【実施例】
【0055】
実施例1−ポリマーの特徴付けのための材料と方法
Mw、マルクホウインクの傾き、IP、モノマーおよび過硫酸塩含有量のいずれの決定も以下の手順にしたがって実施した。
I.1−Mw、マルクホウインクの傾きおよびIPの決定
1.化学物質および試薬
水はMilli-Q-UF系(Millipore, Milford, MA, USA)で精製した。リン酸緩衝食塩水(PBS 1C;6.5mMol.L
-1 Na
2HPO
4, 2H
2O;1.5mMol.L
-1 KH
2PO
4;2.7mMol.L
-1 KCl;137mMol.L
-1 NaCl;pH6.8)は社内で調製した。ゲル浸透特性の決定は、シグマアルドリッチ(Sigma Aldrich(Saint Quentin Fallavier, France))のDNA(CAS番号73049-39-5)およびVWR(Darmstadt, Germany)のシュクロース(CAS番号57-50-1)を用いて行った。系の較正として用いた標準物は、プルラン(Pullulan)100kDaについてはマルバーン(Malvern(Malvern, UK))から、プルラン400kDaについてはアジレント(Agilent(Santa Clara, CA))から入手した。
【0056】
2.三重検出によるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
ビスコテックGPCmax VE2501系(Viscotek GPCmax VE2501 system(Malvern Instrument, Malvern, UK))(脱気装置内蔵HPLCポンプおよび100μL注入ループを有するオートサンプラーを含む)を用いて、HE-SEC分析を実施した。ビスコテックTDA302検出系(屈折率検出器、直角光散乱検出器および4毛管示差圧粘度計を有する)をオンラインSECシグナル検出のために用いた。検出器は以下の順番で存在した:LS(直角光散乱検出器)−RI(屈折率検出器)−VIS(4毛管示差圧粘度計)。0.22μmのナイロンプレフィルターをカラムと検出器の間に置いた。OmmiSEC 4.7ソフトウェアプログラムをSECデータの入手および分析に用いた。全検出器を100kDaプルラン標準物を用いPBS 1Cの移動相で較正した。PBS 1C移動相は0.22μmミリポア(Millipore)硝酸セルロースフィルターを通過させ、使用前に脱気した。NaPAAサンプルの分離は、連続接続した2つのA6000M(8mm IDx30cm L)カラム(Malvern)により達成された。溶出は流速0.6mL/分で均一濃度であった。Mw、IPおよびマルクホウインクの傾きの測定のためには、100μLサンプルを目標NaPPA濃度で約0.4 mg/分により注入した。プルラン400kDa標準物を“コントロール”サンプルとして全分析で用いた。カラムの空隙体積(V
0)および全浸透体積(V
t)をそれぞれ高分子量DNAおよびシュクロースの注入によって決定した。
【0057】
3.標準物およびサンプルの調製
プルラン、DNAおよびシュクロース標準物は、原料をそれぞれ最終濃度1、0.1および2 mg/mLでPBS 1Cに溶解することによって調製した。NaPPAを処方し、目標濃度にPBS 1Cで希釈した。
【0058】
4.NaPAA dn/dc値の決定並びにMw、マルクホウインクの傾きおよびIP測定
dn/dc係数は以下の関係にしたがってモル質量と関係する(Zimm, 1948, J.chem.Phys., 16, 1099-1116)。
【0059】
【数1】
【0060】
式中、Kは以下の等式で記載される個別の散乱系についてのdn/dcを含む光学定数であり、Cはサンプル中のNaPPAの濃度であり、R
θは角度θで散乱される光の過剰強度であり、Mwは重量平均分子量であり、A
2は第二ビリアル係数(個々のサンプル部分が極めて低濃度であるために0とすることができる)である。P(θ)は、光散乱強度の角度依存性を表す粒子散乱関数であり、ポリマー分子の回転運動の半径(Rg)と関係する。
【0061】
【数2】
【0062】
ここで、n
0はサンプル中の溶媒の屈折率、N
Aはアボガドロ数、λ
0は真空中のレーザー光線の波長である。
そのサイズがλ
0/20より小さい小分子については、散乱光の強度は散乱角度に依存しないと仮定され、したがって全ての角度についてP(θ)=1である。
結果として以下のように表される:
【0063】
【数3】
【0064】
NaPAAのdn/dcは、NaPAAの既知濃度を0.4から1 mg/mLへ増加させながらSEC三重検出系を用いてOmniSECソフトによって自動的に算出された。各濃度を2つずつ注入した。この実験を、既知濃度の異なる代表的NaPAAバッチを用いて同じ条件下で繰り返した。最終的なdn/dc係数はこれらの決定値の平均と一致し、0.172mL/gであると決定した。このdn/dc値を更なる分子量決定に用いた。
Mw、IPおよびマルクホウインクの傾きの決定はPBS 1C中のポリアクリル酸ポリマー塩の溶液を用いて実施した。当該ポリアクリル酸ポリマー塩の既知濃度、例えば0.4 mg/mLを用いた。ポリアクリル酸塩は、ポリアクリル酸ポリマー塩の乾燥重量の95%を超えるので、乾燥物の重量はポリアクリル酸ポリマー塩の乾燥重量であるとみなした。
NaPAAの固有粘度(IV)はその分子量および立体構造と関係し、マルクホウインクのダイアグラムで表される:
【0065】
【数4】
【0066】
式中、“a”および“K”は与えられた溶質-溶媒系のための定数であり、指数“a”は0(固体球)から2(棒状形)に変化する。
マルクホウインクの傾き“a”はこの式IV=K・MW
aから決定された。
0.7を超えるかまたは等しい傾き“a”は、NaPAAを直鎖と考え得ることを意味する。多分散指数(IP)はMw/M
nと定義される(Mnは数平均分子量である)。NaPAAのMnはOmniSECソフトによって自動的に算出された。
【0067】
I.2 過硫酸塩およびアクリル酸モノマーの決定
A.原料の場合
1.化学物質及び試薬
水はMilli-Q-UF系(Millipore, Milford, MA, USA)で精製した。25mM(A相)および200mM(B相)の水酸化ナトリウム溶液を、46−51%濃縮水酸化ナトリウム(Fisher Scientific(Illkirch, France))を用いて調製した。0.1Nの水酸化ナトリウムはVWR(Darmstadt, Germany)由来であった。較正に用いた標準物は、過硫酸ナトリウムについてはフィッシャーサイエンティフィック(Fisher Scientific(Illkirch, France))から、アクリル酸ナトリウムについてはシグマアルドリッチ(Saint Quentin Fallavier, France)から入手した。サンプル調製物の偏差の修正に用いた内部標準物はシグマアルドリッチ(Saint Quentin Fallavier, France)のシュウ酸ナトリウムであった。
【0068】
2.導電率検出による高速陰イオン交換クロマトグラフィー
NaPAAサンプルのアクリル酸塩および過硫酸塩不純物は、導電率検出による高速陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC)によって同時に分析した。ICS-3000(Dionex, Thermo Fisher Scientific, Pittsburgh, PA)イオンクロマトグラフィー系を用いた。前記は、SP-1ポンプ、サーモスタット付きオートサンプラー(5℃)、サーモスタット付きカラム(40℃)および導電率検出器区画(30℃)を備えていた。ATC3 RFIC(9x24mm)炭酸トラップカラム(Thermo Fisher Scientific)をカラムの前に配置し、水の炭酸陰イオンを捕捉して全体的な分析感度を改善した。分析的な分離は、陰イオン交換AS-11HCカラム(250x4mm)(Dionex, Thermo Fisher Scientific)で25mM(A相)から200mM(B相)の水酸化ナトリウム溶液の勾配溶出により実施した。勾配プログラムは以下の通りであった:0% B(12分)、0−40% B(5分)、40−100% B(8分)、100% B(25分)、100−0% B(1分)、0% B(9分)。移動相の流速は1mL/分であり、注入体積は50μLであった。AG-11HCプレカラム(50x4mm)(Dionex, Thermo Fisher Scientific)を用いて、分析用カラムを保護した。ディオネクス(Dionex)伝導率サプレッサー(AERS 082540, Thermo Fisher Scientific)を検出器区画の前に配置してシグナルを改善した。これらのクロマトグラフィー条件では、アクリル酸塩、シュウ酸塩および過硫酸塩の保持時間はそれぞれ4、11および45分辺りであった。
【0069】
3.サンプルの調製
クロマトグラフィー分析の前に、高分子量種をサンプルから除去する。略記すれば、NaPAAサンプルを水で10倍に希釈し(NaPAAで10mg/mLの濃度を生じる)、内部標準物シュウ酸ナトリウムを添加して50μg/mLの濃度を得る。続いて500μLのサンプルを14000gで30分遠心分離し連続的にアミコンウルトラセル(Amicon Ultracel)0.5ml-100kおよびアミコンウルトラセル0.5ml-3k遠心分離フィルター(Merck Millipore, Darmstadt, Germany)に通す。使用前に、アミコン遠心分離フィルターを連続的に水および0.1NのNaOHで洗浄してグリセロールを除去する。
【0070】
4.較正および結果
過硫酸塩およびアクリル酸塩不純物の定量は市販の標準物で調製した外部較正によって実施した。1−100μg/mLの範囲のアクリル酸ナトリウムおよび過硫酸ナトリウムの6つの濃度を水に混合し、500μg/mLのシュウ酸ナトリウムの内部標準物の200μLを各濃度に添加した。較正曲線は過硫酸塩については直線モデルにしたがい、アクリル酸塩については二次方程式モデルであった。不純物含有量は、%w/w(乾燥NaPAA重量に対するアクリル酸塩または過硫酸塩不純物の%重量)または原料NaPAAの1グラム当たりの過硫酸塩またはアクリル酸塩不純物のμgで表された。
【0071】
B.精製後に得られるNaPAAポリマーの場合
精製工程(透析、限外ろ過またはゲルろ過)後のNaPAAサンプル中の過硫酸塩および残留アクリル酸不純物を、NaPAA原料サンプルでそれらについて上記に記載したように決定した。しかしながら、精製サンプルでは、10倍希釈工程をサンプル調製手順から省略した。過硫酸塩については、クロマトグラフィー条件は原料NaPAAの場合と同じで、分析は100ng/mL検出限界を有する限界試験として扱われた。アクリル酸については、同じHPAEC系を用いたが、分析的分離は、陰イオン交換CarboPacTM SA10カラム(250x4mm)(Dionex, Thermo Fisher Scientific)で30mM(A相)から200mM(B相)の水酸化ナトリウム溶液での勾配溶出を用いて達成された。勾配プログラムは以下の通りであった:0% B(14分)、0−100% B(6分)、100% B(15分)、100−0% B(1分)、0% B(9分)。移動相の流速は1mL/分であり、注入体積は50μLであった。CarboPacTM SA10Gカラム(50x4mm)(Dionex, Thermo Fisher Scientific)を用いて、分析用カラムを保護した。ディオネクス伝導率サプレッサー(AERS 082540, Thermo Fisher Scientific)を検出器区画の前に配置してシグナルを改善した。これらのクロマトグラフィー条件では、アクリル酸塩の保持時間は11分辺りであった。残留アクリル酸不純物は、PBS 1C中の20−500ng/mLの外部アクリル酸標準物を用いて構築した直線状較正曲線から決定した。結果は、上記のように%w/w(乾燥NaPAA重量に対するアクリル酸塩または過硫酸塩不純物の%重量)またはNaPAAアジュバント溶液の1mL当たりの過硫酸塩またはアクリル酸塩不純物のμgで表した。
【0072】
実施例2−アジュバント活性の試験
1)黄色ブドウ球菌抗原に対する従来技術の2つのPAAと比較した本発明のPAAのアジュバント効果の評価
モデル抗原として、シュードモナス・アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)の組換え外毒素A(rEPA)と複合化させた黄色ブドウ球菌の5型多糖類(PS5)を用い、ポリマー基剤処方物のアジュバント活性を非近交マウスで試験した。
抗原を以下の態様で調製した:
黄色ブドウ球菌(レイノルズ(Reynolds)株)をSATA-1ブロス培地で攪拌しながら(100rpm)72時間増殖させ、続いて1/1(v/v)のフェノール/エタノール溶液を最終濃度2%w/vで添加することによって不活化した。細菌細胞を16000gで75分間沈降させた。細胞ペーストを50mMトリス-2mM MgSO
4(pH7.5)に1mLにつき0.5g(湿潤重量)で再懸濁した。リゾスタフィン(100μg/mL)を添加し、懸濁物を37℃で攪拌しながら4時間インキュベートした。その後、ベンゾナーゼを5U/mLの濃度で添加し、さらに2時間インキュベーションを継続した。反応混合物をタンジェンシャルフローろ過(30000Da分子量カットオフ)によって濃縮した。得られた濃縮材料をベンゾナーゼ(5U/mL)で37℃6時間、続いてプロナーゼ(4U/mL)で37℃15時間、適切な緩衝液(1mM MgCl
2および1mM CaCl
2を含む50mMトリス(pH8.0))中で消化した。5000gで30分間遠心分離した後、上清をタンジェンシャルフローろ過(30000Da分子量カットオフ)によって濃縮した。続いて、この溶液を50mMトリス-HCl(pH7.5)の最終濃度に調整した。50mMトリス-HCl(pH7.5)で平衡化させたQセファロース(20mL)カラムに前記アリコットをローディングした。カラムを2mL/分の流速で溶出させ、5mLの分画を収集した。カラムを出発緩衝液の5体積を用いて洗浄した。続いて、50mMトリス-HCl(pH7.5)中の0.5M NaClの直線勾配250mLで多糖類を溶出させた。多糖類を含むがタイコ酸を含まない分画(210nmの光学吸収によってまたは高速陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC-PAD)によって検出)を透析しさらに凍結乾燥させた。
【0073】
精製多糖類を続いてアジピン酸ジヒドラジド(ADH)によってNaCl中で活性化させた。pHを4.9に調整し、エチルジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDAC)を添加した。活性化(周囲温度で90分間持続)のとき、pHは0.1N HClで定常的に4.9の値に調整された。NaOHを中和(7.0)まで添加することによって反応を停止させた。続いて、活性化多糖類を500mM NaCl水溶液に対し、続いて水に対して透析した。続いて、活性化させて透析した多糖類を凍結乾燥した。官能化パーセンテージは約5.9%(w/w)と概算された。
活性化多糖類の溶液をNaClおよびEDAC中で担体タンパク質(rEPA)と混合した。複合化は4℃で生じ、pHを0.1N HClの添加により5.7に維持した。90分後、0.2N NaOHを中和(7.0)まで添加することによって反応を停止させた。続いて、複合化抗原をNaCl水溶液に対して透析し、続いて、10mMリン酸緩衝液(pH7.2)中の200mM NaClで平衡化させたセファロースC1-4Bカラムでサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。複合化物を含み(206nmおよび278nmでの光学吸収によって検出)、主としてカラムのデッドボリュームで溶出する分画をまとめた。
【0074】
ポリマー処方物を以下の態様で調製した:
製品名PAA225000(Ref.18613、ナトリウム塩)を濃縮溶液の形態で業者(Polysciences Europe(Eppelheim, Germany))から入手した。前記を水で希釈して濃度20mg/mLを得て、攪拌しながら室温で12時間維持した。HClでpHを7.55に調整し、2kDaカットオフ透析カセット(Thermo Fischer Scientific, Courtaboeuf, France)を用いて前記溶液を150mMのNaCl水溶液に対して室温で透析した(3回連続水浴)。続いて滅菌のために溶液を0.22μmのPVDF膜でろ過した。続いてポリマー塩の分子量を測定した。分子量は488,550Daである。そのMnは129,070Daであり、そのIPは3.8である。
続いて、当該ポリマーを150mM NaCl水溶液に20mg/mLのポリマーを含む溶液として+4℃で保存した。この溶液を続いて10倍濃縮PBS 1Cおよび滅菌水と混合して、2mg/mLのポリマー塩を含む食塩水溶液を得た。
製品名PAA20をナトリウム塩として乾燥粉末の形態で業者(Polymer Expert(Pessac, France))から入手した。前記を水で20mg/mLの濃度に再水和させ、室温で12時間攪拌しながら維持した。続いて溶液を滅菌のために0.22μmのPVDF膜でろ過した。ポリマー塩の分子量は100,700Daと測定された。そのMnは46,700DaでそのIPは2.2である。続いて、当該ポリマーを150mM NaCl水溶液に20mg/mLのポリマー塩を含む溶液として+4℃で保存した。この溶液を続いてPBS 10Cおよび滅菌水と混合して、2mg/mLのポリマー塩を含む食塩水溶液を得た。
網状PAAポリマーであり数百万Daの分子量を有するCARBOPOL(商標)974P(CARBOPOL(商標)と称される)をPBSで希釈して2mg/mLのポリマーを含む溶液を得た。
動物に注射されるアジュバント添加処方物は、抗原溶液および当該ポリマー溶液のvol/vol混合によって調製された。各注射1用量は、PBS 1C溶液に200μgのポリマーおよび2.5μgの多糖類を有していた。
【0075】
免疫:
5から10匹のOF1マウス(7から9週齢)のグループをPAA20、PAA225000若しくはCARBOPOL(商標)単独で(これらは陰性コントロールとして用いられた)、または抗原およびアジュバントの両方を含む処方物で免疫した。1グループのマウスにはPS5-rEPAだけを注射した。D0、D21およびD35に皮下ルートで投与量が肩甲骨領域に投与された。免疫応答分析のために、D42に血液サンプルを収集した。
凝固活性化因子および血清分離ゲルを含むバキュテイナー管(Becton Dickinson, Meylan, France)に血液サンプルを収集した。管を2600gで20分間遠心分離し、細胞から血清を分離した。血清をディープウェルプレートに移し、その後のアッセイでの使用まで-20℃で保存する前に56℃で30分間熱不活化した。
【0076】
当該試験は以下のように種々のグループを含んでいた:
PBS
Carbopol(商標)
PAA20
PAA225000
PS5-rEPA
PS5-rEPA+Carbopol
PS5-rEPA+PAA20
PS5-rEPA+PAA225000
血液サンプルを用いて、免疫マウスによって産生された特異的IgG1およびIgG2aを検査した。
【0077】
ELISA試験は、被覆用抗原として活性化多糖類PS5(ADH複合化PS5:PS5-AH)を利用した。簡単に記せば、PBS 1C中の活性化多糖類溶液1μg/mLでELISAプレートを100μL/ウェルで被覆した。プレートを4℃で12時間インキュベートし、プレートを逆さまにすることによってプレートを空にした。飽和緩衝液1(PBS 1C/Tween 0.05%w/v/ウシ血清アルブミン1%w/v)の150μLを添加し、37℃で1時間インキュベートすることによってウェルを遮断した。逆さまにしてELISAプレートを空にした。各血清の2倍段階希釈(12倍)をELISAプレートで直接実施した。希釈緩衝液として緩衝液1を用い最終体積をウェル当たり100μLとした。プレートを37℃で90分インキュベートし、続いて緩衝液2(PBS 1C/Tween 0.05%w/v)で3回(250μL/ウェル)洗浄した。抗マウスIgG1または抗マウスIgG2aペルオキシダーゼ複合化物を緩衝液1で希釈し(1/8000)、二次抗体として用いた(100μL/ウェル)。37℃で90分インキュベートした後、ELISAプレートを緩衝液2で3回(250μL/ウェル)洗浄した。100μLのテトラメチルベンジジン基質溶液を各ウェルに添加して反応をデベロップさせ、室温で30分後に1N HCl(100μL/ウェル)で反応を停止させた。450−650nmで吸収を測定した。抗体力価は、OD450nm=1の血清希釈の逆数に相当する恣意的単位で表し、SoftmaxProソフトを用いた。
【0078】
得られた結果は
図1に要約され、以下を示している:
1)PBS 1Cまたはポリマー基剤処方物のみを注射された免疫マウスの陰性コントロール血清ではバックグラウンドは測定されなかった(<1.3Log)(データは示されていない)。
2)PS5多糖類に対する特異的免疫応答(主として抗PS5 IgG1(4.8Log))は、PS5-rEPA複合化物のみによる3回目の免疫後に得られた。単独注射されたPS5-rEPAによって惹起された抗PS5抗体応答は主としてTh2駆動であり、IgG1/IgG2a比は126に近かった。
3)抗PS5 IgG1力価は、PS5-rEPA複合化物がCarbopol(商標)、PAA20またはPAA225000のいずれかとともに処方されたときには増加せず、抗PS5力価の算術平均は4.8Logに近かった。Carbopol(商標)またはPAA20の共同注射は抗PS5 IgG2a力価の増加を引き出したが、これらの抗Ps5抗体応答はなお主としてTh2駆動であり、IgG1/IgG2a比はそれぞれ50および63に近かった。抗PS5 IgG2a力価の強い増加(4.5Log)は、PS5-rEPA複合化物がPAA225000と共同注射されたときに観察された。PAA225000の共同注射はTh1偏向抗PS5抗体応答を惹起し、IgG1/IgG2a比は2に近かった。
結論すれば、この試験は、抗原単独は主としてTh2応答を誘発するが、本発明のアジュバントは他の被検ポリマーと比較してはるかに強力なTh-1免疫応答をTh-2応答に影響を与えることなく誘発できることを示した。
【0079】
血液サンプルはまた、人間の抹消単核球(hPMN)のオプソニン活性を誘発するそれらの能力について検査された。この試験のために、ローエンシュタイン(Lowenstein)株(ATCC 49521)を用い、各グループのプール血清を10倍段階希釈で検査した。前記株は、単独または補充(定常期)TSB培地で20時間37℃で増殖させた。
健康な志願者のヒト末梢血液をヘパリンナトリウムバキュテイナーに収集した。ドナー当たり10ミリリットルを要求した。赤血球を塩化アンモニウム溶解緩衝液で溶解させることによって白血球を単離した。細胞をPBS 1Cで2回洗浄し、最後に5mLのOPA培地(5% BSAおよび2mMグルタミンを補充したRPMI-Hepes)に懸濁させた。続いて大きな白血球(主としてhPMN(95%))をマルチサイザーコウルターカウンターで数え、OPA培地中の濃度を0.25x10
6/mLに調整した。
20時間増殖させた後、細菌をPBS 1Cで2回洗浄し、5mLのPBS 1Cに再懸濁した。細菌濃度はOPA培地中で10
8 CFU/mLに調整した。
酸化バーストアッセイを96ウェルのポリプロピレンディープウェルプレートで実施した。試薬の連続的添加に際してプレートを氷上で維持した。試薬をウェルに以下の順序で添加した:1/10から1/640の決定希釈の特異的熱不活化血清50μL、細菌250μL、1/10の幼若(baby)ウサギ補体50μL、白血球100μL、および1mg/mLのDHR(分子プローブ、D632)50μL。反応の最終体積は500μLであった。続いてプレートを穏やかに振盪しながら+37℃で25分間暗所でインキュベートした。最終的な細菌/大白血球比は100:1であり、血清および補体の最終希釈は1/100から1/6400の範囲であり、DHRの最終濃度は0.1mg/mLであった。インキュベーション期間の終了時に、プレートを氷上に置いて反応を停止させた。分析はCytomics FC500で実施した。DHRの酸化形、ローダミン123は488nmでの励起に際して明るい蛍光を放出する。(FSC/SSC)ドットプロットで、ゲートを白血球の大きな顆粒集団に限定して、PMN集団と区別した。このゲートで各ウェルから3000事象を得た。結果は、全PMN集団に対する蛍光活性化PMN(ローダミン123陽性PMN)のパーセンテージとして表した。
結果は下記の表1に示される。
【0080】
表1:
1:全PMS集団に対する活性化PMSの%:+++(1/1000血清希釈で80%−100%)、
++(1/100血清希釈で80%−100%)、+(1/100血清希釈で30%−70%)
【0081】
表1のこれらの結果は以下を示している:
1)PBSまたはポリマー基剤処方物単独注射で免疫されたマウスの陰性コントロール血清では活性化PMNは検出されなかった(データは示されていない)。
2)PS5-rEPA複合化物は、細菌の存在下でhPMNを弱く活性化できる抗PS5血清抗体を引き出すことができた。酸化バーストを生じるhPMNのパーセンテージは1/100血清希釈で30%から70%と概算された。
3)CarbopolまたはPAA20とのPS5-rEPAの共同注射は、黄色ブドウ球菌ローエンシュタイン株の表面を認識する抗PS5血清抗体の能力をわずかに増加させた。酸化バーストを生じるhPMNのパーセンテージは1/100血清希釈で80%から100%と概算された。
4)PAA225000とのPS5-rEPAの共同注射は、黄色ブドウ球菌ローエンシュタイン株の表面を認識する抗PS5血清抗体の能力を明瞭に改善した(10倍増加)。酸化バーストを生じるhPMNのパーセンテージは1/1000血清希釈で80%から100%と概算された。
【0082】
PAA225000およびPAA20を用いて得られた血清、または抗原単独で免疫されたマウスで得られた血清もまた、ヒトPMNの存在下で黄色ブドウ球菌ローエンシュタイン細菌を殺滅する能力について検査された。
この試験のために、EFS(Etablissement Francais du Sang)によって、全血が健康な人間ドナーからクエン酸ナトリウムバッグに収集され、人間の新鮮な多形核白血球(PMN)が以下の手順にしたがって単離された。5mLの血液および45mLの溶血緩衝液を+20℃で10分間インキュベートすることによって赤血球を溶解させた。PMNをHEPES緩衝食塩水(HBSS w/o CaMg, ref pH7.4)で2回洗浄した。PMNの生存率は90%を超えていた(トリパンブルー排除によって示される)。PMN懸濁物を10
7細胞/mLに希釈した。
ローエンシュタイン黄色ブドウ球菌株をTSB培地で12時間培養した。細菌細胞をペレット化し、OPA培地(RPMI+5%SVF+0.05%Tween20)で洗浄し、通常食塩水に5x10
7細胞/mLで懸濁させた。以下の物質を各管に添加した:0.25mL PMN、50μLの希釈被検血清、50μLの同族黄色ブドウ球菌(比率は1細胞/1細菌)、50μLの0.5%w/vウサギ補体およびOPA培地(500μL/ウェルの完成体積にする)。PMN、被検血清または補体単独の存在下の黄色ブドウ球菌を有するコントロール管もアッセイに加えた。アッセイ管を振盪しながら+37℃で1時間インキュベートした。希釈を3段階で実施し(3
* 1/15希釈)、異なる希釈の50μLをTSAゲロース(gelose)に6回滴下し、12時間インキュベートした。細菌生存パーセンテージを、可能ならば各希釈点で以下の式を用いて示した:(生存細胞数/最初の接種物)x100
2つの独立した分析で得られたデータを下記表2に示す(ONS=非特異的オプソニン貪食作用):
【0083】
表2:
表2に提示されたこれらの結果は以下を示している:
1)PBSまたはポリマー基剤処方物単独注射で免疫されたマウスの陰性コントロール血清では細菌殺滅は検出されなかった(データは示されていない)。
2)PS5-rEPA複合化物は、hPMNの存在下で弱い殺滅活性を示す抗PS5血清抗体を引き出し、39%の細菌殺滅パーセンテージを1/100血清希釈で示した。血清プールを1/500に希釈したときは細菌殺滅活性はもはや測定されなかった。
3)PAA20とのPS5-rEPAの共同注射は、ブドウ球菌ローエンシュタイン株を殺滅する抗PS5血清抗体の能力を改善しなかった。
4)細菌殺滅に対するPAA225000のアジュバント効果が試験1で観察され、1/100血清希釈では無アジュバントPS5-rEPAの39%に対して50%の細菌殺滅パーセンテージを示し、1/500血清希釈では無アジュバントPS5-rEPAの9%に対して23%の細菌殺滅パーセンテージを示した。
ブドウ球菌属抗原に関するこの試験の全般的結論は、本発明のアジュバントは低分子量のアジュバントと比較して優れた有効性を示したということである。
【0084】
2)hCMV-gBによって誘発される免疫応答における種々のポリマーのアジュバント効果の試験
本実験の目的は、アジュバント効果に対するポリアクリル酸(PAA)ポリマーの分子量の影響を評価することであった。前記は、ヒトサイトメガロウイルスのgB糖タンパク質(hCMV-gB)に由来する組換えタンパク質をモデル抗原として用いることによって実施された。
この組換えタンパク質は、改変gB遺伝子を含む0708985pEE14.4と称されるプラスミドをトランスフェクトされた組換えCHO株によって産生された。CHO株によるこの組換えタンパク質の産生を促進するために、gB遺伝子(その配列はU.S.Pat.No.5,834,307に記載されている)は事前に以下のように改変された:gBタンパク質のトランスメンブレン領域(バリン677およびアルギニン752の間の配列と一致する)をコードする遺伝子部分を欠失させ、切断部位に3つの点変異を導入した。CHO株によって産生されるタンパク質(gBdMTと称される)は、切断部位およびトランスメンブレン領域を欠く切端gBタンパク質に一致する。
培養培地で産生されたgBdTMタンパク質を続いてクロマトグラフィーによって精製し、ストック溶液の形で保存した。ストック溶液はリン酸緩衝液にgBdTMを>0.2mg/mL含む。
種々の分子量を有するPAAは以下の通りであった:
“1)黄色ブドウ球菌抗原に対する従来技術の2つのPAAと比較した本発明のPAAのアジュバント効果の評価”のパラグラフで記載および調製されたPAA20およびPAA225000。
PAA3000(Ref.06568)、PAA6000(Ref.06567)、PAA50000(Ref.00627)およびPAA60000(Ref.18611)はNaPAAであり、乾燥粉末の形で(PAA6000)または濃縮溶液の形で(その他のもの)ポリサイエンシーズ(Polysciences)から提供された。
PAA20は20mg/mLの濃度に水と混合し、攪拌しながら12時間室温で維持した。続いてこの溶液を0.22μmのPVDF膜でろ過し、150mM NaCl水溶液中に20mg/mLのポリマーを含む溶液として+4℃で保存した。続いて前記溶液をPBS 10Cおよび滅菌水と混合して、2mg/mLのポリマーを含む食塩水溶液を得た。
ポリサイエンシーズのPAAを滅菌水で20mg/mLの濃度に希釈し、NaOHまたはHClでpHを7.4辺りに調整し(ただしpHを調整しなかったPAA60000を除く)、2kDaカットオフ透析カセット(Thermo Fischer Scientific, Courtaboeuf, France)を用いて150mM NaClに対して透析した(3回連続水浴)。続いて滅菌のために溶液を0.22μmのPVDF膜でろ過した。Mw、MnおよびIPを決定し、このポリマーを150mM NaCl水溶液中に20mg/mLのポリマー塩を含む溶液として+4℃で保存した。
ポリマーの分子量(MwおよびMn)およびPIは下記の表3に示されている。
【0085】
表3:
【0086】
ノバルチス(Novartis)のMF59(商標)スクァレンエマルジョンと同じ成分を含むスクァレンエマルジョンをミクロ流動化によって調製し、種々のポリマーのアジュバント活性を参照物として用いられる先行技術のアジュバントの活性と比較した。
アジュバント添加処方物を抗原溶液とアジュバント溶液とのvol/vol混合によって調製した。
アジュバント量は1注射用量につきポリマー200μgであるか、またはエマルジョンの場合には最終ワクチン用量は2.5%v/vのスクァレンを含んでいた。
試験した種々の処方物は以下の通りであった(各処方物でgBはhCMV-gB:2μgに一致する)。
−gB単独
−gB+スクァレンエマルジョン
−gB+PAA3000
−gB+PAA6000
−gB+PAA50000
−gB+PAA60000
−gB+PAA20(PBS)
−gB+PAA225000
【0087】
C57BL/6マウス(8−10匹/グループ)が、アジュバントと一緒にまたはアジュバント無しに組換えhCMV-gB抗原(2μg/注射)により2回(0日目および28日目)、IMルート(左四頭筋に最終体積50μL)で免疫された。試験にはコントロールとしてhCMV-gB抗原単独で免疫されるグループが含まれた。
血液サンプルが、麻酔下で顎下静脈からD28(中間採血)におよびD41の頸動脈切開による放血後に全動物から採取された。麻酔はイマルジーン(ケタミン1.6 mg)およびロンパン(キシラジン0.32 mg)によって実施され、前記は腹腔内ルート(IP)により150μLの体積で投与された。
D28の液性応答アッセイのために、凝固活性化因子および血清分離装置を含むバイアル(Becton Dickinson Microtainer SST, ref 365951)に200μLの血液を収集した。+4℃で一晩後に、血液を10000rpmで5分間遠心分離し、血清を収集し分析まで-20℃で保存した。D41に、1mLの血液を凝固活性化因子および血清分離装置を含むバイアル(BD Vacutainer SST ref 367783)に1mLの血液を収集した。+4℃で12時間後に、血液を3000rpmで20分間遠心分離し、血清を収集し分析まで-20℃で保存した.
D41の細胞性応答アッセイのために、各グループにつき5匹のマウスから脾臓を無菌的条件下で収集した。脾細胞を以下のように単離した:新鮮収集脾臓をジェントルマクス分離装置(Gentlemax dissociator(Miltenyi Biotec))を用いて分離させ、細胞懸濁物を細胞ふるいに通し、RPMI培養液で洗浄した。赤血球を赤血球溶解緩衝液(Sigma)を用いて溶解させた。洗浄後、脾細胞を計測し、直ちに細胞アッセイに用いた。
【0088】
血清中和アッセイ:
本技術を用いて、hCMV-gB免疫動物の血清に存在する機能性中和抗体の力価を測定した。サイトメガロウイルスのMRC5線維芽細胞およびARPE-19細胞(ヒト上皮細胞)への感染能力を土台にして、HCMV-gBに対する特異的な機能性抗体を含む血清は当該細胞のウイルス感染を阻害することができる。
a.MRC5におけるSN50
略記すれば、1x10
4 MRC-5線維芽細胞を、5%CO
2細胞培養インキュベーターで96ウェルの平底プレートによりDMEM 1%FBS中で37℃1日間培養した。幼若ウサギ補体を補充したDMEM(ダルベッコーの改変イーグル培養液)1%FBS(ウシ胎児血清)で免疫動物の熱不活化血清を段階希釈し、hCMVタウン(Towne)株の3.3log CCID50(50%細胞培養感染用量50%)/mLと一緒に(vol/vol)1時間細胞培養インキュベーターでインキュベートした。続いて、この血清/ウイルス混合物をMRC-5細胞単層上に移した。7日間インキュベートした後、培養上清を除去し、細胞をPBS 1Cで4回洗浄し、続いて、水に85%アセトンの100μLで15分間、-20℃で固定した。プレートをPBS 1Cで3回洗浄し風乾した。比色反応により感染細胞を検出した。2つの特異的なhCMVビオチン化抗体(抗IE1 CH160および抗gB CH177 HCMVタンパク質)の混合物を0.5μg/mLでウェルに添加した(室温、1時間)。ホスファターゼアルカリストレプトアビジン(室温(22℃)、1時間)を添加する前に、プレートをPBS 1C/0.05%Tween20(PBST)で洗浄した。プレートをPBSTで洗浄し、色原体NBT/BCIPの100μLを用い暗所で染色した(室温、30分)。洗浄後、プレートを風乾し、比色ELISPOTプレートリーダー(Microvision Instruments, Evry, France)を用いてスキャンした。細胞変性効果を表す暗く染まった核が各ウェルで観察された。対応するウェルで暗巣が観察されない場合に当該血清希釈により中和されたと考えられる。各血清希釈の4複製を試験した。各希釈について、50%中和(SN50)を最小二乗回帰によって算出した。SN50値(log10)は、感染ウェル数が50%減少する最高希釈の逆数と定義される。算術平均中和抗体力価をマウスの各グループについて算出した。
【0089】
b.ARPE-19におけるμPRNT50
略記すれば、2.5x10
4 ARPE-19細胞をマイクロ中和(MN)アッセイの前日に96ウェル暗色プレートに加えた。D0に、血清を56℃で30分間熱不活化した。96ディープウェルプレートで血清サンプルをDMEM/F12 1%FBSで2倍段階希釈し(1/10から開始し1/10240まで)、BADrUL131-Y4 HCMVウイルス株の4.2log FFU/mLとともに5%CO
2細胞培養インキュベーターでインキュベートした(37℃、60分)。血清/ウイルス混合物を続いてARPE-19細胞上に移し、5%CO
2細胞培養インキュベーターでインキュベートした(37℃、4日間)。
D4に、細胞上清を除去した後、細胞を100μLの1%ホルマリン(PBS 1C)で固定した(室温、1時間)。続いて、プレートをPBS 1Cで3回洗浄し室温で風乾してから、各ウェルの感染細胞を計測するためにマイクロビジョン蛍光プレートリーダーで分析した。
コントロールとして、細胞コントロール(無ウイルス)の2ウェルおよび4.2log FFU/mLを含むウイルス希釈の半分を感染させた細胞の6ウェルを各プレートに置いた。これら6ウェルの算術平均は、特異的シグナル値の50%と決定される血清中和の閾値を定める。
中和終点力価は、算出された50%特異的シグナル値より低くなる最後の希釈の逆数と定義された。中和力価(μPRNT50)は、各々個々の血清について感染細胞の50%減少を誘発する最後の希釈(すなわち、算出された50%特異的シグナル値よりも少ない感染細胞を生じる最後の希釈)と定義された。幾何平均中和抗体力価を各グループについて算出した。
免疫マウスの各グループについて得られたGMT(幾何平均中和抗体力価)の結果は
図2および3に提示されている。
類似するプロフィールが、分析グループがいずれであれ、MRC5線維芽細胞およびARPE上皮細胞の両血清中和アッセイで観察された。ゼロまたは低い中和抗体力価が無アジュバントhCMV-gBで免疫されたマウスで検出された(GMT=6)。
本発明のポリアクリル酸ポリマーははるかに最良の応答を提供した。
【0090】
IgG1およびIgG2c抗体応答:
hCMV-gB抗原に対する血清IgG1およびIgG2c抗体を、以下の手順にしたがってロボットELISAアッセイによって力価を測定した。
ダイネクス(Dynex)96ウェルマイクロプレートを0.05M炭酸/重炭酸緩衝液(pH9.6)(Sigma)中のhCMV-gB(1μg/ウェル)で12時間4℃で被覆した。続いて、プレートをPBS Tween-ミルク(PBS(pH7.1)、0.05% Tween20、1%(w/v)脱脂粉乳(DIFCO))で37℃で1時間遮断した(150μL/ウェル)。次の全てのインキュベーションを最終体積100μLで実施し、続いてPBS(pH7.1)、0.05% Tween20で3回洗浄した。血清サンプルの2倍段階希釈(1/100または1/1000で開始)をPBS-Tween-ミルクで実施し、ウェルに添加した。プレートを37℃で90分インキュベートした。洗浄後、PBS-Tween-ミルクで1/2000に希釈した抗マウスIgG1またはIgG2cペルオキシダーゼ複合化物(Southern Biotech)をウェルに添加し、プレートを37℃で90分インキュベートした。さらにプレートを洗浄し、使用準備済みテトラメチルベンジジン(TMB)基質溶液(TEBU)(100μL/ウェル)とともに20℃で30分、暗所でインキュベートした。反応を100μL/ウェルの1M HCl(Prolabo)で停止させた。光学濃度(OD)を450nm−650nmでプレートリーダー(Spectra Max-Molecular Devices)を用いて測定した。IgG抗体力価は、CodUnitソフトを用い、0.2から3.0の範囲のOD値については滴定曲線(各プレートに加えた参照マウス高免疫血清)から算出した。前記参照物のIgG力価(恣意的ELISA単位(EU)で表される)は1.0のODを提供する希釈の逆数のlog10に対応する。抗体検出の閾は10ELISA単位(1.0 log10)であった。全ての最終力価はlog10(Log)で表された。
結果は
図4および5に示されている。
これらの結果は、アジュバント添加hCMV-gB抗原は、無アジュバント抗原と比較してIgG1およびIgG2c力価の両方について免疫応答増加を誘発したが、ただし最も小さい分子量を有するPAA3000およびPAA6000は例外であった。
本発明のPAAは、Tヘルパー1型(Th1)の免疫応答の増加に特に有効であることを記載できることは興味深い。本発明のPAAと組み合わされたhCMV-gBで免疫したマウスでIgG2c力価は特に強力であった。
【0091】
サイトカインの測定:
免疫マウスの脾細胞をD41のサクリファイス直後に単離し、96ウェルプレートにウェル当たり2.5x10
5細胞でプレートし、hCMV-gB(5μg/ウェル)、コンカナバリンA(0.25μg/ウェル、陽性コントロール)、または培養液単独(RPMI-GSPβ-10%FCS、バックグラウンド)とともにインキュベートした。6日間インキュベートした後、IL5およびIFNγサイトカインの分泌をCBA Flexセットキットを用いて測定した。結果はpg/mLでのサイトカイン濃度(幾何学平均/グループ)で表された。陽性サイトカイン検出の閾は、IL-5については5pg/mL、IFNγについては2.5pg/mLであった。
結果は
図6および7に示されている。
これらの結果は、エマルジョンアジュバントを用いたときIL-5のレベルは高いが、IFNγのレベルは低いことを示している。興味深いことに、本発明のポリアクリル酸アジュバントは低レベルのIL5を誘発するが高レベルのIFNγを誘発し、これはTh1型に偏向した免疫応答を示す。この結果は、免疫グロブリンサブタイプ決定の結果と一致する。
【0092】
3)本発明の透析ろ過PAAと透析ろ過前のその原料との比較
この試験では、透析ろ過は当該ポリマーのアジュバント特性に影響を与えないことが示された。
0.08mg/mLのhCMV-gB抗原を含む種々の処方物を試験した(前記処方物は、“2)hCMV-gBによって誘発される免疫応答における種々のポリマーのアジュバント効果の試験”のパラグラフに記載されたように入手した)。
ポリサイエンシーズによって提供されたポリアクリル酸ポリマーのナトリウム塩で、2つの異なるプロセス(非透析ろ過調製物および透析ろ過調製物)を適用した。
非透析ろ過調製物のためには、ポリサイエンシーズから入手した製品を単にPBSで希釈し、0.2μmカットオフ膜で滅菌ろ過した。PAA塩の濃度は17.4mg/mLであった。Mw、IPおよびマルクホウインクの傾きを決定した。
透析ろ過処方物のためには、ポリサイエンシーズから入手した製品を以下のプロトコルにしたがって処理した:
a)ポリサイエンシーズによって提供された水溶液をPBS 1C(pH7.4)と攪拌下で15分混合し、14mg/mLのポリマーを含むPBS溶液を得る工程;
b)50kDaのカットオフを有する膜を用いて、工程a)で入手した溶液を5体積のPBSに対して透析ろ過する工程;
c)工程b)で得られた生成物を0.2μm滅菌フィルターでろ過する工程。
得られた溶液はpH7.3で15.9mg/mLのPAA塩を含んでいた。Mw、IPおよびマルクホウインクの傾きを決定した。
透析ろ過前および後で得られたMw、IPおよびマルクホウインクの傾きは表4に提示されている。
【0093】
表4:
【0094】
透析ろ過前および後のポリマーの分子量MwおよびPIは、モノマーおよび小さなオリゴマー(特に2000ダルトン未満のもの)は透析ろ過工程によって除去されているという事実と一致する。
ポリサイエンシーズが公表したMw(GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって決定)は887,000Da(透析ろ過前に測定されたMwとはかけ離れている)であったということを報告することもまた重要である。
これら2つの調製物から、免疫処方物を当該ポリマー調製物の1つとgB溶液とを適切な比率で混合することによって調製し、各々が2μgのgBおよび下記のいずれかを含む50μLの用量を得た:
−透析ろ過処方物に由来する25、50、100または200μgのポリマー塩、または
−非透析ろ過処方物に由来する25、50、100または200μgのポリマー塩。
C57BL/6Jマウス(7週齢)を、当該調製処方物の1つで0日目および21日目に筋肉内ルートにより2回免疫した。各調製物を1グループ5匹のマウスで試験した。コントロールとして、5マウスの1グループに抗原のみが投与された。
免疫マウスの細胞性応答(IFNγおよびIL5)および液性応答(IgG抗体サブクラス、血清中和抗体)を、“2)hCMV-gBによって誘発される免疫応答における種々のポリマーのアジュバント効果の試験”のパラグラフの記載と同じ方法で、最後の免疫後2週間モニターした(35日目)。
結果は、以前の試験のように、本発明のアジュバントは、強いウイルス中和抗体の誘発とともに強力なTh-1免疫応答を誘発すること、および透析ろ過処方物で免疫されたマウスと非透析ろ過処方物で免疫されたマウスとの間には有意な差異が存在しないことを示した。
【0095】
4)PAA原料と比較した透析ろ過TAAの安定性実験
本発明のPAAアジュバントの安定性をチェックするために、加速エージング試験でポリマー塩の分子量の変動を分析する実験を実施した。
この試験のために、非透析ろ過調製物および透析ろ過調製物を用いた。精製は50kDaカットオフ膜を用いる透析ろ過によって実施し、得られた透析ろ過調製物は、PBS 1C中で443553 Daの分子量を有するPAAポリマー塩の8mg/mLを含んでいた。
過硫酸アトリウムの含有量は乾燥ポリマーの0.0007%(w/w)未満であり、アクリル酸ナトリウムの含有量は乾燥ポリマーの0.0011%と決定された。
この調製物をガラスのバイアルに充填し、+5℃、+25℃または+37℃で維持した。5℃で24か月、25℃で9か月および37℃で3か月にわたって分析を実施した。この安定性実験で得られた結果は下記の表5に示されている。
【0096】
表5:
【0097】
これらの結果は、5℃で24か月保存後、25℃で9か月保存後、37℃で3か月保存後にMwの有意な低下はなかったこと、さらにポリマーの多分散指数は同じものを維持したことを示している。
これは、透析ろ過されてなくて乾燥重量組成物に対して0.42%w/wの濃度の過硫酸ナトリウムを含む同等のPAA塩の10%w/wを含む水溶液に対応する組成物で得られた結果とは対照的である。ポリマー塩の最初のMwは470,269Daと決定されたが、GPCによって決定された供給業者によって公表されたMwは351,100Daであった。
この非透析ポリマー溶液の安定実験中に得られた結果は下記の表6に提示され、時間とともに(特に25℃および37℃での保存後に)分子量が低下することが示されている。
【0098】
表6:
【0099】
5)過硫酸塩含有量の有害な作用を示す試験
ポリアクリル酸ポリマーのナトリウム塩(ポリサイエンシーズ提供)をオートクレーブにより121℃で15分間滅菌した。溶液中のPAA塩の濃度は101.8mg/mLであった。以下の表7は、オートクレーブ前および後のPAAのMw、IV(固有粘度)およびマルクホウインクの傾きを示す。
【0100】
表7:
【0101】
オートクレーブでの処理はMwおよびIVの劇的な低下をもたらしたようである。加熱下でのポリマーのこの分解の原因となり得るパラメーターを調べるためにその後の実験を実施した。この実験は、ポリマー塩の精製(特に透析ろ過による精製)は、オートクレーブによる滅菌時にポリマーを安定化させることができることを示した。
NaPAAポリマーおよび過硫酸塩の混合物を熱に暴露して、オートクレーブの状態を再現した。120℃で15分間インキュベートする前および後のNaPAA Mwおよび過硫酸塩について組成物の特性を明らかにした。表18は、NaPAA Mwおよび過硫酸塩含有量に関して組成物の特性を詳述する。
【0102】
表8:
【0103】
これらの結果は、過硫酸塩の存在は熱処理後にMwの低下をもたらしたことを示している。反対に、過硫酸塩の含有量が非常に少ないPAAは非常に安定なMwを有した。結論すれば、PAA溶液の熱安定性をその過硫酸塩含有量と直接結びつけることができた。本発明の方法で導入された透析ろ過工程はPAA溶液から過硫酸塩不純物を除去し、PAA溶液をオートクレーブによる滅菌に適合できるように熱安定化させることができる。
【0104】
実施例3−PAAは強力な応答を支持し、抗原ペイロードを低下させる
家畜病原体に対するより広範囲の防御の希求は、既存のワクチン処方物または別個の単一抗原ワクチン処方物への抗原の付加を要望する。既存のワクチン処方物は、例えばSINTOXAN(商標)製品であり、前記は概して不活化毒素および/またはバクテリン+水酸化アルミニウムアジュバントを含む。組合せワクチンの提供が市場ではより所望されるので、出願人らは、新しい抗原を付加しながらなお既存の用量体積を維持できることは、良好な安全プロフィールを有するより強力なアジュバントを特定できることを条件として合理的であると考えた。
重要なことには、ワクチンおよび免疫学分野の業者には周知のように、ある分子種が安全かつ有効な免疫原性アジュバントであるか否かを何人も前もって予測することはできない。のみならず、アジュバント特性が新規な分子を不動のものにした後でさえ、これら分野の予測し得ない特性のために、当業者は、種々の状況で当該新規なアジュバントを適用する際に合理的に成功を期待することはできない。新規な処方物が安全で防御的なワクチンとして機能するか否かに影響を与える変数には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):1)アジュバントのタイプ/存在性;2)抗原のタイプ/特性(ペプチド、核酸、殺滅ウイルス、バクテリンなど);3)投与ルート;4)標的病原体のタイプ/株;および5)ワクチン免疫されるべき標的種。したがって新規なワクチンアジュバントの全般的な適用性に関して何らかの有意義な結論を引き出す前に、当該新規なワクチンアジュバントの安全性および有効性がこれら変数の少なくともいくつかの組合せについて示されなければならない。
抗原のタイプがおもに不活化細菌であるような本事例については、出願人らは、究極の新規でより強力な用量節約的アジュバントはリパーゼ耐性でなければならないと合理的に推測した。残念なことに、処方物をリパーゼ耐性にさせることができる化合物はしばしば望ましくない投与副反応を生じ得る。したがって、ワクチン安全性、有効性および安定性の間に好ましいバランスを打ち込む必要があった。
実験SINTOXAN(商標)ワクチン(Merial Brazil−C.パーフリンゲンスB/C;C.パーフリンゲンスD:C.セプチクム:C.ノビイ)を調製し、マウス、モルモットおよびウサギで試験した。例として、モルモット実験の設計および結果をそれぞれ表9および10に提示する。
【0105】
表9:PAA225000ポリアクリル酸アジュバントを用いる用量節約アプローチ
表10:用量節約免疫原性処方物の有効性の要旨
【0106】
【0107】
安全性はモルモット、マウス、およびウサギについては良好であり、有効性は、表10に示すように水酸化アルミニウムを欠く処方物で特に良好であった(例えば以下を参照された:ノビイ、セプチクムおよびソルデリイ(Sordelii)の列、EとDの比較)。これらの結果は全く驚くべきことであった。なぜならば、水酸化アルミニウムと新規ポリマーアジュバントとの組合せ(グループE)は新規ポリマー単独処方物よりも性能が優れているだろうという期待は合理的であったからである。
【0108】
実施例4−PAAは、古典的不活化ワクチンまたは組換えワクチンとともに処方されたとき防御応答を支持する
不活化狂犬病実験:ワクチンを表11にしたがって調製し、結果を
図8に提示する。全被検アジュバントがイヌでの使用について安全であるように思われ、さらに全アジュバントがワクチン接種後7日目までに血清変換を誘発し、70日まで陽性力価を維持した。PAA225000は、不活化狂犬病短期免疫原性の改善のために最も有効であった。
【0109】
表11:不活化狂犬病ワクチン処方物(メリアルのIMRAB(商標)+種々のアジュバント)
* AF03はまた別のスクァレンエマルジョン基剤アジュバントであり、位相反転を用いて製造された(以下を参照されたい:J.Pharm.Sciences, Vol 101, Issue 12, 2012(参照によってその全体が本明細書に含まれる))。
** スクァレンエマルジョンは、水中油エマルジョンを形成するために高圧均一化を用いて調製された。
【0110】
カナリアポックスベクター系(canarypox-vectored)インフルエンザ実験:カナリアポックスベクター系インフルエンザワクチン処方物を調製し、5グループ(各グループは7匹のイヌを含む)で試験し(表12)、結果を
図10に提示する。高レベルのIFNγ産生細胞がD14、D27およびD41に全グループで検出された。上記の古典的不活化ワクチン処方物について観察された傾向と同様に、カナリアポックスベクター系インフルエンザ抗原はより高いMWのPAA(すなわちPAA225000)によってより良好にアジュバント添加されたように思われる。vCP2242はUS7,425,336(Merial)(参照によってその全体が本明細書に含まれる)によって完全に記載され実現させることができる。しかしながら簡単に記せば、vCP2242は、H3N8ウマインフルエンザウイルス(EIV)由来のコドン最適化HA遺伝子を含む組換えALVACである(当該HA遺伝子はALVAC C5遺伝子座に挿入される)。出願人らは、本明細書に開示する結果は、組換えカナリアポックスベクターは本開示の非架橋PAAと適合しかつ良好にアジュバント添加されるという一般的結論を支持していると確信する(例えば
図9参照)。
【0111】
表12:カナリアポックスベクター系イヌインフルエンザワクチン処方物
【0112】
実施例5−非架橋PAAはウマワクチンのための有効なアジュバントである
カナリアポックスベクター系ウマインフルエンザ+破傷風毒素実験:表13の処方物をウマに投与した。下記および
図11−13に示すように、PAAは、2つの無関係の抗原に対し強力なアジュバントであり、ウマで防御的な免疫学応答を惹起する。
【0113】
表13:カナリアポックスベクター系ウマインフルエンザwクチン+破傷風処方物
ADVAX
TMアジュバントはイヌリンから誘導される(Vaccine.2012 Aug 3;30(36):5373-81;およびUS 2014/0314739(Vaxine Pty Ltd.)もまた参照されたい)。ADVAX1は、デルタイヌリン微粒子の保存料フリーの無菌的懸濁物(重炭酸緩衝液中に20mg/mL)であるが、ADVAX2は、デルタイヌリン1 mg当たり10μgの追加CpGジヌクレオチドを含む。
【0114】
結果:D14までに、全てのPAA225000動物が0.05IU/mL以上の防御力価を有した。D14には、カルボマーアジュバント添加ワクチンのグループの8匹の動物のうち6匹がなお0.05IU/mL未満であった。したがって、PAA225000アジュバント添加ワクチン処方物は、カルボマーアジュバント添加免疫学処方物よりも有意に良好な血清変化をもたらした。D49までに(第二回ワクチン接種後)、PAA225000グループの力価は、全ての動物で有意にかつ効果的に高かった。
【0115】
実施例6−PAAはブタワクチンのために有効なアジュバントである
“SpaA”抗原ブタ実験:“SpaA”は、エリシペロスリクス・リュシオパシアエの“表面防御抗原”を意味することが意図される(前記はブタおよび他の動物(イヌを含む)に感染する)。エリシペロスリクス・リュシオパシアエは、グラム陽性、カタラーゼ陰性、こん棒形、非芽胞形成性、非抗酸性、非運動性細菌である。ブタでは、E.リュシオパシアエは“豚丹毒(diamond skin disease)”を引き起こす。“TS6”は、例えばUS 7,371,395(Merial)に記載された水中油エマルジョンを意味する。TS6は、約1部の抗原含有水性成分を約2部の油性成分に添加し続いてこの2つの成分を乳化させて最終的なエマルジョンを形成することによって処方される。
【0116】
表14:グループと処置の定義
1 2/3処置体積(tt)中のSpaAの150μgは100μg SpaA(1/1 tt体積)を意味する。
1 SpaA融合タンパク質の196μgはSpaA単独タンパク質100μgと等価である。したがって、各グループにデリバーされるSpaAの有効量は100μgであった。
【0117】
G1は最良の結果を生じたが、水中油エマルジョンの場合、当該用量体積の多くは非抗原成分によって占められることは注目に値する(上記のように、油性成分対水性抗原成分の比は2:1である)。
【0118】
これから、本発明は以下の番号を付けたパラグラフで要約されるであろう。
1.ワクチン組成物のアジュバントとしての使用のための直鎖または分枝ポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩であって、前記ポリアクリル酸ポリマー塩が350から650kDaの範囲の重量平均分子量Mwを有することを特徴とする、前記ポリアクリル酸ポリマー塩。
2.前記ポリアクリル酸ポリマー塩がアクリル酸の塩に相当する塩のみで構成されるか、またはアクリル酸の遊離酸形に相当するユニットおよびアクリル酸の塩に相当するユニットのみで構成されることを特徴とする、パラグラフ1に記載の使用のための直鎖または分枝ポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩。
3.前記ポリアクリル酸ポリマー塩の全乾燥重量を基準にして0.005%w/w未満の酸化剤を含むことを特徴とする、パラグラフ1または2に記載の使用のための直鎖または分枝ポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩。
4.前記ポリアクリル酸ポリマー塩の全乾燥重量を基準にして0.001%w/w未満の酸化剤を含むことを特徴とする、パラグラフ1から3のいずれかに記載の使用のための直鎖または分枝ポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩。
5.前記ポリアクリル酸ポリマー塩の全乾燥重量を基準にして0.005%w/w未満の過硫酸塩を含むことを特徴とする、パラグラフ1から3のいずれか1つに記載の使用のための直鎖または分枝ポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩。
6.前記ポリアクリル酸ポリマー塩の全乾燥重量を基準にして0.001%w/w未満の過硫酸塩を含むことを特徴とする、パラグラフ1から5のいずれかに記載の使用のための直鎖または分枝ポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩。
7.前記ポリアクリル酸ポリマーがNa
+を有する塩であることを特徴とする、パラグラフ1から6のいずれか1つに記載の使用のための直鎖または分枝ポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩。
8.前記ポリアクリル酸ポリマー塩が、4より低いかまたは等しい、好ましくは2.5より低いかまたは等しい多分散指数を有することを特徴とする、パラグラフ1から7のいずれか1つに記載の使用のための直鎖または分枝ポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩。
9.前記ポリアクリル酸ポリマー塩が、380から620kDaの範囲の重量平均分子量Mwおよび4より低いか若しくは等しい多分散指数を有するか、または400から600kDaの範囲の重量平均分子量Mwおよび4より低いか若しくは等しい多分散指数を有するか、または380から620kDaの範囲の重量平均分子量Mwおよび2.5より低いか若しくは等しい多分散指数を有するか、または400から600kDaの範囲の重量平均分子量Mwおよび2より低いか若しくは等しい多分散指数を有することを特徴とする、パラグラフ1から8のいずれか1つに記載の使用のための直鎖または分枝ポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩。
10.前記ポリアクリル酸ポリマー塩が、0.7より高いかまたは等しいマルクホウインクの傾きを有することを特徴とする、パラグラフ1から9のいずれか1つに記載の使用のための直鎖または分枝ポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩。
11.前記ポリアクリル酸ポリマー塩の全乾燥重量を基準にして、遊離酸の形または塩の形のアクリル酸モノマーを0.005%w/w未満含むことを特徴とする、パラグラフ1から10のいずれか1つに記載の使用のための直鎖または分枝ポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩。
12.5.5から8.0の範囲のpHを有する液体処方物中に存在することを特徴とする、パラグラフ1から11のいずれか1つに記載の使用のための直鎖または分枝ポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩。
13.特にリン酸緩衝液で、またはトリス、Hepes、ヒスチジン若しくはクエン酸緩衝液で緩衝される水溶液中に存在することを特徴とする、パラグラフ10に記載の使用のための直鎖または分枝ポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩。
14.透析ろ過されていることを特徴とする、パラグラフ1から13のいずれか1つに記載の使用のための直鎖または分枝ポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩。
15.滅菌されていることを特徴とする、パラグラフ1から14のいずれか1つに記載の使用のための直鎖または分枝ポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩。
16.ワクチン組成物により得られるTh1免疫応答を強化するために用いられることを特徴とする、パラグラフ1から15のいずれか1つに記載の使用のための直鎖または分枝ポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩。
17.少なくとも1つのワクチン物質および、アジュバントとしてパラグラフ1から16のいずれか1つに記載のポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩を含む、ワクチン組成物。
18.1用量当たり0.1から8 mg、好ましくは0.1から4 mg、より好ましくは0.1から2 mgのアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩を含むことを特徴とする、パラグラフ17に記載のワクチン組成物。
19.前記少なくとも1つのワクチン物質が、抗原または抗原を発現するベクター、例えばウイルスベクターまたは核酸であることを特徴とする、パラグラフ17または18に記載のワクチン組成物。
20.抗原が、破傷風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Clostridium diphtheriae)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)B型、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、シゲラ属種(Shigella sp.)、チフス菌(Salmonella typhi)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)若しくはプニューモニアエ(pneumoniae)、またはストレプトコッカス属種(Streptococcus sp.)に由来する細菌抗原であるか、または肝炎A、B若しくはC型ウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、西ナイルウイルス、狂犬病ウイルス、ポリオウイルス、HIVウイルス、デングウイルス、日本脳炎ウイルス、黄熱ウイルス、サイトメガロウイルスまたはヘルペスウイルスに由来するウイルス抗原であるか、またはマラリア原虫属種(Plasmodium sp.)、リーシュマニア属種(leishmania sp.)または住血吸虫属種(schistosoma sp.)に由来する寄生生物抗原であるか、または腫瘍抗原であることを特徴とする、パラグラフ18に記載のワクチン組成物。
21.前記少なくとも1つのワクチン物質が抗原またはベクター、例えば抗原をコードする組換えウイルスまたは核酸であり、前記抗原が黄色ブドウ球菌由来またはサイトメガロウイルス由来であることを特徴とする、パラグラフ17から19のいずれか1つに記載のワクチン組成物。
22.6.0から8.0の範囲のpHを有する液体形で存在することを特徴とする、パラグラフ17から21のいずれか1つに記載のワクチン組成物。
23.特にリン酸緩衝液で、またはトリス、Hepes、ヒスチジン若しくはクエン酸緩衝液で緩衝される水溶液で存在することを特徴とする、パラグラフ21に記載のワクチン組成物。
24.獲得Th1免疫応答の強化および/または獲得Th1およびTh2免疫応答間の均衡を有する、個体(特に人間)の免疫応答の惹起で使用される、パラメーター17から23のいずれ1つに記載のワクチン組成物。
25.以下の連続工程を含む、パラメーター1から16のいずれかに記載のポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩の製造方法:
a)ポリアクリル酸ポリマーの溶液を得る工程;
b)ポリアクリル酸ポリマーの溶液を精製して不純物を除去する工程;および
c)ポリアクリル酸ポリマーの精製溶液を滅菌する工程。
26.工程a)の溶液のポリアクリル酸ポリマーが300から550kDaの範囲の重量平均分子量Mwを有することを特徴とする、パラメーター25に記載の製造方法。
27.精製が、透析、透析ろ過、限外ろ過またはサイズ排除クロマトグラフィーによって実施されることを特徴とする、パラメーター25または26に記載の製造方法。
28.精製が、1から80kDa、好ましくは2から50kDaのカットオフの膜を用いる透析ろ過によって実施されることを特徴とする、パラメーター27に記載の製造方法。
29.精製が、以下を有する溶液のポリアクリル酸ポリマーの入手を可能にする条件下で実施されることを特徴とする、パラメーター25から28のいずれか1つに記載の製造方法:
−精製後に得られる前記ポリアクリル酸ポリマーの全乾燥重量を基準に、0.005%未満、好ましくは0.001%w/w未満の酸化剤、および/または精製後に得られる前記ポリアクリル酸ポリマーの全乾燥重量を基準に、0.005%未満、好ましくは0.001%w/w未満の過硫酸塩、
−精製後に得られる前記ポリアクリル酸ポリマーの全乾燥重量を基準に、0.005%w/w未満の遊離酸の形または塩の形のアクリル酸モノマー、
−ポリアクリル酸ポリマー塩については、380から620kDaの範囲の重量平均分子量Mwおよび4より低いか若しくは等しい多分散指数、または400から600kDaの範囲の重量平均分子量Mwおよび4より低いか若しくは等しい多分散指数、または380から620kDaの範囲の重量平均分子量Mwおよび2.5より低いか若しくは等しい多分散指数、または400から600kDaの範囲の重量平均分子量Mwおよび2より低いか若しくは等しい多分散指数。
30.滅菌がオートクレーブで実施されることを特徴とする、パラグラフ25から29のいずれか1つに記載の製造方法.
31.精製および滅菌が、アクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩の溶液で実施されることを特徴とする、パラグラフ25から30のいずれか1つに記載の製造方法。
32.精製が、アクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩の2から50mg/mLを含む溶液で実施されることを特徴とする、パラグラフ25から31のいずれか1つに記載の製造方法。
33.パラグラフ1から16のいずれかに記載のポリアクリル酸ポリマー塩の溶液の保存方法であって、前記方法が、パラグラフ25から32のいずれか1つに記載の製造方法、その後に続く、得られたポリアクリル酸ポリマーの医薬的に許容できる塩の溶液での保存工程を含む、前記保存方法。
34.保存工程が少なくとも1日から2年まで続くことを特徴とする、パラグラフ33に記載の保存方法。
35.保存工程が、容器中のポリアクリル酸ポリマー塩の溶液を0から30℃の範囲、好ましくは2から8℃の範囲の温度に置くことによって実施されることを特徴とする、パラグラフ33または34に記載の保存方法。
36.保存時にポリアクリル酸ポリマー塩の溶液が光から離して維持されることを特徴とする、パラグラフ33から35のいずれか1つに記載の保存方法。
37.治療的に有効な量の抗原成分、医薬的若しくは獣医的に許容できる担体およびアジュバントを含む免疫学的またはワクチン組成物であって、前記アジュバントが、約350kDAから約650kDaのMwおよび約4未満若しくは約2未満の多分散指数を有する非架橋ポリアクリル酸(PAA)ポリマーを含むかまたは本質的に前記から成る、前記免疫学的またはワクチン組成物。
38.PAAが約400kDaから約600kDaのMwを有する、パラグラフ35に記載の組成物。
39.PAAが約400kDaから約500kDaのMwを有する、パラグラフ36に記載の組成物。
40.抗原成分が、弱毒化組換えウイルスベクター、天然若しくは遺伝子操作生弱毒化ウイルス若しくは微生物、不活化ウイルス若しくは微生物、コクシジウム系微生物、早熟コクシジウム系微生物、タンパク質性サブユニット、単細胞性寄生生物、多細胞性寄生生物、または先行するものの任意の組合せを含む、パラグラフ35に記載の免疫学的またはワクチン組成物。
41.抗原成分が以下を含む、パラグラフ35に記載の免疫学的またはワクチン組成物:アイメリア属種(Eimeria sp.)若しくはその抗原、大腸菌(Escherichia coli(E.coli))若しくはその抗原、マイコプラズマ・ヒオプニューモニアエ(Mycoplasma hyopneumoniae(M.hyo(M.ヒオ)))、ウシ下痢ウイルス(BDV)抗原、少なくとも1つの防御免疫原を含みそのin vivo発現の能力を有する組換えカナリアポックスベクター、不活化完全長狂犬病糖タンパク質、エリシペロスリクス属種(Erysipelothrix sp.)、豚丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)、豚丹毒菌由来表面防御抗原(SpaA)、少なくとも1つの追加免疫原の少なくとも一部分を含むSpaA融合タンパク質、SpaA-FlaB融合タンパク質、SpaA-FlaB-His融合タンパク質、クロストリジウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfringens)(C.パーフリンゲンス)B/C毒素、C.パーフリンゲンスD毒素、C.セプチクム(C. septicum)毒素、C.ノビイ(C. novyi)毒素、破傷風菌(C. tetani)毒素、または前記それらの任意の組合せ。
42.抗原成分が不活化完全長狂犬病糖タンパク質を含むかまたは前記糖タンパク質から成る、パラグラフ39に記載の免疫学的またはワクチン組成物。
43.抗原成分が、C.パーフリンゲンスB/C毒素、C.パーフリンゲンスD毒素、C.セプチクム毒素、C.ノビイ毒素、破傷風菌毒素、またはその組合せを含むかまたはそれらから成る、パラグラフ39に記載の免疫学的またはワクチン組成物。
44.抗原成分が、C.パーフリンゲンスB/C毒素、C.パーフリンゲンスD毒素、C.セプチクム毒素、C.ノビイ毒素、および破傷風菌毒素を含む、パラグラフ39に記載の免疫学的またはワクチン組成物。
45.抗原成分が、SpaA抗原またはSpaA抗原を含む融合タンパク質を含む、パラグラフ39に記載の免疫学的またはワクチン組成物。
46.抗原成分が、インフルエンザ遺伝子を含んでそのin vivo発現の能力を有する弱毒化アビポックスウイルスまたはDNAプラスミドを含む、パラグラフ39に記載の免疫学的またはワクチン組成物。
47.抗原成分が、狂犬病糖タンパク質遺伝子を含んでそのin vivo発現の能力を有する弱毒化アビポックスウイルスまたはDNAプラスミドを含む、パラグラフ39に記載の免疫学的またはワクチン組成物。
48.パラグラフ41に記載のワクチン組成物をウシに投与する工程を含む、細菌によって引き起こされる感染に対してウシを治療する方法。
49.パラグラフ44に記載のワクチン組成物をイヌまたはウマに投与する工程を含む、インフルエンザによって引き起こされる感染に対してイヌまたはウマを治療する方法。
50.パラグラフ44に記載のワクチン組成物をイヌに投与する工程を含む、狂犬病ウイルスによって引き起こされる感染に対してイヌを治療する方法。
51、以下を含む、in ovo投与のためのトリコクシジウム症ワクチン:
(a)約350kDAから約650kDaの平均Mwを有する非架橋PAAを含むアジュバント;および
(b)以下から選択される原生動物抗原:(1)1つ以上の組換え発現タンパク質、(2)前記原生動物から通常的手段によって単離される1つ以上のタンパク質または他の巨大分子、(3)前記原生動物の全細胞抽出物または調製物、(4)アイメリア・アセルブリナ(Eimeria (E.) acervulina)、E.アデノエイデス(E.adenoeides)、E.ブルネッチィ(E.brunetti)、E.コルキシ(E.colchici)、E.クルバタ(E.curvata)、E.ディスペルサ(E.dispersa)、E.デュオデナリス(E.duodenalis)、E.フラテルクラエ(E.fraterculae)、E.ガロパボニス(E.gallopavonis)、E.インノクア(E.innocua)、E.プラエコクス(E.praecox)、E.マキシマ(E.maxima)、E.メレアグリディス(E.meleagridis)、E.メレアグリミチス(E.meleagrimitis)、E.ミチス(E.mitis)、E.ネカトリクス(E.necatrix)、E.ファシアニ(E.phasiani)、E.プロセラ(E.procera)、E.テネラ(E.tenella)およびそれらの組合せから選択される不活化、生または生早熟コクシジウム。
52.パラグラフ39に記載のワクチン組成物をウシに投与する工程を含む、大腸菌またはM.ヒオによって引き起こされる感染に対してウシを治療する方法であって、抗原成分が大腸菌またはM.ヒオを含む、前記方法。
53.抗原成分がM.ヒオを含む、パラグラフ39に記載の免疫学的またはワクチン組成物。
54.パラグラフ51に記載のワクチン組成物をブタに投与する工程を含む、M.ヒオによって引き起こされる感染に対してブタを治療する方法。
55.抗原成分がFIVを含む、パラグラフ39に記載の免疫学的またはワクチン組成物。
56.パラグラフ53に記載のワクチン組成物をネコに投与する工程を含む、FIVによって引き起こされる感染に対してネコを治療する方法。
57.抗原成分が癌抗原を含む、パラグラフ39に記載のワクチン組成物。
58.パラグラフ55に記載のワクチン組成物を対象動物に投与する工程を含む、癌に対して対象動物を治療する方法。
59.抗原成分がイヌコロナウイルス(CCV)を含む、パラグラフ39に記載の免疫学的またはワクチン組成物。
60.パラグラフ57に記載のワクチン組成物をイヌに投与する工程を含む、CCVによって引き起こされる感染に対してイヌを治療する方法。
61.抗原成分がウシロタウイルスを含む、パラグラフ39に記載の免疫学的またはワクチン組成物。
62.パラグラフ59に記載のワクチン組成物をウシに投与する工程を含む、ウシロタウイルスによって引き起こされる感染に対してウシを治療する方法。
63.抗原成分がイヌインフルエンザウイルス(CIV)を含む、パラグラフ39に記載の免疫学的またはワクチン組成物。
64.パラグラフ61に記載のワクチン組成物をイヌに投与する工程を含む、CIVによって引き起こされる感染に対してイヌを治療する方法。
***
【0119】
本明細書に開示したように、出願人らは、一定の分子量範囲の非架橋(すなわち直鎖および分枝)ポリアクリル酸(PAA)ポリマーが免疫原性抗原の作用を補強する(adjuvanting)とともに抗原に左右されない免疫学的応答を引き出すために特に適切であることを最初に発見した。重要なことであるが、出願人らは、これらの非架橋PAAアジュバントは驚くべきことに多くの異なる抗原タイプ(弱毒化組換えウイルスベクター、古典的に不活化された狂犬病糖タンパク質、SpaAペプチドサブユニット、および細菌毒素)にわたって広範囲に有用であることを見出した。さらにまた、本開示のPAAアジュバントは多数の動物タイプに対して良好に機能した。したがって、出願人らは、本開示の非架橋PAAは新規で独創的な“汎用アジュバント”であることを提示する。