗を決定する、請求項1の熱システム。
【請求項14】
前記コントローラは、前記電力コンバータからの電力が前記ヒータの抵抗の変化に比例するように、前記ヒータの前記抵抗に基づいて電圧を調整するために前記電力コンバータを動作させる、請求項1の熱システム。
【請求項15】
前記コントローラは、選択されたデューティサイクルで前記電源スイッチを切り替え、前記デューティサイクルは、スケーリングファクタに正比例する、請求項1の熱システム。
【請求項16】
前記コントローラは、前記ヒータの温度を決定し、前記ヒータの前記温度に基づく選択されたデューティサイクルで前記電源スイッチを切り替える、請求項1の熱システム。
【請求項17】
前記コントローラは、前記ヒータの所望の電力に基づいて電圧を変化させる、請求項1の熱システム。
【請求項18】
前記コントローラは、前記電圧と前記電流とに基づいて前記ヒータの抵抗を計算し、前記抵抗に基づいて前記ヒータの温度を決定し、さらに、前記コントローラは、前記ヒータの温度に基づいて前記電力コンバータの前記電圧出力を制御する、請求項1の熱システム。
【請求項19】
複数の発熱体を持つヒータと、
複数の電力コンバータと、
コントローラと、
を具備し、
各電力コンバータは、電力スイッチを含むステップダウン電圧コンバータであり、所与の電力コンバータは、前記複数の発熱体のうちの1つまたは複数の発熱体と連通しており、前記電力コンバータは、調整可能な電圧をそれぞれの前記1つまたは複数の発熱体に印加するように動作可能であり、
前記コントローラは、前記電力コンバータの前記電力スイッチと連通しており、前記ヒータにおける電流、電圧、抵抗のうちの少なくとも1つに基づいて前記電力コンバータの前記電圧出力を制御し、前記コントローラは、それぞれの前記電力コンバータの前記電圧出力を調整するために所与の電力スイッチを操作する、
熱システム。
【請求項20】
前記コントローラは、前記ヒータの前記抵抗に基づいて前記ヒータの温度を決定し、前記電力スイッチからの漏れ電流を補償するように前記温度を調整する、請求項19の熱システム。
【請求項21】
前記ヒータの前記電流と前記電圧とのうちの少なくとも1つを検出するための前記コントローラと連通しているセンサをさらに具備する、請求項19の熱システム。
【請求項22】
前記コントローラは、前記抵抗に基づいて前記ヒータの温度を決定し、前記コントローラは、前記ヒータの前記温度に基づいて1つまたは複数の前記電力コンバータの前記電圧出力を制御する、請求項19の熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱システムに関し、より具体的には様々な電力を持つ熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションの記載は、単に、本開示に関する背景情報を提供するものであり、先行技術を構成しない場合がある。
【0003】
一般に、ペデスタルヒータは、その上に配置されたウェハを加熱するための半導体処理ツールである。ペデスタルヒータは、加熱板と、加熱板の下方に配置された支持シャフトとを含む。加熱板は、セラミック基板と、セラミック基板に埋め込まれて複数のヒーティングゾーンを画定する複数の抵抗発熱体とを含む場合がある。典型的には、ヒータのスタートアップ中に同じ変化率で同じ電力が複数の抵抗発熱体に印加される。
【0004】
同じ電力が抵抗発熱体に印加されるにもかかわらず、例えばヒートシンクに対する加熱領域の位置、および、不均一な製造によって引き起こされるヒーティングゾーンの特性の違いにより、いくつかの抵抗発熱体は他の発熱体よりも速く加熱される場合がある。ヒーティングゾーンが隣接するヒーティングゾーンよりも速く加熱されると、隣接するヒーティングゾーン間の温度差が異なる熱膨張を引き起こし、その結果、隣接するヒーティングゾーン間に熱ストレスが生じる。著しい熱ストレスは、セラミック基板内に熱亀裂を発生させる場合がある。
【発明の概要】
【0005】
ある形態において、本開示は、ヒータと、電力スイッチを含む電力コンバータと、コントローラとを含む熱システムを提供する。電力コンバータは、ヒータと連通しており、調整可能な電圧をヒータに印加するように動作可能である。コントローラは、電力スイッチと連通してヒータにおける電流および電圧の少なくとも一方に基づいて電力コンバータの電圧出力を制御する。コントローラは、電源スイッチを操作して電力コンバータの電圧出力を調整する。ある形態において、コントローラは、ヒータの温度に基づいて電力コンバータの電圧を制御し、温度は、ヒータの電圧および電流によって決定されるヒータの抵抗に基づいて決定される。
【0006】
別の形態において、本開示は、複数の発熱体を持つヒータ、複数の電力コンバータ、およびコントローラを含む熱システムを提供する。各電力コンバータは、電力スイッチを含むステップダウン(降圧型)電圧コンバータである。所与の電力コンバータは、複数の発熱体のうちの1つまたは複数の発熱体と連通しており、電力コンバータは、調整可能な電圧をそれぞれの1つまたは複数の発熱体に印加するように動作可能である。コントローラは、電力コンバータの電力スイッチと連通しており、ヒータにおける電流および電圧の少なくとも一方に基づいて電力コンバータの電圧出力を制御する。コントローラは、それぞれの電力コンバータの電圧出力を調整するために所与の電力スイッチを操作する。
【0007】
適用可能性のあるさらなる分野が本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。説明および特定の実施例は、例示の目的のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示を十分に理解することができるように、添付の図面を参照しながら、例として与えられるその様々な形態が、本明細書で説明される。
【0009】
図1図1は、本開示の教示に係る電気熱システムのブロック図である。
【0010】
図2図2は、本開示の教示に係る図1の電気熱システムの電力コンバータのブロック図である。
【0011】
図3図3は、本開示の教示に係る図2の電力コンバータの概略図である。
【0012】
図4図4は、本開示の教示に係る入力電圧波形の電力変換を例示する概略図である。
【0013】
図5A図5Aは、本開示の教示に係る異なる導電率を有するドライブ信号の波形を例示する。
図5B図5Bは、本開示の教示に係る異なる導電率を有するドライブ信号の波形を例示する。
図5C図5Cは、本開示の教示に係る異なる導電率を有するドライブ信号の波形を例示する。
【0014】
図6A図6Aは、本開示の教示に係る図5Aの波形に基づく電力コンバータの出力電圧の波形を例示する。
図6B図6Bは、本開示の教示に係る図5Bの波形に基づく電力コンバータの出力電圧の波形を例示する。
図6C図6Cは、本開示の教示に係る図5Cの波形に基づく電力コンバータの出力電圧の波形を例示する。
【0015】
図7A図7Aは、本開示の教示に係る異なる入力条件に基づく電力コンバータの異なる出力電圧の波形を例示する。
図7B図7Bは、本開示の教示に係る異なる入力条件に基づく電力コンバータの異なる出力電圧の波形を例示する。
図7C図7Cは、本開示の教示に係る異なる入力条件に基づく電力コンバータの異なる出力電圧の波形を例示する。
図7D図7Dは、本開示の教示に係る異なる入力条件に基づく電力コンバータの異なる出力電圧の波形を例示する。
【0016】
本明細書に記載されている図面は例示目的のみのためであり、決して本開示の範囲を限定することを意図しない。
【詳細な説明】
【0017】
以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、適用、または用途を限定することを意図するものではない。図面全体を通して、対応する参照番号は、同様のまたは対応する部分および特徴を示すことを理解されたい。
【0018】
図1を参照すると、本開示の教示にそって構成された電気熱システム100は、ヒータ102、コントローラ104(すなわち制御モジュール)、および電力コンバータシステム106を含む。コントローラ104と電力コンバータシステム106は、電源108からヒータ102へ供給される電力を制御する。より詳細には、コントローラ104および電力コンバータシステム106は、ヒータ102に供給される電力を監視し、必要に応じて調整するための制御システムとして動作する。以下で詳細に説明すると、コントローラ104は、ヒータ102からフィードバックデータを受信して、ヒータ102のヒータゾーンのいずれかへの電力を調整するかどうかを決定し、調整する場合、電力コンバータシステム106に信号を送信することによって電力を調整し、1つまたは複数の電力コンバータは、加熱器102のそれぞれのヒータゾーンに制御された電圧を出力する。
【0019】
本開示のある形態では、ヒータ102は、加熱板110と、加熱板110の底面に配置された支持シャフト112とを含むペデスタルヒータである。加熱板110は、本開示のる形態において、基板111と、基板111内に埋め込まれた複数の抵抗発熱体(図示せず)とを含む。抵抗発熱体は、また、本開示の範囲内に留まると同時に、基板111の少なくとも1つの表面上に配置されてもよい。基板111は、セラミックまたはアルミニウムで作られてもよい。抵抗発熱体は、コントローラ104によって独立して制御され、図中に点線で例示するように複数のヒーティングゾーン114を画定する。これらのヒーティングゾーン114は単に例示的なものであり、本開示の範囲内に留まると同時に、任意の構成をとることができることを理解されたい。
【0020】
抵抗発熱体は、様々な適切な方法で構成することができる。例えば、本開示のある形態において、各抵抗発熱体のそれぞれは、第1の電力ピンおよび第2の電力ピンに接続され、それぞれ、第1の接合部および第2の接合部を画定する。第1および第2の電力ピンは、加熱板110からヒータ102の支持シャフト112を通ってコントローラ104まで延びるワイヤに接続される。第1および第2の電力ピンは、ヒータ102の温度を測定するための熱電対検出ピンとして機能する。熱電対として電力ピンを使用して抵抗発熱体の温度を測定することは、2015年5月29日に出願され、「温度検出電力ピンを持つ抵抗ヒータ」と題された同時継続中の米国特許出願第14/725,537号に開示されており、この出願は本出願と共通に所有され、その内容はその全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。概ね第1および第2の電力ピンと連通しているコントローラ104は、第1および第2の接合部における電圧の変化を測定するように構成されている。より具体的には、コントローラ104は、接合部におけるミリボルト(mV)の変化を測定し、次いでこれらの電圧の変化を使用して抵抗発熱体の平均温度を計算する。ある形態において、コントローラ104は、抵抗発熱体への電力を遮断することなく接合部における電圧の変化を測定してもよい。これは、例えば、AC入力電力信号のゼロ交差で読み取りを行うことによって達成され得る。別の形態において、電力は中断され、コントローラ104は電圧の変化を測定するために加熱モードから測定モードに切り替わる。平均温度が決定されると、コントローラ104は加熱モードに戻る。
【0021】
ヒータ102は、様々な適切な方法で構成されてもよく、2ピン抵抗発熱体に限定されない。例えば、ヒータ104は、抵抗の変化が温度を決定するためにコントローラ104によって使用されることができるように、「2線式」ヒータでもよい。このような2線式システムは、本出願と共通に所有されている米国特許第7,196,295号に開示されており、その内容はその全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。2線式システムにおいて、熱システムは、ヒータ設計と、他を制御しながら1つまたは複数のパラメータ(すなわち、電力、抵抗、電圧、電流)を制限するカスタマイズ可能なフィードバック制御システムに電力、抵抗、電圧、および、電流を組み込む制御をマージする適応熱システムである。コントローラ104は、安定した連続的な電流および電圧の読み込みを得るために、ある期間にわたってヒータに供給される電流、電圧、および電力のうちの少なくとも1つを監視するように構成される。これらの読み込みは、抵抗、ひいてはヒータの温度を決定するために使用することができる。あるいは、コントローラ104は、個別の温度センサおよび/または抵抗センサ(例えば、別個の熱電対)に結合されてもよい。
【0022】
電力コンバータシステム106は、複数の電力コンバータ116(図中1161〜116n)を含む。1つまたは複数の電力コンバータ116が、発熱体に電圧を供給するために、加熱器102のヒーティングゾーンの発熱体に接続されている。以下でさらに説明されるように、各電力コンバータ116は、電源108からの入力電圧(VIN)を、ヒータ102の発熱体に印加される出力電圧(VOUT)に調整するように動作可能であり、出力電圧は入力電圧以下である。
【0023】
コントローラ104は、マイクロプロセッサおよびメモリを含む電子機器を含み、電力コンバータシステム106によってヒータ102の抵抗発熱体に供給される電力を制御するように構成される。さらに後述するように、コントローラ104は、電力コンバータシステム106を動作させて、ヒータ102からのフィードバックデータおよび予め記憶された制御アルゴリズムおよび/またはプロセスに基づいてヒータ102に印加される電圧を調整する。本開示のある形態では、電源108からの入力電圧は、本願と共通に譲渡されている米国特許第7,257,464号および第8,423,193号に開示されているようなスケーリング調整率を使用してスケーリングされ、その内容はその全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。入力電圧は、予め設定されたユーザ値に基づいて調整できる。予め設定されたユーザ値は、最大電圧出力レベルおよび最大電力出力レベルのうちの1つであり、または一般に、電流、電圧、またはワット数でもよい。電流は、電圧のスケーリングとヒータへの電力供給と同時に測定される。スケーリングは、ゆるやかな漸増(gradual ramp-up)または漸増機能(ramping function)を含み、漸増(ramp-up)中のヒータ特性を検出する。ヒータ特性は、低ヒータ抵抗およびヒータショートのうちの一方を含む。他の形態では、コントローラ104は、制御アルゴリズムに基づいて入力電圧をスケーリングするためにヒータ102の抵抗を決定する。
【0024】
図2に示すように、システム100は、例えば電力コンバータ116よりも低い電圧で動作するコントローラ104などの電子部品を含む。したがって、低電圧部品を高電圧から保護するために、システム100は、高電圧部品から低電圧部品を絶縁する電子部品を含み、それでもコンポーネントは信号を交換することができる。例示の目的のために、破線202は、システム100の高電圧部分からの低電圧部分の絶縁を表す。
【0025】
所与の電力コンバータ116は、ドライバ回路202および電力スイッチとも呼ばれる場合がある制御スイッチ206(図では「SW」)を持つバック(buck)コンバータ204を含む。ドライバ回路202は、コントローラ104からの入力信号に基づいて制御スイッチ206を操作する。ドライバ回路202は、コントローラ104と連通し、電力コンバータ116からコントローラ104を絶縁するために、光アイソレータまたは変圧器などの電子機器を含む。
【0026】
一般に、バックコンバータ204は、降圧型電圧コンバータとして、電源108の電圧を低下させるように動作可能である。特に、電源108からのAC電圧(例えば、208VAC)は、バックコンバータ204にその後受け取られるDC電圧に整流される。制御スイッチ206の操作に基づいて、バックコンバータ204は、電圧を減少させ、電源108からの電流を増加させ、調整された電圧および電流を、ヒータ102のそれぞれの発熱体207に印加する。電圧リップルを低減するために、キャパシタ、または、コンデンサとインダクタとの組み合わせで製造されるフィルタが、バックコンバータ204の出力および/または入力に追加される。
【0027】
システム100は、ヒータ102の性能を示す信号をコントローラ104に送信するセンサ回路208をさらに含む。センサ回路208は、システムの低電圧部と高電圧部との間で信号を伝送するための、絶縁型アナログデジタルコンバータ、光アイソレータ、または変圧器などの電子機器を含むとしてもよい。本開示のある形態では、センサ回路208は、電流検出抵抗器、電圧検出抵抗器、および制御スイッチ206が所定の状態にある場合に電流検出抵抗器をシャント(分流)して負荷電流を流すためのトランジスタを含む。電流検出抵抗器、電圧検出抵抗器、およびトランジスタは、電力コンバータ116のバックコンバータ204に結合されている。センサ回路208は、バックコンバータ204によって発熱体に印加される電流または電圧の少なくとも1つを測定し、データをフィードバックとしてコントローラ104に送信し、コントローラ104は、返しに、電力コンバータ116の所望の出力電圧を決定する。
【0028】
図3を参照すると、バックコンバータ302を持つ電力コンバータ116の例示的な概略図が示されている。バックコンバータ302は、トランジスタ304(例えば、電界効果トランジスタ)、ダイオード306、インダクタ308、およびキャパシタ310を含む。トランジスタ304は、バックコンバータ302を通る電流の流れを制御するためのスイッチとして動作可能である。概ね、トランジスタは制御端子を含み、制御端子に印加される電圧に基づいて、トランジスタは、トランジスタのソース領域とドレイン領域との間の導電性チャネルを通って電流を流すための閉スイッチとして動作することができ、または、導電チャネルに電流が流れない開スイッチとして動作することができる。N型トランジスタは、制御端子に電圧が印加されていないときは開スイッチとして機能し、電圧(例えば5V)が印加されているときは閉スイッチとして機能する。あるいは、P型トランジスタは、制御端子に電圧が印加されているときは開スイッチとして機能し、制御端子に電圧が印加されていないときは閉スイッチとして機能する。トランジスタ304は、N型トランジスタとして例示されているが、トランジスタ304はP型でもよい。
【0029】
バックコンバータ302は、電源108に結合されている整流器312から整流された電圧を受け取り、発熱体に出力電圧を印加する。概ね、トランジスタ304が閉状態(すなわち閉スイッチ)にあるとき、バックコンバータ302は、コンバータ302を通る電流が増加し始めるように整流器312に電気的に結合される。反対の電圧が整流器312からの電圧を相殺するインダクタ308の端子間に発生し、それによって発熱体の端子間の正味電圧を減少させる。時間が経つと、電流の変化率は減少し始め、したがってインダクタ308の両端の電圧が減少し、発熱体の端子に印加される電圧が増加する。トランジスタ304が開状態(すなわち開スイッチ)にあるとき、バックコンバータ302は整流器312から電気的に切り離され、インダクタ308は放電し始め、インダクタ308の両端に電圧降下を生じさせ、電流源として動作する。具体的には、インダクタ308によって生成された磁界は、発熱体の端子を通って流れる電流を支える。
【0030】
図3はまた、電流検出抵抗器320、漏れ検出抵抗器322、および漏れ検出抵抗器322をシャントするための電界効果トランジスタ(FET)324を含むセンサ回路318の一例を示す。センサ回路318はコントローラ104と連通されており、例えば、位相電圧、および、バックコンバータ302に結合された1つまたは複数の発熱体に印加される電流の二乗平均平方根(RMS)値を示すデータを提供する。
【0031】
図4を参照すると、システム100を介した電源からの入力信号の例示的な電力変換(コンバージョン)が示されている。AC電圧402は、受動整流器または能動整流器を介してリップルを持つDC電圧信号406に変換される。DC電圧406は、コントローラ104によってスイッチ駆動(ドライブ)されているトランジスタによってバックコンバータに選択的に印加される。バックコンバータは、複数のパルス408の形態で電圧を出力する。ヒータ102からの情報とヒータ102の動作状態に基づいて、バックコンバータは、最大電圧(例えば208)と最小電圧(例えば0V)との間の可変電圧410を出力するように動作可能である。したがって、熱システム100は、1つまたは複数の発熱体に印加される電圧が他の発熱体とは異なる場合があり得るように、発熱体に印加される電圧を独立して制御する。
【0032】
トランジスタに印加される駆動信号のパルス幅は、バックコンバータの出力電圧を制御する。具体的には、出力電圧の振幅は、トランジスタの伝導率(すなわち、デューティサイクル)に依存する。伝導率が小さいほど、出力電圧の振幅は小さくなる。例えば、図5A図5Cは、異なる伝導率(例えば、5%、25%、および50%)におけるトランジスタの駆動波形を例示し、図6A図6Cは、図5A図5Cの駆動波形に基づくバックコンバータの予想出力電圧を例示する。50%の伝導率を持つ変調された駆動信号がトランジスタに印加されると、バックコンバータは、5%の伝導率を持つ駆動信号と共に出力される電圧よりも大きい電圧を出力する。したがって、駆動信号のパルス幅を制御することによって、コントローラ104は、電力コンバータ116の出力電圧を制御し、したがって発熱体に印加される電圧を独立して制御する。
【0033】
コントローラ104は、入力パラメータと集合的に呼ばれる、ヒータ102における温度、抵抗、電流、および/または電圧のうちの少なくとも1つに基づいて、所与の電力コンバータ116の所望の出力電圧を決定する。例えば、コントローラ104は、電力コンバータ116からの電力がヒータ102の発熱体の抵抗の変化に一致するように、電力コンバータ116を動作させてヒータ102の抵抗に基づいて入力電圧を調整するように構成される。別の例では、コントローラ104は、選択されたデューティサイクルで制御スイッチを切り替えて入力電圧を調整し、デューティサイクルはスケーリングファクタに正比例する。コントローラ104は、ヒータ102における負荷電流と検出された電圧とのうちの少なくとも一方、より具体的にはそれぞれの発熱体の温度に基づいてデューティサイクルを選択する。
【0034】
本開示のある形態では、コントローラ104は、コントローラ104が1つまたは複数の入力パラメータに基づいてヒータ102の動作状態を決定する状態モード制御を使用する。ヒータ102の動作状態は:ヒータ102に電力が供給されていないアイドルモード;電圧と電流を測定するために低電力が供給されているスタートアップモード;特定の抵抗設定値を通過するまで、低い増加速度(ramp rate)で電力が増加するソフトスタートモード;ヒータの材料に基づいて選択された増加速度で温度が上昇する速度(rate)モード;例えば、連続的な比例積分微分コントローラ(PID制御)を用いてヒータ102の温度が特定の設定値に制御される保持モード、を含む。これらの動作状態は単に例示であり、本開示の範囲内に留まりながら他のモードを含むことができる。
【0035】
ヒータ102の動作モードに基づいて、コントローラ104は、それぞれの電力コンバータから発熱体に印加される入力電圧を調整することによって発熱体を独立して制御する。コントローラ104は、入力電圧を調整するように様々な方法で構成されることができ、(1)動作状態に従ってPIDパラメータを修正すること;(2)自動(ユーザ入力なし)のモードを手動(コントローラによって受信されるユーザ入力)に変更すること、または、手動のモードを自動に変更すること;(3)手動のパーセント電力を設定すること;(4)設定値増(set point ramp)を開始すること;(5)積分をオフセットすること、積分をスケーリングすること、および/または温度に基づいて修正を行うことによって、PID制御の積分(保持項)を修正すること;(6)新しい動作状態に入ったときに電圧を変更するすること、を含むがこれらに限定されない。電圧を調整するためにコントローラ104によって使用される論理は、(1)スタートアップを検出すること;(2)プロセス温度が設定値に近いこと;(3)設定値からのプロセス温度の偏差;(4)設定値の変更;(5)プロセス温度を超えること;(6)プロセス温度を下回ること;(7)所定期間の経過;(8)到達すべき一般的なシステム読み取り値(例えば、電流、電圧、ワット数、抵抗、および/または電力のパーセント)、を含むがこれらに限定されない様々な適切な方法でトリガされることができる。熱システムは、複数の状態を含み、各状態は、動的システムにおいて最適な性能を提供するプログラム可能なステートマシンを生成するための固有の設定を持つ。各状態は、条件が満たされたときに入る次の状態を定義してもよい。
【0036】
コントローラ104は、電力コンバータシステム106を動作させてヒータ102の発熱体に連続的な可変電圧を印加するように構成されている。可変電圧は、異なる振幅の電力を持つ。ヒータ102は、増加速度(ramp rate)を制御するために可変電圧を使用することによって熱亀裂(クラック)を受けにくく、したがって、可変電圧は、異なるヒーティングゾーン間の温度差を減少させるように動作可能である。そのような利点は、熱システムが2線式制御を利用するときにさらに実現される。
【0037】
本開示のある形態では、コントローラ104は、PID状態をシステム状態に一致させるためのモデルベースの制御を提供するように構成される。増加速度(ramp-up rate)とヒータテストは、ヒータの動作状態に基づいている。ヒータ102に電力を供給するための典型的な制御方法は、特に抵抗発熱体が比較的高い熱抵抗係数(TCR)を持つ材料で作られているときに、セラミック基板に亀裂を生じさせるという潜在的な問題を有する。ヒータのスタートアップ中、抵抗発熱体は、冷たいときに比較的低い抵抗を持ち、本開示のコントローラ104は、電力および電圧を制限することによって低抵抗の冷間始動を管理することができ、それによって突入電流を抑制することができる。それぞれのヒーティングゾーンの温度は、設定値まで増加し、それぞれのゾーンと他のゾーンとの間の温度差は、ヒータゾーンでの増加速度を調整することによって許容限界内に維持される。したがって、個々のヒーティングゾーンへの電力は釣り合ってもよい。抵抗発熱体の増加速度は、発熱体の動作状態に応じてコントローラによって制御および調整されてもよく、それによって様々なヒーティングゾーンにわたってより均一な加熱を達成する。
【0038】
図7A図7B図7C、および図7Dは、それぞれ、スタートアップモード、ウォームアップモード、定常状態モードの間に、および外乱において、ヒータの1つまたは複数の発熱体に電力を供給する電力コンバータの例示的な出力電圧波形を示す。図示されるように、発熱体に印加される電圧波形は異なる。電圧は、発熱体の抵抗、発熱体を流れる電流、および発熱体の温度に依存して異なる。温度が比較的低いスタートアップ時およびウォームアップ時には、電圧は、比較的小さい振幅を持ち、したがってワット数は比較的低い。温度が比較的高いときの定常状態および外乱/サージの間、電圧の振幅は増大し、その結果ワット数が高くなる。
【0039】
より具体的には、スタートアップに関して、発熱体の抵抗は低く(例えば3オーム)、発熱体がフルライン電圧(例えば208V)を受けると、発熱体を流れる瞬間電流と結果として生じる電力は、非常に大きい(例えば、約69Aおよび14,352W)。電力コンバータシステム106では、コントローラ104は、発熱体への入力電圧をはるかに低い電圧、例えば3Vに調整して電流および電力(例えば1Aおよび3W)を制御する。その後、コントローラ104は、発熱体の抵抗およびフィードバック情報に基づいて印加される電圧を徐々に増加させてもよい。
【0040】
一般に、同じ電力供給が発熱体に印加されても、ヒータの異なる発熱体は同じ速度で加熱されない場合がある。これは、ヒートシンクに対する発熱体の位置およびヒーティングゾーンにおける製造の不均一性などの様々な要因によって引き起こされる可能性がある。隣接するヒーティングゾーン間で大きな温度差が生じると、隣接するヒーティングゾーンにおける熱膨張の大きな差が加熱板のセラミック基板に亀裂を生じさせる可能性がある。本開示の電子熱システムは、発熱体したがってヒータの正確かつ安全な制御のために発熱体に様々な電力を供給するための1つまたは複数の電力コンバータを含む電力コンバータシステムを含む。例えば、少ない電力が、ピーク電流を最小にするために1つまたは複数の発熱体に供給されてもよく、または、加熱板の基板における熱亀裂を防止するために加熱の初期段階およびシャットダウン中に供給されてもよい。コントローラは、電力コンバータシステムを制御して異なる電圧を出力し、したがって個々のヒーティングゾーンの温度を制御する。したがって、本開示の電気熱システムは、異なるゾーン間の温度差を調整し、ヒータ全体にわたって均一な温度を提供する。
【0041】
したがって、コントローラは、発熱体の温度および/または発熱体の動作状態に基づいて、個々の発熱体への可変電力供給を制御する。本開示のコントローラの可変電力制御方法は:1)ピーク電流および電圧の制御を可能にし;2)スタートアップ時に急いでではなく、最高設定値で供給される最大ワット数に対して電力低下をサイズ調整し;3)所望の電力を供給するために信号位相の使用を可能にし;4)スタートアップを定電圧で制御して短絡回路/短絡されたヒータ検出を可能にし;5)2線式制御に対して、正弦波伝導が連続的に安定しているため、温度測定値が大幅に安定し、それによってより詳細な診断が可能になり、6)力率(power factor)を1.0に設定する。
【0042】
コントローラは、また、電流、電圧、ワット数、抵抗、ライン周波数などのヒータ特性を測定/制御することができる。コントローラは、個々のヒーティングゾーンの温度制御を提供し、加熱板にわたって均一な温度を提供して熱亀裂の発生を抑制するために異なるゾーン間の温度差を管理する。
【0043】
電力コンバータシステムでは、コントローラは、電源からヒータへの電力供給を制御するように構成される。電源は、フェーズファイア制御を備えたAC電源またはスイッチング装置を備えたDC電源としてもよく、発熱体は、広範囲の抵抗を有する異なる材料で作られてもよい。例えば、モリブデンが発熱体を形成するために使用される場合、抵抗発熱体は、冷たいときに非常に低い抵抗を持ち、したがって比較的高い電流を引き込む。本開示の電力変換技術は、ウォームアップの低抵抗コールドフェーズ中に、より低い電圧を印加して電流を許容レベルに管理する。
【0044】
さらに、コントローラは、ペデスタル構造および用途に基づいて、複数の補充および補足の検出方法を提供する。例えば、配置/スペースが許せば、熱電対またはRTD(抵抗温度検出器)などのデスクリート温度センサを使用することができる。本願と共通に譲渡されている米国特許第9,625,923号に開示されているような光学プラズマ蛍光検出は、高プラズマ用途に使用することができ、その内容はその全体が参照することにより本明細書に組み入まれる。上述したように、2線式センサが使用されてもよい。これらの温度センサは、また、本開示の範囲内に留まりながら、過熱制限、他の機能のために、使用されてもよい。
【0045】
本開示の説明は、本質的に例示にすぎず、したがって、本開示の本質から逸脱しない変形は、本開示の範囲内であることが意図されている。そのような変形は、本開示の精神および範囲からの逸脱と見なされるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
【国際調査報告】