(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-526176(P2019-526176A)
(43)【公表日】2019年9月12日
(54)【発明の名称】干渉緩和
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20190816BHJP
H04B 1/10 20060101ALI20190816BHJP
【FI】
H04L27/26 420
H04B1/10 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-558671(P2018-558671)
(86)(22)【出願日】2017年6月14日
(85)【翻訳文提出日】2018年11月8日
(86)【国際出願番号】EP2017064539
(87)【国際公開番号】WO2018015076
(87)【国際公開日】20180125
(31)【優先権主張番号】16180755.7
(32)【優先日】2016年7月22日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】593096712
【氏名又は名称】インテル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】アランベポラ,バーナード
(72)【発明者】
【氏名】ヘワヴィタナ,トゥシャラ
【テーマコード(参考)】
5K052
【Fターム(参考)】
5K052AA01
5K052DD04
5K052EE01
(57)【要約】
シンボルが、ダウンストリームチャネル上で受信される。チャネル同期パラメータの値が、受信されたシンボルに基づいて決定される。ダウンストリームチャネル(151)上の干渉事象(560)が検出される(562)。干渉事象(560)を検出したことに応じて、出力信号が、チャネル同期パラメータの少なくとも1つのキャッシュされている値であって、干渉事象(560)の検出(562)からオフセットされていて干渉事象(560)の検出(562)より前に受信されたシンボルに基づいて決定されている少なくとも1つのキャッシュされている値に基づいて決定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダウンストリームチャネル上でシンボルを受信するよう構成されている受信機と、
受信された前記シンボルに基づいてチャネル同期パラメータの値を決定するよう構成されている少なくとも1つの回路と、
を備えており、
前記少なくとも1つの回路は、前記ダウンストリームチャネル上の干渉事象を検出するようさらに構成されており、
前記少なくとも1つの回路は、前記干渉事象を検出したことに応じて、前記チャネル同期パラメータの少なくとも1つのキャッシュされている値であって、前記干渉事象の前記検出からオフセットされていて前記干渉事象の前記検出より前に受信されたシンボルに基づいて決定されている前記少なくとも1つのキャッシュされている値に基づいて決定された出力信号を出力するようさらに構成されている、デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの回路は、複数のキャッシュされている値の組み合わせに基づいて前記出力信号を決定するようさらに構成されている、請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの回路は、前記複数のキャッシュされている値の前記組み合わせに基づいて前記出力信号を決定するための平均化有限インパルス応答フィルタを有する、請求項2記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの回路は、前記複数のキャッシュされている値の前記組み合わせに基づいて前記出力信号を決定するための要約ダンプを有する、請求項2又は3記載のデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つの回路は、前記干渉事象の前記検出からオフセットされていて前記干渉事象の前記検出より前の上端を有する時間領域スライディングウィンドウに基づいて前記複数のキャッシュされている値を選択するよう構成されている、請求項2乃至4いずれか一項記載のデバイス。
【請求項6】
前記時間領域スライディングウィンドウの前記上端は、前記ダウンストリームチャネルの少なくとも1つの伝送フレーム、好ましくは少なくとも3つの伝送フレーム、より好ましくは少なくとも10個の伝送フレーム、の持続時間に対応する持続時間の分だけ、前記時間領域スライディングウィンドウの下端からオフセットされている、且つ/又は、
前記時間領域スライディングウィンドウの前記上端は、前記ダウンストリームチャネルの少なくとも1つの伝送フレーム、好ましくは少なくとも3つの伝送フレーム、より好ましくは少なくとも10個の伝送フレーム、の持続時間に対応する持続時間の分だけ、前記干渉事象の前記検出からオフセットされている、請求項5記載のデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの回路は、
入力端と、前記出力信号を出力するよう構成されている出力端と、を有するスイッチと、
複数のキャッシュされている値のブロック平均化に基づいて第1の信号を決定するよう構成されている第1のブランチと、
先行する前記出力信号に基づいて第2の信号を決定するよう構成されている第2のブランチと、
当初に前記第1の信号を前記出力信号として提供し、後に前記第2の信号を前記出力信号として提供するように、前記干渉事象を検出したことに応じて、前記スイッチを操作するよう構成されている制御器と、
を有する、請求項2乃至6いずれか一項記載のデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの回路は、前記干渉事象を検出したことに応じて、前記出力信号に基づいて前記シンボルの復号を試みるよう構成されており、
前記少なくとも1つの回路は、試みられた前記復号に基づいて前記干渉事象からの回復を検出するよう構成されている、請求項1乃至7いずれか一項記載のデバイス。
【請求項9】
前記チャネル同期パラメータは、前記受信機と前記シンボルを送信したさらなるデバイスの送信機との間の時間領域オフセット及び周波数領域オフセットのうちの少なくとも1つである、請求項1乃至8いずれか一項記載のデバイス。
【請求項10】
ダウンストリームチャネル上でシンボルを受信するステップと、
受信された前記シンボルに基づいてチャネル同期パラメータの値を決定するステップと、
前記ダウンストリームチャネル上の干渉事象を検出するステップと、
前記干渉事象を検出したことに応じて、前記チャネル同期パラメータの少なくとも1つのキャッシュされている値であって、前記干渉事象の前記検出からオフセットされていて前記干渉事象の前記検出より前に受信されたシンボルに基づいて決定されている前記少なくとも1つのキャッシュされている値に基づいて決定された出力信号を出力するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
ダウンストリームチャネル上でシンボルを受信するよう構成されている受信機と、
前記ダウンストリームチャネル上の干渉事象を検出するよう構成されている少なくとも1つの回路と、
を備えており、
前記少なくとも1つの回路は、前記干渉事象の開始点より前の第1の時点において受信されたシンボルに基づいて第1の位相勾配を決定し、前記干渉事象の終了点より後の第2の時点において受信されたシンボルに基づいて第2の位相勾配を決定するよう構成されており、
前記少なくとも1つの回路は、前記第1の位相勾配と前記第2の位相勾配とに基づいて、前記第1の時点と前記第2の時点との間のタイミングドリフトを決定するよう構成されている、デバイス。
【請求項12】
前記第1の時点は、前記ダウンストリームチャネルの少なくとも1つの伝送フレーム、好ましくは少なくとも3つの伝送フレーム、より好ましくは少なくとも10個の伝送フレーム、の持続時間に対応する持続時間の分だけ、前記干渉事象の前記開始点からオフセットされている、且つ/又は、
前記第2の時点は、前記ダウンストリームチャネルの少なくとも1つの伝送フレーム、好ましくは少なくとも3つの伝送フレーム、より好ましくは少なくとも10個の伝送フレーム、の持続時間に対応する持続時間の分だけ、前記干渉事象の前記終了点からオフセットされている、請求項11記載のデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの回路は、前記第1の位相勾配と前記第2の位相勾配との間の差に基づいて前記タイミングドリフトを決定するよう構成されている、請求項11又は12記載のデバイス。
【請求項14】
アップストリームチャネル上で、前記タイミングドリフトに基づいて決定された時間−周波数リソース要素内でアップストリームシンボルを送信するよう構成されている送信機
をさらに備えている、請求項11乃至13いずれか一項記載のデバイス。
【請求項15】
ダウンストリームチャネル上でシンボルを受信するステップと、
前記ダウンストリームチャネル上の干渉事象を検出するステップと、
前記干渉事象の開始点より前の第1の時点において受信されたシンボルに基づいて第1の位相勾配を決定するステップと、
前記干渉事象の終了点より後の第2の時点において受信されたシンボルに基づいて第2の位相勾配を決定するステップと、
前記第1の位相勾配と前記第2の位相勾配とに基づいて、前記第1の時点と前記第2の時点との間のタイミングドリフトを決定するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
デバイスは、ダウンストリームチャネル上でシンボルを受信するよう構成されている受信機を備えている。本デバイスは、受信された前記シンボルに基づいて、チャネル同期パラメータの値を決定するよう構成されている少なくとも1つの回路を備えている。前記少なくとも1つの回路は、前記ダウンストリームチャネル上の干渉事象を検出するようさらに構成されている。前記少なくとも1つの回路は、前記干渉事象を検出したことに応じて、前記チャネル同期パラメータの少なくとも1つのキャッシュされている値に基づいて決定された出力信号を出力するようさらに構成されている。
【背景技術】
【0002】
チャネル上の伝送は、様々な外乱源にさらされる。結果として干渉が発生する可能性がある。したがって、干渉の検出及び緩和は、現在の伝送技術の不可欠なタスクである。
【0003】
例えば、ハイブリッドファイバ同軸ネットワークにおけるケーブルモデムは、データオーバーケーブルサービスインタフェース仕様(DOCSIS)プロトコルの下で動作する。ここで、ダウンストリーム(DS)データは、ブロードキャストチャネル上で伝送される。DSチャネルは、対応するリソースマッピングへと時間−周波数スライスされる。リソースマッピングは、リソース要素を規定する。各リソース要素は、所定の帯域幅及び持続時間を有し得る。リソース要素は、1つ以上のシンボルに対応する。例えば、リソース要素の周波数帯域幅は、直交周波数分割多重(OFDM)サブキャリアに対応し得る。
【0004】
DOCSISに従って、アップストリーム(US)データは、リソースマッピングの明確に規定されたリソース要素内で伝送される。このために、送信機と受信機との間のチャネル同期が必要とされる。チャネル同期パラメータ(送信機と受信機との間の時間領域オフセット及び周波数領域オフセット等)は、通常、受信されたDSシンボルから導出される。時間領域オフセットは、タイミングドリフトへと累積し得る。
【0005】
様々な配備(deployment)シナリオにおいて、干渉事象は、DSデータ伝送品質を劣化させ得ることが観測されている。詳細には、そのような干渉事象は、チャネル同期パラメータの正確な決定を妨げてしまうおそれがある。これが、今度は、USデータ伝送をしばしば妨げてしまう。さらに、干渉事象からの回復(recovery)の後、リファレンス実装に従うと、チャネル同期を獲得するための時間は相当であり、US伝送が可能でない持続時間がさらに長引いてしまう。さらに、DS伝送が、相当の持続時間の間中断される可能性がある。
【0006】
干渉事象が特に発生しやすい例示的な配備シナリオは、いわゆる全二重伝送に対応する。ここで、第1のカスタマ構内設備(CPE)は、USチャネル上で所与のリソース要素内で通信し得る一方で、第2のCPEは、DSチャネル上でこの所与のリソース要素内で通信し得る。第1のCPE及び第2のCPEに関連付けられた通信回線は、同じケーブルバンドルを共用し得る。ここで、第1のCPE及び第2のCPEに関連付けられた通信回線間の著しいクロストークが干渉事象を発生させるおそれがある。DS通信は、US通信に起因する干渉事象を被ることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、向上した干渉緩和能力を伴う伝送技術の必要性が存在する。特に、で示された欠点のうちの少なくとも一部を克服又は緩和する伝送技術の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この必要性は、独立請求項の特徴により満たされる。従属請求項は、実施形態を規定する。
【0009】
一例に従うと、デバイスは、受信機を備えている。前記受信機は、DSチャネル上でシンボルを受信するよう構成されている。本デバイスは、少なくとも1つの回路をさらに備えている。前記少なくとも1つの回路は、受信された前記シンボルに基づいてチャネル同期パラメータの値を決定するよう構成されている。前記少なくとも1つの回路は、前記DSチャネル上の干渉事象を検出するようさらに構成されている。前記少なくとも1つの回路は、前記チャネル同期パラメータの少なくとも1つのキャッシュされている値に基づいて決定された出力信号を出力するようさらに構成されている。前記出力信号の前記出力は、前記干渉事象を検出したことに応じてなされる。前記少なくとも1つのキャッシュされている値は、前記干渉事象の前記検出からオフセットされていて前記干渉事象の前記検出より前に受信されたシンボルに基づいて決定されている。
【0010】
一例に従うと、方法は、DSチャネル上でシンボルを受信するステップを含む。本方法は、受信された前記シンボルに基づいてチャネル同期パラメータの値を決定するステップをさらに含む。本方法は、前記DSチャネル上の干渉事象を検出するステップをさらに含む。本方法は、前記干渉事象を検出したことに応じて、出力信号を出力するステップをさらに含む。前記出力信号は、前記チャネル同期パラメータの少なくとも1つのキャッシュされている値に基づいて決定される。前記少なくとも1つのキャッシュされている値は、前記干渉事象の前記検出からオフセットされていて前記干渉事象の前記検出より前に受信されたシンボルに基づいて決定されている。
【0011】
一例に従うと、コンピュータプログラム製品は、少なくとも1つのプロセッサにより実行されるプログラムコードを含む。前記プログラムコードを実行することは、前記プロセッサに方法を実行させる。前記方法は、DSチャネル上でシンボルを受信するステップを含む。前記方法は、受信された前記シンボルに基づいてチャネル同期パラメータの値を決定するステップをさらに含む。前記方法は、前記DSチャネル上の干渉事象を検出するステップをさらに含む。前記方法は、前記干渉事象を検出したことに応じて、出力信号を出力するステップをさらに含む。前記出力信号は、前記チャネル同期パラメータの少なくとも1つのキャッシュされている値に基づいて決定される。前記少なくとも1つのキャッシュされている値は、前記干渉事象の前記検出からオフセットされていて前記干渉事象の前記検出より前に受信されたシンボルに基づいて決定されている。
【0012】
一例に従うと、コンピュータプログラムは、少なくとも1つのプロセッサにより実行されるプログラムコードを含む。前記プログラムコードを実行することは、前記プロセッサに方法を実行させる。前記方法は、DSチャネル上でシンボルを受信するステップを含む。前記方法は、受信された前記シンボルに基づいてチャネル同期パラメータの値を決定するステップをさらに含む。前記方法は、前記DSチャネル上の干渉事象を検出するステップをさらに含む。前記方法は、前記干渉事象を検出したことに応じて、出力信号を出力するステップをさらに含む。前記出力信号は、前記チャネル同期パラメータの少なくとも1つのキャッシュされている値に基づいて決定される。前記少なくとも1つのキャッシュされている値は、前記干渉事象の前記検出からオフセットされていて前記干渉事象の前記検出より前に受信されたシンボルに基づいて決定されている。
【0013】
一例に従うと、デバイスは、受信機を備えている。前記受信機は、DSチャネル上でシンボルを受信するよう構成されている。本デバイスは、前記DSチャネル上の干渉事象を検出するよう構成されている少なくとも1つの回路をさらに備えている。前記少なくとも1つの回路は、前記干渉事象の開始点より前の第1の時点において受信されたシンボルに基づいて第1の位相勾配を決定するよう構成されている。前記少なくとも1つの回路は、前記干渉事象の終了点より後の第2の時点において受信されたシンボルに基づいて第2の位相勾配を決定するようさらに構成されている。前記少なくとも1つの回路は、前記第1の位相勾配と前記第2の位相勾配とに基づいて、前記第1の時点と前記第2の時点との間の、前記受信機のタイミングドリフトを決定するようさらに構成されている。
【0014】
一例に従うと、方法は、DSチャネル上でシンボルを受信するステップを含む。本方法は、前記DSチャネル上の干渉事象を検出するステップをさらに含む。本方法は、前記干渉事象の開始点より前の第1の時点において受信されたシンボルに基づいて第1の位相勾配を決定するステップをさらに含む。本方法は、前記干渉事象の終了点より後の第2の時点において受信されたシンボルに基づいて第2の位相勾配を決定するステップをさらに含む。本方法は、前記第1の位相勾配と前記第2の位相勾配とに基づいて、前記第1の時点と前記第2の時点との間の、受信機のタイミングドリフトを決定するステップをさらに含む。
【0015】
一例に従うと、コンピュータプログラム製品は、少なくとも1つのプロセッサにより実行されるプログラムコードを含む。前記プログラムコードを実行することは、前記プロセッサに方法を実行させる。前記方法は、DSチャネル上でシンボルを受信するステップを含む。前記方法は、前記DSチャネル上の干渉事象を検出するステップをさらに含む。前記方法は、前記干渉事象の開始点より前の第1の時点において受信されたシンボルに基づいて第1の位相勾配を決定するステップをさらに含む。前記方法は、前記干渉事象の終了点より後の第2の時点において受信されたシンボルに基づいて第2の位相勾配を決定するステップをさらに含む。前記方法は、前記第1の位相勾配と前記第2の位相勾配とに基づいて、前記第1の時点と前記第2の時点との間の、受信機のタイミングドリフトを決定するステップをさらに含む。
【0016】
一例に従うと、コンピュータプログラムは、少なくとも1つのプロセッサにより実行されるプログラムコードを含む。前記プログラムコードを実行することは、前記プロセッサに方法を実行させる。前記方法は、DSチャネル上でシンボルを受信するステップを含む。前記方法は、前記DSチャネル上の干渉事象を検出するステップをさらに含む。前記方法は、前記干渉事象の開始点より前の第1の時点において受信されたシンボルに基づいて第1の位相勾配を決定するステップをさらに含む。前記方法は、前記干渉事象の終了点より後の第2の時点において受信されたシンボルに基づいて第2の位相勾配を決定するステップをさらに含む。前記方法は、前記第1の位相勾配と前記第2の位相勾配とに基づいて、前記第1の時点と前記第2の時点との間の、受信機のタイミングドリフトを決定するステップをさらに含む。
【0017】
上述した特徴及び以下で説明される特徴は、示されたそれぞれの組み合わせで使用されるだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組み合わせでも又は切り離されて使用されることも可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】様々な実施形態に従った、トランシーバ及び回路を備えているデバイスを示す概略図。
【図2】図1のデバイスの回路をより詳細に示す概略図。
【図3】リファレンス実装に従った、図1のデバイスの回路のループフィルタを示す概略図。
【図4】様々な実施形態に従った、図1のデバイスの回路のループフィルタを示す概略図。
【図5】DSチャネル上の干渉事象を示す概略図。
【図6】様々な実施形態に従った、干渉緩和のための、図1のデバイスの回路の要素を示す概略図。
【図7】様々な実施形態に従った、干渉緩和のための、図1のデバイスの回路の要素を概略的に示す図。
【図8】リファレンス実装に従ったタイミングドリフトを示す図。
【図9】様々な実施形態に従ったタイミングドリフトを示す図。
【図10】様々な実施形態に従った方法のフローチャート。
【図11】様々な実施形態に従った方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下において、本発明の実施形態が、添付の図面を参照して詳細に説明される。実施形態の以下の説明は、限定的に解釈されるべきではないことを理解されたい。本発明の範囲は、例示的であると解釈される以下で説明される実施形態又は図面により限定されるようには意図されていない。
【0020】
図面は、概略的とみなされるべきである。なぜならば、図面に示されている表現及び要素は、必ずしも縮尺通りには描かれていないからである。むしろ、様々な要素は、それらの機能及び広い用途が当業者に明らかになるように表現されている。図面に示されている又は本明細書において説明される機能ブロック、デバイス、コンポーネント、又は他の物理ユニット若しくは機能ユニットの間の接続又は連結は、間接的な接続又は連結により実装されることもある。コンポーネント間の連結は、無線接続を介して確立されることもある。機能ブロックは、ハードウェアにより実装されることもあるし、ファームウェアにより実装されることもあるし、ソフトウェアにより実装されることもあるし、これらの組み合わせにより実装されることもある。
【0021】
本明細書に記載のいくつかの例は、チャネル上の干渉事象を検出することに関する。ここで、チャネルは、電線、無線伝送路、銅線、同軸ケーブル等といった任意の物理媒体において実現され得る。
【0022】
シンボルは、チャネル上で通信され得る。データを符号化したシンボルの通信は、OFDM変調に従って実施され得る。他の変調方式も考えられ得る。
【0023】
データシンボルの通信に加えて、他のシンボルは、チャネル制御を提供することができる。例えば、チャネルサウンディングの目的で、振幅及び位相等の明確に規定された伝送特性を有するダウンリンクパイロット信号及び/又はアップリンクパイロット信号を使用することが可能である。
【0024】
例示的な実装において、本明細書に記載の技術は、DOCSISプロトコルの下で動作し全二重伝送をサポートするハイブリッドファイバ同軸ネットワークに適用される。
【0025】
いくつかの例において、チャネル同期パラメータは、干渉事象が存在している間に、信頼性高く推定される。このために、正常動作中にそれぞれのチャネル同期パラメータの値をキャッシュし、干渉事象を検出したことに応じて、キャッシュされている値のうちの少なくとも1つのキャッシュされている値にアクセスすることが可能である。干渉事象を検出したことに応じてアクセスされる少なくとも1つのキャッシュされている値が、干渉に起因してまだ劣化していないことを保証するために、干渉事象の検出からオフセットされていて干渉事象の検出より前に受信されたシンボルに基づいて決定されているキャッシュされている値が選択され得る。キャッシュされている値と干渉事象の検出との間には時間間隔が存在し得る。これは、干渉事象を検出するときに直面する遅延を補償することを可能にする。選択された少なくとも1つのキャッシュされている値が干渉事象により悪影響がまだ及ぼされていないことを保証する、時間領域における安全マージンが実装され得る。
【0026】
次いで、チャネル同期パラメータに基づいてDSデータを受信及び復号することを継続的に試みることが可能である。これによって、干渉事象からの回復が、例えば、復号器の尺度(measure)の誤差に基づいて等、信頼性高く且つ迅速に検出され得る。さらに、干渉事象から回復すると、DS信号によって符号化されたDSデータの受信が迅速に開始し得る。
【0027】
さらなる例において、干渉事象中に受信機が受けたタイミングドリフトを正確に決定することが可能である。このために、干渉事象の前の位相勾配及び干渉事象の後の位相勾配を考慮することが可能である。位相勾配は、周波数に対する位相の変化率と定義され得る。いくつかの例において、干渉事象の前の位相勾配及び干渉事象の後の位相勾配が考慮され得る。干渉事象の前の位相勾配と干渉事象の後の位相勾配との差(分)を決定することにより、タイミングドリフトを正確に導出することが可能である。これによって、アップストリームタイミング計算においてこのタイミングドリフトを考慮することにより、干渉事象からの回復の後にチャネル上でアップリンク伝送を迅速に開始することが可能である。
【0028】
本明細書に記載の技術は、インターネットオブシングス等のコネクテッドホームシナリオにおける特定の用途を見出し得る。これは、本明細書に記載の技術が信頼性の高い通信を可能にするからである。
【0029】
図1は、デバイス100を概略的に示している。デバイス100は、例えばアナログフロントエンドにより実装されるトランシーバ110を備えている。デバイス100は、回路120をさらに備えている。例えば、回路120は、デジタル信号処理を実行するよう構成され得る。
【0030】
デバイス100は、チャネル150上で通信するよう構成されている。このチャネルは、DSチャネル151及びUSチャネル152を含む。例えば、チャネル150上の伝送は、DOCSISプロトコルに従い得る。
【0031】
図2は、回路120についての様々な態様を概略的に示している。回路120は、DSシンボルのOFDM復調及び復号を実施する。回路120は、時としてデジタル復調器と呼ばれる。例えば、DSチャネル151上で受信されるDSシンボルは、最大で192MHzまでの帯域幅を有する帯域において、直交振幅変調(QAM)−4096で通信され得る。例えばQAM−16384といったより高いQAMファクタも考えられ得る。
【0032】
デジタルフロントエンド(DFE)201は、周波数変換、フィルタリング、及びデジタル適応利得制御等の機能を有する。さらに、DFE201は、突然の信号エネルギー損失を検出する機能251を実装している。例えば、機能251は、2つのローパスフィルタであって、一方は長い時間定数を有し、他方は短い時間定数を有する、2つのローパスフィルタに依拠し得る。フィルタは、入力として、信号振幅又は信号振幅の2乗を受け取り得る。これは、フィルタが、短期間及び長期間の平均信号振幅又は信号パワーを算出することを可能にする。次いで、これらの2つのフィルタの出力の比較に基づいて、信号エネルギー損失が検出され得る。
【0033】
回路120は、再サンプリング及び位相回転のための回路202と、復調のためのFFTフィルタ203と、をさらに有する。再サンプリング器及び位相回転器202は、受信の際のクロック及びキャリア周波数誤差を補正する。受信機におけるタイミングリファレンス又はクロックは、送信機におけるタイミングリファレンス又はクロックと同じ周波数を有していないことがある。したがって、受信された信号は、新たなサンプル点が送信機と同じ時間間隔を有するように、再サンプリングされ得る。受信された信号はまた、送信機に対してゼロでない周波数オフセットを有していることもある。この周波数オフセットは、位相回転により補正される。高速フーリエ変換(FFT)フィルタ203は、信号を周波数領域に変換して、個々のサブキャリアのデジタル処理を可能にする。回路120は、チャネルによりもたらされた周波数依存の振幅及び位相歪みを補償する等化器204をさらに有する。
【0034】
雑音検出モジュール262は、個々のOFDMシンボルにおける雑音レベルを検出するために使用される。例えば、雑音は、パイロットサブキャリアの誤差尺度に基づいて検出され得る。OFDM伝送は、通常、受信機同期及びチャネル等化を支援するためのパイロットサブキャリアを含む。パイロットサブキャリアの振幅及び位相角は、受信機に既知である。したがって、受信機は、これらのパイロットサブキャリアにおける誤差を決定することができる。特定のシンボルのパイロットにわたるこの誤差の2乗値の平均は、当該のOFDMシンボルの雑音レベルの尺度を与える。これを使用して、干渉事象を検出することができる。雑音検出機能262は、所定の閾値を超える、信号対雑音比(SNR)の劣化を検出するよう構成されている。雑音検出機能262は、回路120の信号処理キュー内の比較的下流に配置されるので、干渉事象のそのような検出も、固有の遅延に関連付けられる。
【0035】
タイミング及び周波数誤差推定機能261は、タイミング及び周波数オフセット誤差を決定するために使用される。したがって、機能261は、パイロットサブキャリアに基づいてチャネル同期パラメータを決定するよう構成されている。詳細には、機能261は、パイロットサブキャリアの位相角に基づいて、タイミング及び周波数誤差を推定することができる。そのような推定は、等化とは独立したものであり得る。パイロットサブキャリアが雑音を多く含むときには、タイミング及び周波数オフセット推定値も、あまり正確でないものになる。概して、機能261によるそのような決定は、干渉事象が存在しない限りにおいてのみ可能である。機能261は、信号380をフィルタ205に出力する。
【0036】
決定されたチャネル同期パラメータに基づいて、すなわち、信号380に基づいて、再サンプリング器及び位相回転回路202を制御するための係数が、1つ以上のループフィルタ205により決定され得る。したがって、の係数は、チャネル同期パラメータを示す。例えば、フィルタ205の出力レジスタは、公称レートに対するクロック周波数を示す出力信号を出力することができる。例えば、フィルタ205のこのレジスタは、サブキャリア間隔の比率として、キャリア周波数誤差(周波数オフセット)を示すことができる。
【0037】
干渉事象が検出された場合、機能261は、通常、現在のチャネル同期パラメータを決定することができない。しかしながら、干渉事象が検出された場合であっても、フィルタ205は、出力信号を回路202に出力する。このために、フィルタ205は、干渉事象を検出したことに応じて、異なる動作モードで動作することができる。このために、フィルタは、機能251、262から、干渉事象を示す制御信号を受信する。この制御信号に基づいて、フィルタの複数の異なる動作モードの間で切り替えることが可能である。
【0038】
フィルタ205が信号を回路202に出力し続けるようにフィルタ205を実装することにより、回路120は、干渉事象に応じて、出力信号に基づいて、受信されたシンボルの復号を試みることができる。例えば、次いで、干渉事象からの回復が、試みられた復号に基づいて検出され得る。回復は、パイロットサブキャリアを使用して雑音検出機能262により決定された平均2乗誤差が著しく低減した場合に、機能262により検出され得る。
【0039】
本明細書に記載の技術は、干渉事象を検出したときのフィルタ205の動作モードの実装が、干渉事象からの回復を検出する質を著しく増大させることができるという知見に基づく。例えば、回復は、より迅速に且つ/又はより信頼性高く検出され得る。このために、干渉事象中の回路202の正確な動作を可能にするフィルタ205により出力信号を出力することを可能にする以下の技術が説明される。
【0040】
図3は、フィルタ205についての態様をより詳細に示している。図3は、リファレンス実装に従った、フィルタ205により実装されるループフィルタ302、303、304を示している。
【0041】
ループフィルタ302、303、304に提供される入力信号380は、乗算器301を使用することにより、事前調整される(preconditioned)。次いで、ループフィルタ302、303、304は、事前調整された入力信号380をフィルタリングする。入力信号380は、タイミング及び周波数推定値を示し得る。ループフィルタ205は、1つのOFDMシンボルごとに1回、入力信号380の更新された値を受信することができる。概して、ループフィルタ205は、OFDMシンボルレートで動作し出力を生成することができる。
【0042】
干渉事象が検出されない場合、ループフィルタ302、303、304は、入力クロック周波数及び入力キャリア周波数を継続的に追跡し、対応する出力信号381を提供する。
【0043】
図3のシナリオにおいて、干渉事象が検出された場合、入力信号380は劣化する。これは、ループフィルタ302、303、304が入力クロック周波数及び入力キャリア周波数を正確に追跡するのを妨げる。
【0044】
干渉事象が検出された場合、回路120の様々な要素に通知される。例えば、DFE201の適応利得調整は、雑音の多いデータに起因する誤った更新を避けるために、その利得を固定する。また、204における等化のために使用されるチャネル周波数応答が固定される。OFDMシンボルタイミングも、固定されたまま保たれることになる。
【0045】
さらに、例示的な実装に従うと、ループフィルタ302、303、304により出力される時間領域オフセット及び周波数オフセットを含むチャネル同期パラメータが、更新されないようにされ、固定値に設定される。これを達成するために、フィルタ205は、追加のロジックで拡張される。
【0046】
図4は、フィルタ205の態様を示している。図4は、外乱を受けたチャネル同期パラメータに基づく、すなわち、外乱を受けた入力信号380に基づく、ループフィルタ302、303、304の予防動作についての態様を示している。詳細には、図4は、干渉事象を検出したことに応じて、チャネル同期パラメータの少なくとも1つのキャッシュされている値に基づいて、出力信号450を出力することについての態様を示している。
【0047】
図4は、概して、図3に対応する。図4のシナリオにおいて、ループフィルタ302、303、304は、干渉緩和を提供するための追加のロジックで拡張されている。
【0048】
干渉事象が検出されない場合、信号452が出力信号450として提供されるように、マルチプレクサスイッチ405が、制御器408により操作される。次いで、図4の実装におけるFFTフィルタ203の動作は、図3の実装におけるFFTフィルタ203の動作に対応する。すなわち、出力信号450により示されるチャネル同期パラメータが継続的に更新される。これは、フィルタ205の第1の動作モードに対応する。
【0049】
確認できるように、ループフィルタ302、303、304の出力は、さらなるブランチを実現する平均及び巻き戻し(rewind)回路407にも接続されている。図4の例における回路407は、干渉事象が検出されない場合であっても動作する。したがって、回路407は、出力信号450に対応する入力信号を継続的に受信し、その出力信号451を出力する。出力信号451は、出力信号450の少なくとも1つのキャッシュされている値を示し、したがって、チャネル同期パラメータの少なくとも1つのキャッシュされている値を示す。回路407は、少なくとも1つのキャッシュされている値が、干渉事象の検出からオフセットされていて干渉事象より前に受信されたシンボルに基づいて決定されているように、構成されている。干渉事象が検出されない場合、出力信号451は破棄される。これは、スイッチ450を適切に操作することにより行われる。
【0050】
次いで、干渉事象を検出したことに応じて、フィルタ205の動作モードが変更される。制御器408は、干渉事象を検出したことに応じて、スイッチ405を操作するよう構成されている。当初に、回路407の出力信号が、出力信号450として提供される。例えば、出力信号450は、単一のOFDMシンボル期間の間、回路407の出力信号に対応することが可能である。そして、後に、ブランチ406のフィードバック信号453が、制御器408がスイッチ405を適宜に操作することにより、出力信号450として提供される。例えば、フィードバック信号453は、干渉事象が持続している限りにおいて、提供され得る。これによって、干渉事象が持続している間、当初に提供されていた回路407の出力信号451が、ブランチ453によって保たれる。
【0051】
干渉事象からの回復が検出された場合、干渉事象の終了点の後であっても、マルチプレクサスイッチ405は、1つ以上のOFDMシンボル期間の間、信号453を出力信号450として提供することが可能である。これは、安定(stable)信号452が出力信号450として提供される前に、ループフィルタ302、303、304が安定信号452に決定していることを保証するために行われ得る。次いで、最終的に、出力信号450は、フィードバックブランチ304により提供される信号452に対応する。
【0052】
図5は、回路407の機能の態様を示している。図5は、時間経過に伴う出力信号450を示している。図5は、干渉事象560の存在をさらに示している。干渉事象560は、開始点561及び終了点563を有する。図5から確認できるように、回路120は、開始点561の明確に後である時点562において干渉事象560を検出する。これは、干渉事象の検出における固有の遅延に起因する。
【0053】
回路407は、出力信号450の複数のキャッシュされている値の組み合わせを実施する。このために、スライディングウィンドウ551が、回路407により実現される。複数のキャッシュされている値の組み合わせは、スライディングウィンドウ551内に位置するキャッシュされている値について実施される。図5の例において、この組み合わせは、平均化により実施される。中央値等といった、組み合わせの他の技術も可能である。
【0054】
スライディングウィンドウ551の上端556は、持続時間571(スライディングウィンドウサイズ)の分だけ、スライディングウィンドウ551の下端555からオフセットされている。例えば、いくつかの例において、スライディングウィンドウサイズ571は、少なくとも1ミリ秒、好ましくは少なくとも5ミリ秒、より好ましくは少なくとも10ミリ秒、に等しいものであり得る。例えば、いくつかの例において、スライディングウィンドウサイズ571は、パケット化されたデータをDSチャネル151上で伝送するために使用される少なくとも1つの伝送フレーム、好ましくは少なくとも3つの伝送フレーム、より好ましくは少なくとも10個の伝送フレーム、の持続時間に対応し得る。
【0055】
さらに、図5において、スライディングウィンドウ551の上端556と干渉事象560を検出した時点562との間の持続時間572が示されている。例えば、持続時間572は、少なくとも1ミリ秒、好ましくは少なくとも5ミリ秒、より好ましくは少なくとも10ミリ秒、に等しいものであり得る。例えば、いくつかの例において、持続時間572は、パケット化されたデータをDSチャネル151上で伝送するために使用される少なくとも1つの伝送フレーム、好ましくは少なくとも3つの伝送フレーム、より好ましくは少なくとも10個の伝送フレーム、の持続時間に対応し得る。スライディングウィンドウ551の位置は、時間とともに進み得るので、持続時間572は固定され得る。
【0056】
したがって、図5により示されている技術によって、検出の時点562とスライディングウィンドウ551の上端556との間の持続時間572に対応する前の時点に戻ることにより、出力信号450を決定することが可能である。これは、干渉を検出する際の遅延に対処するのを助ける。確認できるように、持続時間572は、干渉事象560の下端561と干渉事象560の検出の時点562との間の時間オフセットよりも少し長い長さにされている。
【0057】
図5における技術は、さらに、複数のキャッシュされている値の組み合わせに基づいて出力信号450を決定することを可能にする。詳細には、複数のキャッシュされている値の平均化が可能である。これは、干渉事象が存在しない場合であっても、出力信号450が、システムにおける雑音のため変動するという知見に起因する。したがって、概して、雑音変動を平滑化することにより、望ましくないオフセットを回避するために、複数のキャッシュされている値を組み合わせることが好ましい。
【0058】
図5において、さらなる持続時間573が示されている。図5から明らかなように、干渉事象560からの回復の後であっても、出力信号450が、持続時間573の間、固定されたまま保たれている。
【0059】
図6は、回路407についての態様を示している。回路407は、移動平均フィルタ602と組み合わせた要約ダンプ(sum dump)601によって、複数のキャッシュされている値の組み合わせを実施する。フィルタ602は、平均化有限インパルス応答フィルタとして実装され得る。
【0060】
要約ダンプ601は、出力信号450の複数の前の値をキャッシュするよう構成されている。このために、要約ダンプは、出力信号450の指定された個数の値を平均化し、平均に応じた単一の出力信号450Aを提供するよう構成されている。要約ダンプ601は、そのような平均化を継続的に実施するよう構成され得る。例えば、一例において、要約ダンプ期間は、16個のOFDMシンボル期間に設定され得る。次いで、16個の値が平均化されて、16個の入力値あたりの単一の出力信号450Aが生成される。これは、スライディングウィンドウ551に対応する。スライディングウィンドウ551は、時間領域において段階的に、例えばこの例に従うと16個の値ごとに、進み得る。
【0061】
したがって、この例において、フィルタ602も、16個の値ごとに、その出力450Bを更新する。また、プログラム可能な巻き戻し遅延器も、16個の値ごとに、その出力を更新する。プログラム可能な巻き戻し遅延器603は、シフトレジスタを実装している。例えば、シフトレジスタの長さは、4に設定され得る。ここでも、これは、出力信号450の値のキャッシュに対応する。よって、総遅延は、64個の値に対応する。したがって、持続時間572は、シンボル期間の64倍に対応する。
【0062】
ループフィルタ302、303、304が、他の積分器を含む場合、同じ原理が、各積分器に適用され得る。
【0063】
から理解されるように、回路407は、出力信号450と比較した場合、所定の数のシンボル期間の分だけ時間的に巻き戻される平均タイミングループ出力451を実現することを可能にする。回路407は、その出力信号451が使用されるか又は破棄されるかにかかわらず、これを行い続ける。干渉事象が検出された場合、スイッチ405の制御器408は、回路407の出力信号451を選択して出力信号450として提供する。これは、いくつかの例に従うと、単一のシンボル期間の間行われ得る。次いで、出力信号450が、ブランチ406によって、固定されたまま保たれる。例えば、出力信号450は、干渉事象560からの回復を検出した後、複数のシンボル期間の間、ブランチ406によって、固定されたまま保たれ得る。
【0064】
要素601、602、603は、継続的に動作しているが、回路407の出力において遅延が存在する。この遅延は、持続時間572に対応する。
【0065】
図7は、干渉事象560に起因するタイミングドリフトを決定することについての態様を示している。このために、受信機は、位相解析機能263(図2参照)を実装している。図7は、機能263の詳細を示している。
【0066】
等化器701は、ダウンリンクパイロット信号を受信する。ダウンリンクパイロット信号は、明確に規定された伝送振幅及び位相を有する。ダウンリンクパイロット信号は、伝送帯域のいくつかのサブキャリアに割り当てられ得、予め規定された変調を有するOFDMシンボルに対応し得る。等化器701は、チャネル周波数応答について等化を実行する。チャネル周波数応答は、回路705により決定される。チャネル周波数応答は、散乱ダウンリンクパイロット信号を使用して、回路705により推定される。変調は、既知のパイロット変調を用いてキャンセルされる。
【0067】
次いで、周波数領域において各OFDMシンボルについて位相勾配を決定することが可能である。これは、回路702により適用される位相勾配補正である。位相勾配は、レジスタ706から得られる予め定められた基準位相勾配に対して決定され得る。基準位相勾配は、前のシンボルの位相勾配に対応し得る。したがって、回路702は、現在のシンボルより何かしら前に伝送された前のシンボルの位相勾配に基づいて、現在のシンボルの位相勾配を補正することができる。
【0068】
基準位相勾配が使用されるので、回路702により出力されるパイロットサブキャリアは、何らかの残差(residual)位相勾配を示し得る。残差位相勾配は、現在のシンボルと基準位相勾配に関連付けられた前のシンボルとの間の位相勾配の差(分)に対応する。時として、残差位相勾配は、差分位相勾配又は差分位相傾きとラベル付けされる。なぜならば、これは、現在のシンボルと前のシンボルとの間の位相勾配の差(分)を指すからである。
【0069】
差分位相勾配のアンラッピングは、回路703により実施される。アンラッピングは、差分位相勾配に基づくので、位相ラッピングは制限され、アンラッピングは、より単純である。これは、差分位相勾配が、通常は小さく、存在するとしても、わずかな位相ラップしか存在しないからである。曖昧性が回避される。
【0070】
次いで、回路704は、周波数範囲にわたる位相アンラッピングされたパイロットサブキャリアの差分位相勾配を決定し、例えば、rad/Hzを単位とする差分位相勾配を与える。
【0071】
次いで、このように決定されたアンラッピングされた差分位相勾配が、加算器707により、前のシンボルの位相勾配と組み合わせられて、現在のシンボルに対応する更新された位相勾配が得られる。更新された位相勾配は、レジスタ706にキャッシュされる。更新された位相勾配は、基準位相勾配として、回路702に提供される。したがって、次のシンボル(これは、通常、干渉事象が検出されない場合、隣の近傍シンボルである)について、回路702は、現在のシンボルまで累積された位相勾配を補正し、それにより、新たなシンボルが受けた追加の位相勾配を回路704が決定することを可能にする。
【0072】
干渉事象560が検出された場合、レジスタ706は更新されない。さらに、回路705は更新を提供しない。レジスタ706は、干渉事象560が解決した場合にだけ更新される。結果として、回路704により決定される差分位相勾配は、干渉事象の終了時における位相勾配と干渉事象の開始時における位相勾配との間の差(分)である。前のシンボルは、干渉事象の開始点より前に位置し、現在のシンボルは、干渉事象の終了点より後に位置する。
【0073】
次いで、差分位相勾配が、レジスタ706に記憶されている位相勾配に加算される。この記憶されている位相勾配は、干渉事象の開始点より前の時点に対応する。したがって、記憶されている位相勾配は、干渉事象により損なわれない。記憶されている位相勾配に差分位相勾配を加算することにより、更新された位相勾配が得られる。
【0074】
このようにして得られた位相勾配を使用して、干渉事象の終了点より後のOFDMシンボルを等化する。これは、等化の精度を高めることができる。これは、さらに、ダウンストリーム回復時間を著しく早めることができる。詳細には、ダウンストリーム復号器は、干渉事象の終了点より後の1つのOFDMシンボル内で回復することができる。
【0075】
から理解されるように、干渉事象560からの回復の後、干渉事象560中のタイミングドリフトが、干渉事象より前に受信されたシンボルに基づいて決定された−レジスタ706に記憶されている−位相勾配と、干渉事象より後に受信されたシンボルに基づいて決定された位相勾配と、に基づいて決定される。これは、以下の式に従って行われ得る:
【数1】
ここで、
【数2】
は、タイミングドリフトを表し、
【数3】
は、干渉事象560の前の位相勾配
【数4】
と、干渉事象560の後の位相勾配
【数5】
と、の間の差(分)を表す。これらの値は、レジスタ706から得られ得る。
【0076】
また、図7のシナリオにおいて、干渉事象560の開始点561の前及び干渉事象560の終了点563の後に安全マージンを設けることが望ましいことであり得る。例えば、安全マージンは、DSチャネル151の少なくとも1つの伝送フレーム、好ましくはおよそ3つの伝送フレーム、の持続時間に対応する持続時間に等しいものであり得る。
【0077】
タイミングドリフトは、様々な目的で使用され得る。一例において、タイミングドリフトは、干渉事象560の終了後に受信機を回復することを可能にする。パケットロスが最小限に抑えられ得る。さらなる例において、USタイミングが調整され得る。例えば、タイミングドリフトに基づいて決定された、USシンボルのための時間−周波数リソース要素を使用して、USチャネル152上で送信することが可能である。すなわち、リソースマッピングのリソース要素の特定のタイミングが、タイミングドリフトの知識に基づいて、正確に決定され得る。
【0078】
上述した特徴は、チャネルにより使用される具体的な物理媒体にかかわらず、比較的ロバストにモデムを実装することを可能にするが、これらの特徴は、ハイブリッドファイバ同軸の全二重伝送において特定の適合性を有し得る。通常、ケーブルセグメントは、複数のタップを含む。各ステップにおいて、ケーブルゲートウェイに接続する複数のドロップケーブルが存在する。1つのカスタマ設備が、特定のタップにおいてUSシンボルを送信している場合、同じタップにおける他のモデムは、干渉事象を被ることになる。これは、DSシンボルの受信を妨げてしまう。本明細書に記載の技術は、USタイミングの損失を回避するのを助ける。本明細書に記載の技術は、さらに、干渉事象の終了後直ちにDSシンボルの受信を再開するのを容易にする。
【0079】
図8及び図9は、時間の関数としてのタイミングドリフトを示している。詳細には、図8は、リファレンス実装に従ったタイミングドリフト900を示している。100ミリ秒の持続時間の干渉事象560が発生している。確認できるように、リファレンス実装に従うと、干渉事象560からの回復の後のタイミングドリフト900は、およそ8ナノ秒に等しい。これは、実際上USシンボルの伝送を妨げる。
【0080】
一方、本明細書に記載の技術に従って構成されているデバイス100により得られたタイミングドリフト900を示している図9において、タイミングドリフト900は、2.0秒の持続時間の干渉事象の後、およそ4ナノ秒に等しいだけである。
【0081】
図10は、例示的な実装に従った方法のフローチャートである。1001において、DSシンボルが受信される。次いで、1002において、受信されたDSシンボルに基づいて、時間領域オフセット及び周波数領域オフセット等のチャネル同期パラメータの値が決定される。
【0082】
1003において、干渉事象が検出されたかどうかがチェックされる。干渉事象が検出された場合、1004において、チャネル同期パラメータの少なくとも1つのキャッシュされている値に基づいて決定された出力信号が出力される。
【0083】
図11は、例示的な実装に従った方法のフローチャートである。
【0084】
1101において、1つ以上のDSシンボルが受信される。例えば、1101において、予め規定された変調を有する1つ以上のDSシンボルに対応する1つ以上のDSパイロット信号が受信され得る。次いで、1102において、第1の位相勾配が、受信された1つ以上のDSシンボルに基づいて決定される。
【0085】
次いで、1103において、干渉事象560が発生したかどうかがチェックされる。干渉事象560が検出された場合、1104において、干渉事象560が解決したかどうかがチェックされる。
【0086】
干渉事象から回復すると、1105において、1つ以上のDSシンボルが受信される。ここでも、1つ以上のDS信号を受信することが可能である。
【0087】
次いで、1106において、第2の位相勾配が、ブロック1105の受信された1つ以上のDSシンボルに基づいて決定される。
【0088】
1107において、1103において検出された干渉事象中のタイミングドリフトが、1102において決定された第1の位相勾配と1106において決定された第2の位相勾配との組み合わせに基づいて決定される。
【0089】
まとめると、干渉緩和の技術が開示されている。例えば、干渉事象がDSチャネル上で検出された場合、様々なパラメータが更新されることが中断され、様々なパラメータが、干渉事象から回復するまで、固定されたまま保たれ得る。そのようなパラメータは、クロック及びキャリア回復ループフィルタにより継続的に追跡されるチャネル同期パラメータを含み得る。そのようなパラメータは、代替的又は追加的に、OFDMシンボルタイミング及びチャネル周波数応答を含んでもよい。
【0090】
様々な例に従うと、干渉事象の検出より前の時点における、クロック及びキャリア回復ループフィルタの状態を固定することを可能にする「時間シフト」メカニズムが提案されている。これは、干渉事象の持続時間中にフィルタの状態が増大した雑音に起因して損なわれ得る干渉事象の検出における固有の遅延に対処することを可能にする。
【0091】
さらなる例に従うと、干渉の検出より前のタイミング及び周波数オフセットの複数の値の組み合わせが実行される。例えば、平均化が可能である。対応する結果が、固定されたまま保たれる。これは、干渉事象の開始点より前であってもクロック回復ループフィルタによりカバーされるクロック周波数オフセットが雑音を含み得るという知見に対処するのを助ける。干渉事象の開始点より前の複数のキャッシュされている値の組み合わせにより、雑音が著しく低減され得る。
【0092】
さらなる例に従うと、例えば上述した策を講じた後に持続している残余誤差は、タイミングドリフトをもたらし得る。タイミングドリフトは、回路の固定された状態中に生じる。例に従うと、干渉事象からの回復に応じて、このタイミングドリフトを決定することが可能である。タイミングドリフトは、干渉事象の前及び後のアンラッピングされた位相勾配を使用して決定され得る。これによって、USデータが、正確な同期をもって時間−周波数リソースマッピングに従って通信され得る。また、DSシンボルが、正確な同期に従って受信及び復号され得る。
【0093】
このような全ての手段は、相当な長さの干渉事象さえを考慮しても、増大した干渉緩和能力に寄与する。再登録若しくは再実行又はトレーニング段階が回避され得る。干渉事象から迅速に回復することが可能である。
【0094】
本発明が、所定の好ましい実施形態に関連して図示及び説明されたが、本明細書を読んで理解すると、当業者には均等形態及び変更形態が想起されるであろう。本発明は、そのような全ての均等形態及び変更形態を含み、請求項の範囲によってしか限定されない。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【国際調査報告】