(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-524539(P2019-524539A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(54)【発明の名称】モジュール式IVD分析器の容器移動サブシステムの冗長電力管理
(51)【国際特許分類】
B61B 13/02 20060101AFI20190809BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20190809BHJP
B61B 13/06 20060101ALI20190809BHJP
【FI】
B61B13/02 A
H02J3/32
B61B13/06 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-502769(P2019-502769)
(86)(22)【出願日】2017年7月19日
(85)【翻訳文提出日】2019年3月18日
(86)【国際出願番号】US2017042906
(87)【国際公開番号】WO2018017744
(87)【国際公開日】20180125
(31)【優先権主張番号】62/365,194
(32)【優先日】2016年7月21日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】507269175
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】カンマラータ,チャールズ ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】バオ,トーマス ジェイ.
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066HB09
5G066JA02
5G066JB03
(57)【要約】
冗長電力管理を提供するモジュール式体外診断(IVD)のための容器移動システムは、1つ以上のIVDサンプルに対してストレージを提供するように構成される複数のモジュールを含む。それぞれのモジュールは、内部1次電力源から内部電力を受信し、複数のモジュールの1つ以上にバックアップ電力を送信するように構成される電力フェイルオーバースイッチを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冗長電力管理を提供するモジュール式体外診断(IVD)のための容器移動システムであって、
1つ以上のIVDサンプルに対してストレージを提供するように構成される複数のモジュールを備え、それぞれのモジュールは、
内部1次電力源から内部電力を受信し、
前記複数のモジュールの1つ以上にバックアップ電力を送信する、
ように構成される電力フェイルオーバースイッチを備える、
システム。
【請求項2】
前記複数のモジュールは、中央モジュール及び1つ以上の非中央モジュールを備え、前記中央モジュールの前記電力フェイルオーバースイッチは、
独立した内部バックアップ電力源から更なる内部電力を受信する、
ように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記中央モジュールは、
ポートを更に備え、前記ポートは、前記独立した内部バックアップ電力源に結合され、前記中央モジュールの前記電力フェイルオーバースイッチを利用することなく前記非中央モジュールの1つ以上に電力を送信する
ように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記中央モジュールの前記電力フェイルオーバースイッチは、
前記中央モジュールにおいて1つ以上の電力供給による機能を実施するために前記中央モジュールの前記内部1次電力源から受信される電力を利用し、
前記内部1次電力源において電力障害状態を検出することに応答して、前記中央モジュールにおいて前記1つ以上の電力供給による機能を実施するために前記中央モジュールの前記独立した内部バックアップ電力源から受信される電力の利用に切換える、
ように更に構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記中央モジュールの前記電力フェイルオーバースイッチは、
前記内部1次電力源における前記電力障害状態が終了したことを検出することに応答して、前記中央モジュールにおいて前記1つ以上の電力供給による機能を実施するために前記中央モジュールの前記内部1次電力源から受信される電力の利用に切換える、
ように更に構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ以上の電力供給による機能は、前記中央モジュールの冷却ユニットを動作させることを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記1つ以上の電力供給による機能は、前記中央モジュールの輸送ユニットを動作させることを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記非中央モジュールのそれぞれの前記電力フェイルオーバースイッチは、前記複数のモジュールの1つ以上からバックアップ電力を受信する
ように更に構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
それぞれの非中央モジュールの前記電力フェイルオーバースイッチは、
前記非中央モジュールにおいて1つ以上の電力供給による機能を実施するために前記非中央モジュールの前記内部1次電力源から受信される電力を利用し、
前記内部1次電力源において電力障害状態を検出することに応答して、前記非中央モジュールにおいて前記1つ以上の電力供給による機能を実施するために前記複数のモジュールの1つ以上から受信される前記バックアップ電力の利用に切換える、
ように更に構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
それぞれの非中央モジュールの前記電力フェイルオーバースイッチは、
前記内部1次電力源における前記電力障害状態が終了したことを検出することに応答して、前記非中央モジュールにおいて前記1つ以上の電力供給による機能を実施するために前記非中央モジュールの前記内部1次電力源から受信される電力の利用に切換える、
ように更に構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記1つ以上の電力供給による機能は、前記非中央モジュールの冷却ユニットを動作させることを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記1つ以上の電力供給による機能は、前記非中央モジュールの輸送ユニットを動作させることを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
体外診断(IVD)のための容器移動システムにおいて冗長電力管理を提供するモジュールであって、
内部1次電力源と、
電力フェイルオーバースイッチと、
を備え、前記電力フェイルオーバースイッチは、
前記内部1次電力源を連続してモニターし、
前記内部1次電力源において電力障害状態が検出されない場合は、前記モジュールに電力供給するために前記内部1次電力源を利用し、
前記内部1次電力源において前記電力障害状態が検出される場合は、前記モジュールに電力供給するために外部2次電力源を利用する、
ように構成される、モジュール。
【請求項14】
前記IVDのための容器移動サブシステムにおいて第2のモジュールに接続され、前記第2のモジュールは、前記外部2次電力源を備える、請求項13に記載のモジュール。
【請求項15】
前記第2のモジュールは、前記IVD容器移動サブシステムにおいて前記モジュールに隣接する、請求項14に記載のモジュール。
【請求項16】
前記第2のモジュールは、前記IVD容器移動サブシステムにおいて1つ以上の更なるモジュールによって前記モジュールから分離される、請求項14に記載のモジュール。
【請求項17】
冗長電力管理を提供するモジュール式体外診断(IVD)のための容器移動システムであって、
複数の領域に分割された複数のリニア同期モーターを備えるトラックと、
複数のモジュールと、
を備え、それぞれのモジュールは、
前記モジュール内に位置する電力源を使用して電力フェイルオーバースイッチによって、前記トラック上の或る領域に対応する前記リニア同期モーターのサブセットに電力を提供し、
前記ローカル電力源の故障を検出すると、前記複数のモジュール内に含まれる第2のモジュール内の電力源を使用して前記電力フェイルオーバースイッチによって、前記リニア同期モーターの前記サブセットに電力を提供する、
ように構成される、システム。
【請求項18】
前記第2のモジュールは、前記トラック上で、前記リニア同期モーターの前記サブセットに隣接するリニア同期モーターの第2のサブセットに電力を提供する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記モジュールの少なくとも1つは分析器モジュールである、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記モジュールの少なくとも1つはサンプルハンドラーである、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2016年7月21日に出願された米国仮特許出願第62/365,194号の利益を主張し、その出願は引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、包括的には、モジュール式体外診断(IVD:in vitro-diagnostic)分析器の容器移動サブシステムの電力管理に関する方法、システム、及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
体外診断(IVD)試験(検査)システムは、異なる試験ステーションの間で試験(検査)サンプルを収容する容器を移動させる容器移動サブシステムを利用する。容器移動サブシステムは、全体の試験システムのコア構成要素であるため、サブシステム内の他の機器モジュールが非動作又は非給電状態にある場合がある間でも、容器移動サブシステムが常に適切な電力の供給を維持することが重要である。さらに、システムは、信頼性目標が達成されることを保証するために全体の非スケジュール訪問レート(USVR:unscheduled visit rate)を最小にする目標を有する。そのため、容器移動サブシステムが試験動作全体を通して高度に利用可能なままであることが重要である。
【0004】
電源は、概して、システムの一般的な故障源である。そのため、単一電源を使用することは、容器移動のサブシステムがその目標USVRを超えることになる機会を著しく増加させる。結果として、容器移動システムの設計者は、故障のリスクを最小にするのに役立つ電力システムを設計しようと取組んできた。幾つかの従来の解決策において、それぞれのセグメントは、それぞれのセグメント内の或るレベルのN+1冗長AC−DC電源システムによって独立に電力供給される。代替的に、電源の出力レベルを下げること(ディレーティング:derating)は、所与の負荷条件下で電源の耐用年数を増加させることによってそのUSVRを減少させる従来の方法である。出力レベルを下げることは、通常、その予想される負荷条件に対して比例的に高い定格の出力容量を電源に実装することを必要とする。これらは、一般に、電力源故障の問題に対処するが、冗長性及び/又は出力レベルを下げることは、電力供給されるシステムの全体の専有面積を拡張する。そのため、この解決策は、利用可能な専有面積が制限されている又は他の空間制約が存在するシステムにおいて適用できない。他の従来の解決策において、中央電源には、N+1冗長AC−DC電源システム又は出力レベルを下げた単一電源が実装される。これは、同様に、その問題を解決することになるが、拡張可能性(スケーラビリティ)の困難さ及び配電に関する難題によって有益でなかった。予想されるセグメントの最悪の場合の数に基づいて、大きな電源が必要とされる可能性が高くなるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、モジュール式IVD分析器容器移動サブシステムの冗長電力管理を提供することが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、モジュール式体外診断(IVD)分析器容器移動サブシステムの電力管理に関する方法、システム、及び装置を提供することによって上記の短所及び欠点の1つ以上に対処しそれを克服する。簡潔に言えば、容器移動サブシステムは、それぞれが1次電力源及び電力フェイルオーバースイッチ(PFS:power failover switch)を含む複数のモジュールを備える。PFSは、任意の個々のモジュールが故障する場合に冗長性を提供するようにモジュールにわたって電力源をともにリンクするために使用される。
【0007】
幾つかの実施形態によれば、IVD容器移動システムは、1つ以上のIVDサンプルに対してストレージ(保管場所、貯蔵庫)を提供するように構成される複数のモジュールを使用して冗長電力管理を提供する。それぞれのモジュールは、内部1次電力源から内部電力を受信し、複数のモジュールに含まれる他のモジュールの1つ以上にバックアップ電力を送信するように構成されるPFSを備える。
【0008】
上記複数のモジュールは、中央モジュール及び1つ以上の非中央モジュールに分割することができる。上述した一般的なPFS機能に加えて、中央モジュールのPFSは、中央モジュール内の独立した内部バックアップ電力源から更なる内部電力を受信するように更に構成することができる。さらに、中央モジュールは、ポートを含むことができ、ポートは、独立した内部バックアップ電力源に結合され、中央モジュールのPFSを利用することなく非中央モジュールに電力を送信するように構成される。通常動作状態下で、中央モジュールは、中央モジュールにおいて1つ以上の電力供給による機能(powered function)(例えば、冷却ユニットを動作させること、輸送モジュールを動作させること等)を実施するために中央モジュールの内部1次電力源から受信される電力を利用する。内部1次電力源において電力障害状態が検出される場合、中央モジュールは、電力供給による機能を実施するために独立した内部バックアップ電力源に切換えることができる。その後、内部1次電力源が終了したことを検出した後、中央モジュールは、電力機能を実施するために1次電力源に元通り切換えることができる。
【0009】
冗長性を提供するために、非中央モジュールは、他のモジュールの1つ以上からバックアップ電力を受信するように更に構成することができる。中央モジュールと同様に、非中央モジュールは、非中央モジュールにおいて1つ以上の電力供給による機能(冷却ユニットを動作させること、輸送ユニットを動作させること等)を実施するために非中央モジュールの内部1次電力源から受信される電力を利用することができる。しかし、中央モジュールと対照的に、内部1次電力源において電力障害状態が検出されると、非中央モジュールは、その電力供給による機能を実施するために他のモジュール(複数の場合もある)から受信されるバックアップ電力の利用に切換えることができる。その後、1次電力源における電力障害状態が終了したことを非中央モジュールが検出すると、非中央モジュールは、電力供給による機能を実施するために1次電力源に元通り切換えることができる。
【0010】
本発明の別の態様によれば、冗長電力管理を提供するモジュール式IVD容器移動システムは、トラック及び複数のモジュール(例えば、分析器モジュール、サンプルハンドラー等)を含む。トラックは、複数の領域に分割されたリニア同期モーター(linear synchronous motors)を含む。それぞれのモジュールは、モジュール内に位置する電力源を使用して電力フェイルオーバースイッチによって、トラック上の或る領域に対応するリニア同期モーターのサブセットに電力を提供するように構成される。ローカル電力源の故障を検出すると、モジュールは、モジュール内に含まれる第2のモジュール内の電力源を使用して電力フェイルオーバースイッチによって、リニア同期モーターのサブセットに電力を提供する。幾つかの実施形態において、第2のモジュールは、トラック上で、リニア同期モーターのサブセットに隣接するリニア同期モーターの第2のサブセットに電力を提供する。
【0011】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面を参照して進められる例証的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。
【0012】
本発明の上記及び他の態様は、添付図面に関連して読まれると、以下の詳細な説明から最もよく理解される。本発明を例証するために、現在のところ好ましい実施形態が図面に示される。しかし、開示される特定の手段に本発明が限定されないことが理解される。図面には以下の図が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の幾つかの実施形態による、冗長電力管理を提供するモジュール式体外診断容器移動システムの例を示す図である。
【
図2】幾つかの実施形態による、サンプルハンドラーモジュール及び2つの分析器モジュールを含む完全稼働中の分析器システム内に位置するトラックシステムを示す図である。
【
図3】幾つかの実施形態において使用することができる、トラックを制御する容器移動コントローラーのための種々の制御ゾーンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の開示は、モジュール式体外診断(IVD)分析器容器移動サブシステムにおいて利用することができる冗長電力管理に関する方法、システム、及び装置を対象とする幾つかの実施形態による本発明を述べる。簡潔に言えば、本明細書で述べる技法を使用して設計される容器移動サブシステムは、それぞれが電力フェイルオーバースイッチ(PFS)を含むストレージ及び輸送モジュールのセットを備える。PFSは、モジュールが、1次電力源とバックアップ電力源との間でシームレスに切換えることを可能にする。本明細書で述べる集中電源アプローチは、ケーブル配線の減少、コストの低減を可能にし、完全にスケーラブル(拡張可能)である。さらに、それぞれのセグメントがそれ自身の電源を含むため、空間を低減することができ、容器移動セグメント内の危険な電圧レベルの存在(安全のための軽減を必要とする可能性がある)が回避される。
【0015】
図1は、本発明の幾つかの実施形態による、冗長電力管理を提供するモジュール式体外診断容器移動サブシステム100の例を示す。容器移動サブシステム100は、それぞれが、試験サンプルのためのストレージ及び輸送機能を提供する4つのモジュール105、110、115、120を備える。それぞれのモジュール105、110、115、120は、それぞれのモジュール内の1次電力源を連続してモニターし、必要に応じて、2次電力にシームレスに切換える、電力モニタリング及びスイッチオーバー回路を含むPFSを備える。
【0016】
幾つかの実施形態において、電力フェイルオーバー機構は、正常状態下で、容器移動セグメントの関連する機器モジュール内に収容される既存の直流(DC)電源を1次電力源として利用する。電力フェイルオーバー機構は、障害状態下で、容器移動セグメントの隣接する機器モジュール内に収容される既存のDC電源を2次電力源として利用することもできる。電力フェイルオーバー技術機構は、1次電力源を連続してモニターし、1次電力源において電力障害状態が検出される場合に2次電力源にシームレスに切換えることができ、障害状態がもはや存在しなくなると1次電力源に元通りシームレスに切換える。それぞれの機器モジュールは、通常、信頼性の理由で電源動作マージンを有する。このマージンは、電源の長期信頼性を大幅に損なうことなく一時的な障害状態下で利用され得る。このトポロジーは、それぞれの容器移動セグメント及び関連する機器モジュールによって本質的に拡大する(スケールする)ことができる。
【0017】
図1に示す容器移動サブシステム100を使用して、フィールドサービス要員は、システムの他の機能を中断することなく、任意の機器モジュールの電源を切ることができる。これは、容器移動全体が依然として動作中であるため、他の機器モジュール上で実施されているIVD試験が進行し得ることを意味する。同じことは、任意の単一機器モジュールの電力システムが万一故障する場合に当てはまる。これは、顧客がIVD試験を処理し続けることを可能にする。
【0018】
図1に示す容器移動サブシステム100に対する代替として、幾つかの実施形態において、それぞれの容器セグメントは、別個のAC電力源から直接電力供給され、高信頼性タイプのAC−DC電源が、N+1冗長性の代わりに選択される。これは、容器移動サブシステム100とコストが匹敵する場合がある。しかし、それは、容器移動セグメント内で、更なる空間割当てを必要とすることになり、危険な電圧電位を呈する(更なるリスク軽減を必要とする)。
【0019】
本発明を説明するために、本発明を幾つかの実施形態において実装することができるが、
図2は、サンプルハンドラーモジュール10並びに32及び34の2つの分析器モジュールを含む完全稼働中の分析器システム162内に位置するトラックシステム160を示す。幾つかの実施形態において、このトラックは、壁内のガイドレール及び平坦床を含むステンレス鋼チャネルで構成される。キャリアは、それぞれのキャリアの底部(bottom)に超高分子量ポリエチレン(UHMW:ultra-high-molecular-weight polyethylene)、テフロン(登録商標)、又は他の適した材料等の低摩擦材料を含む。この底部材料は、キャリアが、壁内のガイドレールによって誘導される平坦トラックに沿って滑走することを可能にする。トラックの金属表面の下に、リニア同期モーター(LSM)を形成する一連の磁気コイルが存在する。一方、それぞれのキャリア内の複数の希土類磁石は、キャリアをこれらのコイルの変化と同期して移動させることによってこれらのコイルの変化に応答する。
【0020】
図3は、幾つかの実施形態において使用することができる、トラック160を制御する容器移動コントローラーのための種々の制御ゾーンを示す。トラックシステムは、システム内のそれぞれのモジュールにほぼ対応する異なる領域に分割され得る。例えば、
図3を参照して、領域192は分析器モジュール34に対応し、領域194は分析器モジュール32に対応すると仮定する。さらに、領域196はサンプルハンドラー10に対応すると仮定する。
【0021】
引き続き
図3を参照して、冗長性は、或るPFSを、これらの領域のそれぞれにネットワーク及び電力を提供することを担当するように割当てることによって達成され得る。それぞれのPFSスイッチは、トラックのローカル領域に電力を提供する。この例において、領域196のためのPFSスイッチは、ローカル電力源にアクセスして、この領域に電力を提供する。そのPFSスイッチは、領域194のための隣接するPFSスイッチにおいてアクセスすることができる電力チャネルも提供する。領域194のためのPFSスイッチは、ローカル分析器モジュール32によって提供されるローカル電力源に対する通常のアクセスを有する。そのローカル分析器モジュール32が、万一、故障するか、オフにされるか、又はサービスを必要とする場合、その電源は遮断され得る。しかし、194内の分析器モジュール32がサービスされている間、領域192内の分析器モジュール34が動作することを依然として可能にすることが望ましい。そのため、領域192及び194内のトラックセクションは、動作し続ける必要がある。これを達成するために、領域194のためのPFSスイッチは、ローカル分析器モジュール32からの電力の喪失を検出し、領域196から、隣接するPFSスイッチによって供給される電力供給にアクセスする。領域194のためのPFSスイッチは、次に、ローカル分析器モジュール34の電力が故障したときにそのセクションが万一電力を必要とする場合、領域192のためのPFSスイッチに電力供給を提供する。領域192内の分析器モジュール34が万一電力を喪失し、それにより、領域192のためのPFSスイッチがローカル電力供給にアクセスできない場合、そのPFSスイッチは、ローカル電力の喪失を検出し、隣接する領域194のためのPFSスイッチによって供給される電力供給にアクセスし得る。こうして、領域192又は194内の分析器モジュールが万一故障する場合、ローカルトラックセクションは、隣接する領域内のモジュールのための電力源によって供給される電力を得続ける。
【0022】
本開示の実施形態は、ハードウェア及びソフトウェアの任意の組合せで実装することができる。さらに、本開示の実施形態を、例えば、コンピューター可読非一時的媒体を有する製造品(例えば、1つ以上のコンピュータープログラム製品)に含むことができる。媒体は、例えば、本開示の実施形態のメカニズムを提供し容易にするためのコンピューター可読プログラムコードを内部に具現化している。製造品は、コンピューターシステムの一部として含まれ得る、又は、別個に販売され得る。
【0023】
本明細書の機能及びプロセスステップは、自動的に又は全体的に若しくは部分的にユーザーコマンドに応答して実施することができる。自動的に実施される活動(ステップを含む)は、ユーザーがその活動を直接始動させることなく、1つ以上の実行可能命令又はデバイス動作に応答して実施される。
【0024】
図のシステム及びプロセスは排他的でない。他のシステム、プロセス、及びメニュー(menus)を、同じ目的を達成するために本発明の原理に従って導出することができる。本発明は特定の実施形態を参照して述べられたが、本明細書で示し述べる実施形態及び変形が例証のためだけのものであることが理解される。現在の設計に対する修正は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって実装することができる。本明細書で述べるように、種々のシステム、サブシステム、エージェント、マネージャー、及びプロセスは、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、及び/又はその組合せを使用して実装され得る。本明細書のどの特許請求項要素も、その要素がフレーズ「ための手段(means for)」を使用して明示的に述べられない限り、米国特許法第112条第6段落の規定下で解釈されない。
【手続補正書】
【提出日】2019年5月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冗長電力管理を提供するモジュール式体外診断(IVD)のための容器移動システムであって、
1つ以上のIVDサンプルに対してストレージを提供するように構成される複数のモジュールを備え、それぞれのモジュールは、
内部1次電力源から内部電力を受信し、
前記複数のモジュールの1つ以上にバックアップ電力を送信する、
ように構成される電力フェイルオーバースイッチを備える、
システム。
【請求項2】
前記複数のモジュールは、中央モジュール及び1つ以上の非中央モジュールを備え、前記中央モジュールの前記電力フェイルオーバースイッチは、
独立した内部バックアップ電力源から更なる内部電力を受信する、
ように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記中央モジュールは、
ポートを更に備え、前記ポートは、前記独立した内部バックアップ電力源に結合され、前記中央モジュールの前記電力フェイルオーバースイッチを利用することなく前記非中央モジュールの1つ以上に電力を送信する
ように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記中央モジュールの前記電力フェイルオーバースイッチは、
前記中央モジュールにおいて1つ以上の電力供給による機能を実施するために前記中央モジュールの前記内部1次電力源から受信される電力を利用し、
前記内部1次電力源において電力障害状態を検出することに応答して、前記中央モジュールにおいて前記1つ以上の電力供給による機能を実施するために前記中央モジュールの前記独立した内部バックアップ電力源から受信される電力の利用に切換える、
ように更に構成される、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記中央モジュールの前記電力フェイルオーバースイッチは、
前記内部1次電力源における前記電力障害状態が終了したことを検出することに応答して、前記中央モジュールにおいて前記1つ以上の電力供給による機能を実施するために前記中央モジュールの前記内部1次電力源から受信される電力の利用に切換える、
ように更に構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ以上の電力供給による機能は、前記中央モジュールの冷却ユニットを動作させることを含む、請求項4または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記1つ以上の電力供給による機能は、前記中央モジュールの輸送ユニットを動作させることを含む、請求項4〜6のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項8】
それぞれの前記非中央モジュールの前記電力フェイルオーバースイッチは、前記複数のモジュールの1つ以上からバックアップ電力を受信する
ように更に構成される、請求項2〜7のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項9】
それぞれの前記非中央モジュールの前記電力フェイルオーバースイッチは、
前記非中央モジュールにおいて1つ以上の電力供給による機能を実施するために前記非中央モジュールの前記内部1次電力源から受信される電力を利用し、
前記内部1次電力源において電力障害状態を検出することに応答して、前記非中央モジュールにおいて前記1つ以上の電力供給による機能を実施するために前記複数のモジュールの1つ以上から受信される前記バックアップ電力の利用に切換える、
ように更に構成される、請求項2〜8のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項10】
それぞれの前記非中央モジュールの前記電力フェイルオーバースイッチは、
前記内部1次電力源における前記電力障害状態が終了したことを検出することに応答して、前記非中央モジュールにおいて前記1つ以上の電力供給による機能を実施するために前記非中央モジュールの前記内部1次電力源から受信される電力の利用に切換える、
ように更に構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記1つ以上の電力供給による機能は、前記非中央モジュールの冷却ユニットを動作させることを含む、請求項8又は9に記載のシステム。
【請求項12】
前記1つ以上の電力供給による機能は、前記非中央モジュールの輸送ユニットを動作させることを含む、請求項8〜11のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項13】
体外診断(IVD)のための容器移動システムにおいて冗長電力管理を提供するモジュールであって、
内部1次電力源と、
電力フェイルオーバースイッチと、
を備え、前記電力フェイルオーバースイッチは、
前記内部1次電力源を連続してモニターし、
前記内部1次電力源において電力障害状態が検出されない場合は、前記モジュールに電力供給するために前記内部1次電力源を利用し、
前記内部1次電力源において前記電力障害状態が検出される場合は、前記モジュールに電力供給するために外部2次電力源を利用する、
ように構成される、モジュール。
【請求項14】
前記IVDのための容器移動サブシステムにおいて第2のモジュールに接続され、前記第2のモジュールは、前記外部2次電力源を備える、請求項13に記載のモジュール。
【請求項15】
前記第2のモジュールは、前記IVD容器移動サブシステムにおいて前記モジュールに隣接する、請求項13又は14に記載のモジュール。
【請求項16】
前記第2のモジュールは、前記IVD容器移動サブシステムにおいて1つ以上の更なるモジュールによって前記モジュールから分離される、請求項13〜15のいずれか1つに記載のモジュール。
【請求項17】
冗長電力管理を提供するモジュール式体外診断(IVD)のための容器移動システムであって、
複数の領域に分割された複数のリニア同期モーターを備えるトラックと、
複数のモジュールと、
を備え、それぞれのモジュールは、
前記モジュール内に位置する電力源を使用して電力フェイルオーバースイッチによって、前記トラック上の或る領域に対応する前記リニア同期モーターのサブセットに電力を提供し、
前記ローカル電力源の故障を検出すると、前記複数のモジュール内に含まれる第2のモジュール内の電力源を使用して前記電力フェイルオーバースイッチによって、前記リニア同期モーターの前記サブセットに電力を提供する、
ように構成される、システム。
【請求項18】
前記第2のモジュールは、前記トラック上で、前記リニア同期モーターの前記サブセットに隣接するリニア同期モーターの第2のサブセットに電力を提供する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記モジュールの少なくとも1つは分析器モジュールである、請求項17又は18に記載のシステム。
【請求項20】
前記モジュールの少なくとも1つはサンプルハンドラーである、請求項17〜19のいずれか1つに記載のシステム。
【国際調査報告】