(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-525101(P2019-525101A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(54)【発明の名称】クイックコネクタのための液圧接続部材および対応部材
(51)【国際特許分類】
F16L 29/04 20060101AFI20190809BHJP
F16L 37/30 20060101ALI20190809BHJP
F16L 23/02 20060101ALI20190809BHJP
【FI】
F16L29/04
F16L37/30
F16L23/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-509489(P2019-509489)
(86)(22)【出願日】2017年8月8日
(85)【翻訳文提出日】2019年3月13日
(86)【国際出願番号】EP2017070114
(87)【国際公開番号】WO2018033439
(87)【国際公開日】20180222
(31)【優先権主張番号】102016115389.3
(32)【優先日】2016年8月19日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ファルク ヘッカー
【テーマコード(参考)】
3H016
3H017
3J106
【Fターム(参考)】
3H016AA05
3H016AC01
3H017AA10
3J106AB01
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC06
3J106BD01
3J106BE40
3J106CA06
(57)【要約】
液圧接続部材(100A;100B)と液圧対応部材(200A;200B)との間に液圧流路を形成するために、液圧対応部材(200A;200B)に接続するための液圧接続部(100A;100B)が開示されている。接続部材(100A;100B)は、接続中、対応部材(200)に面している接続開口(112)を有した液圧接続通路(110)と、液圧接続通路(110)内で圧液(10)を最小圧力で保持するために形成されている、前記接続開口のための閉鎖体(120)と、接続部材(100A;100B)を対応部材(200A;200B)に取り付け、液圧流路を開放状態に保持するために形成されている取付け手段(140)と、を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧接続部材(100A;100B)と液圧対応部材(200A;200B)との間に液圧流路を形成するために、前記液圧対応部材(200A;200B)と接続するための液圧接続部材(100A;100B)であって、
前記接続の間に前記対応部材(200)に面している接続開口(112)を備えた液圧接続通路(110)と、
前記液圧接続通路(110)内で圧液(10)を最小圧力で保持するために形成された、前記接続開口(112)のための閉鎖体(120)と、
前記接続部材(100A;100B)を前記対応部材(200A;200B)に取り付けるために形成された取付け手段(140)と、
を有していることを特徴とする、液圧対応部材(200A;200B)と接続するための液圧接続部材(100A;100B)。
【請求項2】
前記接続部材(100A)を前記対応部材(200A)に接続する際に前記閉鎖体(120)を開放して、これにより前記液圧流路を形成するように形成されている開放手段(130)を有している、請求項1記載の液圧接続部材(100A)。
【請求項3】
前記閉鎖体(120)が、カバー、特に金属製ダイヤフラムと、スライドエレメント(150)とを有し、前記スライドエレメント(150)は第1のばねエレメント(152)を介して予荷重をかけられており、これにより前記開放手段(130)と前記カバー(120)との間に中間室(144)が確保されていて、ばね力に抗して前記スライドエレメント(150)が摺動する際に、前記カバー(120)が前記開放手段(130)によって切断される、請求項2記載の液圧接続部材(100A)。
【請求項4】
前記液圧接続通路(110)は管状の区分(114)の内側に形成されていて、前記スライドエレメント(150)は、前記管状の区分(114)の外側表面に沿って摺動可能に配置されており、
前記開放手段(130)は少なくとも1つの切断ナイフを有しており、前記切断ナイフは、前記液圧流路において、前記管状の区分(114)の前記接続開口(112)の方向の端部に形成されている、
請求項3記載の液圧接続部材(100A)。
【請求項5】
前記スライドエレメント(150)は円筒状に形成されており、接続後に、前記対応部材(200A)と前記接続部材(100A)との間にシールを形成できるように、前記スライドエレメントの外周面に沿って第1のリング状のシールエレメント(156)を備えた溝を有しており、
前記スライドエレメント(150)の摺動中に前記圧液(10)に対するシールを保証するために、円筒状の前記スライドエレメント(150)と前記管状の区分(114)との間にリング状のシールエレメント(160)が配設されている、
請求項4記載の液圧接続部材(100A)。
【請求項6】
前記閉鎖体(120)は、前記圧液(10)の流れ方向に対して平行に移動可能なピストン状のスライダ(135)を有しており、前記スライダは、接続前に前記液圧接続通路(110)を閉鎖状態に保持するためにばねエレメント(137)によって予荷重をかけられている、請求項1記載の液圧接続部材(100B)。
【請求項7】
前記ピストン状のスライダ(135)は、少なくとも1つの開口(136)を有しており、かつ、前記接続部材(100B)が前記対応部材(200B)に接続される際にばね力に抗して移動して、その際に前記少なくとも1つの開口(136)を開放し、これにより前記少なくとも1つの開口(136)が前記液圧流路の一部となるように、構成されている、請求項6記載の液圧接続部材(100B)。
【請求項8】
前記閉鎖体(120)および/または前記シールエレメント(156,160)は、前記対応部材(200A,200B)との接続前に前記接続通路(110)内に所定の油圧が維持できるように形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の液圧接続部材(100A;100B)。
【請求項9】
前記取付け手段(140)は、前記接続部材(100A,100B)と前記対応部材(200A,200B)との間に螺合部(122)を提供し、これにより前記接続部材(100A,100B)と前記対応部材(200A,200B)とは、接続中、互いに接近して、前記開放手段(130)によって前記閉鎖体(120)が開放される、請求項1から8までのいずれか1項記載の液圧接続部材(100A,100B)。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の液圧接続部材(100A,100B)に接続するための液圧対応部材(200A;200B)であって、
接続中、前記接続部材(100A,100B)に面している別の接続開口(212)を有した別の液圧接続通路(210)と、
前記別の接続通路(210)内に圧液(10)を保持するための、前記別の接続開口(212)のための別の閉鎖体(220)と、
前記対応部材(200A,200B)を前記接続部材(100A,100B)に取り付けるための少なくとも1つの別の取付けエレメント(240)と、
を有していることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の液圧接続部材(100A,100B)に接続するための液圧対応部材(200A;200B)。
【請求項11】
前記対応部材(200)の所定の位置に形成されたストッパ(250)を有していて、これにより、前記接続部材(100A)を前記対応部材(200A)に接続する際に、前記接続部材(100A)の前記スライドエレメント(150)が前記ストッパ(250)に当接し、これに続いて前記管状の区分(114)に対して相対的に移動し、
この場合、前記別の閉鎖体(220)は別のカバーを有しており、前記別のカバーは、接続の際に、前記接続部材(100A)の前記開放手段(130)が当該別のカバー(220)を切断するように配置されている、
請求項10記載の対応部材(200A)。
【請求項12】
前記別の閉鎖体(220)は、ストッパエレメント(250)と、スライドエレメント(260)と、別のばねエレメント(237)とを有しており、前記別のばねエレメント(237)は前記スライドエレメント(260)を予荷重によって前記ストッパエレメント(250)に対して密に押し付けるものであり、前記スライドエレメント(260)は、前記接続の際にばね力に抗して摺動させられ、同時に前記別の液圧接続通路(210)を開放するように構成されている、請求項10記載の対応部材(200B)。
【請求項13】
前記ストッパ(250)と前記スライドエレメント(150)との間の、または前記接続部材(100B)の保持部(117)と前記対応部材(200B)の基体(235)との間の流体密なシールを形成するために、前記ストッパ(250)に、または前記対応部材(200A;200B)の底面領域(236)に配設されている少なくとも1つのフラットシール(218,253)を有している、請求項11または12記載の対応部材(200A;200B)。
【請求項14】
請求項1から9までのいずれか1項記載の液圧接続部材(100A;100B)および請求項10から13までのいずれか1項記載の液圧対応部材(200A;200B)を有したクイックコネクタ。
【請求項15】
請求項14記載のクイックコネクタを備えた輸送用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧接続部材、液圧対応部材、液圧接続に関し、特にクイックコネクタによる電気液圧式構成要素の迅速な組み付けに関する。
【0002】
車両、特に輸送用車両では、複数の液圧構成部品(例えば、液圧モジュール、ステアリングギア、ブレーキ装置の構成要素等々)が互いに接続される。これらの構成部品を互いに接続するためにしばしば管路またはホース導管が使用される。しかしながらこれらの管路またはホース導管は、限られた組み付けスペースしかない場合であっても、迅速かつ確実に互いに接続されなければならない。これは特に輸送用車両においては、例えばステアリングギアの組み付けスペースにおいて、しばしばごく僅かなスペースしか使用できないので、例えばステアリングギアを駆動制御する付加的な構成部品は通常、エンジンルームの別の場所に配置されているような場合である。
【0003】
別の問題、すなわち液圧管路または液圧管はしばしば汚染に敏感であるので、液圧接続を形成する場合には、汚染物質が液圧接続通路に入らないように注意しなければならない。したがって、従来の液圧接続は、相応に保護された環境で形成され、液圧接続管路を組み立てた後で、車両の最終組立時に例えば液圧オイルが充填される。しかしながらこのことは、装置全体がさらに排気されなければならないという欠点を有している。
【0004】
したがって、限られた構成スペースにおいても迅速かつ確実に形成することができ、汚染に対して確実な保護を提供し、構成要素の連結の際に液圧通路への空気の侵入をほぼ回避することができる代替的な液圧接続部の必要性が生じている。
【0005】
上記技術課題は、請求項1記載の液圧接続部材、請求項10記載の液圧対応部材、および請求項14記載の液圧クイックコネクタにより解決される。
【0006】
本発明は、液圧接続部材と液圧対応部材との間に液圧流路を形成または提供するために、液圧対応部材に接続するための液圧接続部材に関する。接続部材は、液圧接続通路と、閉鎖体と、取付け手段とを含む。接続通路は、接続中、対応部材に面している接続開口を含む。閉鎖体は、前記接続開口に形成されていて、液圧接続通路内で圧液を最小圧力で保持するのに適している。取付け手段は、接続部材を対応部材に取り付けるために形成されている。
【0007】
したがって、接続部材と対応部材とは一緒に液圧コネクタ(またはクイックコネクタ)を形成し、このコネクタは両部材を互いに組み付ける(例えば、互いに差し込むまたは互いに螺合する)ことにより1つの液圧接続部を形成し、この場合、このような組み付けにより液圧流路が自動的に開放される。したがって別の実施例では、接続部材を対応部材に接続する際に閉鎖体を開放して、これにより液圧流路を形成するために、開放手段が形成されている。
【0008】
別の実施例では、閉鎖体が、カバー(例えば、金属箔または薄板カバー)とスライドエレメントとを含み、このスライドエレメントは第1のばねエレメントを介して予荷重をかけられており、これにより開放手段とカバーとの間に中間室が保証されていて、ばね張力に抗してスライドエレメントが摺動する際に、カバーが開放手段によって切断される。
【0009】
別の実施例では、液圧接続通路は管状の区分の内側に形成されていて、スライドエレメントは、管状の区分の外側表面に沿って摺動可能に配置されている。開放手段はさらに、1つ以上の切断ナイフを有しており、切断ナイフは、液圧流路において管状の区分の接続開口の方向の端部に形成されている。この場合、切断ナイフは液圧流をブロックするのではなく、むしろ開口を開放させて、この開口を通って圧液が自由に流れることができるようにする。切断ナイフは、液圧流路に対する横断面図で見て、管状の区分の内表面の間に延在していてよい。さらに、切断ナイフは、接続開口の方向で例えば円錐状に先細りしていてよく、この方向で、鋭いエッジを有していてよい。この鋭いエッジにより例示的なカバーの切断が容易になり、これにより流路が形成される。この場合、切断ナイフの概念は広く解釈すべきであって、金属的な刃のみを含むのではなく、閉鎖体またはカバー(例えば金属箔)を容易に切断することができる程度に十分に鋭いエッジを有する全ての手段を含む。
【0010】
別の実施例では、スライドエレメントは円筒状に形成されており、接続後に、シールを、このシールが部分的に挿入される対応部材と、接続部材との間に形成できるように、スライドエレメントの外周面に沿って第1のリング状のシールエレメントを備えた溝を有している。オプションとして、スライドエレメントの摺動中に圧液のためのシールを保証するために、円筒状のスライドエレメントと管状の区分との間にリング状のシールエレメントが形成されている。
【0011】
別の実施例では、接続部材は、閉鎖体を埃から、かつ/または意図的ではない切断から保護するために形成された、少なくとも1つの保護キャップを有している。保護キャップは例えば、意図的ではない切断を阻止する材料(例えば、プラスチック材料)を有していてよい。
【0012】
別の実施例では、閉鎖体が、圧液の流れ方向に対して平行に移動可能なピストン状のスライダを有しており、このスライダは、接続前に液圧接続通路を閉鎖状態に保持するために、例えば、接続部材が対応部材に接続されるまで、ばねエレメントによって予荷重をかけられている。
【0013】
別の実施例では、ピストン状のスライダが、少なくとも1つの開口を有しており、接続部材が対応部材に接続される際にばね張力に抗して移動して、この際に少なくとも1つの開口を開放し、これにより少なくとも1つの開口が液圧流路の部分となるように、形成されている。
【0014】
別の実施例では、閉鎖体および/またはシールエレメントは、対応部材との接続前に接続通路内に所定のオイル圧(例えば、5bar、7barまでの、または10barまでのオイル圧)が維持されるように形成されている。
【0015】
別の実施例では、取付け手段は、接続部材と対応部材との間に螺合部を提供し、これにより接続部材と対応部材とは、接続中、互いに接近して、開放手段は閉鎖体を開放する。
【0016】
本発明はさらに、液圧接続部材に接続するために形成されている液圧対応部材に関する。対応部材は、別の接続開口を有した別の液圧接続通路と、別の接続開口のための別の閉鎖体と、少なくとも1つの別の取付けエレメントとを有している。別の接続開口は、接続中、接続部材に面している。別の閉鎖体は、別の接続通路内で圧液を保持するために形成されている。少なくとも1つの別の取付けエレメントは、対応部材を接続部材に取り付けて、液圧流路を開放状態に保持するために形成されている。
【0017】
別の実施例では、対応部材はさらに、(付加部として形成された)ストッパ領域を含み、このストッパ領域は、ストッパを形成していて、対応部材における所定の位置に形成されており、これにより、接続部材を対応部材に接続する際に、接続部材のスライドエレメントはストッパ領域に当接し、これに続いて管状の区分に対して相対的に移動する。オプションとして、別の閉鎖体は別のカバーを有しており、このカバーは、接続の際に、接続部材の開放手段がこの別のカバーを切断するように配置されている。
【0018】
別の実施例では、別の閉鎖体は、ストッパエレメントと、スライドエレメントと、別のばねエレメントとを有しており、この場合、この別のばねエレメントはスライドエレメントを予荷重下でストッパエレメントに対して密に押し付ける。スライドエレメントは例えば、接続の際にばね張力に抗して摺動させられ、同時に別の液圧接続通路を開放するように形成されている。
【0019】
別の実施例では、対応部材は少なくとも1つのフラットシールを含み、このフラットシールは、ストッパ区分とスライドエレメントとの間の流体的なシールを達成するために、対応部材のストッパ領域に、または底面領域に形成されている。このような構成の利点は、フラットシール自体がストッパを形成することができるので、ストッパを省略することができることにある。さらに、フラットシールではシールエレメントの摩耗は最小限であり、信頼性が高まる。
【0020】
本発明はさらに、前述したような液圧接続部材および液圧対応部材を有したクイックコネクタに関する。本発明はさらに、このようなクイックコネクタを有した輸送用車両に関する。例えばこのクイックコネクタは、ステアリングギアと液圧モジュールとの間の接続のために使用することができる。しかしながら本発明は、このような特別な使用に限定されるべきではない。
【0021】
実施例は、上述した技術課題を、特別に構成された閉鎖体により解決し、この閉鎖体は、液圧的な部分構成要素に設けられており、組み立て前に既に(例えば下請け業者による)液圧オイルの充填を可能にする。したがって車両の最終組立の際には、個々の構成要素を簡単に組み立てることができる。これにより実施例により以下の利点が得られる:組み付け時の簡単な取り扱いが可能であり、装置の最終的なオイル充填は不要であり、このことは迅速な組立のために大きな利点を提供する。オイルは接続部材に既に存在しているので、汚染の危険はなく、連結時の空気侵入は最小限にできる。両構成部品には下請け業者により車両の最終組立て前に既にオイルを充填することができるので、車両の最終組立はより効率的に行うことができる。
【0022】
したがって本発明の実施例は特に、大量生産における液圧構成要素の迅速な組立のための一方向コネクタとして使用可能であり、この場合、任意の液圧構成要素を、本発明の実施例によるクイックコネクタによって接続することができる。
【0023】
本発明の実施例は、以下の詳細な説明および様々な実施例の添付の図面により、より良好に理解されるが、この実施例は、開示事項を特別な構成に限定するものと解されるべきではなく、単に明瞭にし、かつ理解させるために利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施例による液圧接続部材と対応部材とを示す図である。
【
図2】接続部材と対応部材の別の実施例を示す図である。
【
図3A】本発明によるクイックコネクタのための液圧接続のステップを示す図である。
【
図3B】本発明によるクイックコネクタのための液圧接続のステップを示す図である。
【
図3C】本発明によるクイックコネクタのための液圧接続のステップを示す図である。
【
図4A】別の実施例によるクイックコネクタのための液圧接続のステップを示す図である。
【
図4B】別の実施例によるクイックコネクタのための液圧接続のステップを示す図である。
【
図4C】別の実施例によるクイックコネクタのための液圧接続のステップを示す図である。
【
図5A】別の実施例によるクイックコネクタのための液圧接続のステップを示す図である。
【
図5B】別の実施例によるクイックコネクタのための液圧接続のステップを示す図である。
【
図5C】別の実施例によるクイックコネクタのための液圧接続のステップを示す図である。
【
図6】接続部材と対応部材との接続のための別の実施例を示す図である。
【0025】
図1には、液圧接続部材100Aと対応部材200Aとが示されている。液圧接続部材100Aは、対応部材200Aとの接続が可能であるように形成されている。接続を可能にするために、対応部材200Aは接続部材100Aに正確に適合されている。接続部材100Aと対応部材200Aとは、液圧接続部材100Aと対応部材200Aとの間の液圧流路を形成するために、例えばクイックコネクタを形成する。
【0026】
液圧接続部材100Aは、接続開口112と取付け手段140とを有した液圧接続通路110を含む。接続開口112は、接続の際に、対応部材200Aに面していて、取付け手段140は、接続部材100Aを対応部材200Aに取り付けるように形成されている。液圧接続部材100Aはさらに、接続開口112のための閉鎖体120を有していて、この閉鎖体120は、液圧接続通路110内で圧液若しくは液圧媒体(
図1には図示せず)を最小圧力で保持するように形成されている。液圧接続部材100Aはさらに、接続部材100Aを対応部材200Aに接続する際に閉鎖体120を開放するように形成された開放手段130を有しており、これにより液圧接続通路110に沿って液圧流路が形成される。
【0027】
液圧対応部材200Aは、液圧接続部材100Aに接続するために形成されていて、接続状態で接続部材100Aに面している別の接続開口212を備えた別の液圧接続通路210を含む。対応部材200Aはさらに、接続開口212を画定する基体235と、接続開口212のための別の閉鎖体220を有していて、この別の閉鎖体220は、別の接続通路210内に圧液(
図1には図示せず)を保持するように形成されている。さらに、対応部材200Aは、対応部材200Aを接続部材100Aに接続するために形成された少なくとも1つの別の取付けエレメント240を含む。
【0028】
「開口」または「接続開口」の概念は、幅広く解釈されるべきであって、「開口」が常に開かれたものであることに限定されるべきではない。むしろ、(例えば閉鎖体により)一時的に閉鎖することができるが、「開放手段」によって開放することができ、したがって少なくとも開放状態にすることができる各領域を「開口」として理解すべきである。
【0029】
図示した実施例では、接続部材100Aの液圧接続通路110は管状の区分114によって形成されていて、開放手段130は管状の区分114の接続開口112に取り付けられている。さらに、この実施例は、円筒状のスライドエレメント150を有しており、このスライドエレメントは、長手方向(縦方向)に関して管状の区分114に沿って摺動可能に配置されている。閉鎖体120は、スライドエレメント150の前端部に取り付けられており、前端部は、接続部材間の圧液10の入口開口または出口開口として理解することができる。後端部118(前端部の反対側)には、管またはホース出口が形成されてよく、これは例えば液圧モジュールまたは別の構成要素(図示せず)に接続される。
【0030】
スライドエレメント150は第1のばねエレメント152を介して予荷重をかけられていて、これにより閉鎖体120と開放手段130との間には中間室144が形成される。第1のばねエレメント152は例えば、スライドエレメント150の突出部151と管状の区分114の突出部116との間に延在している圧縮ばねとして形成されていてよく、これによりスライドエレメント150は管状の区分114に沿って接続開口112の方向に押される。
【0031】
さらに、
図1の実施例では、取付け手段140は例えば、雌ねじ山122を備えたねじエレメント(例えばユニオンナット)として形成されていて、この取付け手段140は、管状の区分114の突出部116の背後に係合し、スライドエレメント150および管状の区分114の周りを円筒状に取り囲んで後端部118から離れる方向に延在しており、接続部材100Aを対応部材200Aに接続する際に、管状の区分114を対応部材200Aの方向に動かす。
【0032】
同時に、対応部材200Aは、接続部材100Aのスライドエレメント150のためのストッパ250を提供し、これにより接続部材100Aが対応部材200Aに接続される際に、スライドエレメント150がストッパ250(またはストッパ領域)に当接し、接続中、ばね張力に抗して(後端部118に向かって)逆方向に戻し押される。さらに閉鎖体は、カバー120として形成することができる。同様に、別の閉鎖体220をストッパ250における別のカバーとして形成することができる。カバー120,220は例えば、プラスチック材料または金属材料から成るフィルムまたはダイヤフラムとして(あるいは金属カバーまたは薄板カバーとしても)形成することができる。
【0033】
接続は例えば、ねじ部材として形成された(ねじ山区分122を備えた)取付け手段140を、別の取付け手段240としての対応する雄ねじ山に螺合することにより行うことができ、この間、カバー120は別のカバー220に(直接)接触した状態を維持する。これにより接続の際の空気の侵入は最小限に保たれる。そしてさらに、開放手段130と閉鎖体120との間の中間室144は縮小され、これに続いて開放手段130は閉鎖体120と、対応部材200Aの別の閉鎖体220とを開放する。これにより、接続部材の接続通路110と対応部材の接続通路210とを接続する流体流路が開放される。
【0034】
図2には、
図1の実施例の別のオプションとしての細部が示されている。接続部材100Aと対応部材200Aとはこの実施例では圧液10によって充填されている。圧液10は、接続部材100Aの閉鎖体120によって、もしくは対応部材200Aの別の閉鎖体220によって接続通路110,210の内側に保持されている。この場合、閉鎖体120,220は、圧液10が接続通路110,210の内側で、最小圧力において保持され得るように形成されている。
【0035】
さらに、
図2の実施例では、接続部材100Aはオプションとして保護キャップ132を、対応部材200Aはオプションとして別の保護キャップ232を有している。これらの保護キャップ132,232は例えば、閉鎖体120,220の意図しない切断を阻止するために、また埃の侵入を阻止するためにも、閉鎖体120,220の保護のために役立つ。このために保護キャップ132,232を、確実な保護を保証するために(例えばプラスチック体または金属体として)十分安定的に形成することができる。オプションとして、対応部材200Aの別の保護キャップ232と別の閉鎖体220との間に、空気で満たされた凹所216が形成されてよい。この凹所216は、対応部材200Aの取付けエレメント240の雄ねじ山が、接続部材100Aの方向により大きく突出していて、取付け手段140,240が早期に、それも両閉鎖体120,220が接続時に互いに接触する前に、螺合することができるという利点を提供する。これにより、閉鎖体120,220は、取付け手段140,240が既に互いに螺合して、圧液10の可能な圧力が作用した時に初めて開放される。
【0036】
図2の下図にはさらに、圧液10の流れ方向に対して垂直方向の、接続通路110の横断面図であって、それも接続開口112の近傍の開放手段130の横断面図を示している。横断面図に示されているように、管状の区分114の内側で、開放手段130が十字形のナイフとして形成されている。ナイフ状に形成された開放手段130は、この場合、開口を有しており、この開口を通って圧液10が接続通路110から対応部材200Aに向かって(または逆方向に)流れることができる。ナイフ状の開放手段130は例えば、
図2の上図に示したように、尖端を有した円錐形状を有していてよく、これにより円錐状の開放手段の尖端が、カバーとして形成された閉鎖体120の切断を容易にする。例えば取付けエレメント140としてのユニオンナットの締め付けにより、例えば十字形のナイフは、両閉鎖体120,220を切断し、生じた(4つの)羽根状部分を側方へと曲げ、これにより管状の区分114は両閉鎖体120,220を貫通することができる。図示したナイフ状の開放手段130は特に、閉鎖体120,220が、例えば7barまたはそれ以上の最小圧力に耐えることができるように安定的に形成されている場合に有利である。閉鎖体120,220が例えばプラスチックフィルムまたは金属箔として形成されているならば、例えば同様に金属を有する前記ナイフ状の開放手段130は閉鎖体120,220を容易に切断することができる。
【0037】
図3A〜
図3Cには、接続部材100Aを対応部材200Aに接続する個々のステップが示されている。まず保護キャップ132,232が接続部材100Aと対応部材200Aとから取り外される(
図2参照)。次いで、接続部材100Aのスライドエレメント150を、対応部材200Aに形成された凹所216内に挿着することができる。凹所216はスライドエレメント150に適合するように成形されている。取付けエレメント140の雌ねじ山122と基体235の雄ねじ山とはこの時点ではまだ互いに螺合する必要はない。例示的なユニオンナット140は、このために例えば引き戻すことができる。閉鎖体120,220が互いに当接するまで(
図3A参照)、接続部材100Aを凹所216内に挿入することができる。この時点では、ストッパ250がスライドエレメント150をブロックしており、スライドエレメント150は、接続部材100Aと対応部材200Aとの接続が進行すると、後端部118の方向に(
図3Aの右方向へ)移動する。
【0038】
図3Bに示した次のステップでは、例示的なユニオンナット140の雌ねじ山122が、基体235の雄ねじ山の上に螺合される。スライドエレメント150はストッパ250によって長手方向でブロックされているので、スライドエレメント150は第1のばねエレメント152のばね力に抗して、後端部118の方向に摺動する。同時に、管状の区分114はさらに、開放手段130が閉鎖体120,220に当接し、これらの閉鎖体を切断する(または突き抜く)まで対応部材200A内へと移動する。結果として、接続通路110は、対応部材200Aの別の接続通路210と流体接続する。圧液10は、開放手段130によって開放された接続通路110の横断面の開口(
図2下の横断面図参照)を通って、接続通路110から、対応部材200Aの別の接続通路210内へと到ることができる(またはその逆経路も可)。
【0039】
図3Cには、接続部材100Aを対応部材200Aに接続する最終段階が示されている。この最終段階では、スライドエレメント150の後方区分が、管状の区分114の突出部116に当接する。結果として、スライドエレメント150をそれ以上後方に、後端部118の方向に押すことはできず、したがって例示的なユニオンナット140を堅固に締め付けることができる。この段階では同様に、閉鎖体120,220が開放手段130によって完全に切断されて、管状の区分114は(完全に)閉鎖体120,220を貫通している。したがって、接続部材100Aの接続通路110と対応部材200Aの接続通路210との間の流体接続が形成される。
【0040】
接続部材100Aが対応部材200Aに組み付けられる前は、例えば接続通路110および別の接続通路210内の圧液(若しくは圧油)10は(過剰)圧力下にあり得るので、様々な個所にシールエレメントが配設されている。シールエレメントは、接続中(または接続前または接続後)に圧液10が流出するのを阻止するものである。例えば、管状の区分114とスライドエレメント150との間にはリング状のシールエレメント160が配設されている。このシールエレメント160は、圧液10が管状の区分114の外面に沿って接続開口112から後端部118へと流出するのを阻止する。好適には、シールエレメント160は管状の区分114の外側の周方向に沿って延在する溝内にリング状に配置されている。このようにして、スライドエレメント150の移動時に、シールエレメント160は転動することができるので、摩耗を減じることができる。
【0041】
さらに、対応部材200Aの別の閉鎖体220と基体235もしくはストッパ250との間に別のリング状のシールエレメント218が配設されている。別のリング状のシールエレメント190が接続部材100Aの閉鎖体120とスライドエレメント150との間に配置されている。第1のばねエレメント152によって加えられる圧力は、同時に、シールエレメント218,190を圧縮しており、したがって確実なシールを保証するために役立つ。最後に、スライドエレメント150の外周に沿った溝内には、スライドエレメント150と対応部材200Aとの間のシールを保証するリング状のシールエレメント156を配設することができる。
【0042】
図1〜
図3Cにつき説明した実施例は、大量生産時の液圧構成要素のクイック組立用の一方向コネクタについての形態である。圧液10(例えば油)は、クイック組立中、例えば約7bar(または最大10bar、または最大7bar、または最大5bar)の圧力をもって接続部材100A内に存在していてよい。対応部材200Aの別の接続通路210内の圧液10も同様に、圧力下(最大10bar、または最大7bar、または最大5bar)にあってよいが、無圧であってもよい。したがって、後端部118に接続することができる液圧ユニットには、予め油が充填されていてよく、この場合、膨張容器が過圧を阻止するようになっている。例えば対応部材200Aに連結されるステアリングギアには既に圧油10を予め充填することができる。本発明は、構成要素がどちら側に連結されるかということに依存するものではないことを理解されたい。別の実施例では、ステアリングギアを接続部材100Aの後端部118に連結することができ、液圧モジュールを対応部材200Aに連結することができる。過圧を発生させる必要もない。むしろ、保管中、過圧に対する保護として部分真空が存在していてもよい。後端部118の接続管または接続ホースは、例えば一方側で液圧構成要素の1つに接続させておくことができる。
【0043】
図4A〜
図4Cに示した本発明の別の実施例では、接続部材100Aおよび対応部材200Aは、取付け手段123(140)、223(240)、およびシールエレメント218,156を除いて、
図1〜
図3Cの実施例に示されたものと同様に構成することができる。
【0044】
図示した実施例の取付け手段140は、例えば2つのピンエレメント123(六角ねじ)を有していて、このピンエレメントは基体235のねじ山付き開口223内に螺合し、接続部材100Aの管状の区分114を、保持体117(例えばU字型または円筒状)を介して対応部材200Aに押し付ける。
図2の場合と同様に、閉鎖体120,220を保護するための保護キャップ132,232を、接続部材100Aおよび対応部材200Aに配置することができる。保護キャップ132,232はこの場合も、接続部の形成の際に互いに連結される接続部材100Aと対応部材200Aとを閉鎖する。保護キャップ132,232はプラスチックまたは金属を有していてよく、閉鎖体120,220の意図しない損傷を阻止するために十分強固に、または肉厚に形成することができる。
【0045】
図4Aは、保護キャップ132,232を備えた初期状態を示している。さらに
図4Aには、例えば
図2の開放手段130と同様に構成されている開放手段130の横断面が示されている。
【0046】
図4Bは、接続部材100Aが保護キャップ132なしで対応部材200Aに(同様に別の保護キャップ232なしで)被せ嵌められている状態を、すなわちスライドエレメント150の閉鎖体120が、平坦に形成されたシールエレメント218に当接している状態を示している。この状態では、六角ねじ123が、対応部材200Aの雌ねじ山223内に螺合している。クイックコネクタ100A,200Aの例えば2つの六角ねじ123を締め付けることにより、十字形のナイフ(開放手段130)が両ダイヤフラム(閉鎖体120,220)を切断し、生じたダイヤフラム残留部分を側方に曲げる。
【0047】
図4Cには、接続部材100Aの保持体117が対応部材200Aの基体235に当接するまで、ねじ接続部123,223が互いに結合される最終状態が示されている。このような長手方向の移動により、スライドエレメント150は、管状の区分114に対して相対的に、後方側の端部118まで移動し、同時に開放手段130は閉鎖体120,220を切断し、管状の区分114は閉鎖体120,220を貫通してスライドするようになる。結果として、接続通路110と別の接続通路210との間の流体接続が形成される。開放手段130は例えば同じく、十字形のナイフとして形成することができる。
【0048】
フラットシール218の使用により、この実施例では、最小限の空気の閉じ込め量しか生じ得ず、したがって液圧接続部の確実性は高まる。この実施例の別の利点は、通常のねじ123を使用することによる簡単な組立にある。
【0049】
その他全てのエレメントは、
図1〜
図3Cの実施例に示したのと同様に形成されているので、繰り返しの説明は必要ない。
【0050】
これまで示した全ての実施例では、閉鎖体120および/または別の閉鎖体220は例えば溝、凹所、またはねじ山を介してスライドエレメント150もしくは基体235に(例えば、ダイヤフラムとして)取り付けられ、液圧接続部の形成時に破壊される。しかしながら本発明はこのような一度きりのコネクタに限定されない。
【0051】
図5A〜
図5Cには、液圧接続部材100Bと対応部材200Bとのクイックコネクタのための本発明の別の実施例が示されていて、このクイックコネクタは、閉鎖体を損傷することなく複数回、開閉のために使用することができる(繰り返しコネクタ)。液圧接続部材100Bは、この場合も液圧接続通路110と、閉鎖体120と、取付け手段140とを含む。液圧接続通路110にはこの場合も例えば圧液10が充填されている。
【0052】
閉鎖体120は、図示した実施例では、側方に形成された開口136を備えた(ピストン状の)スライダ135を含む。スライダ135は、接続通路110の接続開口112をスライダ135によって閉鎖するように、別のばねエレメント137によって予荷重をかけられている(接続開口112の領域には、開口136は形成されていない)。このために、図示した実施例では、閉鎖体120は部分的に円錐台として形成されており、この円錐台は管状の区分114の斜めに面取りされた突出部119に対して当接し、これにより側方に形成された開口136および接続通路110の接続開口112を密に閉鎖している。
【0053】
さらにこの実施例は、(例えば、スライダ135が接続通路110内へ押し戻されることにより)接続開口112が意図せず開放されることを防ぐための、接続部材100Bの接続開口112の保護キャップ132を含む。接続通路110をシールするために、スライダ135には、斜めに面取りされた突出部119に対してリング状のシールエレメントが取り付けられている。さらにこの実施例は、接続部材100Bを対応部材200Bに固定するために、
図4に示したのと同様にねじエレメント123(例えば、六角ねじ)として形成することができる取付け手段140を含む。
【0054】
しかしながら、ここに図示した実施例では開放手段は必要ない。この場合、スライダ135は対応部材200Bとの相互作用により押し戻され、これにより接続通路110は開放される。
【0055】
対応部材200Bは、この場合も別の液圧接続通路210と、別の閉鎖体220と、ストッパエレメント250とを含む。図示した実施例では、別の閉鎖体220は、リング状に形成された別のスライドエレメント260を有しており、この別のスライドエレメント260は例えばストッパエレメント250を取り囲むリング状のピストンとして延在しており、ストッパエレメント250に対して相対的に摺動可能である。さらに、対応部材200Bは別の取付けエレメント223(230)を有していて、この別の取付けエレメントも、接続部材100Bの例示的な六角ねじ123を受容するために、雌ねじ山223として形成されていてよい。ストッパエレメント250は、この実施例では対応部材/基体235に不動に取り付けられていて、別のスライドエレメント260は、基体220の、円筒状に形成された凹所の内側に、基体220に対して相対的に摺動可能に配置されている。
【0056】
ストッパエレメント250は、第1の区分251と第2の区分252とを有しており、第1の区分251は、
図5Aの下図に(別の接続通路210に対して垂直方向の)横断面図として示されている。別のばねエレメント237は、別のスライドエレメント260に予荷重をかけ、これにより別のスライドエレメント260はストッパエレメント250の第2の区分252に対して押されて、ストッパエレメント250との流体密な接続が形成される。第1の区分251には開口256が形成されていて、この開口を通って、圧液10が別の接続通路210に沿って流れることができる。しかしながら、第2の区分252には開口が形成されていないので、スライドエレメント260は接続通路210を閉鎖することができる。したがって組み付け前はまだ、圧液10は別の流体通路210の内側に保持されている。シールを改善するために、これに対してオプションとして、基体235の円筒状に形成された区分もシールストッパ239を有しており、このシールストッパに対して別のスライドエレメント260が別のばね237によって押し付けられる。
【0057】
さらに、
図5Aの実施例の対応部材200Bも、別のスライドエレメント260がばね力に抗して意図せず押し戻されて、これにより圧液10が接続通路210の内側から流出することがないように保護キャップ232を有している。この保護キャップ132,232も、確実な保護を提供する材料(例えば、十分な強度を有するプラスチック材料)を有していてよく、これにより接続通路110,210の意図しない開放は行われない。
【0058】
図5Bおよび
図5Cには、接続部材100Bを対応部材200Bに接続するプロセスが示されている。
【0059】
図5Bにはまず、保護キャップ132,232を除去し、接続部材100Bを対応部材200Bに被せ嵌めるプロセスステップが示されている。接続部材100Bの接続開口112(
図5A参照)は例えば、ストッパエレメント250を収容することができる開口領域を有している。さらに、管状の区分114には突出部119が、接続部材100Bを対応部材200Bに被せ嵌めた後、この突出部119が別のスライドエレメント260に対して当接するように配置されている。例えば、ストッパエレメント250はスライドエレメント260の前方に突出しており、同時に接続開口112は凹所を有していて、この場合、凹所は、ストッパエレメント250の突出部の高さと同じ深さを有している(
図5A参照)。したがって、接続部材100Bを対応部材200Bに被せ嵌める際にはストッパエレメント250が凹所内に装着される。(ほぼ)同時に、突出部119はスライドエレメント260に当接し、ストッパエレメント250の表面はピストン状のスライダ135に対して当接する。
【0060】
これに続いて、接続部材100Bはさらに対応部材200Bの方向に動かされる(
図5C参照)。その結果、スライダ135は、ばねエレメント137のばね力に抗して、後端部118の方向に押され、同時に、対応部材200Bの別のスライドエレメント260は突出部119によって同様に、ばねエレメント237のばね力に抗して基体235に向かって押される。スライダ135の開口136とストッパエレメント250の開口256(
図5A下図参照)とは、これにより開放され、流体流路F(
図5C参照)が形成される。圧液10は、対応部材200Bから接続部材100Bへと流体流路Fに沿って流れることができる。すなわち圧液10はまず、ストッパエレメント250の開口256を通って、次いで接続部材100Bの管状の区分114の内室内に到り、最後にスライダ135の開口136を介して、接続部材100Bの後端部118に到る(または逆方向で)。
【0061】
次いで、取付けエレメント(すなわち、ねじ接続部123,223)を互いに螺合することができ、接続部材100Bと対応部材200Bとの間の堅固な接続を形成することができる。
図4A〜
図4Cの構成と同様に、
図5A〜
図5Cの実施例でも、リング状のフラットシール253が、基体235の底面領域236に形成されていてよく(
図5B参照)、このフラットシール253により、対応部材200Bの基体235と保持体117との間の付加的なシールが達成される。保持体117も、接続部材100Bの取付けのために利用され、この実施例では管状の区分114と一体に形成されていてよい。
【0062】
図6に示した別の実施例では、接続部材100Bと対応部材200Bとは、
図5A〜
図5Cに示したものと同様に構成されている。しかしながらこの実施例では、複数の接続部材100Bが1つの(または複数の)対応部材200Bに1つの共通の取付けエレメント129(例えば1つの共通のねじ接続)によって取り付けられる。その他全てのエレメントは、
図5A〜
図5Cの実施例で説明したのと同様に形成されているので、繰り返しの説明は必要ない。
【0063】
図5A〜
図5Cおよび
図6の構成は、大量生産時の液圧構成要素のクイック組立に適している。特にこの構成は、例えば修理の際に、液圧構成要素の複数回の接続と複数回の分離を可能にするという利点を提供する。すなわち取付けエレメント140,240が解離される際には、ばね力に基づき、接続部材100Bにおける閉鎖体120と、対応部材200Bにおける閉鎖体220とが閉鎖し、再び
図5Aに示した状態となる。
【0064】
さらに、この実施例も、圧液10を予め充填することにより、接続の際の空気の閉じ込め量を最小限にするという利点を提供する。圧液10は、例えば約5bar(または任意の別の圧力)の圧力で接続部材100B内にもたらされてよい。しかしながら対応部材200Bでは、圧液10のために過圧をかける必要はない(ここは真空が形成されてもよい)。
図6の実施例はさらに、取付けが中央の取付けねじ129によってのみ行われ、このことは大量生産の際の、および修理の際の簡単な組み付けを可能にするという利点を提供する。
【0065】
したがって、液圧接続部を迅速に解離、および再結合することができる。しかしながら図示したねじ接続は、接続部材100A,100Bの対応部材200A,200Bに対する確実かつ堅固な取付けを可能にする単に1つの可能性である。本発明はねじ状の接続に限定されるべきではない。任意の別の取付け手段も含まれるべきである(例えば、リベット結合、クランプ結合、または任意の別の摩擦接続的または形状接続的な結合形態)。
【0066】
本発明はこれに限定されるわけではないが、特別な実施例が輸送用車両(例えば、トラック)の電気液圧作動式の運転用に使用可能であり、この場合、例えば、ステアリングギアが、液圧モジュールまたは、別の運転可能な軸のシリンダに、液圧接続部を介して接続される。勿論、実施例は、車両における全ての別の液圧構成要素にも使用することができる。本発明による液圧コネクタを利用する場合には、輸送用車両の液圧モジュールを適切な個所に取り付けることができ、すなわち例えばステアリングギア、または液圧モジュールによって作動させるべきその他の液圧モジュールの位置に関係なく、取り付けることができる。多様性を高めるために、例えば、第2のステアリングシャフトのためのシリンダが不要である場合には、基体235の代わりに、継続的には必要ないクイックカップリングのための閉鎖栓を装着することもできる。
【0067】
詳細な説明、請求の範囲、および図面に開示した本発明の特徴は、単独でも、任意に組み合わせた形でも、本発明の実現のために本質となり得る。
【符号の説明】
【0068】
10 圧液
100A,100B 液圧接続部材
110,210 液圧接続通路
112,212 接続開口
114 管状の区分
116,151 突出部
117 保持体
118 後端部
120,220 閉鎖体
122 ねじ山
123,223 ねじ接続部
130 開放手段
132,232 保護キャップ
135 ピストン状のスライダ
136,256 開口
137,152,237 ばねエレメント
140,240 取付け手段
144 中間室
150 スライドエレメント
156,160,190,218 リング状のシールエレメント
200A,200B 液圧対応部材
216 凹所
235 基体
236 底面領域
239 シールストッパ
250 ストッパ領域またはストッパエレメント
251,252 ストッパエレメントの第1および第2の区分
253 フラットシールエレメント
260 別のスライダ、別のスライドエレメント
【国際調査報告】