(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-524846(P2019-524846A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(54)【発明の名称】子宮内膜症の治療のための投与レジメン
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4196 20060101AFI20190809BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20190809BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20190809BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20190809BHJP
A61K 31/567 20060101ALI20190809BHJP
A61K 31/57 20060101ALI20190809BHJP
A61K 31/569 20060101ALI20190809BHJP
A61K 31/585 20060101ALI20190809BHJP
【FI】
A61K31/4196
A61P15/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/567
A61K31/57
A61K31/569
A61K31/585
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-509559(P2019-509559)
(86)(22)【出願日】2017年8月21日
(85)【翻訳文提出日】2019年4月18日
(86)【国際出願番号】GB2017052466
(87)【国際公開番号】WO2018033759
(87)【国際公開日】20180222
(31)【優先権主張番号】1614179.8
(32)【優先日】2016年8月19日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】516336080
【氏名又は名称】メレオ バイオファーマ 2 リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135943
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 規樹
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】パーキン,ジャッキー
(72)【発明者】
【氏名】クリックスタイン,ロイド,ビー.
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA06
4C084ZA811
4C084ZA862
4C084ZC541
4C084ZC751
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4C086AA02
4C086BC60
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4C086MA04
4C086NA05
4C086NA06
4C086ZA81
4C086ZC54
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、非妊娠、閉経前の女性の子宮内膜症の治療に使用する4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルおよび併用経口避妊薬を含む投与レジメンに関する。本発明はまた、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルおよび併用経口避妊薬を含む多相性組合せ製剤にも関する。本発明はまた、前記多相性製剤および使用指示を含むキットにも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非妊娠、閉経前の女性の子宮内膜症の治療に使用する4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルおよび併用経口避妊薬を含む投与レジメンであって、前記4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは約0.001mgから約0.1mgの用量で投与され、前記併用経口避妊薬はn[28日]サイクルの治療で1日1回投与され、nは正の整数の乗数であり、nは1から3の間(両端を含む)であり、前記4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは、前記n[28日]サイクルの治療中に、1日毎に1回、1日おきに1回、7日毎に1回または28日毎に1回投与される、投与レジメン。
【請求項2】
前記4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルが約0.001mgから約0.004mg、より好ましくは約0.001mgから約0.002mgの用量で、前記n[28日]サイクルの治療中に1日毎に1回投与される、請求項1に記載の投与レジメン。
【請求項3】
前記4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルが約0.004mgから約0.009mg、好ましくは約0.004mgから約0.006mgの用量で、前記n[28日]サイクルの治療中に1日おきに1回投与される、請求項1に記載の投与レジメン。
【請求項4】
前記4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルが約0.009mgから約0.05mg、より好ましくは約0.009mgから約0.03mgの用量で、前記n[28日]サイクルの治療中に7日毎に1回投与される、請求項1に記載の投与レジメン。
【請求項5】
前記4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルが約0.05mgから約0.1mg、より好ましくは約0.05mgから約0.075mgの用量で、前記n[28日]サイクルの治療中に28日毎に1回投与される、請求項1に記載の投与レジメン。
【請求項6】
前記非妊娠、閉経前の女性における4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの血漿中濃度が、前記n[28日]サイクルの治療の継続期間中0.03ng/mLから0.27ng/mLの間のままであり、前記サイクルの治療が終了するとき0.03ng/mL未満に低下する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の投与レジメン。
【請求項7】
nが1である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の投与レジメン。
【請求項8】
nが2である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の投与レジメン。
【請求項9】
nが3である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の投与レジメン。
【請求項10】
前記4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルが、前記併用経口避妊薬と混合されて単一の製剤にされていてもよく、または同時もしくは逐次投薬用に別個に製剤化されていてもよい、請求項1〜9のいずれか一項に記載の投与レジメン。
【請求項11】
前記併用経口避妊薬が一相性または多相性である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の投与レジメン。
【請求項12】
前記併用経口避妊薬が一相性である、請求項11に記載の投与レジメン。
【請求項13】
合成エストロゲンがエストロゲン、エチニルエストラジオールまたはメストラノールから選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の投与レジメン。
【請求項14】
前記合成エストロゲンがエチニルエストラジオールである、請求項13に記載の投与レジメン。
【請求項15】
15〜50μg/日で投与されるエチニルエストラジオールを含む、請求項14に記載の投与レジメン。
【請求項16】
30μg/日で投与されるエチニルエストラジオールを含む、請求項15に記載の投与レジメン。
【請求項17】
合成プロゲストゲンが、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、デソゲストレル、ジエノゲスト、ドロスピレノン、二酢酸エチノジオール、ゲストデン、レボノルゲストレル、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ノルゲスチメート、ノルゲストレル、または酢酸ノメゲストロールから選択される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の投与レジメン。
【請求項18】
前記合成プロゲストゲンがレボノルゲストレルである、請求項17に記載の投与レジメン。
【請求項19】
50〜250μg/日で投与されるレボノルゲストレルを含む、請求項18に記載の投与レジメン。
【請求項20】
150μg/日で投与されるレボノルゲストレルを含む、請求項19に記載の投与レジメン。
【請求項21】
前記4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの負荷用量が前記n[28日]サイクルの治療の初期に投与され、前記4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの維持用量が前記n[28日]サイクルの治療の残りの期間に投与され、前記維持用量が前記負荷用量より低い、請求項1〜20のいずれか一項に記載の投与レジメン。
【請求項22】
前記非妊娠、閉経前の女性が、妊娠可能である、請求項1〜21のいずれか一項に記載の投与レジメン。
【請求項23】
前記4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルおよび前記併用経口避妊薬が非経口的にまたは経口的に投与される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の投与レジメン。
【請求項24】
前記4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルおよび前記併用経口避妊薬が固形製剤として投与される、請求項23に記載の投与レジメン。
【請求項25】
前記4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルが1日毎に1回投与され、19、20、21または22回の毎日の投与の後に前記投与が中止されるか、または前記用量が減量される、請求項1〜24のいずれか一項に記載の投与レジメン。
【請求項26】
前記4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルが1日おきに1回投与され、10、11または12回の1日おきの投与の後に前記投与が中止されるか、または前記用量が減量される、請求項1〜24のいずれか一項に記載の投与レジメン。
【請求項27】
前記4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルが7日毎に1回投与され、3回の毎週の投与の後に前記投与が中止される、請求項1〜24のいずれか一項に記載の投与レジメン。
【請求項28】
請求項1〜27のいずれか一項に記載の投与レジメンを含む多相性組合せ製剤であって、各投与単位が前記4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルおよび併用経口避妊薬を混合形態で、別個に、または前記併用経口避妊薬を単独で含むような、前記投与レジメンと一致するn[28日]投与単位を含む、多相性組合せ製剤。
【請求項29】
請求項28に記載の多相性製剤を含むキットであって、子宮内膜症の、非妊娠、閉経前の女性を治療するための前記投与レジメンを投与する方法に関する指示をさらに含むキット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
子宮内膜症は、普通は局所的な痛みを伴う、異所性子宮内膜組織と定義される。異所性組織は、通常骨盤臓器および組織で見られ、おそらくは、月経中に卵管を通して、分離した子宮内膜細胞が逆行性に動くことにより運ばれる。子宮内膜症は典型的に、重篤たり得る痛みを引き起こすが、このことはまた癒着および続発性不妊症を伴い得る。
【0002】
子宮内膜症はエストロゲン依存性疾患である。子宮内膜症に対する現在の標準的なケアは、初めに併用経口避妊薬(COC)治療であり、それが失敗すれば、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アナログである。子宮内膜症用の全ての認可済みの薬物には、特に卵胞ステロイド産生に関連するチトクロム酵素のダウンレギュレーションにつながるGnRHアナログで、2つの共通する特徴があり、第1は排卵の阻害であり、第2は卵胞刺激ホルモン(FSH)および黄体形成ホルモン(LH)の阻害である。血液エストロゲンにおける関連する減少および卵胞破裂の欠如により、子宮内膜組織へのエストロゲン刺激を減少させる。
【0003】
しかしながら、視床下部−下垂体および性腺制御下での循環エストロゲンの役割に加え、異所性子宮内膜組織における子宮内膜症移植および随伴症状の自己分泌増殖刺激でエストロゲンが合成されることも示された(Bulun et al, “Benign Diseases of the Vulva and Vagina”, Adolescent and Pediatric Gynecology, Volume 3, Issue 2, Pages 63-123, 1990)。子宮内膜症は肥満および腹膜におけるアンドロゲンホルモンのエストロゲンへの芳香族化と関係があり、骨盤脂肪は、子宮内膜の堆積物を浸す骨盤液における、エストロゲンを含むホルモンの血液に比べて1000倍高いレベルに貢献し得る(Koninckx, Kennedy and Barlow, “Pathogenesis of Endometriosis: The Role of Peritoneal Fluid”, Gynecologic and Obstetric Investigation, Volume 47, Suppl. 1, Pages 23-33, 1999)。子宮内膜組織および局所脂肪によるエストロゲン産生は、視床下部−下垂体−性腺制御下でなく、さらにCOCまたはGrRHアナログによる影響を受けない。
【0004】
COCは、典型的に28日の期間にわたって投与するが、より長い間投与してもよい。妨害アンドロゲンダナゾールは子宮内膜症治療用に認可されているが、男性化させる副作用により実質的にその使用は制限されている。少なくとも10%の患者が、現在治療オプションを持たない。
【0005】
組織エストロゲン産生に関連する重要な酵素は、アロマターゼである。アロマターゼ酵素はアンドロゲンのエストロゲンへの変換、例えば内因性アンドロステンジオンからエストロンおよび内因性テストステロンからエストラジオールへの変換を触媒する。アロマターゼ阻害剤はアロマターゼ酵素の作用を制限し、それによって患者のエストロゲンレベルを低下させる。
【0006】
したがって、エストロゲン合成を広く妨げるアロマターゼ阻害剤は、標準的な治療に反応できない患者を含む全ての患者に有効であるべきである。
難治性子宮内膜症のいくらかの患者における未調整の局所的エストロゲン合成の仮説に一致して、いくらかの小規模な学術的研究により、子宮内膜症の患者が少なくとも部分的に、COC、プロゲスチンまたはGnRHアナログと共投与される、現在販売されているアロマターゼ阻害剤に反応するという概念が支持されてきた(Attar and Bulun, “Aromatase inhibitors: the next generation of therapeutics for endometriosis?”, Fertility and sterility, Volume 85, Issue 5, Pages 1307-1318, 2006で概説されている)。しかしながら、アロマターゼ阻害剤は、催奇形作用に関連付けられており、妊娠している女性に処方するべきではない(Tiboni GM, Marotta F, Rossi C, and Giampietro F, “Effects of the aromatase inhibitor letrozole on in utero development in rats”, Human Reproduction, Volume 23, Issue 8, Pages 1719-1723, 2008)。
【0007】
mg範囲の投与方法での毎日の投与によるホルモン依存性乳がんの治療用に認可された、臨床的に認可された非ステロイド性アロマターゼ阻害剤アナストロゾール、レトロゾールおよびファドロゾールに加えて、いくつかの他のアロマターゼ阻害剤が特許および科学文献に記載されてきた。これらの化合物の1つは、1992年[欧州特許第490816号明細書および米国特許第5637605号明細書]に初めて記載された、4−[α−(4−シアノフェニル)−α−フルオロ−1−(1,2,4−トリアゾリル)メチル]−ベンゾニトリルまたはCGP47645としても知られる、アロマターゼ阻害剤4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルであり、以下の構造式を有する。
【0008】
【化1】
【0009】
CGP47645は、長期の作用継続時間を有する、1つの水素のフッ素置換を持つ、レトロゾールと構造的に関係するアロマターゼ阻害剤である。
【0010】
CGP47645、高選択的アロマターゼ阻害剤の投与により、テストステロンのエストロン、硫酸エストロンおよびエストラジオールへの変換は、用量に依存して減少を示す。
【0011】
ラットおよびサルにおけるこの化合物での予備のインビトロおよびインビボ実験により、レトロゾールより最高で10倍近く高いアロマターゼ阻害の効力を示し、毎日より少ない治療レジメンの潜在性を実証した。3mg/kgのCGP47645の週に1回の投与は、大人のメスのラットにおける医学的卵巣除去を達成する有効な用量として考えられた(Batzl-Hartmann et al, “Pharmacological profile of CGP47645, a new non-steroidal aromatase inhibitor with a long duration of action”, XVI International Cancer Congress, Pages 3041-3047, 1994)。CGP47645の半減期は、週に1回の投薬スケジュールで、卵巣切除に類似した内分泌効力を維持するために十分な長さであると結論付けた(Bhatnagar et al, “Pharmacology of nonsteroidal aromatase inhibitors”, Hormone-dependent cancer, Pages 155-168, 1996)。
【0012】
驚くことに、CGP47645の投薬により、血液PKおよびIC
50により予測されるよりも著しく低い用量で、男性においてアンドロゲンのエストロゲンへの変換を阻害することがわかった。さらなる調査により、組織(脂肪)バイオプシーが、血漿中よりも最高で10倍高いCGP47645の濃度を示すことが実証された。子宮内膜症におけるアロマターゼ活性部位へのCGP47645のターゲティングは、安全な利点を持つ、低い全身的活性を有する用量での有効な抑制を支持することが提唱される。
【0013】
低用量のCGP47645は、より短い半減期のさらなる利点を有し、併用経口避妊薬でのレジメンにおいて妊娠可能な女性における全身曝露の制御を支持する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
非妊娠、閉経前の女性の子宮内膜症の治療に使用する4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルおよび併用経口避妊薬を含む投与レジメンであって、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルが約0.001mgから約0.1mgの用量で投与され、併用経口避妊薬がn[28日]サイクルの治療で1日1回投与され、nが正の整数の乗数であり、nが1から3の間(両端を含む)であり、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルが、n[28日]サイクルの治療中に、1日毎に1回、1日おきに1回、7日毎に1回または28日毎に1回投与される、投与レジメン。
【0015】
好ましくは、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは約0.001mgから約0.004mg、より好ましくは約0.001mgから約0.002mgの用量で、n[28日]サイクルの治療中に1日毎に1回投与される。好ましくは、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは、各月経サイクルの1〜7日から最大1〜21日、好ましくは1〜14日における投与を含むように、1日毎に1回投与される。
【0016】
好ましくは、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは約0.004mgから約0.009mg、好ましくは約0.004mgから約0.006mgの用量で、n[28日]サイクルの治療中に1日おきに1回投与される。好ましくは、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは、各月経サイクルの1〜6日から最大1〜20日、好ましくは1〜14日における投与を含むように、1日おきに1回投与される。
【0017】
好ましくは、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは約0.009mgから約0.05mg、より好ましくは約0.009mgから約0.03mgの用量で、n[28日]サイクルの治療中に7日毎に1回投与される。好ましくは、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは、各月経サイクルの1日から14日、好ましくは1日目および7日目における投与を含むように、7日毎に1回投与される。
【0018】
好ましくは、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは約0.05mgから約0.1mg、より好ましくは約0.05mgから約0.075mgの用量で、n[28日]サイクルの治療中に28日毎に1回投与される。
【0019】
上記投与レジメンの1つを含む多相性組合せ製剤であって、各投与単位が4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルおよび併用経口避妊薬を混合形態で、別個に、または併用経口避妊薬を単独で含むような、投与レジメンと一致するn[28日]投与単位を含む、多相性組合せ製剤。
【0020】
上記多相性製剤を含むキットであって、子宮内膜症を有する、非妊娠、閉経前の女性を治療するための投与レジメンを投与する方法に関する指示をさらに含むキット。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】0.003mgから0.01mgで開始したCGP47645の投薬後の、低テストステロンレベルを持つ低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を伴う肥満男性におけるテストステロンレベルのグラフである。
【
図2】プラセボまたは1mgのCGP47645を単回用量で投与したときの、定常状態での30マイクログラムエチニルエストラジオールの算術平均(SD)血漿中濃度時間プロファイルのグラフである(log−直線プロット)。▼:N=14、Δ:N=15。
【
図3】プラセボまたは1mgのCGP47645を単回用量で投与したときの、定常状態での0.15mgレボノルゲストレルの算術平均(SD)血漿中濃度時間プロファイルのグラフである(log−直線プロット)。▼:N=14、Δ:N=15。
【発明を実施するための形態】
【0022】
略語
本明細書の全体にわたって、以下の略語が使用される。
AUC 濃度時間曲線下面積
COC 併用経口避妊薬
DS 原薬
GnRH 性腺刺激ホルモン放出ホルモン
LH 黄体形成ホルモン
LLOQ 定量化の下限
mL ミリリットル
MTD 最小中毒量
OHH 肥満低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
PD 薬力学
PK 薬物動態学
【0023】
定義
本明細書の全体にわたって、および以下の特許請求の範囲において、以下の用語は、他にはっきりと明言されない限り、以下の意味で定義される。
【0024】
本明細書で使用するとき、「含む」および「包含する」という用語は、それらのオープンで非限定的な語義で、本明細書で使用される。
【0025】
化合物、塩、および他で複数形が使用される場合、これは単一の化合物、塩、または他の意味も取る。
【0026】
「アロマターゼ阻害剤」という用語は、酵素アロマターゼを阻害する化合物と定義される。
【0027】
「化合物」という用語は、他に明言されない限り、ここでは4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの任意のおよび全ての異性体(例えばエナンチオマー、立体異性体、ジアステレオマー、回転異性体、互変異性体)、または異性体、プロドラッグ、および任意の薬学的に許容可能な添加塩の任意の混合物を包含すると理解されるものとする。
【0028】
本明細書で使用するとき、薬物の「排出半減期」という用語は、血清または血漿における薬物濃度がインビボで、例えば自然のメカニズムによる分解および/またはクリアランスまたは隔離のため半分まで低下するために要求される時間を指す。薬物の服用後、様々なおよび連続する時間で抜き取った血漿試料中の薬物濃度の測定により実験的に決定するとき、本パラメータをT
1/2と称する「見掛け上の排出半減期」と名付ける。薬物動態分析および薬物の半減期の決定のための方法は、当業者によく知られているだろう。「見掛け上の排出半減期」T
1/2および曲線下面積(AUC)などの薬物動態パラメータは、時間に対する薬物の血漿または血清濃度曲線から決定できる。特に、以下の薬物動態定義を適用するものとする。
AUC
0-t 時間0から時間「t」までのAUCであり、tは最終サンプリング時間点である[質量×時間×体積
-1]
AUC
0-∞ 時間0から無限大までのAUCである[質量×時間×体積
-1]
C
max 単回用量投与後の血漿、血液、血清、または他の体液の薬物濃度の観察される最大値(ピーク)[質量×体積
-1]
C
last 最後の測定可能な血漿、血液、血清、または他の体液の薬物濃度
CL 血漿からの薬物の全身クリアランス[体積×時間
-1]
他の体液からのクリアランス値は、固有の下付き文字を使用することにより表してもよく、例えばCL
bは血液からのクリアランス、CL
uは血漿からの非結合の薬物のクリアランスを指す。クリアランスが以下の脈管外の用量であり、生物学的利用能パラメータが未知の場合、表記はCL/Fであるべきである。
t 薬物投与後の時間[時間]
T 最後の測定可能な濃度の時間(C
lastが生じるとき)
T
max 単回用量投与後の血漿、血液、血清、または他の体液の薬物濃度の最大値(ピーク)に到達する時間[時間]
T
1/2 半対数濃度−時間曲線の末端の傾き(λ
z)に関連する排出半減期[時間]
【0029】
血漿および/または血清試料における薬物濃度は、多数の異なる手段、例えばHPLCまたはLC−MS/MS分析により決定できる。1つの実施形態において、血漿中の4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル濃度は、0.1ng/mlまたはより良好な定量化の下限(LLOQ)を持つ有効なLC−MS/MS法を使用して分析される。もう1つの実施形態において、ヒトの血漿中の4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル濃度は、0.025ng/mlでの定量化の下限(LLOQ)を持つ有効なLC−MS/MS法を使用して分析される。
【0030】
本明細書で使用するとき、併用経口避妊薬(COC)という用語は、合成エストロゲンおよびプロゲストゲンの両方を含む、任意の薬学的に許容可能な併用経口避妊薬を記載するために使用される。
【0031】
本明細書で使用するとき、一相性COCという用語は、各COC錠剤において同じ用量の合成エストロゲンおよびプロゲストゲンをもたらすCOCを記載するために使用される。
【0032】
本明細書で使用するとき、多相性COCという用語は、各COC錠剤において変動する用量の合成エストロゲンおよびプロゲストゲンをもたらすCOCを記載するために使用される。
【0033】
本明細書で使用するとき、同時投薬という用語は、薬物製剤を投与レジメン中の所定の日に同時に与える(すなわち、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル製剤およびCOC製剤を同時に与える)ことによる投与方法を記載するために使用される。
【0034】
本明細書で使用するとき、逐次投薬という用語は、各薬物製剤を投与レジメン中の所定の日に個別に投与するが、次の薬物の投与を即座に行う(すなわち、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル製剤を初めに与え、次いでCOC製剤を後で即座に与えるか、またはその逆)投与方法を記載するために使用される。
【0035】
本明細書で使用するとき、月経サイクルの開始は、月経出血の最終日、またはCOCでの月経サイクルの開始に対しては、消退出血の最終日もしくは毎月のCOC投薬の最終日と定義される。
【0036】
発明の詳細な説明
本発明によれば、低用量のアロマターゼ阻害剤化合物4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルが、非妊娠、閉経前の女性の子宮内膜症の治療のためにCOCとの組合せで使用され、前記非妊娠、閉経前の女性は、好ましくは妊娠可能である。この組合せは、付随的な効力を有する著しく改善された安全なプロファイルを有する。4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは強力であり、選択的なアロマターゼの阻害剤である。アロマターゼ阻害に対するIC
50およびK
i値を、ヒトの胎盤のミクロソーム分画で決定し、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは、およそ6.2nMのIC
50を持つ競合阻害剤である(Batzl-Hartmann et al, “Pharmacological profile of CGP47645, a new non-steroidal aromatase inhibitor with a long duration of action”, XVI International Cancer Congress, Pages 3041-3047, 1994)ことが示された。メスおよびオスのイヌにおける化合物の毒物学的研究により、オスおよびメスのイヌの間で曝露(AUCおよびC
max)に一貫した違いがないことを示した。T
max値は投与後1時間から24時間の範囲である。一般に、C
maxレベルの動物間の変動は小さかった。一般に、化合物の4から22週間の毎週の経口投与に続いて、化合物に対する平均血漿曝露は、試験された全ての用量レベルでの単回用量の後に観察された平均血漿曝露に類似し、薬物の蓄積がないことを示した。試験された全ての用量レベルで単回および多数回の用量の化合物の後、曝露(AUCおよびC
max)の増加は、一般にオスおよびメスのイヌに対する用量の増加に比例する。さらに、1、4および12週間の投与後のオスのイヌの血清中のテストステロンレベルの測定により、化合物の潜在性を実証する全ての用量レベルでテストステロンレベルが劇的に上昇することを示した。
【0037】
ヒトにおいて、薬物の組織半減期を決定するための
14C−4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルADME研究と同様に、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルを、初めにヒトの女性ボランティアにおいて単回の、増加する用量のプロトコルで研究し安全性および忍容性を評価した。初期の研究により、平均T
maxが服用の1時間以内で生じること、および半減期がより低い用量でより短い半減期を持ち、直接的に用量に依存することを示した。
【0038】
閉経前の女性の、販売されているアロマターゼ阻害剤のヒト薬物動態学(PK)および薬力学(PD)研究により、乳がんの閉経後の女性に対し処方される用量より20倍高い用量でも、子宮内膜のエストロゲン産生を抑制するには不完全であることを示してきた。しかしながら、肥満に関連する低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を有する女性と男性両方における4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの研究により、0.003mgの低さの用量およびアロマターゼ酵素のIC
50未満の血液レベルでアロマターゼ−テストステロン−エストラジオール経路を阻害する効果を実証した。
【0039】
非妊娠、閉経前の女性の子宮内膜症の治療のための4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの研究により、対象患者母集団に対する新たな投与レジメンにおいて化合物の低用量での本治療の安全性を示す。
【0040】
COCを、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルが患者の中で治療的に活性である間、前記患者が確実に妊娠しないようにするために使用する。このことは、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルが催奇形作用と結びついているので、本発明の重要で安全な特徴であり、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルが患者の中で依然として治療的に活性である間、患者が妊娠に陥る可能性を除去することにより、これらの催奇形作用を避けることができる。低用量の4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは驚くことに、いったん患者がCOCのコースを終えるなら、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの治療的な活性が効果的に終わるような短い半減期を有する一方、酵素アロマターゼのエストロゲン合成を効果的に阻害することにより、子宮内膜症の症状を効果的に治療することがわかっている。
【0041】
月経サイクルと結びつけられる4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの投与の原理的説明は、以下の通りである。子宮内膜の痛みは、月経サイクルの時期の間、最も重篤である。このことは、炎症性サイトカインの放出、出血および痛みを引き起こす骨盤神経の炎症を伴う、異所性子宮内膜症組織の拡大を含む子宮内膜成長を引き起こす中間期の高いエストラジオールレベルと関連する。他方、エストロゲンは痛みの閾値を増加させる(The Practice Committee of the American Society for Reproductive Medicine, Treatment of pelvic pain associated with endometriosis, Fertility and Sterility Vol. 90, S260-S269, November 2008)。このように、月に1回の組織のエストロゲン依存拡大がサイクルの初めの3週間の間に完了し、いくつかの場合ではアロマターゼ阻害剤の投与が、合成エストロゲンレベルが上昇できることを減少または停止し得る。
【0042】
このように、1つの実施形態において、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは1日毎に1回投与され、19、20、21または22回の毎日の投与の後に投与が中止されるか、または用量が減量される。
【0043】
代替的な実施形態において、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは1日おきに1回投与され、10、11または12回の1日おきの投与の後に投与が中止されるか、または用量が減量される。
【0044】
さらなる実施形態において、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは7日毎に1回投与され、3回の毎週の投与の後に投与が中止される。
【0045】
PK/PD分析に基づき、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルのアロマターゼ阻害に対する平均概算IC
50およびIC
90は、それぞれ0.03ng/mLおよび0.27ng/mLであることがわかった(実施例4参照)。この濃度範囲は、アロマターゼ阻害に対する4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル血漿中濃度に関して有効性の治療濃度域を定義する。アロマターゼ阻害の抑制の証拠が、0.003mgの用量でIC
50未満であることが実証された血漿レベルで開始することで見られた(実施例3および4参照)。
【0046】
ステロイドホルモンのエストロゲンへの芳香族化が行われるヒト組織(脂肪)における4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの濃度は、血液中より最大10倍高いことが別にわかった。
【0047】
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルおよび継続的に投薬されるCOCは、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルのアロマターゼ阻害効力またはCOCの避妊効力(実施例5参照)に対し予測される任意の悪影響なく、安全に共投与され得ることもまたわかった。
【0048】
驚くことに、COCおよび化合物の低用量の間に相乗的相互作用がある。COCは、COCが低用量、例えば約0.03mg以下、約0.01mg、または約0.001mgの低さなどで子宮内膜症の治療に有効であるように、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの有効性を高め、ここでCOCは、視床下部−下垂体−性腺経路を通じて産生されたエストロゲンを抑制し、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは、子宮内膜異所性組織および浸している骨盤液における組織特異的産生を通じて産生されたエストロゲンを抑制する。
【0049】
好ましくは、COCおよび4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルが、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの示された剤形の治療的有効性がCOCの投与レジメンに一致するように提示される。言い換えれば、インビボでCOCおよび4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの両方のレベルが、同時にそれら個々の治療濃度域から外れる。このことは、好ましくは4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル治療濃度域が少なくとも単回のサイクルのCOC投与の治療濃度域と釣り合うことによりもたらされる。
【0050】
化合物はCOCと混合されて単一の製剤にされてもよく、または同時もしくは逐次投薬用に別個に製剤化されてもよい。
【0051】
COCは好ましくはn[28日]サイクルの治療で1日1回投与され、nが正の整数の乗数であり、nが1から3の間(両端を含む)である。
【0052】
COCは一相性または多相性COC、好ましくは一相性COCである。
【0053】
COCに使用される合成エストロゲンは、エストロゲン、エチニルエストラジオールまたはメストラノールから選択され、好ましくはエチニルエストラジオールである。
【0054】
エチニルエストラジオールは、15から50μg/日の間、好ましくは30μg/日の用量で投与または投与を計画できる。
【0055】
COCで使用される合成プロゲストゲンは、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、デソゲストレル、ジエノゲスト、ドロスピレノン、二酢酸エチノジオール、ゲストデン、レボノルゲストレル、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ノルゲスチメート、ノルゲストレル、または酢酸ノメゲストロールから選択され、好ましくはレボノルゲストレルである。レボノルゲストレルは約50から約250μg/日の間、好ましくは約150μg/日の用量で投与または送達することを計画できる。
【0056】
特に好ましくは、約30μg/日のエチニルエストラジオールおよび約150μg/日のレボノルゲストレルを含む一相性COCである。
【0057】
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルを約0.001mgから約0.1mgの用量、好ましくは約0.001mgから約0.06mgの用量、好ましくは約0.001mgから約0.03mgの用量、好ましくは約0.001mgから約0.01mgの用量、好ましくは約0.001mgから約0.006mgの用量、好ましくは約0.001mgから約0.003mgの用量で投与できる。負荷用量に対して、これらの用量は好ましくは維持用量である。例えば、化合物を約0.001mg、約0.002mg、約0.003mg、約0.004mg、約0.005mg、約0.006mg、約0.007mg、約0.008mg、約0.009mg、約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、または約0.1mgの用量、好ましくは約0.001mg、約0.003mg、約0.006mg、約0.01mgまたは約0.03mgの用量、さらに好ましくは約0.001mg、約0.003mgまたは約0.006mgの用量、よりさらに好ましくは約0.001mgの用量で投与できる。
【0058】
n[28日]サイクルの治療中の4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの投与の頻度は用量に依存し、n[28日]サイクル中毎日からn[28日]サイクル中28日毎まで、n[28日]サイクル中毎日からn[28日]サイクル中7日毎まで、またはn[28日]サイクル中毎日からn[28日]サイクル中一日おきまでの頻度範囲で投与されてもよい。
【0059】
例えば、n[28日]サイクルの治療中の4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの投与の頻度は、n[28日]サイクル中毎日、n[28日]サイクル中一日おき、n[28日]サイクル中7日毎またはn[28日]サイクル中28日毎、好ましくはn[28日]サイクル中毎日、一日おきまたは7日毎、さらに好ましくはn[28日]サイクル中毎日または一日おき、よりさらに好ましくはn[28日]サイクル中毎日であってもよい。
【0060】
好ましくは、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは約0.05mgから約0.1mg、好ましくは約0.05mgから約0.075mgの用量で、n[28日]サイクル中に28日毎に1回投与される。
【0061】
好ましくは、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは約0.009mgから約0.05mg、好ましくは約0.009mgから約0.03mgの用量で、n[28日]サイクル中に7日毎に1回投与される。
【0062】
好ましくは、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは約0.004mgから約0.009mg、好ましくは約0.004mgから約0.006mgの用量で、n[28日]サイクル中に1日おきに1回投与される。
【0063】
好ましくは、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは約0.001mgから約0.004mg、好ましくは約0.001mgから約0.002mgの用量で、n[28日]サイクル中に1日毎に1回投与される。
【0064】
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの半減期は、患者に投与される用量に依存し、本発明において用量は好ましくは、化合物が28日以下の半減期を有するように合わせる。あるいは7日以下である。あるいは1日おき以下である。あるいは、1日以下である。
【0065】
負荷用量を使用する場合を除き、所定のサイクルの初回用量は、前記サイクルの初日に投与される。負荷用量を使用するとき、負荷用量は、n[28日]サイクルの治療中に患者に繰り返し投与されるであろう用量(維持用量としても知られている)より高い化合物の用量を含む。負荷用量が所定のサイクルの初期に患者に投与され、一方、後続の維持用量の頻度は、後続の維持用量の投薬量に依存し続ける。
【0066】
負荷用量は好ましくは維持用量の2から50倍、より好ましくは維持用量の3から25倍、より好ましくは維持用量の5から10倍である。例えば、負荷用量は約0.01から約0.1mg用量、好ましくは約0.01から約0.06mg用量、好ましくは約0.01から0.03mg用量で患者に投与されてもよい。これらの各場合において、対応する維持用量は負荷用量より低い。
【0067】
負荷用量が、治療的活性が後続の用量で維持できるような最大レベルの治療的活性の化合物の血液血漿濃度をもたらすために必要なことがある。維持用量が約0.06mg以下、好ましくは約0.03mg以下、より好ましくは約0.01mg以下のとき、負荷用量を好ましくは使用する。
【0068】
n[28日]期間の終わりに、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルのレベルは、患者がn[28日]後に即座に妊娠するように激減し、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの催奇形作用は回避される。
【0069】
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルがCOCと混合されて単一の製剤にされる場合、所定の28日間における混合された製剤の数を、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの用量により決定する。COCのみが、好ましくは4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの用量が必要でない全ての日に与えられる。
【0070】
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルおよびCOCが同時または逐次投薬用に別個に製剤化される場合、COCが全ての日で与えられ、および4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルは子宮内膜症の治療のための有効な用量を獲得することが要求される日のみ与えられる。4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルを与えるべき日を、化合物の用量により設定し、COCと同時にまたはCOC前後即座に、のいずれかで投与される。
【0071】
n[28日]サイクルの治療は、m[28日]期間にわたって行い、mは正の整数の乗数であり、mは少なくとも1、2または3であり、少なくとも6、少なくとも12または少なくとも24などである。1回のn[28日]サイクルの治療を超えて、各年に行ってもよい(すなわちm=12のとき)。各n[28日]サイクルの治療を、1つまたは複数の非治療、すなわち、COCおよび/または4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの非投与サイクルにより中断してもよい。
【0072】
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルおよびCOCを、非経口的(例えば水性または油性懸濁液)または経口的(例えば、タブレット、粉末、カプセル、顆粒、水性または油性懸濁液)などの様々な製剤で提供してもよい。好ましくは、化合物は経口的に利用できる製剤で提供し、記載の投与レジメンに従って投与される。しかしながら、徐放性製剤またはデポもしくは経皮製剤もまた、化合物を投与するために使用できる。
【0073】
本発明による製剤の調製において、1つまたは複数の、不活性で薬学的に許容可能な担体などの薬学的に許容可能な賦形剤を、固体または液体のいずれであってもよい製剤の活性成分との組合せで、任意選択で使用してもよい。固形製剤にはカシェ、カプセル、分散可能な顆粒、粉末およびタブレットが含まれる。
【0074】
製剤という用語は、活性成分と、活性化合物(他の担体を有するまたは有さない)がこのように活性化合物と会合する担体により囲まれたカプセルを提供する担体としてのカプセル化材料との混合物を含むことを意図する。同様に、カシェが含まれる。タブレット、粉末、カシェ、およびカプセルを、経口投与に適した固体剤形として使用できる。
【0075】
薬学的製剤を単位剤形であってもよい。このような形状において、組成物を適切な量の活性成分を含む単位用量に分割する。単位剤形は包装された製剤であってもよく、包装は別個の量の製剤を含み、例えば包装されたタブレット、カプセル、および粉末である。単位剤形はカプセル、カシェ、またはタブレットそれ自体でもよく、または適切な数の任意の包装された形状でもよい。
【0076】
本発明のもう1つの態様によれば、本明細書で定義された4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルおよびCOC投与レジメンのn[28日]投与単位を含む多相性組合せ製剤が提供され、nは正の整数の乗数であり、nが1から3の間(両端を含む)である。これらの各投与単位は、化合物の用量により決定されるように、COCと混合されて単一の製剤にされた、または同時もしくは逐次投薬用に別個に製剤化された化合物の組合せ、またはCOCを単独で含む。
【0077】
本発明のもう1つの態様によれば、(i)各投与単位が4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルおよび併用経口避妊薬を混合形態で、別個に、または併用経口避妊薬を単独で、および本明細書で定義されたCOC投与レジメンを含むようなn[28日]投与単位を含む多相性組合せ製剤であって、nは整数であり、nは1から3の間である、多相性組合せ製剤を、(ii)子宮内膜症の、非妊娠、閉経前の女性を治療するための前記投与レジメンを投与する方法に関する指示と共に含むパーツのキットが提供される。これらの各投与単位は、化合物の用量により決定されるように、COCと混合されて単一の製剤にされた、または同時もしくは逐次投薬用に別個に製剤化された化合物の組合せ、またはCOCを単独で含む。
【実施例】
【0078】
[実施例1]
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリルの調製
以下の実施例に、Langら、米国特許第5,637,605号明細書内で開示されたように、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(4−[α−4−シアノフェニル)−α−フルオロ−1−(1,2,4−トリアゾリル)メチル]−ベンゾニトリルまたはCGP47645としても知られる)を合成する方法を記載する。
0.8mmolのヘキサメチルジシラザンカリウムの1.6mlのトルエン溶液を、5mlのTHFで希釈し、−78℃まで冷却後、190mgの4−[α−(4−シアノフェニル)−1−(1,2,4−トリアゾリル)メチル]−ベンゾニトリル(欧州特許第236940号明細書、実施例20a参照)の3mlのTHF溶液をそこへ加える。1時間、同温での攪拌後、301mgのN−フルオロ−ジメチルサッカリンスルタムの3mlのTHFの濃赤色の溶液を滴下する。さらに−78℃で1.5時間後、反応混合物を一時間以内で室温に熱し、塩化アンモニウムの飽和水溶液に注ぎ、次いで塩化メチレンで抽出する。塩化マグネシウム上での乾燥、および蒸発による溶媒濃縮により粗生成物が得られ、これをフラッシュクロマトグラフィー法により精製する(SiO
2、ヘキサン/酢酸エチル9:1、4:1から1:1)。TLC(SiO
2、CHCl
3/メタノール9:1、Rf=0.85)、IR(KBr):2220cm
-1、1H−NMR(CDCl
3):δ(ppm)=7.46および7.76(8H、m)、8.07(1H、s)、8.16(1H、s)。
【0079】
Langら、米国特許第5,376,669号明細書に記載された4−[α−4−シアノフェニル)−α−フルオロ−1−(1,2,4−トリアゾリル)メチル]−ベンゾニトリルの調製に関連する全ての開示は、本明細書で参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0080】
上記段落は欧州特許第236940号明細書、実施例20aに言及している。欧州特許第236940号明細書の米国対応出願は、Bowman、米国特許第4,749,713号明細書である。欧州特許第236940号明細書(米国対応特許第4,749,713号明細書)の実施例20(a)により、4−[1−(1,2,4−トリアゾリル)−メチル]−ベンゾニトリルを、米国特許第4,749,713号明細書の実施例2の手順に従って、tert−ブトキシドカリウムおよび4−フルオロベンゾニトリルと反応させ、4−[α−(4−シアノフェニル)−1−(1,2,4−トリアゾリル)−メチル]ベンゾニトリル、融点181℃〜183℃を得ることが述べられている。
【0081】
米国特許第4,749,713号明細書の実施例2の手順により以下が提供される。tert−ブトキシドカリウム(61.6g)のジメチルホルムアミド(500mL)の懸濁液を撹拌し、−10℃に冷却し(氷塩浴)、4−(1−イミダゾリルメチル)−ベンゾニトリル(45.6g)のジメチルホルムアミド(250mL)溶液を、反応温度が0℃未満のままになるように添加する。得られた溶液を、0℃で0.5時間撹拌し、次いで4−フルオロベンゾニトリル(38.3g)のジメチルホルムアミド(100mL)溶液を添加し、一方で、反応温度を5℃未満で保持する。0.75時間後、反応混合物を十分な3N塩酸の添加によりpH7に中和し、次いで溶媒のバルクを減圧下で除去する。残留物を水(500mL)で希釈し、粗生成物を酢酸エチル(3×200mL)中に抽出する。次いで、合わせた抽出物を3N塩酸(3×150mL)で抽出し、後者の酸抽出物を酢酸エチル(100mL)で洗浄した後、溶液を6N水酸化アンモニウムで塩基性(pH8)にし、生成物を再び酢酸エチル(3×150mL)中に抽出する。合わせた抽出物を乾燥させ(MgSO
4)、炭で処理することにより脱色させ、次いで蒸発させて、粗4−[α−(4−シアノフェニル)−1−イミダゾリルメチル]−ベンゾニトリルを油状物として得る。この材料をイソプロパノール(250mL)に溶解し、温かい溶液を、コハク酸(14.4g)と共に撹拌する。ジエチルエーテル(100mL)で希釈し、周囲温度で撹拌すると、ヘミコハク酸塩が分離する。この塩を濾過し、少量の冷たいイソプロパノールで洗浄し、次いで空気乾燥し、4−[α−(4−シアノフェニル)−1−イミダゾリルメチル]−ベンゾニトリルヘミコハク酸塩、融点149℃〜150℃が得られる。ヘミフマル酸塩は、融点157℃〜158℃を有する。
【0082】
Bowman、米国特許第4,749,713号明細書に記載された4−[α−(4−シアノフェニル)−1−(1,2,4−トリアゾリル)−メチル]ベンゾニトリルの調製に関連する全ての開示は、本明細書で参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0083】
[実施例2]
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)の低用量カプセル製剤
CGP47645含有硬ゼラチンカプセルを、以下のプロセスにより調製する。必要とされる賦形剤を、下記表1に示す最終的な組成物を得るための個々の量、およびCGP47645原薬を適切な量で秤量する。
【0084】
次いで、およそ50%のコーンスターチを適切な容器に充填し、原薬を添加し、次いで残りの50%のコーンスターチを添加し、2つのトウモロコシデンプンの層に挟まれた原薬を得る。この混合物をブレンドし篩にかけて、原薬(DS)プレミックスを得る。
【0085】
残りの賦形剤(微結晶セルロース、噴霧乾燥ラクトース、デンプングリコール酸ナトリウム、およびコロイド状二酸化ケイ素[Aerosil(登録商標)200])を混合し、篩にかけ、適切な容器に移す。次いで、DSプレミックスを、篩にかけた賦形剤を含む容器に添加し、混合物を一緒にブレンドする。最後に、事前に篩にかけたステアリン酸マグネシウムを、DSを含有するブレンドに添加し、この混合物を再度ブレンドして、最終的なブレンドを得る。最終的なブレンドを、硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0086】
全ての賦形剤が、適切な公定モノグラフ(compendial monograph)(Ph. Eur., NF)の要件を満たしている。硬ゼラチンカプセルを、小児用安全ねじ封止蓋を備えたアルミニウム誘導シールを有するHDPE瓶中に詰める。
【0087】
最終的な剤形は、サイズ1または3の、ピンク色の不透明のカプセル中に、白色から黄色がかった粉末を含む硬ゼラチンカプセルである。
【0088】
【表1】
【0089】
[実施例3]
4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)の単回用量漸増研究
これは、4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)の単回用量の安全性および忍容性、PKおよびPD効果を評価するための、閉経前および閉経後の女性における無作為化、二重盲検、プラセボおよび活性制御された単回漸増用量研究であった。6:2のCGP47645:プラセボに無作為化した8人の閉経後の被験者の8コホートがあり、彼女らは0.01mgの用量で開始するCGP47645の単回用量を受け、毒物学上の曝露範囲の限界に達する20mgを達成した。患者は、0.1mg、1mgおよび10mgの原薬を含有する硬ゼラチンカプセルまたは適切な整合するプラセボカプセルのいずれかを受けた。最も低い2つの投薬コホートには、0.01および0.03の投薬強度を投薬するためのCGP47645経口溶液を再構成するために、0.1mg薬物含有カプセルを使用した(コホート1および2)。
【0090】
最小中毒量(MTD)には達しなかった。妊娠可能性のない8人の閉経前の被験者の単一コホート(コホート9番)が、CGP47645を0.1mgまたはプラセボを受け、6:2に無作為化され、最後の1つのコホートが、PD測定のための内部陽性対照コホートとしてレトロゾール2.5mgを受けた。表3に、この研究から得られた濃度−時間プロファイルの分析に基づくPKパラメータを示す。
【0091】
【表2】
【0092】
CGP47645は、エストロン、硫酸エストロンおよびエストラジオールの用量比例薬物動態および用量依存阻害を示した。閉経後の女性および閉経前の女性との間で、CGP47645薬物動態における違いは観察されなかった。CGP47645は0.5〜2時間のT
maxで速やかに吸収され、中央値T
maxは服用の1時間以内で生じた。C
maxおよびAUCの両方が用量比例法で増加した。CGP47645は、10〜30%の低い被験者間変動、および23日から27日の範囲で完全に予想外の長い半減期を示した。
【0093】
閉経後の女性において、本研究により、0.1mgおよび0.3mgの用量ですでにレトロゾールと少なくとも等しいエストロン抑制を有するPDパラメータにおける効力の証拠を示した。閉経後の女性において、一過性のエストロゲン抑制が見られた最も低い単回用量は0.01mgであり、閉経後の女性において、化学ルミネッセンスまたはラジオイムノアッセイを使用して、最大のエストロゲン抑制を観察した最も低い単回用量は0.1mgであった。
【0094】
[実施例4]
男性における4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)の低用量研究
脂肪組織における高レベルのアロマターゼの活性のため低いテストステロンレベル(300ng/ml未満)を持つ肥満男性に、0.003mgの低さで開始するCGP47645の用量を与え、次いで漸増した。アロマターゼ酵素を阻害することにより、テストステロンからエストラジオールへの変換が減少することにより、CGP47645が循環レベルにおける増加をもたらした。本研究により、0.003から0.01mgの間のCGP47645の用量が、
図1で立証される芳香族化経路の阻害において生物学的に活性であることを確認した。
【0095】
PK/PD分析に基づき、アロマターゼ阻害に対するCGP47645の平均概算IC
50およびIC
90は、それぞれ0.03ng/mLおよび0.27ng/mLである。
【0096】
[実施例5]
女性において組み合わせて使用したときの4,4’−[フルオロ−(1−H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)メチレン]ビスベンゾニトリル(CGP47645)およびCOCの効力の単回用量研究
無作為化、二重盲検、プラセボ制御された、平行グループを、併用経口避妊薬と組み合わせた単回1.0mg経口用量のCGP47645が安全であり、薬学動態特性および妊娠の予防における併用経口避妊薬の予測される効力に影響しないかどうかを評価するために研究した。
【0097】
本研究は49日スクリーニング期間および4回の連続した28日(月経)サイクルからなる。
【0098】
併用経口避妊薬には、30μgのエチニルエストラジオールおよび0.15mgのレボノルゲストレル(Seasonique(登録商標))を使用した。Seasonique(登録商標)は、設計された経口避妊薬であり、毎日の投与を認可されている。84個の青緑色のタブレット(30μgエチニルエストラジオールおよび0.15mgレボノルゲストレル)が、10μgエチニルエストラジオールを含む7個の黄色のタブレットと共に包装され、ホルモンのない間隔を除いている。
概略図:研究設計
【0099】
【化2】
【0100】
15人の健康な、閉経前の女性において上記に詳細したように投与されたCGP47645の算術平均血漿中濃度時間プロファイルは、COCを共投与せずにBGS649を健康な閉経後の女性に投与した単回用量漸増研究で得られるものと類似した薬物動態パラメータを示した(実施例3)。
【0101】
プラセボ(N=14)または1mgのCGP47645(N=15)と共にCOCを投与された外科的に不妊の健康な閉経前の女性からの29日目のエチニルエストラジオール(30μg)およびレボノルゲストレル(0.15mg)に対する平均定常状態血漿中濃度時間プロファイルを、それぞれ
図2および3に図示する。プラセボまたはCGP47645のいずれかを投与したとき、エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレル両方の薬物動態プロファイルは類似しているように見える。
【0102】
エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルを含む、CGP47645および連続的に投薬されるCOCは、COCの避妊効力に対する任意の悪影響が予測されることなく、安全に共投与され得る。
【国際調査報告】